説明

燃料改質装置

【課題】間欠運転をする内燃機関の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善できる燃料改質装置を提供すること。
【解決手段】モータ10を制御するモータ制御部を設け、エンジン5を間欠運転により停止させた後、再始動する際に、モータ制御部によりモータ10の出力を増加させる制御である補助運転制御を行っている。このため、エンジン5を間欠運転により停止させた際に改質触媒62の温度が低下することにより、エンジン5を再始動した際に改質ガスを供給できないことによりエンジン5の出力が低下する状況でも、モータ10の出力を増加させることにより、エンジン5の出力の低下を補うことができる。従って、エンジン5の再始動時に車両を走行させるのに必要なトルクを確保することができる。この結果、間欠運転をするエンジン5の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料改質装置に関するものである。特に、この発明は、燃料を噴射した排気ガスを改質触媒に流すことにより、内燃機関で燃焼可能な改質ガスを生成する燃料改質装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の内燃機関は、燃焼室で燃料を燃焼させることにより、燃料が燃焼する際の圧力によって気筒内に配設されるピストンを作動させることを介してクランクシャフトを回転させている。これにより、従来の内燃機関は、燃料の燃焼時の熱エネルギを運動エネルギとして取り出しており、燃料の燃焼後の排気ガスは、排気通路より大気に放出している。しかし、このような内燃機関では、熱エネルギが熱や音として外部に放出されたり、機械的な損失が発生したりするため、熱エネルギを運動エネルギとして使用できるのは熱エネルギのうちの一部となっている。このため、熱効率はあまり高くないが、従来の内燃機関では、排気ガスを有効利用することにより、熱効率の向上を図っているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のアルコール改質ガスエンジンは、アルコールを燃料としており、内燃機関であるエンジンの排気管に組み込まれると共に排気熱を利用してアルコール燃料を熱分解する改質触媒を有するアルコール改質装置が備えられている。これにより、エンジンの運転時には、アルコール燃料をアルコール改質装置で排気熱を利用して改質反応させることにより、改質ガスを生成している。この改質ガスは、排気熱を利用して生成されたものであり、改質反応前のアルコール燃料よりも発熱量が高くなっている。このように、排気ガスの熱を利用してアルコール燃料を改質し、発熱量が高くなった改質ガスをエンジンに供給して燃焼させることにより、排気ガスを有効利用することができ、熱効率の向上を図ることができる。
【0004】
また、特許文献2に記載のエンジンの燃料供給装置でも同様に、アルコールを、水素を含有する改質ガスに改質する改質触媒を有する改質器が設けられている。これにより、エンジンの運転時には、ガソリンとアルコールとの混合燃料を改質器に送り込むことにより、排気ガスの熱によって混合燃料内のアルコールを、水素を含有する改質ガスに改質している。このようにアルコールを改質した改質ガスは、エンジンに吸気させてガソリンと共に燃焼させることにより、熱効率の向上を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開平8−291774号公報
【特許文献2】特開昭61−175245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように改質触媒は、排気ガスの熱を利用することによる吸熱反応によってアルコールの改質を行うが、従来の内燃機関に備えられる改質触媒は、効果的に吸熱反応をさせるために、排気ガスを浄化する浄化触媒と一体になっているものが多い。詳しくは、このような浄化触媒は、温度が所定の温度以上にならないと排気ガスを浄化するのが困難になるため、内燃機関の運転時には温度がなるべく所定の温度以上になるように保たれている。このため、改質触媒を浄化触媒と一体にすることにより、浄化触媒の熱を利用して、より効果的に改質触媒でアルコールを吸熱反応させることができ、改質を行うことができる。
【0007】
ここで、近年の車両には、運転時の燃費の向上を目的として、車両走行時の動力源である原動手段として内燃機関の他に電気で作動するモータも備えた、いわゆるハイブリッドシステムを搭載しているものがある。ハイブリッドシステムは、内燃機関の動力とモータの動力とにより車両を走行させるが、ハイブリッドシステムの中には、車両の運転状況に応じて内燃機関を停止し、モータのみで走行する状態になるものもある。このため、このタイプのハイブリッドシステムによって制御される内燃機関は、車両の運転状態に応じて作動と停止を繰り返す、間欠運転をする。
【0008】
このように内燃機関が間欠運転をする場合において内燃機関が停止した場合には、排気ガスは排出されないため浄化触媒にも排気ガスは流れなくなり、浄化触媒の温度は低下し易くなる。この場合、浄化触媒の熱を利用して改質用燃料であるアルコールの改質を行う改質触媒の温度も低下し易くなる。このため、間欠運転により停止した内燃機関の再始動時には、改質触媒の温度が低下した状態になり易いため、改質用燃料の改質を行うのが困難になる虞がある。この場合、改質ガスを生成するのが困難になるため、内燃機関には改質ガスを供給できなくなり、内燃機関の運転は、改質ガスが供給されず燃料と空気との混合気のみの燃焼による運転になる。
【0009】
また、特許文献1や特許文献2に記載されたエンジンなど改質ガスが供給される内燃機関では、通常、改質ガスが供給される際には点火時期などの内燃機関の運転状態を、改質ガスも含めた燃焼時の適合値にして運転するが、改質触媒の温度の低下に起因して改質ガスが供給されない場合、内燃機関の運転状態が適切な運転状態ではなくなる虞がある。つまり、改質ガスを供給する内燃機関では、点火時期などの運転状態は、改質ガスの燃焼も含めた燃焼時の適合値になっているため、改質ガスが供給されない場合には混合気を最適な状態で燃焼させることができず、トルクが低下したり熱効率が低下したりする虞がある。このため、車両走行時のレスポンスが低下する虞があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、間欠運転をする内燃機関の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善できる燃料改質装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る燃料改質装置は、車両に搭載され、且つ、燃料を燃焼させることにより運転すると共に間欠運転をする内燃機関と電気で作動するモータとからなる原動手段のうち、前記内燃機関の気筒内から排出された排気ガスを浄化する浄化手段と、改質させる元になる燃料である改質用燃料を前記排気ガスに対して供給可能な改質用燃料供給手段と、前記改質用燃料供給手段により前記排気ガスに供給された前記改質用燃料を、前記浄化手段から伝達される熱を利用して改質することにより前記気筒内で燃焼可能な改質ガスを生成する改質手段と、前記改質手段の温度を取得する改質手段温度取得手段と、前記内燃機関を間欠運転により停止させた後再始動する際に前記改質手段温度取得手段で取得した前記改質手段の温度に基づいて前記モータの出力を増加させる制御である補助運転制御を行うモータ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明では、内燃機関を間欠運転により停止させた後、再始動する際に、モータの出力を増加させる制御である補助運転制御を行っている。このため、内燃機関を間欠運転により停止させた際に改質手段の温度が低下することにより、内燃機関を再始動した際に改質ガスを供給できないことにより内燃機関の出力が低下する状況でも、モータの出力を増加させることにより、内燃機関の出力の低下を補うことができる。従って、内燃機関の再始動時に車両を走行させるのに必要なトルクを確保することができる。この結果、間欠運転をする内燃機関の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善することができる。
【0013】
また、この発明に係る燃料改質装置は、前記モータ制御手段は、前記車両の走行時に必要とされるトルクである要求トルクと前記内燃機関より実測したトルクである実測トルクとの差に基づいて前記モータの出力を増加させることを特徴とする。
【0014】
この発明では、要求トルクと実測トルクとの差に基づいてモータの出力を増加させるため、モータの出力を、より適切な増加量で増加させることができる。これにより、より適切に要求トルクを満たすことができる。この結果、間欠運転をする内燃機関の再始動時における車両走行時のレスポンスを、より確実に改善することができる。
【0015】
また、この発明に係る燃料改質装置は、さらに、前記車両の走行時に必要とされるトルクである要求トルクと前記内燃機関より実測したトルクである実測トルクとの差が所定値よりも大きいか否かを判定する実測トルク判定手段を備えており、前記モータ制御手段は、前記要求トルクと前記実測トルクとの差が所定値より大きいと判定された場合にのみ前記補助運転制御を行うことを特徴とする。
【0016】
この発明では、要求トルクと実測トルクとの差が所定値より大きいと判定された場合にのみ補助運転制御を行うため、必要以上にモータの出力を増加させることを抑制できる。この結果、モータの電源の電気消費量を抑制しつつ、間欠運転をする内燃機関の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善することができる。
【0017】
また、この発明に係る燃料改質装置は、前記モータ制御手段は、前記車両の走行時に必要とされるトルクである要求トルクと前記内燃機関の運転時における予測トルクとの差に基づいて前記モータの出力を増加させることを特徴とする。
【0018】
この発明では、要求トルクと予測トルクとの差に基づいてモータの出力を増加させるため、モータの出力を、より適切な増加量で増加させることができる。これにより、より適切に要求トルクを満たすことができる。また、内燃機関の運転時におけるトルクを予測し、この予測トルクと要求トルクとの差に基づいてモータの出力を増加させるため、内燃機関のトルクを実測する必要がなくなる。このため、より短時間でモータの出力を増加させることができる。これらの結果、間欠運転をする内燃機関の再始動時における車両走行時のレスポンスを、より確実に改善することができる。
【0019】
また、この発明に係る燃料改質装置は、さらに、前記車両の走行時に必要とされるトルクである要求トルクと前記内燃機関の運転時における予測トルクとの差が所定値よりも大きいか否かを判定する予測トルク判定手段を備えており、前記モータ制御手段は、前記要求トルクと前記予測トルクとの差が所定値より大きいと判定された場合にのみ前記補助運転制御を行うことを特徴とする。
【0020】
この発明では、要求トルクと予測トルクとの差が所定値より大きいと判定された場合にのみ補助運転制御を行うため、必要以上にモータの出力を増加させることを抑制できる。この結果、モータの電源の電気消費量を抑制しつつ、間欠運転をする内燃機関の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る燃料改質装置は、間欠運転をする内燃機関の再始動時における内燃機関のレスポンスを改善できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係る燃料改質装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、以下の説明では、燃料改質装置を備える内燃機関の一例として、内燃機関を運転させる燃料としてガソリンとアルコール燃料とを用いることができる車両であるFFV(Flexible Fuel Vehicle)に搭載される内燃機関の場合について説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、実施例1に係る燃料改質装置を備えるエンジンを搭載する車両の要部概略図である。同図に示す車両1は内燃機関であるエンジン5とモータ(モータジェネレータ)10とを有するハイブリッド装置3を備えており、これらのエンジン5とモータ10とは、共に車両1の走行時の原動力を発生する原動手段として設けられている。また、ハイブリッド装置3は、エンジン5の出力を受けて発電を行う発電機(モータジェネレータ)11を有しており、エンジン5と発電機11とは、動力分割機構12によって接続されている。さらに、動力分割機構12とモータ10とは、共に減速機15に接続されており、減速機15は、駆動軸16を介して車両1の駆動輪17に接続されている。このうち、動力分割機構12は、エンジン5の出力を発電機11と減速機15とに振り分ける。
【0024】
また、減速機15は、動力分割機構12を介して伝達されたエンジン5の出力やモータ10の出力を減速して駆動輪17に伝達する。つまり、減速機15は、エンジン5から車両1が有する車輪である駆動輪17までの動力の伝達経路及びモータ10から駆動輪17までの動力の伝達経路に設けられると共に、エンジン5の出力やモータ10の出力を変速して駆動輪17方向に伝達する変速手段として設けられている。また、動力分割機構12は、エンジン5の出力を、発電機11への出力と、車両1の走行時の駆動力と、に分割可能な動力分割手段として設けられている。
【0025】
また、エンジン5から動力分割機構までの間の動力伝達経路には、エンジン5のトルクを検出する内燃機関トルク検出手段であるエンジントルクセンサ27が設けられている。同様に、モータ10から減速機15までの間の動力伝達経路には、モータ10のトルクを検出するモータトルク検出手段であるモータトルクセンサ28が設けられている。
【0026】
また、モータ10は交流同期電動機であり、インバータ13に接続され、交流電力によって駆動する。インバータ13は、車両1に搭載されるバッテリ14に蓄えられた電力を直流から交流に変換してモータ10に供給すると共に、発電機11によって発電される電力を交流から直流に変換してバッテリ14に蓄えることができるように設けられている。このように、バッテリ14は、モータ10を駆動させる場合におけるモータ10の電源として設けられており、また、発電機11は、エンジン5の出力により発電すると共に発電した電気をバッテリ14に充電可能な発電手段として設けられている。発電機11も、基本的には上述したモータ10とほぼ同様の構成を有しており、交流同期電動機としての構成を有している。この場合、モータ10が主として駆動力を出力するのに対し、発電機11は主としてエンジン5の出力を受けて発電する役割をする。
【0027】
また、モータ10は主として駆動力を発生させるが、駆動輪17の回転を利用して発電(回生発電)することもでき、発電機として機能することも可能になっている。この場合、駆動輪17には回生ブレーキを作用させることができるので、これを通常の制動手段であるフットブレーキやエンジンブレーキと併用することにより、車両1を制動させることができる。一方、発電機11は主としてエンジン5の出力を受けて発電をするが、インバータ13を介してバッテリ14の電力を受けて駆動する電動機としても機能することが可能になっている。
【0028】
また、エンジン5、モータ10、発電機11、動力分割機構12は、それぞれECU(Electronic Control Unit)に接続されており、ECUにより制御可能に設けられている。詳しくは、エンジン5及び動力分割機構12は、これらを制御するエンジンECU21に接続されており、モータ10及び発電機11は、これらを制御するモータECU22に接続されている。これにより、エンジン5及び動力分割機構12はエンジンECU21によって制御可能になっており、モータ10及び発電機11はモータECU22によって制御可能になっている。また、バッテリ14は、バッテリ14の電気残量である充電量を監視するバッテリECU23に接続されている。
【0029】
さらに、これらのエンジンECU21とモータECU22とバッテリECU23とは、メインECU20に接続されており、エンジン5による駆動と、モータ10及び発電機11による駆動とは、メインECU20によって総合的に制御される。即ち、メインECU20によりエンジン5の出力とモータ10及び発電機11による出力の配分が決定され、この決定に応じてエンジン5、モータ10及び発電機11を制御すべく、各制御指令がメインECU20からエンジンECU21及びモータECU22に出力される。また、エンジンECU21及びモータECU22は、エンジン5、モータ10及び発電機11の情報をメインECU20に出力している。
【0030】
また、バッテリECU23は、バッテリ14の充電状態を監視し、充電量が不足した場合には、メインECU20に対して充電要求指令を出力する。充電要求指令を受けたメインECU20はバッテリ14に充電をするように発電機11を発電させる制御を行う。
【0031】
また、メインECU20には、車両1の室内に設けられると共に車両1の走行時に開度を調整するアクセルペダル25の近傍に位置し、アクセルペダル25の開度を検出可能なアクセル開度検出手段であるアクセル開度センサ26が接続されている。また、このメインECU20には、エンジントルクセンサ27及びモータトルクセンサ28が設けられている。
【0032】
図2は、図1のエンジン及びこのエンジンに備えられる燃料改質装置の構成図である。図1に示すエンジン5には、実施例1に係る燃料改質装置30が備えられている。このように燃料改質装置30が備えられているエンジン5は、4つの気筒6が直列に配置されている。また、このエンジン5には、気筒6内に連通すると共に気筒6内に吸入される空気が流れる通路である吸気通路40と、気筒6内で燃料を燃焼させた後、気筒6内から排出される排気ガスが流れる排気通路50とが接続されている。これらの吸気通路40と排気通路50とは、気筒6の数に合わせてそれぞれ4つの通路に分岐しており、分岐した通路が4つの気筒6に対応し、気筒6内に連通してエンジン5に接続されている。
【0033】
この吸気通路40と排気通路50とのうち吸気通路40には、エンジン5の運転時に気筒6に対して燃料を供給可能な燃料供給手段であるインジェクタ41が配設されている。このインジェクタ41は、エンジン5の運転時に気筒6内に燃料を噴射することにより、気筒6に対して燃料を供給可能に設けられている。また、吸気通路40を流れる空気の流れ方向におけるインジェクタ41の上流側には、吸気通路40内を開閉可能なスロットルバルブ42が配設されており、スロットルバルブ42のさらに上流側には、吸気通路40内を流れる空気の流量を検出可能なエアフロメータ43が設けられている。このように形成される吸気通路40の入口には、吸気通路40に流入する空気中の不純物を除去するエアクリーナ44が設けられている。
【0034】
また、排気通路50には、排気ガスの成分を検出可能な排気ガス成分検出手段であるOセンサ65が設けられており、さらに、排気ガスを浄化し、且つ、改質用燃料の改質を行う触媒部60が備えられている。この触媒部60には、排気ガスを浄化する浄化手段である浄化触媒61が内設されている。さらに、触媒部60には、改質用の燃料である改質用燃料より、気筒6内で燃焼可能な改質ガスを生成する改質手段である改質触媒62が内設されている。この改質触媒62は、触媒部60に内設される浄化触媒61の周囲に配設されており、例えばロジウム系の触媒が用いられている。また、触媒部60には、改質触媒62の温度を検出可能な改質手段温度検出手段である改質触媒温度センサ66が備えられている。
【0035】
また、排気通路50は、排気通路50内を流れる排気ガスの流れ方向における触媒部60の上流で通路が分岐しており、分岐した通路のうち、一方の通路は排気通路50の主となる通路である排気主通路51となっている。また、排気通路50の分岐した通路のうち、他方の通路は改質用通路52となっている。この改質用通路52は、一端が排気主通路51に接続され、他端が触媒部60に接続されている。このように形成される改質用通路52には、改質させる元になる燃料である改質用燃料を排気ガスに対して供給可能な改質用燃料供給手段である改質用燃料インジェクタ55が設けられている。この改質用燃料インジェクタ55は、改質用燃料を改質用通路52内に噴射することにより、改質用燃料を排気ガスに対して供給可能になっている。
【0036】
また、改質用燃料インジェクタ55が設けられる改質用通路52は、一端が排気主通路51に接続され、他端が触媒部60に接続されており、改質用通路52内を流れる排気ガスは、排気主通路51側から触媒部60側に流れる。このため、改質用燃料インジェクタ55は、改質用通路52内を流れる排気ガスの流れ方向における触媒部60の上流側に位置している。換言すると、触媒部60に設けられる改質触媒62は、改質用燃料インジェクタ55で改質用燃料を供給する排気ガスの流れ方向における改質用燃料インジェクタ55の下流側に位置している。
【0037】
また、触媒部60にはEGRガス通路70が接続されており、このEGRガス通路70は、排気ガスが流れる方向において触媒部60と吸気通路40との間に設けられている。つまり、EGRガス通路70は、触媒部60と吸気通路40とを接続している。このように設けられるEGRガス通路70は、触媒部60からEGRガス通路70に流れた排気ガス及び改質触媒62で生成した改質ガスが、触媒部60側から吸気通路40側に流れることができるように形成されている。即ち、EGRガス通路70は、改質ガスを気筒6の吸気通路40に流入可能な還流通路となっている。
【0038】
また、当該EGRガス通路70には、EGRガス通路70を流れる排気ガスや改質ガスを冷却可能な冷却手段であるEGRクーラ71が設けられている。EGRクーラ71は、エンジン5を循環し、車両1の運転時にエンジン5を冷却する冷却媒体である冷却水(図示省略)と、排気ガス及び改質ガスとの間で熱交換を行うことができるように形成されており、排気ガス及び改質ガスは、冷却水との間で熱交換を行うことにより温度が低下する。
【0039】
また、EGRガス通路70には、EGRクーラ71が設けられている部分と吸気通路40に接続されている部分との間の部分、即ち、EGRガス通路70における吸気通路40に接続されている部分の近傍に、EGRガス通路70内を開閉可能なEGRガス流量調整バルブ72が配設されている。
【0040】
また、このように設けられるEGRガス通路70と改質用通路52とは、双方の通路が接続される触媒部60を挟んで直線状に形成されている。詳しくは、EGRガス通路70と改質用通路52とは、排気主通路51内を流れる排気ガスの流れ方向に対して略直交する方向で触媒部60に接続されており、さらに、EGRガス通路70と改質用通路52とは、触媒部60に対して互いに略対向する位置に接続されている。これにより、EGRガス通路70と改質用通路52とにおける触媒部60に接続されている部分は、触媒部60を挟んで直線状に形成されている。
【0041】
このように形成される排気通路50は、排気主通路51を流れる排気ガスの流れ方向における触媒部60の下流側にも設けられている。即ち、排気通路50は、排気ガスの流れ方向における触媒部60の上流側から下流側にかけて連通して形成されている。
【0042】
また、吸気通路40に設けられたインジェクタ41、及び改質用通路52に設けられた改質用燃料インジェクタ55は、当該エンジン5を備える車両1に設けられ、エンジン5の運転用の燃料を貯留する燃料タンク75に接続されている。この燃料タンク75は、燃料タンク75内の燃料を外部に送出可能な燃料フィードポンプ76を備えており、燃料タンク75内の燃料は、この燃料フィードポンプ76によってインジェクタ41及び改質用燃料インジェクタ55に供給可能に設けられている。また、実施例1に係る燃料改質装置30では、燃料タンク75に貯留される燃料は、ガソリンとアルコール燃料とが混合された混合燃料となっている。
【0043】
これらのインジェクタ41及び改質用燃料インジェクタ55、スロットルバルブ42、EGRガス流量調整バルブ72、エアフロメータ43、Oセンサ65、改質触媒温度センサ66は、エンジンECU21に接続されている。
【0044】
図3は、図2に示す燃料改質装置の要部構成図である。エンジンECU21及びモータECU22は、共にメインECU20に接続されている。このうち、まずメインECU20について説明すると、メインECU20には、処理部81、記憶部95及び入出力部96が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、メインECU20に接続されているエンジンECU21及びモータECU22、アクセル開度センサ26、エンジントルクセンサ27、モータトルクセンサ28は、入出力部96に接続されており、入出力部96は、これらのエンジンECU21やモータECU22との間で信号の入出力を行う。また、記憶部95には、実施例1に係る燃料改質装置30を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部95は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、或いはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0045】
また、処理部81は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、エンジン5の運転を制御すると共に少なくともエンジン5の間欠運転の制御が可能に設けられた内燃機関制御手段であるエンジン制御部82と、モータ10を制御すると共にエンジン5を間欠運転により停止させた後再始動する際に改質触媒62の温度に基づいてモータ10の出力を増加させる制御である補助運転制御を行うモータ制御手段であるモータ制御部83と、を有している。
【0046】
また、処理部81は、エンジン5の回転数、エンジン5の運転時の負荷、エンジン5やモータ10のトルク、改質触媒62の温度など、車両1の走行時における運転状況を取得する運転状況取得手段である運転状況取得部84と、アクセル開度より、車両1の走行時における目標となるトルクである要求トルクを導出する要求トルク導出手段である要求トルク導出部85と、改質触媒62が改質用燃料を改質可能であるか否かを、改質触媒温度に基づいて判定する改質可能判定手段である改質可能判定部86と、を有している。
【0047】
また、処理部81は、要求トルク導出部85で導出した要求トルクと、エンジン5の運転時にエンジントルクセンサ27によって実際に測定したエンジントルクである実測トルクとの差が、車両1の走行時に必要なトルクのモータ10による補助であるモータアシストを行うか否かの基準となる所定値である基準差Sよりも大きいか否かを判定する実測トルク判定手段である実測トルク判定部87と、モータ10の出力を設定するモータ出力設定手段であるモータ出力設定部88と、改質用燃料を改質可能であるか否かを示すフラグFの制御を行うフラグ制御手段であるフラグ制御部89と、現在のフラグFの状態を判定するフラグ判定手段であるフラグ判定部90と、を有している。
【0048】
また、エンジンECU21の基本的な構成はメインECU20と同様な構成になっており、エンジンECU21は、メインECU20と同様に処理部101、記憶部108、入出力部109を有している。これらの処理部101、記憶部108、入出力部109は、互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、エンジンECU21に接続されているインジェクタ41、改質用燃料インジェクタ55、スロットルバルブ42、EGRガス流量調整バルブ72、エアフロメータ43、Oセンサ65、改質触媒温度センサ66は、入出力部109に接続されており、入出力部109は、これらのスロットルバルブ42や改質触媒温度センサ66等との間で信号の入出力を行う。また、記憶部108には、メインECU20の記憶部95と同様に実施例1に係る燃料改質装置30を制御するコンピュータプログラムが格納されている。
【0049】
また、処理部101は、メモリ及びCPUにより構成されており、スロットルバルブ42の開閉の制御が可能なスロットルバルブ制御部102と、エアフロメータ43での検出結果より運転中のエンジン5の吸入空気量を取得可能な吸入空気量取得部103と、インジェクタ41から噴射する燃料の噴射量を制御可能な燃料噴射量制御部104と、改質用燃料インジェクタ55から噴射する改質用燃料の噴射量を制御可能な改質用燃料噴射量制御部105と、EGRガス流量調整バルブ72の開閉の制御が可能なEGRガス流量調整バルブ制御部106と、改質触媒温度センサ66での検出結果より改質触媒62の温度を取得する改質手段温度取得手段である改質触媒温度取得部107と、を有している。
【0050】
また、モータECU22の基本的な構成は、メインECU20やエンジンECU21と同様の構成になっており、モータECU22は、メインECU20等と同様に処理部111、記憶部115、入出力部116を有している。これらの処理部111、記憶部115、入出力部116は、互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、モータECU22に接続されているモータ10と発電機11は、入出力部116に接続されており、入出力部116は、これらのモータ10と発電機11との間で信号の入出力を行う。
【0051】
これらのメインECU20、エンジンECU21、モータECU22によって制御される燃料改質装置30の制御は、例えば、改質触媒温度センサ66などによる検出結果に基づいて、メインECU20の処理部81が上記コンピュータプログラムを当該処理部81に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて、エンジンECU21を介してEGRガス流量調整バルブ72などを作動させることにより制御する。その際に処理部81は、適宜記憶部95へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このように燃料改質装置30を制御する場合には、上記コンピュータプログラムの代わりに、メインECU20、エンジンECU21、モータECU22とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
【0052】
この実施例1に係る燃料改質装置30は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。実施例1に係る燃料改質装置30が設けられる車両1は、運転時には車両1の室内に設けられるアクセルペダルの開度であるアクセル開度をメインECU20の処理部81が有する運転状況取得部84で取得し、運転状況取得部84で取得したアクセル開度に応じて、エンジン5やモータ10を制御する制御指令をメインECU20からエンジンECU21やモータECU22に出力する。
【0053】
このうち、エンジンECU21は、メインECU20からの制御指令に応じて当該エンジンECU21の処理部101が有するスロットルバルブ制御部102が、スロットルバルブ42の開度を制御する。これにより、吸気通路40にはスロットルバルブ42の開度に応じた空気が流れる。吸気通路40に空気が流れた場合、この空気の流量をエアフロメータ43で検出し、エアフロメータ43での検出結果をエンジンECU21の処理部101が有する吸入空気量取得部103で取得する。
【0054】
吸入空気量取得部103で取得した吸入空気量は、アクセル開度などの運転状態に関する情報と共にエンジンECU21の処理部101が有する燃料噴射量制御部104に伝達され、伝達された運転状態に関する情報に応じて燃料噴射量制御部104によってインジェクタ41を制御し、インジェクタ41を作動させる。エンジン5の運転時には、インジェクタ41には、燃料タンク75が備える燃料フィードポンプ76によって燃料タンク75内の燃料が供給されるため、燃料噴射量制御部104がインジェクタ41を作動させることにより、インジェクタ41は、燃料噴射量制御部104での制御に応じた燃料を吸気通路40内に噴射する。
【0055】
このように、吸気通路40内に対してインジェクタ41から燃料を噴射することにより、噴射した燃料は吸気通路40内を流れる空気と混合し、混合気となって吸気通路40内を流れる。吸気通路40内を流れる混合気は、分岐して形成される吸気通路40に沿って分岐し、エンジン5が有する4つの気筒6内に吸入される。
【0056】
気筒6内に吸入された混合気は、それぞれの気筒6の燃焼行程で混合気中の燃料が燃焼し、燃焼後の排気ガスは、排気行程で気筒6内から排気通路50に流出する。排気通路50に排気ガスが流れた場合、排気ガスの大部分は排気通路50の排気主通路51を通り、触媒部60に流れて触媒部60に設けられる浄化触媒61に流れる。浄化触媒61に流れた排気ガスは浄化触媒61によって浄化され、排気ガスの流れ方向における触媒部60の下流側に位置する排気通路50に流れて大気に放出される。また、このように排気ガスが浄化触媒61を通過する際には、浄化触媒61には排気ガスの熱が伝達されるため、浄化触媒61は、排気ガスの熱により温度が上昇する。
【0057】
一方、排気通路50を流れる排気ガスのうち、一部の排気ガスは改質用通路52に流れる。改質用通路52には、このように一部の排気ガスが流れるが、この改質用通路52には改質用燃料インジェクタ55が設けられている。改質用燃料インジェクタ55は、改質用通路52内を流れる排気ガスに対して、排気ガスの改質を行う際に用いる燃料である改質用燃料を噴射可能に設けられており、その噴射量は、エンジンECU21の処理部101が有する改質用燃料噴射量制御部105によって制御可能に設けられている。つまり、改質用燃料噴射量制御部105は改質用燃料インジェクタ55を制御することにより改質用燃料インジェクタ55を作動させることができるが、改質用燃料インジェクタ55には、インジェクタ41と同様に燃料タンク75が備える燃料フィードポンプ76によって燃料タンク75内の燃料が供給される。このため、改質用燃料噴射量制御部105が改質用燃料インジェクタ55を作動させることにより、改質用燃料インジェクタ55は、改質用燃料噴射量制御部105での制御に応じて燃料タンク75内の燃料を、改質用燃料として改質用通路52内に噴射する。
【0058】
改質用燃料噴射量制御部105によって制御される改質用燃料インジェクタ55から改質用燃料を噴射した場合、改質用燃料は改質用通路52を流れる排気ガスと混合し、混合した状態で触媒部60に流入する。このように、改質用燃料と混合した状態で触媒部60に流入した排気ガスは、触媒部60に設けられている改質触媒62を通過する。
【0059】
ここで、改質触媒62は、浄化触媒61の周囲に配設されて浄化触媒61と一体となって触媒部60に内設されているが、浄化触媒61は、排気主通路51から流れる排気ガスの熱が伝達されることにより、温度が高くなっている。このため、このように温度が高くなった浄化触媒61の熱は改質触媒62に伝達され、改質触媒62の温度も上昇する。これにより、改質用燃料と混合した排気ガスが改質触媒62を通過する際には、改質触媒62は排気ガスに熱を与えながら通過する排気ガスを改質し、改質ガスを生成する。
【0060】
つまり、改質触媒62は、浄化触媒61を介して排気ガスの熱が伝達されることにより温度が上昇するが、改質触媒62の作用で排気ガスを改質する際には、この熱を利用し、吸熱反応により改質する。このように、触媒部60に内設される改質触媒62は、浄化触媒61が排気ガスを浄化する際に排気ガスから伝達される熱を利用して改質ガスを生成可能に設けられている。この改質により生成した改質ガスは、水素を含んでおり、燃焼可能な気体となっている。
【0061】
改質触媒62では、このように改質用燃料を改質して改質ガスを生成するが、改質触媒62で生成した改質ガス、及び改質ガスに改質されずに改質触媒62を通過する排気ガスは、エンジン5に還流する還流ガスであるEGRガスとして、EGRガス通路70に流れる。EGRガス通路70に流れたEGRガスは、EGRクーラ71を通過する。その際に、EGRクーラ71は、EGRガスと冷却水との間で熱交換を行わせる。これにより、EGRガスは、温度が低下する。
【0062】
EGRクーラ71によって温度が低下したEGRガスは、さらにEGRガス通路70を流れ、EGRガス流量調整バルブ72の方向に向かう。このEGRガス流量調整バルブ72は、エンジンECU21の処理部101が有するEGRガス流量調整バルブ制御部106によって制御可能に設けられており、EGRガス流量調整バルブ制御部106は、EGRガス流量調整バルブ72を制御することによりEGRガス流量調整バルブ72の開度を調整する。
【0063】
ここで、EGRガス流量調整バルブ72が設けられるEGRガス通路70は、吸気通路40に接続されているが、吸気通路40内を流れる空気とEGRガス通路70内を流れるEGRガスとでは、EGRガス通路70内を流れるEGRガスの方が、吸気通路40内を流れる空気よりも圧力が高くなっている。このため、吸気通路40とEGRガス通路70とが連通した状態では、EGRガス通路70内を流れるEGRガスは、吸気通路40内に流入する。
【0064】
従って、EGRガス流量調整バルブ制御部106によってEGRガス流量調整バルブ72を制御し、EGRガス流量調整バルブ72の開度を大きくした場合には、EGRガス通路70内を流れるEGRガスの吸気通路40内への流入量は多くなり、EGRガス流量調整バルブ72の開度を小さくした場合には、吸気通路40内へのEGRガスの流入量は少なくなる。
【0065】
吸気通路40には、このようにEGRガス流量調整バルブ72の開度に応じた量のEGRガスが流れるが、このEGRガスには、改質ガスが含まれており、さらに改質ガスには、水素や一酸化炭素などの燃焼可能なガスが含まれている。このため、EGRガスが流入した気筒6内で燃料が燃焼する場合には、燃料と共に改質ガスも燃焼する。特に、水素は急速燃焼をするガスであるため、水素が燃焼をする際には、気筒6内の水素は急速な燃焼速度で燃焼する。
【0066】
また、これらのように気筒6内で燃焼する改質ガスは、エンジン5の運転に用いられる燃料であるガソリンとアルコール燃料との混合燃料よりも発熱量が高いため、改質ガスが燃焼した際には、エンジン5の出力は増加する。従って、EGRガスに含まれる改質ガスを燃焼させる場合において、エンジン5の出力を一定にする場合には、改質ガスを燃焼させない場合と比較してスロットルバルブ42は閉じ、インジェクタ41から噴射する燃料の噴射量を低減させる。
【0067】
燃料改質装置30を備えるエンジン5の運転時は、このように運転するが、このエンジン5はハイブリッド装置3が有する複数の原動手段のうちの1つになっている。ハイブリッド装置3を備える車両1の走行時は、車両1の運転状態に応じてメインECU20からエンジンECU21及びモータECU22に対して制御指令を出力することにより、原動手段であるエンジン5、モータ10及び発電機11による駆動が、総合的に制御される。この制御は、エンジン5、モータ10、発電機11の出力を制御したり、起動と停止を繰り返す、いわゆる間欠運転の制御をしたりする。
【0068】
このうち、エンジン5及び発電機11の出力は、動力分割機構12に伝達され、動力分割機構12から減速機15に伝達される。また、モータ10の出力は、直接減速機15に伝達される。減速機15に伝達されたエンジン5、モータ10、発電機11の出力は、減速機15から駆動軸16に伝達され、駆動力として駆動輪17に伝達される。これにより、当該ハイブリッド装置3を搭載する車両1は、エンジン5、モータ10及び発電機11の出力により走行する。
【0069】
車両1の運転時には、エンジン5は間欠運転を行うが、この間欠運転の制御は、メインECU20の処理部81が有するエンジン制御部82で行う。エンジン制御部82は、メインECU20からエンジンECU21に対してエンジン5の間欠運転の制御指令を出力することにより、エンジンECU21によって実質的なエンジン5の制御を行う。例えば、メインECU20からエンジンECU21に対してエンジン5の間欠運転によりエンジン5を停止させる制御指令を出力した場合には、メインECU20の処理部81が有するエンジン制御部82から、エンジンECU21の処理部101が有する燃料噴射量制御部104に対してインジェクタ41から噴射する燃料を停止するようにインジェクタ41を制御する信号を送信する。これにより、インジェクタ41から燃料は噴射されなくなるため、気筒6内に燃料は供給されなくなり、エンジン5は運転を停止する。
【0070】
間欠運転により停止したエンジン5を再始動する場合には、エンジン制御部82から燃料噴射量制御部104に対してインジェクタ41から燃料を噴射するようにインジェクタ41を制御する信号を送信する。さらに、この状態で、モータECU22でモータ10を制御しつつエンジンECU21で動力分割機構12を制御し、モータ10の出力を、減速機15及び動力分割機構12を介してエンジン5に伝達する。これにより、エンジン5が有する回転軸であるクランクシャフト(図示省略)が回転し、ピストン(図示省略)が気筒6内で往復しながら空気と燃料との混合気が気筒6内に供給されるため、エンジン5は再始動する。
【0071】
このように、間欠運転によりエンジン5を停止した後、再始動する際には、実施例1に係る燃料改質装置30では、車両1の通常運転時におけるモータ10の出力と比較してモータ10の出力を増加させる。つまり、間欠運転によりエンジン5を停止した後、車両1を加速させるために再始動する際には、メインECU20の処理部81が有するモータ制御部83は、モータ10の出力を増加させる制御である補助運転制御を行う。これにより、モータ10は、通常運転時におけるモータトルクよりも、モータトルクを大きくした状態での運転であるモータアシスト運転で運転する。
【0072】
ここで、エンジン5を間欠運転する際に変化するエンジン5の回転数とトルク、及び改質触媒62の温度について説明する。図4は、従来の燃料改質装置でエンジンを間欠運転した場合におけるエンジンの回転数とトルク、及び改質触媒の温度の変化を示す説明図である。図5は、実施例1に係る燃料改質装置でエンジンを間欠運転した場合におけるエンジンの回転数とトルク、及び改質触媒の温度の変化を示す説明図である。車両1の走行時には、車両1の駆動輪17にはエンジン5の出力とモータ10の出力とが伝達可能に設けられているため、車両1はエンジントルク131とモータトルク132とを合計したトルクである合計トルク130により走行する。このため、車両1の走行時には、この合計トルク130を、目標となる走行状態で車両1の走行が可能な大きさにする。また、車両1には原動手段としてエンジン5とモータ10とが搭載されているが、車両1がエンジン5の運転のみで走行をする場合には、エンジントルク131と合計トルク130とは同じ大きさになり、エンジン5は、車両1の走行状態に適した回転数120及びエンジントルク131で運転をする(図4、図5)。
【0073】
また、このようにエンジン5を運転している場合には、エンジン5からは排気ガスが排出されるため、この排気ガスの熱によって改質触媒62の温度である改質触媒温度140は上昇する。このため、改質触媒温度140は、改質用燃料が混合された排気ガスを吸熱反応させることにより改質触媒62で改質ガスを生成可能な温度である改質可能温度145以上になる。
【0074】
これに対し、車両1の走行中に間欠運転によりエンジン5を停止させる場合、エンジン5の回転数120及びエンジントルク131は低下し、共に0になる。また、車両1の走行中に間欠運転によりエンジン5を停止させる場合には、エンジン5を停止させると同時にモータトルク132を上昇させ、モータトルク132を、目標となる走行状態で車両1の走行が可能な大きさにする。このため、車両1はモータトルク132のみで走行することになるため、合計トルク130はモータトルク132と同じ大きさになる。つまり、間欠運転によりエンジン5を停止させた場合には、車両1はモータ10の出力により走行をする(図4、図5)。
【0075】
また、間欠運転によりエンジン5を停止させた場合には、エンジン5からは排気ガスが排出されなくなる。このため、改質触媒62には高温の排気ガスの熱が伝達されなくなるため、改質触媒温度140は、改質用燃料が混合された排気ガスを吸熱反応させて改質ガスを生成する際における温度の低下や改質触媒62の放熱により、時間が経過するに従って低下する。これにより、改質触媒温度140は改質可能温度145よりも低下し、改質触媒62で改質ガスを効率よく生成することができなくなる(図4、図5)。これらのように、間欠運転によりエンジン5を停止させている期間、即ち、エンジン停止ESからエンジン再始動ERまでの期間であるエンジン停止期間STは、エンジン5の回転数120及びエンジントルク131が0になり、合計トルク130とモータトルク132とが等しくなり、改質触媒温度140が低下する。
【0076】
この状態で、例えば運転者がアクセル開度を大きくすることなどにより要求トルク135が大きくなった場合には、合計トルク130を要求トルク135に合わせて上昇させるために、停止中のエンジン5を再始動する。これにより、エンジン5の回転数120は上昇し、エンジントルク131も上昇するので、合計トルク130はエンジントルク131が増加した分、増加する。
【0077】
エンジン5の停止中に合計トルク130を増加させる場合には、エンジン5を再始動して合計トルク130にエンジントルク131を加えることにより増加させるが、エンジン5の停止中は改質触媒温度140が低下しているため、所望の大きさのエンジントルク131を得ることは困難なものとなっている。つまり、車両1の運転中は、エンジン5の点火時期などエンジン5の運転時に変更可能な運転条件の適合値を、改質ガスがエンジン5に供給される状態で運転する場合における適合値にして運転をしている。
【0078】
しかし、エンジン5を停止させた場合には、改質触媒温度140が低下して改質可能温度145よりも低くなるので、改質触媒62で改質ガスを生成するのが困難になる。このため、エンジン再始動ERの直後に、エンジン5に改質ガスを供給するのは困難になるため、エンジン再始動ERの直後は、エンジントルク131は大きくなり難くなっている。従って、従来の燃料改質装置でエンジン5を間欠運転した場合における、停止したエンジンの再始動後の合計トルク130は、要求トルク135の大きさまで大きくなるのは困難なものとなり、要求トルク135を満たすのは困難になる(図4)。
【0079】
この場合、車両1を要求トルク135の大きさのトルクで走行させることができないので、アクセル開度に応じた走行ができなくなる。つまり、加速時におけるアクセルペダル25の操作に対するレスポンスが悪化する。このため、停止させたエンジン5を再始動させた場合において改質触媒温度140が改質可能温度145以下となっている期間である改質可能温度未達時間YTの間は、エンジン5には改質ガスが供給され難くなるため、この期間では、エンジントルク131は大幅には上昇し難くなっている。従って、合計トルク130も大幅には上昇し難くなり、改質可能温度未達時間YTの期間は、車両1の加速時における要求トルク135を合計トルク130で満たすことは困難なものとなる。
【0080】
また、この状態でエンジン5を運転し続けた場合、改質触媒62はエンジン5から排出される排気ガスの熱が伝達されることによって温度が上昇する。このように、改質触媒62に排気ガスの熱が伝達されることにより、改質触媒温度140が改質可能温度145以上になった場合、改質触媒62は改質用燃料を改質して改質ガスを生成することができるので、エンジン5には、改質触媒62で生成した改質ガスが供給される。これにより、エンジントルク131は大幅に上昇するため、合計トルク130も大幅に上昇する。これにより、合計トルク130は要求トルク135と同程度の大きさになり、車両1の加速時における要求トルク135を合計トルク130で満たすことができる。
【0081】
これに対し、実施例1に係る燃料改質装置30では、車両1の加速時に、停止中のエンジン5を再始動させてエンジントルク131を上昇させる場合には、エンジン5を再始動させるのと同時にモータトルク132を上昇させる。これにより、エンジントルク131とモータトルク132とを合わせたトルクである合計トルク130は、大幅に大きくなる(図5)。
【0082】
つまり、停止しているエンジン5を再始動させた直後の期間である改質可能温度未達時間YTの間は、改質ガスの生成が困難なためエンジントルク131は大幅には上昇し難くなっているが、モータトルク132を上昇させることにより、合計トルク130は大幅に大きくなる。これにより、合計トルク130を要求トルクの大きさにすることができるため、要求トルク135を合計トルク130で満たすことができる。従って、車両1を要求トルク135の大きさで走行させることができ、アクセル開度に応じた走行をすることができる。つまり、加速時におけるアクセルペダル25の操作に対するレスポンスを確保することができる。
【0083】
また、この状態でエンジン5を運転し続けた場合、改質触媒温度140は上昇する。これにより、改質触媒温度140が改質可能温度145以上になり、改質触媒62で改質用燃料を改質して改質ガスを生成することができる状態になった場合には、エンジン5には、改質触媒62で生成した改質ガスが供給される。この場合、エンジントルク131は大幅に上昇するため、モータトルク132を低下させても、合計トルク130は要求トルク135を維持することができる。このため、改質触媒温度140が改質可能温度145以上になった場合には、モータトルク132を低下させ、エンジン5に改質ガスが供給されることにより大幅に上昇したエンジントルク131と、低下させたモータトルク132とにより、合計トルク130を要求トルク135と同程度の大きさにする。これにより、車両1の加速時における要求トルク135を合計トルク130で満たすことができる。
【0084】
図6は、実施例1に係る燃料改質装置の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例1に係る燃料改質装置30の制御方法、即ち、当該燃料改質装置30の処理手順について説明する。なお、以下の処理手順の説明では、間欠運転により停止したエンジン5の再始動時における手順について説明する。実施例1に係る燃料改質装置30の処理手順では、まず、運転状況を取得する(ステップST101)。この取得は、メインECU20の処理部81が有する運転状況取得部84で、エンジン5の運転状況としてエンジン5の回転数、エンジン5の運転時の負荷、エンジン5やモータ10のトルク、改質触媒62の温度などを取得する。
【0085】
このうち、エンジン5の回転数は、エンジン5の運転時における回転軸であるクランクシャフトの回転時の角速度を検出する角速度センサ(図示省略)の検出結果等より、メインECU20の処理部81が有するエンジン制御部82で導出する。導出したエンジン5の回転数は、運転状況取得部84に伝達されることにより、運転状況取得部84で取得する。
【0086】
また、エンジン5の運転時の負荷は、アクセル開度センサ26で検出したアクセル開度や、エアフロメータ43での検出結果よりエンジンECU21の処理部101が有する吸入空気量取得部103で取得した吸入空気量等が、運転状況取得部84に伝達されることにより、運転状況取得部84で取得する。
【0087】
また、エンジン5のトルクは、エンジントルクセンサ27で検出した検出結果が運転状況取得部84に伝達されることにより、運転状況取得部84で取得する。また、モータ10のトルクは、モータトルクセンサ28で検出した検出結果が運転状況取得部84に伝達されることにより、運転状況取得部84で取得する。
【0088】
また、改質触媒62の温度は、改質触媒温度センサ66での検出結果がエンジンECU21の処理部101が有する改質触媒温度取得部107に伝達されることにより改質触媒温度取得部107で取得する。取得した改質触媒62の温度は、運転状況取得部84に伝達されることにより、運転状況取得部84で取得する。
【0089】
次に、要求トルクを導出する(ステップST102)。この導出は、運転状況取得部84で取得したアクセル開度より、メインECU20の処理部81が有する要求トルク導出部85で導出する。詳しくは、メインECU20の記憶部95には、予めアクセル開度と要求トルクとの関係を示すマップが記憶されているため、要求トルク導出部85は、運転状況取得部84で取得したアクセル開度を、この記憶部95に記憶されているマップに照らし合わせることにより、要求トルクを導出する。
【0090】
次に、改質用燃料を改質可能であるか否かを判定する(ステップST103)。この判定は、メインECU20の処理部81が有する改質可能判定部86で行う。改質可能判定部86には、運転状況取得部84で取得した改質触媒温度が伝達され、この改質触媒温度と、予めメインECU20の記憶部95に記憶されている改質可能温度とを、改質可能判定部86で比較する。この比較により、改質触媒温度は改質可能温度以上であると判定した場合には、改質可能判定部86は改質触媒62で改質用燃料を改質可能であると判定し、改質触媒温度は改質可能温度よりも低いと判定した場合には、改質触媒62は改質用燃料を改質可能ではないと判定する。
【0091】
改質可能判定部86での判定(ステップST103)により、改質触媒62は改質用燃料を改質可能ではないと判定された場合には、次に、改質用燃料を改質可能であるか否かを示すフラグF=0にする(ステップST104)。このフラグFは、メインECU20の記憶部95に記憶されており、フラグFを変更する制御は、メインECU20の処理部81が有するフラグ制御部89で行う。改質触媒62は改質用燃料を改質可能ではないと判定された場合には、フラグ制御部89は、フラグFを0にする。
【0092】
次に、エンジン適合値を修正する(ステップST105)。ここでいうエンジン適合値とは、エンジン5の燃焼行程における点火時期など、エンジン5の運転時に調整可能な運転条件の値のうち、現在の運転状態に適した運転条件の値をいう。このエンジン適合値は、メインECU20の記憶部95に、書き換え可能に記憶されている。このようにエンジン適合値を修正する際には、メインECU20の処理部81が有するエンジン制御部82で、改質触媒62で改質用燃料を改質することができない場合における値にエンジン適合値を修正する。エンジン適合値の修正は、例えば、改質触媒62で改質用燃料を改質可能な場合と比較して点火時期を遅角させる。
【0093】
次に、実測トルクを取得する(ステップST106)。この取得は、エンジン適合値を修正した場合におけるエンジントルクを、エンジントルクセンサ27での検出を介して運転状況取得部84で取得し、この場合におけるエンジントルクを実測トルクとして取得する。
【0094】
次に、(要求トルク−実測トルク)>基準差Sであるかを判定する(ステップST107)。この判定は、メインECU20の処理部81が有する実測トルク判定部87で行う。実測トルク判定部87には、要求トルク導出部85で導出した要求トルクと、運転状況取得部84で取得した実測トルクとが伝達され、これらのトルク同士の差が、モータアシストを行うか否かの基準となる差である基準差Sよりも大きいか否かを、実測トルク判定部87で判定する。なお、実測トルク判定部87での判定に用いる基準差Sは、要求トルクと実測トルクとのトルク差の閾値を示す所定値として、予めメインECU20の記憶部95に記憶されている。
【0095】
実測トルク判定部87での判定(ステップST107)により、(要求トルク−実測トルク)は基準差Sよりも大きいと判定された場合には、次に、モータ出力を設定する(ステップST108)。このモータ出力の設定は、メインECU20の処理部81が有するモータ出力設定部88で行う。モータ出力設定部88は、要求トルクと実測トルクとの差に応じて、通常運転時よりもモータトルクが大きくなるようにモータ出力を設定する。具体的には、モータ出力設定部88は、モータトルクを、通常運転時におけるモータトルクよりも、要求トルクと実測トルクとの差と同程度の大きさの分だけ上昇させて設定する。
【0096】
次に、モータアシスト運転を行う(ステップST109)。この運転は、モータ出力設定部88で設定されたモータ出力が、メインECU20の処理部81が有するモータ制御部83に伝達され、伝達されたモータ出力に基づいてモータ制御部83からモータECU22に対して制御信号を伝達することにより、モータ10を運転させる。これにより、モータ10は、モータ出力設定部88で設定されたモータ出力で運転する。即ち、モータ制御部83は、要求トルクと実測トルクとの差が基準差Sより大きいと判定された場合にのみ、モータ10の出力を増加させる制御である補助運転制御を行い、モータ制御部83により制御されるモータ10は、この補助運転制御により、通常運転時におけるモータトルクよりも、モータトルクを大きくした状態での運転であるモータアシスト運転を行う。モータアシスト運転の開始後は、モータ出力設定部88で設定したモータ出力に対する、モータトルクセンサ28で検出したモータトルクの差をフィードバックしてモータアシスト運転の制御をする。モータアシスト運転を行った後は、この処理手順から抜け出る。
【0097】
これらに対し、改質可能判定部86での判定(ステップST103)により、改質触媒62は改質用燃料を改質可能であると判定された場合には、まず、フラグ制御部89によってフラグF=1にする(ステップST110)。改質触媒62によって改質用燃料を改質可能であると判定された場合には、フラグ制御部89は、フラグFを1にする。
【0098】
次に、改質用燃料を噴射する(ステップST111)。この改質用燃料の噴射は、エンジン制御部82からエンジンECU21の処理部101が有する改質用燃料噴射量制御部105に対して制御信号を送信し、改質用燃料インジェクタ55を改質用燃料噴射量制御部105で制御することにより、改質用通路52を流れる排気ガスに対して改質用燃料を噴射する。
【0099】
次に、モータアシストなしにする(ステップST112)。モータアシストなしでモータ10を運転する場合には、モータ制御部83からモータECU22に対して、通常運転時におけるモータトルクでモータ10を運転させる制御信号を伝達する。つまり、モータ制御部83は、運転状況取得部84で取得したアクセル開度に適したモータ出力でモータ10を運転させることができる制御信号を、モータECU22に伝達する。これにより、モータECU22は、アクセル開度に適したモータ出力でモータ10を運転させる。即ち、モータアシストなしでモータ10を運転させる。
【0100】
次に、フラグF=1であるか否かを判定する(ステップST113)。この判定は、メインECU20の処理部81が有するフラグ判定部90で行う。フラグ判定部90は、メインECU20の記憶部95に記憶されているフラグFを読み取り、フラグFが1であるか否かを判定する。
【0101】
フラグ判定部90での判定により、フラグF=1であると判定された場合には、次に、エンジン適合値を復帰させる(ステップST114)。このようにエンジン適合値を復帰する際には、メインECU20の処理部81が有するエンジン制御部82で、改質触媒62によって改質用燃料を改質する場合における値にエンジン適合値を復帰させる。改質可能判定部86での判定(ステップST103)により、改質触媒62によって改質用燃料を改質可能であると判定された場合には、フラグFを1にするため、この場合、エンジン制御部82は、エンジン適合値を復帰させる。エンジン適合値を復帰させた後は、この処理手順から抜け出る。
【0102】
また、実測トルク判定部87での判定(ステップST107)により、(要求トルク−実測トルク)は基準差Sよりも大きくない、つまり、(要求トルク−実測トルク)は基準差S以下であると判定された場合には、モータアシストなしでモータを運転させる(ステップST112)。
【0103】
次に、フラグ判定部90で、フラグF=1であるか否かを判定する(ステップST113)。フラグ判定部90での判定により、フラグF=1ではないと判定された場合、つまり、フラグF=0であると判定された場合には、エンジン適合値を修正する(ステップST115)。このエンジン適合値の修正はエンジン制御部82で行い、ステップST105におけるエンジン適合値の修正と同様に、改質触媒62で改質用燃料を改質することができない場合における値にエンジン適合値を修正する。改質可能判定部86での判定(ステップST103)により、改質触媒62は改質用燃料を改質することができないと判定された場合には、フラグFを0にするため、この場合、エンジン制御部82は、エンジン適合値を修正する。エンジン適合値を修正した後は、この処理手順から抜け出る。
【0104】
以上の燃料改質装置30は、エンジン5を間欠運転により停止させた後、再始動する際に、モータ10の出力を増加させる制御である補助運転制御を行っている。このため、エンジン5を間欠運転により停止させた際に改質触媒62の温度が低下することにより、エンジン5を再始動した際に改質ガスを供給できないことによりエンジン5の出力が低下する状況でも、モータ10の出力を増加させることにより、エンジン5の出力の低下を補うことができる。従って、エンジン5の再始動時に車両1を走行させるのに必要なトルクを確保することができる。この結果、間欠運転をするエンジン5の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善することができる。
【0105】
また、補助運転制御によってモータアシスト運転をする際には、要求トルクと実測トルクとの差に基づいてモータ10の出力を増加させるため、モータ10の出力を、より適切な増加量で増加させることができる。これにより、より適切に要求トルクを満たすことができる。この結果、間欠運転をするエンジン5の再始動時における車両走行時のレスポンスを、より確実に改善することができる。
【0106】
また、要求トルクと実測トルクとの差が基準差Sより大きいと判定された場合にのみ補助運転制御を行うため、必要以上にモータ10の出力を増加させることを抑制できる。この結果、モータ10の電源として設けられるバッテリ14の電気消費量を抑制しつつ、間欠運転をするエンジン5の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善することができる。
【実施例2】
【0107】
実施例2に係る燃料改質装置150は、実施例1に係る燃料改質装置30と略同様の構成であるが、エンジンの再始動時に過負荷運転を行う際に、バッテリの充電量に応じて過負荷運転の状態を異ならせる点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。図7は、実施例2に係る燃料改質装置の要部構成図である。実施例2に係る燃料改質装置150は、実施例1に係る燃料改質装置30と同様に、ハイブリッド装置3を備える車両1(図1参照)のエンジン5に備えられている(図2参照)。このため、エンジン5は、車両1の走行時における原動手段のうちの1つとして設けられており、原動手段としては、他にモータ10が設けられている。また、ハイブリッド装置3は、モータ10の電源として設けられるバッテリ14に充電する電気を発電する発電機11が設けられている。また、これらのエンジン5やモータ10の回転を、減速しつつ駆動輪17の方向に伝達する減速機15が設けられており、さらに、エンジン5の出力を発電機11と減速機15とに振り分ける動力分割機構12が設けられている。これらのように構成されるハイブリッド装置3は、メインECU20、エンジンECU21、モータECU22、バッテリECU23によって制御可能になっている。
【0108】
また、エンジン5には排気通路50が接続されており、排気通路50は、改質用燃料インジェクタ55が設けられた改質用通路52を有している。さらに、排気通路50には、浄化触媒61及び改質触媒62を内設すると共にEGRガス通路70が接続された触媒部60が設けられており、触媒部60に接続されたEGRガス通路70は、触媒部60に接続されている側の端部の反対側に位置する端部が吸気通路40に接続されている。また、EGRガス通路70には、当該EGRガス通路70内を開閉可能なEGRガス流量調整バルブ72が設けられている。
【0109】
また、この実施例2に係る燃料改質装置150が有するメインECU20は、実施例1に係る燃料改質装置30が有するメインECU20と同様に処理部81と記憶部95と入出力部96とを有している。このうち、処理部81は、少なくともエンジン制御部82と、モータ制御部83と、運転状況取得部84と、要求トルク導出部85と、改質可能判定部86と、モータ出力設定部88と、フラグ制御部89と、フラグ判定部90と、を有している。
【0110】
さらに、この処理部81は、エンジン5の運転時に予測されるトルクである予測トルクを導出する予測トルク導出手段である予測トルク導出部155と、要求トルク導出部85で導出した要求トルクと予測トルク導出部155で導出した予測トルクとの差が、モータアシストを行うか否かの基準となる所定値である基準差Tよりも大きいか否かを判定する予測トルク判定手段である予測トルク判定部156と、を有している。
【0111】
また、エンジンECU21は、実施例1に係る燃料改質装置30が有するエンジンECU21と同様に処理部101と記憶部108と入出力部109とを有している。このうち、処理部101は、少なくともスロットルバルブ制御部102と、吸入空気量取得部103と、燃料噴射量制御部104と、改質用燃料噴射量制御部105と、EGRガス流量調整バルブ制御部106と、改質触媒温度取得部107と、を有している。
【0112】
この実施例2に係る燃料改質装置150は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。実施例2に係る燃料改質装置150を備えるエンジン5の運転時の基本的な作用は、実施例1に係る燃料改質装置30と同様な作用をする。即ち、エンジン5の気筒6内で燃料と空気との混合気を燃焼し、燃焼後の排気ガスの熱によって浄化触媒61の温度を上昇させる。さらに、改質用燃料を噴射した排気ガスを、浄化触媒61と一体になって設けられた改質触媒62に流すことにより、改質ガスを生成する。
【0113】
改質触媒62で生成された改質ガスはEGRガスとして吸気通路40に流れ、吸気通路40を流れる空気と燃料との混合気と共にエンジン5に吸入される。改質ガスを含む混合気がエンジン5に吸入された場合、改質ガスは混合気中の燃料と共にエンジン5の気筒6内で燃焼する。また、このように改質ガスが気筒6内で燃焼させることにより、インジェクタ41から噴射する燃料の噴射量を低減させることができる。
【0114】
燃料改質装置30を備えるエンジン5の運転時は、このように運転するが、このエンジン5はハイブリッド装置3が有する複数の原動手段のうちの1つになっており、車両1の走行時には、走行状態に応じてエンジン5は間欠運転する。また、間欠運転により停止したエンジン5を再始動する際には、メインECU20の処理部81が有するモータ制御部83で補助運転制御を行い、モータアシスト運転を行う。これにより、エンジン5の再始動後で、改質触媒62によって改質ガスの生成が困難な状態でも、車両1の走行に必要なトルクを確保することができる。
【0115】
図8は、実施例2に係る燃料改質装置の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例2に係る燃料改質装置150の制御方法、即ち、当該燃料改質装置150の処理手順について説明する。なお、以下の処理手順の説明では、間欠運転により停止したエンジン5の再始動時における手順について説明する。実施例2に係る燃料改質装置150の処理手順では、まず、運転状況を取得する(ステップST201)。この取得は、メインECU20の処理部81が有する運転状況取得部84で取得する。
【0116】
次に、要求トルクを導出する(ステップST202)。この要求トルクの導出は、運転状況取得部84で取得したアクセル開度を、記憶部95に記憶されているマップに照らし合わせることにより、要求トルク導出部85で導出する。
【0117】
次に、改質触媒温度と改質可能温度とを比較することにより、改質触媒62で改質用燃料を改質可能であるか否かを、メインECU20の処理部81が有する改質可能判定部86で判定する(ステップST203)。
【0118】
改質可能判定部86での判定(ステップST203)により、改質触媒62は改質用燃料を改質可能ではないと判定された場合には、次に、メインECU20の処理部81が有するフラグ制御部89で、フラグF=0にする(ステップST204)。
【0119】
次に、メインECU20の処理部81が有するエンジン制御部82で、改質触媒62によって改質用燃料を改質することができない場合における値にエンジン適合値を修正する(ステップST205)。
【0120】
次に、予測トルクを導出する(ステップST206)。この予測トルクの導出は、運転状況取得部84で取得したエンジン5の回転数と、エンジン5の運転時の負荷とより、メインECU20の処理部81が有する予測トルク導出部155で導出する。また、この場合に予測トルク導出部155で導出する予測トルクは、改質用燃料を改質触媒62で改質することができない状態におけるエンジン5のトルクであるため、予測トルク導出部155は、改質用燃料を改質触媒62で改質することができない状態における予測トルクを導出する。予測トルク導出部155で予測トルクを導出する際には、運転状況取得部84で取得したエンジン5の回転数と、エンジン5の運転時の負荷とが運転状況取得部84より予測トルク導出部155に伝達され、この回転数と負荷とを、予めメインECU20の記憶部95に記憶されている回転数、負荷及びトルクの関係を示すマップに照らし合わせることにより導出する。
【0121】
次に、(要求トルク−予測トルク)>基準差Tであるかを判定する(ステップST207)。この判定は、メインECU20の処理部81が有する予測トルク判定部156で行う。予測トルク判定部156には、要求トルク導出部85で導出した要求トルクと、予測トルク導出部155で導出した予測トルクとが伝達され、これらのトルク同士の差が、モータアシストを行うか否かの基準となる差である基準差Tよりも大きいか否かを、予測トルク判定部156で判定する。なお、予測トルク判定部156での判定に用いる基準差Tは、要求トルクと予測トルクとのトルク差の閾値を示す所定値として、予めメインECU20の記憶部95に記憶されている。
【0122】
予測トルク判定部156での判定(ステップST207)により、(要求トルク−予測トルク)は基準差Tよりも大きいと判定された場合には、次に、メインECU20の処理部81が有するモータ出力設定部88で、モータ出力を設定する(ステップST208)。モータ出力設定部88は、要求トルクと予測トルクとの差に応じて、通常運転時よりもモータトルクが大きくなるようにモータ出力を設定する。具体的には、モータ出力設定部88は、モータトルクを、通常運転時におけるモータトルクよりも、要求トルクと予測トルクとの差と同程度の大きさの分だけ上昇させて設定する。
【0123】
次に、モータアシスト運転を行う(ステップST209)。この運転は、モータ出力設定部88で設定されたモータ出力が、メインECU20の処理部81が有するモータ制御部83に伝達され、モータ制御部83は、モータ出力設定部88から伝達されたモータ出力によって補助運転制御を行う。このように、モータ制御部83は、要求トルクと予測トルクとの差が基準差Tより大きいと判定された場合にのみ補助運転制御を行い、モータ制御部83により制御されるモータ10は、モータアシスト運転を行う。つまり、予測トルク導出部155でエンジン5の運転時におけるトルクを予測し、この予測トルクと要求トルクとの差よりモータ出力を設定することにより補助運転制御を行う、いわゆるフィードフォワード制御によってモータアシスト運転を行う。モータアシスト運転の開始後は、モータ出力設定部88で設定したモータ出力に対する、モータトルクセンサ28で検出したモータトルクの差をフィードバックしてモータアシスト運転の制御をする。モータアシスト運転を行った後は、この処理手順から抜け出る。
【0124】
これらに対し、改質可能判定部86での判定(ステップST203)により、改質触媒62は改質用燃料を改質可能であると判定された場合には、まず、フラグ制御部89によってフラグF=1にする(ステップST210)。
【0125】
次に、エンジン制御部82からエンジンECU21の処理部101が有する改質用燃料噴射量制御部105に対して制御信号を送信し、改質用燃料インジェクタ55を改質用燃料噴射量制御部105で制御することにより、改質用燃料を噴射する(ステップST211)。
【0126】
次に、モータ制御部83からモータECU22に対して、通常運転時におけるモータトルクでモータ10を運転させる制御信号を伝達することにより、モータ10の運転をモータアシストなしにする(ステップST212)。
【0127】
次に、メインECU20の処理部81が有するフラグ判定部90で、フラグF=1であるか否かを判定する(ステップST213)。
【0128】
フラグ判定部90での判定により、フラグF=1であると判定された場合には、次に、エンジン制御部82で、改質触媒62によって改質用燃料を改質する場合における値にエンジン適合値を復帰させる(ステップST214)。改質可能判定部86での判定(ステップST203)により、改質触媒62によって改質用燃料を改質可能であると判定された場合には、フラグFを1にするため、この場合、エンジン制御部82は、エンジン適合値を復帰させる。エンジン適合値を復帰させた後は、この処理手順から抜け出る。
【0129】
また、予測トルク判定部156での判定(ステップST207)により、(要求トルク−予測トルク)は基準差T以下であると判定された場合には、モータアシストなしでモータを運転させる(ステップST212)。
【0130】
次に、フラグ判定部90で、フラグF=1であるか否かを判定し(ステップST213)、フラグF=1ではないと判定された場合には、エンジン制御部82で、改質触媒62で改質用燃料を改質することができない場合における値にエンジン適合値を修正する(ステップST215)。改質可能判定部86での判定(ステップST203)により、改質触媒62は改質用燃料を改質することができないと判定された場合には、フラグFを0にするため、この場合、エンジン制御部82は、エンジン適合値を修正する。エンジン適合値を修正した後は、この処理手順から抜け出る。
【0131】
以上の燃料改質装置150は、補助運転制御によってモータアシスト運転をする際には、要求トルクと予測トルクとの差に基づいてモータ10の出力を増加させるため、モータ10の出力を、より適切な増加量で増加させることができる。これにより、より適切に要求トルクを満たすことができる。また、改質触媒62で改質ガスを改質できない状態におけるエンジン5のトルクを予測し、この予測トルクと要求トルクとの差に基づいてモータ10の出力を増加させるため、改質触媒62で改質ガスを改質できない状態におけるエンジン5のトルクを実測する必要がなくなる。このため、より短時間でモータ10の出力を増加させることができる。これらの結果、間欠運転をするエンジン5の再始動時における車両走行時のレスポンスを、より確実に改善することができる。
【0132】
また、要求トルクと予測トルクとの差が基準差Tより大きいと判定された場合にのみ補助運転制御を行うため、必要以上にモータ10の出力を増加させることを抑制できる。この結果、モータ10の電源として設けられるバッテリ14の電気消費量を抑制しつつ、間欠運転をするエンジン5の再始動時における車両走行時のレスポンスを改善することができる。
【0133】
なお、実施例2に係る燃料改質装置150では、予測トルク導出部155でエンジン5の予測トルクを導出する際に、改質用燃料を改質触媒62で改質することができない状態における予測トルクを導出しているが、予測トルクは、この状態以外の予測トルクを導出してもよい。例えば、改質触媒62の温度が改質可能温度より低い場合、改質触媒62は、改質効率は悪いが、多少は改質用燃料を改質することにより改質ガスを生成することができる。このため、改質触媒62の温度が改質可能温度より低い状態で改質用燃料を噴射する場合には、エンジン5の始動からの時間などから改質触媒温度を推定し、この改質触媒温度と改質効率とのマップより、予測トルクを導出してもよい。
【0134】
また、上述した燃料改質装置では、燃料タンク75に貯留され、エンジン5の運転や改質用燃料として用いられる燃料はガソリンとアルコール燃料との混合燃料となっているが、この燃料は、ガソリンのみやアルコール燃料のみでもよい。または、インジェクタ41から噴射し、エンジン5の運転に用いる燃料の燃料タンクと、改質用燃料の燃料タンクとは別々にし、それぞれ異なる性状の燃料を用いてもよい。エンジン5の運転に用いる燃料は、エンジン5の気筒6内で燃料し、エンジン5を運転させることのできる燃料であればよく、改質用燃料は、改質触媒62で改質することによりエンジン5の気筒6内で燃焼可能な改質ガスを生成できる燃料であればよい。
【0135】
また、上述した燃料改質装置では、EGRガス通路70と改質用通路52とは、排気主通路51内を流れる排気ガスの流れ方向に対して略直交する方向で触媒部60に接続されているが、EGRガス通路70と改質用通路52とは、これ以外の形態で配設されていてもよい。例えば、EGRガス通路70と改質用通路52とは、改質用通路52から触媒部60内に流れ、さらにEGRガス通路70に流れる排気ガスや改質ガスの流れが、排気主通路51内を流れる排気ガスの流れ方向に向流するように形成されていてもよい。EGRガス通路70と改質用通路52とは、改質用燃料が供給された改質用通路52内の排気ガスが触媒部60内の改質触媒62に流れて改質触媒62で改質ガスを生成し、この改質ガス及び排気ガスがEGRガス通路70に流れるように設けられていれば、その形態は問わない。
【産業上の利用可能性】
【0136】
以上のように、本発明に係る燃料改質装置は、改質ガスを排気ガスと共に内燃機関に吸気させる燃料改質装置に有用であり、特に、間欠運転を行う内燃機関に備えられる燃料改質装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】実施例1に係る燃料改質装置を備えるエンジンを搭載する車両の要部概略図である。
【図2】図1のエンジン及びこのエンジンに備えられる燃料改質装置の構成図である。
【図3】図2に示す燃料改質装置の要部構成図である。
【図4】従来の燃料改質装置でエンジンを間欠運転した場合におけるエンジンの回転数とトルク、及び改質触媒の温度の変化を示す説明図である。
【図5】実施例1に係る燃料改質装置でエンジンを間欠運転した場合におけるエンジンの回転数とトルク、及び改質触媒の温度の変化を示す説明図である。
【図6】実施例1に係る燃料改質装置の処理手順を示すフロー図である。
【図7】実施例2に係る燃料改質装置の要部構成図である。
【図8】実施例2に係る燃料改質装置の処理手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0138】
1 車両
3 ハイブリッド装置
5 エンジン
6 気筒
10 モータ
11 発電機
12 動力分割機構
14 バッテリ
15 減速機
17 駆動輪
20 メインECU
21 エンジンECU
22 モータECU
23 バッテリECU
25 アクセルペダル
26 アクセル開度センサ
27 エンジントルクセンサ
28 モータトルクセンサ
30、150 燃料改質装置
40 吸気通路
41 インジェクタ
42 スロットルバルブ
50 排気通路
51 排気主通路
52 改質用通路
55 改質用燃料インジェクタ
60 触媒部
61 浄化触媒
62 改質触媒
66 改質触媒温度センサ
70 EGRガス通路
75 燃料タンク
81、101、111 処理部
82 エンジン制御部
83 モータ制御部
84 運転状況取得部
85 要求トルク導出部
86 改質可能判定部
87 実測トルク判定部
88 モータ出力設定部
89 フラグ制御部
90 フラグ判定部
95、108、115 記憶部
96、109、116 入出力部
102 スロットルバルブ制御部
103 吸入空気量取得部
104 燃料噴射量制御部
105 改質用燃料噴射量制御部
106 EGRガス流量調整バルブ制御部
107 改質触媒温度取得部
155 予測トルク導出部
156 予測トルク判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、且つ、燃料を燃焼させることにより運転すると共に間欠運転をする内燃機関と電気で作動するモータとからなる原動手段のうち、前記内燃機関の気筒内から排出された排気ガスを浄化する浄化手段と、
改質させる元になる燃料である改質用燃料を前記排気ガスに対して供給可能な改質用燃料供給手段と、
前記改質用燃料供給手段により前記排気ガスに供給された前記改質用燃料を、前記浄化手段から伝達される熱を利用して改質することにより前記気筒内で燃焼可能な改質ガスを生成する改質手段と、
前記改質手段の温度を取得する改質手段温度取得手段と、
前記内燃機関を間欠運転により停止させた後再始動する際に前記改質手段温度取得手段で取得した前記改質手段の温度に基づいて前記モータの出力を増加させる制御である補助運転制御を行うモータ制御手段と、
を備えることを特徴とする燃料改質装置。
【請求項2】
前記モータ制御手段は、前記車両の走行時に必要とされるトルクである要求トルクと前記内燃機関より実測したトルクである実測トルクとの差に基づいて前記モータの出力を増加させることを特徴とする請求項1に記載の燃料改質装置。
【請求項3】
さらに、前記車両の走行時に必要とされるトルクである要求トルクと前記内燃機関より実測したトルクである実測トルクとの差が所定値よりも大きいか否かを判定する実測トルク判定手段を備えており、
前記モータ制御手段は、前記要求トルクと前記実測トルクとの差が所定値より大きいと判定された場合にのみ前記補助運転制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料改質装置。
【請求項4】
前記モータ制御手段は、前記車両の走行時に必要とされるトルクである要求トルクと前記内燃機関の運転時における予測トルクとの差に基づいて前記モータの出力を増加させることを特徴とする請求項1に記載の燃料改質装置。
【請求項5】
さらに、前記車両の走行時に必要とされるトルクである要求トルクと前記内燃機関の運転時における予測トルクとの差が所定値よりも大きいか否かを判定する予測トルク判定手段を備えており、
前記モータ制御手段は、前記要求トルクと前記予測トルクとの差が所定値より大きいと判定された場合にのみ前記補助運転制御を行うことを特徴とする請求項1または4に記載の燃料改質装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−196530(P2009−196530A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41408(P2008−41408)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】