説明

液滴付与方法、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法および電子機器

【課題】混色や色抜けのない高品質な色要素付き基板を高い生産効率で製造することができる液滴付与方法、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法および電子機器を提供すること。
【解決手段】色要素となるべき複数の区画18Rが形成された基体10Aと、液滴を吐出するノズルを有する液滴吐出手段とを相対的に移動させ、色要素形成用の液状材料をノズルから液滴として吐出して区画へ付与する液滴付与方法であって、区画18Rに着弾した先発の液滴51が乾かないうちに当該区画18Rへさらに後発の液滴52、53、54、55を吐出するに際し、後発の液滴52、53、54、55の各回ごとの総量を先発の液滴51の総量より少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴付与方法、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット装置を用いて、画素(色要素)になるべき多数の区画が形成された基体上の各区画にインク等の液状材料を付与する方法が知られている。例えば、インクジェット装置を用いてカラーフィルタ基板のフィルタエレメントや、マトリクス型表示装置においてマトリクス状に配置された発光部を形成する方法が知られている。
このような方法においては、各画素内の隅々までインクを濡れ広がらせる必要があるので、一つの画素に対し複数滴のインクを付着させることがある。その際にインクを濡れ広がりやすくするための方法として、下記特許文献1には、先に付着した第1インクが液状で存在する間に第2のインクを付着させ、第1のインクと第2のインクとを互いに液状で混和させる方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、先に付着している第1のインクに、第2のインクが衝突したときの衝撃で、インクが飛散して隣の異なる色の画素へ入ってしまい易く、混色を生じるという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−133622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、混色や色抜けのない高品質な色要素付き基板を高い生産効率で製造することができる液滴付与方法、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴付与方法は、色要素となるべき複数の区画が形成された基体と、液滴を吐出するノズルを有する液滴吐出手段とを相対的に移動させ、色要素形成用の液状材料を前記ノズルから液滴として吐出して前記区画へ付与する液滴付与方法であって、
前記区画に着弾した先発の液滴が乾かないうちに当該区画へさらに後発の液滴を少なくとも1回吐出するに際し、前記後発の液滴の各回ごとの総量を前記先発の液滴の総量より少なくすることを特徴とする。
【0006】
これにより、色要素になるべき区画に対し、色要素を形成するために必要な量の液状材料を少ない走査回数で迅速かつ確実に付与することができ、また、付与した液状材料を区画の隅々まで余すところなく、かつ均一に濡れ広がらせる(行き渡らせる)ことができるので、色抜けの発生を確実に防止することができる。また、後発の液滴が着弾した際の液状材料の飛散を抑制することができ、飛沫が隣の区画まで到達するのを有効に防止することができるので、混色の発生を確実に防止することができる。このようなことから、高品質の色要素付き基板を高い生産効率で製造することができる。
【0007】
本発明の液滴付与方法では、前記後発の液滴の1滴の量を前記先発の液滴の1滴の量より少なくすることが好ましい。
これにより、後発の液滴が着弾した際に液状材料が隣の区画まで飛散するのをより確実に防止することができ、混色の発生をより確実に防止することができる。
本発明の液滴付与方法では、前記液滴吐出手段は、前記ノズルに連通するキャビティと、該キャビティ内に充填された液状材料の圧力を変化させる駆動素子とを有するものであり、
前記駆動素子へ印加する駆動電圧波形を変化させることにより、吐出する液滴の1滴の量を調整することが好ましい。
これにより、1滴の液滴の量をより精確に調整することができる。
【0008】
本発明の液滴付与方法では、前記先発の液滴は、一つの前記区画につき複数の前記ノズルから同時に吐出し、当該区画への前記後発の液滴は、前記先発の液滴のときより少ない数のノズルから吐出することが好ましい。
これにより、後発の液滴が着弾した際に液状材料が隣の区画まで飛散するのをより確実に防止することができ、混色の発生をより確実に防止することができる。
【0009】
本発明の液滴付与方法では、前記後発の液滴の各回ごとの総量を前記先発の液滴の総量の30〜70%とすることが好ましい。
これにより、後発の液滴が着弾した際に液状材料が隣の区画まで飛散するのをより確実に防止することができ、混色の発生をより確実に防止することができるとともに、生産効率のさらなる向上が図れる。
【0010】
本発明の液滴付与方法では、前記後発の液滴の飛行速度を前記先発の液滴の飛行速度より遅くすることが好ましい。
これにより、後発の液滴が着弾した際に液状材料が隣の区画まで飛散するのをより確実に防止することができ、混色の発生をより確実に防止することができる。
本発明の液滴付与方法では、液滴の着弾位置が当該区画へ前回に吐出された液滴の着弾位置と異なるようにして液滴を吐出することが好ましい。
これにより、付与した液状材料をより確実に区画の隅々まで余すところなく、かつより均一に濡れ広がらせることができる。
本発明の液滴付与方法では、液滴が着弾してなるドットが当該区画へ前回吐出された液滴が着弾してなるドットにつながるような間隔で液滴を吐出することが好ましい。
これにより、付与した液状材料をより確実に区画の隅々まで余すところなく、かつより均一に濡れ広がらせることができる。
【0011】
本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出するノズルを有する液滴吐出手段と、
色要素となるべき複数の区画が形成された基体と、前記液滴吐出手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記液滴吐出手段および前記移動手段の作動を制御する制御手段とを備え、
前記液滴吐出手段と前記基体とを相対的に移動させつつ、色要素形成用の液状材料を前記ノズルから液滴として吐出して前記区画に付与する液滴吐出装置であって、
前記区画に着弾した先発の液滴が乾かないうちに当該区画へさらに後発の液滴を少なくとも1回吐出するに際し、前記後発の液滴の各回ごとの総量が前記先発の液滴の総量より少なくなるように液滴を吐出することを特徴とする。
【0012】
これにより、色要素になるべき区画に対し、色要素を形成するために必要な量の液状材料を少ない走査回数で迅速かつ確実に付与することができ、また、付与した液状材料を区画の隅々まで余すところなく、かつ均一に濡れ広がらせる(行き渡らせる)ことができるので、色抜けの発生を確実に防止することができる。また、後発の液滴が着弾した際の液状材料の飛散を抑制することができ、飛沫が隣の区画まで到達するのを有効に防止することができるので、混色の発生を確実に防止することができる。このようなことから、高品質の色要素付き基板を高い生産効率で製造することができる。
【0013】
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴付与方法を用いて基体上の複数の区画に色要素を形成して色要素付き基板を製造する工程を有することを特徴とする。
これにより、高品質の色要素付き基板を備えた電気光学装置を高い生産効率で製造することができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置の製造方法により製造された電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、高品質の色要素付き基板を有する電気光学装置を備えた電子機器を安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の液滴付与方法、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<液滴吐出装置の第1実施形態>
(液滴吐出装置の全体構成)
図1に示すように、液滴吐出装置100は、液状材料111を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101から液状材料111が供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド114をキャリッジ105に搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、後述する基体10Aを保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれに液状材料111が圧縮空気によって供給される。
【0015】
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
【0016】
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、液状材料111を塗布すべき区画を有する基体をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッド114の相対位置が変わる。
制御手段112は、液状材料111を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御手段112の詳細な構成および機能は、後述する。
【0017】
(液滴吐出手段)
図2は、液滴吐出手段103をステージ106側から観察した図である。図2に示すように、液滴吐出手段103は、それぞれほぼ同じ構造を有する複数の液滴吐出ヘッド114と、これらの液滴吐出ヘッド114を保持するキャリッジ105とを有している。本実施形態では、液滴吐出手段103に保持される液滴吐出ヘッド114の数は8個である。それぞれの液滴吐出ヘッド114は、後述する複数のノズル118が設けられた底面を有している。それぞれの液滴吐出ヘッド114のこの底面の形状は、2つの長辺と2つの短辺とを有する多角形である。液滴吐出手段103に保持された液滴吐出ヘッド114の底面はステージ106側を向いており、さらに、液滴吐出ヘッド114の長辺方向と短辺方向とは、それぞれX軸方向とY軸方向とに平行である。
【0018】
(液滴吐出ヘッド)
図3は、液滴吐出ヘッド114の底面を示す。液滴吐出ヘッド114は、X軸方向に並んだ複数のノズル118を有する。これら複数のノズル118は、液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXPが約70μmとなるように配置されている。ここで、「液滴吐出ヘッド114におけるX軸方向のノズルピッチHXP」は、液滴吐出ヘッド114におけるノズル118のすべてをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像間のピッチに相当する。
【0019】
本実施形態では、液滴吐出ヘッド114における複数のノズル118は、ともにX軸方向に延びるノズル列116Aと、ノズル列116Bとをなす。ノズル列116Aと、ノズル列116Bとは、間隔を空けて並行に配置されている。そして、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれにおいて、90個のノズル118が一定間隔でX軸方向に一列に並んでいる。本実施形態では、この一定間隔は約140μmである。つまり、ノズル列116AのノズルピッチLNPおよびノズル列116BのノズルピッチLNPは、ともに約140μmである。
【0020】
ノズル列116Bの位置は、ノズル列116Aの位置に対して、ノズルピッチLNPの半分の長さ(約70μm)だけX軸方向の正の方向(図3の右方向)にずれている。このため、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズルピッチHXPは、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズルピッチLNPの半分の長さ(約70μm)である。
したがって、液滴吐出ヘッド114のX軸方向のノズル線密度は、ノズル列116A(またはノズル列116B)のノズル線密度の2倍である。なお、本明細書において「X軸方向のノズル線密度」とは、複数のノズルをY軸方向に沿ってX軸上に射像して得られた複数のノズル像の単位長さ当たりの数に相当する。
【0021】
もちろん、液滴吐出ヘッド114が含むノズル列の数は、2つだけに限定されない。液滴吐出ヘッド114はM個のノズル列を含んでもよい。ここで、Mは1以上の自然数である。この場合には、M個のノズル列のそれぞれにおいて複数のノズル118は、ノズルピッチHXPのM倍の長さのピッチで並ぶ。さらに、Mが2以上の自然数の場合には、M個のノズル列のうちの一つに対して、他の(M−1)個のノズル列は、ノズルピッチHXPのi倍の長さだけ重複無くX軸方向にずれている。ここで、iは1から(M−1)までの自然数である。
【0022】
さて、ノズル列116Aおよびノズル列116Bのそれぞれが90個のノズル118からなるため、1つの液滴吐出ヘッド114は180個のノズル118を有する。ただし、ノズル列116Aの両端のそれぞれ5ノズルは「休止ノズル」として設定されている。同様に、ノズル列116Bの両端のそれぞれ5ノズルも「休止ノズル」として設定されている。そして、これら20個の「休止ノズル」からは液状材料111が吐出されない。このため、液滴吐出ヘッド114における180個のノズル118のうち、160個のノズル118が液状材料111を吐出するノズルとして機能する。
【0023】
図2に示すように、液滴吐出手段103においては、複数個の上記液滴吐出ヘッド114がX軸方向に沿って2列に配置されている。一方の列の液滴吐出ヘッド114と他方の列の液滴吐出ヘッド114とは、休止ノズル分を考慮して、Y軸方向から見て一部重なるように配置されている。これにより、液滴吐出手段103においては、基体10AのX軸方向の寸法分の長さに渡り、液状材料111を吐出するノズル118が前記ノズルピッチHXPでX軸方向に連続するように構成されている。
本実施形態の液滴吐出手段103では、基体10AのX軸方向の寸法分の長さ全体をカバーするように液滴吐出ヘッド114を配置しているが、本発明における液滴吐出手段は、基体10AのX軸方向の寸法分の長さの一部をカバーするようなものでもよい。
【0024】
図4(a)および(b)に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれの液滴吐出ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128と、を備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給される液状材料111が常に充填される液たまり129が位置している。
【0025】
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から液状材料111が供給される。
【0026】
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、キャビティ120内に充填された液状材料111の圧力を変化させる駆動素子としての振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bと、を含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から液状材料111が吐出される。なお、ノズル118からZ軸方向に液状材料111が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
【0027】
ここで、本明細書において「液状材料」とは、ノズルから吐出可能な粘度を有する材料をいう。この場合、材料が水性であると油性であるとを問わない。ノズルから吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が分散していても全体として流動体であればよい。
制御手段112(図1)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル118から吐出される材料111の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル118毎に制御されてもよい。そのような場合には、ノズル118のそれぞれから吐出される材料111の体積は、0pl〜42pl(ピコリットル)の間で可変にしてもよい。また、制御手段112は、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118と、を設定することもできる。
【0028】
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124と、を含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つの液滴吐出ヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。吐出部127は、駆動素子として、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部127は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
【0029】
なお、本発明では、液滴吐出手段103におけるノズルピッチHXPは、上記の大きさに限らず、いかなる大きさであってもよい。
さらに、液滴吐出手段103は、図2に示す構成以外に、複数の液滴吐出ヘッド114がY軸方向に重ねて配置した構成としてもよい。その場合、液滴吐出手段103全体としてのX軸方向のノズルピッチ(ノズル線密度)をさらに短くすることができるので、より高精細に液滴を付与することができる。
【0030】
(制御手段)
次に、制御手段112の構成を説明する。図5に示すように、制御手段112は、入力バッファメモリ200と、記憶手段202と、処理部204と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208とを備えている。バッファメモリ200と処理部204とは相互に通信可能に接続されている。処理部204と記憶手段202とは、相互に通信可能に接続されている。処理部204と走査駆動部206とは相互に通信可能に接続されている。処理部204とヘッド駆動部208とは相互に通信可能に接続されている。また、走査駆動部206は、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッド駆動部208は、複数の液滴吐出ヘッド114のそれぞれと相互に通信可能に接続されている。
【0031】
入力バッファメモリ200は、外部情報処理装置から液状材料111の液滴の吐出を行うための吐出データを受け取る。吐出データは、基体上のすべての区画の相対位置を表すデータと、すべての区画に液状材料111を所望の厚さにまで塗布するのに必要となる相対走査の回数を示すデータと、オンノズル118Aとして機能するノズル118を指定するデータと、オフノズル118Bとして機能するノズル118を指定するデータと、を含む。入力バッファメモリ200は、吐出データを処理部204に供給し、処理部204は吐出データを記憶手段202に格納する。図5では、記憶手段202はRAMである。
【0032】
処理部204は、記憶手段202内の吐出データに基づいて、区画に対するノズル118の相対位置を示すデータを走査駆動部206に与える。走査駆動部206はこのデータと、後述する吐出周期EP(図6)と、に応じた駆動信号を第1位置制御装置104および第2位置制御装置108に与える。この結果、区画に対して液滴吐出ヘッド114が相対走査する。一方、処理部204は、記憶手段202に記憶された吐出データと、吐出周期EPと、に基づいて、吐出タイミング毎のノズル118のオン・オフを指定する選択信号SCをヘッド駆動部208へ与える。ヘッド駆動部208は、選択信号SCに基づいて、液状材料111の吐出に必要な吐出信号ESを液滴吐出ヘッド114に与える。この結果、液滴吐出ヘッド114における対応するノズル118から、液状材料111が液滴として吐出される。
【0033】
制御手段112は、CPU、ROM、RAMを含んだコンピュータであってもよい。この場合には、制御手段112の上記機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムによって実現される。もちろん、制御手段112は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
次に制御手段112におけるヘッド駆動部208の構成と機能を説明する。
図6(a)に示すように、ヘッド駆動部208は、1つの駆動信号生成部203と、複数のアナログスイッチASと、を有する。図6(b)に示すように、駆動信号生成部203は駆動信号DSを生成する。駆動信号DSの電位は、基準電位Lに対して時間的に変化する。具体的には、駆動信号DSは、吐出周期EPで繰り返される複数の吐出波形Pを含む。ここで、吐出波形Pは、ノズル118から1つの液滴を吐出するために、対応する振動子124の一対の電極間に印加されるべき駆動電圧波形に対応する。
駆動信号DSは、アナログスイッチASのそれぞれの入力端子に供給される。アナログスイッチASのそれぞれは、吐出部127のそれぞれに対応して設けられている。つまり、アナログスイッチASの数と吐出部127の数(つまりノズル118の数)とは同じである。
【0034】
処理部204は、ノズル118のオン・オフを表す選択信号SCを、アナログスイッチASのそれぞれに与える。ここで、選択信号SCは、アナログスイッチAS毎に独立にハイレベルおよびローレベルのどちらかの状態を取り得る。一方、アナログスイッチASは、駆動信号DSと選択信号SCとに応じて、振動子124の電極124Aに吐出信号ESを供給する。具体的には、選択信号SCがハイレベルの場合には、アナログスイッチASは電極124Aに吐出信号ESとして駆動信号DSを伝播する。一方、選択信号SCがローレベルの場合には、アナログスイッチASが出力する吐出信号ESの電位は基準電位Lとなる。振動子124の電極124Aに駆動信号DSが与えられると、その振動子124に対応するノズル118から液状材料111が吐出される。なお、それぞれの振動子124の電極124Bには基準電位Lが与えられている。
【0035】
図6(b)に示す例では、2つの吐出信号ESのそれぞれにおいて、吐出周期EPの2倍の周期2EPで吐出波形Pが現れるように、2つの選択信号SCのそれぞれにおいてハイレベルの期間とローレベルの期間とが設定されている。これによって、対応する2つのノズル118のそれぞれから、周期2EPで液状材料111が吐出される。また、これら2つのノズル118に対応する振動子124のそれぞれには、共通の駆動信号生成部203からの共通の駆動信号DSが与えられている。このため、2つのノズル118からほぼ同じタイミングで液状材料111が吐出される。
以上の構成によって、液滴吐出装置100は、制御手段112に与えられた吐出データに応じて、液状材料111を基体10Aに付与する吐出走査を行う。
【0036】
<液滴付与方法の実施形態>
本発明の液滴付与方法は、上述したような液滴吐出装置100を用いて実施される。以下、図7ないし図10を参照しつつ、本発明の液滴付与方法の実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、液晶表示装置に用いるカラーフィルタ基板を製造する場合を想定しているが、後述するように、本発明は、カラーフィルタ基板以外の各種の電気光学装置の製造に適用することができる。
【0037】
図7に示すように、基体10A上には、色要素(画素)となるべき複数の細長い区画18R、18G、18Bが、ブラックマトリクス14およびバンク16に囲まれて形成されている。区画18Rは、R(赤)の色要素になるべき領域であり、区画18Gは、G(緑)の色要素になるべき領域であり、区画18Bは、B(青)の色要素になるべき領域である。
【0038】
各区画18R、18G、18Bは、ほぼ長方形をなしており、その長軸方向(長手方向)がY軸方向に平行であり、その短軸方向がX軸方向に平行になっている。
並設された一組の区画18R、18G、18Bは、カラーフィルタ基板の一画素分に相当する。基体10A上には、多数組の区画18R、18G、18Bが行列状に並べて形成されている。すなわち、この基体10Aは、ストライプ配列のカラーフィルタ基板を製造するためのものである。
【0039】
液滴吐出装置100は、第2位置制御装置108を作動させることにより基体10Aと液滴吐出手段103とをY軸方向に相対的に移動させつつ、色要素形成用の液状材料111をノズル118から液滴として吐出して基体10A上の区画に付与する動作(本明細書ではこの動作を「吐出走査」と言う)を1回または複数回行う。
吐出走査においては、原則として、液滴吐出手段103が基体10A上を端から端まで相対的に通過するように両者をY軸方向に相対的に移動させる。
なお、以下の説明では、区画18Rについて液滴を付与する場合について代表して説明するが、区画18G、区画18Bにも同様に液滴を付与することができる。また、図面では一つの区画18Rのみを示すが、1回の吐出走査において液滴吐出ヘッド114の下を通過する全部の区画18Rについて同様に液滴が付与することができる。
【0040】
本発明の液滴付与方法では、区画18Rに対し、液状材料111の先発の液滴をノズル118から吐出する。先発の液滴は、1滴でも複数滴でもよい。その後、区画18Rに着弾した先発の液滴(液状材料111)が乾かないうち(液状であるうち)に、同じ区画18Rへさらに後発の液滴を1回または複数回吐出する。各回の後発の液滴は、1滴でも複数滴でもよい。
【0041】
本発明では、一つの区画18Rにつき、複数の液滴を付与し、それらの液滴同士が液状のままで合体するので、区画18Rの隅々まで液状材料111を均一に濡れ広がらせることができる。よって、色抜けが発生するのを確実に防止することができる。
また、本発明は、後発の液滴の各回ごとの総量を先発の液滴の総量より少なくすることを特徴とする。これにより、次のような利点がある。
【0042】
後発の液滴が着弾する際には、先発の液滴(液状材料111)が既に付着しているので、後発の液滴が着弾する際の衝撃が強いと、付着していた先発の液滴、すなわち赤色の液状材料111が飛沫となって飛び跳ね、隣の、緑の区画18Gや青の区画18Bに入ってしまうことがある。すると、混色して色が変わってしまい、品質の低下をもたらす。
これに対し、本発明では、後発の液滴を小さく(量を少なく)したことにより、後発の液滴が着弾したとき衝撃を弱くすることができるので、先に付着していた先発の液滴(液状材料111)が飛沫となって飛び跳ねるのが抑制され、仮に飛び跳ねた場合であっても隣の区画18G、18Bまで到達するのを有効に防止することができる。よって、上記のような混色の発生を有効に防止することができる。
【0043】
また、先発の液滴の量は比較的多くするので、必要な量の液状材料111を区画18Rに付与するのに要する液滴数を少なくすることができ、迅速に画素を形成することができるので、生産効率の向上が図れる。
これに対し、本発明と異なり、先発、後発の区別無しにすべての液滴の大きさを小さくしたとすると、混色は防止できるものの、必要な量の液状材料111を区画18Rに付与するのに要する液滴数が増加してしまい、生産効率が低下する。
本発明では、混色防止効果と生産効率向上効果とを高いレベルでバランスする観点からは、後発の液滴の各回ごとの総量を先発の液滴の総量の30〜70%とするのが好ましい。
【0044】
以下、図面を参照しつつ、より具体的に説明する。
図7および図8は、本発明の液滴付与方法の第1実施形態を説明するための図である。
図7および図8に示す第1実施形態では、先発の液滴51は、一つのノズル118から1滴吐出される。その後、同じノズル118から、後発の液滴を1滴ずつ4回吐出する。すなわち、符号52が1回目の後発の液滴、符号53が2回目、符号54が3回目、符号55が4回目である。図7に示すように、後発の液滴52、53、54、55の1滴の量は、先発の液滴51の1滴の量より少なくなるように調整される。
【0045】
ノズル118から吐出する液滴の1滴の量は、振動子124へ印加する駆動電圧波形(図6参照)の形状を変化させることによって調整することができる。
図示の例では、後発の液滴52、53、54、55の1滴の量は、互いに同じ量になっているが、互いに異なっていてもよく、各々の量が先発の液滴51より少なくなっていればよい。
【0046】
また、本発明では、後発の液滴52、53、54、55の飛行速度(吐出速度)を先発の液滴51の飛行速度(吐出速度)より遅くするのが好ましい。これにより、後発の液滴52、53、54、55の着弾時の衝撃をさらに弱くすることができるので、液状材料111の飛散をより確実に防止することができる。なお、液滴の飛行速度は、振動子124へ印加する駆動電圧波形の形状を変化させることによって調整することができる。
【0047】
また、本実施形態では、1回の吐出走査中において、基体10Aとノズル118とがY軸方向に相対的に移動しながら、先発の液滴51および後発の液滴52、53、54、55を順次ノズル118から吐出する。これにより、図8に示すように、先発の液滴51および後発の液滴52、53、54、55の着弾位置を少しずつずらすことができる。よって、液状材料111を区画18Rの隅々までより均一に濡れ広がらせることができる。
【0048】
また、先発の液滴51および後発の液滴52、53、54、55が着弾してなる複数のドットは、走査方向であるY軸方向に沿って並ぶが、図8に示すように、これらのドットがつながる(連続する)ような間隔で液滴を付与するのが好ましい。
ここで、「液滴が着弾してなるドットがつながるような間隔」とは、各々の液滴が区画18Rの底面に着弾してなるドットが他の液滴と合体することなく独立して存在したと仮定した場合にそれらがつながるような間隔のことを言う。
【0049】
ノズル118から吐出された1滴の液状材料111が区画18Rの底面に着弾してなるドットの直径は、1滴の液状材料111の体積や、区画18Rの底面に対する液状材料111の接触角(濡れ性)によって変化するので、1滴の液状材料111が区画18Rの底面に着弾してなるドットの直径の値を予め実験や理論計算によって調べておくことにより、「液滴が着弾してなるドットがつながるような間隔」で液滴を付与する制御を行うことができる。
【0050】
なお、図8に示す先発の液滴51および後発の液滴52、53、54、55が着弾してなる各ドットは、重なり合うように描かれているが、実際には当然のことながらこれらの複数の液滴同士は互いにくっつき合って一体となり、周囲に濡れ広がる。すなわち、図8は、本発明の液滴付与方法を理解し易いように模式的に描いたものであり、区画18R内に付与された液状材料111の実際の濡れ広がり方を表すものではない(図9、図10においても同様)。
【0051】
なお、先発の液滴51および後発の液滴52、53、54、55は、1回の吐出走査でそれらすべてを吐出しなくてもよく、先に付着した液状材料111が乾かないうちであれば、複数回の吐出走査に分けて吐出してもよい。
また、本発明では、区画18Rへの液状材料111を付与するのと、付与した液状材料111を乾燥装置で乾燥(プリベーク)するのとを繰り返し行って、色要素材料を積層形成するようにしてもよい。その場合、本発明では、乾燥後に区画18Rへ再度液状材料111の液滴を吐出する際、上述した先発の液滴、後発の液滴の関係は振り出しに戻って適用される。すなわち、乾燥後に区画18Rへ最初に吐出される液滴が先発の液滴となる。
【0052】
図9は、本発明の液滴付与方法の第2実施形態を説明するための図である。以下、同図に基づいて本発明の液滴付与方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図9に示す第2実施形態では、一つの区画18Rにつき二つのノズル118(以下、ノズル118a、118bと言う)から同時に1滴ずつ先発の液滴61a、61bを吐出する。その後、ノズル118a、118bから同時に1滴ずつ、後発の液滴を5回吐出する。すなわち、符号62a、62bが1回目の後発の液滴であり、符号63a、63bが2回目、符号64a、64bが3回目、符号65a、65bが4回目、符号66a、66bが5回目である。そして、後発の液滴62a、62b、63a、63b、64a、64b、65a、65b、66a、66bの1滴の量は、先発の液滴61a、61bの1滴の量より少なくなるように調整される。
【0053】
また、前述した実施形態と同様に、各回の液滴は、それらの液滴が着弾してなるドットがつながるような間隔で液滴を付与される。
このような第2実施形態の液滴付与方法によれば、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
図10は、本発明の液滴付与方法の第3実施形態を説明するための図である。以下、同図に基づいて本発明の液滴付与方法の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0054】
図10に示す第3実施形態では、一つの区画18Rにつき二つのノズル118(以下、ノズル118a、118bと言う)から同時に1滴ずつ先発の液滴71a、71bを吐出する。その後、ノズル118a、118bから交互に1滴ずつ、後発の液滴を5回吐出する。すなわち、符号72aがノズル118aから吐出された1回目の後発の液滴であり、符号73bがノズル118bから吐出された2回目の後発の液滴であり、符号74aがノズル118aから吐出された3回目の後発の液滴であり、符号75bがノズル118bから吐出された4回目の後発の液滴であり、符号76aがノズル118aから吐出された5回目の後発の液滴である。そして、後発の液滴72a、73b、74a、75b、76aの1滴の量は、先発の液滴71a、71bの1滴の量と同じとされる。
【0055】
このように、先発の液滴は一つの区画につき複数のノズルから同時に吐出し、後発の液滴は先発の液滴のときより少ない数のノズルから吐出するようにすれば、後発の液滴の1滴の量が先発の液滴の1滴の量と同じであってもよい。
また、前述した実施形態と同様に、各回の液滴は、それらの液滴が着弾してなるドットがつながるような間隔で液滴を付与される。
このような第3実施形態の液滴付与方法によれば、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
<液滴吐出装置の第2実施形態>
次に、本発明をカラーフィルタ基板の製造に適用した例についてさらに詳細に説明する。
図11(a)および(b)に示す基体10Aは、後述する製造装置1(図12)による処理を経て、カラーフィルタ基板10となる基板である。基体10Aは、マトリクス状に配置された複数の区画18R、18G、18Bを有する。
【0057】
具体的には、基体10Aは、光透過性を有する支持基板12と、支持基板12上に形成されたブラックマトリクス14と、ブラックマトリクス14上に形成されたバンク16と、を含む。ブラックマトリクス14は遮光性を有する材料で形成されている。そして、ブラックマトリクス14とブラックマトリクス14上のバンク16とは、支持基板12上にマトリクス状の複数の光透過部分、すなわちマトリクス状の複数の画素領域、が規定されるように位置している。
【0058】
それぞれの画素領域において、支持基板12、ブラックマトリクス14、およびバンク16で規定される凹部は、区画18R、区画18G、区画18Bに対応する。区画18Rは、赤の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FRが形成されるべき領域であり、区画18Gは、緑の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FGが形成されるべき領域であり、区画18Bは、青の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FBが形成されるべき領域である。
【0059】
図11(b)に示す基体10Aは、X軸方向とY軸方向との双方に平行な仮想平面上に位置している。基体10Aにおいて、区画18R、区画18G、および区画18Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、区画18R同士はY軸方向に所定の一定間隔をおいて1列に並んでおり、また、区画18G同士はY軸方向に所定の一定間隔をおいて1列に並んでおり、そして、区画18B同士はY軸方向に所定の一定間隔をおいて1列に並んでいる。なお、X軸方向およびY軸方向は互いに直交する。
【0060】
区画18R同士のX軸方向に沿った間隔LRY、すなわちピッチは、ほぼ560μmである。この間隔は、区画18G同士のX軸方向に沿った間隔LGYと同じであり、区画18B同士のX軸方向に沿った間隔LBYとも同じである。また、区画18Rの平面像は、長辺と短辺とで決まる矩形である。具体的には、区画18RのX軸方向の長さはほぼ100μmであり、Y軸方向の長さはほぼ300μmである。区画18Gおよび区画18Bも区画18Rと同じ形状・大きさを有している。区画同士の上記間隔および区画の上記大きさは、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、同一色に対応する画素領域同士の間隔や大きさに対応する。
【0061】
図12に示す製造装置1は、図11の基体10Aの区画18R、18G、18Bのそれぞれに対して、対応するカラーフィルタ材料を吐出する装置である。具体的には、製造装置1は、前述した液滴付与方法によって区画18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rを付与する液滴吐出装置100Rと、区画18R上のカラーフィルタ材料111Rを乾燥させる乾燥装置150Rと、前述した液滴付与方法によって区画18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gを付与する液滴吐出装置100Gと、区画18G上のカラーフィルタ材料111Gを乾燥させる乾燥装置150Gと、前述した液滴付与方法によって区画18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bを付与する液滴吐出装置100Bと、区画18Bのカラーフィルタ材料111Bを乾燥させる乾燥装置150Bと、カラーフィルタ材料111R、111G、111Bを再度加熱(ポストベーク)するオーブン160と、ポストベークされたカラーフィルタ材料111R、111G、111Bの層の上に保護膜20を設ける液滴吐出装置100Cと、保護膜20を乾燥させる乾燥装置150Cと、乾燥された保護膜20を再度加熱して硬化する硬化装置165と、を備えている。さらに製造装置1は、液滴吐出装置100R、乾燥装置150R、液滴吐出装置100G、乾燥装置150G、液滴吐出装置100B、乾燥装置150B、液滴吐出装置100C、乾燥装置150C、硬化装置165の順番に基体10Aを搬送する搬送装置170も備えている。
【0062】
図13に示すように、液滴吐出装置100Rの構成は、第1実施形態の液滴吐出装置100の構成と基本的に同じである。ただし、タンク101とチューブ110とに代えて、液滴吐出装置100Rが液状のカラーフィルタ材料111R用のタンク101Rとチューブ110Rとを備える点で、液滴吐出装置100Rの構成は液滴吐出装置100の構成と異なる。なお、液滴吐出装置100Rの構成要素のうち、液滴吐出装置100の構成要素と同様なものには第1実施形態と同じ参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0063】
液滴吐出装置100Gの構成と、液滴吐出装置100Bの構成と、液滴吐出装置100Cの構成とは、いずれも基本的に液滴吐出装置100Rの構造と同じある。ただし、液滴吐出装置100Rにおけるタンク101Rとチューブ110Rとの代わりに、液滴吐出装置100Gがカラーフィルタ材料111G用のタンクとチューブとを備える点で、液滴吐出装置100Gの構成は液滴吐出装置100Rの構成と異なる。同様に、タンク101Rとチューブ110Rとの代わりに、液滴吐出装置100Bがカラーフィルタ材料111B用のタンクとチューブとを備える点で、液滴吐出装置100Bの構成は液滴吐出装置100Rの構成と異なる。さらに、タンク101Rとチューブ110Rとの代わりに、液滴吐出装置100Cが保護膜材料用のタンクとチューブとを備える点で液滴吐出装置100Cの構成は液滴吐出装置100Rの構成と異なる。なお、本実施形態における液状のカラーフィルタ材料111R、111G、111Bは、本発明の液状材料の一例である。
【0064】
次に、液滴吐出装置100Rの動作を説明する。液滴吐出装置100Rは、基体10A上でマトリクス状に配置された複数の区画18Rに同一の材料を吐出する。なお、第3実施形態において説明するように、基体10Aは、エレクトロルミネッセンス表示装置用の基板に置き換わってもよいし、さらには、プラズマ表示装置用の背面基板に置き換わってもよく、また、電子放出素子を備えた画像表示装置の基板に置き換わってもよい。
【0065】
以下では、製造装置1によってカラーフィルタ基板10が得られるまでの一連の工程を説明する。
まず、以下の手順にしたがって図11の基体10Aを作成する。まず、スパッタ法または蒸着法によって、支持基板12上に金属薄膜を形成する。その後、フォトリソグラフィー工程によってこの金属薄膜から格子状のブラックマトリクス14を形成する。ブラックマトリクス14の材料の例は、金属クロムや酸化クロムである。なお、支持基板12は、可視光に対して光透過性を有する基板、例えばガラス基板である。続いて、支持基板12およびブラックマトリクス14を覆うように、ネガ型の感光性樹脂組成物からなるレジスト層を塗布する。そして、そのレジスト層の上にマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム密着させながら、このレジスト層を露光する。その後、レジスト層の未露光部分をエッチング処理で取り除くことで、バンク16が得られる。以上の工程によって、基体10Aが得られる。
【0066】
なお、バンク16に代えて、樹脂ブラックからなるバンクを用いても良い。その場合は、金属薄膜(ブラックマトリクス14)は不要となり、バンク層は、1層のみとなる。
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体10Aを親液化する。この処理によって、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、で規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)における支持基板12の表面と、ブラックマトリクス14の表面と、バンク16の表面と、が親液性を呈するようになる。さらに、その後、基体10Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部におけるバンク16の表面がフッ化処理(撥液性に処理)され、このことで、バンク16の表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた支持基板12の表面およびブラックマトリクス14の表面は若干親液性を失うが、それでもこれら表面は親液性を維持する。このように、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、によって規定された凹部の表面に所定の表面処理が施されることで、凹部の表面が区画18R、18G、18Bとなる。
【0067】
なお、支持基板12の材質、ブラックマトリクス14の材質、およびバンク16の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、によって規定された凹部の表面が区画18R、18G、18Bである。
【0068】
区画18R、18G、18Bが形成された基体10Aは、搬送装置170によって、液滴吐出装置100Rのステージ106に運ばれる。そして、図14(a)に示すように、液滴吐出装置100Rは、区画18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるように、液滴吐出ヘッド114からカラーフィルタ材料111Rを吐出する。具体的には、液滴吐出装置100Rは、前述した液滴付与方法で区画18Rにカラーフィルタ材料111Rを付与する。基体10Aの区画18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150R内に位置させる。そして、区画18R上のカラーフィルタ材料111Rを完全に乾燥させることで、区画18R上にフィルタ層111FRを得る。
【0069】
次に搬送装置170は、基体10Aを液滴吐出装置100Gのステージ106に位置させる。そして、図14(b)に示すように、液滴吐出装置100Gは、区画18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gの層が形成されるように、液滴吐出ヘッド114からカラーフィルタ材料111Gを吐出する。具体的には、液滴吐出装置100Gは、前述した液滴付与方法で区画18Gにカラーフィルタ材料111Gを付与する。基体10Aの区画18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150G内に位置させる。そして、区画18G上のカラーフィルタ材料111Gを完全に乾燥させることで、区画18G上にフィルタ層111FGを得る。
【0070】
次に搬送装置170は、基体10Aを液滴吐出装置100Bのステージ106に位置させる。そして、図14(c)に示すように、液滴吐出装置100Bは、区画18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bの層が形成されるように、液滴吐出ヘッド114からカラーフィルタ材料111Bを吐出する。具体的には、液滴吐出装置100Bは、前述した液滴付与方法で区画18Bにカラーフィルタ材料111Bを付与する。基体10Aの区画18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150B内に位置させる。そして、区画18B上のカラーフィルタ材料111Bを完全に乾燥させることで、区画18B上にフィルタ層111FBを得る。
【0071】
次に搬送装置170は、基体10Aを、オーブン160内に位置させる。その後、オーブン160はフィルタ層111FR、111FG、111FBを再加熱(ポストベーク)する。
次に搬送装置170は、基体10Aを液滴吐出装置100Cのステージ106に位置させる。そして、液滴吐出装置100Cは、フィルタ層111FR、111FG、111FB、およびバンク16を覆って保護膜20が形成されるように、液状の保護膜材料を吐出する。フィルタ層111FR、111FG、111FB、およびバンク16を覆う保護膜20が形成された後に、搬送装置170は基体10Aを乾燥装置150C内に位置させる。そして、乾燥装置150Cが保護膜20を完全に乾燥させた後に、硬化装置165が保護膜20を加熱して完全に硬化することで、基体10Aはカラーフィルタ基板10となる。
【0072】
<液滴吐出装置の第3実施形態>
次に、本発明をエレクトロルミネッセンス表示装置の製造装置に適用した例を説明する。
図15(a)および(b)に示す基体30Aは、後述する製造装置2(図16)による処理によって、エレクトロルミネッセンス表示装置30となる基板である。基体30Aは、マトリクス状に配置された複数の区画38R、38G、38Bを有する。
【0073】
具体的には、基体30Aは、支持基板32と、支持基板32上に形成された回路素子層34と、回路素子層34上に形成された複数の画素電極36と、複数の画素電極36の間に形成されたバンク40と、を有している。支持基板32は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えばガラス基板である。複数の画素電極36のそれぞれは、可視光に対して光透過性を有する電極であり、例えば、ITO(Indium-Tin Oxide)電極である。また、複数の画素電極36は、回路素子層34上にマトリクス状に配置されており、それぞれが画素領域を規定する。そして、バンク40は、格子状の形状を有しており、複数の画素電極36のそれぞれを囲む。また、バンク40は、回路素子層34上に形成された無機物バンク40Aと、無機物バンク40A上に位置する有機物バンク40Bとからなる。
【0074】
回路素子層34は、支持基板32上で所定の方向に延びる複数の走査電極と、複数の走査電極を覆うように形成された絶縁膜42と、絶縁膜42上に位置するともに複数の走査電極が延びる方向に対して直交する方向に延びる複数の信号電極と、走査電極および信号電極の交点付近に位置する複数のスイッチング素子44と、複数のスイッチング素子44を覆うように形成されたポリイミドなどの層間絶縁膜45と、を有する層である。それぞれのスイッチング素子44のゲート電極44Gおよびソース電極44Sは、それぞれ対応する走査電極および対応する信号電極と電気的に接続されている。層間絶縁膜45上には複数の画素電極36が位置する。層間絶縁膜45には、各スイッチング素子44のドレイン電極44Dに対応する部位にスルーホール44Vが設けられており、このスルーホール44Vを介して、スイッチング素子44と、対応する画素電極36と、の間の電気的接続が形成されている。また、バンク40に対応する位置にそれぞれのスイッチング素子44が位置している。つまり、図15(b)の紙面に垂直な方向から観察すると、複数のスイッチング素子44のそれぞれは、バンク40に覆われるように位置している。
【0075】
基体30Aの画素電極36とバンク40とで規定される凹部(画素領域の一部)は、区画38R、区画38G、区画38Bに対応する。区画38Rは、赤の波長域の光線を発光する発光層211FRが形成されるべき領域であり、区画38Gは、緑の波長域の光線を発光する発光層211FGが形成されるべき領域であり、区画38Bは、青の波長域の光線を発光する発光層211FBが形成されるべき領域である。
【0076】
図15(b)に示す基体30Aは、X軸方向とY軸方向との双方に平行な仮想平面上に位置している。基体30Aにおいて、区画38R、区画38G、および区画38Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、区画38R同士はY軸方向に所定の一定間隔をおいて1列に並んでおり、また、区画38G同士はY軸方向に所定の一定間隔をおいて1列に並んでおり、同様に、区画38B同士はY軸方向に所定の一定間隔をおいて1列に並んでいる。なお、X軸方向およびY軸方向は互いに直交する。
【0077】
区画38R同士のX軸方向に沿った間隔LRY、すなわちピッチは、ほぼ560μmである。この間隔は、区画38G同士のX軸方向に沿った間隔LGYと同じであり、区画18B同士のX軸方向に沿った間隔LBYとも同じである。また、区画38Rの平面像は、長辺と短辺とで決まる矩形である。具体的には、区画38RのX軸方向の長さはほぼ100μmであり、Y軸方向の長さはほぼ300μmである。区画38Gおよび区画38Bも区画38Rと同じ形状・大きさを有している。区画同士の上記間隔および区画の上記大きさは、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、同一色に対応する画素領域同士の間隔や大きさに対応する。
【0078】
図16に示す製造装置2は、図15の基体30Aの区画38R、38G、38Bのそれぞれに対して、対応する発光材料を吐出する装置である。製造装置2は、区画38Rのすべてに発光材料211Rを付与する液滴吐出装置200Rと、区画38R上の発光材料211Rを乾燥させる乾燥装置250Rと、区画38Gのすべてに発光材料211Gを付与する液滴吐出装置200Gと、区画38G上の発光材料211Gを乾燥させる乾燥装置250Gと、区画38Bのすべてに発光材料211Bを付与する液滴吐出装置200Bと、区画38B上の発光材料Bを乾燥させる乾燥装置250Bと、を備えている。さらに製造装置2は、液滴吐出装置200R、乾燥装置250R、液滴吐出装置200G、乾燥装置250G、液滴吐出装置200B、乾燥装置250Bの順番に基体30Aを搬送する搬送装置270も備えている。
【0079】
図17に示す液滴吐出装置200Rは、液状の発光材料211Rを保持するタンク201Rと、チューブ210Rと、チューブ210Rを介してタンク201Rから発光材料211Rが供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102の構成は、第1実施形態の吐出走査部102(図1)の構成と同じであるため、同様な構成要素には同一の参照符号を付けるとともに、重複する説明を省略する。また、液滴吐出装置200Gの構成と液滴吐出装置200Bの構成とは、どちらも基本的に液滴吐出装置200Rの構造と同じある。ただし、タンク201Rとチューブ210Rとの代わりに、液滴吐出装置200Gが発光材料211G用のタンクとチューブとを備える点で、液滴吐出装置200Gの構成は液滴吐出装置200Rの構成と異なる。同様に、タンク201Rとチューブ210Rとの代わりに、液滴吐出装置200Bが発光材料211B用のタンクとチューブとを備える点で、液滴吐出装置200Bの構成は液滴吐出装置200Rの構成と異なる。なお、本実施形態における液状の発光材料211R、211B、211Gは、本発明の液状材料の一例である。
製造装置2を用いたエレクトロルミネッセンス表示装置30の製造方法を説明する。まず、公知の製膜技術とパターニング技術とを用いて、図15に示す基体30Aを製造する。
【0080】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体30Aを親液化する。この処理によって、画素電極36とバンク40とで規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)における画素電極36の表面、無機物バンク40Aの表面、および有機物バンク40Bの表面が、親液性を呈するようになる。さらに、その後、基体30Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部における有機物バンク40Bの表面がフッ化処理(撥液性に処理)されて、このことで有機物バンク40Bの表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた画素電極36の表面および無機物バンク40Aの表面は、若干親液性を失うが、それでも親液性を維持する。このように、画素電極36と、バンク40と、によって規定された凹部の表面に所定の表面処理が施されることで、凹部の表面が区画38R、38G、38Bとなる。
【0081】
なお、画素電極36の材質、無機バンク40の材質、および有機バンク40の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、画素電極36と、バンク40と、によって規定された凹部の表面は区画38R、38G、38Bである。
【0082】
ここで、表面処理が施された複数の画素電極36のそれぞれの上に、対応する正孔輸送層37R、37G、37Bを形成してもよい。正孔輸送層37R、37G、37Bが、画素電極36と、後述の発光層211FR、211FG、211FBと、の間に位置すれば、エレクトロルミネッセンス表示装置の発光効率が高くなる。複数の画素電極36のそれぞれの上に正孔輸送層を設ける場合には、正孔輸送層と、バンク40と、によって規定された凹部が、区画38R、38G、38Bに対応する。
【0083】
なお、正孔輸送層37R、37G、37Bをインクジェット法により形成することも可能である。この場合、正孔輸送層37R、37G、37Bを形成するための材料を含む溶液を各画素領域ごとに所定量塗布し、その後、乾燥させることにより正孔輸送層を形成することができる。なお、正孔輸送層を本明細書に記載する描画方法(液滴付与方法)を用いて形成してもよい。
【0084】
区画38R、38G、38Bが形成された基体30Aは、搬送装置270によって、液滴吐出装置200Rのステージ106に運ばれる。そして、図18(a)に示すように、液滴吐出装置200Rは、区画38Rのすべてに発光材料211Rの層が形成されるように、液滴吐出ヘッド114から発光材料211Rを吐出する。具体的には、液滴吐出装置200Rは、前述した液滴付与方法で区画38Rに発光材料211Rを付与する。基体30Aの区画38Rのすべてに発光材料211Rの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250R内に位置させる。そして、区画38R上の発光材料211Rを完全に乾燥させることで、区画38R上に発光層211FRを得る。
【0085】
次に搬送装置270は、基体30Aを液滴吐出装置200Gのステージ106に位置させる。そして、図18(b)に示すように、液滴吐出装置200Gは、区画38Gのすべてに発光材料211Gの層が形成されるように、液滴吐出ヘッド114から発光材料211Gを吐出する。具体的には、液滴吐出装置200Gは、前述した液滴付与方法で区画38Gに発光材料211Gを付与する。基体30Aの区画38Gのすべてに発光材料211Gの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250G内に位置させる。そして、区画38G上の発光材料Gを完全に乾燥させることで、区画38G上に発光層211FGを得る。
【0086】
次に搬送装置270は、基体30Aを液滴吐出装置200Bのステージ106に位置させる。そして、図18(c)に示すように、液滴吐出装置200Bは、区画38Bのすべてに発光材料211Bの層が形成されるように、液滴吐出ヘッド114から発光材料211Bを吐出する。具体的には、液滴吐出装置200Bは、前述した液滴付与方法で区画38Bに発光材料211Bを付与する。基体30Aの区画38Bのすべてに発光材料211Bの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250B内に位置させる。そして、区画38B上の発光材料211Bを完全に乾燥させることで、区画38B上に発光層211FBを得る。
【0087】
図18(d)に示すように、次に、発光層211FR、211FG、211FB、およびバンク40を覆うように対向電極46を設ける。対向電極46は陰極として機能する。
その後、封止基板48と基体30Aとを、互いの周辺部で接着することで、図18(d)に示すエレクトロルミネッセンス表示装置30が得られる。なお、封止基板48と基体30Aとの間には不活性ガス49が封入されている。
エレクトロルミネッセンス表示装置30において、発光層211FR、211FG、211FBから発光した光は、画素電極36と、回路素子層34と、支持基板32と、を介して射出する。このように回路素子層34を介して光を射出するエレクトロルミネッセンス表示装置は、ボトムエミッション型の表示装置と呼ばれる。
【0088】
以上、本発明を液晶表示装置(カラーフィルタ基板)の製造や、エレクトロルミネッセンス表示装置の製造に適用した場合について説明したが、本発明は、これらに限定されず、例えば、プラズマ表示装置の背面基板の製造や、電子放出素子を備えた画像表示装置(SED(Surface-Conduction Electron-Emitter Display)またはFED(Field Emission Display)と呼ばれることもある)の製造にも適用することができる。
【0089】
<本発明の電子機器の実施形態>
前述したような方法で製造された液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、電子放出素子を備えた画像表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図19は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【0090】
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
【0091】
図20は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図21は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
【0092】
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
【0093】
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
【0094】
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
【0095】
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の液滴付与方法、液滴吐出装置、電気光学装置の製造方法および電子機器を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1実施形態の液滴吐出装置の斜視図。
【図2】図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出手段をステージ側から観察した図。
【図3】図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドの底面を示す図。
【図4】図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図。
【図5】図1に示す液滴吐出装置における制御手段を示すブロック図。
【図6】(a)はヘッド駆動部を示す模式図、(b)はヘッド駆動部における駆動信号、選択信号および吐出信号を示すタイミングチャート。
【図7】本発明の液滴吐出方法の第1実施形態を説明するための図。
【図8】本発明の液滴吐出方法の第1実施形態を説明するための図。
【図9】本発明の液滴吐出方法の第2実施形態を説明するための図。
【図10】本発明の液滴吐出方法の第3実施形態を説明するための図。
【図11】本発明の第2実施形態の液滴吐出装置で液滴を付与する基体を示す模式図。
【図12】本発明の第2実施形態の液滴吐出装置を含む製造装置を示す模式図。
【図13】本発明の第2実施形態の液滴吐出装置の斜視図。
【図14】第2実施形態の液滴吐出装置による製造方法を示す模式図。
【図15】本発明の第3実施形態の液滴吐出装置で液滴を付与する基体を示す模式図。
【図16】本発明の第3実施形態の液滴吐出装置を含む製造装置を示す模式図。
【図17】本発明の第3実施形態の液滴吐出装置の斜視図。
【図18】第3実施形態の液滴吐出装置による製造方法を示す模式図。
【図19】本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図20】本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図。
【図21】本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0097】
1、2……製造装置 51、61a、61b、71a、71b……先発の液滴 52、53、54、55、62a、62b、63a、63b、64a、64b、65a、65b、66a、66b、72a、73b、74a、75b、76a……後発の液滴 100、100R、100G、100B、100C、200R、200G、200B……液滴吐出装置 101、101R、201R……タンク 102……吐出走査部 103……液滴吐出手段 104……第1位置制御装置 105……キャリッジ 106……ステージ 108……第2位置制御装置 110、110R、210R……チューブ 111……液状材料 112……制御手段 114……液滴吐出ヘッド 114G……ヘッド群 116A、116B……ノズル列 118、118a、118b……ノズル 118R……基準ノズル 120……キャビティ 122……隔壁 124……振動子 124A、124B……電極 124C……ピエゾ素子 126……振動板 127……吐出部 128……ノズルプレート 129……液たまり 130……供給口 131……孔 200……バッファメモリ 202……記憶手段 203……駆動信号生成部 204……処理部 206……走査駆動部 208……ヘッド駆動部 AS……アナログスイッチ DS……駆動信号 SC……選択信号 ES……吐出信号 10A、30A……基体 10……カラーフィルタ基板 12、32……支持基板 14……ブラックマトリクス 16、40……バンク 20……保護膜 18R、18G、18B、38R、38G、38B……区画 111FR、111FG、111FB……フィルタ層 30……エレクトロルミネッセンス表示装置 34……回路素子層 36……画素電極 37R、37G、37B……正孔輸送層 40A……無機物バンク 40B……有機物バンク 42……絶縁膜 44……スイッチング素子 44G……ゲート電極 44S……ソース電極 44D……ドレイン電極 44V……スルーホール 45……層間絶縁膜 46……対向電極 48……封止基板 49……不活性ガス 150C……乾燥装置 150R、150G、150B、250R、250G、250B……乾燥装置 111R、111G、111B……カラーフィルタ材料 160……オーブン 165……硬化装置 170、270……搬送装置 211R、211G、211B……発光材料 211FR、211FG、211FB……発光層 1000……画像表示装置 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース(ボディー) 1304……受光ユニット 1306……シャッタボタン 1308……回路基板 1312……ビデオ信号出力端子 1314……データ通信用の入出力端子 1430……テレビモニタ 1440……パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色要素となるべき複数の区画が形成された基体と、液滴を吐出するノズルを有する液滴吐出手段とを相対的に移動させ、色要素形成用の液状材料を前記ノズルから液滴として吐出して前記区画へ付与する液滴付与方法であって、
前記区画に着弾した先発の液滴が乾かないうちに当該区画へさらに後発の液滴を少なくとも1回吐出するに際し、前記後発の液滴の各回ごとの総量を前記先発の液滴の総量より少なくすることを特徴とする液滴付与方法。
【請求項2】
前記後発の液滴の1滴の量を前記先発の液滴の1滴の量より少なくする請求項1に記載の液滴付与方法。
【請求項3】
前記液滴吐出手段は、前記ノズルに連通するキャビティと、該キャビティ内に充填された液状材料の圧力を変化させる駆動素子とを有するものであり、
前記駆動素子へ印加する駆動電圧波形を変化させることにより、吐出する液滴の1滴の量を調整する請求項2に記載の液滴付与方法。
【請求項4】
前記先発の液滴は、一つの前記区画につき複数の前記ノズルから同時に吐出し、当該区画への前記後発の液滴は、前記先発の液滴のときより少ない数のノズルから吐出する請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴付与方法。
【請求項5】
前記後発の液滴の各回ごとの総量を前記先発の液滴の総量の30〜70%とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴付与方法。
【請求項6】
前記後発の液滴の飛行速度を前記先発の液滴の飛行速度より遅くする請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴付与方法。
【請求項7】
液滴の着弾位置が当該区画へ前回に吐出された液滴の着弾位置と異なるようにして液滴を吐出する請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴付与方法。
【請求項8】
液滴が着弾してなるドットが当該区画へ前回吐出された液滴が着弾してなるドットにつながるような間隔で液滴を吐出する請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴付与方法。
【請求項9】
液滴を吐出するノズルを有する液滴吐出手段と、
色要素となるべき複数の区画が形成された基体と、前記液滴吐出手段とを相対的に移動させる移動手段と、
前記液滴吐出手段および前記移動手段の作動を制御する制御手段とを備え、
前記液滴吐出手段と前記基体とを相対的に移動させつつ、色要素形成用の液状材料を前記ノズルから液滴として吐出して前記区画に付与する液滴吐出装置であって、
前記区画に着弾した先発の液滴が乾かないうちに当該区画へさらに後発の液滴を少なくとも1回吐出するに際し、前記後発の液滴の各回ごとの総量が前記先発の液滴の総量より少なくなるように液滴を吐出することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴付与方法を用いて基体上の複数の区画に色要素を形成して色要素付き基板を製造する工程を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電気光学装置の製造方法により製造された電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−35076(P2006−35076A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217876(P2004−217876)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】