説明

液状混合物保存サイロ

【課題】 高温の液状混合物を温度低下を確実に防止して長期に安定した状態で貯蔵し、所要時に所定量を計量して固化物成形装置に供給する。
【解決手段】 液状混合物保存サイロ1は、架台2に支持され、上部に開閉蓋装置3により開閉される材料投入口4aを、下端に開閉ゲート5により開閉される材料流出口4bを有して密閉可能な受ホッパ4と、受ホッパ4の下方に設けられ、上端に受ホッパ4の材料流出口4bに接続された材料受口6aを、下端に開閉ゲート7により開閉される材料排出口6bを有して密閉可能な計量ホッパ6とを備え、計量ホッパ6が、周囲に設けた複数の支持脚6fがロードセル8を介して架台2に支持されて設けられ、材料受口6aが蛇腹により受ホッパ4の材料流出口4bに対して気密にかつ相対移動可能に接続され、受ホッパ4と計量ホッパ6の外周に電気ヒータ(加熱手段)が設けられた構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭灰、焼却灰等の粉末状骨材と溶融硫黄等の高温液体とを混合してなる液状混合物を保存する液状混合物保存サイロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、垂直に立設された架台上に上から下へ順にホッパー、計量槽、フィーダ、ミキサーを配置し、ロータリキルン等で加熱乾燥した製鋼スラグ、製鋼ダストや焼却灰等の粉末状骨材を前記ホッパーに供給して貯蔵し、該粉末状骨材を前記計量槽で計量した後にフィーダで前記ミキサーに投入すると共に、硫黄タンクと添加剤タンクからそれぞれポンプにより配管を通して液状硫黄と添加剤を所定量前記ミキサーに供給して、該ミキサーにおいて前記粉末状骨材と液状硫黄および添加剤とを混練して流動性の混練物(液状混合物)を調製し、該液状混合物を所定の形状に成形して硫黄固化成形物を製造する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−318244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記硫黄固化成形物製造装置においては、前記ミキサーから排出された液状混合物をクッカー車によって成形装置を設備した場所まで運搬して成形型等に打設するようにしており、液状混合物をその温度があまり低下しないうちに成形型等に投入して成形を完了する必要があるので、液状混合物を常時貯蔵しておいて、必要なときに必要量を成形装置に供給して硫黄固化成形物を製造するといったことができない問題がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高温の液状混合物を温度低下を確実に防止して長期間にわたって安定した性状を保持した状態で貯蔵し、所要時に所定量を計量して固化物成形装置に供給することができる液状混合物保存サイロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の点を特徴としている。
すなわち、請求項1に係る液状混合物保存サイロは、架台と、該架台に支持されており、上部に開閉蓋装置によって開閉される材料投入口を有し、下端に開閉ゲートによって開閉される材料流出口を有して密閉可能な受ホッパと、該受ホッパの下方に設けられ、上端に受ホッパの材料流出口に接続された材料受口を有し、下端に開閉ゲートによって開閉される材料排出口を有して密閉可能な計量ホッパとを備えた液状混合物保存サイロであって、前記計量ホッパは、その周囲に設けた複数の支持脚がロードセルを介して前記架台に支持されて設けられると共に、前記材料受口が可撓性を有する筒状部材によって前記受ホッパの材料流出口に対して気密にかつ相対的に移動可能に接続され、また、前記受ホッパと計量ホッパの外周に加熱手段が装着されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る液状混合物保存サイロは、請求項1に記載の液状混合物保存サイロにおいて、前記受ホッパの開閉蓋装置が、蓋板と、該蓋板を前記材料投入口の閉鎖位置と開放位置との間で案内、移動させる蓋板移動手段と、前記蓋板をその閉鎖位置で前記材料投入口に対して押圧し、また、該押圧を解放して材料投入口から分離する蓋板押圧手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る液状混合物保存サイロは、請求項2に記載の液状混合物保存サイロにおいて、前記開閉蓋装置には、前記蓋板の閉鎖位置への移動と開放位置への移動を検出する位置検出手段と、蓋板の材料投入口に対する押圧と分離を検出する押圧検出手段とが設けられ、前記位置検出手段による蓋板の閉鎖位置への移動が検出されたときに、前記蓋板押圧手段が前記蓋板を前記材料投入口に押圧し、前記押圧検出手段による蓋板の材料投入口からの分離が検出されたときに、前記蓋板移動手段が蓋板を開放位置へ移動させるようにしたことを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る液状混合物保存サイロは、請求項1〜3のいずれかに記載の液状混合物保存サイロにおいて、前記受ホッパと計量ホッパの各底部には振動発生手段が取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る液状混合物保存サイロによれば、材料流出口を開閉ゲートで閉鎖された受ホッパ内に投入された液状混合物を、受ホッパの材料投入口が開閉蓋装置によって密閉された状態で、受ホッパの外周部に設けた加熱手段によって所定温度に加熱することができるので、高温の液状混合物をその温度低下を確実に防止して、長期間にわたって安定した性状を保持した状態で貯蔵することができる。また、受ホッパ内の液状混合物を計量ホッパに投入して、その投入量を計量ホッパのロードセルで計量することによって、所要時に、所定量の液状混合物を固化物成形装置に供給することができ、これにより、液状混合物による固化成形物の製造を効率的に行うことができる。
【0010】
請求項2に係る液状混合物保存サイロによれば、前記受ホッパの材料投入口を蓋板で閉鎖するときは、蓋板が蓋板押圧手段によって材料投入口に押圧されて該材料投入口を気密に閉鎖するので、材料投入口を通して液状混合物の熱が外部へ放散するのを可及的に少なく抑えることができると共に、材料投入口を開放するときには、蓋板押圧手段によって蓋板が材料投入口から分離されるので、蓋板移動手段による蓋板の開放位置への移動を円滑に行うことができる。
【0011】
請求項3に係る液状混合物保存サイロによれば、位置検出手段と押圧検出手段による蓋板の動作位置を検出することによって、蓋板移動手段と蓋板押圧手段の連係動作を誤りなく的確に行うことができるので、蓋板による材料投入口の開閉と密閉操作を円滑、確実に行うことができる。
【0012】
請求項4に係る液状混合物保存サイロによれば、適時に振動発生手段によって受ホッパと計量ホッパとに振動を加えることによって、前記受ホッパと計量ホッパの内壁面や底部に液状混合物が付着したり、底部に粉末状骨材が液体から分離して沈澱して付着、堆積するのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る液状混合物保存サイロについて、添付図面を参照して説明する。
図1において、1は本発明の一実施の形態に係る液状混合物保存サイロである。この液状混合物保存サイロ1は、架台2と、該架台2に支持されており、上部に開閉蓋装置3によって開閉される材料投入口4aを有し、下端に開閉ゲート5によって開閉される材料流出口4bを有して密閉可能な受ホッパ4と、前記架台2に支持されて前記受ホッパ4の下方に設けられ、上端に前記受ホッパ4の材料流出口4bに接続された材料受口6aを有し、下端に開閉ゲート7によって開閉される材料排出口6bを有して密閉可能な計量ホッパ6とを備えている。
【0014】
前記受ホッパ4は、円筒状の胴部4cの下端に逆円錐状(ロート状)の底部4dが接合され、該底部4dの中心部に前記材料流出口4bが接続されると共に、前記胴部4cの上端にロート状の前記材料投入口4aを取り付けた上板4eが固定されて構成されている。さらに、前記受ホッパ4は、胴部4cの下端の周囲に周方向に等間隔をあけて固着した複数(図示の例では4個)の支持脚4fが、前記架台2の中段の水平梁2aにボルト、ナットで固定されることにより、架台2に支持されている。
また、前記計量ホッパ6は、円筒状の胴部6cの下端に逆円錐状(ロート状)の底部6dが接合され、該底部6dの中心部に前記材料排出口6bが接続されると共に、前記胴部6cの上端に円筒状の前記材料受口6aを取り付けた上板6eが固定されて構成されている。さらに、前記計量ホッパ6は、底部6dの中間部の周囲に周方向に等間隔をあけて固着した複数(図示の例では4個)の支持脚6fが、前記架台2の下段の水平梁2bにロードセル8を介して取り付けられることにより、架台2に支持されている。
【0015】
前記受ホッパ4の材料流出口4bは、図6、図7に示すように、円筒部材からなり下端に環状の接続フランジ4b1が固定されている。また、前記計量ホッパ6の材料受口6aは、図6、図7に示すように、上端にフランジ6a1を有する円筒部材からなり、その内側には、上端に接続フランジ9aを固着し中間部に取付フランジ9bを固着した円筒部材からなるシュート9が、材料受口6aとの間に隙間をあけて挿入されており、シュート9の取付フランジ9bと材料受口6aのフランジ6a1とが円筒状の蛇腹(可撓性を有する筒状部材)10を介在させて材料受口6aの開口部を気密に閉鎖し、かつ受ホッパ4と計量ホッパ6とが相対的に上下、左右に移動(微移動)可能に接続されている。そして、前記受ホッパ4の材料流出口4bの接続フランジ4b1と前記シュート9の接続フランジ9aとは前記開閉ゲート5を間にしてボルト11aとナット11bとによって一体に組み付けられている。
【0016】
前記開閉ゲート5は、図7に示すように、弁箱5aと、該弁箱5a内に設けられ前記材料流出口4bと前記シュート9の各流路を接続する流路5bを開閉するゲート5cと、弁箱5aの外周部に設けた支持フランジ5dにヨーク12を介して固定したエアシリンダ13とを備え、エアシリンダ13のロッド13aにピン13bで結合された前記ゲート5cを、エアシリンダ13の作動により図7で左右方向に移動させて、前記流路5bを開閉するようになっている。なお、前記計量ホッパ6の材料排出口6bの開閉ゲート7は、口径の大きさが前記開閉ゲート5より小さい点を除いて基本構成は同じであるので、それについての説明は省略する。開閉ゲート7の下端には、上端の接続フランジ14aを開閉ゲート7と一緒に計量ホッパ6の材料排出口に6bに接続される排出シュート14が設けられている。
【0017】
前記受ホッパ4と計量ホッパ6の各底部4d、6dの下方(材料流出口4b、材料排出口6bに近い側)の外側には、偏心ウェートを有す回転軸を回転させて受ホッパ4と計量ホッパ6を振動させる振動モータ(振動発生手段)15が取り付けられている。また、図示しないが、前記受ホッパ4と計量ホッパ6には、それらの胴部4c,6cと底部4d,6dの各外周部に、それらの内部の液状混合物を加熱するための電気ヒータ(加熱手段)が設けられている。前記電気ヒータは、受ホッパ4と計量ホッパ6の底部4d,6d等に設けた温度センサー(図示せず)による検出温度にもとづいて制御器により加熱温度を制御されるようになっている。さらに、前記受ホッパ4と計量ホッパ6の外周には、前記電気ヒータを覆うようにしてグラスウール等からなる保温材16が装着されている。
【0018】
また、前記受ホッパ4の開閉蓋装置3は、図2〜図5に示すように、蓋板17と、該蓋板17を前記材料投入口4aの閉鎖位置と開放位置との間で案内、移動させる蓋板移動手段18と、前記蓋板17をその閉鎖位置で前記材料投入口4aに対して押圧し、また、該押圧を解放して材料投入口4aから分離する蓋板押圧手段19とを備えている。
前記蓋板17は、平面視(図2)で四隅を円弧にした矩形状の平板で形成され、上面に補強部材17aが固着され、下面には蓋板17が前記材料投入口4aの上端フランジ4gに押圧されたときに、受ホッパ4内を密封するをシール板17bが接着されている。
【0019】
前記蓋板移動手段18は、溝型鋼をその溝側を互いに向かい合わせて接合して平面視で矩形枠状に形成した蓋板案内フレーム20と、前記蓋板17を支持して前記蓋板案内フレーム20に沿って移動する蓋板支持フレーム21と、該蓋板支持フレーム21を蓋板案内フレーム20に沿って移動させるアクチュエータ等からなる駆動手段22とを備えている。そして、前記蓋板案内フレーム20は、前後方向(図2、図3で左右方向)に長く構成され、その後端側(前記受ホッパ4の材料投入口4aと反対側)の左右(図2で上下)に水平に固定した支軸23,23が、前記架台2の上端梁2に上下、左右に位置調節可能に垂設された一対のサポート24,24の下端部に軸受24a,24aによって支持され、該支軸23,23を支点に上下に回動し得るように設けられている。
【0020】
前記蓋板支持フレーム21は、溝型鋼の溝側を平板で閉じて角筒状に形成した一対の縦部材21a,21aを、左右(図2で上下)に蓋板案内フレーム20の縦部材20a,20aの内側においてそれと平行になるように配置し、各縦部材21a,21aを角筒状の横部材21bと断面L型状の横部材21c,21cとで相互に連結して構成されている。そして、前記縦部材21a,21aの左右に水平に突き出して固定された左右、前後の2対の支軸25には、それぞれフランジ付きのローラ26がそれらの内部に設けた軸受を介して鉛直面内で回転するように支持されている。各ローラ26は前記蓋板案内フレーム20の縦部材20a,20aの溝20a1,20a1内に挿入されて転動するようになっており、前記蓋板支持フレーム21が前記蓋板案内フレーム20に沿って前後に移動可能とされている。
【0021】
前記蓋板支持フレーム21の各縦部材21a,21aの内側には、前後に支持具27,27が固定されており、該支持具27,27にナット27aで締め付けて垂設された支持棒27bの下端部には、前記蓋板17の四隅部がねじ27cで固定されている。したがって、前記蓋板17は蓋板支持フレーム21に水平に保持されてそれと一緒に蓋板案内フレーム20の縦部材20a,20aに沿って移動されるようになっている。
前記駆動手段22は、アクチュエータとしてのエアシリンダ28がその中間部を、前記蓋板案内フレーム20の後端側の横部材20bにおける中央に固定したブラケット29にピン軸29aを介して上下に回動自在に支持され、エアシリンダ28のロッド28aの先端が連結具28bを介して、前記蓋板支持フレーム21の横部材21bの上面に突設した接続金具28cに上下に回動自在に連結されて構成されている。
【0022】
また、前記蓋板押圧手段19は、前記受ホッパ4の上板4eに固定したブラケット30にピン軸30aを介して鉛直面内で回動するように支持されたアクチュエータとしてのエアシリンダ31を備え、該エアシリンダ31のロッド31aが、その上端部の連結具31bを介して、前記蓋板案内フレーム20の前端側の横部材20bに固定した接続金具31cにピン軸31dによって連結されており、前記エアシリンダ31がそのロッド31aを伸縮させると、前記蓋板案内フレーム20が前記支軸23を支点にして上下に回動して、前記蓋板17が蓋板支持フレーム21を介して上下に動くようになっている。
【0023】
前記蓋板案内フレーム20の左側(図2で上側)の縦部材20aには、前側と後側に固定した支持部材32を介して、一対のリミットスイッチ33a,33bが前後方向に位置調節可能に設けられ、一方、前記蓋板支持フレーム21の左側の縦部材21aには、その中間付近に支持部材34を介して1つのスイッチ作動片35が固定して設けられており、前記蓋板17が前記受ホッパ4の材料投入口4aの上方位置(閉鎖位置)に位置されたとき(図2で実線で示した位置にあるとき)には、前記スイッチ作動片35がその前側の傾斜面で前記前側のリミットスイッチ33aを動作させ、前記蓋板17が前記受ホッパ4の材料投入口4aを開放して蓋板案内フレーム20の後端位置(開放位置)に位置されたときには、前記スイッチ作動片35がその後側の傾斜面で前記後側のリミットスイッチ33bを動作させるようになっている。
【0024】
また、前記架台2または受ホッパ4の上板4eに固定した支持部材36に上下、前後に位置調節可能にリミットスイッチ37が取り付けられると共に、前記蓋板案内フレーム20の前側の横部材20bに支持部材38を介してスイッチ作動片39が取り付けられており、該スイッチ作動片39は、前記スイッチ作動片35と同様に上下部が傾斜面に形成され、前記蓋板17が閉鎖位置に位置されて前記蓋板案内フレーム20(蓋板支持フレーム21)がエアシリンダ31で下降されたときに、前記リミットスイッチ37を下方の傾斜面で作動させて、蓋板17が前記材料投入口4aを閉鎖して押圧したことを検出させ、エアシリンダ31で蓋板案内フレーム20が上昇されてリミットスイッチ37を不作動としたときに、蓋板17の材料投入口4aからの分離を検出させるようになっている。
【0025】
前記各リミットスイッチ33a,33b、スイッチ作動片35等によって、前記蓋板17の閉鎖位置への移動と開放位置への移動を検出する位置検出手段40が構成され、前記リミットスイッチ37、スイッチ作動片39等によって、蓋板17の材料投入口4aに対する押圧と分離を検出する押圧検出手段41が構成されている。そして、前記位置検出手段40による蓋板17の閉鎖位置への移動が検出されたときに、前記蓋板押圧手段19が前記蓋板17を前記材料投入口4aに押圧し、前記押圧検出手段41による蓋板17の材料投入口4aからの分離が検出されたときに、前記蓋板移動手段18が蓋板17を開放位置へ移動させるようになっている。
なお、蓋板支持フレーム21の前端に固定された支持板42には、弾力性を有する板状のスクレーパ43が押え板44を介してボルト44aで固定されており、蓋板17が前後に移動するときに、前記材料投入口4aの上端のフランジ4gの表面を清浄に拭くようになっている。また、前記蓋板17の上面の中央部は、前記蓋板支持フレーム21の横部材21cに対し、連結金具45を介して鉛直面内で相対的に回動可能に支持されている。
【0026】
次に、前記構成の液状混合物保存サイロ1の作用を、図8に示す硫黄固化物製造プラント50に前記液状混合物保存サイロ1を適用した場合にもとづいて説明する。
先ず、前記硫黄固化物製造プラント50について説明する。この硫黄固化物製造プラント50は、図8に示すように、添加剤を添加されて改質された溶融硫黄(高温液体)に石炭灰を混練してなる液状混練物を供給する混練物供給装置51と、ドライヤ等の骨材加熱供給装置52によって乾燥加熱されバケットエレベータ53によって搬送された製鋼スラグ、珪砂等の骨材(粉末状骨材)と前記混練物供給装置51から供給された高温の液状混練物とを計量して混合する計量混合装置54とを備えている。
【0027】
前記計量混合装置54は、前記バケットエレベータ53によって搬送された骨材をホットビン55に受け入れて貯蔵し、該骨材を適時に粉体計量槽56に投入してロードセル56aで質量を計測した後、ゲート57aを開いて2軸パドル式のミキサー57に投入する。そして、前記混練物供給装置51から配管p1によって供給された液状混練物を液体計量槽58に受け入れて、ロードセル58aによって計量し、ポンプ58bにより配管p2を介して前記ミキサー57に送り、配管p2の先端に設けたスプレー管57bによってミキサー57の内部の骨材上に散布して、該ミキサー57によって骨材と高温の液状混練物との撹拌、混合が行われるようになっている。
【0028】
前記ミキサー47で混練されて生成された骨材と液状混練物との液状混合物は、ホッパ59を介して前記スキップコンベヤ60のバケット60aに受けられて上方に搬送され、硫黄固化物成型装置61に供給される。該硫黄固化物成型装置61においては、スキップコンベヤ60から供給された液状混合物が、前記液状混合物保存サイロ1の受ホッパ4に貯蔵されると共に、適時に計量ホッパ6に落下、投入されてロードセル8で計量されてから型枠62内に打設される。そして、型枠62内に打設された液状混合物が所定の冷却時間を経ることによって硬化して成型された硫黄固化物が製造されるようになっている。
【0029】
また、前記混練物供給装置51、ミキサー57、液体計量槽58の内部の上方には、不活性ガス供給源63のガスタンク63aからコンプレッサー63bによって配管p3を介して窒素ガス等の不活性ガスが所定圧力で供給され、前記各装置51,57,58内の収容液体が空気から遮断されるようになっている。
なお、前記ミキサー57、液体計量槽58、ポンプ58bおよび前記配管p1,p2は、それらの外周に設けたオイルジャケットに熱油加熱器64から配管64a,64bによって熱油が循環、供給されて、それらが所定の温度(例えば、130〜150℃)に加熱されている。図示しないが、前記混練物供給装置51も外周に設けたオイルジャケットに熱油が供給されて所定の温度(例えば、130〜150℃)に加熱されるようになっている。
【0030】
次に、前記硫黄固化物製造プラント50に使用した場合における実施の形態に係る液状混合物保存サイロ1の作用を具体的に説明する。硫黄固化物製造プラント50が作動されて、前記ミキサー57で骨材と液状混練物とが混合されて高温(130〜150℃)のスラリー状態の液状混合物が生成され、該液状混合物が前記スキップコンベヤ60によって前記液状混合物保存サイロ1の上方に搬送されると、その搬送を検知して前記蓋板押圧手段19のエアシリンダ31のロッド31aが伸長されるので、前記蓋板案内フレーム20が支軸23を支点にして前端側を上昇されて、受ホッパ4の材料投入口4aを閉鎖していた前記蓋板17が上端フランジ4gから上方へ分離される。この蓋板17の分離が、リミットスイッチ37から蓋板案内フレーム20と一緒に上昇するスイッチ作動片39が離れることにより検出されると、前記駆動手段22のエアシリンダ28のロッド28aが収縮し、前記蓋板支持フレーム21を介して前記蓋板17が、図2に鎖線で示すように、前記材料投入口4aを完全に開放する開放位置まで移動される。なお、予め、前記受ホッパ4の材料流出口4bと計量ホッパ6の液体排出口6bの各開閉ゲート5、7は閉じられている。
【0031】
前記蓋板17の開放位置への移動が前記スイッチ作動片35を介して作動される後側のリミットスイッチ33bによって検出されると、前記スキップコンベヤ60のバケット60aから液状混合物が前記材料投入口4を経て前記受ホッパ4内に投入される。前記液状混合物が所定量前記受けホッパ4内へ投入されると、前記エアシリンダ28のロッド28aが伸長されて蓋板支持フレーム21を介して蓋板17が、図2で実線で示すように、前記材料投入口4aの上方に至る閉鎖位置まで移動されるので、この閉鎖位置への移動を前側のリミットスイッチ33aがスイッチ作動片35で作動されて検出する。この検出により、前記エアシリンダ31のロッド31aが収縮されて、蓋板案内フレーム20と蓋板支持フレーム21を介して前記蓋板17が前記材料投入口4aを閉鎖してその上端フランジ4gに押圧される。これにより、エアシリンダ31はロッド31aの収縮状態を維持され、前記受ホッパ4内に高温の液状混合物が密封された状態で貯蔵される。
【0032】
前記受ホッパ4内に貯蔵された液状混合物は、受ホッパ4の外周に設けた電気ヒータによって130〜150℃に加熱され、かつ前記振動モータ15によって受ホッパ4に微振動が与えられることにより、骨材成分が液体成分から分離して底部6dに沈殿、付着することなく、適切に流動状態を維持し安定した性状を保持された状態で貯蔵される。
しかして、受ホッパ4内の液状混合物を前記硫黄固化物成型装置61の型枠62内に打設して成形する場合には、前記開閉ゲート5のエアシリンダ13のロッド13aが収縮されてゲート5cが流路5bを開放して、前記材料流出口4bが計量ホッパ6の材料受口6aに前記シュート9を介して連通されるので、受ホッパ4内の液状混合物がシュート9を通して計量ホッパ6内に流下、投入される(図6,図7参照)。計量ホッパ4内に投入された液状混合物は、計量ホッパ6の支持脚6fと架台2の下段の水平梁2bとの間に設けたロードセル8によって計量されているので、その計量値が所定量に達したときに、計量ホッパ6の開閉ゲート7のエアシリンダ13が作動されて開閉ゲート7内の流路が開かれ、材料排出口6bに連通された前記シュート14から所定量の液状混合物が排出されて型枠62内に打設される。
【0033】
なお、前記型枠62への打設にあたり、液状混合物を計量ホッパ6内に投入させることにより、受ホッパ4内における液状混合物の残量が減少した場合には、適時に蓋板17を開いて受ホッパ4内に液状混合物を補給する。この場合、前記受ホッパ4が液状混合物の投入に伴って振動するおそれがあるが、受ホッパ4の材料流出口4bと計量ホッパ6の材料受口6aとは蛇腹10を介してシュート9で連絡されているので、計量ホッパ6で液状混合物が計量中であっても、前記受ホッパ4の振動は計量ホッパ6に伝わることがなく、前記計量は支障なく行うことができると共に、計量時に受ホッパ4の質量が計量ホッパ6を介して前記ロードセル8に加わることないので、計量を正確に行うことができる。
また、計量ホッパ6から液状混合物を排出する場合には、底部6dに取り付けた振動モータ15が作動されて、液状混合物が底部6d内に付着、滞留することなく円滑に排出されるように促進される。また、計量ホッパ6の外周が電気ヒータによって加熱されているので、計量時に液状混合物が放熱して温度低下するのが防止される。
【0034】
前記のように、実施の形態に係る液状混合物保存サイロ1は、架台2と、該架台2の水平梁2aに支持されており、上部に開閉蓋装置3によって開閉される材料投入口4aを有し、下端に開閉ゲート5によって開閉される材料流出口4bを有して密閉可能な受ホッパ4と、該受ホッパ4の下方に設けられ、上端に受ホッパ4の材料流出口4bに接続された材料受口6aを有し、下端に開閉ゲート7によって開閉される材料排出口6bを有して密閉可能な計量ホッパ6とを備え、該計量ホッパ6が、その周囲に設けた複数の支持脚6fがロードセル8を介して前記架台2に水平梁2bに支持されて設けられると共に、その材料受口6aがシュート9と円筒状の蛇腹10によって前記受ホッパ4の材料流出口4bに対して気密にかつ相対的に移動可能に接続され、また、前記受ホッパ4と計量ホッパ6の外周に電気ヒータが設けられた構成とされている。
【0035】
したがって、実施の形態に係る液状混合物保存サイロ1によれば、材料流出口4bを開閉ゲート5で閉鎖された受ホッパ4内に投入された液状混合物を、受ホッパ4の材料投入口4aが開閉蓋装置3によって密閉された状態で、受ホッパ4の外周部の電気ヒータによって所定温度に加熱することができるので、高温の液状混合物をその温度低下を確実に防止して、長期間にわたって安定した性状を保持した状態で貯蔵することができる。また、受ホッパ4内の液状混合物を計量ホッパ6に投入して、その投入量を計量ホッパ6のロードセル8で計量することによって、所要時に、所定量の液状混合物を固化物成形装置に供給することができ、これにより、液状混合物による固化成形物の製造を効率的に行うことができる。
【0036】
また、実施の形態に係る液状混合物保存サイロ1によれば、前記受ホッパ4の開閉蓋装置3が、蓋板17と、該蓋板17を前記材料投入口4aの閉鎖位置と開放位置との間で案内、移動させる蓋板移動手段18と、前記蓋板17をその閉鎖位置で前記材料投入口4aに対して押圧し、また、該押圧を解放して材料投入口4aから分離する蓋板押圧手段19とを備えた構成とされているので、前記受ホッパ4の材料投入口4aを蓋板17で閉鎖するときは、蓋板17が蓋板押圧手段19によって材料投入口4aに押圧されて該材料投入口4aを気密に閉鎖するので、材料投入口4aを通して液状混合物の熱が外部へ放散するのを可及的に少なく抑えることができると共に、材料投入口4aを開放するときには、蓋板押圧手段19によって蓋板17が材料投入口4aから分離されるので、蓋板移動手段18による蓋板17の開放位置への移動を円滑に行うことができる。
【0037】
また、実施の形態に係る液状混合物保存サイロ1によれば、前記開閉蓋装置3に、前記蓋板17の閉鎖位置への移動と開放位置への移動を検出するためのリミットスイッチ30a,30bおよびスイッチ作動片35等からなる位置検出手段40と、蓋板17の材料投入口4aに対する押圧と分離を検出するためのリミットスイッチ37およびスイッチ作動片39等からなる押圧検出手段41とが設けられ、該位置検出手段40による蓋板17の閉鎖位置への移動が検出されたときに、前記蓋板押圧手段19が前記蓋板17を前記材料投入口4aに押圧し、前記押圧検出手段41による蓋板17の材料投入口4aからの分離が検出されたときに、前記蓋板移動手段18が蓋板17を開放位置へ移動させる構成とされているので、位置検出手段40と押圧検出手段41による蓋板17の動作位置を検出することによって、蓋板移動手段18と蓋板押圧手段19の連係動作を誤りなく的確に行うことができるので、蓋板17による材料投入口4aの開閉と密閉操作を円滑、確実に行うことができる。
【0038】
さらに、実施の形態に係る液状混合物保存サイロ1によれば、前記受ホッパ4と計量ホッパ6の各底部4d,6dには振動モータ15が取り付けられた構成とされているので、適時に振動モータ15によって受ホッパ4と計量ホッパ6とに振動を加えることによって、前記受ホッパ4と計量ホッパ6の胴部4c,6cや底部4d,6dの内壁面に液状混合物が付着したり、底部4d,6dの内壁面上に骨材が液体から分離して沈澱して堆積するのを確実に防止することができる。
【0039】
なお、前記実施の形態に係る液状混合物保存サイロ1においては、前記受ホッパ4内に適宜撹拌羽根を設けて常時または適宜時間間隔をあけて回転させるようにすると、内部に貯蔵されている液状混合物からの粉末状骨材の分離を一層確実に防止することができる。
また、前記受ホッパ4計量ホッパ6の外周を加熱する加熱手段として電気ヒータを使用した例を示したが、本発明はこれに限らず、前記受ホッパ4と計量ホッパ6の外周にオイルジャケットを設け、これに熱油(130〜150℃)を循環させるようにしたものを使用してもよい。また、前記受ホッパ4と計量ホッパ6に対する振動発生手段として、振動モータ15を採用したが、これに限らず、他の適宜加振装置を採用してもよい。
また、前記受ホッパ4内に、高温の液状混合物として溶融硫黄に石炭灰等の粉末状骨材を混合したものを貯蔵するようにしたが、本発明はこれに限らず、溶融状態の合成樹脂等に前記粉末状骨材を混合してなるものを貯蔵することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態に係る液状混合物保存サイロを示す正面図である。
【図2】図1のイ矢視図である。
【図3】図2のロ矢視図である。
【図4】図2のハ矢視図である。
【図5】図2の二矢視面図である。
【図6】図1のA部の拡大図である。
【図7】開閉ゲートの断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る液状混合物保存サイロを適用した硫黄固化物製造プラントの一例を示す系統図である。
【符号の説明】
【0041】
1 液状混合物保存サイロ
2 架台
3 開閉蓋装置
4 受ホッパ
4a 材料b投入口
5,7 開閉ゲート
6 計量ホッパ
6a 材料受口
8 ロードセル
9,14 シュート
10 蛇腹(可撓性を有する筒状部材)
15 振動モータ(振動発生手段)
16 保温材
17 蓋板
18 蓋板移動手段
19 蓋板押圧手段
20 蓋板案内フレーム
21 蓋板支持フレーム
22 駆動手段
23 支軸
24 ブラケット
26 ローラ
27 支持具
27b 支持棒
28,31 エアシリンダ
33a,33b,37 リミットスイッチ
35,39 スイッチ作動片
40 位置検出手段
41 押圧検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、該架台に支持されており、上部に開閉蓋装置によって開閉される材料投入口を有し、下端に開閉ゲートによって開閉される材料流出口を有して密閉可能な受ホッパと、該受ホッパの下方に設けられ、上端に受ホッパの材料流出口に接続された材料受口を有し、下端に開閉ゲートによって開閉される材料排出口を有して密閉可能な計量ホッパとを備えた液状混合物保存サイロであって、
前記計量ホッパは、その周囲に設けた複数の支持脚がロードセルを介して前記架台に支持されて設けられると共に、前記材料受口が可撓性を有する筒状部材によって前記受ホッパの材料流出口に対して気密にかつ相対的に移動可能に接続され、また、前記受ホッパと計量ホッパの外周に加熱手段が設けられていることを特徴とする液状混合物保存サイロ。
【請求項2】
前記受ホッパの開閉蓋装置は、蓋板と、該蓋板を前記材料投入口の閉鎖位置と開放位置との間で案内、移動させる蓋板移動手段と、前記蓋板をその閉鎖位置で前記材料投入口に対して押圧し、また、該押圧を解放して材料投入口から分離する蓋板押圧手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の液状混合物保存サイロ。
【請求項3】
前記開閉蓋装置には、前記蓋板の閉鎖位置への移動と開放位置への移動を検出する位置検出手段と、蓋板の材料投入口に対する押圧と分離を検出する押圧検出手段とが設けられ、前記位置検出手段による蓋板の閉鎖位置への移動が検出されたときに、前記蓋板押圧手段が前記蓋板を前記材料投入口に押圧し、前記押圧検出手段による蓋板の材料投入口からの分離が検出されたときに、前記蓋板移動手段が蓋板を開放位置へ移動させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の液状混合物保存サイロ。
【請求項4】
前記受ホッパと計量ホッパの各底部には振動発生手段が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液状混合物保存サイロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−30908(P2007−30908A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214557(P2005−214557)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(595088034)ニッポメックス株式会社 (11)
【Fターム(参考)】