説明

液晶可変光学減衰器

ねじられたネマチック液晶可変光学減衰器(100)は、一体化されたサブ波長ナノ構造偏光子(111)を含む1つの基板を与えられる。前記機器に一体的なアイソレータを組み込むことができ、前記液晶のサンドイッチ構造の基板は、サブ波長の光学ナノ構造の偏光回折格子にエッチングされたファラデー回転子を含むドーピングされたガーネット基板から形成することができ、該基板がアイソレータとして機能する。前記液晶可変光学減衰器は、正確にセルギャップ厚さを制御するためにスペーサ層をそれぞれ有する両基板であって互いに対向する頂部および底部の両基板を接合している堆積金属ガスケット防湿層(106)を含む。前記液晶可変光学減衰器(100)は、また、互いに対向する両基板間に挟まれあるいはすくなくともその一方または両方に堆積された一体的な熱センサおよび加熱蒸着層(108)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広くは光学液晶装置に関する。本発明は、特に、サブ波長でエッチングを受けた、ナノ構造回折格子基板によって成形された液晶可変光学減衰器に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は2003年2月21日に出願された出願番号10/371,235の名称「液晶セルプラットホーム」と共に譲渡された優先権主張の継続出願である。本願は、また、以下の出願中の米国特許出願、すなわち2003年2月21日に出願された出願番号10/371976の「液晶セルの製造方法」および2003年2月21日に出願された出願番号10/371,983の「液晶セルの熱制御システム」に関連し、それらは、参照により本願に組み込まれている。
【0003】
光ファィバの出現以来、ファイバ光通信インフラストラクチャーは、より多様で、洗練されるようになった。光ファイバの応用は、低速のローカルエリアネットワークから高速の長距離の電気通信システムに及ぶ。近年、より広いバンド幅と、より安価なネットワーク費用との要求により、コンポーネントの集積化の増大と、1つのパッケージの中で多重機能を提供する光デバイスとが、結果として生じていた。例えば、可変の光学式の減衰器に組み込まれるようにデザインされた光学式のクロス接続スイッチは、全チャネルにわたるパワーの均等化を提供する。光通信の集積回路は、1つのパッケージ中ですべてのDWDM波長のルーティング、調整および監視を行う。そのような統合化した機器の人気は、主として、それらが個々に実装されたコンポーネント上で提供するコストセーブと性能の優位性とに基づく。そのような統合化された機器は、また、光学系において結合と配列の難問を簡素化し、それらの個々にパッケージ化された対応する部分の全体により低い挿入損を提供する。
【0004】
光アイソレータは、反射された信号がレーザ源またはLEDに達することを妨げるために、今日の光ファイバネットワークの中で使われており、光アイソレータは、次世代トランシーバモジュール内で可変光学減衰器の前または後ろに置かれると予想されている。光アイソレータは、典型的には、サンドイッチの第1偏光子、ファラデー回転子および第2偏光子から成り、第1偏光子の光学軸と平行なレーザ偏光は該第1偏光子を通過し、該第1偏光子から45度のずれをもつ光学軸を有する前記第2偏光子を通過するに先がけて、ファラデー回転子によって45度回転し、その結果前記光線が第2偏光子を通過する。光アイソレータの中では、第2の偏光子からの反射光は、ファラデー回転子によってさらに45度回転させられ、第1の偏光子によって吸収される。
【0005】
先に述べたように、トランシーバモジュールは、しばしば、レーザ出力信号強度を制御するために光アイソレータの出力に接続された可変光学減衰器を含む。可変光学減衰器(VOAS)には、機械的および非機械的なタイプがある。従来の機械的VOASは、出力光の焦点をぼかす可動レンズ、出力コリメータからスポット光の中心をずらすように操作するビーム操作鏡、ファイバの中で屈曲を主張するカンチレバーアームおよび光伝達経路を妨げるシャッタに基づいた機構を含む。これらの方法は、2つのファイバ間の結合を調整し、これにより光通路を横切って減衰を制御するが、機械的消耗および故障のような信頼性の問題から損害を被ることが知られている。これらの問題を克服すべく、非機械的VOASが、液晶技術に基づいたVOASを含めて、ここ数年の間に導入されている。
【0006】
液晶は、可動部のない見込みある非機械的VOAS技術である。 液晶光学減衰器は、一般的に、それぞれ直角な配置構造層を固定したサンドイッチ構造の透明な伝導性のガラス板の外に付着された2つの直角な偏光子から成るねじられたネマチックのタイプ(TN)である。ガラス板間でホメオトロピックに封止された液晶分子は、直角なアンカ層と整列し、液晶サンドイッチ構造の中央部で螺旋状のねじれに沿う。液晶板を横切って印加された電圧は、液晶分子のねじれを解き、再整列させ、前記セルを通過する偏光を制御可能に回転することにより、出力偏光子で光源を可変的に減衰させる。しかし、液晶セルが温度および湿度の変化に影響され易く、高湿、高温の変化によって光学性能が低下し、その結果、液晶セルの性能の2つの重要な尺度において、高い挿入損と低い減衰を生じることが、一般に知られている。
【0007】
ナノインプリントリソグラフィでの最近の進歩の結果は、サブ波長光回折格子のナノ構造で基板をコスト的に効率良くエッチングすることに能力を発揮し 、これらのナノ構造は、入射光の波長以下で、数百ナノメートルから数10ナノメートルまで特徴サイズを有する結果として独特の光学特性を示すことが知られている。例えば、ガラス基板が偏光フィルタとして機能するように、最近、その表面にサブ波長光ナノ構造回折格子を成形するためにエッチングが行われた。さらに、ファラデー回転子基板には、統合したアイソレータの形成のために、同様なサブ波長光ナノ構造回折格子がエッチングで形成された。
【0008】
集積化のコストと性能の利点、液晶技術がインプリントリソグラフィと高い互換性および偏光と分離との光機能を提供することが可能な液晶基板を生成する可能性を有するという主張を考慮に入れて、液晶技術に関連する前記した問題を解決する個別の偏光子およびアイソレータを集積化した光減衰が可変の液晶に対する強い要望がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、応用と動作の形態とにしたがい、独立してまたは本発明の他の特徴との組み合わせで構成される幾つかの特徴を含む。そのような特徴の説明は、本発明の範囲を制限することではなく、単に、本発明と関連するある具体的な機能を概説することを意図する。
【0010】
本発明は、サブ波長の光学的特徴でエッチングされたガラスにより形成し得る液晶可変光学減衰器を提供する。
【0011】
本発明は、一体化されたアイソレータを組み込み得る液晶可変光学減衰器を提供する。
【0012】
本発明は、第1の基板であって該基板を偏光子として機能させるサブ波長光学ナノ構造でエッチングされた第1の基板と、アイソレーション機能を提供するファラデー回転子がエッチングされた第2の基板とを含む一体的なアイソレータを組み込み得る液晶可変光学減衰器を提供する。
【0013】
本発明は、トランシーバ、ダイナミックゲインイコライザ、波長可変レーザ、再構成可能の光学式アド/ドロップマルチプレクサ、可変光学減衰器列、および光学パワーモニタ機能の有無に拘わらず調整可能の光学式アド/ドロップマルチプレクサにおける電気通信応用に限らず、種々の応用に組み込むことができる液晶可変光学減衰器を提供する。
【0014】
本発明は、実質的に水分を通さない材料から構成し得る液晶可変光学減衰器を提供する。
【0015】
本発明は、実質的に水分を通さない材料から構成することができ、一体的なアイソレータを含み得る、液晶可変光学減衰器を提供する。
【0016】
本発明は、単一の物質的な素子としてその中に一体化されたヒータと温度センサとを含み得る液晶可変光学減衰器を提供し、正確な加熱制御および正確な温度感知を提供する。
【0017】
本発明は、アイソレータ、ヒータおよび温度センサを一体的に含み得る液晶可変光学減衰器を提供する。
【0018】
本発明は、リアルタイムの温度変化を補うために通常用いられるルックアップテーブルを必要とせずに、温度の範囲に亘って液晶可変光学減衰器を操作する新規な方法を提供する。
【0019】
本発明は、密閉したハウジングを必要とすることなくTelcordia GR1221において概説されるような厳密な電気通信ガイドラインに合格する液晶可変光学減衰器を提供する。
【0020】
本発明は、製造過程でそりを生じ難く、光学的に平坦な液晶可変光学減衰器を提供する。
【0021】
本発明は、種々の熱的および湿度雰囲気にさらされるときにそりを生じ難い光学的に平坦な液晶可変光学減衰器を提供する。
【0022】
本発明は、厚さをナノメートルの分解能で制御できる液晶可変光学減衰器を提供する。
【0023】
本発明は、厚さをナノメートルの解像度で制御でき、さらに一体化されたアイソレータを含み得る液晶可変光学減衰器を提供する。
【0024】
本発明は、前記した特徴のいくつかまたはすべてを備える液晶可変光学減衰器を製造するための新規な方法を提供する。
【0025】
本発明は、複数の液晶可変光学減衰器から成るN×M配列に形成し得る液晶可変光学減衰器を提供する。
【0026】
本発明は、それぞれがアイソレータを含み得る複数の液晶可変光学減衰器から成るN×M配列に形成し得る液晶可変光学減衰器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
従来技術の不都合は、一体化したサブ波長ナノ構造の偏光子を含む少なくとも1つの基板を含むねじられたネマチックの液晶可変光学減衰器により、解消することができる。一形態では、前記機器は、サブ波長の光学ナノ構造の偏光回折格子にエッチングされたファラデー回転子を含むドーピングされたガーネット基板から形成することができ、該基板がアイソレータとして機能する。前記液晶可変光学減衰器は、正確にセルギャップ厚さを制御するためにスペーサ層をそれぞれ有する両基板であって互いに対向する頂部および底部の両基板を接合している堆積金属ガスケット防湿層を含む。前記液晶可変光学減衰器は、また、互いに対向する両基板間に挟まれあるいはすくなくともその一方または両方に堆積された一体的な熱センサおよび加熱蒸着層を含む。
【0028】
従来技術の不都合は、さらに、セルがほぼ一定温度に保持されるように、一体化された能動的な熱素子の全域にわたる温度感知機能および加熱機能を多重化する時分割方式を利用した液晶可変光学減衰器制御系により、解消される。較正処理は、前記セルのプロファイルを特徴付けるように含まれ、温度のための駆動電圧出力およびセル状態の入力を提供する多項式の回帰式を生成する。前記制御系は、液晶セルの状態および回帰式を記憶し、温度補償のための駆動電圧を計算し実行すべく液晶セルの温度を読む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本願では、全体にわたって同様な要素に言及するときには、同じ参照番号を用いている。一体的な偏光子は、明細書に記載され支持されているように、複数の実施例にわたって同じ索引によって参照されるが、異なる光学軸によって調整されている。さらに各基板の上に分配されて、後で結合される本発明のそれらの支持要素および特徴的構造は、特定の基板A、Bのための参照番号で、または簡素化の目的のために、共有された参照符号で参照される。
【0030】
本発明の第1の実施例は、図1Aに示されており、該図は第2の基板110Bに対向する第1の基板110Aを有する液晶可変光学減衰プラットホーム100を示し、前記第1の基板は、該基板の一側面上の偏光子構造111と、他側面上の透明な伝導性電極層104A、第1の液晶配列層109A、金属ガスケット層106Aおよびスペーサ層107Aとを含み、また第2の基板110Bは、透明な伝導性の電極層104Bと、第1の液晶配列層109Aに直角な摩擦角で固着された第2の液晶配列層109Bと、スペーサ層107Bとを含む。図1bは、自由空間可変光学減衰器100と、偏光10を生成する光源5とを示し、偏光10は前記機器に入力され、ねじられたネマチックの液晶配置を通過するときに回転の制御を受ける。電極層に電圧が印加されていない場合、前記機器は偏光10にほぼ90度の回転を生じさせ、ほぼ前記光線のすべてが該光線に直角な光軸を有する前記偏光回折格子構造を通過させる。電極に印加された限界電圧は、液晶分子にそのよりを戻し、または電界に沿って整列する傾向を与え、その結果、入力光10の部分的な回転と偏光子構造111を通して光10に部分的な遅延とを生じる。電極104Aおよび104Bに印加された基準電圧は、分子配列をほぼ完全に電界に沿わせる結果を生じ、前記機器を通過する光10に実質的に回転を生じさせない。これは液晶可変減衰器の最大の減衰または消衰状態を規定する。
【0031】
本発明の第2の実施例は、第1の実施例のすべての特徴を含み、さらに、図2に示されているように、基板110Bの外側面上の偏光子構造112を含む。偏光子構造112は、入射光のために、参照偏光子面を提供し、前記光10の偏向と同じ偏向に形成されているが、基板110Aの偏光構造111の偏りに直角な光軸を持つ。
【0032】
本発明の第3の実施例は、一体的なアイソレータを含む。本実施例のために、基板材料は、基板110Aをファラデー回転子として機能させるように選択する必要がある。そのような材料は、Biで置換された希土類元素の鉄ガーネットの厚い膜の単結晶技術に基づいたそれらを含むことができる。基板110Bは、ガラスとすることができる。本実施例では、ファラデー基板110Aの上面および下面の両方に、サブ波長光学偏光子要素111および101がエッチングでそれぞれ形成される。回折格子偏光子要素の周期とサイズは、当業者が設計可能なように、それらの光軸が典型的なアイソレータにおけると同様に、45度の間隔を置くように選択される。液晶配列層104Aに隣接して配置された回折格子偏光要素101が偏光10に直角な光軸を有することは望ましい。図3bは、一体化されたアイソレータを備える自由空間可変光学減衰器100を示す。光源5は、前記機器に入力され、ねじられたネマチックの液晶配置を通過するときに制御可能な回転する偏光10を発生させる。前記電極層に電圧が印加されていない場合、前記機器は、前記偏光10にほぼ90度回転を生じさせ、前記光のほぼすべてを、第1の偏光子101、ファラデー回転子基板110Aおよび第2の偏光子111によりサンドイッチ構造に形成された光学アイソレータに入力させまたその通過を許す。電圧が印加されない場合、液晶からの出力光10は、第1の偏光子101の光軸にほぼ平行なことから、該第1の偏光子を通過し、ファラデー回転子によってさらに回転させられている光が通過することを可能にする第1の偏光子から45度オフセットした光軸を持つ第2の偏光子を通過することに先がけてファラデー回転子によって45度回転させられる。本実施例では、第2の偏光子111を通過したどのような反射光の戻りでもファラデー回転子基板110Aによってさらに45度回転させられ、第1の偏光子101によって吸収される。電極104Aおよび104Bに印加される限界の電圧は、液晶分子にそのよりを戻すかあるいは電界に沿って整列する傾向を与え、その結果、入力光10の部分的な回転と、第1の偏光子101Aを通して光10に部分的な遅延とを生じる。電極104Aおよび104Bに印加された基準電圧は、分子配列をほぼ完全に電界に沿わせる結果を生じ、前記機器を通過する光10に実質的に回転を生じさせない。これは液晶可変減衰器の最大の減衰または消衰状態を規定する。
【0033】
本発明の第4の実施例は、またアイソレータを含み、図4aに示されている。本実施例では、アイソレータは、前記機器の入力端で前記光を受けるように配置されている。本実施例のための基板材料の選択は、基板110Bがファラデー回転子として機能することを可能にしなければならない。そのような材料は、Bi置換の希土類の鉄ガーネットの厚い膜の単結晶技術に基づいたそれらを含む。基板110Aは、ガラスとすることができる。本実施例では、ファラデー基板110Bの上面および下面の両方に、サブ波長光学偏光子要素111および101がエッチングでそれぞれ形成される。回折格子偏光子要素の周期とサイズは、当業者が設計可能なように、それらの光軸が典型的なアイソレータにおけると同様に、45度の間隔を置くように選択される。回折格子偏光要素101は偏光10の光軸に等しい光軸を有することが好ましい。図4bは、一体化されたアイソレータを備える自由空間可変光学減衰器100を示す。光源5は、第1の偏光ナノ構造体101によって受光されかつファラデー回転子基板110Bを経て45度の一定角度回転される偏光10を生じ、該偏光は第2の偏光ナノ構造体111を経てねじられたネマチックの前記液晶配置中を通過し続けることが可能となる。電極層104Aおよび104Bに電圧が印加されていない場合、前記液晶装置は偏光10にほぼ90度の回転を生じさせ、光源偏光10の偏りから光軸が135度のオフセットした光のすべてが偏光子112に入力し、該偏光子を通過することが可能となる。偏光子112の光軸は、液晶を通しての90度の回転だけでなく前記アイソレータを通しての初期の45度の回転の両方に適応させる135度となるように選択される。電極104Aおよび104Bに印加される限界の電圧は、液晶分子にそのよりを戻すかあるいは電界に沿って整列する傾向を与え、その結果、入力光10の部分的な回転と、出力偏光ナノ構造体112を通しての光10の部分的な遅延とを生じる。前記電極104Aおよび104Bに印加された基準電圧は、分子配列をほぼ完全に電界に沿わせる結果を生じ、前記液晶を通過する光10に実質的に回転を生じさせない。この状態では、出力ナノ構造偏光子112は通過してきた光を遮断する。この状態は、液晶可変光学減衰器の最大の減衰または消衰状態を規定する。すべての状態で、第2の偏光子111を通過したどのような反射光の戻りでもファラデー回転子基板110Aを経てさらに45度回転させられ、第1の偏光子101によって最終的に吸収される。
【0034】
図4cは、一体化されたヒータ/温度センサ108が組み込まれた液晶セルプラットホームの例を示す。ヒータ/温度センサ108は、前記液晶装置の温度を読むためだけでなく、熱エネルギーを液晶可変光学減衰器に適用するために、本発明のすべての実施例に設定することができる任意の選択機構である。この特徴は、引き続く処理ステップおよびエレクトロニクス制御系のセクションの中で説明されるであろう。
【0035】
図5は、液晶セルプラットホーム100を作成するための組立て工程の一例を示す。形成される構成の実施例に応じて、様々な付加ステップを除去することができる。
【0036】
図5について、第1ステップは、サブ波長ナノ構造回折格子要素を基板に組み込むことを含む。第1実施例では、このステップは、もっぱらガラス基板110Aにサブ波長偏光回折格子111を一体化することを含む。第2実施例では、このステップは、ガラス基板110Aにサブ波長偏光回折格子111を、またガラス基板110Bにサブ波長回折偏光子112をそれぞれ一体化することを含む。第3の実施例では、このステップは、ファラデー回転子基板110Aの頂面にサブ波長偏光回折格子111を、またファラデー回転子基板110Aの底面にサブ波長偏光回折格子101を一体化することを含む。第4実施例では、このステップは、基板110Aに第4実施例のサブ波長偏光回折格子112を、ファラデー回転子基板110Bの頂面に第4実施例のサブ波長偏光回折格子111を、またファラデー回転子基板110Bの底面に第4実施例のサブ波長偏光回折格子101を、それぞれ一体化することを含む。前記した特徴構造を一体化した基板は、ニュージャージに所在の「ナノオプト社(NanoOpto Corporation)」から入手可能である。しかしながら、回折格子の構成は、また、表面レリーフフォトレジストパターンが、ナノメートルの範囲で回折格子構造を成形すべくエッチングが行われる基板の上の表面レリーフパターンを作成するためにフォトレジストにリファレンス回折格子マスクを押印する分野で知られたナノインプリントリソグラフィまたは同様な方法を用いて基板110Aおよび110Bに組み込むことができる。モデリングナノ構造回折格子の当業者にとって、各偏光子の光軸を形成するために適切な周期および回折格子のサイズを選ぶことができることは明白である。これに代えて、基板材料の選択によって偏光子を基板に組み込むことができる。 例えば、前記基板は「コーニング社(Corning, Inc.)」によって作られた偏光ガラスとすることができる。
【0037】
第2ステップは、前記液晶電極を成形するために前記第1および第2のガラス基板に適正なITO(インジウム錫酸化物)パターンを付加することを含む。図5の処理フロー202について、標準のPECVD工程を約100オングストロームの厚さのITO薄膜を付けるのに用いても良い。図6Aおよび6Bは、それぞれ基板110Aおよび110Bにパターンを付けるために使われるITOのマスク例を示す。
【0038】
第3ステップは、ポリイミド配列層を前記第1および第2のガラス基板に付加することを含む。図5の処理フロー203について、各基板に約600オングストロームの厚さのポリイミド層を形成するために、室温での標準スピンコートステップ処理を用いることができる。
【0039】
第4ステップは、前記ポリイミド層のパターニングを含む。処理204について、フォトレジストは、最初に、前記基板に適用されて、従来のフォトリソグラフィ技術を使ってマスキングされ、あるいは、前記基板のパターニングにレーザーエッチングを用いることができる。その後、ウエットまたはドライエッチングが施されることにより、ポリイミドのパターンが形成される。
【0040】
第5ステップは、液晶配列層を固着することを含む。処理ステップ205について、1つの従来方法は、前記配列層を形成するために各基板の前記ポリイミドを摩擦することである。ねじられたネマチックの形態では、前記第1の基板の摩擦方向は第2の基板の摩擦方角に直角である。電子的に伝導性の複屈折(ECB)形態では、前記第1の基板の摩擦方向は第2の基板の摩擦方向と平行している。種々の固定案により、0度または90度以外の摩擦角とすることができる。前記配列層を形成する他の方法は、インプリントリソグラフィ技術を使用することであり、この技術では、リファレンスマスクが、ナノスケールの許容範囲で高精度な配列溝を成形すべく、後でエッチングを受けるフォトレジストの表面レリーフパターンを作成するために堆積されたフォトレジスト層の上に押される。
【0041】
付加的な第6ステップは、能動的な熱素子である一体的なヒータおよび温度センサを形成することを含む。図7Aおよび7Bは、図5の処理ステップ206に関して使用されるマスクの例を示し、最初にクロムの種接着層が前記基板の上に厚さ約200オングストロームで堆積され、続いてPECVDにより、約2000オングストロームの厚さの薄膜白金抵抗層が堆積され、該層が一体的な前記ヒータ/温度センサの上部と下部とを形成する。前記基板110Aおよび110Bに適用された一体的な前記デバイスの上部と下部とは、エアギャップによって約9.6ミクロン隔てられており、引き続く第8ステップで説明される金属堆積ステップで形成された複数のビア(VIAS)によって相互に接続される。ギャップ厚さは、例として述べられており、要求される用途に応じて変化するであろう。白金薄膜抵抗は、図面7Aおよび7Bの蛇行パターンと同様に、形態に応じて、アーチ状、曲線状、円形状、ジグザグ状および帯状に限定されないが、これらを含む様々な形状にパターン化することができる。薄膜白金は、ほぼ10.6×10E-8オームメートルの抵抗率を与えられ、例えば、薄膜の体積に応じて、室温で約500から2000オームの抵抗を生じる。
【0042】
第7ステップは、スペーサ要素107の形成を含む。スペーサ要素107は液晶セルのギャップ厚さを制御する。前記スペーサ要素を各基板上に等しくかつ均等に分配する必要はないが、完成したセルの所望ギャップ厚さの半値が各基板に堆積されるように、スペーサ要素107の厚さを規定することが好ましい。結合されたセル100のギャップ厚さは、したがって堆積工程に基づく許容範囲で成形される。二酸化ケイ素がスペーサ要素を作成する好ましい材料であるが、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、一酸化ケイ素のような実質的に圧縮されない薄膜堆積工程で互換性を持つ他の材料が、選ばれた液晶基板材料と互換性を持つならば、二酸化ケイ素にも代わるものとして用いることができる。図8Aおよび8Bは、図5の処理ステップ207を実行するために使われるマスク例を示し、各基板上に5ミクロンの厚さの二酸化ケイ素のパターン層が堆積されている。
【0043】
第8ステップは金属ガスケット要素106の形成を含む。金属ガスケット要素108は、これらに限られないが、インジウム、金、ニッケル、錫、クロム、白金、タングステン、銀、ビスマス、ゲルマニウムおよび鉛のような種々の金属から形成することができる。しかし、その柔軟性および比較的低い溶融温度のため、インジウムを使うことが望ましい。図A9および9Bは、図5の処理ステップ208を実行するために使われるマスク例を示し、継続例のために、インジウムが、約7〜9ミクロンの厚さの層で、等しく前記各基板の上に堆積される。この処理ステップの金属ガスケット層は、前記付加の処理ステップの間に起こる漏出による前段階のスペーサ要素より厚く堆積されることは一般に望ましい。図9Aおよび9Bに示されているように、金属ガスケットマスクは、基板110Aまたは110Bのいずれかに堆積された材料間で電気的相互接続を可能にする関連する複数のビア(VIAS)300を成形するために構成される。複数のビア(VIAS)300は、また、温度センサと発熱体とに外部の接触パッドの取り回しを簡素化するために成形される。例えば、本実施例のビア(VIAS)300は、第6ステップで規定されたヒータ/温度センサ白金層に重複するように配置される。それらは、また、液晶セルの2つ電極を駆動するための接触パッドを規定するように、ITO層に重複するように配置される。
【0044】
第9ステップは、ウエハ110Aをウエハ110Bに位置合わせし、押し付けることを含む。視認可能な位置合わせ照合マークを基礎の前記ウエハにエッチングで形成し、あるいはエッジまたは位置合わせ穴のような前記ガラス板の物理的特徴をウエハの位置合わせに用いることが知られている。しかしながら、高価な高精度配列装置を用いることなく2つの前記ガラス基板の相対的な位置合わせを正確におこなう高い歩留まり法が、ここに述べられており、それにより各基板を接合し、押し付ける間に前記板ガラスの相対移動を防止すべく、各基板上に形成された相補的な幾何的かみ合い構造物を相互に結合する。そのような連結構造物は、接合工程における如何なる不均一性をも緩和し、液晶セルの2枚のガラス板間の典型的なギャップが20マイクロメートルより少ないと仮定すると、薄膜形成またはスクリーニングの処理は、正確に制御されかつ反復可能な幾何学的構造物の形成に用いることができる。図5の処理ステップ209について、前記基板110Aおよび110Bは、両基板から形成されたサンドイッチ構造のスペーサ要素によって規定されるギャップ距離で化学結合金属ガスケットを成形するために、室温の圧力の下で、位置合わせされ接合される。
【0045】
第10ステップは、ウエハのダイシングを含む。図5の処理ステップ210は、ダイシングソーまたはビア(via)エッチング技術を用いて行うことができる。
【0046】
第11ステップは、液晶セルから保護ガラスの一部を除去することを含む。図10Aは、本発明の完成した実施例における前記基板間の該基板を介して結合された種々の層の上面透視図を示す。図5の処理211について、基板110Bは、基板の厚さの約90%の溝を切り図10Aの分離線119を形成するために、ダイアモンドのダイシングソーを使って刻み目を入れられる。基板110Bの一部は、液晶注入孔115、内在する液晶電極接触パッド500および500′および内在する液晶ヒータ/温度センサ素子電気接触パッド502および502′へのアクセスを許す図10Bのアクセス表面113を規定するために、分離線119に沿って分離される。
【0047】
第12ステップは、液晶装置を液晶分子で満たす(図5の処理212)ことを含む。このステップは、液晶セルを満たす従来方法を使って、行なうことができ、セルが真空中に置かれて、液滴サイズの液晶物質が注入孔115に入れられ、真空の解除による平衡圧が液晶物質を注入孔115に押し込み、該注入孔に栓が施される。前記注入孔を閉じるために、UV硬化エポキシ樹脂の他、前記注入孔にふたを被せる種々の技術を用いることができる。
【0048】
エレクトロニクス制御系
液晶セルシステムに向けられた構成要素のブロックダイヤグラムとそのホストコントローラが、本発明の液晶熱管理および電圧制御サブシステムとともに、図11に示されており、以下、さらに詳しく説明する。
【0049】
一つの実施例では、ホストコンピュータ400は、全二重データインタフェースでマイクロコントローラ402と通信するように構成されており、ホストコンピュータが機能を働かせ、コマンドを送り、マイクロコントローラ402からデータを検索することが可能である。マイクロコントローラは、ソフトウェア制御ルーチンを保持するように構成されている。ソフトウェア制御ルーチンは、気温の変動に応じて液晶セルに供給される駆動電圧を調整するように機能する。
【0050】
マイクロコントローラは、セルがほぼ一定の温度で保持されるように、一体化されたセンサ/ヒータ機器で温度感知および加熱機能を多重化する時分割多重化スキームを利用する。較正処理は、セルのプロファイルを特徴付けており、与えられた温度とセルの状態入力のために最適な駆動電圧出力を提供する多項式の回帰式を生成する。マイクロコントローラ402は、液晶セルの状態および回帰式を記憶し、温度を補償する駆動電圧を計算しこれをアサートするために、液晶セルの温度を読む。
【0051】
図11は、本発明の方法を行なうために使用される較正処理を示し、液晶セルの熱動作特性プロファイルが、温度とセル状態とに応じてセルに印加される駆動電圧を調整するために使用される記憶された回帰式に組み入れられた決定論的な係数に変換されている。
【0052】
セル温度および電圧補償プロファイルにおける係数値を決定する第1ステップは、温度の範囲に亘って液晶セルの駆動特性を描くことである。プロファイル処理ステップ601では、所定の電圧と温度との組合せで、前記セルを通過する光源とその減衰とを試験する。動作可能の液晶セルは、所定の間隔で所望の温度の範囲に亘って動作温度を変更すべくプログラムされた熱室に置かれる。あらゆる温度変化間隔において、減衰などの動作特性が測定される間、一定範囲の電圧値が液晶セルに印加される。参照減衰レベルが達成されるまで、電圧はスキャンされ、その時点での電圧、減衰および温度レベルがセルプロファイル定義テーブルの格子点表示として記録される。液晶セルの性能は格子点減衰と複数の温度レベルで記録され、どのような温度と電圧の入力でも減衰レベル出力を提供する多次元ルックアップテーブルを結果として生じ、このテーブルは、三次元として表示される。
【0053】
第2ステップは、前段階において記録された所定の減衰レベルでの温度に関する電圧プロファイルを滑らかにするためにルックアップテーブルの処理を必要とする。マスマテカ・アンド・コマット(Mathematica & commat)など、回帰分析を実行することが可能な統計プログラムを処理ステップ602の実行に用いることができる。回帰ソフトウェアは第1ステップにおいて生成されたルックアップテーブルを備え、以下の公式で表された、各減衰レベルでのセルの電圧対温度プロファイルを表す適切な係数a、b、c、d、およびeを生成する4次数の回帰曲線適合処理を実行する。
【0054】
v = a + bT + cT2 + dT3 + eT4
v1 = a1 + b1T + c1T2 + d1T3 + e1T4
v2 = a2 + b2T + c2T2 + d2T3 + e2T4



vn = an + bnT + cnT2 + dnT3 + enT4
【0055】
ここで、Vは電圧、Tは液晶セル温度、a、b、c、dおよび eは曲線に適合する係数、nは減衰レベルである。
【0056】
滑らかな曲線が記録された格子点減衰レベルで所定の温度のために最適な駆動電圧レベルを規定する先のステップに起因していると仮定すると、第3ステップは、3次元表面の直交軸を横切って適合した滑らかな曲線の回帰式に帰着し、それによって円滑な曲線が第1ステップにおいて記録された粗い減衰格子点上に適合する。この処理ステップ603で、先のステップの5つの係数は、2次回帰によってそれぞれ解かれる。特にMathematica&commatあるいは適当なプログラムは、回帰式v”=an+bT+cT+d”T+e”Tのオーダーのすべてに亘って5つの係数a、b、c、dおよびeのそれぞれのプロファイルに適合した3つの係数のために解くように使われる。したがって、滑らかな表面のプロファイルは、以下の公式により、入力減衰状態および温度を与えられた最適な電圧補償レベルを規定する。
【0057】
V=a+bT+cT+dT+eT、ここで
a = (X + Yθ+ Zθ2)
b = (X + Y1θ + Z1θ2)
c = (X2 +Y2θ + Z2θ)
d = (X3 + Y3θ + Z3θ2)
e = (X4 + Y4θ+ Z4θ2)
【0058】
θは液晶減衰レベル
X, Y, Zは、0次係数の解、
X1, Yl, Zlは、1次係数の解
X2, Y2, Z2は、2次係数の解
X3, Y3, Z3は、3次係数の解
X4, Y4, Z4は、4次係数の解
【0059】
15個の係数解(Xn, Yn, Zn、ここでnは0から4まで)は、マスマテカ(Mathematica)により、適当な(データ、{l、x、x2、および…、xn}、x)関数または曲線適合回帰を実行可能な他の適当なソフトウェアパッケージを使って生成できる。
【0060】
第4ステップは、図11の較正処理における最終ステップである処理606であり、説明中の液晶制御系の係数を記憶する。
【0061】
液晶特性を描く係数は、適切な15個の係数値でマイクロコントローラ402のメモリ(図12)をフラッシュすることによって、該マイクロコントローラのメモリに保存することができる。
【0062】
本発明の熱の補償システムは、液晶セルの温度を読み、セル状態に基づいてセルのドライブ電圧を調整することにより、動作する。セル状態は、一般にオフ、オンで動作させ、あるいは変数のモードの中で動作させることができる。セル状態は、マイクロコントローラ402に記憶され、またホストコンピュータ400を経て形成される。
【0063】
アナログ−デジタル変換器を内部に有し10Mhzの水晶発振器404のクロックで動作するPICマイクロチップでマイクロコントローラを構成することができる。マイクロコントローラは、シリアルインターフェイスでマイクロコントローラからのパルスストリームの形態に応答して出力電圧レベルを提供するように形成されたデジタル・アナログ・コンバータ(DAC)に接続される。DACの出力端子は、約1.2kHzで前記マイクロコントローラのポートピンによって計時されるアナログスイッチ414の入力端子に接続される。DACに渡されたデータは、1.2kHzを超えるキャリアのAM送信の振幅を規定し、該キャリアは、液晶セル電極500および500′(図10B)への差動駆動電圧を生じる。
【0064】
温度センサの示度は、外部装置から内部の一体的なヒータ/温度センサによって提供される。液晶セル100のヒータ/温度センサの電極502、502′の一方は接地され、その他方はスイッチ407に接続される。スイッチ407は、選択的に感知または加熱モードの一体的なヒータ/温度センサ素子108に連動する。
より詳細には、スイッチ407は、オンで、液晶セルの温度を読むマイクロコントローラに計装用増幅器406を通して結合されたADCに、接地されていないヒータ/温度電極を接続するように構成され、また、オフで、マイクロコントローラ402からのパルス列によって制御を受ける電力増幅器FET410であって前記デバイス108をヒータとして動作させるために電位差を印加する電力増幅器FET410に繋がるように構成されている。
【0065】
温度感知のためのフィードバック閉ループ(図11の処理ステップ607から609までに含まれるループとして参照される)の動作において、マイクロコントローラは、前記液晶セルの温度を読み、感知された温度Tおよび液晶セルの現状θに基づいて駆動電圧を計算する。15個の係数は、与えられた温度とセル減衰レベルとのために液晶セルに供給する最適な電圧を描く円滑な表面のプロファイルを確立する4次回帰式に、挿入し直される。
【0066】
v= (X + Yθ+ Zθ2) +
(Xl + Yθ + Zθ2) T +
(X2 + Y2θ + Z2θ2)T2 +
(X3 + Y3θ + Z3θ2)T3 +
(X4 + Y4θ + Z4θ2)T4
【0067】
新たな電圧値Vが計算され、液晶セルへの温度補償がなされたAM駆動電圧を生じるために、計時されたアナログスイッチ414に適切な大きさの直流電圧を供給するDAC412に送られる。
【0068】
液晶セルは、また、ほぼ基準温度に維持される。図11に関する処理ステップ609は、液晶セルの温度をほぼ基準温度に維持するために、加熱することを含む。基準温度は、周囲の室温を超えまたは前記LC(液晶)セルに結合されるすべての担体装置の温度を超えるかもしれない。周囲温度を超える基準温度を選択した場合は、急激な加熱を適用した後、周囲温度に遭遇するために結果として前記LCが冷却を受けるであろう。したがって、カウンタ熱のバイアスは、基準温度について温度安定性をサポートするために生成される。
【0069】
前記マイクロコントローラのメモリは、基準温度、現温度値、温度履歴および前記LCに適用された加熱レベルの履歴を記憶しておくことができる。すべての場合、感知された温度Tの値は、液晶セルに適用される熱量を決定するために基準温度に比較される。8ビットのアナログ−デジタル変換器は、所望の温度範囲の全域に亘ってほぼ1/3度の温度感知解像度を提供するので、本実施例では、基準温度について摂氏1/3度以内での温度安定性を提供し得る。処理ステップ609のすべての例で、液晶セルの感知された温度が所望の動作基準温度を下回ると、マイクロコントローラのROM中に記憶された閾値検出器ルーチンは、制御機能を引き起こす。制御機能は、液晶セルにどれだけの熱を供給するかを決める。制御機能は、エラーを最小限にするルーチンを利用し、該ルーチンでは処理ステップ609の多数の例の全体で温度の変化を追跡する。エラー訂正ルーチンは、液晶セルに適用された先の熱量HOと共に、先の温度読み取り値TOを記憶することができる。温度読み取り値とそれに続くすべての温度読み取り値Tlは、液晶セルの先の加熱による温度変化の量を決定するために、前記TOに比較される。前記したように、熱は、FETパワードライバーを経て液晶セルに適用される。前記ヒータは、一定または可変のデューティ・サイクルで駆動され、周波数変調または振幅変調で制御を受ける。
【0070】
本発明は、明細書および添付の図面により充分に説明されているが、当業者にとって、種々の変更および改良が明白であろう。例えば、基本的なセルプラットホーム中のスペーサ要素、金属ガスケットおよび一体化されたヒータ/温度センサ素子を成形するために、種々のパターンを用いることができる。本発明の温度補償方法および回帰に、部分的または全体的に外部の温度センサとヒータとを使うことができる。金属ガスケットは、防湿支持膜としての機能に加えて、これに加熱機能を与えるべく調整することができる。エポキシ樹脂ガスケットは、部分または全体的に金属ガスケット要素との組み合わせで用いることができ、金属ガスケット要素は1つのはんだキャップを含むことができる。またセル内に液晶物質配列させ、また固定させることは、写真配列物質である、スイスのVantioによるStaralignを使って行うことができ、またはレーザーエッチングを含む他の既知の配列方法を用いることができる。セル内に液晶物質を固定させる(第5ステップ)ことは、ポリイミドのパターニング(第4ステップ)前に実行することができる。加熱過程は、駆動電圧を適用することに先がけて実行されるように、閉ループ温度フィードバックのための処理ステップを組み替えることができる。3次元面の各次元に電圧をフィットさせる次数は可逆であり、第4次多項式にフィットする一次元および2次多項式にフィットする他の次元を含み、これに限定されないが、アルゴリズムにフィットする他の3次元面が使用可能である。振幅変調または周波数変調は、液晶セルの駆動に用いることができる。本発明の第4実施例は、本発明の第3実施例の一体化した温度センサ/発熱体で設定することができる。液晶セルは単一のピクセルに限定されない。液晶セルは多数のピクセルから成ってもよい。液晶セルの配列は、1ピクセル以上を持つセルの配列を含んで成形することができる。したがって、ここに定義されたそれらの抽象概念からの種々の変更および改造は、本発明の範囲を逸脱しない限り、請求項に含まれると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1a】一体化された偏光子基板を有する液晶減衰器の第1実施例を示す。
【図1b】一体化された偏光子基板を有する液晶減衰器の第1実施例を示す。
【図2a】一体化された第2の偏光子基板の光軸に直角な光軸を有する一体化された第1の偏光子基板を有する液晶減衰器の第2の実施例を示す。
【図2b】一体化された第2の偏光子基板の光軸に直角な光軸を有する一体化された第1の偏光子基板を有する液晶減衰器の第2の実施例を示す。
【図3a】一体化されたアイソレータ基板を有する液晶減衰器の第3の実施例を示す。
【図3b】一体化されたアイソレータ基板を有する液晶減衰器の第3の実施例を示す。
【図4a】一体化された第1のアイソレータ基板と第2の偏光子基板とを有する液晶減衰器の第4の実施例を示す。
【図4b】一体化された第1のアイソレータ基板と第2の偏光子基板とを有する液晶減衰器の第4の実施例を示す。
【図4c】本発明の付加である一体的なヒータ/温度センサ構造の配置例を示す。
【図5】本発明の液晶減衰器を組み立てるための処理フローを示す。
【図6A】本発明の電極形成用マスクの例を示す。
【図6B】本発明の電極形成用マスクの例を示す。
【図7A】本発明の一体的な能動的温度要素形成用マスクマスクの例を示す。
【図7B】本発明の一体的な能動的温度要素形成用マスクマスクの例を示す。
【図8A】本発明のスペーサ要素形成用マスクの例を示す。
【図8B】本発明のスペーサ要素形成用マスクの例を示す。
【図9A】本発明の金属ガスケット要素層を形成するためのマスクの例を示す。
【図9B】本発明の金属ガスケット要素層を形成するためのマスクの例を示す。
【図10A】本発明の種々の層間の関係を示す一体的な透視図の平面図の例を示す。
【図10B】組立てプロセスの終了での液晶減衰器を示す等角図である。
【図11】液晶減衰器の熱較正および帰還ループ法のフローを示す。
【図12】本発明の電子制御および温度管理システムのためのブロックシステム図を示す。
【符号の説明】
【0072】
100 液晶可変光学減衰器
104A 第1の電極層
104B 第2の電極層
106A、106B 金属ガスケット層
107A、107B スペーサ層
108A、108B ヒータ/温度センサ素子(能動的熱素子)
109A 第1の液晶配列層
109B 第2の液晶配列層
110A 第1の基板
110B 第2の基板
111、112 サブ波長ナノ構造回折格子偏光子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブ波長の回折格子偏光子がエッチングで形成された頂面および電極と配列層とを有する底面を備える第1の基板と、
第2のサブ波長の光学回折格子偏光子がエッチングで形成された底面および第2の電極と配列層とを有する頂面を有する第2の基板であって前記第2の偏光子が前記第1の基板上の前記偏光子と直角な光軸を有し、前記第2の基板の前記頂面が前記第1の基板の前記底面に対向して配置される第2の基板と、
前記第1および第2の基板間に結合された液晶とを含み、
前記第2の偏光子により該第2の偏光子と同一光軸を有する光学偏光信号が、前記液晶を通過するに伴い回転し、また、前記電極層を横切る電圧の印加に応じて可変的に減衰可能の可変光学減衰器。
【請求項2】
さらに、前記第1および第2の基板間に結合されたスペーサ層と、前記第1および第2基板に接合された金属ガスケット層とを含む、請求項1の可変光学減衰器。
【請求項3】
さらに、前記第1および第2の基板間に配置された能動的熱素子を含む、請求項2の可変光学減衰器。
【請求項4】
前記スペーサ層は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素および一酸化ケイ素のグループから選ばれた一つ以上の材料を含む、請求項2の可変光学減衰器。
【請求項5】
前記金属ガスケット層は、インジウム、金、ニッケル、錫、クロム、白金、タングステン、銀、ビスマス、ゲルマニウムおよび鉛のグループから選ばれた一つ以上の材料を含む、請求項2の可変光学減衰器。
【請求項6】
両基板はガラス製品である、請求項2の可変光学減衰器。
【請求項7】
前記スペーサおよび金属ガスケット層は堆積された薄膜である、請求項2の可変光学減衰器。
【請求項8】
前記能動的熱素子は前記第1および第2の基板上に堆積されている、請求項3の可変光学減衰器。
【請求項9】
前記能動的熱素子は前記液晶セルの周囲をほぼ取り囲んで配置されている、請求項3の可変光学減衰器。
【請求項10】
前記能動的熱素子は蛇行パターンで配列されている、請求項3の可変光学減衰器。
【請求項11】
前記能動的熱素子は加熱および温度感知能力を備える、請求項3の可変光学減衰器。
【請求項12】
前記能動的熱素子はクロム−白金からなる、請求項3の可変光学減衰器。
【請求項13】
さらに、前記金属スペーサ層と前記第1または第2の電極との間に形成された少なくとも一つのビアを含む、請求項3の可変光学減衰器。
【請求項14】
さらに、前記能動的熱素子と前記金属スペーサ層との間に形成された少なくとも一つのビアを含む、請求項3の可変光学減衰器。
【請求項15】
前記能動的熱素子は前記可変光学減衰器の温度の決定に用いられる抵抗値を提供する電極を有する、請求項3の可変光学減衰器。
【請求項16】
さらに、マイクロコントローラおよびスイッチを含み、該スイッチは、前記能動的熱素子から前記マイクロコントローラへの抵抗値および前記マイクロコントローラから前記能動的熱素子への電圧信号のルーティングを前記スイッチの状態が制御するように、前記能動熱素子に接続されている、請求項15の可変光学減衰器。
【請求項17】
金属ガスケット材料層により形成されたビアが前記第1および第2の基板間で前記熱素子に結合されている、請求項16の可変光学減衰器。
【請求項18】
サブ波長の回折格子偏光子がエッチングで形成された頂面および第1の電極層と第1の配列層とを有する底面を備える第1の基板と、
第2の電極層を有する頂面と前記第1の配列層に直角な方向に固定された第2の配列層とを含む第2の基板であって前記第1の基板の前記底面に対向して配置される第2の基板と、
前記第1および第2の基板間に結合された液晶と、
前記第1および第2の基板間に結合されたスペーサ層と、
前記第1および第2の基板に接合された金属ガスケット層とを含み、
第2の基板を通過する光学信号が、前記液晶を通過するに伴いその偏光を回転させ、また、電圧の印加に応じて、前記第1の基板上の前記偏光子により、可変的に減衰可能の可変光学減衰器。
【請求項19】
ファラデー回転子として機能させるのに適正な材料から成る第1の基板であってサブ波長の回折格子偏光子がエッチングで形成された頂面および底面を有し、これによりアイソレータとして前記基板を機能させるべく前記頂面の偏光子は前記底面の偏光子から45度のオフセット角を有し、さらに前記第1の基板は前記底面に第1の電極層と第1の配列層とを含む第1の基板と、
第2の電極層と前記第1の配列層に直角な方向に固定された第2の配列層とを有する頂面を含む第2の基板であって前記第1の基板の前記底面に対向して配置された第2の基板と、
前記第1および第2の基板間に結合された液晶とを含み、
第2の基板を通過する光学信号が、前記液晶を通過するに伴いその偏光を回転させ、前記電極層の電圧の印加に応じて、前記第1の基板上の前記偏光子により可変的に減衰可能であり、また前記第1の基板から形成された前記アイソレータにより分離される可変光学減衰器。
【請求項20】
さらに、前記第1および第2の基板間に結合されたスペーサ層と、前記第1および第2の基板に接合された金属ガスケット層とを含む、請求項19の可変光学減衰器。
【請求項21】
さらに、前記第1および第2の基板間に配置された能動的熱素子を含む、請求項20の可変光学減衰器。
【請求項22】
前記スペーサ層は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素および一酸化ケイ素のグループから選ばれた一つ以上の材料を含む、請求項20の可変光学減衰器。
【請求項23】
前記金属ガスケット層は、インジウム、金、ニッケル、錫、クロム、白金、タングステン、銀、ビスマス、ゲルマニウムおよび鉛のグループから選ばれた一つ以上の材料を含む、請求項20の可変光学減衰器。
【請求項24】
両基板はガラス製品である、請求項20の可変光学減衰器。
【請求項25】
前記スペーサ層および金属ガスケット層は堆積された薄膜である、請求項20の可変光学減衰器。
【請求項26】
前記能動的熱素子は前記第1および第2の基板上に堆積されている、請求項21の可変光学減衰器。
【請求項27】
前記能動的熱素子は前記液晶セルの周囲をほぼ取り囲んで配置されている、請求項21の可変光学減衰器。
【請求項28】
前記能動的熱素子は蛇行パターンで配列されている、請求項21の可変光学減衰器。
【請求項29】
前記能動的熱素子は加熱および温度感知能力を提供する、請求項21の可変光学減衰器。
【請求項30】
前記能動的熱素子はクロム−白金からなる、請求項21の可変光学減衰器。
【請求項31】
さらに、前記金属スペーサ層と前記第1または第2の電極との間に形成された少なくとも一つのビアを含む、請求項21の可変光学減衰器。
【請求項32】
さらに、前記能動的熱素子と前記金属スペーサ層との間に形成された少なくとも一つのビアを含む、請求項21の可変光学減衰器。
【請求項33】
前記能動的熱素子は前記可変光学減衰器の温度の決定に用いられる抵抗値を提供する電極を有する、請求項21の可変光学減衰器。
【請求項34】
さらに、マイクロコントローラおよびスイッチを含み、該スイッチは、前記能動的熱素子から前記マイクロコントローラへの抵抗値および前記マイクロコントローラから前記能動的熱素子への電圧信号のルーティングを前記スイッチの状態が制御するように、前記能動熱素子に接続されている、請求項33の可変光学減衰器。
【請求項35】
金属ガスケット材料層により形成されたビアが前記第1および第2の基板間で前記熱素子に結合されている、請求項34の可変光学減衰器。
【請求項36】
サブ波長の回折格子偏光子がエッチングで形成され、第1の電極層および第1の配列層を有する第1の基板と、
ファラデー回転子として機能させるのに適正な材料からなる第2の基板であってサブ波長の回折格子偏光子がエッチングで形成された頂面および底面を有し、これによりアイソレータとして前記基板を機能させるべく前記頂面の偏光子は前記底面の偏光子から45度のオフセット角を有し、さらに第2の基板は前記頂面に第2の電極層と第2の配列層とを含み、該第2の配列層は前記第1の基板上の前記第1の配列層に直角な方向に固定され、前記第2の基板の前記頂面が前記第1の基板の前記底面に対向して配置された第2の基板と、
前記第1および第2の基板間に結合された液晶とを含み、
第2の基板を通過する光学信号が、該第2の基板によって分離され、前記液晶を通過するに伴いその偏光を回転させ、また前記電極層の電圧の印加に応じて、前記第1の基板上の前記偏光子により、可変的に減衰可能である可変光学減衰器。
【請求項37】
さらに、前記第1および第2の基板間に結合されたスペーサ層と、前記第1および第2の基板に接合された金属ガスケット層とを含む、請求項36の可変光学減衰器。
【請求項38】
さらに、前記第1および第2の基板間に配置された能動的熱素子を含む、請求項37の可変光学減衰器。
【請求項39】
前記スペーサ層は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素および一酸化ケイ素のグループから選ばれた一つ以上の材料を含む、請求項37の可変光学減衰器。
【請求項40】
前記金属ガスケット層は、インジウム、金、ニッケル、錫、クロム、白金、タングステン、銀、ビスマス、ゲルマニウムおよび鉛のグループから選ばれた一つ以上の材料を含む、請求項37の可変光学減衰器。
【請求項41】
両基板はガラス製品である、請求項37の可変光学減衰器。
【請求項42】
前記スペーサ層および金属ガスケット層は堆積された薄膜である、請求項37の可変光学減衰器。
【請求項43】
前記能動的熱素子は前記第1および第2の基板上に堆積されている、請求項37の可変光学減衰器。
【請求項44】
前記能動的熱素子は前記液晶セルの周囲をほぼ取り囲んで配置されている、請求項38の可変光学減衰器。
【請求項45】
前記能動的熱素子は蛇行パターンで配列されている、請求項38の可変光学減衰器。
【請求項46】
前記能動的熱素子は加熱および温度感知能力を提供する、請求項38の可変光学減衰器。
【請求項47】
前記能動的熱素子はクロム−白金からなる、請求項38の可変光学減衰器。
【請求項48】
さらに、前記スペーサ層と第1または第2の電極との間に形成された少なくとも一つのビアを含む、請求項38の可変光学減衰器。
【請求項49】
さらに、前記能動的熱素子と金属スペーサ層との間に形成された少なくとも一つのビアを含む、請求項38の可変光学減衰器。
【請求項50】
前記能動的熱素子は前記可変光学減衰器の温度の決定に用いられる抵抗値を提供する請求項38の可変光学減衰器。
【請求項51】
さらに、マイクロコントローラおよびスイッチを含み、該スイッチは、前記能動的熱素子から前記マイクロコントローラへの抵抗値および前記マイクロコントローラから前記能動的熱素子への電圧信号のルーティングを前記スイッチの状態が制御するように、前記能動熱素子に接続されている、請求項50の可変光学減衰器。
【請求項52】
金属ガスケット材料層により形成されたビアが前記第1および第2の基板間で前記熱素子に結合されている、請求項51の可変光学減衰器。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−518880(P2006−518880A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503805(P2006−503805)
【出願日】平成16年2月21日(2004.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/005310
【国際公開番号】WO2004/077105
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(504380323)エクステラス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】