説明

液体噴射装置

液体噴射装置10は、電磁式開閉吐出弁24から液体燃料が供給される液体供給通路10−2、チャンバー10−3、スリットを備えた波体導入通路部10−4、及び圧電/電歪素子を含むアクチュエータ11を備えている。アクチュエータ11は、液体導入通路部10−4のスリットの通路面積を周期的に変更する。これにより、スリットを通流する液体に圧力変動及び/又は流速変動が付与される。
加圧ポンプにより加圧された液体は、電磁式開閉吐出弁、燃料供給通路、液体導入通路、及びチャンバーの順に通流し、チャンバーの液体噴射孔10−3aから噴射される。噴射される液体は、前記圧力変動及び/又は流速変動が付与されているから、液体噴射空間で微粒子化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、液体噴射空間内に液体を微粒子化して噴射する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
この種の液体噴射装置には、内燃機関用燃料噴射装置が知られている。内燃機関用燃料噴射装置は、液体を加圧するための加圧ポンプと電磁式噴射弁とを有してなる所謂電気制御燃料噴射装置であり、広く実用化されている。ところが、電気制御燃料噴射装置においては、加圧ポンプで加圧された燃料が電磁式噴射弁の噴射口から噴射されるようになっているため、特に、電磁式噴射弁の開弁作動時及び閉弁作動時に噴射される液体の速度(噴射速度)が小さい。このため、噴射された燃料の液滴の大きさが大きくなり、またその大きさが均一でない。このような燃料の液滴の大きさや大きさの不均一性は、燃焼時の未燃燃料を増加させることになり、ひいては有害排出ガスの増加をまねいている。
一方、従来より、ピエゾ電歪素子の作動により液体供給通路内の液体を加圧し、同液体を微小液滴として吐出口から吐出する液滴吐出装置が提案されている。(例えば、特開昭54−90416号公報(第2頁、第5図)参照)。このような装置は、従来のインクジェット吐出装置の原理(例えば、特開平6−40030号公報(第2−第3頁、第1図)参照。)を応用していて、吐出液滴(噴射される燃料の液滴)を上記電気制御燃料噴射装置に比べて小さく、且つ均一とすることができるので、燃料の微粒子化の点で優れた装置であるといえる。
ところで、インクジェット吐出装置は、温度、圧力等の変動が少なく、比較的定常的な周囲環境下(例えば、事務所、学校等の室内)で使用された場合、液体を微細な粒子として噴射するという所期の性能を発揮し得る。しかしながら、内燃機関等の様に、運転条件等の変動等により激しく変動する周囲環境下で使用された場合、上記燃料を微粒子化する性能を十分に発揮することは一般に困難である。従って、インクジェット吐出装置の原理を応用した装置であって、内燃機関のように周囲環境が激しく変化する機械装置に対し、液体の微粒子化を十分に達成した上で同液体を噴射し得る液体(燃料)噴射装置は未だ提供できていないのが現状である。
【発明の開示】
従って、本発明の目的は、液体を噴射する空間(液体噴射空間)の状況が激しく変動するような場合であっても、粒径の小さい液滴を安定して噴射することができる液体噴射装置を提供することにある。
本発明による液体噴射装置は、複数の液体噴射用ノズルを備えたチャンバーと、液体を加圧する加圧手段と、前記加圧手段に接続された液体通路と同液体通路を開閉する開閉弁とを備えてなり同液体通路が同開閉弁により開放されたとき同加圧手段からの加圧された液体を同液体通路の吐出口から吐出する吐出弁と、前記チャンバー及び前記吐出弁の吐出口に接続されるとともに同吐出口から吐出された液体を同チャンバーに向けて通流させる液体導入通路を形成する液体導入通路部と、アクチュエータとを具備し、前記アクチュエータの作動により前記液体導入通路を介して前記チャンバーに供給された液体を微粒子化して前記液体噴射用ノズルから噴射する液体噴射装置であって、前記液体導入通路は前記吐出弁の液体通路及び前記複数の液体噴射用ノズルを除いたチャンバーを構成する部分よりも大きい流路抵抗を示すように構成され、前記アクチュエータは前記液体導入通路の通路面積(流路断面積)を周期的に増減(変更)するように構成されたことを特徴としている。
これによれば、加圧手段で加圧された液体は、吐出弁の液体通路が同吐出弁の開閉弁によって開放されたとき、同吐出弁の液体通路を介して液体導入通路部へ吐出され、更に、同液体導入通路部の液体導入通路を介してチャンバーに供給される。その結果、液体はチャンバーの液体噴射用ノズルから噴射される。前記液体導入通路は前記吐出弁の液体通路よりも大きい流路抵抗を示し且つ前記複数の液体噴射用ノズルを除いたチャンバーを構成する部分よりも大きい流路抵抗を示すように構成されている。一方、例えば、圧電/電歪素子等からなるアクチュエータは、液体導入通路の通路面積を周期的に増減するように作動する。これにより、液体は、液体導入通路において圧力変動及び/又は流速変動が与えられながらチャンバー内へと流れ込む。従って、液体噴射用ノズルから噴射される液体には前記圧力変動及び/又は流速変動に伴うくびれ部が発生し、同液体はそのくびれ部からちぎれるようにして離脱する。この結果、微粒子化された液体が噴射される。
このように、本発明による液体噴射装置によれば、液体の噴射に必要な圧力が加圧手段により発生されることから、適用する機械の運転条件等の変動などにより、液体噴射空間の環境(例えば、圧力や温度)が激しく変動しても、同液体を所望の微細な粒子として安定して噴射、供給することができる。
また、従来のキャブレター(気化器)は、液滴吐出空間である吸気管内の空間の空気流速に応じて燃料(液体)流量が決定され、霧化の程度も同空気流速に依存して変化したが、上記本発明の液体噴射装置によれば、空気流速に拘らず良好な霧化状態を維持した燃料(液体)を必要量だけ吐出することができる。加えて、本発明による液体噴射装置によれば、従来の燃料噴射用インジェクタのノズル部にアシストエアを供給することで燃料の霧化を促進する装置のように、アシストエアを供給するためのコンプレッサを必ずしも必要としないので、装置を廉価なものとすることができる。
なお、本明細書において、「ノズル」は「流体のもつ圧力や熱のエネルギーを運動エネルギーに変換して流れを増速させる目的で、流れの方向に断面積を変化させた流路」のみでなく、「壁に設けられた中空円筒状の貫通孔(即ち、流れの方向に断面積を変化させていない流路)」をも含む用語として使用される。
更に、本発明による液体噴射装置は、チャンバーの容積を増減することによるのではなく、液体導入通路の通路面積を増減することにより液体に圧力変動及び/又は流速変動を与えて液体を微粒子化するものであるので、万一、チャンバー内に気泡が発生したとしても、液体に振動エネルギーが付与され、その結果、液体を均一に微粒子化することができる。
この場合、前記液体導入通路部は変形可能なダイヤフラムを備え、前記アクチュエータは前記ダイヤフラムを変形させることにより前記液体導入通路の通路面積を増減するように構成されることが好適である。
このように、液体導入通路部の一部をダイヤフラムで構成することにより、液体導入通路の通路面積を容易に増減し得る構造が得られる。
この場合、
(1)前記複数の液体噴射用ノズルは互いに同一の円形形状を有する噴射口を一つの端面(例えば、液体噴射空間に露呈した端面)に備えるとともに各噴射口の直径は3乃至100μmであり、
(2)前記液体導入通路の通路面積に対する前記複数の液体噴射用ノズルの噴射口の面積の総和の比が0.2乃至50であり、
(3)前記液体導入通路の通路面積が最大となっているときの面積に対する同液体導入通路の通路面積が最小となっているときの面積の比が0.5乃至0.999998であり、
(4)前記複数の液体噴射用ノズルの前記チャンバー側の他の端面から同液体噴射用ノズルに対向する同チャンバーの壁面までの距離に対する同液体噴射用ノズルの噴射口の直径の比が0.002乃至1であることが好適である。
このように各値を設定する理由は以下の通りである。(1)液体噴射用ノズルの円形形状の噴射口の直径が3μmより小さいと、液体中に含まれる異物により同液体噴射用ノズルが詰まるので、安定した噴射ができなくなる。液体噴射用ノズルの円形形状の噴射口の直径が100μmより大きいと、液体を微粒子化することができない。
(2)液体導入通路の通路面積に対する前記複数の液体噴射用ノズルの噴射口の面積の総和の比R1(=ノズル噴射口総面積/液体導入通路の通路面積)が0.2より小さいと、ノズル噴射口総面積を固定とすれば液体導入通路の通路面積が非常に大きいことを意味するため、液体導入通路の変形による液体の圧力変動及び/又は流速変動がチャンバー内に効率的に伝達されず、噴射する液体の微粒子化が困難になる。また、この面積の比R1が50より大きいと、ノズル噴射口総面積を固定とすれば液体導入通路の通路面積が非常に小さいことを意味するため、大量の噴射を行うことが難しくなる。
(3)前記液体導入通路の通路面積が最大となっているときの面積に対する同液体導入通路の通路面積が最小となっているときの面積の比R2(=導入通路最小面積/導入通路最大面積)が0.5より小さいと、圧力変動が過大となって液体中に気泡の発生を招き易くなる。更に、導入通路最大面積が一定であるとすると、導入通路最小面積が小さいことになるので、その場合、液体導入通路内を通過する液体の量が減少して大量の噴射ができない。また、この比R2が0.999998より大きいと、液体に付与される圧力変動及び/又は流速変動が過小であって、噴射する液体を微粒子化できない。
(4)前記複数の液体噴射用ノズルの前記チャンバー側の他の端面から同液体噴射用ノズルに対向する同チャンバーの壁面までの距離に対する同液体噴射用ノズルの噴射口の直径の比R3(=噴射口直径/チャンバー壁面までの距離)が0.002より小さいと、噴射口直径を固定と考えれば、チャンバーの容積が非常に大きいことになり、アクチュエータの作動によって与えられる圧力変動及び/又は流速変動が同チャンバー内で吸収され、噴射する液体の微粒子化が困難となる。また、この比R3が1より大きいと、噴射口直径を固定と考えれば、チャンバー壁面までの距離が短いことになり、この場合、チャンバーの形状に依存して各液体噴射用ノズルに到達する際の液体の流速がばらつくので、各液体噴射用ノズルの噴射口から噴射される液体の噴射量にばらつきが生じる。
また、上記液体噴射装置においては、前記吐出弁の吐出口から吐出された液体が前記液体噴射用ノズルの噴射口に到達するまでに同液体の流れ方向が少なくとも一回は直角に曲げられるように構成されることが好適である。
これによれば、液体の流れ方向が少なくとも一回は直角に曲げられるから、吐出弁の開閉弁が開閉することに伴う液体圧力の脈動が低減され、安定した液滴の噴射を行うことが可能となる。換言すると、吐出弁の開閉弁が開閉することに伴う液体の動圧が静圧となり、その静圧下で燃料が噴射されることになる。この結果、液体を各液体噴射用ノズルから安定して噴射することが可能となる。
この場合、前記液体導入通路は、同液体導入通路内を通流する液体の流れ方向に直交する平面に沿った断面が略長方形状をなしていることが好適である。この場合、長方形の長辺の一辺が湾曲していても良い。
これによれば、高い流路抵抗を示しながら、大量の液体を通過させることが可能な液体導入通路を単純な構成で提供することができる。
更に、前記アクチュエータは、前記液体導入通路の断面である長方形状の長辺を含む壁面を変形するように構成されることが好適である。また、前記液体導入通路の断面である長方形状の長辺を含む壁面が変形可能なダイヤフラムで形成され、前記アクチュエータは前記ダイヤフラムを変形させるように構成されることが望ましい。
これによれば、アクチュエータによる液体導入通路の壁面(ダイヤフラム)の変形量が小さくても、液体導入通路の通路面積の変化を大きくでき、液体に十分な大きさの圧力変動及び/又は流速変動を与えることができる。この結果、アクチュエータを駆動するための電力消費量を低減することができる。
また、前記液体導入通路の断面である長方形状の長辺の長さに対する同長方形状の短辺の長さの比R4(=短辺の長さ/長辺の長さ)が0.0001以上で1より小さくなるように構成されることが好適である。この比R4は0.0005以上で1より小さいことが更に望ましい。
このように規定するのは、比R4が0.0001より小さいと液体導入通路の流路抵抗が過大となって噴射量が減少してしまうからであり、比R4が1以上であるとアクチュエータによる液体導入通路の壁面の変形量を大きくしない限り、十分な圧力変動及び/又は流速変動が液体に加えられず、噴射される液体の微粒子化が困難となるからである。
この場合、少なくとも前記液体導入通路部は、互いに積層された板体の対向する平面部により形成されることが好適である。
これによれば、液体導入通路部の液体導入通路の断面形状が同液体導入通路全体に渡って均一になり易いので、チャンバーの各部に均一な流量(流速)の液体を供給することができる。
また、少なくとも前記液体導入通路部は、金属体をエッチングして形成された溝部と同溝部に対向するダイヤフラムとにより形成されることが好適である。
これによれば、エッチング可能という金属の特性を利用しながら液体導入通路部を簡単な構成で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、内燃機関に適用した本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の概略を示した図である。
図2は、図1に示した電磁開閉式吐出弁の正面図である。
図3は、図1に示した液体噴射装置の平面図である。
図4は、図3の1−1線に沿った平面にて液体噴射装置を切断した断面図及び図2に示した電磁開閉式吐出弁の部分拡大正面図である。
図5は、図3の2−2線に沿った平面にて液体噴射装置を切断した断面図である。
図6は、図1に示した液体噴射装置から噴射される液体の状態を示した図である。
図7は、図3に示した液体噴射装置の第1の製造方法を説明するための図である。
図8は、図3に示した液体噴射装置の第2の製造方法を説明するための図である。
図9は、本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置の平面図である。
図10は、図9の5−5線に沿った平面にて液体噴射装置を切断した断面図である。
図11は、図9の6−6線に沿った平面にて液体噴射装置を切断した断面図である。
図12Aは、本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置の断面図である。
図12Bは、図12Aの7−7線に沿った平面にて液体導入通路及びアクチュエータを切断した断面図である。
図13Aは、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置の断面図である。
図13Bは、図13Aの8−8線に沿った平面にて液体導入通路及びアクチュエータを切断した断面図である。
図14Aは、本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置の断面図である。
図14Bは、図14Aの9−9線に沿った平面にて液体導入通路及びアクチュエータを切断した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明による液体噴射装置(液体噴霧装置、液体供給装置、液滴吐出装置)の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置10は、図1の概略構成図に示したように、例えば、微粒子化された液体(燃料)を必要とする機械装置としての内燃機関に対する電子式燃料噴射制御装置(電子式液体噴射制御装置)として使用される。
電子式燃料噴射制御装置は、内燃機関の吸気管(又は吸気ポート)30等により形成される燃料噴射空間(液体噴射空間)31に、内燃機関の吸気弁32の背面に向けて、微粒子化された液体(液体燃料、例えばガソリン、以下、単に「燃料」と云うこともある。)を噴射するようになっている。電子式燃料噴射制御装置は、アクチュエータとしての圧電/電歪素子を備えた液体噴射装置10、加圧手段としての加圧ポンプ(燃料ポンプ)21、液体供給管(燃料配管)22、プレッシャレギュレータ23、電磁開閉式吐出弁(吐出弁、開閉弁)24、燃料タンク(液体貯蔵タンク)25、及び電気制御装置40を含んでいる。加圧ポンプ21及びプレッシャレギュレータ23は液体供給管22に介装されている。
加圧ポンプ21は、液体供給管22を介して液体貯蔵タンク25の底部に連通された導入部21aと、同液体供給管22を介してプレッシャレギュレータ23に接続された吐出部21bとを備えている。加圧ポンプ21は、燃料タンク25内の燃料を導入部21aから導入して加圧するとともに、同加圧した燃料を吐出部21bから吐出するようになっている。加圧ポンプ21は、仮に液体噴射装置10の圧電/電歪素子が作動されていない場合であっても、燃料がプレッシャレギュレータ23と電磁開閉式吐出弁24と液体噴射装置10とを介して液体噴射空間31に対し噴射され得る圧力(この圧力を「加圧ポンプ吐出圧」と云う。)以上にまで加圧するようになっている。
プレッシャレギュレータ23は、図示しない配管により吸気管30内の圧力が与えられている。プレッシャレギュレータ23は、この吸気管30内の圧力に基づいて加圧ポンプ21により加圧された燃料の圧力を減圧(又は、調圧)するようになっている。この結果、プレッシャレギュレータ23と電磁開閉式吐出弁24との間の液体供給管22内の燃料の圧力は、吸気管30内の圧力よりも所定(一定)圧力だけ高い圧力(この圧力を「調整圧」と云う。)となるように調整される。従って、電磁開閉式吐出弁24が所定時間だけ開弁されると、同所定時間に略比例した燃料量の燃料が吸気管30内の圧力に拘らず同吸気管30内に噴射される。
電磁開閉式吐出弁24は、従来から内燃機関の電子式燃料噴射制御装置に広く採用されている周知のフューエルインジェクタ(電磁噴射弁)である。図2は、この電磁開閉式吐出弁24の正面図であって、その先端側部位を同電磁開閉式吐出弁24の中心線を含む平面にて切断した断面により示している。
電磁開閉式吐出弁24は、液体供給管22が接続されてプレッシャレギュレータ23に連通した液体導入口24aと、同液体導入口24aに連通した液体通路24bを形成する外筒部24cと、電磁式開閉弁として作動する開閉弁(ニードル弁)24dと、外筒部24cの先端に形成されるとともに開閉弁24dの先端により開閉される吐出孔24eと、開閉弁24dを駆動する図示しない電磁機構とを備えている。電磁開閉式吐出弁24の液体通路24bは吐出孔24eを介して液体噴射装置10に接続されている。これにより、電磁開閉式吐出弁24は、液体通路24b(吐出孔24e)が開閉弁24dにより開放されたとき、プレッシャレギュレータ23を介して加圧ポンプ21から供給される加圧された燃料を同液体通路24b及び吐出孔24eを介して液体噴射装置10に供給・吐出するようになっている。
液体噴射装置10は、チャンバーと、そのチャンバーを構成する一つの壁に形成された液体噴射孔(液体噴射用ノズル)とを含む噴射デバイスであり、図3〜図5に詳細に示されている。
液体噴射装置10は、各辺が互いに直交するX,Y及びZ軸に対して平行に延びる略直方体形状を有している。液体噴射装置10は、図4及び図5に示したように、順に積層された複数の金属の薄板(以下、「金属板」と云う。)10a〜10cと、金属板10cの外側面(Z軸正方向のX−Y平面に沿った平面)に固着されたアクチュエータ11とからなっている。金属板10a〜10cの材質は、この例においてはステンレス(SUS304又はSUS316)である。金属板10cは極めて薄く容易に変形及び復元するダイヤフラムである。なお、後述する他の実施形態に係る金属板の材質も金属板10a〜10cと同様である。
液体噴射装置10は、液体導入口10−1と、液体供給通路10−2と、チャンバー10−3と、液体供給通路10−2とチャンバー10−3とを連通する液体導入通路部10−4と、前述したアクチュエータ11とを備えている。
液体導入口10−1は、金属板10cに形成された円形の貫通穴である。液体導入口10−1は、金属板10cのY軸方向中央であってX軸負方向端部近傍に設けられている。液体導入口10−1には、図4に示したように、電磁開閉式吐出弁24の吐出孔24eがスリーブ25により液密に接続されている。
液体供給通路10−2は、金属板10aの上面と、金属板10bに設けられた貫通穴を形成する側壁面と、金属板10cの下面とにより画定された空間である。液体供給通路10−2の平面形状(Z軸正方向から見た形状)は、図3に示したように、液体導入口10−1の円弧と一致する一つの頂部Pと、同頂部PからX軸正方向に所定距離だけ隔てた位置においてY軸に沿った底辺Tを有する略二等辺三角形である。底辺Tの長さはWである。
チャンバー10−3は、金属板10aの上面と、液体供給通路10−2に対してX軸正方向に所定距離隔てた位置において金属板10bに設けられた貫通穴を形成する側壁面と、金属板10cの下面とにより画定された空間である。チャンバー10−3の平面形状は、図3に示したように、Y軸及びX軸にそれぞれ沿う長辺LH及び短辺SHを有する略長方形である。長辺LHの長さは、液体供給通路10−2の底辺Tの長さWより僅かだけ長くなっている。一対の短辺SHの位置は、底辺Tの両端部よりY軸方向の外側(Y軸正方向外側及びY軸負方向外側)に位置している。
チャンバー10−3を構成している一つの壁(下壁)である金属板10aには、複数(この例では、全部で15×8=90個)の貫通孔が液体噴射孔(液体噴射用ノズル)10−3aとして形成されている。各液体噴射孔10−3aは、Z軸方向に軸を有する底面の半径がr(直径2・r)である円筒状の空間である。従って、金属板10aの下面には、半径rの円形の噴射口が複数個形成されている。複数の液体噴射孔10−3aは正方格子状に配列されている。即ち、複数の液体噴射孔10−3aの各中心点は、一定の距離を隔てて配列された複数のX軸に平行な線と、同じ一定の距離を隔てて配列された複数のY軸に平行な線との交点に一致している。
なお、本明細書においては、「液体噴射孔」は「液体噴射用ノズル」の一態様である。即ち、「液体噴射用ノズル」は「流体のもつ圧力や熱のエネルギーを運動エネルギーに変換して流れを増速させる目的で、流れの方向に断面積を変化させた液体噴射用の流路」のみでなく、「液体噴射孔10−3aのようにチャンバー10−3を構成する壁に設けられた中空円筒状の液体噴射用貫通孔(即ち、流れの方向に断面積を変化させていない流路)」をも含む用語として使用される。
液体導入通路部10−4は、金属板10bのX軸方向略中央部の上面及びこの上面のY軸方向両端部にて立設した側壁の内面と、金属板10cの下面とにより画定された中空薄板状の空間(即ち、スリット)である液体導入通路を構成する部分である。金属板10bのX軸方向略中央部の高さは、金属板10bのX軸方向両端部の高さより僅かな距離tだけ低くなっている。
液体導入通路部10−4のスリット(液体導入通路)の平面形状は、図3に示したように、Y軸及びX軸にそれぞれ沿う長辺LIと短辺SIを有する略長方形である。長辺LIは液体供給通路10−2の底辺Tと同じ長さWである。一方の長辺LIは液体供給通路10−2の底辺Tと一致している。従って、一対の短辺SIの始点は、底辺Tの両端部と一致している。
以上から明らかなように、液体導入通路部10−4は中空薄板状のスリットを含み、そのスリットをY−Z平面に沿った平面にて切断した断面は長さtの短辺及び長さWの長辺を有する長方形状となっている。後述するように、金属板10cがアクチュエータ11により変形されていないとき、液体導入通路部10−4のスリットの通路面積(Y−Z平面に沿った平面にて切断した断面積であり、この場合、通路面積は最大となる。)Sはt×Wである。この通路面積Sは小さいので、液体導入通路部10−4のスリットは、電磁開閉式吐出弁24の液体通路24bよりも大きい流路抵抗を示し、且つ、複数の液体噴射孔10−3aを除いたチャンバー10−3を構成する部分よりも大きい流路抵抗を示すようになっている。
このように、液体導入通路部10−4のスリットは平面視において長方形状をなすとともに同長方形の対向する一対の辺(短辺SI,SI)は液体の通流方向(X軸方向)と平行であり、複数の液体噴射孔10−3aは同平面視において前記液体の通流方向と平行である一対の辺を仮想的に延長した直線IML1,IML2で規定される領域の内側(仮想線IML1のY軸正方向側であって、且つ、仮想線IML2のY軸負方向側)に配設されている。
従って、液体は各液体噴射孔10−3aに対してほぼ同じ圧力を有しながら到達することができ、各液体噴射孔10−3a内における流速が互いに略等しくなる。この結果、各液体噴射孔10−3aから噴射される液体の速度が互いに略同一となるから、各液体噴射孔10−3aから噴射される液滴の粒径を略均一にすることが可能となる。
アクチュエータ11は、固定部11aと圧電/電歪素子部11bとを備えている。固定部11aは、図5に示したように、断面形状がコ字形の金属製の剛体である。固定部11aは、両端の下面にて金属板10cの上面であって液体導入通路部10−4のY軸方向両外側位置に接着により固定されている。固定部11aは、その上部(上部の下側面)にて圧電/電歪素子部11bを固定・保持している。
圧電/電歪素子部11bは、X,Y及びZ軸方向に沿った各辺を有する略直方体形状を有していて、層状の圧電/電歪素子と層状の電極とを交互に多層にわたり積層することで形成された「縦効果タイプの積層ピエゾアクチュエータ」である。圧電/電歪素子及び電極の厚み方向はX軸方向であり、それらの層面はY−Z平面に平行である。層状の電極は一対の共通電極11c,11dに交互に接続され、一対の櫛歯状電極を形成している。
圧電/電歪素子部11bは、図3に示したように、平面視で液体導入通路部10−4のスリットよりも僅かに小さく、同平面視で同スリットの内側に配設されている。圧電/電歪素子部11bの下面は、金属板10cの上面に固着されている。
このアクチュエータ11においては、圧電/電歪素子部11bの一対の櫛歯状電極間に電位差が付与されると、同圧電/電歪素子部11bはZ軸方向に伸縮する。そして、この圧電/電歪素子部11bの伸縮作用により、液体導入通路部10−4のスリットの上壁を構成する金属板10c(ダイヤフラム)が押圧されて変形する。これにより、液体導入通路部10−4のスリットの通路面積が変化(増減)し、スリット内を通流する液体に圧力変動及び/又は流速変動が与えられる。
電気制御装置40は、マイクロコンピュータを含む回路であり、図1に示したように、エンジン回転速度センサ41、及び吸気管圧力センサ42等のセンサと接続されている。電気制御装置40は、これらのセンサからエンジン回転速度Nや吸気管圧力Pを入力して内燃機関に必要な燃料量及び噴射開始タイミングを決定するとともに、同決定した燃料量及び噴射開始タイミングに応じて電磁開閉式吐出弁24の電磁機構に吐出弁駆動信号INJを供給するようになっている。
また、電気制御装置40は、吐出弁駆動信号INJが供給さている期間、アクチュエータ11の櫛歯状電極間に駆動周波数fで0(V)とVmax(V)との間を変化する圧電素子駆動電圧信号DVを送出するようになっている。
以上の構成により、電磁開閉式吐出弁24の吐出孔24eから吐出された燃料(加圧ポンプ21により加圧されている燃料)は、液体注入口10−1を介して液体供給通路10−2に供給され、その後、液体導入通路部10−4のスリットを介して(スリット内をX軸方向に通流して)チャンバー10−3内に導入される。そして、チャンバー10−3内に導入された液体は液体噴射孔10−3a(液体噴射孔10−3aの噴射口)を介して吸気管30内に押し出される(噴射される)。
このとき、圧電素子駆動電圧信号DVに基づくアクチュエータ11の作動により液体導入通路部10−4のスリットの通路面積が周波数fをもって周期的に増減しているので、液体は液体導入通路部10−4において圧力変動及び/又は流速変動が与えられながらチャンバー10−3内へと流れ込む。従って、図6に示したように、液体噴射孔10−3aから噴射された燃料にくびれ部が発生し、同燃料はその先端部において同くびれ部からちぎれるように離脱する。この結果、均一で精細に微粒子化された燃料が吸気管30の燃料噴射空間31内に噴射される。
次に、上記液体噴射装置10の製造方法について図7及び図8を参照して説明する。なお、図7において、左側に配置された図は各金属板又は接合後の金属体(接合体)の平面図であり、右側に配置された図は各図の左側の金属板又は接合体を3−3線に沿った平面で切断した断面図である。同様に、図8において、左側に配置された図は各金属板又は接合後の金属体の平面図であり、右側に配置された図は各図の左側の金属板又は接合後の金属体を4−4線に沿った平面で切断した断面図である。
(第1の製造方法)
第1の製造方法は以下のステップを備える。
ステップ1:図7の(1)に示したように、極めて薄い金属板に液体導入口10−1と対応する貫通穴をパンチ加工により形成する。これにより、金属板10cを得る。
ステップ2:図7の(2)に示したように、やや厚みのある金属板(金属体)を準備し、その金属板に液体供給通路10−2の側壁及びチャンバー10−3の側壁を形成するための貫通穴PH1及び貫通穴PH2を金属エッチングにより形成する。また、液体導入通路部10−4のスリットの下壁SWとなる部分を、その金属板をハーフエッチングする(所定の深さtの溝をエッチングにより得る)ことにより形成する。これにより、金属板10bを得る。
ステップ3:図7の(3)に示したように、図7の(1)及び(2)に示した金属板の中間の厚みを有する金属板を準備し、その金属板に液体噴射孔10−3aとなる貫通孔を所定の位置にパンチ加工により形成する。これにより、金属板10aを得る。
ステップ4:このように形成した金属板10a,10b及び10cを順に積層し、それらを金属拡散接合(又は熱圧着)により互いに接合する。これにより、図7の(4)に示した接合体SGを得る。
ステップ5:一方、金属加工により固定部11aを形成するとともに、圧電/電歪膜と電極膜を交互に積層して圧電/電歪素子部11bを形成し、これらを接着してアクチュエータ11を形成しておく。そして、接合体SGの金属板10c上に、アクチュエータ11を接着により固定する。
以上により、液体噴射装置10が作製される。なお、液体噴射孔10−3a及び上記貫通穴PH1,PH2等の加工は、上述した加工法に限定されることはなく、例えば、レーザ加工による加工法も好適に使用され得る。
(第2の製造方法)
第2の製造方法は、第1の製造方法のステップ2と異なる方法で金属板10bを得る点のみにおいて同第1の製造方法と異なっている。即ち、第2の製造方法においては、図8の(1)に示したように、厚さtを有する金属板に、平面視で液体導入口10−1、液体供給通路10−2、チャンバー10−3及び液体導入通路部10−4の外郭(輪郭)線を外形とする貫通穴PH3をパンチ加工により形成する。これにより、金属板10b1を得る。
次に、厚さtと同程度の厚さを有する金属板に、平面視で液体供給通路10−2の外郭(輪郭)線を外形とする貫通穴PH4と、同じく平面視でチャンバー10−3の外郭(輪郭)線を外形とする貫通穴PH5と、をパンチ加工により形成する。これにより、金属板10b2を得る。そして、図7の(3)に示した金属板10aの上に、複数の金属板10b2及び一枚の金属板10b1を順に積層し(図8の(4)に示した金属板10bを参照。)、更に、図7の(1)に示した金属板10cを積層し、それらを金属拡散接合(又は熱圧着)により互いに接合する。以上により、図7の(4)に示した接合体SGを得る。圧電/電歪素子11を固定するステップは、第1の製造方法と同じであるので説明を省略する。
ここで、各部位の寸法について付言する。
(1)複数の液体噴射孔(液体噴射用ノズル)10−3aは互いに同一の円形形状を有する噴射口一つの端面(液体噴射空間31に露呈した側の端面)を備えるとともに、各噴射口の直径(2・r)は3乃至100μmの値とされている。
これは、液体噴射孔10−3aの円形形状の噴射口の直径(2・r)が3μmより小さいと、液体中に含まれる異物により同液体噴射用ノズルが詰まるので、安定した噴射ができなくなるからである。液体噴射孔10−3aの円形形状の噴射口の直径(2・r)が100μmより大きいと、液体を微粒子化することができないからである。
(2)液体導入通路部10−4のスリット(液体導入通路)の通路面積(アクチュエータ11の非作動時におけるスリットの液体通路断面積)Sに対する複数(n個)の液体噴射孔10−3aの噴射口の面積(π・r)の総和 SUM(=n・π・r)の比R1(=ノズル噴射口総面積/液体導入通路部の通路面積=SUM/S)は、0.2乃至50の値とされている。
これは、比R1が0.2より小さいと、ノズル噴射口総面積SUMを固定とすれば液体導入通路の通路面積Sが非常に大きいことを意味するため、液体導入通路部10−4(金属板10c)の変形による液体の圧力変動及び/又は流速変動がチャンバー10−3内に効率的に伝達されず(液体供給通路10−2に圧力が大きく伝搬する)、噴射する液体の微粒子化が困難になるからである。また、この比R1が50より大きいと、ノズル噴射口総面積SUMを固定とすれば液体導入通路の通路面積Sが非常に小さいことを意味するため、大量の噴射を行うことが難しくなるからである。
(3)液体導入通路の通路面積が最大となっているとき(アクチュエータ11の非作動時)の面積S0(この場合は面積S)に対する同液体導入通路の通路面積が最小となっているとき(アクチュエータ11の作動時であって最も伸長しているとき)の面積Svの比R2(=導入通路最小面積/導入通路最大面積=Sv/S0)が0.5乃至0.999998の値とされている。
これは、比R2(=Sv/S0)が0.5より小さいと、圧力変動が過大となって液体中に気泡の発生を招き易くなるからである。更に、導入通路最大面積S0が一定であるとすると、導入通路最小面積Svが小さいことになるので、その場合、液体導入通路部10−4内を通過する液体の量が減少して大量の噴射ができなくなるからである。また、この比R2が0.999998より大きいと、液体に付与される圧力変動が過小であって、噴射する液体を微粒子化できないからである。
(4)複数の液体噴射用孔10−3aのチャンバー10−3側の他の端面から同液体噴射孔10−3aに対向するチャンバー10−3の壁面(内壁面)までの距離L1(図4及び図5を参照。)に対する同液体噴射孔10−3aの噴射口の直径2・rの比R3(=噴射口直径/チャンバー壁面までの距離=2・r/L1)が0.002乃至1の値とされている。
これは、比R3(=2・r/L1)が0.002より小さいと、噴射口直径2・rを固定と考えれば、チャンバー10−3の容積が非常に大きい(距離L1が非常に大きい)ことになり、アクチュエータ11の作動によって与えられる圧力変動及び/又は流速変動がチャンバー10−3内で吸収され、噴射する液体の微粒子化が困難となるからである。また、この比R3が1より大きいと、噴射口直径2・rを固定と考えれば、チャンバー10−3壁面までの距離L1が短いことになり、この場合、チャンバー10−3の形状に依存して(例えば、チャンバー10−3内に絞り部ができているため)各液体噴射孔10−3aに到達する際の液体の流速がばらつくので、各液体噴射用孔10−3aの噴射口から噴射される液体の噴射量にばらつきが生じ、且つ、液体の粒径が不均一となるからである。
(5)液体導入通路部10−4のスリットの断面(液体導入通路部10−4のスリット内を通流する液体の流れ方向(X軸方向)に直交する平面(Y−Z平面)に沿ったスリットの断面)である長方形状の長辺の長さWに対する同長方形状の短辺の長さtの比R4(=短辺の長さ/長辺の長さ=t/W)が0.0001以上で1より小さい値とされている。
これは、比R4が0.0001より小さいと液体導入通路部10−4のスリットの流路抵抗が過大となってチャンバー10−3内に供給される液体量が低下し、従って、噴射量が減少してしまうからである。また、比R4が1以上であるとアクチュエータ11によるスリットの壁面の変形量を大きくしない限り、十分な圧力変動及び/又は流速変動が液体に加えられず、噴射される液体の微粒子化が困難となるからである。
以上、説明したように、第1実施形態に係る液体噴射装置10によれば、加圧手段21で加圧された液体は、電磁開閉式吐出弁24の液体通路24b(吐出孔24e)が開閉弁24dによって開放されたとき、液体通路24b、液体導入口10−1、及び液体供給通路10−2を介して液体導入通路部10−4へ供給され、更に、液体導入通路部10−4(のスリット)にて圧力変動及び/又は流速変動が付与されてチャンバー10−3に供給される。その結果、液体はチャンバー10−3の液体噴射孔10−3a(の液体噴射空間31に露呈した噴射口)から噴射され、微粒子化する。
このように、液体噴射装置10においては、液体の噴射に必要な圧力が加圧手段21により発生されることから、適用する機械の運転条件等の変動などにより、液体噴射空間31の環境(例えば、圧力や温度)が激しく変動しても、同液体を所望の微細な粒子として安定して噴射、供給することができる。
更に、液体噴射装置10は、チャンバー10−3の容積を増減することによるのではなく、液体導入通路部10−4の通路面積を増減することにより液体に圧力変動及び/又は流速変動を与えて液体を微粒子化している。従って、万一、チャンバー10−3の内部に気泡が発生したとしても、液体に振動エネルギーを確実に付与することが可能である。その結果、液体噴射装置10は液体を均一に微粒子化することができる。
また、前記液体導入通路部10−4は変形可能なダイヤフラム(金属板10c)を備え、アクチュエータ11はそのダイヤフラムを変形させることにより液体導入通路部10−4のスリットの通路面積(スリットの断面積)を増減するように構成されている。即ち、液体噴射装置10は、液体導入通路部10−4の一部をダイヤフラムで構成することにより、スリットの通路面積を容易に増減し得る簡単な構造を備えている。
また、液体噴射装置10においては、吐出弁24の吐出口24eから吐出された液体が液体噴射孔10−3aの噴射口に到達するまでに同液体の流れ方向が少なくとも一回は直角に曲げられるように構成されている。即ち、吐出弁24の吐出口24eから吐出される液体の流れ方向はZ軸負方向であり、その液体の流れ方向は液体供給通路10−2内でX軸正方向(Z軸負方向に対して直交する方向)に変更されるようになっている。
これによれば、吐出弁24の開閉弁24dが吐出孔24e(燃料通路24b)を開閉することに伴って発生する液体圧力の脈動が低減され、その安定した圧力の液体が液体導入通路10−4内に流れ込み、次いで、チャンバー10−3へと供給される。換言すると、吐出弁24の開閉弁24dが吐出孔24e(燃料通路24b)を開閉することに伴う液体の動圧が液体供給通路10−2内にて静圧となり、その静圧下で液体が噴射されることになる。従って、チャンバー10−3内の液体の圧力が安定するから、液体噴射装置10は微粒子状の液滴の噴射を安定的に行うことができる。
また、上記液体噴射装置10において、液体導入通路部10−4のスリットは、同スリット内を通流する液体の流れ方向(X軸方向)に直交する平面(Y−Z平面)にそった断面が略長方形状をなしている。従って、液体導入通路部10−4のスリットは、その長方形の短辺を短くすることで高い流路抵抗を示すとともに、その長方形の長辺を長くすることにより、大量の液体を通過させることができる。
更に、アクチュエータ11は、液体導入通路部10−4のスリットの断面である長方形状の長辺を含む壁面(スリットの上壁を構成する金属板10c)を変形するように構成されている。即ち、液体導入通路部10−4のスリット内の液体の流れ方向に直交する平面(Y−Z平面)にそったスリットの断面である長方形状の長辺を含む壁面が、変形可能なダイヤフラムで形成されている。そして、アクチュエータ11は、そのダイヤフラムを変形させるようになっている。
従って、アクチュエータ11による液体導入通路部10−4のスリットの壁面(ダイヤフラム)のZ軸方向の変形量が小さくても、スリットの液体通路面積の変化を大きくでき、液体に十分な大きさの圧力変動及び/又は流速変動を与えることができる。この結果、アクチュエータ11を駆動するための電力消費量を低減することができる。
また、液体噴射装置10においては、互いに積層された金属の板体で形成されている。従って、液体噴射装置10は、複数の金属の板体を金属拡散接合等により互いに接合することにより簡単に製造することが可能となる。また、特に、液体導入通路部10−4は、互いに積層された板体10b,10cの対向する平面部によりスリットを形成しているので、そのスリットの通路断面形状が同液体導入通路部10−4全体に渡って均一になり易い。従って、チャンバー10−3の各部に均一な流量の液体を供給し得るので、各液体噴射孔10−3から噴射される液体が均一な粒径を有することができる。
また、少なくとも液体導入通路部10−4は、第1の製造方法のステップ2及びステップ4に関して説明したように、金属体をエッチングして形成された溝部と同溝部に対向するダイヤフラムとにより形成され得る。従って、エッチング可能という金属の特性を利用しながら液体導入通路部10−4のスリットを簡単に製作することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置50について説明する。第2実施形態に係る液体噴射装置50は、第1実施形態に係る液体噴射装置10のアクチュエータ11をアクチュエータ12に置換するとともに、液体導入通路部10−4を液体導入通路部10−5に置換した点のみにおいて同液体噴射装置10と異なっている。従って、以下、係る相違点を中心として図9〜図11を参照しながら説明する。
液体導入通路部10−5は、液体噴射装置10の金属板10bに代わる金属板10d及び金属板10cのX軸方向略中央部に形成される部分である。金属板10dは、金属板10bの液体導入通路部10−4を構成する箇所に複数の支持部(桟部)10−5aを備える点のみにおいて同金属板10bと相違している。具体的に述べると、各支持部10−5aは、金属板10dのX軸方向略中央部上面においてX軸方向に延びている。複数の支持部10−5aはY軸方向に沿う所定の距離毎に配置される。支持部10−5aの高さ(Z軸方向長さ)は前述した距離tであり、Y軸方向長さは距離tよりも僅かだけ長い距離となっている。
液体導入通路部10−5は、この複数の支持部10−5aにより、液体噴射装置10の液体導入通路部10−4のスリットを分割することにより形成される複数(ここでは5個)の独立したスリットを液体導入通路として備えている。複数のスリットは互いに同一形状を備える。各スリットをY−Z平面に沿った平面にて切断した断面はZ軸方向及びY軸方向に短辺及び長辺をそれぞれ有する長方形状となっている。この長方形の短辺の長さは前述の距離tであり、長辺の長さはW1である。長辺の長さW1を5倍した値は前述した液体導入通路部10−4のスリットの長辺の長さWと実質的に等しい。
アクチュエータ12は、複数(ここでは5個)の圧電/電歪素子部12aと一対の共通電極12b,12cとを含んでいる。アクチュエータ12は、X,Y及びZ軸方向に沿った各辺を有する略直方体形状を有している。アクチュエータ12は、層状の圧電/電歪素子と層状の電極とを交互に多層にわたり積層することで形成された「横効果タイプの積層ピエゾアクチュエータ」である。
各圧電/電歪素子部12aは、平面視で液体導入通路10−5の分割された各スリットよりも僅かに小さく、同平面視で同各スリットの内側に配設されている。圧電/電歪素子部12aの下面は、金属板10cの上面に固着されている。圧電/電歪素子及び電極の厚み方向はZ軸方向であり、それらの層面はX−Y平面に平行である。層状の電極は一対の共通電極12b,12cに交互に接続されている。
このアクチュエータ12においては、一対の共通電極12b,12c間に所定の電位差が付与されると、各圧電/電歪素子部12aが変形し、各圧電/電歪素子部12aの直下部の各スリットの上壁を構成する金属板10cがZ軸負方向に湾曲・変形せしめられる。これにより、液体導入通路部10−5の各スリットの通路面積が変化(増減)し、各スリット内を通流する液体に圧力変動及び/又は流速変動が与えられる。
液体噴射装置50は、液体噴射装置10と同様に作動して、噴射する液体を微粒子化する。以上、説明したように、液体噴射装置50の液体導入通路部10−5は、液体導入通路部10−4のスリットよりも平面視で幅狭(幅W1<幅W)のスリットを液体導入通路として複数備えている。従って、液体導入通路部10−5の各スリットは、その剛性が液体導入通路10−4のスリットよりも高いので、チャンバー10−3に安定して大量の液体を導入することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置60について、図12A及び図12Bを参照しながら説明する。液体噴射装置60は、チャンバー61と液体導入通路部62とアクチュエータ13とからなっている。
チャンバー61は略円錐形状(ロート形状)をなしている。その底壁61aには、上記液体噴射孔10−3aと同一である中空円筒状の液体噴射孔(液体噴射用ノズル)61a1が複数個形成されている。液体噴射孔61a1の直径は2・rである。液体噴射孔61a1の前記チャンバー61側の端面から同液体噴射孔61a1に対向するチャンバー61の壁面(内壁面)61bまでの距離はL1である。
液体導入通路部62は、図12Bに示したように、容易に変形及び復元しうる金属の薄板で構成された管である。液体導入通路部62は、チャンバー61の頂部に接続されるとともに、図示しない電磁開閉式吐出弁24の吐出孔24eに接続されている。これにより、液体導入通路部62は、電磁開閉式吐出弁24の液体通路24b(吐出孔24e)が開閉弁24dにより開放されたとき、プレッシャレギュレータ23を介して加圧ポンプ21から供給される加圧された燃料をチャンバー61に流入せしめるようになっている。
アクチュエータ13は、円筒状の圧電/電歪素子からなっている。アクチュエータ13の内径は液体導入通路部62の外径と略一致している。アクチュエータ13は液体導入通路部62の外周に固着されている。アクチュエータ13の図示しない電極に所定の電位差が付与されると、アクチュエータ13はその内径を減少させるように収縮する。この結果、液体導入通路部62の内径も減少する。
液体噴射装置60の作動は、液体噴射装置10の作動と同様である。即ち、アクチュエータ13の図示しない電極に所定の周波数を有する圧電素子駆動電圧信号DVが印加されて液体導入通路部62の内径が周期的に変化されることにより、液体は液体導入通路部62を通流するときに圧力変動及び/又は流速変動が付与される。これにより、液体噴射孔61a1から噴射される液体が微粒子化される。
液体噴射装置60においても、複数の液体噴射孔60a1のチャンバー61側上面から同液体噴射孔60a1に対向するチャンバーの壁面61bまでの距離L1に対する同液体噴射孔61a1の直径2・rの比R3(=噴射口直径/チャンバー壁面までの距離=2・r/L1)は0.002乃至1の値とされている。
これにより、液体は、チャンバー61の底面61aの最外周部に形成された液体噴射孔61a1にも、同底面61aの中央部に形成された液体噴射孔61a1と略同一の流速で到達する。従って、各液体噴射孔61a1内における流速が互いに略等しくなる。この結果、各液体噴射孔61a1から噴射される液体の速度が互いに略同一となるから、各液体噴射孔61a1から噴射される液体の粒径を略均一にすることが可能となる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置70について、図13A及び図13Bを参照しながら説明する。液体噴射装置70は、チャンバー71と液体導入通路部72とアクチュエータ14とからなっている。
チャンバー71はチャンバー61と同様に略円錐形状(ロート形状)をなしている。その底壁71aには、液体噴射孔61a1と同一である中空円筒状の液体噴射孔71a1(液体噴射用ノズル)が複数個形成されている。液体噴射孔71a1の直径は2・rである。液体噴射孔71a1の前記チャンバー71側の端面から同液体噴射孔71a1に対向するチャンバー71の壁面(内壁面)71bまでの距離はL1である。
液体導入通路部72は、図13Bに示したように、通路断面が略長方形状をなす中空空間を液体導入通路として含んでいる。その中空空間を形成する一つの壁は、容易に変形及び復元しうる金属の薄板(ダイヤフラム、金属板)72aで構成されている。
液体導入通路部72は、チャンバー71の頂部に接続されるとともに、図示しない電磁開閉式吐出弁24の吐出孔24eに接続されている。これにより、液体導入通路部72は、電磁開閉式吐出弁24の液体通路24b(吐出孔24e)が開閉弁24dにより開放されたとき、プレッシャレギュレータ23を介して加圧ポンプ21から供給される加圧された燃料をチャンバー71に流入せしめるようになっている。
アクチュエータ14は、アクチュエータ12と同様の「横効果タイプの積層ピエゾアクチュエータ」である。アクチュエータ14の下面は、液体導入通路72の金属板72aに固着されている。アクチュエータ14の図示しない電極に所定の電位差が付与されると、アクチュエータ14は金属板72aを変形させ、これにより液体導入通路部72の液体導入通路面積が減少する。なお、アクチュエータ14は、アクチュエータ11と同様な「縦効果タイプの積層ピエゾアクチュエータ」であってもよい。
液体噴射装置70の作動は、液体噴射装置10の作動と同様である。即ち、液体導入通路部72の液体導入通路面積がアクチュエータ14の作動により周期的に変化されることで、液体は液体導入通路部72を通流するときに圧力変動及び/又は流速変動が付与される。これにより、液体噴射孔71a1から噴射される液体が微粒子化される。
液体噴射装置70においても、複数の液体噴射孔71a1のチャンバー71側上面から同液体噴射孔71a1に対向するチャンバーの壁面71bまでの距離L1に対する同液体噴射孔71a1の直径2・rの比R3(=噴射口直径/チャンバー壁面までの距離=2・r/L1)は0.002乃至1の値とされている。従って、液体噴射装置60と同様に、各液体噴射孔71a1から噴射される液体の速度が互いに略同一となるから、各液体噴射孔71a1から噴射される液体の粒径を略均一にすることが可能となる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置80について、図14A及び図14Bを参照しながら説明する。液体噴射装置80は、チャンバー81と液体導入通路部82とアクチュエータ15とからなっている。
チャンバー81は、X,Y及びZ軸に平行な辺を有する略直方体形状をなしている。その底壁81aのX軸方向略中央部からX軸正方向端部の領域には、液体噴射孔10−3aと同一である中空円筒状の液体噴射孔(液体噴射用ノズル)81a1が複数個形成されている。液体噴射孔81a1の直径は2・rである。液体噴射孔81a1の前記チャンバー81側の端面から同液体噴射孔81a1に対向するチャンバー81の壁面(内壁面)81bまでの距離はL1である。
液体導入通路部82及びアクチュエータ15は、図14Bに示したように、容易に変形及び復元しうる金属の薄板で構成された管と、その管の外周に固着された圧電/電歪素子であり、液体噴射装置60の液体導入通路部62及びアクチュエータ13と同様な構成を有している。液体導入通路部82は、チャンバー81の上面端部でX軸負方向端部に接続されるとともに、図示しない電磁開閉式吐出弁24の吐出孔24eに接続されている。液体導入通路部82の長手方向(流線方向、即ち、X軸方向)とチャンバー81の長手方向(流線方向、即ち、Z軸方向)は直交している。
これにより、液体導入通路部82は、電磁開閉式吐出弁24の液体通路24b(吐出孔24e)が開閉弁24dにより開放されたとき、プレッシャレギュレータ23を介して加圧ポンプ21から供給される加圧された燃料をチャンバー81に流入せしめるようになっている。
液体噴射装置80の作動は、液体噴射装置10の作動と同様である。即ち、液体導入通路部82の液体導入通路面積がアクチュエータ15の作動により周期的に変化され、液体は液体導入通路部82を通流するときに圧力変動及び/又は流速変動が付与される。これにより、液体噴射孔81a1から噴射される液体が微粒子化される。
液体噴射装置80においても、複数の液体噴射孔81a1のチャンバー81側上面から同液体噴射孔81a1に対向するチャンバーの壁面までの距離L1に対する同液体噴射孔81a1の直径2・rの比R3(=噴射口直径/チャンバー壁面までの距離=2・r/L1)は0.002乃至1の値とされている。従って、液体噴射装置60と同様に、各液体噴射孔81a1から噴射される液体の速度が互いに略同一となるから、各液体噴射孔81a1から噴射される液体の粒径を略均一にすることが可能となる。
また、液体噴射装置80は、図示しない電子開閉式吐出弁24の吐出口24eから吐出された液体が液体噴射孔81a1の噴射口に到達するまでに同液体の流れ方向が少なくとも一回(ここでは、二回)だけ直角に曲げられるように構成されている。
従って、電磁開閉式吐出弁24の開閉弁24dが開閉することに伴う液体の動圧が静圧となり、その静圧下で燃料が噴射されることになる。この結果、液体噴射装置80は、液体を各液体噴射用ノズルから安定して噴射することができる。
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る液体噴射装置においては、液体の噴射に必要な圧力が加圧ポンプ21により発生されることから、液体噴射空間31の環境(例えば、圧力や温度)が激しく変動しても、同液体を所望の微細な粒子として安定して噴射することができる。
更に、各液体噴射装置は、各液体導入通路部の液体導入通路の通路面積を増減することにより同液体導入通路部を通流する液体に圧力変動及び/又は流速変動を与えて液体を微粒子化している。従って、万一、チャンバーの内部に気泡が発生したとしても、液体に振動エネルギーを確実に付与することが可能である。その結果、液体噴射装置10は液体を均一に微粒子化することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態の液体導入通路部の液体導入通路は、液体の流れ方向に直交する平面にそった断面が長軸と短軸とを有する楕円又は長円形状であってもよい。また、液体導入通路の中空空間の下面(下壁)は下方に湾曲した略U字形状をなし、上面(上壁)は平坦となっていてもよい。
また、例えば、上記実施形態の液体噴射装置は、吸気管(吸気ポート)内に燃料を噴射する形式のガソリン内燃機関に適用されていたが、本発明による液体噴射装置を、気筒内に燃料を直接噴射する所謂「直噴式ガソリン内燃機関」に適用することもできる。
即ち、従来のフューエルインジェクタを用いた電気制御式燃料噴射装置により気筒内に直接的に燃料を噴射すると、シリンダーとピストンとの隙間(クレビス)に燃料が溜まることがあり、未燃HC(ハイドロカーボン)量が増大する場合があったのに対し、本発明による液体噴射装置を用いて気筒内に直接的に燃料を噴射すると、燃料が微粒子化された状態で気筒内に噴射されるので、気筒内壁面への燃料付着量が低減でき、あるいはシリンダーとピストンとの隙間に侵入する燃料量を低減できるから、未燃HCの排出量を低減することができる。
更に、本発明による液体噴射装置を、ディーゼルエンジン用の直噴インジェクタとして用いることも有効である。即ち、従来のインジェクタによれば、特にエンジンの低負荷時には燃料圧力が低いことから、微粒子化した燃料を噴射することができないという問題がある。この場合、コモンレール方式の噴射装置を用いれば、エンジン低回転時でもある程度まで燃料圧力を高圧化できるので噴射燃料の微粒子化を促進できるものの、エンジン高回転時に比べれば燃料圧力は低いから、燃料を十分に微粒子できない。これに対し、本発明による液体噴射装置は、エンジンの負荷に拘らず(即ち、エンジンが低負荷時であっても)、アクチュエータ(圧電/電歪素子)の作動により燃料を微粒子化するものであるから、十分に微粒子化された燃料を噴射することができる。
また、アクチュエータとしては、圧電/電歪素子11,12等に代えて、反強誘電体膜からなる膜型圧電素子を使用することもできる。さらに、マイクロマシン研究で盛んに研究されている、ギャップを介して対向する電極間に生じる静電力や、通電加熱により形状記憶合金に生じる変形力を、圧電/電歪素子11,12等の発生する力に代えて使用し、これらの力により液体導入通路部の通路面積を変更させてもよい。また、本発明による各実施形態の液体噴射孔は、液体のもつ圧力等を運動エネルギーに変換して流れを増速させる目的で、流れの方向(液体噴射方向)に断面積を次第に小さくさせた所謂先細りのノズル(液体噴射用ノズル)であってもよい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体噴射用ノズルを備えたチャンバーと、
液体を加圧する加圧手段と、
前記加圧手段に接続された液体通路と同液体通路を開閉する開閉弁とを備えてなり同液体通路が同開閉弁により開放されたとき同加圧手段からの加圧された液体を同液体通路の吐出口から吐出する吐出弁と、
前記チャンバー及び前記吐出弁の吐出口に接続されるとともに同吐出口から吐出された液体を同チャンバーに向けて通流させる液体導入通路を形成する液体導入通路部と、
アクチュエータとを具備し、
前記アクチュエータの作動により前記液体導入通路を介して前記チャンバーに供給された液体を微粒子化して前記液体噴射用ノズルから噴射する液体噴射装置であって、
前記液体導入通路は前記吐出弁の液体通路及び前記複数の液体噴射用ノズルを除いたチャンバーを構成する部分よりも大きい流路抵抗を示すように構成され、
前記アクチュエータは前記液体導入通路の通路面積を周期的に増減するように構成された液体噴射装置。
【請求項2】
請求の範囲1に記載の液体噴射装置であって、
前記液体導入通路部は変形可能なダイヤフラムを備え、
前記アクチュエータは前記ダイヤフラムを変形させることにより前記液体導入通路の通路面積を増減するように構成された液体噴射装置。
【請求項3】
請求の範囲1又は2に記載の液体噴射装置であって、
前記複数の液体噴射用ノズルは互いに同一の円形形状を有する噴射口を一つの端面に備えるとともに各噴射口の直径は3乃至100μmであり、
前記液体導入通路の通路面積に対する前記複数の液体噴射用ノズルの噴射口の面積の総和の比が0.2乃至50であり、
前記液体導入通路の通路面積が最大となっているときの面積に対する同液体導入通路の通路面積が最小となっているときの面積の比が0.5乃至0.999998であり、
且つ、
前記複数の液体噴射用ノズルの前記チャンバー側の他の端面から同液体噴射用ノズルに対向する同チャンバーの壁面までの距離に対する同液体噴射用ノズルの噴射口の直径の比が0.002乃至1である液体噴射装置。
【請求項4】
請求の範囲1乃至3の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記吐出弁の吐出口から吐出された液体が前記液体噴射用ノズルの噴射口に到達するまでに同液体の流れ方向が少なくとも一回は直角に曲げられるように構成された液体噴射装置。
【請求項5】
請求の範囲1乃至4の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
前記液体導入通路は、同液体導入通路内を通流する液体の流れ方向に直交する平面に沿った断面が略長方形状をなしている液体噴射装置。
【請求項6】
請求の範囲5に記載の液体噴射装置であって、
前記アクチュエータは、前記液体導入通路の断面である長方形状の長辺を含む壁面を変形するように構成された液体噴射装置。
【請求項7】
請求の範囲5又は6に記載の液体噴射装置において、
前記液体導入通路の断面である長方形状の長辺を含む壁面が変形可能なダイヤフラムで形成され、
前記アクチュエータは前記ダイヤフラムを変形させるように構成された液体噴射装置。
【請求項8】
請求の範囲5乃至7の何れか一項に記載の液体噴射装置において、
前記液体導入通路の断面である長方形状の長辺の長さに対する同長方形状の短辺の長さの比が0.0001以上で1より小さくなるように構成された液体噴射装置。
【請求項9】
請求の範囲1乃至8の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
少なくとも前記液体導入通路部は、互いに積層された板体の対向する平面部により形成された液体噴射装置。
【請求項10】
請求の範囲1乃至8の何れか一項に記載の液体噴射装置であって、
少なくとも前記液体導入通路部は、金属体をエッチングして形成された溝部と同溝部に対向するダイヤフラムとにより形成された液体噴射装置。

【国際公開番号】WO2004/085833
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504131(P2005−504131)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004386
【国際出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】