説明

生体認証装置及び生体認証方法

【課題】誤操作による生体情報の削除を確実に防止する。
【解決手段】ユーザの指から生体情報を読み取る読取手段8と、ユーザの指の生体情報を記憶する記憶手段9と、読取手段8によって読み取った生体情報と、記憶手段9に記憶した生体情報を比較し、個人認証を行う個人認証手段12とを備える。さらに、読取手段9によりユーザのある指から生体情報を読み取る際、その指を含む一方の手では操作不能な位置に設けられ、記憶手段9に記憶した生体情報の削除処理を開始させるための削除開始手段22と、読取手段8によってユーザの指から生体情報を読み取った状態で、削除開始手段22が操作されることにより、記憶手段9から生体情報を削除する削除処理を実行する削除実行手段12、19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置及び生体認証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体認証装置として、ユーザキーをキー受け具に挿入し、ユーザの指が指紋センサに配置されることにより指紋データを登録でき、ユーザキーを削除位置に回転させ、指紋センサで読み取られた指紋が登録した指紋データと合致することにより削除可能としたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−13646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の生体認証装置では、指紋センサで指の指紋を読み取る際、誤ってユーザキーが削除位置に操作されると、登録してある指紋データが削除されてしまう恐れがある。また、削除の対象となる指紋データが削除位置の違いによって選択するようにしているため、誤って他の指紋データが削除される恐れもある。
【0005】
そこで、本発明は、誤操作による生体情報の削除を確実に防止することのできる生体認証装置及び生体認証方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
ユーザの指から生体情報を読み取る読取手段と、
前記ユーザの指の生体情報を記憶する記憶手段と、
前記読取手段によって読み取った生体情報と、前記記憶手段に記憶した生体情報を比較し、個人認証を行う個人認証手段と、
を備えた生体認証装置であって、
前記読取手段によりユーザのある指から生体情報を読み取る際、その指を含む一方の手では操作不能な位置に設けられ、前記記憶手段に記憶した生体情報の削除処理を開始させるための削除開始手段と、
前記読取手段によってユーザの指から生体情報を読み取っている状態で、前記削除開始手段が操作されることにより、前記記憶手段から生体情報を削除する削除処理を実行する削除実行手段と、
を備えたものである。
【0007】
この構成により、読取手段で指の生体情報を読み取る際、その指がある手では削除開始手段を操作することができず、残る他方の手で削除開始手段が操作されない限り、誤って削除処理が実行されることがない。
【0008】
前記読取手段によって読み取った生体情報がマスター情報であるか否かを判定する生体情報判定手段をさらに備え、
削除実行手段は、前記生体情報判定手段によりマスター情報であると判定されれば、前記記憶手段からマスター情報以外の生体情報を全て削除するようにしてもよい。
【0009】
この構成により、マスター情報以外の生体情報を簡単に削除することができる。
【0010】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
ユーザの指から生体情報を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップで読み取った生体情報と、記憶手段に記憶した生体情報を比較し、個人認証を行う個人認証ステップと、
を含む生体認証方法であって、
前記読取ステップで、ユーザのある指から生体情報を読み取る際、その指を含む一方の手では操作不能な位置に設けられた削除開始手段を操作することにより、前記記憶手段に記憶した生体情報の削除処理を開始させるための削除開始ステップと、
前記読取ステップで、ユーザの指から生体情報を読み取った状態で、前記削除開始ステップが実行されることにより、前記記憶手段から生体情報を削除する削除実行ステップと、
を実行するものである。
【0011】
前記削除実行ステップの前に、前記読取ステップで読み取った生体情報がマスター情報であるか否かを判定する生体情報判定ステップを実行し、
削除実行ステップでは、前記生体情報判定ステップでマスター情報であると判定されることにより、前記記憶手段からマスター情報以外の生体情報を全て削除するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読取手段で指の生体情報を読み取る際、その指がある手では削除開始手段を操作できないように構成したので、誤操作によって必要な情報が削除されるといった不具合を確実に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る生体認証システムを示す。この生体認証システムは、車両に採用され、生体認証装置1と、スマートエントリーコントロールユニット2(以下、コントロールユニットをC/Uと省略して記載する。)とを備える。また、スマートエントリーC/U2は、ドア開閉スイッチ3(ドア開閉SW)、ドアロックC/U4、電動ステアリングロック5(電動STL)、エンジンC/U6、スタートスイッチ7(スタートSW)等に接続されている。
【0015】
生体認証装置1は、図2に示すように、撮像部8、第1記憶部9、第1電源部10、第1通信部11、及び、第1制御部12を備える。
【0016】
撮像部8は、赤外線照射部13とカメラ部14とを備える。赤外線照射部13は、赤外線を照射するための複数のLEDを有し、これらLEDからは近赤外線が照射され、カメラ部14にて指の静脈パターンを読み取り可能な状態とする。カメラ部14は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カメラ等で構成され、近赤外線が照射された指から静脈パターンを読み取る。
【0017】
第1記憶部9は、車両の使用が許可されたユーザの生体情報(ここでは、指の静脈パターン)と、識別情報であるID(identification)データとが互いに関連付けて記憶される。ここでは、1つのIDデータ(ID番号)が1人の人物に対応し、1つのIDデータに対して特定の指の静脈パターンを複数回読み取ったものを関連付けると共に、1つのIDデータに対して異なる指をそれぞれ記憶した複数のデータによって構成されたものが記憶される。例えば、第1データとして、ID番号(1)に対して人差し指の1回目、2回目、及び、3回目の生体認識した結果(生体情報)を記憶させ、第2データとして、ID番号(1)に対して中指の1回目、2回目、及び、3回目の生体認識した結果(生体情報)を記憶させ、第3データとして、ID番号(1)に対して薬指の1回目、2回目、及び、3回目の生体認識した結果(生体情報)を記憶させるようにしている。また、第1記憶部9には、後述する認証処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。
【0018】
第1電源部10は、撮像部8、第1記憶部9、第1通信部11、及び、第1制御部12に電力を供給する。
【0019】
第1通信部11は、スマートエントリーC/U2との間でデータの送受信を行うためのもので、有線及び無線のいずれでも採用可能である。ここでは、コネクタが使用されている。第1通信部11は、第1制御部12で個人認証処理を行った結果をスマートエントリーC/U2に送信する。
【0020】
第1制御部12は、前記撮像部8のカメラ部14で撮影された生体情報を、前記第1記憶部9に記憶させた生体情報と照合することにより、後述するようにして生体認証処理を実行する。前記静脈パターンは、画像処理により数値化し、第1記憶部9に登録済みの生体情報(同じく数値化されたもの)と比較して登録済みの人物のものであるか否かを判断する。
【0021】
なお、静脈パターンの数値化は、次のようにして行う。すなわち、指に照射する近赤外線は、酸素を運び終えた、血液中の静脈を流れる還元ヘモグロビンに吸収されやすい。このため、静脈では暗く、静脈以外では明るく撮影される。そこで、各部位での明暗を2進法により「0」又は「1」の数値データに変換する。
【0022】
スマートエントリーC/U2は、入出力部15、第2記憶部16、第2電源部17、第2通信部18、及び、第2制御部19を備える。
【0023】
入出力部15は、ドア開閉SW3、ドアロックC/U4、電動STL5、エンジンC/U6、スタートSW7、リモコン20(スマートエントリー装置)、登録ボタン21、消去ボタン22等からの出力信号を受け付け、逆に、前記各C/Uに制御信号を送信して所定の動作を行わせる。
【0024】
ドア開閉SW3はドアの開閉によりオン・オフ信号を出力する。ドアロックC/U4は、車両のドアに設けたドアロック装置のアクチュエータを駆動制御し、ドアの施錠・開錠を行う。電動STL5は、ステアリングシャフトをロック・アンロックすることにより車両の盗難を防止する。ここでは、スマートエントリーC/U2からの制御信号に基づいて内部のモータが駆動制御され、ステアリングシャフトをロック・アンロックする。エンジンC/U6は、エンジンの始動、停止、及び動作を制御する。スタートSW7は、エンジンを始動するためのスイッチであり、車内のハンドル近傍に設置される。
【0025】
リモコン20は、車両のドアの施錠、開錠に利用される。すなわち、ユーザが車両に乗り込んで、ドアハンドルに接触したことが、ドアハンドルに設けた図示しないタッチセンサにより検出され、タッチセンサからオン信号が出力されると、スマートエントリーC/U2によりリクエスト信号が送信される。リモコン20は、このリクエスト信号を受信し、予め登録された識別信号を送信する。スマートエントリーC/U2は、この識別信号に基づいてドアロックC/U4にアンロック指示信号を出力し、ドアが開錠される。
【0026】
登録ボタン21は、生体情報の登録時に利用される。登録ボタン21を操作すれば、スマートエントリーC/U2から生体認証装置1へと登録モード信号が送信される。そして、撮像部8のカメラ部14で指の静脈パターンを読み取らせれば、その静脈パターンを生体情報として第1記憶部9に記憶させることができる。
【0027】
消去ボタン22は、図3に示すように、撮像部8に指を配置した状態で、その指がある方の手では操作不能な位置に設けられ、生体情報の削除時に利用される。このように、指から生体情報を読み取っている状態では、その指がある方の手では消去ボタン22を操作できないので、ユーザが誤って消去ボタン22を操作して必要なデータが消去されるといった不具合を未然に防止することが可能となっている。
【0028】
第2記憶部16には、車両の使用が許可されたユーザのIDデータが記憶される。
【0029】
第2電源部17は、入出力部15、第2記憶部16、第2通信部18、及び、第2制御部19に電力を供給する。
【0030】
第2通信部18は、前記生体認証装置1の第1通信部11との間でデータの送受信を行う。ここでは、コネクタが使用されている。第2通信部18からは、電源オン信号や登録モード信号等が第1通信部11に送信され、第1通信部11からはIDデータや生体情報のほか、照合結果等が受信される。
【0031】
第2制御部19は、生体認証装置1で生体認証の結果、記憶された生体情報であると判断された場合、その生体情報に関連付けた識別情報であるIDデータを、前記第2記憶部16に記憶させ、ドア開閉SW3、スタートSW等からの入力信号に基づいて、ドアロックC/U4、電動STL5、エンジンC/U6を駆動制御する。
【0032】
次に、前記生体認証システムの動作について説明する。
【0033】
(登録モード)
初期状態では、各記憶部9、16にはデータが記憶されていないので、図4に示すように、登録ボタン21を操作し(ステップS1)、生体情報を登録する登録モードを開始する。すなわち、登録ボタン21が操作されることにより、後述する通常モードで、マスター認証が実施済みか否かを判断する(ステップS2)。マスター認証とは、撮像部8によって読み取られた生体情報と、第1記憶部9にマスターとして記憶した生体情報とを比較し、一致した場合にマスターとして設定された人物の認証が行われたこととするものである。このマスター認証が行われたか否かの判断は、通常モード時、第2記憶部16に記憶される認証されたIDデータを確認することにより行う。つまり、生体情報の登録は誰でも可能なわけではなく、マスターとして設定された人物のみが実施可能となっている。なお、マスターとなる生体情報は、例えば、ディーラーでの専用端末でのみ登録可能とする。そして、登録ボタン21が操作されても、マスター認証が行われていなければ(ステップS2:NO)、生体情報を登録できないように警告(ワーニング)処理を実行させる(ステップS3)。警告処理では、音声やブザーあるいはランプの点灯等により行えばよい。また、無線等の機器を備えたものであれば、車両から離れた他の場所に連絡するように構成することも可能である。マスターデータが登録されていれば(ステップS2:YES)、スマートエントリーC/U2から生体認証装置1に登録モード信号を送信する(ステップS4)。
【0034】
生体認証装置1では、スマートエントリーC/U2から送信された登録モード信号に基づいて、登録モードを開始する(ステップS11)。すなわち、撮像部8でユーザの指から生体情報(静脈パターン)が読み取られると(ステップS12)、読み取った生体情報を2値・暗号化する(ステップS13)。また、IDデータを作成する(ステップS14)。そして、生体情報とIDデータとを互いに関連付けて第1記憶部9に記憶させる(ステップS15)。第1記憶部9に記憶されれば、IDデータをスマートエントリーC/U2に送信する(ステップS16)。そして、次の生体情報の登録処理が行われれば(ステップS17)、前記ステップS13に戻って同様の処理を繰り返す。
【0035】
スマートエントリーC/U2では、生体認証装置1からの送信されたIDデータを受信し(ステップS5)、これを第2記憶部16に記憶させる(ステップS6)。ここで、30秒間待機し(ステップS7)、その間、待ち受け状態を維持する(ステップS8)。30秒経過すれば、生体認証装置1に登録終了信号を送信する(ステップS9)。
【0036】
生体認証装置1では、スマートエントリーC/U2から登録終了信号を受信するまで(ステップS18)、待ち受け状態を維持し(ステップS19)、登録終了信号を受信すれば、一連の生体情報登録処理を終了する。
【0037】
(通常モード)
ユーザが車両に乗車してエンジンを始動する場合の処理(通常モード)について、図5及び図6のフローチャートに従って説明する。
【0038】
スマートエントリーC/U2では、ドア開閉SW3からドアが開放状態から閉鎖状態になったことを示す信号が入力されれば(ステップS31)、生体認証装置1に対し、電源をオン状態とするための電源オン信号を出力し(ステップS32)、認証モード起動信号を出力する(ステップS33)。
【0039】
生体認証装置1では、スマートエントリーC/U2からの電源オン信号に基づいてデータを初期化し(ステップS51)、スマートエントリーC/U2から認証モード起動信号が入力されていれば、認証モード処理を開始する(ステップS52)。
【0040】
認証モードでは、まず、撮像部8のカメラ部14で指を撮像可能であるか否かの指検出を行う(ステップS54)。指が検出されれば(ステップS55:YES)、カメラ部14による撮像を行い(ステップS56)、指が検出されなければ(ステップS55:NO)、30秒間、指検出を続行し(ステップS57)、それでも検出されない場合に、認証モードを終了する。
【0041】
カメラ部14によって撮像された静脈パターンは、第1制御部12にて画像処理を行う(ステップS58)。画像処理は、前述の通り、撮像された静脈パターンの明暗に基づいて、各部位(セグメント毎に)を「0」又は「1」の数値データに変換する。そして、得られた結果に基づいて、第1記憶部9に記憶させた生体情報と照合する(ステップS59)。照合により得られた結果(照合結果)と、該当する生体情報に関連付けたIDデータとをスマートエントリーC/U2に送信する(ステップS60)。
【0042】
スマートエントリーC/U2では、生体認証装置1からデータを受信することにより、受信したIDデータがマスターデータであり、かつ、消去ボタン22が操作されているか否かを判断する(ステップS34)。そして、受信したIDデータがマスターデータである場合、消去ボタン22が操作されることにより、後述する消去モードへと移行する。これにより、マスターデータに対応する生体情報を持たない他のユーザが生体認証した場合には、勝手に生体情報を消去する消去モードを実行することを阻止することができる。また、生体認証装置1で指をセットした状態では、前述の通り、その指がある手で消去ボタン22を消去することができないので、不用意に消去モードが実行されてしまうといった不具合を確実に防止することが可能となる。
【0043】
消去モードに移行しない場合、消去ボタン22が操作されておらず、かつ、生体認証装置1で読み取られた生体情報が第1記憶部9に記憶されたものである(照合OK)か否かを判断する(ステップS35)。消去ボタン22が操作されるか、あるいは、照合が不適切であった場合には、通常モードでの処理を中止する。一方、消去ボタン22が操作されておらず、照合が適切である場合には、IDデータの確認後、第2記憶部16にその認証されたIDデータを記憶し(ステップS36)、そのIDデータに対応して、ミラー、シート、ステアリング等の各機器に対して制御信号を出力する(ステップS37)。また、スタートSW7がオンされることにより(ステップS38)、電動STL5にSTL解除信号を送信する(ステップS39)。
【0044】
電動STL5では、STL解除信号に基づいてステアリングのロック状態を解除し、アンロック状態とする(ステップS61)。そして、スマートエントリーC/U2及びエンジンC/U6にアンロック信号を送信する(ステップS62)。
【0045】
スマートエントリーC/U2では、電動STL5からのアンロック信号を確認し(ステップS40)、エンジンC/U6にIDデータを送信する(ステップS41)。
【0046】
エンジンC/U6では、電動STL5からのアンロック信号を確認し(ステップS71)、このアンロック信号と、スマートエントリーC/U2からのIDデータとに基づいて、ステアリングがアンロック状態にあるか否か、IDデータが適切なものであるか否かを判断する(ステップS72)。いずれかの条件を満足しなければ、通常モードを終了し、両方の条件を満足すれば、エンジンを始動する(ステップS73)。そして、スマートエントリーC/U2にエンジン始動信号を送信する(ステップS74)。
【0047】
スマートエントリーC/U2では、エンジンC/U6から送信されたエンジン始動信号を確認し(ステップS42)、前記一連の通常モードでの処理を終了する。
【0048】
(消去モード)
前記ステップS34で、受信したIDデータがマスターデータであり、かつ、消去ボタン22が操作されている場合、消去モードを実行する。
【0049】
すなわち、図7に示すように、スマートエントリーC/U2では、消去ボタン22の操作に基づいて生体認証装置1に消去モード信号を送信し(ステップS81)、第2記憶部16に記憶しているIDデータを消去する(ステップS82)。
【0050】
生体認証装置1では、スマートエントリーC/U2から送信された消去モード信号を受信することにより、消去モードを開始し(ステップS91)、第1記憶部9に記憶している生体情報及びそれに関連付けたIDデータを消去する(ステップS92)。ここでは、マスターデータ以外の、全ての生体情報及びIDデータに関するデータを消去する。これらのデータの消去が完了すれば、その結果をスマートエントリーC/U2に送信する(ステップS93)。
【0051】
スマートエントリーC/U2では、生体認証装置1での結果を受けて、消去が適切に行われたか否かを確認する(ステップS83)。適切に消去されていれば、消去モードを終了し、何らかの不具合により適切に消去されていなければ、ブザーで報知する等により警告する(ステップS84)。
【0052】
但し、前記消去モードでは、マスターデータ以外の全てのデータを消去するようにしたが、マスターデータをも削除するようにしてもよい。また、前記通常モードのステップS34で、読み取ったIDデータがマスターデータである場合にのみ消去モードに移行できるようにしたが、第1記憶部9に記憶されているいずれか1つの生体情報によっても消去モードに移行できるようにしてもよい。この場合、読み取った生体情報のみを消去するようにしてもよし、他の生体情報を消去できるようにしてもよい。また、マスターデータのみを消去できないようにすることも可能である。
【0053】
このように、本実施形態では、指から生体情報を読み取っている状態で、その指がある方の手では消去ボタン22を操作できないので、ユーザが誤って消去ボタン22を操作して必要なデータが消去されるといった不具合を未然に防止することが可能となっている。また、消去ボタン22の操作は、生体情報の読み取りと同時に行わないと、削除モードには移行しないように構成しているため、誤って生体情報を削除する操作が行われる可能性をさらに低減できる。また、読取手段による生体情報の読み取り時に指を動かすと、読み取りが正確に行えない場合があるため、ユーザは手の動きを抑制する必要があるが、これによってユーザには体全体の動きを抑制しようとする意識が働き、その結果、読み取り時に同時に操作する必要がある消去ボタン22が誤って操作されることを防止することができる。
【0054】
なお、本発明の生体認証装置は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、前記実施形態では、2つの制御部12、19を用いて各処理を実行しているが、1つの制御部によって各処理を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態に係る生体認証システムを車両に採用した例を示すブロック図である。
【図2】図1のスマートエントリーコントロールユニットと生体認証装置の詳細を示すブロック図である。
【図3】図1の生体認証装置と消去ボタンのレイアウト例を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る生体認証システムに於ける登録モードの処理内容を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る生体認証システムに於ける通常モードの処理内容を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る生体認証システムに於ける通常モードの処理内容を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る生体認証システムに於ける消去モードの処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1…生体認証装置
2…スマートエントリーC/U
3…ドア開閉SW
4…ドアロックC/U
5…電動STL
6…エンジンC/U
7…スタートSW
8…撮像部(読取手段)
9…第1記憶部(記憶手段)
10…第1電源部
11…第1通信部
12…第1制御部(個人認証手段、削除実行手段)
13…赤外線照射部
14…カメラ部
15…入出力部
16…第2記憶部
17…第2電源部
18…第2通信部
19…第2制御部(削除実行手段、生体情報判定手段)
20…リモコン
21…登録ボタン
22…消去ボタン(削除開始手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指から生体情報を読み取る読取手段と、
前記ユーザの指の生体情報を記憶する記憶手段と、
前記読取手段によって読み取った生体情報と、前記記憶手段に記憶した生体情報を比較し、個人認証を行う個人認証手段と、
を備えた生体認証装置であって、
前記読取手段によりユーザのある指から生体情報を読み取る際、その指を含む一方の手では操作不能な位置に設けられ、前記記憶手段に記憶した生体情報の削除処理を開始させるための削除開始手段と、
前記読取手段によってユーザの指から生体情報を読み取っている状態で、前記削除開始手段が操作されることにより、前記記憶手段から生体情報を削除する削除処理を実行する削除実行手段と、
を備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記読取手段によって読み取った生体情報がマスター情報であるか否かを判定する生体情報判定手段をさらに備え、
削除実行手段は、前記生体情報判定手段によりマスター情報であると判定されれば、前記記憶手段からマスター情報以外の生体情報を全て削除することを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
ユーザの指から生体情報を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップで読み取った生体情報と、記憶手段に記憶した生体情報を比較し、個人認証を行う個人認証ステップと、
を含む生体認証方法であって、
前記読取ステップで、ユーザのある指から生体情報を読み取る際、その指を含む一方の手では操作不能な位置に設けられた削除開始手段を操作することにより、前記記憶手段に記憶した生体情報の削除処理を開始させるための削除開始ステップと、
前記読取ステップで、ユーザの指から生体情報を読み取った状態で、前記削除開始ステップが実行されることにより、前記記憶手段から生体情報を削除する削除実行ステップと、
を含むことを特徴とする生体認証方法。
【請求項4】
前記削除実行ステップの前に、前記読取ステップで読み取った生体情報がマスター情報であるか否かを判定する生体情報判定ステップを実行し、
削除実行ステップでは、前記生体情報判定ステップでマスター情報であると判定されることにより、前記記憶手段からマスター情報以外の生体情報を全て削除することを特徴とする請求項3に記載の生体認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−134422(P2009−134422A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308843(P2007−308843)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】