説明

物体を撮像する方法および物体を撮像するためのシステム

【課題】非縮退であって周波数エンタングルされた光子を用いて撮像を行なう。
【解決手段】少なくとも部分的に不明瞭であることが考えられる物体を撮像する。周波数エンタングルされた光子が生成される。これらの周波数エンタングルされた光子は、第1および第2の周波数を有する光子を含む。第1の周波数を有する光子は、遮蔽物を通過して物体を照らすことができる。物体により散乱した光子および第2の周波数を有する光子を用いて、到達時間の一致を考慮することにより、画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を撮像する方法および物体を撮像するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
量子エンタングルメントは、2つ以上の物体の1つ1つが空間的に分離していることが考えられる場合でも、これらの2つ以上の物体の量子特性が互いを基準にして説明される量子の機械的現象である。2つの光子AおよびBは、光子Aの1つの特性が既知である場合に光子Bの対応する特性もまた既知であると、エンタングルされて量子相関光子対系(bi-photon system)を形成していると言われる。たとえば、2つの光子がエンタングル状態で準備されており、当該光子のうちの一方が固有の偏光を有していることが認められる場合、他方の光子は既知の偏光を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概要
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の局面によると、少なくとも部分的に不明瞭であることが考えられる物体が撮像される。周波数エンタングルされた(frequency-entangled)光子が生成される。周波数エンタングルされた光子は、第1および第2の周波数を有する光子を含む。第1の周波数を有する光子は、遮蔽物(obscuration)を通過して物体を照らす。この物体により散乱した光子および第2の周波数を有する光子を用いて、到達時間の一致を考慮することにより、画像を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
詳細な説明
図1を参照する。図1は、周波数エンタングルされた光子で物体を撮像する方法を示す。物体は、少なくとも部分的に不明瞭であり得る。すなわち、物体は、部分的に不明瞭であり得るか、または、完全に不明瞭であり得る。本明細書で使用する「遮蔽物」は、物体を少なくとも部分的に不明瞭にする1つ以上の遮蔽物体(obscurant)を指す。
【0006】
周波数エンタングルメントは、2つの光子が、相関付けられかつ異なる波長を有する、量子の機械的現象を指す。光子は、物理的に離れていることが考えられるが、それでもなお、周波数のエンタングルメントを保持している。たとえば、量子相関光子対系の総エネルギがε12=ε1+ε2である場合、ε1が分かるとすぐにε2も求められ、その逆も可能であり、いずれの光子のエネルギεも、その波長に反比例する。光子は、縮退している(degenerate)こと、すなわち、等しい周波数を有する(ε1=ε2)ことが考えられ、または、非縮退であること、すなわち、ε1≠ε2であることが考えられる。
【0007】
ブロック110では、非縮退であって周波数エンタングルされた光子が生成される。周波数数エンタングルされた光子は、第1および第2の周波数を有する光子を含む。第1の周波数は、光子が遮蔽物を通過し得るように選択される。第1の周波数を有する光子は遮蔽物を通過することができるが、適切な解像度を有する物体の画像を形成しない。
【0008】
一般に、第2の周波数は、第1の周波数よりも実質的に高い。第2の周波数は、撮像解像度に対応する。
【0009】
ブロック120では、第1の周波数を有する光子で物体が照らされる。遮蔽物は、物体を照らすことを妨げない。なぜなら、第1の周波数を有する光子が遮蔽物を通過するためである。この物体は、光子を散乱させる。
【0010】
ブロック130では、物体により散乱した光子および第2の周波数を有する光子を用いて画像を形成する。光子エンタングルメントは、従来の光に関してこれまでに確認されている限度を超えて撮像能力を拡張するために用いられる。エンタングルメントにより、画像は、第1の周波数を有する光子によってのみ形成された画像が有していたであろう解像度よりも高い解像度を有し得る。
【0011】
画像の形成時に、到達時間の一致が考慮される。時間窓内において、物体により散乱した光子の或る特性(コヒーレンス等)は、第2の周波数を有する光子と相関付けられた状態にある。この時間窓の外では、これらの特性が相関しなくなる。画像解像度を高めるために、第2の周波数を有する相関付けられた光子が用いられる。
【0012】
図2を参照する。図2は、少なくとも部分的に不明瞭である物体を撮像するためのシステム210を示す。遮蔽物は、雲によって概略的に表わされているが、懸濁粒子の目に見える塊に限定されない。後に分かるように、遮蔽物は用途に依存する。
【0013】
システム210は、第1および第2の周波数を有する、非縮退であって周波数エンタングルされた光子の生成器220を含む。これらの周波数エンタングルされた光子は、パラメトリック下方変換(PDC)または他の何らかの方法で生成され得る。他の方法は、以下のものに限定されないが、フォトニック結晶における四光波混合(たとえば、ド・ドゥードゥ(De Dood)他、「エンタングルされた光子の源としての非線形フォトニック結晶(Nonlinear Photonic Crystals as a Source of Entangled Photons)」、フィジカル・レビュー・レターズ(PhysRevLett.)93.050405、2004を参照)、微細構造ファイバの使用による、高度に限定された電磁場の生成(たとえば、シャーピング(Sharping)他、「微細構造ファイバからの量子相関付けられた二光子(Quantum-correlated twin photons from microstructure fiber)」、オプティクス・エクスプレス(Optics Express)3086、第12巻、第14号、2004を参照)、半導体量子井戸(たとえば、ハイアット(Hayat)他、「半導体量子井戸からの二光子放射を介した高速エンタングルメント源(High-Rate Entanglement Source via Two-Photon Emission from Semiconductor Quantum Wells)」、アーカイブ・クワンタム・フィジックス(arXiv quant-ph)/0612124、2006を参照)、量子ドット構造(たとえば、スティーブンソン(Stevenson)他、「トリガされたエンタングル光子対の半導体源(A semiconductor source of triggered entangled photon pairs)」、ネイチャー(Nature)、第439巻、179−182頁、2006を参照)、および、二色性光子の高輝度源(たとえば、ペルトン(Pelton)他、「周期性分極KTPを用いた、周波数非縮退であって偏光エンタングルされた光子対の単一空間モード高輝度源(Bright, single-spatial-mode source of frequency non-degenerate, polarization-entangled photon pairs using periodically poled
KTP)」、オプティカル・エクスプレス3573、第12巻、第15号、2004を参照)を含む。
【0014】
光子生成器220は、第1の周波数を有する光子を第1の経路P1に送り、第2の周波数を有する光子を第2の経路P2に送る。第1の経路P1に送られた光子は、遮蔽物を通過する。第1の経路P1に物体が存在する場合、この物体は、第1の周波数を有する光子により照らされる。物体は、このように照らされた場合、第1の周波数を有する光子を散乱させる。
【0015】
第2の経路は、この第2の経路がエンタングルメントを妨害しない限り、どのような長さ、どのような環境等にも限定されない。たとえば、第2の経路P2は、エンタングルメントが妨害されない限り、長くかつ明瞭であり得、短くかつ制御された環境にあり得、その他の場合があり得る。
【0016】
システム210は、個々の光子を計数することのできる第1および第2の検出器230および240を含む。検出器230または240は、光子が横切ることによって走査される1つの検出器であるか、光子が横切ることによって走査される線形アレイであるか、または、走査を必要としない2Dアレイのいずれかであり得る。検出器230および240の各々は、電磁場を検知し、検知した場の位相および振幅を出力する。
【0017】
第2の検出器240は、第2の経路P2内にあり、第2の経路P2に送られた光子を検出する。第2の検出器240は、第2の周波数を有する光子により形成された電磁場の位相および振幅を出力する。
【0018】
第1の検出器230は、物体により散乱した光子を検出するように位置付けられる。第1の検出器230は、できる限りすべての光子を収集し、散乱した光子により形成された電磁場の位相および振幅を出力する。
【0019】
システム210はさらに、第1および第2の検出器230および240に応答して画像を形成するための回路250を含む。この画像は、セットアップの撮像特性によって決まる相関面上に形成され得る。この「セットアップ」は、物体、検出器、および光学装置間の距離を指す。撮像特性は、これらの距離に依存する。
【0020】
画像は、第1および第2の検出器により検出された、光子の複素電場の二次相関を行なうことにより、相関面上に形成され得る。一致の計数が、第2の検出器240のx−y座標の関数としてマッピングされる。一致を計数することにより、第1の検出器230において測定された複素電場と第2の検出器240において測定された複素電場の積の時間平均が測定される。複素電場は、位相および振幅に関して記載され得る。二次相関を算出する例は、ピットマン(Pittman)他による論文「二光子のジオメトリック光学(Two photon geometric optics)」、ザ・アメリカン・フィジカル・ソサイエティ(The American Physical Society)、第53巻、第4号、1996、2808頁および2813−2814頁に記載されている。
【0021】
ピットマン他の論文によると、一致の計数率は、含まれる横空間パラメータの関数として計算され得、この関数は、最も鮮鋭な画像を得るために最小化され得る。しかしながら、「最も鮮鋭な」画像が常に求められるわけではない。この発明のいくつかの実施例は最も鮮鋭な画像を好むことが考えられるが、他の実施例については、わずかに霞むか、または焦点の外れた画像が適切であることが考えられる。
【0022】
光子が相関付けられた状態にある時間窓の長さは、約10ns未満である。時間窓長は、帯域等のポンプビーム品質に依存する。
【0023】
いくつかの実施例において、第1の検出器230は、「バケット(bucket)検出器」を含み得る。バケット検出器は、物体を通って伝播するすべてのモードが共に測定されるマルチモード検出器を指す。バケット検出器は、光子の存在を検出するが、光子の位置は検出しない。バケット検出器は、物体により散乱したすべての光子を収集し、第2の検出器240に対する時間ゲートのように作用する。時間ゲートにより、第2の検出器240は、その観察と一致の計数の開始とをいつ始めればよいかを認識することができる。
【0024】
いくつかの用途において、第2の経路P2は、第1の経路よりも短い。回路250における一致を確実にするため、短い方の経路に沿った光子は、信号が回路250にほぼ同時に到達するように、光学的に遅延され得る。第1の例として、第2の経路P2に沿った光子は、ミラーを増設して当該光子をより長い距離にわたって進行させることにより、光学的に遅延させることができる。第2の例として、第2の経路P2に沿った光子は、第2の経路P2に1よりも大きな屈折率を有する光学要素を挿入することにより、光学的に遅延させることができる。これにより、要素を通って送られる光子の速度が下がる。
【0025】
代替例において、回路250は、一致を確実にすることができる。たとえば、同時計数器250は、或る所望の狭い波長の光子間の相互相関測定を行なうことにより、対象となる光子の到達間の時間遅延を測定することができる。2つのチャネル間における適切な遅延時間にはピークが存在する(すなわち、多くの一致を示す)。
【0026】
【数1】

【0027】
ビームスプリッタ340は、第1の経路にλ1の光子を送り、第2の経路にλ2の光子を送る。ビームスプリッタ340はまた、他の波長をフィルタ除去する。
【0028】
いくつかの実施例は、いわゆる「スクイーズド(squeezed)」状態にある、エンタングルされた光子を生成することにより、非一般的な光学分野の別の特性を利用することができる。スクイーズド状態とは、複素電場の2つの直交成分間において量子雑音が不均一に散乱した状態である。このような状態において、振幅の雑音は、位相雑音を悪化させる代わりに、標準的な量子限界よりも小さくなり得、またはその逆もあり得る。これにより、バケット検出器の感度を上げることができる。なぜなら、バケット検出器が光子の存在のみを検出するためである。スクイーズド状態は、四光波混合等の非線形光学処理により生成されてもよい。スクイーズド状態の光子はその後、N個のビームスプリッタまたは等価の技術を含む適切な光学ユニットにより、N次にエンタングルされる。
【0029】
周波数エンタングルされた光子の生成は、2つの異なる周波数のみを有する光子に限定されない。3つ、4つ、またはそれよりも多くの周波数を有する光子を生成することができ、これらの光子を用いて、物体を照らすか、撮像解像度を高めるか、またはその両方を行なうことができる。
【0030】
たとえば、第2の経路P2において、いわゆる「N00N状態」を使用することができる。N00N状態は、以下の等式により記載される、量子の機械的なエンタングル状態である。
【0031】
【数2】

【0032】
この式は、aモードにあるN個の粒子を、bモードにあるゼロ粒子に重畳すること、およびその逆を表わす。N個の光子のN00N状態を用いると、解像度は、ラムダ/Nに比例し、式中、ラムダは光子の波長である。したがって、撮像解像度は、N00N状態が高次になるほど良好となる。光子は、N次のN00N状態に生成され得、ここでN≧2である。
【0033】
周波数エンタングルされた光子で物体を撮像することは、いずれかの特定の用途に限定されない。しかしながら、この撮像は特に有利である。なぜなら、遮蔽物を貫通する光子の波長が、撮像解像度を決定する光子の波長とは異なり得るためである。この利点は、以下の3つの用途、すなわち、物体追跡、調査、および非破壊検査において明らかになるであろう。
【0034】
図4を参照する。図4は、物体追跡を行なう方法を示す。図2に示すハードウェアを用いて、物体を追跡することができる。ブロック410では、非縮退であってエンタングルされた光子を用いて物体の画像を取得する。第1の周波数は、当該光子が空中の遮蔽物を通過して、追跡中の物体を照らすことができるように選択される。この物体が航空機または他の空中の物体である場合、第1の周波数は、雲、霧、および他の大気中の遮蔽物体(乱流等)を通過するように選択される。たとえば、ミリメートル領域において35または94GHzの第1の周波数を使用することができる。
【0035】
水面下の物体を含む、海における物体を追跡するために、第1の周波数は、水を通り抜けるように選択される。青緑色の光、たとえば530nmの光または486nmの水素β線が使用され得る。
【0036】
陸上車を追跡するために、第1の周波数は、光子が空気、塵、煙、霧、および他の大気中の遮蔽物を通過することができるように選択される。
【0037】
第2の周波数は、取得した画像において物体の詳細を識別することができるように選択される。たとえば、第2の周波数は、赤外線スペクトルまたは可視スペクトルの範囲に入り得る。
【0038】
望遠鏡、ポインティングミラー、または他の光学アセンブリを用いて、第1の周波数を有する光子を物体に方向付けることができる(光学アセンブリは、たとえば図2の光子生成器220の一部であり得る)。第1の(たとえばバケット)検出器の視野および第2の検出器の視野に含まれるものはすべて、取得する画像に表われる。
【0039】
ブロック420において、プロセッサは、追跡している物体の予測位置を推定する。たとえば、物体が、取得した画像内で識別される。現在の画像における物体の位置を、以前に取得した1つ以上の画像内の物体の位置と比較して、これらの位置間の差異を用いて、次の画像取得時にこの物体がどこにあるかを推定する。加えて、物体認識を行なって、(たとえば取得した物体と格納された基準画像とを比較することにより)適切な物体を追跡しているか否かを判定することができる。
【0040】
ブロック430では、ハードウェアを調節して予測位置における物体を視認する。たとえば、望遠鏡、ポインティングミラー、または他の光学アセンブリを再配向して、予測位
置において観察を行なうことができる。
【0041】
ブロック410、420、および430における機能を繰返して、物体の追跡を継続することができる。
【0042】
図4の方法と、従来の電気光学/赤外線(EO/IR)アクティブ撮像システムを用いる方法とを対比されたい。このような従来のシステムは、雲、霧、および他の大気中の遮蔽物体により大きな限界を有する。従来のシステムは、これらの遮蔽物体を貫通することができ、かつ、十分な撮像解像度を提供することのできる波長に限定される。それとは対照的に、エンタングルされた光子を用いた撮像は、第1の最適周波数が遮蔽物に関して選択され得るようにし、第2の最適周波数が撮像解像度に関して選択され得るようにする。
【0043】
図5を次に参照する。図5は、不明瞭な物体の調査を行なう方法を示す。図2に示すハードウェアを用いて、この調査を行なうことができる。ブロック510では、非縮退であって周波数エンタングルされた光子が生成される。ブロック520では、第1の周波数を有する光子が、遮蔽物に向けて第1の経路沿いに方向付けられる。第1のビームの周波数は、光子が遮蔽物を通過しかつ遮蔽物の背後にある物体(壁、窓、および他の人工構造物等)を照らすように選択される。調査に対する対抗手段を見越して周波数を選択することもできる。
【0044】
ブロック520においても、第2の周波数を有するエンタングルされた光子を第2の経路沿いに方向付ける。第2の周波数は、十分な画像撮像度を提供するように選択される。
【0045】
ブロック530では、不明瞭な物体により散乱した光子および第2の経路に沿った光子を検出する。ブロック540では、画像が生成される。取得された画像は、遮蔽物の背後にある物体の詳細を明らかにする。
【0046】
図6を参照する。図6は、複合材料からなる構造物の非破壊検査(NDI)を行なう方法を示す。図2に示すハードウェアを用いて、NDIを行なうことができる。ブロック610では、非縮退であって周波数エンタングルされた光子が生成される。ブロック620では、第1の波長を有する光子が、経路沿いにこの複合構造に方向付けられる。高周波が用いられてよい。
【0047】
またブロック620では、画像解像波長を有する光子が第2の経路沿いに方向付けられる。画像解像周波数は、ミリメートルのスペクトルの範囲内にあり、構造上の変化(亀裂、腐食等)の識別を可能にする、より高い撮像解像度を得ることができる。
【0048】
ブロック630では、光子が検出される。ブロック640では、画像が生成される。
ブロック610−640における機能を繰返して、異なる構造の異なる画像を生成することができる(ブロック650)。さらに、第1の波長を有する光子の焦点を調節して、異なる深度で構造物を視認することができる。たとえば、第1の焦点を用いて複合パネル内の構造上の変化を視認することができる。次に、第2の焦点を用いて、パネルの背後にある複合部材内の構造上の変化を視認することができる。
【0049】
ブロック660では、画像を分析して、構造物内の構造上の変化を識別する。構造上の変化は、光子を散乱させるか、または光子を阻止し得る。構造上の変化にもよるが、構造上の変化は、明るいパッチ、暗いパッチ、または異なる質感を有するパッチとして画像内に出現し得る。
【0050】
図6の方法を用いて、炭素強化プラスチック(CRFP)等の複合材料からなる或る航
空機の構造(パネル、補強材、リブ、翼桁等)にNDIを行なうことができる。たとえば、この方法を用いて、航空機の構造におけるひび、腐食、および他の状態変化を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の実施例に従った方法を示す図である。
【図2】この発明の実施例に従ったシステムを示す図である。
【図3】非縮退であって周波数エンタングルされた光子を生成し、これらの光子を別個の経路沿いに送るための例示的な装置を示す図である。
【図4】この発明の実施例に従った、物体を追跡する方法を示す図である。
【図5】この発明の実施例に従った、調査を行なう方法を示す図である。
【図6】この発明の実施例に従った、非破壊検査を行なう方法を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
210 システム、220 生成器、230,240 検出器、250 回路、340
ビームスプリッタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に不明瞭であることが考えられる物体を撮像する方法であって、前記方法は、
第1および第2の周波数を有する光子を含む周波数エンタングルされた光子を生成するステップを含み、前記第1の周波数を有する前記光子は遮蔽物を通過することができ、前記方法はさらに、
前記第1の周波数を有する前記光子で前記物体を照らすステップと、
前記物体により散乱した光子および前記第2の周波数を有する前記光子を用いて、到達時間の一致を考慮することにより、画像を形成するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の周波数を有する前記光子は、前記物体に向けて第1の経路に送られ、前記物体により散乱した前記光子は、第1の検出器により検出され、前記第2の周波数を有する前記光子は、第2の経路に送られ、第2の検出器により検出され、前記第1および第2の検出器は、個々の光子を計数することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の検出器はバケット検出器であり、前記バケット検出器は、前記一致を考慮するために時間ゲートとして作用する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光子は、前記バケット検出器の感度を上げるためにスクイーズド状態に生成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記画像を形成するステップは、前記第1および第2の検出器により検出された前記光子の複素電場の二次相関を行なうステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記二次相関を行なうステップは、前記第1および第2の検出器により検出された前記光子の一致を測定するステップを含み、前記一致を測定するステップは、前記周波数エンタングルされた光子のコヒーレンス特性により決まる時間窓内において生じる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の周波数を有する前記光子は、前記物体が認識され得る画像を形成するのに十分な解像度を有さず、前記第2の周波数を有する前記光子は、前記物体が認識され得る画像を形成するのに十分な解像度を有し、前記画像を形成するステップは、前記第1の周波数を有する前記光子を用いて前記第2の周波数を有する前記光子を解像するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画像の解像度は、前記第2の周波数を有する前記光子により高められる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の周波数は、前記第1の周波数よりも実質的に高い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのさらに別の周波数を有する光子を用いて、前記画像の前記解像度を高める、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記光子は、N次のN00N状態で生成され、式中、N≧2である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも部分的に不明瞭であることが考えられる物体を撮像するためのシステムであって、前記システムは、
第1および第2の周波数を有する光子を含む周波数エンタングルされた光子を生成する
ための手段と、
前記第1の周波数を有する前記光子で物体を照らすための手段とを含み、前記第1の周波数を有する前記光子は遮蔽物を貫通することができ、前記システムはさらに、
前記物体により散乱した光子および前記第2の周波数を有する前記光子を用いて画像を形成するための手段を備える、システム。
【請求項13】
前記画像を形成している間に時間の一致を考慮することを確実にするための手段をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
先に取得した画像から物体の予測位置を推定するためのプロセッサと、前記予測位置に向けて第1の経路を方向付けるための光学アセンブリとをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムは、非破壊検査用に構成される、請求項12に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−122103(P2009−122103A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287832(P2008−287832)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】