説明

液晶表示装置

【課題】球状のスペーサを用いずに、セルギャップを保持する。
【解決手段】第1の基板と、第1の基板に対向する第2の基板201とを有し、第1の基板は、画素電極と、薄膜トランジスタと、画素電極の上方に設けられた第1の配向膜と、を有し、第2の基板201は、選択的に設けられたカラーフィルタと、複数のギャップ保持部材220と、複数のギャップ保持部材220を覆って設けられた第2の配向膜230とを有し、ギャップ保持部材220の材料は感光性樹脂であり、ギャップ保持部材220は、カラーフィルタが設けられた領域及びカラーフィルタが設けられていない領域にそれぞれ設けられ、かつカラーフィルタが設けられていない領域に設けられたギャップ保持部材220は、カラーフィルタが設けられた領域に設けられたギャップ保持部材220よりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する発明は、一対の対向する基板を有する表示装置に関するものであり
、対向する基板間隔の維持手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近安価なガラス基板上に半導体薄膜を形成した半導体装置、例えば薄膜トランジスタ
(TFT)を作製する技術が急速に発達してきている。その理由は、アクティブマトリク
ス型液晶表示装置の需要が高まってきたことによる。
【0003】
アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配置された数十〜数百万個も
の画素領域にそれぞれTFTが配置され、各画素電極に出入りする電荷をTFTのスイッ
チング機能により制御するものである。
【0004】
アクティブマトリクス型液晶表示装置の基本的な構成は、2つの対向する基板からなり
、一方は画素領域を有するTFT基板と呼ばれ、他方は対向基板と呼ばれている。TFT
基板は数十〜数百万個の画素スイッチングTFT(画素TFTと呼ぶ)を含む画素領域と
、それらを駆動する複数のTFTを含む周辺駆動回路領域とによって構成される。
【0005】
他方、対向基板はTFT基板の画素領域と対向する透明導電性膜から成る対向電極と、
配向膜とが形成された透明基板で構成されている。
【0006】
TFT基板および対向基板には、液晶材料の配向性を整えるためのラビングなどの配向
処理が行われる。その後、TFT基板と対向基板との基板間隔(セルギャップ)を維持す
るために、TFT基板又は対向基板のいずれか一方に粒形のスペーサが均一に散布される
。次に、シール剤によって2つの基板が貼り合され、TFT基板と対向基板との間に液晶
材料が充填され、液晶注入口が封止材で封止される。こうしてアクティブマトリクス型液
晶表示装置が作製される。
【0007】
しかし、上記のような構成を有する液晶表示装置や反強誘電性液晶表示には以下のよう
な問題点がある。
【0008】
最近注目されてきている強誘電性液晶を用いた液晶表示装置や、反射型液晶表示装置に
は、その特性上、小さいセルギャップが求められている。しかし、従来のような粒形のス
ペーサを用いて小さく均一なセルギャップを有するセルを作製することは、一般的に困難
である。
【0009】
更に、従来の粒形のスペーサは、液晶材料注入時に、液晶材料の流動によって粒状のス
ペーサ自体も流れてしまい、結果として均一なスペーサ散布密度を得ることができず、セ
ル厚ムラの原因となっている。また、粒状のスペーサは流動して複数個凝集すると、スペ
ーサが点欠陥として視認されてしまう。
【0010】
また、一般的に製造または試作されている液晶表示装置は画素ピッチに関係なく、透過
型であれば4〜6μm程度、反射型であれば2〜3μmのセルギャップを確保しているよ
うであるが、今後は、液晶パネルの高精細化が求められ、画素ピッチを更に微細化する傾
向が強まってきている。
【0011】
例えば、投射型液晶表示装置(プロジェクション)は、画像をスクリーンに拡大投射す
ることを考えて可能な限り高精細な画像を表示できることが望ましい。またコストの面か
らも光学系を小型化する必要があり、パネルサイズを小さくすることが必要である。この
ため、今後は画素ピッチが40μm以下、好ましくは30μm以下の液晶表示装置を作製
する必要がある。
【0012】
画素ピッチが微細化するに従って、1つの画素面積に対してスペーサの占有面積との相
対比が大きくなるため、スペーサが点欠陥となってしまうおそれが生ずる。
【0013】
更に、高精細な画像を必要とする液晶表示装置において、粒形のスペーサが画素領域に
存在する場合、スペーサの近傍は液晶材料の配向性が乱れるため、画像表示の乱れ(ディ
スクリネーション)が観測される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、従来の粒形のスペーサを用いてセルギャップを制御する場合は、さま
ざまな要因により良好な表示を得ることができないことがある。
【0015】
本発明は、従来使用された粒状のスペーサを用いないで、セルギャップが保持された表
示装置を提供することを課題とする。
【0016】
更に、本発明は、TFT基板のTFTにダメージを与えないように、セルギャップを保
持する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明に係る液晶表示装置の作製方法の第1の構成は、
第1の基板と、前記第1の基板に対向する第2の基板とを有し、前記第1の基板には、薄
膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに接続された画素電極とが設けられた液晶表示
装置の作製方法であって、前記第1の基板上に第1の配向膜を形成し、前記第2の基板に
感光性樹脂膜を形成し、光を照射することにより前記感光性樹脂膜を感光させ、前記感光
性樹脂膜から複数のギャップ保持部材を形成し、前記複数のギャップ保持部材を形成した
後、前記第2の基板上に第2の配向膜を形成し、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜に
はラビング処理を行わないことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る液晶表示装置の作製方法の第2の構成は、第1の基板と、前記第1
の基板に対向する第2の基板とを有し、前記第1の基板には、薄膜トランジスタと、前記
薄膜トランジスタに接続された画素電極とが設けられた液晶表示装置の作製方法であって
、前記第1の基板上に第1の垂直配向膜を形成し、前記第2の基板に感光性樹脂膜を形成
し、光を照射することにより前記感光性樹脂膜を感光させ、前記感光性樹脂膜から複数の
ギャップ保持部材を形成し、前記複数のギャップ保持部材を形成した後、前記第2の基板
上に第2の垂直配向膜を形成し、前記第1の垂直配向膜と前記第2の垂直配向膜にはラビ
ング処理を行わないことを特徴とする。
【0019】
上記の第1又は第2の構成において、ギャップ保持部材を設けたため、第1に、スペー
サが不要になる。第2に、ギャップ保持部材の高さを任意に設定できるので、基板間距離
を任意に決定することができる。第3に、ギャップ保持部材が固定されているので、従来
のスペーサのようにダマ状に凝集することが無く、点欠陥となることがない。
【0020】
また、上記第1の発明および第2の発明では、ギャップ保持部材の位置を適宜に設定で
きる。例えば、ギャップ保持部材が、前記画素領域と概略対向する領域に設けることがで
きる。この場合には、ギャップ保持部材をカラーフィルタのブラックマトリクス上や、画
素領域のバスライン上等の表示に使用されない箇所に設けると良い。あるいは、ギャップ
保持部材を画素領域と対向しない領域に設けることによって、表示に影響を与えないで基
板間隔を保持することができる。
【0021】
また、本発明を、第1の基板(TFT基板)に、画素領域と、画素領域に配置されたス
イッチング素子を駆動する駆動回路が配置された駆動回路領域と、を設けた表示装置に適
用した場合、ギャップ保持部材を第2の基板(対向基板)のうち、第1の基板に設けられ
た駆動回路領域と対向しない領域に設けるとよい。この場合、ギャップ保持部材による応
力によって、駆動回路を損傷・破壊することを回避できる。
【0022】
更に本発明では、ギャップ保持部材を第2の基板に設けたため、ギャップ保持部材の形
成工程によって生ずる影響(溶剤やエッチェントによる影響、機械的な衝撃等)を第1の
基板に与えずに済む。第1の基板には画素領域や駆動回路が配置されるため、第2の基板
と比較して非常に集積度が高い。そのため、本発明では、第1の基板に対する処理をでき
るだけ少なくするために、第2の基板にギャップ保持部材を設けるようにしたものである

【0023】
更に、本発明のギャップ保持部材は第2の基板に設けることによって、材料を選択する
際の条件が、第1の基板に設けた場合よりも緩やかになる。例えば、本発明を、TFTを
有する液晶表示装置に用いた場合、第1の基板(TFT基板)には画素TFTや駆動回路
TFTが形成されているため、ギャップ保持部材の材料としては、これらTFTを構成す
る材料に対して、エッチング選択比をとれるような材料を選択しなければならない。
【0024】
他方、第2の基板(対向基板)には、対向電極、カラーフィルタが形成される程度であ
り、TFT基板と比較して使用される材料は少ないので、対向基板にギャップ保持部材を
形成する場合には、材料を選択する条件が少なくなる。更に、ギャップ保持部材の作製に
必要なエッチング液やエッチングガス等の材料や、作製手段の選択幅も広くなる。
【0025】
また、基板の隙間を均一に維持できるようにするため、本発明のギャップ保持部材は下
地の凹凸を相殺できる平坦化材料で形成するのが好ましい。例えば、ポリイミド、アクリ
ル、ポリアミド、またはポリイミドアミドから選ばれた樹脂材料や、紫外線硬化性樹脂、
エポキシ樹脂を代表とする熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0026】
上記の樹脂材料はTFT基板(第1の基板)の層間絶縁膜として使用されることが多く
、このような場合、TFT基板に、樹脂材料でなるギャップ保持部材を設けると、エッチ
ングの選択比をとることが困難である。そこで、本発明では、ギャップ保持部材を対向基
板(第2の基板)に形成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、ギャップ保持部材を設けたため、スペーサが不要になる。また、ギャップ
保持部材の高さを任意に設定できるので、基板間距離を任意に決定することができる。そ
のため、特に、基板間隔が2〜3μm程度の反射型の液晶表示装置や、2μm以下とする
強誘電性液晶表示装置のような、狭い基板間隔を保持する表示装置に本発明は特に好適で
ある。また、微細な画素配置を有する投射型液晶パネルにも好適である。
【0028】
また、ギャップ保持部材は第2の基板(対向基板)に固定されており、ギャップ保持部
材が凝集することによる点欠陥の発生を防止することができる。
【0029】
また、ギャップ保持部材の形成位置を制御できるため、その形成位置を画素領域外部や
、バスライン上やブラックマトリクス上等の表示に寄与しない箇所に設けることで、表示
不良の原因を減らすことができる。
【0030】
また、本発明では、ギャップ保持部材を第2の基板に設けたため、ギャップ保持部材の
形成工程によって生ずる影響(エッチェントによる影響、機械的な衝撃等)を第1の基板
に形成された素子に与えずに済むため、歩留まりを向上させることができる。
【0031】
また、ギャップ保持部材を第2の基板に設けたことにより、TFT等のスイッチング素
子が設けられた第1の基板(TFT基板)に設けるよりも、ギャップ保持部材に使用でき
る材料の選択が容易になる。また、ギャップ保持部材の作製に必要なエッチング材等の材
料や、手段の選択幅も広い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例1の液晶表示装置の断面構成の概略図である。
【図2】実施例1のTFT基板、対向基板の正面図である。
【図3】実施例1のTFT基板の作製工程を示す図である。
【図4】実施例1のTFT基板の作製工程を示す図である。
【図5】実施例1の対向基板の作製工程を示す図である。
【図6】実施例1の対向基板の正面図および斜視図である。
【図7】実施例5の対向基板の正面図である。
【図8】実施例4の対向基板の正面図である。
【図9】実施例6の対向基板の正面図である。
【図10】実施例7の対向基板の正面図である。
【図11】実施例7の対向基板の正面図である。
【図12】実施例8の対向基板の正面図である。
【実施例1】
【0033】
図1〜図6を用いて本実施例を説明する。本実施例は、本発明をアクティブマトリクス
型液晶表示装置へ応用した例を説明する。図1は液晶表示装置の断面構成の概略図であり
、図2(A)はTFT基板の正面図であり、図2(B)は対向基板の正面図である。
【0034】
図2(A)に示すように、TFT基板100は、基板101上に、画素電極や画素電極
に接続されたTFT等が配置された画素領域102と、画素領域102のTFTを駆動す
るための駆動回路が配置された駆動回路領域103、104からなる。
【0035】
また、図2(B)に示すように、対向基板200は、基板201と、202で示される
TFT基板100の画素領域102と対向する領域と、203、204で示される駆動回
路領域103、104と対向する領域とでなる。図1に示すように、基板201周辺に設
けられたシール材205により、TFT基板100と対向基板200が貼り合わされる。
【0036】
更に、図1に示すように、対向基板200には、画素領域102に対向する対向電極2
10と、TFT基板100と対向基板200との隙間を保持するためのギャップ保持部材
220が設けられている。
【0037】
TFT基板100と対向基板200の隙間には、液晶注入口206から液晶300が注
入され、シール材205により液晶300が封止される。また、TFT基板100、対向
基板200には、それぞれ液晶300を配向するための配向膜110、230を有する。
【0038】
次に、図3、4を用いてTFT基板100の作製方法について説明する。図3、4の右
側に画素領域102に配置されるTFTの作製工程を示し、左側に駆動回路領域103、
104に配置されるTFTの作製工程を示す。
【0039】
まず、図3(A)を参照する。ガラス基板101上に、ガラス基板からの不純物拡散防
止用の下地絶縁膜121として酸化珪素膜を100〜300nmの厚さに形成する。この
酸化珪素膜の形成方法としては、酸素雰囲気中でのスパッタ法やプラズマCVD法を用い
ればよい。本実施例では、TEOSガスを原料にしてプラズマCVD法によって、酸化珪
素膜を200nmの厚さに形成した。なお、基板101に石英基板を用いた場合には、下
地絶縁膜121は不要である。
【0040】
次に、プラズマCVD法やLPCVD法によってアモルファスもしくは多結晶のシリコ
ン膜を30〜150nm、好ましくは50〜100nmの厚さに形成する。そして、熱ア
ニールを行い、シリコン膜を結晶化させる。熱アニールは500℃以上、好ましくは80
0〜900℃の温度で行う。熱アニールによってシリコン膜を結晶化させた後、光アニー
ルを行うことによって更に結晶性を高めてもよい。また、熱アニールによってシリコン膜
を結晶化させる際に、特開平6−244104号公報に開示されているように、ニッケル
等の元素(触媒元素)を添加することによって、シリコンの結晶化を促進させてもよい。
【0041】
本実施例では、プラズマCVD法によって、アモルファスシリコン膜を50nmの厚さ
に形成した後、450℃で1時間加熱して水素出しを行い、エキシマレーザ光を照射し多
結晶化した。そして、多結晶化したシリコン膜をパターニングして、島状の周辺駆動回路
TFTの活性層(Pチャネル型TFT活性層122、Nチャネル型TFT活性層123)
、および画素TFTの活性層124を形成する。図3では便宜上、3つのTFTだけを図
示したが、実際は、数百万個のTFTを同時に形成する。
【0042】
次にゲイト絶縁膜125を形成する。本実施例では、プラズマCVD法によって、一酸
化二窒素(NO)とモノシラン(SiH)との混合ガスを原料ガスにして、厚さ12
0nmの絶縁膜を形成した。
【0043】
その後、スパッタ法でアルミニウム膜を300nmの厚さに形成し、パターニングして
、ゲイト電極126、127、128をそれぞれ形成する。
【0044】
次に、図3(B)に示すように、イオンドーピング法によって全ての島状活性層122
〜124にゲイト電極126〜128をマスクにして、リンイオンを自己整合的にドーピ
ングをする。ドーピングガスはフォスフィン(PH)を用いる。この時の、ドーズ量は
1×1012〜5×1013原子/cmとする。この結果、弱いN型領域(N領域)
129、130、131が形成される。
【0045】
次に、図3(C)に示すように、Pチャネル型TFTの活性層122全てを覆うフォト
レジストのマスク132と、画素TFTの活性層124の一部を覆うフォトレジストのマ
スク134を形成する。マスク134は、ゲイト電極128と平行に、ゲイト電極128
の端から3μm離れた部分までを覆う。
【0046】
そして、再びイオンドーピング法によって燐イオンを注入する。ドーピングガスは、フ
ォスフィンを用いる。ドーズ量は1×1014〜5×1015原子/cmとする。この
結果、強いN型領域(N領域)のソース/ドレイン135、136が形成される。画素
TFTの活性層124の弱いN型領域(N領域)131のうちマスク134で覆われて
いた領域137は、今回のドーピングでは燐イオンは注入されない。したがって、領域1
37は弱いN型領域のままである。なお、低濃度不純物領域137の幅xは約3μmとし
た。
【0047】
次に、図3(D)に示すように、Nチャネル型TFTの活性層123、124をフォト
レジストのマスク138で覆う。そして、ジボラン(B)をドーピングガスとして
イオンドーピングを行い、島状領域122に硼素を注入する。ドーズ量は5×1014
8×1015原子/cmとする。今回のドーピングでは、硼素のドーズ量が前述の図3
(C)で示される工程においてドーピングされた燐のドーズ量を上回るため、先に形成さ
れていた弱いN型領域129は、強いP型領域139に反転する。
【0048】
その後、450〜850℃で、0.5〜3時間熱アニールを施すことにより、ドーピン
グ不純物を活性化させ、かつシリコンの結晶性を回復させる。この熱アニール処理により
、ドーピングによるシリコン膜のダメージを回復する。
【0049】
以上のドーピングにより、駆動回路領域103(104)には、強いN型領域135で
なるソース/ドレインを有するN型TFTと、強いP型領域139でなるソース/ドレイ
ンを有するP型TFTが形成される。また、画素領域102には、強いN型領域136で
なるソース/ドレインと、弱いN型領域でなる低濃度不純物領域137を有するN型TF
Tが形成される(図3(D))。
【0050】
次に、図3(E)示すように第1層間絶縁膜140を形成する。本実施例では、プラズ
マCVD法によって窒化珪素膜を500nmの厚さに形成した。第1層間絶縁膜140は
酸化珪素膜や酸化窒化珪素膜の単層膜、あるいは窒化珪素膜と酸化珪素膜との多層膜や、
窒化珪素膜と酸化窒化珪素膜の多層膜であってもよい。次に、第1層間絶縁膜140をエ
ッチングしてコンタクトホールを形成する。
【0051】
その後、スパッタ法によって、チタン/アルミニウム/チタンでなる多層膜を形成し、
これをエッチングして駆動回路の電極・配線141、142、143、および画素TFT
の電極・配線144、145を形成する。本実施例では、チタンの膜厚をそれぞれ100
nmとし、アルミニウムの膜厚を300nmとした。
【0052】
次に、図4(A)に示すように、厚さ1.0〜2.0μmの厚さに有機樹脂膜でなる第
2層間絶縁膜146を形成する。有機樹脂膜として、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミ
ドアミド、ポリアクリル等を用いることができる。本実施例では、第2層間絶縁膜146
としてポリイミド膜を1.5μmの厚さに形成した。
【0053】
そして、フォトリソグラフィー法によって画素TFTの電極145に達するコンタクト
ホールを形成する。そして、1wt%のチタンを添加したアルミニウム膜を300nmの
厚さに形成しパターニングして、図4(B)に示すように、画素電極147を形成した。
【0054】
図1(A)に示すTFT基板100の画素領域102においては、それぞれの画素電極
に少なくとも1つ以上のTFTが配置され、電気的に接続されている。駆動回路領域10
3、104には駆動回路としては、シフトレジスタやアドレスデコーダなどが用いられる
。また、その他の回路が必要に応じて構成される。
【0055】
このようにして、複数の駆動回路TFT(駆動回路領域103、104)と複数の画素
TFT(画素領域102)とが同一基板101上に一体形成されたTFT基板100が作
製される。なお本実施例では、画素数は、縦1024×横768とした。なお、本明細書
では、最端部の画素TFTを含む画素TFTが存在する領域を画素領域と呼び、最端部の
駆動回路TFTを含む駆動回路TFTが存在する領域を駆動回路領域と呼ぶことにする。
【0056】
そして、図4(C)に示すように、TFT基板100を良く洗浄し、TFT形成時の表
面処理に用いられたエッチング液、レジスト剥離液等の各種薬品を十分に洗浄した後、配
向膜110をTFT基板100上に形成する。配向膜110の形成方法は後述する。
【0057】
次に、対向基板200の作製工程を、図5を用いて説明する。先ず図5(A)を参照す
る。基板201として、透光性を有するガラス基板や石英基板を用いる。本実施例では、
ガラス基板を用いた。ガラス基板201上に、透明導電膜を形成しパターニングして、画
素領域102に対向する領域202に対向電極210を形成した。本実施例では、透明導
電膜として、ITO膜を150nmの厚さに形成した(図5(A))。
【0058】
なお、必要であれば、対向電極210を形成する前に、カラーフィルタ、ブラックマト
リクスを、染色法や印刷法等の公知の方法で作製する。カラーフィルタには、厚さが均一
で平坦であること、耐熱性および耐薬品性に優れていること等が要求される。
【0059】
次に、ギャップ保持部材220の形成工程を説明する。本実施例では、ギャップ保持部
材220を感光性の樹脂材料の1つであるポリイミドで形成する。
【0060】
まず、図5(B)に示すように、スピンコート法によって感光性ポリイミド膜211を
厚さ3.2μmに形成した。その後、感光性ポリイミド膜211の表面を対向基板200
全面に渡って平坦にするために、30分間、常温で放置した(レベリング)。そして、上
面に感光性ポリイミド膜211が形成された対向基板200を120℃で3分間プリベー
クした。
【0061】
なお、感光性ポリイミド膜211の膜厚で、セルギャップ(基板間隔)が決定されるの
で、セルギャップに合わせて感光性ポリイミド膜211の膜厚を適宜に設定すればよい。
例えば、透過型液晶表示装置であればセルギャップが4〜6μm程度、反射型液晶表示装
置であればセルギャップが2〜3μm程度、強誘電性液晶表示装置であれば2μm以下と
なるように、感光性ポリイミド膜211の膜厚を決めればよい。本実施例の液晶表示装置
は反射型であるので、感光性ポリイミド膜211の膜厚を3.2μmとなるように形成し
た。
【0062】
次に、感光性ポリイミド膜211をパターニングする。図5(C)に示すように、感光
性ポリイミド膜211をフォトマスク212で覆い、マスク212側から紫外線を照射し
た。その後、現像処理を行い、280℃で1時間ポストベークを施した。こうして、図5
(D)に示すように、パターニングされたセルギャップ保持部材220が形成された。
【0063】
図6(A)は、図5(D)に示す状態の対向基板200の正面図であり、図6(B)は
対向基板200の斜視図を示す。図6(A)および(B)に示されるようにギャップ保持
部材220は円柱形状であり、従来用いられた球状のスペーサに代わるものである。その
ため、ギャップ保持部材220の円柱の直径は1.5〜2.5μm、高さは2.0〜5.
0μmとすればよい。本実施例では、円柱の直径を3.0μmとし、セルギャップを3.
0μmとするため、画素対向領域202においてその高さを3.2μmとした。駆動回路
対向領域203、204でのギャップ保持部材220の高さは対向電極210、カラーフ
ィルタ等の厚さ分高くなっている。
【0064】
また、本実施例では、複数のギャップ保持部材220をランダムに配置して、従来の球
状スペーサと同様の機能を奏するようにした。このため、ギャップ保持部材220の密度
は、従来の球状スペーサと同程度の40〜160個/mm程度の密度に形成すればよい
。本実施例では、50個/mmの密度で、ギャップ保持部材220をランダムに形成し
た。ギャップ保持部材220を対向基板200全体にランダムに配置するため、ギャップ
保持部材220の位置の精度はそれほど重要ではない。よって、製造マージンを大きくす
ることができる。
【0065】
その次に、配向膜110、230をTFT基板100上および対向基板200上に形成
する(図4(C)、図5(E)参照)。配向膜110、230の材料には、垂直配向型の
ポリイミド膜を用いた。配向膜110、230の膜厚は、60nm〜100nm程度とす
ればよい。
【0066】
まず、TFT基板100、対向基板200をそれぞれ洗浄した後、ポリイミド系の垂直
配向膜をスピンコート法、フレキソ印刷法、あるいはスクリーン印刷法のいずれかによっ
てTFT基板100上および対向基板200上にコートする。本実施例では、スピンコー
ト法によってポリイミド膜を塗布した。その後、80℃で5分間仮焼成し、180℃の熱
風を送り込むことによって加熱(本焼成)し、ポリイミドを硬化させて、配向膜110、
230をそれぞれ形成した。配向膜110、230の厚さは80nmとした。
【0067】
なお、図5(E)では、配向膜230は、ギャップ保持部材220の側面や表面を覆っ
ていないが、本実施例では、ポリイミド被膜をスピンコート法で形成したため、ギャップ
保持部材220の側面や表面をこのポリイミド被膜が若干覆っている場合もあるが、ギャ
ップ保持部材220の高さが数μmであるのに対し、ポリイミド被膜の厚さは数十〜百n
mと極薄いため、また側面のような直立した部分では完全な膜を成していない場合もある
ので、図5(E)では、基板201の水平面に形成された配向膜230のみを図示した。
【0068】
配向膜110、230にはポリイミドを用いたが、アクリル、ポリアミド、またはポリ
イミドアミド等の樹脂を用いてもよい。また、ギャップ保持部材に熱硬化樹脂を用いても
よい。
【0069】
次に、TFT基板100の配向膜110の表面、と対向基板200の配向膜230の表
面双方を、毛足の長さ2〜3mmのバフ布(レイヨン、ナイロン等の繊維)で一定方向に
擦るラビング処理を行った。なお、TFT基板100と対向基板200のラビング向きは
互いに直交するように行って、TNモード型の配向処理を行った。
【0070】
TFT基板100をラビング処理する際は、イオンブロー装置や加湿装置を用いて静電
気防止処置を施して、TFT基板100上に形成されたTFTの静電気破壊を防止した。
【0071】
他方、対向基板200をラビング処理する際は、ギャップ保持部材220を破壊しない
ように、バフ布の種類、植毛密度あるいは、ローラーの回転数等のラビング条件を設定し
た。
【0072】
次に、対向基板200の周辺部に、液晶注入口206を残して、紫外線硬化型樹脂でな
るシール材205を塗布した(図2(B)参照)。そして、TFT基板100と対向基板
200とを対向し、画素領域102のセルギャップがギャップ保持部材220の高さとな
るようにプレスし、この状態でシール材205を硬化させた。なおシール材はTFT基板
100に塗布しても良い。
【0073】
次に、表示媒体としての液晶材料を液晶注入口より注入し、TFT基板100と対向基
板200との間に液晶300が狭持された状態となる。液晶材料注入口206に封止剤を
塗布し、紫外線を照射することによって封止剤を硬化させ、液晶300をセル内に完全に
封止した。以上の工程を経て、図1に示す構成を得る。
【0074】
本実施例では、ギャップ保持部材の形状は、円柱状としたが、ギャップ保持部材の形状
は、楕円形、流線形、あるいは、三角形、四角形などの多角形状であってもよく、TFT
基板(第1の基板)と対向基板(第2の基板)とのギャップを制御できる形状であれば、
いかなる形状を有することも許される。
【0075】
本実施例では、画素電極を金属材料で形成し、反射型の液晶表示装置としたが、TNモ
ード型の配向処理を行いるため、透過型の液晶表示装置としてもよい。この場合、画素電
極を、ITOや、SnO等の透明導電膜で形成すればよい。また、本実施例ではTNモ
ード型としたが、他のモードでも良く、モードに合わせてラビング処理を行えばよい。
【0076】
実施例1ではプレーナ型TFTを例にとって説明してきたが、本発明は当然の如くTF
Tの構造には何ら影響されない、したがって、画素領域および駆動回路領域の個々のTF
Tが逆スタガ型TFTであっても、あるいはマルチゲイト型TFTであってもよい。また
、対向電極もTFT基板に形成されるIPS型の液晶パネルにも応用できる。
【0077】
本実施例では、ギャップ保持部材を感光性樹脂材料で形成したため、その高さを任意に
設定することが可能であり、例えば2μm以下とすることも可能であるため、液晶表示装
置のセルギャップを2μm以下とすることも可能である。よって、本実施例のギャップ保
持部材は強誘電性液晶表示装置の液晶パネルや、投射型液晶表示装置の液晶パネルに好適
である。
【0078】
また、本実施例では、対向基板200にギャップ保持部材が固定したため、従来のスペ
ーサのように液晶の流入によって、凝集されることがないので、スペーサの凝集による点
欠陥をなくすことができる。
【実施例2】
【0079】
実施例1では、TFT基板100、対向基板200双方にラビング処理を施したが、本
実施例では、TFT基板100の配向膜110のみにラビング処理を施す。ラビング処理
以外の作製工程は実施例1と同様である。
【0080】
ラビング工程で使用されるバフ布は静電気や塵の発生源であるので、ラビング処理は液
晶表示装置の歩留まりを大きく左右する。本実施例では、できるだけラビング処理を少な
くするため、TFT基板100一方にラビング処理を施す。
【0081】
対向基板200には、ギャップ保持部材220の高さは数μm程度であり、配向膜23
0の厚さは数十〜百nm程度であり、ギャップ保持部材220は液晶側に突出して形成さ
れているので、バフ布によってギャップ保持部材220が損傷したり、剥離するおそれが
ある。このため、ギャップ保持部材220の高さがばらついて、セルギャップを基板全体
、あるいは基板毎で均一に保つことが困難となる。また、ギャップ保持部材220の損傷
・剥離は新たな塵の発生源となってしまう。
【0082】
また、ギャップ保持部材220が液晶側に突出していることで、配向膜230に十分に
溝を形成することが困難であり、液晶を配向させることができないおそれが生ずる。液晶
を配向できないと表示できないため、液晶を配向させることは製造歩留まりを上げるため
の重要な要素である。
【0083】
このような問題点を回避するため、本実施例では、TFT基板100の配向膜110の
みにラビング処理を施すようにする。
【0084】
本実施例でも、実施例1と同様に、配向膜110、230を垂直配向性を有するポリイ
ミド膜で形成する。そして、TFT基板100の配向膜110の表面を、毛足の長さ2〜
3mmのバフ布(レイヨン、ナイロン等の繊維)で所定方向に擦るラビング処理を行う。
この場合、TFT基板100の製造歩留まりを下げないようにするため、TFT基板10
0のラビング処理では静電気防止対策を行うことが重要である。
【実施例3】
【0085】
実施例2ではTFT基板100に一方にラビング処理を施したが、本実施例では、対向
基板200の配向膜230のみにラビング処理を施す。ラビング処理以外の作製工程は実
施例1と同様である(図1〜6参照)。
【0086】
ラビング工程で使用されるバフ布は、静電気や塵の発生源となっており、ラビング処理
は液晶表示装置の歩留まりを左右する。このため、できるだけラビング処理を少なくする
ため、本実施例では、対向基板200一方にラビング処理を施す。
【0087】
ラビング工程で使用されるバフ布は、静電気や塵の発生源となるものであり、これらは
すべてTFT基板100に形成されるTFTの破壊の原因となるものである。そして、T
FT基板100は対向基板200に比べて多くの工程が必要である。TFT基板100の
不良は液晶表示装置の製造コストを上げてしまう。そこで本実施例では、TFT基板10
0にラビング処理を施さないようにすることで、TFT基板の製造歩留まりを向上させる
ことを目的とする。
【0088】
本実施例でも、実施例1と同様に、配向膜110、230を垂直配向性を有するポリイ
ミド膜で形成する。そして、対向基板200の配向膜230の表面を、毛足の長さ2〜3
mmのバフ布(レイヨン、ナイロン等の繊維)で一定方向に擦るラビング処理を行う。こ
の際に、対向基板200に形成されたギャップ保持部材220を損傷・剥離しないように
、ラビング条件を設定した。
【0089】
実施例2、3では、ラビング処理を一方の基板に施すことを説明したが、それぞれ異な
る効果を奏する実施例であり、ラビング処理を施す基板の選択は、製造コスト、歩留まり
等を考慮して実施者が適宜に選択すればよい。
【0090】
また、本実施例2、3のように、片方の配向膜をラビング処理する場合には、液晶の駆
動モードは限定されてしまうが、複屈折(ECB)モードが使用できることを確認してい
る。
【0091】
他方、実施例1のように両方の配向膜をラビング処理する場合は、ラビング処理が1回
多いが、液晶の駆動モードが限定されない、また液晶を確実に配向できるという効果を奏
する。また、本発明を高分子分散型の液晶表示装置に用いた場合には、配向膜のラビング
工程は不要である。
【実施例4】
【0092】
本実施例では、セルギャップ保持部材の配置の変形例であり、他は、実施例1と同じで
ある。本実施例の対向基板の正面図を図8に示す。なお、図8において図6と同じ符号は
同じ部材を示す。
【0093】
図6に示すように実施例1ではギャップ保持部材220を対向基板200全体にランダ
ムに配置したが、本実施例では、図8に示すようにギャップ保持部材410をマトリクス
状規則的に配置した。ギャップ保持部材410の形状は実施例1と同様とし、直径2.0
μm、高さ3.2μmの円柱形とした。また、ギャップ保持部材410は、実施例1と同
じく50個/mmの密度に形成した。
【0094】
本実施例のギャップ保持部材410も、実施例1のギャップ保持部材220と同様の効
果を得ることができる。
【実施例5】
【0095】
本実施例では、セルギャップ保持部材の配置の変形例であり、他は、実施例1と同じで
ある。本実施例の対向基板の正面図を図7に示す。なお、図7において、図6と同じ符号
は、同じ部材を示す。
【0096】
図6に示すように実施例1ではギャップ保持部材220を対向基板200全体にランダ
ムに配置したが、本実施例では、図7に示すようにギャップ保持部材400を駆動回路対
向領域203、204に形成しないようにし、画素対向領域202内にランダムに設けた
。ギャップ保持部材400の形状は実施例1と同様とし、直径2.0μm、高さ3.2μ
mの円柱形とした。また、ギャップ保持部材400は60個/mmの密度に形成した。
【0097】
駆動回路のTFTの集積度は、画素領域の集積度よりも大きいので、スペーサによる応
力によって破壊されやすい。そこで、本実施例では、駆動回路対向領域203、204に
形成しないようにすることにより、基板を貼り合わせた際に、ギャップ保持部材400が
TFT基板100に形成された駆動回路に応力を与えないため、駆動回路の歩留まりを向
上できる。
【0098】
なお、図7では、ギャップ保持部材400は画素対向領域202の外側にはみ出ている
が、本実施例ではギャップ保持部材400によって、画素領域でセルギャップを保持でき
れば良く、かつギャップ保持部材400が駆動回路対向領域203、204に形成されて
いなければ良い。
【0099】
上記の実施例1、4では、画素対向領域202にギャップ保持部材220、410を形
成しているが、ギャップ保持部材220、410の周囲はディスクリネーションが発生し
やすい。そこで、画素対向領域202にギャップ保持部材220、410を形成する場合
には、表示不良を防止するために、ギャップ保持部材220、410をブラックマトリク
スや、TFT基板100のバス配線等の表示に寄与しない箇所に重なるように設けるとよ
い。
【実施例6】
【0100】
本実施例では、セルギャップ保持部材の配置の変形例であり、他は、実施例1と同じで
ある。本実施例の対向基板の正面図を図9に示す。なお、図9において図6と同じ符号は
同じ部材を示す。
【0101】
実施例5では、セルギャップ保持部材を駆動回路対向領域203、204に形成しない
ようにしたが、本実施例ではセルギャップ保持部材を駆動回路対向領域203、204お
よび画素対向領域202双方に形成しないようにしたものである。
【0102】
TFT基板100の画素領域102と駆動回路領域103、104には、高低差があり
、一般に、画素領域102の方が高くなる。しかしながら、実施例1のギャップ保持部材
220は、基板201からギャップ保持部材220の上底までの高さは、基板全体で均一
としたため、画素領域102と駆動回路領域103、104の高低差が大きくなると、こ
の高低差を補償することが困難となり、基板を貼り合わせた際に、セルギャップのムラが
生ずるおそれがある。
【0103】
また、実施例1、実施例4では、対向基板200全体にギャップ保持部材を形成したた
め、このギャップ保持部材によって、画素領域102や、駆動回路領域103、104に
配置されたTFTにダメージを与えるおそれがある。
【0104】
本実施例は、上記の問題点を解消し、セルギャップを無くし、かつTFT基板に形成さ
れるTFTに損傷を与えないような、ギャップ保持部材の配置方法に関する。
【0105】
本実施例の対向基板の正面図を図9に示す。なお、図9において、図6と同じ符号は、
同じ部材を示す。また、対向基板200の作製方法は、実施例1と同じである。
【0106】
本実施例では、図9(A)に示すように、円柱状のギャップ保持部材420を画素対向
領域202を取り囲むように配置した。ギャップ保持部材420のサイズは、直径10μ
m、高さ3.2μmの円柱状とした。また、ギャップ保持部材420の位置は、基板を貼
り合わせた状態で、TFT基板100の画素領域102の端部から70μm離れるように
形成し、ギャップ保持部材420の間隔は30μmとした。なお、液晶注入口206付近
のギャップ保持部材420の密度は他の部分より小さくし、液晶を流動しやすくする。
【0107】
画素対向領域202と駆動回路対向領域203、204との間隔は数百μm程度あり、
ギャップ保持部材420の直径と比較して十分大きいので、ギャップ保持部材420の位
置に対する製造マージンは±10μm程度と大きなものとなる。他方、ギャップ保持部材
420の高さの精度は、セルギャップを決定するため重要であり、本実施例では、±0.
1μm程度とした。
【0108】
また、図9(A)では、画素対向領域202の周囲にのみ、ギャップ保持部材420を
形成したが、図9(B)に示すように、駆動回路対向領域203、204の周囲にも、ギ
ャップ保持部材420と同様に、ギャップ保持部材421、422を形成してもよい。
【0109】
本実施例では、ギャップ保持部材420は、基板を貼り合わせた際に、画素領域102
、駆動回路領域103、104に重ならない場所に形成した。このため、セルギャップは
ギャップ保持部材420、および421、422の高さだけで決定することができるため
、画素領域102、駆動回路領域103、104の高さに差が生じても、そのセルギャッ
プを基板全体、あるいは他の基板同士でも均一にすることができる。
【0110】
さらに、ギャップ保持部材420によって、TFT基板100に形成された画素TFT
や駆動回路TFTを押圧することが無いため、歩留まりを向上させることができる。
【0111】
本実施例では、ギャップ保持部材を、画素対向領域202、駆動回路対向領域203、
204の周囲に形成したが、ギャップ保持部材に位置は、図9に限定されるものではなく
、セルギャップを維持でき、かつ画素対向領域202、駆動回路対向領域203、204
以外なら任意に設定できる。
【実施例7】
【0112】
本実施例は実施例6の変形例であり、図10(A)は対向基板の正面図であり、図10
(B)は対向基板の斜視図である。対向基板の作製方法は、実施例1と同様であり、図1
0において図6と同じ符号は同じ部材を示す。
【0113】
本実施例では、ギャップ保持部材430を基板201に対して概略直立した壁状に形成
した。ギャップ保持部材430は、画素対向領域202を取り囲んで形成し、かつ液晶注
入口206に連結される。ギャップ保持部材430は幅20μmとし、その高さを3.2
μmとし、画素対向領域202の端部から50μm離間した。
【0114】
本実施例では、ギャップ保持部材430は、基板を貼り合わせた際に、画素領域102
、駆動回路領域103、104に重ならない場所に形成した。このため、セルギャップは
ギャップ保持部材430の高さだけで決定することができるため、画素領域102、駆動
回路領域103、104の高さに差が生じても、そのセルギャップを基板全体、あるいは
他の基板同士でも均一にすることができる。
【0115】
さらに、ギャップ保持部材430によって、TFT基板100に形成されたTFTを押
圧することが無いため、歩留まりを向上させることができる。
【0116】
さらに図10(A)に示すように、本実施例のギャップ保持部材430は画素領域に液
晶を封止できる構造であることを特徴する。ギャップ保持部材430によって、液晶は画
素領域のみに注入され、駆動回路領域103、104には、液晶300が注入されないた
め、駆動回路の負荷容量を小さくすることができ、クロストークの発生を抑制することが
できる。
【0117】
なお、図10(A)では、画素対向領域202の周囲にのみギャップ保持部材430を
形成したが、図11に示すように、駆動回路対向領域203、204の周囲にも、ギャッ
プ保持部材430と同様な、壁状のギャップ保持部材431、432をそれぞれ形成して
もよい。
【0118】
また、本実施例ではギャップ保持部材430によって画素領域に液晶を封止できる構造
であればよく、他のギャップ保持部材431、432の形状は、壁状に限定されず、円柱
状、楕円柱状、矩形柱状、多角柱状としてもよい。また形成される位置は、駆動回路対向
領域203、204の周囲に限定されるものではなく、セルギャップを維持でき、かつ画
素対向領域202、駆動回路対向領域203、204以外なら任意に設定できる。
【実施例8】
【0119】
本実施例は実施例7の変形例であり、ギャップ保持部材440によって、液晶は画素領
域のみに注入され、駆動回路領域103、104には、液晶300が注入されないことを
特徴とする。図12に本実施例の対向基板の正面図を示す。図12において、図6を同じ
符号は同じ部材を示し、またTFT基板の作製工程は、実施例1と同様である。
【0120】
図12に示すように、本実施例では、駆動回路対向領域203と204を壁状のギャッ
プ保持部材441で取り囲み、基板を貼り合わせた状態で駆動回路領域103、104に
液晶300が侵入しないようにした。
【0121】
本実施例では、ギャップ保持部材441を基板201に対して概略直立した壁状に形成
した。その幅20μmとし、その高さを3.2μmとし、駆動回路対向領域203と20
4の端部から50μm離間した。
【0122】
他方、画素対向領域の周囲には、矩形柱状のギャップ保持部材440を画素対向領域2
02を取り囲むように配置し、液晶が画素領域に流入するようにした。ギャップ保持部材
440のサイズは長辺30μm、短辺15μm、高さ、3.2μmの矩形柱とした。また
、ギャップ保持部材440の位置は、画素対向領域202の端部から70μm離れるよう
に形成し、ギャップ保持部材440の間隔は30μmとした。なお、液晶注入口206付
近のギャップ保持部材440の密度は他の部分より小さくし、液晶を注入しやすくした。
【0123】
なお、上記実施例1〜8では、表示媒体として液晶材料を用いる場合について説明して
きたが、本発明は、液晶材料と高分子との混合層、いわゆる高分子分散型液晶表示装置に
も用いることができる。
【0124】
また、本発明の表示装置の表示媒体は、対向する基板を有する表示装置に応用可能であ
る。例えば、エレクトロルミネッサンス表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
100 TFT基板
101 基板
102 画素領域
103、104 駆動回路領域
110 配向膜
200 対向基板
201 基板
202 画素対向領域
203、204 駆動回路対向領域
205 シール材
206 液晶注入口
210 対向電極
220 ギャップ保持部材
230 配向膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の基板及び第2の基板を有し、
前記第1の基板には、画素電極及び前記画素電極に接続されたスイッチング素子が配置された画素領域と、前記スイッチング素子を駆動する駆動回路が配置された駆動回路領域とが設けられ、
前記第2の基板には、対向電極と、前記第1の基板と前記第2の基板との隙間を保持する第1のギャップ保持部材及び第2のギャップ保持部材とが設けられ、
前記対向電極は前記画素領域にのみ設けられ、
前記第1のギャップ保持部材は、前記画素領域に対向して、前記対向電極上に設けられ、
前記第2のギャップ保持部材は、前記駆動回路領域に対向して設けられ、
前記第2のギャップ保持部材の高さは、前記第1のギャップ保持部材の高さよりも、前記対向電極の厚さ分高いことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−68668(P2012−68668A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249768(P2011−249768)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【分割の表示】特願2011−369(P2011−369)の分割
【原出願日】平成9年5月26日(1997.5.26)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】