説明

無段変速機

【課題】 無段変速機の出力軸と被駆動体の回転軸との接続を容易にでき、且つ、出力軸の回転速度を被駆動体の回転軸に精度良く伝達できる無段変速機を提供する。
【課題手段】 駆動力を受けて回動する入力軸4と、一端が変速機構を介して前記入力軸に接続されると共に、他端が前記ケーシングから突出するように構成された出力軸5と、ケーシング3の外方に配設されて出力軸5の突出部にスプライン結合し、出力軸5と一体に回動する第一歯車42と、支軸43を介してケーシング3に回動自在に支持されて、第一歯車42に噛合する第二歯車44とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の回転速度を変速する無段変速機に関し、特に、織機において、駆動モータの回転速度を受けて回転し、縦糸が巻き付けられたビームの回転を経糸の張力に応じて変速する無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーシング内に、駆動モータの駆動力を受けて回動する入力軸と、一端が変速機構を介して前記入力軸に接続されると共に他端が前記ケーシングから突出する出力軸とを備え、この出力軸の駆動力を被駆動体に伝達するように構成された無段変速機が知られている。
【0003】
また、従来、織機において、経糸を送出する駆動部には、駆動モータの回転速度を受けて回転すると共に、縦糸が巻き付けられたビームの回転を経糸の張力に応じて変速する無段変速機を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。また、この際、ビームの回転軸がウォーム歯車に接続され、ウォーム歯車に噛合するウォームの回転軸が、ベルトや歯車を介して、無段変速機の出力軸に接続されているものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−088619公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、織機において、織物の品質向上のニーズに伴って、無段変速機とウォーム歯車装置との回転速度の伝達に、一層、高精度化が求められている。
【0006】
しかしながら、前述のように、ベルトを介して無段変速機の出力軸を被駆動体の回転軸に接続する構成によれば、ベルトに発生する微振動やベルトのスリップ等によって、回転速度の伝達精度が損なわれ、延いては、織段が発生して織物の品質を損なう虞があった。
【0007】
また、従来、歯車を介して無段変速機の出力軸を被駆動体の回転軸に接続する構成は、無段変速機を織機に取り付ける際に、出力軸には予め歯車が結合されていないので、出力軸に歯車を結合する作業が煩雑になって作業性を損なったり、歯車を接続する際の精度を損なって回転速度の伝達精度を損なったりする虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、無段変速機の出力軸と被駆動体の回転軸との接続を容易にでき、且つ、出力軸の回転速度を被駆動体の回転軸に精度良く伝達できる無段変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、無段変速機において、ケーシング内に収納され駆動力を受けて回動する入力軸と、一端が変速機構を介して前記入力軸に接続されると共に、他端が前記ケーシングから突出するように構成された出力軸と、前記ケーシングの外方に配設されて前記出力軸の突出部に結合し、該出力軸と一体に回動する第一歯車と、前記ケーシングに回動自在に支持されて前記第一歯車に噛合する第二歯車とを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の無段変速機によれば、ケーシングの外方に配設されて出力軸の突出部に結合して出力軸と一体に回動する第一歯車と、ケーシングに回動自在に支持されて第一歯車に噛合する第二歯車とを備えているので、第一歯車及び第二歯車を介して、出力軸と被駆動体の回転軸との接続を容易にでき、且つ、精度良く回転速度を伝達できる。また、織機における経糸を送出する駆動部に本変速機を用いれば、織物の織段の発生を低減できて品質を向上できる。
【0011】
つまり、請求項1に記載の変速機によれば、第一歯車及び第二歯車を介して被駆動体に回転動作を伝達することができるので、この伝達をベルトで行うよりも、伝達部の微振動やスリップ等を低減でき回転速度の伝達精度を向上できる。また、請求項1に記載の無段変速機は、当該無段変速機を織機に取り付ける際に、第一歯車と第二歯車が予め備えられているので、被駆動体に接続する際の作業性と精度を向上でき、延いては、回転速度の伝達精度を向上できる。また、本無段変速機は、共通のケーシングに対して、出力軸が支持されると共に第二歯車が支持されているので、出力軸の回転動作を精度良く第二歯車に伝達できる。
【0012】
次に、請求項1に記載の無段変速機は、請求項2に記載の発明のように、前記第二歯車を回動自在に支持する支軸を備え、前記ケーシングに対して、前記支軸が着脱自在に固定されると共に、その固定位置を軸方向と直交する向きに可変できるように構成されていることにより、第一歯車の回転中心から第二歯車の回転中心までの距離を変更でき、第一歯車、第二歯車の外径及、歯数の組合せを変えて、出力軸から第二歯車に伝達される回転速度を調整できる。また、請求項1に記載の無段変速機は、第一歯車の回転中心から第二歯車の回転中心までの距離を変えて歯車の噛合深さを調整でき、これにより、第一歯車と第二歯車間の噛合を円滑にして回転速度を精度良く伝達できる。
【0013】
次に、請求項2に記載の無段変速機は、請求項3に記載の発明のように、前記ケーシングに前記支軸の取り付け部が複数備えられていることにより、支軸と共に第二歯車の取り付け位置を変えて、第一歯車の回転中心から第二歯車の回転中心までの距離を容易に変更できる。
【0014】
次に、請求項1乃至請求項3の何れか記載の無段変速機は、請求項4に記載の発明のように、前記ケーシングが、前記変速機構を収納する開口穴を備えた第一ケーシングと、該第一ケーシングの開口穴を遮蔽する第二ケーシングとにより構成され、前記第二ケーシングに、前記出力軸及び前記第二歯車が回動自在に支持されていることにより、第一ケーシング及び第二ケーシング内に変速機構を容易に収納できると共に、第二ケーシングを介して第一歯車及び第二歯車を容易に配設できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の無段変速機は、ケーシングの外方に配設されて出力軸の突出部にスプライン結合し、出力軸と一体に回動する第一歯車と、ケーシングに回動自在に支持されて第一歯車に噛合する第二歯車とを備えているので、出力軸と被駆動体の回転軸との接続を容易にでき、且つ、出力軸の回転動作を被駆動体の回転軸に精度良く伝達できる。さらに、本発明の無段変速機は、共通のケーシングに対して、出力軸が支持されると共に第二歯車が支持されているので、出力軸の回転動作を精度良く第二歯車に伝達できる。また、本発明の無段変速機を織機における経糸を送出する駆動部に用いれば、織段の発生を低減でき織物の品質を向上できる。
【0016】
また、本発明の無段変速機は、第二歯車を回動自在に支持する支軸を備え、ケーシングに対して、支軸が着脱自在に固定されると共に、その固定位置を軸方向と直交する向きに可変できるように構成されていることにより、第一歯車の回転中心から第二歯車の回転中心までの距離を変更でき、第一歯車と第二歯車との外径及び歯数の組合せを変えて、出力軸から第二歯車に伝達される回転速度を調整できる。また、本発明の無段変速機は、第一歯車の回転中心から第二歯車の回転中心までの距離を変えて歯車の噛合深さを調整でき、これにより、第一歯車と第二歯車の噛合を円滑にして回転速度を精度良く伝達できる。
【0017】
また、本発明の無段変速機は、ケーシングに支軸の取り付け部が複数備えられていることにより、第一歯車の回転中心から第二歯車の回転中心までの距離を容易に変更できる。
【0018】
また、本発明の無段変速機は、ケーシングが、変速機構を収納する開口穴を備えた第一ケーシングと、第一ケーシングの開口穴を遮蔽する第二ケーシングとにより構成され、第二ケーシングに、出力軸及び第二歯車が回動自在に支持されていることにより、第一ケーシング及び第二ケーシング内に変速機構を容易に収納できると共に、第一歯車及び第二歯車を、第二ケーシングを介して、容易に配設できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の無段変速機の一実施例を、図面にもとづいて説明する。図1は、本発明が適用された一実施例の無段変速機の全体構成を表す外観図、図2は、同実施例の無段変速機における、図1の矢印A方向から表した外観図、図3は、同実施例の無段変速機における、図2中の矢印Y−Y断面図、図4は、同実施例の無段変速機における、図1中の矢印BーB方向から表した部分断面図、図5は、同実施例の無段変速機における変速機構を表した断面図、図6は、同実施例の無段変速機における変速動作の説明図である。
【0020】
図1〜図3に表したように、無段変速機1は、図示されない駆動モータ(所謂、駆動源である。)の駆動力を受けて回動する入力軸4、入力軸4と同軸線上に間隙を介して配設された出力軸5、入力軸4及び出力軸5の外周に間隙を介して配設され、自らの中心軸を軸として回動にすると共に、入力軸4及び出力軸5の外周に沿って回動自在に備えられた複数の円錐形転子と6、円錐形転子6を回動自在に支持する転子支持部材24、複数の円錐形転子6を囲むようにリング状に形成され、内面が複数の円錐形転子6の円錐面に摩擦係合する変速リング7、変速リング7を円錐形転子6の頂点から周縁に至る方向にスライドさせ、変速リング7と円錐形転子6との摩擦係合位置を可変する変速リングスライド機構8、等をケーシング2内に備えている。尚、本発明における変速機構は、複数の円錐形転子と6、転子支持部材24、変速リング7、変速リングスライド機構8等によって、その機能が発現される。
【0021】
また、変速機1は、変速機構を収納するケーシング(本発明における第一ケーシングである。)2、ベアリング21、22を介して出力軸5を回動自在に支持するケーシング(本発明における第二ケーシングである。)3、ベアリング21、22を軸方向に支持するカバー15、等を備えている。また、ケーシング3とケーシング2とがボルト19によって固定され、カバー15とケーシング3とがボルト20によって固定され、ケーシング2、3、カバー15等が一体に固定されている。
【0022】
また、変速機1は、ケーシング2、3、カバー15内にプラグ(図示せず)を介して潤滑剤が充填され、この潤滑剤が外方に漏れることがないように、入力軸4とケーシング2との間には第一シーリング18が備えられ、出力軸5とカバー15との間には第二シーリング23が備えられ、ケーシング2とケーシング3との間には弾性を有するOリング38が備えられている。
【0023】
ケーシング2は、取り付け部2a及び取り付け孔2bを備え、図2に表したように、取り付け部2a及び取り付け孔2bを介して機器筐体Wに固定される。
【0024】
入力軸4は、ベアリング16、17を介してケーシング2に回動自在に支持され、出力軸5は、ベアリング21、22を介してケーシング3に回動自在に支持されている。
【0025】
円錐形転子6は、図5に表したように、円錐形の頂点から周縁に至る円錐面6aと、円錐面6aの中心軸に直交する底面6bと、底面6bから略直交して延出しその外周に沿って断面が円弧状の環状溝6cが形成された軸部6dとを備えている。
【0026】
また、無段変速機1には、入力軸4に一体に接合されその外周が円錐形転子6の環状溝6cに摩擦係合する大径部4a、出力軸5に係合し、その外周が円錐形転子6の底面6bにおける端部に摩擦係合する軌道リング25、軌道リング25と出力軸5との間に配設され、起動リング25を入力軸4側に付勢する圧接力発生装置27、等が備えられている。圧接力発生装置27は、円錐形転子23に対する大径部4a、軌道リング25及び変速リング7の各圧接力を発現させると共に、軌道リング25の回転を出力軸5に伝達する
【0027】
軌道リング25は、出力軸5にスライド自在に係合し、止め具37によって出力軸5からの離脱が係止されている。
【0028】
円錐形転子6は、軸部6dが転子支持部材24に回動自在に支持され、且つ、変速リング7の内周面と円錐面6aとの摩擦係合部と、底面6bと軌道リング25との摩擦係合部と、入力軸4の大径部4aと環状部6cとの摩擦係合部とによって支持されている。
【0029】
圧接力発生装置27は、球体27aと、球体27aを回動自在に支持する支持部材27cと、球体27aの一端を支持する出力カム26と、軌道リング25と一体に形成され球体27aの他端を支持するカム当接部25aと、軌道リング25と出力軸5との間に配設され、軌道リング25を入力軸4側に付勢するスプリング27bとによって構成されている。出力カム26は、出力軸5に対し、スプライン結合を介し、回転方向には非回転に接続されると共に軸方向にはスライド自在に接続されている。
【0030】
圧接力発生装置27は、乗り上げカム方式のものであって、出力カム26とカム当接部25aには球体27aを挟持する円弧状に凹んだ凹部が相対抗して形成され、この凹部内に球体27aが係合しており、軌道リング25を介して出力カム26に伝達される回転トルクが所定値以上になった際に、その回転トルク量に応じて、球体27aが円弧状の凹部に沿って凹部の開口側に向かって変位し、軌道リング25を入力軸4側に向かって付勢するように構成されている。
【0031】
また、圧接力発生装置27は、前述の回転トルクが所定値未満の際には、球体27aが出力カム26とカム当接部25aの凹部の底部に係合しており、スプリング27bのバネ圧により軌道リング25を入力軸4側に付勢するように構成されている。
【0032】
次に、変速リングスライド機構8は、図4、図5に表したように、変速リング7を把持するホルダー9と、ホルダー9を軸方向にスライド自在に支持するガイド軸10とを備え、ホルダー9の貫通孔の内周には、スライド方向に転動自在に転動体11が筒状部材9aを介して係合し、転動体11を介してホルダー9がガイド軸10に沿ってスライドするように構成されている。所謂、ホルダー9の貫通孔の内周には、筒状部材9aを介して、スライド方向に転動自在に転動体11が係合している。ホルダー9と変速リング7とはボルト(図3中の符号28)及びナット(図3中の符号29)によって固定されている。
【0033】
ガイド軸10は、入力軸4の軸方向に沿って配設され、一端がナット(図1中の符号30)によってケーシング2に固定され、他端がケーシング3に形成した係合孔に係合している。また、筒状部材9aは、止め具9b、9cを介してホルダー9内に係止され、転動体11は、筒状部材9aの内周及びに軸方向に沿って、複数並設されている。
【0034】
また、変速リングスライド機構8は、図4に表したように、入力軸4及び出力軸5に直交する向きに配設されてベアリング32、33を介してケーシング30に回動自在に支持された回転軸12と、回転軸12の先端に形成されたピニオン歯車13と、ホルダー9に固定されピニオン歯車13に噛合するラック14とを備え、回転軸12の回転に伴って、ホルダー9が変速リング7と共にガイド軸10に沿ってスライドするように構成されている。
【0035】
また、ケーシング30は、ボルト31によってケーシング2に固定され、ラック14はボルト35によってホルダー9に固定されている。また、回転軸12の外周とケーシング30の内周との間には、潤滑剤の漏れを防止するための第三シーリング34が備えられている。
【0036】
次に、前述のように構成された無段変速機1は、回転軸12を介して変速リング7を円錐形転子6の円錐面6aに沿って移動させ、変速リング7と円錐形転子6との摩擦係合位置を変化させれば、出力軸5の回動速度を変化させることができる。つまり、当該変速機1は、図6に表したように、入力軸の回転速度をN1、出力軸の回転速度をN2とすれば、N2=N1・f(bc−ad)/(d(fa−ec))の関係式で変速する。
【0037】
次に、図1〜図3に表したように、変速機1は、出力軸5の先端がケーシング3から突出し、この突出部にスプライン結合して出力軸5と一体に回動する第一歯車42、第一歯車42に噛合する第二歯車44、第二歯車44を回動自在に支持すると共に基端部がケーシング3に固定された支軸43等を備えている。
【0038】
第一歯車42は、出力軸5対して軸方向にスライド自在に係合すると共に回転方向にスプライン結合し、ボルト(図示せず)によって着脱自在に固定されている。
【0039】
第二歯車44は、ベアリング45、46を介して支軸43に回動自在に支持されている。また、第二歯車44は、ケーシング3に対する支軸43の着脱に伴って、ケーシング3に対して着脱される。
【0040】
支軸43は、ケーシング3に形成された支軸取り付け孔3aに挿通されて、座金47及びナット48によりケーシング3に締め付けられて固定されている。また、支軸43は、ナット48を緩めたり締め付けたりすることによりケーシング3に着脱自在に構成されている。
【0041】
次に、図2に表したように、ケーシング3には、支軸43が挿通される複数の支軸取り付け孔3a、3bが設けられ、支軸43の取り付け位置を軸方向と直交する向きに可変できるように構成されている。
【0042】
また、支軸取り付け孔3a及び支軸取り付け孔3bの位置は、出力軸5及び第一歯車42の回転中心からの距離が互いに異なるように形成され、第一歯車42の回転中心から第二歯車44の回転中心までの距離を変更し、第一歯車42と第二歯車44との外径及び歯数の組合せを変えて、出力軸5から第二歯車44に伝達される回転速度を調整できるように構成されている。
【0043】
詳しくは、図2中の実線で表したように、支軸取り付け孔3aを介して第二歯車44を取り付け、第一歯車と第二歯車とを噛合させたり、図2中の二点鎖線で表したように、支軸取り付け孔3bを介して第二歯車G2を取り付け、第一歯車G1と第二歯車G2とを噛合させたりすることができ、これにより、出力軸5から第二歯車44、G2に伝達される回転速度を調整できる。
【0044】
また、図1、図2に表したように、無段変速機1は、被駆動体Uの回転軸に回転速度を伝達する際には、所定の歯数及び外径を備えた歯車G又は歯車G3を被駆動体Uの回転軸に係合し、第二歯車44には歯車Gを、第二歯車G2には歯車G3を、夫々噛合させればよい。
【0045】
また、支軸43が挿通される支軸取り付け孔3a、3bは、出力軸5の回転中心に向かって長孔状に形成され、長孔状に沿って第二歯車44、G2、被駆動体Uの歯車G、G3等の位置を微調整し、第一歯車42、G1、第二歯車44、G2、被駆動体の歯車G、G3等の、各歯車の噛合深さを調整できるように構成されている。
【0046】
以下に、前記実施例の減速機1の作用効果を記載する。
【0047】
本実施例に記載の無段変速機1は、ケーシング2、3の外方に配設されて出力軸5の突出部にスプライン結合し、出力軸5と一体に回動する第一歯車42と、支軸43を介してケーシング3に回動自在に支持されて第一歯車42に噛合する第二歯車44とを備えているので、出力軸5と被駆動体Uの回転軸との接続を容易にでき、且つ、出力軸5の回転速度を被駆動体Uの回転軸に精度良く伝達できる。また、本発明の無段変速機1は、織機における経糸を送出する駆動部に用いれば、織物の織段の発生を低減できて品質を向上できる。
【0048】
また、本実施例に記載の無段変速機1は、第二歯車44を回動自在に支持する支軸43が着脱自在に固定されると共に、その固定位置を支軸取り付け孔3a、3bを介して、軸方向と直交する向きに可変できるように構成されていることにより、第一歯車42の回転中心から第二歯車44の回転中心までの距離を変更でき、第一歯車42と第二歯車44との外径及び歯数の組合せを変えて、出力軸5から第二歯車44に伝達される回転速度を調整できる。
【0049】
また、本実施例に記載の無段変速機1は、支軸取り付け孔3a、3bを介し第一歯車42の回転中心から第二歯車44の回転中心までの距離を調整することにより、第一歯車42と第二歯車44間の噛合を円滑にして回転速度を精度良く伝達でき、延いては、被駆動体Uの回転軸に精度良く回転速度を伝達できる。
【0050】
また、本実施例に記載の無段変速機は、ケーシング3に複数の支軸43の取り付け孔3a、3bが備えられているので、支軸43の取り付け位置を変えて、第一歯車42の回転中心から第二歯車44の回転中心までの距離を容易に変更でき、且つ、支軸取り付け孔3a、3bが出力軸5の回転中心に向かって長孔状に形成されているので、長孔状に沿って第二歯車44、G2の位置を微調整し、第一歯車42、G1、第二歯車44、G2、被駆動体の歯車G、G3等の噛合深さを調整できる。
【0051】
また、本実施例に記載の無段変速機1は、ケーシングが、変速機構を収納する開口穴を備えたケーシング2と、ケーシング2の開口穴を遮蔽するケーシング3とにより構成され、ケーシング3に、出力軸5及び第二歯車44が回動自在に支持されていることにより、第一ケーシング2及び第二ケーシング3内に変速機構を容易に収納できると共に、第一歯車42及び第二歯車44を、ケーシング3を介して、容易に配設できる。
【0052】
また、本実施例に記載の無段変速機1は、共通のケーシング3に対して、出力軸5が支持されると共に第二歯車44が支軸43を介して支持されているので、精度良く出力軸5の回転動作を第二歯車44に伝達できる。
【0053】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。例えば、本実施例の無段変速機1は、二つの支軸取り付け孔3a、3bを形成したが、さらにその数を増やしてもよい。また、支軸取り付け孔3a、3bの形状は、円形及び長孔状に限定されることなく、例えば、出力軸5の回転中心を中心とする円弧状に形成したり、取り付け孔3a、3bを一体に連結したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明が適用された一実施例の無段変速機の全体構成を表す外観図である。
【図2】同実施例の無段変速機における、図1の矢印A方向から表した外観図である。
【図3】同実施例の無段変速機における、図2中の矢印Y−Y断面図である。
【図4】同実施例の無段変速機における、図1中の矢印BーB方向から表した部分断面図である。
【図5】同実施例の無段変速機における変速機構を表した断面図である。
【図6】同実施例の無段変速機における変速動作の説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1…無段変速機、2,3,30…ケーシング、2a…取り付け部、2b…取り付け孔、3a,3b…支軸取り付け孔、4…入力軸、4a…大径部、5…出力軸、6…円錐形転子、6a…円錐面、6b…底面、6c…環状溝、6d…軸部、7…変速リング、8…変速リングスライド機構、9…ホルダー、9a…筒状部材、9b,9c…止め具、10…ガイド軸、11…筒状部材、12…回転軸、13…ピニオン歯車、14…ラック、15…カバー、16,17,21,22,32,33,45,46…ベアリング、18…第一シーリング、19,20,28,31,35…ボルト、23…第二シーリング、24…転子支持部材、25…軌道リング、25a…カム当接部、26…出力カム、27…圧接力発生装置、27a…球体、27b…スプリング、27c…支持部材、29,30,48…ナット、34…第三シーリング、36…プラグ、37…止め具、38…Oリング、42,G1…第一歯車、43…支軸、44,G2…第二歯車、U…被駆動体、G,G3…被駆動体の回転軸に備えられた歯車、W…機器筐体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に収納され駆動力を受けて回動する入力軸と、
一端が変速機構を介して前記入力軸に接続されると共に、他端が前記ケーシングから突出するように構成された出力軸と、
前記ケーシングの外方に配設されて前記出力軸の突出部に結合し、該出力軸と一体に回動する第一歯車と、
前記ケーシングに回動自在に支持されて前記第一歯車に噛合する第二歯車と、
を備えていることを特徴とする無段変速機。
【請求項2】
前記第二の歯車を回動自在に支持する支軸を備え、
前記ケーシングに対して、前記支軸が着脱自在に固定されると共に、その固定位置を軸方向と直交する向きに可変できるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無段変速機。
【請求項3】
前記ケーシングに前記支軸の取り付け部が複数備えられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の無段変速機。
【請求項4】
前記ケーシングが、
前記変速機構を収納する開口穴を備えた第一のケーシングと、該第一ケーシングの開口穴を遮蔽する第二ケーシングとにより構成され、
前記第二ケーシングに、前記出力軸及び前記第二歯車が回動自在に支持されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか記載の無段変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−85514(P2007−85514A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278123(P2005−278123)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000107147)日本電産シンポ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】