説明

熱圧着用ヒータツールのクリーニング方法および装置

【課題】ヒータツールを機械的に研磨することなくヒータツールに付着するフラックスや樹脂などを能率良く除去することができ、先端面の温度分布を変化させることがなく、接合のバラツキを少なくして接合の信頼性を向上させる。
【解決手段】ヒータツール10の有機汚染物付着面12に炭酸ガスレーザー20を照射して有機汚染物を加熱し炭化する第一段階の処理工程と、ii)大気圧プラズマ装置30がプロセスガスを励起して射出するプラズマを、有機汚染物の付着面12に導き、炭化した有機汚染物を除去する第二段階の処理工程、とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、はんだ付け用のヒータチップや、樹脂部品の熱カシメ用熱カシメヘッドなどのヒータツールに付着するフラックスや樹脂を除去するクリーニング方法と、装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、パルスヒート方式のはんだ付け装置が公知である。この方式では、はんだ濡れ性が悪い金属(モリブデン、タングステン、ステンレス、インバーなど)製のヒータチップをワーク(被処理物、接合対象となる部材)に押圧し、ヒータチップにパルス電流を流すことによりジュール熱により発熱させ、はんだ付けを行うものである。ここに被処理物にはんだやフラックスがメッキや塗布などで予め供給される。このためヒータチップには、フラックスが付着して汚れることが避けられない。また樹脂部品の熱カシメに用いる熱カシメヘッドでは樹脂が付着して汚れる。さらに樹脂被覆線の熱圧着においては被覆材である樹脂が圧着ヘッドに付着する。
【0003】
ここに用いるヒータチップ、熱カシメヘッド、圧着ヘッドなどのヒータツールは、はんだが付着しにくい金属で作られているが、繰り返し使用するとフラックスや樹脂の付着が避けられず、繰り返し接合温度に加熱されるために、フラックスや樹脂が硬く固着する。このように固着すると、ワークへの熱伝達率が低下(熱の伝わりが低下)し、ヒータツールとワークとの温度差が大きくなり、ワーク温度が設定温度に到達しないために接合性が悪化することがある。
【0004】
特に樹脂の熱カシメに用いるヒータヘッドでは、その先端面にドーム形状の凹部を設けているが、このドーム内(凹部内)に樹脂が残ってしまうことがある。このため同様に熱の伝わりが低下し熱カシメが不十分になるだけでなく、カシメ部の表面形状がドーム形状に正確に倣わず、きれいなカシメの形状が得られなくなる。同様に被覆線の熱圧着の場合は、ヒータヘッドに付着し固まった被覆材の樹脂がワーク側の熱圧着部に移って電気的な接続が不完全になる恐れがあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−31878
【特許文献2】特開平10−216931
【0006】
このような問題を防ぐために、ヒータツールを定期的にクリーニングして付着したフラックスや樹脂を除去することが行われている。例えば、ヒータツールの先端面(ワークに接触する加熱面)をサンドペーパで研磨したりブラシで磨くなどの機械的な接触によるクリーニングが考えられる。特許文献1にはこのような方法の一例として、ヒータツールの加熱面に回転ブラシを接触させてヒータツールの表面から炭化したフラックスを除去することが示されている。特許文献2には、はんだコテの先端をエアーブローによってクリーニングすることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サンドペーパやブラシを用いて機械的にヒータツール先端面を研磨する方法では、ヒータツールの先端面の摩耗が促進され、寿命が短くなるという問題がある。また先端面をサンドペーパやブラシで磨くと先端面の寸法が変化する。パルスヒート方式などのように、予め加熱電流の制御パターンが設定され、ヒータツールに流す電流によってジュール熱を発生させ加熱するものでは、この先端面の寸法変化により温度分布が変化し、接合のバラツキを生じさせてしまうという問題が生じる。従ってこの機械的に研磨する方法は、原理的に望ましくない。
【0008】
またこの方法ではクリーニング後に研磨くずがヒータツールの先端面に残ってしまうので、これを除去するため、通常アルコールなどで拭き取っておくことが必要になる。またサンドペーパやブラシ側も摩耗するためこれらの定期的な交換が必要になる。このため装置のメインテナンスが面倒であり、装置の稼働率が悪くなり、ランニングコストも増大する。
【0009】
特許文献2のエアーブローによって付着物を除去する方法では、硬化した強固に固着した付着物を除去することができず、特に一度ヒータツールの表面に付着して硬化した場合は、この上に新しい付着物が重ねて付着し易くなり、これをエアーブローだけで除去することはほとんど不可能である。このため前記の機械的な研磨を併用することが必要になり、この場合は前記の問題が避けられない。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、ヒータツールを機械的に研磨することなくヒータツールに付着するフラックスや樹脂などを能率良く除去することができ、先端面の温度分布を変化させることがなく、接合のバラツキを少なくして接合の信頼性を向上させ、また熱カシメに適用する場合にはヒータツールの先端のドームに付着する付着物を確実に除去でき熱カシメの形状をきれいに仕上げることが可能であり、さらに樹脂被覆線の熱圧着用のヒータツールの場合には、付着する樹脂を確実に除去して、接合の信頼性を向上させることができる熱圧着用ヒータツールのクリーニング方法を提供することを第1の目的とする。またこの方法の実施に直接使用するクリーニング装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば第1の目的は、熱圧着用ヒータツールに付着する有機汚染物を除去するためのクリーニング方法であって、i)前記ヒータツールの有機汚染物付着面に炭酸ガスレーザーを照射して有機汚染物を加熱し炭化する第一段階の処理工程と、ii)大気圧プラズマ装置がプロセスガスを励起して射出するプラズマを、有機汚染物の付着面に導き、炭化した有機汚染物を除去する第二段階の処理工程、とを有することを特徴とする熱圧着用ヒータツールのクリーニング方法。
によって達成される。
【0012】
第2の目的は、熱圧着用ヒータツールに付着する有機汚染物を除去するためのクリーニング装置であって、a)ヒータツールの有機汚染物付着面に炭酸ガスレーザーを照射する炭酸ガスレーザー装置と、b)プロセスガスを励起したプラズマをヒータツールの有機汚染物付着面に射出する大気圧プラズマ装置と、c)ヒータツールを保持しヒータツールを前記炭酸ガスレーザー装置から大気圧プラズマ装置に順次相対移動させるヒータツール保持手段と、を備え、前記炭酸ガスレーザ装置で有機汚染物を熱して炭化させる共に、この炭化した有機汚染物を前記大気圧プラズマ装置で除去させることを特徴とする熱圧着用ヒータツールのクリーニング装置、により達成される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された第1の発明によれば、ヒータツールに付着するフラックスや樹脂などの有機汚染物は、まず第一段階である炭酸ガスレーザー照射により選択的に加熱され、燃焼、蒸発され、さらに炭化される。ここに用いる炭酸ガスレーザーは、金属であるヒータツールによっては反射され、有機汚染物に選択的に吸収される特性を有する波長を有するからである。
【0014】
次の第二段階では、このヒータツールの加熱面(先端面、処理面)に大気圧プラズマが照射される。ここに用いる大気圧プラズマ装置は、ガス(プロセスガス)をプラズマ生成部に通してここでプラズマ化し、これをワーク(被処理物、ヒータツール)に照射し洗浄する間接方式のものである。プラズマガス中にはイオン、電子、ラジカル、紫外線などが存在し、これらが、エッチング作用やアッシング(灰化、燃焼、剥がす)作用などによってワークの汚れを除去する。
【0015】
例えば、イオン(ガスのプラスイオン)がワークの表面に衝突して、第一段階の処理で処理表面に残った炭化したフラックスや樹脂の残留物を表面から物理的に吹き飛ばす。また紫外線は第一段階で万一炭化しきれなかったフラックスや樹脂などの有機汚染物が残った場合にこれらに作用して化学反応(二酸化炭素と水に分解する)させることにより除去する。
請求項4に記載された第2の発明によれば、この方法に使用するクリーニング装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例を示す概念図
【図2】クリーニング処理の工程図
【図3】クリーニング装置の概念図
【図4】熱カシメ用ヘッドの説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
処理工程i)で用いる炭酸ガスレーザーは、出力が10〜30ワット、波長が金属に対する反射率が高く有機汚染物への吸収率が高い波長域のものであり、例えば15ワット、10.6μmとするのが良い(請求項2)。この場合にレーザーは処理表面をスキャン(走査)させて、表面温度が過大になるのを防ぐのが良く、例えばスキャン速度を100mm/secとするのが良い。
【0018】
処理工程ii)で用いるプロセスガスはアルゴンガスとすることができる(請求項3)。ここに用いるプラズマ装置は、出力150ワットで3分間程度の間、何度も繰り返してスキャンして、処理面に残る炭化残留物をはじき飛ばしてクリーニングする。
【0019】
請求項4のクリーニング装置において、炭酸ガスレーザー装置には、ヒータツールのレーザー照射面付近に集煙/集塵を行うための集煙/集塵機を設けて、周囲に蒸発、炭化した燃焼ガスや微粉末などが周囲に飛散するのを防ぐのがよい(請求項5)。集煙/集塵機はプラズマ装置の処理面付近にも設けておいても良い。ヒータツールは、はんだ付け用のもの(ヒータチップ)や、樹脂熱カシメ用のもの(ヒータヘッド)とすることができる。あるいは被覆線の熱圧着用ヘッドであってもよい。
【実施例1】
【0020】
図1において符号10はヒータツールとしてのヒータチップであり、パルスヒート方式のはんだ付けに用いるものである。このヒータチップ10は、前記したW(タングステン)などの高抵抗かつはんだ濡れ性が悪い一定厚さの金属材料をワイヤーカット加工したものである。このヒータチップ10は、上辺中央に切れ目を入れた略四角形の枠状であり、その下辺は水平な押圧部(クリーニング処理面)12となっている。切れ目で2つに分割された各部分14、14は給電端子となり、これら給電端子14、14は押圧ヘッド(図示せず)にボルトで固定される。
【0021】
押圧ヘッドは、垂直に配置した空気シリンダ−によって上下動し、下降する時にヒータチップ10の押圧部12がワークに所定の設定圧で押圧する。ここにワークは、基板の回路パターンに電子部品のリードを対向させて保持したものであり、この接合部には予めはんだメッキされ、フラックスが塗布されている。
【0022】
給電端子14、14には電源回路(図示せず)からパルス電流である加熱電流が供給され、この電流は下辺の押圧部12に流れ、ヒータチップ10がジュール熱により発熱する。ヒータチップ10の温度(押圧部12の温度)は、熱電対によって検出され、温度制御回路にフィードバックされ、所定の温度制御プロフィールになるように加熱電流が制御される。 この加熱によりヒータチップ10が所定温度になると接合部のはんだが溶融(リフロー)し、冷却によってはんだが凝固すると押圧ヘッドが上昇する。この結果はんだ付けが完了する。
【0023】
このヒータチップ10により多数の接合を繰り返すと、ヒータチップ10の押圧部12の下面、すなわち押圧面にフラックスが付着する。このフラックスはヒータチップ10の熱によって硬化し、接合回数の増加と加熱温度の上昇につれて厚くなる。このためヒータチップ10からワークへの熱の伝わりが悪くなる(熱伝達率が減少する)。このためワークの温度が設定温度に達成せずに適切なはんだ接合ができなくなる。
【0024】
本発明では、この固着したフラックスを除去するものであり、第一段階として炭酸ガスレーザーにより有機汚染物質であるフラックスを選択的に加熱して炭化する。そして第二段階としてこの炭化した汚染物をプラズマ照射により除去するものである。
【0025】
図1の20は炭酸ガスレーザー装置であり、この装置20は例えば市販の比較的廉価な炭酸ガスレーザーマーカー(例えば、サンクス株式会社のCO2レーザーマーカー:LP-400シリーズ:モデルLP-430Uなど)を用いることができる。この装置20は平均出力30ワット(Watt)、波長10.6μmのレーザーが出力可能であるが、ここでは15ワットで使用するのがよい。この場合は、レーザー22がヒータチップ10の押圧面(押圧部12の下面)を100mm/secの速度で走査させ、レーザー22が押圧面の一箇所を連続して長時間照射しないようにして全面を均等に照射する。
【0026】
このレーザー22の照射により、固着した有機物であるフラックスは選択的に加熱され、燃焼され、炭化される。ヒータチップ10の押圧面の付近には、集煙/集塵機24が設置され、このレーザー22の照射に伴って発生する煙(燃焼ガスなど)や細かい炭化した微粉末を集煙/集塵する。この時金属であるヒーターチップ10はレーザー22を反射すると共に、レーザーがスキャンされているので、ヒータチップ10が過熱して損傷することがない。
【0027】
このように炭酸ガスレーザーによる第一段階の処理が済むと、ヒータチップ10を大気圧プラズマ装置30の上方に移動し、ここで第二段階の処理を行う。大気圧プラズマ装置30は 、アルゴンガスなどのガス(プロセスガス)をプラズマ生成部に通してここでプラズマ化し、これをヒータチップ10の押圧面に照射する間接方式のものである。例えば、電源部32とは別体のペン型プラズマヘッド34を備えるものが便利である。
【0028】
この場合は電源部32に図示しないガスボンベから供給されるガスがガス管36によってこのプラズマヘッド34に送られ、ここでプラズマ生成部となる石英管を通る間に電源部32から供給される高周波電力によって励起されてプラズマとなり、プラズマヘッド34の先端から噴射される。このプラズマヘッド34については、例えば特開2004−172044号、特開2006-314897号、特開2007-323812号などに開示されているので、ここではその構造については詳記しない。
【0029】
プラズマヘッド34は水平に移動可能な移動台(図示せず)に保持され、ヒータチップ10の押圧面と平行に移動可能である。この場合、プラズマ出力は150ワットで約3分間走査を繰り返して付着した残留物を除去する。プラズマガス中にはイオン、電子、ラジカル、紫外線などが存在し、これらが、エッチング作用やアッシング(灰化、燃焼、剥がす)作用などによってワークの汚れを除去するものである。
【0030】
例えば、イオン(ガスのプラスイオン)がワークの表面に衝突して、第一段階の処理で炭化したフラックスや樹脂を表面から物理的に吹き飛ばす。また紫外線は第一段階で万一炭化しきれなかったフラックスや樹脂などの有機汚染物が残った場合にこれらに作用して化学反応(二酸化炭素と水に分解する)させることにより除去する。この時に用いるプラズマの出力と時間が適切であれば、ヒータチップ10を損傷させること無く付着物だけの除去が可能になる。このプラズマ装置30においても、その処理面付近からガスや微粉末を除去するための排気/集塵機38を設けておくのがよい。
【0031】
このクリーニング方法は、例えば図3に示すクリーニング装置40を用いることによって実施できる。この図において、42は搬送ラインであり、電子部品(IC、表面実装部品など)44を仮止めした基板46を所定間隔で搬送する。48は円形の回転テーブルである。この回転テーブル48には3組のはんだ付けヘッド50が等間隔(120度間隔)に取り付けられている。これらのヘッドには前記のヒータチップ10が取り付けられている。
【0032】
1つのヘッド50は搬送ライン42上に位置し、この時テーブル48の回転方向(この実施例では時計方向)側に120度離れて炭酸ガスレーザー装置20が、さらに120度離れてプラズマ装置30がそれぞれ配設されている。この装置40では、搬送ライン42により搬送されるワークに対してはんだ付けが繰り返され、この繰り返し回数(処理回数)を監視し(図2のステップS100)、この回数が予め設定した回数に達するとクリーニング処理に入る(ステップS102)。
【0033】
まずテーブル48が120度時計方向に回転し、クリーニングするヘッド10を有するヘッド50を炭酸ガスレーザー装置20に位置に移動する(ステップS104)。ここでレーザ22(図1)を処理面に照射して、ヒータチップ10に付着したフラックスなどの有機付着物を選択的に加熱し、これを蒸発させ、さらに残留物を炭化させる(ステップS106)。この処理の間に搬送ライン42の上にあるヘッド50はワークに対して接合処理を行っている。この接合処理中のヘッド50の接合回数が設定値に達するとテーブル48は120度回転する(ステップS108)。
【0034】
そして搬送ライン48から移動してきたヘッド50のヒータチップを炭酸ガスレーザー装置20で加熱、炭化処理を行う(ステップS106)一方、炭酸ガスレーザー20の処理を終わったヘッド50は次のプラズマ装置30に移動してここでプラズマの照射によるクリーニングが行われる(ステップS110)。このようにしてクリーニングが終わったヘッド50は(ステップS112)、次の搬送ライン42上のヘッド50のクリーニング時期の到来によりテーブル48が回転することによって搬送ライン48上に入り、再び接合処理に使用される(ステップS114)。
【実施例2】
【0035】
図4は樹脂カシメによる接合の処理工程を説明するものである。この図の(A)で60は熱可塑性樹脂製の接合基板であり、カシメにより接合するために用いる接合ピン62が一体に形成されている。64はこの基板60に接合される被接合板であり、ここには接合ピン62が貫通する円形の接合孔66が形成されている。被接合板64はその接合孔66に接合基板60の接合ピン62を貫通させて重ね、この時接合ピン62の先端が接合孔66から突出する。68はカシメ用の金属製のヒータツールであり、前記ヒータチップ10と同様に電流を流すことによって加熱される。その下面(先端面)には略逆球面状の凹部70が形成されている。
【0036】
接合基板60に被接合板64を前記のように(同図の(A)の状態)に重ね、この状態で、同図の(B)に示すように、上方から予め加熱したカシメ用のヒータツール68を接合ピン62の先端に押圧し、接合ピン62の先端を軟化あるいは溶融させれば、接合ピン62の先端がヒータツール68の凹部70の形状に成型される。ヒータツール68の冷却により樹脂が硬化すれば、接合ピン62の先端は略リベット頭状になり、接合基板60と被接合板64はかしめによって固定される。
【0037】
このヒータツール68によって多数回熱カシメ接合を繰り返すと、その先端面や凹部70内に樹脂が付着することが避けられない。このヒータツール68は前記図1で説明したようにしてクリーニングされる。すなわち、まず炭酸ガスレーザーで先端面をスキャンして付着した樹脂を加熱し、蒸発あるいは炭化する。そしてプロセスガスと共にプラズマを照射して、付着物を除去することによりクリーニングすることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 ヒータチップ(ヒータツール)
20 炭酸ガスレーザー装置
22 レーザー
24 集煙/集塵機
30 大気圧プラズマ装置
38 集煙/集塵機
50 接合ヘッド
60 接合基板
62 接合ピン
68 カシメ用ヒータツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱圧着用ヒータツールに付着する有機汚染物を除去するためのクリーニング方法であって、
i)前記ヒータツールの有機汚染物付着面に炭酸ガスレーザーを照射して有機汚染物を加熱し炭化する第一段階の処理工程と、
ii)大気圧プラズマ装置がプロセスガスを励起して射出するプラズマを、有機汚染物の付着面に導き、炭化した有機汚染物を除去する第二段階の処理工程、
とを有することを特徴とする熱圧着用ヒータツールのクリーニング方法。
【請求項2】
処理工程i)で用いる炭酸ガスレーザーは、出力が10〜30ワット、波長が金属に対する反射率が高く有機汚染物への吸収率が高い波長域である請求項1の熱圧着用ヒータツールのクリーニング方法。
【請求項3】
処理工程ii)で用いるプロセスガスはアルゴンガスである請求項1の熱圧着用ヒータツールのクリーニング方法。
【請求項4】
熱圧着用ヒータツールに付着する有機汚染物を除去するためのクリーニング装置であって、
a)ヒータツールの有機汚染物付着面に炭酸ガスレーザーを照射する炭酸ガスレーザー装置と、
b)プロセスガスを励起したプラズマをヒータツールの有機汚染物付着面に射出する大気圧プラズマ装置と、
c)ヒータツールを保持しヒータツールを前記炭酸ガスレーザ装置から大気圧プラズマ装置に順次相対移動させるヒータツール保持手段と、
を備え、前記炭酸ガスレーザー装置で有機汚染物を熱して炭化させる共に、この炭化した有機汚染物を前記大気圧プラズマ装置で除去させることを特徴とする熱圧着用ヒータツールのクリーニング装置。
【請求項5】
炭酸ガスレーザー装置には、ヒータツールのレーザー照射面付近から集煙/集塵を行うための集煙/集塵機を設けた請求項4の熱圧着用ヒータツールのクリーニング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−15262(P2012−15262A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149301(P2010−149301)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000227836)日本アビオニクス株式会社 (197)
【Fターム(参考)】