説明

熱処理装置および半導体装置の製造方法

【課題】高精度なプロセス処理および高い安全性を実現することができる熱処理装置及び基板の製造方法を提供する。
【解決手段】熱処理装置10は、基板を処理する反応管42と、反応管42を支持するマニホールド44と、反応管42の周囲に設けられ反応管42内を加熱するヒータ46と、ヒータ46より下方の反応管42の側方を囲うように設けられる囲い部500と、囲い部500と反応管42との間の間隙506を強制排気する排気装置301と、反応管42とマニホールド44との間の当接部に設けられる密閉部材150と、を有し、囲い部500には、排気装置が囲い部500の外側の雰囲気を間隙506へ吸気する吸気口501が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやガラス等の基板を製造する熱処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板を熱処理するための熱処理装置として、縦型熱処理装置が広く用いられている。この従来の縦型熱処理装置は、反応炉を有する。反応炉内でウエハを処理する際には、密封された反応炉内に導入されたガス環境下で所定の温度に加熱されることにより、所定のプロセスが実施される。
【0003】
このときの反応炉の環境(ガスの純度)は重要である。通常、反応炉(反応管内)は、炉外(大気)に対して陰圧となるように制御されている。この場合、例えば反応管とマニホールドとのシール部(当接部)にリーク(漏れ)があると、反応炉外から炉内へ大気が流入する。このように、炉内のガス環境に大気や不純物が混入すると、所望のプロセスが実施できず、処理されたウエハは、所望する性能を得ることができない。
【0004】
また、装置トラブル等によって、一時的に反応炉内に大量のガス等が流入した場合や、ガス排気口などが閉塞した場合、反応炉内は、反応炉外(大気圧)に対して陽圧となる。この場合、反応管とマニホールドとの間にリーク(漏れ)があると、反応炉内から反応炉外へ処理ガスが漏洩する。このプロセス処理に用いる処理ガスは、毒性や爆発の危険性を有するものを用いる場合もあるので、反応炉外(大気)への漏洩があってはならない。すなわち、反応炉外から反応炉内および反応炉内から反応炉外へのガスリークはあってはならない。
【0005】
そこで、上述した反応管とマニホールドとの間を密封(シール)するために当接部にはリング状の溝に不活性ガスを供給し、該溝内を反応室、反応室外よりも圧力を高く(正圧)して、反応炉内からのガス漏れ、反応炉外への外部ガスの浸入を抑制していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-16532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このシールでも不完全なシールとなっていたため、少なからずとも、反応炉内からのガス漏れ、反応炉外への外部ガスの浸入が発生してしまう。そのため、所望のプロセスが実施できなかったり、危険度が高まったりという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、高精度なプロセス処理および高い安全性を実現することができる熱処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する反応管と、前記反応管を支持するマニホールドと、前記反応管の周囲に設けられ前記反応管内を加熱するヒータと、前記ヒータより下方の前記反応管の側方を囲うように設けられる囲い部と、前記囲い部と前記反応管との間の間隙を強制排気する排気装置と、前記反応管と前記マニホールドとの間の当接部に設けられる密閉部材と、を有し、前記囲い部には、前記排気装置が前記囲い部の外側の雰囲気を前記間隙へ吸気する吸気口が設けられる熱処理装置が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、
マニホールドに支持された反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管内で基板を熱処理する工程と、
熱処理後の基板を前記反応管より搬出する工程と、を有し、
前記反応管と前記マニホールドとの間の当接部が密閉部材で密閉され、前記反応管の側方を囲う囲い部が設けられ、該囲い部には吸気口が設けられ、少なくとも前記熱処理工程では、前記反応管と前記囲い部との間の雰囲気を強制排気し、前記吸気口から前記間隙へ吸気する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高精度なプロセス処理及び高い安全性を実現することができる熱処理装置を提供及び半導体装置の製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態に用いた熱処理装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に用いた反応炉を示す縦断面図である。
【図3】図3に強制冷却部600周辺各部に用いられる部品の斜視図を示す。
【図4】本発明の第二の実施形態に用いた反応炉を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の第一の実施形態に係る熱処理装置10の一例を示す。この熱処理装置10は、バッチ式縦型熱処理装置であり、主要部が配置される筺体12を有する。この筺体12の正面側には、ポッドステージ14が接続されており、このポッドステージ14にポッド16が搬送される。ポッド16には、例えば25枚の基板が収納され、図示しない蓋が閉じられた状態でポッドステージ14にセットされる。
【0014】
筺体12内の正面側であって、ポッドステージ14に対向する位置には、ポッド搬送装置18が配置されている。また、このポッド搬送装置18の近傍には、ポッド棚20、ポッドオープナ22及び基板枚数検知器24が配置されている。ポッド棚20はポッドオープナ22の上方に配置され、基板枚数検知器24はポッドオープナ22に隣接して配置される。ポッド搬送装置18は、ポッドステージ14とポッド棚20とポッドオープナ22との間でポッド16を搬送する。ポッドオープナ22は、ポッド16の蓋を開けるものであり、この蓋が開けられたポッド16内の基板枚数が基板枚数検知器24により検知される。
【0015】
さらに、筺体12内には、基板移載機26、ノッチアライナ28及び支持具(ボート)30が配置されている。基板移載機26は、例えば5枚の基板を取り出すことができるアーム(ツィーザ)32を有し、このアーム32を動かすことにより、ポッドオープナ22の位置に置かれたポッド、ノッチアライナ28及び支持具30間で基板を搬送する。ノッチアライナ28は、基板に形成されたノッチまたはオリフラを検出して基板のノッチまたはオリフラを一定の位置に揃えるものである。
【0016】
さらに、筺体12内の背面側上部には反応炉40が配置されている。また、反応炉40の下部には支持具30を反応炉40内に搬入(挿入)及び搬出(反応管42内から引き出す)するボート昇降制御装置(図示しない)が配設される。このボート昇降制御装置により、反応炉40内に複数枚の基板を装填した支持具30が搬入され、熱処理が行われる。
【0017】
図2に第一の実施形態にかかる反応炉40の一例を示す。この反応炉40は、炭化珪素(SiC)製の反応管42を有する。この反応管42は、上端部が閉塞され下端部が開放された円筒形状をしており、開放された下端部はフランジ状に形成されている。この反応管42等に用いられるSiC製の部材は、強度と寸法的な制約から、溝を切る等の加工を施すのは難しく、この反応管42においても溝加工等はなされていない。反応管42の下端部はフランジ状に形成されている。
【0018】
また、この反応管42の下方には反応管42を支持する金属製のマニホールド(炉口マニホールド)44が配置される。なお、このマニホールド44は、石英製で構成されても良い。このマニホールド44は、上端部と下端部が開放された円筒形状をしており、開放された上端部と下端部はフランジ状に形成されている。マニホールド44の上端部フランジの上面と反応管42の下端部フランジの下面との間に密閉部材としてのOリング150が挟まれて設けられている。反応管42とマニホールド44により処理室201が形成される。また、反応管42の上方周囲には、ヒータ46が配置されている。このヒータ46は、反応管42内を加熱する。このヒータ46はヒータベース460に支持されている。
【0019】
ヒータ46には、ヒータ46の内部の温度を検出する温度検出器としての温度センサ263が複数設置されている。温度センサ263としては、例えば、放射温度計やR型、B型熱電対等が用いられる。ヒータ46と温度センサ263には、電気的に温度制御部238が接続されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ46への通電具合を調整することにより処理室201内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0020】
反応炉40の下部は、支持具30を挿入するために開放され、この開放部分(炉口部)は炉口シールキャップ48が密閉部材としてのOリング50を挟んでマニホールド44の下端部フランジの下面に当接することにより密閉されるようにしてある。炉口シールキャップ48は、例えば石英で構成される石英ベース68と、この石英ベース68の受けとなる金属製のベース受け70とを有する。炉口シールキャップ48は、石英ベース68により支持具30を支持し、支持具30と共に昇降可能に設けられている。炉口シールキャップ48の石英ベース68と支持具30との間には、断熱筒52と、複数枚の断熱板とそれら断熱板を支持する断熱板ホルダで構成される断熱部材152と、が設けられている。尚、断熱筒52と断熱部材152とは、断熱筒52を設けずに、断熱部材152のみで構成されても良いし、断熱部材152を設けずに断熱筒52のみで構成されても良い。支持具30は、反応管42内で複数枚の基板54を水平姿勢で隙間をもって多段に積層支持している。
【0021】
マニホールド44には、マニホールド44と一体にガス供給口56とガス排気口59とが設けられている。ガス供給口56にはガス導入管60が、ガス排気口59には排気管62がそれぞれ接続されている。マニホールド44の内壁は、反応管42の内壁よりも内側にあり(突出しており)、マニホールド44の側壁部(肉厚部)には、ガス供給口56と連通し、垂直方向に向かうガス導入経路64が設けられ、その上部にはノズル取付孔が上方に開口するように設けられている。このノズル取付孔は、反応管42の内部におけるマニホールド44の上端部フランジ側の上面に開口しており、ガス供給口56およびガス導入経路64と連通している。このノズル取付孔にはノズル66が挿入され固定されている。すなわち、反応管42内部におけるアダプタ44の反応管42の内壁よりも内側に突出した部分の上面にノズル66が接続されることとなる。この構成により、ノズル接続部は熱で変形しにくく、また破損しにくい。また、ノズル66とアダプタ44の組立て、解体が容易になるというメリットもある。ガス導入管60からガス供給口56に導入された処理ガスは、アダプタ44の側壁部に設けられたガス導入経路64、ノズル66を介して反応管42内に供給される。なお、ノズル66は、反応管42の内壁に沿って基板配列領域の上方(支持具30の上方)まで延びるように構成される。尚、ガス導入経路64、ノズル66は複数設けられるように構成されても良い。また、ノズル取付孔を上方に開口することなく、ノズル取付孔をマニホールド44の側方に開口し、別体にアングル形状のノズルサポートを設けてこのノズルサポートにノズル取付孔を上方に開口するように構成されても良い。
【0022】
ガス導入管60には、ガス供給管232が接続されている。ガス供給管232のガス導入管60との接続側と反対側である上流側には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241を介して図示しない処理ガス供給源や不活性ガス供給源が接続されている。MFC241には、ガス流量制御部235が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0023】
また、排気管62のマニホールド44との接続側と反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ245および圧力調整装置242を介して真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。圧力調整装置242および圧力センサ245には、圧力制御部236が電気的に接続されており、圧力制御部236は圧力センサ245により検出された圧力に基づいて圧力調整装置242により処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0024】
次に、上述した反応管42の側壁を冷却する強制冷却部600について説明する。
【0025】
図3に強制冷却部600周辺各部に用いられる部品の斜視図を示す。
図2、図3に示すように、ヒータベース460の下面には、第一遮熱部材503を保持する保持部507が設けられている。保持部507は、第一保持部5071と第二保持部5072とで円弧状に2つに分離されており、第一保持部5071と第二保持部5072とを接合させることで全体として環状に形成されている。第一保持部5071および第二保持部5072は、上面がフランジ部に形成された側壁とこの側壁の下端内径側に突き出した載置部とで、断面Z形で形成されている。フランジ部には、周方向等間隔に取付孔が形成されており、この取付孔をボルトやネジ等の取付材により貫通し、ヒータベース460の下面に固定することで、第一保持部5071および第二保持部5072が支持される。
【0026】
保持部507の載置面には、第一遮熱部材503が保持される。第一遮熱部材503は、円筒状に形成されている。第一遮熱部材503の内径は、反応管42の外径より若干大きいサイズで形成されている。好ましくは、反応管42の外径とほぼ同サイズで形成されると良い。また、第一遮熱部材503の外径は、保持部507の側壁の内径より若干小さいサイズで形成されている。好ましくは、保持部507の側壁の内径とほぼ同サイズで形成されると良い。
【0027】
第一遮熱部材503の上面には、第二遮熱部材504が設けられている。第二遮熱部材504は、円筒状に形成されている。第一遮熱部材503と内径が同サイズで形成されている。すなわち、第二遮熱部材504の内径は、反応管42の外径より若干大きいサイズで形成されている。好ましくは、反応管42の外径とほぼ同サイズで形成されると良い。また、第二遮熱部材504の外径は、第一遮熱部材503より外径が小さく、ヒータ46の側壁の内径より若干小さいサイズで形成されている。好ましくは、ヒータ46の側壁の内径とほぼ同サイズで形成されると良い。第一遮熱部材503および第二遮熱部材504の材質としては、アルミナ、シリカ等が選択される。
尚、第一遮熱部材503の上端は、少なくとも支持具30に支持される最下端の基板よりも下方に位置されており、第一遮熱部材503および第二遮熱部材504と対向する位置には、断熱部材152が配置されている。第一遮熱部材503および第二遮熱部材504を備えることで、ヒータ46の加熱領域内、すなわち、基板処理領域からの放熱を抑制するとともに熱処理への悪影響を抑制することができる。
【0028】
保持部507の下方側には、囲い部500が設けられている。囲い部500は、第一囲い部5001と第二囲い部5002とで略円弧状に2つに分離されており、第一囲い部5001と第二囲い部5002とを接合させることで全体として環状若しくは円筒状に形成されている。第一囲い部5001は、中央が外側に突き出た円弧状に形成された側壁とこの側壁の下端外径側に突き出したフランジ状の載置部と、側壁の側方両端に外径側に突き出したフランジ状の当接部とで形成されている。第一囲い部5001および第二囲い部5002それぞれの側壁の内径は、保持部507の側壁の外径よりも大きく形成されている。第一囲い部5001および第二囲い部5002それぞれの側壁の上端には、周方向等間隔に取付孔が形成されており、この取付孔をボルトやネジ等の取付材にて貫通し、保持部507の側壁に固定されている。好ましくは、囲い部500は、金属材、例えば、ステンレス材で構成されている。これにより、囲い部500からの放熱を促進することができる。
【0029】
第一囲い部5001および第二囲い部5002の載置部には、周方向等間隔に取付孔が形成されており、この取付孔をボルトやネジ等の取付材にて貫通し、保持ベース5013の上面に固定されている。
また、第一囲い部5001および第二囲い部5002の当接部には、上下方向等間隔に取付孔が形成されており、この取付孔をボルトやネジ等の取付材にて貫通し、互いの当接部同士が固定されている。第一囲い部5001および第二囲い部5002が保持ベース5013に設置され、互いの当接部同士が固定され、保持部507に固定されることで、反応管42と囲い部500との間に空間としての間隙506が形成される。
【0030】
第一囲い部5001の側壁には、吸気口501が設けられている。好ましくは、吸気口501が、第一囲い部5001の側壁の周方向等間隔で複数設けられると良い。また、好ましくは、吸気口501が、第一囲い部5001の側壁の上下方向等間隔で複数設けられると良い。さらに好ましくは、複数の吸気口501の総開口面積が、側壁の総面積(吸気口の開口面積を除く総面積)より小さく形成されると良い。これにより、各吸気口501から均等なガス流速で第一囲い部5001の外側の雰囲気(外気)を吸気することができ、より一層、反応管42を均一に冷却することができる。
【0031】
第二囲い部5002の側壁には、吸気口501が設けられている。好ましくは、吸気口501が、第二囲い部5002の側壁の周方向等間隔で複数設けられると良い。また、好ましくは、吸気口501が、第二囲い部5002の側壁の上下方向等間隔で複数設けられると良い。さらに好ましくは、複数の吸気口501の総開口面積が、側壁の総面積(吸気口の開口面積を除く総面積)より小さく形成されると良い。これにより、各吸気口501から均等なガス流速で第一囲い部5001の外側の雰囲気(外気)を吸気することができ、より一層反応管42を均一に冷却することができる。
好ましくは、囲い部500は、間隙506の長手方向(図2上の上下方向)の長さが幅方向(図2上の左右方向)の幅よりも大きくなるように構成されると良い。これにより、吸気口501から吸気された雰囲気が反応管42の側壁へ衝突しやすくなり、より一層反応管42の側壁を冷却しやすくすることができる。
さらに、好ましくは、囲い部500の外径は、ヒータ46の外径よりも小さくなるように構成されると良い。これにより、吸気口501から吸気された雰囲気が反応管42の側壁へ衝突しやすくなり、より一層、反応管42の側壁を冷却しやすくすることができる。また、囲い部500の設置スペースが大きくなり、デッドスペースが多くなったり、熱処理装置10のサイズが大きくなったりすることを抑制することができる。
さらに、好ましくは、囲い部500の内径は、ヒータ46の内径以下の大きさになるように構成されると良い。これにより、吸気口501から吸気された雰囲気が反応管42の側壁へ衝突しやすくなり、より一層、反応管42の側壁を冷却しやすくすることができる。また、囲い部500の設置スペースが大きくなり、デッドスペースが多くなったり、熱処理装置10のサイズが大きくなったりすることを抑制することができる。
【0032】
第二囲い部5002の側壁には、排気口5021が設けられており、この排気口5021には、排気管502が接続されている。好ましくは、排気口5021は、第二囲い部5012の側壁の下方側に設け、該排気口5021よりも上方側に吸気口501を設けるように構成されると良い。これにより、排気口5021周辺は、ガス流速が大きいため、冷えやすいが、排気口5021は、第二囲い部5012の側壁の下方側に設けられることで、ヒータ46の加熱領域にて加熱された反応管42を急激に冷却することで起こる温度差による反応管42への過度の応力の発生を抑制することができる。また、間隙506に流れる雰囲気をヒータ46から遠ざける方向にすることができるので、ヒータ46の加熱領域内、すなわち、基板処理領域からの放熱を抑制するとともに熱処理への悪影響を抑制することができる。
排気口5021にさらに、好ましくは、第二囲い部5012の側壁における排気口5021の下方側よりも上方側の吸気口501の数が多くすると良い。これにより、より一層、ヒータ46の加熱領域にて加熱された反応管42を急激に冷却することで起こる温度差による反応管42への過度の応力の発生を抑制することができる。
尚、排気口5021が第二囲い部5012に設けられているので、第一囲い部5001に吸気口501が設けられていれば、第二囲い部5002の側壁5002には、吸気口501を設けなくても、間隙506に一定のガス(雰囲気)流れを確保できるので一定の効果を奏することができる。
【0033】
排気管502には、排気ダクト5022が接続されている。排気ダクト5022には、ガスを冷却する冷却装置300と、間隙506を強制排気するとともに排気口5021から排気される排気量を調整する排気装置301が設けられている。排気管502、排気ダクト5022等により、排気ラインが構成される。
【0034】
排気装置301としては、例えば、排気ブロア等が用いられる。排気装置301は、電気的に排気量制御部237が接続されており、予め設定された所望のタイミング若しくは、温度センサ263により検出された温度情報に基づき排気装置301への通電具合や周波数を調整することにより反応管42の下方の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
好ましくは、少なくともヒータ46が反応管42内の温度を基板の熱処理温度以上に加熱している間、間隙506を強制排気すべく排気装置301を制御するように排気量制御部237は構成されると良い。また、好ましくは、少なくともヒータ46が反応管42内の温度を基板の熱処理温度以上に加熱している間、間隙506を強制排気し、反応管42のヒータ46下部の温度が所定温度以下とすべく排気装置301を制御するように排気量制御部237は構成されると良い。
【0035】
ガス流量制御部235、圧力制御部236、排気量制御部237、温度制御部238は、操作部、入出力部をも構成し、熱処理装置全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、排気量制御部237、温度制御部238、主制御部239はコントローラ240として構成されている。
【0036】
次に上述したように構成された熱処理装置10の作用について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0037】
まず、ポッドステージ14に複数枚の基板を収容したポッド16がセットされると、ポッド搬送装置18によりポッド16をポッドステージ14からポッド棚20へ搬送し、このポッド棚20にストックする。次に、ポッド搬送装置18により、このポッド棚20にストックされたポッド16をポッドオープナ22に搬送してセットし、このポッドオープナ22によりポッド16の蓋を開き、基板枚数検知器24によりポッド16に収容されている基板の枚数を検知する。
【0038】
次に、基板移載機26により、ポッドオープナ22の位置にあるポッド16から基板を取り出し、ノッチアライナ28に移載する。このノッチアライナ28においては、基板を回転させながら、ノッチを検出し、検出した情報に基づいて複数枚の基板のノッチを同じ位置に整列させる。次に、基板移載機26により、ノッチアライナ28から基板を取り出し、支持具30に移載する。
【0039】
このようにして、1バッチ分の基板を支持具30に移載すると、例えば600℃程度の温度に設定された反応炉40内に複数枚の基板を装填した支持具30を装入(搬入)し、炉口シールキャップ48により反応炉40内を密閉する(基板搬入工程)。次に、炉内温度を熱処理温度まで昇温させて、ガス導入管60からガス導入口56、アダプタ44側壁部に設けられたガス導入経路64、及びノズル66を介して反応管42内に処理ガスを導入し、反応炉40内の基板を熱処理する(熱処理工程)。処理ガスには、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、水素(H2)、酸素(O2)、塩化水素(HCl)、ジクロロエチレン(C2H2Cl2、略称DCE)等が含まれる。基板を熱処理する際、基板は例えば1100℃程度以上の温度に加熱される。
【0040】
基板の熱処理が終了すると、例えば炉内温度を600℃程度の温度に降温した後、熱処理後の基板を支持した支持具30を反応炉40からアンロード(搬出)し、支持具30に支持された全ての基板が冷えるまで、支持具30を所定位置で待機させる(基板搬出工程)。次に、待機させた支持具30の基板が所定温度まで冷却されると、基板移載機26により、支持具30から基板を取り出し、ポッドオープナ22にセットされている空のポッド16に搬送して収容する。次に、ポッド搬送装置18により、基板が収容されたポッド16をポッド棚20、またはポッドステージ14に搬送して完了する。
【0041】
ところで、処理室201内にて1100℃以上の高温での処理を可能とするためには、使用頻度、時間によっては、反応管42を石英製にしても良い場合もあるが、炭化珪素(SiC)製とし、耐熱性を向上させるほうが好ましい。例えば、SiC製の反応管42とすると、SiC材自体の熱伝導率が高いため、Oリング150を介してマニホールド44でシールする構造とすると、SiC製の反応管を介して伝達された熱によりOリング150まで高温となり、シール材料であるOリング50を溶かしてしまうおそれがある。一方、Oリングを溶かさないようSiC製の反応管42のシール部のみを急激に冷却すると、SiC製の反応管42が温度差に起因し生じる熱膨張差により破損してしまう。そこで、本実施の形態では、少なくとも1100℃以上の高温での処理をする際に、排気装置301が起動させ、排気ダクト5022及び排気管502を介して排気口5021から間隙506を強制排気し、排気された間隙506へは複数の吸気口501から囲い部500の外側の雰囲気が吸気される。これにより、反応管42のシール部のみならず、ヒータ46より下方側の反応管42の側壁を冷却することができ、ヒータ46で加熱された反応管42の部位からの熱の伝達を和らげ、Oリング150を溶かすことなく、また、反応管42を破損することなく反応管42とマニホールド44間等のシールが可能となる。さらには、第一遮熱部材503および第二遮熱部材504が設けられているため、より一層、ヒータ46の加熱領域内、すなわち、基板処理領域からの放熱を抑制するとともに熱処理への悪影響を抑制することができる。
【0042】
本実施の形態によれば、以下に記載の効果のうち少なくとも1つ以上の効果を奏する。
【0043】
1)1100℃以上の高温領域での基板の処理が可能となる。特に1400℃以上での高温下での熱処理を実現することが可能となる。また、反応管をポーラス状の炭化珪素材とすることで、より一層耐熱性を向上させることができる。
2)高温にて基板を処理する際,排気装置により強制排気することで反応管の下方を速やかに冷却することができる。
3)ヒータより下方の反応管の側方を囲うように設けられる囲い部と、囲い部と反応管との間の間隙を強制排気する排気装置と、反応管とマニホールドとの間の当接部に設けられる密閉部材と、を有し、囲い部には、排気装置が囲い部の外側の雰囲気を間隙へ吸気する吸気口が設けられているので、ヒータ下方の領域を短くすることが可能となる。すなわち、熱処理装置の装置高さ抑制するとともに、基板処理領域を増大させることができ、一度に処理可能な基板枚数についても増大させることが可能となる。
4)冷却ガスを反応管に吹き付けたりする場合には、供給律速となるため、反応管の周方向で均一に冷却するのが困難となるが、排気口から間隙を排気するとともに吸気口から間隙へ吸気することで、排気律速とすることができ、供給律速にくらべ、より一層、反応管の周方向で均一に冷却することができる。
5)基板を高温にて処理する際,基板を処理する領域以外の部分も高温になってしまう。この時,処理室を構成する部材は耐熱温度以下にしなければならないため、断熱領域を設ける必要が生じる。ところが、処理室を部材の耐熱温度以下まで温度を低下させるためには、断熱領域を長く取る必要がある。その場合、装置の高さに制限がある以上、必然的に処理領域が短くなり、処理枚数が少なくなる。そこで、処理領域と断熱領域を仕切り、加熱領域の下部の断熱領域を囲い、該囲いを排気ラインからその内部をブロア等にて強制的に空気の流れを作り、その空気にて断熱領域の熱を奪い、断熱領域の熱を外気にて取り去ることで、断熱領域を短くし,処理領域を長くすることが可能とすることができる。
6)基板加熱領域にて基板を加熱する際、加熱した熱が処理装置の下部まで伝わり,断熱領域を高温化している。断熱領域が高温化することにより,断熱領域を構成する部材が高温化され,耐熱温度を超えてしまうものが発生してしまうが、これを抑制するため,例えば金属製の囲いを断熱領域に設け,該囲い内をブロア等で雰囲気を排気することで,囲いに蓄積された熱エネルギーも同時に奪い去ることができ、より一層の低温化が可能となる。
7)囲い部に設けられる排気口は、囲い部の側壁の下方側に設け、排気口よりも上方側に吸気口を設けるように構成することで、排気口周辺は、ガス流速が大きいため、冷えやすいが、排気口は、囲い部の側壁の下方側に設けられることで、ヒータの加熱領域にて加熱された反応管を急激に冷却することで起こる温度差による反応管への過度の応力の発生を抑制することができる。また、間隙に流れる雰囲気をヒータから遠ざける方向にすることができるので、ヒータの加熱領域内、すなわち、基板処理領域からの放熱を抑制するとともに熱処理への悪影響を抑制することができる。
【0044】
(実施例1)
上述した実施形態にかかる熱処理装置を用いて、排気装置301による排気スピードを一定とし、処理室201温度を変化させる以下のような処理条件下で反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の熱影響具合を測定した。その結果、以下のような温度測定結果を得た。
処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1000℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数30Hz
反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度測定値、124℃
処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1100℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数30Hz
反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度測定値、151℃
処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1200℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数30Hz
反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度測定値、182℃
処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1300℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数30Hz
反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度測定値、200℃
【0045】
これらの結果から、予想ではあるものの排気装置301(ブロア)の設定周波数30Hzとし、排気装置301にて間隙506を強制排気すれば、処理室201内温度(基板処理温度)1400℃であっても反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度値は260℃程度となり、耐熱300℃程度の密閉部材、例えば、Oリングを用いれば、Oリングの劣化を抑制可能なことがわかった。
【0046】
(実施例2)
上述した実施形態にかかる熱処理装置を用いて、処理室201温度を一定とし、排気装置301による排気スピードを変化させる以下のような処理条件下で反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の熱影響具合を測定したところ以下のような温度測定結果を得た。
1)処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1250℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数20Hz
反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度測定値、237℃
処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1250℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数30Hz
反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度測定値、200℃
処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1250℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数40Hz
反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度測定値、165℃
【0047】
これらの結果から、排気装置301(ブロア)の設定周波数を増加させれば、反応管42とマニホールド44との間の当接部周辺の温度を低下させることができることがわかった。
【0048】
(実施例3)
上述した実施形態にかかる熱処理装置を用いて、処理室201温度を一定とし、排気装置301による排気スピードを変化させる以下のような処理条件下で反応管42とマニホールド44との間の間隙506中腹高さ周辺であって、反応管42の周方向における排気口5021との複数位置の熱影響具合を測定したところ以下のような温度測定結果を得た。
1)処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1200℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数20Hz
反応管42の周方向における排気口5021から約90°離間した位置の温度測定値、450℃
反応管42の周方向における排気口5021から約180°離間した位置の温度測定値、438℃
処理条件:処理室201内温度(基板処理温度)1200℃、排気装置301(ブロア)の設定周波数40Hz
反応管42の周方向における排気口5021から約90°離間した位置の温度測定値、374℃
反応管42の周方向における排気口5021から約180°離間した位置の温度測定値、373℃
【0049】
これらの結果から、排気装置301(ブロア)の設定周波数を増加させれば、間隙506における反応管42の周方向の温度均一性を向上させることができることがわかった。
【0050】
本発明の第二の実施形態を以下に説明する。
【0051】
図4に本発明の第二の実施形態にかかる反応炉4001の一例を示す。図4に示されているように、第二の実施形態では、第一の実施形態と支持具3001、断熱部材1521、ヒータ4601、強制冷却部6001として、囲い部5001、間隙5061の長手方向の長さが異なるのと、新たに第三の遮熱部材505が設けられている点で異なるが、その他は、第一の実施形態と同様である。
【0052】
基板54を一度に熱処理する枚数は、多ければ多いほど良いが、本実施形態では、反応炉4001の全長は第一の実施形態と同様とし、基板を一度に熱処理する枚数をさらに多くできるように構成されている。すなわち、ヒータ4601および支持具3001の長手方向が長く構成され、支持具3001に支持される基板54の枚数が多くなるように構成されている。また、断熱部材1521の長手方向が短く構成され、強制冷却部6001として囲い部5001、間隙5061の長手方向が短く構成されている。このような形態においては、間隙5061の容積が小さくなったり、囲い部5001の吸気口501の数が少なくなったりしてしまうため、強制冷却力が第一の実施形態よりも劣ることとなり、Oリング150が劣化する可能性が高まる。そこで、本実施形態では、このOリング150の劣化の可能性を抑制すべく反応管42とマニホールド44との当接部の直上に第三の断熱部材505が配置されている。
【0053】
第三遮熱部材505は、円筒状に形成されている。第三遮熱部材503の内径は、反応管42の外径より若干大きいサイズで形成されている。好ましくは、反応管42の外径とほぼ同サイズで形成されると良い。また、第三遮熱部材505の外径は、囲い部5001の側壁の内径より若干小さいサイズで形成されている。好ましくは、囲い部5001の側壁の内径とほぼ同サイズで形成されると良い。
【0054】
これにより、反応管42のシール部のみならず、ヒータ46より下方側の反応管42の側壁を冷却することができ、ヒータ46で加熱された反応管42の部位からの熱の伝達を和らげ、Oリング150を溶かすことなく、また、反応管42を破損することなく反応管42とマニホールド44間等のシールが可能となる。
【0055】
本発明の他の実施形態を以下に説明する。
保持部507の載置面には、第一遮熱部材503が保持される。第一遮熱部材503は、円筒状に形成されている。第一遮熱部材503の内径は、反応管42の外径より若干大きいサイズで形成されている。好ましくは、反応管42の外径とほぼ同サイズで形成されると良い。また、第一遮熱部材503の外径は、保持部507の側壁の内径より若干小さいサイズで形成されている。好ましくは、保持部507の側壁の内径とほぼ同サイズで形成されると良い。
【0056】
上述した本発明の実施形態として、保持部507、第一遮熱部材503および第二遮熱部材504を設けるように説明したが、これらを設けなくても本発明の効果と同様の一定の効果を奏することができる。この場合、囲い部500の上端を、ヒータベース460の下面に直接固定するように構成すれば良い。また、保持部507、第一遮熱部材503および第二遮熱部材504に替えて、ヒータ46の下端から断熱部材を反応管42側へ突出させるように構成しても良い。この場合には、ヒータ46の下端断熱部材と反応管42との間の間隙がなくなってしまうため、これらの交換作業等が出来にくくなってしまうか、若しくはヒータ46の下端断熱部材と反応管42との間に若干の間隙を残すことになるため、遮熱力が落ちる可能性があるが、少なくとも本発明と同様の効果における一定の効果を奏することができる。
【0057】
上述した本発明の実施形態として、反応管42とマニホールド44との間の当接部には、密閉部材としてOリング150を設けるように説明したが、特に、処理室201の圧力を真空状態にする工程を有したり、10Pa以上1000Pa以下程度の減圧状態にする工程を有したりする場合には、反応管42とマニホールド44との間の当接部には、密閉部材として高分子材料で構成されるOリングを設けたほうが好ましい。しかしながら、本発明は、これに限らず、例えば、密閉部材として、高分子材料で形成された平板リング等で構成しても良いし、金属材で密閉しても良い。
【0058】
上述した実施形態では、排気装置301は、冷却装置300を介して接続すると説明したが、これに限らず、排気装置301が熱劣化する懸念があまり無いとか、熱劣化が気にならない程度であれば、冷却装置300は設けなくても良い。
また、上述した実施形態では、囲い部500は、上述したように第一囲い部5001及び第二囲い部5002として二分割された形態として説明したがこれに限らず、例えば、第一囲い部5001と第二囲い部5002とを一体として構成されても良いし、三分割以上の形態で構成されても良い。
【0059】
なお、上述した本発明の実施形態においては、反応管42は炭化珪素製で説明したが、炭化珪素製としては、固体状の炭化珪素であっても、ポーラス状の炭化珪素であっても、シリコン含浸、焼結体又は、これらを組合せたものやこれらにCVDコーティング等のコーティングを施したものを含む。また、反応管42は、シリコン製であっても良いし、石英製であっても良い。
【0060】
本発明は、SOI(Silicon On Insulator)ウエハの一種であるSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)ウエハの製造工程の一工程に適用することができる。
【0061】
すなわち、SIMOXにおいては、まずイオン注入装置等により単結晶シリコンウエハ内へ酸素イオンをイオン注入する。その後、酸素イオンが注入されたウエハを上記実施形態の熱処理装置を用いて、例えばAr、O2雰囲気のもと、1300℃〜1400℃、例えば1350℃以上の高温でアニールする。これらの処理により、ウエハ内部にSiO2層が形成された(SiO2層が埋め込まれた)SIMOXウエハが作製される。
【0062】
また、SIMOXウエハの他,水素アニールウエハの製造工程の一工程に本発明を適用することも可能である。この場合、ウエハを本発明の熱処理装置を用いて、水素雰囲気中で1200℃程度以上の高温でアニールすることとなる。これによりIC(集積回路)が作られるウエハ表面層の結晶欠陥を低減することができ、結晶の完全性を高めることができる。
【0063】
また、この他、エピタキシャルウエハの製造工程の一工程に本発明を適用することも可能である。
【0064】
基板としては、炭化珪素製、シリコン製、サファイア製、石英製に限らない。また、基板は、ウエハに限らず、ホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。
【0065】
半導体製造装置は成膜処理に使用するCVD装置に限らず、酸化膜形成処理や拡散処理等の熱処理にも使用することができる。
【0066】
以上のような基板の製造工程の一工程として行う高温アニール処理を行う場合であっても、本発明を用いることにより、高精度なプロセス処理および高い安全性を実現することができる。
【0067】
本発明は、半導体装置の製造工程にも適用することも可能である。
特に、比較的高い温度で行う熱処理工程、例えば、ウェット酸化、ドライ酸化、水素燃焼酸化(パイロジェニック酸化)、HCl酸化、一酸化窒素(NO)酸化、二酸化窒素(N2O)酸化、減圧酸化等の熱酸化工程や、硼素(B)、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)等の不純物(ドーパント)を半導体薄膜に拡散させる熱拡散工程等に適用するのが好ましい。
【0068】
このような半導体デバイスの製造工程の一工程としての熱処理工程を行う場合においても、本発明を用いることにより、高精度なプロセス処理および高い安全性を実現することができる
【0069】
以下に、本発明の好ましい態様について、付記する。
【0070】
本発明の第1の態様は、
前記反応管の周囲に設けられ前記反応管内を加熱するヒータと、前記ヒータより下方の前記反応管の側方を囲うように設けられる囲い部と、前記囲い部と前記反応管との間の間隙を強制排気する排気装置と、前記反応管と前記マニホールドとの間の当接部に設けられる密閉部材と、を有し、前記囲い部には、前記排気装置が前記囲い部の外側の雰囲気を前記間隙へ吸気する吸気口が設けられる基板処理装置である。
【0071】
好ましくは、更に、少なくとも前記ヒータが前記反応管内の温度を前記基板の熱処理温度以上に加熱している間、前記間隙を強制排気するように前記排気装置を制御するコントローラと、を有する。
【0072】
また、好ましくは、更に、少なくとも前記ヒータが前記反応管内の温度を前記基板の熱処理温度以上に加熱している間、前記間隙を強制排気し前記反応管の下部の温度が所定温度以下になるように前記排気装置を制御するコントローラと、を有する。
【0073】
また、好ましくは、更に、前記基板の熱処理温度は1200℃以上である。
【0074】
また、好ましくは、更に、前記反応管内を排気する第二排気装置を有し、前記コントローラは、前記反応管内で基板を処理する際に前記反応管内を減圧状態に維持するように前記第二排気装置を制御する。
【0075】
また、好ましくは、前記反応管の材質が炭化珪素材で構成される。
【0076】
また、好ましくは、前記囲い部は、金属製で形成されている。
【0077】
また、好ましくは、前記吸気口は、前記排気装置が、前記囲い部の接続されている排気口よりも下方側よりも上方側に多く設けられている。
【0078】
本発明の第2の態様は、
基板を処理する反応管と、前記反応管を支持するマニホールドと、前記反応管の周囲に設けられ前記反応管内を加熱するヒータと、前記反応管との間に第一間隙を成して前記ヒータを支持する支持部と、前記第一間隙に設けられる遮熱部材と、前記遮熱部材より下方の前記反応管の側方を囲うように設けられる囲い部と、前記囲い部と前記反応管との間の第二間隙を強制排気する排気装置と、前記反応管と前記マニホールドとの間の当接部に設けられる密閉部材と、を有し、前記囲い部には、前記囲い部の外側の雰囲気を吸気する吸気口が設けられる熱処理装置にある。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、熱処理装置及び半導体装置の製造方法において、高精度なプロセス処理および高い安全性を実現する必要があるものに利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 熱処理装置
12 筐体
14 ポッドステージ
16 ポッド
18 ポッド搬送装置
20 ポッド棚
22 ポッドオープナ
24 基板枚数検知器
26 基板移載機
28 ノッチアライナ
30 支持具(ボート)
32 アーム(ツィーザ)
40 反応炉
42 反応管
44 マニホールド
46 ヒータ
48 炉口シールキャップ
50 Oリング
52断熱筒
54 基板
56 ガス供給口
59 ガス排気口
60 ガス導入管
62 排気管
64 ガス導入経路
66 ノズル
68 石英ベース
70 ベース受け
152断熱部材
301排気装置
500囲い部
501吸気口
506間隙
600強制冷却部






































【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する反応管と、前記反応管を支持するマニホールドと、前記反応管の周囲に設けられ前記反応管内を加熱するヒータと、前記ヒータより下方の前記反応管の側方を囲うように設けられる囲い部と、前記囲い部と前記反応管との間の間隙を強制排気する排気装置と、前記反応管と前記マニホールドとの間の当接部に設けられる密閉部材と、を有し、前記囲い部には、前記排気装置が前記囲い部の外側の雰囲気を前記間隙へ吸気する吸気口が設けられる熱処理装置。
【請求項2】
マニホールドに支持された反応管内に基板を搬入する工程と、
前記反応管内で基板を熱処理する工程と、
熱処理後の基板を前記反応管より搬出する工程と、を有し、
前記反応管と前記マニホールドとの間の当接部が密閉部材で密閉され、前記反応管の側方を囲う囲い部が設けられ、該囲い部には吸気口が設けられ、少なくとも前記熱処理工程では、前記反応管と前記囲い部との間の雰囲気を強制排気し、前記吸気口から前記間隙へ吸気する半導体装置の製造方法。



























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−176178(P2011−176178A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39845(P2010−39845)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】