説明

画像形成用半導電性部材、並びに画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ

【課題】最外層表面に紙粉及びトナー等が付着するのを抑制し、最外層表面及びその内部からのブリードを防止することによって、感光体汚染を防止し、導電性を損なうことなく、環境変動を抑制でき、画質劣化の解消が図れ、すべり性の向上が図れ、耐摩耗性、及び耐久性が向上した画像形成用半導電性部材、並びに画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジの提供。
【解決手段】最外層が、少なくとも層状無機化合物と、導電剤とを含有してなり、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤と、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子とを含有する画像形成用半導電性部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合OA機器等における帯電ローラ、転写ローラ等として好適な画像形成用半導電性部材、並びに該半導電性部材を用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の複写機やプリンタにおいて、帯電ローラ、転写ローラ等の導電性ローラは、感光体に接して回転するように設けられており、それぞれ機能を奏するように構成されている。例えば、帯電ローラは、静電潜像の形成される感光体に対する帯電方式のローラ帯電部材として用いられており、感光体表面に、電圧印加した帯電ローラを押し当て、感光体と帯電ローラとを相互に回転させて、感光体表面を帯電させる接触帯電方式がある。また、感光体と帯電ローラとが接触せずに帯電を行う非接触帯電方式/近接帯電方式の導電性ローラが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
近年、電子写真方式の複写機やプリンタ等においては、高速化、高寿命化、高画質化、省エネルギー化に対する要求が高まっている。前記省エネルギー化では、低温定着方式が採用され、トナーの低融点化が行われている。また、前記高画質化では、重合等によりトナーの粒径を小さくしたり、トナーを球形にすることが行われている。
【0004】
しかし、省エネルギー化や高画質化を行うためのトナーの低融点化やトナー粒径の微細乃至球形化は、帯電ローラ、転写ローラ等の導電性ローラにおけるトナーの付着を引き起し易くなる。その結果、導電性ローラにトナーが付着し、固着すると画質劣化が問題となる。つまり、通紙枚数の増大によって、トナーの付着による帯電ローラ等の導電性ローラ全体の抵抗が上昇する。また、トナーの不均一付着による部分的な抵抗変化が起こって、画質の劣化が生じる。
【0005】
このような画質劣化を防止するには、トナーが帯電ローラ等の導電性ローラ表面に付着しないようにすればよいが、例えば、N−メトキシメチル化ナイロン等の親水性樹脂で最外層が形成されているローラは、高温高湿環境下での抵抗変動やトナーのローラ表面への付着防止には有効ではなかった。
【0006】
また、帯電ローラ等の導電性ローラとしては、導電性芯金に導電性弾性層、又は導電性非弾性層を設け、これら導電性層上に抵抗調整層を設けた構造のものが提案されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6参照)。
このような導電性ローラは、一般的に、導電性粒子を添加シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム組成物の弾性材料と、ポリエーテルエステルアミド、熱可塑性樹脂等の樹脂組成物の非弾性材料とから形成されている。
【0007】
また、導電性ローラには、ローラ材料のマトリクス中にイオン導電剤等のブルームしやすい材料が配合されており、該導電性ローラの表面にウレタン、ナイロン、フッ素樹脂などを含有する保護層を設けて、ブリードの発生、感光体汚染の防止を図っている。
【0008】
しかし、前記導電性ローラを高温高湿環境下で、長時間放置すると、樹脂成分が加水分解して感光体に固着したり、塗膜のピンホールなどから上記材料中の成分が滲み出し、ブリードして感光体汚染やトナーが付着し、固着してしまい、耐環境特性は必ずしも満足できるものではなかった。
【0009】
このような導電性ローラを帯電ローラとして用いた場合、帯電不良等による画像の不具合及び感光体の汚染及びトナー付着を防止するため、中間層及び最外層を設ける必要があり、その結果、多層構造となって、コスト高となる。また、導電性層の電気特性は添加した導電性粉末同士の接触により得られるので、電気的特性の不均一性による帯電ムラが生じやすいという問題がある。このため、イオン導電剤を添加して、電気特性の均一化を図る提案がなされている(特許文献7参照)。しかし、この提案は、必ずしも耐汚染性、及び耐環境特性を満足できるものではなかった。
【0010】
このような課題を解決するため、例えば芯金表面に、導電剤が分散されていない電気的中抵抗物質を含有する層を有し、該層上に前記電気的中抵抗物質より非粘着性の高い非粘着性物質を含有する表面層を有する半導電性ローラが提案されている(特許文献8及び特許文献9参照)。前記電気的中抵抗物質としては、例えばエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体、又はこれらの混合系のエピクロルヒドリンゴム(1×10〜1×1010Ω・cm)、ポリエーテルエステルアミドなどが挙げられる。前記非粘着性物質としては、例えばフルオロオレフィンと水酸基含有ビニルエーテルを構成成分とした含フッ素共重合体をイソシアネートで架橋させて得られる含フッ素架橋共重合体などが挙げられる。しかし、前記含フッ素架橋共重合体のみでは、紙粉やトナーのフィルミング付着防止、ブリード等による感光体の汚染防止効果が十分ではなかった。
【0011】
このように紙粉及びトナー等の付着防止を図るため、シリコーンオイルを添加することが提案されている。このシリコーンオイルは、紙粉及びトナー等の付着防止に効果があるが、該シリコーンオイルが、反応性基を持たない場合、該シリコーンオイル自身が感光体を汚染、あるいは保護層表面にブリードし、トナー付着を引き起すことがある。また、反応性基を有するシリコーンオイルは塗膜内で反応することにより、そのもの自身がブリードすることがなく、感光体汚染性やトナー付着性は低下するが、単独では半導電性部材からの低分子化合物のブリード防止効果は低いものであった(特許文献10、特許文献11、特許文献12、及び特許文献13参照)。
【0012】
上記以外にも、例えば、(1)基材がウレタンで疎水性ポリオール(フッ素化ポリオール)とイソシアネートとの硬化で構成されているローラ(特許文献14参照)、(2)フッ素樹脂ブリード防止層/保護層を設け、イソシアネート架橋剤でそれを硬化した半導電性ローラ(特許文献15参照)、(3)非粘着性物質としてイソシアネート架橋剤で架橋したフッ素架橋共重合体を使用した導電性ローラ(特許文献16参照)、(4)フッ素変性アクリレート系樹脂とフッ素オレフィン系樹脂とOH基を有する非(フッ素変性)アクリレート系樹脂とを、OH基と反応する化合物(ポリイソシアネート化合物)で架橋した半導電性ローラ(特許文献17参照)、(5)Mg(1−X)Al(OH)(CO(X/2)・mHOで表されるハイドロタルサイト化合物を含有する帯電部材(特許文献18参照)、(6)フッ素化ポリオールとポリイソシアネートとの高分子化合物を主体とする樹脂からなる表面層/保護層を設けた帯電部材(特許文献19参照)、(7)ポリエステルポリオール又はアクリルポリオールをイソシアネートで硬化させた皮膜を設けた帯電部材及び転写部材(特開平8−314233号公報参照)、などが種々提案されている。
【0013】
しかし、これらのフッ素樹脂化合物による紙粉及びトナー付着防止、並びにシリコーンオイルによる離型性を付与する目的で最外層に添加されている半導電性部材からのブリードを防止する材料では、半導電性部材表面へのブリード防止、感光体汚染防止、紙粉及びトナー付着防止効果は未だ十分ではなかった。また、保護層に導電剤として導電性顔料を分散させることにより、一定の導電性を付与しているが、半導電性層と同様に導電性顔料の分散不良に伴う抵抗値のばらつきから、帯電不良等の画像欠陥が発生するという問題があり、十分満足できる性能を有するものではなかった。
【0014】
【特許文献1】特許第3749501号公報
【特許文献2】特開平1−142569号公報
【特許文献3】特開平4−311972号公報
【特許文献4】特開平7−140760号公報
【特許文献5】特公平7−58403号公報
【特許文献6】特開2002−132019号公報
【特許文献7】特開2000−39755号公報
【特許文献8】特開平6−266206号公報
【特許文献9】特開平7−160155号公報
【特許文献10】特公平8−20794号公報
【特許文献11】特開平11−167273号公報
【特許文献12】特開2000−315003号公報
【特許文献13】特開2002−214880号公報
【特許文献14】特開平8−208087号公報
【特許文献15】特開平9−226973号公報
【特許文献16】特開平10−45953号公報
【特許文献17】特開平10−268613号公報
【特許文献18】特開2000−310218号公報
【特許文献19】特開平8−101563号公報
【特許文献20】特開平8−314233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、最外層表面に紙粉及びトナーが付着するのを抑制し、最外層表面及びその内部からのブリードを抑え感光体汚染を防止でき、導電性を損なうことなく、環境変動を抑制し、画質劣化の解消が図れ、すべり性向上、耐摩耗性、及び耐久性が向上した画像形成用半導電性部材、並びに該半導電性部材を用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、最外層に、少なくとも層状無機化合物と、導電剤として電子伝導剤及びイオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子を含有させることで、ブリードを防止でき、感光体汚染を防止し、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、画質劣化の解消が図れ、すべり性の向上が図れ、耐摩耗性付与し、耐久性を向上させることができる電子写真方式の画像形成用半導電性部材が得られることを知見した。
【0017】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 最外層が、少なくとも層状無機化合物と、導電剤とを含有してなり、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤と、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子とを含有することを特徴とする画像形成用半導電性部材である。
該<1>に記載の画像形成用半導電性部材においては、最外層に層状無機化合物及び導電剤を含有し、該導電剤として少なくとも電子伝導剤及びイオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子を含有することにより、最外層表面に紙粉及びトナー等が付着するのを抑制でき、最外層表面及びその内部からのブリードを抑えることによって、感光体汚染を防止し、最外層の追従性を向上させて、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、画質劣化を解消でき、すべり性の向上を図れ、耐摩耗性を付与し、耐久性の向上を実現できる。
<2> 最外層が、シリコーン化合物、フッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、及び反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物から選択される少なくとも1種を含有する前記<1>に記載の画像形成用半導電性部材である。
該<2>に記載の画像形成用半導電性部材においては、最外層が、シリコーン化合物、フッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、及び反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物から選択される少なくとも1種を含有することによって、最外層表面に紙粉及びトナー等が付着するのを抑制する効果を向上させることができる。更に最外層表面及びその内部からのブリードを抑え、感光体汚染を防止し、最外層の追従性を向上させて、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、画質劣化の解消を図れ、すべり性の向上を図れ、耐摩耗性を付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
<3> 最外層が、ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材である。
該<3>に記載の画像形成用半導電性部材においては、最外層が、ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有するので、最外層表面に紙粉及びトナー等が付着するのを抑制し、離型性が更に向上し、最外層表面及びその内部からのブリードを抑制することによって、感光体汚染を防止し、またローラ構造の場合における最外層の追従性を向上させて、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、画質劣化の解消を図れ、すべり性の向上を図れ、耐摩耗性を付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
<4> ポリオール化合物が、フッ素化ポリオール化合物、アクリルポリオール化合物、及びポリエステルポリオール化合物の少なくともいずれかである前記<3>に記載の画像形成用半導電性部材である。
該<4>に記載の画像形成用半導電性部材においては、ポリオール化合物が、フッ素化ポリオール化合物、アクリルポリオール化合物、及びポリエステルポリオール化合物の少なくともいずれかであるので、最外層表面に紙粉及びトナー等が付着するのを抑制する効果を向上させることができ、離型性が向上し、最外層表面及びその内部からのブリードを抑えることによって、感光体汚染を防止できる。またローラ構造などの場合に最外層の追従性を向上させ、導電性部材への密着性も向上し、最外層の剥がれがなく、導電性を損なわず、環境変動を抑制し、画質劣化の解消を図れ、すべり性の向上を図れ、耐磨耗性を付与し、半導電性部材の耐久性を向上させることができる。
<5> 最外層が、更にアクリル樹脂を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材である。
<6> 電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
前記帯電手段及び前記転写手段の少なくともいずれかが、前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材であることを特徴とする画像形成装置である。
<7> 電子写真感光体表面を帯電する帯電工程と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程とを少なくとも含む画像形成方法において、
前記帯電工程及び前記転写工程の少なくともいずれかが、前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材を用いて行われることを特徴とする画像形成方法である。
<8> 電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電手段及び前記転写手段の少なくともいずれかが、前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、最外層表面に紙粉及びトナーが付着するのを抑制でき、最外層表面及びその内部からのブリードを抑えることにより感光体汚染を防止でき、導電性を損なうことなく、環境変動を抑制し、画質劣化の解消が図れ、すべり性の向上が図れ、耐摩耗性及び耐久性が向上した画像形成用半導電性部材、並びに該半導電性部材を用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(画像形成用半導電性部材)
本発明の画像形成用半導電性部材は、少なくとも最外層を有してなり、更に必要に応じて弾性層、非弾性層等のその他の構成を有してなる。
前記画像形成用半導電性部材は、その層構成については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記最外層としては、弾性層、非弾性層、表面層(保護層)などが挙げられるが、表面層(保護層)であることが特に好ましい。
【0020】
〔最外層〕
前記最外層は、少なくとも層状無機化合物と、導電剤とを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0021】
<層状無機化合物>
前記層状無機化合物は、無機化合物が積層した層状構造を有し、該無機化合物の形状としては、例えば球状、円筒形状、塊状、立方体、直方体、板状などが挙げられ、これらの中でも、板状が特に好ましい。ここで、前記板状とは、相対する2面(卓面)が、特に発達した構造を有する無機化合物を意味する。
【0022】
前記層状無機化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばタルク、天然マイカ、合成マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、天然ハイドロタルサイト、合成ハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄、炭酸カルシウム、黒鉛、BNなどが挙げられる。これらの中でも、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトが好ましく、ハイドロタルサイトが特に好ましい。
前記ハイドロタルサイトは、[M2+1−x3+(OH)x+・[(An−x/n・mHO]x−の組成式で示される複水酸化物である。M2+及びM3+は、それぞれ2価の金属イオン、3価の金属イオンであり、An−はn価の陰イオンである。ハイドロタルサイトは、一般に、水酸化物層(ホスト層)と、陰イオン及び水分子からなる層(ゲスト層)とが交互に積層した層状構造を有する。ホスト層中のM2+の一部がM3+と同型置換されており、このM3+の部分に永久正電荷が生じる。電気的なバランスを保つためにイオン交換可能な陰イオンが層間に取り込まれる。ハイドロタルサイトは、数少ない無機陰イオン交換体の一つであり、付加価値の高い優れた機能性材料である。
【0023】
前記層状無機化合物の平均粒径は0.01〜5μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。前記平均粒径が0.01μm未満であると、ブリード防止効果が抑制されることがあり、5μmを超えると、ローラ表面粗さから画像品質に問題が生じることがある。
【0024】
本発明において、前記層状無機化合物を用いることによって、上記作用効果が奏される理由は定かではないが、層状構造であることによって、無機化合物同士が重なり合って、バリア機能の発揮あるいは層間にブリード成分の吸着等によって、最外層及び半導電性層からの汚染性低分子物質、イオン導電剤等がブリードするのを抑制できるものと考えられる。
【0025】
前記層状無機化合物の前記最外層における含有量は、特に制限はなく、他の最外層材料とのマッチング、放電条件等などに応じて異なり、一概には規定できないが、0.1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、ブリード抑制効果が低くなることがあり、30質量%を超えると、最外層の成膜性や塗膜強度の低下が生じることがある。
【0026】
<導電剤>
前記導電剤は、少なくとも電子伝導剤と、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子とを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0027】
−電子伝導剤−
前記電子伝導剤としては、無機材料又は有機材料が用いられる。該電子伝導剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカーボンブラック、グラファイト、フッ化カーボン;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属又は合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫−酸化インジウム複合酸化物等の導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、酸化チタン、カーボンブラックが特に好ましい。
前記電子伝導剤の平均粒径は、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。
【0028】
前記電子伝導剤の前記最外層における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.01〜40質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
【0029】
−イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子−
前記イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子は、例えば(H.Sawada et al.,Colloid Poly.Sci.,284,551(2006)等に記載されている合成方法に準拠して作製されたナノ粒子である。
前記イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子は、該フッ素系ポリマーナノ粒子中にイオン液体を内包したナノ粒子であり、ナノ粒子であるにも関わらず分散安定性が高く、最外層に均一に分散させることが可能である。また、前記イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子は、イオン液体の保持能が高く、半導電性部材の表面へのブリードも抑制できる。
前記イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記イオン液体とは、液体状態にあるイオン性化合物の総称であり、前記フッ素系ポリマーナノ粒子に保持されるイオン液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばピリジニウム系イオン液体、イミダゾリウム系イオン液体、脂環式アミン系イオン液体、脂肪族アミン系イオン液体、その他のイオン液体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記ピリジニウム系イオン液体としては、例えば1−エチルピリジニウムブロマイド、1−エチルピリジニウムクロライド、1−ブチルピリジニウムブロマイド、1−ブチルピリジニウムクロライド、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヘキサピリジニウムブロマイド、1−ヘキサピリジニウムクロライド、1−ヘキサピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキサピリジニウムテトラフロオロボレート、1−ヘキサピリジニウムトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。
【0032】
前記イミダゾリウム系イオン液体としては、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(L)−ラクテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(L)−ラクテート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムブロマイド、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムブロマイド、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,3−ジアリルイミダゾリウムブロマイド、1,3−ジアリルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1,3−ジアリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、などが挙げられる。
【0033】
前記脂環式アミン系イオン液体としては、例えばN−メチル−N−プロピルピペリジニウムブロマイド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムクロライド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムブロマイド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムクロライド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムブロマイド、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムクロライド、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、などが挙げられる。
【0034】
前記脂肪族アミン系イオン液体としては、例えばN,N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムブロマイド、N,N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムクロライド、N,N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、などが挙げられる。
【0035】
前記その他のイオン液体としては、例えば1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、などが挙げられる。
【0036】
これらの中でも、疎水性が高く、環境変動抑制効果に優れ、ブリードし難い点から、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ヘキサピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキサピリジニウムテトラフロオロボレート、1−ヘキサピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,3−ジアリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましく、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムテトラフルオロボレートが特に好ましい。
これらのイオン液体は、関東化学株式会社、日本カーリット株式会社などから入手することが可能である。
【0037】
前記イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子の平均粒径は、10〜100nmが好ましく、15〜85nmがより好ましい。前記平均粒径が100nmを超えると、フッ素系ポリマーナノ粒子がイオン液体を保持した粒子とならないことがあり、環境変動が大きくなることがある。
ここで、前記平均粒径は、例えば粒度分布計(MICROTRAC UPA Model:9340−UPA、日機装株式会社製)を用い、サンプルはエタノール媒質で0.1質量%固形分濃度に調整して測定することができる。
【0038】
前記イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子の前記最外層における含有量は、0.01〜40質量%が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましい。前記含有量が0.01質量%未満であると、導電剤としての効果を充分に発揮できず、抵抗のバラツキ抑制効果が充分に発揮できないことがあり、40質量%超えると、特に環境変動抑制効果が低下し、抵抗変動が大きくなり、帯電不良等からの画像欠陥、画像劣化が生じやすくなり、また、最外層の成膜性や塗膜強度の低下等を生じ、耐久性を低下させることがある。
なお、前記イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子は、最外層のほかにも導電性弾性層又は導電性非弾性層に添加しても構わない。
【0039】
前記イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子は、カーボンブラック等の電子伝導剤と併用することにより、最外層の体積抵抗率を制御することができる。
本発明において、前記層状無機化合物と、導電剤である電子伝導剤及びイオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子との混合割合は、特に制限はなく、目的とする体積抵抗率等に応じて適宜選定することができる。
【0040】
本発明の半導電性部材の最外層は、前記層状無機化合物、導電剤としての電子伝導剤及びイオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子を少なくとも含有してなり、更に樹脂成分を含有してなる。
前記樹脂成分としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも用いることができる。前記熱可塑樹脂としては、例えば熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性フッ素樹脂などが挙げられる。前記熱硬化樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、フッ素変性樹脂などが挙げられる。
【0041】
これらの中でも、塗膜性を良好とする点からポリオール化合物とイソシアネート化合物を含有することが好ましい。前記ポリオール化合物としては、例えばポリエステルポリオール化合物、ポリエーテルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、アクリルポリオール化合物、フッ素化ポリオール化合物、又はこれらの共重合ポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、フッ素化ポリオール化合物、アクリルポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物が特に好ましい。
【0042】
前記ポリエステルポリオール化合物としては、例えば二塩基酸又はそのエステル、酸ハライド、酸無水物等の反応性酸誘導体と、グリコール、アミノアルコール等の単独又は混合物との縮合反応により得られるポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールなどが挙げられる。
【0043】
前記ポリカーボネートポリオール化合物としては、例えば多価アルコールとエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応などにより得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。前記ポリエーテルポリオール化合物としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、又はこれらのコポリマーなどが挙げられる。
【0044】
前記フッ素化ポリオール化合物は、イソシアネートと反応する基(水酸基)を1つ以上持ったフッ素樹脂であり、例えばテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等の水酸基含有のフッ素樹脂などが挙げられる。具体的には、水酸基を有するFEVE(フルオロエチレン単位とビニルエーテル単位)交互共重合体が挙げられる。
【0045】
前記アクリルポリオール化合物としては、水酸基を持つアクリルモノマーとアクリル酸エステルとの共重合体などが挙げられる。なお、水酸基は該アクリル樹脂主鎖に無秩序に配置されている。前記水酸基含有比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、種々の共重合比で制御することができる。
前記アクリルポリオール化合物としては、例えば、アクリル酸(AA)/ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)/メチルメタクリレート(MMA)/ブチルメタクリレート(BMA)/ブチルアクリレート(BA)、アクリル酸(AA)/ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)/メチルメタクリレート(MMA)/ブチルメタクリレート(BMA)/ブチルアクリレート(BA)などが挙げられる。
【0046】
前記共重合ポリオール化合物としては、前記ポリエステルポリオール化合物、前記ポリカーボネートポリオール化合物、前記ポリエーテルポリオール化合物を共重合成分としたポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
【0047】
前記イソシアネート化合物は、架橋剤として添加され、分子中に2個以上のイソシアネート基を持つ化合物であり、一般にポリウレタンの製造原料として用いられるイソシアネートと同様のものを用いることができる。
【0048】
前記イソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、又はこれらの重合体、誘導体、変性体、水素添加体などが挙げられる。
これらの中でも、耐オゾン性及び耐熱性の点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又はこれらの重合体、誘導体、変性体が特に好ましい。
【0049】
前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物とのウレタン形成反応に際して使用される助剤としては、例えばグリコール類、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、アミン類等の鎖延長剤あるいは架橋剤などが挙げられる。前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物のNCO/OHモル比は、1.0/1.0〜1.8/1.0が好ましい。
【0050】
前記最外層には、離型性を与えるフッ素系樹脂を含有させることもできる。該フッ素系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド共重合体、ポリビニリデンフルオライドポリビニルフルオライドなどが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の水酸基変性樹脂などの水酸基含有のフッ素樹脂をフッ素化ポリオール化合物としてイソシアネート化合物と反応させることにより、良好な塗膜を与え、好適である。また、フッ素系樹脂を含有することは、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子とフッ素系樹脂とのなじみがよく、塗膜中への分散を良好とするのでより好ましい。
【0051】
前記フッ素化ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応塗膜は、ビニルエーテル単位の側鎖の官能基、例えば、アルキル基、アルキレン基の種類を変えること、イソシアネート化合物に高分子量のポリイソシアネート化合物を使用することなどにより、塗膜の伸び、摩擦係数を任意に調整することができる。特に伸び、膜硬度を調整した場合には最外層の可撓性を向上させることができ、それによって屈曲性に優れた部材を得ることができる。その際、伸びが50%未満では亀裂が入ってブリード防止効果がなくなることがあるため、50%以上の伸びに調整するのが好ましい。
【0052】
これらフッ素化ポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応樹脂を用いると、半導電性部材の表面汚染を防止することができる。例えば、カンペ(登録商標)フロンHD(関西ペイント株式会社製)、ルミフロン(登録商標)シリーズ(旭硝子株式会社製)、ゼッフル(登録商標)シリーズ(ダイキン株式会社製)等のフッ素化ポリオール化合物と、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物等のポリオール付加ポリイソシアネート化合物や、更にメラミン樹脂等のアミノ樹脂とを反応させた架橋構造の最外層が挙げられる。
【0053】
前記最外層には、必要に応じて、上記樹脂以外にもその他の樹脂を添加することができる。該その他の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、メラミン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、分散性向上、塗膜接着性向上、静電的な紙粉及びトナー防汚性の観点より、アクリル樹脂が特に好ましい。なお、前記アクリル樹脂を用いる場合には、ポリオール成分として前記アクリルポリオール化合物を使用し、前記イソシアネートと反応させてもよい。
【0054】
前記最外層には、離型性の向上を図るため、シリコーン化合物、フッ素化シリコーン化合物、塗膜により強固に離型性成分を固定化する反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物等を添加することが好ましい。これら化合物を添加することにより、紙粉及びトナー付着に対する離型性をより向上させることができる。
【0055】
前記シリコーン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイルが挙げられる。これらの中でも、相溶性が良好で、充填剤による保持性が高いという点から、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイルが特に好ましい。
【0056】
前記フッ素化シリコーン化合物としては、一般にフロオロシリコーンオイルと言われる化合物、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビス(トリデカフロロオクチル)テトラメチルシロキサンや、フルオロシリコーングリースなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらは塗膜溶液のレベリングにも寄与する効果もあり、塗膜の平滑性向上となる。
【0057】
前記シリコーン化合物及びフッ素化シリコーン化合物の重量平均分子量は、400〜50,000が好ましく、1,000〜20,000がより好ましい。前記シリコーン化合物及びフッ素化シリコーン化合物の添加量は、溶媒を含まない最外層成分100質量部に対して0.4質量部以下が好ましく、0.01〜0.2質量部がより好ましい。前記添加量が0.01質量部未満であると、離型性に対して十分な効果を発揮できず、0.4質量部を超えると、ブリード等の汚染や紙粉及びトナー付着の原因になる可能性がある。
【0058】
また、最外層に離型性成分を固定する目的で、反応性基を有するシリコーン化合物、反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物が、より耐ブリード性にも効果があり、好ましい。
前記反応性基を有するシリコーン化合物は、イソシアネート架橋剤や塗膜材料との硬化反応を適宜選択でき、多量配合も可能となり、離型性向上に有効である。前記反応性基としては、例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アクリル基などが挙げられる。
【0059】
前記反応性基を有するシリコーン化合物としては、例えばカルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メタクリロキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これら反応性シリコーン化合物の変性形態としては、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型が好ましい。
【0060】
前記反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物としては、ビニル末端基、シラノ−ル末端基等を有するフッ素化シリコーン化合物が挙げられる。具体的には、ビニル末端トリフロロプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、シラノール末端ポリトリフロロトリフロロプロピルメチルシロキサンなどが挙げられる。該反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物は上記反応性シリコーン化合物と同様に離型性を高めるとともに、フッ素基による汚れの付着防止とブリード防止効果を更に向上させることができる。また、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子の塗膜中の分散安定化にも繋がる。
【0061】
前記反応性基を有するシリコーン化合物は、樹脂との相溶性があり、塗膜に均一に分散し、これらは塗膜溶液のレベリングにも寄与する効果もあり、塗膜の平滑性向上となる。特に、アミノ基、水酸基、カルボキシル基を持ったシリコーン化合物は、イソシアネート化合物との硬化反応により、最外層に固定できる。また、エポキシ基を持ったシリコーン化合物は、上記フッ素樹脂の活性水素と反応し、固定化される。これにより、最外層の離型性向上、摩擦力の低下が起こる。更に、これらは最外層中の低分子物質のブリードも防ぎ、バリア効果も供することができ、より感光体汚染、更には紙粉及びトナー付着を低減させることができる。更にまた、シリコーン化合物の多量含有が可能となり、より離型性向上となる。
【0062】
前記反応性基を有するシリコーン化合物及び反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物は、重量平均分子量が400〜50,000が好ましく、1,000〜20,000がより好ましい。
前記反応性基を有するシリコーン化合物又は反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物の配合割合は、溶媒を含まない塗膜成分100質量部に対し0.4質量部以下が好ましく、0.01〜0.2質量部がより好ましい。前記配合割合が0.01質量部未満であると、離型性に対して十分な効果を発揮できず、0.4質量部を超えると、ブリード等の汚染原因になる可能性がある。これらシリコーン化合物等を塗膜材料に添加すると、高離型性を付与することができる。
【0063】
前記最外層におけるその他の成分としては、例えばレベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、沈降防止剤、消泡剤、腐食防止剤、希釈用溶媒、増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等などの各種添加剤を含有してもよい。
【0064】
前記最外層の形成は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、最外層を形成する各成分を含む最外層塗布液を調製し、該最外層塗布液を塗布することにより形成することができる。前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法などが挙げられる。
【0065】
前記最外層の体積抵抗率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1×10〜1×1012Ω・cmが好ましく、1×10〜1×1010Ω・cmがより好ましい。
ここで、前記体積抵抗率は、例えば最外層塗布液をアルミニウム試験板に塗工し、焼成したサンプルを、計測器としてアドバンテスト社製のデジタル超高抵抗/微小電流計 R8340Aを用い、測定条件として10V印加 1分値(JIS K6911に準拠 φ70電極使用)で測定することができる。
このようにして作製された最外層に凹凸があると、トナーが詰まってしまい画像不良の原因となるため、最外層はできるだけ平滑な方が好ましい。
【0066】
前記最外層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、50μm以下が好ましく、1〜30μmがより好ましく、3〜20μmが更に好ましい。前記厚みが50μmを超えると、最外層の柔軟性が損なわれてしまうことがある。
【0067】
前記半導電性部材が帯電ローラである場合には、該帯電ローラの内部に金属製又はプラスチック製のシャフトと、該シャフトの外周に弾性層又は非弾性層と、少なくとも1層の最外層とを有し、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
【0068】
本発明の半導電性部材を使用した帯電ローラは、印字抜け、ムラ、カブリのない画像を安定的に得ることができ、温度及び湿度に対する環境変動抑制性に優れる。
前記帯電ローラの抵抗値は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1×10〜1×1012Ωが好ましく、1×10〜1×1010Ωがより好ましい。
ここで、前記ローラ抵抗値は、例えば計測器としてアドバンテスト社製のデジタル超高抵抗/微小電流計 R8340Aを用い、測定条件として100V印加、30s値、ローラ加重1kgf(片側500gf)、回転測定、周速470cm/minにより、図8に示すように測定対象となる半導電性部材(ローラ)500をセットして測定することができる。
【0069】
<弾性層>
本発明の半導電性部材における弾性層としては、特に制限はなく、従来から弾性層に用いられているゴム、発泡体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン系ゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等を基材ゴムとするゴム組成物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
前記弾性層は、イオン導電剤、電子導電剤等の導電剤を添加することにより、所定の導電性を付与することができる。前記イオン導電剤としては、例えばテトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、アンモニウム塩、PF塩、BF塩などのようなアンモニウム塩;アルカリ金属又はアルカリ土類金属(例えばリチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等)の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩、PF塩、BF塩などが挙げられる。
【0071】
前記電子導電剤としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫−酸化インジウム複合酸化物等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
前記導電剤の前記弾性層における添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜各種状況に応じて適宜選択することができ、イオン導電剤の場合には、ゴム100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましい。電子導電剤の場合には、ゴム100質量部に対し0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。
前記弾性層の体積抵抗率は1×10〜1×1010Ω・cmが好ましく、1×10〜1×10Ω・cmがより好ましい。
ここで、前記弾性層の体積抵抗率は、例えば2mm厚みの半導電性部材の弾性層シートを、計測器として三菱インスツルメンツ社製のハイレスタIPを用い、測定条件として10V印加、1分値の条件で測定することができる。
前記弾性層には、更に必要に応じて、充填材、架橋剤、発泡剤、ゴム用添加剤などを添加することもできる。
【0073】
<非弾性層>
本発明の半導電性部材における非弾性層は、特に制限はなく、従来から非弾性層として用いられている樹脂組成物から形成することができる。
前記樹脂組成物は、少なくとも熱可塑性樹脂と、高分子型イオン導電剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン又はその共重合体(AS樹脂、ABS樹脂等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
前記高分子型イオン導電剤としては、単体の体積抵抗率が1×10〜1×1010Ω・cm程度であり樹脂組成物の抵抗を制御しやすいものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリエーテルエステルアミド成分を含有する化合物が好適である。前記高分子型イオン導電剤の添加量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し30〜70質量部が好ましい。
前記高分子型イオン導電剤の前記熱可塑性樹脂への分散は、二軸混練機、ニーダー等の手段を用いることにより行うことができる。これにより、イオン導電剤はマトリックスポリマー中に均一に分散するので、導電性物質の分散不良に伴う抵抗のばらつきが生じにくい。また、上記化合物は高分子であるためマトリックスポリマー中に均一に分散して固定され、ブリードアウトが生じ難くなっている。
前記非弾性層には、更に必要に応じて、前記弾性層と同様に電子伝導剤や充填材等を添加することもできる。
【0075】
本発明の半導電性部材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、帯電ローラとして接触帯電方式、又は接触せずに帯電を行う非接触帯電方式/近接帯電方式に用いられる。また、転写ローラとしても用いることができる。なお、ローラ形状以外にも、プレート状、ブロック状等の各種形状のものが適用可能である。これらの中でも、以下に説明する画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジに用いることが特に好ましい。
【0076】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、クリーニング手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他による手段、例えば、定着手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、クリーニング工程とを少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば定着工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
【0077】
本発明による画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記露光工程は前記露光手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
前記帯電手段及び前記転写手段の少なくともいずれかが、本発明の前記画像形成用半導電性部材であり、前記帯電工程及び前記転写工程の少なくともいずれかが、本発明の前記画像形成用半導電性部材を用いて行われる。
【0078】
<電子写真感光体>
前記電子写真感光体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。
【0079】
前記アモルファスシリコン感光体は、例えば、支持体を50〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法により、a−Siからなる感光層を形成したものである。これらの中でも、プラズマCVD法が特に好ましく、具体的には、原料ガスを直流、高周波又はマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Siからなる感光層を形成する方法が好適である。
【0080】
前記有機感光体(OPC)は、(1)光吸収波長域の広さ、光吸収量の大きさ等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気的特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性、等の理由から一般に広く応用されている。このような有機感光体の層構成としては、単層構造と、積層構造とに大別される。
前記単層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に単層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
前記積層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する積層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
【0081】
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程は、電子写真感光体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、本発明の前記画像形成用半導電性部材が用いられ、(1)電子写真感光体と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)電子写真感光体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
【0082】
ここで、図1は、本発明の実施の形態の一例の帯電ローラ2の概略断面図である。この帯電ローラ2は、導電性支持体201の表面に導電層202が形成され、更に導電層202の表面に表面層203が形成されることで構成されている。
【0083】
また、本発明の半導電性部材を用いた帯電装置としては、(1)電子写真感光体と接触して帯電させる接触方式、(2)電子写真感光体と非接触で帯電させる非接触方式のいずれであってもよい。図2に示すように、感光ドラム1に、本発明の半導電性部材の帯電部材である帯電ローラ2を回転させるとともに、電圧印可手段により、感光ドラムと帯電ローラとの間に、直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印可して上記感光ドラムを帯電させるように構成した帯電装置が挙げられる。なお、本発明の半導電性部材使用の帯電装置は、これに限るものではなく、感光体や帯電部材の形態、あるいは電圧印可手段による電圧印可方式などは適宜変更してもよい。
【0084】
ここで、非接触帯電乃至近接帯電方式について更に詳しく示すと、静電潜像が形成される感光ドラム1、該感光ドラム1に近接配置されて帯電処理を行う帯電ローラ2、レーザ光あるいは原稿の反射光等の露光系3、感光ドラム1の静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ4、帯電ローラ2に電圧を印加するためのパワーパック5、感光体ドラム1上のトナー像を記録紙7に転写処理する転写ローラ6、給紙部から搬送されてきた記録紙7、転写処理後の感光体ドラム1をクリーニングするためのクリーニング装置8、感光ドラム1の表面電位を測定する表面電位計9である。
【0085】
また、本発明の前記半導電性部材を用いた帯電装置を有する図2に示すような画像形成装置では、次のような工程により画像の形成を行うことができる。
(1)帯電ローラ2が、感光ドラム1の表面を所望の電位に帯電する。
(2)露光系3が、感光ドラム1に画像光を投射して、所望の画像に対応する静電潜像を感光ドラム1上に形成する。
(3)現像ローラ4が、静電潜像をトナーによって現像し、感光ドラム1上にトナー像を形成する。
(4)転写ローラ6が、感光ドラム1上のトナー像を、記録紙7に転写する。
(5)クリーニング装置8が、転写されず感光ドラム1上に残留したトナーを清掃する。
(6)転写ローラ6によって、トナー像を転写された記録紙7は、定着装置へと搬送される。定着装置は、トナーを加熱及び加圧して記録紙7上に定着する。
上記(1)〜(6)の手順を繰り返すことによって、記録紙7上に所望の画像が形成される。
【0086】
<露光工程及び露光手段>
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接電子写真感光体上に投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して電子写真感光体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0087】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
【0088】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0089】
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0090】
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
【0091】
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0092】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ転写する転写手段を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写手段としては、本発明の前記半導電性部材が用いられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0093】
−定着工程及び定着手段
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
【0094】
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有するものが用いられる。
前記定着部材としては、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
【0095】
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0096】
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。なお、クリーニング手段を用いることなく、摺擦部材で残留トナーの電荷を揃え、現像ローラで回収する方法を採用することもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0097】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0098】
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0099】
次に、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図3を参照しながら説明する。図3に示す画像形成装置100は、電子写真感光体としての感光体ドラム10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置による露光30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニングブレード60と、除電手段としての除電ランプ70とを備えている。
【0100】
中間転写体50は無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、図中矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍に中間転写体用クリーニングブレード90が配置されており、また、記録媒体95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、この中間転写体50上の可視像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、電子写真感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体95との接触部との間に配置されている。
【0101】
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、この現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラにより回転可能に張架され、一部が電子写真感光体10と接触している。
【0102】
図3に示す画像形成装置100においては、まず、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置(不図示)が感光体ドラム10上に像様に露光30を行い、静電潜像を形成する。感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像を形成する。該可視像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に記録媒体95上に転写(二次転写)される。その結果、記録媒体95上には転写像が形成される。なお、電子写真感光体10上の残存トナーは、クリーニングブレード60により除去され、電子写真感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0103】
次に、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図4を参照しながら説明する。図4に示す画像形成装置100は、図3に示す画像形成装置100において、現像剤担持体としての現像ベルト41を備えておらず、電子写真感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図3に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図4においては、図3におけるものと同じものは同符号で示した。
【0104】
−タンデム型画像形成装置及び画像形成方法−
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図5を参照しながら説明する。この図5に示すタンデム型画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。このタンデム型カラー画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
【0105】
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図5中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング手段17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像手段120が配置されている。タンデム型現像手段120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像手段120が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着装置25が配置されている。
なお、二次転写手段22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
【0106】
次に、タンデム型現像手段120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0107】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの画像情報とされる。
【0108】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像手段120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像手段120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図6に示すように、それぞれ、電子写真感光体10(ブラック用電子写真感光体10K、イエロー用電子写真感光体10Y、マゼンタ用電子写真感光体10M、及びシアン用電子写真感光体10C)と、該電子写真感光体10を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記電子写真感光体を露光(図6中、L)し、該電子写真感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用電子写真感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用電子写真感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用電子写真感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用電子写真感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0109】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録媒体を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上の記録媒体を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録媒体の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写手段22との間に記録媒体を送出させ、二次転写手段22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該記録媒体上に転写(二次転写)することにより、該記録媒体上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0110】
カラー画像が転写され形成された前記記録媒体は、二次転写手段22により搬送されて、定着装置25へと送出され、この定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該記録媒体上に定着される。その後、該記録媒体は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0111】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、露光手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
前記帯電手段及び前記転写手段の少なくともいずれかが、本発明の前記画像形成用半導電性部材である。
前記画像形成用半導電性部については、上述した画像形成装置及び画像形成方法で説明したものと同様なものを用いることができる。
【0112】
前記現像手段としては、前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、現像剤担持体に担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンタに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
【0113】
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図7に示すように、電子写真感光体101を内蔵し、帯電手段102、現像手段104、転写手段108、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図7中、103は露光手段による露光、105は記録媒体をそれぞれ示す。
次に、図7に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、電子写真感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の電子写真感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【実施例】
【0114】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0115】
(合成例1)
−イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子の合成−
下記に示すフルオロアルキル両末端封止N,N−ジメチルアクルリアミドオリゴマー5gを溶解したメタノール溶液200mLと、テトラエトキシシラン(TEOS)4.7g、シリカナノ粒子メタノール溶液(固形分=30質量%、平均粒径=1.1nm、メタノール シリカゾル(TR)、日産化学株式会社製)33.3g、25質量%アンモニア溶液5mL、及びイオン液体として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(関東化学株式会社製)3mLを2時間室温にて混合攪拌した。溶媒を留去した後、得られた粗生成物にメタノール250mLを添加し、室温で攪拌した後、30分間遠心分離し、減圧乾燥して、合成例1のイオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子13.0gを合成した。
得られたイオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子の平均粒径を、粒度分布計(MICROTRAC UPA Model:9340−UPA、日機装社製)を用い、サンプルはエタノール媒質で0.1質量%固形分濃度に調整して測定したところ、42nmであった。
−フルオロアルキル両末端封止N,N−ジメチルアクリルアミドオリゴマー−
H.Sawada et al.,Eur Polym.J.36;231(2000)に従って合成した。
Rf−(CHCHC(=O)N(CH−Rf/Rf−(DMAA)−Rf、Rf=CF(CF)OC、数平均分子量(Mn)=4,820
【0116】
(合成例2)
−イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子の合成−
合成例1において、イオン液体としてN−メチル−N−ブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(日本カーリット株式会社製)5mLを使用した以外は、合成例1と同様にして、合成例2のイオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子12.8gを合成した。
得られたイオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子の平均粒径を、上記合成例1と同様にして測定したところ、31nmであった。
【0117】
(実施例1)
−半導電性部材の作製−
下記組成の最外層塗布液を調製した。
・ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250、大日本色材工業株式会社製)・・・100質量部
・電子伝導剤(酸化チタン、MT-150A、テイカ株式会社製)・・・3.0質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例1)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・0.14質量部
【0118】
次に、直径8mmの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層(体積抵抗率R=2.5×10Ω・cm)を設けたローラ上に、上記最外層塗布液を硬化後の厚みが5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例1の半導電性部材(ローラ抵抗R’=1.0×10Ω)を作製した。
なお、弾性層の体積抵抗率R、及び半導電性部材のローラ抵抗R’は、以下のようにして測定した。
<弾性層の体積抵抗率R>
弾性層の体積抵抗率Rは、2mm厚みの半導電性部材の弾性層シートを、計測器として三菱インスツルメンツ社製のハイレスタIPを用い、測定条件として10V印加、1分値にて測定した。
【0119】
<ローラ抵抗R’>
ローラ抵抗R’は、計測器としてアドバンテスト社製のデジタル超高抵抗/微小電流計 R8340Aを用い、測定条件として100V印加、30s値、ローラ加重1kgf(片側500gf)、回転測定、周速470cm/minにより、図8に示すように測定対象となる半導電性部材(ローラ)500をセットして測定した。
【0120】
(実施例2)
−半導電性部材の作製−
実施例1において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、カーボンで抵抗調整したNBR弾性層(体積抵抗率R=4.0×10Ω・cm)を設けた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の半導電性部材(ローラ抵抗R’=1.8×10Ω)を作製した。
【0121】
(比較例1)
−半導電性部材の作製−
下記組成の最外層塗布液を調製した。
・ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250、大日本色材工業株式会社製)・・・100質量部
・電子伝導剤(酸化チタン、MT−150A、テイカ株式会社製)・・・5.0質量部
【0122】
次に、直径8mmの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に、上記最外層塗布液を硬化後の厚みが5μmとなるように、スプレー塗工し、比較例1の半導電性部材を作製した。
【0123】
(比較例2)
−半導電性部材の作製−
比較例1において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、実施例2と同様のカーボンで抵抗調整したNBR弾性層を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の半導電性部材を作製した。
【0124】
(比較例3)
−半導電性部材の作製−
実施例1において、最外層を設けない以外は、実施例1と同様にして、芯金上に三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層のみを設けた比較例3の半導電性部材を作製した。
【0125】
(比較例4)
−半導電性部材の作製−
実施例2において、最外層を設けない以外は、実施例2と同様にして、芯金上にカーボンで抵抗調整したNBR弾性層のみを設けた比較例4の半導電性部材を作製した。
【0126】
(比較例5)
−半導電性部材の作製−
実施例1において、層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製)を含まない以外は、実施例1と同様にして、比較例5の半導電性部材を作製した。
【0127】
(比較例6)
−半導電性部材の作製−
比較例5において、三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層に代えて、実施例2と同様のカーボンで抵抗調整したNBR弾性層を用いた以外は、比較例5と同様にして、比較例6の半導電性部材を作製した。
【0128】
次に、作製した実施例1〜2及び比較例1〜6の半導電性部材について、以下のようにして、OPC異常の有無を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0129】
<評価方法>
作製した各半導電性部材を帯電ローラとして、株式会社リコー製imagio感光体トナーキットMに搭載し、60℃、30%RH環境下に10日間放置した。その後、株式会社リコー製imagio感光体トナーキットMを、画像形成装置(株式会社リコー製、Imagio MF−1530)に搭載し、白ベタ画像及びハーフトーン画像を出力させて、半導電性部材が接触していたOPC部分に異常が認められないか否かの評価試験を行った。
【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【0132】
表1及び表2中の用語の内容は以下の通りである。
*PVDF・TFE・HFP三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物:ノバフッソPF250(大日本色材工業株式会社製)
*層状無機化合物:合成ハイドロタルサイトDHT−4A(協和化学工業株式会社製)
*電子伝導剤:酸化チタン、MT−150A(テイカ株式会社製)
*イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例1)におけるイオン液体:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート
【0133】
表1及び表2から、比較例3及び4の結果から、OPC汚染物質が三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層、及びNBR弾性層に内在していることが分かる。また、実施例1及び2と、比較例1及び2との対比により、最外層に含有されている層状無機化合物により、半導電性部材及び最外層に内在しているOPC汚染物質によるOPC汚染の問題を解消できることが分かる。
【0134】
(実施例3)
−半導電性部材の作製−
下記組成の最外層塗布液を調製した。
・ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250、大日本色材工業株式会社製)・・・100質量部
・電子伝導剤(酸化チタン、MT-150A、テイカ株式会社製)・・・3.0質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・0.14質量部
・シリコーン化合物(シリコーンオイル、DMS−T11、チッソ株式会社製)・・・0.0032質量部
【0135】
次に、直径8mmの芯金上に3mm肉厚の三元系エピクロルヒドリンゴム(GECO)弾性層を設けたローラ上に、上記最外層塗布液を硬化後の厚みが5μmとなるように、スプレー塗工し、実施例3の半導電性部材を作製した。
【0136】
(比較例7)
−半導電性部材の作製−
実施例3において、最外層塗布液を下記組成とした以外は、実施例3と同様にして、比較例7の半導電性部材を作製した。
・ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250、大日本色材工業株式会社製)・・・100質量部
・電子伝導剤(酸化チタン、MT-150A、テイカ株式会社製)・・・5.0質量部
・滑剤(脂肪酸アマイド、カワスリップVL、川研ファインケミカル株式会社製)・・・1.2質量部
【0137】
(実施例4)
−半導電性部材の作製−
実施例3において、最外層塗布液を下記組成とした以外は、実施例3と同様にして、実施例4の半導電性部材を作製した。
・ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250、大日本色材工業株式会社製)・・・100質量部
・電子伝導剤(酸化チタン、MT-150A、テイカ株式会社製)・・・3.0質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT-4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・0.14質量部
・シリコーン化合物(フッ素化シリコーン化合物、FMS−121、チッソ株式会社製)・・・0.0032質量部
【0138】
(実施例5)
−半導電性部材の作製−
実施例3において、最外層塗布液を下記組成とした以外は、実施例3と同様にして、実施例5の半導電性部材を作製した。
・ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物(ノバフッソ(登録商標)PF250、大日本色材工業株式会社製)・・・100質量部
・電子伝導剤(酸化チタン、MT-150A、テイカ株式会社製)・・・3.0質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・0.14質量部
・シリコーン化合物(シラノール末端シリコーン、DMS−S15、チッソ株式会社製)・・・0.0032質量部
【0139】
(実施例6)
−半導電性部材の作製−
実施例5において、シリコーン化合物をシラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921、チッソ株式会社製)に代え、同一質量部加えた以外は、実施例5と同様にして、実施例6の半導電性部材を作製した。
【0140】
(実施例7)
−半導電性部材の作製−
実施例3において、最外層塗布液を下記組成とした以外は、実施例3と同様にして、実施例7の半導電性部材を作製した。
・ポリエステルポリオール(ユーラック(登録商標)C−230U、広野化学株式会社製)・・・100質量部
・ポリイソシアネート(ユーラック(登録商標)PU−614、広野化学株式会社製)・・・33質量部
・電子伝導剤(カーボンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)EC、ライオンアクゾ株式会社製)・・・1.5質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・4.4質量部
・シリコーン化合物(シラノール末端シリコーン、DMS−S15、チッソ株式会社製)・・・0.1質量部
・トルエン・・・50質量部
・キシレン・・・50質量部
【0141】
(実施例8)
−半導電性部材の作製−
実施例7において、シリコーン化合物をシラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921、チッソ株式会社製)に代え、同一質量部加えた以外は、実施例7と同様にして、実施例8の半導電性部材を作製した。
【0142】
(実施例9)
−半導電性部材の作製−
実施例3において、最外層塗布液を下記組成とした以外は、実施例3と同様にして、実施例9の半導電性部材を作製した。
・フッ素化ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤、旭硝子株式会社製)・・・100質量部
・ポリイソシアネート(ルミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤、旭硝子株式会社製)・・・20質量部
・電子伝導剤(カーボンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)EC、ライオンアクゾ株式会社製)・・・1.5質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・4.4質量部
・シリコーン化合物(シラノール末端シリコーン、DMS−S15、チッソ株式会社製)・・・0.1質量部
・トルエン・・・50質量部
・キシレン・・・50質量部
【0143】
(実施例10)
−半導電性部材の作製−
実施例9において、シリコーン化合物をシラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン(FMS−9921、チッソ株式会社製)に代え、同一質量部加えた以外は、実施例9と同様にして、実施例10の半導電性部材を作製した。
【0144】
次に、実施例3〜10及び比較例7の各半導電性部材(帯電ローラ)について、6万枚コピー後の帯電ローラ汚れを以下のようにして評価した。結果を表3に示す。
<帯電ローラ汚れの評価>
作製した各半導電性部材を帯電ローラとして、画像形成装置(株式会社リコー製、Imagio Neo 270)に搭載し、5%チャート(A4サイズ)で6万枚コピーを取った後、帯電ローラ両端部、及び中央部3箇所の汚れをテープで剥離し、濃度計(X−Rite 508、X−Rite Inc.製)にて測定した夫々のテープの汚れ濃度を、帯電ローラの汚れ特性値(平均)として評価した。
【0145】
【表3】

【0146】
表3中の用語の内容は以下の通りである。
*フッ素化ポリオール:ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤(旭硝子株式会社製)
*ポリイソシアネート(1):ルミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤(旭硝子株式会社製)
*PVDF・TFE・HFP三元共重合体/アクリル樹脂混合組成物:ノバフッソPF250(大日本色材工業株式会社製)
*ポリエステルポリオール:ユーラックC−230U主剤(広野化学株式会社製)
*ポリイソシアネート(2):ユーラックPU−614硬化剤(広野化学株式会社製)
*層状無機化合物:合成ハイドロタルサイトDHT−4A(協和化学工業株式会社製)
*電子伝導剤:酸化チタン、MT−150A(テイカ株式会社製)
*電子伝導剤:カーボンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)EC、ライオンアクゾ株式会社製
*イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)におけるイオン液体:N−メチル−N−ブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート
*シリコーン化合物:シリコーンオイル DMS−T11(チッソ株式会社製)
*フッ素化シリコーン化合物:ポリ3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン FMS−121(チッソ株式会社製)
*反応性基を有するシリコーン化合物:シラノール末端シリコーン DMS−S15(チッソ株式会社製)
*反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物:シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン FMS−9921(チッソ株式会社製)
*滑剤:脂肪酸アマイド、カワスリップVL(川研ファインケミカル株式会社製)
【0147】
表3の結果から、実機に搭載した際の実施例3、4、5、及び6の帯電ローラの汚れ濃度は、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子とシリコーン化合物を全く添加していない比較例7に比較し明らかに低いことが分かった。
また、実施例7〜10に使用されている最外層塗布液のメイン樹脂はいずれもポリオール化合物及びイソシアネート化合物を有するものであり、実施例3〜6と実施例7〜10のローラ汚れ濃度は、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子とシリコーン化合物を全く添加していない比較例7に比較し明らかに低いことが分かった。
また、実施例3〜6と実施例7〜10のローラ汚れ濃度を比較すると、実施例7〜10の各ローラの汚れが実施例3〜6のそれより低くなっており、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子と反応性を有するシリコーン化合物を最外層塗布液に使用する場合、最外層塗布液中にポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有させることによって、シリコーン化合物の効果をより引き出せることが分かった。
更に、実施例10のローラ汚れ濃度が他のローラの汚れ濃度に比較し最も低く、他の実施例のローラ汚れ濃度との差は統計的に有意と言える。これは、実施例10の最外層塗布液には反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物と、フッ素化ポリオール化合物及びイソシアネート化合物が含まれているからであると推測される。
【0148】
(実施例11)
−半導電性部材の作製−
下記組成の最外層塗布液を調製した。
・フッ素化ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF-601C主剤、旭硝子株式会社製)・・・90質量部
・ポリイソシアネート(ルミフロン(登録商標)LF-601C硬化剤、旭硝子株式会社製)・・・18質量部
・アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)・・・4質量部
・電子伝導剤(カーボンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)EC、ライオンアクゾ株式会社製)・・・1.5質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・4.4質量部
・シリコーン化合物(シリコーンオイル、DMS−T11、チッソ株式会社製)・・・0.1質量部
・トルエン・・・50質量部
・キシレン・・・50質量部
【0149】
次に、直径18mmの芯金上に6mm肉厚の実施例2で用いたものと同様のカーボンで抵抗調製されたNBR弾性層を設けたローラ上に、上記最外層塗布液を硬化後の厚みが15μmとなるように、スプレー塗工し、実施例11の半導電性部材を作製した。
【0150】
(実施例12)
−半導電性部材の作製−
実施例11において、最外層塗布液を下記組成とした以外は、実施例11と同様にして、実施例12の半導電性部材を作製した。
・フッ素化ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF-601C主剤、旭硝子株式会社製)・・・90質量部
・ポリイソシアネート(ルミフロン(登録商標)LF-601C硬化剤、旭硝子株式会社製)・・・20質量部
・アクリルポリオール(ヒタロイド(登録商標)6500、日立化成工業株式会社製)・・・10質量部
・電子伝導剤(カーボンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)EC、ライオンアクゾ株式会社製)・・・1.5質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・4.4質量部
・シリコーン化合物(シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン、FMS−9921、チッソ株式会社製)・・・0.1質量部
・トルエン・・・50質量部
・キシレン・・・50質量部
【0151】
(比較例8)
−半導電性部材の作製−
実施例11において、最外層塗布液を下記組成とした以外は、実施例11と同様にして、比較例8の半導電性部材を作製した。
・フッ素化ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤、旭硝子株式会社製)・・・100質量部
・ポリイソシアネート(ルミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤、旭硝子株式会社製)・・・20質量部
・イオン伝導剤(リチウムパークロレート)・・・7質量部
・シリコーン化合物(シリコーンオイル、DMS-T11、チッソ株式会社)・・・0.1質量部
・トルエン・・・50質量部
・キシレン・・・50質量部
【0152】
次に、作製した実施例11〜12及び比較例8の半導電性部材を二次転写ローラとして、画像形成装置(株式会社リコー製、Imagio Color2800)に搭載し、以下のようにして、紙粉付着性を評価した。結果を表4に示す。
【0153】
<紙粉付着性の評価方法>
(1)任意の原稿を画像形成装置(株式会社リコー製、Imagio Color2800)の原稿台にセットした。
(2)AR Color(A3サイズ版)100gを給紙トレイにセットし、1,000枚コピーを取った。
(3)下記のようにしてクリーニング性の評価を行った。
<クリーニング性の評価>
2本のソリッドバンドパターンを有するA3サイズ版チャートを原稿台にセットし、A3サイズ版トレイにA4サイズ転写紙を横にセットし、単色で10枚コピーを取った。次いで、単色で1枚コピーをとり、これをクリーニング性評価のサンプルとした。クリーニング性は評価サンプル裏面のソリッドパター対応部がトナー汚れ無しの場合をクリーニング性OKとし、トナー汚れ有りの場合をクリーニング性NGと評価した。
(4)クリーニング性がOKの場合は(1)に戻り、再度(1)、(2)、(3)をクリーニング性がNGになるまで繰り返す。クリーニング性がNGの場合には、ここまでコピーを取ったAR Color(A3サイズ版)100gの総コピー枚数をカウントし、紙粉付着性を評価した。
【0154】
【表4】

*表4中の紙粉付着性における“良好”は、50万枚通紙評価において汚れ未発生の場合を示す。
【0155】
表4中の用語の内容は以下の通りである。
*フッ素化ポリオール:ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤(旭硝子株式会社製)
*ポリイソシアネート(1):ルミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤(旭硝子株式会社製)
*アクリルポリオール:ヒタロイド(登録商標)6500(日立化成工業株式会社製)
*層状無機化合物:合成ハイドロタルサイトDHT−4A(協和化学工業株式会社製)
*電子伝導剤:カーボンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)EC、ライオンアクゾ株式会社製
*イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)におけるイオン液体:N−メチル−N−ブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート
*イオン伝導剤:リチウムパークロレート
*シリコーン化合物:シリコーンオイル DMS−T11(チッソ株式会社製)
*フッ素化シリコーン化合物:ポリ3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン FMS−121(チッソ株式会社製)
【0156】
表4の結果から、最外層塗布液にアクリル成分を全く含まず、フッ素系ポリマーで保持せずにイオン導電剤がそのまま含有されている比較例8の転写ローラに対し、実施例11、及び実施例12の転写ローラは紙粉付着性が大幅に改善されていることが分かった。なお、この改善にはすべり性の向上、帯電制御剤及びイオン導電剤等のブリード防止に由来する事象も含まれていると推定される。
【0157】
(実施例13)
−半導電性部材の作製−
下記組成の最外層塗布液を調製した。
・フッ素化ポリオール(ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤、旭硝子株式会社製)・・・90質量部
・ポリイソシアネート(ルミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤、旭硝子株式会社製)・・・20質量部
・アクリルポリオール(ヒタロイド(登録商標)6500、日立化成工業株式会社製)・・・10質量部
・電子伝導剤(カーボンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)EC、ライオンアクゾ株式会社製)・・・1.5質量部
・イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)・・・3.0質量部
・層状無機化合物(合成ハイドロタルサイトDHT−4A(登録商標)、協和化学工業株式会社製、平均粒径=約0.4μm)・・・4.4質量部
・フッ素化シリコーン化合物(シラノール末端ポリトリフロロプロピルメチルシロキサン、FMS−9921、チッソ株式会社製)・・・0.1質量部
・トルエン・・・50質量部
・キシレン・・・50質量部
【0158】
次に、直径8mmのステンレスからなる芯軸に、ABS樹脂(GR−0500、電気化学工業株式会社製)100質量部に、ポリエーテルエステルアミド成分を含有するイオン導電性の高分子化合物(IRGASTAT P18、チバスペシャルティケミカルズ社製)60質量部を配合した組成物(体積抵抗率=1×10Ω・cm)を、射出成形により被覆し、厚み4mmの導電層を形成した。この導電層の表面に、上記最外層塗布液を硬化後の厚みが10μmとなるように、スプレー塗工し、実施例13の半導電性部材を作製した。
【0159】
(比較例9)
−半導電性部材の作製−
直径8mmのステンレスからなる芯軸に、ABS樹脂(GR−0500、電気化学工業株式会社製)100質量部に、4級アンモニウム成分を含有するイオン導電性の高分子化合物(レオレックスAS−1720、第一工業製薬株式会社製)40質量部を配合した組成物(体積抵抗率=1×10Ω・cm)を、射出成形により被覆し、厚み4mmの導電層を形成した。この導電層の表面に比較例8と同じ最外層塗布液にて、硬化後の厚みが10μmの最外層を形成し、比較例9の半導電性部材を作製した。
【0160】
<評価>
次に、図2に示す非接触帯電方式の画像形成装置を使用して、感光体の帯電電位及び画像評価を行った。帯電ローラ2に印加する電圧はDC=−800V、AC=2400Vpp(周波数=2kHz)とし、感光体欠陥部への電圧集中、異常放電(リーク)によって生じる異常画像の有無を評価した。更に連続複写を行い、50万枚通紙後のローラ表面へのトナー固着を評価した。結果を表5に示す。
【0161】
【表5】

【0162】
表5中の用語の内容は以下の通りである。
*フッ素化ポリオール:ルミフロン(登録商標)LF−601C主剤(旭硝子株式会社製)
*ポリイソシアネート(1):ルミフロン(登録商標)LF−601C硬化剤(旭硝子株式会社製)
*層状無機化合物:合成ハイドロタルサイトDHT−4A(協和化学工業株式会社製)
*イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子(合成例2)におけるイオン液体:N−メチル−N−ブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート
*シリコーン化合物:シリコーンオイル DMS−T11(チッソ株式会社製)
*フッ素化シリコーン化合物:ポリ3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン FMS−121(チッソ株式会社製)
【0163】
次に、環境試験(60℃、30%RH環境下に10日間放置)を行ったところ、実施例1〜13においては、ローラ抵抗値に変動はなく、耐環境性に優れていることが分った。これに対し、比較例8においては、ローラ抵抗値が大きくなり変動が大きいことが認められ、印字抜け、ムラ、カブリ画像となり、温度及び湿度に対する耐環境性に劣ることが分った。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明の半導電性部材は、最外層表面に紙粉及びトナー等が付着するのを抑制し、最外層表面又はその内部からのブリードを抑制することによって、感光体汚染を防止し、導電性を損なうことなく、環境変動を抑制でき、画質劣化の解消が図れ、すべり性の向上を図れ、耐摩耗性、及び耐久性が向上しているので、電子写真方式のレーザープリンタ、デジタル複写機、フルカラー複写機、フルカラーレーザープリンタなどに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】図1は、本発明の半導電性部材としての帯電ローラの一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、本発明のタンデム型の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図6】図6は、図5の各画像形成要素の拡大図である。
【図7】図7は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【図8】図8は、ローラ抵抗値の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
【0166】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
3 露光系
4 現像ローラ
5 パワーパック
6 転写ローラ
7 記録紙
8 クリーニング装置
9 表面電位計
10 電子写真感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用電子写真感光体
10Y イエロー用電子写真感光体
10M マゼンタ用電子写真感光体
10C シアン用電子写真感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング手段
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像手段
45Y イエロー用現像手段
45M マゼンタ用現像手段
45C シアン用現像手段
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング手段
61 現像装置
62 転写帯電器
63 クリーニング装置
64 除電装置
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 記録媒体
100 画像形成装置
101 電子写真感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像手段
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
201 導電性支持体(芯金)
202 導電層
203 最外層
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外層が、少なくとも層状無機化合物と、導電剤とを含有してなり、該導電剤が、少なくとも電子伝導剤と、イオン液体を保持したフッ素系ポリマーナノ粒子とを含有することを特徴とする画像形成用半導電性部材。
【請求項2】
最外層が、シリコーン化合物、フッ素化シリコーン化合物、反応性基を有するシリコーン化合物、及び反応性基を有するフッ素化シリコーン化合物から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の画像形成用半導電性部材。
【請求項3】
最外層が、ポリオール化合物及びイソシアネート化合物を含有する請求項1から2のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材。
【請求項4】
ポリオール化合物が、フッ素化ポリオール化合物、アクリルポリオール化合物、及びポリエステルポリオール化合物の少なくともいずれかである請求項3に記載の画像形成用半導電性部材。
【請求項5】
最外層が、更にアクリル樹脂を含有する請求項1から4のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材。
【請求項6】
電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
前記帯電手段及び前記転写手段の少なくともいずれかが、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
電子写真感光体表面を帯電する帯電工程と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程とを少なくとも含む画像形成方法において、
前記帯電工程及び前記転写工程の少なくともいずれかが、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材を用いて行われることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電手段及び前記転写手段の少なくともいずれかが、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成用半導電性部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−129481(P2008−129481A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316565(P2006−316565)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】