説明

画像形成装置、及び印刷設定プログラム

【課題】貼り合わせ用紙の両面に同一の内容が印刷された印刷物の印刷品質を向上させられる画像形成装置等を提供する。
【解決手段】操作パネル10は、画像読取部16で読み取られる原稿の印刷指示及び印刷設定情報の入力を受け付ける。システム制御部11は、操作パネル10から入力される印刷指示及び印刷設定情報に基づき画像読取部16に画像データを取得させ、画像データを印刷イメージデータに変換する。システム制御部11は、印刷設定情報で「拡大連写印刷」かつ「両面同一内容」が設定されていれば、拡大連写データ生成部1aに、裏写りに関する印刷濃度調整を行わせると共に、拡大連写後の印刷物を貼り合わせた画像が両面同一内容となるように、拡大連写した印刷イメージデータを生成させる。システム制御部11は、用紙搬送部14に用紙を搬送させ、画像書込部15に印刷イメージデータ及び印刷設定情報に基づき用紙に画像を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に関し、特に、用紙の両面に拡大連写印刷が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の多機能化が進み、2ページからなる画像データを1枚の用紙の両面に印刷する両面印刷機能や、1ページの画像データを分割して各分割片を拡大してそれぞれ1枚の用紙に印刷する拡大連写印刷機能を有する画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置の普及が進んだことにより、小売店等の店舗では、専門の印刷会社に依頼せずに、画像形成装置の拡大連写印刷機能を用いて、店内の吊り下げ広告やガラス窓に貼る広告等の巨大な広告を自ら印刷して、販売促進に利用できるようになった。
【0004】
拡大連写印刷では、1ページの画像データを複数ページに分割して拡大する拡大連写を行って印刷する。そのため、印刷された各用紙を並べて貼り合わせることで、画像形成装置で取り扱える最大用紙サイズよりも大きな印刷物を得られる。この貼り合わせ作業では、画像の印刷された面を裏返して、裏面側で貼り合わせることが多い。
【0005】
そのため、裏面側で貼り合わせる際に表面に印刷された画像を確認できるように、裏面に表面の鏡像画像を印刷することで、拡大連写の貼り合わせに関する作業性を向上させる技術が知られている(特許文献1参照)。また、同文献には、トナー消費量の抑制、表裏の区別の容易性、及び黒色等で塗り潰されたベタ画像に対する加筆の容易性の観点から、裏面に印刷する鏡像画像の画像濃度を薄くすることも記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11-069139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
広告の中には、宣伝効果を高めるために、用紙の両面に同一の内容を掲載するものがある。例えば、店内の吊り下げ広告等がそれである。吊り下げ広告の両面に同一の広告内容を掲示することで、吊り下げ広告の両面にいる消費者に訴求できる。
【0008】
しかし、用紙の両面で同一内容となるように印刷すると、裏面の文字や絵が表面に透けてしまう所謂裏写りによって、ユーザの所望する印刷濃度より濃く印刷されたように見える虞がある。特に、特許文献1の技術を用いるときのように、裏面の画像データが表面の鏡像である場合にこの現象が顕著となる。さらに、表裏両面で印刷濃度の濃い箇所と薄い箇所との差が裏写りによって大きくなるので、印刷物の見た目の濃度が不均一になる虞がある。一方、仮に、特許文献1の技術を用いて、裏写りを考慮して、裏面の画像濃度を全体的に薄くして印刷すると、裏面を広告として使用できなくなるという問題が生じる。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、拡大連写された印刷物を貼り合わせた用紙の両面に同一の内容が印刷された印刷物の印刷品質を向上させられる画像形成装置、及び印刷設定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、印刷イメージデータに基づいて用紙の両面に印刷する画像形成装置であって、印刷設定情報の入力を受付ける入力部と、前記印刷設定情報に基づき、拡大連写された印刷物を貼り合わせた貼り合わせ用紙の両面の画像が同一内容となるように画像データを複数ページに拡大連写すると共に、前記画像データの濃度値が前記用紙に裏写りする所定濃度値以上である場合に、前記画像データの前記濃度値を下げて前記印刷イメージデータを生成する拡大連写データ生成部とを備えることを特徴とする。
また、前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の両面で前記画像データによって描画されるの画像が重なる箇所のみ前記濃度値を下げてもよい。
また、前記拡大連写データ生成部は、前記画像データの画素の濃度値が前記用紙に裏写りする所定濃度値以上である場合に、その画素の濃度値を下げてもよい。
また、前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の一方の面の画像が他方の面の画像を左右反転させたものとなるように拡大連写してもよい。
また、前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の一方の面の画像が他方の面の画像を回転させたものとなるように拡大連写してもよい。
また、前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の一方の面の画像内の文字が他方の面の画像内の文字を左右反転させたものとなるように拡大連写してもよい。
また、前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の一方の面の前記画像内の文字が他方の面の画像内の文字を回転させたものとなるように拡大連写してもよい。
本発明の印刷設定プログラムは、画像形成装置と電気通信回線を介して接続するホストコンピュータに格納された印刷設定プログラムであって、印刷設定情報の入力を受付ける入力手順と、前記印刷設定情報に基づき、拡大連写された印刷物を貼り合わせた貼り合わせ用紙の両面の画像が同一内容となるように画像データを複数ページに拡大連写すると共に、前記画像データの濃度値が用紙に裏写りする所定濃度値以上である場合に、前記画像データの前記濃度値を下げて印刷イメージデータを生成する拡大連写データ生成手順と、前記拡大連写データ生成手順によって生成された前記印刷イメージデータを前記画像形成装置に送信する送信手順とを前記ホストコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、拡大連写された印刷物を貼り合わせた用紙の両面に同一の内容が印刷された印刷物の印刷品質を向上させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態は、画像形成装置が、操作パネルから取得した印刷設定情報に基づいて、画像読取部から取得した画像データに対して両面同一の内容となるように拡大連写して印刷を行うものである。なお、以下で、両面の画像が同一内容とは、それぞれの画像を見た人に与える情報が同一であることをいう。ここで、情報とは、ある特定の目的について、適切な判断を下したり、行動の意志決定をしたりするために役立つ資料や知識のことである。両面の画像が同一となる範疇には、少なくとも拡大連写された印刷物を貼り合わせた用紙(以下、「貼り合わせ用紙」という)の両面における一方の面の画像又は画像内の文字が、他方の面の画像又は画像内の文字と同一である場合や、一方の面の画像又は画像内の文字を反転、回転、並びに濃度調整したものを含むものとする。
【0013】
図1は、本実施形態の画像形成装置の機能ブロック図である。図2は、操作パネルで「拡大連写印刷」の詳細設定を入力する場合の入力画面の一例を示す模式図である。図3は、両面同一内容の拡大連写データを生成する処理の手順を示したフローチャートである。図4は、両面同一内容で拡大連写された印刷物の模式図である。
【0014】
「画像形成装置の構成及び動作」
まず、図1を参照して、本実施形態の画像形成装置100のシステム構成を説明する。
画像形成装置100は、操作パネル10と画像読取部16と画像書込部15と用紙搬送部14とシステム制御部11と画像情報メモリ13と設定情報メモリ12とを含んで構成される。
【0015】
操作パネル10は、液晶タッチパネル等からなる入力用インタフェース(入力部)であり、画像読取部16で読み取られる画像データに対する印刷指示と印刷設定情報との入力を受け付ける入力画面を表示する。操作パネル10は、入力画面上で入力された印刷指示と印刷設定情報とをシステム制御部11に出力する。なお、印刷設定情報とは、「両面印刷」、「拡大連写印刷」等の印刷モードの設定、印刷部数、印字濃度、用紙種類等の画像形成装置100の印刷処理における印刷条件である。
【0016】
図2は、操作パネル10の入力画面の一例であって、印刷モードで「拡大連写印刷」が選択されたときに表示される「拡大連写印刷」の詳細設定画面である。この詳細設定画面では、<仕上がり枚数>、<オプション>の設定を行え、その設定の結果が<レイアウト>に表示される。<仕上がり枚数>では、1ページの画像データを何ページに拡大連写するかの仕上がり枚数「2枚」や「4枚」等の選択ができる。<オプション>では、「両面同一内容」で拡大連写するか否かを選択できる。<レイアウト>では、<仕上がり枚数>及び<オプション>で選択された設定に基づいて印刷したときの印刷レイアウトが表示される。
【0017】
図2では、<仕上がり枚数>として「4枚」、<オプション>として「両面同一内容」にすることが選択されているので、<レイアウト>には1ページの画像データを4枚の用紙に拡大連写した状態を示す表裏両面の模式図が表示されている。なお、用紙の裏を示す模式図は、分割された各画像データを並べて貼り合わせたときの貼り合わせ用紙の長辺を軸に180゜回転させた状態のものである。
【0018】
画像読取部16は、スキャナ等であり、システム制御部11の指示に応じて、画像読取部16にセットされた原稿を読み取って画像データを取得する。画像読取部16は、取得した画像データをシステム制御部11に出力する。なお、画像読取部16は、外部接続されていてもよく、また、画像データを記憶したフラッシュメモリ等の記録装置であってもよい。
【0019】
画像書込部15は、システム制御部11の指示に応じて、システム制御部11から入力される印刷イメージデータと印刷設定情報とに基づき、周知の電子写真方式や、感熱式、熱転写式、インクジェット方式等を用いて、用紙搬送部14から搬送された用紙に印刷(画像形成)する。
【0020】
用紙搬送部14は、システム制御部11の指示に応じて、画像書込部15が画像形成可能な位置に用紙を搬送する。
【0021】
画像情報メモリ13は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置であり、印刷イメージデータを記憶する。
【0022】
設定情報メモリ12は、DRAM等の記憶装置であり、印刷モード等の印刷設定情報を記憶する。
【0023】
システム制御部11は、CPU2(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、CPU2で実行される制御プログラムを記憶したROM3(Read Only Memory)とワークメモリとして使用されるRAM4(Random Access Memory)とを有する。システム制御部11は、上記ROM3に記憶された制御プログラムに従って、画像形成装置100における処理全般を統括的に制御する。
【0024】
システム制御部11は、操作パネル10から入力される印刷指示に応じて、画像読取部16に画像データを取得させ、画像読取部16から取得した画像データを印刷に適した形式の印刷イメージデータに変換する。システム制御部11は、操作パネル10から取得した印刷設定情報を設定情報メモリ12に記憶し、印刷イメージデータを画像情報メモリ13に記憶する。なお、印刷イメージデータと印刷設定情報とは、印刷指示に関連付けられているものとする。そして、システム制御部11は、印刷指示を画像書込部15に出力し、画像書込部15が画像書込み可能な状態か判断する。システム制御部11は、画像書込み可能であると判断すると、用紙搬送部14に用紙を搬送させる。それと共に、システム制御部11は、印刷指示に対応する印刷イメージデータと印刷設定情報とをそれぞれ画像情報メモリ13及び設定情報メモリ12から読み出して、画像書込部15に渡して印刷させる。
一方、システム制御部11は、画像書込み不可能であると判断すると、操作パネル10にエラーメッセージを表示させ、ユーザに印刷設定情報の変更を促す。
【0025】
また、システム制御部11は、拡大連写データ生成部1aを有している。拡大連写データ生成部1aは、印刷設定情報で「拡大連写印刷」かつ「両面同一内容」が設定された場合に、裏写りしないように画像データの濃度値を調整して、両面同一内容で拡大連写した印刷イメージデータを生成する。すなわち、印刷設定情報で「拡大連写印刷」かつ「両面同一内容」が設定された場合、画像情報メモリ13に記憶される印刷イメージデータは、拡大連写データ生成部1aによって生成された印刷イメージデータとなる。
【0026】
次に、図3を参照して、拡大連写データ生成部1aの処理の流れを説明する。なお、以下の処理では、印刷設定情報では「拡大連写印刷」かつ「両面同一内容」が設定されているものとする。さらに、印刷設定情報では1ページの画像データをNページ(枚)に拡大連写することが設定されているものとする(Nは自然数)。
【0027】
まず、ステップA1において、画像データの各画素の濃度値を検査する。そしてステップA2で、濃度値が所定濃度値以上であるか否かを判断する。ステップA2でYesの場合、ステップA3に進み、画像データ全体の濃度値を下げる。ステップA2でNoの場合、ステップA3の処理は行わず、ステップA4に進む。
【0028】
なお、この所定濃度値及びどの値まで濃度を下げるかは、紙の透過度による影響が大きい。そのため、予め印刷濃度に対する裏写りを用紙の種類ごとに測定し、裏写りに関する測定結果をシステム制御部11のROM3等に記憶しておけばよい。拡大連写データ生成部1aは、画素の濃度値を検査する際に、上記ROM3等に記憶された裏写りに関する測定結果を参照して、所定濃度値及びどの値まで濃度を下げるかを判断すればよい。以下で、この上記ステップA1〜ステップA3の処理を「濃度調整手順」という。
【0029】
拡大連写データ生成部1aは、表面又は裏面のいずれかの画像データに対してこの濃度調整手順を行ってもよいし、両面の画像データに対して濃度調整手順を行ってもよい。また、印刷設定情報で、裏写りに関する濃度設定をユーザに設定させてもよい。この濃度調整手順により、裏写りに関する印刷濃度が調整されるので、印刷物の見た目の濃度が均一になる。その結果、ユーザの所望する印刷濃度で印刷されたように見える印刷物を得られるので、印刷物の印刷品質を向上させられる。
【0030】
ステップA4では、所定の計算方式に従って、1ページの画像データを所定のページ数(Nページ)に分割して拡大する。次に、ステップA5に進み、ステップA4における1ページの画像データの分割列数をxに、分割行数をyに設定する(x、yは整数)。次にステップA6に進み、用紙の表面に拡大連写する画像データの分割後のページ番号zと分割行数のカウンタjを1で初期化し、分割列数を保持する変数iをxで初期化する(z、j、iは整数)。xは、zページ目の用紙の裏面に拡大連写する画像データの分割後のページ番号となる。
【0031】
ステップA7に進み、zページ目の用紙の表面にzページ目の画像データを割り付ける。次に、ステップA8に進み、同じくzページ目の用紙の裏面に今度はxページ目の画像データを割り付ける。次に、ステップA9に進み、xから1を減算する。次に、ステップA10に進み、zに1を加算する。そして、ステップA11で、i*(j−1)=xであるか否か、すなわち画像データを分割したときの一行の終りであるか否かを判断する。ステップA11でNoの場合、ステップA7〜A11の処理を繰り返す。つまり、拡大連写した印刷物を貼り合わせたときの裏面が表面の正像となるように、分割行ごとに画像データが配置される。
【0032】
ステップA11でYesの場合、ステップA12に進み、jに1を加算する。次に、ステップA13に進み、i*j=xとして、xを次の分割行の最右端のページ番号にする。そして、ステップA14で、j>yであるか否か、すなわち拡大連写する画像データの最終行に到達したか否かを判断する。ステップA14でNoの場合、ステップA7〜A14の処理を繰り返す。ステップA14でYesの場合、すなわち分割されたすべてのページに対する処理を終了すると、本処理を終える。以下で、このステップA4〜A14の処理を「拡大連写手順」という。
【0033】
上記処理により、図4に示すように、1ページの画像データGを分割して、分割後の画像データを貼り合わせたときの貼り合わせ用紙の表面Gaと貼り合わせ用紙の裏面Gbとが同一の内容の画像データが作成される。つまり、例えば、1ページの画像データを1A,1B,1C,1Dの順に並んだ4ページに分割して拡大する拡大連写印刷では、拡大連写後の画像データを順に並べると、表面の左上から右上へ1A,1B、左下から右下へ1C,1Dと割り付けされ、裏面の左上から右上へ1B,1A、左下から右下へ1D,1Cと割り付けされる。ステップA7〜A14の処理では、「(1)表面の1A」→「(2)裏面の1B」→「(3)表面の1B」→「(4)裏面の1A」→「(5)表面の1C」→「(6)裏面の1D」→「(7)表面の1D」→「(8)裏面の1C」の順に画像データが割り付けされる。この印刷イメージデータを印刷し、拡大連写印刷された各画像を並べて貼り合わせることで、両面で同一内容あって裏写りを考慮して濃度調整された画像が印刷された印刷物を取得できる。なお、上記処理は一例であり、適宜変更してもよい。
【0034】
以上の通り、本実施形態の画像形成装置100によれば、貼り合わせ用紙の両面で同一内容となるように拡大連写する際に、裏写りを考慮して印刷イメージデータを生成するので、貼り合わせ用紙の両面に同一の内容が印刷された印刷物の印刷品質を向上させられる。
【0035】
また、印刷設定情報で、拡大連写された印刷物を貼り合わせたときの画像(以下、「貼り合わせ画像」という)が、表面の貼り合わせ画像の左右反転(鏡像)や左右に90゜や180゜等で回転した画像となるように、ユーザに選択させてもよい。この場合、拡大連写データ生成部1aが、印刷設定情報に基づいて裏面に拡大連写する画像データを左右反転させたり、左右に90゜や180゜等で回転させたりして拡大連写する。なお、この場合、上記拡大連写手順の処理は、所望の印刷結果となるよう適宜変更する必要がある。
【0036】
これにより、敢えて裏面に表面の貼り合わせ画像の鏡像を印刷することで、片面印刷により表面の貼り合わせ画像が裏面に透けた状態になって印刷物の体裁が悪くなることを防止できる。また、裏面を180゜回転させた貼り合わせ画像とすることで、矢印等の画像を貼り合わせ用紙の両面で簡易に相違させられるので、例えば電車のホームにおける上下線の進行方向のように、混雑時等に店内の通路の中央に掲げることで対向する人の流れを促す道案内用の看板を簡易に作成できる。なお、画像データの左右反転と回転とを組み合わせて拡大連写してもよいことは言うまでもない。
【0037】
また、印刷設定情報で、裏面の貼り合わせ画像の文字を左右反転又は回転できるようにユーザに選択させてもよい。この場合、画像読取部16はOCR(optical character reader)機能を有しているものとし、読み取った画像データと共に画像データのフォントオブジェクトをシステム制御部11に渡す。システム制御部11の拡大連写データ生成部1aは、フォントオブジェクトに基づいて、取得した画像データの文字を左右反転又は回転させて拡大連写して印刷イメージデータを生成し、画像情報メモリ13に保存する。文字を左右反転又は回転させることにより、印刷物のデザイン性を簡易に高められる。なお、文字の左右反転と回転とを組み合わせて拡大連写してもよいことは言うまでもない。また、画像データ自身の左右反転又は回転と、文字の左右反転又は回転とを組み合わせて拡大連写してもよい。
【0038】
また、拡大連写データ生成部1aは、単一の画像データに対する処理で済むため処理速度が速くなるので、拡大連写する前に濃度調整手順により画像データの濃度調整を行ったが、拡大連写手順後に画像データの濃度調整を行ってもよい。この場合、拡大連写データ生成部1aは、両面印刷したときに用紙の表裏で画像の重なる箇所のみの画像データの濃度調整を行うと、裏写りにより印刷濃度の濃くなる箇所のみの印刷濃度を下げることになる。そのため、画像形成装置の基本設定(デフォルト)の印刷濃度に近い仕上がりとなり、ユーザの所望(想定)する印刷濃度の印刷物を得られる。
また、べた塗りのロゴマーク等の画像データの場合、集約データ生成部1aは、画像データ全体や用紙の表裏で画像の重なる箇所全体の濃度値を下げるのではなく、前記の所定濃度値以上の画素と同じ色値の画素のみ濃度値を下げるようにしてもよい。このような画像はグラデーションの部分がないので、特定の色のみを変えても画像全体の色のバランスが崩れる可能性が小さいからである。
【0039】
なお、拡大連写データ生成部1aの処理を画像書込部15が行ってもよいことは言うまでもない。この場合、画像情報メモリ13には、印刷イメージデータの代わりに印刷設定情報を反映する前の画像データが記憶されることになる。
【0040】
<第2の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。図5は、第2の実施形態に係る画像形成システムの構成図である。本実施形態では、ホストコンピュータ200が印刷指示と印刷設定情報と印刷設定情報に基づく印刷イメージデータとを画像形成装置101に送信する。本実施形態の画像形成装置101は、システム制御部11aが拡大連写データ生成部を有していない点で第1の実施形態と相違する。代わりに、ホストコンピュータ200のプリンタドライバ20が拡大連写データ生成部2aを有している。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
本実施形態の画像形成システムXは、通信回線を介して相互に接続された画像形成装置101とホストコンピュータ200とを有している。
【0042】
「ホストコンピュータの構成及び動作」
ホストコンピュータ200は、パーソナルコンピュータ等であり、印刷設定プログラムとしてのプリンタドライバ20を有している。また、ホストコンピュータ200は、ホストコンピュータの備える不図示のアプリケーションソフトで作成された画像データや、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶されて又はネットワークを通じて取得した画像データを有しているものとする。
【0043】
プリンタドライバ20は、画像形成装置101の印刷処理(画像形成処理)を制御するソフトウェアであり、ホストコンピュータ200の備える不図示のROM等にプリンタドライバ用プログラムとして記憶されている。上記ROM等に記憶されたプリンタドライバ用プログラムが、ホストコンピュータ200の備える不図示のCPUによって読み出されて実行されることで、プリンタドライバ20としての機能を実現する。なお、プリンタドライバ20は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶されて又はネットワークを通じて、ホストコンピュータ200に提供されてもよい。
【0044】
プリンタドライバ20は、ユーザの操作に応じて、画像データに対する印刷指示と印刷設定情報との入力を受け付ける画面をホストコンピュータ200に提供する。プリンタドライバ20は、ユーザの操作によって、画面上で画像データに対する印刷指示及び印刷設定情報が入力されると、画像データを印刷に適した形式の印刷イメージデータに変換する。そして、プリンタドライバ20は、ホストコンピュータ200に、印刷指示と印刷設定情報と印刷イメージデータとを画像形成装置101のシステム制御部11aへ送信させる。
ここで、ホストコンピュータ200及び画像形成装置101は、それぞれNIC(Network Interface Card)を備えており、双方のNICがネットワークを介して、印刷指示、印刷設定情報及び印刷イメージデータの受け渡しを行なう。
【0045】
なお、プリンタドライバ20は、拡大連写データ生成部2aを有している。拡大連写データ生成部2aは、プリンタドライバの印刷設定情報で「拡大連写印刷」かつ「両面同一内容」が設定された場合に、両面同一内容で拡大連写した印刷イメージデータを生成する。すなわち、印刷設定情報で「拡大連写印刷」かつ「両面同一内容」が設定された場合、ホストコンピュータ200は、画像形成装置101に拡大連写データ生成部2aによって生成された印刷イメージデータを送信する。拡大連写データ生成部2aのその他の処理は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0046】
「画像形成装置の構成及び動作」
画像形成装置101は、操作パネル10と画像読取部16と画像書込部15と用紙搬送部14とシステム制御部11aと画像情報メモリ13と設定情報メモリ12とを含んで構成される。
【0047】
システム制御部11aは、CPU2(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、CPU2で実行される制御プログラムを記憶したROM3(Read Only Memory)とワークメモリとして使用されるRAM4(Random Access Memory)とを有する。システム制御部11aは、ROM3に記憶された制御プログラムに従って、画像形成装置101における処理全般を統括的に制御する。
【0048】
システム制御部11aは、ホストコンピュータ200から印刷指示と印刷設定情報と印刷イメージデータとを受信する。システム制御部11aは、受信した印刷設定情報を設定情報メモリ12に記憶し、印刷イメージデータを画像情報メモリ13に記憶する。そして、システム制御部11aは、印刷指示を画像書込部15に出力し、画像書込部15が画像書込み可能な状態か判断する。システム制御部11aは、画像書込み可能であると判断すると、印刷指示に対応する印刷イメージデータと印刷設定情報とをそれぞれ画像情報メモリ13及び設定情報メモリ12から読み出して、画像書込部15に渡して印刷させる。
【0049】
上記処理により、本実施形態の画像形成システムXによれば、画像形成装置101は、ホストコンピュータ200から貼り合わせ用紙の両面で同一内容となるように拡大連写する際に、裏写りを考慮して生成された印刷イメージデータを受信し、受信した印刷イメージデータに基づいて印刷するので、貼り合わせ用紙の両面に同一の内容が印刷された印刷物の印刷品質を向上させられる。
【0050】
また、本実施形態では、拡大連写データ生成部2aが両面同一内容の貼り合わせ画像となるように画像データを拡大連写して印刷イメージデータを生成したが、ホストコンピュータ200のアプリケーション等が作成した画像データを印刷する際に、自動的に両面同一となるように裏面用の印刷イメージデータを作成してプリンタドライバ20に渡すようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、ホストコンピュータ200は、プリンタドライバ20の拡大連写データ生成部2aによって予め両面同一内容に拡大連写された印刷イメージデータを画像形成装置101に送信する構成とした。しかしこれに限らず、ホストコンピュータ200は、両面同一内容に拡大連写する前の画像データ(すなわち印刷設定情報を反映させる前の画像データ)を画像形成装置101に送信する構成としても良い。この場合、画像形成装置101のシステム制御部11aは、拡大連写データ生成部を備える必要がある。そして、第1の実施形態と同様にして、システム制御部11aの備える拡大連写データ生成部が、受信した印刷設定情報に基づいて裏写りを考慮して両面同一内容になるように拡大連写した印刷イメージデータを生成すればよい。
【0052】
また、本実施形態で、用紙の裏面に拡大連写する画像データ内の文字を左右反転又は回転させる処理を行うときは、拡大連写データ生成部2aは、アプリケーションで作成された画像データであれば、アプリケーションからフォントオブジェクトを取得すればよい。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記憶されて又はネットワークを通じて取得された画像データであれば、拡大連写データ生成部2aは、画像データに対してOCR処理を施し、フォントオブジェクトを取得する必要がある。この場合、拡大連写データ生成部2aは、OCR機能を有しているものとする。拡大連写データ生成部2aは、上記いずれかの処理によって取得したフォントオブジェクトを用いて、画像データの文字を左右反転等させて拡大連写して、印刷イメージデータを生成すればよい。
また、本実施形態では、ホストコンピュータ200と画像形成装置100はネットワークを介して接続されているものとしたが、電話回線による接続、ローカル接続など他の電気通信回線を介した接続であってもよい。
【0053】
以上、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々様々に変更が可能であることは言うまでもない。例えば、拡大連写せずに両面同一内容で印刷する変形例が含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ファクシミリ、プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る操作パネルで「拡大連写印刷」の詳細設定を入力する場合の入力画面の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る拡大連写データ生成部の両面同一内容で拡大連写する処理の手順を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置において両面同一内容で拡大連写された印刷物の模式図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像形成システムの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
1a、2a・・拡大連写データ生成部
10・・・操作パネル
11、11a・・・システム制御部
12・・・設定情報メモリ
13・・・画像情報メモリ
14・・・用紙搬送部
15・・・画像書込部
16・・・画像読取部
100、101・・・画像形成装置
2・・・・CPU
3・・・・ROM
4・・・・RAM
20・・・プリンタドライバ
200・・ホストコンピュータ
G・・・・(分割前の)画像データ
Ga・・・用紙の表面
Gb・・・用紙の裏面
X・・・・画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷イメージデータに基づいて用紙の両面に印刷する画像形成装置であって、
印刷設定情報の入力を受付ける入力部と、
前記印刷設定情報に基づき、拡大連写された印刷物を貼り合わせた貼り合わせ用紙の両面の画像が同一内容となるように画像データを複数ページに拡大連写すると共に、前記画像データの濃度値が前記用紙に裏写りする所定濃度値以上である場合に、前記画像データの前記濃度値を下げて前記印刷イメージデータを生成する拡大連写データ生成部とを
備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の両面で前記画像データによって描画される画像が重なる箇所のみ前記濃度値を下げることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記拡大連写データ生成部は、前記画像データの画素の濃度値が前記用紙に裏写りする所定濃度値以上である場合に、その画素の濃度値を下げることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の一方の面の画像が他方の面の画像を左右反転させたものとなるように拡大連写することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の一方の面の画像が他方の面の画像を回転させたものとなるように拡大連写することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の一方の面の画像内の文字が他方の面の画像内の文字を左右反転させたものとなるように拡大連写することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記拡大連写データ生成部は、前記貼り合わせ用紙の一方の面の前記画像内の文字が他方の面の画像内の文字を回転させたものとなるように拡大連写することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置と電気通信回線を介して接続するホストコンピュータに格納された印刷設定プログラムであって、
印刷設定情報の入力を受付ける入力手順と、
前記印刷設定情報に基づき、拡大連写された印刷物を貼り合わせた貼り合わせ用紙の両面の画像が同一内容となるように画像データを複数ページに拡大連写すると共に、前記画像データの濃度値が用紙に裏写りする所定濃度値以上である場合に、前記画像データの前記濃度値を下げて印刷イメージデータを生成する拡大連写データ生成手順と、
前記拡大連写データ生成手順によって生成された前記印刷イメージデータを前記画像形成装置に送信する送信手順とを
前記ホストコンピュータに実行させることを特徴とする印刷設定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−81206(P2010−81206A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246070(P2008−246070)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】