説明

無線端末装置

【課題】無線子機3の電池が先に消耗してしまう。この結果、各無線子機の電池交換作業を行う必要があるが、電池交換作業を行うまでに電池がなくなってしまう問題がある。
【解決手段】本発明の無線端末装置は、電池残量が残り僅かとなった状態で他の無線端末装置から呼出しを受けたとしても、緊急の送信情報以外は受信しないことから、電池の消耗を防ぐことができる。これにより、電池交換作業までに電池切れが発生して一切の送受信動作が行えなくなることで緊急の送信情報をセンタ装置に転送および送信することが出来なくなることを極力防げるという利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータや水道メータなどの検針データを自動収集する自動検針システム、或いはガス漏れセンサや火災センサ等の情報を報知するセキュリティシステムなどに好適な無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1はこのような無線通信システムの概略構成を示す図である。この無線通信システムは、センタ装置1と、無線親機2と、無線子機3および無線子機4とからなる。センタ装置1と無線親機2とは携帯電話網などの公衆通信回線を用いてデータ通信を行う。無線親機2と無線子機3および無線子機4とは特定小電力無線によりデータ通信を行う。無線子機3および4にはガスメータ、水道メータ、ガス漏れセンサなどが接続されている。
【0003】
このように構成された通信システムにおいて、無線子機3および無線子機4に接続されたガスメータや水道メータで計測されたガスや水道の使用量(検針データ)をセンタ装置1で定期的に収集するには、センタ装置1は定期的に無線親機2を呼び出し、無線子機3および無線子機4に接続されたメータの検針データの送信を要求する。無線親機2は、この要求に従って無線子機3および無線子機4を呼び出し、検針データの送信を要求する。無線子機4は、無線子機3を経由して検針データを無線親機2へ送信し、無線親機2は受信した検針データをセンタ装置1へ送信する。また、無線子機3は検針データを無線親機2へ送信し、無線親機2は受信した検針データをセンタ装置
【0004】
無線子機3および無線子機4は電池により駆動されており、消費電力を節約するため、待機時には例えば30sec毎に10msec受信回路の電源をオンにする間欠受信動作を行う。ここで30sec、10msecをそれぞれ間欠受信間隔、間欠受信時間と言う。そして、間欠受信時間、即ち受信回路の電源がオンになっている時間に無線親機102からの呼び出し(起動電文)の有無をチェックし、有る場合はデータ通信を行い、無い場合は受信回路の電源をオフにして待機する(特許文献1参照)。
【0005】
ここで、親機2が複数の無線子機からの検針データを収集するシステムを、図1に示すように、複数(ここでは3台)の無線子機3〜5が直接無線親機2と通信を行うように構成した場合は各無線子機の通信回数は同じであるため、消費電力も同じになる。
【0006】
しかし、図11Bに示すように、無線子機3の配下に無線子機4及び5を収容する階層構造とし、無線子機3に中継機能を持たせて無線子機4及び5の検針データを無線子機3経由で無線親機2に伝送するように構成した場合は、無線子機3の通信回数が多くなるため、その分消費電力が多くなり、無線子機3の電池が先に消耗してしまう。この結果、各無線子機の電池交換作業を行う必要があるが、電池交換作業を行うまでに電池がなくなってしまう問題がある。
【特許文献1】特開2007−159480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、間欠受信機能を有する無線通信端末装置を、電池残量に応じて緊急を要するデータ以外のデータ受信を行わないことで、電池交換作業までの時間を少しでも延長させて緊急時の送信データだけをセンタ装置に送信することで事故を防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、受信待機状態において所定の間欠周期で受信起床期間が設定されている無線端末装置において、電池の基準電圧として設定される記憶部と、前記電池の電圧を検出する検出手段と、送信データの種類に応じて呼出信号時間を第一時間および第一時間の少なくとも2倍の第二時間を設定する呼出信号時間記憶部と、送信データの送信に伴い、前記検出手段により検出された前記電池の電圧と前記基準電圧とから前記電池の電圧の正否を判定する手段と、前記判定手段により前記電池の検出電圧が基準電圧を以下と判定された場合には、前記呼出信号時間記憶部から送信データに応じた呼出信号の時間呼出をおこなう送信手段と、呼出信号の受信に伴い、前記間欠動作時間時毎に前記呼出信号の着信状態に応じて前記呼出信号の時間を計測する着信タイマと、前記着信タイマの値が第一の時間を越えたか否かを検出するカウンタ検出手段と、前記検出手段により検出された前記電池の電圧と前記基準電圧とから前記電池の電圧の正否を判定する手段と、前記判定手段により前記電池の検出電圧が基準電圧を以下と判定された場合には、前記カウンタ検出手段により第一の時間を越えた場合にのみ前記呼出信号に応答する応答手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無線端末装置は、電池残量が残り僅かとなった状態で他の無線端末装置から呼出しを受けたとしても、緊急の送信情報以外は受信しないことから、電池の消耗を防ぐことができる。これにより、電池交換作業までに電池切れが発生して一切の送受信動作が行えなくなることで緊急の送信情報をセンタ装置に転送および送信することが出来なくなることを極力防げるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について従来技術の説明で用いた図1を用いて説明する。図1は、本発明の無線通信システムの構成を示す図である。この無線通信システムは、センタ装置1と、無線親機2と、無線子機3〜5とからなる。センタ装置1と無線親機2とは携帯電話網などの公衆通信回線によりデータ通信を行う。無線親機2と無線子機3とは特定小電力無線などによりデータ通信を行う。無線子機3と無線子機4、無線子機4と無線子機5も特定小電力無線などによりデータ通信を行う。無線子機3〜5にはガスメータ、水道メータ、ガス漏れセンサなどが接続されている。
【0011】
無線子機3に接続されているメータの検針データは無線親機2を介してセンタ装置1へ送信される。無線子機4に接続されているメータの検針データは無線子機3及び無線親機2を介してセンタ装置1へ送信される。無線子機5に接続されているメータの検針データは無線子機4、無線子機3、及び無線親機2を介してセンタ装置1へ送信される。各無線子機に接続されているガス漏れセンサの検知データをセンタ装置1へ報知する場合も同様である。
【0012】
つまり、無線親機2の配下に3台の無線子機3〜5が存在し、無線子機3の配下に2台の無線子機4及び5が存在し、無線子機4の配下に1台の無線子機5が存在する階層構造を持っている。また、無線子機3及び4は、階層構造の下位に位置する無線子機から送信されたデータを階層構造の上位へ中継することで、全ての無線子機からのデータは無線親機2に届けられ、さらにセンタ装置1に届けられる。
【0013】
無線親機2の特定小電力無線の通信部、及び無線子機3〜5は通信相手を呼び出すときには、その通信相手宛に起動電文を送信する。また、無線親機2の特定小電力無線の通信部、及び無線子機3〜5は待機時には間欠受信動作を行う。そして、間欠受信動作中の間欠受信時間、即ち間欠受信間隔毎に受信回路の電源がオンになっている時間に自分宛の呼び出し(起動指令)を検出したときは、データの送受信が可能な状態へ移行し、自分宛の呼び出しを検出しなかった場合は受信回路の電源をオフにして待機する。
【0014】
ここで、無線親機2、無線子機3〜5は、自己電池電圧の残量が基準値を下回った場合には、送信時は、通信相手宛に送信する呼出信号の送信時間を通常の送信時間の2倍の時間送信する。また、受信時は、自分宛の呼出しを検出したときは、通常の呼出時間より長い時間送信されているか否かを検出することで、送受信回数を極力減らすことで電池残量の消費を抑えている。この点の詳細については後述する。
【0015】
図2は図1の無線子機3の構成を示すブロック図である。無線子機3は、無線子機3全体の制御などを行う制御装置11と、アンテナ12と、アンテナ12に接続された送受信切替え回路(SW)13と、送受信切替え回路(SW)13に接続された送信回路14及び受信回路15と、制御装置11が動作するときに使用する各種データ、プログラムなどが記憶されるメモリ16と、メータや各種センサ(図示せず)が接続されたインタフェース(I/F)回路17とを備えている。インタフェース(I/F)回路17には、メータや各種センサからのガス漏れ信号、火災信号、侵入者検出信号等の緊急時のデータについても入力される。
【0016】
制御装置11は間欠受信用タイマー18及び起動指令用タイマー19を備えている。間欠受信用タイマー18は受信回路15を間欠的にオンにする時間(間欠受信時間)及びその間隔(間欠受信間隔)を設定するためのタイマーである。起動指令用タイマー19は、無線子機3が無線子機4や無線親機2を呼び出すときに、制御装置11で作成された起動電文を送信回路14から送信する時間(呼び出し時間)を設定するためのタイマーであり通常モード時と省電力モード時では起動電文を送信する時間(呼出し時間)が違うように設定されている。具体的には、通常モード時の呼出し時間を10秒に設定されていた場合、省電力モード時は、通常モード時の2倍にあたる20秒に設定されている。また、これらのタイマーの設定時間を定めるためのデータはメモリ16に記憶されている。
【0017】
送受信切替え回路(SW)13は、制御装置11の制御に従ってアンテナ12を送信状態又は受信状態に切り替える回路である。送信回路14は制御装置11からのデータを変調するための変調回路を含んでおり、受信回路15は受信したデータを復調するための復調回路を含んでいる。インタフェース(I/F)回路17は制御装置11からの指令に応じてメータの検針データを読み出し、制御装置11に送る。また、ガス漏れセンサが検知データを生成したときは制御装置11に通知する。時計IC20は、間欠受信間隔毎に受信回路の電源がオンになっている時間に自分宛の呼び出し(起動指令)を検出したときに呼出し時間を計測するタイマーである。また、電池電圧低下検出回路21は、図示されていない電池の電圧低下を検出する電池電圧低下検出回路であり、電池電圧が予め定められた電圧値を低下した場合には、制御部はセンタ装置に対して電池交換要求を行うと共に省電力モードに移行する。
【0018】
無線子機4及び5も以上説明した無線子機3と同様に構成されている。また、無線親機2は無線子機3の構成に対し、センタ装置1と携帯電話網を介してデータ通信を行うための通信回路を付加したものである。ただし、無線親機2の電源は電池でもよいが、商用交流電源でもよい。さらに、センタ装置1は無線親機2との通信機能を備えたコンピュータにより構成されている。
【0019】
本願発明は、通常モード時は、受信待機状態において11秒の間欠周期で受信起床期間が設定されている無線端末装置において、電池の基準電圧を全体の容量の1/4として設定された記憶部と、電池電圧低下検出回路は基準電圧以下に電池電圧がなった時、通常の送信データについては送信処理を行わず、ガス漏れおよび火災信号等のをセンサから取得した場合は、呼出信号時間を第一時間(10秒)から第一時間の少なくとも2倍の第二時間を設定する呼出信号時間記憶部と、送信データの送信に伴い、前記検出手段により検出された前記電池の電圧と前記基準電圧とから前記電池の電圧の正否を判定する手段と、前記判定手段により前記電池の検出電圧が基準電圧を以下と判定された場合には、前記呼出信号時間記憶部から送信データに応じた呼出信号の時間呼出をおこなう送信手段と、呼出信号の受信に伴い、前記間欠動作時間時毎に前記呼出信号の着信状態に応じて前記呼出信号の時間を計測する着信タイマと、前記着信タイマの値が第一の時間を越えたか否かを検出するカウンタ検出手段と、前記検出手段により検出された前記電池の電圧と前記基準電圧とから前記電池の電圧の正否を判定する手段と、前記判定手段により前記電池の検出電圧が基準電圧を以下と判定された場合には、前記カウンタ検出手段により第一の時間を越えた場合にのみ前記呼出信号に応答する応答手段とを備えたことを特徴とする無線端末装置。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の無線子機の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0021】
1・・・センタ装置、2・・・親機、3〜5・・・子機、11・・・制御装置、12・・・アンテナ、13・・・スイッチ、14・・・送信回路、15・・・受信回路、16・・・メモリ、17・・・I/F回路、18・・・間欠受信用タイマー、19・・・起動指令用タイマー、20・・・時計IC、21・・・電池電圧低下検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信待機状態において所定の間欠周期で受信起床期間が設定されている無線端末装置において、電池の基準電圧として設定される記憶部と、前記電池の電圧を検出する検出手段と、送信データの種類に応じて呼出信号時間を第一時間および第一時間の少なくとも2倍の第二時間を設定する呼出信号時間記憶部と、送信データの送信に伴い、前記検出手段により検出された前記電池の電圧と前記基準電圧とから前記電池の電圧の正否を判定する手段と、前記判定手段により前記電池の検出電圧が基準電圧を以下と判定された場合には、前記呼出信号時間記憶部から送信データに応じた呼出信号の時間呼出をおこなう送信手段と、呼出信号の受信に伴い、前記間欠動作時間時毎に前記呼出信号の着信状態に応じて前記呼出信号の時間を計測する着信タイマと、前記着信タイマの値が第一の時間を越えたか否かを検出するカウンタ検出手段と、前記検出手段により検出された前記電池の電圧と前記基準電圧とから前記電池の電圧の正否を判定する手段と、前記判定手段により前記電池の検出電圧が基準電圧を以下と判定された場合には、前記カウンタ検出手段により第一の時間を越えた場合にのみ前記呼出信号に応答する応答手段とを備えたことを特徴とする無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−89073(P2009−89073A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256676(P2007−256676)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】