説明

熱伝導性発泡体インターフェース材料

1つの態様においては、本発明は、発泡フィルムを含む発泡サーマル・インターフェース材料を提供するが、前記フィルムは、25,000を超える数平均分子量を有する高分子ホットメルト感圧接着剤と、少なくとも25重量パーセントの熱伝導性充填剤とのブレンド物を含み、前記フィルムは、前記発泡フィルムの容積の少なくとも5パーセントのボイド容積を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路、能動素子および受動素子、光ディスクドライブなどは、使用条件下で熱を発生するので、そのような発熱性構成要素の連続使用を可能とするためには、そのような熱を放散させなければならない。一般的には、フィン付きの金属ブロックの形態のヒートシンクおよびヒートパイプを含むヒートスプレッダーをそれらの発熱性構成要素に取り付け、過剰の熱を伝導させて、大気中に放射させる。発熱性構成要素とヒートシンク/ヒートスプレッダーとの間で熱の橋渡しをするのに有用な材料は公知である。それらの材料の多くは、ゲル状物質、液相から固相への相変化化合物、グリース、またはパッド、などをベーストしたものであるが、それらは、プリント回路基板(PCB)とヒートシンクとの間に機械的に挟み込まねばならない。
【0002】
より最近になって、接着剤を取り込んだ熱伝導性材料が導入されるようになってきた。それらの熱伝導性接着剤材料は、典型的には、発熱性構成要素とヒートシンク/ヒートスプレッダーとの間に接着性の結合を形成し、そのために、機械的にクランプ止めをする必要はない。加熱活性化(ホットメルト)接着剤および感圧接着剤のいずれもが、熱伝導性接着剤として使用されてきた。すべての場合において、それらのサーマル・インターフェース材料は、(非充填または、軽度に充填したポリマー組成物に比較して)伝熱効果が高く、高温において寸法安定性があり(発熱性構成要素は、50℃以上で使用されることが多い)、基材の間に良好な接触(浸潤性)が得られるように、柔軟で馴染みやすいものである必要がある。典型的には、そのような熱伝導性接着剤は、柔らかさ/馴染みやすさを得るために熱伝導性の面で妥協するか、その逆で熱伝導性のために、柔らかさ/馴染みやすさの面で妥協したものであった。
【0003】
ポリマー発泡コアを含む物品の特徴は、その発泡ポリマーの密度が、発泡させる前のポリマーマトリックスの密度より低いことである。発泡体として密度を低くすることは、幾つかの公知の方法によって可能であって、たとえば、化学的発泡剤を用いた発泡による方法か、または、マトリックスの中にミクロスフェアを散在させる方法かによるが、そのミクロスフェアは典型的には、ガラスまたはある種のポリマー材料から作られており、前者は発泡体の柔らかさ/馴染みやすさにとっては、好ましいものではない。
【0004】
発泡体は、2枚の硬質の基材、または平坦でないもしくは粗い表面を持つ基材を合わせるために使用されてきた。しかしながら、現在までのところ、サーマル・インターフェース材料のために発泡体が使用されたことはない。サーマル・インターフェース材料の中に不連続なボイドを存在させることは、そのようなボイドが有する断熱特性の面から、避けるべきである、と考えられていた。そのために、熱伝導率の点で妥協があった。
【0005】
ある種の用途においては、難燃性が、必要とされたり、および/または適用される規制によって要求されたりする。たとえば、電気電子用途において使用されるテープは、電流、短絡、および/または関連する電子構成要素または電気的デバイスから発生する熱、などに直接暴露される可能性がある。したがって、工業規格または規制では、そのようなテープ物品の使用についての条件を課して、燃焼試験などのような認定試験を実施することが求められることもある。電気電子用途においては、業界の標準的な燃焼試験は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriters Laboratories)のものがある(UL94、「スタンダード・フォア・テスツ・フォア・フランマビリティ・オブ・プラスチック・マテリアルズ・フォア・パーツ・イン・デバイシズ・アンド・アプライアンシズ(Standard for Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances)」)。
【0006】
その他の用途においても、たとえば、プラズマディスプレイパネル(PDP)にアルミニウムフレームを取り付けるといったような、再加工および/または修理をする必要がある。それらの用途においては、容易に除去することが可能な取り付け法、たとえば伸長により剥離させることが可能な取り付けシステムが都合がよいであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、受容可能な熱伝導率を有し、柔らかで/馴染みやすい、熱伝導性発泡体および熱伝導性接着剤インターフェース、およびそのサーマル・インターフェース材料の製造方法が提供されるのが、望ましい。場合によっては、難燃性構成において、伸長剥離可能な性質を有する前述の熱伝導性物品が提供されるのもまた、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様においては、本発明は、発泡フィルムを含む発泡サーマル・インターフェース材料を提供するが、前記フィルムには、25,000を超える数平均分子量を有する高分子ホットメルト感圧接着剤と、少なくとも25重量パーセントの熱伝導性充填剤とのブレンド物を含み、前記フィルムは、前記発泡フィルムの容積の少なくとも5パーセントのボイド容積を有する。
【0009】
また別な態様においては、本発明は、25,000を超える数平均分子量を有する高分子ホットメルト感圧接着剤と、少なくとも25重量パーセントの熱伝導性充填剤と、有効量の発泡剤を含むサーマル・インターフェース組成物を提供する。
【0010】
その他の態様においては、本発明の発泡サーマル・インターフェース材料および組成物にはさらに、難燃剤および/またはミクロ繊維形成材料が含まれていてもよい。
【0011】
また別な態様においては、本発明は、発泡サーマル・インターフェース材料を調製するための方法を提供し、それに含まれるのは:
(a)感圧接着剤(PSA)ポリマー、熱伝導性粒子、および発泡剤を溶融混合し、膨張性の成形性組成物を形成する工程;
(b)前記発泡剤を活性化させる工程;
(c)前記成形性組成物を、外部表面を有する発泡フィルムに成形する工程;および
(d)場合により、前記発泡フィルムの外部表面の上に熱伝導性接着剤組成物を塗布する工程、である。
【0012】
本発明のさらに別な態様においては、前記押出し加工可能な組成物を押出し加工した後に、発泡剤を活性化させることも可能である。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、詳細な説明を検討すること、および添付の特許請求の範囲から、当業者には明らかであろう。
【0014】
好ましい実施態様の各種の構成を説明する際に、各種の図面を参照するが、ここで、同様の参照番号は、同様の構成を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書においては、本発明の好ましい実施態様を説明するために、幾つかの用語を用いている。それらの用語はすべて、当業者らが一般的に使用している内容と矛盾しないように解釈されることを意図している。以下のような意味合いを説明するが、これらは便宜上のもので、単なる例であって、これらに限定される訳ではない。
【0016】
「ボイド容積(void volume)」という用語は、接着剤中に含まれる発泡剤を活性化させることにより形成された、接着剤の中に存在するボイドに関するものである。
【0017】
「難燃剤」という用語は、可燃性材料に塗布またはその中に組み入れた場合に、熱または火炎に暴露されたその材料が発火する傾向を抑制または排除する、および/または、一旦発火したものの燃焼が継続する傾向を抑制するような物質を指す。
【0018】
「伸長剥離(stretch release)」という用語は、接着剤物品の性質を表すもので、その物品を基材表面から速度30センチメートル/分、角度45度以下で引き伸ばしたときに、その物品が基材表面から、目に見えるような顕著な量を残すことなく剥がされるか、または、その物品を2枚の硬質な基材の間に使用した場合には、その物品を速度30センチメートル/分、角度5度以下で引き伸ばしたときに、その物品が基材表面から、硬質の基材の内の少なくとも片側の上に目に見えるような顕著な量を残すことなく剥がされることを特徴とする。
【0019】
「実質的に連続の」という用語は、ミクロ繊維がその長さ方向に、少なくとも約0.5cmの長さで破壊されていないことを表している。
【0020】
「実質的に含まない(substantially free)」という用語は、本発明のサーマル・インターフェース材料(TIM)の中に存在するある構成要素が、高分子ホットメルトPSAの重量を基準にして、0.1、0.09、または0.08重量パーセント未満のレベルであることを表している。
【0021】
本発明は、熱伝導性充填剤およびホットメルト感圧接着剤(PSA)ポリマー発泡体(または発泡フィルム)を含む発泡サーマル・インターフェース材料(発泡TIM)を提供するが、その発泡体には、オリゴマーまたは低分子量ポリマーを実質的にまたは全く含まないのが望ましいが、ただし、PSAの重合の結果生成する残分(すなわち、数平均分子量が25,000未満のもの)、N−tert−ブチルアクリルアミド、有機溶媒、添加されたフリーラジカル重合開始剤、および架橋剤は除く。発泡フィルムにはさらに、加熱した際にさらなる膨張を可能とする1種または複数のポリマーミクロスフェアが含まれていてもよい。発泡フィルムの外部表面は実質的に、平坦であっても模様が付けられていてもよく、その発泡フィルムは、シート状、棒状、円筒状など各種の形態で用いることができる。外部表面の少なくとも一部は、フィルム、接着剤層などのための基材として機能させることができ、それによって、各種のテープ/TIMが得られる。本発明のTIMの発泡フィルムには、本明細書に記載の試験方法によって測定したボイド容積を少なくとも約5パーセント含む。
【0022】
本発明による発泡TIMの望ましい特性としては、下記のものの1つまたは複数が挙げられる:(1)バルク熱伝導率が、少なくとも約0.5ワット/メートル・K;(2)ショアーA硬度が約60未満;(3)静的剪断強さ(22℃または70℃)が、以下において本明細書に記載する試験方法による試験したときに、少なくとも約10,000分;および(4)TIMが粘弾性的なミクロ繊維を含む場合においては、その引張破壊強さがTIMの降伏強さの少なくとも約150%で、そのときの伸びが約200%より大、そして100%伸長させた後の回復が約50%未満であり、TIMが弾性のあるミクロ繊維を含む場合においては、そのTIMの伸びが約200%より大、そして100%伸長させた後の回復が約50%未満である。発泡PSAフィルムの表面に貼り付けた、連続接着剤フィルムおよび/または場合によってはスキン接着剤層(1層または複数)を含む発泡TIMは、パネルに貼り付けると高い接着力を有することができ、たとえば90度剥離接着力が約0.0438kN/m(4オンス/インチ)、他の実施態様においては約0.176kN/mより大、または約0.352kN/mより大である。
【0023】
本発明において有用な高分子ホットメルトPSAは、25,000を超える数平均分子量、好ましくは100,000を超える数平均分子量、より好ましくは200,000を超える数平均分子量、さらにより好ましくは400,000を超える数平均分子量を有する(L.H.スパーリング(L.H.Sperling)『イントロダクション・トゥ・フィジカル・ポリマー・サイエンス(Introduction to Physical Polymer Science)』第1章、p.6、ISBN0−471−89092−8、における定義に従う)。高分子ホットメルトPSAは、各種のポリマー材料から選択することができるが、そのようなものとしてはたとえば、ゴム、エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ポリ−アルファ−オレフィン、合成ゴム、アクリレートポリマーおよびメタクリレートポリマー、アクリレートおよびメタクリレートコポリマー、および前述のものの組合せなどが挙げられる。任意成分の熱伝導性接着剤層はPSAであってよく、たとえば、ポリ−アルファ−オレフィン接着剤、アクリル酸接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン接着剤、ゴム系接着剤とアクリル系接着剤のブレンド物、およびそれらの組合せなどである。同様にして、任意成分の熱伝導性接着剤層が加熱活性化接着剤であってもよい。連続発泡フィルムおよび/または任意成分の熱伝導性接着剤層は、その中に、実質的に連続の、長さ方向に配向させた、独立したポリマー性ミクロ繊維を含んで提供することも可能であり、そのミクロ繊維は、その物品に伸長剥離特性を付与する。さらに、連続フィルムおよび/または任意成分の熱伝導性接着剤層には、難燃剤が含まれていてもよい。
【0024】
本発明による発泡TIMの1例を図1に示す。発泡TIM10には、第一の平坦表面12とその第一の表面12の反対側にある第二の表面(図示せず)を有する発泡フィルム11が含まれる。本発明においては、少なくとも1種の熱伝導性充填剤15を、ポリマー性接着剤マトリックス16全体に散在させる。発泡フィルム11には、そのマトリックス中に散在させた多くのボイド14を有する、ポリマー接着剤マトリックス16が含まれる。ボイド14は、フィルム11を製造する際の発泡工程の結果であり、たとえば発泡剤を使用するか、膨張性の高分子ミクロスフェアを添加するか、またはそれらを組み合わせることによって、作ることができる。発泡フィルム11を製造する際に膨張性ミクロスフェアを加えると、ボイド14には典型的には、膨張されてはいるが破壊はされていない形状のポリマーミクロスフェアが含まれ、それによって少なくとも5%のボイド容積が与えられている。
【0025】
その他の層および/または構造を、発泡フィルム11の第一の表面12に塗布または貼り付けることが可能であるということは、充分に理解されるであろう。他の層または構造を表面12と組み合わせる場合、熱伝導性スキン接着剤の層をまず始めに第一の表面12に塗布し、追加の層または構造を表面12に結合させる。同様にして、第一の表面12の逆側の表面上に、もう一つの接着剤層、特に熱伝導性接着剤層を有する両面テープTIMとして、発泡フィルム11を得ることも可能である。剥離ライナーなどを、発泡フィルム11の表面のいずれかまたは両方の上の熱伝導性スキン接着剤に組み合わせることも可能である。
【0026】
図2は、第一の表面102と第一の表面の反対側の第二の表面(図示せず)を有する発泡フィルム101の形態にある、発泡TIM100を示す。本発明のこの実施態様においては、発泡TIM100には、少なくとも1種の熱伝導性充填剤105、複数のボイド104、およびポリマー性接着剤マトリックス106全体に散在させ、長さ方向に配向させた個々の実質的に連続の、粘弾性的および/または弾性的ミクロ繊維108を含む、発泡フィルム101が含まれる。ミクロ繊維108は典型的には、TIMの製造の間にその場で形成され、長さ方向に配向されている。その他の層および/または構造を、発泡フィルム101の第一の表面102に塗布または貼り付けることが可能であるということは、充分に理解されるであろう。
【0027】
本発明において有用な高分子ホットメルトPSA(熱伝導性充填剤を用いたコンパウンディングをする前)は、25,000を超える数平均分子量を有していて、室温(約22℃)において接着性がある。PSAは、接着剤の独特なカテゴリーであって、乾燥(無溶媒)の形態においては、室温で恒久的な接着性を有する。それらは、いろいろな異種表面に単に接触させるだけで、指または手の圧力以上は必要とせずに、しっかりと接着させる。PSAは、水、溶媒、あるいは熱による活性化を必要とすることなく、比較的強力な接着性保持力を発揮する。PSAは、それらの材料の弾性率が、室温で106ダイン/cm2より低い状態にあるという「ダールキスト(Dahlquist)判定基準」を用いて定量的に表すことができる。A.V.ポシアス(A.V.Pocius)『アドヘージョン・アンド・アドヘーシブズ:アン・イントロダクション(Adhesion & Adhesives:An Introduction)第1版』(ハンザー・パブリッシャーズ(Hanser Publishers)、ニューヨーク州ニューヨーク(New York,NY)、1997年)を参照されたい。本発明の発泡体には、1種または複数のPSAを含む。ユニークな発泡体の性質を得るためには、異なった組成を有する2種以上のPSAポリマーを使用するのが望ましい。PSA成分のタイプと濃度を選択することによって、広い範囲の発泡体の物理的性質を得ることができる。最終的な物質における所望の性質に基づいて、特定のポリマーを選択すればよい。
【0028】
そのホットメルトPSAは、各種異なったポリマー材料であってよく、たとえばエラストマー、ゴム、熱可塑性エラストマー、ポリ−アルファ−オレフィン接着剤、アクリル系接着剤、およびそれらのブレンド物などが挙げられる。典型的には、そのポリマー樹脂は、米国特許第6,103,152号明細書に記載されているような、溶融押出し加工に適したタイプとする。化学的に異なった組成を有する2種以上のポリマーをブレンドするのが望ましい。発泡体の物理的性質は、発泡体を製造するのに使用する成分のタイプを変化させたり、それらの相対的な濃度を変化させたりすることによって、最適化することが可能である。一般的には、最終的なサーマル・インターフェース材料において所望する性質に応じて、具体的なホットメルトPSAを選択する。ホットメルトPSAを調製するために使用するポリマー材料には、残存量のフリーラジカル開始剤、オリゴマーまたは低分子量ポリマー(数平均分子量が25,000未満)、または有機溶媒が含まれていてもよいと考えられている。
【0029】
有用なホットメルトPSAを製造するための好適な材料としては、アクリレートおよびメタクリレートのポリマーまたはコポリマーを挙げることができる。そのようなポリマーは、50〜100重量部の、1種または複数のモノマー性のアクリル酸またはメタクリル酸の非三級アルキルアルコールエステル(そのアルキル基は1〜20個の炭素原子(たとえば3〜18個の炭素原子)を有する)を重合させることによって、形成させることができる。好適なアクリレートモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、およびアクリル酸ドデシルが挙げられる。たとえばアクリル酸ベンジルおよびアクリル酸シクロベンジルのような芳香族アクリレートもまた有用である。幾つかの用途においては、50重量部未満のモノマー性のアクリルエステルまたはメタクリルアクリルエステルを使用するのが望ましい。場合によっては、1種または複数のモノエチレン性不飽和コモノマーを、約0〜50部コモノマーの量で、アクリレートモノマーと重合させてもよい。有用なコモノマーの1つのタイプとしては、ホモポリマーのガラス転移温度が、アクリレートホモポリマーのガラス転移温度よりも高いようなものを挙げることができる。このタイプに属する好適なコモノマーの例としては、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、置換アクリルアミドたとえばN,N−ジメチルアクリルアミド、イタコン酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シアノエチル、N−ビニルカプロラクタム、無水マレイン酸、アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリル酸ベータ−カルボキシエチル、ネオデカン酸、ネオノナン酸、ネオペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、またはプロピオン酸のビニルエステル(たとえば、コネチカット州ダンベリー(Danbury,CT)のユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corp.)から、商品名バイネーツ(VYNATES)として入手可能なもの)、塩化ビニリデン、スチレン、ビニルトルエン、およびアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0030】
有用なコモノマーの第二のタイプとしては、ホモポリマーのガラス転移温度が、アクリレートホモポリマーのガラス転移温度よりも低いようなものを挙げることができる。このタイプに属する好適なコモノマーの例としては、アクリル酸エトキシエトキシエチル(Tg=−71℃)およびアクリル酸メトキシポリエチレングリコール400(Tg=−65℃、新中村化学工業(株)(Shin Nakamura Chemical Co.,Ltd.)から商品名NKエステル(NK Ester)AM−90Gとして入手可能)などが挙げられる。
【0031】
本発明において有用なまた別な群としては、非光重合性モノマーから調製した、感圧ホットメルト接着剤を挙げることができる。そのようなポリマーは、接着性ポリマー(すなわち、本来的に接着性であるポリマー)、または本来的には接着性ではないものの、接着付与剤と共にコンパウンディングすると接着性組成物を形成することが可能なポリマーであればよい。具体例としては、ポリウレタン、ポリ−アルファ−オレフィン(たとえば、ポリオクテン、ポリヘキセンおよびアタクチックポリプロピレン)、ブロックコポリマー系の接着剤、天然ゴムおよび合成ゴム、シリコーン接着剤、エチレン−酢酸ビニル、およびエポキシ含有構造接着剤ブレンド物(たとえば、エポキシ−アクリレートおよびエポキシ−ポリエステルのブレンド物)、およびそれらの組合せなどが挙げられる。
【0032】
場合によっては、その接着剤が高い使用温度(すなわち、70℃までまたはそれ以上)を有しているのが望ましい。このことは、幾つかの公知の方法により達成することができる。たとえば、アクリル系接着剤は、電子ビーム(Eビーム)、ガンマ線などを照射することによって架橋させることができる。ブロックコポリマー系の接着剤は、米国特許第6,277,488号明細書に記載されているように、そのブロックコポリマーに、ポリフェニレンオキシド(PPO)または末端ブロック補強樹脂を添加することによって、それらの高温性能を改良することができる。
【0033】
多くの熱伝導性充填剤が、本発明の接着剤の中で使用するのに適している。熱伝導性充填剤は、ASTM D1530に従って測定したバルク熱伝導率が約5〜1000ワット/メートル・Kの間である、各種材料から選択される。好適な熱伝導性充填剤の例を挙げれば、酸化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタンなど、およびそれらの組合せなどがあるが、これらに限定される訳ではない。これらの充填剤には、各種の形状/形態のものがある(球状、フレーク状、アグロメレート状、結晶状、針状、ヒューム状)。形状は、選択した接着性樹脂のレオロジーおよび最終のホットメルトPSA/粒子混合物の加工容易性に応じて選択する。充填剤は、幾つかの結晶形(たとえば、六方晶系および斜方晶系窒化ホウ素)として入手できるが、結晶のタイプは、結晶の熱伝導率(結晶軸の違いによる、熱伝導率の異方性も含めて)および最終的な機械的性質およびコストに対する結晶系の影響に応じて選択する。
【0034】
粒径および粒径分布もまた、機械的性質および接着性に影響するので、最終的な接着性に対する要求に合わせるように粒径を選択するべきである。別な実施態様においては、充填剤(または充填剤混合物)の粒径および粒子の添加量を選択して、充分な機械的性質を維持しながらも、好適な伝熱性が得られるようにする。
【0035】
典型的には、有用な熱伝導性粒子の平均粒径は、0.5マイクロメートル(μm)〜250マイクロメートルの範囲である。別な実施態様においては、熱伝導性粒子の平均粒径が1〜100マイクロメートルや、10〜70マイクロメートルの範囲である。粒子は、0.5〜250マイクロメートルの間の任意の範囲内で平均粒径に幅があってもよく、また、0.5〜250マイクロメートルの間のどの平均粒径であってもよい。接着剤には、接着剤および/またはサーマル・インターフェースマトリックスの橋かけをすることが可能で、その粒径が大きくなる程度に合わせてマトリックスから露出されるような熱伝導性粒子を含むことができる。それによって、粒子がPSAの内部に含まれることになり、熱源の基材と熱伝達性物品、たとえばヒートシンク物品の間にある経路における熱伝導性が改良される。それらの粒子は、ヒートシンク物品の近傍または基部に衝突するのに充分な大きさを有していて、それによって、ヒートシンク物品を使用状態にする前または後に、その表面の内部または上に押さえつけられるようにする。一般的に、接着剤厚みを一定としてそれらの粒径を大きくすると、熱源の基材と熱伝達性物品との間の熱伝導率が大きくなる。
【0036】
粒径の選択は、その用途に依存する。たとえば、(たとえば、中央処理装置(CPU)とヒートシンクの間に見られるように)接着剤層が25〜100μmの範囲に入るような場合には、主寸法が少なくとも約1〜2μmで、かつ約30μm以下であるか、別な実施態様においては約5〜20μmの間であるような粒子が適している。熱基材と冷基材の間のギャップがより大きい場合には、約20〜30μmより大きい、たとえば50〜250μmの粒子を使用する。さらに、異なった粒径の材料を組み合わせて使用することも可能である。熱伝導性充填剤の粒径が大きいほど、バルク熱伝導率も高くなる。選択された粒子の内の少なくとも幾分かが、ヒートシンク物品に取り付ける際に塑性変形することが可能であるならば、それらの粒径は、上述の大きさよりもさらに大きくすることもできる。粒径の異なるものを混合すると、充填密度が上がることとなり、それによって、得られる熱伝導率を改良することができる。異なった熱伝導性充填剤を組み合わせて、高価な充填剤(たとえば、窒化ホウ素)の一部をより安価な充填剤(たとえば、炭化ケイ素)と置きかえることによって、熱的な性能は同等に維持しながらもコストを下げられることが、判っている。熱伝導性充填剤では、熱伝導率が各種の結晶面に沿って異方性を有していることが多く、熱的な性能を向上させるために、公知の方法に従って充填剤を配向させることも用いることができる。
【0037】
熱伝導性粒子は、本発明の接着剤組成物中に、全組成物の少なくとも25重量パーセントの量で存在させることができる。本発明の別な実施態様においては、熱伝導性充填剤を、少なくとも約30重量パーセント、少なくとも約40重量パーセントの量、本発明のいくつかの実施態様においては少なくとも約50重量パーセントの量で存在させる。また別な実施態様においては、熱伝導性充填剤を、本発明の接着剤ブレンド物中に、25〜80重量パーセント、30〜80重量パーセント、40〜80重量パーセント、50〜80重量パーセントの範囲、あるいは、25〜80重量パーセントの間の任意の範囲で存在させることができる。
【0038】
熱伝導性充填剤の最大量は、その物品の最終的な性質(たとえば、硬度、馴染みやすさ、接着性、および熱伝導率)を基準に選択するが、熱伝導性充填剤は一般に、約80重量パーセント未満の量で存在させる。
【0039】
発泡サーマル・インターフェース材料は、少なくとも約0.5ワット/メートル・Kのバルク熱伝導率を有し;別な実施態様においては、発泡サーマル・インターフェース材料は、少なくとも約0.6ワット/メートル・Kのバルク熱伝導率を有し;そして、また別な実施態様においては、少なくとも約0.8ワット/メートル・Kである。
【0040】
有用な発泡剤としては、混入ガス/高圧注入ガス;発泡剤、たとえば化学的発泡剤および物理的発泡剤;膨張または未膨張ポリマーバブル;およびそれらの組合せが挙げられる。
【0041】
高圧注入ガスとは、密閉した混合系(たとえば、密閉式押出機)に20.67MPa(3000psi)より高い圧力で添加して、その密閉系から出るときに発泡体を形成させるようなガスのことである。高圧注入ガスの例としては、窒素、空気、二酸化炭素(CO2)およびその他の相溶性のあるガス、およびそれらの組合せなどが挙げられる。
【0042】
本発明において有用な物理的発泡剤としては、発泡フィルムがダイから押し出されるときの温度と圧力では気体である、各種の天然に存在する大気物質なら何でもよい。物理的発泡剤は、ガス状、液状または超臨界流体としてポリマー材料の中に導入することができる。物理的発泡剤は、押出機系の中に注入してもよい。物理的発泡剤は通常、加工工程の間押出機の中で存在している条件下では超臨界状態となっている。物理的発泡剤を使用する場合には、それが使用しているポリマー材料の中に可溶性であることが好ましい。物理的発泡剤に何を使用するかは、得られる発泡物品において求められる性質によって決める。発泡剤を選択する際に考慮すべきその他の因子は、その毒性、蒸気圧プロフィール、および取扱いの容易さである。発泡剤、たとえばペンタン、ブタン、およびその他の有機物質、たとえばヒドロフルオロカーボン(HFC)およびヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を使用することができるが、不燃性、非毒性であって、オゾン層破壊のない発泡剤が好ましく、その理由は、それらが使用するのに容易であり、たとえば、環境面および安全面で問題が少ないからである。好適な物理的発泡剤の例としては、たとえば、二酸化炭素、窒素、SF6、亜酸化窒素、ペルフルオロ化流体たとえばC26、アルゴン、ヘリウム、希ガスたとえばキセノン、空気(窒素と酸素のブレンド物)、およびそれらの物質のブレンド物、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)およびヒドロフルオロエーテル(HFE)などが挙げられる。
【0043】
化学的発泡剤の場合には、物理的発泡剤の場合のような注入システムを必要とせず、実質的にいかなる押出し系においても使用することができる。化学的発泡剤例を挙げれば、水、およびアゾ−、カーボネート−、およびヒドラジド−系の分子で、たとえば、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、たとえばセロゲン(CELOGEN)OT(コネチカット州ミドルベリー(Middlebury,CT)のユニロイヤル・ケミカル・カンパニー・インコーポレーテッド(Uniroyal Chemical Company,Inc.)から入手可能)、4,4'−オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、シュウ酸ヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4'−ジスルホヒドラジド、ベンゼンスルホンヒドラジド、アゾジカーボナミド、アゾジカーボナミド(1,1'−アゾビスホンアミド)、メタ変性アゾジカルボニド、5−フェニルテトラゾール、5−フェニルテトラゾール類縁体、ヒドラゾカルボキシレート、ジイソプロピルヒドラゾジカルボキシレート、アゾジカルボン酸バリウム、5−フェニル−3,6−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、ナトリウムボロヒドリド、アゾジイソブチロニトリル、トリヒドラジノトリアジン、アゾジカルボン酸の金属塩、テトラゾール化合物、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸塩化合物とポリカルボン酸との調合物、およびクエン酸と重炭酸ナトリウムの混合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ−テレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、およびそれらの組合せなどがある。ニューヨーク州ナイアガラフォールズ(Niagra Falls,NY)のワシントン・ミルズ・エレクトロ・ミネラルズ・コーポレーション(Washington Mills Electro Minerals Corp.)から、シルカライド・G−21・シリコン・カーバイド・グレード・P240(SILCARIDE G−21 Silicon Carbide Grade P240)の商品名で入手可能な炭化ケイ素が、化学的発泡剤、さらには熱伝導性充填剤として機能することが見出された。その他の化学的発泡剤については、D.クレンプナー(D.Klempner)、K.C.フリッシュ(K.C.Frisch)(編)『ハンドブック・オブ・ポリメリック・フォームズ・アンド・フォーム・テクノロジー(Handbook of Polymeric Foams and Foam Technology)』第17章(ハンセン(Hansen)、ニューヨーク(NY)、1991)に記載がある。
【0044】
1種または複数の膨張性高分子ミクロスフェアを、本発明の発泡熱伝導性フィルムにおける発泡剤として使用することができる。膨張性高分子ミクロスフェアは、ポリマー性シェルと、気体、液体またはそれらの組合せのコア材料とからできている。ポリマー性シェルの溶融温度もしくは流動温度またはそれ以下に加熱すると、ポリマーシェルが膨張する。好適なコア材料の例を挙げれば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ネオペンタン、または類似の物質、およびそれらの組合せなどがある。ポリマーミクロスフェアシェルに使用する熱可塑性樹脂の素性が、発泡体の機械的性質に影響する可能性があり、発泡体の性質を、ミクロスフェアの選択、あるいは異なったタイプのミクロスフェアの混合物の使用により、調節することができる。たとえば、低密度の発泡体物品において高い引張力および凝集力が望ましいような場合には、アクリロニトリル含有樹脂が有用である。アクリロニトリル含量がシェルに用いた樹脂の少なくとも50重量パーセント、一般には少なくとも60重量パーセント、典型的には少なくとも70重量パーセントであるような場合に、このことは特にあてはまる。シェルとして使用することが可能な、好適な熱可塑性樹脂の例を挙げれば、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、たとえばポリアクリレート;アクリレート−アクリロニトリルコポリマー;およびメタクリレート−アクリル酸コポリマーなどがある。塩化ビニリデン含有ポリマー、たとえば塩化ビニリデン−メタクリレートコポリマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−メタクリロニトリル−アクリル酸メチルコポリマー、およびアクリロニトリル−塩化ビニリデン−メタクリロニトリル−メタクリル酸メチルコポリマーを使用することもできるが、ただし、高い強度が必要とされるような場合には望ましいものではない。一般的に言って、高い強度が必要とされる場合には、そのミクロスフェアシェルには、20重量パーセント以下の塩化ビニリデン、典型的には15重量パーセント以下の塩化ビニリデンを含むようにする。高い強度を要する用途では、実質的に塩化ビニリデンを含まないミクロスフェアを必要とする。ハロゲンを含まないミクロスフェアを本発明の発泡体において使用することも可能である。市場で入手可能な好適な膨張性高分子ミクロスフェアの例としては、ピアス・スティーブンス(Pierce Stevens)(ニューヨーク州バッファロー(Bufffalo,NY))から商品名F−30D、F−50D、F−80SD、およびF−100Dとして入手できるものがある。好適な膨張性高分子ミクロスフェアはさらに、エクスパンセル・インコーポレーテッド(Expancel,Inc.)(ジョージア州ダルース(Duluth,GA))から、商品名エクスパンセル(EXPANCEL)551、エクスパンセル(EXPANCEL)461、エクスパンセル(EXPANCEL)091、およびエクスパンセル(EXPANCEL)092MB120として入手することが可能である。膨張性高分子ミクロスフェアは典型的には、その膨張温度と、使用する熱伝導性充填剤を基準に選択する。
【0045】
発泡剤の量は、発泡フィルムの容積の少なくとも5%を構成するボイド容積を与えるように選択する。一般的には、発泡剤濃度が高いほど、その発泡フィルムの密度が低下し、熱伝導率が低くなる。すなわち、ボイド容積が高いほど、その発泡フィルムの熱伝導率が低くなる。たとえば、ポリマー樹脂の中のミクロスフェアの量は、典型的には(ポリマー100部を基準にして)0.1重量部〜10重量部の範囲、他の実施態様においては約0.5重量部〜約5重量部、さらに他の実施態様においては、約0.5重量部〜約2重量部の範囲である。
【0046】
発泡TIMには、本明細書に記載した試験方法で測定して、少なくとも約5パーセントのボイド容積を含む。また別な実施態様においては、発泡TIMには、本明細書に記載した試験方法で測定して、少なくとも約10パーセントのボイド容積を含む。一般的に言って、発泡TIMには、ボイドが熱伝導率におよぼす影響を考慮して、約75パーセント未満のボイド容積、約60パーセント未満、または約50パーセント未満のボイド容積を含ませる。
【0047】
ある種の用途においては、難燃性が、必要とされたり、および/または適用される規制によって要求されたりする。たとえば、電気電子用途において使用されるテープは、電流、短絡、および/または関連する電子構成要素または電気的デバイスから発生する熱、などに直接暴露される可能性がある。したがって、工業規格または規制では、そのようなテープ物品の使用についての条件を課して、燃焼試験などのような認定試験を実施することが求められることもある。電気電子用途においては、業界の標準的な燃焼試験は、アンダーライターズ・ラボラトリーズ(Underwriters Laboratories)のものがある(UL94、「スタンダード・フォア・テスツ・フォア・フランマビリティ・オブ・プラスチック・マテリアルズ・フォア・パーツ・イン・デバイシズ・アンド・アプライアンシズ(Standard for Tests for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances)」)。発泡TIMが、UL94V−2燃焼性グレードに合格する、また別な実施態様においては、UL94V−0燃焼性グレードに合格するのが、好ましい。
【0048】
本発明の発泡TIMに加えるのに適した難燃剤は、いかなるタイプの難燃剤であってもよいが、その難燃剤は一般的に、発泡TIMの全重量を基準にして約5重量パーセント〜約40重量パーセントの間の濃度で、フィルム中に存在させる。その難燃剤は、発泡性難燃剤とすることもできるし、および/または非発泡性難燃剤とすることもできる。典型的には、難燃剤はハロゲン非含有、そしてアンチモンを含まないものである。本明細書に記載する発泡TIMにおいて使用するのに適した難燃剤の例を挙げれば、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,NC)のクラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)から市販されている、商品名エキソリット(EXOLIT)、たとえばIFR23、AP750、エキソリット(EXOLIT)OPグレート(有機リン系化合物をベースとしたもの)、およびエキソリット(EXOLIT)RPグレード(赤リン物質)、非ハロゲン化難燃剤のたとえば、ファイアブレーク(FIREBRAKE)ZBおよびボルガード(BORGARD)ZB、ならびにイスラエル国ベール・シバ(Beer Shiva,Israel)のデッド・シー・ブロミン・グループ(Dead Sea Bromine Group)から入手可能な、FR370(トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート)などがある。熱伝導性充填剤としても機能する好適な難燃剤の例としては、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0049】
1種または複数の難燃剤および/または相乗剤のブレンド物もまた、本発明の発泡TIMにおいて使用することができる。難燃剤システムの選択は、各種のパラメーターたとえば、目的とする用途に対する工業標準などや、発泡フィルムポリマーマトリックスの組成によって、決める。さらに、本発明の発泡TIMには、発煙抑制剤を加えることもできるが、そのようなものとしては、オハイオ州クリーブランド(Cleveland,OH)のシャーウィン−ウィリアムズ・ケミカルズ(Sherwin−Williams Chemicals)から商品名ケムガード(Kemgard)HPSS、911A、911Bおよび911Cとして入手可能なものがある。
【0050】
伸長剥離特性を与えるため、および本発明の発泡TIMをさらに補強するために、熱伝導性フィルム、熱伝導性スキン接着剤、またはフィルムとスキン接着剤の両方に、本明細書に記載の製造工程の間に、その場で形成される粘弾性的および/または弾性的ミクロ繊維を形成するミクロ繊維形成材料を含む。個々のミクロ繊維は個々に実質的に連続であり、接着性ポリマーマトリックス全体にわたって分散され、フィルムの長さ方向に配向されている。ミクロ繊維としては、係属中の米国特許出願公開第02−0187294A1号明細書の教示に従って作られるようなものが好適であることが判った。本発明の発泡TIMにおいては、個々のミクロ繊維は、長さ方向に少なくとも約0.5センチメートル(cm)、他の実施態様においては、少なくとも約2cm、約5cm、または約8cmは、破壊されていない。また別な態様においては、個々の実質的に連続のミクロ繊維は一般に、0.05〜5マイクロメートル、典型的には0.1〜1マイクロメートルの最大直径を有し、個々の実質的に連続のミクロ繊維のアスペクト比(すなわち、長さの直径に対する比)が約1000より大きい。
【0051】
発泡TIMにはさらに、上記で明確に除外される物質以外の、その他の幾つかの添加剤が含まれていてもよい。好適な添加剤の例を挙げれば、接着付与剤(たとえば、ロジンエステル、テルペン、フェノール、および脂肪族、芳香族、または脂肪族と芳香族混合の合成炭化水素樹脂)、顔料、補強剤、疎水性もしくは親水性シリカ、炭酸カルシウム、強化剤、繊維、充填剤、抗酸化剤、安定剤、およびそれらの組合せなどがある。前述の追加の添加剤および成分は一般に、目的とする最終の性質、特に接着性を有する物品が得られるのに充分な量で添加する。良好な馴染み性と表面接触性を得るためには、TIMの硬度がショアーAで約60未満であるのが好ましい。
【0052】
本発明のその他の実施態様としては、テープおよび転写テープが挙げられる。有用なバッキング材料は熱伝導性である。そのようなバッキング材料は、本来的に熱伝導性であってもよいし、あるいは、先に「熱伝導性充填剤」として説明したような、熱伝導性を付与するための、添加剤(1種または複数)を含んでいてもよい。好適なバッキング材料の例を挙げれば、セルロース系材料、たとえば紙および布(織布および不織布);フィルム、たとえばポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリプロピレン、およびナイロン;熱伝導性発泡材料、たとえばポリエチレン発泡体およびアクリル系発泡体;スクリム;および金属フォイル、たとえばアルミニウムフォイルなどがある。また別な実施態様においては、バッキング材料が剥離ライナーであってもよい。その実施態様においては、バッキングが熱伝導性である必要はない。剥離ライナーは、剥離コーティングを用いて片面または両面にコーティングすることができる。このバッキングはさらに、多重層として提供されてもよい。
【0053】
多重層発泡TIMは、発泡フィルムにポリマー層または非ポリマー層を積層させるか、または、複数の押出し発泡フィルムを、それらが個々に成形用オリフィスを押し出されてくるときに、ある種の固着手段、たとえば接着剤を用いて重ね合わせることによって、調製することも可能である。使用可能なその他の方法としては、押出しコーティングおよびインクルージョン共押出しがあるが、それについては、たとえば、米国特許第5,429,856号明細書に記載がある。
【0054】
図3には、また別なTIM200を示しているが、ここでは、発泡フィルム201の表面202の1つの上に、熱伝導性スキン接着剤層220が設けられている。発泡フィルム201には、複数のボイド204およびマトリックスの中に散在させられた熱伝導性粒子205を含む、ポリマー接着剤マトリックス206が含まれる。スキン接着剤層220には、本明細書においてさらに説明されているような、各種の接着剤材料および熱伝導性充填剤が含まれていてもよい。典型的には、スキン接着剤層220は、その中に難燃剤を含まない配合の熱伝導性PSAである。場合によっては、接着剤220を他の基材などに塗布する前にその接着剤層220を保護する目的で、剥離ライナー(図示せず)を用いてもよい。
【0055】
本発明の主題に従えば、上述の熱伝導性スキン接着剤層を発泡フィルムと組み合わせることは、たとえば、押出し加工可能な発泡剤含有組成物と、1種または複数の押出し加工可能な接着剤組成物とを共押出しすることによって可能となるが、これについては後により詳しく説明する。熱伝導性接着剤組成物は一般に、難燃剤なしの配合および/または選択をすることにより、接着剤物品、たとえば、連続の発泡フィルムがそのテープのための基材を形成しているようなテープを与える。接着剤は、連続発泡フィルムの表面の一部(たとえば、その主表面の1つの面の上)に塗布し、その発泡フィルムの表面の一部(第二主表面)は基材のまま残して、さらなる層または構造を支持するようにすることができる。スキン接着剤はまた、発泡フィルムの表面に積層することも可能であるし、あるいは、スキン接着剤層を剥離ライナーに付着させた後に、そのスキン接着剤層の上に発泡フィルムを直接押出すか、またはコーティングすることも可能である。スキン接着剤層には、多重の接着剤層を用いてもよい。典型的には、スキン接着剤層における熱伝導性充填剤の濃度を発泡フィルムよりも低くして、接着性を最大化させることができる。一般に、熱伝導性充填剤の量が増えるほど、接着性は低下する。
【0056】
図4を参照すると、本発明による発泡TIMを調製するための、押出しプロセス300が示されている。本発明のプロセスに従えば、ホットメルトPSAポリマーを第一の押出機310(典型的には、単軸スクリュー押出機)に供給し、ポリマーを軟化、混合して、押出し加工に適した形態とする。得られたポリマーを用いて、発泡フィルムのポリマーマトリックスを形成させる。ポリマーを押出機310に供給するには、たとえば、ペレット、ビレット、パッケージ、ストランド、パウチ、およびロープなど、利便性が良ければいかなる形態であってもよい。
【0057】
次いで、熱伝導性充填剤、および、存在させるならば接着性付与樹脂、難燃剤、ミクロ繊維形成材料、およびその他の添加剤(発泡性ミクロスフェアは、存在させるとしても除外する)を第二の押出機312(たとえば、典型的には2軸スクリュー押出機)に供給する。ホットメルトPSAポリマーは、第一のポート311を通して、押出機310から第二の押出機312の中に直接供給してもよい。熱伝導性充填剤およびその他の添加剤は、どのポートから供給してもよいが、典型的には押出機312の混合/分散セクションより手前の位置にある、フィード口313から第二の押出機312の中に、典型的には供給する。組み合わせたホットメルトPSAポリマーと添加剤は、押出機312の中で充分に混合する。構成成分の添加順と混合条件(たとえば、スクリュー速度、スクリューの長さ、および温度)を選択して、最適な混合が行われるようにする。一般的には混合は、ミクロスフェアが存在しているような場合には、そのようなミクロスフェアが膨張するのに必要な限界温度よりも低い温度で実施する。しかしながら、ミクロスフェアの膨張温度よりも高い温度を使用することも可能であるが、そのような場合には典型的には、混合の後で押出機312へのミクロスフェアの添加の前に温度が下げられている。押出し加工に適した形状でホットメルトPSAポリマーが得られるような場合には、その第一の押出し工程は省略して、ポリマーを直接押出機312に供給することも可能であることは、認識されたい。多量の熱伝導性充填剤を組み入れる場合には、その充填剤を複数の添加ポートを通して押出機に添加し(すなわち、分散供給、図示せず)、ポート309からの真空を用いて取り込まれた空気を除去するのが望ましい。一般的には、ボイド容積は、取り込まれたガス、化学的発泡剤、物理的発泡剤、およびミクロスフェアによって与えられる。
【0058】
膨張性高分子ミクロスフェアを、第二の押出機312に添加することができるが、典型的には、供給口313の下流側、典型的には押出機312の輸送ゾーンの直ぐ手前の独立したゾーンで添加する。それを添加した後は、熱伝導性充填剤、膨張性高分子ミクロスフェア、ホットメルトPSAポリマー、および任意成分の難燃剤および/またはミクロ繊維形成材料を、輸送ゾーンの中で溶融混合し、膨張性の押出し加工可能な組成物を形成させる。溶融混合工程の目的は、熱伝導性充填剤、ミクロスフェア、およびその他の添加剤(存在させるとすれば)を溶融ポリマー全体の中に分散させた、膨張性の押出し加工可能な組成物を調製することにある。典型的には、その溶融混合操作では、供給口313より下流側の1つの輸送ブロックを使用して充分な混合を行うが、同様にして混練要素を使用してもよい。溶融混合の際に採用する温度、圧力、剪断速度、および混合時間を選択して、ミクロスフェアが膨張してしまったり破壊されたりしないようにして、膨張性の押出し加工可能な組成物を調製する。具体的な添加順序、ゾーン温度、圧力、剪断速度、および混合時間を、加工処理すべき具体的な化学組成物を基準にして選択するが、そのような諸条件の選択は当業者の技量の範囲内である。
【0059】
溶融混合工程の後、その膨張性の押出し加工可能な組成物を、ギアポンプ316を用い、輸送配管318を通して、押出しダイ314(たとえば、コンタクトダイまたはドロップダイ)の中に計量仕込みする。多層ダイ314の内部温度は、輸送配管318の内部温度と実質的に同じ温度に保つ。ダイ314の内部温度は、発泡性ミクロスフェアの膨張を起こさせるのに必要な温度以上とする。図4においては、押出しダイ314を多層ダイとして示しているが、ダイ314が単層ダイであってもよいことは理解されたい。輸送配管318の内部温度もまたミクロスフェアの膨張を開始させるのに必要な限界温度以上となるが、通常は輸送配管318の内部の圧力を充分に高くして、ミクロスフェアが配管318の中に滞留している間には、ミクロスフェアが膨張しないようにする。ダイ314の内部容積が配管318の内部容積よりも大きいので、配管318からダイ314へと流れてくる材料が、輸送配管318の内部よりは低い圧力へと、圧力低下にさらされる。膨張性の押出し加工可能な組成物がダイ314に入ると、圧力の低下とダイ314内部での加熱とによって、高分子ミクロスフェアの膨張が始まる。ミクロスフェアの膨張が始まると、膨張性の押出し加工可能な組成物が発泡体を形成する。通常、ミクロスフェアの膨張のほとんどは、ミクロスフェアがダイ314を出るより前に起きる。ダイ314の内部の圧力は、膨張性の押出し加工可能な組成物がダイ314の出口ポート315に近づくほど、連続的に低くなっていく。圧力が連続的に低下することによって、ダイの内部においてミクロスフェアがさらに膨張するようになる。膨張性ポリマー組成物がダイ314から出るより前に、発泡性ミクロスフェアの膨張を促進させるに充分なほど低くダイキャビティの中の圧力を保てるように、押出機312およびダイ314を通過するポリマーの流動速度を維持する。ダイ314の形状を選択あるいは細工して、発泡TIMが所望の形状になるようにすることができる。たとえば、連続または不連続なシートやフィルムなど、各種の発泡体形状を作り出すことが可能である。本発明による発泡体の製造において、発泡性ミクロスフェアに代えて、あるいはミクロスフェアと組み合わせて、化学的発泡剤などを使用することができるのは、当業者のよく知るところである。
【0060】
所望により、発泡フィルムの一方または両方の表面の平滑さを増すことも可能であるが、それには、発泡フィルムがダイ314を出た後に、ニップロール317を用いて発泡フィルムを冷却ロール319に押しつける方法か、あるいは、発泡フィルムのそれぞれの表面に平滑なライナーを当てて、その複合材料物品をニップの間を通過させる方法を用いる。(一方または両方の)表面を平滑にすることは、良好な表面接触と接着をさせるには都合がよい。発泡フィルムの一方または両方の表面の上にパターンを型押しすることも可能であり、それには、発泡体がダイ314を出た後でその発泡体をパターン模様のあるロールに接触させる方法か、あるいは、たとえば、米国特許第6,197,397B1号明細書に記載されているような、パターン化または微細構造化ライナーを使用する方法を用いる。
【0061】
特に、大きな取り付け面積を有する硬質の基材と接着させる場合、良好な熱伝導性を得るためには、発泡TIMと基材の間に空気の取り込みが無いのが望ましい。非接触または非接着の領域では、熱が伝わらず、その発泡TIMの総合的な熱伝導率が低下する。パターン化された発泡TIMでは、空気を追い出しやすく、その結果として接着剤の接触が改良される。非発泡TIMに対して、発泡TIMでは柔らかさと馴染みやすさが改良されていることもまた、接着剤の接触の改良に寄与している。
【0062】
この押出しプロセスを用いて、異なった密度の領域を有するパターン化発泡フィルムを調製することも可能である。たとえば、(図4において)フィルムがダイ314を出るより下流側で、たとえば、パターンロールまたは赤外線マスクを使用することによって、フィルムを選択的に加熱して、発泡フィルムの所定の領域の中で、ミクロスフェアを段階的に、あるいは領域を分けて膨張させることができる。
【0063】
改良された接着性が必要とされる用途においては、熱伝導性発泡フィルムを1種または複数のスキン接着剤層と組み合わせるし、別な実施態様においては、1種または複数の熱伝導性スキン接着剤層を、発泡フィルムの外部表面に塗布する。スキン接着剤層の厚みは、典型的には0.025mm(1ミル)〜0.125mm(5ミル)、別な実施態様においては、0.025mm(1ミル)〜0.076mm(3ミル)である。図4には、そのような共押出しプロセスが示されている。スキン接着剤層のための接着剤を、系に導入するには、接着性ポリマーを押出機330(たとえば、単軸スクリュー押出機)に供給するが、そこでポリマーを軟化させてから、第二の押出機332(たとえば、典型的には2軸スクリュー押出機)に供給し、そこでそのポリマーに、熱伝導性充填剤および(使用するならば)その他の添加剤を混合する。接着剤、典型的にはPSAをその系を通すことで加工して、たとえばテープとして有用なスキン層を有する発泡TIMを得る。そのような用途のためには、接着剤の接着性またはタック性を低下させるような他の添加剤を加えることなく、熱伝導性接着剤を配合する。
【0064】
難燃剤材料は、接着剤のための配合からは通常除かれるが、接着剤に難燃性を付与するには効果がありながら接着剤のタックに顕著な悪影響を与えない程度の濃度で、少量の難燃剤を接着剤の中に加えることも可能である。具体的には、非常に薄い(すなわち、0.635mm未満(0.025インチ未満))熱伝導性難燃性発泡TIMにおけるスキン接着剤に少量の難燃剤を添加するのが望ましい。スキン接着剤層に添加する難燃剤の量は、スキン接着剤の全重量の約30重量パーセント以下、約20重量パーセント以下、約10重量パーセント以下、または約5重量パーセント以下である。
【0065】
成形可能または押出し加工可能な接着剤組成物を、押出機332から、ギアポンプ336を使用し、輸送配管334を通して、ダイ314の適切なチャンバに計量仕込みする。その接着剤を、ダイ314の出口ポート315を通して発泡体と共に共押出しして、それにより接着剤を発泡フィルムの外部表面に、直接塗布する。発泡フィルムが、その上に2つの主外部表面を有するシートの形状で得られる場合には、接着剤を、発泡フィルムの主外部表面の一方または両方の上に塗布することができる。接着剤を用いて物品をコーティングするための共押出し方法は、当業者には公知であって、本明細書でこれ以上説明する必要は無い。スキン接着剤層を塗布するには他の方法を使用することも可能で、それにはたとえば、直接コーティング、スプレーコーティング、パターン印刷、積層法などがある。
【0066】
スキン接着剤層を発泡フィルムの主外側表面の両方に塗布した場合には、得られる発泡TIMは、発泡フィルムをコアとし、発泡フィルムの主表面それぞれの上にスキン接着剤層を有することを特徴とする3層の物品となる。3層A/B/C構成(接着剤A/発泡体B/接着剤C)とするためには、もう1台の押出機と関連の設備を用いることにより、発泡体の他の主表面にもう1層の熱伝導性スキン接着剤層が得られるようにすることができる。この構成においては、発泡TIMの2つの主表面を、発泡TIMの熱伝導性が望ましいおよび/または必要とされているような用途において使用するための各種の表面に接着させることができる。さらに、スキン接着剤層の中に難燃剤を含まないために、熱伝導性発泡フィルムを表面または基材に、使用した具体的なスキン接着剤が発揮できる最高度の接着性をもって、接着させることが可能となる。
【0067】
本発明の物品において使用するのに好適なスキン接着剤としては、各種の極性および/または非極性基材に受容可能な接着性を与えるいかなる接着剤であってもよい。PSAは一般に受容可能なものである。好適なPSAの例としては、アクリル系ポリマー、ポリウレタン、熱可塑性エラストマーたとえば、クレイトン(Kraton)の商品名で市販されているもの(たとえば、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、およびそれらの組合せ)およびその他のブロックコポリマー、ポリオレフィンたとえばポリ−アルファ−オレフィンおよび非晶質ポリオレフィン、シリコーン、ゴム系接着剤(天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、などを含む)、さらにはそれらの接着剤の組合せまたはブレンド物をベーストしたものが挙げられる。熱伝導性スキン接着剤には、接着付与剤、補強樹脂、可塑剤、レオロジー調節剤、充填剤、繊維、架橋剤、抗酸化剤、染料、着色剤、さらには活性成分たとえば抗菌剤などが含まれていてもよい。
【0068】
本発明において有用であると知られているPSAの群としては、たとえば、米国再発行特許発明第RE24,906号明細書に記載されているようなアクリレートコポリマー、特に、重量比が90:10から98:2までのアクリル酸イソオクチル:アクリル酸のコポリマーがある。重量比が90:10から98:2までのアクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸コポリマー、および65:35のアクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸イソボルニルコポリマーもまた、受容可能である。たとえば、米国特許第5,804,610号明細書および同第5,932,298号明細書に記載されているのは、有用な接着剤である。接着剤の中に、たとえば米国特許第4,310,509号明細書および同第4,323,557号明細書に記載されているような、抗菌剤を加えることも考えられる。国際公開第01/57152号パンフレットに記載されているような、アクリル系接着剤とゴム系接着剤とのブレンド物もまた使用することができる。
【0069】
剥離ライナー320を、発泡体の主表面の一方または両方に配された単一または複数の熱伝導性スキン接着剤層に貼り付けることもできる。ライナー320は、供給ロール322から送り出される。ライナー320に適した材料を挙げれば、シリコーン剥離ライナー、剥離剤コーティングしたポリエステルフィルム(たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、およびポリオレフィンフィルム(たとえば、ポリエチレンフィルム)などがある。次いでそのライナーと発泡体とを、ニップローラー324の間で積層させる。
【0070】
任意の剥離ライナー340を、ニップロール324の内の1つに近接して位置させた、任意の第二の供給ロール342によって、発泡体の反対側の表面に加えることができる。この第二の剥離ライナー340は、剥離ライナー320と同じであっても、異なっていてもよい。さらに、この第二の剥離ライナー340が、剥離ライナー340の片側の表面にコーティングまたは付着させた1層の熱伝導性接着剤を伴っていてもよい。この方法においては、第二の熱伝導性接着剤層(図示せず)を、発泡材料の第二主表面に付着させることが可能となる。その第二の熱伝導性スキン接着剤層は、先に述べた共押出しした接着剤と同じであっても、異なっていてもよい。典型的には、熱伝導性スキン接着剤層には熱伝導性PSAを含む。剥離ライナー320、340はさらに、その表面の1つにコーティングまたは付着させた1層の熱伝導性接着剤を伴っていてもよい。
【0071】
上述のプロセスおよびそこで使用した設備は、当業者には公知であり、本明細書の図4で述べられた装置に本発明が限定される訳ではない。
【0072】
多重層発泡TIMを製造するためのその他の方法も、本発明の範囲内にあると考えられる。たとえば、前述の共押出しプロセスは、1層または2層のTIMを製造するために運転することができるし、あるいは、適当なフィードブロックを備えた単層ダイを準備するか、または、多翼ダイまたは多マニフォールドダイを使用することによって、3層以上(たとえば、10〜100層またはそれ以上)を有するTIMを製造することもできる。多重層TIMは、物品がダイ314を出た後で、追加の層(たとえば、ポリマー層、金属、金属フォイル、スクリム、紙、布、剥離ライナー上にコーティングした接着剤など)を、発泡フィルム、または各種共押出しポリマー層に積層させることによって、調製することも可能である。使用可能なその他の技術としてはパターン印刷がある。本発明のTIMの中の熱伝導性発泡フィルム(1枚または複数)の厚みは、厚い(すなわち、0.25mm(0.010インチ)以上)、あるいは薄い(すなわち0.025mm(0.010インチ)未満)のいずれであってもよい。
【0073】
積層させた後で、場合によっては、その発泡TIMをEビーム源326からの照射に暴露させることにより発泡TIMを架橋させて、凝集力を改良する。他の照射源(たとえば、イオンビームおよびガンマ線照射)を用いることも可能ではあるが、ただし、その照射が、発泡TIMの厚みの中に充分に浸透して、発泡TIMの厚み全体において、その架橋を開始させ充分に架橋させるだけのエネルギーを有していなければならない。Eビーム暴露に続けて、その任意の第二の剥離ライナー340を引取りロール329の上に巻き取り、その積層物を引取りロール328の上に巻き取る。発泡TIMの場合、より完全な架橋をさせるためには、Eビームを両側の主表面から発泡フィルムに照射させて、材料に充分に浸透させることが必要となることもあり得る。別な方法として、ロールに巻き上げた後にTIMをガンマ線照射してもよい。
【0074】
剥離ライナーは典型的には、フルオロケミカルまたはシリコーンのような剥離剤をコーティングしてある。たとえば、米国特許第4,472,480号明細書には低い表面エネルギーのペルフルオロケミカルライナーが記載されている。好適な剥離ライナーとしては、シリコーン剥離材料をコーティングした、紙、ポリオレフィンフィルム、またはポリエステルフィルムが挙げられる。アクリル系PSAと共に使用する場合には、ポリオレフィンフィルムでは剥離コーティングを必要としないこともある。市販されているシリコーンコーティング剥離ライナーの例を挙げれば、ポリスリック(POLYSLIK,登録商標)シリコーン剥離紙(イリノイ州ベッドフォード・パーク(Bedford Park,IL)のジェームズ・リバー・カンパニー(James River Co.)、H.P.スミス・ディビジョン(H.P.Smith Division)から入手可能)、およびDCP−ロージャ(DCP−Lohja)(イリノイ州ディクソン(Dixon,IL))(現在はロパレックス・インコーポレーテッド(Loparex,Inc.)(イリノイ州ウィロウブルック(Willowbrook,IL))により供給されるシリコーン剥離紙がある。具体的な剥離ライナーとして、商品名1−60BKG−157として知られる、水系のシリコーン剥離表面を有するスーパーカレンダークラフト紙が、DCP−ロージャ(DCP−Lohja)から入手できる。その他のタイプの、Eビームに安定で、不純物が含まれない剥離ライナーもまた本発明において有用であり、たとえば、本出願の被譲渡人に譲渡され現在係属中の、たとえば、米国特許出願公開第02−0155243−A1号明細書に記載されているようなものがある。
【0075】
本発明の発泡TIMは、たとえば航空、自動車、電子および医療用途など、広い範囲の用途において使用することが可能である。本発明の発泡TIMは典型的には、プロセッサーや構成要素を、熱拡散デバイス(たとえば、ヒートシンクおよびヒートスプレッダー)に結合させるために使用される。TIMの特性は、目的とする用途の必要に合わせて与えることが可能である。応用の具体例を挙げれば、接着テープ、パッドまたはシート、制振用物品、テープバッキング、ガスケット、スペーサー、およびシーラントなどがある。
【0076】
本発明の実施態様の特徴を、以下の非限定的な例を用いてさらに説明する。
【実施例】
【0077】
以下の試験方法および実施例においては、サンプルの寸法(典型的には、長さ)は概略値であるが、ただし幅については例外で、幅は切断工具の精度まで測定した。
【0078】
これらの実施例は、単に説明をするためだけのものであり、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。実施例およびその他の明細書の部分における、すべての部、パーセント、比などは、特に断らない限り、重量基準である。
【0079】
試験方法
密度、およびボイド容積の測定
密度は、ASTM D792−86「スタンダード・テスト・メソッド・フォア・デンシティ・アンド・スペシフィック・グラビティ・(リラティブ・デンシティ)・オブ・プラスチックス・バイ・ディスプレースメント(Standard Test Method for Density and Specific Gravity(Relative Density)of Plastics by Displacement)」に従って測定した。サンプルを、ほぼ2.54cm×2.54cm(1インチ(in)×1インチ(in))の大きさの試験片に切断し、スイス国グライフェンゼー(Greifensee,Switzerland)のメトラー・トレド(Mettler−Toledo)からAG245型として入手可能な高精密天秤で秤量した。それぞれのサンプルの容積は、室温(23℃±1℃)で置換される水の質量を測定することにより求めた。天秤に特別付属品を取り付けて、それぞれのサンプルの浮力をグラム(g)の単位で測定した。サンプルの密度(Dmeas.)は、その質量を浮力で割り算することにより求めた(23℃における水の密度を1g/ccと仮定)。
【0080】
組成物(発泡前)の理論密度(Dtheor.)は、以下の式から求めた:
組成物のDtheor.=(接着剤成分の重量パーセント×接着剤成分のDmeas.)+(第一の充填剤成分の重量パーセント×第一の充填剤成分のDtheor.)+(第二の充填剤成分の重量パーセント×第二の充填剤成分のDtheor.)+(第三の充填剤成分の重量パーセント×第三の充填剤成分のDtheor.)、など。
【0081】
そして、これからボイド容積を次式に従って計算した:
%ボイド容積=[1−(組成物のDmeas.)/(組成物のDtheor.)]×100
【0082】
報告した%ボイド容積には、膨張した高分子ミクロスフェアおよび/または取り込まれたガスおよび/または化学的発泡剤および/または物理的発泡剤のボイド容積への寄与が含まれている。
【0083】
硬度試験
物品(約3.81cm(1.5インチ)×2.54cm(1.0インチ))サンプルの厚みを測定し、記録した。次いでそのサンプルを、清浄な乾燥したガラスパネルに、積層させたが、その際に、サンプルとガラスの間に気泡が残らないよう注意した。その第一の物品に、同様の方法で追加の物品サンプルを積層していって、合計した厚みが少なくとも0.34cm(0.135インチ)になるようにした。ショアーA硬度試験機(ニューヨーク州フリーポート(Freeport,NY)のショア・インストルメント・マニュファクチャリング・カンパニー・インコーポレーテッド(Shore Instrument Mfg.Co.Inc.)から入手可能な、モデル・CV・スタンド・アンド・デュロメーター・タイプ・A・ASTM・D2240・ゲージ(Model CV Stand and Durometer Type A ASTM D2240 Gauge))を使用して、それぞれのサンプル片について3カ所でその初期硬度を試験器で読み取って、それらの値を平均した。
【0084】
粘度
レオメトリックス(Rheometrics)から入手可能なレオメトリックス(Rheometrics)RDA IIを用いて、粘度変化を測定した。接着剤を、直径25mmの平行プレートの間に、厚みが1mmになるように挟んだ。180℃における複素粘性率対温度および剪断速度で、データをプロットした。周波数1ラジアン/秒における粘度を報告した。
【0085】
静的剪断強さ試験
幅2.54cm(1インチ)×長さ約3.81cm(1.5インチ)のサンプルを試験物品から切り出し、溶媒洗浄(アセトンで1回、次いでヘプタンで3回洗浄)して乾燥させた、幅0.508cm(2インチ)×長さ7.62cm(3インチ)のタイプ304ステンレス鋼基材パネルの上に、サンプルがパネルの一端の中央に来るように押しつけた。長さ約10.16cm(4インチ)×幅約3.175cm(1.25インチ)×厚み0.0025cm(0.001インチ)のプライマー処理したポリエステルフィルムのシートを、ポリエステルフィルムのプライマー処理した側をサンプルにあててロール掛けすることにより、サンプルに付着させたが、それには2kg(4.5ポンド)硬質ゴムローラーを使用し、それぞれの方向に2パスずつロール掛けしたが、その際に、フィルムとサンプルの間に気泡が残らないように注意を払い、またポリエステルフィルムを約5.1cm(2インチ)だけパネルよりもはみ出させて、タブとして使用した。次いでパネルの上の積層物を切断して、長さ2.54cm(1インチ)とすると、得られる接着面積が2.54cm×2.54cm(1インチ×1インチ)となった。次いで5.1cm(2インチ)のタブを三角クリップのまわりに巻き付け、マスキングテープでくるみ、ステープルで留めて、その試験片に重りを取り付けられるようにした。室温において試験する場合には1000gの重りを用い、70℃(158゜F)で試験する場合には500gの重りを用いた。このようにして調製したサンプルを、室温、約50%相対湿度で、約24〜72時間保存した。次いでその試験片を、2度の角度で後ろ側に傾けた静的剪断標準ジグに取り付けた。次いでジグに取り付けた試験片について、室温(約22℃)、または70℃±3℃(158゜F)に設定した強制空気循環炉のいずれかにおいて試験した。高温での試験片は、10分間の予熱時間をおいた後に、500gの重りを取り付けた。試験片が破損するか、あるいは10,000分経過するまで試験を続けた。破損した時間を記録した。
【0086】
引張破壊強さおよび伸び試験(方法I)
引張および伸びは、ASTM D412−98a「スタンダード・テスト・メソッズ・フォア・バルカナイズド・ラバー・アンド・サーモプラスチック・エラストマーズ−テンション(Standard Test Methods for Vulcanized Rubber and Thermoplastic Elastomers−Tension)」に従って測定した。すでに片側にはライナーが取り付けてある物品の、露出表面にシリコーン剥離ライナーを貼り付けた。試験物品からダイEを用いて長さ方向にサンプルを切り出して、試験片とした。サンプルの厚みは、0.1kg(3.5オンス)の力と直径0.0635cm(0.25インチ)の脚部を有するエームス(AMES)ゲージを用いて、それぞれの試験片の中央部分で測定した。引張試験機は以下の条件に設定した:
掴み具間隔:8.89cm(3.5インチ)
クロスヘッド速度:51cm/分(20インチ/分)
ロードセル:45kg(100ポンド)
【0087】
初期のゲージ長は、測定機の掴み具の間隔を調節して8.89cm(3.5インチ)とし、サンプルを掴み具の間で水平方向の中央に取り付け、それぞれの掴み具でほほ等しい長さのサンプルを保持するようにした。そのサンプルを、クロスヘッド速度51cm/分(20インチ/分)で試験して、サンプルが破損するか、または測定機の最大伸び(101.6cm(40インチ))に達するまで続けた。引張強さをポンドの単位で測定し(後でキログラムに換算)、また伸びの距離を記録した。パーセント伸びは、伸びた距離を最初のギャップ距離で割って100倍することにより求めた。特に断らない限り、11個の反復試験片について試験を行い、それらを平均することにより、厚み、ピーク荷重、ピーク応力、ピーク応力時のパーセント(%)歪み、破断荷重、破断時%歪み、破断時エネルギー、およびモジュラスを得た。
【0088】
引張破壊強さおよび伸び(破断時)試験(方法II)
シリコーン剥離ライナーを、物品のライナーの無い側に貼り付けた。試験物品から長さ方向に、幅1.27cm(0.5インチ)×長さ約12.7cm(5インチ)のサンプルを切り出して、試験片とした。片側のライナーを剥がして、2.54cm(1.0インチ)の長さを測定して、試験片の中央部分に印を付けて、最初のギャップ距離とした。幅2.54cm(1インチ)×約7.62cm(3インチ)のマスキングテープ片を、テープの縁が両方のマークの上に来るような位置で発泡体物品を横切るように置いて、それによって、印を付けた長さ2.54cm(1インチ)の部分はテープで覆われないようにした。次いでもう一方のライナーを剥がし、マスキングテープで物品のまわりを完全に包み込み、マスキングテープが物品のまわりにきちんと配列されるようにした。このテープが使用された目的は、サンプルがインストロン(INSTRON)の掴み具に接着することを防ぐと共に、サンプルが掴み具で固定されているところで破損することを防ぐためである。インストロン(INSTRON)は以下の条件に設定した:
掴み具間隔:2.54cm(1.0インチ)
クロスヘッド速度:25.4cm/分(10インチ/分)
次いで試験片を、インストロン(INSTRON)の掴み具に取り付け、掴み具がマスキングテープの縁に並ぶようにした。サンプルをクロスヘッド速度25.4cm/分(10インチ/分)で試験し、サンプルが破損するまで続けた。引張破壊強さまたはピーク荷重をポンドの単位で記録し(後にキログラムに換算)、また、伸びの距離を記録した。破断時パーセント伸びは、伸びた距離を最初のギャップ距離で割って100倍することにより求めた。サンプル1つあたり1つの試験片を試験した。
【0089】
90度剥離接着力試験
幅が25.4mm(1インチ)または12.7mm(0.5インチ)で、長さが約127mm(5インチ)のサンプルを試験物品から切り出して、長さ約15.24mm(6インチ)×幅約28.6mm(1.125インチ)×厚み0.025mm(0.001インチ)のプライマー処理したポリエステルフィルムの上に積層したが、それには、ポリエステルフィルムのプライマー処理した側の上に物品を置いて、フィルムと物品との間に気泡が残らないよう注意しながら、ロール掛けした。幅12.7mm(0.5インチ)のサンプルも同様にして、長さ約152.4mm(6インチ)×幅約15.8mm(0.625インチ)×厚み0.025mm(0.001インチ)のプライマー処理したポリエステルフィルムに積層させた。次いでその積層物を、溶媒洗浄(アセトンで1回、次いでヘプタンで3回洗浄)して乾燥させた、幅51mm(2インチ)×長さ約127mm(5インチ)の6061−T6合金むき出しの標準アルミニウムパネルか、または溶媒洗浄(イソプロピルアルコールで3回洗浄)して乾燥させた、幅51mm(2インチ)×長さ約127mm(5インチ)のポリプロピレンパネルのいずれかの上に、積層物がパネルの中心に位置し、積層物の一部がパネルの外側にまではみ出ていてタブとして使用できるように、置いた。2kg(4.5ポンド)の硬質ゴムローラーを使用し、それぞれの方向に1パス押さえることにより、積層物をパネルの上にロール掛けした。パネルと積層物の間に気泡が残らないよう注意を払った。そのようにして調製したサンプルは、室温(約22℃)で約24時間保存した。次いでそのサンプルを室温(約22℃)において、下記の方法A(ポリプロピレンパネル用)または方法B(アルミニウムパネル用)により、90度剥離接着力の試験を行った。
【0090】
方法A:4.5kg(10ポンド)のロードセルを取り付けたアイマス(IMASS)試験機を使用して、クロスヘッド速度30cm/分(12インチ/分)の条件で、サンプルの試験を行った。最初の剥離長さ0.51cm(0.2インチ)において得られた剥離値は無視した。その次の5.08cm(2インチ)または「剥離領域(peel area)」における剥離値を、積分平均値として記録した。報告した数値は、3つの反復試験片の平均である。
【0091】
方法B:45kg(100ポンド)ロードセルを取り付けたシンテック5/GLインストロン(SINTECH 5/GL Instron)試験器を用い、クロスヘッド速度30cm/分(12インチ/分)の条件で、サンプルの試験を行った。最初の剥離長さ1.27cm(0.5インチ)において得られた剥離値は無視した。その次の89mm(3.5インチ)または「剥離領域」の積分平均剥離値を記録した。報告した数値は、3つの反復試験片の積分平均剥離接着力の値である。
【0092】
伸長剥離試験
幅12.5mm(0.5インチ)×長さ127mm(5インチ)の条片を試験サンプルから切り出したが、その条片の長い方がサンプルの長さ方向になるようにした。
【0093】
1つの条片を、幅50.8mm(2インチ)×長さ127mm(5インチ)のアルミニウムまたはガラスのパネルに積層したが、その条片がパネルの長い縁の一端からほぼ0.635cm(0.25インチ)のところにあり、条片のほぼ25.4mm(1.0インチ)がパネルの端からはみ出ているようにした。条片とパネルとの間で最大の浸潤性または接触が確保できるよう、注意を払った。100%の接触が達成できるのが望ましい。
【0094】
同様にして、異なった実施例からの条片を、ガラスパネルのもう一方の縁部に沿って積層させた。
【0095】
次いで、第二の同様のパネル(すなわち、アルミニウムに対してはアルミニウム、またはガラスに対してはガラス)を第一のパネルの上に直接積層させて、条片と第二のパネルの間に気泡が残らないようにした。接着させたサンプルを、室温(約22℃)で24時間〜72時間保存した。
【0096】
手を使って、試験用条片のフリーになっている端を実質的にパネルと平行の方向に約30cm/分(約12インチ/分)の速度で引っ張って、伸長剥離除去を開始させ、接着が破損するまで続けた。ガラスパネルの場合のみであるが、残分の存在を目視により調べて、破損モードを記録した。パネルから完全に除去されているならば、そのサンプルは「合格」と評価した。サンプルが完全には除去されていない場合は、そのサンプルは「不合格」と評価した。
【0097】
熱インピーダンス測定
開示された本発明の単一層の熱インピーダンスを、ASTM C−1114試験法「ステディ−ステート・サーマル・トランスミッション・プロパティーズ・バイ・ミーンズ・オブ・ザ・シン−ヒーター・アパラタス(Steady−State Thermal Transmission Properties by Means of the Thin−Heater Apparatus)」に従って、測定した。
【0098】
シン−ヒーター・アパラタス(Thin−Heater Apparatus)500の図を、図5に示す。
【0099】
小型の抵抗体502を薄板ヒーターとして使用した。用いた抵抗体は、表面積0.806cm2(0.125in2)を有するTO−220パッケージ中の10オーム抵抗体であった(たとえば、キャドック・エレクトロニクス(Caddock Electronics)MP930)。抵抗体の背部に小さな穴をあけて、その中に細線熱電対504を挿入して、熱側の温度Thを測定した。
【0100】
精密電力供給装置506(たとえば、ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)E3611A)から、電流と電圧を設定することにより、既知の電力、Qを供給した(電力=電流×電圧)。試験サンプル508を、薄板ヒーターと冷アルミニウム試験ブロック510の間の使い捨ての試験表面509の上に置いたが、その試験ブロック510は、冷却ブロック511に冷水を通すことによって冷却した。冷試験ブロックでは、熱電対512を用いて冷側温度Tcを測定した。抵抗体に電力を供給し、抵抗体の温度が平衡に達するようにした。温度ThとTcとを記録し、インピーダンスと熱伝導度を、ASTM C1114に従い、次式の関係を用いて計算した:
A=薄板ヒーターの面積
電力、Q=供給電圧×電流
熱流束速度、q=Q/A
デルタT=Th−Tc
伝熱抵抗(R)=デルタT/q
熱インピーダンス(Zuncorr.)=R×A
【0101】
熱インピーダンスは、抵抗体の上側(水平)表面(ただしサンプルの横側は無視)からの各種熱損失について補正し、それをZcorr.として報告した。
corr.=Zuncorr.−[抵抗体の対流熱損失値×(抵抗体表面温度Th−室温)]
ここで、TO−220型抵抗体の場合の対流熱損失値は、0.011ワットである。
【0102】
さらなる説明は、「ファクターズ・アフェクティング・コンベクション・ヒート・トランスファー(Factors Affecting Convection Heat Transfer)」、ヒート・トランスファー(Heat Transfer)、ワットロー・エデュケーション・シリーズ(Watlow Education Series)、第1冊、1995、p.16〜17の記事に見出すことができる。対流熱損失値は、試験抵抗体の大きさをもとに、p.17の図17から求めた。
【0103】
バルク熱伝導率測定
バルク熱伝導率(k)には、インピーダンスプロット法を用いた。異なった厚みで材料を押出し加工するか、あるいは単一のサンプルの多重層を組み合わせて異なった厚みにするか、のいずれかにより、サンプルを得た。
【0104】
異なった厚みのサンプルについて、上記の試験方法に従って、熱インピーダンス(Zcorr.)を測定した。次いでそのデータをプロットすることにより、界面インピーダンスの有限値を得た。このプロット法は、次式で表すことができる:
corr.=Zinterface+t/k
【0105】
図6に見られるように、補正熱インピーダンス(Zcorr.)を厚み(t)に対してプロットすることで、勾配=1/kで、t=0における切片がZinterfaceに等しい直線が得られる。次いで、バルク熱伝導率(k)をその直線の勾配から計算した。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例1〜4
膨張性高分子ミクロスフェア(F−100D)を用い、熱伝導性充填剤の量を変化させて、4種のアクリル系TIMを調製した。それぞれの組成物を数種類の厚みでコーティングした。
【0108】
感圧接着剤A(PSA−A)の調製:
95部の2−EHA、5部のAA、0.15部のIRG651、および0.02部のIOTGを混合することにより、感圧接着剤組成物を調製した。
【0109】
その組成物を、おおよそ100mm×50mm×5mm(厚み)の大きさのVA−24フィルムパッケージの中に入れ、水浴に浸漬し、米国特許第5,804,610号明細書の記載に従って、UV照射に暴露させた。PSA−Aの粘度は、上述の試験法に従って測定すると3980.73ポワズ(P)であった。この接着剤は、約700,000〜約1,200,000の重量平均分子量(MW)を有していると考えられる。PSA−Aの密度は0.98g/ccであった。
【0110】
TIMの調製:
51mm単軸スクリュー押出機(ボノ(Bonnot)製)を介して、PSA−Aを、スクリュー速度設定200rpm(実際の速度約176rpm)で運転している、4つのポートを有する30mm同方向回転2軸押出機(ウェルナー・プライデラー(Werner Pfleiderer)製)のバレルセクション1のフィードポートに供給した。ボノ(Bonnot)押出機の中のすべてのゾーンで、温度を149℃(300゜F)に設定した。表1に示された熱伝導性充填剤(表1に示されているのは、PSA−Aと熱伝導性充填剤との合計100重量部あたりの重量部)を、乾燥固体として一時に、2軸スクリュー押出機のバレルセクション5にあるフィードポートに添加したが、このときの熱伝導性充填剤とPSA−Aとを合計した流量は、約3.18kg/hr(7ポンド/hr)であった。PSA−Aの100重量部あたり0.5重量部の濃度で、F−100Dミクロスフェアを、バレルセクション7の下流側に添加した。2軸スクリュー押出機の中の6つの温度ゾーンすべてにおいて、温度を93.5℃(200゜F)に設定した。バレルセクション9の中のポートを通して、真空(約−77.9±10.2ニュートン/平方メートル(N/m2)(水銀(Hg)柱−23±3インチ)の範囲)をかけた。押出機アダプターと押出機の出口端にあるフレキシブルホースの温度はすべて113℃(235゜F)に設定した。公称10.3cc/rev、温度設定113℃(235゜F)の、加熱ゼニス(Zenith)溶融ポンプを用いて流量を調節した。
【0111】
その押出し物は、加熱ホースを介して、幅15.24cm(6インチ)で、ギャップを約0.114cm(0.045インチ)とした単層ドロップダイにポンプ輸送した。ダイの温度は182℃(360゜F)に設定した。ライン速度を調節して、表1に示したような目標厚みが得られるようにした。
【0112】
押出したシートは、2枚のシリコーンコーティングポリエステル剥離ライナーの間に挟んで、2本の冷却ロール(1本は金属、1本はゴム)で形成されるニップの中に流し込んだ。冷却ロールの温度は7.5℃(45゜F)に設定した。それぞれのライナーは、厚みが0.051mm(0.002インチ)の、両面をシリコーンコーティングポリエステルライナーであって、それぞれの面に異なった剥離剤原料(5035と7200と同定された)を有するものであって、イリノイ州ウィロウブルック(Willowbrook,IL)のDCP−ロージャ・インコーポレーテッド(DCP−Lohja Inc.)から、2−2PESTR(P2)−5035アンド7200として入手可能なものである。押出したシートは、一方のライナーの7200側と、もう一方のライナーの5035側とに接触させた。押出したシートと接触させた7200剥離剤原料を有するライナーを取り除き、得られた物品をロールに巻き上げて、次の架橋に用いた。
【0113】
【表2】

【0114】
長さ約0.46メートル(m)(18インチ)の2本の試験片を上述のサンプルロールから切り出した。2−2PESTR(P2)−5035アンド7200剥離ライナーを、それぞれの試験片のカバーされていない側に注意深く積層したが、ここでは、7200シリコーンでコーティングされている側をカバーされていない側に接触させた。次いで、両側にライナーを有するこの押出したシートを、以下に述べるようにして、ガンマ線照射にかけた。
【0115】
サンプルは、ガンマ線処理ユニット(リサーチ・ループ・オブ・パナソニック・インダストリアル・イラディエーター(Research Loop of Panasonic Industrial Irradiator)JS7500、コバルト60ウェット・ストレージ(Wet Storage)、カナダ国オンタリオ州カノータ(Kanota,Ontario,Canada)のM.D.S.ノーディオン(M.D.S.Nordion)から入手可能)の中を通過させた。それぞれの試験片は、実測で31.6〜36.4キログレイ(kGy)の間のガンマ線量を受けた(目標線量30kGy)。
【0116】
次いで得られた物品の物理的性質を試験したが、その試験法については先に述べた。実施例1〜4のバルク熱伝導率はそれぞれ、0.82、0.95、0.60、および0.85ワット/メートル・Kであった。
【0117】
結果を表2に示す。
【0118】
【表3】

【0119】
実施例5
発泡剤としても機能する2種の熱伝導性充填剤のブレンド物を使用して、アクリル系サーマル・インターフェース組成物を調製した。
【0120】
サーマル・インターフェース組成物の調製:
サーマル・インターフェース組成物を、実施例1〜4にならって調製したが、ただし、伝熱性充填剤は82重量部のSiCと18重量部のBNのドライブレンド物であり、膨張性高分子ミクロスフェアは使用しなかった。
【0121】
【表4】

【0122】
実施例1〜4と同様にして、それらのサンプルをガンマ線照射にかけた。
【0123】
次いでTIMについて、先に述べた試験法に従って物理的性質を試験した。実施例5のバルク熱伝導率は、0.97ワット/メートル・Kであった。
【0124】
結果を表4に示す。
【0125】
【表5】

【0126】
実施例6
実施例5の2種の熱伝導性充填剤のブレンド物を用いて、熱可塑エラストマー性TIMを調製した。炭化ケイ素もまた化学的発泡剤として働いた。PSA組成物の予備混合は行わなかった。その組成物を数種類の厚みでコーティングした。得られた物品には照射はしなかった。
【0127】
TIMの調製:
100部のクレイトン(Kraton)D1107を、実施例1〜4の2軸スクリュー押出機のバレルセクション1の中のフィードポートに、2.60kg/hr(5.73ポンド/hr)の供給速度で添加した。179部のウィングタック・プラス(WINGTACK PLUS)接着性付与樹脂を、ヘリコン・ミキサー(Helicon Mixer)(タンク設定温度149℃(300゜F)、ポンプおよびホース設定温度163℃(325゜F))の中で溶融させ、バレルセクション3の中のフィードポートへ、供給速度1.87kg/hr(4.11ポンド/hr)でポンプ注入した。23部のシェルフレックス(SHELLFLEX)371Nオイルを、バレルセクション5の中のフィードポートへ、ゼニス(Zenith)ポンプを使用して、供給速度0.24kg/hr(0.528ポンド/hr)で添加した。接着剤(すなわち、クレイトン(Kraton)D1107、ウィングタック・プラス(WINGTACK PLUS)接着性付与樹脂、およびシェルフレックス(SHELLFLEX)371N)を合計した流量は約3.18kg/hr(7ポンド/hr)であった。接着剤の密度は0.96g/ccであった。
【0128】
表5に示した熱伝導性充填剤と3部のイルガノックス(IRGANOX)1010をドライブレンド物として一時に、バレルセクション5中のフィードポートに、流量2.60kg/hr(5.73ポンド/hr)で添加した。
【0129】
2軸スクリュー押出機の中の6つの温度ゾーンの設定は次の通りであった:ゾーン1は149℃(300゜F)、ゾーン2は154.4℃(310゜F)、ゾーン3〜6は160℃(320゜F)。バレルセクション9の中のポート全体に、真空(約−77.9±10.2N/m2(水銀(Hg)柱−23±3インチ)の範囲)をかけた。押出機アダプターと押出機の出口端にあるフレキシブルホースの温度は160℃(320゜F)に設定した。公称10.3cc/rev、温度設定160℃(320゜F)の、加熱ゼニス(Zenith)溶融ポンプを用いて流量を調節した。
【0130】
その押出し物を、実施例1〜4の単層ドロップダイへ加熱ホースを介してポンプ輸送した。ダイの温度は、163℃±14℃(325゜F±25゜F)に設定した。ライン速度を調節して、表5に示したような目標厚みが得られるようにした。押出したシートは、実施例1〜4のように2枚のシリコーンコーティングポリエステル剥離ライナーの間に挟んで、2本の冷却ロール(1本は金属、1本はゴム)で形成されるニップの中に流し込んだ。冷却ロールの温度は7.5℃(45゜F)に設定した。1枚のライナーを除去して、得られた物品をロールに巻き取った。
【0131】
【表6】

【0132】
次いでTIMについて、先に述べた試験法に従って物理的性質を試験した。結果を表6に示す。密度を計算するために、熱伝導性充填剤を含まない熱可塑エラストマー性接着剤の密度を測定すると、0.96g/ccであった。実施例6のバルク熱伝導率は、0.84ワット/メートル・Kであった。
【0133】
【表7】

【0134】
実施例7
サーマル・インターフェース組成物の調製:
各種の熱伝導性充填剤を用いて、アクリル系サーマル・インターフェース組成物を調製した。
【0135】
感圧接着剤B(PSA−B)の調製:
感圧接着剤組成物(PSA−B)を、PSA−Aの調製にならって調製したが、ただし、95部の2−EHA、5部のAA、および0.02部のIOTGに代えて、97部の2−EHA、3部のAAおよび0.01部のIOTGを使用した。上述の試験法に従って試験したPSA−Bの粘度は、2215.2Pであった。この接着剤は、約800,000〜約1,300,000の重量平均分子量(MW)を有していると考えられる。PSA−Bの密度は0.98g/ccであった。
【0136】
TIMの調製:
PSA−Bを、実施例1〜4のボネ(Bonnet)押出機を介して、同方向回転2軸押出機(40mmのベルシュトーフ(Berstorff)ZE−40、L/D=40、10バレル)のバレル1の中へ、供給速度4.55kg/hr(10ポンド/hr)で供給した。ゾーン1の温度設定を135℃(275゜F)とした以外は、ボノ(Bonnot)押出機の温度ゾーンはすべて149℃(300゜F)に設定した。熱伝導性充填剤は乾燥固形物として、重力フィーダー(ニューヨーク州ピットマン(Pitman,NY)のK−トロン(K−Tron)の、K−トロン(K−Tron)モデルT20)を用いて、2軸スクリュー押出機のバレル2および4に、それぞれ2.27kg/hr(4ポンド/hr)および2.73kg/hr(6ポンド/hr)の供給速度で、供給した。下記の表7に、添加した伝熱性フィラーの量とタイプを示す。このような分散供給方法を採用したのは、満足のいくレベルで、低嵩密度の充填剤を必要な担持量とするためである。さらに、余分な空気の取り込みを避けるために、垂直落下距離を可能な限り短くした。それぞれの押出しスクリューは、自己ワイピング式で、角形チャネル(square channel)、可変ピッチ(60mm、40mm、および30mm)のダブルフライト搬送要素からなるものであった。そのスクリューにはさらに、長さ50mmの5枚パドルの混練ブロックが含まれ、(1)先送り(LI)方向に45度、(2)逆送り(RE)方向に45度、または(3)中立パターンの90度と、3つの異なった配列のオフセットが与えられている。スクリューの最初の370ミリメートルは、先送り用の自己ワイピング式要素(ピッチ、30および60)からなるものであった。第一の混練セクションはスクリューの370〜520mmの間に位置し、先送り、中立、および逆送り混練ブロックからなっていた。輸送セクション(520〜770mm)およびもう1つの混練セグメント(770〜920mm)がそれに続く。この混練セクションは、2つの先送りブロックとその後の逆送りブロックからなっていた。スクリューの残りの部分(920〜1600mm)は、自己ワイピング式および各種のピッチの角形チャンネル先送り要素からなるが、一般にはピッチは下げていく(60mm、40mm、30mm)。この2軸スクリュー押出機の運転条件は、スクリュー速度の設定点が200rpm(実際の速度約200rpm)で、温度はすべてのゾーンにおいて125℃(257゜F)であった。真空(約−94.81kN/m2(水銀(Hg)柱−28インチ)をゾーン8にある開放ポートからかけて、揮発分および/または水分をすべて除去した。スクリューの設計のところで述べたように、その真空領域には大きなピッチの先送り要素を使用して、充填度を下げ、それによってポリマーの表面積を最大化した。押出し物を、公称10.3cc/revで温度設定が125℃(257゜F)の加熱したノルマグ(Normag)溶融ポンプを介してポンプ輸送し、154.4℃(310゜F)に温度設定した直径1.905cm(0.75インチ)のステンレス鋼製ネックチューブを通して、幅4.17cm(10インチ)で、0.102cm(0.040インチ)のギャップを有する3層クルーレン(Cloeren)ドロップダイ(テキサス州オレンジ(Orange,TX)のクルーレン・カンパニー(Cloeren Company)から入手可能)の中間/中心層へ送った。ダイの温度は177℃(350゜F)に設定した。ライン速度を調節して、表7に示したような目標厚みが得られるようにした。
【0137】
【表8】

【0138】
押出したシートを、実施例1〜4の両面をシリコーンコーティングしたポリエステルライナーの上にキャスティングし、冷却キャスティングロールと接触させた。シートは、2−2PESTR(P2)−5035アンド7200剥離ライナーの5035側の上にキャスティングした。キャストロールの温度は7.5℃(54゜F)に設定した。得られた物品をロールに巻き上げて、次の架橋に用いた。
【0139】
長さ約0.46メートル(18インチ)の8本の試験片を上述のサンプルロールから切り出した。2−2PESTR(P2)−5035アンド7200剥離ライナーを、それぞれの試験片のカバーされていない側に注意深く積層したが、ここでは、7200シリコーンでコーティングされている側をカバーされていない側に接触させた。次いで、両側にライナーを有するこの押出したシートを、以下に述べるようにして、ガンマ線照射にかけた。
【0140】
サンプルをガンマ線照射にかけたが、それには、実施例1〜4のガンマ線処理ユニットの中を通過させた。それぞれ2つのサンプル片を、約30kGy(31.6〜31.7kGy)、45kGy(44.4〜45.9kGy)、または60kGy(58.8〜59.7kGy)の間の目標(実測)ガンマ線量で照射した。
【0141】
そのようにして得られた物品を、次いで、上述の試験方法に従って、物理的性質および接着性能についての試験を行った。得られた結果を表8および9に示す。使用した試験方法は、引張破壊強さおよび伸び試験(方法I)であった。
【0142】
【表9】

【0143】
【表10】

【0144】
実施例8〜9
その場でのミクロ繊維形成により得られる、伸長剥離特性を有するアクリル系サーマル・インターフェース組成物を、イグザクト(Exact)3040の量を変化させて調製した。それぞれの組成物を数種類の厚みでコーティングした。
【0145】
TIMの調製:
実施例7のPSA−Bを、実施例1〜4のボノ(Bonnot)押出機を介して、供給速度1.95kg/hr(4.28ポンド/hr)で、スクリュー速度設定点225rpm(実際の速度約201rpm)で運転している、実施例1〜4の2軸スクリュー押出機のバレルセクション3にあるフィードポートに供給した。ボノ(Bonnot)押出機の中のすべてのゾーンで、温度を149℃(300゜F)に設定した。表10に記載の熱伝導性充填剤(PSA−Bと熱伝導性充填剤との合計の100重量部あたり、表10に記載の重量部で)を乾燥固形物として一時に、実施例1〜4の2軸スクリュー押出機のバレルセクション1にあるフィードポートに添加した。
【0146】
25重量パーセントのイグザクト(Exact)3040を含む実施例では、熱伝導性充填剤とイグザクト(Exact)3040の供給速度はそれぞれ、2.12kg/hr(4.67ポンド/hr)と0.65kg/hr(1.43ポンド/hr)であった。30重量パーセントのイグザクト(Exact)3040を含む実施例では、熱伝導性充填剤とイグザクト(Exact)3040の供給速度はそれぞれ、2.27kg/hr(5.00ポンド/hr)と0.83kg/hr(1.83ポンド/hr)であった。100重量部のPSA−Bあたり0.93重量部の濃度で、F−100Dミクロスフェアを、バレルセクション7の下流側に、供給速度0.3g/分で添加した。
【0147】
2軸スクリュー押出機内の6つの温度ゾーンはすべて、その設定温度を149℃(300゜F)としたが、ゾーン4だけは例外で、93.5℃(200゜F)に設定した。バレルセクション10の中のポートを通して、真空(約−77.9±10.2N/cm2(水銀(Hg)柱−23±3インチ)の範囲)をかけた。3つの押出機アダプターの中の温度は149℃(300゜F)であり、押出機の出口端にあるフレキシブルホースはすべて165.5℃(330゜F)に設定した。公称10.3cc/rev、温度設定149℃(300゜F)の、加熱ゼニス(Zenith)溶融ポンプを用いて流量を調節した。
【0148】
その押出し物を、実施例1〜4の単層ドロップダイへ加熱ホースを介してポンプ輸送した。ダイの温度は182℃(360゜F)に設定した。ライン速度を調節して、表10に示したような目標厚みが得られるようにした。
【0149】
押出したシートは、実施例1〜4のように2枚のシリコーンコーティングポリエステル剥離ライナーの間に挟んで、2本の冷却ロール(1本は金属、1本はゴム)で形成されるニップの中に流し込んだ。冷却ロールの温度は7.5℃(45゜F)に設定した。実施例1〜4のように一方のライナーを取り除き、得られた物品をロールに巻き上げて、次の架橋に用いた。
【0150】
【表11】

【0151】
得られたロールをガンマ線照射にかけたが、その実測ガンマ線量は33.4〜35.3kGyの間であった(目標は30kGy)。
【0152】
照射させたロールからサンプルを切り出して、先に述べた試験方法に従って物理的性質および接着性能の試験を行ったが、Dtheor.だけは例外で、これについては、発泡性ミクロスフェアの寄与が無視できると考えられるので、計算には含めなかった。結果を表11および12に示す。使用した試験方法は、引張破壊強さおよび伸び試験(方法II)であった。
【0153】
【表12】

【0154】
【表13】

【0155】
本発明の好ましい実施態様について各種の特徴を詳細に記述してきたが、それらの特徴および記載した実施態様を変化させることが可能であることは、当業者には明かであろう。そのような変化または修正は、以下の特許請求の範囲に記載されているような本発明の範囲と精神に含まれるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明のサーマル・インターフェース材料を示す透視図である。
【図2】第二のサーマル・インターフェース材料を示す透視図である。
【図3】熱伝導性接着剤層と組み合わせた連続フィルムを特徴とするサーマル・インターフェース材料の透視図である。
【図4】本発明による物品を調製するための押出し加工機の概略図である。
【図5】実施例において使用した薄板ヒーター試験装置の概略図である。
【図6】実施例においてバルク熱伝導率を計算するために使用した、熱インピーダンス(Zcorr.)対厚み(t)のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡フィルムを含む発泡サーマル・インターフェース材料であって、前記発泡フィルムが、25,000を超える数平均分子量を有する高分子ホットメルトPSAと、少なくとも25重量パーセントの熱伝導性充填剤とのブレンド物を含み、前記フィルムが、前記発泡フィルムの容積の少なくとも5パーセントのボイド容積を有する、発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項2】
25,000を超える数平均分子量を有する高分子ホットメルトPSAと、少なくとも25重量パーセントの熱伝導性充填剤と、有効量の発泡剤とを含む、サーマル・インターフェース組成物。
【請求項3】
前記発泡フィルムが、難燃剤および/または実質的に連続のミクロ繊維をさらに含む、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項4】
前記材料が伸長剥離特性を有する、請求項3に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項5】
伸長剥離特性を付与する前記ミクロ繊維が、その場で形成されたものである、請求項4に記載のサーマル・インターフェース材料。
【請求項6】
前記材料がUL94V−2グレードに合格する、請求項3に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項7】
前記ボイド容積が、前記材料の5〜75容積パーセントの範囲内である、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項8】
前記熱伝導性充填剤が、セラミックス、金属酸化物、金属水酸化物、およびそれらの組合せ、からなる群より選択される、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料または請求項2に記載のサーマル・インターフェース組成物。
【請求項9】
前記高分子ホットメルトPSAが、アクリル樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム/樹脂、ブロックコポリマー、またはポリ−アルファ−オレフィン接着剤から選択される、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料または請求項2に記載のサーマル・インターフェース組成物。
【請求項10】
前記熱伝導性充填剤が、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、酸化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの組合せ、からなる群より選択される、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料または請求項2に記載のサーマル・インターフェース組成物。
【請求項11】
前記熱伝導性充填剤が、前記発泡フィルム中に、少なくとも40重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項12】
前記熱伝導性充填剤が、前記発泡フィルム中に、少なくとも60重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項13】
前記発泡フィルムに隣接したバッキングをさらに含む、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項14】
前記バッキングが熱伝導性である、請求項13に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項15】
前記発泡フィルムの少なくとも一部に貼り付けた、少なくとも1層の接着性スキン層をさらに有する、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項16】
前記少なくとも1層の接着性スキン層が熱伝導性充填剤を含む、請求項15に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項17】
前記熱伝導性充填剤が、前記発泡フィルム中に、前記接着性スキン層中の熱伝導性充填剤の量よりも多い量で存在する、請求項16に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項18】
少なくとも約0.5ワット/メートル・Kのバルク熱伝導率を有する、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項19】
少なくとも約0.6ワット/メートル・Kのバルク熱伝導率を有する、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項20】
少なくとも約0.8ワット/メートル・Kのバルク熱伝導率を有する、請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項21】
前記発泡剤が、発泡性ミクロスフェア、物理的発泡剤、化学的発泡剤、およびそれらの組合せ、からなる群より選択される請求項2に記載のサーマル・インターフェース材料。
【請求項22】
アルミニウムに対する90度剥離接着力が約0.0438kN/mであり、ショアーA硬度が約60未満である、請求項4に記載の発泡サーマル・インターフェース材料。
【請求項23】
電気構成要素からヒートシンク材料へ熱を伝達させる方法であって:
請求項1に記載の発泡サーマル・インターフェース材料を準備する工程;および
前記発泡サーマル・インターフェース材料が前記電気構成要素と前記ヒートシンク材料との間に存在するように前記発泡サーマル・インターフェース材料を電気構成要素およびヒートシンク材料と接触させる工程、
を含む方法。
【請求項24】
発泡サーマル・インターフェース材料を調製するための方法であって:
(a)感圧接着剤ポリマー、熱伝導性粒子、および発泡剤を溶融混合し、膨張性の成形性組成物を形成する工程;
(b)前記発泡剤を活性化させる工程;
(c)前記成形性組成物を、外部表面を有する発泡ポリマーフィルムに成形する工程;および
(d)場合により、前記発泡ポリマーフィルムの外部表面の上に熱伝導性接着剤組成物を塗布する工程、
を含む方法。
【請求項25】
照射を用いて前記発泡サーマル・インターフェース材料を架橋させる工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記照射が、ガンマ線、X線、および電子ビーム照射からなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ミクロ繊維形成材料または難燃剤、またはその両方を溶融混合する工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−526687(P2006−526687A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509974(P2006−509974)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011355
【国際公開番号】WO2004/108851
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】