説明

無機粉体含有樹脂組成物、パターン形成方法およびフラットパネルディスプレイ用電極の製造方法

【解決しようとする課題】
作業性・保存安定性に優れ、現像性を低下させることなく、パターン形状に優れた電極を好適に形成することができる無機粉体含有樹脂組成物を提供すること。
【課題を解決するための手段】
少なくとも、(A)導電性粒子、(B)屈折率が1.5〜1.8であり、ガラス軟化点が450℃〜600℃であるガラス粒子(C)ガラス転移点(Tg)が−50℃〜50℃である結着樹脂、(D)硬化後のガラス転移点(Tg)が0℃〜100℃である感光性物質、(E)光重合開始剤、および(F)脂肪酸アミドを含有する無機粉体含有樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機粉体含有樹脂組成物、パターン形成方法およびフラットパネルディスプレイ用電極の製造方法に関する。より詳細には、フラットパネルディスプレイなどのディスプレイパネルや、電子部品の高度実装材料に用いられる微細な回路パターンを有する回路基板の製造において、精度の高いパターンを形成する場合に好適に使用することができる無機粉体含有樹脂組成物、これを用いたパターン形成方法、および該パターン形成方法によりフラットパネルディスプレイ用部材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板やディスプレイパネルにおけるパターン加工に対して、高密度化および高精細化の要求が高まっている。このような要求が高まっているディスプレイパネルの中でも、特にプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)やフィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が注目されている。
【0003】
図1は交流型のPDPの断面形状を示す模式図である。図1において、101および102は互いに対向するよう配置されたガラス基板、103は隔壁であり、ガラス基板101、ガラス基板102、隔壁103によりセルが区画形成されている。104はガラス基板101に固定された透明電極であり、105は透明電極104の抵抗を下げる目的で該透明電極104上に形成されたバス電極であり、106はガラス基板102に固定されたアドレス電極である。107はセル内に保持された蛍光物質であり、108は透明電極104およびバス電極105を被覆するようガラス基板101の内面に形成された誘電体層であり、109はアドレス電極106を被覆するようガラス基板102の内面に形成された誘電体層であり、110は、例えば酸化マグネシウムよりなる保護膜である。また、カラーPDPにおいては、コントラストの高い画像を得るため、ガラス基板と誘電体層との間に、カラーフィルター(赤色・緑色・青色)やブラックマトリックスなどを設けたり、発光輝度を高めるために前面隔壁を設けたりすることがある。
【0004】
FPD部材である電極の形成方法としては、(1)基板上に、非感光性樹脂を所望のパターンとなるようにスクリーン印刷し、これを焼成するスクリーン印刷法、(2)基板上に感光性樹脂層をスクリーン印刷により全面塗布し、所望のパターンが描かれたフォトマスクを介して、前記感光性樹脂層に赤外線または紫外線を照射した上で現像することにより、基板上に所望のパターンを残存させ、これを焼成するフォトリソグラフィー法などが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平09−142878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記(1)のスクリーン印刷法で直接ガラス基板に電極パターンを形成する場合には、パターンを有するスクリーンマスクと基板の間に数mmのギャップを設け、スキージでスクリーンマスクにテンションを掛けながら印刷するため、版と実際の印刷パターンに寸法差が発生したり、また、印刷回数が増えるにしたがって版の寸法が変化する版伸びという問題が生じ、高精細のパターン形成が困難であった。
そのため近年では、高精細のパターン形成が可能な(2)フォトリソグラフィー法のニーズが高まっている。このフォトリソグラフィー法においては、露光用マスクを介して紫外線等を照射するが、無機粉体含有樹脂組成物層に導電性粒子やガラス粒子が含まれている場合、無機粉体含有樹脂組成物層中で光散乱が発生し紫外線が膜深部まで十分に到達しないことがあった。その結果、現像マージンが狭くなったり、パターン断面が逆テーパー形状となり、その後の焼成工程においてパターンの両端が反るという問題があった。
また、スクリーン印刷を用いる塗布方法において、膜形成材料がチクソトロピー性を持たない場合には、ペーストの版離れが悪くなったり、電極形成用のペーストを構成する無機粒子が沈降し、長期保存の場合には再分散が困難となり再使用ができなくなる等の問題があった。本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものである。
【0007】
本発明の第1の目的は、作業性・保存安定性に優れ、現像性を低下させることなく、パターン形状に優れた電極を好適に形成することができる無機粉体含有樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、作業性に優れ、パターン形状に優れた電極形成できるFPD用電極の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる目的は、下記説明で明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定のガラス粒子、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和基含有化合物、脂肪酸アミドを含む無機粉体含有樹脂組成物を用いることにより、精度の高いパターンを形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る無機粉体含有樹脂組成物は、少なくとも、(A)導電性粒子、(B)屈折率が1.5〜1.8であり、ガラス軟化点が450℃〜600℃であるガラス粒子(C)ガラス転移点(Tg)が−50℃〜50℃である結着樹脂、(D)硬化後のガラス転移点(Tg)が0℃〜100℃である感光性物質、(E)光重合開始剤、および(F)脂肪酸アミドを含有することを特徴とする。
また本発明に係る無機粉体含有樹脂組成物の好適な態様として、前記ガラス粒子は、酸化ホウ素を30〜70質量%含有し、前記結着樹脂は、アルカリ可溶性樹脂を含有し、前記感光性物質は、エチレン性不飽和基含有化合物である。
【0011】
本発明に係るパターン形成方法は、本発明の無機粉体含有樹脂組成物からなる無機粉体含有樹脂層を基板上に形成し、当該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成し、当該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、パターンを得ることを特徴とする。
【0012】
本発明のFPD用電極の製造方法は、前記パターン形成方法によりFPD用電極を製造する方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物によれば、作業性に優れ、パターン形状に優れた電極を好適に形成することができる
本発明のパターン形成方法によれば、高精細パターンの形成が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
<無機粉体含有樹脂組成物>
(A)導電性粒子
本発明の無機粉体含有樹脂組成物を構成する導電性粒子としては、Ag、Au、Al、Ni、Ag−Pd合金、Co、CuおよびCrなどからなる金属およびそれらの酸化物からなる粒子を挙げることができる。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物における導電性粒子の平均粒径は、0.1〜4μmである。導電性粒子の平均粒径が0.1μm未満の場合は、露光時に照射した紫外線が無機粉体含有樹脂組成物層中で光散乱等により膜深部まで十分に届かず、現像マージンが狭くなったり、パターン断面が逆テーパー形状となり、その後の焼成工程においてパターンの両端が反る場合がある。導電性粒子の平均粒径が4μm以上の場合は、パターン直線性が劣ったり、焼成後の抵抗値が高くなる場合がある。
【0015】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物における導電性粒子の含有量は、無機粉体全量に対して、通常、50〜98質量%であり、好ましくは、60〜95質量%である。
(B)ガラス粒子
本発明の無機粉体含有樹脂組成物を構成するガラス粒子としては、軟化点が450〜600℃の範囲内にあるガラス粉末が好ましく、470〜580℃の範囲内にあるガラス粉末が特に好ましい。軟化点が450℃未満または600℃を超えるガラス粉末であっても、良好なパターン形状の形成は可能ではあるが、ガラス粉末の軟化点が450℃未満である場合には、当該組成物による膜形成材料層の焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融してしまうため、形成されるガラス焼結体中に有機物質の一部が残留し、この結果、得られる電極の抵抗値が上昇する場合がある。一方、ガラス粉末の軟化点が600℃を超える場合には、600℃より高温で焼成する必要があるために、ガラス基板に歪みなどが発生しやすい。
【0016】
好適なガラス粉末の具体例としては、I.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(B−SiO−Al系)の混合物、II.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化亜鉛(B−SiO−ZnO系)の混合物、III.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛(B−SiO−Al−BaO系)の混合物、などを例示することができる。
【0017】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物を構成するガラス粒子の屈折率は1.5〜1.8である。ガラス粒子の屈折率がこの範囲外であると、結着樹脂の屈折率との屈折率差が大きくなり、無機粉体含有樹脂組成物層中で光散乱が発生し紫外線が膜深部まで十分に到達しないという点で不利である。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物を構成するガラス粒子のガラス成分としては、酸化ホウ素の含有量が30〜70質量%であることが好ましい。酸化ホウ素の含有量がこの範囲外であっても、良好なパターン形状の形成は可能ではあるが、酸化ホウ素が30質量%未満の場合は、屈折率が高くなったり、ガラス軟化点が高くなる場合がある。酸化ホウ素が70質量%を超える場合は、化学安定性が劣る場合がある。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物を構成するガラス粒子の粒径は、好ましくは0.1〜5μmである。
【0018】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物におけるガラス粒子の含有量は、有機溶剤を除く全固形成分のうち、1〜10質量%を含有することが好ましい。ガラス粒子が1質量%未満の場合は、焼成後に下地基板との密着性が不足する場合があり、一方、ガラス粒子が10質量%以上の場合は、焼成後の電極の抵抗値が高くなる場合がある。
【0019】
(C)結着樹脂
本発明の無機粉体含有樹脂組成物を構成する結着樹脂としては、種々の樹脂を用いることができるが、アルカリ可溶性樹脂を30〜100質量%の割合で含有する樹脂を用いることが好ましい。ここに、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ性の現像液によって溶解し、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。アルカリ可溶性樹脂を用いると、例えばカルボキシル基含有モノマーの含有量を変量することにより、アルカリ現像液に対する溶解速度やパターン形状をコントロールできるという利点がある。
【0020】
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
【0021】
このようなアルカリ可溶性樹脂のうち、特に好ましいものとしては、下記のモノマー(イ)とモノマー(ハ)との共重合体、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体などのアクリル樹脂を挙げることができる。
モノマー(イ):カルボキシル基含有モノマー類
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなど。
モノマー(ロ):OH含有モノマー類
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類など。
モノマー(ハ):その他の共重合可能なモノマー類
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルなどのモノマー(イ)以外の(メタ)アクリル酸エステル類;メチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、n−ブチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレートなどのα−ヒドロキシメチル基を有するアクリレート;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマー鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマー類など。
【0022】
上記モノマー(イ)とモノマー(ハ)との共重合体や、モノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体は、モノマー(イ)に由来する共重合成分の存在により、アルカリ可溶性を有するものとなる。中でもモノマー(イ)、モノマー(ロ)およびモノマー(ハ)の共重合体は、(A)および(B)の無機粒子の分散安定性や後述するアルカリ現像液への溶解性の観点から特に好ましい。
【0023】
この共重合体におけるモノマー(イ)に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜40質量%であり、モノマー(ロ)に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。
【0024】
本発明の組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂として特に好ましい組成としては、メタクリル酸/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸n−ブチル共重合体や、メタクリル酸/コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸n−ブチル共重合体が挙げられる。
【0025】
上記アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、Mwが5,000〜5,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜300,000である。
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂のガラス軟化点(Tg)は、−50℃〜50℃である。ガラス軟化点(Tg)が−50℃未満の場合は、現像時に膨潤しやすくパターン直線性に劣る場合がある。ガラス軟化点(Tg)が50℃以上の場合は、焼成過程でパターン両端に反りが発生しやすくなる場合がある。
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物におけるアルカリ可溶性樹脂の含有割合としては、(A)および(B)の無機粒子100質量部に対して、通常、1〜100質量部であり、好ましくは、5〜80質量部である。
(D)感光性物質
本発明の組成物を構成する感光性物質は、露光により重合して、硬化し、現像液に対する溶解性が減少する物質である。このような感光性物質としては、露光により重合し、露光部分をアルカリ不溶性またはアルカリ難溶性にする物質を挙げることができる。感光性物質として、このような露光によりアルカリ不溶性等にする物質を用いると、露光部と未露光部のアルカリ現像液に対するコントラストを付けやすくなり、パターンの高精細化やパターン形状をコントロールし易くなる という利点がある。このような露光によりアルカリ不溶性等にする物質としては、たとえばエチレン性不飽和基含有化合物を挙げることができる。
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物における感光性物質の硬化後のガラス軟化点(Tg)は、0℃〜100℃である。ガラス軟化点(Tg)が0℃未満の場合は、現像時に膨潤しやすくパターン直線性に劣る場合がある。ガラス軟化点(Tg)が100℃以上の場合は、焼成過程でパターン両端に反りが発生しやすくなる場合がある。
エチレン性不飽和基含有化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;
グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、トリプロピレングリコールジアクリレート(Tg:90℃)、テトラエチレングリコールジアクリレート(Tg:50℃)、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(Tg:50℃)、ウレタンアクリレート(Tg:15℃)、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート(Tg:75℃)、等が特に好ましく用いられる。
【0026】
上記エチレン性不飽和基含有化合物の分子量としては、100〜2,000であることが好ましい。
本発明の無機粉体含有樹脂組成物における光重合性モノマーの含有割合としては、(A)および(B)の無機粒子100質量部に対して、通常、1〜100質量部であり、好ましくは、2〜50質量部である。
(E)光重合開始剤
本発明の無機粉体含有樹脂組成物に用いられる光重合開始剤の具体例としては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのカルボニル化合物;アゾイソブチロニトリル、4−アジドベンズアルデヒドなどのアゾ化合物あるいはアジド化合物;メルカプタンジスルフィド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどの有機硫黄化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、パラメタンハイドロパーオキシドなどの有機パーオキシド;1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−(2−フラニル)エチレニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどのトリハロメタン類;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル1,2’−ビイミダゾールなどのイミダゾール二量体などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物における光重合開始剤の含有割合としては、感光性物質100質量部に対して、通常、5〜100質量部であり、好ましくは、10〜50質量部である。
(F)脂肪酸アミド
本発明の無機粉体含有樹脂組成物に用いられる脂肪酸アミドの具体例としては、脂肪酸アマイドS、T、O-N、E(花王(株)製)、CRODAMIDE ER、ERA、OR、VRX、SR、SRX、BR、212(クローダジャパン(株)製)、DISPARLON 6900−10X、A603−10X、6810−20X、6820−10M、PFA131、PFA231(楠本化成(株)製)などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物における脂肪酸アマイドの含有割合としては、(A)および(B)の無機粒子100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部であり、好ましくは、0.2〜4質量部である。
脂肪酸アマイドが0.1質量部未満の場合は、ペーストにチクソトロピー性が発現せず、ペーストの版離れが悪くなったり、ペースト中の無機粒子が沈降する場合がある。一方、脂肪酸アマイドが5質量部以上の場合は、スクリーン印刷時にメッシュ跡が残り易くなり、表面平滑性が劣る場合がある。
<溶媒>
本発明の無機粉体含有樹脂組成物には、通常、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために溶剤が含有される。用いられる溶剤としては、無機粒子との親和性、アルカリ可溶性樹脂の溶解性が良好で、無機粉体含有樹脂組成物に適度な粘性を付与することができると共に、乾燥されることにより容易に蒸発除去できるものであることが好ましい。
【0027】
溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系アルコール類;酢酸−n−ブチル、酢酸アミルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸エチル、乳酸−n−ブチルなどの乳酸エステル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエーテル系エステル類、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、などを挙げることができる。
【0028】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物における溶剤の含有割合としては、良好な膜形成性(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができる。
<添加剤>
また、本発明の無機粉体含有樹脂組成物には、任意成分として、顔料、増粘剤、可塑剤、分散剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、レベリング剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、連鎖移動剤などの各種添加剤が含有されてもよい。
【0029】
本発明の無機粉体含有樹脂組成物は、上記無機粒子、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和基含有化合物、光重合開始剤、および溶剤と必要に応じて上記任意成分を、ロール混練機、ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミルなどの混練機を用いて混練することにより調製することができる。
【0030】
上記のようにして調製される無機粉体含有樹脂組成物は、従来において公知の膜形成材料層の形成方法、すなわち、スクリーン印刷法などによって当該組成物をガラス基板の表面に直接塗布し、塗膜を乾燥することにより膜形成材料層を形成する方法においてもっとも好適に使用することができる。
上記のようにして調製される無機粉体含有樹脂組成物は、塗布に適した流動性を有するペースト状の組成物であり、その粘度は、通常1000〜500,000mPa・s、好ましくは5,000〜100,000mPa・sである。
【0031】
塗膜の乾燥条件としては、例えば、50〜150℃で0.5〜30分間程度であり、乾燥後における溶剤の残存割合(無機粉体含有樹脂層中の含有率)は、通常2質量%以内である。
【0032】
上記のようにしてガラス基板上に形成される無機粉体含有樹脂層の厚さとしては、無機粒子の含有率やサイズなどによっても異なるが、例えば5〜20μmである。
<パターン形成方法およびFPD用電極の製造方法>
本発明のパターン形成方法は、本発明の無機粉体含有樹脂組成物を用いて、スクリーン印刷法などによって当該組成物をガラス基板の表面に直接塗布し無機粉体含有樹脂層を基板上に形成し、当該無機粉体含有樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成し、当該無機粉体含有樹脂層を現像処理してパターン層を形成し、当該パターン層を焼成処理することにより、無機パターンを形成することを特徴とし、FPD用電極の製造方法は、このパターン形成方法により無機パターンを有するパネル電極を形成することを特徴とする。以下に、各工程について説明する。
【0033】
(i)無機粉体含有樹脂層の形成工程
無機粉体含有樹脂層は、本発明の無機粉体含有樹脂組成物を基板上に塗布することによって形成することができる。
無機粉体含有樹脂組成物の塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロール塗布法、回転塗布法、流延塗布法など種々の方法が挙げられ、本発明の無機粉体含有樹脂組成物を塗布した後、塗膜を乾燥する方法により、無機粉体含有樹脂層を形成することができる。なお、上記工程をn回繰り返すことでn層の積層体を形成してもよい。
(ii)露光工程
無機粉体含有樹脂層の表面に、露光用マスクを介して紫外線などの放射線の選択的照射(露光)を行う方法や、レーザー光を走査する方法などで、パターンの潜像を形成する。ここに、放射線照射装置としては、フォトリソグラフィー法で一般的に使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置、レーザー装置などが用いられるが、特に限定されるものではない。
(iii)現像工程
露光された無機粉体含有樹脂層を現像して、無機粉体含有樹脂層のパターンを形成する。ここに、現像処理条件としては、無機粉体含有樹脂層の種類に応じて、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度、現像方法(例えば浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法など)、現像装置などを適宜選択することができる。
(iv)焼成工程
無機粉体含有樹脂層のパターンを焼成処理して、無機粉体含有樹脂層の残留部における有機物質を焼失させる。この工程により、無機粉体含有樹脂層のパターンから電極が形成される。
【0034】
ここに、焼成処理の温度としては、無機粉体含有樹脂層(残留部)中の有機物質が焼失される温度であることが必要であり、通常、400〜600℃である。また、焼成時間は、通常10〜90分間である。
【0035】
以下、上記各工程に用いられる材料、各種条件などについて説明する。
<基板>
基板材料としては、例えばガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの絶縁性材料からなる板状部材が挙げられる。この板状部材の表面に対しては、必要に応じて、シランカップリング剤などによる薬品処理;プラズマ処理;イオンプレーティング法、スパッタリング法、気相反応法、真空蒸着法などによる薄膜形成処理のような適宜の前処理を施されていてもよい。
【0036】
なお、本発明においては、基板として、耐熱性を有するガラスを用いることが好ましい。ガラス基板としては、例えばセントラル硝子(株)製CP600V、旭硝子(株)製PD200、を好ましいものとして挙げることができる。
<露光用マスク>
本発明の製造方法による露光工程において使用される露光用マスクの露光パターンとしては、材料によって異なるが、一般的に10〜500μm幅のストライプである。
<現像液>
本発明の製造方法による現像工程で使用される現像液としては、アルカリ現像液を好ましく使用することができる。
【0037】
なお、結着樹脂としてアルカリ可溶性樹脂を使用した場合、無機粉体含有樹脂層に含有される無機粒子は、アルカリ可溶性樹脂により均一に分散されているため、アルカリ性溶液で結着樹脂であるアルカリ可溶性樹脂を溶解させ、洗浄することにより、無機粒子も同時に除去される。
【0038】
アルカリ現像液の有効成分としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどの有機アルカリ性化合物などを挙げることができる。
【0039】
アルカリ現像液は、前記アルカリ性化合物の1種または2種以上を水などに溶解させることにより調製することができる。ここに、アルカリ性現像液におけるアルカリ性化合物の濃度は、通常0.001〜10質量%であり、好ましくは0.01〜5質量%である。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「量部」を示す。また、実施例における各評価方法を下記に示す。
【0041】
[アルカリ可溶性樹脂のMw]
東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(商品名HLC−802A)によりポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
【0042】
[ガラス屈折率]
本発明におけるガラス微粒子の屈折率測定は、ベッケ法屈折率計(KPR−30A、株式会社島津製作所製、g線(436nm))を用いて測定した。
【0043】
[ガラス転移温度(Tg)]
アルカリ可溶性樹脂およびエチレン性不飽和基含有化合物のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC−60、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。常温から30℃/分で300℃まで昇温した後、5分間保持し、10℃/分で−100℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線から求めた。
また、エチレン性不飽和基含有化合物のガラス転移温度(Tg)に関しては、光硬化後のTgを測定した。エチレン性不飽和基含有化合物100部、光重合開始剤(2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン)10部、溶剤(テルピネオール)500部を調製し、ガラス基板にスクリーン印刷後、120℃10分乾燥し、超高圧水銀灯により1000mJ/cm露光(i線での照度換算)したものを測定試料として用いた。
【0044】
[チクソトロピー性]
コーンプレート型の回転粘度計であるE型粘度計(東機産業株式会社製「TV−33形粘度計コーンプレートタイプ」)により、分散後、5℃で一日保存した後の無機粉体含有樹脂組成物についてTI値を測定した。ここで、TI値(チクソトロピックインデクス)は構造粘性を示す指数である。 通常、E型粘度計での測定では、1rpmで測定した粘度を10rpmで測定した粘度で割った値である。
TI=ηN1 (回転数N1での粘度)/ηN2(回転数N2での粘度)
ここで、N2>N1である。
【0045】
[保存安定性]
三ヶ月間保存した後の無機粉体含有樹脂組成物について、無機粒子が沈降しているか否かを観察した。沈降していなければ、保存安定性は良好として評価した。沈降していれば、保存安定性は不良として評価した。表1では、良好を○、不良を×と表記した。
【0046】
[現像性]
無機粉体含有樹脂層を現像した後、得られたパターンを光学顕微鏡にて観察した。表1では、未露光部の基板上に現像残さは認められず、かつパターンの欠けは認められない場合を○、未露光部の基板上に現像残さは認められないものの、パターンの欠けが認められる場合を△、未露光部の基板上に現像残さが認められ、かつパターンの欠けも認められる場合を×と表記した。
【0047】
[焼成後のパターンの評価]
パネルを切断して小片にし、パターン断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4200」)で観察し、パターンの幅および高さを計測し、エッジカールが3μm未満のものを○、エッジカールが3μm以上のものを×とした。
【0048】
[版離れ]
ガラス基板上に無機粉体含有樹脂組成物をスクリーン印刷により塗布したときの版離れを観察した。表1では、塗布直後に印刷版から無機粉体含有樹脂組成物が離れる場合を○、塗布した後、印刷版から無機粉体含有樹脂組成物が離れるまでに若干の時間差が認められる場合を△、塗布した後、印刷版から無機粉体含有樹脂組成物が離れるまでに時間差が認められ、かつ膜厚の面内ばらつきが生じる場合を×と表記した。
【0049】
[版目詰り]
ガラス基板上に無機粉体含有樹脂組成物をスクリーン印刷により塗布したときの版詰りの有無を観察した。表1では、10回印刷を繰り返したとき、塗布できずにかすれたり、膜厚の面内ばらつきが多く認められた場合を「有」、10回印刷を繰り返したとき、膜厚の面内ばらつきが少なく、均一な無機粉体含有樹脂層を形成することができた場合を「無」と表記した。
【0050】
<実施例1>
(1)無機粉体含有樹脂組成物の調製
導電性粒子としてAg粉体(平均粒径2.2μm)100部、ガラス粒子としてB23−SiO2−Al系ガラス(平均粒径2μm、軟化点530℃、酸化ホウ素含有量50質量%、屈折率1.6)3部、アルカリ可溶性樹脂(以下「アルカリ可溶性樹脂(C1)」という)としてメタクリル酸/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸−エトキシエチル/(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル=10/15/35/40(質量%)共重合体(Mw=26,000、Tg=0℃)10部、エチレン性不飽和基含有化合物(以下「エチレン性不飽和基含有化合物(D1)という)としてトリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(Tg=50℃)5部、光重合開始剤(以下「光重合開始剤(E1)という)として2−メチル−〔4’−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン1部、脂肪酸アミドPFA131(楠本化成(株)製、以下「脂肪酸アミド(F1)」)1部、および溶剤としてテルピネオール20部を攪拌脱泡装置で混練りした後、三本ロールで分散することにより、無機粉体含有樹脂組成物(I)を調製した。
【0051】
(2)無機粉体含有樹脂層の形成
ガラス基板上に無機粉体含有樹脂組成物(I)をスクリーン印刷により塗布したのち、100℃のクリーンオーブンで10分乾燥して、厚さ10μmの無機粉体含有樹脂層を形成した。
(3)無機粉体含有樹脂層の露光工程
ガラス基板上に形成された無機粉体含有樹脂層に対して、ライン幅60μm、スペース幅60μmのストライプ状ネガ用露光用マスクを介して、超高圧水銀灯によりg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)の混合光を照射した。その際の露光量は、365nmのセンサーで測定した照度換算で300mJ/cm2 とした。
【0052】
(4)現像工程
露光処理された無機粉体含有樹脂層に対して、液温30℃の0.3質量%炭酸ナトリウム水溶液を現像液とするシャワー法による無機粉体含有樹脂層の現像処理を30秒間行い、続いて、超純水を用いて水洗を行った。これにより、紫外線が照射されていない未硬化の無機粉体含有樹脂層を除去し、無機粉体含有樹脂層パターンを形成した。このパターンを光学顕微鏡にて観察したところ、未露光部の基板上に現像残さは認められず、かつパターンの欠けは認められなかった。このように現像後のパターン形状は良好であった。
【0053】
(5)焼成工程
無機粉体含有樹脂層のパターンが形成されたガラス基板を焼成炉内で580℃の温度雰囲気下で30分間にわたり焼成処理を行った。このパターンを走査型電子顕微鏡にて観察したところ、パターン幅60μm、厚み5μmの電極が形成されており、パターン形状にも反りが見られなず、良好なパネル材料を得ることができた。このように焼成後のパターン形状は良好であった。
【0054】
<実施例2>
無機粉体含有樹脂組成物(I)における脂肪酸アミドとして、脂肪酸アミドSR(クローダジャパン(株)製、以下「脂肪酸アミド(F2)」)を用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物(II)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した無機粉体含有樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0055】
<実施例3>
無機粉体含有樹脂組成物(I)におけるアルカリ可溶性樹脂(C1)の代わりに、アルカリ可溶性樹脂(C2)としてメタクリル酸/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/メタクリル酸−n−ブチル=15/15/70(質量%)共重合体(Mw=25,000、Tg=41℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物(III)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した無機粉体含有樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0056】
<実施例4>
無機粉体含有樹脂組成物(I)におけるエチレン性不飽和基含有化合物(D1)の代わりに、エチレン性不飽和基含有化合物(D2)としてトリプロピレングリコールジアクリレート(Tg=90℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物(IV)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した無機粉体含有樹脂層の評価結果を表1に示した。
【0057】
【表1】

【0058】
<比較例1>
無機粉体含有樹脂組成物(I)における脂肪酸アミドを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物(V)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した無機粉体含有樹脂層の評価結果を表2に示した。
<比較例2>
無機粉体含有樹脂組成物(I)における脂肪酸アミドPFA131を6部添加した以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物(VI)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した無機粉体含有樹脂層の評価結果を表2に示した。
【0059】
<比較例3>
無機粉体含有樹脂組成物(I)におけるガラス粒子としてB23−SiO2−Al系ガラス(平均粒径2μm、軟化点530℃)の代わりに、Bi23−SiO2−Al系ガラス(平均粒径2μm、軟化点500℃、屈折率2.1、酸化ホウ素含有量10質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物(VII)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した無機粉体含有樹脂層の評価結果を表2に示した。
【0060】
<比較例4>
無機粉体含有樹脂組成物(I)におけるアルカリ可溶性樹脂(C1)の代わりに、アルカリ可溶性樹脂(C3)としてメタクリル酸/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル/ベンジルメタクリレート=15/15/70(質量%)共重合体(Mw=25,000、Tg=70℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物(VIII)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した無機粉体含有樹脂層の評価結果を表2に示した。
【0061】
<比較例5>
無機粉体含有樹脂組成物(I)におけるエチレン性不飽和基含有化合物(D1)の代わりに、エチレン性不飽和基含有化合物(D3)としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Tg=250℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、無機粉体含有樹脂組成物(IX)を調製した。実施例1と同様の工程で転写し、露光、現像、焼成した無機粉体含有樹脂層の評価結果を表2に示した。
【0062】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】交流型FPD(具体的には、PDP)の断面形状を示す模式図である。
【符号の説明】
【0064】
101 ガラス基板
102 ガラス基板
103 背面隔壁
104 透明電極
105 バス電極
106 アドレス電極
107 蛍光物質
108 誘電体層
109 誘電体層
110 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)導電性粒子、
(B)屈折率が1.5〜1.8であり、ガラス軟化点が450℃〜600℃であるガラス粒子
(C)ガラス転移点(Tg)が−50℃〜50℃である結着樹脂、
(D)硬化後のガラス転移点(Tg)が0℃〜100℃である感光性物質、および
(E)光重合開始剤
(F)脂肪酸アミド
を含有することを特徴とする無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)ガラス粒子は、酸化ホウ素を30〜70質量%含有する請求項1に記載の無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)結着樹脂は、アルカリ可溶性樹脂を含有する請求項1〜2のいずれか1項に記載の無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項4】
前記(D)感光性物質は、エチレン性不飽和基含有化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機粉体含有樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の無機粉体含有樹脂組成物から得られる感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、
該樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程と、
該樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程と、
該パターンを焼成処理する工程と
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項6】
請求項5に記載のパターン形成方法により、電極を形成することを特徴とするフラットパネルディスプレイ用電極の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−31693(P2009−31693A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198165(P2007−198165)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】