説明

測定方法、パートプログラムおよびパートプログラム生成プログラム

【課題】測定条件を簡易に変更できるようにすることにより、最適な測定条件で測定を行え、ひいては、測定精度の向上が可能な測定方法、パートプログラム、パートプログラム生成プログラムを提供する。
【解決手段】被測定物データおよび予め設定された測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて、被測定物の寸法や形状を測定する測定方法。被測定物データおよび測定条件に従って測定を実行する測定工程と、この測定工程において、測定開始時から測定終了時までの任意の時点において、前記測定条件を表示する測定条件表示工程と、この測定条件表示工程によって前記測定条件が表示された状態において、前記測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、前記測定工程を継続する測定条件書換工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定方法、測定用パートプログラムおよびパートプログラム生成プログラムに関する。例えば、画像測定機、三次元測定機、形状測定機などにおいて適用できる測定方法、測定用パートプログラムおよびパートプログラム生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の寸法や形状などを測定する測定装置は、被測定物に対して接触プローブなどを接触させ、そのときの座標値から被測定物の寸法や形状を測定する接触式測定機と、被測定物の画像をカメラなどで撮像し、この画像を処理して被測定物の寸法や形状を測定する非接触式測定機とに大別できる。
非接触式測定機の場合、照明条件が測定精度に大きな影響を及ぼす。良い照明条件を求めるには、測定機を実際に動かしながら試行錯誤的に決めるのが確実であるが、一方、測定機の稼働率を上げるためには、パートプログラムの作成は、オフラインで行うことが望ましい。そのため、オフラインで、被測定物のNCデータなどを基にパートプログラムを自動作成することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−203485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したオフラインでのパートプログラム生成での問題は、パートプログラムの生成時に測定機を使えない点である。そのため、照明条件を経験や過去のデータを参考に決めると、パートプログラムを実行したとき、照明条件の問題が判明することがしばしばある。つまり、オフラインでのパートプログラムの生成では、照明条件を的確に決められないという問題がある。
そこで、照明条件を変更したい場合、パートプログラム全体を自動生成し直すのは、手間暇が掛かりすぎる。また、パートプログラムを自動生成プログラムで開いて、部分的に変更し、再保存するのも、面倒である。
【0005】
本発明の目的は、測定条件を簡易に変更できるようにすることにより、使い勝手を向上させることができると同時に、測定精度の向上の期待できる測定方法、パートプログラムおよびパートプログラム生成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、本発明では、測定開始時から測定終了時までの任意の時点で測定条件を変更でき、その後、変更後の測定条件に基づいて、測定を継続できるようにしたことを特徴とする。具体的には、次の構成を採用している。
【0007】
本発明の測定方法は、被測定物データおよび予め設定された測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて被測定物の寸法や形状を測定する測定方法であって、前記被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて測定を実行する測定工程と、この測定工程において、測定開始時から測定終了時までの任意の時点において、前記測定条件を表示する測定条件表示工程と、この測定条件表示工程によって前記測定条件が表示された状態において、前記測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、前記測定工程を継続する測定条件書換工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この測定方法によれば、被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて測定が実行される測定工程において、測定開始時から測定終了時までの任意の時点において、測定条件が表示される。例えば、測定開始時に、測定条件が表示される。
ここで、測定者は、表示された測定条件を確認する。変更の必要があれば、最適な条件に変更操作を行う。すると、測定条件書換工程によって、変更された測定条件に書き換えられたのち、測定が継続される。つまり、変更された測定条件に従って測定が継続される。
従って、測定時に測定条件が表示され、変更が必要な場合、表示内容を変更すれば、その変更された測定条件に基づいて、測定が継続されるから、測定条件を簡易に変更できる。このため、従来のように、パートプログラム全体を自動生成し直したり、パートプログラムを自動生成プログラムで開いて、部分的に変更し、再保存する手間を必要としないため、使い勝手を向上させることができる。また、測定条件を簡易に変更できるため、最適な測定条件下で測定を行いやすく、このことからも、測定精度の向上が期待できる。
【0009】
ここで、測定条件表示工程において、測定条件を表示する時点は、測定開始時から測定終了時までの任意の時点であればよい。測定開始時とは、被測定物と測定系とが測定に際して相対移動される前の時点を意味する。測定終了時とは、測定が終了した直後を意味する。また、測定開始時から測定終了時まで間において、1または複数のタイミングで測定条件を表示するようにしてもよい。
【0010】
本発明の測定方法において、前記測定工程では、前記被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて被測定物の画像をレンズおよびカメラを用いて取り込み、この画像データから被測定物の寸法や形状を測定し、前記測定条件表示工程では、前記被測定物に照射する光の照明条件、前記レンズの使用条件、前記被測定物の測定部位検出条件のうち少なくとも1つ以上を表示し、前記測定条件書換工程では、前記測定条件表示工程で表示された条件のうち少なくとも1つが書換可能である、ことが好ましい。
【0011】
この測定方法によれば、測定工程においては、被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて、被測定物の画像がレンズおよびカメラを用いて取り込まれ、この画像データから被測定物の寸法や形状が求められる。この測定時の任意のタイミングにおいて、被測定物に照射する光の照明条件、レンズの使用条件、被測定物の測定部位検出条件のうち少なくとの1つ以上が表示される。
ここで、測定者は、表示された測定条件を確認する。変更の必要があれば、最適な条件に変更操作を行う。すると、測定条件書換工程によって、変更された測定条件に書き換えたのち、測定が継続されるから、変更された測定条件に基づいて測定が継続される。
従って、このような構成とすれば、とくに、画像測定機において、光の照明条件などを最適な条件に設定して測定を実行することができることから、高精度な測定を実現できる。
【0012】
本発明の測定方法において、前記測定条件表示工程では、前記測定工程の測定開始時において、前記測定条件を表示することを特徴とする。
この測定方法によれば、測定工程の実行時において、測定条件が測定開始時に表示されるから、測定者は、測定工程が実行される前の時点で測定条件を確認することができる。従って、その時点で不適切な測定条件を発見すれば、適切な測定条件に変更したのち、測定を実行できるから、測定終了後に不適切な測定条件を発見して、再度測定をし直すことも少なくできる。
【0013】
本発明のパートプログラムは、上述した測定方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
このパートプログラムによれば、上述した各効果が期待できる。
【0014】
本発明のパートプログラム生成プログラムは、被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順を実行させるコードを記録したパートプログラムコード原本を備えるとともに、前記被測定物に関するデータを読み込むステップと、 前記測定条件を読み込むステップと、前記各ステップで読み込まれた被測定物データおよび測定条件をデータ記憶部に記憶させるステップと、前記パートプログラムコード原本をコード記憶部に複製するステップとを備え、前記パートプログラムコード原本には、測定開始時から測定終了時までの任意の時点において、前記測定条件を表示するステップ、および、この測定条件表示工程によって前記測定条件が表示された状態において、前記測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、前記測定を継続するステップを有する、ことを特徴とする。
【0015】
このパートプログラム生成プログラムによれば、測定開始時から測定終了時までの任意の時点において、測定条件を表示するステップ、および、この測定条件表示工程によって測定条件が表示された状態において、測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、測定を継続するステップを有し、被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順を実行させるコードを記録したパートプログラムを自動的に作成することができる。
従って、被測定物データおよび測定条件を入力すれば、パートプログラムを自動的に生成することができるとともに、このパートプログラムを用いて測定を実行すれば、上述した各効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<全体構成の説明(図1参照)>
図1には、本発明に係る測定方法を適用した画像処理システムの実施形態が示されている。同画像処理システムは、被測定物の画像データを取得する画像データ取得装置1と、この画像データ取得装置1を制御するとともに、画像データ取得装置1で取得された画像データから被測定物の寸法や形状を求める制御装置3とから構成されている。
【0017】
画像データ取得装置1には、ステージ11と、このステージ11に対して三次元方向へ相対移動可能に設けられた本体部12と、これらステージ11および本体部12を三次元方向へ相対移動させる三次元移動機構13とが設けられている。
ステージ11には、中央に光透過性を有する被測定物載置部14が設けられている。被測定物載置部14の上面には被測定物Wが載置されるとともに、下方位置に透過照明用光源15が配置されている。
本体部12には、被測定物Wの真上(被測定物載置部14の真上)に、対物レンズ16、ビームスプリッタ17およびカメラ18が順番に配列されているとともに、ビームスプリッタ17を介して被測定物Wの真上から光を照射する落射照明用光源19およびリング状で被測定物Wの斜め上から光を照射するリング照明用光源20がそれぞれ設けられている。
【0018】
透過照明用光源15、落射照明用光源19およびリング照明用光源20は、照明制御部21によって制御される。
カメラ18によって撮像された被測定物Wの画像データは、画像処理部22へ送られ、そこで画像処理されたのち、制御装置3へ送られる。
三次元移動機構13は、ステージ11および本体部12を三次元方向(X,Y,Z方向)へ相対移動させる機構で、例えば、ステージ11を前後方向(Y方向)、本体部12
3を左右方向(X方向)および上下方向(Z方向)へ移動させる。なお、三次元移動機構13の構成は、これに限られない。なお、ここには、図示していないが、X,Y,Z方向への変位量を検出する変位検出器が各方向毎に設けられ、これによって検出された各方向の変位量が制御装置3に与えられるようになっている。
【0019】
制御装置3は、予め設定されたプログラムに従って、三次元移動機構13を駆動させるとともに、照明制御部21を介して透過照明用光源15、落射照明用光源19およびリング照明用光源20を制御しながら、画像処理部22で取得された画像データから被測定物Wの寸法や形状を求める制御部31と、測定条件や被測定物データなどを入力する入力部32と、入力データや測定結果などを表示する表示部33とを備える。
【0020】
<制御部の説明(図2参照)>
制御部31の内部には、パートプログラム生成部41と、パートプログラム記憶部42と、パートプログラム実行部43とが設けられている。
パートプログラム生成部41は、予め作成したパートプログラムコード原本を記憶したパートプログラムコード原本記憶部41Aと、パートプログラム生成時にパートプログラムコード原本をパートプログラム記憶部42に複製するコード生成命令部41Bと、入力部32から入力された測定条件をパートプログラム記憶部42に組み込む測定条件組込命令部41Cと、入力部32から入力された被測定物データ(設計データやNCデータなど)から測定に必要なデータ(測定箇所など)を求めてパートプログラム記憶部42に組み込む被測定物データ組込命令部41Dとを含んで構成されている。
【0021】
パートプログラムコード原本記憶部41Aに記憶されたパートプログラムコード原本は、被測定物データおよび予め設定された測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順をコードで記録(プログラム言語で記述)したもので、測定開始時から測定終了時までの任意の時点(本実施形態では、測定開始時)において、測定条件を表示するステップ、および、この測定条件表示ステップによって測定条件が表示された状態において、測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、測定を継続するステップを有する。
【0022】
従って、パートプログラム生成部41には、被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順をコードで記録(プログラム言語で記述)したパートプログラムコード原本を備えるとともに、被測定物データ(設計データやNCデータなど)を読み込むステップと、測定条件を読み込むステップと、各ステップで読み込まれた被測定物データおよび測定条件をデータ記憶部42Bに記憶させるステップと、パートプログラムコード原本をコード記憶部42Aに複製するステップとを備えたパーロプログラム生成プログラムが記憶されている。また、パートプログラムコード原本には、測定開始時から測定終了時までの任意の時点(本実施形態では、測定開始時)において、測定条件を表示するステップ、および、この測定条件表示工程によって測定条件が表示された状態において、測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、測定を継続するステップを有する。
【0023】
パートプログラム記憶部42は、コード生成命令部41Bによって複製されたパートプログラムコード原本を記憶するコード記憶部42Aと、測定条件組込命令部41Cおよび被測定物データ組込命令部41Dによって読み込まれた測定条件や被測定物データを記憶するデータ記憶部42Bと、変数宣言によって記憶部内に作られる変数領域42Cとを備えている。
コード記憶部42Aに記憶されるパートプログラムコード原本には、データ記憶部42Bのデータを読み込んで変数領域に代入するデータ記憶部読み込みコード、測定開始時に測定条件(ここでは、照明条件)を表示部33に表示し、測定条件(照明条件)を入力させる測定条件入力コード、変更された測定条件(照明条件)に変数領域42Cおよびデータ記憶部42Bを書き換えるデータ記憶部書換コード、測定手順を実行させる測定コードなどが書き込まれている。
変数領域42Cには、データ記憶部42Bから読み出されたデータが変数として代入される。
【0024】
つまり、パートプログラム記憶部42には、変数領域42Cに記憶された変数(被測定物データおよび測定条件)を参照しながら、測定コードに従って測定を実行(測定工程)するとともに、測定条件入力コードによって、測定開始時に測定条件を表示部33に表示するステップ(測定条件表示工程)と、測定条件が表示された状態において、測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、測定工程を継続するステップ(測定条件書換工程)とを有するパートプログラムが記憶されている。
【0025】
具体的には、測定工程では、被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて、被測定物の画像をレンズ16およびカメラ18を用いて取り込み、この画像データから被測定物の寸法や形状を測定する。
測定条件表示工程では、被測定物に照射する光の照明条件、レンズ16の使用条件、被測定物の測定部位検出条件のうち少なくとも1つ以上を表示する。本実施形態においては、測定工程において、測定開始時に照明条件を表示部33に表示する。
測定条件書換工程では、測定条件表示工程で表示された条件のうち少なくとも1つが書換可能に構成されている。本実施形態においては、被測定物に照射する光の照明条件が書換可能に構成されている。
【0026】
パートプログラム実行部43は、パートプログラムが起動されると、図6に示すフローチャートに従って、処理を実行する。なお、図6のフローチャートについての説明は、後述する<パートプログラム実行の説明(図6参照)>の項で説明するので、ここでは、説明を省略する。
【0027】
<パートプログラム生成時の入力操作の説明(図3および図4参照)>
パートプログラム生成部41が起動されると、図3に示す表示画面が表示部33に表示される。図3に示す表示画面から、パートプログラム、被測定物データである設計データ、座標処理、画像処理(レンズ、照明、エッジ)などの測定条件データの入力、設定ができるようになっている。
パートプログラムの表示項目では、生成するパートプログラムを格納するフォルダの名前を設定する。
設計データの表示項目では、まず、「タイプ」の設計データの書式の種類を指定してから、残りの項目を指定する。「タイプ」において、設計データの書式の種類を指定すると、その「タイプ」に合わせて「概要」部分が切り替わる。例えば、CSVタイプの設計データが指定されると、「ファイル」項目において、CSVタイプの設計データファイル名を選択・表示できる(「参照」ボタンによりファイル名を選択)。また、「倍率」の項目において倍率を、「公差」の項目において公差ファイル名を選択・表示できる。
【0028】
座標処理の表示項目では、設計データから読み取った座標の加工方法を指定することができる。
「オフセット」の項目においては、設計データのX,Y座標値に加算する値を指定、表示できる。
また、「範囲」の項目においては、パートプログラムに変換する範囲を指定、表示できる。つまり、X,Y座標に関して、「上限」「下限」の範囲を指定、表示できる。
【0029】
画像処理の表示項目では、「レンズ」の項目において、対物レンズ(レンズ)の種類、モード(パワータレットやズームの使い方)、を選択、表示できる。
「照明」において、「照明設定」ボタンをクリックすると、図4に示す照明ダイアログが表示される。この図4に示す照明ダイアログから、レンズの位置および総合倍率毎に、照明の角度、連続照明条件下において「透過」「落射」「リング」のいずれかの照明系を用いた際の明るさのパラメータ、ストロボ照明条件下において「透過」「落射」「リング」のいずれかの照明系を用いた際の明るさのパラメータをそれぞれ設定できるようになっている。
図4に示す例の場合、レンズの位置「0」/総合倍率「「2.50」に対応して、連続照明の「透過」の項目に「30」の値が、ストロボ照明の「透過」の項目に「20」の値がそれぞれ設定されている。また、レンズの位置「1」/総合倍率「5.00」に対応して、連続照明の「透過」の項目に「45」の値が、ストロボ照明の「透過」の項目に「30」の値がそれぞれ設定されている。レンズの位置「2」/総合倍率「15.00」に対応して、連続照明の「透過」の項目に「90」の値が、ストロボ照明の「透過」の項目に「60」の値がそれぞれ設定されている。一般に、倍率が高い程、強い照明が必要であるため、倍率に応じてパラメータを変える。
「エッジ」の項目において、スキャンの方向を「内向き」「外向き」のいずれかに設定できる。また、スキャンの始端と終端との明るさによって、「暗→明」「明→暗」「指定なし」の中からいずれかを選択できるようになっている。
【0030】
<パートプログラム生成の説明(図5参照)>
以上の操作が行われると、図5のST1からST6に沿って処理が行われる。
ST1において、被測定物データ(設計データ)の入力の有無、ST2において、測定条件(座標処理、画像処理、照明、エッジなどに関する測定条件)の有無が判断される。
ST1において、被測定物データ(設計データ)が入力されたことを認識すると、ST3において、入力された被測定物データ(設計データ)を、データ記憶部42Bに記憶する。
ST2において、測定条件(座標処理、画像処理、照明、エッジなどに関する測定条件)の各データが選択、入力されたことを認識すると、ST4において、これらのデータをデータ記憶部42Bに記憶する。
ST5において、入力終了か否かを判断し、終了でなければ、ST1,ST2の判断を繰り返す。終了であれば、ST6において、パートプログラムコード原本をコード記憶部42Aに複製、記憶する。
これにより、パートプログラムが生成される。
【0031】
<パートプログラム実行の説明(図6参照)>
パートプログラムが起動されると、ST11からST15に沿って処理が実行される。
ST11において、データ記憶部42Bを読み込み、変数領域42Cの変数に反映させる。
ST12において、測定条件(照明条件)のダイアログを表示部33に表示し、その上に変数を表示する。例えば、図4に示す照明ダイアログが表示される。図4に示す照明ダイアログから、<パートプログラム生成時の入力操作の説明(図3および図4参照)>と同様にして、必要に応じて、入力部32から照明に関するデータを入力し変更する。
ST13において、測定条件(照明条件)に関するデータの変更があったか否かをチェックし、変更があった場合には、ST14へ進む。
ST14において、変更条件を変数領域42Cおよびデータ記憶部42Bに反映させる。
ST15において、変数を参照しながら、コードに従って測定を実行する。
測定中において、測定者は、照明が適切か否かを観察する。照明が不適切であった場合には、最初から(パートプログラムの起動)から操作を行い、照明条件を変更する。
【0032】
<実施形態の効果>
(1)被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて測定が実行される測定工程において、測定開始時点において、測定条件が表示されるから、測定者は、表示された測定条件を確認し、変更の必要があれば、最適な条件に変更操作を行う。すると、測定条件書換工程によって、変更された測定条件に書き換えたのち、測定が継続されるから、変更された測定条件に従って測定が継続される。
従って、測定時に測定条件が表示され、変更が必要な場合、表示内容を変更すれば、その変更された測定条件に従って、測定が継続されるから、測定条件を簡易に変更できる。このため、従来のように、パートプログラム全体を自動生成し直したり、パートプログラムを自動生成プログラムで開いて、部分的に変更し、再保存する手間を必要としないため、使い勝手を向上させることができる。また、測定条件を簡易に変更できるため、最適な測定条件下で測定を行いやすく、このことからも、測定精度の向上が期待できる。
【0033】
(2)測定工程において、測定条件が測定開始時に表示されるから、測定者は、測定工程が実行される前の時点で測定条件を確認することができる。従って、その時点で不適切な測定条件を発見すれば、適切な測定条件に変更したのち、測定を実行できるから、測定実行後に不適切な測定条件を発見して、再度測定をし直すことも少なくできる。
【0034】
(3)このことは、パートプログラム生成時に的確な測定条件が不明な場合でも問題ない。つまり、測定開始時に最適な測定条件に変更し、測定を継続できるので、パートプログラム生成時に的確な測定条件を設定しなくても問題とならない。
【0035】
(4)特に、本実施形態では、測定工程においては、被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて、被測定物の画像がレンズおよびカメラを用いて取り込まれ、この画像データから被測定物の寸法や形状が求められる。この測定時開始時において、被測定物に照射する光の照明条件が表示されるから、測定者は、表示された照明条件を確認する。変更の必要があれば、最適な照明条件に変更操作を行う。すると、測定条件書換工程によって、変更された照明条件に書き換えられたのち、測定が継続されるから、変更された照明条件に従って測定が継続される。
従って、画像測定機において、最適な照明条件で測定を実行することができるから、高精度な測定を実現できる。特に、画像測定機などでは、照明性能が経年変化しやすいが、この経年変化に対しても、照明を含む測定条件を逐次最適な状態に更新することができるから、長期間にわたって高精度な測定を保障できる。
【0036】
(5)また、パートプログラム実行時に設定した測定条件については、実行終了後もパートプログラムに残っているから、測定条件を最適に設定したパートプログラムを同型の測定機にコピーして使うことができる。
【0037】
(6)パートプログラム生成部41を備えているから、測定開始時から測定終了時までの任意の時点において、測定条件を表示するステップ、および、この測定条件表示工程によって測定条件が表示された状態において、測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、測定を継続するステップを有し、被測定物に関するデータおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順を実行させるコードを記録したパートプログラムを自動的に作成することができる。
従って、被測定物データおよび測定条件を入力すれば、パートプログラムを自動的に生成することができるとともに、このパートプログラムを用いて測定を実行すれば、上述した各効果が期待できる。
【0038】
<変形例の説明>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれる。
前記実施形態では、測定工程の測定開始時点において、測定条件を表示部33に表示し、測定条件が表示された状態において、測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、測定を継続するようにしたが、測定条件を表示するタイミングは、上記例に限られない。測定開始から測定終了までの任意の時点において、測定条件を表示し、変更を許容するようにしてもよい。
【0039】
また、書換可能な測定条件としては、上記実施形態で述べた照明に関するデータに限らず、他の条件であってもよい。例えば、座標処理に関するオフセットや範囲、画像処理に関するレンズの種類、変倍およびモード、エッジ検出に関するスキャン方向、スロープなどを表示し、書換可能に構成してもよい。
あるいは、測定条件だけでなく、被測定物データである設計データを書換可能に構成してもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、画像測定システムを挙げて説明したが、これに限らず、他の測定機であってもよい。例えば、三次元測定機や形状測定機などにおいて、測定条件(使用するプローブの種類や大きさ、移動軌跡などの測定条件)や被測定物データを書換可能に構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、被測定物の寸法や形状を測定する画像測定機、三次元測定機、形状測定機などに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る画像測定機の全体構成を示すブロック図。
【図2】同上実施形態において、制御装置の内部機能を説明するブロック図。
【図3】同上実施形態において、パートプログラム生成時の表示画面を示す図。
【図4】同上実施形態において、照明条件設定・変更時の表示画面を示す図。
【図5】同上実施形態において、パートプログラム生成時のフローチャート。
【図6】同上実施形態において、パートプログラム実行時のフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
1…画像データ取得装置
3…制御装置
15…透過照明用光源
16…対物レンズ
18…カメラ
19…落射照明用光源
20…リング照明用光源
21…照明制御部
22…画像処理部
31…制御部
32…入力部
33…表示部
41…パートプログラム生成部
41A…パートプログラムコード原本記憶部
41B…コード生成命令部
41C…測定条件組込命令部
41D…被測定物データ組込命令部
42…パートプログラム記憶部
42A…コード記憶部
42B…データ記憶部
42C…変数領域
43…パートプログラム実行部
W…被測定物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物データおよび予め設定された測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて被測定物の寸法や形状を測定する測定方法であって、
前記被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて測定を実行する測定工程と、
この測定工程において、測定開始時から測定終了時までの任意の時点において、前記測定条件を表示する測定条件表示工程と、
この測定条件表示工程によって前記測定条件が表示された状態において、前記測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、前記測定工程を継続する測定条件書換工程と、
を備えることを特徴とする測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の測定方法において、
前記測定工程では、前記被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順に基づいて被測定物の画像をレンズおよびカメラを用いて取り込み、この画像データから被測定物の寸法や形状を測定し、
前記測定条件表示工程では、前記被測定物に照射する光の照明条件、前記レンズの使用条件、前記被測定物の測定部位検出条件のうち少なくとも1つ以上を表示し、
前記測定条件書換工程では、前記測定条件表示工程で表示された条件のうち少なくとも1つが書換可能である、
ことを特徴とする測定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測定方法において、
前記測定条件表示工程では、前記測定工程の測定開始時において、前記測定条件を表示することを特徴とする測定方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の測定方法をコンピュータに実行させるパートプログラム。
【請求項5】
被測定物データおよび測定条件を参照しながら、予め設定された測定手順を実行させるコードを記録したパートプログラムコード原本を備えるとともに、
前記被測定物に関するデータを読み込むステップと、
前記測定条件を読み込むステップと、
前記各ステップで読み込まれた被測定物データおよび測定条件をデータ記憶部に記憶させるステップと、
前記パートプログラムコード原本をコード記憶部に複製するステップとを備え、
前記パートプログラムコード原本には、測定開始時から測定終了時までの任意の時点において、前記測定条件を表示するステップ、および、この測定条件表示工程によって前記測定条件が表示された状態において、前記測定条件の変更があった際、変更された測定条件に書き換えたのち、前記測定を継続するステップを有する、
ことを特徴とするパートプログラム生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−107135(P2008−107135A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288459(P2006−288459)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】