説明

画像処理装置及びばね成形機

【課題】コイルばねにおける計測位置を安定させることが可能な画像処理装置と、その画像処理装置を用いてコイルばねの歩留まりをよくすることが可能なばね成形機とを提供する。
【解決手段】本発明によれば、コイルばね91の先頭部分における線材90の先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間に位置して交点間ずれ量Zpが閾値Sk1以上になったことを条件にして、コイルばね91のばね長及び線材90の送給量を計測するので、計測時におけるコイルばね91の回転位置が安定し、従来より正確な計測が可能になる。これにより、コイルばねのばね長及びコイル径のばらつきが抑えられ、歩留まりを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形中のコイルばねの画像をカメラを通して随時取り込み画像処理を行う画像処理装置と、その画像処理装置から取得した情報に応じて工具の位置を補正するばね成形機とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なコイルばねに比べて、ばね長が比較的長く、ピッチが比較的粗く、さらに、線径dに対するコイル径Dの比率(=D/d)が比較的大きいコイルばねは、形状がばらつき易く、歩留まりが悪い。これに対し、光学式のばね長計測装置を備えると共に、線材の基準送給量とコイルばねの基準ばね長とを予め対応させて記憶したばね成形装置が知られている。このばね成形機では、線材の送給量が基準送給量に達すると、その基準送給量に対応した基準ばね長と、実測したばね長とのずれ量を求め、そのずれ量に応じてピッチ工具の位置を補正していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭53−123363号公報(請求項1及び2、第4ページ右上欄、第5頁左下欄2〜10行目、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、コイルばねが回転しながら成長していく途中で線材の送給量が基準送給量に達したときに、図18に示すように線材1の先端切り口1Aの位置が巻回方向(図18の上下方向)でばらつき得る。このため、従来の構成では、基準ばね長と実測したばね長との間で、先端切り口1Aの位置、即ち、巻き数が異なった条件の下、それら基準ばね長と実測したばね長とのずれ量を求めてピッチ工具の位置の補正を行うことになっていた。このため、補正が的確に行われず、コイルばねの形状がばらついて歩留まりが悪くなっていた。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、コイルばねにおける計測位置を安定させることが可能な画像処理装置と、その画像処理装置を用いてコイルばねの歩留まりをよくすることが可能なばね成形機との提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る画像処理装置は、ばね成形機によって線材から成形されかつガイドバーの外側に挿通されて回転しながら成長していくコイルばねの画像を、逐次、側方からカメラを通して取り込んで画像処理を行う画像処理装置において、コイルばねの巻回軸方向に延びかつ所定の間隔を開けて平行になった第1基準線及び第2基準線が、コイルばねの画像のうちガイドバーを背景にした線材の側部輪郭線を横切るように設定され、第1基準線と線材の側部輪郭線との交点のうちコイルばねの先頭に位置した第1先頭交点と、第2基準線と線材の側部輪郭線との交点のうちコイルばねの先頭に位置した第2先頭交点とを同一画像上で検出する先頭交点検出手段と、それら第1先頭交点と第2先頭交点との巻回軸方向におけるずれ量を交点間ずれ量として検出する交点間ずれ量検出手段と、線材の先端切り口が、第1基準線と第2基準線との間に位置して交点間ずれ量が所定の閾値以上になった状態を計測可能状態として検出する計測可能状態検出手段とを備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明に係るばね成形機は、線材を送給する線材送給装置と、コイルばねのピッチを変更可能なピッチ工具と、予め設定された目標位置データに基づいてサーボモータにてピッチ工具の位置を制御する制御部と、請求項1に記載の画像処理装置と、画像処理装置が計測可能状態を検出したことを条件にして、コイルばねのばね長を計測するばね長計測手段と、ばね長計測手段にて計測した実際のばね長と理論上のばね長とのずれ量を低減させるように目標位置データを補正するばね長補正手段とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明に係るばね成形機は、線材を送給する線材送給装置と、コイルばねのコイル径を変更可能な成形工具と、予め設定された目標位置データに基づいてサーボモータにて成形工具の位置を制御する制御部と、請求項1に記載の画像処理装置と、コイルばねの成形を開始したこと、又は、画像処理装置が計測可能状態を検出したことを開始条件にして、線材の送給量の計測を開始し、それから所定の巻回数分の線材が送給された後、画像処理装置が計測可能状態を検出したことを終了条件にして計測を終了し、開始条件から終了条件までの間に計測された実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を求める送給ずれ量計測手段と、送給ずれ量計測手段が求めた実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を低減させるように目標位置データを補正するコイル径補正手段とを備えたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明に係るばね成形機は、線材を送給する線材送給装置と、コイルばねのコイル径を変更可能な成形工具と、コイルばねのピッチを変更可能なピッチ工具と、予め設定された目標位置データに基づいてサーボモータにて成形工具及びピッチ工具の位置を制御する制御部と、請求項1に記載の画像処理装置と、画像処理装置が計測可能状態を検出したことを条件にして、コイルばねのばね長を計測するばね長計測手段と、ばね長計測手段にて計測した実際のばね長と理論上のばね長とのずれ量を低減させるように目標位置データを補正するばね長補正手段と、コイルばねの成形を開始したこと、又は、画像処理装置が計測可能状態を検出したことを開始条件にして、線材の送給量の計測を開始し、それから所定の巻回数分の線材が送給された後、画像処理装置が計測可能状態を検出したことを終了条件にして計測を終了し、開始条件から終了条件までの間に計測された実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を求める送給ずれ量計測手段と、送給ずれ量計測手段が求めた実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を低減させるように目標位置データを補正するコイル径補正手段とを備えたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項2又は4に記載のばね成形機において、ばね長計測手段は、ガイドバーから側方にオフセットした走査ラインに沿ってレーザ光を走査するレーザ投光器と、レーザ投光器に対向配置されて、レーザを受光するレーザ受光器と、レーザ投光器からレーザ受光器へのレーザ光がコイルばねの先頭によって遮られた位置に基づいて、コイルばねのばね長を検出する演算処理部とを備えてなるところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項3又は4に記載のばね成形機において、制御部は、開始条件又は終了条件が成立する手前で、線材送給装置による線材送給速度を減速するように構成したところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項3又は4に記載のばね成形機において、開始条件から終了条件までに送給される理論上の線材の送給量をLrとし、コイルばねの1巻き分より短く設定された所定の基準送給量をSrとすると、制御部は、開始条件からLr−Srを目標送給量として線材を送給した基準位置で線材送給速度を減速し、送給ずれ量計測手段は、基準位置から画像処理装置が計測可能状態を検出した終了位置までの間の実際の送給量を計測すると共に、その実際の送給量をSjとすると、Sj−Srを実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量として求めるように構成されたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
[請求項1の発明]
請求項1に係る画像処理装置では、コイルばねの画像のうちガイドバーを背景にした線材の側部輪郭線を横切るように第1基準線と第2基準線とが設定される。そして、第1基準線と線材の側部輪郭線との交点のうちコイルばねの先頭に位置した第1先頭交点と、第2基準線と線材の側部輪郭線との交点のうちコイルばねの先頭に位置した第2先頭交点との間の巻回軸方向におけるずれ量が交点間ずれ量として検出される。ここで、ガイドバーを背景にしたコイルばねの先頭部分のシルエットは、線材の先端切り口を挟んで段差状になるから、線材の先端切り口が第1基準線と第2基準線との間に位置した場合には、それ以外の場合に比べて交点間ずれ量が大きくなって所定の閾値以上になり、この状態が計測可能状態として検出される。即ち、本発明の画像処理装置によれば、コイルばねがガイドバーの回りに回転しながら成長していく過程で、コイルばねの先端切り口がガイドバーの回りの一定の回転位置に位置した場合のみを計測可能状態として検出する。これにより、画像処理装置が計測可能状態を検出したことを条件にして、コイルばねのばね長又は線材の送給量等を計測すれば、コイルばねにおける計測位置が安定し、従来より正確な計測が可能になる。
【0013】
[請求項2の発明]
請求項2に係るばね成形機では、上記した請求項1に係る画像処理装置が計測可能状態を検出したことを条件にしてばね長を実測して理論値と比較し、ピッチ工具の目標位置データを補正するので従来より的確な補正が可能になり、ばね長のばらつきが抑えられ、歩留まりを向上させることができる。
【0014】
[請求項3の構成]
請求項3の構成では、コイルばねの成形を開始したこと、又は、上記した請求項1に係る画像処理装置が計測可能状態を検出したことを開始条件にして送給ずれ量計測手段が線材の送給量の計測を開始し、その後所定の巻回数分の線材を送給して画像処理装置が計測可能状態を検出したことを終了条件にして線材の送給量の計測を終了する。ここで、請求項1に係る画像処理装置は、コイルばねの先端切り口がガイドバーの回りの一定の回転位置に位置した場合にのみ計測可能状態を検出するので、開始条件から終了条件までの間に実際に成形された巻回数のばらつきは抑えられる。また、線材の送給量Lは、コイル径をD、ピッチをP、巻回数をN、座巻き部分の線材長さをaとすると、
L=((π・D)+P0.5×N+a
であるから、上記の如く巻回数のばらつきが小さいと、線材の送給量の理論値と実測値とのずれ量にピッチ又は/及びコイル径のばらつきが反映される。そして、そのうちコイル径のずれ量を低減させるように成形工具の目標位置データを補正するので、コイルばねのコイル径のばらつきが抑えられ、従来より歩留まりを向上させることができる。
【0015】
[請求項4の発明]
請求項4の構成では、コイルばねの成形を開始したこと、又は、上記した請求項1に係る画像処理装置が計測可能状態を検出したことを条件にしてばね長を実測し、その実測値と理論値とを比較してピッチ工具の目標位置データを補正するので、従来より的確な補正が可能になり、ばね長のばらつきが抑えられる。また、画像処理装置が計測可能状態を検出したことを開始条件とし、その後に画像処理装置がまた計測可能状態を検出したことを終了条件にして、それら開始条件と終了条件の間に成形された所定の巻回数分の線材の送給量を実測する。そして、線材送給量の実測値と理論値とを比較して成形工具の目標位置データを補正するので、コイルばねのコイル径のばらつきが従来より抑えられる。これらにより、従来より歩留まりを向上させることができる。
【0016】
[請求項5の発明]
請求項5の構成によれば、コイルばねのばね長をレーザを用いて非接触で計測することが可能になる。
【0017】
[請求項6の発明]
請求項6の構成によれば、開始条件又は終了条件が成立する手前で、線材送給装置による線材送給速度を減速するので、線材の先端切り口が第1基準線と第2基準線との間に比較的ゆっくり進入し、画像処理装置が計測可能状態を検出する際のコイルばねの回転位置がより一層安定する。これにより、より精度が高い計測を行うことが可能になる。
【0018】
[請求項7の発明]
請求項7の構成では、開始条件から終了条件までに送給される理論上の線材の送給量Lrから所定の基準送給量Srを減算したLr−Srを目標送給量として線材を送給した基準位置で線材送給速度を減速する。そして、その基準位置から画像処理装置が計測可能状態を検出した終了位置までの間の実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量として求める。この構成によっても、開始条件から終了条件までに送給される理論上の線材の送給量と実際の線材の送給量とのずれ量を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る一実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。
図1に示したばね成形機10は、鉛直に起立した基台11に、線材送給装置20、1対の上下直動機構30,30、1対の傾斜直動機構40,40等を組み付けてなる。線材送給装置20は、基台11の前面に配置されて、上下に並んだ1対のローラ21,21を備えている。線材送給装置20のうちローラ21,21同士の接合部分からは水平方向の一方側(図1の右側)に線材ガイド12(一般に、「クイル」と呼ばれている)が延ばされ、その線材ガイド12には、両ローラ21,21の共通した接線上に線材挿通孔(図示せず)が貫通形成されている。そして、ローラ21,21の間に線材90を挟持し、送給用サーボモータ22(図5参照)を駆動源にしてこれらローラ21,21を対称回転することで、線材90が図1における右側に送給されて線材ガイド12の先端から送り出される。なお、本実施形態のばね成形機10で成形する線材90は、断面が円形になっている。
【0020】
図2に示すように線材ガイド12に対して線材送給方向の前方には、基台11から心金工具13が突出している。心金工具13は、断面半円形の棒状をなし、その平坦な側面13Aが、線材ガイド12側を向いている。
【0021】
図1に示すように1対の傾斜直動機構40,40は、基台11の前面に固定された増設板41,41に取り付けられている。そして、一方の傾斜直動機構40は、心金工具13から線材送給装置20と反対側の斜め上方に延び、他方の傾斜直動機構40は、一方の傾斜直動機構40の下方に配置されて、心金工具13から離れるに従って斜め上方に向かうように延びている。各傾斜直動機構40には、それらが延びた方向に直動するスライダ43が備えられている。スライダ43のうち心金工具13から離れた側の端部にはリンク部材42の一端部が回動可能に連結され、そのリンク部材42の他端部が、回動円盤45の偏心軸45Jに回動可能に連結されている。回動円盤45は、増設板41に対して回動可能に軸支され、その回転中心から偏心した位置に偏心軸45Jが配置されている。そして、増設板41の裏面側に取り付けられた上下動用サーボモータ46によって回動円盤45が回転駆動され、これによりスライダ43が直動する。
【0022】
各傾斜直動機構40のスライダ43の心金工具13側には工具取付具43Aが取り付けられており、この工具取付具43Aには成形工具16がそれぞれ固定されている。図2に示すように、一方の傾斜直動機構40に備えた成形工具16は、心金工具13に対して斜め上方から突き合わされ、他方の傾斜直動機構40に備えた成形工具16が、心金工具13に対して斜め下方から突き合わされている。また、これら成形工具16,16の先端面には、図示しない丸溝が上下方向に延びている。そして、線材送給装置20から送給された線材90が各成形工具16,16の丸溝に案内されて上方に向けられ、これにより線材90が心金工具13を取り囲むように円弧状に成形されてコイルばね91になり、図4に示すようにそのコイルばね91が基台11から離れる方向に成長していく。
【0023】
図1及び図3に示すように上下直動機構30,30は、心金工具13を間に挟んで上下に対称に配置されている。各上下直動機構30には、傾斜直動機構40のスライダ43と同様にスライダ31が備えられ、そのスライダ31が、リンク部材32を介して回動円盤34の偏心軸34Jに連結されている。そして、サーボモータ35にて回動円盤34を回転駆動することでスライダ31が直動する。
【0024】
上側の上下直動機構30におけるスライダ31には工具取付金具31Aが固定され、工具取付金具31Aには切断工具15が固定されている。切断工具15は角柱状をなし、工具取付金具31Aから鉛直下方に延びている。そして、切断工具15を降下すると心金工具13の平坦な側面13Aに隣接して擦れ違い、切断工具15のエッジと心金工具13のエッジとの間で線材90が切断される。
【0025】
下側の上下直動機構30におけるスライダ31には工具取付金具31Aが固定され、工具取付金具31Aには、ピッチ工具14が固定されている。図4に示すようにピッチ工具14の先端部のうち基台11と反対側には、鉛直方向に対して傾斜した傾斜面14Aが備えられ、この傾斜面14Aがコイルばね91を構成する線材90に対して巻回軸方向で基台11側から当接している。そして、ピッチ工具14を上方に移動することで、コイルばね91を構成する線材90を基台11から離れる方向に押して、コイルばね91のピッチを大きくすることができる。
【0026】
図3及び図4に示すように心金工具13の同軸延長線上には、ガイドバー17が設けられて心金工具13の先端面に突き合わされている。このガイドバー17は、断面円形をなしかつ先端にはテーパー部17Aを備えている。また、ガイドバー17の基端部は、例えば、図示しない架台に着脱可能かつ心金金具13に向かって前後移動可能に取り付けられている。そして、基台11から離れるように成長したコイルばね91がガイドバー17の外側に挿通され、そのガイドバー17の回りを回転しながら成長していく(図16参照)。
【0027】
なお、コイルばね91が完成して、切断工具15により後続の線材90から切り離されると、ガイドバー17が高速で後退し、コイルばね91はガイドバー17から外され自然落下する。
【0028】
図5には、ばね成形機10を駆動するための制御装置60が示されている。制御装置60の制御回路60C(本発明に係る「制御部」に相当する)にはCPU61、ROM62、RAM63、フラッシュメモリ64が備えられている。そして、フラッシュメモリ64に記憶したNCプログラムを実行することで、線材送給装置20、上下直動機構30,30、傾斜直動機構40,40等が駆動されて線材90からコイルばね91が成形される。図6には、そのNCプログラムの一部の一例が示されている。同図に示すように、NCプログラムでは、工具の移動コマンドである「GO1」に、指定工具番号「Z1」〜[Z3]と、その指定された工具の目標位置データD1〜D3とが並記されている。ここで、例えば、「Z1」は一方の成形工具16を指し、「Z2」は他方の成形工具16を指し、「Z3」はピッチ工具14を指している。そして、指定工具番号「Z1」の右横には、目標位置データD1から補正値H1を減算する補正演算式が記載され、指定工具番号「Z2」の右横には、目標位置データD2から補正値H2を減算する補正演算式が記載され、さらに、指定工具番号「Z3」の右横には、目標位置データD3から補正値H3を減算する補正演算式が記載されている。そして、この補正演算式の演算結果の数値で特定される位置に、各指定工具番号「Z1」〜「Z3」の工具が位置決め制御される。即ち、目標位置データD1〜D3が、補正値H1〜H3の減算により補正可能な構成になっている。
【0029】
制御回路60Cは、本発明に係る「送給ずれ量計測手段」に相当し、送給用サーボモータ22に備えた回転センサ(図示せず)の検出値を受け、計測開始から計測終了までの間における検出値の差分に基づいて線材90の送給量を計測し、制御回路60Cに備えたCPU61が、後述するコイル径補正プログラムPG4のステップS45を実行することで、実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を求める。
【0030】
図1に示すように、このばね成形機10には、ガイドバー17を挟んでレーザ投光器53とレーザ受光器54とが設けられ、これらレーザ投光器53とレーザ受光器54とが制御装置60に備えた投受光制御部55に接続されてばね長計測装置56(本発明に係る「ばね長計測手段」に相当する)が構成されている。このばね長計測装置56では、図4に示すようにガイドバー17から側方にオフセットした走査ラインL3に沿ってコイルばね91の線材90を横切るように、レーザ投光器53がレーザ光を走査する。すると、そのレーザ光をレーザ受光器54が受光し、コイルばね91によってレーザ光が遮られた位置に基づいて、投受光制御部55がコイルばね91のばね長を検出する。
【0031】
このばね成形機10には、画像処理用のカメラ50(具体的には、CCDカメラ)が備えられている。カメラ50は、ガイドバー17の軸方向と直交する方向に光軸を有し、ガイドバー17に対して斜め上方に配置されている。そして、カメラ50は、図14に示すようにガイドバー17に沿って成長していくコイルばね91を、逐次、側方から撮影する。なお、このカメラ50には、環状の照明器51(図1参照)が図示しないブラケットにて一体に固定されている。
【0032】
カメラ50で撮影した画像は制御装置60に備えた画像処理装置52に取り込まれる。その画像は縦横に複数の画素データをマトリックス状に並べてなり、各画素データは、「白」と「黒」とからなる2値信号の情報を有している。そして、画素データの「黒」の画素データの密集度により、画像上における影の濃淡が表されている。画像処理装置52には、取り込んだ画像を視認可能とするためのモニタ52Mが接続されている。図7及び図8には、画像処理装置52が取り込んだ画像が概念的に示されている。ここで、コイルばね91は、断面円形であるから、カメラ50側の照明器51からコイルばね91に向かった光は、コイルばね91の周方向における位置の相違により反射の程度が異なる。そして、カメラ50側から見て線材90の幅方向の中央部分では、カメラ50への反射光が強いために明るくなる。また、ガイドバー17も断面円形であるから、ガイドバー17の幅方向の両側部分でカメラ50への反射光が弱くなり、暗くなる。また、コイルばね91は、ガイドバー17に比べて径が大きいため、ガイドバー17の両側の黒い部分の画像上にはコイルばね91の中央部の白い部分が写し出される。これにより、そのガイドバー17を背景にして線材90の側部輪郭線R1が明確に区別可能になっている。
【0033】
画像処理装置52は、図10に示した画像処理プログラムPG1を実行して、画像処理を行う。すると、まず基準線設定処理(S11)を実行して、図7に示すように、取り込んだ画像上に、第1基準線L1及び第2基準線L2を設定する。具体的には、例えば、ガイドバー17の幅方向における両側部の輪郭線(図7のR3)からガイドバー17の幅方向の中心線を求め、その中心線を上下にオフセットして、これら第1基準線L1及び第2基準線L2を設定する。これにより、第1基準線L1及び第2基準線L2は、コイルばね91の巻回軸方向に延びかつ、ガイドバー17を背景にした線材90の側部輪郭線R1を横切った状態になる。
【0034】
次いで、画素データ抽出処理(図10のS12)を実行して、第1基準線L1及び第2基準線L2に沿って並んだ画素データ群を取り出す。具体的には、例えば、1ビットの幅で、第1基準線L1に沿って並んだ画素データ群を取り込むと共に、1ビットの幅で、第2基準線L2に沿って並んだ画素データ群を取り込む。図9には、第1基準線L1に沿って並んだ1ビット幅の線状の画素データ群の一部が示されている。同図において、正方形の升の1つが1つの画素データG1に相当する。
【0035】
次いで、先頭交点特定処理(図10のS13:本発明に係る「先頭交点検出手段」に相当する)を実行して、第1基準線L1と線材90の側部輪郭線R1との交点のうちコイルばね91の先頭に位置した第1先頭交点P1を求めると共に、第2基準線L2と線材90の側部輪郭線R1との交点のうちコイルばね91の先頭に位置した第2先頭交点P2を求める。具体的には、第1基準線L1に沿って並んだ1ビット幅の線状の画素データ群に対して、基台11から離れた側から所定のビットパターンを検索していく。その一例としては、例えば、図9に示すように基台11から離れた側(図9の右側)から検索していき、同図の符号A1で示した部位のように、「黒」の画素データが3ビット以上連続した後、「白」の画素データが3ビット以上連続したビットパターンを最初に認定した場合に、それら連続した「白」の画素データの先頭の画素データG1の位置を、第1先頭交点P1として求める。第2先頭交点P2に関しても同様にして求める。
【0036】
次いで、交点間ずれ量演算処理(図10のS14:本願発明に係る「交点間ずれ量検出手段」に相当する)を実行して、第1先頭交点P1と第2先頭交点P2との間でコイルばね91の巻回軸方向におけるずれ量を、交点間ずれ量Zpとして求める。具体的には、第1基準線L1及び第2基準線L2において上記した所定のビットパターンの検索開始位置を、コイルばね91の巻回軸方向における同一位置に設定しておき、その検索開始位置から第1先頭交点P1までのビット長と、検索開始位置から第2先頭交点P2までのビット長との差分を上記した交点間ずれ量Zpとして求める。
【0037】
次いで、状態検出処理(S15:本発明に係る「計測可能状態検出手段」に相当する)を実行して、交点間ずれ量Zpが、予め設定された所定の閾値以上であるか否かを判別し、閾値以上であった場合を計測可能状態として検出して状態検出信号Jkを制御回路60Cに出力する。
【0038】
ここで、図7に示すようにコイルばね91の先頭部分のシルエットは、線材90の先端切り口92を挟んで段差状になるから、線材の先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間に位置した場合には(図8参照)、それ以外の場合(図7参照)に比べて交点間ずれ量Zpが大きくなる。そこで、上記閾値は、先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間に位置した場合(図8参照)の交点間ずれ量Zpより常に小さく、先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間に位置しなかった場合(図7参照)の交点間ずれ量Zpより常に大きな値に設定されている。そして、交点間ずれ量Zpが閾値以上であった場合に、状態検出信号Jkを出力し、そうではなかった場合には状態検出信号Jkを出力しない。
【0039】
なお、図14には、横軸を例えば線材90の送給量Xに対する、コイルばね91の基端部から第1先頭交点P1までの巻回軸方向における距離Y1のグラフGf1と、コイルばね91の基端部から第2先頭交点P2までの巻回軸方向における距離Y2のグラフGf2とが示されている。同図では、一定の間隔で両グラフGf1,Gf2の縦軸方向の間隔が広がり、この広がるタイミングで、線材90の先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間を通過してコイルばね91が1回転することが分かる。
【0040】
制御装置60の制御回路60Cは、画像処理装置52から状態検出信号Jkを取得したことを条件にして、コイルばね91のばね長Bjと線材90の送給量Xjとを実測する。具体的には、制御回路60CのCPU61が、前記したNCプログラムにより線材90を1つずつ成形する毎に、図10〜図13に示したカウンタ更新プログラムPG2と、ばね長補正プログラムPG3と、コイル径補正プログラムPG4とをマルチタスク機能により同時に実行する。
【0041】
そして、カウンタ更新プログラムPG2を実行すると、図11に示すように、検出信号カウンタNが初期値の「0」にリセットされ(S21)、その後、画像処理装置52から状態検出信号Jkを取得する度に(S22:YES)、検出信号カウンタNを1つインクリメントする(S23)。これにより、コイルばね91が、ガイドバー17の回りを1回転して、先端切り口92が所定の位置(第1基準線L1と第2基準線L2との間)を通過する度に検出信号カウンタNがインクリメントされていく。
【0042】
また、ばね長補正プログラムPG3を実行すると、図12に示すように、カウンタiが初期値の「0」にリセットされると共に、成形前のばね長Bj(0)が「0」に設定される(S31)。そして、検出信号カウンタNが、「2」、「5」、「8」又は「12」の何れかの値になるまで待機し(S32:NOのループ)、何れかの値になったときに(S32:YES)に、カウンタiを1つインクリメントして(S33)、ばね長計測装置56にてばね長の計測を行い、その計測結果をBj(i)に取り込む(S34)。
【0043】
次いで、そのばね長Bj(i)からその前に計測したばね長Bj(i−1)を減算し、或いは、最初に計測したばね長Bj(1)の場合には、成形前のばね長Bj(0)を減算して区間ばね長Bjを求める(S35)。
【0044】
次いで、予めデータテーブルに記憶しておいた区間ばね長の理論値Br(i)を、区間ばね長Bjから減算して実測値と理論値とのずれ量ΔBを求める(S36)。ここで、区間ばね長の理論値Br(i)は、例えば、コイルばね91の一部の区間に含まれる巻回数と設計上のピッチとの積として求めることができる。そして、ずれ量ΔBに所定の係数K3を乗じた値を、前記したNCプログラムにおける補正値H3に設定し(S37)、上記ステップS32に戻る。これにより、1つのコイルばね91の成形中において、検出信号カウンタNが、「2」、「5」、「8」又は「12」になる計4回のタイミングで、ピッチ工具14の目標位置データD3が補正される。
【0045】
コイル径補正プログラムPG4が実行されると、図13に示すように検出信号カウンタNが「2」になるまで待機し(S41:NOのループ)、検出信号カウンタNが「2」になったこと(S41:YES)を開始条件にして、線材送給装置20により線材90の送給量Xjの計測を開始する(S42)。そして、検出信号カウンタNが「5」になるまで送給量を計測し続け(S43:NOのループ)、検出信号カウンタNが「5」になったこと(S43:YES)を終了条件にして送給量Xjの計測を終了する(S44)。
【0046】
次いで、予めデータテーブルに記憶しておいた線材90の理論上の送給量Xr(i)を、実測した送給量Xjから減算してずれ量ΔXを求める(S45)。ここで、理論上の送給量Xr(i)は、検出信号カウンタNが「2」から「5」になるまでの巻回数「3」を設計上のコイル径とピッチとの関数に乗じて求めることができる。そして、ずれ量ΔXに所定の係数K1を乗じた値を、前記したNCプログラムにおける補正値H1に設定すると共に、ずれ量ΔXに所定の係数K2を乗じた値を補正値H2に設定し(S46)、このコイル径補正プログラムPG4を終了する。これにより、1つのコイルばね91の成形中において初期の段階で成形工具16,16の目標位置データD1,D2が補正される。
【0047】
本実施形態のばね成形機10の構成は以上である。
ばね成形機10の動作を説明する。ばね成形機10は、NCプログラムを繰り返して実行することで線材90からコイルばね91を成形して後続の線材90から切り離す動作を繰り返す。このとき、各コイルばね91は、ガイドバー17の外側に挿通されて、ガイドバー17の回りを回転しながら成長し、コイルばね91の先頭部分が基台11から離れる方向に移動していく。そして、この成長していくコイルばね91の画像が、所定周期で、逐次、側方からカメラ50により撮影され、それら撮影された画像が、逐次、画像処理装置52に取り込まれる。
【0048】
画像処理装置52は、取り込んだ画像を、所定周期で、順次、以下のように処理していく。即ち、取り込んだ画像のうちガイドバー17を背景にした線材90の側部輪郭線R1を横切るように第1基準線L1と第2基準線L2とを設定する(図7参照)。そして、第1基準線L1と線材90の側部輪郭線R1との交点のうちコイルばね91の先頭に位置した第1先頭交点P1と、第2基準線L2と線材90の側部輪郭線R1との交点のうちコイルばね91の先頭に位置した第2先頭交点P2とを特定し、それら第1先頭交点P1と第2先頭交点P2との間で巻回軸方向における交点間ずれ量Zpを求める。ここで、コイルばね91の先頭部分のシルエットは、線材90の先端切り口92を挟んで段差状になるから、図8に示すように、先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間に位置した場合には、図7に示すように先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間から外れた場合に比べて交点間ずれ量Zpが大きくなって閾値以上になる。そして、交点間ずれ量Zpが閾値以上になった状態を計測可能状態として検出し、状態検出信号Jkを出力する。
【0049】
ここで、本実施形態では、図15の最下段に示すように、コイルばね91全体で少なくとも12巻き以上巻回される。換言すれば、コイルばね91はガイドバー17の回りを12回以上回転して先端切り口92が第1基準線L1を12回以上通過し、ばね成形機10の制御回路60Cは画像処理装置52から12回以上の状態検出信号Jkを受信する。そして、制御回路60CのCPU61は、コイルばね91の成形開始から所定番目の状態検出信号Jkを受けたことを条件にして、コイルばね91の成形開始から終了迄の間に、コイルばね91のばね長Bjをばね長計測装置56にて複数回計測する。そして、ばね長Bjの計測を行った各区間毎の区間ばね長を求めて理論値と比較し、ピッチ工具14の目標位置データD3を補正するから、成形されたコイルばね91のばね長のばらつきが抑えられる。
【0050】
また、CPU61は、コイルばね91の成形開始から所定番目の状態検出信号Jkを受けたことを開始条件にして、線材90の送給量Xjの計測を開始し、その後所定の巻回数分の線材90を送給してから状態検出信号Jkを受けたことを終了条件にして送給量Xjの計測を終了する。ここで、画像処理装置52は、コイルばね91がガイドバー17の回りの一定の回転位置に位置した場合にのみ状態検出信号Jkを出力する(即ち、計測可能状態を検出する)ので、開始条件から終了条件までの間に実際に成形された巻回数のばらつきは抑えられる。また、線材の送給量Lは、コイル径をD、ピッチをP、巻回数をN、座巻き部分の線材長さをaとすると、
L=((π・D)+P0.5×N+a
であるから、上記の如く巻回数のばらつきが小さいと、線材90の送給量の理論値と実測値とのずれ量ΔXにコイル径及びピッチのばらつきが反映される。そして、そのずれ量を低減させるように成形工具16,16の目標位置データD1,D2を補正するから、成形された線材90のコイル径のばらつきも抑えられる。
【0051】
上記の如く、線材90は成形中に形状がばらついても、ピッチ工具14の目標位置データD3及び/又は成型工具16,16の位置データD1,D2を補正することにより、そのばらつきの要因が迅速に排除される。そして、12回以上の所定回数分巻回されてからコイルばね91を後続の線材90から切断することでコイルばね91が完成する。
【0052】
このように本実施形態のばね成形機10によれば、コイルばね91の先頭部分における線材90の先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間に位置して交点間ずれ量Zpが閾値以上になったことを条件して、コイルばね91のばね長又は線材90の送給量Xjを計測するので、計測時におけるコイルばね91の回転位置が安定し、従来より正確な計測が可能になる。これにより、コイルばね91の形状のばらつきが抑えられ、歩留まりを向上させることができる。
【0053】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0054】
(1)前記実施形態において、送給量Xjを計測するための開始条件及び終了条件が成立する手前で線材送給装置20による線材送給速度を減速することが好ましい。これにより、線材90の先端切り口92が第1基準線L1と第2基準線L2との間に比較的ゆっくり進入し、画像処理装置52が計測可能状態を検出する際のコイルばね91の回転位置がより一層安定し、より精度が高い計測を行うことが可能になる。
【0055】
(2)前記実施形態では、コイル径補正のために、制御回路60CのCPU61が、画像処理装置52から状態検出信号Jkを取得したことを開始条件にして送給量Xjの計測を開始したが、新たにコイルばね91の成形を開始したことを開始条件にして送給量Xjの計測を開始する構成にしてもよい。
【0056】
(3)前記実施形態では、開始条件から終了条件までに送給される理論上の線材90の送給量Xr(i)と実際の送給量Xjとのずれ量ΔXを求め、そのずれ量ΔXに基づいてコイル径を補正していたが、以下のように構成してしてもよい。即ち、コイルばね91の成形を開始したことを開始条件にして線材90の送給量Xjの計測を開始し、図17(A)に示すように、線材90の送給量Xjが終了条件に至る長さより理論上、所定の基準送給量Srだけ不足した長さになる基準位置Q1まで通常の送給速度で線材90を送給する。そして、基準位置Q1から低速で線材90を送給して、画像処理装置52が状態検出信号Jkを出力した終了位置(先端切り口92が第1基準線L1に達した位置)までの間の実際の送給量Sjを計測すると共に、実際の送給量Sjと理論上の送給量Srとのずれ量ΔS(=Sj−Sr)を求め、このずれ量ΔSに基づいてコイル径を補正する。次いで、その終了位置の通過を開始条件にして、そこから、図17(B)に示すように、線材90の送給量Xjが終了条件に至る長さより理論上、所定の基準送給量Srだけ不足した基準位置Q1まで通常の送給速度で線材90を送給し、その基準位置Q1から低速で線材90を送給して終了位置までの間の実際の送給量Sjと理論上の送給量Srとのずれ量ΔSを求め、このずれ量ΔSに基づいてコイル径を補正する。以下、これを繰り返す。
【0057】
(4)前記実施形態では、ばね長計測装置56によりコイルばね91のばね長を計測していたが、画像処理にてばね長を計測してもよい。
【0058】
(5)前記実施形態のばね成形機10は、ピッチ工具14及び成形工具16,16の目標位置データD1〜D3の全部を補正していたが、何れか1つ又は2つの目標位置データを補正する構成にしてもよい。そのために、例えば、コイルばねのばね長のみを計測する構成、線材の送給量のみを計測する構成にしてもよい。
【0059】
(6)前記実施形態の理論値には、設計上の数値から算出された値のみならず、良品のコイルばねを成形する過程において求められた経験値も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係るばね成形機の正面図
【図2】ばね成形機の一部を拡大した部分拡大正面図
【図3】ばね成形機の側面図
【図4】ばね成形機の一部を拡大した部分拡大側面図
【図5】ばね成形機の制御上の構成を示した概念図
【図6】NCプログラムの一部を示したプログラムリスト
【図7】ガイドバーとコイルばねの画像の概念図
【図8】ガイドバーとコイルばねの画像の概念図
【図9】第1基準線に沿った画素データ群の概念図
【図10】画像処理プログラムのフローチャート
【図11】カウンタ更新プログラムのフローチャート
【図12】ばね長補正プログラムのフローチャート
【図13】コイル径補正プログラムのフローチャート
【図14】送給量と第1先頭交点及び第2先頭交点との位置関係を示したグラフ
【図15】送給量と各先頭交点の位置と関係を示したグラフ
【図16】送給量とばね長との関係を示したグラフ
【図17】他の実施形態のばね成形機の一部を拡大した部分拡大側面図
【図18】コイルばねの側面図
【符号の説明】
【0061】
10 ばね成形機
11 基台
14 ピッチ工具
16 成形工具
17 ガイドバー
20 線材送給装置
50 カメラ
52 画像処理装置
53 レーザ投光器
54 レーザ受光器
56 ばね長計測装置(ばね長計測手段)
60 制御装置
60C 制御回路(制御部)
90 線材
91 コイルばね
92 先端切り口
D1〜D3 目標位置データ
L1 第1基準線
L2 第2基準線
L3 走査ライン
P1 第1先頭交点
P2 第2先頭交点
R1 側部輪郭線
Zp 交点間ずれ量
ΔB,ΔX、ΔS ずれ量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばね成形機によって線材から成形されかつガイドバーの外側に挿通されて回転しながら成長していくコイルばねの画像を、逐次、側方からカメラを通して取り込んで画像処理を行う画像処理装置において、
前記コイルばねの巻回軸方向に延びかつ所定の間隔を開けて平行になった第1基準線及び第2基準線が、前記コイルばねの画像のうち前記ガイドバーを背景にした前記線材の側部輪郭線を横切るように設定され、
前記第1基準線と前記線材の側部輪郭線との交点のうち前記コイルばねの先頭に位置した第1先頭交点と、前記第2基準線と前記線材の側部輪郭線との交点のうち前記コイルばねの先頭に位置した第2先頭交点とを同一画像上で検出する先頭交点検出手段と、
それら第1先頭交点と第2先頭交点との前記巻回軸方向におけるずれ量を交点間ずれ量として検出する交点間ずれ量検出手段と、
前記線材の先端切り口が、前記第1基準線と前記第2基準線との間に位置して前記交点間ずれ量が所定の閾値以上になった状態を計測可能状態として検出する計測可能状態検出手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
線材を送給する線材送給装置と、
前記コイルばねのピッチを変更可能なピッチ工具と、
予め設定された目標位置データに基づいてサーボモータにて前記ピッチ工具の位置を制御する制御部と、
請求項1に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置が前記計測可能状態を検出したことを条件にして、前記コイルばねのばね長を計測するばね長計測手段と、
前記ばね長計測手段にて計測した実際のばね長と理論上のばね長とのずれ量を低減させるように前記目標位置データを補正するばね長補正手段とを備えたことを特徴とするばね成形機。
【請求項3】
線材を送給する線材送給装置と、
前記コイルばねのコイル径を変更可能な成形工具と、
予め設定された目標位置データに基づいてサーボモータにて前記成形工具の位置を制御する制御部と、
請求項1に記載の画像処理装置と、
前記コイルばねの成形を開始したこと、又は、前記画像処理装置が前記計測可能状態を検出したことを開始条件にして、前記線材の送給量の計測を開始し、それから所定の巻回数分の線材が送給された後、前記画像処理装置が前記計測可能状態を検出したことを終了条件にして前記計測を終了し、前記開始条件から前記終了条件までの間に計測された実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を求める送給ずれ量計測手段と、
前記送給ずれ量計測手段が求めた実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を低減させるように前記目標位置データを補正するコイル径補正手段とを備えたことを特徴とするばね成形機。
【請求項4】
線材を送給する線材送給装置と、
前記コイルばねのコイル径を変更可能な成形工具と、
前記コイルばねのピッチを変更可能なピッチ工具と、
予め設定された目標位置データに基づいてサーボモータにて前記成形工具及び前記ピッチ工具の位置を制御する制御部と、
請求項1に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置が前記計測可能状態を検出したことを条件にして、前記コイルばねのばね長を計測するばね長計測手段と、
前記ばね長計測手段にて計測した実際のばね長と理論上のばね長とのずれ量を低減させるように前記目標位置データを補正するばね長補正手段と、
前記コイルばねの成形を開始したこと、又は、前記画像処理装置が前記計測可能状態を検出したことを開始条件にして、前記線材の送給量の計測を開始し、それから所定の巻回数分の線材が送給された後、前記画像処理装置が前記計測可能状態を検出したことを終了条件にして前記計測を終了し、前記開始条件から前記終了条件までの間に計測された実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を求める送給ずれ量計測手段と、
前記送給ずれ量計測手段が求めた実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量を低減させるように前記目標位置データを補正するコイル径補正手段とを備えたことを特徴とするばね成形機。
【請求項5】
前記ばね長計測手段は、前記ガイドバーから側方にオフセットした走査ラインに沿ってレーザ光を走査するレーザ投光器と、前記レーザ投光器に対向配置されて、前記レーザを受光するレーザ受光器と、前記レーザ投光器から前記レーザ受光器へのレーザ光が前記コイルばねの先頭によって遮られた位置に基づいて、前記コイルばねのばね長を検出する演算処理部とを備えてなることを特徴とする請求項2又は4に記載のばね成形機。
【請求項6】
前記制御部は、前記開始条件又は前記終了条件が成立する手前で、前記線材送給装置による線材送給速度を減速するように構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載のばね成形機。
【請求項7】
前記開始条件から前記終了条件までに送給される理論上の前記線材の送給量をLrとし、前記コイルばねの1巻き分より短く設定された所定の基準送給量をSrとすると、前記制御部は、前記開始条件からLr−Srを目標送給量として線材を送給した基準位置で前記線材送給速度を減速し、
前記送給ずれ量計測手段は、前記基準位置から前記画像処理装置が前記計測可能状態を検出した終了位置までの間の実際の送給量を計測すると共に、その実際の送給量をSjとすると、Sj−Srを前記実際の送給量と理論上の送給量とのずれ量として求めるように構成されたことを特徴とする請求項3又は4に記載のばね成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−212362(P2007−212362A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34410(P2006−34410)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000116976)旭精機工業株式会社 (56)
【出願人】(591012200)株式会社東海スプリング製作所 (12)
【Fターム(参考)】