説明

現像装置、プロセスユニット及び画像形成装置

【課題】逆帯電及び弱帯電トナーを効果的に正規帯電させて再利用できるトナー量を多くし、コスト低減効果の向上を実現できる現像装置を提供する。
【解決手段】本発明は、像担持体に対向して配設されると共にトナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤を担持可能な現像剤担持体と、二成分現像剤を循環搬送すると共に、現像剤担持体に二成分現像剤を供給する現像剤供給部40e、及び像担持体と現像剤担持体との間の現像領域でトナーが消費された二成分現像剤を回収する現像剤回収部40dを有する現像剤搬送路40aと、二成分現像剤から逆帯電及び弱帯電トナーを除去する除去手段44を備えた現像装置におけるものである。現像剤搬送路40aに、現像剤担持体から回収された二成分現像剤に除去手段44によって除去された逆帯電及び弱帯電トナーを戻すためのトナー戻し口40gを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、その現像装置を備えたプロセスユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複合機やプリンタでは、感光体ドラム上にレーザ光で書き込んだ静電潜像にトナーを付着させることで可視化する。この電子写真方式における一般的な現像装置を説明する。乾式二成分現像方式では、トナー(樹脂の粉末)とキャリア(磁性体)を混ぜたものを現像剤として用いる。まず、現像ユニットには攪拌スクリューを備えた通路があり、現像剤がこの通路を循環しつつ攪拌されることでトナーが負に、キャリアが正に帯電する。その後、現像剤はマグネットを仕込んだ現像ローラに磁力で汲み上げられる。キャリアは現像ローラ上に磁気ブラシ(磁気穂)を形成し、その周りにトナーが付着している。現像ローラと感光体ドラムの間に電圧を加えることで、トナーはキャリアから引き剥がされて感光体ドラム上に付着する。このとき画像部と非画像部では感光体ドラムの表面電位に差があり、負に正規帯電したトナーは画像部にのみ選択的に引き寄せられる。トナーを消費した現像剤は再び攪拌スクリューを備えた通路に戻され、トナー補給口まで搬送されてトナー濃度が低下した分の補給を受ける。
【0003】
トナーとキャリアからなる現像剤を攪拌したとき、大部分のトナーは負に正規帯電する。しかし、その帯電量には分布があり、一部のトナーは弱帯電(帯電量が少ない)や逆帯電(正に帯電する)となる。特に低画像面積率の画像を出力し続けて同じトナーを長時間攪拌したり、高湿条件下で用いたりした場合には、トナーの帯電性能が落ちて弱・逆帯電トナーが増える傾向にある。正規帯電のトナーが画像部にのみ付着するのに対して、これらの弱・逆帯電トナーは感光体ドラムの非画像部に付着するため(これを地汚れという)、紙に転写されると、本来色が着かない所に色が着くことになり紙の汚れとなる。また、転写されなかった場合も、感光体ドラムのクリーニング不良や帯電ローラ汚れの原因となる。さらに、非画像部に余計なトナーが消費されることでトナー消費量が増え、印刷コストの増加に繋がるという問題がある。
【0004】
二成分現像剤を用いた現像装置において、上記のような弱・逆帯電トナーによる地汚れの問題を解決する技術として、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の現像装置は、現像ハウジング内に逆帯電トナー捕集ローラを設けることで、逆帯電トナーが現像域(感光体ドラムとの近接点)に搬送されることを防止し、カブリ(地汚れ)のほかトナー飛散、トナー散りなどの問題を解消している。しかし、この現像装置では、捕集した逆帯電トナーを破棄しており、再利用していないため、印刷コストを低減することはできない。
【0005】
また、特許文献2や特許文献3には、回収した逆帯電トナーを再利用する発明が開示されている。特許文献2の発明は、回収ローラによって捕集された逆帯電トナーを、回収ブレードで剥ぎ取り、その後、逆帯電トナーを現像剤に戻して再利用する。特許文献3の発明は、現像ローラ上の現像剤にイオンフローを吹き付けることで、正規帯電トナーに電荷を付与するのと同時に弱・逆帯電トナーを除去し、除去された弱・逆帯電トナーをイオンフローの気流で搬送して、現像剤に戻して再利用する。
【0006】
しかし、特許文献2及び3のいずれの発明においても、弱・逆帯電トナーは帯電性能が落ちたまま現像剤に戻されるので、再度攪拌しても正規帯電しにくいと考えられる。このような現像装置を長時間使用すると、やがて現像剤中の弱・逆帯電トナーの割合が増加して回収しきれなくなり、システムが破綻して画質が悪化することが懸念される。また特許文献3の発明はイオナイザーが必要になるため、現像装置が大型化する懸念がある。
【0007】
また、特許文献4や特許文献5には、一成分現像方式ではあるが、回収した逆帯電トナーを再利用する前に正規帯電させる構成を追加した発明が開示されている。特許文献4の発明では、反転トナー(逆帯電トナー)を回収ローラで回収した後、通常より外添剤を多く含有させたトナーと混合・攪拌する。そして正規帯電トナーへ生まれ変わったものだけを、補給ローラと補給ブレードで現像剤に戻して再利用する。特許文献5の発明では、逆帯電トナーを逆帯電トナー除去ローラで除去した後、帯電ブレードで再度正規帯電させる。帯電ブレードを通しても正規帯電しなかった逆帯電トナーは排除し、正規帯電したトナーのみを現像剤に戻して再利用するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献4や5に記載の発明のように、外添剤を再付着させたり帯電ブレードを再度通したりしただけでは正規帯電しないトナーが多いため、再利用できるトナーの割合が少ない。ゆえに、印刷コストの低減効果が少ないといった問題がある。また、特許文献4の発明は、外添剤多めのトナーを蓄えておく補給容器が別途必要になるため、現像装置の大型化が懸念される。さらに、特許文献4や5の発明は、いずれも一成分現像であるため、二成分現像に比べると寿命が短いという欠点がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、逆帯電及び弱帯電トナーを効果的に正規帯電させて再利用できるトナー量を多くし、コスト低減効果の向上を実現できる現像装置、その現像装置を備えたプロセスユニット及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、像担持体に対向して配設されると共にトナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤を担持可能な現像剤担持体と、二成分現像剤を循環搬送すると共に、前記現像剤担持体に二成分現像剤を供給する現像剤供給部、及び前記像担持体と前記現像剤担持体との間の現像領域でトナーが消費された二成分現像剤を回収する現像剤回収部を有する現像剤搬送路と、二成分現像剤から逆帯電及び弱帯電トナーを除去する除去手段を備えた現像装置において、前記現像剤搬送路に、前記現像剤担持体から回収された二成分現像剤に前記除去手段によって除去された逆帯電及び弱帯電トナーを戻すためのトナー戻し口を設けたものである。
【0011】
二成分現像剤を用いた現像装置においては、トナーとキャリアを摩擦帯電させた際、キャリアの帯電量がその周囲のトナーに分配されることによりトナーが帯電する。このため、像担持体と現像剤担持体との間の現像領域においてトナーが消費された現像剤は、トナー量(トナー濃度)が低下しているので、トナー1粒あたりの帯電量は高くなる傾向にある。一方、上記除去手段によって除去された弱・逆帯電トナーを再利用するためには、それらの帯電量分布が現像剤中のそれと同等になるように正規の帯電量を高くしなければならない。そこで、上記のように、現像剤搬送路にトナー戻し口を設けることにより、除去手段によって除去された弱・逆帯電トナーを、帯電量の高いトナーを含む現像剤に戻すことができ、弱・逆帯電トナーの帯電量を効果的に正規帯電させることができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記現像剤搬送路にトナーを補給するためのトナー補給口を設けた現像装置であって、前記トナー戻し口を、前記現像剤搬送路に回収された二成分現像剤が前記トナー補給口に搬送されるまでの経路に配設したものである。
【0013】
トナー戻し口を、現像剤搬送路に回収された二成分現像剤がトナー補給口に搬送されるまでの経路に配設することにより、トナーが補給される前の現像剤、つまりトナーの帯電量が高い状態の現像剤に、弱・逆帯電トナーを戻すことができる。これにより、弱・逆帯電トナーの帯電量を効果的に正規帯電させることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の現像装置において、前記トナー戻し口から逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量を変更可能に構成したものである。
【0015】
トナー戻し口から逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量を変更可能にすることにより、再利用するトナー量の調整が可能となる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3に記載の現像装置において、二成分現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を備え、前記トナー濃度検知手段によって検知したトナー濃度に基づいて、前記トナー戻し口から逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量を変更可能に構成したものである。
【0017】
二成分現像剤を用いた現像装置においては、トナー濃度によってトナー1粒あたりの帯電量が異なる。そのため、トナー濃度に基づいてトナー戻し口から弱・逆帯電トナーを戻す量を変更することにより、現像剤中のトナーの帯電量に応じて、できるだけ多くの弱・逆帯電トナーを正規帯電させて再利用できると共に、正規帯電されないトナーが再利用されるのを防止して地汚れや画質の低下を高度に防止することができる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4に記載の現像装置において、前記トナー濃度検知手段を、前記現像剤搬送路に回収された二成分現像剤が前記トナー戻し口に搬送されるまでの経路に配設したものである。
【0019】
トナー濃度検知手段を、現像剤搬送路に回収された二成分現像剤がトナー戻し口に搬送されるまでの経路に配設することにより、弱・逆帯電トナーが戻される前の現像剤のトナー濃度を検知することができる。これにより、現像剤中のトナーの帯電量を適格に把握した上で、弱・逆帯電トナーを戻す量を調整することができ、弱・逆帯電トナーを確実に正規帯電させることとが可能となる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項3に記載の現像装置において、形成された画像の画像面積率に基づいて、前記トナー戻し口から逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量を変更可能に構成したものである。
【0021】
回収された現像剤中のトナーの帯電量は、画像面積率によって異なる。そのため、画像面積率に基づいてトナー戻し口から弱・逆帯電トナーを戻す量を変更することにより、現像剤中のトナーの帯電量に応じて、できるだけ多くの弱・逆帯電トナーを正規帯電させて再利用できると共に、正規帯電されないトナーが再利用されるのを防止して地汚れや画質の低下を高度に防止することができる。
【0022】
請求項7の発明は、請求項3から6のいずれか1項に記載の現像装置において、前記逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量に応じて、前記現像剤担持体に担持されたトナーを前記像担持体に供給するために現像剤担持体に印加する現像バイアスを変更可能に構成したものである。
【0023】
逆帯電及び弱帯電トナーを回収して正規帯電させたトナーは、新しいトナーに比べて、平均帯電量が低く、像担持体へのトナーの転移率が低下する一方、トナーの非静電的付着力は大きいためトナーがキャリアから離脱しにくくなる。よって、回収して正規帯電させたトナーは、同じ現像バイアスを印加しても、像担持体への付着量が少ない傾向にある。このため、現像バイアスを一定に設定していると、逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量によっては、画像濃度が低下する虞がある。そこで、逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量に応じて、現像バイアスを変更可能に構成することにより、像担持体へのトナーの付着量を向上させることができ、画像濃度の変動(低下)を抑制することができるようになる。
【0024】
請求項8の発明は、請求項7に記載の現像装置において、前記逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量が多いほど、前記現像バイアスと前記像担持体の画像部の電位との電位差を大きくするように構成したものである。
【0025】
逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量が多いほど、現像バイアスと像担持体の画像部の電位との電位差を大きくすることにより、トナーに作用するクーロン力を高めることができ、像担持体へのトナーの付着量を増加させることが可能である。これにより、逆帯電及び弱帯電トナーを戻すことによって生じる虞のある上記画像濃度の変動(低下)を抑制することが可能となる。
【0026】
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の現像装置において、前記除去手段は、前記現像剤担持体上のトナー消費前の二成分現像剤を担持する担持面に対向して配設された回収部材を有し、前記回収部材に所定のバイアスを印加することにより、二成分現像剤中の逆帯電トナーを前記現像剤担持体から離脱させて前記回収部材に吸着させるように構成したものである。
【0027】
このように構成することによって、現像剤担持体上の逆帯電トナーを回収部材に吸着させて除去することができる。
【0028】
請求項10の発明は、請求項9に記載の現像装置において、前記現像剤担持体上のトナー消費前の二成分現像剤を担持する担持面における、前記回収部材の配設位置よりも前記担持面の移動方向の下流側に対向した位置に、バイアス印加部材を配設し、前記バイアス印加部材に、前記担持面に形成された磁気ブラシに保持される正規帯電トナーを当該磁気ブラシの先端部側へ移動させる極性のバイアスを印加するように構成したものである。
【0029】
上記回収部材に所定のバイアスを印加することによって、現像剤担持体上の弱・逆帯電トナーは回収部材側へ移動するが、正規帯電トナーは回収部材と反発する方向の力を受ける。その結果、磁気ブラシの先端にある正規帯電トナーが磁気ブラシの根本の方へ移動する。そこで、バイアス印加部材に、正規帯電トナーを磁気ブラシの先端部側へ移動させる極性のバイアスを印加することによって、回収部材を通過した際に磁気ブラシの根本側に移動させられた正規帯電トナーを、磁気ブラシの先端側へ引き戻すことができる。これにより、現像能力の低下や現像スリーブ汚れを防止することが可能となる。
【0030】
請求項11の発明は、請求項10に記載の現像装置において、前記バイアス印加部材を回転可能なローラ部材で構成すると共に、前記ローラ部材の表面に当接してクリーニングするクリーニング部材を備えたものである。
【0031】
これにより、現像剤担持体上のトナーがバイアス印加部材に付着したとしても、そのトナーをクリーニング部材で除去することができ、バイアス印加部材にトナーが付着したままの状態となるのを確実に防止することができる。
【0032】
請求項12の発明は、請求項9から11のいずれか1項に記載の現像装置において、前記回収部材の電位の絶対値を|Vk|とし、前記像担持体の非画像部の電位の絶対値を|Vd|とすると、|Vk|<|Vd|となるように設定すると共に、前記回収部材を前記現像剤担持体の回転方向に対してカウンター方向に回転させるように構成したものである。
【0033】
回収部材の電位の絶対値|Vk|と、像担持体の非画像部の電位の絶対値|Vd|との関係を、|Vk|<|Vd|となるように設定することにより、回収部材と現像剤担持体との間の電位差を小さくすることができ、正規帯電トナーが磁気ブラシの根本側へ移動するのを抑制できる。一方、|Vk|<|Vd|となるように設定すると、弱・逆帯電トナーを回収部材に引きつけるクーロン力が低下するが、回収部材を現像剤担持体の回転方向に対してカウンター方向に回転させることにより、弱・逆帯電トナーの除去能力を向上させることが可能となる。
【0034】
請求項13の発明は、請求項9から12のいずれか1項に記載の現像装置において、前記現像剤担持体の回転線速をVrdとし、前記回収部材の回転線速をVrkとすると、Vrd/Vrk>1.5となるように設定したものである。
【0035】
このようにVrd/Vrkを設定することによって、弱・逆帯電トナーをより確実に除去することができるようになる。
【0036】
請求項14の発明は、像担持体と、請求項1から13のいずれか1項に記載の現像装置とを少なくとも一体的に有するプロセスユニットである。
【0037】
プロセスユニットが、請求項1から13のいずれか1項に記載の現像装置を有しているので、これらの現像装置による上記効果が得られる。
【0038】
請求項15の発明は、請求項1から13のいずれか1項に記載の現像装置、又は請求項14に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置である。
【0039】
画像形成装置が、請求項1から13のいずれか1項に記載の現像装置、又は請求項14に記載のプロセスユニットを備えているので、これらの現像装置又はプロセスユニットによる上記効果が得られる。
【0040】
請求項16の発明は、請求項3から8のいずれか1項に記載の現像装置を備えた画像形成装置であって、前記像担持体上に担持されたトナー画像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写手段を備え、トナー画像を転写するために前記転写手段に印加する転写バイアスを、前記逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量に応じて変更可能に構成した画像形成装置である。
【0041】
逆帯電及び弱帯電トナーを回収して正規帯電させたトナーと、新しいトナーとでは、平均帯電量が異なるため、トナーの転写率が最も高くなる転写バイアスの最適値も異なる。このため、新しいトナーの平均帯電量を基準として転写バイアスを設定すると、回収して正規帯電させたトナーの平均帯電量では転写率が低下し、画像濃度が低下する虞がある。そこで、転写バイアスを、逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量に応じて変更可能に構成することにより、回収して正規帯電させたトナーの量によらず転写バイアスを最適化することができ、高い転写率を安定して維持することが可能となるので、画像濃度の変動(低下)を抑制できるようになる。また、転写率が向上することにより、転写されずに残るトナーが減少する分、余分なトナー消費を低減することができる。
【0042】
請求項17の発明は、請求項16に記載の画像形成装置において、前記逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量が多いほど、前記転写バイアスを小さくするように構成したものである。
【0043】
逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量が多いほど、転写バイアスを小さくすることにより、回収して正規帯電させたトナーの量によらず転写バイアスを最適化することができ、高い転写率を安定して維持することが可能となる。これにより、画像濃度の変動(低下)を抑制できる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、除去した弱・逆帯電トナーをトナー消費後の現像剤中に戻すだけの簡単な構成によって、弱・逆帯電トナーの帯電量を正規極性に帯電させることができる。これにより、現像装置の大型化を防止しコンパクト化を図ることが可能となる。また、本発明によれば、従来のトナーの再利用方法に比べて、正規帯電されるトナー量が多くなるので、再利用できるトナー量が増え、コスト低減効果の向上を実現できる。また、本発明では、二成分現像剤を用いた現像方式を採用しているため、一成分現像剤を用いる場合に比べて、長寿命化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る現像装置の概略断面図である。
【図3】本発明における現像剤中のトナーの帯電量分布を示すグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態の構成を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態の構成を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態の構成を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態の構成を示す図である。
【図9】本発明の第5実施形態の構成を示す図である。
【図10】回収された弱・逆帯電トナーと、補給された新しいトナーとの、感光体ドラムに対するトナー付着量を示すグラフである。
【図11】回収された弱・逆帯電トナーと、補給された新しいトナーとの、転写率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0047】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。図1に示す画像形成装置100は、カラー画像形成可能なカラーレーザプリンタであるが、他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【0048】
図1に示すように、画像形成装置100の中央部には、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkが配設されている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム2と、感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体ドラム2上に担持された静電潜像を現像化する現像手段としての現像装置4と、感光体ドラム2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニング装置5等を一体的に有する。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、画像形成装置本体99に対して一体的に着脱可能に構成されている。
【0049】
また、画像形成装置100は、シート給送装置6と、4つのトナーボトル7と、露光装置8と、転写装置9と、定着装置10とを備える。
【0050】
シート給送装置6は、画像形成装置本体99の下部に配設されている。また、シート給送装置6は、シート状の記録媒体Sを収容した給送トレイ11や、給送トレイ11から記録媒体Sを送り出す給送ローラ12等を有する。ここで、上記シート状の記録媒体Sには、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等が含まれる。
【0051】
各トナーボトル7は、画像形成装置本体99の上部に設けられており、それぞれ異なる色のトナーが充填されている。トナーボトル7内のトナーは、図示しないトナー移送管を介して対応する現像装置4へ移送されるようになっている。
【0052】
露光装置8は、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkとシート給送装置6との間に配設されている。また、露光装置8からは、各感光体ドラム2へレーザ光が照射されるようになっている。
【0053】
転写装置9は、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkとトナーボトル7との間に配設されている。転写装置9は、中間転写体としての中間転写ベルト13と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ14と、二次転写手段としての二次転写ローラ15と、中間転写ベルト13の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置16等を有している。
【0054】
中間転写ベルト13は、無端状のベルト部材によって構成されている。中間転写ベルト13に用いられるベルト部材は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を108〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を109〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じ中間転写ベルト13の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、 PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
【0055】
また、中間転写ベルト13は、駆動ローラ17と、クリーニング対向ローラ18と、転写入口ローラ19とによって張架されている。クリーニング対向ローラ18と転写入口ローラ19は、駆動ローラ17によって図の矢印の方向に回転する中間転写ベルト13に連れ回りするようになっている。クリーニング対向ローラ18は、付勢手段としてのバネ20によって中間転写ベルト13を内側から押圧しており、中間転写ベルト13に所定の張力を付与している。また、中間転写ベルト13の両縁部には、それぞれ、中間転写ベルト13がその幅方向に移動するのを防止する寄り止め部材としての図示しない寄り止めガイドが設けてある。本実施形態では、寄り止めガイドは、ウレタンゴムで構成しているが、それ以外に、シリコンゴム等の各種ゴム材料によっても構成することが可能である。
【0056】
4つの一次転写ローラ14は、それぞれ、中間転写ベルト13を介して4つの感光体ドラム2に当接している。各一次転写ローラ14と各感光体ドラム2とによって中間転写ベルト13を挟み込んだ箇所には、一次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ15は、中間転写ベルト13を介して駆動ローラ17に当接している。この二次転写ローラ15と駆動ローラ17とによって中間転写ベルト13を挟み込んだ箇所には、二次転写ニップが形成されている。また、この二次転写ニップと上記給送ローラ12との間には、記録媒体Sの搬送タイミングを計るための一対のレジストローラ21が配設されている。
【0057】
ベルトクリーニング装置16は、中間転写ベルト13に当接するクリーニングブレード等を有する。このクリーニングブレードによって除去された中間転写ベルト13上のトナーや異物等は、図示しない廃トナー経路を経て廃トナータンク26に収容されるように成っている。
【0058】
上記定着装置10は、内部に熱源を有する定着ローラ22と、定着ローラ22を加圧する加圧ローラ23等を有している。定着ローラ22と加圧ローラ23とが圧接する箇所には定着ニップが形成されている。定着装置10の上方には、記録媒体Sを機外に排出するための一対の排出ローラ24が配設されている。また、排出ローラ24によって排出された記録媒体Sをストックするための排出トレイ25が、画像形成装置本体99の上部に形成されている。
【0059】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体ドラム2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体ドラム2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体ドラム2の表面には、露光装置8からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体ドラム2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として現像化(可視画像化)される。
【0060】
中間転写ベルト13を張架する駆動ローラ17が回転駆動することにより、中間転写ベルト13が図の矢印で示す方向に回転する。また、各一次転写ローラ14に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ14と各感光体ドラム2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体ドラム2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト13上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト13はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、上記トナー画像の一次転写を終えた後、各感光体ドラム2の表面はクリーニング装置5によってクリーニングされ、感光体ドラム2の表面に残留するトナー等が除去される。
【0061】
また、作像動作が開始されると、給送ローラ12の回転を開始し、給送トレイ11に収容された記録媒体Sが送り出される。送り出された記録媒体Sは、レジストローラ21によって一旦停止される。その後、レジストローラ21の駆動を再開し、記録媒体Sを、上記中間転写ベルト13上のトナー画像とタイミングを合わせて、二次転写ローラ15と中間転写ベルト13との間の二次転写ニップに送る。このとき二次転写ローラ15には、中間転写ベルト13上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、記録媒体Sと中間転写ベルト13上のトナー画像とが二次転写ニップに到達した際、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト13上のトナー画像が記録媒体S上に一括して転写される。また、転写後の中間転写ベルト13上に残留するトナー等は、ベルトクリーニング装置16によって除去され、廃トナータンク26に収容される。その後、トナー画像が転写された記録媒体Sは定着装置10へと搬送される。記録媒体Sは定着ローラ22と加圧ローラ23によって加熱及び加圧され、トナー画像が記録媒体S上に定着される。そして、記録媒体Sは排出ローラ24によって排出トレイ25へと排出されストックされる。
【0062】
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0063】
図2は、本発明に係る上記現像装置4の概略断面図である。
図2に示すように、現像装置4は、現像剤を収容する現像ケース40と、現像剤担持体としての現像ローラ41と、現像ローラ41上の現像剤量を規制する規制部材としての規制ブレード42と、現像ケース40内で現像剤を搬送する搬送手段としての2つの現像剤搬送スクリュー43と、現像剤から逆帯電及び弱帯電トナーを除去する除去手段としての回収ローラ44及び回収ブレード45と、除去された逆帯電及び弱帯電トナーを搬送する搬送手段としてのトナー搬送スクリュー46とを備えている。
【0064】
現像ケース40は、感光体ドラム2に対向する位置で開口部を有し、その開口部からは現像ローラ41の一部が露出している。また、現像ケース40内には、現像剤搬送スクリュー43によって現像剤を循環搬送するための現像剤搬送路40aと、トナー搬送スクリュー46によって逆帯電及び弱帯電トナーを搬送するための回収トナー搬送路40bが形成されている。本発明では、現像剤搬送路40a内に収容される現像剤として、トナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤を用いている。また、本実施形態では、5.2μmの重合トナーと、35μmの磁性キャリアを用いているが、他のトナーとキャリアの組み合わせの現像剤であってもよい。
【0065】
現像ローラ41は、アルミニウム、ステンレス等の金属で形成された円筒状の回転スリーブと、その回転スリーブ内に固定された磁石ローラとによって構成されている。磁石ローラの磁力によって現像剤が引きつけられ、回転スリーブの表面に現像剤が担持されるようになっている。詳しくは、現像剤搬送スクリュー43が現像剤を攪拌しながら搬送することによって、現像剤は摩擦帯電する。本実施形態では、トナーが負、キャリアが正に帯電し、トナーの帯電量は約−35μC/gとなる。そして、現像剤が現像ローラ41の位置まで搬送されると、磁石ローラから発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤中のキャリアが回転スリーブ上にチェーン状に穂立ちして磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシに帯電したトナーが付着されることによって、現像ローラ41上にトナーが担持される。
【0066】
規制ブレード42は、現像ローラ41の外周面に対して微小なギャップを介して配設されており、現像ローラ41(回転スリーブ)に担持された現像剤が規制ブレード42を通過することによって現像剤量が規制される。また、現像ローラ41には、感光体ドラム2の非画像部の電位と露光後の画像部の電位とのほぼ中間の現像バイアス(電圧)が印加されるようになっている。本実施形態では、感光体ドラム2の画像部の電位を−100V、非画像部の電位を−690Vとし、現像バイアスを印加した現像ローラ41の電位は−550Vとなるように設定されている。これにより、現像ローラ41上の負極性に帯電したトナーが、現像ローラ41と感光体ドラム2とが対向する現像領域に到達すると、感光体ドラム2の画像部に選択的に引き寄せられて付着して、静電潜像がトナー画像として可視化される。
【0067】
ところで、トナーとキャリアを摩擦帯電させる際、トナーの中には、正規の帯電極性(本実施形態では負極性を正規帯電とする)に帯電されるものの他、正規帯電極性と逆極性(本実施形態では正極)に帯電されるものや、帯電量が少ない弱帯電となるものが、少量ではあるが発生する。このような逆帯電及び弱帯電トナーは、感光体ドラム2の画像部(静電潜像形成部)には付着し難いが、非画像部(地肌部)には付着しやすい傾向にあり、地汚れ等の原因となる。
【0068】
そこで、本実施形態では、上記規制ブレード42によって現像剤量を規制した後、現像剤が現像領域に供給される前に、回収ローラ44によって現像ローラ41上の現像剤中から逆帯電及び弱帯電トナーを除去するようにしている。詳しくは、図2の矢印の方向に回転する回収ローラ44に、図示しない電源によって逆帯電トナーを吸着する極性(本実施形態では負極性)のバイアスを印加して、現像ローラ41から逆帯電トナーを離脱させて回収ローラ44の表面に吸着する。具体的には、本実施形態では、上記現像バイアスを印加して−550Vに帯電させた現像ローラ41に対して、回収ローラ44を感光体ドラム2の非画像部の電位と同じ−690Vに帯電させる。そして、この回収ローラ44と現像ローラ41との電位差によるクーロン力によって、現像ローラ41上の逆帯電及び弱帯電トナーのうち、逆帯電トナーを回収ローラ44に吸着させる。一方、現像ローラ41上の弱帯電トナーは、回収ローラ44の非静電的付着力によって回収ローラ44の表面に付着する。ここでは、前記非静電的付着力はファンデルワールス力(分子間力)である。なお、回収ローラ44の材質としては、トナーに対して感光体ドラム2と同程度以上の非静電的付着力が作用するものを適用することが望ましい。また、回収ローラ44を、ローラ状の部材以外の部材で構成することも可能である。
【0069】
そして、回収ローラ44によって現像ローラ41上から弱・逆帯電トナーが除去された後、現像ローラ41上の現像剤は、現像ローラ41と感光体ドラム2とが対向する現像領域に到達し、その現像領域において現像ローラ41上の正規帯電したトナーが感光体ドラム2の画像部(静電潜像形成部)に付着して、静電潜像がトナー画像として可視化される。このように、現像ローラ41に担持された現像剤が現像領域に到達する前に、回収ローラ44によって逆帯電及び弱帯電トナーが回収されるため、弱・逆帯電トナーが感光体ドラム2の非画像部に付着する地汚れの発生を防止できる。
【0070】
図3は、本実施形態における現像剤中のトナーの帯電量分布を示すグラフであり、縦軸にトナーのカウント数を表示し、横軸にトナーの帯電量を表示している。また、図3において、実線Aは、現像ローラ41に担持される前の現像剤中のトナー帯電量分布、点線Bは、回収ローラ44を通過後の現像ローラ41上のトナー帯電量分布、一点鎖線Cは、回収ローラ44上のトナー帯電量分布を示す。また、同図に示す縦方向の二点鎖線Wよりも右側の範囲は、逆帯電又は弱帯電と判断されるトナーの帯電領域を示している。
【0071】
図3に示す実線Aと点線Bを比較すると、回収ローラ44を通過後のトナー帯電量分布(点線B)では、現像ローラ41に担持される前のトナー帯電量分布(実線A)に比べて、逆帯電及び弱帯電トナーが減少している。一方、回収ローラ44上のトナーの帯電量分布(一点鎖線C)を見ると、その大部分が逆帯電及び弱帯電トナーとなっている。このことから、現像ローラ41上の現像剤が回収ローラ44の位置を通過した後では、回収ローラ44によって現像ローラ41上から弱・逆帯電トナーが除去され、現像剤中の正規帯電トナーの割合が増加しているのが分かる。
【0072】
また、図2において、現像ローラ41と感光体ドラム2とが対向する現像領域に運ばれてトナーが消費された現像剤は、現像領域を通過後、現像剤搬送路40aへと戻される。そして、図示しないトナー補給手段によって上記トナーボトル7から現像剤にトナーが補給され、所定のトナー濃度に調整される。なお、本実施形態におけるトナー濃度は7wt%としている。その後、現像剤は再び摩擦帯電されて現像ローラ41に供給され、上記現像工程が繰り返し行われる。
【0073】
一方、回収ローラ44によって回収された弱・逆帯電トナーは、回収ローラ44の表面に当接する回収ブレード45によって掻き落とされ、回収トナー搬送路40b内に収容される。そして、回収トナー搬送路40b内の弱・逆帯電トナーは、トナー搬送スクリュー46によって搬送され、現像剤搬送路40aへと戻され再利用されるようになっている。
【0074】
以下、本発明の特徴部分である、弱・逆帯電トナーを再利用するための構成及びその方法について説明する。
【0075】
図4及び図5は、本発明の特徴部分の第1実施形態の構成を示す図である。詳しくは、図4は、現像剤搬送路40aと回収トナー搬送路40bとを、搬送スクリュー43の軸方向と直交する方向に切断した概略断面図であり、図5は、図4を搬送スクリュー43の軸方向と平行に切断した概略断面図である。
【0076】
図4又は図5に示すように、現像剤搬送路40aと回収トナー搬送路40bは、回収トナー戻し通路40cを介して連通している。また、回収トナー戻し通路40c内には、トナー搬送スクリュー46が配設されており、回収された弱・逆帯電トナーは、トナー搬送スクリュー46によって図5の矢印Yの方向に搬送されるようになっている。
【0077】
図5に示すように、現像剤搬送路40a内では、現像剤は矢印Xの方向に循環搬送されるようになっている。この現像剤搬送路40aにおいて、図の上側に配設された現像剤搬送スクリュー43は上記現像ローラ41と対向しており、その現像剤搬送スクリュー43によって現像剤が矢印Xの方向に搬送される過程で、現像剤の現像ローラ41への供給と現像ローラ41からの回収とが繰り返し行われる。すなわち、本実施形態では、搬送経路40aにおいて図の上側の部分が、現像ローラ41に現像剤を供給する現像剤供給部40eと、現像領域においてトナーが消費された現像剤を回収する現像剤回収部40dとを兼ねている。また、現像剤搬送路40aの図の下側の部分には、上記トナーボトル7からトナーを補給するためのトナー補給口40fが設けてある。
【0078】
また、図5に示すように、現像剤搬送路40aには、上記回収トナー戻し通路40cから弱・逆帯電トナーを戻すためのトナー戻し口40gが設けられている。本実施形態では、トナー戻し口40gは、図の上側に配設された現像剤搬送スクリュー43の搬送方向の下流端側に配設されている。ただし、トナー戻し口40gの配設位置は、現像剤回収部40dに回収された現像剤がトナー補給口40fに搬送されるまでの経路上であれば、適宜変更することが可能である。
【0079】
本実施形態のような乾式二成分現像方式の現像装置においては、トナーとキャリアを摩擦帯電させた際、キャリアの帯電量がその周囲のトナーに分配されることによりトナーが帯電する。このため、現像領域においてトナーが消費された現像剤は、トナー量(トナー濃度)が低下しているので、トナー1粒あたりの帯電量は高くなる傾向にある。一方、上記回収ローラ44によって回収された弱・逆帯電トナーを再利用するためには、それらの帯電量分布が現像剤中のそれと同等になるように正規の帯電量を高くしなければならない。そこで、上記のように、現像剤搬送路40aにトナー戻し口40gを設けることにより、回収された弱・逆帯電トナーを、帯電量の高いトナーを含む現像剤に戻すことができる。また、本実施形態では、トナー戻し口40gを、現像剤回収部40dに回収された現像剤がトナー補給口40fに搬送されるまでの経路に配設しているので、トナーが補給される前の現像剤、つまりトナーの帯電量が高い状態の現像剤に、弱・逆帯電トナーを確実に戻すことができる。そして、現像剤に弱・逆帯電トナーが戻された後、現像剤搬送スクリュー43によって現像剤を攪拌しつつ搬送することにより、弱・逆帯電トナーの帯電量を正規極性に帯電させることができる。なお、トナー戻し口40gからトナー補給口40fまでの現像剤の搬送距離は、弱・逆帯電トナーを正規帯電させることができる程度に十分に確保することが望ましい。
【0080】
また、現像剤に弱・逆帯電トナーが戻された後、トナー補給口40fからトナーが補給されてトナー濃度が所定の濃度(本実施形態では7wt%)となるように調整される。このときのトナー補給量は、弱・逆帯電トナーが戻された分だけ通常の補給量よりも少なくすることができるので、コスト低減を図れる。
【0081】
図6は、本発明の特徴部分の第2実施形態に係る構成を示す図である。
図6は、図5と同様に、現像剤搬送路40aと回収トナー搬送路40bとを、搬送スクリュー43の軸方向と平行に切断した概略断面図である。
【0082】
図6に示す第2実施形態では、現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段としてのトナー濃度センサ60を設けている。本実施形態では、トナー濃度センサ60を、現像剤回収部40dに回収された現像剤がトナー戻し口40gに搬送されるまでの経路に配設している。このため、弱・逆帯電トナーが戻される前の状態で、回収された現像剤のトナー濃度を検知することができるようになっている。
【0083】
また、第2実施形態では、上記トナー濃度センサ60によって検知したトナー濃度に基づいて、トナー搬送スクリュー46を回転させる時間を変更可能に構成している。すなわち、この実施形態では、回収後の現像剤に含まれるトナーの濃度に基づいて、トナー戻し口40gから弱・逆帯電トナーを戻す量を変更可能に構成している。
【0084】
具体的には、トナー濃度センサ60で検知したトナー濃度が低いほど、トナー搬送スクリュー46の回転時間を長くし、弱・逆帯電トナーを戻す量を多くする。回収後の現像剤中のトナー濃度が低いほどトナー1粒あたりの帯電量は高い。そのようなトナーの帯電量が高い状態をねらって、弱・逆帯電トナーを多く戻すことで、これらを確実に正規帯電させ、多くの弱・逆帯電トナーを再利用することが可能となる。しかも、本実施形態では、弱・逆帯電トナーが戻される前の現像剤のトナー濃度を検知することができるので、現像剤中のトナーの帯電量を適格に把握した上で、弱・逆帯電トナーを戻す量を調整することができ、弱・逆帯電トナーを確実に正規帯電させることとが可能となる。一方、検知したトナー濃度が高い場合は、トナー1粒あたりの帯電量は低くなる。この場合は、トナー搬送スクリュー46の回転時間を短くする、あるいは回転させないことにより、弱・逆帯電トナーの戻す量を制限し、正規帯電されないトナーが再利用されるのを防止する。これにより、正規帯電されないトナーが再利用されることによる地汚れや画質の低下を防止することができるため、信頼性が向上する。以上、本発明の第2実施形態について説明したが、上記説明した構成以外は、上記本発明の第1実施形態と同様に構成されているので説明を省略する。
【0085】
また、弱・逆帯電トナーの戻し量の制御に用いる入力パラメータとして、直前に形成された画像の画像面積率を用いることも可能である。本実施形態の画像形成装置において、感光体ドラム2にレーザ光で画像(静電潜像)を書き込む際、その画像面積率を計算している。ここで、「画像面積率」とは、感光体ドラム上で画像形成可能な領域の全画素における、トナーを付着させるトナー付着画素の割合のことである。そして、計算された画像面積率の情報を読み出し、その画像面積率が高いほど、トナー搬送スクリュー46の回転時間を長くし、弱・逆帯電トナーを戻す量を多くする。画像面積率が高いほど、トナーの消費量は多くなるため、回収された現像剤中のトナー1粒あたりの帯電量は高くなる。そのタイミングをねらって弱・逆帯電トナーの戻し量を多くすることで、これらを確実に正規帯電させ、多くの弱・逆帯電トナーを再利用することができる。一方、画像面積率が低い場合は、反対にトナー搬送スクリュー46の回転時間を短くする、あるいは回転させないことにより、弱・逆帯電トナーの戻す量を制限し、正規帯電されないトナーが再利用されるのを防止することができる。
【0086】
また、図10は、回収された弱・逆帯電トナーと、補給された新しいトナーとの、感光体ドラムに対するトナー付着量を示すグラフである。
図10において、縦軸は感光体ドラム上のトナー付着量(M/A)、横軸は現像バイアス(Vb)を示す。また、同図において、実線で示すグラフは、補給されたトナー(以下、補給トナーという)の付着量、破線で示すグラフは、弱・逆帯電トナーを回収して正規帯電させた場合のトナー(以下、回収トナーという)の付着量を示している。
【0087】
図10に示すように、回収トナーは、補給トナーに比べて、同じ現像バイアス(Vb)を印加しても、感光体ドラムへの付着量(M/A)が少ない傾向にある。これは、上記のように回収トナーを正規帯電させても、回収トナーは補給トナーと比べて平均帯電量が低く、現像ローラから感光体ドラムへのトナーの転移率が低下する一方、トナーの非静電的付着力は大きいためトナーがキャリアから離脱しにくくなるからである。このように、付着量の少ない回収トナーが含まれていると、画像濃度が低下するという副作用が生じる。
【0088】
しかし、図10を見て分かるように、現像バイアス(Vb)の値を同図の右方向へ変化させると、回収トナーの付着量は増加する。本実施形態では、感光体ドラムの画像部の電位は−100V、現像バイアスは通常−550Vに設定されているので、現像バイアスの値をマイナス方向へ大きくすることによって、感光体ドラムと現像ローラとの電位差を大きくして、トナーに作用するクーロン力を高めることで、感光体ドラムへのトナーの付着量を増加させることが可能である。
【0089】
そこで、回収した弱・逆帯電トナーを現像剤搬送路内に戻す量に応じて、現像バイアスの値を変更することが好ましい。具体的には、弱・逆帯電トナーを現像剤搬送路内に戻す量が多いほど、現像バイアス(Vb)と感光体ドラムの画像部の電位(Vl)との電位差(|Vl−Vb|)を大きくするように制御する。これにより、弱・逆帯電トナーを再利用した場合に、平均帯電量の低下による転移率の低下や、非静電的付着力の増加に伴うトナー付着量の減少を相殺することができ、画像濃度の変動を抑制することが可能となる。
【0090】
また、図11は、回収された弱・逆帯電トナーと、補給された新しいトナーとの、転写率を示すグラフである。
図11において、縦軸は一次転写時及び二次転写時におけるトナーの転写率、横軸は各転写時に転写手段(一次転写ローラ、二次転写ローラ)に印加する転写バイアス(Vt)を示す。また、同図において、実線で示すグラフは、補給されたトナー(以下、補給トナーという)の転写率、破線で示すグラフは、弱・逆帯電トナーを回収して正規帯電させた場合のトナー(以下、回収トナーという)の転写率を示している。
【0091】
転写率が最も高くなる転写バイアス(Vt)の最適値はトナーの平均帯電量によって変わるため、図11に示すように、補給トナーよりも平均帯電量が低い回収トナーにおける転写バイアス(Vt)の最適値D1は、補給トナーにおける転写バイアス(Vt)の最適値D2よりも小さくなる。このため、補給トナーの平均帯電量を基準として転写バイアス(Vt)を設定すると、回収トナーの平均帯電量では転写率が低下し、画像濃度が低下してしまう。
【0092】
そこで、回収した弱・逆帯電トナーを現像剤搬送路内に戻す量に応じて、転写バイアスの値を変更することが好ましい。具体的には、弱・逆帯電トナーを現像剤搬送路内に戻す量が多いほど、転写バイアスを小さくするように制御する。すなわち、弱・逆帯電トナーを戻す量が多いほど、転写バイアスの値を補給トナーにおける最適値D2から回収トナーにおける最適値D1へ近づけるようにする。反対に、弱・逆帯電トナーを戻す量が少ないほど、転写バイアスの値を補給トナーにおける最適値D2へ近づけるようにする。これにより、弱・逆帯電トナーを再利用した場合に、再利用するトナー量によらず転写バイアスを最適化することができ、高い転写率を安定して維持することが可能となるので、画像濃度の変動を抑制できるようになる。また、転写率が向上することにより、転写されずに残るトナーが減少する分、余分なトナー消費を低減することができる。
【0093】
上記本発明の各実施形態では、回収ローラ44に所定のバイアスを印加することによって、現像ローラ41上の弱・逆帯電トナーに対し回収ローラ44へ移動させるクーロン力を作用させる電界が形成される。しかし、現像ローラ41上の正規帯電トナーに対しては、上記電界によって回収ローラ44と反発する方向の力が作用するため、磁気ブラシの先端にある正規帯電トナーが磁気ブラシの根本の方へ移動する。そのため、回収ローラ44を通過後の現像ローラ41上では、磁気ブラシの先端に正規帯電トナーが少ない状態になる。この状態で、磁気ブラシが現像領域に供給されると、現像の応答性が低くなり、現像能力が低下する可能性がある。また、正規帯電トナーが磁気ブラシの根本側に寄ると、現像ローラ41の表面がトナーで汚れる、いわゆる現像スリーブ汚れが発生する可能性もある。そこで、上記現像能力の低下や現像スリーブ汚れを防止するために、現像装置にさらに以下の構成を付加することが好ましい。
【0094】
図7は、本発明の第3実施形態に係る構成を示す図である。
図7に示す現像装置4は、回収ローラ44の近くに所定のバイアスが印加されるバイアス印加部材50を備える。それ以外の構成は、上記本発明の実施形態と同様である。詳しくは、バイアス印加部材50は、現像ローラ41上のトナー消費前(現像領域に供給される前)の現像剤を担持する担持面に対し、回収ローラ44の配設位置よりも前記担持面の移動方向下流側に対向して配設されている。このバイアス印加部材50には、図示しない電源部から、正規帯電トナーを磁気ブラシの先端部側へ移動させる極性のバイアスが印加されるようになっている。この実施形態では、電位が−550Vに設定されている現像ローラ41に対して、バイアス印加部材50の電位を−450Vに設定している。
【0095】
これにより、回収ローラ44を通過した際に磁気ブラシの根本側に移動させられた正規帯電トナーを、バイアス印加部材50と現像ローラ41との間で形成される電界によって、磁気ブラシの先端側へ引き戻すことができるので、現像能力の低下や現像スリーブ汚れを防止することが可能となる。
【0096】
なお、バイアス印加部材50は、現像ローラ41上に形成される磁気ブラシとは接触しない位置に配設されている。バイアス印加部材50が磁気ブラシと接触する位置にあると、バイアス印加部材50にトナーが付着して汚れる虞があるからである。また、バイアス印加部材50と現像ローラ41との電差が大きすぎる場合も、バイアス印加部材50にトナーが付着する可能性があるため、トナーが付着しない程度にバイアス印加部材50の印加電圧を適切に調整する必要がある。
【0097】
図8は、本発明の第4実施形態に係る構成を示す図である。
図8に示すように、第4実施形態に係る現像装置4も、正規帯電トナーを磁気ブラシの先端側へ引き戻すためのバイアス印加部材50を備えているが、図8に示すバイアス印加部材50は、回転可能なローラ部材で構成されている。バイアス印加部材50(バイアス印加ローラ)は、例えば、アルミニウム製の円筒ローラで構成することが可能である。また、第4実施形態では、バイアス印加部材50の表面に当接するクリーニング部材としてのクリーニングブレード51を設けている。クリーニングブレード51は、板状のウレタンゴムで構成されている。また、クリーニングブレード51以外に、ブラシローラやその他のクリーニング部材を適用することも可能である。また、第4実施形態において、上記説明した構成以外は、図7に示す第3実施形態と同様の構成となっている。
【0098】
上述のように、バイアス印加部材50の印加電圧や、バイアス印加部材50と現像ローラ41との間隔を調整することによって、バイアス印加部材50にトナーが付着するのを防止可能であるが、現像剤の劣化などにより、バイアス印加部材50にトナーが付着する可能性もある。そこで、図8に示すように、バイアス印加部材50を回転させ、その表面をクリーニングブレード51でクリーニングすることにより、バイアス印加部材50にトナーが付着したとしても、それを除去することができる。これにより、バイアス印加部材50にトナーが付着したままの状態となるのを確実に防止することができる。また、クリーニングブレード51によって除去されたトナーは、回収トナー搬送路40bに回収され、弱・逆帯電トナーと同じ経路を通って再利用される。
【0099】
図9は、本発明の第5実施形態に係る構成を示す図である。
図9に示す第5実施形態では、回収ローラ44の電位の絶対値を|Vk|とし、感光体ドラム2の非画像部の電位の絶対値を|Vd|とすると、|Vk|<|Vd|となるように設定している。さらに、第5実施形態では、回収ローラ44を現像ローラ41回転方向に対してカウンター方向(現像ローラ41の表面の移動方向と逆方向移動させる方向)に回転させるようにしている。
【0100】
上記回収ローラ44と現像ローラ41との間に形成される電界によって正規帯電トナーが磁気ブラシの根本側へ移動するのを抑制するには、回収ローラ44と現像ローラ41との間の電位差を小さくして、回収ローラ44との正規帯電トナーの反発力を弱めることが望ましい。そのため、上記のように、回収ローラ44の電位の絶対値|Vk|と、感光体ドラム2の非画像部の電位の絶対値|Vd|との関係を、|Vk|<|Vd|となるように設定することにより、上記各実施形態に比べて、回収ローラ44と現像ローラ41との間の電位差を小さくすることができ、正規帯電トナーが磁気ブラシの根本側へ移動するのを抑制できる。
【0101】
しかし、上記のように|Vk|と|Vd|を設定すると、弱・逆帯電トナーを回収ローラ44に引きつけるクーロン力も弱まるため、弱・逆帯電トナーを十分に除去できない可能性がある。そこで、第5実施形態では、|Vk|<|Vd|となるように設定しても、弱・逆帯電トナーを十分に除去できるようにするために、回収ローラ44を現像ローラ41の回転方向に対してカウンター方向に回転させている。かかる構成では、回収ローラ44を現像ローラ41の回転方向に対してトレーリング方向(現像ローラ41の表面の移動方向と同方向に移動させる方向)に回転させる構成に比べて、弱・逆帯電トナーの除去能力を向上させることができ、弱・逆帯電トナーを十分に除去することができる。
【0102】
さらに好ましくは、現像ローラ41の回転線速をVrdとし、回収ローラ44の回転線速をVrkとすると、回転線速比をVrd/Vrk>1.5となるように設定するのがよい。このように回転線速比(Vrd/Vrk)を設定することによって、弱・逆帯電トナーをより確実に除去することができるようになる。
【0103】
以上説明したように、本発明の第1〜第5実施形態によれば、除去した弱・逆帯電トナーをトナー消費後の現像剤中に戻すだけの簡単な構成によって、弱・逆帯電トナーの帯電量を正規極性に帯電させることができる。これにより、現像装置の大型化を防止しコンパクト化を図ることが可能となる。また、本発明の各実施形態によれば、従来のトナーの再利用方法に比べて、正規帯電されるトナー量が多くなるので、再利用できるトナー量が増え、コスト低減効果の向上を実現できる。また、本発明に係る現像装置は、二成分現像剤を用いた現像方式を採用しているため、一成分現像剤を用いる場合に比べて、長寿命化を図れる。
【0104】
また、本発明の第2実施形態に係る構成によれば、現像剤中のトナーの帯電量に応じて、弱・逆帯電トナーを戻す量を変更することにより、できるだけ多くの弱・逆帯電トナーを正規帯電させて再利用できると共に、正規帯電されないトナーが再利用されるのを防止して地汚れや画質の低下を高度に防止することができる。さらに、回収した弱・逆帯電トナーを現像剤搬送路内に戻す量に応じて、現像バイアスの値や転写バイアスの値を変更することにより、弱・逆帯電トナーを再利用することによる画像濃度の変動を抑制することができ、画質の低下をより確実に防止することが可能となる。
【0105】
また、本発明の第3、第4、第5実施形態によれば、回収ローラ44を通過した際に磁気ブラシの根本側に移動させられた正規帯電トナーを、バイアス印加部材50と現像ローラ41との間で形成される電界によって、磁気ブラシの先端側へ引き戻すことができるので、現像能力の低下や現像スリーブ汚れを防止することが可能となる。さらに、第4実施形態では、バイアス印加部材50にトナーが付着したとしても、それをクリーニングブレード51で除去することができるので、バイアス印加部材50にトナーが付着したままの状態となるのを確実に防止することが可能である。また、本発明の第5実施形態によれば、弱・逆帯電トナーの除去能力を十分に維持しつつ、正規帯電トナーが回収ローラ44を通過した際に磁気ブラシの根本側に移動されるのを抑制することが可能である。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0107】
1Y,1C,1M,1Bk プロセスユニット
2 感光体ドラム(像担持体)
4 現像装置
40a 現像剤搬送路
40b 回収トナー搬送路
40c 回収トナー戻し通路
40d 現像剤回収部
40e 現像剤供給部
40f トナー補給口
40g トナー戻し口
41 現像ローラ(現像剤担持体)
44 回収ローラ(回収部材)
50 バイアス印加部材
51 クリーニングブレード(クリーニング部材)
60 トナー濃度センサ(トナー濃度検知手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2001−125381号公報
【特許文献2】特開平11−24928号公報
【特許文献3】特開2008−139782号公報
【特許文献4】特開2003−316148号公報
【特許文献5】特開2008−17600号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向して配設されると共にトナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤を担持可能な現像剤担持体と、
二成分現像剤を循環搬送すると共に、前記現像剤担持体に二成分現像剤を供給する現像剤供給部、及び前記像担持体と前記現像剤担持体との間の現像領域でトナーが消費された二成分現像剤を回収する現像剤回収部を有する現像剤搬送路と、
二成分現像剤から逆帯電及び弱帯電トナーを除去する除去手段を備えた現像装置において、
前記現像剤搬送路に、前記現像剤担持体から回収された二成分現像剤に前記除去手段によって除去された逆帯電及び弱帯電トナーを戻すためのトナー戻し口を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤搬送路にトナーを補給するためのトナー補給口を設けた現像装置であって、前記トナー戻し口を、前記現像剤搬送路に回収された二成分現像剤が前記トナー補給口に搬送されるまでの経路に配設した請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記トナー戻し口から逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量を変更可能に構成した請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
二成分現像剤中のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を備え、
前記トナー濃度検知手段によって検知したトナー濃度に基づいて、前記トナー戻し口から逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量を変更可能に構成した請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記トナー濃度検知手段を、前記現像剤搬送路に回収された二成分現像剤が前記トナー戻し口に搬送されるまでの経路に配設した請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
形成された画像の画像面積率に基づいて、前記トナー戻し口から逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量を変更可能に構成した請求項3に記載の現像装置。
【請求項7】
前記逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量に応じて、前記現像剤担持体に担持されたトナーを前記像担持体に供給するために現像剤担持体に印加する現像バイアスを変更可能に構成した請求項3から6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量が多いほど、前記現像バイアスと前記像担持体の画像部の電位との電位差を大きくするように構成した請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記除去手段は、前記現像剤担持体上のトナー消費前の二成分現像剤を担持する担持面に対向して配設された回収部材を有し、
前記回収部材に所定のバイアスを印加することにより、二成分現像剤中の逆帯電トナーを前記現像剤担持体から離脱させて前記回収部材に吸着させるように構成した請求項1から8のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像剤担持体上のトナー消費前の二成分現像剤を担持する担持面における、前記回収部材の配設位置よりも前記担持面の移動方向の下流側に対向した位置に、バイアス印加部材を配設し、
前記バイアス印加部材に、前記担持面に形成された磁気ブラシに保持される正規帯電トナーを当該磁気ブラシの先端部側へ移動させる極性のバイアスを印加するように構成した請求項9に記載の現像装置。
【請求項11】
前記バイアス印加部材を回転可能なローラ部材で構成すると共に、前記ローラ部材の表面に当接してクリーニングするクリーニング部材を備えた請求項10に記載の現像装置。
【請求項12】
前記回収部材の電位の絶対値を|Vk|とし、前記像担持体の非画像部の電位の絶対値を|Vd|とすると、|Vk|<|Vd|となるように設定すると共に、前記回収部材を前記現像剤担持体の回転方向に対してカウンター方向に回転させるように構成した請求項9から11のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項13】
前記現像剤担持体の回転線速をVrdとし、前記回収部材の回転線速をVrkとすると、Vrd/Vrk>1.5となるように設定した請求項9から12のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項14】
像担持体と、請求項1から13のいずれか1項に記載の現像装置とを少なくとも一体的に有することを特徴とするプロセスユニット。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載の現像装置、又は請求項14に記載のプロセスユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項3から8のいずれか1項に記載の現像装置を備えた画像形成装置であって、前記像担持体上に担持されたトナー画像を記録媒体又は中間転写体に転写する転写手段を備え、トナー画像を転写するために前記転写手段に印加する転写バイアスを、前記逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量に応じて変更可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
前記逆帯電及び弱帯電トナーを戻す量が多いほど、前記転写バイアスを小さくするように構成した請求項16に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−145640(P2011−145640A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73000(P2010−73000)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】