説明

現像装置および画像形成装置

【課題】トナー担持体表面に担持させるトナーを貯留する貯留部に外部からトナーを補給する現像装置および画像形成装置において、補給時カブリの発生を効果的に抑制する。
【解決手段】現像ユニット50Yの内部を、帯電の良好なトナーを貯留する貯留室SCと、帯電の不十分なトナーの帯電量を増加させる帯電室CCとに二分する。供給ローラ502の回転によって生じるトナーの流れに分離部材510を設置し負電位を与える。十分な負の帯電量を有する高帯電トナーは供給ローラ502表面に沿って流動し現像ローラ501に供給される。帯電の不十分な低帯電トナーおよび外部からの補給トナーは帯電室CCに送り込まれ、予備帯電ローラ503により帯電されてから貯留室SCに送られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナー担持体表面に担持させるトナーを貯留する貯留部に、外部からトナーを補給する現像装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナー担持体表面に担持させるトナーを貯留する貯留部に外部からトナーを補給可能に構成された現像装置あるいは画像形成装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。この装置においては、現像ローラを有するプロセスユニット(現像装置)の外部にトナータンクを設け、プロセスユニット内のトナーがエンプティ状態になるとトナータンクからトナーが補給される。補給されたトナーは、プロセスユニット内に設けられた循環スクリューによってプロセスユニット内で循環される。
【0003】
【特許文献1】特開2006−011226号公報(段落0018、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貯留部にトナーを補給しながら使用する現像装置および画像形成装置においては、トナー補給の直後に一時的ながら画像へのカブリ量が大幅に増大するという現象が知られている。これは、画像形成に使用されてその特性が初期状態よりも劣化したトナー(以下、「耐久トナー」という)と新たに補給されたトナー(以下、「補給トナー」という)との間で帯電特性に差異が生じ、結果的に帯電が不十分であったり本来の帯電極性とは反対極性に帯電するトナーが多くなるためと考えられている。
【0005】
上記した従来技術においては、このような問題が考慮されずに補給トナーがプロセスユニットに直接補給されており、トナー補給後に該補給に起因するカブリの増大現象(以下、この現象を「補給時カブリ」という)を生じるおそれがあった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、トナー担持体表面に担持させるトナーを貯留する貯留部に外部からトナーを補給する現像装置および画像形成装置において、補給時カブリの発生を効果的に抑制することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる現像装置は、上記目的を達成するため、トナーを貯留する貯留部と、前記貯留部内にその表面の一部が露出しており、帯電トナーを表面に担持するトナー担持体と、前記貯留部内に設けられて、前記貯留部内のトナーを所定方向に流動させることによりトナーを前記トナー担持体表面に向けて供給するトナー供給部材と、前記トナー供給部材によるトナー流動方向において前記トナー担持体よりも上流側かつ前記トナー供給部材の近傍位置に設けられ、流動トナーの流れをトナーの帯電量に応じて前記流動トナーを高帯電トナー流と低帯電トナー流との二手に分離させる分離部材と、前記分離部材により分離された流動トナーのうち前記低帯電トナー流を受け入れ、該トナーを摩擦帯電させて前記貯留部に送り込む帯電部と、外部からの補給トナーを受け付けて前記帯電部に送り込む補給トナー受付部とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するため、静電潜像を担持する潜像担持体と、トナーを貯留する貯留部と、前記貯留部内にその表面の一部が露出しており、帯電トナーを表面に担持して前記潜像担持体との対向位置に搬送するトナー担持体と、前記貯留部内に設けられて、前記貯留部内のトナーを所定方向に流動させることによりトナーを前記トナー担持体表面に向けて供給するトナー供給部材と、前記トナー供給部材によるトナー流動方向において前記トナー担持体よりも上流側かつ前記トナー供給部材の近傍位置に設けられ、流動トナーの流れをトナーの帯電量に応じて前記流動トナーを高帯電トナー流と低帯電トナー流との二手に分離させる分離部材と、前記分離部材により分離された流動トナーのうち前記低帯電トナー流を受け入れ、該トナーを摩擦帯電させて前記貯留部に送り込む帯電部と、補給トナーを前記帯電部に送り込むトナー補給部とを備えることを特徴としている。
【0009】
貯留部内で流動するトナーの中には、高い帯電量を持つ高帯電トナーと、帯電量の低い低帯電トナーとが混在している。特に、長く使用された装置においては、劣化により帯電量の不足するトナーの比率が増加するが、このような低帯電トナーは、十分な帯電量を得るに必要な特性を完全に失っているというわけでは必ずしもなく、周囲に存在する、より帯電しやすいトナーとの帯電特性の差異によって相対的に帯電量が低くなってしまっている場合が多い。なお、ここでいう低帯電トナーの概念には、帯電量が少ないトナーのほか、本来の帯電極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーも包含される。
【0010】
そこで、これらの発明では、貯留部内で流動するトナーを高帯電トナー流と低帯電トナー流とに分離し、このうち低帯電トナー流については帯電部に取り出し、その帯電量を増加させてから貯留部に戻すようにしている。このため、貯留部内で流動するトナーは帯電量の比較的高いものが多くなる。また、より帯電しやすく高い帯電量が得られやすいトナーの中にあっては十分な帯電量が得られない低帯電トナーであっても、このようなトナーは帯電部に送られて帯電量が増加された状態で貯留部に戻されることになるため、トナーの帯電不足に起因する画像濃度の低下やカブリの増加が抑えられる。さらに、外部から補給される補給トナーは未帯電であることから、上記のように高帯電トナーの比率を高めた貯留部に直接投入すると補給時カブリを生じてしまう。本発明では、補給トナーをまず帯電部に送り込み、予めその帯電量を増加させた状態で貯留部に送り込むため、補給時カブリの発生を効果的に抑制することができる。
【0011】
より具体的には、例えば、前記分離部材を導電性材料により形成し、前記トナーの帯電極性と同極性の電位を与えるようにしてもよい。このようにすれば、高帯電トナーには分離部材から斥ける静電気力が強く作用する一方、低帯電トナーに対してはこの力が弱く、特に逆帯電トナーにおいては分離部材に引き寄せる方向の力が作用する。このように、分離部材にトナーの帯電極性と同極性の電位を与えることにより、静電気力の差を利用して高帯電トナーと低帯電トナーとを分離することができる。
【0012】
また、例えば、前記分離部材を、帯電系列において前記トナーよりも前記トナーの帯電極性側に位置する材料により形成するようにしてもよい。こうすれば、特に分離部材に電位を与えなくても、トナーとの接触により次第に分離部材がトナーの帯電極性と同極性に帯電し、電位を与えた場合と同様にトナーを分離する効果を奏する。
【0013】
また、例えば、前記トナー供給部材は、所定の回転軸中心に回転する略円筒形状のトナー供給ローラであり、該トナー供給ローラ周りにその回転方向に沿ったトナーの流れを形成し、前記分離部材は、前記トナー供給ローラ周りのトナーの流れを前記トナー供給ローラ表面に近い流れとこれより遠い流れとに分離し、前記トナー供給ローラ表面から遠い方の流れを前記低帯電トナー流として前記帯電部に案内するようにしてもよい。
【0014】
装置の使用につれて低帯電トナーが増加する主な理由の一つとして、トナー母粒子に添加された外添剤の摩擦等による脱落が挙げられる。外添剤の脱落したトナーは帯電特性が低下すると同時に、その流動性が低下している。つまり、トナーの流動性と帯電特性との間には相関があり、トナーの流動性の高低によって概ね高帯電トナーと低帯電トナーとを分離することが可能である。
【0015】
トナー供給ローラの回転により貯留部内にトナーの流れを形成する場合、流動性の高いトナーはトナー供給ローラ表面近くでその回転に乗って流動するが、流動性の低いトナーはより遠くを流れることとなる。したがって、トナー供給ローラ表面から遠くを流れるトナーを低帯電トナーとして扱うことができる。
【0016】
これらの構成において、前記貯留部は、トナーを貯留する貯留室を形成する貯留室形成部材を備え、該貯留室の内壁面の一部と前記分離部材とに囲まれた空間が、前記低帯電トナーを前記帯電部へ案内するためのトナー流路を構成するようにしてもよい。このようにすれば、簡単な構成で低帯電トナーを帯電部に送り込むことができる。
【0017】
また、前記帯電部は、トナーを攪拌する攪拌部材を備えるようにしてもよい。帯電部に送り込まれた低帯電トナーを攪拌することにより、トナー同士、あるいはトナーと攪拌部材との摩擦によってトナーの帯電量を増加させることができる。
【0018】
この場合において、前記帯電部は、トナーを一時的に貯留する帯電室を有するとともに、前記攪拌部材は該帯電室内に設けられており、しかも、前記攪拌部材の表面および前記帯電室の内壁面の少なくとも一方が、帯電系列において前記トナーよりも前記トナーの帯電極性と反対側に位置する材料により形成されてもよい。このようにすれば、攪拌部材表面または帯電室の内壁面によりトナーが摺擦されることでトナーの帯電量を効率的に増加させることができる。
【0019】
さらに、この発明は、前記トナーが非磁性一成分トナーである場合に特に顕著な効果を奏する。トナーとキャリアとの役割が分離されている二成分型のトナーを用いる装置では、トナーとキャリアとを貯留部内において攪拌することによりトナーを帯電させるため、特性の低下したトナーであっても十分な帯電量を得ることができる。また、十分な帯電量を得たトナーを選択的にトナー担持体に担持させることができる。一方、非磁性一成分トナーではこのような効果を期待できないため、このようなトナーを使用する装置に本発明を適用すれば、トナー劣化に起因する画像品質の低下を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1はこの発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。この実施形態の画像形成装置は図1に示すプリンタ10である。このプリンタ10はいわゆるレーザビームプリンタであり、プロセスユニット15Y、15M、15C、15K、中間転写ベルト70、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60K、二次転写ユニット80、定着ユニット90およびこれらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット100を有している。
【0021】
まず、プロセスユニット15Y、15M、15C、15Kの構成について説明する。プロセスユニット15Y、15M、15C、15Kは、感光体20Y、20M、20C、20K上に潜像を形成した後に、トナーにて該潜像をトナー像として可視化する機能を有している。これらプロセスユニット15Y、15M、15C、15Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応して設けられている。また、プロセスユニット15Y、15M、15C、15Kは、図1に示すように、水平方向に列状に配置されている。
【0022】
4つのプロセスユニットの構成は同様であるので、ここでは代表的にプロセスユニット15Yの構成について説明する。プロセスユニット15Yは、感光体20Y上に潜像を形成した後に、イエロートナーにて該潜像をイエロートナー像として可視化するためのものである。このプロセスユニット15Yは、感光体20Y、帯電ユニット30Y、露光ユニット40Y、現像ユニット50Y、トナーカートリッジ52Y、感光体クリーニングユニット55Yを有している。ここで、感光体20Y、帯電ユニット30Y、現像ユニット50Yおよび感光体クリーニングユニット55Yが1つのカートリッジを構成する。以下においてはこのカートリッジを「プロセスカートリッジ」と呼び符号16Yを付す。
【0023】
感光体20Yは感光層を有し、該感光層の表面に潜像を担持する。この感光体20Yは、プリンタ本体10aに回転可能に支持されており、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。帯電ユニット30Yは、感光体20Yを帯電する。露光ユニット40Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体20Y上に潜像を形成する。現像ユニット50Yは、イエロー(Y)トナーを収容しており、感光体20Y上に形成された潜像を該トナーにてイエロートナー像として可視化(現像)する。また、感光体クリーニングユニット55Yは、中間転写ベルト70上に転写されずに感光体20Yに残存するトナーを回収することにより、該感光体20Yをクリーニングする。
【0024】
トナーカートリッジ52Yは、現像ユニット50Yに補給するイエロートナーを収容し、また、感光体クリーニングユニット55Yによって回収された廃トナーを収容する。このトナーカートリッジ52Yは、プリンタ本体10a、より具体的にはプロセスカートリッジ16Yに対して着脱可能である。
【0025】
他のプロセスユニット15M、15C、15Kも同様の構成を有している。すなわち、マゼンタ色に対応するプロセスユニット15Mは、感光体20M、帯電ユニット30M、露光ユニット40M、現像ユニット50M、トナーカートリッジ52M、感光体クリーニングユニット55Mを有している。また、シアン色に対応するプロセスユニット15Cは、感光体20C、帯電ユニット30C、露光ユニット40C、現像ユニット50C、トナーカートリッジ52C、感光体クリーニングユニット55Cを有している。さらに、ブラック色に対応するプロセスユニット15Kは、感光体20K、帯電ユニット30K、露光ユニット40K、現像ユニット50K、トナーカートリッジ52K、感光体クリーニングユニット55Kを有している。
【0026】
次に、プロセスユニット15Y、15M、15C、15K以外のユニットの構成について説明する。中間転写ベルト70は、4つの感光体20Y、20M、20C、20Kに担持された各色のトナー像を紙などの記録材に転写する際の中間媒体であり、トナー像を担持した状態で回転して該トナー像を移動させる。一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kは、感光体20Y、20M、20C、20Kに形成された各色のトナー像を中間転写ベルト70に転写(一次転写)するためのユニットである。二次転写ユニット80は、中間転写ベルト70上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を記録材に転写(二次転写)するためのユニットである。定着ユニット90は、記録材上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を加熱加圧して記録材に融着させて永久像とするためのユニットである。
【0027】
図2は制御ユニットの構成を示すブロック図である。制御ユニット100は、図2に示すようにメインコントローラ101およびユニットコントローラ102を有しており、メインコントローラ101には画像信号および制御信号が入力され、この画像信号および制御信号に基づく指令に応じてユニットコントローラ102が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。メインコントローラ101は、インタフェース112を介して外部のコンピュータと接続され、このコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ113を備えている。ユニットコントローラ102は、装置本体の各ユニットと電気的に接続され、それらが備えるセンサ(図示省略)からの信号を受信することによって各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ101から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御する。
【0028】
上述した構成のプリンタ10は、4つのプロセスユニットのうち1つを用いたモノクロ画像または4つのプロセスユニットの全てを用いたカラー画像を形成可能であるが、以下においてはプリンタ10のカラー画像形成動作について説明する。
【0029】
まず、コンピュータからの画像信号および制御信号がインタフェース112を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づくユニットコントローラ102の制御により感光体20Y、20M、20C、20K、中間転写ベルト70等が回転する。
【0030】
感光体20Y、20M、20C、20Kは回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30Y、30M、30C、30Kによりそれぞれ帯電される。各感光体の帯電された領域は、各感光体の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40Y、40M、40C、40Kによって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。各感光体上に形成された潜像は、感光体の回転に伴って現像位置に至り、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kによってトナー像として可視化される。なお、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kによる現像に伴い現像器内のトナーが減少すると、適宜のタイミングでトナーカートリッジ52Y、52M、52C、52Kから当該現像ユニットへトナーが補給される。
【0031】
感光体20Y、20M、20C、20K上に形成された単色トナー像は、各感光体の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60Y、60M、60C、60Kによって中間転写ベルト70に一次転写される。この結果、中間転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。中間転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト70の回転に伴って二次転写位置に至り、給紙トレイ92から搬送される記録材に二次転写ユニット80によって二次転写される。
【0032】
フルカラートナー像が二次転写された記録材が定着ユニット90へ搬送されると、該フルカラートナー像は加熱加圧されて記録材に定着される。これにより、紙などの記録材上にカラー画像が形成されることとなる。
【0033】
一方で、一次転写位置にて中間転写ベルト70に一次転写されずに感光体20Y、20M、20C、20Kに残存するトナーは、感光体クリーニングユニット55Y、55M、55C、55Kによって回収された後に、廃トナーとしてトナーカートリッジ52Y、52M、52C、52Kに送られ、該トナーカートリッジに収容される。
【0034】
図3はプロセスカートリッジおよびトナーカートリッジの構成を示す図である。トナーカートリッジ52Yは、現像ユニット50Yに補給するための新しいトナーを内部に収容する補給トナータンク521Yと、感光体20Yから除去された廃トナーを内部に貯えるための廃トナータンク522Yとを備えている。また、トナーカートリッジ52Yには、プロセスカートリッジ16Yと連結するための連結部523Yが設けられている。該連結部523Yにプロセスカートリッジ16Yが連結された状態では、補給トナータンク521Yが以下に説明する現像ユニット50Yと連通されて、補給トナータンク521Yに収容された補給トナーを現像ユニット50Yに補給可能となる。また、廃トナータンク522Yが感光体クリーニングユニット55Yと連通されて、感光体クリーニングユニット55Yにより感光体20Yから除去されたトナーを廃トナータンク522Yに移送可能となる。
【0035】
図4は現像ユニットの構造を示す断面図である。現像ユニット50Yは、図4の矢印方向D1に回転する現像ローラ501と、現像ローラ501Yと当接しながら図4の矢印方向D2に回転する供給ローラ502とが、それぞれ図4の紙面に垂直な方向(Y方向)に沿った回転軸周りに回転自在にハウジング519に軸着された構造を有している。また、図示を省略しているが、ハウジング519内には非磁性一成分の負帯電トナーが貯留されている。
【0036】
現像ローラ501は、鉄、アルミニウムなどの金属または合金によって円筒形状に形成されており、表面にトナーを担持しながら回転して該トナーを感光体20Yとの対向位置に搬送し、感光体20Y上の静電潜像を顕像化する。また、供給ローラ502はその表面が発泡ウレタンやシリコンゴム等の弾性を有する材料により形成されて、現像ローラ501表面に圧接されて供給ニップを形成している。この供給ローラ502は、ハウジング519内で回転することによりハウジング519内に貯留されたトナーを流動させ、現像ローラ501表面に向けてトナーを送り込む。
【0037】
ハウジング519内は、部分的にトナー通過孔516を設けた隔壁518によって2つの小室に分割されている。すなわち、ハウジング519内は貯留室SCと帯電室CCとに分割されている。供給ローラ502は貯留室SC内に設けられており、また現像ローラ501の表面の一部が貯留室SC内に露出している。このため、貯留室SC内に貯留されているトナーは供給ローラ502の回転によって該貯留室SC内で循環的に流動し、貯留室SC内に露出した現像ローラ501の表面に向かうトナーの流れが生じる。
【0038】
貯留室SC内のトナーは、供給ローラ502の回転に起因するトナー流動により生じるトナー粒子同士の摩擦や、供給ニップにおいて現像ローラ501表面に擦り付けられることによって摩擦帯電し、現像ローラ501の表面に静電的に付着する。こうして現像ローラ501表面に付着したトナーは、現像ローラ501の回転方向D1において供給ニップよりも下流側で現像ローラ501表面に圧接された規制ブレード504により厚さが規制される。その結果、規制ブレード504の下流側では所定厚さに規制されたトナー層が現像ローラ501表面に担持されることとなる。こうして形成されたトナー層が感光体20Yとの対向位置(現像位置)へ搬送され潜像の顕像化に供される。
【0039】
さらに、現像ローラ501の回転方向D1において現像位置よりも下流側には、一方端がハウジング519に固定され他方端が現像ローラ501の表面に弾性的に当接するシール部505が設けられている。シール部505は現像ローラ501の回転方向D1に沿ったいわゆるトレイル方向に現像ローラ501表面に当接されており、現像ローラ501の表面に残留するトナーをハウジング519内に案内するとともにハウジング519内のトナーが外部へ漏れ出すのを防止する。
【0040】
また、貯留室SC内には、図4紙面垂直方向(Y方向)に沿って延設された板状の分離部材510が設けられている。分離部材510は、その一方端が供給ローラ502表面から所定距離を隔てて配置される一方、他方端は供給ローラ502の半径方向外側に向かって延びており、供給ローラ502の回転によってその周方向に沿って生じるトナー流にほぼ直交するように配置されている。このため、供給ローラ502の回転によって貯留室SC内に生じるトナー流は分離部材510によって部分的に遮られ、トナー流は供給ローラ502の表面に沿って現像ローラ501の方向へ向かう流れと、分離部材510に沿って供給ローラ502から離れてゆく流れとに分断される。すなわち、分離部材510は、供給ローラ502の表面近くで流動するトナーを現像ローラ501に向けて送り込む一方、供給ローラ502表面から遠い経路で流動するトナーについてはその動きを遮るように作用する。
【0041】
分離部材510は銅、アルミニウムなどの金属またはその他の導電性材料により形成され、図4に示すように、分離バイアス発生用直流電源59からの直流電位を印加されている。この直流電位は、トナーの帯電極性と同極性の負電位である。このため、貯留室SC内で供給ローラ502の回転に伴い流動するトナーのうち、負の高い帯電量を有しているトナー(高帯電トナー)に対しては、分離部材510の負電位はトナーを分離部材510から遠ざける静電的な斥力を作用させる。一方、帯電量の低いトナーに対してはこの斥力が弱い。さらに、トナーの中には本来負に帯電すべきトナーが劣化等により反対極性、つまり正に帯電するものが含まれており、このようなトナーに対しては分離部材510の負電位は静電的な引力を作用させる。
【0042】
したがって、供給ローラ502の回転に伴って生じるトナー流に含まれるトナーのうち、負の高い帯電量を有している高帯電トナーは分離部材510による斥力を受けて該分離部材510の近傍から供給ローラ502の表面に向けて押しやられ、供給ローラ502の表面近くを流動することになる。一方、帯電量の低いトナーおよび逆極性に帯電したトナー(ここではこれらを総称して「低帯電トナー」という)に対しては、斥力が小さいかまたは引力が作用するため、供給ローラ表面502に向かう高帯電トナーと入れ替わって、供給ローラ502表面から遠く分離部材502に近い経路を流動する。
【0043】
さらに、帯電特性の良好な、つまり高い帯電量が得られるトナーは外添剤の効果により流動性が高いのに対し、同じように帯電させても帯電量の低い劣化トナーは、外添剤の脱落により流動性が低下しているものが多い。このような流動性の差異に起因して、帯電特性の良好なトナーは供給ローラ502の周りで活発に流動するのに対し、帯電特性の劣るトナーは動きが鈍いため外側へ追いやられ、結果として供給ローラ502表面から離れたところで滞留する傾向がある。
【0044】
このような分離部材510に与えた負電位により作用する静電気力の差および流動性の差に起因して、高帯電トナーと低帯電トナーとでは流動の態様が相違する。すなわち、図4に実線矢印で示すように、高帯電トナーは供給ローラ502の表面近くを流れる、幻想ローラ501に向かうのに対し、図4に破線矢印で示すように、低帯電トナーは分離部材510の近傍やハウジング519の内壁や隔壁518に沿って流れ、最終的には、分離部材510と隔壁518とにより挟まれた流路を通って帯電室CCに流れ込む。
【0045】
帯電室CC内には、図4の矢印方向D4に回転する予備帯電ローラ503が設けられている。このため、帯電室CCに流れ込んだトナーは、予備帯電ローラ503と、予備帯電ローラ503の周囲を囲むように構成された帯電室の内壁517とにより挟まれたトナー流路内を循環しながら摩擦帯電されることになる。帯電室CCに送り込まれるトナーの多くは低帯電トナーであるが、このような低帯電トナーであっても、帯電室CCにおいて十分に摩擦帯電させることにより帯電量が増大し、現像に良好に使用可能な帯電量を有するに至らせることができる。
【0046】
帯電室CC内で循環するトナーの一部はトナー通過孔516を通ってあるいは隔壁518を超えて貯留室SCへ流れ込む。このとき、帯電室CCから流れ出したトナーは供給ローラ502の回転方向D2において分離部材510よりも上流側で貯留室SC内のトナー流と合流するように、隔壁518およびトナー通過孔516の位置が設定されている。そのため、トナーの進行方向に再び分離部材510が出現することとなり、既に十分な帯電量を得たトナーは分離部材510による斥力を受けて供給ローラ502表面側へ移動し、供給ローラ502の回転に乗って現像ローラ501に向けて流れる。一方、帯電量の十分でないトナーは再び帯電室CCに送り込まれ、十分な帯電量を得るまで帯電室CC内を循環することとなる。
【0047】
なお、帯電室CCにおけるトナーの帯電量増加を効率よく行うためには、予備帯電ローラ503の表面および帯電室CCの内壁面517のうち少なくとも一方を、トナーの負帯電を促進するような材料により形成することが好ましい。具体的には、帯電系列においてトナーよりもその帯電極性と反対極性側に位置する材料を用いることが好ましく、例えば負帯電トナーに対しては、トナーをより負電位に帯電させることのできる、つまり帯電系列においてトナーよりも正電位側に当たる金属(鉄・アルミニウム・ニッケル等)やナイロン等を用いることができる。また正帯電トナーに対しては、該トナーをより正電位に帯電させることのできるフッ素樹脂や塩化ビニル樹脂等を用いることができる。
【0048】
このように、この実施形態では、現像ユニット50Y内におけるトナーが高帯電トナーと低帯電トナーとで異なる経路を流動するようにし、高帯電トナーについては貯留部SCに貯留して現像ローラ501表面へ送り込むのに対して、低帯電トナーについては帯電室CCで予め帯電量を増大させてから貯留室SCへ送り込む。このため、帯電量の不十分なトナーが大量に現像ローラ502に担持されることがなく、画像へのカブリを抑制することが可能である。
【0049】
ところで、この現像ユニット50Yに対しては、補給トナータンク521Yに貯留されている補給トナーを必要に応じて補給することが可能である。すなわち、図4に示すように、ハウジング519の上部にはトナー補給口513が設けられており、該トナー補給口513と補給トナータンク521Yとは、スパイラル状のフィード部材512を内部に有するトナー給送部511によって連通されている。ユニットコントローラ102からの制御指令に応じてフィード部材512が回転すると、補給トナータンク521Y内の補給トナーがプロセスカートリッジ16Yとの連結部523Yからトナー給送部511を経由してトナー補給口513からハウジング519内に供給される。
【0050】
トナー補給口513の開口は、ハウジング519の上部左端、より具体的には分離部材510の直上よりも左側に設けられている。このため、トナー補給口513から供給される補給トナーは直接貯留室SCに入れられるのではなく、図4の一点鎖線矢印に示すように、まず帯電室CCに送られる。このようにする理由は以下の通りである。
【0051】
上記したように、この実施形態では、貯留室SCには高帯電トナーを選択的に貯留するようにしている。すなわち、貯留室SC内に存在するトナーは高帯電トナーが主体である。一方、トナー補給口513から供給される補給トナーは、新しいトナーであるので当然に帯電特性は良好であるが、実際にはまだ帯電プロセスを経ていないため、もともと貯留室SCに存在する既に十分な帯電量を得ている高帯電トナーと比較すれば帯電量は少ない。したがって、補給トナーを直接貯留室SCに投入した場合、貯留室SCにもともとあった高帯電トナーと補給トナーとの帯電量の乖離に起因して、前述した補給時カブリを生じる可能性が高くなる。
【0052】
図5は補給時カブリの発生原理を説明する図である。図5(a)に示すように、新しいトナーはほとんどが所望の帯電極性(この実施形態では負極性)に帯電し、帯電量のばらつきも比較的小さい。これに対して、画像形成に長時間使用された後の現像ユニット内に残留しているトナー(耐久トナー)では、図5(b)に示すように、帯電量のばらつきが大きくなり、特に帯電量の少ない、あるいは本来の帯電特性とは逆極性(この例では正極性)に帯電するトナーの量が増加してくる。
【0053】
前記したように、この実施形態の現像ユニット52Yにおいては、その内部に貯留されているトナーを高帯電トナーと低帯電トナーとに分離している。したがって、図5(c)に示すように、貯留室SC内のトナーは帯電量分布が高帯電量側に、また帯電室CC内のトナーは低帯電量側にそれぞれ偏っている。一方、ここに投入される補給トナーは図5(a)に示す新しいトナーとほぼ同等の帯電特性を有している。
【0054】
このように帯電量分布の異なるトナーを混合させた場合、トナー間の相対的な帯電特性の差異に起因して、帯電量の高いものと低いものとに二極化する傾向がある。このうち帯電量の低いトナーが現像ローラ501に担持されてしまうと、現像ユニット52Yの外部で現像ローラ501表面から脱落して飛散したり、画像に付着してカブリを生じさせる。特に、貯留室SC内に補給トナーを投入した場合、貯留室SC内のトナーと補給トナーとの帯電特性の差異に起因して帯電量の二極化が生じ補給時カブリを引き起こす。
【0055】
特に、本実施形態のように非磁性一成分トナーを用いる装置においては、二成分トナーを用いる場合のように、貯留室内で予めトナーとキャリアとを攪拌して帯電させるというプロセスを行わないため、ユニット内にもともとあったトナーと新たに投入された補給トナーとの間で帯電量の差が出やすく、補給時カブリを生じやすい。
【0056】
これに対して、本実施形態のように、補給トナーをまず帯電室CCに投入した場合には、図5(d)に示すように、補給トナーは帯電室CCにおいて低帯電トナーとともに予備的に帯電され、帯電量を増加された状態で貯留室SCに送り込まれるため、補給時カブリの発生を抑えることができる。なお、初期の良好な特性を保持した補給トナーを帯電室CCに送り込み予備帯電ローラ503等と摺擦させることによるトナーの劣化が懸念されるが、このようなトナーは劣化トナーに比べ短い時間で十分な帯電量を得て帯電室CCから貯留室SCへ移動するため、トナーの劣化はほとんど問題とはならない。
【0057】
以上のように、この実施形態では、現像ユニット52Yの貯留室SC内にトナーの帯電極性と同じ負電位を与えた分離部材510を設けることにより、高帯電トナーと低帯電トナーとを分離するようにしている。そして、高帯電トナーについてはそのまま現像ローラ501に向けて供給する一方、帯電量の不足する低帯電トナーについてはいったん帯電室CCに送り予備的に帯電させてから貯留室SCへ送り込む。こうすることにより、帯電特性の良好なトナーについては過剰なストレスを与えることなく現像ローラ501表面に担持させることができる一方、低帯電トナーについても、予備的な帯電によって帯電量を増大させた状態で現像ローラ501に担持させることができる。また、現像ユニット50Yの外部から供給される未帯電の補給トナーについても、いったん帯電室CCに送り込んで予備的に帯電させることにより、貯留室SCに存在するトナーとの帯電量の差を小さくすることができる。このため、この実施形態によれば、現像ローラ501に帯電量の不十分なトナーが担持されることに起因する画像濃度の低下や補給時カブリなどによる画質の劣化を効果的に抑制することが可能である。
【0058】
次に、この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態について説明する。この実施形態では、上記した第1実施形態の装置と比べると、現像ユニットの構成および動作が一部異なっているが、その他の点は上記第1実施形態と同様である。そこで、ここでは第1実施形態の構成と同一の構成については同一符号を付して説明を省略し、第2実施形態の特徴部分について主に説明する。
【0059】
図6はこの発明にかかる画像形成装置の第2実施形態の現像ユニットを示す図である。この実施形態の現像ユニット52Yaは、供給ローラ502aの回転方向が図6の矢印方向D2aに示すように第1実施形態のものとは反対であり、これに伴って分離部材510aの形状が第1実施形態のものとは異なっている。第1実施形態における供給ローラ502(図4)は、供給ニップにおいてその表面が現像ローラ501表面と同じ方向に移動する、いわゆるウィズ回転方向に回転するように構成されていた。これに対し、この第2実施形態における供給ローラ502aは、その表面が現像ローラ501の表面と反対方向に移動する、いわゆるカウンタ回転方向に回転する。
【0060】
このようにすれば、供給ニップにおける現像ローラ501と供給ローラ502aとの摩擦が大きくなり、トナーを帯電させる能力が高くなる。しかしながら、相対的な帯電特性の劣る低帯電トナーについては、依然として十分な帯電量を与えることができない場合がある。このような場合においても本発明の思想を好適に適用することが可能である。すなわち、この実施形態における供給ローラ502aの回転による現像ローラ501へのトナー供給は、供給ローラ502aの下面に沿って生じるトナー流によって行われる。供給ローラ502aの上面では、トナーを現像ローラ501表面から遠ざけるような流れが生じる。
【0061】
この流れにおいても、分離部材510aを設けることにより、図6に示すように、高帯電トナーは供給ローラ502aの近傍位置を、また低帯電トナーはこれより離れた位置を流れるようになる。この場合、分離部材510aによって供給ローラ501表面から引き離されたトナーが効率よく帯電室CCに送り込まれるようにするため、分離部材510aの上端部が左方に延長されて、隔壁518よりも左方にまで至るように構成するのが好ましい。こうすることにより、分離部材502aによって流れを遮られた低帯電トナーは、図6に破線矢印で示すように、分離部材502aの上面をせり上がるようにして帯電室CCに流れ込むことになる。また、帯電室CCにおいて予備的に帯電されたトナーは、図6に実線矢印で示す高帯電トナーの流れに合流することになる。
【0062】
この場合においても、外部から投入される補給トナーは分離部材510aの上面に落下して帯電室CCに流れ込み、予備的な帯電を受けてから貯留室SC内の高帯電トナーの流れに合流する。
【0063】
図7はこの発明にかかる画像形成装置の第3実施形態の現像ユニットを示す図である。この実施形態の現像ユニット50Ybでは、第1実施形態の現像ユニット50Y(図4)から分離バイアス用電源59が省かれるとともに、分離部材510bが、帯電系列においてトナーよりも正電位側に位置する材料、例えば金属やナイロン等により形成されて電気的にフローティング状態に保持される。なお、図7では、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付している。
【0064】
このような構成によれば、供給ローラ502の回転に起因して貯留室SC内に生じるトナー流動の結果、分離部材510bがトナーと摺擦されることによって次第に正電位に帯電することとなる。このことは、相対的にトナーを負に帯電させる予備帯電の効果と、第1実施形態と同様に、正に帯電した分離部材510bが高帯電トナーを斥けるように作用しトナー流を分離する効果とが生じることを意味している。すなわち、分離部材に電位を与えるための電源を設けなくても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、この第3実施形態では、現像ユニット50Ybが新品の状態では分離部材510bも帯電していないことになるが、このときユニット内のトナーも新しくその帯電特性は良好かつ均一であり、この時点において低帯電トナーの分離および予備的な帯電は必要ないため問題はない。そして、トナーの劣化が進み低帯電トナーの比率が増加してくる頃には、分離部材510bの帯電量も大きくなり、第1実施形態と同様にトナーをその帯電量に応じて分離する機能を果たすことができる。
【0066】
以上説明したように、上記各実施形態においては、現像ユニット50Y、50M、50C、50Kがそれぞれ本発明の「現像装置」として機能している。また、上記各実施形態では、現像ローラ501が本発明の「トナー担持体」として機能する一方、供給ローラ502、502aがいずれも「トナー供給部材」および「トナー供給ローラ」として機能している。また、貯留室SCが本発明の「貯留部」、「貯留室」として機能している。また、予備帯電ローラ503が本発明の「攪拌部材」として機能しており、該予備帯電ローラ503および帯電室CCが本発明の「帯電部」を構成している。
【0067】
また、上記各実施形態では、ハウジング519が本発明の「貯留室形成部材」として機能する一方、トナー給送部511およびトナー補給口513が本発明の「補給トナー受付部」および「トナー補給部」として機能している。さらに、これらの実施形態では、感光体20Y、20M、20C、20Kがそれぞれ本発明の「潜像担持体」として機能している。
【0068】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態においては、帯電特性の良好なトナーとそうでないトナーとの分離を、その流動性の違いおよび帯電量の違いを利用して物理的および電気的に行うようにしている。すなわち、物理的には、供給ローラ502の近傍を流動するトナーと、これより遠くやハウジング519の内壁に沿って流動するトナーとを分離する。一方、電気的には、トナーの帯電極性と同極性の電位を分離部材510に与えることにより、高帯電トナーを斥けるようにすることで低帯電トナーと分離している。しかしながら、これらの物理的・電気的な分離機能を常に両方を備える必要はなく、いずれか一方でもかまわない。
【0069】
また、例えば、上記各実施形態では、トナー補給口513を分離部材50の直上より左側に設けることで、補給トナーが帯電室CCに流れ込むようにしているが、これに代えて、帯電室CCにトナーを直接注入すべくトナー補給口を帯電室CCに設けてもよい。
【0070】
また、上記各実施形態では、現像ユニット52Y内部において貯留室SCと帯電室CCとを分離する隔壁518にトナー通過孔516を設けているが、このトナー通過孔は必須のものではない。またハウジング内部の形状も図示したものに限定されず、低帯電トナーを帯電室に送り込むとともに帯電室において帯電されたトナーを貯留室に戻すというトナーの円滑な流れを実現できるものであれば他の形状であってもよい。
【0071】
また、上記各実施形態における予備帯電ローラ503の回転方向は、例えば図4に示す反時計方向D3であるが、これに限定されるものではなく、予備帯電ローラ503が図4の時計方向に回転するようにしてもよい。
【0072】
また、上記各実施形態の画像形成装置は、本発明の「現像装置」に対応する現像ユニットをそれぞれ備える4つのプロセスユニットを中間転写ベルト70の回転方向に沿って列状に並べてなる、いわゆるタンデム現像方式のカラー画像形成装置に本発明を適用したものである。しかしながら、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、例えばプロセスユニットを1つだけ備えてモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成装置に対しても本発明を適用可能である。これらの画像形成装置は、いわゆるロータリー現像方式の装置のように複数のプロセスユニットを回転させて切り替えるという構成を採らないため、回転により現像ユニット内のトナーが攪拌されるという効果が期待できない。このような装置において、本発明を適用した場合の効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図。
【図2】制御ユニットの構成を示すブロック図。
【図3】プロセスカートリッジおよびトナーカートリッジの構成を示す図。
【図4】現像ユニットの構造を示す断面図。
【図5】補給時カブリの発生原理を説明する図。
【図6】この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態の現像ユニットを示す図。
【図7】この発明にかかる画像形成装置の第3実施形態の現像ユニットを示す図。
【符号の説明】
【0074】
20Y,20M,20C,20K…感光体(潜像担持体)、 50Y,50M,50C,50K…現像ユニット(現像装置)、 501…現像ローラ(トナー担持体)、 502,502a…供給ローラ(トナー供給部材、トナー供給ローラ)、 503…予備帯電ローラ(攪拌部材、帯電部)、 519…ハウジング(貯留室形成部材)、 511…トナー給送部(補給トナー受付部)、 513…トナー補給口(補給トナー受付部)、 CC…帯電室(帯電部)、 SC…貯留室(貯留部、貯留室)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを貯留する貯留部と、
前記貯留部内にその表面の一部が露出しており、帯電トナーを表面に担持するトナー担持体と、
前記貯留部内に設けられて、前記貯留部内のトナーを所定方向に流動させることによりトナーを前記トナー担持体表面に向けて供給するトナー供給部材と、
前記トナー供給部材によるトナー流動方向において前記トナー担持体よりも上流側かつ前記トナー供給部材の近傍位置に設けられ、流動トナーの流れをトナーの帯電量に応じて前記流動トナーを高帯電トナー流と低帯電トナー流との二手に分離させる分離部材と、
前記分離部材により分離された流動トナーのうち前記低帯電トナー流を受け入れ、該トナーを摩擦帯電させて前記貯留部に送り込む帯電部と、
外部からの補給トナーを受け付けて前記帯電部に送り込む補給トナー受付部と
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記分離部材は、導電性材料により形成されて前記トナーの帯電極性と同極性の電位が与えられている請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記分離部材は、帯電系列において前記トナーよりも前記トナーの帯電極性側に位置する材料により形成されている請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記トナー供給部材は、所定の回転軸中心に回転する略円筒形状のトナー供給ローラであり、該トナー供給ローラ周りにその回転方向に沿ったトナーの流れを形成し、
前記分離部材は、前記トナー供給ローラ周りのトナーの流れを前記トナー供給ローラ表面に近い流れとこれより遠い流れとに分離し、前記トナー供給ローラ表面から遠い方の流れを前記低帯電トナー流として前記帯電部に案内する請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記貯留部は、トナーを貯留する貯留室を形成する貯留室形成部材を備え、該貯留室の内壁面の一部と前記分離部材とに囲まれた空間が、前記低帯電トナーを前記帯電部へ案内するためのトナー流路を構成する請求項1ないし4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記帯電部は、トナーを攪拌する攪拌部材を備える請求項1ないし5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記帯電部は、トナーを一時的に貯留する帯電室を有するとともに、前記攪拌部材は該帯電室内に設けられており、しかも、前記攪拌部材の表面および前記帯電室の内壁面の少なくとも一方が、帯電系列において前記トナーよりも前記トナーの帯電極性と反対側に位置する材料により形成されている請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記トナーは非磁性一成分トナーである請求項1ないし7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
静電潜像を担持する潜像担持体と、
トナーを貯留する貯留部と、
前記貯留部内にその表面の一部が露出しており、帯電トナーを表面に担持して前記潜像担持体との対向位置に搬送するトナー担持体と、
前記貯留部内に設けられて、前記貯留部内のトナーを所定方向に流動させることによりトナーを前記トナー担持体表面に向けて供給するトナー供給部材と、
前記トナー供給部材によるトナー流動方向において前記トナー担持体よりも上流側かつ前記トナー供給部材の近傍位置に設けられ、流動トナーの流れをトナーの帯電量に応じて前記流動トナーを高帯電トナー流と低帯電トナー流との二手に分離させる分離部材と、
前記分離部材により分離された流動トナーのうち前記低帯電トナー流を受け入れ、該トナーを摩擦帯電させて前記貯留部に送り込む帯電部と、
補給トナーを前記帯電部に送り込むトナー補給部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−145537(P2009−145537A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321788(P2007−321788)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】