説明

無線式通話システム

【課題】 従来の飲食品受注システムは人件費や設備投資が嵩み、コスト高となっていた。
【解決手段】 二以上の客席に親機を設置し、店員が子機を携行し、客席用の親機は同時には一台しか送信できず、店員用の子機は二以上の親機と別々に通話可能にとして、いずれか一台の客席用の親機と店員用の子機で通話して飲食品を受発注できるようにした。客席が多いために客席用の親機が多い場合は、それら親機を使用周波数の異なる二以上のグループに分け、二以上の子機を使用周波数の異なる二以上のグループに分けるか又は一台で二以上の使用周波数に切替え可能として、使用周波数が共通である親機と子機間で通話可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲食店、大型スーパー、パチンコ店、工場、駐車場といった多くの人が集まる店舗や場所において、お客と作業員(店員)が通話して、飲食品の受・発注をしたり、お客の要望を店員に伝えたり、商品の在りかを確認したり、商品説明を受けたりするのに使用できる無線式通話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、料亭、居酒屋、レストラン、喫茶店のような飲食店において、お客が飲食品を注文する場合、呼び出し釦を押すとお客のテーブル番号や客室番号等が店内の表示盤に表示され、その表示を見た店員が呼び出されたテーブルや客室に出向いて注文を受けるのが一般的である。
【0003】
前記方法とは別に、夫々の客席や、客室に注文用のタッチパネル画面を備えた注文機が設置され、その画面に表示されている商品中の注文したい飲食品に指をタッチして注文をするタッチパネル式の注文システムも開発されている。
【0004】
従来は、客席に会計依頼スイッチを設けておき、飲食の終えた客がその会計依頼スイッチを操作すると、その旨が表示盤に表示されるようにしたシステムも開発されている。
【0005】
スーパー、デパート、DIY店などの大型店舗においては、お客が必要とする商品を探すことができないときや商品内容を確認できないような場合、お客が店内の店員を探して店員から説明を受けているのが実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した押し釦式の注文システムやタッチパネル式の注文システムは次のような問題があった。
(1)押し釦式は店員が一々、客席に伺って注文を受けなければならないため、どうしても多くの人手(作業員や店員)が必要になり人件費が嵩む。
(2)タッチパネル式は、前記課題はないが、タッチパネルに表示されている飲食品以外は注文できない。また、タッチパネルの液晶画面が高価であるため、それを全ての客席や客室に備えると設備投資が嵩み、コスト高となる。
【0007】
本発明の課題は、客と店員が無線通信機を使用して通話することにより前記の各種問題を解決し、少ない店員で多くのお客に対応できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の無線式通話システムは請求項1記載のように、客が使用できる二以上の無線送受信機(以下「親機」という)と、店員が携行する携帯無線送受信機(以下「子機」という)を備え、夫々の親機は通話時に操作する通話スイッチと、他の親機が使用中であることを表示する表示器と、送話器と、受話器と、無線送受信機能と、二以上ある親機中のいずれかの親機の使用中は他の親機は使用不可とする制御機能を備え、子機は送話器と、受話器と、無線送受信機能を備え、親機は前記制御機能により同時には一台しか子機と通話することができず、子機は二以上の親機と別々に通話可能なものである。
【0009】
本発明の無線式通話システムは請求項2記載のように、前記無線式通話システムにおいて、親機が多い場合は、それら親機を使用周波数の異なる二以上のグループに分け、二以上の子機を使用周波数の異なる二以上のグループに分けられるか又は一台で二以上の使用周波数に切替え可能とし、使用周波数が共通である親機と子機間で通話可能とすることができる。
【0010】
本発明の無線式通話システムは請求項3記載のように、前記無線式通話システムにおいて、個々の親機を充電器と一体又は充電器に脱着可能とすることができる。これら親機と子機は同時通話又は交互通話可能とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の無線式通話システムは、飲食品の受・発注システムとして使用すれば、次のような効果がある。
(1)二以上の客席からの飲食品の注文を一人の作業員(店員)で対応できるため作業員の削減、コスト低減ができる。
(2)店員は客席からの注文を店員用の子機により音声通話で受信できるので、他の作業中に注文を受けることができ、注文を受けるための店員を専属に用意する必要がなく人員削減、コスト低減ができる。
(3)二以上の客席から同時注文ができないので、注文が客席別に正確に伝達され、客席の聞き間違いがなく、注文を受けた飲食品を注文した客席に確実に提供できるので、客との行き違いがなく、トラブルが発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施形態1)
本発明の無線式通話システムの実施形態の一例を、図1、図2を参照して説明する。この実施形態は無線式通話システムを飲食品受・発注システムとして使用する場合である。この実施形態では、客席用の親機1が飲食店内のテーブル、座卓といった客席に設置され、子機2(図3)は店員が携帯している。
【0013】
客席用の親機1は図1に示すように、通話時に操作する通話スイッチ3と、他の親機1が使用中であることを表示する表示器4がケース5の外部に露出或いは突出して設けられている。表示器4はケース5の頭部に設けて360度いずれの他の客席からも見えるようにしてある。表示器4にはLED、電球等の照明具が使用され、それがケース5に内蔵され、ケース5に取り付けた透光性のあるカバーで被覆してあり、他の親機が使用中(通話中)のときは前記照明具が点灯或いは点滅するようにしてある。
【0014】
ケース5内には、送話器(マイク)、無線送受信機能(送受信回路)、受話器(イヤホン又はスピーカー)、制御機能(制御回路)が内蔵されている。必要であれば親機1と子機2とで同時通話可能とするためのミキサー回路(同時通話可能とするために通常使用されている)を設けることもできる。同時通話可能とするための方法は他にもあり、例えば、親機1の送信周波数をaCH、子機2の受信周波数をaCH、子機2の送信周波数をbCH、親機1の受信周波数をbCHとすることによりミキサー回路を使用せずに同時通話可能となる。
【0015】
前記制御機能は客席用の親機1のいずれか一台が使用中のときは他の親機1を使用不可とし(同時には一台の親機1しか子機2と通話することができないようにし)、同時に全ての親機1の表示器4が点灯するようにしてある。このため、通話スイッチ3として、その釦を押しながらしか通話できないプレストーク方式にしてある。また、いずれかの客席用の親機1の通話スイッチ3がONとなると他の客席用の親機1の通話スイッチ3がOFFとなり、全ての親機1の表示器4が点灯し、通話が済んで通話スイッチ3の押しが開放されると全ての表示器4が消灯する回路構成にしてある。このため夫々の客席用の親機1の通話スイッチ3の近くには「押しながら客席番号を告げてお話し下さい」と表示され、表示器4の近くには「ランプ点灯中は注文できません」と表示してある。
【0016】
店員用の子機2は、客席用の親機1から送信された信号を受けるとお客と同時通話できるものである。店員用の子機2は名刺サイズで小型、軽量なものが携帯に便利である。無許可であるが広い範囲で送受信可能であり、送信時に周囲の騒音を拾わず、ノイズのほとんどない音声を受信することができ、大きな音量で、明瞭な音声を聞くことができるようになっている。図3に示す店員用の子機2は電源ランプ、音声を無線送受信する送受信機能(送受信回路)、送話器(マイク)6、受話器(イヤホンやスピーカー)7を脱着可能なイヤホン・マイク脱着端子、ボリューム摘み、通話ランプ等を備えている。
【0017】
店員用の子機2の送受信回路はその子機2のケース8に内蔵されている。電源ランプは電源スイッチON時に赤色点灯、OFF時に消灯、充電中に緑色点灯するようにしてあり、通話ランプは通話中に点灯し、通話が終了すると消灯するようにしてある。これらの色、点灯、点滅、消灯等は任意に選択することができる。店員用の子機2の電源には急速充電でき、持続時間の長い充電式電池が適し、例えば、充電式リチウム電池が適する。前記マイク6には例えばタイピンマイク(釦を押すと通話できるプレストーク仕様、プッシュスイッチ付きマイク)が適し、イヤホン7には片耳穴イヤホン(片方の耳に装着するイヤホン)が適する。前記マイク6は通常はプッシュスイッチが開放状態であって親機1からの信号を受信することができ、プッシュスイッチを押すと通話可能状態に切替わって客席用の親機1を通じてお客と通話して飲食品を受注することができるものである。店員用の子機2には本件出願人が開発した携帯無線送受信機(登録商標:Fragor)を使用することができる。
【0018】
客席用の親機1は台数(客席数)が少ない場合は、全ての親機1の使用周波数を同一(1CH)にするのが好ましいが、台数が数十台と多い場合は客席用の親機1を二以上のグループに分けて、グループ別に異なる使用周波数にすることができる。客席用の親機1を周波数の異なる二以上のグループに分けたときは、店員用の子機2を使用周波数の異なる二以上のグループに使い分けして、客席用の親機1と店員用の子機2との間で送受信して同時通話することができるようにするのが便利である。
【0019】
前記のようにグループ分けする場合は、客席用の親機1として使用周波数(周波数固定)の異なるものをグループごとに用意することもできるが、切替えスイッチの切替え操作により使用周波数を切替え選択可能とすることもできる。その場合は切替えスイッチを客席用の親機1のケース5に設けるのがよく、しかも、ケース5の底面に設けると、客が切替えスイッチに気が付きにくく、いたずらにより切替え操作されにくくなる。
【0020】
前記のようにグループ分けする場合は、店員用の子機2も使用周波数(周波数固定)の異なるものをグループごとに用意することもできるが、切替えスイッチの切替え操作により使用周波数を切替え変更可能とし、客席用の親機1から送信される使用周波数に合わせて切替えて通話できるようにすれば、店員用の子機2をグループごとに用意する必要がない。この切替えスイッチは店員用の子機2のケース8(図3)に装備することもできるが、タイピン式のマイク6や耳掛け用のイヤホン7のようにケース8と別に用意することもできる。
【0021】
前記客席用の親機1と、店員用の子機2は同時通話できるものでも交互通話できるものでも良いが、同時通話式のものがコミュニケーションし易く、受発注の間違いがおきにくい。
【0022】
客席用の親機1は充電器9(図2)の上の乗せることにより自動的に充電されるようにしてある。図示した充電器9は親機1と別体であるが、両者を一体化することもできる。
【0023】
(他の実施形態)
本発明の無線式通話システムにおける客席用の親機1、店員用の子機2は、本発明の目的を達成可能であれば、その構成、機能、ケース、操作ボタン、切替えスイッチ等の形状、サイズ、機能、配置等は図示したものに限らず他のものにすることができる。客席用の親機1、店員用の子機2には送受信用アンテナを内蔵或いは外付けすることもできる。前記客席用の親機1、店員用の子機2には無許可であるが広い範囲で送受信可能な周波数、出力レベルのものを使用するのが望ましい。前記マイク6もイヤホン7も前記ケース8に内蔵されたものでもよい。
【0024】
(本発明の無線式通話システムを使用した飲食品受発注の実施例)
本発明の無線式通話システムを使用して飲食品を注文する場合の一例を以下に説明する。
1.客席のお客が客席用の親機1を片手に持って充電器9から取り外し、通話スイッチ3の釦を押すと、店員が携帯している子機2と無線通信可能状態になり、通話スイッチ3を押しながら話をすると親機1から無線信号が送信され、店員用の子機2で受信されて店員と同時通話して、お客が店員に飲食品を注文したり、他の要件を伝達したりすることができる。
2.前記通話中は、他の客席用の親機1の表示器4が点灯し、この間、他の客席用の親機1は通じない。
3.通話を終了したお客が通話スイッチ3の釦の押しを開放すると、他の客席用の親機1の表示器4が消灯し、他の客席用の親機1から注文することができる状態(通話待機状態)になる。
4.飲食の終わったお客は、前記の場合と同様にして客席用の親機1の通話スイッチ3の釦を押して店員と同時通話でき、会計要求をしてからレジで精算をして店を出ることができる。
5.客席数が多い店舗では、二人以上の店員が店員用の子機2を携行する。この場合、その子機2はその使用周波数と対応した客席用の親機からの無線を受信してお客と同時通話することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
前記実施形態は本発明の無線式通話システムを、お客が飲食店内で、飲食品を注文する場合の利用例であるが、その無線式通話システムは、大型スーパー、パチンコ店、工場、駐車場といった多くの人が集まる店舗や各種場所で利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の無線式通話システムの一例を示す斜視図。
【図2】(a)は図1の無線式通話システムの平面図、(b)は側面図、(c)は背面図。
【図3】(a)は図1の無線式通話システムの親機を片手で持った状態の説明図、(b)は店員用の子機の一例を示す概略図、(c)は店員用の子機の他例を示す概略図。
【符号の説明】
【0027】
1 客席用の無線送受信機(親機)
2 店員用の携帯無線送受信機(子機)
3 通話スイッチ
4 表示器
5 客席用の無線送受信機(親機)のケース
6 送話器(マイク)
7 受話器(イヤホン)
8 店員用の(子機)のケース
9 充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
客が使用できる二以上の無線送受信機と、店員が携行する携帯無線送受信機を備え、夫々の無線送受信機は通話時に操作する通話スイッチと、他の無線送受信機が使用中であることを表示する表示器と、送話器と、受話器と、無線送受信機能と、二以上ある無線送受信機中のいずれかの無線送受信機の使用中は他の無線送受信機は使用不可とする制御機能を備え、携帯無線送受信機は送話器と、受話器と、無線送受信機能を備え、無線送受信機は前記制御機能により同時には一台しか携帯無線送受信機と通話することができず、携帯無線送受信機は二以上の無線送受信機と別々に通話可能であることを特徴とする無線式通話システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線式通話システムにおいて、二以上の無線送受信機を使用周波数の異なる二以上のグループに分け、二以上の携帯無線送受信機は使用周波数の異なる二以上を使用するか又は一台で前記二以上の使用周波数に切替え可能であり、使用周波数が共通である無線送受信機と携帯無線送受信機間で通話可能であることを特徴とする無線式通話システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の無線式通話システムにおいて、個々の無線送受信機が充電器と一体又は充電器に脱着可能であることを特徴とする無線式通話システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無線式通話システムにおいて、無線送受信機と携帯無線送受信機は同時通話又は交互通話可能であることを特徴とする無線式通話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−302634(P2009−302634A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151665(P2008−151665)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(502322408)株式会社ケイヨー (3)
【Fターム(参考)】