説明

現像装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】形成される画像の画素毎の濃度に応じた値の誤差に起因する画質の劣化を抑制することができる現像装置、画像形成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】画素数計数部180により、階調補正処理及びスクリーン処理が行われた画像情報に係る画素毎の濃度に応じた値を計数し、メインコントローラ162により、当該計数値を、階調補正処理前の画像情報に係る画素毎の濃度に相当するように変換した計数値に基づいて、画像形成制御部168に現像処理に関する処理を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、画像形成装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1ページ印刷する度に測定したトナーの使用量から時間当たりのトナー使用量を計算し、トナーがなくなる日時やトナーがなくなるまでの時間、トナーがなくなるまでの印刷可能枚数を予測する技術が開示されている。この技術では、ビットマップ画像のドット数をカウントし、周りのドットとの関係からカウント補正したドット数よりトナー消費量を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−11472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、形成される画像の画素毎の濃度に応じた値の誤差に起因する画質の劣化を抑制することができる現像装置、画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の現像装置は、現像処理の対象とする画像を示す画像情報に対して階調補正処理を行う階調補正処理手段と、前記階調補正処理が行われた前記画像情報に対してスクリーン処理を行うスクリーン処理手段と、前記スクリーン処理が行われた前記画像情報に基づいて現像剤が用いられて形成される画像の画素毎の濃度に応じた値を計数する計数手段と、前記計数手段による計数値を、前記階調補正処理が行われる前の前記画像情報により形成される画像の画素毎の濃度に相当する計数値に変換する変換手段と、前記変換手段によって変換された計数値に基づいて、現像処理に関する予め定められた処理を実行する実行手段と、を備えている。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換手段が、前記変換を、前記画像を複数の領域に区分した各領域毎に行うものである。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記予め定められた処理が、前記現像剤がトナーおよびキャリアからなる2成分現像剤である場合の当該2成分現像剤におけるトナーの含有率を予め定められた範囲内で維持する処理、前記現像剤が用いられて形成される画像の濃度を調整する処理、および前記現像剤の残量を検出する処理の少なくとも1つとされたものである。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の発明において、前記階調補正処理手段は、入力値と出力値とが予め定められた変換情報を用いて前記画像情報に対して前記階調補正処理を行い、前記変換手段は、前記変換情報の入力値と出力値とを逆転させた第2の変換情報を用いて前記変換を行うものである。
【0009】
一方、上記目的を達成するために、請求項5に記載の画像形成装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の現像装置と、前記現像装置により現像された現像像に基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えている。
【0010】
さらに、上記目的を達成するために、請求項6に記載のプログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の現像装置を構成する各手段として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項5及び請求項6記載の発明によれば、本発明を適用しない場合に比較して、形成される画像の画素毎の濃度に応じた値の誤差に起因する画質の劣化を抑制することができる、という効果が得られる。
【0012】
また、請求項2記載の発明によれば、本発明を適用しない場合に比較して、領域毎に画素毎の濃度に応じた値の誤差を抑制する結果、画質の劣化を抑制することができる、という効果が得られる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明によれば、トナー含有率維持処理、画像濃度調整処理、又は現像剤の残量検出処理のいずれか1つに基づく画質の劣化を抑制することができる、という効果が得られる
さらに、請求項4に記載の発明によれば、簡易に画素の計数値の誤差を抑制することができる結果、簡易に画質の劣化を抑制することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成装置の現像部の構成を示す拡大図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成装置のエンジン部における画像形成のための制御系の構成を示す制御ブロック図である。
【図4】実施の形態に係る画像形成装置における画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る階調補正部において適用されているルック・アップ・テーブルの模式図である。
【図6】実施の形態に係る画素数計数部によるピクセル・カウント方法の説明に供する模式図である。
【図7】(A)は実施の形態に係る印刷データにより示される画像の一例を示す模式図であり、(B)は当該印刷データにより示される画像を細分化した状態の一例を示す模式図である。
【図8】実施の形態に係る現像剤濃度調整処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10の概要が示されている。同図に示されるように、この画像形成装置10には、エンジン部12が備えられており、エンジン部12の下部には、給紙ユニット14が設けられている。
【0017】
この給紙ユニット14は、用紙が積載される用紙トレイ22と、この用紙トレイ22から用紙を送り出す給紙ロール24と、を含んで構成されており、給紙ロール24により送り出された用紙は、搬送ロール26、28を経て給紙路30を通過し、後述する転写ロール74へ搬送される。
【0018】
この転写ロール74によってトナー像が用紙に転写され、定着部32の定着ロール32Aで定着された後、切替爪34の位置選択によって、排出ロール36又は排出ロール38により、エンジン部12の上部に設けられた第1の排出トレイ16又は第2の排出トレイ18へ排出される。
【0019】
ここで、両面印刷の場合、上記のような順序で表面の印刷が終わった後、第1の排出トレイ16へ用紙が完全に排出される前に、排出ロール36が逆転し、該用紙が反転路40へ供給される。そして、搬送ロール42、44、46、48を経て再び給紙路30に戻され、用紙の裏面側が印刷される。また、手差し印刷の場合、手差しトレイ20へ用紙を載置することで、用紙は手差しロール49から搬送ロール48を経て給紙路30へ搬送され、印刷される。
【0020】
ところで、画像形成装置10の図1右側には、各色の現像剤(トナーと磁性キャリアからなる)が充填された4個の現像剤カートリッジ64が配設されている。この現像剤カートリッジ64は、それぞれ現像剤供給路65によって、図1の上から順に配列された後述する現像器60Y、60M、60K、60Cと接続されており、現像剤カートリッジ64中の現像剤が現像器60Y、60M、60K、60Cへ供給される。
【0021】
ここで、各現像剤供給路65には、対応する現像剤カートリッジ64から供給された現像剤を攪拌し、対応する現像器へ搬送するスパイラルオーガ(図示省略)が回転自在に設置されると共に、当該スパイラルオーガの軸に回転軸が機械的に接続されたモータ152が各々設けられている。従って、モータ152の回転軸を回転させることにより、現像剤カートリッジ64から対応する現像器に現像剤を供給することができる。
【0022】
現像剤カートリッジ64の図1左側には、露光ユニット62が配置されており、露光ユニット62からは、画像信号に応じた4本のレーザ光L(Y)、L(M)、L(K)、L(C)が、露光ユニット62の図1左側に配置された感光体ユニット50を構成する感光体52へ向けて発せられ、感光体52に潜像を形成するようになっている。
【0023】
感光体ユニット50は、縦方向に並べられた4つの感光体52(52Y、52M、52K、52C)を備えており、上部から例えばイエロー(52Y)、マゼンタ(52M)、ブラック(52K)、シアン(52C)用となっている。
【0024】
露光ユニット62は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)各色のレーザ光L(Y)、L(M)、L(K)、L(C)(以下、総称する場合は「レーザ光L」という)を出力する光源部と、レーザ光Lに対して変調及び走査を行う変調処理部と、露光面上の走査速度を補正するfθレンズや走査方向にレンズパワーを持つ面倒れ補正用のシリンドリカルレンズ等により構成された光学系と、を含んで構成されている。
【0025】
露光ユニット62では、光源部から射出された各色のレーザ光Lが変調処理部に入射され、各色毎の画像情報に応じてそれぞれ変調されて、ポリゴンモータ63により回転しているポリゴンミラー67により走査(主走査)される。ポリゴンミラー67により走査された各色のレーザ光Lは、ミラー群69により各色に対応する感光体52の配設方向に反射されて各感光体52上に結像される。
【0026】
感光体ユニット50には、各感光体52に対応して、帯電ロール56及びリフレッシュロール54が備えられており、それぞれ感光体52に接触回転するように設けられている。帯電ロール56では、感光体52を一様に帯電させ、後述する現像器ユニット58に備えられたマグネットロール80から飛翔するトナーを感光体52の表面に付着させる。一方、リフレッシュロール54では感光体52を放電させ、感光体52の表面に付着した残留トナーを取り除き、感光体52の表面にトナーが残留することで生じるゴースト等を防止する。
【0027】
ここで、現像器ユニット58は、それぞれの感光体ユニット50の図1右下側に配置されており、各感光体52(52Y、52M、52K、52C)に対応して4つの現像器60(60Y、60M、60K、60C)が縦方向に並べられている。
【0028】
この現像器60は、トリクル現像方式(現像剤の帯電性能の低下を防止して現像剤交換のインターバルを延ばすために、現像器内に現像剤を徐々に補給する一方で、過剰になった(劣化したキャリアを多く含む)劣化現像剤を排出しながら現像を行う現像方式。)を採用しており、劣化現像剤は図示しない回収容器に回収されるようになっている。
【0029】
一方、各感光体ユニット50の図1左側には、中間転写ユニット66が配置されており、3つのドラム状の中間転写体68、70、72が備えられている。2つの第1中間転写体68、70は、縦方向に上下に並べられており、上部の第1中間転写体68が、感光体52のうち上部に配置された2つの感光体52Y、52Mに接触回転し、下部の第1中間転写体70が、下部に配置された2つの感光体52K、52Cに接触回転するようになっている。また、第2中間転写体72は、第1中間転写体68、70の双方に接触回転するようになっており、この第2中間転写体72に、前述した転写ロール74が接触回転する。
【0030】
したがって、感光体52Y、52Mから各トナー像が第1中間転写体68に転写され、感光体52K、52Cから各トナー像が第1中間転写体70にそれぞれ転写される。この第1中間転写体68、70に転写された各2色のトナー像が、第2中間転写体72に転写されて4色となり、この4色のトナー像が転写ロール74により用紙に転写されることになる。
【0031】
これらの中間転写体68、70、72の近傍には、それぞれクリーニングロール76及びクリーニングブラシ78が配置されており、中間転写体68、70、72の表面の残留トナーが掻き落とされる。
【0032】
図2に示すように、現像器ユニット58は4つの現像器60で構成されており、各現像器60は箱状のハウジング110及びハウジング110を閉塞する蓋体120を備えており、ハウジング110には、感光体52へトナーを供給するマグネットロール80と、現像器60内の現像剤を攪拌しマグネットロール80へ現像剤を供給するスパイラルオーガ112、114、が回転自在に設置されている。なお、各現像器60の蓋体120の略中央部には、現像器60の内部に現像剤を供給するための開口が設けられており、対応する現像剤カートリッジ64から現像剤供給路65及び当該開口を介して現像剤が供給(補給)される構成となっている。
【0033】
ここで、各現像器60は、マグネットロール80が感光体52に当接する位置と、感光体52から退避した位置とに移動可能となっており、画像形成時には、マグネットロール80が感光体52に当接するようになっている。これにより、感光体52に形成された潜像に対応してトナーが感光体52に付着するようにしているが、画像形成が行われない場合には、現像器ユニット58は感光体52から退避するようになっている。
【0034】
マグネットロール80には、交流成分に直流成分を重畳した現像バイアス電圧が印加されており、これにより感光体52の静電潜像(画像部)のみにトナーを静電的に付着させてトナー像の形成が行われる。
【0035】
図3は、エンジン部12における画像形成のための制御系のブロック図である。
【0036】
メイン電源管理部160には、図示しない商用電源が接続されており、低電圧電力及び高電圧電力を生成し、電源供給ラインを介して各部へ駆動用の電力を供給する。例えば、メイン電源管理部160は、マグネットロール80へバイアス電圧を印加する。
【0037】
メインコントローラ162には、ユーザ・インタフェース部164が接続され、ユーザの操作によって画像形成等に関する指示がなされると共に、画像形成時等の情報をユーザへ報知するようになっている。
【0038】
また、このメインコントローラ162には、図示しない外部ホストコンピュータとのネットワークラインが接続されており、画像データが入力されるようになっている。
【0039】
画像データが入力されると、メインコントローラ162では、画像処理部166に後述の画像処理を実行させ、エンジン部12に適合する形式(例えば、ビットマップデータ)に変換して、画像形成制御部168へ画像データを送出する。
【0040】
画像形成制御部168には、光走査系コントロール部、駆動系コントロール部、帯電器コントロール部、現像器コントロール部、定着器コントロール部が備えられており、画像形成制御部168では、入力されたイメージデータに基づいて、上記各コントロール部のそれぞれを同期制御し画像形成を実行する。
【0041】
また、画像形成制御部168にはモータ152を駆動するモータ駆動部が備えられており、画像形成制御部168は、メインコントローラ162からの出力に応じて、モータ152を回転駆動させ、現像剤カートリッジ64から対応する現像器60へ現像剤が供給される。
【0042】
図4に、画像処理部166の機能的な構成を示す機能ブロック図を示す。なお、画像処理部166の各構成要素による処理は、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現することができる。但し、ソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現することもできることは言うまでもない。
【0043】
画像処理部166は、PDL(Page Description Language:ページ記述言語)解釈部170、描画部172、色変換部174、階調補正部176、スクリーン処理部178及び画素数計数部180を備えている。また、当該各部はメインコントローラ162とそれぞれ接続しており、メインコントローラ162は各部が動くように駆動用電源を制御する。
【0044】
PDL解釈部170には、例えば、ネットワークラインを介して外部のホストコンピュータから印刷データが入力される。この印刷データは、例えば、PS(Post Script)などの各種のページ記述言語で記述された画像情報が含まれている。PDL解釈部170は当該画像情報のページ記述言語を解読し、描画部172へ出力する。
【0045】
描画部172は、入力された画像情報から当該画像情報により示される画像を画素毎の値として示した描画用の画像データ(ラスタデータ)を生成し、色変換部174へ出力する。色変換部174は、入力された画像データに対してRGB表色系からYMCK表色系に変換する色変換処理を行い、変換後の画像データを階調補正部176へ出力する。
【0046】
階調補正部176は、メインコントローラ162のメモリ162Aに記憶されているLUT(ルック・アップ・テーブル)に基づいて、色変換部174から入力された画像データの階調特性(色再現性)を画像形成装置10の現像剤の特性等に応じて補正する、TRC(トーン・リプロダクション)処理等を実行する。
【0047】
ここで、図5には、メインコントローラ162のメモリ162Aに記憶されているLUTが示されている。同図に示す例では、1画素を8ビットにより表現できる0〜255の256階調の場合が例示されている。階調補正部176は、例えば、色変換部174からの入力値「85」(in)を、階調値「100」(out)と補正をする。これにより、画像形成時に、階調値「85」に応じた濃度が出力される。
【0048】
スクリーン生成部178は、階調補正部176からの出力に基づき、Y,M,C,K各色の画像情報に対して各々多値データを二値データに変換するスクリーン処理を行う。これにより、Y,M,C,K各色のハーフトーン画像情報を生成し、当該画像情報を画像形成制御部168へ出力する。
【0049】
画像形成制御部168は、スクリーン生成部176からの二値データに基づいて、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)処理を行う。
【0050】
スクリーン生成部178は、画素数計数部180と接続されている。画素数計数部180は、1画素について予め定められた階調数による濃度に応じたパルス数を計数する。例えば、1画素256階調のとき、図6に示されるように、階調値が「1」の場合1カウント、階調値が「5」の場合5カウント、階調値が「256」の場合256カウントとなる。画素数計数部180によって計数された値を、以下では、「ピクセル・カウント値」という。さらに、画素数計数部180は、計数したピクセル・カウント値を1ページ毎に累積する。
【0051】
画素数計数部180は、実際に画像が形成される画素がハーフトーン画像情報によって決定されるため、スクリーン生成部178の後段に設けられている。
【0052】
しかしながら、スクリーン生成部178は、結果的に得られる画像の濃度が良好となるようにハーフトーン画像情報を生成するものである。このため、ピクセル・カウント値は実際に消費されるトナーの量を正確に表すものとはなっていない。従って、実際に消費されたトナー量は、上記画素数計数部180で計数されたピクセル・カウント値から正確に求められない。
【0053】
これに対して、階調補正部176による階調補正処理前の画像データは、現像剤等に依存する値ではない。このため、トナー消費量は、階調補正処理前の画像データを用いることで正確に求められる。
【0054】
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10は、例えば、図7(A)に示される画像に係る印刷データが入力された場合、画素数計数部180で計数されたピクセル・カウント値から階調値を逆算して、実際に消費されたトナー量を求めている。
【0055】
次に、図8を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
【0056】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、予め定められたタイミング(ここでは、印刷データが入力されたタイミング)で取得したピクセル・カウント値に基づいて、実際に消費したトナー量に相当する補正ピクセル・カウント値を算出し、当該補正ピクセル・カウント値から現像剤補給処理を実行する。なお、図8は、この際に画像形成装置10のメインコントローラ162によって実行されるプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。当該プログラムはメインコントローラ162のメモリ162Aの所定領域に予め記憶されている。
【0057】
同図のステップ300では、メインコントローラ162は、画像処理部166への電力供給を開始することにより、画像処理部166を駆動させる。これにより、上記PDL解釈部170、描画部172、色変換部174、階調補正部176、スクリーン生成部178、及び画素数計数部180がそれぞれの処理を実行する。
【0058】
次のステップ302にて、所定タイミング、例えば、画像形成制御部166から1ページ分の画像データが出力されるタイミングまで待機する。画像形成制御部166から画像データが出力されると、次のステップ304へ移行する。
【0059】
ステップ304では、メインコントローラ162は、ピクセル・カウント値と印刷ドット数を取得する。具体的には、メインコントローラ162は、画素数計数部180がカウントしたピクセル・カウント値を取得する。また、メインコントローラ162は、スクリーン生成部178によるスクリーン処理後のデータを取得し、当該データに基づき印刷ドット数をカウントする。
【0060】
ここで、印刷ドット数は、1ページにおいてトナーが用いられる画素数、すなわち、1ページにおける階調値が「0」ではない画素の総数をいう。例えば、図7(A)に示す画像に係る印刷データの場合、同図のa〜fに係る画素の総数を取得する。また、ピクセル・カウント値は、印刷ドットの濃度に応じた値(階調値)となるため、上記印刷ドット数よりも多くなる。
【0061】
次のステップ306では、メインコントローラ162は、以下の(1)式を用いて1ページにおける平均階調値を算出する。すなわち、ピクセル・カウント値を、1ページにおける色つき部分(印刷ドット数)に1画素の最大階調値(本実施の形態では「255」)をかけたもので除算することで、平均階調値が算出される。
【0062】
【数1】

【0063】
次のステップ308では、メインコントローラ162は、上記ステップ306で算出した平均階調値を逆変換する。すなわち、前記階調補正部176において補正された階調特性を元の値へ戻す。ここで、メモリ162Aは、図5に示すLUTの入力値(in)及び出力値(out)が入れ替わった逆変換LUTを所定領域に記憶している。例えば、前記平均階調値が「100」であった場合、逆変換LUTにより変換値は「85」となる。
【0064】
次のステップ310では、メインコントローラ162は、以下の(2)式を用いて補正ピクセル・カウント値を算出する。すなわち、ピクセル・カウント値に、前記変換値を前記平均階調値で割ったものを乗算することで、補正ピクセル・カウント値が算出される。
【0065】
【数2】

【0066】
次のステップ312では、所定の現像剤補給制御処理が実行される。ここで、上記補正ピクセル・カウント値によって、消費されたトナー量を求めることができる。このため、例えば、所定のタイミングでモータ152を駆動させて、対応する現像器60へ消費されたトナー量相当分の現像剤を補給するように画像形成制御部168を制御する。併せて、画像形成制御部168は、現像剤におけるトナーの含有率(トナー濃度)が予め定められた範囲内で維持するよう制御する。
【0067】
なお、所定のタイミングとは、1ジョブ終了や電源オフのタイミング、所定枚数(例えば1000枚)印刷のタイミング等がある。また、上記消費トナー量が所定量になったタイミングで現像剤を補給するようにしてもよい。
【0068】
このとき、トナーカートリッジ64の交換時以降のトナー消費量から、当該トナーカートリッジ64内の現像剤残量を検出し、ユーザ・インタフェース部164を用いて、残量表示や予測されるトナーカートリッジ64交換時期を表示するようにしてもよい。
【0069】
次のステップ314では、全データについて上記処理が終了したか否かを判定する。否定判定するとステップ302へ戻る一方、肯定判定すると本ルーチンは終了する。
【0070】
なお、本実施の形態では、補正ピクセル・カウント値を用いて現像剤補給制御を実行するようにしたが、これに限らず、画像濃度制御をするようにしてもよい。このとき、例えば、画像濃度が下がった場合には、図3のメイン電源管理部160で検出された値に応じて感光体52に印加するバイアス電圧を上げればよい。
【0071】
また、本実施の形態では、1ページ毎に補正ピクセル・カウント値を算出するようにしたが、これに限らず、図7(B)に示すように、1ページを複数領域に細分化し、領域毎に補正ピクセル・カウント値を算出し、当該領域毎のトナー消費量を求めるようにしてもよい。
【0072】
また、本実施の形態では、トナーとキャリアからなる現像剤を補給するようにしたが、これに限らず、トナーとキャリアとを独立して補給する構成として、トナー消費量に応じてトナーを補給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 画像形成装置
152 モータ(実行手段)
162 メインコントローラ(変換手段)
176 階調補正部(階調補正処理手段)
178 スクリーン生成部(スクリーン処理手段)
180 画素数計数部(計数手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像処理の対象とする画像を示す画像情報に対して階調補正処理を行う階調補正処理手段と、
前記階調補正処理が行われた前記画像情報に対してスクリーン処理を行うスクリーン処理手段と、
前記スクリーン処理が行われた前記画像情報に基づいて現像剤が用いられて形成される画像の画素毎の濃度に応じた値を計数する計数手段と、
前記計数手段による計数値を、前記階調補正処理が行われる前の前記画像情報により形成される画像の画素毎の濃度に相当する計数値に変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換された計数値に基づいて、現像処理に関する予め定められた処理を実行する実行手段と、
を備えた現像装置。
【請求項2】
前記変換手段は、前記変換を、前記画像を複数の領域に区分した各領域毎に行う請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記予め定められた処理は、前記現像剤がトナーおよびキャリアからなる2成分現像剤である場合の当該2成分現像剤におけるトナーの含有率を予め定められた範囲内で維持する処理、前記現像剤が用いられて形成される画像の濃度を調整する処理、および前記現像剤の残量を検出する処理の少なくとも1つである請求項1又は請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記階調補正処理手段は、入力値と出力値とが予め定められた変換情報を用いて前記画像情報に対して前記階調補正処理を行い、
前記変換手段は、前記変換情報の入力値と出力値とを逆転させた第2の変換情報を用いて前記変換を行う請求項1〜請求項3の何れか1項記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項記載の現像装置と、
前記現像装置により現像された現像像に基づいて、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の現像装置を構成する各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−160389(P2010−160389A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3270(P2009−3270)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】