説明

熱板及びその製造方法

【課題】ヒータの発熱量のバラツキをなくし、被処理基板の面内温度の均一性を向上させた熱板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】被処理基板を載置し該被処理基板を加熱するための熱板41であって、基材となるシリコン基板42と、シリコン基板の裏面に成膜された金属の電気抵抗体からなるヒータ43と、シリコン基板の裏面又は表面に成膜された金属の電気抵抗体からなる温度センサ47と、被処理基板を下方から支えて熱板の上に昇降するための支持ピンを挿通させるべくシリコン基板に設けられたピン孔49と、シリコン基板42の表面に形成され、熱板の上に載置される被処理基板との間に隙間を形成するためギャップ用突起50とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ等の被処理基板を均一に加熱するための熱板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、デバイスが形成される半導体ウエハを加熱する処理が行われる。例えばレジスト液塗布後の乾燥のための加熱処理を始めとして、露光後の加熱処理(ポストエスクポージャベーキング)、更には半導体ウエハ表面に所定の薄膜を形成する際のCVD処理においては、半導体ウエハを載置する載置台に加熱装置を設け、この加熱装置によって載置台上の半導体ウエハを所定温度まで加熱する処理が行われている。
【0003】
例えば、特開平9−189613号公報(特許文献1)には、デバイスが形成されるシリコンウエハの上面にフォトレジストを塗布した後にこのシリコンウエハを加熱処理するベーキング装置において、被処理基板であるシリコンウエハを載置して加熱するための載置台として、内部に加熱するためのヒータを設けた熱板(ホットプレート)が示されている。
【0004】
このような熱板つまり加熱装置付の載置台で半導体ウエハを加熱する場合、歩留まり向上のために、加熱による半導体ウエハの面内温度をなるべく均一にさせる必要がある。
【特許文献1】特開平9−189613号公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、厚さ10mm程度のアルミプレートや厚さ3mm程度のセラミックプレートなどの基材プレートに、電気抵抗体であるヒータを、シルクスクリーン法により印刷するか又は貼り付けることにより熱板を構成している。このため、基材プレートに設けたヒータに幅や厚さのバラツキがあることが避けられず、熱板面内におけるヒータの発熱分布にバラツキが生じやすく、半導体ウエハの面内温度の均一性に影響を与える。
【0006】
また、上記基材プレートに温度センサを設ける場合、従来では埋設や貼着により温度センサを設けているため、温度センサの設置の位置やサイズにバラツキが生じ、半導体ウエハの面内温度の計測精度に影響を与える。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ヒータの発熱量のバラツキをなくし、被処理基板の面内温度の均一性を向上させた熱板及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明の熱板は、被処理基板を載置し該被処理基板を加熱するための熱板であって、基材となるシリコン基板と、 上記シリコン基板の裏面に成膜された金属の電気抵抗体からなるヒータと、 上記シリコン基板の裏面又は表面に成膜された金属の電気抵抗体からなる温度センサと、 被処理基板を下方から支えて熱板の上に昇降するための支持ピンを挿通させるべく上記シリコン基板に設けられたピン孔と、 上記シリコン基板の表面に形成され、熱板の上に載置される被処理基板との間に隙間を形成するためギャップ用突起と、を備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0009】
この発明の熱板において、上記ヒータ及び温度センサが白金(Pt)膜からなることが好ましい(請求項2)。
【0010】
この発明の熱板において、上記ギャップ用突起を、上記シリコン基板の表面に形成されたシリコンのギャップピンにて形成するか、あるいは、上記ギャップ用突起を、上記シリコン基板の表面に形成された合成樹脂材料の突起にて形成することができる(請求項3,4)。
【0011】
この発明の熱板において、上記シリコン基板の表面には、被処理基板を吸着し加熱処理させるための吸着溝及び吸着孔を設けるようにしてもよい(請求項5)。
【0012】
また、この発明の熱板の製造方法は、被処理基板を載置し該被処理基板を加熱するための熱板の製造方法であって、 基材であるシリコン基板の裏面にスパッタリングにより金属の電気抵抗体からなるヒータを成膜する工程と、 上記シリコン基板の裏面又は表面にスパッタリングにより金属の電気抵抗体からなる温度センサを成膜する工程と、 上記シリコン基板に被処理基板を下方から支えて熱板の上に昇降するための支持ピンを挿通させるピン孔を設ける工程と、 上記シリコン基板の表面に、熱板の上に載置される被処理基板との間に隙間を形成するためギャップ用突起を設ける工程と、を有することを特徴とする(請求項6)。
【0013】
この発明の熱板の製造方法においては、上記ヒータ及び温度センサの材料に白金(Pt)を用いることが好ましい(請求項7)。
【0014】
この発明の熱板の製造方法においては、上記ギャップ用突起として、上記シリコン基板の表面をエッチングすることによりシリコンのギャップピンを設けるか、あるいは、上記シリコン基板の表面に合成樹脂材料の突起を形成することが好ましい(請求項8、9)。
【0015】
この発明の熱板の製造方法においては、上記シリコン基板の表面に、被処理基板を吸着し加熱処理させるための吸着溝及び吸着孔を、フォトリソグラフィーとエッチングの技術を用いて形成することが好ましい(請求項10)。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術あるいは半導体製造技術を用い、基材としてのシリコン基板の裏面に直接にヒータを成膜し、これを熱板に用いるので、印刷や貼り付けによりヒータを設ける方法に比べ、ヒータの幅や厚さを、より均一に高精度に造ることができ、発熱量を均一にして、半導体ウエハなどの被処理基板の面内温度の均一性を向上させることができる。
【0017】
また、この発明では、温度センサも、同様にして、基材としてのシリコン基板の裏面又は表面に直接に成膜するので、高精度に造ることができ、複数の温度センサを設けて精密に温度制御をすることが可能となる。
【0018】
また、この発明では、基材としてのシリコン基板の表面側に、同様にして、ギャップピンなどのギャップ用突起を設けるので、被処理基板と熱板との間に正確なギャップを形成することが可能である。
【0019】
更にまた、この発明においては、基材としてのシリコン基板の表面側に、吸着孔及び吸着溝を設けることにより、被処理基板を吸引し、被処理基板に反りがあっても熱板側に強制的に吸着させることによって、被処理基板の熱板載置状態を一様にすることができ、また吸着溝及び吸着孔をフォトリソグラフィーとエッチングの技術を用いて形成することで、被処理基板を均一に吸引する精密なチャック機能を持たせることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の最良の形態について、添付図示に基づいて説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
図1はこの発明の第1の実施形態に係る熱処理用の熱板41の裏面を示した図、図2は熱板41の表面を示した図である。ここに示す熱板41は、例えば厚さ750μm、直径300mmのウエハを載置することを前提としており、例えば厚さ0.5〜3mm、直径340mmの大きさのものを対象としている。
【0022】
この熱板41の基材プレートは、例えば厚さが0.5〜3mm、直径340mmの円盤状のシリコン基板42からなり、その裏面には、図1に示すように、電気抵抗体である白金(Pt)膜からなる線状又は帯状のヒータ43が、スパッタリングにより、蛇行状,円弧状,一筆書き状などの所定のパターンで形成されている。なお本明細書において、帯状のヒータといった場合、面状発熱体からなる場合のみならず、線状発熱体をジグザグに配置するなどして全体として面状に構成した場合をも含む意味である。
【0023】
この実施形態の例では、中央に第1の環状ヒータ44が、また、この第1の環状ヒータ44を取り巻いて外周囲に第2の環状ヒータ45が設けられ、このうち第2の環状ヒータ45は4つのセクタに分離されている。そして、これらの第1の環状ヒータ44の端部及び第2の環状ヒータ45の各セクタの端部には、それぞれスパッタリングによりNi/Cr膜からなる電極端子46が形成されている。
【0024】
更に、シリコン基板42の裏面には、ほぼ正四角形の頂点に電気抵抗体である白金(Pt)膜からなる小片状の温度センサ47が、スパッタリングにより形成され、その両端部にそれぞれスパッタリングによりNi/Cr膜からなる一対の電極端子48が形成されている。なお本明細書において、小片状の温度センサといった場合、面状抵抗体からなる場合のみならず、線状抵抗体をジグザグに配置するなどして全体として面状に構成した場合をも含む意味である。
【0025】
また、シリコン基板42の表面には、図2に示すように、半導体ウエハWを下方から支えて熱板41の上に昇降するための3本の支持ピン109(図18参照)を挿通させる3つのピン孔49が、正三角形の頂点に位置するように、ドライエッチングにより形成されている。更にまた、シリコン基板42の表面には、載置する半導体ウエハWとの間に若干の隙間を持たせるためのギャップ用突起として、5個のギャップピン50が、四角形の頂点と四角形の中心に位置するように、フォトリソグラフィを用いて形成されている。
【0026】
次に、図3〜図8を用いて、上記熱板41の製造方法について説明する。
【0027】
{ヒータ43の作成手順(図3,図4)}
シリコン基板42の裏面にヒータ43を作成する手順を図3及び図4の(a),(a’)〜(j),(j’)に示す。なお図3及び図4中の各工程図の左側(a)〜(j)は熱板41の裏面を示し、また右側(a’)〜(j’)はその直径方向のラインに沿った矢印方向の断面を示す。また、図4中の各工程図(g),(g’)〜(j),(j’)では、熱板41の裏面の一部及びその端子部を通るラインに沿った矢印方向の断面を拡大して示してある。
【0028】
まず、上記ヒータ43の電気抵抗体であるPt膜を形成するための手順を説明する。
【0029】
図3に示すように、基材として直径340mm、厚さ3mmのシリコン基板42を用意し{図3(a),(a’)}、その裏面側に全面にSiO2膜52を形成した後{図3(b),(b’)}、このSiO2膜52の上に、フォトリソグラフィーの技術により、フォトレジスト53の塗布,露光,現像,フォトレジスト除去の工程を経て、所定のヒータパターンに対応した形状のレジストパターン54を形成する{図3(c),(c’)}。
【0030】
次に、上記レジストパターン54を残したまま全面にPt膜55を、スパッタリングにより形成する{図3(d),(d’)}。その後、このレジストパターン54を、その上に形成されたPt膜55とともに除去する(リフトオフ){図3(e),(e’)}。このいわゆるリフトオフ法によって、所定のヒータパターンの領域のみに、帯状のPt膜55が電気抵抗体(ヒータ43)として形成される。ここでは、中央に第1の環状ヒータ44が、またこれを取り巻いて外周囲に4つのセクタに分離された第2の環状ヒータ45が形成される。
【0031】
次に、上記ヒータ43に電極端子46を形成するための手順を説明する。
【0032】
図4に示すように、上記のPt膜55が掲載されたシリコン基板42上に、全面に絶縁膜としてポリイミド樹脂からなるポリイミド膜56を形成し{図4(f),(f’)}、その絶縁膜1をパターニングして、ヒータ43の端子に対応する形状の開口57を形成し、Pt膜55を露出させる{図4(g),(g’)}。
【0033】
次に、このポリイミド膜56の上に、フォトリソグラフィーの技術により、フォトレジスト58を塗布し、露光,現像,フォトレジスト除去の工程を経て、上記開口57を残して所定の端子パターンに対応した形状のレジストパターン59を形成する{図4(h),(h’)}。
【0034】
次に、上記レジストパターン59を残したまま全面にNi/Cr膜60(例えば、0.15μm/0.01μm)をスパッタリングにより形成する{図4(i),(i’)}。その後、このレジストパターン59を、その上に形成されたNi/Cr膜60とともに除去する(リフトオフ){図4(j),(j’)}。これにより、第1の環状ヒータ44の端部及び第2の環状ヒータ45の各セクタの端部にのみ、それぞれ表面にNi/Cr膜60を持つ電極端子46が形成される。
【0035】
{温度センサ47の作成手順(図5,図6)}
シリコン基板42の裏面に温度センサ47を作成する手順を図5及び図6の(b)〜(i)に示す。図5(a)は温度センサ47を簡略的に示したものであり、ジグザグな線状に形成された電気抵抗体であるPt膜61とその両端の電極端子48とで構成されている。図5及び図6中の各工程図(b)〜(i)は、この図5(a)に示す温度センサ47を、その両端の電極端子48を通るラインに沿った矢印方向の断面を示したものである。同じPt膜でありながら、ヒータ43と同じ工程で温度センサ47を製造しないのは、Pt膜の厚さが、ヒータ43で2.0μm、温度センサ47で0.3μm、と互いに異なっているためである。
【0036】
まず図5(b)に示すように、上記ヒータ43及び電極端子46が形成されたシリコン基板42の裏面上{図5(b)ではポリイミド膜56の上}に、フォトリソグラフィーの技術により、フォトレジスト62の塗布,露光,現像,フォトレジスト除去の工程を経て、所定のセンサパターンに対応した形状のレジストパターン63を形成する{図5(b)}。また、このレジストパターン63で覆われていないポリイミド膜56の部分を除去する。図5(b)は、このポリイミド膜の部分を除去した状態を示す。
【0037】
次に、上記レジストパターン63を残したまま全面にPt膜61を、スパッタリングにより形成する{図5(c)}。その後、このレジストパターン63を、その上に形成されたPt膜61とともに除去する(リフトオフ){図5(d)}。このときポリイミド膜56も一緒に除去するが、温度センサ47上の領域以外のポリイミド膜56はそのまま残す。これによって、所定のセンサパターンの帯状の領域{ここではジグザグな線状領域}のみに、Pt膜61が電気抵抗体(温度センサ47)として形成される。ただし、ポリイミド膜56は除去しないで、そのまま残しておいてもよい。
【0038】
次に、上記温度センサ47に電極端子48を形成するための手順を説明する。
【0039】
図6に示すように、上記のPt膜61が掲載されたシリコン基板42上に、全面に絶縁膜ポリイミド樹脂からなるポリイミド膜64を形成する{図6(e)}。上記のポリイミド膜56を除去しないで、そのまま残しておく形態では、このポリイミド膜56上に重ねてポリイミド膜64を形成することになる。このポリイミド膜64(又はポリイミド膜56とポリイミド膜64)をパターニングして、温度センサ47の電極端子に対応する形状の開口65を形成し、Pt膜61を露出させる{図6(f)}。
【0040】
次に、このポリイミド膜64の上に、フォトリソグラフィーの技術により、フォトレジスト66を塗布し、露光,現像,フォトレジスト除去の工程を経て、上記開口65を残して所定の端子パターンに対応した形状のレジストパターン67を形成する{図6(g)}。
【0041】
次に、上記レジストパターン67を残したまま全面にAu膜68をスパッタリングにより形成する{図6(h)}。その後、このレジストパターン67を、その上に形成されたAu膜68とともに除去する(リフトオフ){図6(i)}。これにより、Pt膜61の上にのみ、それぞれAu膜68が形成され、表面にAu膜68を持つ電極端子48が形成される。
【0042】
{ピン孔49及びギャップ用突起の作成手順(図7,図8)}
シリコン基板42にピン孔49を作成し、シリコン基板42の表面にギャップ用突起としてのギャップピン50を作成する手順を図7及び図8の(a),(a’)〜(g),(g’)に示す。なお図7中の各工程図の左側(a)〜(d)は熱板41の表面を示し、また右側(a’)〜(d’)はそのピン孔49を通るラインに沿った矢印方向の断面を示す。また図8中の各工程図の左側(e)〜(g)は熱板41の表面を示し、また右側(e‘)〜(g’)はそのピン孔49及びギャップピン50を通るラインに沿った矢印方向の断面を示す。
【0043】
まず、上記ヒータ43及び温度センサ47の形成されたシリコン基板42の表面を上側とし{図7(a),(a’)}、その全面にフォトレジスト69を形成し、フォトリソグラフィーの技術により、露光,現像,フォトレジスト除去の工程を経て、所定のピン孔パターンに対応した開孔を持つ形状のレジストパターン70を形成する{図7(b),(b’)}。その際、予め裏面側の上記ポリイミド膜56にも対応位置に所定のピン孔パターンに対応した位置に開孔71を形成しておく。
【0044】
次に、上記レジストパターン70をマスクとして、ドライエッチングにより、シリコン基板42を表面側からエッチングを行い、所定の厚さ(高さh)を残した深さの有底孔72を形成し{図7(c),(c’)}、その後、レジストパターン70を除去する(レジストアッシング){図7(d),(d’)}。
【0045】
続いて、上記有底孔72を設けたシリコン基板42の表面上に、ギャップピン50に対応する部位のみにフォトレジスト73が残るようにレジストパターン74を形成する{図8(e),(e’)}。そして、このレジストパターン74をマスクとして、ドライエッチングにより、シリコン基板42を表面側から所定の厚さ(高さh)だけエッチングして除去すると共に、有底孔72の下方の部位のSiO2膜52も同時に除去する{図8(f),(f’)}。これにより、有底孔72は、予め裏面側のポリイミド膜56に形成しておいた開孔71と連通し、所定のピン孔49が形成される。次いで、レジストパターン74を除去する(レジストアッシング){図8(g),(g’)}。これにより、シリコン基板42の表面上には、所定の高さhのギャップピン50が残る。
【0046】
<第2の実施形態>
図9はこの発明の第2の実施形態に係る熱板41の表面を示した図である。
【0047】
上記第1の実施形態ではギャップ用突起をシリコン基板42をエッチングして得たギャップピン50により形成したが、この第2の実施形態では、図9に示すように、シリコン基板42の表面に一定の厚みで絶縁性の合成樹脂材料であるポリイミド樹脂による環状突起75を設けることでギャップ用突起を形成する。図9の例では、中央に位置する第1の環状突起76と外周側に位置する第2の環状突起77とを設けている。なお、これらの環状突起75は3つのピン孔49を避ける位置に設ける。
【0048】
また、シリコン基板42の表面には、半導体ウエハWを吸着し加熱処理させるために、中心に1つの吸着孔78を設けると共に、これと連通する吸着溝79を設けている。この吸着溝79も3つのピン孔49を避ける位置に設けられる。図9の例では、吸着溝79として、吸着孔78を取り巻いて周囲に配置した第1の環状溝80、第2の環状溝81及び第3の環状溝82と、これらを連通させる半径方向の直線的な4本の連通溝83を設けている。上記第1の環状突起76は、中心の吸着溝79と第1の環状溝80との間に位置し、また第2の環状突起77は第2の環状溝81と第3の環状溝82との間に位置する。したがって、ポリイミド樹脂による第1の環状突起76と第2の環状突起77は、それぞれ上記4本の半径方向の連通溝83により4つのセクタに分かれている。なお、3つのピン孔49は第1の環状突起76と第2の環状突起77の間に位置している。
【0049】
この第2の実施形態によれば、半導体ウエハWを吸着し加熱処理させる際のギャップを高精度に設定することができため、吸引力や吸引分布をウエハ面内で均一になるように高精度に制御することができる。
【0050】
{ギャップ用突起,吸着孔78,吸着溝79,ピン孔49の作成手順(図10,図11)}
シリコン基板42の表面にギャップ用突起としての環状突起75、吸着溝79及び吸着孔78を作成すると共に、シリコン基板42にピン孔49を作成する手順を、図10及び図11の(a),(a’)〜(h),(h’)を用いて説明する。なお図10及び図11中の各工程図の左側(a)〜(h)は熱板41の表面を示し、また右側(a’)〜(h’)は図示の直径方向のラインに沿った矢印方向の断面を示す。
【0051】
まず、上記ヒータ43及び温度センサ47の形成されたシリコン基板42の表面を上側とし{図10(a),(a’)}、その際、予め裏面側の上記ポリイミド膜56の所定のピン孔パターン及び吸着孔パターンに対応した位置に開孔71及び開孔84を形成しておく。そして、このシリコン基板42の表面に、フォトリソグラフィーの技術を用いて、ポリイミド樹脂からなるギャップ用突起である第1の環状突起76と第2の環状突起77を、所定の突起パターンにて形成する{図10(b),(b’)}。
【0052】
次に、上記シリコン基板42の表面に、フォトレジスト85を全面に形成し、フォトリソグラフィーの技術により、露光,現像,フォトレジスト除去の工程を経て、所定の吸着溝79のパターンに対応した形状のレジストパターン86を形成する{図10(c),(c’)}。
【0053】
次に、上記レジストパターン86をマスクとして、ドライエッチングにより、シリコン基板42を表面側からエッチングを行い、所定の溝深さの有底孔87を形成し{図10(d),(d’)}、その後、レジストパターン86を除去する{図11(e),(e’)}。これにより環状突起75を備えたシリコン基板42の表面に、所定の吸着溝79が形成される。
【0054】
続いて、上記シリコン基板42の表面に、フォトリソグラフィーの技術により、フォトレジスト88の塗布,露光,現像,フォトレジスト除去の工程を経て、所定のピン孔パターン及び所定の吸着孔パターンに対応した形状の有底孔89及び有底孔90を有するレジストパターン91を形成する{図11(f),(f’)}。その際、これらの所定のピン孔パターン及び所定の吸着孔パターンは、裏面側の上記ポリイミド膜56の対応位置に設けた開孔71及び開孔84のパターン位置と合致させておく。
【0055】
次に、上記レジストパターン91をマスクとして、ドライエッチングにより、シリコン基板42を表面側からエッチングし、有底孔89及び有底孔90を裏面側の開孔71及び開孔84と連通させる{図11(g),(g’)}。その後、レジストパターン91を除去(レジストアッシング)することで、所定のピン孔49及び所定の吸着孔78が得られる{図11(h),(h’)}。
【0056】
<第3の実施形態>
図12にこの発明の第3の実施形態を示す。これはシリコン基板42の裏面側ではなく、表面側に温度センサ47を形成した例である。この第3の実施形態によれば、シリコン基板42の裏面側に温度センサ47を形成する場合に比べ、被加熱対象であるウエハに近い温度制御が可能となり、より高精密が温度制御が実現できるという利点を有する。
【0057】
{表面側への温度センサ47の作成手順(図13,図14)}
このシリコン基板42の表面側に温度センサ47を形成する手順について説明する。図13及び図14にこの手順を示す。図13及び図14中の各工程図の左側(a)〜(g)は熱板41の表面を示し、また右側(a’)〜(g’)は図示のギャップピン50,ピン孔49及び温度センサ47を通るラインに沿った矢印方向の断面を示す。
【0058】
シリコン基板42の表面にギャップ用突起としてのギャップピン50が形成され、かつ上記のピン孔49を有するシリコン基板42の表面側に、絶縁膜としてのポリイミド樹脂からなるポリイミド膜92を全面に形成する。
【0059】
次に、ポリイミド膜92の上に、フォトリソグラフィーの技術により、フォトレジスト93の塗布,露光,現像,フォトレジスト除去の工程を経て、所定のセンサパターンに対応した形状のレジストパターン94を形成する{図13(b),(b’)}。
【0060】
次に、上記レジストパターン94を残したまま全面にPt膜95を、スパッタリングにより形成する{図13(c),(c’)}。その後、このレジストパターン94を、その上に形成されたPt膜95とともに除去する(リフトオフ){図13(d),(d’)}。これによって、所定のセンサパターンの帯状の領域(正確には線状の抵抗体をジグザグに全体として帯状に配置した領域)のみに、Pt膜95が電気抵抗体(温度センサ47)のPt膜96として形成される。ただし、ギャップピン50はポリイミド膜92及びフォトレジスト93を貫いて高く位置しているので、レジストパターン94の除去後に、ギャップピン50の頂部にもPt膜95が不要なPt膜97としてそのまま残る。
【0061】
そこで、この不要なPt膜97を除去するため、Pt膜97を除いてシリコン基板42の表面をポリイミド膜92の上からフォトレジスト98で覆い{図14(e),(e’)}、このレジストパターン99をマスクとして、ドライエッチングにより、Pt膜97を除去し{図14(f),(f’)}、その後、レジストパターン99を除去する(レジストアッシング){図14(g),(g’)}。これによりギャップピン50を備えるシリコン基板42の表面に温度センサ47が形成される。
【0062】
上記実施の形態では、先にヒータ43を形成したが、ヒータ43,温度センサ47,ギャップ用突起の形成順序は、適宜変更することができる。
【0063】
以下に、この発明に係る熱板41を、半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理システムにおける熱処理装置に適用した場合について説明する。
【0064】
図15は、上記レジスト液塗布・現像処理システムの一実施形態の概略平面図、図16は、図15の正面図、図17は、図15の背面図である。
【0065】
上記レジスト液塗布・現像処理システムは、被処理基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)をウエハカセット1で複数枚例えば25枚単位で外部からシステムに搬入またはシステムから搬出したり、ウエハカセット1に対してウエハWを搬出・搬入したりするためのカセットステーション10(搬送部)と、塗布現像工程の中で1枚ずつウエハWに所定の処理を施す枚葉式の各種処理ユニットを所定位置に多段配置してなる処理装置を具備する処理ステーション20と、この処理ステーション20と隣接して設けられる露光装置(図示せず)との間でウエハWを受け渡すためのインター・フェース部30とで主要部が構成されている。
【0066】
上記カセットステーション10は、図15に示すように、カセット載置台2上の突起3の位置に複数個例えば4個までのウエハカセット1がそれぞれのウエハ出入口を処理ステーション20側に向けて水平のX方向に沿って一列に載置され、カセット配列方向(X方向)及びウエハカセット1内に垂直方向に沿って収容されたウエハWのウエハ配列方向(Z方向)に移動可能なウエハ搬送用ピンセット4が各ウエハカセット1に選択的に搬送するように構成されている。また、ウエハ搬送用ピンセット4は、θ方向に回転可能に構成されており、後述する処理ステーション20側の第3の組G3の多段ユニット部に属するアライメントユニット(ALIM)及びエクステンションユニット(EXT)にも搬送できるようになっている。
【0067】
上記処理ステーション20は、図15に示すように、中心部には、移動機構22によって垂直移動する垂直搬送型の主ウエハ搬送機構21が設けられ、この主ウエハ搬送機構21の周りに全ての処理ユニットが1組または複数の組に渡って多段に配置されている。この例では、5組G1,G2,G3,G4及びG5の多段配置構成であり、第1及び第2の組G1,G2の多段ユニットはシステム正面側に並列され、第3の組G3の多段ユニットはカセットステーション10に隣接して配置され、第4の組G4の多段ユニットはインター・フェース部30に隣接して配置され、第5の組G5の多段ユニットは背部側に配置されている。
【0068】
この場合、図16に示すように、第1の組G1では、容器としてのカップ23内でウエハWと現像液供給手段(図示せず)とを対峙させてレジストパターン54を現像する現像ユニット(DEV)と、ウエハWをスピンチャック(図示せず)に載置して所定の処理を行うレジスト塗布ユニット(COT)とが垂直方向の下から順に2段に重ねられている。第2の組G2も同様に、2台のレジスト塗布ユニット(COT)及び現像ユニット(DEV)が垂直方向の下から順に2段に重ねられている。このようにレジスト塗布ユニット(COT)を下段側に配置した理由は、レジスト液の排液が機構的にもメンテナンスの上でも面倒であるためである。しかし、必要に応じてレジスト塗布ユニット(COT)を上段に配置することも可能である。
【0069】
図17に示すように、第3の組G3では、ウエハWをウエハ載置台24(図15参照)に載置して所定の処理を行うオーブン型の処理ユニット例えばウエハWを冷却するクーリングユニット(COL)、ウエハWに疎水化処理を行うアドヒージョンユニット(AD)、ウエハWの位置合わせを行うアライメントユニット(ALIM)、ウエハWの搬入出を行うエクステンションユニット(EXT)、ウエハWをベークする4つのホットプレートユニット(HP)が垂直方向の下から順に例えば8段に重ねられている。
【0070】
また第4の組G4では、オーブン型処理ユニット例えばクーリングユニット(COL)、エクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)、エクステンションユニット(EXT)、クーリングユニット(COL)、急冷機能を有する2つのチリングホットプレートユニット(CHP)及び2つのホットプレートユニット(HP)が垂直方向の下から順に例えば8段に重ねられている。このチリングホットプレートユニット(CHP)及びホットプレートユニット(HP)には、この発明に係る熱板41を用いた熱処理装置が用いられている。
【0071】
上記のように処理温度の低いクーリングユニット(COL)、エクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)を下段に配置し、処理温度の高いホットプレートユニット(HP)、チリングホットプレートユニット(CHP)及びアドヒージョンユニット(AD)を上段に配置することで、ユニット間の熱的な相互干渉を少なくすることができる。勿論、ランダムな多段配置とすることも可能である。
【0072】
なお、図15に示すように、処理ステーション20において、第1及び第2の組G1,G2の多段ユニット(スピナ型処理ユニット)に隣接する第3及び第4の組G3,G4の多段ユニット(オーブン型処理ユニット)の側壁の中には、それぞれダクト25,ダクト26が垂直方向に縦断して設けられている。これらのダクト25,26には、ダウンフローの清浄空気または特別に温度調整された空気が流されるようになっている。このダクト構造によって、第3及び第4の組G3,G4のオーブン型処理ユニットで発生した熱は遮断され、第1及び第2の組G1,G2のスピナ型処理ユニットへは及ばないようになっている。
【0073】
また、この処理システムでは、主ウエハ搬送機構21の背部側にも図15に点線で示すように第5の組G5の多段ユニットが配置できるようになっている。この第5の組G5の多段ユニットは、案内レール27に沿って主ウエハ搬送機構21から見て側方へ移動できるようになっている。したがって、第5の組G5の多段ユニットを設けた場合でも、ユニットをスライドすることにより空間部が確保されるので、主ウエハ搬送機構21に対して背後からメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0074】
上記インター・フェース部30は、奥行き方向では処理ステーション20と同じ寸法を有するが、幅方向では小さなサイズに作られている。このインター・フェース部30の正面部には可搬性のピックアップカセット31と定置型のバッファカセット32が2段に配置され、背面部には、ウエハWの周辺部の露光及び識別マーク領域の露光を行う露光手段である周辺露光装置33が配設され、中央部には、搬送手段であるウエハの搬送アーム34が配設されている。この搬送アーム34は、X,Z方向に移動して両カセット31,32及び周辺露光装置33に搬送するように構成されている。また、搬送アーム34は、θ方向に回転可能に構成され、処理ステーション20側の第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンションユニット(EXT)及び隣接する露光装置側のウエハ受渡し台(図示せず)にも搬送できるように構成されている。
【0075】
上記のように構成される処理システムは、クリーンルーム40内に設置されるが、更にシステム内でも効率的な垂直層流方式によって各部の清浄度を高めている。
【0076】
次に、上記ホットプレートユニット(HP)及びチリングホットプレートユニット(CHP)を構成するこの発明に係る熱板を用いた熱処理装置について、図15を参照して詳細に説明する。ここでは、この発明に係る熱板を用いた熱処理装置をチリングホットプレートユニット(CHP)に適用した場合について説明する。
【0077】
上記熱処理装置100は、図18に示すように、熱処理ユニットのケーシング(図示せず)内に、ウエハWを加熱する加熱部100aと、ウエハWを冷却する冷却部100bが設けられている。加熱部100aには、表面に塗布膜であるレジスト膜が形成されたウエハWを載置し加熱する熱板41と、熱板41の外周及び下部側を包囲する支持台101と、この支持台101の外周及び下部側を包囲するサポートリング102と、サポートリング102の上方開口部を覆い、サポートリング102と協働して熱処理室103を形成する蓋体104が設けられている。なお、サポートリング102の頂部の蓋体104に当接する面には円状の凹溝105が周設されており、この凹溝105内にOリング106が嵌挿されている。
【0078】
上記熱板41の裏面には、温度制御器107からの出力制御により所定温度に設定されるヒータ43が、上記第1の実施形態で述べた製造方法により設けられている。また、熱板41の同心円上の3箇所には、貫通孔より成る3個のピン孔49が三角形の頂点に位置するように設けられている。このピン孔49には、熱板41の下方に配設された昇降駆動機構108によって昇降する3本の支持ピン109が貫通可能になっており、支持ピン109の昇降により、ウエハWが冷却部100bの冷却プレート110との間で受け渡されるようになっている。
【0079】
また、熱板41の表面には、この熱板41の温度を検出する温度検出手段である温度センサ47が、上記の製造方法により設けられている。この温度センサ47によって検出された熱板41の温度の検出信号が、制御コンピュータ111の中央演算処理装置(CPU)を主体として構成される制御手段としての制御部112に伝達され、制御部112により上記温度制御器107を介して熱板41の温度が一定にコントロールされるように構成されている。
【0080】
また、上記蓋体104の一側には支持部113が突設されており、この支持部113に蓋体昇降機構例えば昇降シリンダ114のピストンロッド115が連結されている。したがって、昇降シリンダ114の駆動によって蓋体104がサポートリング102に対して接離移動すなわち開閉移動するようになっている。
【0081】
上記昇降シリンダ114及び昇降駆動機構108は、制御部112に電気的に接続されており、制御部112からの制御信号に基づいて駆動、すなわち蓋体104の開閉動作、支持ピン109の昇降動作するように構成されている。
【0082】
次に、上記レジスト液塗布・現像処理システムの動作について説明する。まず、カセットステーション10において、ウエハ搬送用ピンセット4がカセット載置台2上の未処理のウエハWを収容しているカセット1にアクセスして、そのカセット1から1枚のウエハWを取り出す。ウエハ搬送用ピンセット4は、カセット1よりウエハWを取り出すと、処理ステーション20側の第3の組G3の多段ユニット内に配置されているアライメントユニット(ALIM)まで移動し、ユニット(ALIM)内のウエハ載置台24上にウエハWを載せる。ウエハWは、ウエハ載置台24上でオリフラ合せ及びセンタリングを受ける。その後、主ウエハ搬送機構21がアライメントユニット(ALIM)に反対側からアクセスし、ウエハ載置台24からウエハWを受け取る。
【0083】
処理ステーション20において、主ウエハ搬送機構21はウエハWを最初に第3の組G3の多段ユニットに属するアドヒージョンユニット(AD)に搬入する。このアドヒージョンユニット(AD)内でウエハWは疎水化処理を受ける。疎水化処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをアドヒージョンユニット(AD)から搬出して、次に第3の組G3または第4の組G4の多段ユニットに属するクーリングユニット(COL)へ搬入する。このクーリングユニット(COL)内でウエハWはレジスト塗布処理前の設定温度例えば23℃まで冷却される。冷却処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをクーリングユニット(COL)から搬出し、次に第1の組G1または第2の組G2の多段ユニットに属するレジスト塗布ユニット(COT)へ搬入する。このレジスト塗布ユニット(COT)内でウエハWはスピンコート法によりウエハ表面に一様な膜厚でレジストを塗布する。
【0084】
レジスト塗布処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをレジスト塗布ユニット(COT)から搬出し、次にホットプレートユニット(HP)内へ搬入する。ホットプレートユニット(HP)内でウエハWは載置台上に載置され、所定温度例えば100℃で所定時間プリベーク処理される。これによって、ウエハW上の塗布膜から残存溶剤を蒸発除去することができる。プリベークが終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをホットプレートユニット(HP)から搬出し、次に第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)へ搬送する。このユニット(EXTCOL)内でウエハWは次工程すなわち周辺露光装置33における周辺露光処理に適した温度例えば24℃まで冷却される。この冷却後、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWを直ぐ上のエクステンションユニット(EXT)へ搬送し、このユニット(EXT)内の載置台(図示せず)の上にウエハWを載置する。このエクステンションユニット(EXT)の載置台上にウエハWが載置されると、インター・フェース部30の搬送アーム34が反対側からアクセスして、ウエハWを受け取る。そして、搬送アーム34はウエハWをインター・フェース部30内の周辺露光装置33へ搬入する。
【0085】
露光装置で全面露光が済んで、ウエハWが露光装置側のウエハ受取り台に戻されると、インター・フェース部30の搬送アーム34はそのウエハ受取り台へアクセスしてウエハWを受け取り、受け取ったウエハWを処理ステーション20側の第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンションユニット(EXT)へ搬入し、ウエハ受取り台上に載置する。この場合にも、ウエハWは、処理ステーション20側へ渡される前にインター・フェース部30内のバッファカセット32に一時的に収納されることもある。
【0086】
ウエハ受取り台上に載置されたウエハWは、主ウエハ搬送機構21により、チリングホットプレートユニット(CHP)に搬送され、フリンジの発生を防止するため、あるいは化学増幅型レジスト(CAR)における酸触媒反応を誘起するためポストエクスポージャーベーク処理が施される。
【0087】
その後、ウエハWは、第1の組G1または第2の組G2の多段ユニットに属する現像ユニット(DEV)に搬入される。この現像ユニット(DEV)内では、ウエハW表面のレジストに現像液が満遍なく供給されて現像処理が施される。
【0088】
現像工程が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWを現像ユニット(DEV)から搬出して、次に第3の組G3または第4の組G4の多段ユニットに属するホットプレートユニット(HP)へ搬入する。このユニット(HP)内でウエハWは例えば100℃で所定時間ポストベーク処理される。これによって、現像で膨潤したレジストが硬化し、耐薬品性が向上する。
【0089】
ポストベークが終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをホットプレートユニット(HP)から搬出し、次にいずれかのクーリングユニット(COL)へ搬入する。ここでウエハWが常温に戻った後、主ウエハ搬送機構21は、次にウエハWを第3の組G3に属するエクステンションユニット(EXT)へ移送する。このエクステンションユニット(EXT)の載置台(図示せず)上にウエハWが載置されると、カセットステーション10側のウエハ搬送用ピンセット4が反対側からアクセスして、ウエハWを受け取る。そして、ウエハ搬送用ピンセット4は、受け取ったウエハWをカセット載置台2上の処理済みウエハ収容用のカセット1の所定のウエハ収容溝に入れて処理が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る熱板の裏面を示した図である。
【図2】この発明の第1の実施形態に係る熱板の表面を示した図である。
【図3】この発明の第1の実施形態に係る熱板のヒータの作成手順の前半を示した図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係る熱板のヒータの作成手順の後半を示した図である。
【図5】この発明の第1の実施形態に係る熱板の温度センサの作成手順の前半を示した図である。
【図6】この発明の第1の実施形態に係る熱板の温度センサの作成手順の後半を示した図である。
【図7】この発明の第1の実施形態に係る熱板のピン孔及びギャップ用突起の作成手順の前半を示した図である。
【図8】この発明の第1の実施形態に係る熱板のピン孔及びギャップ用突起の作成手順の後半を示した図である。
【図9】この発明の第2の実施形態に係る熱板の表面を示した図である。
【図10】この発明の第2の実施形態に係る熱板を作成する手順の前半を示した図である。
【図11】この発明の第2の実施形態に係る熱板を作成する手順の後半を示した図である。
【図12】この発明の第3の実施形態に係る熱板の表面を示した図である。
【図13】この発明の第3の実施形態に係る熱板の作成手順の前半を示した図である。
【図14】この発明の第3の実施形態に係る熱板の作成手順の後半を示した図である。
【図15】この発明の熱板を用いた熱処理装置を用いたレジスト液塗布・現像処理システムの一例を示す概略平面図である。
【図16】上記レジスト液塗布・現像処理システムの概略正面図である。
【図17】上記レジスト液塗布・現像処理システムの概略背面図である。
【図18】この発明の熱板を用いた上記熱処理装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0091】
41 熱板
42 シリコン基板
43 ヒータ
44 第1の環状ヒータ
45 第2の環状ヒータ
46 電極端子
47 温度センサ
48 電極端子
49 ピン孔
50 ギャップピン
52 SiO2
53 フォトレジスト
54 レジストパターン
55 Pt膜
56 ポリイミド膜
57 開口
58 フォトレジスト
59 レジストパターン
60 Ni/Cr膜
61 Pt膜
62 フォトレジスト
63 レジストパターン
64 ポリイミド膜
65 開口
66 フォトレジスト
67 レジストパターン
68 Au膜
69 フォトレジスト
70 レジストパターン
71 開孔
72 有底孔
73 フォトレジスト
74 レジストパターン
75 環状突起
76 第1の環状突起
77 第2の環状突起
78 吸着孔
79 吸着溝
80 第1の環状溝
81 第2の環状溝
82 第3の環状溝
83 連通溝
84 開孔
85 フォトレジスト
86 レジストパターン
87 有底孔
88 フォトレジスト
89 有底孔
90 有底孔
91 レジストパターン
92 ポリイミド膜
93 フォトレジスト
94 レジストパターン
95 Pt膜
96 Pt膜
97 Pt膜
98 フォトレジスト
99 レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を載置し該被処理基板を加熱するための熱板であって、
基材となるシリコン基板と、
上記シリコン基板の裏面に成膜された金属の電気抵抗体からなるヒータと、
上記シリコン基板の裏面又は表面に成膜された金属の電気抵抗体からなる温度センサと、
被処理基板を下方から支えて熱板の上に昇降するための支持ピンを挿通させるべく上記シリコン基板に設けられたピン孔と、
上記シリコン基板の表面に形成され、熱板の上に載置される被処理基板との間に隙間を形成するためギャップ用突起と、
を備えたことを特徴とする熱板。
【請求項2】
請求項1に記載の熱板において、
上記ヒータ及び温度センサが白金(Pt)膜からなることを特徴とする熱板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の熱板において、
上記ギャップ用突起が上記シリコン基板の表面に形成されたシリコンのギャップピンからなることを特徴とする熱板。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の熱板において、
上記ギャップ用突起が上記シリコン基板の表面に形成された合成樹脂材料の突起からなることを特徴とする熱板。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の熱板において、
上記シリコン基板の表面に、被処理基板を吸着し加熱処理させるための吸着溝及び吸着孔を有する、
ことを特徴とする熱板。
【請求項6】
被処理基板を載置し該被処理基板を加熱するための熱板の製造方法であって、
基材であるシリコン基板の裏面にスパッタリングにより金属の電気抵抗体からなるヒータを成膜する工程と、
上記シリコン基板の裏面又は表面にスパッタリングにより金属の電気抵抗体からなる温度センサを成膜する工程と、
上記シリコン基板に被処理基板を下方から支えて熱板の上に昇降するための支持ピンを挿通させるピン孔を設ける工程と、
上記シリコン基板の表面に、熱板の上に載置される被処理基板との間に隙間を形成するためギャップ用突起を設ける工程と、
を有することを特徴とする熱板の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の熱板の製造方法において、
上記ヒータ及び温度センサの材料に白金(Pt)を用いることを特徴とする熱板の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の熱板の製造方法において、
上記ギャップ用突起として、上記シリコン基板の表面をエッチングすることによりシリコンのギャップピンを設けることを特徴とする熱板の製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の熱板の製造方法において、
上記ギャップ用突起として、上記シリコン基板の表面に合成樹脂材料の突起を形成することを特徴とする熱板の製造方法。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれかに記載の熱板の製造方法において、
上記シリコン基板の表面に、被処理基板を吸着し加熱処理させるための吸着溝及び吸着孔を、フォトリソグラフィーとエッチングの技術を用いて形成する、
ことを特徴とする熱板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−329008(P2007−329008A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158898(P2006−158898)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】