説明

液晶表示装置及び電子機器

【課題】環境光の検出遅延をなくし応答性を改善した光センサを搭載した液晶表示装置を
提供することにある。
【解決手段】本発明は、液晶表示パネルと、液晶表示パネルの基板に組み込まれて外光を
検出するTFTからなるTFT光センサLS、LSを有する光検出部と、液晶表示パ
ネルを照光する照光手段と、光検出部に接続された検出回路と、検出回路の出力に基づい
て照光手段の明るさを制御する制御手段と、を備えた液晶表示装置1において、TFT光
センサのゲート電極GL1〜GL6とソース電極SL1〜SL6及びドレイン電極DL1
〜DL6に接続された引回し配線L〜Lとは並列に配設されているとともに、ゲート
電極GL1〜GL6と引回し配線L〜Lとの間に隙間が生じないように、ゲート電極
L1〜GL6の外縁部が平面視で絶縁部材を介して引回し配線L〜Lにより覆われ
ている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置及びこの表示装置を備えた電子機器に関するものである。詳しく
は光センサを液晶表示パネルに組み込み、この光センサで環境光を検知して照光手段を制
御するようにした液晶表示装置及びこの表示装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などのモバイル機器は、文字或いは画像など表示する表示装置を備えており
、その表示装置として透過型或いは半透過型の液晶表示パネルが使用されている。これら
のモバイル機器は、太陽光の下から薄暗い室内までさまざまな環境下で使用されるので、
液晶表示パネルに光センサを組み込み、この光センサで環境光を検知してバックライトな
どの照明手段が制御されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
図10は下記特許文献1に開示された光センサを示し、図10Aは光センサの平面図、
図10Bは図10AのXB−XB線の断面図である。
下記特許文献1に開示された光センサ100は、図10に示すように、薄膜トランジス
タ(以下、TFT(Thin Film Transistor)という)で構成されて、不図示の液晶表示パ
ネルに組み込まれている。この光センサ100は、第1基板101とこの第1基板に対向
配設される第2基板109とを有している。第1基板101は、第1ベース基板102上
にゲート電極105が設けられて、このゲート電極105がゲート絶縁層103で覆われ
ている。このゲート絶縁層103の上には、ソース及びドレイン電極107、108とこ
れらの電極間に形成した半導体層106とが設けられて、この半導体層106は活性層1
06aと抵抗接触層106bとで構成されている。半導体層106は、ソース及びドレイ
ン電極107、108間に位置して抵抗性接触層106bの一部が除去されてその除去部
分に活性層106aが露出されてチャンネル部CHが形成されている。
【0004】
第2基板109は、第2ベース基板110を有し、この第2ベース基板110上に遮光
層111が形成されている。この遮光層111は、チャンネル部CHに対応した箇所に光
センサ窓112が形成されている。これらの第1、第2基板101、109は互いに対向
させて貼り合わされて、この貼り合わされた基板の一部に光センサが形成されている。
【0005】
この光センサ100を用いた環境光の検知は、環境光がチャネル部CHに入射されると
、外部光のエネルギーに対応してチャネル部CHの抵抗が変化し、このチャネル部CHに
流れる電流量が変化する。この変化量により環境光の光量が検知される。この検知出力は
、不図示の制御装置に入力されて、バックライトなどの照度がコントロールされる。
【特許文献1】特開2006−171669号公報(段落〔0021〕〜〔0027〕、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された光センサは、ゲート電極105を構成するゲートメタルが
第1ベース基板102上に光受光部より大きく形成されて、バックライトからの光がセン
サ内に入り込んで誤動作することのない構造となっている。しかしながら、この構造では
、第1ベース基板102上に形成されたゲートメタルの面積が大きくなる。したがって、
このゲートメタルと絶縁部材を介して対向する電極との間、すなわちゲート・ソース間及
びゲート・ドレイン間に形成される容量が大きくなる。この容量が大きくなると、光セン
サから導出される出力配線の時定数が増大して環境光を検知してから出力するまでの検出
時間が長く掛かり、素早い検出結果が得られず応答性の課題が発生する恐れがある。
【0007】
図11AはTFT光センサの電圧−電流曲線の一例を示す特性図、図11BはTFT光
センサの等価回路図、図11Cは明るさが異なる場合の図11Bに示した等価回路におけ
るコンデンサ両端の電圧−時間曲線を示す特性図である。
【0008】
TFT光センサの動作原理及び上記課題を説明する。TFT光センサLSは、図11A
に示すように、受光部が遮光されているとゲートオフ領域で非常に僅かな暗電流が流れて
いるが、受光部に光が当たるとその光の強さに応じて漏れ電流が大きくなるという特性を
有している。そこで、図11Bに示すように、受光部のTFTのゲート電極Gにゲート
オフ領域となる一定の逆バイアス電圧(例えば−10V)を印加し、ドレイン電極D
ソース電極Sとの間にコンデンサCを並列に接続すると共に、ドレイン電極Dとコン
デンサCの一端をアース電位に接続する。この状態でスイッチ素子S1をオンにして一定
の基準電圧Vs(例えば+2V)をコンデンサCに印加した後、スイッチ素子S1をオフ
にすると、コンデンサCの両端の電圧はTFT光センサLSの周囲の明るさに応じて図1
1Cに示すように時間とともに低下する。
【0009】
したがって、このTFT光センサLSでは、スイッチ素子S1をオフにしてから予め定
めた所定電圧Vになるまでの時間が環境光の強さと反比例し、予め定めた所定時間t
後のコンデンサCの両端電圧と環境光の強さとが反比例する。そのため、これらのスイッ
チ素子S1をオフにしてから予め定めた所定電圧Vになるまでの時間、或いは予め定め
た所定時間t後のコンデンサCの電圧を測定すれば、環境光の強さを求めることができ
る。ところが、この時間tは、ゲート・ソース間及びゲート・ドレイン間の容量によっ
て影響を受けてしまうことがある。すなわち、上記特許文献1の光センサのように、ゲー
トメタルの面積が大きいと、すなわちゲート・ソース間及びゲート・ドレイン間に容量C
SG、CDGが形成されて、これらの容量が大きくなる。これらの容量が大きくなると、
光センサから導出される出力配線の時定数が大きくなって、上記の応答性の課題が顕在化
する恐れがある。
【0010】
本発明は、従来技術が抱える潜在的な課題を解決するためになされたもので、本発明の
目的は、環境光の検出遅延をなくし応答性を改善した光センサを搭載した液晶表示装置及
びこの液晶表示装置を備えた電気機器を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上記目的に加え、照明手段からの光によって誤動作を防止した光
センサを搭載した液晶表示装置及びこの液晶表示装置を備えた電気機器を提供することに
ある。
【0012】
本発明のまた他の目的は、上記目的に加え、複数系統の光センサを搭載した液晶表示装
置であっても、この光センサに接続される各種配線を形成する領域を小さくし抑えて額縁
領域の大型化を抑制した液晶表示装置及びこの液晶表示装置を備えた電気機器を提供する
ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、一対の第1、第2基板の基板間
に液晶層を介在して貼り合わせた液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの基板に組み込
まれて外光を検出する薄膜トランジスタ(以下、TFTという)からなるTFT光センサ
を有する光検出部と、前記液晶表示パネルを照光する照光手段と、前記光検出部に接続さ
れた検出回路と、該検出回路の出力に基づいて前記照光手段の明るさを制御する制御手段
と、を備えた液晶表示装置において、
前記TFT光センサのゲート電極とソース電極及びドレイン電極から導出されたソース
配線及びドレイン配線とは並列に配設されているとともに、前記ゲート電極とソース配線
及びドレイン配線との間に隙間が生じないように、前記ゲート電極の外縁部が平面視で前
記絶縁部材を介して前記ソース配線及びドレイン配線により覆われていることを特徴とす
る。
【0014】
上記液晶表示装置の発明によれば、例えばゲート電極の面積をソース配線及びドレイン
配線によって平面視でその外縁部のみが覆われる大きさに設定することにより、ゲート電
極とソース配線及びドレイン配線との間で形成される容量が低減できる。また、ゲート電
極とソース・ドレイン配線の重なり部分の面積が小さくなり、ゲート電極と重ならない部
分のソース・ドレイン配線の面積が大きくなり、電気抵抗が小さくなって、光センサの応
答性が改善される。その結果、光センサから導出される出力配線の時定数が大きくならず
、環境光を検知してから出力するまでの検出時間が速くなり応答性が良好になる。さらに
は、ゲート電極とソース配線及びドレイン配線との間には隙間が形成されないので光漏れ
を抑えることも可能となる。なお、ゲート電極とソース配線及びドレイン配線との重畳幅
は、小さいほどこれらの間に形成される容量が小さくなり好ましい。また、この幅につい
ては光漏れがない範囲であれば適宜調整することができる。
【0015】
また、上記発明において、前記ゲート電極の平面視で前記絶縁部材を介して前記ソース
配線及びドレイン配線により覆われている箇所には、所定大きさの穴又は切欠きが形成さ
れていると好ましい。
【0016】
上記好ましい態様によれば、光検出部を構成するTFT光センサは、この光センサを構
成するTFTのゲート電極とソース配線及びドレイン配線とが絶縁部材を介して重なる箇
所に所定大きさの穴又は切欠きを形成し、これらの穴又は切欠きを絶縁部材を介してソー
ス配線及びドレイン配線で覆っている。したがって、ゲート電極とソース配線及びドレイ
ン配線とが重畳する面積を削減することができ、ゲート電極とソース配線及びドレイン配
線との間で形成される容量が低減される。また、ゲート電極に設けた穴及び切欠きはソー
ス配線及びドレイン配線で覆われているので、照光手段からの光が受光部に入り込み誤動
作させることもない。
【0017】
また、上記発明において、前記光検出部は、前記TFT光センサを複数個備え、これら
複数個のTFT光センサは、異なる系統の光を検出する第1、第2TFT光センサに区分
されて、前記第1TFT光センサ及び第2TFT光センサのソース配線又はドレイン配線
のうち、前記検出回路に接続されていない配線同士が単一の配線により形成されていると
好ましい。
【0018】
上記好ましい態様によれば、上記効果を奏することができると共に、複数の系統の光を
検出する光検出部において、系統の異なる第1、第2TFT光センサの検出回路に接続さ
れていない配線を、単一の引回し配線によって形成するので、複数の系統の光を検出する
際に、従来のように系統毎に別々の引回し配線を配線する必要がなくなる。したがって、
光検出部に配線される引回し配線の本数を削減することが可能となり、この引回し配線を
設けるためのスペースを小さくすることが可能となる。また、液晶表示パネルを狭額縁化
することが可能となり、小型の電子機器に好適な液晶表示装置を提供することが可能とな
る。
【0019】
また、上記発明において、前記第1、第2TFT光センサの複数個の光センサは、前記
第1TFT光センサと前記第2TFT光センサとが互いに隣接して平行に配列されている
と好ましい。
【0020】
上記好ましい態様によれば、第1、第2TFT光センサが隣接して配置されるので、両
者間の感度差が小さくなり、ほとんど同一の環境下で光検出を行うことができる。また、
これらの第1、第2TFT光センサを隣接して形成するので、同特性のTFTから形成す
ることが可能となる。
【0021】
また、上記発明において、前記第1、第2TFT光センサの複数個の光センサは、前記
第1TFT光センサと前記第2TFT光センサとは同列上に交互に配列されていると好ま
しい。
【0022】
上記好ましい態様によれば、第1TFT光センサを構成する複数の光センサと第2TF
T光センサを構成する複数の光センサとが一列に且つ交互に配設されるので、第1、第2
TFT光センサを広範囲に配置することができ、障害物によって部分的に環境光が遮られ
たとしても誤認識され難くなる。また、光センサを一列に配設できるため、光検知部の額
縁領域の幅方向に対応する長さを短くできるので、液晶表示パネルの第1、第2TFT光
センサが形成される辺の幅も小さくでき、より液晶表示装置の小型化が可能となる。
【0023】
また、上記発明において、前記第1、第2TFT光センサの少なくとも一方は遮光層又
は所定色のカラーフィルタ層で覆われていると好ましい。
【0024】
上記好ましい態様によれば、例えば第2TFT光センサを遮光層で被覆すれば、第2T
FT光センサの出力は暗基準電圧として使用することができるので、より高精度の制御が
可能となる。また、例えば第1TFT光センサを特定の色のカラーフィルタ層、例えばユ
ーザの視感度に近い分光感度特性を備えたカラーフィルタ層で被覆すれば、よりユーザフ
レンドリーな制御を実現することが可能となる。
【0025】
また、上記発明において、前記TFT光センサは、前記液晶表示パネルの製造工程にお
いてスイッチング素子として形成されるTFTと同時に形成されていると好ましい。
【0026】
上記好ましい態様によれば、光センサを形成するために別途製造工程を増加させる必要
がないので、安価且つ簡単に製造することが可能となる。
【0027】
本発明の電子機器は、上述の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0028】
上記電子機器の発明によれば、額縁領域を小さくすることが可能な液晶表示装置を備え
ているので、特に小型の携帯端末に好適な電子機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態
は、本発明の液晶表示装置及びこの液晶表示装置を備えた電子機器の技術思想を具体化す
るために半透過型液晶表示装置を例示したものであって、本発明をこの半透過型液晶表示
装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形
態のもの、例えば透過型あるいは反射型の液晶表示装置であっても等しく適応し得るもの
である。加えて、下記実施例1及び2においては、光検出部として、2つの系統の光を検
出する第1、第2TFT光センサを用いた例について説明するが、本発明はこれに限定さ
れることなく、例えば1つの系統の光のみを検出する光検出部にも同様に適応可能である
ことは明白である。
【0030】
図1は本発明の実施例1に係る半透過型液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視して
表しAR基板を模式的に示した平面図である。図2は図1のAR基板の1画素分を示し、
図2Aは平面図、図2Bは図2AのIIB−IIB線の断面図である。図3は図1の光検出部
を示し、図3Aは検出部を拡大した平面図、図3B光検出部の等価回路図である。図4は
図3Aの光検知部を所定方向で切断したもので、図4AはIVA−IVA線の断面図、図4B
はIVB−IVB線の断面図、図4CはIVC−IVC線の断面図、図4DはIVD−IVD線の断面
図である。図5は、図1の光検出部の変形例を示し、図5Aは光検出部を拡大した平面図
、図5Bは図5AのVB−VB線の断面図である。図6は本発明の実施例2に係る半透過
型液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視して表しAR基板を模式的に示した平面図、
図7は図6の光検出部を示し、図7Aは光検出部を拡大した平面図、図7Bは図7AのVI
IB−VIIB線の断面図である。図8は図7の光検出部の変形例を示し、図8Aは検出部を
拡大した平面図、図8Bは図8AのVIIIB−VIIIB線の断面図である。図9Aは液晶表示
装置を搭載したパーソナルコンピュータを示す図であり、図9Bは液晶表示装置を搭載し
た携帯電話機を示す図である。
【実施例1】
【0031】
図1を参照して、本発明の実施例1に係る液晶表示装置1の概要を説明する。
本実施例に係る液晶表示装置1は半透過型液晶表示装置からなり、互いに対向配置され
る矩形状の光透過性電気絶縁材料、例えばガラス板からなる基板上に種々の配線等を施し
てなるTFTアレイ基板(以下、AR基板という)2と、同様に矩形状の光透過性電気絶
縁材料からなる基板上に種々の配線等を施してなるカラーフィルタ基板(以下、CF基板
という)10とを有する。このうち、AR基板2はCF基板10と対向配置させたときに
所定スペースの張出し部2Aが形成されるようにCF基板10よりサイズが大きいものが
使用される。また、これらAR基板2及びCF基板10の外周囲にシール材(図示省略)
が貼付されて、内部に液晶14及びスペーサ(図示省略)が封入された構成となっている

【0032】
AR基板2は、それぞれ対向する短辺2a、2b及び長辺2c、2dを有する。このう
ち、一方の短辺2b側が張出し部2Aとなっており、この張出し部2Aにソース及びゲー
ト駆動用の半導体チップからなるドライバDrが搭載されている。また、他方の短辺2a
側には光検出部LDが配設されている。加えて、AR基板2の背面には照明手段として
のバックライト(図示省略)が設けられている。このバックライトは光検出部LDの出
力に基づいて、図示しない外部制御回路(制御手段)によって制御されるようになってい
る。
【0033】
このAR基板2は、その対向面、すなわち液晶14と接触する面に、図1の行方向(横
方向)に所定間隔をあけて配列された複数本のゲート配線GWと、これらのゲート配線G
Wと絶縁され列方向(縦方向)に配列された複数本のソース配線SWとを有する。これら
のソース配線SWとゲート配線GWとはマトリクス状に配線されており、互いに交差する
ゲート配線GWとソース配線SWとで囲まれる各領域に、ゲート配線GWからの走査信号
によってオン状態となるスイッチング素子としてのTFT(図2A参照)及びソース配線
SWからの映像信号がスイッチング素子を介して供給される画素電極26(図2B参照)
が形成されている。
【0034】
これらのゲート配線GWとソース配線SWとで囲まれる各領域は、いわゆる画素領域P
Aを構成し、これらの画素領域PAが複数個形成されたエリアが表示領域DAとなってい
る。なお、この画素領域PAは外光を反射して表示を行う反射部22と、バックライトか
らの光を透過させて表示を行う透過部23とに分かれている。
【0035】
各ゲート配線GW及び各ソース配線SWは表示領域DAの外周囲、すなわち額縁領域へ
延出されこの額縁領域を引回されてドライバDrに接続されている。また、AR基板2の
一方の長辺2d側には光検出部LDの第1、第2TFT光センサLS、LSから導
出された複数本の引回し配線L〜Lが配線されて外部制御回路が接続される端子T
〜Tに接続されている。各端子T〜Tには外部制御回路が接続されており、この制
御回路から光検出部LDへ基準電圧、ゲート電圧等が供給され、さらに光検出部LD
からの出力が送出される。なお、各第1、第2TFT光センサLS、LSとこれらの
光センサから導出される各引回し配線L〜Lとの関係については後述する。
【0036】
次に、主に図2A及び図2Bを参照して、各画素領域PAの具体的構成について説明す
る。
AR基板2の表示領域DAには、ゲート配線GWが等間隔に平行になるように形成され
、更にこのゲート配線GWからTFTのゲート電極Gが延設されている。また、この隣り
合うゲート配線GW間の略中央にはゲート配線GWと平行に補助容量線16が形成されて
いる。補助容量線16にはこの補助容量線16が拡幅されて形成された補助容量電極17
が設けられている。
【0037】
AR基板2の全面には、ゲート配線GW、補助容量線16、補助容量電極17及びゲー
ト電極Gを覆うようにして窒化ケイ素や酸化ケイ素などの透明絶縁材料からなるゲート絶
縁膜18が積層されている。ゲート電極Gは、その上にゲート絶縁膜18を介してアモル
ファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層19が形成されている。また、ゲート絶
縁膜18上には、複数のソース配線SWがゲート配線GWと交差するようにして形成され
、このソース配線SWから半導体層19と接触するようにTFTのソース電極Sが延設さ
れている。更には、ソース配線SW及びソース電極Sと同一の材料からなるドレイン電極
Dが同じく半導体層19と接触するようにゲート絶縁膜18上に設けられている。
【0038】
ここで、ゲート配線GWとソース配線SWとに囲まれた領域が1画素に相当している。
このように形成されたゲート電極G、ゲート絶縁膜18、半導体層19、ソース電極S及
びドレイン電極DによってTFTが構成される。また、ドレイン電極Dと補助容量電極1
7によって各画素領域PAの補助容量を形成することになる。
【0039】
これらのソース配線SW、TFT及びゲート絶縁膜18を覆うようにAR基板2の全面
にわたり例えば無機絶縁材料からなる保護絶縁膜(パッシベーション膜ともいう)20が
積層され、この保護絶縁膜20上に例えばネガ型の感光材料を含むアクリル樹脂等からな
る層間膜(平坦化膜ともいわれる)21がAR基板2全体にわたり積層されている。この
層間膜21の表面は、反射部22においては微細な凹凸が形成されており、透過部23に
おいては平らになされている。なお、図2においては反射部22における凹凸は図示を省
略している。また、この保護絶縁膜20及び層間膜21のドレイン電極Dに対応する位置
には、コンタクトホール25が形成されている。
【0040】
そして、反射部22の層間膜21の表面にはスパッタリング法等によって例えばアルミ
ニウムないしアルミニウム合金製の反射板24が形成されている。更に、それぞれの画素
において、反射板24の表面、コンタクトホール25内及び透過部23の層間膜21の表
面には、例えばITO(Indium Tin Oxide)ないしIZO(Indium Zinc Oxide)からな
る画素電極26が形成されている。また、この画素電極26の更に上層には、全ての画素
領域PAを覆うように配向膜(図示せず)が積層されている。
【0041】
CF基板10は、その表面にAR基板2のゲート配線GW及びソース配線SWに対向す
るように遮光層BM(図4A或は図4C参照)が形成されており、この遮光層BMに囲ま
れたそれぞれの画素に対応して例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からなるカラ
ーフィルタ層27が設けられている。更に、反射部22に対応する位置のカラーフィルタ
層27の表面にはトップコート層28が形成されており、このトップコート層28の表面
及び透過部23に対応する位置のカラーフィルタ層27の表面には共通電極29及び配向
膜(図示せず)が積層されている。
【0042】
そして、上述した構成を備えるAR基板2及びCF基板10がシール材を介して貼り合
わされ、最後にこの両基板とシール材とによって囲まれた領域に液晶14が封入されるこ
とにより、半透過型の液晶表示装置1を得ることができる。なお、両基板の外面には偏光
板(図示省略)が設けられており、更に、AR基板2の下方には、図示しない周知の光源
、導光板、拡散シート等を有するバックライトないしはサイドライトを配置される。
【0043】
なお、上記液晶表示装置1において、反射板24を画素電極26の下部全体に亘って設
けると反射型液晶表示パネルが得られる。この反射型液晶表示パネルを使用した反射型液
晶表示装置の場合は、バックライトないしはサイドライトに代えてフロントライトが使用
される。これらのバックライト、サイドライト及びフロントライトは照光手段を構成して
いる。
【0044】
次に、図1及び図3A及び図3Bを参照して、光検出部LDの構成を説明する。なお
、図3では光センサ30〜30を合計6個示しているが、この光センサ30〜30
の数は6個に限定されることなく、2つ以上であれば適宜その数を変更することが可能
である。
【0045】
光検出部LDは、2つの系統からなる第1、第2TFT光センサLS、LSで構
成されている。これらの第1、第2TFT光センサLS、LSは、それぞれ複数個(
図3ではそれぞれ3個)の光センサ30〜30及び30〜30を備えている。第
1TFT光センサLSを構成する光センサ30〜30と第2TFT光センサLS
を構成する光センサ30〜30は、互いに隣接しかつ平行な状態で、それぞれ一列に
設けられている。
【0046】
図3Bを参照して、第1、第2TFT光センサLS、LSの回路構成を説明する。
複数個の光センサ30〜30は、ドレイン電極DL1〜DL6とソース電極SL1
〜SL6の間にそれぞれコンデンサC〜Cが並列接続されている。また、これらのソ
ース電極SL1〜SL6とコンデンサC〜Cの一方の端子は引回し配線L、L
介して端子T、Tに接続されており、さらに、この端子T、Tはスイッチング素
子SW1及びSW2を介して第1基準電圧源Vsに接続されている。さらに、光センサ3
〜30のドレイン電極DL1〜DL6及びコンデンサC〜Cの他方の端子は単
一の引回し配線Lを介して端子Tに接続されており、この端子Tには所定の直流電
圧を供給する第2基準電圧源Vrefが接続されている。さらに、端子T、Tには出
力線がそれぞれ接続されており、この出力線から所定の出力電圧S及びSが出力され
るようになっている。さらに、光センサ30〜30のゲート電極GL1〜GL6は引
回し配線Lを介して端子Tに接続されており、この端子Tは所定の電圧供給源GV
に接続されている。
【0047】
なお、検出された出力電圧は、図示しない検出回路で環境光の強度の検出に用いられ、
この検出された環境光の強度に基づいて、図示しない制御手段によりバックライト(照光
手段)の制御がされる。この検出回路としては、例えばスイッチ素子SW1、SW2のオ
ン/オフに同期した公知のサンプリングホールド回路によってアナログ出力電圧に変換し
、このアナログ出力電圧をA/D変換器によってデジタル変換した後にデジタル演算処理
するものを用いる。
【0048】
複数個の光センサ30〜30及び30〜30は、いずれも同じ構成のTFTか
らなり、これらのTFTは上記液晶表示パネルの製造工程においてスイッチング素子とし
て形成されるTFTと同時に形成されている。これにより、光センサを形成するために別
途製造工程を増加させる必要がないので、安価且つ簡単に製造することが可能となる。
【0049】
以下、これらの光センサうち、それぞれ1つの光センサ30及び光センサ30の構
成を図3及び図4を参照して説明する。
第1TFT光センサLSを構成する光センサ30は、図3A及び図4Aに示すよう
に、AR基板2上に、先ずゲート電極GL1が形成される。このゲート電極GL1は、こ
のゲート電極GL1と並列に配設された引回し配線Lの外側まで延設されており、バッ
クライトからの光が受光部に入り込むことを防止する遮光部材としての機能も備えている
。このゲート電極GL1は、その上に透明絶縁材料からなるゲート絶縁膜18が形成され
る。ゲート絶縁膜18上の平面視でゲート電極GL1に重なる領域には、非晶質シリコン
又は多結晶シリコンから構成され環境光の受光部となる半導体層31が形成されている。
この半導体層31上には、この半導体層31の一側、詳しくは第1TFT光センサLS
の第2TFT光センサLSに隣接した側部の反対側に位置する側部から半導体層31を
横切るように複数本のソース電極SL1が形成されている。同時に、この半導体層31の
他側、すなわち第1TFT光センサLSの第2TFT光センサLSに隣接した側部か
ら同じく半導体層31を横切るように複数本のドレイン電極DL1が形成されている。ま
た、ソース電極SL1は、複数本に分割・分岐されて引回し配線Lに接続されている。
すなわち、このソース電極SL1は平面視でほぼくし歯状に分割・分岐されて外側の引回
し配線Lに接続されている。同様に、ドレイン電極DL1も複数本に分割されて、分割
された電極がソース電極間に配置されるようにして、端部が内側の引回し配線Lに接続
されている。また、ソース電極SL1及びドレイン電極DL1の更に上層には、保護絶縁
膜20が形成されている。
【0050】
図4Bに示すように、ゲート電極GL1には、このゲート電極GL1とソース電極S
から導出された引回し配線Lとがゲート絶縁膜18を介して重なる箇所に所定の大き
さの穴Hが形成されている。そして、この穴Hはゲート絶縁膜18を介して引回し配
線Lで覆われる。
【0051】
このようにゲート電極GL1と引回し配線Lとが重なる箇所においてゲート電極G
に穴Hを形成すると、このゲート電極GL1とソース電極SL1から導出された引回
し配線Lとの重畳面積が削減できるので、これらの間に形成される容量が低減される。
また、このゲート電極GL1の穴Hと同様に他の光センサ30、30のゲート電極
L1にも穴H、Hが形成されている。したがって、第1TFT光センサLSのゲ
ート電極GL1と引回し配線L、すなわちソース配線との間で形成される容量が低減さ
れる。引回し配線Lは、ゲート電極GL1に設けた穴H〜Hを完全に覆い且つ光漏
れが発生しない幅長を有し、他の穴H、Hも同じ構成になっている。なお、このゲー
ト電極には、穴H〜Hに代えて切欠きを形成することも可能である。
【0052】
図4Aに示すように、光センサ30はCF基板10の対向する領域に透明樹脂からな
るオーバーコート層(平坦化膜)32が配設された窓部Wを介して環境光が照射される。
また、この窓部Wの周囲は遮光層BMによって遮光されている。なお、他の光センサ30
、30も同じ構成になっている。このように窓部Wの周囲を遮光層BMで遮光するこ
とで、環境光以外が半導体層31に照射されることがほとんどなく、より正確に環境光を
受光することが可能となる。
【0053】
また、同様にして引回し配線Lと重なるゲート電極GL1〜GL3にも穴Ha〜Hc
が設けられている。また、これらの穴Ha〜Hcはドレイン電極DL1〜DL3から導出
されたドレイン配線としての引回し配線Lによって完全に覆われている。
【0054】
図4C及び図4Dは、第2TFT光センサLSを構成する光センサ30を示してい
る。この光センサ30は上記の光センサ30と略同じ構成を有しているがCF基板1
0に窓部Wが形成されていない点が異なっている。すなわち、光センサ30は引回し配
線Lの外側まで延設されたゲート電極GL4を覆うように透明絶縁材料からなるゲート
絶縁膜18が形成され、このゲート絶縁膜GL4上には、非晶質シリコン又は多結晶シリ
コンから構成され環境光の受光部となる半導体層31が形成されている。また、この半導
体層31上には、この半導体層31の一側、詳しくは第2TFT光センサLSの第1T
FT光センサLSに隣接した側部の反対に位置する側部から半導体層31を横切るよう
に複数本のソース電極SL4が形成されている。同時に、この半導体層31の他側、詳し
くは第2TFT光センサLSの第1TFT光センサLSに隣接した側部から同じく半
導体層31を横切るように複数本のドレイン電極DL4が形成されている。ソース電極S
L4は第2TFT光センサLSの外側にゲート電極GL4と並列に引回された引回し配
線Lから延設するように複数本形成されているので、このソース電極SL4は平面視で
ほぼくし歯状となっている。同様に、ドレイン電極DL4は第2TFT光センサLS
内側に引回された引回し配線Lから延設するように複数本形成されており、ソース電極
L4と同様に平面視でくし歯状となっている。そして、ソース電極SL4及びドレイン
電極DL4の更に上層には、保護絶縁膜20が形成されている。
【0055】
この光センサ30は、CF基板10の対向する領域に形成された遮光層BMによって
遮光されている。したがって、この光センサ30にはほとんど環境光が受光されること
がなく、この光センサ30の出力は暗基準電圧として用いられる。さらに、上述したよ
うに、第2TFT光センサLSのドレイン電極DL4〜DL6と第1TFT光センサL
のドレイン電極DL1〜DL3とは単一の引回し配線Lにより端子Tに接続され
ている。しかし、この引回し配線Lを介して供給される電圧は、第2基準電圧源Vre
fからの電圧であるので、第1、第2TFT光センサLS、LSのいずれも正常に動
作することが可能となる。なお、本実施例においては、光センサ30は遮光層BMによ
り遮光されたものとして説明したが、この遮光層BMに代えて所定色のカラーフィルタに
より受講する光を限定するようにしてもよい。
【0056】
この光センサ30のゲート電極GL4にも、TFTのソース電極SL4から導出され
て形成された引回し配線Lとゲート絶縁膜18を介して重なる箇所に所定の大きさの穴
が形成されている。このようにゲート電極GL4とソース配線としての引回し配線L
とが重なる箇所のゲート電極GL4に穴Hをあけることによって、ゲート電極GL4
と引回し配線Lとの間に形成される容量が低減される。また、このゲート電極GL4
同様に他の光センサ30、30のゲート電極GL5、GL6にも穴H、Hが形成
されている。したがって、第2TFT光センサLSのゲート電極GL4〜GL6と引回
し配線Lとの間で形成される容量が顕著に低減される。なお、引回し配線Lは穴H
〜Hを完全に覆い且つ光漏れが発生しない幅長を有している。
【0057】
更に、同様にして引回し配線Lと重なるゲート電極GL4〜GL6にも穴Ha〜Hc
が設けられている。また、これらの穴Ha〜Hcはドレイン電極DL4〜DL6から導出
されたドレイン配線としての引回し配線Lによって完全に覆われている。
【0058】
上述のような構成を備える光検出部LDは、以下の方法で光検出を行う。すなわち、
先ず、第1、第2TFT光センサLS、LSのそれぞれの光センサ30〜30
ゲート電極GL1〜GL6に電圧供給源GVから端子T及び引回し配線Lを介してゲ
ートオフ領域となる一定の逆バイアス電圧(例えば−10V)を印加すると共にドレイン
電極DL1〜DL6に第2基準電圧源Vrefからの所定の電圧を印加する。次いで、ド
レイン電極DL1〜DL6とソース電極SL1〜SL6との間にコンデンサC〜C
接続する。そして、スイッチ素子SW1、SW2の何れか又は双方をオンにして第1基準
電圧源Vsから所定の電圧(例えば+2V)をコンデンサC〜C及び/又はC〜C
の両端に印加し、所定時間後にスイッチ素子SW1及び/又はSW2をオフする。その
後所定時間経過した段階でコンデンサC〜C及び/又はC〜Cの充電電圧を出力
線に出力して、この充電電圧を検出回路に供給することにより環境光の強度を検出するこ
とができる。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施例1に係る液晶表示装置1によれば、ゲート電極G
L1〜GL6は、引回し配線L〜Lと重なる箇所において複数個の穴H〜H、H
a〜Hc及びH〜Hが形成されているので、これらの引回し配線L〜Lとゲート
電極GL1〜GL6の間でゲート絶縁膜18を介して形成される容量が低減される。この
容量が大きくなると、光センサ30〜30から導出される出力配線の時定数が増大し
て環境光を検知してから出力するまでの検出時間が長く掛かり、素早い検出結果が得られ
ず応答性が悪くなる恐れがある。しかしながら、上述のように引回し配線L〜Lとゲ
ート電極GL1〜GL6の間に形成される容量を削減することで検出時間を短縮すること
が可能となる。
【0060】
(変形例)
図5を参照して、実施例1の液晶表示装置における光検出部の変形例を説明する。
本変形例に係る光検出部LD1Aは、図5Aに示すように、上述した光検出部LD
略同じ構成を有し、異なる構成は、光検出部LD1Aのゲート電極GL1〜GL6が上述
の光検出部LDのゲート電極GL1〜GL6より縮幅されている点にある。
【0061】
光検出部LD1Aは、2つの系統からなる第1、第2TFT光センサLS、LS
構成されている。これらの第1、第2TFT光センサLS、LSは、それぞれ3個の
光センサ30〜30及び光センサ30〜30を備えている。そして、図5Bに示
すように、ゲート電極GL1とソース電極SL1から導出された引回し配線L及びドレ
イン電極DL1から導出された引回し配線Lとが重なる箇所は、ゲート電極GL1が縮
幅されている分だけその重畳面積が小さくなっている。このとき、ゲート電極GL1と引
回し配線L、Lとは間に隙間が形成されないように一部が積層されている。ちなみに
、図5Bにおいては光センサ30について要部を拡大して示しているが、他のゲート電
極GL2、GL3も同様の構成を備えている。
【0062】
また、同様にしてゲート電極GL4〜GL6とソース電極SL4〜SL6に接続された
引回し配線Lとが重なる箇所も、ゲート電極GL4〜GL6の面積が縮小されている分
だけその重畳面積が小さくなっている。
【0063】
さらにまた、同様にしてゲート電極GL4〜GL6とドレイン電極DL4〜DL6に接
続された引回し配線Lとが重なる箇所も、ゲート電極GL4〜GL6の面積が縮小され
ている分だけその重畳面積が小さくなっている。
【0064】
この構成により、ゲート電極GL1〜GL6と引回し配線L〜Lとの間で形成され
る容量が顕著に低減される。また、このゲート電極GL1〜GL6の端縁が引回し配線L
〜Lで覆われ間に隙間が生じないように積層されているので、バックライトからの光
は良好に遮光される。さらに、ソース配線及びドレイン配線の面積を拡大、すなわち引回
し配線L、Lを拡幅すれば、配線抵抗が低減されるのでさらに好ましい。すなわち、
本変形例に係るゲート電極GL4〜GL6は、その外縁部のみが引回し配線L〜L
平面視で重畳されるように、つまり、引回し配線L〜Lの最も第1、第2TFT光セ
ンサLS、LSに近接する部分まで延在した構成となっている。なお、このときの重
畳幅については光漏れが生じない範囲で適宜調整することができる。
【実施例2】
【0065】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施例2に係る半透過型の液晶表示装置を説
明する。
実施例2に係る液晶表示装置1Aは、実施例1の液晶表示装置1と光検出部を構成する
光センサの配列構造が異なり他の構成は同じになっている。この液晶表示装置1Aは、実
施例1の液晶表示装置1と、光検出部LDを構成する光センサの配列構造が、後者が図
1に示すように上下2列に配列されているのに対して、前者は図6に示すように一列に配
列した点に特徴がある。すなわち、この光検出部LDは、光センサ40〜40及び
引回し配線L〜Lの配設構造が異なるのみで、他の構成については実施例1のものと
同様であるので、同一の構成を備えるものについては実施例1の符号を参照して説明する
ものとする。
【0066】
液晶表示装置1Aの光検出部LDは、複数の光センサ(例えば4個)40〜40
が一列に配列されている。これら複数の光センサ40〜40のうち、光センサ40
及び40が実施例1の第1TFT光センサLSの光センサ30〜30と同じ構成
を有し、光センサ40及び40が実施例1の第2TFT光センサLSの光センサ3
〜30と同じ構成を有している。すなわち、第1TFT光センサLSとしての光
センサ40及び40と第2TFT光センサLSとしての光センサ40及び40
とが同一直線状に交互に配設されている。
【0067】
また、第1TFT光センサLSの光センサ40及び40は、上記実施例1の図4
に示した構造と同様であって、ゲート電極GL1、GL3はソース電極SL1、SL3
接続された引回し配線Lの外側まで延設されている。また、第2TFT光センサLS
の光センサ40及び40も、上記実施例1の図4に示した構造と同様であって、ゲー
ト電極GL2、GL4はソース電極SL2、SL4に接続された引回し配線Lの外側ま
で延設されている。これらのソース電極SL1〜SL4に接続された引回し配線L及び
は、互いに平行に設けられており、これらの引回し配線L及びLが途中で分岐し
て各光センサ40〜40のソース電極SL1〜SL4を形成している。
【0068】
さらに、光センサ40〜40は、ソース電極SL1〜SL4に対向するように配線
されたドレイン電極DL1〜DL4を有している。このドレイン電極DL1〜DL4は光
センサ40〜40のそれぞれの間を蛇行するように配線された引回し配線Lに接続
されている。また、ゲート電極GL1〜GL4には、このゲート電極GL1〜GL4と引
回し配線L、Lとが重なる箇所に、実施例1と同様に穴H〜Hが形成されている
。なお、図7ではゲート電極GL1〜GL4の引回し配線Lと重なる箇所には穴を形成
していないが、適宜形成することはもちろん可能である。
【0069】
以上のように、本実施例2においても、実施例1に示したものと同様に、ゲート電極G
L1〜GL4と引回し配線L〜Lとの間で形成される容量が顕著に低減される。また
、本実施例2の光センサの数を実施例1と同数にした場合、光センサの配置が実施例1の
ものに比して広範囲に配置されるので、障害物等によって部分的に環境光が遮られたとし
ても、安定した検出を維持することが可能となる。
【0070】
(変形例)
図8を参照して、実施例2の液晶表示装置における光検出部の変形例を説明する。
変形例に係る光検出部LD2Aは、上記光検出部LDと略同じ構成を有し、異なる構
成は、ゲート電極GL1〜GL4を光検出部LDのゲート電極GL1〜GL4より縮幅
した点にある。
【0071】
光検出部LD2Aは、2つの系統からなる第1TFT光センサLS及び第2TFT光
センサLSで構成されている。これらの第1、第2TFT光センサLS、LSは、
2個の光センサ50、50及び50、50をそれぞれ備えている。このうち、第
1TFT光センサLSを構成する光センサ50、50において、ゲート電極GL1
と引回し配線Lとが重なる箇所は、図7Bに示すように、ゲート電極GL1が縮幅され
ている分だけその重畳面積が小さくなっている。このとき、ゲート電極GL1と引回し配
線Lとは間に隙間が形成されないように一部が積層されていると好ましい。ちなみに、
図7Bにおいては光センサ50について要部を拡大して示しているが、他のゲート電極
L3も同様の構成を備えている。また、第2TFT光センサをLS構成する光センサ
50、50においても、ゲート電極GL2、GL4と引回し配線Lとが重なる箇所
は、ゲート電極GL2、GL4が縮幅されている分だけその重畳面積が小さくなっている

【0072】
この構成により、ゲート電極GL1〜GL4と引回し配線L、Lとの間で形成され
る容量が顕著に低減される。また、このゲート電極GL1〜GL4の端縁が引回し配線L
、Lで覆われ間に隙間が生じないように積層されているので、バックライトからの光
は良好に遮光される。さらに、ソース配線及びドレイン配線の面積を拡大、すなわち引回
し配線L、Lを拡幅すれば、配線抵抗が低減されるのでさらに好ましい。すなわち、
本変形例に係るゲート電極GL4〜GL6は、その外縁部のみが引回し配線L〜L
平面視で重畳されるように、つまり、引回し配線L〜Lの最も第1、第2TFT光セ
ンサLS、LSに近接する部分まで延在した構成となっている。なお、このときの重
畳幅については光漏れが生じない範囲で適宜調整することができる。
【0073】
上述のような本発明の半透過型液晶表示装置1、1Aは、パーソナルコンピュータ、携
帯電話機、携帯情報端末などの電子機器に使用することができる。図9Aは液晶表示装置
71を搭載したパーソナルコンピュータ70を示す図であり、図9Bは液晶表示装置76
を搭載した携帯電話機75を示す図である。これらのパーソナルコンピュータ70及び携
帯電話機75の基本的構成は当業者に周知であるので、詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る半透過型液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視して表しAR基板を模式的に示した平面図である。
【図2】図2は図1のAR基板の1画素分を示し、図2Aは平面図、図2Bは図2AのIIB−IIB線の断面図である。
【図3】図3は図1の光検出部を示し、図3Aは検出部を拡大した平面図、図3B光検出部の等価回路図である。
【図4】図4は図3Aの光検知部を所定方向で切断したもので、図4AはIVA−IVA線の断面図、図4BはIVB−IVB線の断面図、図4CはIVC−IVC線の断面図、図4DはIVD−IVD線の断面図である。
【図5】図5は図1の光検出部の変形例を示し、図5Aは検出部を拡大した平面図、図5Bは図5AのVB−VB線の断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例2に係る半透過型液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視して表しAR基板を模式的に示した平面図である。
【図7】図7は図6の光検出部を示し、図7Aは検出部を拡大した平面図、図7Bは図7AのVIIB−VIIB線の断面図である。
【図8】図8は図7の光検出部の変形例を示し、図8Aは検出部を拡大した平面図、図8Bは図7AのVIIIB−VIIIB線の断面図である。
【図9】図9Aは液晶表示装置を搭載したパーソナルコンピュータを示す図であり、図9Bは液晶表示装置を搭載した携帯電話機を示す図である。
【図10】従来技術の光センサを示し、図10Aは光センサの平面図、図10Bは図10AのXB−XB線の断面図である。
【図11】図11AはTFT光センサの電圧−電流曲線の一例を示す図、図11BはTFT光センサの作動回路図、図11Cは明るさが異なる場合コンデンサの両端の電圧−時間曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1、1A、:半透過型液晶表示装置 2:AR基板、10:CF基板 14:液晶 18
:ゲート絶縁膜 19、31:半導体層 20:保護絶縁膜 21:層間膜 22:反射
部 23:透過部 24:反射板 25:コンタクトホール 26:画素電極 27:カ
ラーフィルタ層 28:トップコート層 30〜30、40〜40、50〜5
:光センサ GW:ゲート配線 SW:ソース配線 DA:表示領域 PA:画素領
域 LD、LD1A、L、LD2A:光検出部 LS:第1TFT光センサ LS
:第2TFT光センサ SL1〜SL6:ソース電極 DL1〜DL6:ドレイン電極
L1〜GL6:ゲート電極 C〜C:コンデンサ Vs:第1基準電圧源 Vr
ef:第2基準電圧源 SW1、SW2:スイッチ素子 Dr:ドライバ L〜L
引回し配線 T〜T:端子 BM:遮光層 W:窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1、第2基板の基板間に液晶層を介在して貼り合わせた液晶表示パネルと、前
記液晶表示パネルの基板に組み込まれて外光を検出する薄膜トランジスタ(以下、TFT
という)からなるTFT光センサを有する光検出部と、前記液晶表示パネルを照光する照
光手段と、前記光検出部に接続された検出回路と、該検出回路の出力に基づいて前記照光
手段の明るさを制御する制御手段と、を備えた液晶表示装置において、
前記TFT光センサのゲート電極とソース電極及びドレイン電極から導出されたソース
配線及びドレイン配線とは並列に配設されているとともに、前記ゲート電極とソース配線
及びドレイン配線との間に隙間が生じないように、前記ゲート電極の外縁部が平面視で前
記絶縁部材を介して前記ソース配線及びドレイン配線により覆われていることを特徴とす
る液晶表示装置。
【請求項2】
前記ゲート電極の平面視で前記絶縁部材を介して前記ソース配線及びドレイン配線によ
り覆われている箇所には、所定大きさの穴又は切欠きが形成されていることを特徴とする
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記光検出部は、前記TFT光センサを複数個備え、これら複数個のTFT光センサは
、異なる系統の光を検出する第1、第2TFT光センサに区分されて、前記第1TFT光
センサ及び第2TFT光センサのソース配線又はドレイン配線のうち、前記検出回路に接
続されていない配線同士が単一の配線により形成されていることを特徴とする請求項1に
記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1、第2TFT光センサの複数個の光センサは、前記第1TFT光センサと前記
第2TFT光センサとが互いに隣接して平行に配列されていることを特徴とする請求項3
に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1、第2TFT光センサの複数個の光センサは、前記第1TFT光センサと前記
第2TFT光センサとは同列上に交互に配列されていることを特徴とする請求項3に記載
の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1、第2TFT光センサの少なくとも一方は遮光層又は所定色のカラーフィルタ
層で覆われていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記TFT光センサは、前記液晶表示パネルの製造工程においてスイッチング素子とし
て形成されるTFTと同時に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示
装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−145716(P2009−145716A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324316(P2007−324316)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】