説明

熱硬化性シリコーン樹脂用組成物

【課題】光透過性、接着性、耐光性、耐熱性に優れ、かつ、機械的強度が強い熱硬化性シリコーン樹脂用組成物、該組成物を反応させて得られる熱硬化性シリコーン樹脂組成物及びその製造方法、該熱硬化性シリコーン樹脂組成物を含有する光半導体素子封止材料、ならびに、該樹脂組成物又は光半導体素子封止材料で封止された光半導体装置を提供すること。
【解決手段】(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物、(C)アルケニル基含有環状シロキサン、及び(D)ヒドロシリル化触媒を含有してなる、熱硬化性シリコーン樹脂用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性シリコーン樹脂用組成物に関する。さらに詳しくは、光透過性、接着性、耐光性、耐熱性に優れ、かつ、機械的強度が強い熱硬化性シリコーン樹脂用組成物、該組成物を反応させて得られる熱硬化性シリコーン樹脂組成物及びその製造方法、該熱硬化性シリコーン樹脂組成物を含有する光半導体素子封止材料、ならびに、該樹脂組成物又は光半導体素子封止材料で封止された光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般照明への応用が検討されている高輝度白色LED装置には、従来の表示用LED装置で汎用されてきたエポキシ樹脂よりも、優れた光透過性、耐光性、耐熱性を有している封止材の利用が検討されている。かかる封止材としては、熱硬化性シリコーン樹脂及びその変性体が注目されている。
【0003】
特許文献1では、ヒドロシリル化反応を利用する付加硬化型シリコーン組成物中に、レジン構造のオルガノポリシロキサンを導入して組成物中のケイ素結合水素原子/ケイ素結合アルケニル基とのモル比を特定の範囲に設定することにより、光透過性、絶縁特性に優れる樹脂組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2では、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するシリコーンレジン、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンシラン及び/又はオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び付加反応触媒を必須成分とする付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が、耐熱性、耐変色性に優れた透明硬化物を与えることを報告している。
【0005】
特許文献3では、1分子中にケイ素原子結合アルケニル基を平均0.2個以上有するポリオルガノシロキサンを含有する光半導体封止用シリコーンゴム組成物において、ケイ素原子結合水素原子(Si−H基)を分子鎖途中に有する直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、Si−H基を分子鎖両末端に有する直鎖状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンをそれぞれ特定量使用することにより、優れた強度を与える硬化物が得られることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−198930号公報
【特許文献2】特開2004−186168号公報
【特許文献3】特開2008−150437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、シリコーン樹脂は、元来、高温で分解して環状オリゴシロキサンを生成する性質を有する。そのため、従来のシリコーン樹脂で封止した光半導体装置は、長時間の使用によって該シリコーン樹脂が高い熱エネルギーの発光に曝されて分解し、装置の周囲が環状オリゴシロキサンで汚染されたり、時間と共に発光輝度が低下したりするという問題があり、未だ十分な耐光性、耐熱性があるとは言えない。
【0008】
また、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂は、概して機械的強度が弱いために、外部圧力からチップを十分に保護できなかったり、表面にタックが残ったりして埃が付着しやすくなるという問題もある。
【0009】
本発明の課題は、光透過性、接着性、耐光性、耐熱性に優れ、かつ、機械的強度が強い熱硬化性シリコーン樹脂用組成物、該組成物を反応させて得られる熱硬化性シリコーン樹脂組成物及びその製造方法、該熱硬化性シリコーン樹脂組成物を含有する光半導体素子封止材料、ならびに、該樹脂組成物又は光半導体素子封止材料で封止された光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
〔1〕 (A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物、(C)アルケニル基含有環状シロキサン、及び(D)ヒドロシリル化触媒を含有してなる、熱硬化性シリコーン樹脂用組成物、
〔2〕 (A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物とを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させた後、得られた反応物と、さらに、(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることにより得られる、熱硬化性シリコーン樹脂組成物、
〔3〕 (A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物とを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる工程〔工程(1)〕、及び、前記工程(1)で得られた反応物と(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる工程〔工程(2)〕を含む、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の製造方法、
〔4〕 前記〔2〕記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を含有してなる、光半導体素子封止材料、ならびに
〔5〕 前記〔2〕記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物又は前記〔4〕記載の光半導体素子封止材料を用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物は、光透過性、接着性、耐光性、耐熱性に優れ、かつ、機械的強度が強い熱硬化性シリコーン樹脂組成物を提供することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物は、(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物、(C)アルケニル基含有環状シロキサン、及び(D)ヒドロシリル化触媒を含有する。
【0013】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、光透過性、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂誘導体であって、ヒドロシリル基(Si−H基)がアルケニル基等の不飽和結合含有基と付加反応して樹脂化する。本発明においては、不飽和結合含有基を有する化合物として、アルケニル基含有エポキシ化合物とアルケニル基含有環状シロキサンを併用するが、詳細な理由は不明なるも、前記両化合物と該オルガノハイドロジェンポリシロキサンをそれぞれ反応させることにより、エポキシ基が骨格に導入され、かつ、環状シロキサンが架橋点となることで、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが元来有する光透過性、耐光性、耐熱性等の特性をより向上することができる。また、アルケニル基含有エポキシ化合物におけるエポキシ構造はその柔軟な構造により接着性を付与することができ、アルケニル基含有環状シロキサンの環状シロキサンは直鎖シロキサンに比べて剛直な構造であるために、硬化物の弾性率を向上して機械的強度を付与することができる。従って、光透過性、耐光性、耐熱性に優れるオルガノハイドロジェンポリシロキサンに、柔軟なエポキシ構造と剛直な環状シロキサンをそれぞれ反応させて得られる樹脂組成物は、光透過性、耐光性及び耐熱性に優れるうえに、接着性にも優れ、かつ、機械的強度も強いと考えられる。
【0014】
以下に、本発明の構成成分を説明する。
【0015】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
本発明におけるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、式(I):
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、A、B及びCは構成単位であり、Aが末端単位、B及びCが繰り返し単位を示し、Rは炭素数1〜20の一価の炭化水素基又は水素、mは0又は1以上の整数、nは2以上の整数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
で表わされる化合物が好ましい。
【0018】
式(I)で表わされる化合物は、構成単位A、B及びCによって構成され、Aが末端単位、B及びCが繰り返し単位であり、水素が構成単位Cに必ず含まれている化合物である。
【0019】
式(I)におけるR、即ち、構成単位AにおけるR、構成単位BにおけるR、及び構成単位CにおけるRは、いずれも炭素数1〜20の一価の炭化水素基又は水素を示す。炭化水素基としては、飽和又は不飽和、直鎖、分枝鎖又は環状の炭化水素基が挙げられ、炭素数は、入手性及び経済性の観点から、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示される。なかでも、硬化物の光透過性及び耐光性の観点から、メチル基が好ましい。なお、式(I)において、全てのRは同一でも異なっていてもよく、構成単位に関係なく、それぞれ独立して上記炭化水素基又は水素を示す。
【0020】
構成単位Aは末端単位であり、式(I)中に2個含まれる。
【0021】
構成単位Bの繰り返し単位数、即ち、式(I)中のmは、0又は1以上の整数を示すが、反応性及び安定性の観点から、好ましくは1〜1,000、より好ましくは1〜100の整数である。
【0022】
構成単位Cの繰り返し単位数、即ち、式(I)中のnは、2以上の整数を示すが、反応性及び安定性の観点から、好ましくは2〜10,000、より好ましくは2〜1,000の整数である。
【0023】
mとnの和は、2〜10,000が好ましく、2〜2,000がより好ましい。また、mとnの比(m/n)は、1,000/1〜1/1,000が好ましく、100/1〜1/100がより好ましい。
【0024】
かかる式(I)で表される化合物としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン-CO-メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン-CO-メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、Rがメチル基、mが1以上の整数、nが2以上の整数である化合物が好ましい。
【0025】
式(I)で表される化合物は、安定性や取り扱い性の観点から、分子量は好ましくは100〜1,000,000、より好ましくは100〜100,000であることが望ましい。
【0026】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンにおける、式(I)で表される化合物の含有量は、50重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、実質的に100重量%がさらに好ましい。
【0027】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量は、組成物中、0.1〜99重量%が好ましく、0.1〜90重量%がより好ましく、0.1〜80重量%がさらに好ましい。
【0028】
(B)アルケニル基含有エポキシ化合物
アルケニル基含有エポキシ化合物としては、分子内にアルケニル基とエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されないが、反応性、及び取り扱い性の観点から、アルケニル基とエポキシ基のモル比(アルケニル基/エポキシ基)は、10/1〜0.1/1が好ましく、3/1〜0.3/1がより好ましく、実質的に当量(1/1)であることがさらに好ましい。
【0029】
アルケニル基としては、置換又は非置換のアルケニル基が挙げられ、アルケニル基を骨格に含む有機基であればよい。該有機基の炭素数は、調製しやすさや耐熱性の観点から、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノルボルネニル基、シクロヘキセニル基等が例示される。なかでも、ヒドロシリル化反応に対する反応性の観点から、ビニル基が好ましい。
【0030】
かかる構造を有する化合物の好適例を以下に示す。
【0031】
【化2】

【0032】
上記化合物のなかでは、入手性及び反応性の観点から、アリル(グリシジル)エーテル及びビニルシクロヘキセンオキシドがより好ましい。
【0033】
アルケニル基含有エポキシ化合物の含有量は、得られる樹脂の強度及び接着性の観点から、組成物中、0.01〜50重量%が好ましく、0.01〜20重量%がより好ましく、0.1〜10重量%がさらに好ましい。
【0034】
また、アルケニル基含有エポキシ化合物は、そのアルケニル基がオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基と反応することから、前記官能基のモル比(SiH基/アルケニル基)が、好ましくは10/0.5〜10/5、より好ましくは10/2〜10/4となる含有量であることが望ましい。前記モル比が、10/0.5以上であればエポキシ基による接着性向上効果が良好となり、10/5以下であればエポキシ基によって耐熱性が損なわれることがない。
【0035】
(C)アルケニル基含有環状シロキサン
アルケニル基含有環状シロキサンとしては、分子内に2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有し、かつ、4員環から16員環の環状シロキサンが好ましい。なお、該アルケニル基が結合するケイ素原子は、同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
アルケニル基としては上記と同様のアルケニル基が例示され、特に限定はないが、ヒドロシリル化反応に対する反応性の観点から、ビニル基が好ましい。
【0037】
アルケニル基以外のケイ素上の置換基としては、それぞれ独立して、炭素数1〜20の一価の炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、飽和又は不飽和、直鎖、分枝鎖又は環状であり、炭素数は、入手性及び経済性の観点から、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示される。なかでも、硬化物の光透過性及び耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
【0038】
かかる構造を有する化合物の好適例を以下に示す。
【0039】
【化3】

【0040】
上記化合物のなかでは、入手性及び反応性の観点から、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンがより好ましい。
【0041】
アルケニル基含有環状シロキサンの含有量は、得られる樹脂の強度及び耐熱性の観点から、組成物中、0.01〜60重量%が好ましく、0.01〜40重量%がより好ましく、0.1〜20重量%がさらに好ましい。
【0042】
また、アルケニル基含有環状シロキサンは、そのアルケニル基がオルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基と反応するが、該SiH基はアルケニル基含有エポキシ化合物のアルケニル基とも反応するため、SiH基と、アルケニル基含有エポキシ化合物とアルケニル基含有環状シロキサンの総アルケニル基のモル比(SiH基/総アルケニル基)が、好ましくは10/5〜10/20、より好ましくは実質的に当量(10/10)となる含有量であることが望ましい。前記モル比が10/20以下であれば、未反応のアルケニル基によって耐熱性が損なわれることがない。また、10/5以上であれば、組成物の架橋が保たれ良好な機械的強度を示す。
【0043】
(D)ヒドロシリル化触媒
本発明におけるヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシラン化合物とアルケンとのヒドロシリル化反応を触媒する化合物であれば特に限定はなく、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体等の白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体、白金−アセチルアセテート等の白金触媒;パラジウム触媒、ロジウム触媒等が例示される。なかでも、相溶性、光透過性及び触媒活性の観点から、白金−オレフィン錯体が好ましく、白金−1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体がより好ましい。
【0044】
また、本発明においては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有エポキシ化合物との反応、及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有環状シロキサンとの反応はいずれもヒドロシリル化反応であるが、それぞれの反応で用いるヒドロシリル化触媒は同一であることが好ましい。
【0045】
組成物におけるヒドロシリル化触媒の総含有量は、例えば、白金触媒を用いる場合には、反応速度の観点から、白金含有量が、オルガノハイドロジェンポリシロキサン100重量部に対して、好ましくは1.0×10-4〜0.5重量部、より好ましくは1.0×10-4〜1.0×10-2重量部となるようにすればよい。1.0×10-4重量部以上であると反応速度が良好であり、0.5重量部以下であると得られる組成物が黄変することがない。
【0046】
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物は、上記以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
【0047】
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物は、(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物、(C)アルケニル基含有環状シロキサン、及び(D)ヒドロシリル化触媒の各成分を含有するものであれば、特に限定なく調製することができるが、本発明の組成物を反応させて得られる熱硬化性シリコーン樹脂の耐熱性と機械的強度のいずれの特性もより向上させる観点から、オルガノハイドロジェンポリシロキサンにアルケニル基含有エポキシ化合物を予め混合してから、次いで、アルケニル基含有環状シロキサンを混合してもよい。なお、ヒドロシリル化触媒の添加はいずれの成分の混合時であってもよいが、オルガノハイドロジェンポリシロキサンにアルケニル基含有エポキシ化合物を混合する際に添加して併せて混合することが好ましい。また、アルケニル基含有環状シロキサンを混合する際に、ヒドロシリル化触媒をさらに追加して混合してもよい。
【0048】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有エポキシ化合物の混合は、ヒドロシリル化触媒の存在下で、好ましくは20〜150℃、より好ましくは70〜100℃で5分〜24時間攪拌することにより行うことができる。
【0049】
なお、上記混合によって、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基とアルケニル基含有エポキシ化合物のアルケニル基の付加反応の一部が開始されてもよく、付加反応の進行度は、H−NMR測定によって、アルケニル基含有エポキシ化合物のアルケニル基に由来するピークの消失程度によって確認することができる。
【0050】
次に、上記で得られた混合物にアルケニル基含有環状シロキサンを混合する。混合方法は、均一に混合されるのであれば特に限定はない。
【0051】
かくして、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物が得られる。該組成物は、光透過性、接着性、耐光性、耐熱性に優れ、かつ、機械的強度が強い硬化物を提供することから、本発明はまた、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物を含有する光半導体素子封止材料を提供する。
【0052】
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物又は光半導体素子封止材料は、例えば、発光ダイオード(LED)素子、有機電界発光素子(有機EL)、レーザーダイオード、LEDアレイ等の上に、そのままポッティングしたり、トランスファー成型したりすることによって、封止層を形成することができる。
【0053】
また、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと2種類のアルケニル基含有化合物のヒドロシリル化反応を行って樹脂化するため、各アルケニル基含有化合物の反応性の違い等を利用して反応を制御することによって、半硬化状態の成形物を調製することができると考えられる。従って、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物は、例えば、表面を剥離処理した離型シート(例えば、ポリエチレン基材)の上にキャスティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの方法により、適当な厚さに塗工し、溶媒の除去が可能な程度の温度で加熱して乾燥することにより成形された半硬化状態(Bステージ状態)のシートを、光半導体素子封止材料として提供することができる。かかるシートは、光半導体素子の上に積層してLED素子を一括封止できる光半導体素子封止材料である。
【0054】
加熱温度は、使用される溶媒の種類によって一概には決定されないが、本発明の組成物は、この加熱によって、溶媒の除去に加えて、ヒドロシリル化反応の一部、即ち、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有エポキシ化合物の反応を完結させて、半硬化状のシリコーン樹脂シートを調製することから、20〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。加熱時間は、0.1〜24時間が好ましい。なお、本明細書において、「反応の完結」とは、反応に関与する官能基の80%以上が反応した場合のことを意味し、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有エポキシ化合物の反応においては、例えば、前述のH−NMRによってアルケニル基含有エポキシ化合物の残存アルケニル基量を測定することによって確認することができる。
【0055】
得られたシートは、半硬化状態であるために、例えば、光半導体素子の上にそのまま積層させて封止加工した後、高温で加熱してシートを完全に硬化させることにより光半導体装置を調製することができる。このシートの完全硬化は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有環状シロキサンが反応することにより実施される。
【0056】
シートを基板に積層させてから封止加工する方法は、特に限定はないが、例えば、ラミネーターを用いて、好ましくは100〜200℃、0.01〜10MPaで、より好ましくは120〜160℃、0.1〜1MPaで、5〜600秒間加熱することにより圧着させてから封止加工する方法が例示される。
【0057】
封止加工の加熱温度は、60〜200℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。加熱時間は、0.5〜48時間が好ましく、1〜8時間がより好ましい。
【0058】
なお、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有環状シロキサンとの反応の進行度は、例えば、IR測定によって、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基に由来するピークの吸収程度によって確認することができ、吸収強度が初期値(硬化反応前)の20%を下回った場合に、上記反応が完結して全硬化していると判断することができる。
【0059】
また、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、上記のように本発明の組成物を硬化させて用いることができるが、硬化物の耐熱性と機械的強度の両立の観点から、(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物とを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応〔反応(1)〕させた後、得られた反応物と、さらに、(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応〔反応(2)〕させることにより得られるものであることが好ましい。
【0060】
反応(1)の反応は、具体的には、(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物とを、(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で、攪拌することにより行うことができる。ヒドロシリル化触媒は前記反応には必須であることから、反応(1)の最初から添加されることが好ましく、その添加量は前記反応に十分な量であれば特に限定はない。
【0061】
反応(1)の反応温度は、(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと(B)アルケニル基含有エポキシ化合物との反応性の観点から、20〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜6時間がより好ましい。上記条件下で反応させることにより、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとアルケニル基含有エポキシ化合物との反応は完結する。反応(1)の反応の進行は、H−NMRによってアルケニル基含有エポキシ化合物の残存アルケニル基量を測定することによって確認することができる。
【0062】
次に、反応(1)の反応物と、(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを反応させる。具体的には、前記反応(1)の反応物と(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを、ヒドロシリル化触媒の存在下で、攪拌して反応させる態様〔反応(2)〕が挙げられる。ヒドロシリル化触媒は反応(2)にも必須であることから、反応(2)の攪拌時に存在するのであれば、反応(1)の反応時から添加されていても、反応(2)の最初に新たに添加されてもよい。添加量は反応(2)の反応に十分な量であれば特に限定はない。
【0063】
反応(2)の反応温度は、反応(1)の反応物と(C)アルケニル基含有環状シロキサンとの反応性の観点から、20〜250℃が好ましく、100〜200℃がより好ましい。反応時間は、0.1〜48時間が好ましく、0.5〜24時間がより好ましい。上記条件下で反応させることにより、オルガノハイドロジェンポリシロキサンに、さらに、アルケニル基含有環状シロキサンが付加することになる。反応(2)の反応の進行は、IR測定によって、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基に由来するピークの吸収程度によって確認することができる。
【0064】
また、本発明は、(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物とを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる工程〔工程(1)〕、及び、前記工程(1)で得られた反応物と(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる工程〔工程(2)〕を含む、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0065】
工程(1)の具体例としては、例えば、(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物とを、(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で、好ましくは20〜150℃、より好ましくは40〜100℃で、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜6時間攪拌して反応させる工程等が挙げられる。ヒドロシリル化触媒は前記反応には必須であることから、反応の最初から添加されることが好ましく、その添加量は前記反応に十分な量であれば特に限定はない。
【0066】
工程(2)の具体例としては、例えば、工程(1)で得られた反応物と(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを、(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で、好ましくは20〜250℃、より好ましくは100〜200℃で、好ましくは0.1〜48時間、より好ましくは0.5〜24時間攪拌して反応させる工程等が挙げられる。ヒドロシリル化触媒は前記工程(2)の反応にも必須であることから、工程(2)の反応時に存在するのであれば、工程(1)の時点から添加されていても、工程(2)の最初に新たに添加されてもよい。添加量は工程(2)の反応に十分な量であれば特に限定はない。
【0067】
かくして得られる、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、光透過性、接着性、耐熱性、耐光性に優れ、機械的強度が高いことから、高輝度LED装置の封止材として利用できる。また、耐熱分解性に優れていることから、該LED装置を長期に使用した場合でも、輝度の低下や装置の汚染が生じにくい。
【0068】
従って、本発明は、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物あるいは上記光半導体素子封止材料を用いて光半導体素子を封止した光半導体装置を提供する。
【0069】
本発明の光半導体装置は、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物を光半導体素子封止材として用いて、LED素子を封止することにより製造することができる。具体的には、LED素子が搭載された基板の上に、本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物又は光半導体素子封止材料を、ポッティング、トラスファー成型等の方法によりそのまま、あるいは、キャスティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの方法により適当な厚さに塗布して被覆した後、加熱、乾燥することにより、光半導体装置を製造することができる。
【0070】
本発明の光半導体装置は、光透過性、接着性、耐光性、耐熱性に優れ、かつ、機械的強度が強い熱硬化性シリコーン樹脂組成物を光半導体素子封止材として含有するために、青色又は白色LED素子を搭載した光半導体装置であってもよい。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0072】
〔シリコーン誘導体の分子量〕
ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算にて求める。
【0073】
実施例1
オルガノハイドロジェンポリシロキサン〔式(I)中のRが全てメチル基、m=40、n=4で表わされる化合物、平均分子量3400、SiH基当量1.2mmol/g〕20gと、アリル(グリシジル)エーテル0.92g〔8.1mmol、アルケニル基とエポキシ基のモル比(アルケニル基/エポキシ基)=1/1、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基とアルケニル基含有エポキシ化合物のアルケニル基とのモル比(SiH基/アルケニル基)=10/3.4〕の混合物に、ヒドロシリル化触媒として白金−1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体溶液(白金濃度2重量%)50mg(白金含有量はオルガノハイドロジェンポリシロキサン100重量部に対して0.5×10-2重量部)を加え、80℃で1時間攪拌した。得られた無色透明のオイルをH−NMR測定したところ、アリル(グリシジル)エーテルの残存アルケニル基量に関するピークが認められず、反応が完結したことを確認した。
【0074】
次に、上記で得られたオイルに、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン1.4g〔4.1mmol、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基と、アルケニル基含有エポキシ化合物及びアルケニル基含有環状シロキサンの全アルケニル基とのモル比(SiH基/全アルケニル基)=10/10〕を加えて攪拌した後、2軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステル社製、50μm)上に400μmの厚さに塗工し、100℃で2時間、150℃で5時間加熱して、樹脂組成物(全硬化物)を調製した。
【0075】
また、上記において2軸延伸ポリエステルフィルムに塗工する前の溶液を用いて、青色LEDをポッティング封止し、100℃で2時間、150℃で5時間加熱して、LED装置を作製した。
【0076】
実施例2
実施例1において、アリル(グリシジル)エーテルの量を0.92g(8.1mmol)から0.55g〔4.8mmol、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基とアルケニル基含有エポキシ化合物のアルケニル基とのモル比(SiH基/アルケニル基)=10/2〕に、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンの量を1.4g(4.1mmol)から1.6g〔4.6mmol、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基と、アルケニル基含有エポキシ化合物及びアルケニル基含有環状シロキサンの全アルケニル基とのモル比(SiH基/全アルケニル基)=10/9.7〕に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の調製とLED装置の作製を行った。
【0077】
実施例3
実施例1において、オルガノハイドロジェンポリシロキサン〔式(I)中のRが全てメチル基、m=40、n=4で表わされる化合物、平均分子量3400、SiH基当量1.2mmol/g〕20gを用いる代わりに、オルガノハイドロジェンポリシロキサン〔式(I)中のRが全てメチル基、m=160、n=4で表わされる化合物、平均分子量12300、SiH基当量0.33mmol/g〕73gを用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物の調製とLED装置の作製を行った。なお、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基とアルケニル基含有エポキシ化合物のアルケニル基とのモル比(SiH基/アルケニル基)は10/3.4、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基と、アルケニル基含有エポキシ化合物及びアルケニル基含有環状シロキサンの全アルケニル基とのモル比(SiH基/全アルケニル基)は10/10であった。
【0078】
実施例4
実施例1において、アリル(グリシジル)エーテルを0.92g(8.1mmol)用いる代わりに、ビニルシクロヘキセンオキシド1.0g〔8.1mmol、アルケニル基とエポキシ基のモル比(アルケニル基/エポキシ基)=1/1、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基とアルケニル基含有エポキシ化合物のアルケニル基とのモル比(SiH基/アルケニル基)=10/3.4〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の調製とLED装置の作製を行った。
【0079】
比較例1
オルガノハイドロジェンポリシロキサン〔式(I)中のRが全てメチル基、m=40、n=4で表わされる化合物、平均分子量3400、SiH基当量1.2mmol/g〕20gと、以下の式(II)で表わされるメチルビニルポリシロキサン(平均分子量3200、ビニル基当量2.5mmol/g)9.6gの混合物に、ヒドロシリル化触媒として白金−1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体溶液(白金濃度2重量%)50mg(白金含有量はオルガノハイドロジェンポリシロキサン100重量部に対して0.5×10-2重量部)を加えて攪拌した後、2軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステル社製、50μm)上に400μmの厚さに塗工し、100℃で2時間、150℃で5時間加熱して、樹脂組成物(全硬化物)を調製した。
【0080】
また、上記において2軸延伸ポリエステルフィルムに塗工する前の溶液を用いて、青色LEDをポッティング封止し、100℃で2時間、150℃で5時間加熱して、LED装置を作製した。
【0081】
【化4】

【0082】
(式中、A”、B”及びC”は構成単位であり、A”が末端単位、B”及びC”が繰り返し単位を示し、p=32、q=8である)
【0083】
比較例2
実施例1において、アリル(グリシジル)エーテル0.92g(8.1mmol)を用いない以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物の調製とLED装置の作製を行った。
【0084】
得られた全硬化物、LED装置について、以下の試験例1〜5に従って、特性を評価した。結果を表1に示す。
【0085】
試験例1(光透過性)
各全硬化物の波長450nmにおける光透過率(%)を、分光光度計(U−4100、日立ハイテク社製)を用いて測定して、光透過性を評価した。
【0086】
試験例2(接着性)
各LED装置から封止材をプッシュプルゲージを用いて剥離させ、その際の荷重を接着性とした。比較例1の接着性を1としたときの相対値を示す。
【0087】
試験例3(耐光性)
各LED装置に450mAの電流を流してLED素子を点灯させ、試験開始直後の輝度を瞬間マルチ測光システム(MCPD-3000、大塚電子社製)により測定した。その後、LED素子を点灯させた状態で放置し、300時間経過後の輝度を同様にして測定し、試験開始直後の輝度と比べて変化がなかったものを「○」、低下したものを「×」とした。
【0088】
試験例4(耐熱性)
各全硬化物を、重量を測定後、200℃の温風型乾燥機内に静置し、72時間経過後の全硬化物の重量を測定し、加熱前の重量で割った値を百分率(%)したものを加熱減量(%)として算出する。加熱減量が5%以下であれば、良好な耐熱性を示すと判断する。また、各全硬化物を200℃の温風型乾燥機内に静置し、24時間経過後の全硬化物の外観(耐熱変色性)を目視で観察し、保存前の状態から変色のないものを「○」、変色したものを「×」とした。
【0089】
試験例5(機械的強度)
各全硬化物の引っ張り弾性率を、オートグラフ(AGS−J、島津製作所社製)を用いて測定して、機械的強度を評価する。引っ張り弾性率が5MPa以上であれば、良好な機械的強度を示すと判断する。
【0090】
【表1】

【0091】
結果、実施例の組成物は、比較例に比べて、光透過性、接着性、耐光性、耐熱性に優れ、かつ、機械的強度が強い樹脂組成物を提供することが可能であり、優れた封止材料であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物は、例えば、液晶画面のバックライト、信号機、屋外の大型ディスプレイや広告看板等の半導体素子を製造する際に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物、(C)アルケニル基含有環状シロキサン、及び(D)ヒドロシリル化触媒を含有してなる、熱硬化性シリコーン樹脂用組成物。
【請求項2】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンが、式(I):
【化1】

(式中、A、B及びCは構成単位であり、Aが末端単位、B及びCが繰り返し単位を示し、Rは炭素数1〜20の一価の炭化水素基又は水素、mは0又は1以上の整数、nは2以上の整数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
で表わされる化合物である、請求項1記載の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物。
【請求項3】
(B)アルケニル基含有エポキシ化合物における、アルケニル基とエポキシ基のモル比(アルケニル基/エポキシ基)が10/1〜0.1/1である、請求項1又は2記載の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物。
【請求項4】
(C)アルケニル基含有環状シロキサンが、分子内に2個以上のアルケニル基を有する化合物である、請求項1〜3いずれか記載の熱硬化性シリコーン樹脂用組成物。
【請求項5】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物とを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させた後、得られた反応物と、さらに、(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることにより得られる、熱硬化性シリコーン樹脂組成物。
【請求項6】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(B)アルケニル基含有エポキシ化合物とを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる工程〔工程(1)〕、及び、前記工程(1)で得られた反応物と(C)アルケニル基含有環状シロキサンとを(D)ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる工程〔工程(2)〕を含む、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を含有してなる、光半導体素子封止材料。
【請求項8】
請求項5記載の熱硬化性シリコーン樹脂組成物又は請求項7記載の光半導体素子封止材料を用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置。

【公開番号】特開2010−202801(P2010−202801A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50995(P2009−50995)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】