測距装置および測距方法並びにプログラム
【課題】高いフレームレートにて距離画像を生成できるようにする。
【解決手段】測距光照射部3が所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射し、複数の受光素子が配列されたCCD13が測距光の反射光を受光し受光光量に応じた信号を出力する。この際測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において受光素子単位に含まれる受光素子により複数の位相の反射光を受光し、複数の位相数に対応する数の第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、各受光素子により受光される反射光の位相を順次切り替えて、各受光素子により複数の位相のすべての反射光を受光して、複数の位相のすべての受光信号を取得する。第1の距離画像生成部31が受光素子単位毎に第1の距離画像S1を生成し、第2の距離画像生成部32が受光素子毎に第2の距離画像S2を生成する。
【解決手段】測距光照射部3が所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射し、複数の受光素子が配列されたCCD13が測距光の反射光を受光し受光光量に応じた信号を出力する。この際測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において受光素子単位に含まれる受光素子により複数の位相の反射光を受光し、複数の位相数に対応する数の第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、各受光素子により受光される反射光の位相を順次切り替えて、各受光素子により複数の位相のすべての反射光を受光して、複数の位相のすべての受光信号を取得する。第1の距離画像生成部31が受光素子単位毎に第1の距離画像S1を生成し、第2の距離画像生成部32が受光素子毎に第2の距離画像S2を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の立体形状を表す距離画像を生成する測距装置および方法並びに測距方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光の反射を用いて被写体までの距離の測定(測距)を行うTOF(Time Of Flight)方式の測距方法を用いて、撮影装置から被写体までの距離を測定して、被写体の立体形状を表す距離画像を生成することが行われている。TOF方式を用いた測距は、具体的には強度変調された測距光を被写体に向けて照射し、この変調周期における0,π/2,π,3π/2の4つの位相において反射光を受光して受光光量に応じた受光信号を得、受光信号に基づいて測距光と反射光との位相の遅れ(位相差)を、撮影装置に設けられた撮像素子の受光素子毎に検出して距離情報を算出し、この距離情報を各画素の画素値とする被写体の立体形状を表す距離画像を生成するものである。
【0003】
また、上記変調周期における0,π/2,π,3π/2の4つの位相において受光信号を取得するための手法として、撮像素子の1つの受光素子において反射光を受光するタイミングを、変調周期における0,π/2,π,3π/2の4つの位相に順次切り替え、4回の撮像により1つの距離情報を算出する手法が提案されている(特許文献1参照)。この手法によれば撮像素子の受光素子数に対応する解像度を有する距離画像を生成することができる。
【特許文献1】特開2004−45304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手法は、高解像度の距離画像を生成できるものの、1つの距離画像を生成するのに4回の撮像が必要である。このため、1回の撮像により取得される画像を1フレームとすると、4フレームに1つの距離画像しか生成できないことから、距離画像のフレームレートが低い。したがって、表示された距離画像に含まれる被写体が動いている場合、その変化がぎこちないものとなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、高いフレームレートにて距離画像を生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による測距装置は、所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射する測距光照射手段と、
前記被写体による前記測距光の反射光を受光し、受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段と、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出し、該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成する第1の距離画像生成手段と、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出し、該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成する第2の距離画像生成手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
「第1の基準変調周期」とは、受光素子単位に含まれる受光素子のそれぞれにおいて複数の位相のそれぞれの反射光を1回ずつ受光して、受光素子単位により複数の位相のすべての受光信号を1回取得することが可能な測距光の変調周期である。例えば、複数の位相が、測距光の変調周期における基準位相、基準位相からπ/2ずれた位相、基準位相からπずれた位相および基準位相から3π/2ずれた位相であり、測距光の変調の1周期においてこれら4つの位相の反射光を受光する場合には、第1の基準変調周期は測距光の変調の1周期に相当するものとなる。なお、距離情報の算出には、測距光の変調周期における複数の位相における受光信号が必要であるが、被写体までの距離、変調の周期および変調の波長は種々変更可能であることから、複数の位相の受光信号が必ずしも変調の1周期において取得されるわけではない。このため、第1の基準変調周期は、必ずしも測距光の変調の1周期とは一致しないものである。
【0008】
「第2の基準変調周期」とは、受光素子単位に含まれる受光素子のそれぞれにおいて複数の位相の反射光をすべて受光して、1つの受光素子により複数の位相のすべての受光信号を取得することが可能な測距光の変調周期である。例えば、複数の位相が、測距光の変調周期における基準位相、基準位相からπ/2ずれた位相、基準位相からπずれた位相および基準位相から3π/2ずれた位相であり、測距光の変調の1周期においてこれら4つの位相の反射光を受光する場合には、1つの受光素子においては測距光の4周期分の反射光を受光するとすべての位相の受光信号が取得されることとなるため、第2の基準変調周期は測距光の変調の4周期、すなわち第1の基準変調周期×位相数となる。
【0009】
なお、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記測距光の変調周期における基準位相、該基準位相からπ/2ずれた位相、該基準位相からπずれた位相および該基準位相から3π/2ずれた位相において前記反射光をそれぞれ受光し、前記受光素子が前記複数の位相のすべての前記反射光を受光するまで、該受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0010】
また、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記測距光の変調周期における基準位相と、該基準位相からπ/2ずれた位相、該基準位相からπずれた位相および該基準位相から3π/2ずれた位相のうちの2つの位相とにおいて、前記測距光の変調周期の少なくとも1/2の期間の前記反射光をそれぞれ受光し、前記受光素子が前記複数の位相のすべての前記反射光を受光するまで、該受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0011】
また、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記受光素子の受光のタイミングを変更することにより、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0012】
また、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記測距光の出射を開始する位相を変更することにより、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0013】
また、本発明による測距装置においては、前記第2の距離画像生成手段を、所定条件を満たす場合にのみ、前記第2の距離画像を生成する手段としてもよい。
【0014】
また、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記所定条件を満たさない場合には、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相の切り替えを停止するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0015】
また、本発明による測距装置においては、前記第2の距離画像生成手段を、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のうち、すべてまたはいずれかの前記第1の距離画像において、あらかじめ定められた所定距離範囲内に前記被写体が存在する場合にのみ、前記第2の距離画像を生成する手段としてもよい。
【0016】
また、本発明による測距装置においては、前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のすべてにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある前記第1の距離情報を算出した前記受光素子単位に含まれる前記受光素子についてのみ、前記第2の距離情報を算出して前記第2の距離画像を生成する手段としてもよい。
【0017】
また、本発明による測距装置においては、前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のそれぞれにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある前記第1の距離情報を算出した前記受光素子単位に含まれる前記受光素子についてのみ、前記第2の距離情報を算出して前記第2の距離画像を生成する手段としてもよい。
【0018】
本発明による測距方法は、測距光照射手段により、所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射し、
受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段により、前記被写体による前記測距光の反射光を受光し、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御し、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出し、
該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成し、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出し、
該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成することを特徴とするものである。
【0019】
なお、本発明による測距方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1の基準変調周期において、受光素子単位に含まれる受光素子のそれぞれにより複数の位相のそれぞれの反射光が受光され、受光素子単位毎に取得される複数の位相の受光信号に基づいて、被写体までの距離を表す第1の距離情報が算出され、第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像が生成される。
【0021】
一方、第2の基準変調周期において、受光素子単位に含まれる受光素子のそれぞれにより複数の位相のすべての反射光が受光され、受光素子毎に取得される複数の位相の受光信号に基づいて、被写体までの距離を表す第2の距離情報が算出され、第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像が生成される。
【0022】
ここで、第2の距離画像を生成するためには、第2の基準変調周期において複数の位相に対応する受光信号を取得する必要があるが、第1の距離画像を生成するためには、(第2の基準変調周期)/(複数の位相の数)という、第2の基準変調周期よりも短い第1の基準変調周期においてのみ、複数の位相に対応する受光信号を取得すればよいこととなる。このため、第1の距離画像については、第2の距離画像よりもフレームレートを高くすることができる。また、第2の距離画像はフレームレートが低いものの、第1の距離画像よりも高解像度となっている。したがって、本発明によれば、高解像度の距離画像を生成しつつも、距離画像のフレームレートの低下を防止することができる。したがって、距離画像を連続して生成する場合、第1の距離画像を表示すれば、被写体が動いていてもその動きを滑らかに再生することができる。
【0023】
また、所定条件を満たす場合にのみ第2の距離画像を生成することにより、不要な場合に第2の距離画像を生成しなくてもよくなるため、無駄な処理を防止できる。
【0024】
とくに、所定条件を満たさない場合には、受光素子のそれぞれにより受光される反射光の位相の切り替えを停止することにより、測距光照射手段および撮像手段の無駄な駆動を防止することができる。
【0025】
また、第2の基準変調周期に生成される複数の第1の距離画像のすべてにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある第1の距離情報を算出した受光素子についてのみ、第2の距離情報を算出して第2の距離画像を生成することにより、必要な部分のみ第2の距離情報を算出すればよいため、第2の距離画像の容量を少なくすることができる。また、第1の距離画像の生成時に、第1の距離情報の算出を誤ってしまった受光素子においては、第2の距離情報は算出されないため、誤測距による高解像の距離画像の無駄な生成を防止することができる。
【0026】
また、第2の基準変調周期に生成される複数の第1の距離画像のそれぞれにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある第1の距離情報を算出した受光素子についてのみ、第2の距離情報を算出して第2の距離画像を生成することにより、必要な部分のみ第2の距離情報を算出すればよいため、第2の距離画像の容量を少なくすることができる。また、所定距離範囲内にある被写体についてもれなく高解像の距離画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による測距装置の構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように第1の実施形態による測距装置1は撮像部2を備える。
【0028】
撮像部2は、レンズ10、絞り11、シャッタ12、CCD13、アナログフロントエンド(AFE)14およびA/D変換部15を備える。
【0029】
レンズ10は、被写体にピントを合わせるためのフォーカスレンズ、ズーム機能を実現するためのズームレンズ等の複数の機能別レンズにより構成され、不図示のレンズ駆動部によりその位置が調整される。
【0030】
絞り11は、不図示の絞り駆動部により、AE処理により得られる絞り値データに基づいて絞り径の調整が行われる。
【0031】
シャッタ12はメカニカルシャッタであり、不図示のシャッタ駆動部により、AE処理により得られるシャッタスピードに応じて駆動される。
【0032】
CCD13は、多数の受光素子を2次元的に配列した光電面を有する撮像素子であり、被写体光がこの光電面に結像して光電変換されてアナログ撮像信号である受光信号が取得される。
【0033】
AFE14は、CCD13から出力される受光信号に対して、受光信号のノイズを除去する処理、および受光信号のゲインを調節する処理(以下アナログ処理とする)を施す。
【0034】
A/D変換部15は、AFE14によりアナログ処理が施された受光信号をデジタル信号に変換する。
【0035】
また、撮像部2は、被写体に向けて赤外光からなる測距光を照射するための測距光照射部3を備える。測距光照射部3は複数のLEDが2次元状に配設された面光源からなる。測距光照射部3が発光する測距光は、変調部18により所定の周期により強度変調される。また、撮像部2は、CCD13、AFE14および変調部18の駆動を制御するための撮像制御部19を備える。具体的には、撮像制御部19は、CPU33からの指示により、変調部18に変調の指示を行って測距光照射部3を変調発光させ、これとタイミングを合わせて被写体による測距光の反射光を受光し、受光した光の光量に応じた受光信号を出力するよう撮像部2の各部を制御する。なお、CCD13の各受光素子からの受光信号の取得の制御については後述する。
【0036】
また、測距装置1は、撮影条件設定部22、画像処理部23、圧縮/伸長処理部24、フレームメモリ25、メディア制御部26、内部メモリ27、および表示制御部28を備える。
【0037】
撮影条件設定部22は、AF処理部およびAE処理部からなる。AF処理部は入力部34からの指示により撮像部2が取得した画像(プレ画像)に基づいてレンズ10の焦点距離を決定し、撮像部2に出力する。AE処理部は、プレ画像に基づいて絞り値とシャッタ速度とを決定し、撮像部2に出力する。
【0038】
画像処理部23は、後述するように生成された距離画像の画像データに対して、ホワイトバランスを調整する処理、階調補正、シャープネス補正等の画像処理を施す。
【0039】
圧縮/伸長処理部24は、画像処理部23によって画像処理が施された距離画像の画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exifフォーマット等に基づいて、撮影日時等の付帯情報が格納されたタグが付加される。
【0040】
フレームメモリ25は、撮像部2が取得した受光信号に対して、前述の画像処理を含む各種処理を行う際に使用する作業用メモリである。
【0041】
メディア制御部26は、記録メディア29にアクセスして距離画像の画像ファイルの書き込みと読み込みの制御を行う。
【0042】
内部メモリ27は、測距装置1において設定される各種定数、およびCPU33が実行するプログラム等を記憶する。
【0043】
表示制御部28は、フレームメモリ25に格納された画像データをモニタ30に表示させたり、記録メディア29に記録されている画像をモニタ30に表示させたりするためのものである。
【0044】
また、測距装置1は、第1の距離画像生成部31、第2の距離画像生成部32およびCPU33を備える。
【0045】
第1の距離画像生成部31は、撮像部2が取得した受光信号を用いて被写体上の各点の測距装置1からの第1の距離情報D1を、CCD13上における所定数の受光素子からなる受光素子単位毎に算出し、第1の距離情報D1を各画素とする第1の距離画像S1を生成する。一方、第2の距離画像生成部32は、CCD13上における各受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素とする第2の距離画像S2を生成する。以下、距離情報D1,D2の算出について説明する。
【0046】
第1および第2の距離画像生成部31,32は、強度変調された測距光が出射されてから被写体により反射された反射光を受光するまでの時間(すなわち光の飛行時間)により距離情報D1,D2を算出する。
【0047】
図2は距離情報を算出するための位相差の算出を説明するための図である。図2に示すように、測距光照射部3から出射される測距光の強度が曲線K1に示すように正弦波状に変化し、CCD13のある受光素子により受光した反射光の受光光量が曲線K2のように変化するとすれば、位相差ψは測距光の飛行時間に相当するため、位相差ψを求めることにより被写体までの距離を求めることができる。
【0048】
位相差ψは、測距光の複数のタイミングで求めた反射光の受光光量を用いて計算することができる。ここで、測距光における0、π/2、π、3π/2の位相で求めた反射光の受光光量がそれぞれα、β、γ、δであるとする。なお、受光は図2に示すようにパルス状に行われ、図2においてはパルスに対応する受光光量α、β、γ、δを斜線で示している。なお、受光光量α、β、γ、δを求める間に、位相差ψが変化せず、かつ被写体の反射率にも変化がないものとし、時刻tにおいてCCD13の各受光素子で受光される光の強度がA・sin(ωt+φ)+Bで表されるものとする。ここで、Aは振幅、Bは外光成分、ωは角振動数、δは位相である。これにより、受光素子で受光する受光光量α、β、γ、δは、次のように表すことができる。なお、受光光量は測距光における0、π/2、π、3π/2の位相において各受光素子から出力される受光信号に相当する。
【0049】
α=A・sin(φ)+B
β=A・sin(π/2+φ)+B
γ=A・sin(π+φ)+B
δ=A・sin(3π/2+φ)+B
ここで、φ=−ψであるから、α=−A・sin(ψ)+B、β=A・cos(ψ)+B、γ=A・sin(ψ)+B、δ=−A・cos(ψ)+Bであるため、各受光光量α、β、γ、δと位相差ψとの関係は、次式のようになる。
【0050】
ψ=tan-1{(γ−α)/(β−δ)} (1)
したがって、各受光素子と被写体との距離Dは、
D=c・ψ/(4πF) (2)
により算出することができる。なお、Fは周波数(=ω/2π)である。
【0051】
なお、距離情報D1,D2の算出には、上述した4つの受光光量すなわち4つの受光信号α、β、γ、δをCCD13から取得することが必要であるが、第1の実施形態においては、CCD13上における2×2の範囲にある4つの受光素子を1つの単位として、この受光素子単位において受光信号α、β、γ、δを取得し、1つの受光素子単位毎に1つの距離情報D1を算出する。また、受光素子単位の4つの受光素子毎に1つの距離情報D2を算出する。
【0052】
次いで、距離情報D1,D2の算出に必要な受光信号の取得について説明する。図3は第1の実施形態におけるCCD13からの受光信号の取得を説明するための図である。なお、図3はCCD13の光電面を示し、ここでは受光素子が6×6に並んでいるものとする。また、図3においては説明のため左上隅にある2×2の範囲にある4つの受光素子からなる受光素子単位R1、および右から2列目の最上段にある受光素子R2における受光信号α、β、γ、δの取得について説明する。なお、以降の説明のため、1つの受光素子単位R1に含まれる受光素子について、図3(a)に示すようにP1,P2,P3,P4の参照符号を付与するものとする。また、図示はしないが受光素子R2はCCD13の右上隅にある受光素子単位に含まれ、受光素子単位R1における受光素子P1に対応するものとなる。
【0053】
図4は第1の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図である。なお、図4においては、反射光の受光のタイミングに、そのタイミングにおいて取得される受光信号の参照符号を付与している。第1の実施形態においては、測距光の変調の1周期において0、π/2、π、3π/2の位相の受光信号α、β、γ、δを取得するものであり、1つの受光素子において4つの受光信号α、β、γ、δを取得するためには、変調周期として4周期分の測距光を被写体に照射する必要がある。このため、図4に示すように、まず測距光の1周期目において、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて0、π/2、π、3π/2の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、図3(a)に示すように受光信号α、β、γ、δをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の1周期目のものであることから、受光信号α1、β1、γ1、δ1と称する。
【0054】
次いで、測距光の2周期目において、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについてπ/2、0、3π/2、πの位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、図3(b)に示すように受光信号β、α、δ、γをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の2周期目のものであることから、受光信号α2、β2、γ2、δ2と称する。
【0055】
次いで、測距光の3周期目において、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについてπ、3π/2、0、π/2の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、図3(c)に示すように受光信号γ、δ、α、βをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の3周期目のものであることから、受光信号α3、β3、γ3、δ3と称する。
【0056】
そして、測距光の4周期目において、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて3π/2、π、π/2、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、図3(d)に示すように受光信号δ、γ、β、αをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の4周期目のものであることから、受光信号α4、β4、γ4、δ4と称する。
【0057】
これにより、受光素子単位R1においては、測距光の1つの変調周期において4つの受光信号α、β、γ、δが取得される。また、受光素子R2においては測距光の4つの変調周期において4つの受光信号α、β、γ、δが取得される。
【0058】
図5は第1の実施形態におけるCCD13の受光素子から受光信号に相当する電荷を読み出すための回路図である。図5に示すようにCCD13は、受光素子のそれぞれに対応する光電変換部39と、電荷蓄積部40と、複数のスイッチSW1〜SW8とを備える。なお、スイッチSW1,SW2は一方がオンの時に他方がオフとされるスイッチである。また、スイッチSW3,SW4は一方がオンの時に他方がオフとされるスイッチである。また、スイッチSW5,SW6は一方がオンの時に他方がオフとされるスイッチである。また、スイッチSW7,SW8は一方がオンの時に他方がオフとされるスイッチである。そして、反射光の受光時には、測距光の0、π/2、π、3π/2の位相において複数のスイッチSW1〜SW8のオン/オフを切り替えて、各光電変換部39の電荷を電荷蓄積部40に蓄積する。
【0059】
具体的には、変調の1周期目においては、位相0のタイミングにおいて、スイッチSW3をオン、スイッチSW2,SW6,SW8をオンとする。なお、この際スイッチSW4はオフとされる。これにより、受光信号αを得るための電荷のみが電荷蓄積部40に蓄積される。また、位相π/2のタイミングにおいては、スイッチSW5をオン、スイッチSW2,SW4,SW8をオンとする。なお、この際スイッチSW6はオフとされる。これにより、受光信号βを得る電荷のみが電荷蓄積部40に蓄積される。また、位相πのタイミングにおいては、スイッチSW1をオン、スイッチSW4,SW6,SW8をオンとする。なお、この際スイッチSW2はオフとされる。これにより、受光信号γを得る電荷のみが電荷蓄積部40に蓄積される。そして、位相3π/2のタイミングにおいては、スイッチSW7をオン、スイッチSW2,SW4,SW6をオンとする。なお、この際スイッチSW8はオフとされる。これにより、受光信号δを得る電荷のみが電荷蓄積部40に蓄積される。以上より、変調の1周期目においてはSW1,SW3,SW5,SW7をオンとする順序は、SW3,SW5,SW1,SW7となる。
【0060】
一方、変調の2周期目においては、スイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンとする順序は、SW5,SW3,SW7,SW1となる。変調の3周期目においてはスイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンとする順序は、SW1,SW7,SW3,SW5となる。そして、変調の4周期目においてはスイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンとする順序は、SW7,SW1,SW5,SW3となる。
【0061】
このように、オンとするスイッチの順序を、測距光の変調の位相に応じて切り替えることにより、測距光の変調の各周期における0、π/2、π、3π/2の位相において、受光素子単位R1毎に4つの受光信号α、β、γ、δを取得することができる。そして、測距光の4つの周期において、オンとするスイッチのタイミングを測距光の変調の位相に応じて切り替えることにより、受光素子R2毎に4つの受光信号α、β、γ、δを取得することができる。
【0062】
そして、第1の距離画像生成部31は、上述したように受光素子単位毎に取得した4つの受光信号α、β、γ、δに基づいて第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D1を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する。なお、第1の距離画像S1の画素数は、CCD13の受光素子数の1/4となる。また、測距光の変調の1周期毎に1つの第1の距離画像S1が生成される。
【0063】
また第2の距離画像生成部32は、上述したように受光素子毎に測距光の変調の4周期において取得した4つの受光信号α、β、γ、δに基づいて第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する。なお、第2の距離画像S2の画素数は、CCD13の受光素子数と同一となる。したがって、フレームレートは第1の距離画像S1の方が高いが、解像度は第2の距離画像S2の方が高くなる。
【0064】
CPU33は、入力部34からの信号に応じて測距装置1の各部を制御する。
【0065】
データバス35は、測距装置1を構成する各部およびCPU33に接続されており、測距装置1における各種データおよび各種情報のやり取りを行う。
【0066】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図6は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、撮影条件設定部22におけるAF処理およびAE処理はすでに行われているものとし、ここでは撮像の指示が行われた以降の処理について説明する。また、第1および第2の距離画像S1,S2の表示および記録の指示は、入力部34からあらかじめ行われているものとする。
【0067】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST1)、さらに測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得する(ステップST2)。次いで、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し(ステップST3)、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(ステップST4)。
【0068】
続いて、CPU33は、第1の距離画像S1を表示する指示がなされているか否かを判定し(ステップST5)、ステップST5が肯定されると、表示制御部28が第1の距離画像S1をモニタ30に表示する(ステップST6)。次いでCPU33は、第1の距離画像S1の画像データを記録する指示がなされているか否かを判定し(ステップST7)、ステップST7が肯定されると、メディア制御部26が第1の距離画像S1の画像データを記録メディア29に記録する(ステップST8)。なお、ステップST5が否定された場合もステップST8の処理を行う。ステップST7が否定されるとステップST9の処理に進む。
【0069】
次いで、CPU33は1つの受光素子が4つの受光信号α、β、γ、δを取得したか否かを判定し(ステップST9)、ステップST9が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更し(ステップST10)、ステップST2に戻ってステップST2以降の処理を繰り返す。
【0070】
ステップST9が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し(ステップST11)、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(ステップST12)。
【0071】
続いて、CPU33は、第2の距離画像S2を表示する指示がなされているか否かを判定し(ステップST13)、ステップST13が肯定されると、表示制御部28が第2の距離画像S2をモニタ30に表示する(ステップST14)。次いでCPU33は、第2の距離画像S2の画像データを記録する指示がなされているか否かを判定し(ステップST15)、ステップST15が肯定されると、メディア制御部26が第2の距離画像S2の画像データを記録メディア29に記録し(ステップST16)、処理を終了する。なお、ステップST15が否定された場合も処理を終了する。また、ステップST13が否定された場合はステップST16の処理を行う。
【0072】
このように、第1の実施形態においては、4つの受光素子からなる受光素子単位毎に第1の距離画像S1を生成し、受光素子毎に第2の距離画像S2を生成するようにしたものである。ここで、第1の距離画像S1は測距光の変調の1周期毎に生成されるため、第1の距離画像S1については、フレームレートを高くすることができる。また、第2の距離画像S2はフレームレートが低いものの、第1の距離画像S1よりも高解像度となっている。したがって、第1の実施形態によれば、高解像度の距離画像を生成しつつも、距離画像のフレームレートの低下を防止することができる。
【0073】
なお、上記第1の実施形態においては、CCD13上における2×2の範囲にある4つの受光素子を1つの受光素子単位としているが、図7に示すように、CCD13上における縦横1×4の範囲にある4つの受光素子を1つの受光素子単位としてもよい。この場合、図7(a)、(b)、(c)、(d)の順序にて受光素子における反射光の受光のタイミングを切り替えることとなる。
【0074】
ここで、図7に示すように受光素子単位を設定することにより、第1の距離画像S1は縦方向と横方向とで解像度が異なるものとなるが、高解像度の第2の距離画像S2を生成することができる。また、CCD13の横方向に並ぶ受光素子が受光する反射光の位相を同一とすることができるため、CCD13の横方向に並ぶ受光素子の列から同時に受光信号を読み出すようにすればよいこととなる。したがって、既存のCCDを用いることができ、その結果、測距装置の製造コストを低減することができる。
【0075】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態による測距装置の構成は、第1の実施形態による測距装置1の構成と同一であり、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。第1の実施形態においては、測距光の変調周期における0、π/2、π、3π/2の4つの位相において4つの受光信号をα、β、γ、δ取得しているが、第2の実施形態においては、測距光の変調周期における0の位相、およびπ/2、π、3π/2の位相のうちの2つの位相の、合計3つの位相において3つの受光信号を取得して距離情報を算出するようにした点が第1の実施形態と異なる。
【0076】
図8は第2の実施形態における位相差の算出を説明するための図である。図8に示すように、測距光照射部3から出射される測距光の強度が曲線K1に示すように正弦波状に変化し、CCD13の各受光素子により受光した反射光の受光光量が曲線K2のように変化するとする。第2の実施形態においては、測距光の変調周期における0、π/2、πの3つの位相において、図8(a)〜(c)に示すように、変調周期の半分の期間反射光を受光するように受光素子の受光タイミングを制御する。なお、これにより取得される受光光量をX,Y,Zとし、図8(a)〜(c)において斜線で示す。
【0077】
なお、受光光量Xは、測距光の変調周期の0〜πの期間の受光信号に、受光光量Yはπ/2〜3π/2の期間の受光信号に、受光光量Zはπ〜2πの期間の受光信号にそれぞれ対応するため、受光信号についても参照符号としてX,Y,Zを用いる。
【0078】
また、曲線K1における0〜π/2、π/2〜π、π〜3π/2、3π/2〜2πの位相において求めた曲線K2の受光光量は、上記第1の実施形態における受光光量α、β、γ、δに相当する。したがって、X=α+β、Y=β+γ、Z=γ+δとなるため、下記の関係が成立する。
【0079】
Y−X=γ−α
Y−Z=β−δ
ここで位相差ψは上記式(1)により算出することができるため、上記関係を式(1)に代入すると、
ψ=tan-1{(Y−X)/(Y−Z)} (3)
となる。したがって、3つの位相において取得した受光信号X,Y,Zからも、式(3)により位相差ψを算出し、式(2)により各受光素子と被写体との距離を算出することができる。
【0080】
図9は第2の実施形態におけるCCD13からの受光信号の取得を説明するための図である。なお、図9においては説明のため左上隅にある3つの受光素子からなる受光素子単位R3、および右から2列目の最上段にある受光素子R4における受光信号X,Y,Zの取得について説明する。なお、受光素子単位R3はCCD13上に図10に示すように分布することとなる。なお、以降の説明のため、1つの受光素子単位R3に含まれる受光素子について、図9に示すようにP11,P12,P13の参照符号を付与するものとする。また、図示はしないが受光素子R4はCCD13の右上隅にある受光素子単位に含まれ、受光素子単位R3における受光素子P11に対応するものとなる。
【0081】
図11は測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図である。なお、図11においては、反射光の受光のタイミングに、そのタイミングにおいて取得される受光信号の参照符号を付与している。第2の実施形態においては、測距光の1の変調周期において0、π/2、πの位相の受光信号X,Y,Zを取得するものであり、1つの受光素子R4において3つの受光信号X,Y,Zを取得するためには、3周期分の測距光を被写体に照射する必要がある。図11に示すように、まず測距光の1周期目において、受光素子P11,P12,P13のそれぞれについて0、π/2、πの位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P11,P12,P13は、図9(a)に示すように受光信号X,Y,Zをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の1周期目のものであることから、受光信号X1,Y1,Z1と称する。
【0082】
次いで、測距光の2周期目において、受光素子P11,P12,P13のそれぞれについてπ/2、π、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P11,P12,P13は、図9(b)に示すように受光信号Y,Z,Xをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の2周期目のものであることから、受光信号X2、Y2、Z2と称する。
【0083】
次いで、測距光の3周期目において、受光素子P11,P12,P13のそれぞれについてπ、0、π/2の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P11,P12,P13は、図9(c)に示すように受光信号Z,X,Yをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の3周期目のものであることから、受光信号Z3,X3,Y3と称する。
【0084】
これにより、受光素子単位R3においては、測距光の1つの変調周期において3つの受光信号X,Y,Zが取得される。また、受光素子R4においては測距光の3つの変調周期において3つの受光信号X,Y,Zが取得される。
【0085】
そして、第2の実施形態において、第1の距離画像生成部31は、上述したように受光素子単位毎に取得した3つの受光信号X,Y,Zに基づいて第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D1を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する。なお、第1の距離画像S1の画素数は、CCD13の受光素子数の1/3となる。また、測距光の変調の1周期毎に1つの第1の距離画像S1が生成される。
【0086】
また第2の距離画像生成部32は、上述したように受光素子毎に測距光の変調の3周期において取得した3つの受光信号X,Y,Zに基づいて第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する。なお、第2の距離画像S2の画素数は、CCD13の受光素子数と同一となる。したがって、フレームレートは第1の距離画像S1の方が高いが、解像度は第2の距離画像S2の方が高くなる。
【0087】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図12は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、撮影条件設定部22におけるAF処理およびAE処理はすでに行われているものとし、ここでは撮像の指示が行われた以降の処理について説明する。また、第1および第2の距離画像S1,S2の表示および記録の指示は、入力部34からあらかじめ行われているものとする。
【0088】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST21)、さらに測距光の被写体による反射光を撮像して、3つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号X,Y,Zを取得する(ステップST22)。次いで、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し(ステップST23)、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(ステップST24)。
【0089】
続いて、CPU33は、第1の距離画像S1を表示する指示がなされているか否かを判定し(ステップST25)、ステップST25が肯定されると、表示制御部28が第1の距離画像S1をモニタ30に表示する(ステップST26)。次いでCPU33は、第1の距離画像S1の画像データを記録する指示がなされているか否かを判定し(ステップST27)、ステップST27が肯定されると、メディア制御部26が第1の距離画像S1の画像データを記録メディア29に記録する(ステップST28)。なお、ステップST25が否定された場合もステップST28の処理を行う。ステップST27が否定されるとステップST29の処理に進む。
【0090】
次いで、CPU33は1つの受光素子が3つの受光信号X,Y,Zを取得したか否かを判定し(ステップST29)、ステップST29が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更し(ステップST30)、ステップST22に戻ってステップST22以降の処理を繰り返す。
【0091】
ステップST29が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し(ステップST31)、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(ステップST32)。
【0092】
続いて、CPU33は、第2の距離画像S2を表示する指示がなされているか否かを判定し(ステップST33)、ステップST33が肯定されると、表示制御部28が第2の距離画像S2をモニタ30に表示する(ステップST34)。次いでCPU33は、第2の距離画像S2の画像データを記録する指示がなされているか否かを判定し(ステップST35)、ステップST35が肯定されると、メディア制御部26が第2の距離画像S2の画像データを記録メディア29に記録し(ステップST36)、処理を終了する。なお、ステップST35が否定された場合も処理を終了する。また、ステップST33が否定された場合はステップST36の処理を行う。
【0093】
このように、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に、フレームレートの高い第1の距離画像S1、および解像度の高い第2の距離画像を生成することができる。
【0094】
なお、上記第2の実施形態においては、図10に示すようにCCD13上における3つの受光素子を1つの受光素子単位としているが、図13に示すように、CCD13上における縦横1×3の範囲にある3つの受光素子を1つの受光素子単位としてもよい。この場合、図13(a)、(b)、(c)の順序にて受光素子における反射光の受光のタイミングを切り替えることとなる。
【0095】
ここで、図13に示すように受光素子単位を設定することにより、第1の距離画像S1は縦方向と横方向とで解像度が異なるものとなるものの、高解像度の第2の距離画像S2を生成することができる。また、CCD13の横方向に並ぶ受光素子が受光する反射光の位相を同一とすることができるため、CCD13の横方向に並ぶ受光素子の列から同時に受光信号を読み出すようにすればよいこととなる。したがって、既存のCCDを用いることができ、その結果、測距装置の製造コストを低減することができる。
【0096】
なお、上記第1および第2の実施形態においては、CCD13の受光素子による反射光の受光のタイミングを制御することにより、受光信号α、β、γ、δおよび受光信号X,Y,Zを取得しているが、測距光の出射開始位相を変更することにより、受光素子の受光タイミングを変更することなく、受光信号α、β、γ、δを取得することができる。以下、これを第3の実施形態として説明する。なお、測距光の出射開始の変更は、撮像制御部19が行う。
【0097】
図14は第3の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図である。なお、ここでは第1の実施形態における測距光を出射する位相を変更する処理について説明するが、第2の実施形態に対しても同様に適用できるものである。
【0098】
第3の実施形態においては、測距光の1の変調周期において0、π/2、π、3π/2の位相の受光信号α、β、γ、δを取得するものであり、1つの受光素子R2において4つの受光信号α、β、γ、δを取得するためには、4周期分の測距光を被写体に照射する必要がある。このため、図14に示すように、まず測距光の1周期目においては、位相0にて測距光の出射を開始し、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて0、π/2、π、3π/2の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、受光信号α、β、γ、δをそれぞれ取得する。
【0099】
次いで、測距光の2周期目においては、位相をπ/2ずらして測距光の出射を開始し、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて、1周期目と同一のタイミングにてπ/2、π、3π/2、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、受光信号β、γ、δ、αをそれぞれ取得する。なお、この場合は、受光素子P2,P4が取得する受光信号は図3と逆となる。
【0100】
次いで、測距光の3周期目においては、位相をπずらして測距光の出射を開始し、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて、1周期目と同一のタイミングにてπ/2、π、3π/2、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、受光信号γ、δ、α、βをそれぞれ取得する。
【0101】
そして、測距光の4周期目においては、位相を3π/2ずらして測距光の出射を開始し、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて、1周期目と同一のタイミングにてπ/2、π、3π/2、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、受光信号δ、α、β、γをそれぞれ取得する。なお、この場合は、受光素子P2,P4が取得する受光信号は図3と逆となる。
【0102】
これにより、受光素子の受光のタイミングを変更する場合と同様に、受光素子単位R1においては、測距光の1つの変調周期において4つの受光信号α、β、γ、δが取得される。また、受光素子R2においては測距光の4つの変調周期において4つの受光信号α、β、γ、δが取得される。また、測距光の発光の位相を変更することにより、受光素子の受光のタイミングを変更する場合と比較して、受光タイミングの変更に起因するノイズの影響を低減できるため、より高画質の距離画像を生成することができる。
【0103】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。図15は本発明の第4の実施形態による測距装置の構成を示す概略ブロック図である。なお、第4の実施形態において第1の実施形態と同一の構成については同一の参照番号を付与し、詳細な説明は省略する。第4の実施形態による測距装置1Aは、第1の距離画像生成部31が生成した距離画像S1において、あらかじめ定められた所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定する判定部36を備え、判定部36による判定が肯定された場合にのみ、第2の距離画像生成部32が第2の距離画像S2を生成するようにした点が第1および第2の実施形態と異なる。なお、所定距離範囲はあらかじめ入力部34から入力されて内部メモリ27に記憶されている。
【0104】
ここで、判定部36は、距離画像S2の最大値および最小値(すなわち距離情報D1の最大値および最小値)の差分値を算出し、算出した差分値が上記所定距離範囲内にあるか否かを判定することにより、所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定する。
【0105】
次いで、第4の実施形態において行われる処理について説明する。図16は第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用する場合について説明する。
【0106】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST41)、さらに上記第1の実施形態と同様に、測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得し、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(第1の距離画像生成処理、ステップST42)。続いて、CPU33は、第1の実施形態におけるステップST5〜ステップST8の処理を行う(第1の距離画像表示記録処理、ステップST43)。
【0107】
次いで、CPU33は1つの受光素子が4つの受光信号α、β、γ、δを取得したか否かを判定し(ステップST44)、ステップST44が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更し(ステップST45)、ステップST42に戻ってステップST42以降の処理を繰り返す。
【0108】
ステップST44が肯定されると、判定部36が、4つの第1の距離画像S1のうちいずれかの距離画像S1において、所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定する(ステップST46)。ステップST46が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(第2の距離画像生成処理、ステップST47)。続いて、CPU33は、第1の実施形態におけるステップST13〜ステップST16の処理を行い(第2の距離画像表示記録処理、ステップST48)、処理を終了する。なお、ステップST46が否定された場合、第2の距離画像S2を生成することなく処理を終了する。
【0109】
このように、第4の実施形態においては、第1の距離画像S1における所定距離範囲に被写体がある場合にのみ、第2の距離画像S2を生成するようにしたため、被写体までの距離が近すぎたり遠すぎたりする場合のように、高解像度の距離画像が不要な場合には第2の距離画像S2は生成されないこととなる。したがって、処理の無駄および記録メディア29の無駄な消費を防止することができる。
【0110】
なお、上記第4の実施形態においては、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用しているが、第2の実施形態に対しても上記と同様に適用することができる。また、第4の実施形態において、第3の実施形態と同様に、測距光の出射開始の位相を変更することにより、受光信号を取得するようにしてもよい。
【0111】
また、上記第4の実施形態においては、ステップST46の処理において、いずれかの第1の距離画像S1の所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定しているが、すべての第1の距離画像S1の所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定するようにしてもよいことはもちろんである。
【0112】
次いで、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、第5の実施形態による測距装置の構成は、第4の実施形態による測距装置1Aの構成と同一であり、行われる処理内容のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。第5の実施形態においては、4つの第1の距離画像S1のすべてにおいて所定距離範囲にある距離情報を算出した受光素子単位についてのみ、第2の距離情報を算出して第2の距離画像S2を生成するようにした点が第4の実施形態と異なる。
【0113】
次いで、第5の実施形態において行われる処理について説明する。図17は第5の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用する場合について説明する。
【0114】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST51)、変調の周期nを初期値に設定し(n=1、ステップST52)、さらに上記第1の実施形態と同様に、測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得し、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(第1の距離画像生成処理、ステップST53)。
【0115】
続いて、CPU33がn>1であるか否かを判定し(ステップST54)、ステップST54が否定されると、判定部36が、第1の距離画像S1に所定距離範囲内にある被写体が含まれるか否かを判定する(ステップST55)。具体的には第1の距離画像S1における各画素の距離情報D1に、所定距離範囲内にある距離情報D1が含まれるか否かを判定する。ステップST55が肯定されると、所定距離範囲内にある距離情報D1を算出した受光素子の位置を内部メモリ27に記憶し(ステップST56)、さらにCPU33は、上記第1の実施形態におけるステップST5〜ステップST8の処理を行う(第1の距離画像表示記録処理、ステップST57)。
【0116】
一方、ステップST54が肯定されると、1つ前の変調周期において取得した第1の距離画像S1において、所定距離範囲にある距離情報D1を算出した受光素子の位置が内部メモリ27に記憶されているか否かを判定する(ステップST58)。ステップST58が肯定されると、ステップST55に進み、ステップST56およびステップST57の処理を行う。なお、この場合、ステップST56の処理においては、1つ前の処理において記憶されている受光素子の位置と共通する受光素子の位置のみが内部メモリ27に記憶される。なお、ステップST58が否定されると、ステップST57の処理に進む。
【0117】
なお、ステップST55が否定されると、内部メモリ27に記憶されている受光素子の位置を削除し(ステップST59)、ステップST57の処理に進む。
【0118】
ステップST57に続いて、CPU33は1つの受光素子が4つの受光信号α、β、γ、δを取得したか否かを判定し(ステップST60)、ステップST60が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更するとともに、測距光の変調周期を次の周期に変更し(n=n+1)(ステップST61)、ステップST53に戻ってステップST53以降の処理を繰り返す。
【0119】
続いて、第2の距離画像生成部32が、内部メモリ27に受光素子の位置が記憶されているか否かを判定する(ステップST62)。ステップST62が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(第2の距離画像生成処理、ステップST63)。続いて、CPU33は、第1の実施形態におけるステップST13〜ステップST16の処理を行い(第2の距離画像表示記録処理、ステップST64)、処理を終了する。なお、ステップST62が否定された場合、第2の距離画像S2を生成することなく、処理を終了する。
【0120】
図18は第5の実施形態における撮影シーンおよび生成される第2の距離画像を示す図である。実際に撮影するシーンが図18(a)に示すように人物および背景を含むものであり、人物のみが所定距離範囲内にある場合、第5の実施形態により生成される第2の距離画像S2は、図18(b)に示すように、人物のみが距離情報を有し、背景は距離情報を有さないものとなる。なお、図18(b)においては、人物が距離情報を有することを撮影シーンの画像そのもので示し、顔の背景が距離情報を有さないことを斜線にて示している。
【0121】
このように、第5の実施形態においては、4つの第1の距離画像S1のすべてにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある第1の距離情報D1を算出した受光素子についてのみ、第2の距離情報D2を算出して第2の距離画像S2を生成するようにしたものである。このため、必要な部分のみ高解像度の画像を生成すればよいこととなり、その結果、第2の距離画像の容量を少なくすることができる。また、第1の距離画像S1の生成時に、第1の距離情報D1の算出を誤ってしまった受光素子においては、第2の距離情報D2は算出されないため、誤測距による高解像の距離情報の生成を防止することができる。
【0122】
なお、上記第5の実施形態においては、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用しているが、第2の実施形態に対しても上記と同様に適用することができる。また、第5の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、測距光の出射開始の位相を変更することにより、受光信号を取得するようにしてもよい。
【0123】
次いで、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、第6の実施形態による測距装置の構成は、第4の実施形態による測距装置1Aの構成と同一であり、行われる処理内容のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。第6の実施形態においては、4つの第1の距離画像S1のいずれかにおいて所定距離範囲にある距離情報を算出した受光素子単位についてのみ、第2の距離情報を算出して第2の距離画像S2を生成するようにした点が第4の実施形態と異なる。
【0124】
次いで、第6の実施形態において行われる処理について説明する。図19は第6の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用する場合について説明する。
【0125】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST71)、変調の周期nを初期値に設定し(n=1、ステップST72)、さらに上記第1の実施形態と同様に、測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得し、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(第1の距離画像生成処理、ステップST73)。
【0126】
続いて、判定部36が第1の距離画像S1に所定距離範囲内にある被写体が含まれるか否かを判定する(ステップST74)。具体的には距離画像S1における各画素の距離情報D1に、所定距離範囲内にある距離情報D1が含まれるか否かを判定する。ステップST74が肯定されると、所定距離範囲内にある距離情報D1を算出した受光素子の位置を内部メモリ27に記憶し(ステップST75)、さらにCPU33は、上記第1の実施形態におけるステップST5〜ステップST8の処理を行う(第1の距離画像表示記録処理、ステップST76)。一方、ステップST74が否定されると、ステップST76の処理に進む。
【0127】
ステップST76に続いて、CPU33は1つの受光素子が4つの受光信号α、β、γ、δを取得したか否かを判定し(ステップST77)、ステップST77が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更するとともに、測距光の変調周期を次の周期に変更し(n=n+1)(ステップST78)、ステップST73に戻ってステップST73以降の処理を繰り返す。
【0128】
なお、変調周期の2周期目以降の処理においてステップST74が肯定された場合、内部メモリ27には、それまでに記憶されている受光素子の位置に新たに所定距離範囲内にあると判定された距離情報D1を得た受光素子の位置が追記される。
【0129】
続いて、第2の距離画像生成部32が、内部メモリ27に受光素子の位置が記憶されているか否かを判定する(ステップST79)。ステップST79が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(第2の距離画像生成処理、ステップST80)。続いて、CPU33は、第1の実施形態におけるステップST13〜ステップST16の処理を行い(第2の距離画像表示記録処理、ステップST81)、処理を終了する。なお、ステップST79が否定された場合、第2の距離画像S2を生成することなく処理を終了する。
【0130】
このように、第6の実施形態においては、4つの第1の距離画像S1のいずれかにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある第1の距離情報D1を算出した受光素子についてのみ、第2の距離情報D2を算出して第2の距離画像S2を生成するようにしたものである。このため、必要な部分のみ高解像度の画像を生成すればよいこととなり、その結果、第2の距離画像の容量を少なくすることができる。また、所定距離範囲内にある被写体についてもれなく高解像の距離情報を得ることができる。
【0131】
なお、上記第6の実施形態においては、判定の処理を第1の実施形態に適用しているが、第2の実施形態に対しても上記と同様に適用することができる。また、第6の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、測距光の出射開始の位相を変更することにより、受光信号を取得するようにしてもよい。
【0132】
また、上記第4から第6の実施形態においては、第1の距離画像S1に基づいて第2の距離画像S2を生成するか否かを判定しているが、あらかじめユーザが入力部34から第2の距離画像S2を生成するか否かを設定し、その設定結果を用いて第2の距離画像S2を生成するか否かを判定するようにしてもよい。以下、これを第7の実施形態として説明する。なお、第7の実施形態による測距装置の構成は、第4の実施形態による測距装置1Aの構成と同一であり、行われる処理内容のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。
【0133】
次いで、第7の実施形態において行われる処理について説明する。図20は第7の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用する場合について説明する。
【0134】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、判定部36が第2の距離画像S2を生成する設定となっているか否かを判定する(ステップST92)。ステップST92が肯定されると、第1の実施形態におけるステップST1以降の処理を行う。
【0135】
ステップST92が否定されると、第2の距離画像S2を生成する必要がないことから、CCD13の受光素子の受光タイミングの変更を停止する(ステップST93)。なお、第3の実施形態のように測距光の出射開始の位相を変更している場合には、測距光の出射開始の位相の変更を停止する。これにより、第2の距離画像S2を生成しない場合の撮像部2の無駄な駆動を防止することができる。
【0136】
そして、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST94)、上記第1の実施形態と同様に、測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得し、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(第1の距離画像生成処理、ステップST94)。次いで、CPU33は、上記第1の実施形態におけるステップST5〜ステップST8の処理を行い(第1の距離画像表示記録処理、ステップST95)、処理を終了する。
【0137】
なお、上記第7の実施形態においては、判定の処理を第1の実施形態に適用しているが、第2の実施形態に対しても上記と同様に適用することができる。
【0138】
また、上記第7の実施形態においては、処理の開始直後に第2の距離画像S2を生成するか否かを判定しているが、1周期目の処理の終了後に第2の距離画像S2を生成するか否かを判定するようにしてもよい。
【0139】
なお、上記各実施形態においては、測距光の変調の0の位相を基準としているが、0でない位相を基準として基準位相、基準位相からπ/2ずれた位相、基準位相からπずれた位相および基準位相から3π/2ずれた位相において反射光をそれぞれ受光するようにしてもよい。また、受光信号を取得する位相のずれは、π/2に限定されるものではない。
【0140】
また、上記各実施形態においては、測距光を正弦波により変調しているが、三角波、パルス波等、一定の周期で変調するものであれば、どのように変調を行ってもよい。
【0141】
また、上記各実施形態においては、第1の距離画像S1および第2の距離画像S2を連続して取得するようにしてもよい。この場合、図6,12,16,17,19,20に示す処理は、撮影停止の指示がなされるまで繰り返し行われる。これにより、第1の距離画像S1および第2の距離画像S2の少なくとも一方が、動画のようにモニタ30に表示される。なお、この場合、複数の第1の距離画像S1および第2の距離画像S2が生成されるが、複数の第1の距離画像S1および複数の第2の距離画像S2が1つの距離画像ファイルとして、記録メディア29に記録されることとなる。
【0142】
以上、本発明の実施形態に係る測距装置1,1Aについて説明したが、コンピュータを、上記の撮像制御部19、第1の距離画像生成部31、第2の距離画像生成部32および判定部36に対応する手段として機能させ、図6,12,16,17,19,20に示すような処理を行わせるプログラムも、本発明の実施形態の1つである。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本発明の実施形態の1つである。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】第1の実施形態による測距装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】位相差の算出を説明するための図
【図3】第1の実施形態におけるCCDからの受光信号の取得を説明するための図(その1)
【図4】第1の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図
【図5】第1の実施形態における受光素子から電荷を読み出すための回路図
【図6】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図7】第1の実施形態におけるCCDからの受光信号の取得を説明するための図(その2)
【図8】第2の実施形態における位相差の算出を説明するための図
【図9】第2の実施形態におけるCCDからの受光信号の取得を説明するための図(その1)
【図10】第2の実施形態における受光素子単位を説明するための図
【図11】第2の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図
【図12】第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図13】第2の実施形態におけるCCDからの受光信号の取得を説明するための図(その2)
【図14】第3の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図
【図15】第4の実施形態による測距装置の構成を示す概略ブロック図
【図16】第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図17】第5の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図18】第5の実施形態における撮影シーンおよび生成される第2の距離画像を示す図
【図19】第6の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図20】第7の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0144】
1,1A 測距装置
2 撮像部
3 測距光照射部
13 CCD
19 撮像制御部
31 距離画像生成部
32 第2の距離画像生成部
33 CPU
36 判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の立体形状を表す距離画像を生成する測距装置および方法並びに測距方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光の反射を用いて被写体までの距離の測定(測距)を行うTOF(Time Of Flight)方式の測距方法を用いて、撮影装置から被写体までの距離を測定して、被写体の立体形状を表す距離画像を生成することが行われている。TOF方式を用いた測距は、具体的には強度変調された測距光を被写体に向けて照射し、この変調周期における0,π/2,π,3π/2の4つの位相において反射光を受光して受光光量に応じた受光信号を得、受光信号に基づいて測距光と反射光との位相の遅れ(位相差)を、撮影装置に設けられた撮像素子の受光素子毎に検出して距離情報を算出し、この距離情報を各画素の画素値とする被写体の立体形状を表す距離画像を生成するものである。
【0003】
また、上記変調周期における0,π/2,π,3π/2の4つの位相において受光信号を取得するための手法として、撮像素子の1つの受光素子において反射光を受光するタイミングを、変調周期における0,π/2,π,3π/2の4つの位相に順次切り替え、4回の撮像により1つの距離情報を算出する手法が提案されている(特許文献1参照)。この手法によれば撮像素子の受光素子数に対応する解像度を有する距離画像を生成することができる。
【特許文献1】特開2004−45304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手法は、高解像度の距離画像を生成できるものの、1つの距離画像を生成するのに4回の撮像が必要である。このため、1回の撮像により取得される画像を1フレームとすると、4フレームに1つの距離画像しか生成できないことから、距離画像のフレームレートが低い。したがって、表示された距離画像に含まれる被写体が動いている場合、その変化がぎこちないものとなる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、高いフレームレートにて距離画像を生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による測距装置は、所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射する測距光照射手段と、
前記被写体による前記測距光の反射光を受光し、受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段と、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出し、該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成する第1の距離画像生成手段と、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出し、該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成する第2の距離画像生成手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
「第1の基準変調周期」とは、受光素子単位に含まれる受光素子のそれぞれにおいて複数の位相のそれぞれの反射光を1回ずつ受光して、受光素子単位により複数の位相のすべての受光信号を1回取得することが可能な測距光の変調周期である。例えば、複数の位相が、測距光の変調周期における基準位相、基準位相からπ/2ずれた位相、基準位相からπずれた位相および基準位相から3π/2ずれた位相であり、測距光の変調の1周期においてこれら4つの位相の反射光を受光する場合には、第1の基準変調周期は測距光の変調の1周期に相当するものとなる。なお、距離情報の算出には、測距光の変調周期における複数の位相における受光信号が必要であるが、被写体までの距離、変調の周期および変調の波長は種々変更可能であることから、複数の位相の受光信号が必ずしも変調の1周期において取得されるわけではない。このため、第1の基準変調周期は、必ずしも測距光の変調の1周期とは一致しないものである。
【0008】
「第2の基準変調周期」とは、受光素子単位に含まれる受光素子のそれぞれにおいて複数の位相の反射光をすべて受光して、1つの受光素子により複数の位相のすべての受光信号を取得することが可能な測距光の変調周期である。例えば、複数の位相が、測距光の変調周期における基準位相、基準位相からπ/2ずれた位相、基準位相からπずれた位相および基準位相から3π/2ずれた位相であり、測距光の変調の1周期においてこれら4つの位相の反射光を受光する場合には、1つの受光素子においては測距光の4周期分の反射光を受光するとすべての位相の受光信号が取得されることとなるため、第2の基準変調周期は測距光の変調の4周期、すなわち第1の基準変調周期×位相数となる。
【0009】
なお、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記測距光の変調周期における基準位相、該基準位相からπ/2ずれた位相、該基準位相からπずれた位相および該基準位相から3π/2ずれた位相において前記反射光をそれぞれ受光し、前記受光素子が前記複数の位相のすべての前記反射光を受光するまで、該受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0010】
また、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記測距光の変調周期における基準位相と、該基準位相からπ/2ずれた位相、該基準位相からπずれた位相および該基準位相から3π/2ずれた位相のうちの2つの位相とにおいて、前記測距光の変調周期の少なくとも1/2の期間の前記反射光をそれぞれ受光し、前記受光素子が前記複数の位相のすべての前記反射光を受光するまで、該受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0011】
また、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記受光素子の受光のタイミングを変更することにより、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0012】
また、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記測距光の出射を開始する位相を変更することにより、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0013】
また、本発明による測距装置においては、前記第2の距離画像生成手段を、所定条件を満たす場合にのみ、前記第2の距離画像を生成する手段としてもよい。
【0014】
また、本発明による測距装置においては、前記撮像制御手段を、前記所定条件を満たさない場合には、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相の切り替えを停止するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段としてもよい。
【0015】
また、本発明による測距装置においては、前記第2の距離画像生成手段を、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のうち、すべてまたはいずれかの前記第1の距離画像において、あらかじめ定められた所定距離範囲内に前記被写体が存在する場合にのみ、前記第2の距離画像を生成する手段としてもよい。
【0016】
また、本発明による測距装置においては、前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のすべてにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある前記第1の距離情報を算出した前記受光素子単位に含まれる前記受光素子についてのみ、前記第2の距離情報を算出して前記第2の距離画像を生成する手段としてもよい。
【0017】
また、本発明による測距装置においては、前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のそれぞれにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある前記第1の距離情報を算出した前記受光素子単位に含まれる前記受光素子についてのみ、前記第2の距離情報を算出して前記第2の距離画像を生成する手段としてもよい。
【0018】
本発明による測距方法は、測距光照射手段により、所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射し、
受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段により、前記被写体による前記測距光の反射光を受光し、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御し、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出し、
該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成し、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出し、
該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成することを特徴とするものである。
【0019】
なお、本発明による測距方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1の基準変調周期において、受光素子単位に含まれる受光素子のそれぞれにより複数の位相のそれぞれの反射光が受光され、受光素子単位毎に取得される複数の位相の受光信号に基づいて、被写体までの距離を表す第1の距離情報が算出され、第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像が生成される。
【0021】
一方、第2の基準変調周期において、受光素子単位に含まれる受光素子のそれぞれにより複数の位相のすべての反射光が受光され、受光素子毎に取得される複数の位相の受光信号に基づいて、被写体までの距離を表す第2の距離情報が算出され、第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像が生成される。
【0022】
ここで、第2の距離画像を生成するためには、第2の基準変調周期において複数の位相に対応する受光信号を取得する必要があるが、第1の距離画像を生成するためには、(第2の基準変調周期)/(複数の位相の数)という、第2の基準変調周期よりも短い第1の基準変調周期においてのみ、複数の位相に対応する受光信号を取得すればよいこととなる。このため、第1の距離画像については、第2の距離画像よりもフレームレートを高くすることができる。また、第2の距離画像はフレームレートが低いものの、第1の距離画像よりも高解像度となっている。したがって、本発明によれば、高解像度の距離画像を生成しつつも、距離画像のフレームレートの低下を防止することができる。したがって、距離画像を連続して生成する場合、第1の距離画像を表示すれば、被写体が動いていてもその動きを滑らかに再生することができる。
【0023】
また、所定条件を満たす場合にのみ第2の距離画像を生成することにより、不要な場合に第2の距離画像を生成しなくてもよくなるため、無駄な処理を防止できる。
【0024】
とくに、所定条件を満たさない場合には、受光素子のそれぞれにより受光される反射光の位相の切り替えを停止することにより、測距光照射手段および撮像手段の無駄な駆動を防止することができる。
【0025】
また、第2の基準変調周期に生成される複数の第1の距離画像のすべてにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある第1の距離情報を算出した受光素子についてのみ、第2の距離情報を算出して第2の距離画像を生成することにより、必要な部分のみ第2の距離情報を算出すればよいため、第2の距離画像の容量を少なくすることができる。また、第1の距離画像の生成時に、第1の距離情報の算出を誤ってしまった受光素子においては、第2の距離情報は算出されないため、誤測距による高解像の距離画像の無駄な生成を防止することができる。
【0026】
また、第2の基準変調周期に生成される複数の第1の距離画像のそれぞれにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある第1の距離情報を算出した受光素子についてのみ、第2の距離情報を算出して第2の距離画像を生成することにより、必要な部分のみ第2の距離情報を算出すればよいため、第2の距離画像の容量を少なくすることができる。また、所定距離範囲内にある被写体についてもれなく高解像の距離画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による測距装置の構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように第1の実施形態による測距装置1は撮像部2を備える。
【0028】
撮像部2は、レンズ10、絞り11、シャッタ12、CCD13、アナログフロントエンド(AFE)14およびA/D変換部15を備える。
【0029】
レンズ10は、被写体にピントを合わせるためのフォーカスレンズ、ズーム機能を実現するためのズームレンズ等の複数の機能別レンズにより構成され、不図示のレンズ駆動部によりその位置が調整される。
【0030】
絞り11は、不図示の絞り駆動部により、AE処理により得られる絞り値データに基づいて絞り径の調整が行われる。
【0031】
シャッタ12はメカニカルシャッタであり、不図示のシャッタ駆動部により、AE処理により得られるシャッタスピードに応じて駆動される。
【0032】
CCD13は、多数の受光素子を2次元的に配列した光電面を有する撮像素子であり、被写体光がこの光電面に結像して光電変換されてアナログ撮像信号である受光信号が取得される。
【0033】
AFE14は、CCD13から出力される受光信号に対して、受光信号のノイズを除去する処理、および受光信号のゲインを調節する処理(以下アナログ処理とする)を施す。
【0034】
A/D変換部15は、AFE14によりアナログ処理が施された受光信号をデジタル信号に変換する。
【0035】
また、撮像部2は、被写体に向けて赤外光からなる測距光を照射するための測距光照射部3を備える。測距光照射部3は複数のLEDが2次元状に配設された面光源からなる。測距光照射部3が発光する測距光は、変調部18により所定の周期により強度変調される。また、撮像部2は、CCD13、AFE14および変調部18の駆動を制御するための撮像制御部19を備える。具体的には、撮像制御部19は、CPU33からの指示により、変調部18に変調の指示を行って測距光照射部3を変調発光させ、これとタイミングを合わせて被写体による測距光の反射光を受光し、受光した光の光量に応じた受光信号を出力するよう撮像部2の各部を制御する。なお、CCD13の各受光素子からの受光信号の取得の制御については後述する。
【0036】
また、測距装置1は、撮影条件設定部22、画像処理部23、圧縮/伸長処理部24、フレームメモリ25、メディア制御部26、内部メモリ27、および表示制御部28を備える。
【0037】
撮影条件設定部22は、AF処理部およびAE処理部からなる。AF処理部は入力部34からの指示により撮像部2が取得した画像(プレ画像)に基づいてレンズ10の焦点距離を決定し、撮像部2に出力する。AE処理部は、プレ画像に基づいて絞り値とシャッタ速度とを決定し、撮像部2に出力する。
【0038】
画像処理部23は、後述するように生成された距離画像の画像データに対して、ホワイトバランスを調整する処理、階調補正、シャープネス補正等の画像処理を施す。
【0039】
圧縮/伸長処理部24は、画像処理部23によって画像処理が施された距離画像の画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exifフォーマット等に基づいて、撮影日時等の付帯情報が格納されたタグが付加される。
【0040】
フレームメモリ25は、撮像部2が取得した受光信号に対して、前述の画像処理を含む各種処理を行う際に使用する作業用メモリである。
【0041】
メディア制御部26は、記録メディア29にアクセスして距離画像の画像ファイルの書き込みと読み込みの制御を行う。
【0042】
内部メモリ27は、測距装置1において設定される各種定数、およびCPU33が実行するプログラム等を記憶する。
【0043】
表示制御部28は、フレームメモリ25に格納された画像データをモニタ30に表示させたり、記録メディア29に記録されている画像をモニタ30に表示させたりするためのものである。
【0044】
また、測距装置1は、第1の距離画像生成部31、第2の距離画像生成部32およびCPU33を備える。
【0045】
第1の距離画像生成部31は、撮像部2が取得した受光信号を用いて被写体上の各点の測距装置1からの第1の距離情報D1を、CCD13上における所定数の受光素子からなる受光素子単位毎に算出し、第1の距離情報D1を各画素とする第1の距離画像S1を生成する。一方、第2の距離画像生成部32は、CCD13上における各受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素とする第2の距離画像S2を生成する。以下、距離情報D1,D2の算出について説明する。
【0046】
第1および第2の距離画像生成部31,32は、強度変調された測距光が出射されてから被写体により反射された反射光を受光するまでの時間(すなわち光の飛行時間)により距離情報D1,D2を算出する。
【0047】
図2は距離情報を算出するための位相差の算出を説明するための図である。図2に示すように、測距光照射部3から出射される測距光の強度が曲線K1に示すように正弦波状に変化し、CCD13のある受光素子により受光した反射光の受光光量が曲線K2のように変化するとすれば、位相差ψは測距光の飛行時間に相当するため、位相差ψを求めることにより被写体までの距離を求めることができる。
【0048】
位相差ψは、測距光の複数のタイミングで求めた反射光の受光光量を用いて計算することができる。ここで、測距光における0、π/2、π、3π/2の位相で求めた反射光の受光光量がそれぞれα、β、γ、δであるとする。なお、受光は図2に示すようにパルス状に行われ、図2においてはパルスに対応する受光光量α、β、γ、δを斜線で示している。なお、受光光量α、β、γ、δを求める間に、位相差ψが変化せず、かつ被写体の反射率にも変化がないものとし、時刻tにおいてCCD13の各受光素子で受光される光の強度がA・sin(ωt+φ)+Bで表されるものとする。ここで、Aは振幅、Bは外光成分、ωは角振動数、δは位相である。これにより、受光素子で受光する受光光量α、β、γ、δは、次のように表すことができる。なお、受光光量は測距光における0、π/2、π、3π/2の位相において各受光素子から出力される受光信号に相当する。
【0049】
α=A・sin(φ)+B
β=A・sin(π/2+φ)+B
γ=A・sin(π+φ)+B
δ=A・sin(3π/2+φ)+B
ここで、φ=−ψであるから、α=−A・sin(ψ)+B、β=A・cos(ψ)+B、γ=A・sin(ψ)+B、δ=−A・cos(ψ)+Bであるため、各受光光量α、β、γ、δと位相差ψとの関係は、次式のようになる。
【0050】
ψ=tan-1{(γ−α)/(β−δ)} (1)
したがって、各受光素子と被写体との距離Dは、
D=c・ψ/(4πF) (2)
により算出することができる。なお、Fは周波数(=ω/2π)である。
【0051】
なお、距離情報D1,D2の算出には、上述した4つの受光光量すなわち4つの受光信号α、β、γ、δをCCD13から取得することが必要であるが、第1の実施形態においては、CCD13上における2×2の範囲にある4つの受光素子を1つの単位として、この受光素子単位において受光信号α、β、γ、δを取得し、1つの受光素子単位毎に1つの距離情報D1を算出する。また、受光素子単位の4つの受光素子毎に1つの距離情報D2を算出する。
【0052】
次いで、距離情報D1,D2の算出に必要な受光信号の取得について説明する。図3は第1の実施形態におけるCCD13からの受光信号の取得を説明するための図である。なお、図3はCCD13の光電面を示し、ここでは受光素子が6×6に並んでいるものとする。また、図3においては説明のため左上隅にある2×2の範囲にある4つの受光素子からなる受光素子単位R1、および右から2列目の最上段にある受光素子R2における受光信号α、β、γ、δの取得について説明する。なお、以降の説明のため、1つの受光素子単位R1に含まれる受光素子について、図3(a)に示すようにP1,P2,P3,P4の参照符号を付与するものとする。また、図示はしないが受光素子R2はCCD13の右上隅にある受光素子単位に含まれ、受光素子単位R1における受光素子P1に対応するものとなる。
【0053】
図4は第1の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図である。なお、図4においては、反射光の受光のタイミングに、そのタイミングにおいて取得される受光信号の参照符号を付与している。第1の実施形態においては、測距光の変調の1周期において0、π/2、π、3π/2の位相の受光信号α、β、γ、δを取得するものであり、1つの受光素子において4つの受光信号α、β、γ、δを取得するためには、変調周期として4周期分の測距光を被写体に照射する必要がある。このため、図4に示すように、まず測距光の1周期目において、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて0、π/2、π、3π/2の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、図3(a)に示すように受光信号α、β、γ、δをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の1周期目のものであることから、受光信号α1、β1、γ1、δ1と称する。
【0054】
次いで、測距光の2周期目において、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについてπ/2、0、3π/2、πの位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、図3(b)に示すように受光信号β、α、δ、γをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の2周期目のものであることから、受光信号α2、β2、γ2、δ2と称する。
【0055】
次いで、測距光の3周期目において、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについてπ、3π/2、0、π/2の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、図3(c)に示すように受光信号γ、δ、α、βをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の3周期目のものであることから、受光信号α3、β3、γ3、δ3と称する。
【0056】
そして、測距光の4周期目において、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて3π/2、π、π/2、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、図3(d)に示すように受光信号δ、γ、β、αをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の4周期目のものであることから、受光信号α4、β4、γ4、δ4と称する。
【0057】
これにより、受光素子単位R1においては、測距光の1つの変調周期において4つの受光信号α、β、γ、δが取得される。また、受光素子R2においては測距光の4つの変調周期において4つの受光信号α、β、γ、δが取得される。
【0058】
図5は第1の実施形態におけるCCD13の受光素子から受光信号に相当する電荷を読み出すための回路図である。図5に示すようにCCD13は、受光素子のそれぞれに対応する光電変換部39と、電荷蓄積部40と、複数のスイッチSW1〜SW8とを備える。なお、スイッチSW1,SW2は一方がオンの時に他方がオフとされるスイッチである。また、スイッチSW3,SW4は一方がオンの時に他方がオフとされるスイッチである。また、スイッチSW5,SW6は一方がオンの時に他方がオフとされるスイッチである。また、スイッチSW7,SW8は一方がオンの時に他方がオフとされるスイッチである。そして、反射光の受光時には、測距光の0、π/2、π、3π/2の位相において複数のスイッチSW1〜SW8のオン/オフを切り替えて、各光電変換部39の電荷を電荷蓄積部40に蓄積する。
【0059】
具体的には、変調の1周期目においては、位相0のタイミングにおいて、スイッチSW3をオン、スイッチSW2,SW6,SW8をオンとする。なお、この際スイッチSW4はオフとされる。これにより、受光信号αを得るための電荷のみが電荷蓄積部40に蓄積される。また、位相π/2のタイミングにおいては、スイッチSW5をオン、スイッチSW2,SW4,SW8をオンとする。なお、この際スイッチSW6はオフとされる。これにより、受光信号βを得る電荷のみが電荷蓄積部40に蓄積される。また、位相πのタイミングにおいては、スイッチSW1をオン、スイッチSW4,SW6,SW8をオンとする。なお、この際スイッチSW2はオフとされる。これにより、受光信号γを得る電荷のみが電荷蓄積部40に蓄積される。そして、位相3π/2のタイミングにおいては、スイッチSW7をオン、スイッチSW2,SW4,SW6をオンとする。なお、この際スイッチSW8はオフとされる。これにより、受光信号δを得る電荷のみが電荷蓄積部40に蓄積される。以上より、変調の1周期目においてはSW1,SW3,SW5,SW7をオンとする順序は、SW3,SW5,SW1,SW7となる。
【0060】
一方、変調の2周期目においては、スイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンとする順序は、SW5,SW3,SW7,SW1となる。変調の3周期目においてはスイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンとする順序は、SW1,SW7,SW3,SW5となる。そして、変調の4周期目においてはスイッチSW1,SW3,SW5,SW7をオンとする順序は、SW7,SW1,SW5,SW3となる。
【0061】
このように、オンとするスイッチの順序を、測距光の変調の位相に応じて切り替えることにより、測距光の変調の各周期における0、π/2、π、3π/2の位相において、受光素子単位R1毎に4つの受光信号α、β、γ、δを取得することができる。そして、測距光の4つの周期において、オンとするスイッチのタイミングを測距光の変調の位相に応じて切り替えることにより、受光素子R2毎に4つの受光信号α、β、γ、δを取得することができる。
【0062】
そして、第1の距離画像生成部31は、上述したように受光素子単位毎に取得した4つの受光信号α、β、γ、δに基づいて第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D1を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する。なお、第1の距離画像S1の画素数は、CCD13の受光素子数の1/4となる。また、測距光の変調の1周期毎に1つの第1の距離画像S1が生成される。
【0063】
また第2の距離画像生成部32は、上述したように受光素子毎に測距光の変調の4周期において取得した4つの受光信号α、β、γ、δに基づいて第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する。なお、第2の距離画像S2の画素数は、CCD13の受光素子数と同一となる。したがって、フレームレートは第1の距離画像S1の方が高いが、解像度は第2の距離画像S2の方が高くなる。
【0064】
CPU33は、入力部34からの信号に応じて測距装置1の各部を制御する。
【0065】
データバス35は、測距装置1を構成する各部およびCPU33に接続されており、測距装置1における各種データおよび各種情報のやり取りを行う。
【0066】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図6は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、撮影条件設定部22におけるAF処理およびAE処理はすでに行われているものとし、ここでは撮像の指示が行われた以降の処理について説明する。また、第1および第2の距離画像S1,S2の表示および記録の指示は、入力部34からあらかじめ行われているものとする。
【0067】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST1)、さらに測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得する(ステップST2)。次いで、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し(ステップST3)、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(ステップST4)。
【0068】
続いて、CPU33は、第1の距離画像S1を表示する指示がなされているか否かを判定し(ステップST5)、ステップST5が肯定されると、表示制御部28が第1の距離画像S1をモニタ30に表示する(ステップST6)。次いでCPU33は、第1の距離画像S1の画像データを記録する指示がなされているか否かを判定し(ステップST7)、ステップST7が肯定されると、メディア制御部26が第1の距離画像S1の画像データを記録メディア29に記録する(ステップST8)。なお、ステップST5が否定された場合もステップST8の処理を行う。ステップST7が否定されるとステップST9の処理に進む。
【0069】
次いで、CPU33は1つの受光素子が4つの受光信号α、β、γ、δを取得したか否かを判定し(ステップST9)、ステップST9が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更し(ステップST10)、ステップST2に戻ってステップST2以降の処理を繰り返す。
【0070】
ステップST9が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し(ステップST11)、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(ステップST12)。
【0071】
続いて、CPU33は、第2の距離画像S2を表示する指示がなされているか否かを判定し(ステップST13)、ステップST13が肯定されると、表示制御部28が第2の距離画像S2をモニタ30に表示する(ステップST14)。次いでCPU33は、第2の距離画像S2の画像データを記録する指示がなされているか否かを判定し(ステップST15)、ステップST15が肯定されると、メディア制御部26が第2の距離画像S2の画像データを記録メディア29に記録し(ステップST16)、処理を終了する。なお、ステップST15が否定された場合も処理を終了する。また、ステップST13が否定された場合はステップST16の処理を行う。
【0072】
このように、第1の実施形態においては、4つの受光素子からなる受光素子単位毎に第1の距離画像S1を生成し、受光素子毎に第2の距離画像S2を生成するようにしたものである。ここで、第1の距離画像S1は測距光の変調の1周期毎に生成されるため、第1の距離画像S1については、フレームレートを高くすることができる。また、第2の距離画像S2はフレームレートが低いものの、第1の距離画像S1よりも高解像度となっている。したがって、第1の実施形態によれば、高解像度の距離画像を生成しつつも、距離画像のフレームレートの低下を防止することができる。
【0073】
なお、上記第1の実施形態においては、CCD13上における2×2の範囲にある4つの受光素子を1つの受光素子単位としているが、図7に示すように、CCD13上における縦横1×4の範囲にある4つの受光素子を1つの受光素子単位としてもよい。この場合、図7(a)、(b)、(c)、(d)の順序にて受光素子における反射光の受光のタイミングを切り替えることとなる。
【0074】
ここで、図7に示すように受光素子単位を設定することにより、第1の距離画像S1は縦方向と横方向とで解像度が異なるものとなるが、高解像度の第2の距離画像S2を生成することができる。また、CCD13の横方向に並ぶ受光素子が受光する反射光の位相を同一とすることができるため、CCD13の横方向に並ぶ受光素子の列から同時に受光信号を読み出すようにすればよいこととなる。したがって、既存のCCDを用いることができ、その結果、測距装置の製造コストを低減することができる。
【0075】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態による測距装置の構成は、第1の実施形態による測距装置1の構成と同一であり、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。第1の実施形態においては、測距光の変調周期における0、π/2、π、3π/2の4つの位相において4つの受光信号をα、β、γ、δ取得しているが、第2の実施形態においては、測距光の変調周期における0の位相、およびπ/2、π、3π/2の位相のうちの2つの位相の、合計3つの位相において3つの受光信号を取得して距離情報を算出するようにした点が第1の実施形態と異なる。
【0076】
図8は第2の実施形態における位相差の算出を説明するための図である。図8に示すように、測距光照射部3から出射される測距光の強度が曲線K1に示すように正弦波状に変化し、CCD13の各受光素子により受光した反射光の受光光量が曲線K2のように変化するとする。第2の実施形態においては、測距光の変調周期における0、π/2、πの3つの位相において、図8(a)〜(c)に示すように、変調周期の半分の期間反射光を受光するように受光素子の受光タイミングを制御する。なお、これにより取得される受光光量をX,Y,Zとし、図8(a)〜(c)において斜線で示す。
【0077】
なお、受光光量Xは、測距光の変調周期の0〜πの期間の受光信号に、受光光量Yはπ/2〜3π/2の期間の受光信号に、受光光量Zはπ〜2πの期間の受光信号にそれぞれ対応するため、受光信号についても参照符号としてX,Y,Zを用いる。
【0078】
また、曲線K1における0〜π/2、π/2〜π、π〜3π/2、3π/2〜2πの位相において求めた曲線K2の受光光量は、上記第1の実施形態における受光光量α、β、γ、δに相当する。したがって、X=α+β、Y=β+γ、Z=γ+δとなるため、下記の関係が成立する。
【0079】
Y−X=γ−α
Y−Z=β−δ
ここで位相差ψは上記式(1)により算出することができるため、上記関係を式(1)に代入すると、
ψ=tan-1{(Y−X)/(Y−Z)} (3)
となる。したがって、3つの位相において取得した受光信号X,Y,Zからも、式(3)により位相差ψを算出し、式(2)により各受光素子と被写体との距離を算出することができる。
【0080】
図9は第2の実施形態におけるCCD13からの受光信号の取得を説明するための図である。なお、図9においては説明のため左上隅にある3つの受光素子からなる受光素子単位R3、および右から2列目の最上段にある受光素子R4における受光信号X,Y,Zの取得について説明する。なお、受光素子単位R3はCCD13上に図10に示すように分布することとなる。なお、以降の説明のため、1つの受光素子単位R3に含まれる受光素子について、図9に示すようにP11,P12,P13の参照符号を付与するものとする。また、図示はしないが受光素子R4はCCD13の右上隅にある受光素子単位に含まれ、受光素子単位R3における受光素子P11に対応するものとなる。
【0081】
図11は測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図である。なお、図11においては、反射光の受光のタイミングに、そのタイミングにおいて取得される受光信号の参照符号を付与している。第2の実施形態においては、測距光の1の変調周期において0、π/2、πの位相の受光信号X,Y,Zを取得するものであり、1つの受光素子R4において3つの受光信号X,Y,Zを取得するためには、3周期分の測距光を被写体に照射する必要がある。図11に示すように、まず測距光の1周期目において、受光素子P11,P12,P13のそれぞれについて0、π/2、πの位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P11,P12,P13は、図9(a)に示すように受光信号X,Y,Zをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の1周期目のものであることから、受光信号X1,Y1,Z1と称する。
【0082】
次いで、測距光の2周期目において、受光素子P11,P12,P13のそれぞれについてπ/2、π、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P11,P12,P13は、図9(b)に示すように受光信号Y,Z,Xをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の2周期目のものであることから、受光信号X2、Y2、Z2と称する。
【0083】
次いで、測距光の3周期目において、受光素子P11,P12,P13のそれぞれについてπ、0、π/2の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P11,P12,P13は、図9(c)に示すように受光信号Z,X,Yをそれぞれ取得する。なお、この際に取得される受光信号は測距光の3周期目のものであることから、受光信号Z3,X3,Y3と称する。
【0084】
これにより、受光素子単位R3においては、測距光の1つの変調周期において3つの受光信号X,Y,Zが取得される。また、受光素子R4においては測距光の3つの変調周期において3つの受光信号X,Y,Zが取得される。
【0085】
そして、第2の実施形態において、第1の距離画像生成部31は、上述したように受光素子単位毎に取得した3つの受光信号X,Y,Zに基づいて第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D1を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する。なお、第1の距離画像S1の画素数は、CCD13の受光素子数の1/3となる。また、測距光の変調の1周期毎に1つの第1の距離画像S1が生成される。
【0086】
また第2の距離画像生成部32は、上述したように受光素子毎に測距光の変調の3周期において取得した3つの受光信号X,Y,Zに基づいて第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する。なお、第2の距離画像S2の画素数は、CCD13の受光素子数と同一となる。したがって、フレームレートは第1の距離画像S1の方が高いが、解像度は第2の距離画像S2の方が高くなる。
【0087】
次いで、第2の実施形態において行われる処理について説明する。図12は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、撮影条件設定部22におけるAF処理およびAE処理はすでに行われているものとし、ここでは撮像の指示が行われた以降の処理について説明する。また、第1および第2の距離画像S1,S2の表示および記録の指示は、入力部34からあらかじめ行われているものとする。
【0088】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST21)、さらに測距光の被写体による反射光を撮像して、3つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号X,Y,Zを取得する(ステップST22)。次いで、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し(ステップST23)、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(ステップST24)。
【0089】
続いて、CPU33は、第1の距離画像S1を表示する指示がなされているか否かを判定し(ステップST25)、ステップST25が肯定されると、表示制御部28が第1の距離画像S1をモニタ30に表示する(ステップST26)。次いでCPU33は、第1の距離画像S1の画像データを記録する指示がなされているか否かを判定し(ステップST27)、ステップST27が肯定されると、メディア制御部26が第1の距離画像S1の画像データを記録メディア29に記録する(ステップST28)。なお、ステップST25が否定された場合もステップST28の処理を行う。ステップST27が否定されるとステップST29の処理に進む。
【0090】
次いで、CPU33は1つの受光素子が3つの受光信号X,Y,Zを取得したか否かを判定し(ステップST29)、ステップST29が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更し(ステップST30)、ステップST22に戻ってステップST22以降の処理を繰り返す。
【0091】
ステップST29が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し(ステップST31)、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(ステップST32)。
【0092】
続いて、CPU33は、第2の距離画像S2を表示する指示がなされているか否かを判定し(ステップST33)、ステップST33が肯定されると、表示制御部28が第2の距離画像S2をモニタ30に表示する(ステップST34)。次いでCPU33は、第2の距離画像S2の画像データを記録する指示がなされているか否かを判定し(ステップST35)、ステップST35が肯定されると、メディア制御部26が第2の距離画像S2の画像データを記録メディア29に記録し(ステップST36)、処理を終了する。なお、ステップST35が否定された場合も処理を終了する。また、ステップST33が否定された場合はステップST36の処理を行う。
【0093】
このように、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に、フレームレートの高い第1の距離画像S1、および解像度の高い第2の距離画像を生成することができる。
【0094】
なお、上記第2の実施形態においては、図10に示すようにCCD13上における3つの受光素子を1つの受光素子単位としているが、図13に示すように、CCD13上における縦横1×3の範囲にある3つの受光素子を1つの受光素子単位としてもよい。この場合、図13(a)、(b)、(c)の順序にて受光素子における反射光の受光のタイミングを切り替えることとなる。
【0095】
ここで、図13に示すように受光素子単位を設定することにより、第1の距離画像S1は縦方向と横方向とで解像度が異なるものとなるものの、高解像度の第2の距離画像S2を生成することができる。また、CCD13の横方向に並ぶ受光素子が受光する反射光の位相を同一とすることができるため、CCD13の横方向に並ぶ受光素子の列から同時に受光信号を読み出すようにすればよいこととなる。したがって、既存のCCDを用いることができ、その結果、測距装置の製造コストを低減することができる。
【0096】
なお、上記第1および第2の実施形態においては、CCD13の受光素子による反射光の受光のタイミングを制御することにより、受光信号α、β、γ、δおよび受光信号X,Y,Zを取得しているが、測距光の出射開始位相を変更することにより、受光素子の受光タイミングを変更することなく、受光信号α、β、γ、δを取得することができる。以下、これを第3の実施形態として説明する。なお、測距光の出射開始の変更は、撮像制御部19が行う。
【0097】
図14は第3の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図である。なお、ここでは第1の実施形態における測距光を出射する位相を変更する処理について説明するが、第2の実施形態に対しても同様に適用できるものである。
【0098】
第3の実施形態においては、測距光の1の変調周期において0、π/2、π、3π/2の位相の受光信号α、β、γ、δを取得するものであり、1つの受光素子R2において4つの受光信号α、β、γ、δを取得するためには、4周期分の測距光を被写体に照射する必要がある。このため、図14に示すように、まず測距光の1周期目においては、位相0にて測距光の出射を開始し、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて0、π/2、π、3π/2の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、受光信号α、β、γ、δをそれぞれ取得する。
【0099】
次いで、測距光の2周期目においては、位相をπ/2ずらして測距光の出射を開始し、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて、1周期目と同一のタイミングにてπ/2、π、3π/2、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、受光信号β、γ、δ、αをそれぞれ取得する。なお、この場合は、受光素子P2,P4が取得する受光信号は図3と逆となる。
【0100】
次いで、測距光の3周期目においては、位相をπずらして測距光の出射を開始し、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて、1周期目と同一のタイミングにてπ/2、π、3π/2、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、受光信号γ、δ、α、βをそれぞれ取得する。
【0101】
そして、測距光の4周期目においては、位相を3π/2ずらして測距光の出射を開始し、受光素子P1,P2,P3,P4のそれぞれについて、1周期目と同一のタイミングにてπ/2、π、3π/2、0の位相において反射光を受光する。これにより、受光素子P1,P2,P3,P4は、受光信号δ、α、β、γをそれぞれ取得する。なお、この場合は、受光素子P2,P4が取得する受光信号は図3と逆となる。
【0102】
これにより、受光素子の受光のタイミングを変更する場合と同様に、受光素子単位R1においては、測距光の1つの変調周期において4つの受光信号α、β、γ、δが取得される。また、受光素子R2においては測距光の4つの変調周期において4つの受光信号α、β、γ、δが取得される。また、測距光の発光の位相を変更することにより、受光素子の受光のタイミングを変更する場合と比較して、受光タイミングの変更に起因するノイズの影響を低減できるため、より高画質の距離画像を生成することができる。
【0103】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。図15は本発明の第4の実施形態による測距装置の構成を示す概略ブロック図である。なお、第4の実施形態において第1の実施形態と同一の構成については同一の参照番号を付与し、詳細な説明は省略する。第4の実施形態による測距装置1Aは、第1の距離画像生成部31が生成した距離画像S1において、あらかじめ定められた所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定する判定部36を備え、判定部36による判定が肯定された場合にのみ、第2の距離画像生成部32が第2の距離画像S2を生成するようにした点が第1および第2の実施形態と異なる。なお、所定距離範囲はあらかじめ入力部34から入力されて内部メモリ27に記憶されている。
【0104】
ここで、判定部36は、距離画像S2の最大値および最小値(すなわち距離情報D1の最大値および最小値)の差分値を算出し、算出した差分値が上記所定距離範囲内にあるか否かを判定することにより、所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定する。
【0105】
次いで、第4の実施形態において行われる処理について説明する。図16は第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用する場合について説明する。
【0106】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST41)、さらに上記第1の実施形態と同様に、測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得し、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(第1の距離画像生成処理、ステップST42)。続いて、CPU33は、第1の実施形態におけるステップST5〜ステップST8の処理を行う(第1の距離画像表示記録処理、ステップST43)。
【0107】
次いで、CPU33は1つの受光素子が4つの受光信号α、β、γ、δを取得したか否かを判定し(ステップST44)、ステップST44が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更し(ステップST45)、ステップST42に戻ってステップST42以降の処理を繰り返す。
【0108】
ステップST44が肯定されると、判定部36が、4つの第1の距離画像S1のうちいずれかの距離画像S1において、所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定する(ステップST46)。ステップST46が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(第2の距離画像生成処理、ステップST47)。続いて、CPU33は、第1の実施形態におけるステップST13〜ステップST16の処理を行い(第2の距離画像表示記録処理、ステップST48)、処理を終了する。なお、ステップST46が否定された場合、第2の距離画像S2を生成することなく処理を終了する。
【0109】
このように、第4の実施形態においては、第1の距離画像S1における所定距離範囲に被写体がある場合にのみ、第2の距離画像S2を生成するようにしたため、被写体までの距離が近すぎたり遠すぎたりする場合のように、高解像度の距離画像が不要な場合には第2の距離画像S2は生成されないこととなる。したがって、処理の無駄および記録メディア29の無駄な消費を防止することができる。
【0110】
なお、上記第4の実施形態においては、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用しているが、第2の実施形態に対しても上記と同様に適用することができる。また、第4の実施形態において、第3の実施形態と同様に、測距光の出射開始の位相を変更することにより、受光信号を取得するようにしてもよい。
【0111】
また、上記第4の実施形態においては、ステップST46の処理において、いずれかの第1の距離画像S1の所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定しているが、すべての第1の距離画像S1の所定距離範囲内に被写体が存在するか否かを判定するようにしてもよいことはもちろんである。
【0112】
次いで、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、第5の実施形態による測距装置の構成は、第4の実施形態による測距装置1Aの構成と同一であり、行われる処理内容のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。第5の実施形態においては、4つの第1の距離画像S1のすべてにおいて所定距離範囲にある距離情報を算出した受光素子単位についてのみ、第2の距離情報を算出して第2の距離画像S2を生成するようにした点が第4の実施形態と異なる。
【0113】
次いで、第5の実施形態において行われる処理について説明する。図17は第5の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用する場合について説明する。
【0114】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST51)、変調の周期nを初期値に設定し(n=1、ステップST52)、さらに上記第1の実施形態と同様に、測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得し、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(第1の距離画像生成処理、ステップST53)。
【0115】
続いて、CPU33がn>1であるか否かを判定し(ステップST54)、ステップST54が否定されると、判定部36が、第1の距離画像S1に所定距離範囲内にある被写体が含まれるか否かを判定する(ステップST55)。具体的には第1の距離画像S1における各画素の距離情報D1に、所定距離範囲内にある距離情報D1が含まれるか否かを判定する。ステップST55が肯定されると、所定距離範囲内にある距離情報D1を算出した受光素子の位置を内部メモリ27に記憶し(ステップST56)、さらにCPU33は、上記第1の実施形態におけるステップST5〜ステップST8の処理を行う(第1の距離画像表示記録処理、ステップST57)。
【0116】
一方、ステップST54が肯定されると、1つ前の変調周期において取得した第1の距離画像S1において、所定距離範囲にある距離情報D1を算出した受光素子の位置が内部メモリ27に記憶されているか否かを判定する(ステップST58)。ステップST58が肯定されると、ステップST55に進み、ステップST56およびステップST57の処理を行う。なお、この場合、ステップST56の処理においては、1つ前の処理において記憶されている受光素子の位置と共通する受光素子の位置のみが内部メモリ27に記憶される。なお、ステップST58が否定されると、ステップST57の処理に進む。
【0117】
なお、ステップST55が否定されると、内部メモリ27に記憶されている受光素子の位置を削除し(ステップST59)、ステップST57の処理に進む。
【0118】
ステップST57に続いて、CPU33は1つの受光素子が4つの受光信号α、β、γ、δを取得したか否かを判定し(ステップST60)、ステップST60が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更するとともに、測距光の変調周期を次の周期に変更し(n=n+1)(ステップST61)、ステップST53に戻ってステップST53以降の処理を繰り返す。
【0119】
続いて、第2の距離画像生成部32が、内部メモリ27に受光素子の位置が記憶されているか否かを判定する(ステップST62)。ステップST62が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(第2の距離画像生成処理、ステップST63)。続いて、CPU33は、第1の実施形態におけるステップST13〜ステップST16の処理を行い(第2の距離画像表示記録処理、ステップST64)、処理を終了する。なお、ステップST62が否定された場合、第2の距離画像S2を生成することなく、処理を終了する。
【0120】
図18は第5の実施形態における撮影シーンおよび生成される第2の距離画像を示す図である。実際に撮影するシーンが図18(a)に示すように人物および背景を含むものであり、人物のみが所定距離範囲内にある場合、第5の実施形態により生成される第2の距離画像S2は、図18(b)に示すように、人物のみが距離情報を有し、背景は距離情報を有さないものとなる。なお、図18(b)においては、人物が距離情報を有することを撮影シーンの画像そのもので示し、顔の背景が距離情報を有さないことを斜線にて示している。
【0121】
このように、第5の実施形態においては、4つの第1の距離画像S1のすべてにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある第1の距離情報D1を算出した受光素子についてのみ、第2の距離情報D2を算出して第2の距離画像S2を生成するようにしたものである。このため、必要な部分のみ高解像度の画像を生成すればよいこととなり、その結果、第2の距離画像の容量を少なくすることができる。また、第1の距離画像S1の生成時に、第1の距離情報D1の算出を誤ってしまった受光素子においては、第2の距離情報D2は算出されないため、誤測距による高解像の距離情報の生成を防止することができる。
【0122】
なお、上記第5の実施形態においては、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用しているが、第2の実施形態に対しても上記と同様に適用することができる。また、第5の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、測距光の出射開始の位相を変更することにより、受光信号を取得するようにしてもよい。
【0123】
次いで、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、第6の実施形態による測距装置の構成は、第4の実施形態による測距装置1Aの構成と同一であり、行われる処理内容のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。第6の実施形態においては、4つの第1の距離画像S1のいずれかにおいて所定距離範囲にある距離情報を算出した受光素子単位についてのみ、第2の距離情報を算出して第2の距離画像S2を生成するようにした点が第4の実施形態と異なる。
【0124】
次いで、第6の実施形態において行われる処理について説明する。図19は第6の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用する場合について説明する。
【0125】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST71)、変調の周期nを初期値に設定し(n=1、ステップST72)、さらに上記第1の実施形態と同様に、測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得し、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(第1の距離画像生成処理、ステップST73)。
【0126】
続いて、判定部36が第1の距離画像S1に所定距離範囲内にある被写体が含まれるか否かを判定する(ステップST74)。具体的には距離画像S1における各画素の距離情報D1に、所定距離範囲内にある距離情報D1が含まれるか否かを判定する。ステップST74が肯定されると、所定距離範囲内にある距離情報D1を算出した受光素子の位置を内部メモリ27に記憶し(ステップST75)、さらにCPU33は、上記第1の実施形態におけるステップST5〜ステップST8の処理を行う(第1の距離画像表示記録処理、ステップST76)。一方、ステップST74が否定されると、ステップST76の処理に進む。
【0127】
ステップST76に続いて、CPU33は1つの受光素子が4つの受光信号α、β、γ、δを取得したか否かを判定し(ステップST77)、ステップST77が否定されると、撮像制御部19がCCD13の受光素子における受光のタイミングを変更するとともに、測距光の変調周期を次の周期に変更し(n=n+1)(ステップST78)、ステップST73に戻ってステップST73以降の処理を繰り返す。
【0128】
なお、変調周期の2周期目以降の処理においてステップST74が肯定された場合、内部メモリ27には、それまでに記憶されている受光素子の位置に新たに所定距離範囲内にあると判定された距離情報D1を得た受光素子の位置が追記される。
【0129】
続いて、第2の距離画像生成部32が、内部メモリ27に受光素子の位置が記憶されているか否かを判定する(ステップST79)。ステップST79が肯定されると、第2の距離画像生成部32が、受光素子毎に第2の距離情報D2を算出し、第2の距離情報D2を各画素の画素値とする第2の距離画像S2を生成する(第2の距離画像生成処理、ステップST80)。続いて、CPU33は、第1の実施形態におけるステップST13〜ステップST16の処理を行い(第2の距離画像表示記録処理、ステップST81)、処理を終了する。なお、ステップST79が否定された場合、第2の距離画像S2を生成することなく処理を終了する。
【0130】
このように、第6の実施形態においては、4つの第1の距離画像S1のいずれかにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある第1の距離情報D1を算出した受光素子についてのみ、第2の距離情報D2を算出して第2の距離画像S2を生成するようにしたものである。このため、必要な部分のみ高解像度の画像を生成すればよいこととなり、その結果、第2の距離画像の容量を少なくすることができる。また、所定距離範囲内にある被写体についてもれなく高解像の距離情報を得ることができる。
【0131】
なお、上記第6の実施形態においては、判定の処理を第1の実施形態に適用しているが、第2の実施形態に対しても上記と同様に適用することができる。また、第6の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、測距光の出射開始の位相を変更することにより、受光信号を取得するようにしてもよい。
【0132】
また、上記第4から第6の実施形態においては、第1の距離画像S1に基づいて第2の距離画像S2を生成するか否かを判定しているが、あらかじめユーザが入力部34から第2の距離画像S2を生成するか否かを設定し、その設定結果を用いて第2の距離画像S2を生成するか否かを判定するようにしてもよい。以下、これを第7の実施形態として説明する。なお、第7の実施形態による測距装置の構成は、第4の実施形態による測距装置1Aの構成と同一であり、行われる処理内容のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。
【0133】
次いで、第7の実施形態において行われる処理について説明する。図20は第7の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、判定の処理を第1の実施形態の処理に適用する場合について説明する。
【0134】
撮影指示が行われることによりCPU33が処理を開始し、判定部36が第2の距離画像S2を生成する設定となっているか否かを判定する(ステップST92)。ステップST92が肯定されると、第1の実施形態におけるステップST1以降の処理を行う。
【0135】
ステップST92が否定されると、第2の距離画像S2を生成する必要がないことから、CCD13の受光素子の受光タイミングの変更を停止する(ステップST93)。なお、第3の実施形態のように測距光の出射開始の位相を変更している場合には、測距光の出射開始の位相の変更を停止する。これにより、第2の距離画像S2を生成しない場合の撮像部2の無駄な駆動を防止することができる。
【0136】
そして、撮像部2がCPU33からの指示により測距光照射部3から強度変調された測距光を被写体に向けて照射し(ステップST94)、上記第1の実施形態と同様に、測距光の被写体による反射光を撮像して、4つの受光素子からなる受光素子単位にて受光信号α、β、γ、δを取得し、第1の距離画像生成部31が、受光素子単位毎に第1の距離情報D1を算出し、第1の距離情報D0を各画素の画素値とする第1の距離画像S1を生成する(第1の距離画像生成処理、ステップST94)。次いで、CPU33は、上記第1の実施形態におけるステップST5〜ステップST8の処理を行い(第1の距離画像表示記録処理、ステップST95)、処理を終了する。
【0137】
なお、上記第7の実施形態においては、判定の処理を第1の実施形態に適用しているが、第2の実施形態に対しても上記と同様に適用することができる。
【0138】
また、上記第7の実施形態においては、処理の開始直後に第2の距離画像S2を生成するか否かを判定しているが、1周期目の処理の終了後に第2の距離画像S2を生成するか否かを判定するようにしてもよい。
【0139】
なお、上記各実施形態においては、測距光の変調の0の位相を基準としているが、0でない位相を基準として基準位相、基準位相からπ/2ずれた位相、基準位相からπずれた位相および基準位相から3π/2ずれた位相において反射光をそれぞれ受光するようにしてもよい。また、受光信号を取得する位相のずれは、π/2に限定されるものではない。
【0140】
また、上記各実施形態においては、測距光を正弦波により変調しているが、三角波、パルス波等、一定の周期で変調するものであれば、どのように変調を行ってもよい。
【0141】
また、上記各実施形態においては、第1の距離画像S1および第2の距離画像S2を連続して取得するようにしてもよい。この場合、図6,12,16,17,19,20に示す処理は、撮影停止の指示がなされるまで繰り返し行われる。これにより、第1の距離画像S1および第2の距離画像S2の少なくとも一方が、動画のようにモニタ30に表示される。なお、この場合、複数の第1の距離画像S1および第2の距離画像S2が生成されるが、複数の第1の距離画像S1および複数の第2の距離画像S2が1つの距離画像ファイルとして、記録メディア29に記録されることとなる。
【0142】
以上、本発明の実施形態に係る測距装置1,1Aについて説明したが、コンピュータを、上記の撮像制御部19、第1の距離画像生成部31、第2の距離画像生成部32および判定部36に対応する手段として機能させ、図6,12,16,17,19,20に示すような処理を行わせるプログラムも、本発明の実施形態の1つである。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本発明の実施形態の1つである。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】第1の実施形態による測距装置の構成を示す概略ブロック図
【図2】位相差の算出を説明するための図
【図3】第1の実施形態におけるCCDからの受光信号の取得を説明するための図(その1)
【図4】第1の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図
【図5】第1の実施形態における受光素子から電荷を読み出すための回路図
【図6】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図7】第1の実施形態におけるCCDからの受光信号の取得を説明するための図(その2)
【図8】第2の実施形態における位相差の算出を説明するための図
【図9】第2の実施形態におけるCCDからの受光信号の取得を説明するための図(その1)
【図10】第2の実施形態における受光素子単位を説明するための図
【図11】第2の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図
【図12】第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図13】第2の実施形態におけるCCDからの受光信号の取得を説明するための図(その2)
【図14】第3の実施形態における測距光の変調周期と反射光の受光のタイミングを示す図
【図15】第4の実施形態による測距装置の構成を示す概略ブロック図
【図16】第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図17】第5の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図18】第5の実施形態における撮影シーンおよび生成される第2の距離画像を示す図
【図19】第6の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図20】第7の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0144】
1,1A 測距装置
2 撮像部
3 測距光照射部
13 CCD
19 撮像制御部
31 距離画像生成部
32 第2の距離画像生成部
33 CPU
36 判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射する測距光照射手段と、
前記被写体による前記測距光の反射光を受光し、受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段と、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出し、該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成する第1の距離画像生成手段と、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出し、該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成する第2の距離画像生成手段とを備えたことを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記撮像制御手段は、前記測距光の変調周期における基準位相、該基準位相からπ/2ずれた位相、該基準位相からπずれた位相および該基準位相から3π/2ずれた位相において前記反射光をそれぞれ受光し、前記受光素子が前記複数の位相のすべての前記反射光を受光するまで、該受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項3】
前記撮像制御手段は、前記測距光の変調周期における基準位相と、該基準位相からπ/2ずれた位相、該基準位相からπずれた位相および該基準位相から3π/2ずれた位相のうちの2つの位相とにおいて、前記測距光の変調周期の少なくとも1/2の期間の前記反射光をそれぞれ受光し、前記受光素子が前記複数の位相のすべての前記反射光を受光するまで、該受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項4】
前記撮像制御手段は、前記受光素子の受光のタイミングを変更することにより、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の測距装置。
【請求項5】
前記撮像制御手段は、前記測距光の出射を開始する位相を変更することにより、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の測距装置。
【請求項6】
前記第2の距離画像生成手段は、所定条件を満たす場合にのみ、前記第2の距離画像を生成する手段であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の測距装置。
【請求項7】
前記撮像制御手段は、前記所定条件を満たさない場合には、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相の切り替えを停止するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項6記載の測距装置。
【請求項8】
前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のうち、すべてまたはいずれかの前記第1の距離画像において、あらかじめ定められた所定距離範囲内に前記被写体が存在する場合にのみ、前記第2の距離画像を生成する手段であることを特徴とする請求項6または7記載の測距装置。
【請求項9】
前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のすべてにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある前記第1の距離情報を算出した前記受光素子単位に含まれる前記受光素子についてのみ、前記第2の距離情報を算出して前記第2の距離画像を生成する手段であることを特徴とする請求項6または7記載の測距装置。
【請求項10】
前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のそれぞれにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある前記第1の距離情報を算出した前記受光素子単位に含まれる前記受光素子についてのみ、前記第2の距離情報を算出して前記第2の距離画像を生成する手段であることを特徴とする請求項6または7記載の測距装置。
【請求項11】
測距光照射手段により、所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射し、
受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段により、前記被写体による前記測距光の反射光を受光し、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御し、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出し、
該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成し、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出し、
該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成することを特徴とする測距方法。
【請求項12】
測距光照射手段により、所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射する手順と、
受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段により、前記被写体による前記測距光の反射光を受光する手順と、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手順と、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出する手順と、
該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成する手順と、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出する手順と、
該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成する手順とを有することを特徴とする測距方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射する測距光照射手段と、
前記被写体による前記測距光の反射光を受光し、受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段と、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出し、該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成する第1の距離画像生成手段と、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出し、該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成する第2の距離画像生成手段とを備えたことを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記撮像制御手段は、前記測距光の変調周期における基準位相、該基準位相からπ/2ずれた位相、該基準位相からπずれた位相および該基準位相から3π/2ずれた位相において前記反射光をそれぞれ受光し、前記受光素子が前記複数の位相のすべての前記反射光を受光するまで、該受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項3】
前記撮像制御手段は、前記測距光の変調周期における基準位相と、該基準位相からπ/2ずれた位相、該基準位相からπずれた位相および該基準位相から3π/2ずれた位相のうちの2つの位相とにおいて、前記測距光の変調周期の少なくとも1/2の期間の前記反射光をそれぞれ受光し、前記受光素子が前記複数の位相のすべての前記反射光を受光するまで、該受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項4】
前記撮像制御手段は、前記受光素子の受光のタイミングを変更することにより、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の測距装置。
【請求項5】
前記撮像制御手段は、前記測距光の出射を開始する位相を変更することにより、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えるよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の測距装置。
【請求項6】
前記第2の距離画像生成手段は、所定条件を満たす場合にのみ、前記第2の距離画像を生成する手段であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の測距装置。
【請求項7】
前記撮像制御手段は、前記所定条件を満たさない場合には、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相の切り替えを停止するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手段であることを特徴とする請求項6記載の測距装置。
【請求項8】
前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のうち、すべてまたはいずれかの前記第1の距離画像において、あらかじめ定められた所定距離範囲内に前記被写体が存在する場合にのみ、前記第2の距離画像を生成する手段であることを特徴とする請求項6または7記載の測距装置。
【請求項9】
前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のすべてにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある前記第1の距離情報を算出した前記受光素子単位に含まれる前記受光素子についてのみ、前記第2の距離情報を算出して前記第2の距離画像を生成する手段であることを特徴とする請求項6または7記載の測距装置。
【請求項10】
前記第2の距離画像生成手段は、前記第2の基準変調周期に生成される複数の前記第1の距離画像のそれぞれにおいて、あらかじめ定められた所定距離範囲内にある前記第1の距離情報を算出した前記受光素子単位に含まれる前記受光素子についてのみ、前記第2の距離情報を算出して前記第2の距離画像を生成する手段であることを特徴とする請求項6または7記載の測距装置。
【請求項11】
測距光照射手段により、所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射し、
受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段により、前記被写体による前記測距光の反射光を受光し、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御し、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出し、
該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成し、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出し、
該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成することを特徴とする測距方法。
【請求項12】
測距光照射手段により、所定周期にて強度変調された測距光を被写体に照射する手順と、
受光光量に応じた受光信号を出力する複数の受光素子が2次元状に配列された撮像素子を有する撮像手段により、前記被写体による前記測距光の反射光を受光する手順と、
前記測距光の変調周期における互いに異なる複数の位相の数に対応する数の前記受光素子からなる受光素子単位を設定し、第1の基準変調周期において、該受光素子単位に含まれる該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のそれぞれの前記反射光を受光し、前記複数の位相の数に対応する数の前記第1の基準変調周期からなる第2の基準変調周期において、前記受光素子のそれぞれにより受光される前記反射光の位相を順次切り替えることにより、該受光素子のそれぞれにより前記複数の位相のすべての前記反射光を受光して、前記複数の位相のすべての受光信号を前記各受光素子において取得するよう、前記測距光照射手段および前記撮像手段を制御する手順と、
前記第1の基準変調周期において、前記受光素子単位毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第1の距離情報を算出する手順と、
該第1の距離情報を各画素の情報とする第1の距離画像を生成する手順と、
前記第2の基準変調周期において、前記受光素子毎に取得される前記複数の位相の受光信号に基づいて、前記被写体までの距離を表す第2の距離情報を算出する手順と、
該第2の距離情報を各画素の情報とする第2の距離画像を生成する手順とを有することを特徴とする測距方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−85706(P2009−85706A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254254(P2007−254254)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]