説明

消火設備用流水検知装置

【課題】 本発明は小型でメンテナンス性の良い消火設備用流水検知装置を得ること。
【解決手段】 逆止弁筐体における二次側に開口を設け、スイッチ操作用回動腕を上記開口から筐体内に挿入して、その両端操作部が上記筐体内外に各々位置するように配設し、該腕に直交する水平回転軸により当該回動腕を回動可能に軸支し、スイッチ操作用回動腕の筐体内側の操作部が逆止弁に当接するように附勢手段を以って該回動腕を回動附勢し、回動腕の筐体外側の操作部の端部近傍に該回動腕の回動によりオンするスイッチ手段を配設し、水流による逆止弁の開方向への開動作に基づいて逆止弁により回動腕を附勢手段の附勢力に抗して回動し得るように構成し、これにより回動腕の外側の操作部によりスイッチ手段をオンし得るように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば集合住宅用のスプリンクラー設備等に用いて好適なものであり、小型でメンテナンス性の良い消火設備用流水検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な集合住宅用のスプリンクラー設備は、図13に示すように集合住宅の各階の各戸毎に複数個のスプリンクラーヘッド1が設けられ、各戸において上記各ヘッド1がスプリンクラー配管1’を介して流水検知装置3の二次側に接続され、かつ該流水検知装置3の一次側に消火水配管2が接続され、各配管2は集合住宅の地階に配設され、該地階において加圧送水ポンプ4、圧力保持ポンプ5を介して貯水槽6に接続されている。また、上記配管2には圧力タンク7及び上記配管2内の圧力低下を圧力タンク7を介して検出し得る圧力スイッチ8が接続されている。尚、同図中9は屋上に配置された消火水の補助水槽である。
【0003】
そして、上記スプリンクラー設備は警戒動作中において全配管内が水で満たされ上記圧力保持ポンプ5により静圧(加圧ポンプ4から最遠箇所で0.1MPa以上)が印加されており、何れかの一戸Pで火災が発生すると、スプリンクラーヘッド1”のノズルが熱により自動的に発砲し、配管1’内に充満する消火水が同ヘッド1”から放出され、かかる流水圧力により、上記一戸Pで上記流水検知装置3のリードスイッチがオンしてこれにより火災警報等が発せられる。また、上記ヘッド1”の発砲に基づく管内圧力の低下を圧力スイッチ8が検知してオンし、該オンに基づいて加圧送水ポンプ4が起動され、配管2内に貯水槽6内の消火水が加圧送水され、引き続いて上記スプリンクラーヘッド1”から消火水が放水され消火活動が行われるものである。
【0004】
このようなスプリンクラー設備において、上記流水検知装置3は、通常、図11に示すように、上流側から下流側に向けてリミットスイッチ付きの手動開閉弁である制御弁10、逆止弁11、パドル及びリードスイッチ等から構成された流水検知弁12により構成されており、これらの各弁が1つの流水検知装置3を構成している。尚、10’は上記制御弁10の弁開閉用ハンドルである。
【0005】
或いは、図12に示すように、上流側から下流側に向けて、一次側圧力測定用の圧力計13を取り付けるための一次側短管14、上記制御弁10、上記逆止弁11、上記流水検知弁12、さらに二次側圧力計測定用の圧力計15を取り付けるための二次側短管16により構成されるものもあり、これらの各弁が1つの流水検知装置3を構成している。
【0006】
ここで、上記流水検知弁12として従来から各種構成のものが提案されている。例えば、流水検知弁12筐体内に水流検知用パドルを単独で配置し、当該パドルの回動によりマグネットスイッチをオンするように構成したもの(特許文献1)、逆止弁の一次側に水流検知用パドルを配置したもの(特許文献2)、上下方向に摺動する逆止弁の上部にパドルを配置して、当該逆止弁の上方へのスライドに基づいてマグネットスイッチをオンするように構成したもの(特許文献3)等が提案されている。
【0007】
また、流水検知弁として、逆止弁の弁座に小水路を設けて該小水路の圧力変動を圧力スイッチで検出可能に構成し、逆止弁の開放に基づく上記小水路内の圧力変動を上記圧力スイッチにより検出する構成のものが提案されている(特許文献4)。
【0008】
【特許文献1】特開平8−196658号公報
【特許文献2】特開2003−149021号公報(図1、図2)
【特許文献3】特開2002−159585号公報(図3)
【特許文献4】特開2003−102862号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献1のものは図11或いは図12の流水検知弁12として用いられるものであるから、流水検知装置3を構成するためには別途逆止弁11等が必要となり流水検知装置3全体の上下長が大きくなり、当該装置3自体が大型化するとの問題がある。
【0010】
また、上記特許文献2のものにおいては、流水検知弁と逆止弁を一体としたものであるが、逆止弁の下方位置に水流検知パドル用のスペースが必要となり、流水検知装置全体の小型化には限界がある。
【0011】
また、特許文献3のものは、逆止弁の上下動を利用してスイッチをオンするものであり、流水検知弁専用の筐体を必要としないというメリットはあるが、マグネットスイッチを用いているため逆止弁の移動ストロークを大きくとることができず、逆止弁開時における流水抵抗が大となる。
【0012】
また、特許文献4のものは、圧力検知方式であるため、弁体と弁座間に異物等が混入した場合に誤動作の可能性が大きいし、異物等を除去するためには現場で分解が必要であり、メンテナンス性が悪い。
【0013】
さらに、上記各文献1〜4記載の流水検知弁は、外部から流水検知用の逆止弁或いはパドル等が開状態か閉状態かを目視により確認することができず、また警報用リードスイッチのテストを行う際は、実際にスプリンクラー設備配管内に消火水を流して水流を形成する必要があり、準備が大掛かりとなり、容易に動作試験を行うことができないという課題もあった。
【0014】
本発明は、上記従来の各課題に鑑みてなされたもので、流水検知装置を小型に構成することができ、スイッチの動作テストを簡易に行うことができるメンテナンス性の良い消火設備用流水検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため本発明は、
逆止弁筐体における二次側に水流方向に略直交する開口部を設け、両端に操作部を有するスイッチ操作用回動腕を上記開口部から筐体内に挿入して、その両端操作部が上記筐体内外に各々位置するように配設し、さらに該腕に直交する水平回転軸により当該回動腕を回動可能に軸支し、上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の上記操作部が逆止弁に当接するように附勢手段を以って当該回動腕を回動附勢し、かつ上記回動腕の筐体外側の操作部の端部近傍に当該回動腕の回動によりオンするスイッチ手段を配設し、水流による上記逆止弁の開方向への開動作に基づいて当該逆止弁により上記回動腕を上記附勢手段の附勢力に抗して回動し得るように構成し、これにより上記回動腕の筐体外側の上記操作部により上記スイッチ手段をオンし得るように構成したものであることを特徴とする消火設備用流水検知装置により構成されるものである。
【0016】
上記開口部は例えばリードスイッチ取付用スリーブ(29)の開口部(29a)により構成することができる。附勢手段としては例えばコイルスプリング(34)により構成することができる。スイッチ手段としては例えばリードスイッチ(35)により構することができる。上記筐体内側の操作部は例えばパドル部(31b)、筐体外側の操作部は例えばスイッチカム部(31c)により構成することができる。水流により逆止弁が開方向に回動すると、スイッチ操作用回動腕が附勢手段による附勢力に抗して回動され、当該回動腕の筐体外の操作部によりスイッチ手段がオンする。従って、当該スイッチ手段のオンに基づいて火災警報等を発するように構成することができる。
【0017】
また、上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の操作部は可撓性を有するものであることが好ましい。このように構成すると、逆止弁の開方向への回動時に操作部を撓ませることにより、逆止弁の開度を大きくとることができ、流水抵抗の少ない弁開状態を実現し得る。
【0018】
また、上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の操作部は、パドルであることがこのましい。このパドルは例えばパドル部(31b)により構成することができる。
【0019】
また、上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の操作部は、コイルスプリングであることが好ましい。このコイルスプリングは例えばコイルスプリング(41a)により構成することができる。
【0020】
また、上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の操作部は、板バネであることがこのましい。この板バネは例えば板バネ(51a)により構成することができる。
【0021】
また、上記逆止弁を軸支する回転軸の一端を上記逆止弁筐体外に突出させ、該一端を筐体外部において手動にて回転可能とすることが好ましい。このように構成すると、回転軸(23)を以って手動にて逆止弁(22)を開閉することができ、これにより逆止弁を手動にて開閉して異物等を容易に除去することができるし、スイッチ手段の動作テストも容易に行うことができる。
【0022】
また、上記筐体外部に位置する上記回転軸にその半径方向に突出する指針を設け、当該指針を上記逆止弁と平行な位置に設けることが好ましい。このように構成すると、逆止弁の開閉に伴って同じ角度で指針が回動するため逆止弁筐体(21)外部から逆止弁の開度を目視により確認することができる。
【0023】
また、上記逆止弁筐体の二次側の筐体壁面に圧力測定用の貫通孔を設けることが好ましい。この貫通孔は例えば貫通孔(21”)により構成することができる。このように構成すると、圧力計接続用の専用短管が必要とされないため、装置全体を小型に構成することができる。
【0024】
尚、本発明の構成に対応して実施形態中の符号をかっこ書で示したが、これは対応関係を明確にするために便宜上表示したものであって、本発明の構成が実施形態中の構成に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、逆止弁に流水検知機能を持たせることができ、流水検知装置を極めて小型に構成することができる。
【0026】
また、スイッチ操作用回動腕の操作部に可撓性を持たせることにより、逆止弁の開度を大きくとることができ、流水検知機能を付加しても開弁時の流水抵抗を低くして効果的な送水を実現し得る。
【0027】
また手動にて逆止弁の開閉を可能としたので、異物の除去或いはスイッチ手段のオンオフテスト等を容易に行うことができ、安全性、メンテナンス性の高い流水検知装置を実現し得る。
【0028】
また、指針により逆止弁筐体外部から逆止弁の開度(開閉状態)を目視にて確認することができ、保守メンテナンス性が高く、装置の異常等を早期に発見し得る安全性の高い流水検知装置を実現し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る消火設備用流水検知装置の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
図1は、同上流水検知装置20の第1の実施形態の側面断面図を示すものであり、21は逆止弁筐体であって、上下方向に一次側の開口部21aと二次側の開口部21bが形成されており、両開口部21a,21bの内側には接続用の雌螺子部21a’,21b’が穿設されている。また、21cは上記両開口部21a,21bを結ぶ直線(流水方向F)と直交する後方位置に設けられたスリーブ状のリードスイッチ取付部であり、該取付部21cには上記直線(流水方向F)と直交する方向の開口部21c’が形成されている。尚、上記開口部21c’内面には雌螺子部21c”が穿設されている。
【0031】
22は逆止弁であり、円盤状の本体22aと該本体22aから後方に延出された一対のアーム部22bとからなり(図4参照)、上記本体22aを上記一次側開口21aに宛がった状態で、上記筐体21に軸支された回転軸23を、該アーム部22bに設けられた透孔22b’に挿入することにより、当該回転軸23を支軸として矢印A,B方向に回動可能に支持されている(図2参照)。上記回転軸23は上記透孔22b’に密着嵌合状態で挿着されており当該回転軸23を回転させると、それに伴って上記逆止弁22も回動し得るように構成されている。
【0032】
24は上記一次側開口部21a内側に設けられた弁座であり、上記逆止弁22の閉鎖時は上記弁本体22a下面を受けて上記一次側開口21aを閉止するものである。
【0033】
25、25’は各々上記筐体21の内側面に設けられた軸受であり(図4参照)、上記回転軸23の両端部を回転自在に支持するものである。一方の軸受25はその軸受孔25aが上記逆止弁筺体21外部に貫通しており、上記回転軸23の一端23’は上記軸受孔25aを介して筺体21外部に突出している。尚、上記軸受25の内側部及び外側部と上記回転軸23間、上記軸受25’内側部と上記回転軸23間には各々止水用パッキン26が装着されており、逆止弁筺体21内の消火水が上記軸受孔25aから外部に漏れないように構成している。
【0034】
27は略半円形の目盛板であり、上記回転軸23が突出した側の上記筺体21側面に取付アングル27aにて固定されている。この目盛板27はその略半円形の目盛部27’が上記逆止弁筺体21の前面側(リードスイッチ筺体30とは反対側)に位置するように固定されている(図3参照)。この目盛板27の中央部には透孔27bが貫設されており、当該目盛板27の固定状態において上記透孔27bに上記回転軸23が貫通するように構成している。この目盛板27の表面側には円弧に沿って上記逆止弁22の開度(開き角度)を示す目盛27’が表示されている(図3参照)。
【0035】
28は上記回転軸23の一端23’に固着されたダイヤル摘みであり、該摘み28は上記回転軸23と固定的に接続されている。また、当該摘み28の側面から半径方向に矢印形状の指針28aが突出形成され(図3参照)、当該指針28aが上記目盛板27の外面側に、該目盛板27に平行に位置するように構成している。これにより上記指針28aにより上記目盛部27’の目盛を指標し得るように構成している。尚、指針は28aは、上記回転軸23にその半径方向に直接設けても良い。
【0036】
また、上記指針28aは、上記摘み28の外周において、上記回転軸23に固着された上記逆止弁22と平行となる位置に設けられている(図4参照)。従って、上記指針28aの上記目盛板27上の位置により、上記逆止弁22の開度を指標し得るように構成している。
【0037】
このような構成により、上記ダイヤル摘み28を手で摘んで回転軸23を矢印A,B方向に回転させることにより、上記逆止弁22を上記筐体21内において矢印A,B方向に回動させて当該弁22の開閉動作を手動にて行うことができる。また、当該逆止弁22の開度は上記筺体21外において上記指針28aの目盛板27上の位置により目視にて確認することができる。
【0038】
29は中央に回動腕挿通用の開口部29aが形成されたリードスイッチ取付用スリーブであり、上記雌螺子部21c”に接続用雄螺子部29bを以って螺合接続されている。当該スリーブ29の後面にはリードスイッチ筺体30が固定接続されている。
【0039】
31は上記逆止弁筺体21内において上記逆止弁22の二次側に位置するスイッチ操作用回動腕であり、上記スリーブ29の開口部29aにおいて、左右方向(水平方向)に設けられた回転軸32(回動腕31に直交する水平回転軸)に軸支された棒状基部31aと、該基部31aの先端部に基部31aと一体的に設けられた平面視楕円形状(パドル状)のパドル部31bと、上記基部31aの他端部に基部31aと一体的に設けられたスイッチカム部31cとから構成されている。これら棒状基部31a、パドル部31b、及びスイッチカム部31cは合成樹脂製であり一体成形により形成されている(図9(a)参照)。尚、後述のようにパドル部31cは可撓性が必要とされるため、例えばABS樹脂により構成し、上記棒状基部31aの部分はSUS等の金属により構成しても良い。
【0040】
33は円筒状のスペーサであり、上記逆止弁22の上面にその下面が接着固定されている。このスペーサ33は、上記パドル部31bと上記逆止弁22上面との間隔を調整するためのものである(図10参照)。
【0041】
上記スイッチ操作用回動腕31は上記棒状基部31aが上記スリーブ29に軸支された状態で、上記パドル部31bが上記逆止弁22の上面側に位置するように構成されており、当該位置において上記パドル部31bの下面が上記スペーサ33の上面に載置された状態となっている。
【0042】
34はコイルスプリングであり、その一端34aが上記スイッチカム部31cの上部に接続され、他端34bは該スプリング33の縮小状態で上記リードスイッチ筺体30内面上部適所に固定されている。即ち、当該コイルスプリング34は上記スイッチカム部31cに対して常時矢印C方向の附勢力を与えており、これにより上記回動腕31には上記回転軸32を中心として矢印D方向の附勢力(回転力)が与えられ、かかる状態において、当該回動腕31は図1に示すように略水平に位置すると共に上記パドル部31bの下面が上記スペーサ33の上面に当接した状態を維持するように構成されている。
【0043】
上記パドル部31bは上記棒状基部31aや上記スイッチカム部31cと比べてその肉厚が薄く形成されており、これにより当該パドル部31bは図9(a)に示すように可撓性を有するように形成されている。
【0044】
35は上記リードスイッチ筺体30内に設置されたリードスイッチであり、常時非接触状態の一対の端子片35a、35bから構成されている。このリードスイッチ35は、上記逆止弁22が開いて上記回動腕31が上記回転軸32を以って矢印E方向に回転することにより、上記スイッチカム部31cにより押圧されてオンするように構成されている(図2参照)。上記端子片35a、35bに接続された出力端子a,bには例えば火災警報機が接続されており、上記逆止弁22の開成(矢印A方向)に基づく上記回動腕31の回動(矢印E方向)により上記リードスイッチ35がオンし、これにより火災が発生した旨の警報を発し得るように構成している。尚、上記スイッチ35のオンに基いて上記火災警報機の動作と共に、加圧送水ポンプ4を起動して消火槽6内の消火水を配管2内に送水し得るように構成しても良い。
【0045】
36は一体成形により形成されたゴムパッキンであり、上記回動腕31の基部31aに密着状態で装着された筒状本体部36aと、該本体部36aの一端部に設けられ、上記リードスイッチ取付部21c内面に密着状態で接着されたフランジ部36bとからなるものである。このゴムパッキン36は上記逆止弁筺体21内の水が上記リードスイッチ筺体30に入らないように止水するものであり、上記回動腕31が回動してもフレキシブルに変形してかかる止水状態を維持するものである(図2参照)。
【0046】
図5に示すものは、本発明に係る流水検知装置20を集合住宅にスプリンクラー設備として設置する場合を示すものであり、当該流水検知装置20の上記一次側開口21aにリミットスイッチ付手動開閉弁(制御弁)10が接続される。また、上記流水検知装置20の二次側にはスプリンクラーヘッド1が接続された配管1’が接続され、上記制御弁10の一次側には、貯水槽6からの配管2が接続される。
【0047】
本発明の流水検知装置は上述のように構成されるものであるから、次にその動作を説明する。
【0048】
当該流水検知装置20は、図5に示すように一次側に制御弁10が接続された状態で集合住宅の各戸に配置され、かつ二次側にスプリンクラー配管1’が接続されると共に上記制御弁10の一次側に貯水槽6からの配管2が接続され、全体として図13に示す状態に設置されているものとする。尚、図13においては、上記流水検知装置20と制御弁10により同図の流水検知装置3が構成されているものとする。また、上記配管2、配管1’、制御弁10及び流水検知装置20内は消火水で充満されており、圧力保持ポンプ5により静圧(末端で0.1MPa以上)が印加された火災警戒状態を維持しているものとする。
【0049】
この火災警戒状態で、例えば図13のエリアPにて火災が発生し、当該火災により特定のスプリンクラーヘッド(例えばスプリンクラーヘッド1”)が発砲すると、配管1’内に充満している消火水が上記ヘッド1”から放出され、これにより流水検知装置20の二次側の圧力が低下し、これにより流水検知装置20において一次側から二次側への水流(矢印F方向)が生じる。
【0050】
すると、当該水流により上記逆止弁筺体21内の逆止弁22が矢印A方向に回動し、これによりスペーサ33を介してパドル部31bも同方向に押されるため、結局スイッチ操作用回動腕31がコイルスプリング34の附勢力に抗して回転軸32を中心として矢印E方向に回動する(図1から図2参照)。
【0051】
この回動動作によりスイッチカム部31cは図1の状態から図2の状態に矢印E方向に回動するため、上記カム部31c後端がリードスイッチ35に当接して該スイッチ35をオンし、これにより警報機が動作して火事が発生した旨を住人に知らせる。
【0052】
さらに、上記ヘッド1”の発砲に基づく配管1’、2の圧力低下は、圧力タンク7を介して圧力スイッチ8により検出され、当該検出に基づいて加圧送水ポンプ4が駆動され、これにより引き続き配管2内に貯水槽6内の消火水が圧力送水され、当該送水された消火水が引き続き上記スプリンクラーヘッド1”等から放水されて消火作業が続行される。
【0053】
上記回動腕31の矢印E方向への回動に基づく上記スイッチカム部31cによる上記リードスイッチ35のオンは、図2におけるパドル部31bの二点鎖線の位置にて行われる。その後、上記流水圧力により引き続いて上記逆止弁22が矢印A方向に回動してその開度を増して行き、パドル部31bに対してさらに矢印E方向の力が加わる。これにより上記逆止弁22は上記パドル部31bを撓ませながらさらに矢印A方向に回動して開度を増加させ、図2の実線位置まで開いた状態となる。このときパドル部31bは上記二点鎖線位置より撓んだ図2の実線の位置となる。従って、上記パドル部31bの可撓性により逆止弁22の開度が増加して、より流水抵抗の低い弁開状態を実現している。従って、消火水を効率的に送水することができる。
【0054】
上記流水による上記逆止弁22の回動は、当該逆止弁22の回転軸23を同方向に回転させるため、上記指針28aが上記逆止弁22と同じ開き角度まで回動する。従って、図3に示すように、筺体21外において上記指針28aの角度により上記逆止弁22の開き角度を目視により確認することができる。
【0055】
また、何らかの原因で上記逆止弁22と弁座24との間に異物(工事中のパイプ切屑その他のごみ等)が挟まった場合、ダイヤル摘み28を摘んで矢印A又はB方向に2、3回、回動させることにより、上記逆止弁22を矢印A又はB方向に手動にて回動させることができ、これにより異物等を容易に除去することができる。
【0056】
さらに、火災が発生する前において、上記ダイヤル摘み28を指で摘んで矢印A、B方向に所定角度まで回転させることにより、リードスイッチ35をオン、オフさせることができ、これにより配管内に消火水を充満させることなくリードスイッチ35のオンオフ試験を容易に行うことができる。
【0057】
次に、本発明に係る流水検知装置の第2の実施形態を図6に示す。尚、以下説明する第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、便宜上それらの説明は省略する。
【0058】
図6において、40は当該実施形態における流水検知装置、41は該流水検知装置40のスイッチ操作用回動腕である。このスイッチ操作用回動腕41は、棒状基部31a、スイッチカム部31cの構成は上記第1の実施形態における回動腕31と同様であるが、上記回動腕31のパドル部31bに代えてコイルスプリング41aを使用している。即ち、当該コイルスプリング41aの一端を上記基部31aの先端部に接続固定し、該コイルスプリング41aの他端部を上記逆止弁22の上側(二次側)に位置させている。
【0059】
42は上記逆止弁22の上面中央部に固着された横断面「コ」字状のガイドレールであり、左右方向に対向するガイド板42a,42a’により上記コイルスプリング41aの左右両側をガイドするものである。
【0060】
43は上記ガイドレール42内に設けられたスペーサであり、上記第1の実施形態のスペーサ33と同様のリング形状をなすものである(図10参照)。このスペーサ43はその下面が上記ガイドレール42の底面に固着されており、その上面に上記コイルスプリング41aが載置されるように構成されている。即ち、上記コイルスプリング41aは上記スペーサ43上に載置された状態でその両側に上記ガイド板42a,42a’の上部が位置するように構成されている(図6(c)参照)。
【0061】
このスイッチ操作用回動腕41には、第1の実施形態と同様、上記コイルスプリング34により回転軸32を中心として矢印D方向の回転力が与えられており、その状態で上記コイルスプリング41aは上記スペーサ43の上面に当接した状態となっている。このコイルスプリング41aは比較的太い鉄線により構成されており、上記コイルスプリング34により矢印D方向に附勢された状態においても、図6(b)に示すように直線状態を維持したまま、その先端部を上記スペーサ43上に当接した状態となる。
【0062】
かかる状態において、火災により上記スプリンクラーヘッド1”が発砲し、配管1’内の消火水が上記ヘッド1”より放出され、これにより流水検知装置40の二次側の圧力が低下し、流水検知装置40の一次側から二次側への水流が生じる。すると、上記第1の実施形態と同様に、当該水流により上記逆止弁22が矢印A方向に回動し、これによりスペーサ43を介してコイルスプリング41aも同方向に押されるため、結局回動腕41がコイルスプリング34の附勢力に抗して回転軸32を中心として矢印E方向に回動し、この回動動作に基づくスイッチカム部31cの回動によりリードスイッチ35がオンし、これにより警報機が動作して火事が発生した旨を住人に知らせる。その後の加圧送水ポンプ4の駆動動作及び消火動作は第1の実施形態と同様である。
【0063】
また、この第2の実施形態においても、上記回動腕41の回動によるリードスイッチ35のオンの後、上記流水により引き続いてコイルスプリング41aに矢印E方向の力が加わり、これにより上記逆止弁22は上記コイルスプリング41aを撓ませながら(図9(b)参照)、さらに矢印A方向に回動して開度を増加させ、図2の実線位置と略同じ位置まで開いた状態となる。従って、上記コイルスプリング41aの可撓性により逆止弁21の開度が増加して、より流水抵抗の低い弁開状態を実現し得る。
【0064】
また、指針28aによる指標機能、及びダイヤル摘み28の回動による異物除去機能、リードスイッチ35のオンオフ試験機能は上記第1の実施形態と同様である。
【0065】
次に、本発明に係る流水検知装置の第3の実施形態を図7に示す。尚、以下説明する第3の実施形態において、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、便宜上それらの説明は省略する。
【0066】
図7において、50は当該実施形態における流水検知装置、51は当該実施形態におけるスイッチ操作用回動腕であり、該回動腕51は、棒状基部31a、スイッチカム部31cの構成は上記回動腕31と同様であるが、上記第1の実施形態におけるパドル部31b或いは上記第2の実施形態のコイルスプリング41aに代えて板バネ51aを使用している。即ち、当該板バネ51aの一端を上記基部31aの先端部に接続固定し、該板バネ51aの他端部を下方向にループ状に湾曲させて湾曲部51a’を形成し、該湾曲部51a’の下面がガイドレール42の底面に当接するように構成している。
【0067】
上記逆止弁22の上面には上記第2の実施形態におけるガイドレール42が固着されており、上記湾曲部51a’は上記ガイドレール42の左右のガイド板42a,42a’間に位置するように構成されている。即ち、当該第3の実施形態では板バネ51aの先端にスペーサとしての湾曲部51a’が一体的に設けられていることになり、従って単独部品としてのスペーサを必要としない。
【0068】
このスイッチ操作用回動腕51の基部31a及びスイッチカム部31cの構成は上記第1の実施形態と同様であり、上記各実施形態と同様に、当該回動腕51には上記コイルスプリング34により回転軸32を中心として矢印D方向の回転力が与えられており、その状態で上記板バネ51aの湾曲部51a’下面が上記ガイドレール42の底面に当接した状態となっている。
【0069】
かかる状態において、火災により所定のスプリンクラーヘッド1”が発砲し、流水検知装置50の二次側の圧力が低下し、流水検知装置50の一次側から二次側への水流が生じると、上記第1、第2の実施形態と同様に、当該水流により上記逆止弁22が矢印A方向に回動し、これにより板バネ51aを介して回動腕51がコイルスプリング34の附勢力に抗して回転軸32を中心として矢印E方向に回動し、この回動動作によるスイッチカム部31cの当接によりリードスイッチ35がオンし、これにより警報機が動作して火事が発生した旨を住人に知らせる。その後の加圧送水ポンプ4の駆動動作等は第1の実施形態と同様である。
【0070】
また、この第3の実施形態においても、上記回動腕50の回動によるリードスイッチ35のオンの後、上記流水により引き続いて逆止弁22が矢印A方向に回動していき、これにより板バネ51aに矢印A方向の力が加わり、その結果上記逆止弁22は上記板バネ51aを回動方向(矢印E方向)に撓ませながら(図9(c))、さらに回動(矢印A方向)して開度を増加させ、図2の実線位置と略同じ角度まで開いた状態となる。従って、上記板バネ51aの可撓性により逆止弁22の開度が増加して、より流水抵抗の低い弁開状態を実現し得る。
【0071】
また、指針28aによる指標機能、及びダイヤル摘み28の回動による異物除去機能、リードスイッチ35のオンオフ試験機能は上記第1の実施形態と同様である。
【0072】
図8に示すものは、本発明に係る流水検知装置の第4の実施形態を示すものであり、当該流水検知装置に圧力計を接続したものである。即ち、本発明に係る流水検知装置20の一次側に接続された制御弁10の一次側に圧力計接続用の短管60を接続し、当該短管60に一次側圧力計61を配管61’により接続する。一方、上記流水検知装置20の逆止弁筺体21の二次側空間内の筺体壁面に貫通孔21”を貫設し、当該貫通孔21”に二次側圧力計62を配管62’により接続する。
【0073】
このように構成すると、図12に示す従来技術のように、流水検知弁12の二次側に二次側圧力計15専用の短管16を設ける必要がなく、流水検知装置20の二次側にスプリンクラー配管1’を直接接続することができ、装置全体を極めてコンパクト化することができる。尚、当該実施形態における流水検知装置は上記第1の実施形態における流水検知装置20、上記第2の実施形態における流水検知装置40、或いは上記第3の実施形態における流水検知装置50の何れでも良い。
【0074】
以上のように本発明によれば、逆止弁筐体21に流水検知機能を持たせることができ、流水検知装置を極めて小型に構成することができる。
【0075】
また、スイッチ操作用回動腕31の操作部(パドル部31b、コイルスプリング41a、板バネ51a等)に可撓性を持たせることにより、逆止弁22の開度を広くとることができ、流水検知機能を付加しても開弁時の流水抵抗を低くすることができる。これにより効果的に消火水を送水することができる。
【0076】
また手動にて逆止弁22の開閉を可能としたので、異物等の除去或いはリードスイッチ35のオンオフテスト等を配管内に送水することなく、手動にて容易に行うことができ、メンテナンス性、安全性の高い流水検知装置を実現し得る。
【0077】
また、指針28aにより逆止弁筐体21外部から逆止弁22の開度を目視にて確認することができ、これにより装置の異常等を早期に発見し得る安全性が高く、メンテナンス性の良い流水検知装置を実現し得る。尚、図8中63は排出弁である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る消火設備用流水検知装置の火災警戒状態の側面断面図である。
【図2】同上検知装置の火災発生時の側面断面図である。
【図3】同上検知装置の側面図である。
【図4】同上検知装置の横断平面図である。
【図5】同上検知装置に制御弁を接続した状態を示す当該検知装置の側面図である。
【図6】同上検知装置の第2の実施形態を示すものであり、(a)は同上装置のスイッチ操作用回動腕の平面図、(b)は同上装置の側面断面図、(c)は同上装置の縦断面図である。
【図7】同上検知装置の第3の実施形態を示すものであり、(a)は同上装置のスイッチ操作用回動腕の平面図、(b)は同上装置の逆止弁近傍の側面断面図である。
【図8】同上検知装置に制御弁を接続し、かつ圧力計を接続した状態を示す当該検知装置の側面図である。
【図9】何れもスイッチ操作用回動腕の側面図であり、(a)は第1の実施形態、(b)は第2の実施形態、(c)は第3の実施形態を示すものである。
【図10】同上装置のスペーサの斜視図である。
【図11】従来の流水検知装置の側面図である。
【図12】従来の流水検知装置の側面図である。
【図13】集合住宅におけるスプリンクラー設備の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
20,40,50 流水検知装置
21 逆止弁筐体
21” 貫通孔
21c’ 開口部
22 逆止弁
31,41,51 スイッチ操作用回動腕
31a 棒状基部
31b パドル部
31c スイッチカム部
32 回転軸
34 コイルスプリング
35 リードスイッチ
41a コイルスプリング
51a 板バネ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁筐体における二次側に水流方向に略直交する開口部を設け、
両端に操作部を有するスイッチ操作用回動腕を上記開口部から筐体内に挿入して、その両端操作部が上記筐体内外に各々位置するように配設し、さらに該腕に直交する水平回転軸により当該回動腕を回動可能に軸支し、
上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の上記操作部が逆止弁に当接するように附勢手段を以って当該回動腕を回動附勢し、
かつ上記回動腕の筐体外側の操作部の端部近傍に当該回動腕の回動によりオンするスイッチ手段を配設し、
水流による上記逆止弁の開方向への開動作に基づいて当該逆止弁により上記回動腕を上記附勢手段の附勢力に抗して回動し得るように構成し、これにより上記回動腕の筐体外側の上記操作部により上記スイッチ手段をオンし得るように構成したものであることを特徴とする消火設備用流水検知装置。
【請求項2】
上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の操作部は可撓性を有するものであることを特徴とする請求項1記載の消火設備用流水検知装置。
【請求項3】
上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の操作部は、パドルであることを特徴とする請求項1又2記載の消火設備用流水検知装置。
【請求項4】
上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の操作部は、コイルスプリングであることを特徴とする請求項1又は2記載の消火設備用流水検知装置。
【請求項5】
上記スイッチ操作用回動腕の上記筐体内側の操作部は、板バネであることを特徴とする請求項1又は2記載の消火設備用流水検知装置。
【請求項6】
上記逆止弁を軸支する回転軸の一端を上記逆止弁筐体外に突出させ、該一端を筐体外部において手動にて回転可能としたものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の消火設備用流水検知装置。
【請求項7】
上記筐体外部に位置する上記逆止弁の上記回転軸にその半径方向に突出する指針を設け、当該指針を上記逆止弁と平行な位置に設けたものであることを特徴とする請求項6記載の消火設備用流水検知装置。
【請求項8】
上記逆止弁筐体の二次側の筐体壁面に圧力測定用の貫通孔を設けたものであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の消火設備用流水検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−55400(P2006−55400A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240786(P2004−240786)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(593192900)株式会社立売堀製作所 (22)
【出願人】(504318429)大明機械工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】