説明

液晶表示装置及びその製造方法

【課題】歩留まりの低下を抑制することが可能な液晶表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】スイッチング素子と、前記スイッチング素子の上に配置され前記スイッチング素子まで貫通した第1コンタクトホールを有する有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜の上に形成され前記第1コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続された島状の中継電極と、前記有機絶縁膜の上に形成され前記中継電極から離間した共通電極と、前記中継電極及び前記共通電極の上に配置され前記第1コンタクトホールの直上の位置とは異なる位置で前記中継電極まで貫通した第2コンタクトホールを有する層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の上に形成され前記第2コンタクトホールを介して前記中継電極に電気的に接続され前記共通電極と向かい合うスリットを有する画素電極と、を備えた第1基板を備えた液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、パーソナルコンピュータなどのOA機器やテレビなどの表示装置として各種分野で利用されている。近年では、液晶表示装置は、携帯電話などの携帯端末機器や、カーナビゲーション装置、ゲーム機などの表示装置としても利用されている。
【0003】
近年では、Fringe Field Switching(FFS)モードの液晶表示パネルが実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−231773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、歩留まりの低下を抑制することが可能な液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、
絶縁基板と、前記絶縁基板の上に形成されたスイッチング素子と、前記絶縁基板及び前記スイッチング素子の上に配置され前記スイッチング素子まで貫通した第1コンタクトホールを有する有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜の上に形成され前記第1コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続された島状の中継電極と、前記有機絶縁膜の上に形成され前記中継電極から離間した共通電極と、前記中継電極及び前記共通電極の上に配置され前記第1コンタクトホールの直上の位置とは異なる位置で前記中継電極まで貫通した第2コンタクトホールを有する層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の上に形成され前記第2コンタクトホールを介して前記中継電極に電気的に接続され前記共通電極と向かい合うスリットを有する画素電極と、を備えた第1基板と、前記第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0007】
本実施形態によれば、
絶縁基板と、前記絶縁基板の上に形成されたスイッチング素子と、前記絶縁基板及び前記スイッチング素子の上に配置され第1上面及び前記第1上面から前記スイッチング素子まで貫通した第1コンタクトホールを有する有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜の前記第1上面及び前記第1コンタクトホールに形成され前記スイッチング素子に電気的に接続された島状の中継電極と、前記有機絶縁膜の前記第1上面に形成され前記中継電極から離間した共通電極と、前記中継電極及び前記共通電極の上に配置され第2上面及び前記第2上面から前記有機絶縁膜の前記第1上面に形成された前記中継電極まで貫通した第2コンタクトホールを有する層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の前記第2上面に形成されるとともに前記第2コンタクトホールで前記中継電極に積層され前記共通電極と向かい合うスリットを有する画素電極と、を備えた第1基板と、前記第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、
画素電極及び共通電極を備えた第1基板と第2基板との間に液晶層を保持した液晶表示装置の製造方法であって、絶縁基板の上にスイッチング素子を形成し、前記スイッチング素子を有機絶縁膜で覆った後に、前記有機絶縁膜に前記スイッチング素子まで貫通した第1コンタクトホールを形成し、前記有機絶縁膜の上に第1導電材料を成膜し、前記第1導電材料をパターニングして、前記第1コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続した島状の中継電極、及び、前記中継電極から離間した共通電極を形成し、前記中継電極及び前記共通電極を層間絶縁膜で覆った後に、前記層間絶縁膜のうち、前記第1コンタクトホールの直上の位置とは異なる位置に前記中継電極まで貫通した第2コンタクトホールを形成し、前記層間絶縁膜の上に第2導電材料を成膜し、前記第2導電材料をパターニングして、前記第2コンタクトホールを介して前記中継電極に電気的に接続し前記共通電極と向かい合うスリットを有する画素電極を形成する、ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示したアレイ基板における画素の構造を対向基板の側から見た概略平面図である。
【図4】図4は、図3に示した画素をA−B線で切断した液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す図である。
【図5】図5は、比較例に相当するアレイ基板の断面構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を模式的に示す図である。
【0012】
すなわち、液晶表示装置1は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPN、液晶表示パネルLPNを照明するバックライト4などを備えている。図示した例では、液晶表示装置1は、液晶表示パネルLPNを駆動するのに必要な信号源として、駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3を備えている。
【0013】
液晶表示パネルLPNは、アレイ基板(第1基板)ARと、アレイ基板ARに対向配置された対向基板(第2基板)CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された図示しない液晶層と、を備えて構成されている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリア(画面部)ACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数)。
【0014】
バックライト4は、アレイ基板ARの背面側に配置されている。このようなバックライト4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0015】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0016】
アレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、n本のゲート配線G(G1〜Gn)及びn本の容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)、各画素PXにおいてゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたm×n個のスイッチング素子SW、各画素PXにおいてスイッチング素子SWに各々電気的に接続されたm×n個の画素電極PE、容量線Cの一部であり画素電極PEと向かい合う共通電極CEなどを備えている。保持容量Csは、容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。
【0017】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第1駆動回路GDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第2駆動回路SDに接続されている。各容量線Cは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、第3駆動回路CDに接続されている。これらの第1駆動回路GD、第2駆動回路SD、及び、第3駆動回路CDは、アレイ基板ARに形成され、駆動ICチップ2と接続されている。図示した例では、駆動ICチップ2は、液晶表示パネルLPNのアクティブエリアACTの外側において、アレイ基板ARに実装されている。
【0018】
また、図示した例の液晶表示パネルLPNは、アレイ基板ARに画素電極PE及び共通電極CEを備え、これらの間に形成される横電界(特に、フリンジ電界のうちの基板の主面にほぼ平行な電界)を主に利用して液晶層LQを構成する液晶分子をスイッチングするFringe Field Switching(FFS)モードを適用している。
【0019】
図3は、図2に示したアレイ基板ARにおける画素PXの構造を対向基板CTの側から見た概略平面図である。なお、ここに示した平面図は画素レイアウトの一例であって、本実施形態はこの画素レイアウトに限定されるものではない。
【0020】
ゲート配線Gは、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線Sは、第2方向Yに沿って延出している。スイッチング素子SWは、ゲート配線Gとソース配線Sとの交差部近傍に配置され、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ポリシリコン半導体層SCを備えている。
【0021】
スイッチング素子SWのゲート電極WGは、ポリシリコン半導体層SCの直上に位置し、ゲート配線Gに電気的に接続されている(図示した例では、ゲート電極WGは、ゲート配線Gと一体的に形成されている)。スイッチング素子SWのソース電極WSは、ソース配線Sに電気的に接続されている(図示した例では、ソース電極WSは、ソース配線Sと一体的に形成されている)。
【0022】
中継電極REは、島状に形成されている。この中継電極REは、第1コンタクトホールCH1を介してスイッチング素子SWのドレイン電極WDに電気的に接続されている。
【0023】
共通電極CEは、例えば、略長方形状に形成されている。この共通電極CEは、中継電極REから離間している。また、この共通電極CEは、図示しない容量線と電気的に接続されており、コモン電位に設定される。
【0024】
画素電極PEは、例えば、略長方形状に形成されている。この画素電極PEは、共通電極CEの上方に配置されている。また、この画素電極PEには、共通電極CEと向かい合う複数のスリットPSLが形成されている。このような画素電極PEは、第1コンタクトホールCH1とは異なる位置に形成された第2コンタクトホールCH2を介して、中継電極REと電気的に接続されている。これにより、画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続される。
【0025】
図4は、図3に示した画素PXをA−B線で切断した液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す図である。
【0026】
すなわち、アレイ基板ARは、ガラス基板などの光透過性を有する第1絶縁基板20を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、第1絶縁基板20の内面(すなわち対向基板CTに対向する面)にスイッチング素子SWを備えている。ここに示したスイッチング素子SWは、トップゲート型の薄膜トランジスタである。ポリシリコン半導体層SCは、第1絶縁基板20の上に形成されている。このようなポリシリコン半導体層SCは、ゲート絶縁膜21によって覆われている。また、ゲート絶縁膜21は、第1絶縁基板20の上にも配置されている。
【0027】
スイッチング素子SWのゲート電極WGは、ゲート絶縁膜21の上に形成され、ポリシリコン半導体層SCの直上に位置している。このようなゲート電極WGは、第1層間絶縁膜22によって覆われている。また、第1層間絶縁膜22は、ゲート絶縁膜21の上にも配置されている。
【0028】
スイッチング素子SWのソース電極WS及びドレイン電極WDは、第1層間絶縁膜22の上に形成されている。これらのソース電極WS及びドレイン電極WDは、それぞれゲート絶縁膜21及び第1層間絶縁膜22を貫通するコンタクトホールを介してポリシリコン半導体層SCにコンタクトしている。ソース電極WS及びドレイン電極WDは、第2層間絶縁膜23によって覆われている。また、この第2層間絶縁膜23は、第1層間絶縁膜22の上にも配置されている。
【0029】
このような第2層間絶縁膜23は、スイッチング素子SWの上に配置された有機絶縁膜に相当し、透明な有機材料によって形成されている。また、この第2層間絶縁膜23は、略平坦な上面23T、及び、この上面23Tからスイッチング素子SWのドレイン電極WDまで貫通した第1コンタクトホールCH1を有している。
【0030】
中継電極REは、第2層間絶縁膜23の上面23Tに形成されている。また、この中継電極REは、第1コンタクトホールCH1にも形成され、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。
【0031】
共通電極CEは、第2層間絶縁膜23の上面23Tに形成され、中継電極REから離間している。
【0032】
これらの中継電極RE及び共通電極CEは、第3層間絶縁膜24によって覆われている。また、この第3層間絶縁膜24は、第2層間絶縁膜23の上にも配置されている。このような第3層間絶縁膜24は、中継電極RE及び共通電極CEの上に配置された層間絶縁膜に相当し、シリコン(Si)を含む無機材料、例えば、酸化シリコン(SiO)などによって形成されている。
【0033】
また、この第3層間絶縁膜24は、上面24T、及び、この上面24Tから中継電極REまで貫通した第2コンタクトホールCH2を有している。この第2コンタクトホールCH2は、第1コンタクトホールCH1の直上の位置とは異なる位置で中継電極REまで貫通している。つまり、第2コンタクトホールCH2は、その上面24Tから、第2層間絶縁膜23の上面23Tに形成された中継電極REまで貫通している。
【0034】
画素電極PEは、第3層間絶縁膜24の上面24Tに形成されている。また、この画素電極PEは、第2コンタクトホールCH2にも形成され、第1コンタクトホールCH2において、中継電極REに積層されている。これにより、画素電極PEは、中継電極REに電気的に接続されている。また、この画素電極PEは、スリットPSLを有している。スリットPSLは、共通電極CEの直上に形成されている。
【0035】
これらの中継電極RE及び共通電極CEと、画素電極PEとは、ともに透明な導電材料、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などによって形成されている。画素電極PEは、第1配向膜AL1によって覆われている。この第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの液晶層LQに接する面に配置されている。
【0036】
なお、ソース配線Sは、第1層間絶縁膜22の上に形成され、第2層間絶縁膜23によって覆われている。
【0037】
このような構成のアレイ基板ARでは、第1コンタクトホールCH1においては、露出したドレイン電極WDの上に中継電極REが積層され、この中継電極REは第3層間絶縁膜24によって覆われている。また、第2コンタクトホールCH2においては、露出した中継電極REの上に画素電極PEが積層されている。
【0038】
一方、対向基板CTは、ガラス基板などの光透過性を有する第2絶縁基板30を用いて形成されている。この対向基板CTは、第2絶縁基板30の内面(すなわちアレイ基板ARに対向する面)に、各画素PXを区画するブラックマトリクス31、カラーフィルタ32、オーバーコート層33などを備えている。
【0039】
ブラックマトリクス31は、第2絶縁基板30の内面において、アレイ基板ARに設けられたゲート配線Gやソース配線S、さらにはスイッチング素子SWなどの配線部に対向するように形成されている。カラーフィルタ32は、第2絶縁基板30の内面に形成され、互いに異なる複数の色、例えば赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。赤色に着色された樹脂材料は赤色画素に対応して配置され、同様に、青色に着色された樹脂材料は青色画素に対応して配置され、緑色に着色された樹脂材料は緑色画素に対応して配置されている。
【0040】
オーバーコート層33は、ブラックマトリクス31及びカラーフィルタ32の上に形成されている。このオーバーコート層33は、ブラックマトリクス31及びカラーフィルタ32の表面の凹凸を平坦化する。オーバーコート層33は、第2配向膜AL2によって覆われている。この第2配向膜AL2は、対向基板CTの液晶層LQに接する面に配置されている。
【0041】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が向かい合うように配置されている。このとき、アレイ基板ARと対向基板CTとの間には、図示しないスペーサ(例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサ)が配置され、これにより、所定のギャップが形成される。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のギャップが形成された状態でシール材によって貼り合わせられている。液晶層LQは、これらのアレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間に形成されたギャップに封入された液晶分子を含む液晶組成物によって構成されている。
【0042】
このような構成の液晶表示パネルLPNに対して、その背面側にはバックライトBLが配置されている。液晶表示パネルLPNの一方の外面、すなわちアレイ基板ARを構成する第1絶縁基板20の外面には、第1偏光板PL1を含む第1光学素子OD1が配置されている。また、液晶表示パネルLPNの他方の外面、すなわち対向基板CTを構成する第2絶縁基板30の外面には、第2偏光板PL2を含む第2光学素子OD2が配置されている。
【0043】
第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、X−Y平面内において、同一方位に配向処理されている。このため、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていない状態では、液晶層LQに含まれる液晶分子は、X−Y平面内において、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向処理方向に初期配向する。画素電極PEと共通電極CEとの間にフリンジ電界が形成された状態では、液晶分子は、X−Y平面内において、初期配向方向とは異なる方位に配向する。
【0044】
次に、上述した構成の液晶表示装置の製造方法について簡単に説明する。
【0045】
まず、アレイ基板ARを製造するための第1絶縁基板20の上に、半導体材料、導電材料、絶縁膜材料などを成膜し、所望形状にパターニングすることにより、ゲート絶縁膜21、第1層間絶縁膜22、ゲート配線G、ソース配線S、スイッチング素子SWなどを形成する。
【0046】
その後、透明な有機材料からなる第2層間絶縁膜23でスイッチング素子SWなどを覆った後に、この第2層間絶縁膜23にスイッチング素子SWまで貫通した第1コンタクトホールCH1を形成する。
【0047】
その後、第2層間絶縁膜23の上に第1導電材料(例えば、ITO)を成膜し、この第1導電材料をパターニングすることによって、第1コンタクトホールCH1を介してスイッチング素子SWに電気的に接続した島状の中継電極RE、及び、中継電極REから離間した共通電極CEを形成する。
【0048】
その後、透明な無機材料(例えば、SiO)からなる第3層間絶縁膜24で中継電極RE及び共通電極CEを覆った後に、この第3層間絶縁膜24のうち、第1コンタクトホールCH1の直上の位置とは異なる位置に中継電極REまで貫通した第2コンタクトホールCH2形成する。
【0049】
その後、第3層間絶縁膜24の上に第2導電材料(例えば、ITO)を成膜し、この第2導電材料をパターニングすることによって、第2コンタクトホールCH2を介して中継電極REに電気的に接続するとともに共通電極CEと向かい合うスリットPSLを有する画素電極PEを形成する。
【0050】
そして、このようにして製造したアレイ基板ARの表面を第1配向膜AL1で覆い、ラビング処理や光配向処理などの配向処理を施す。
【0051】
一方で、対向基板CTを用意し、シール材を用いてアレイ基板ARと対向基板CTとを貼り合わせる。液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとを貼り合わせる前に適量を滴下することで封入されても良いし、アレイ基板ARと対向基板CTとを貼り合わせた後に、シール材によって形成された液晶注入口から注入され、封止されてもよい。
【0052】
その後、アレイ基板ARの外面に第1光学素子OD1を貼付し、対向基板CTの外面に第2光学素子OD2を貼付し、液晶表示パネルLPNに信号源を実装する。
【0053】
以上のような工程を経て液晶表示装置が製造される。
【0054】
上記の製造過程では、第2層間絶縁膜23を形成した後の洗浄工程やパターニングの際のウエット工程で、有機材料からなる第2層間絶縁膜23が水分を吸収しやすい。あるいは、第2層間絶縁膜23は、大気中の水分を吸収する場合もある。
【0055】
本実施形態においては、第2層間絶縁膜23は、中継電極RE、共通電極CE、及び、第3層間絶縁膜24によって覆われている。第3層間絶縁膜24を形成する材料は比較的緻密な膜を形成する一方で、中継電極RE及び共通電極CEを形成する材料は、第3層間絶縁膜24を形成する材料と比較して粗い膜を形成する。また、第2コンタクトホールCH2で中継電極REに積層された画素電極PEを形成する材料についても、中継電極RE及び共通電極CEを形成する材料と同様に、比較して粗い膜を形成する。
【0056】
第2層間絶縁膜23に吸収された水分は、高温プロセスを経て蒸気となって外部に放出されることがある。第2層間絶縁膜23を中継電極RE、共通電極CE、及び、第3層間絶縁膜24によって覆った後に高温プロセスに導入すると、第2層間絶縁膜23から放出された蒸気は、膜の密度の高い緻密な第3層間絶縁膜24を透過しにくい一方で、第3層間絶縁膜24と比較して膜の密度の低い、すなわち第3層間絶縁膜24と比較して膜構造が粗い中継電極RE及び共通電極CEに浸入する。
【0057】
但し、共通電極CEは第3層間絶縁膜24によって覆われているため、共通電極CEに浸入した蒸気の放出経路はほとんどない。中継電極REについても第3層間絶縁膜24によって覆われているが、第2コンタクトホールCH2において第3層間絶縁膜24から露出し、露出した中継電極REの上に画素電極PEが積層されている。つまり、第2コンタクトホールCH2においては、第2層間絶縁膜23の上面23Tから上方に向かって中継電極RE及び画素電極PEが積層されており、これらの積層体が緻密な第3層間絶縁膜24から露出している。このため、中継電極RE及び画素電極PEの積層体は、蒸気の放出経路を形成する。すなわち、第2層間絶縁膜23から中継電極REに浸入した蒸気は、第2コンタクトホールCH2において画素電極PEを経由して外部に放出される。
【0058】
なお、中継電極REの膜厚は30〜70nm程度であり、また、画素電極PEの膜厚は30〜70nm程度であるため、中継電極RE及び画素電極PEの積層体としての厚さは60〜140nm程度である。また、第2層間絶縁膜23は2μm〜5μm程度であり、第3層間絶縁膜は200nm〜300nm程度である。したがって、中継電極RE及び画素電極PEの積層体の厚さと第3層間絶縁膜の厚さは略同程度である。上述のとおり、有機材料からなる第2層間絶縁膜23上に積層された電極を設け、更にこの電極上に積層された無機材料からなる第3層間絶縁膜24の構造において、第3層間絶縁膜24の膜の密度より低い膜の密度をもつ電極上に第2コンタクトホールCH2を設ける構造にする。これにより、第2層間絶縁膜23内の水分は第2コンタクトホールCH2を介して外部に放出される。
【0059】
また、このような第2コンタクトホールCH2は、各画素PXに形成されているため、アクティブエリアACTの全体に亘り、略均一に分布している。このため、アクティブエリアACTの略全体において第2コンタクトホールCH2から第2層間絶縁膜23の水分を放出することが可能となる。
【0060】
したがって、第2層間絶縁膜23と第3層間絶縁膜24との密着性の低下、あるいは、蒸気の放出に伴った第3層間絶縁膜24の浮き上がり、あるいは、剥がれの発生を抑制することが可能となる。これにより、第3層間絶縁膜24の浮き、剥がれに起因した不良パネルの発生を抑制することができ、歩留まりの低下を抑制することが可能となる。
【0061】
なお、このような第2層間絶縁膜23からの蒸気の放出は、アレイ基板ARの製造過程におけるベークなどの高温プロセスで発生するものであり、アレイ基板ARを対向基板CTに貼り合わせる前にほぼ完了する。このため、アレイ基板ARと対向基板CTとを貼り合わせた後に、蒸気の放出に伴った不具合(例えば、液晶層LQにおける気泡の発生などの不具合)はほとんど発生しない。
【0062】
次に、比較例について説明する。
【0063】
図5は、比較例に相当するアレイ基板ARの断面構造を概略的に示す図である。
【0064】
この比較例においては、第3層間絶縁膜24の第2コンタクトホールCH2は、第1コンタクトホールCH1の直上の位置に形成されている。すなわち、第1コンタクトホールCH1においては、露出したドレイン電極WDの上に中継電極REが積層され、さらに、この中継電極REは、第3層間絶縁膜24によって覆われている。この第3層間絶縁膜24は、第1コンタクトホールCH1内の中継電極REを露出する第2コンタクトホールCH2を有している。この第2コンタクトホールCH2においては、露出した中継電極REの上に画素電極PEが積層されている。このように、中継電極REと画素電極PEとの積層体は、第1コンタクトホールCH1の内側に形成されており、第2層間絶縁膜23の上面23Tには形成されていない。
【0065】
第2層間絶縁膜23の上面23Tを覆う中継電極RE及び画素電極PEは、さらに第3層間絶縁膜24によって覆われており、第1コンタクトホールCH1に形成された中継電極REは、そのほぼ中央まで第3層間絶縁膜24によって覆われている。
【0066】
このような比較例においては、第2層間絶縁膜23に吸収された水分を外部に放出するための放出経路がほとんどない。すなわち、共通電極CEは第3層間絶縁膜24によって覆われているため、共通電極CEに浸入した蒸気の放出経路はほとんどない。また、第2層間絶縁膜23の上面23Tに形成された中継電極REについても第3層間絶縁膜24によって覆われているため、中継電極REに浸入した蒸気の放出経路はほとんどない。なお、第1コンタクトホールCH1に形成された中継電極REは、第2コンタクトホールCH2において第3層間絶縁膜24から露出している。
【0067】
しかしながら、第2コンタクトホールCH2に形成された中継電極REと画素電極PEとの積層体の位置は、第2層間絶縁膜23から離れている。また、第2層間絶縁膜23から中継電極REと画素電極PEとの積層体に至る中継電極RE内の水平方向の経路長は、本実施形態のような積層体の厚さ方向の経路長と比較して極めて長い。このため、中継電極RE内の水平方向の経路は、蒸気の放出経路としてほとんど機能しない。
【0068】
したがって、第2層間絶縁膜23からの蒸気の放出経路が少なく、第2層間絶縁膜23に重なる第3層間絶縁膜24との間、中継電極REと第3層間絶縁膜24との間、あるいは、共通電極CEと第3層間絶縁膜24との間に蒸気が溜り、気泡、あるいは、第3層間絶縁膜24の浮きが発生してしまう。このため、歩留まりの低下を招くおそれがある。
【0069】
このように、水分を吸収しやすい有機材料からなる第2層間絶縁膜23の上に、中継電極RE及び共通電極CEを形成するとともに、これらを比較的緻密な無機材料からなる第3層間絶縁膜24で覆い、この第3層間絶縁膜24を画素電極PEと共通電極CEとの層間絶縁膜とする構成においては、第2層間絶縁膜23の水分が閉じ込められやすい。このため、第2層間絶縁膜23から水分を外部に放出する放出経路を形成することが極めて有効である。本実施形態においては、第2層間絶縁膜23の上面23Tに比較的粗い膜である中継電極RE及び画素電極PEの積層体を形成し、第2層間絶縁膜23から水分を放出するための放出経路を形成する。これにより、第3層間絶縁膜24の浮きを抑制することが可能となる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、歩留まりの低下を抑制することが可能な液晶表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0071】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、絶縁基板と、絶縁基板の上に形成された有機絶縁膜と、有機絶縁膜の上に形成された第1電極と、第1電極の上に配置され前記第1電極まで貫通したコンタクトホールを有する無機絶縁膜と、無機絶縁膜の上に形成され前記コンタクトホールを介して第1電極に電気的に接続された第2電極と、を備えた第1基板であって、前記第1電極及び第2電極の膜構造は、前記無機絶縁膜より粗い膜の構造、例えば、ITO、IZO等の透明電極である場合には、有機絶縁膜中の水分は、透明電極を接続するコンタクトホールを通って放出される。したがって、画素部分の構造に限らず、アクティブエリアの周辺部分においても、有機絶縁膜上に第1透明電極、無機絶縁膜、第2透明電極の順に設ける積層構造であって、第1透明電極と第2透明電極を無機絶縁膜のコンタクトホールを介して接続する構造の場合には、上述の効果と同様の効果が生じる。また、これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
LPN…液晶表示パネル AR…アレイ基板 CT…対向基板
ACT…アクティブエリア PX…画素
SW…スイッチング素子
RE…中継電極 PE…画素電極 CE…共通電極
LQ…液晶層
CH1…第1コンタクトホール CH2…第2コンタクトホール
23…第2層間絶縁膜(有機絶縁膜)
24…第3層間絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の上に形成されたスイッチング素子と、前記絶縁基板及び前記スイッチング素子の上に配置され前記スイッチング素子まで貫通した第1コンタクトホールを有する有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜の上に形成され前記第1コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続された島状の中継電極と、前記有機絶縁膜の上に形成され前記中継電極から離間した共通電極と、前記中継電極及び前記共通電極の上に配置され前記第1コンタクトホールの直上の位置とは異なる位置で前記中継電極まで貫通した第2コンタクトホールを有する層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の上に形成され前記第2コンタクトホールを介して前記中継電極に電気的に接続され前記共通電極と向かい合うスリットを有する画素電極と、を備えた第1基板と、
前記第1基板に対向配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
絶縁基板と、前記絶縁基板の上に形成されたスイッチング素子と、前記絶縁基板及び前記スイッチング素子の上に配置され第1上面及び前記第1上面から前記スイッチング素子まで貫通した第1コンタクトホールを有する有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜の前記第1上面及び前記第1コンタクトホールに形成され前記スイッチング素子に電気的に接続された島状の中継電極と、前記有機絶縁膜の前記第1上面に形成され前記中継電極から離間した共通電極と、前記中継電極及び前記共通電極の上に配置され第2上面及び前記第2上面から前記有機絶縁膜の前記第1上面に形成された前記中継電極まで貫通した第2コンタクトホールを有する層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の前記第2上面に形成されるとともに前記第2コンタクトホールで前記中継電極に積層され前記共通電極と向かい合うスリットを有する画素電極と、を備えた第1基板と、
前記第1基板に対向配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記中継電極及び前記共通電極は、透明な導電材料によって形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記有機絶縁膜は、透明な有機材料によって形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記層間絶縁膜は、シリコン(Si)を含む無機材料によって形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記スイッチング素子は、ポリシリコン半導体層を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
絶縁基板と、前記絶縁基板の上に形成された有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜の上に形成された第1電極と、前記第1電極の上に配置され前記第1電極まで貫通したコンタクトホールを有する無機絶縁膜と、前記無機絶縁膜の上に形成され前記コンタクトホールを介して前記第1電極に電気的に接続された第2電極と、を備えた第1基板であって、
前記第1電極及び第2電極の膜構造は、前記無機絶縁膜より粗い膜であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
画素電極及び共通電極を備えた第1基板と第2基板との間に液晶層を保持した液晶表示装置の製造方法であって、
絶縁基板の上にスイッチング素子を形成し、
前記スイッチング素子を有機絶縁膜で覆った後に、前記有機絶縁膜に前記スイッチング素子まで貫通した第1コンタクトホールを形成し、
前記有機絶縁膜の上に第1導電材料を成膜し、
前記第1導電材料をパターニングして、前記第1コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続した島状の中継電極、及び、前記中継電極から離間した共通電極を形成し、
前記中継電極及び前記共通電極を層間絶縁膜で覆った後に、前記層間絶縁膜のうち、前記第1コンタクトホールの直上の位置とは異なる位置に前記中継電極まで貫通した第2コンタクトホールを形成し、
前記層間絶縁膜の上に第2導電材料を成膜し、
前記第2導電材料をパターニングして、前記第2コンタクトホールを介して前記中継電極に電気的に接続し前記共通電極と向かい合うスリットを有する画素電極を形成する、
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1導電材料及び前記第2導電材料は、透明であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記有機絶縁膜は、透明な有機材料によって形成することを特徴とする請求項8または9に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記層間絶縁膜は、シリコン(Si)を含む無機材料によって形成することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−3200(P2013−3200A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131271(P2011−131271)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】