説明

画像形成装置、端末装置、画像形成システム及びプログラム

【課題】作業者が意図しない向きで画像が記録媒体に印刷されることを防止する。
【解決手段】端末装置2に表示される画像回転設定画面160には、回転設定部160a〜160c等が含まれる。回転設定部160a〜160cは、画像形成装置10の用紙供給部20a〜20cにより供給される用紙に印刷される画像の向きを設定するための設定手段である。プリンタドライバ等の画像回転制御プログラムは、画像回転設定画面160により設定された向きに画像を回転させるための制御データと、画像データとを含む印刷データを生成し、この印刷データを画像形成装置10に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、端末装置、画像形成システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置には、複数の給紙トレイが設けられることが知られている。このような画像形成装置において、印刷が同一のサイズかつ同一の向きの用紙に行われる場合、画像の向きは、各画像形成装置で一意である。
【0003】
特許文献1では、給紙トレイに装填されている用紙の向きが印刷対象の用紙の向きと異なる場合においても、これらのサイズが同一であれば、画像の向きを90°回転して印刷することで印刷を継続する手法が開示されている。
【0004】
特許文献2では、綴じ穴が予め開いている用紙を使用する印刷装置であって、用紙の綴じ穴を検出して装填されている用紙の方向を判断し、用紙の綴じ穴で綴じる方向と合致する様に画像を回転させて印刷する印刷装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−129072号公報
【特許文献2】特開平6−210926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された印刷装置では、印刷処理の途中で給紙トレイが切り替えられてしまうことがある。この場合、用紙は、異なる向きで排出されてしまう。また特許文献2で開示された印刷装置では、綴じ穴の位置が異なる用紙が混入している場合、綴じ穴の位置に従って画像は異なる向きで印刷され、用紙は、綴じ穴の位置が異なったまま排出されてしまう。
【0007】
本発明は、作業者が意図しない向きで画像が記録媒体に印刷されることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、記録媒体を供給する複数の記録媒体供給手段と、前記記録媒体供給手段により供給される記録媒体に印刷する画像の向きを前記記録媒体供給手段毎に設定する設定手段と、前記設定手段により設定された向きで画像を記録媒体に印刷する印刷手段とを有する。本発明によれば、作業者が意図しない向きで画像が記録媒体に印刷されることを防止することができる。
【0009】
好適には、前記記録媒体供給手段の少なくとも一つは、記録媒体に設けられた綴じ穴が記録媒体の終端に位置するように記録媒体を供給する。本発明によれば、記録媒体のジャムによる障害の発生を抑止することができる。
【0010】
本発明に係る端末装置は、記録媒体を供給する複数の記録媒体供給装置のそれぞれについて当該記録媒体供給装置により供給される記録媒体に印刷される画像の向きを設定する設定手段と、前記設定手段により設定された向きで画像を印刷する印刷データを生成する印刷データ生成手段と、前記印刷データ生成手段により生成された印刷データを送信する印刷データ送信手段とを有する。本発明によれば、作業者が意図しない向きで画像が記録媒体に印刷されることを防止することができる。
【0011】
好適には、前記印刷データ生成手段により生成される印刷データには、前記設定手段により設定された画像の向きに画像を回転させるための回転制御データと画像データとが含まれる。本発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、端末装置の負荷を軽減することができる。
【0012】
好適には、前記印刷データ生成手段により生成される印刷データには、前記設定手段により設定された画像の向きに基づいて回転された画像データが含まれる。本発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、画像形成装置において印刷処理が高速に実行されることができる。
【0013】
好適には、前記印刷データ生成手段により生成される印刷データには、記録媒体が排出される排出先制御データが含まれる。本発明によれば、画像が回転されて印刷された記録媒体と、画像が回転されないで印刷された記録媒体とが、排出先において混在することを防止することができる。
【0014】
好適には、画像形成装置に設けられた記録媒体供給装置に装填されている記録媒体の状態に関する情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得される情報と前記設定手段により設定された画像の向きとに基づいて印刷結果を表示する印刷結果表示手段とをさらに有する。本発明によれば、事前に印刷されている記録媒体又は予め綴じ穴が開けられている記録媒体に印刷する場合、誤った態様で画像が記録媒体に印刷されることを防止することができる。
【0015】
本発明に係る画像形成システムは、記録媒体を供給する複数の記録媒体供給手段と、前記記録媒体供給手段により供給される記録媒体に印刷される画像の向きを前記記録媒体供給手段毎に設定する設定手段と、前記設定手段により設定された向きで画像を印刷する印刷データを生成する印刷データ生成手段と、前記印刷データ生成手段により生成された印刷データに基づいて画像を記録媒体に印刷する印刷手段とを有する。本発明によれば、作業者が意図しない向きで画像が記録媒体に印刷されることを防止することができる。
【0016】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを含む端末装置において、記録媒体を供給する複数の記録媒体供給装置のそれぞれについて当該記録媒体供給装置により供給される記録媒体に印刷される画像の向きを設定する設定ステップと、前記設定された向きで画像を印刷する印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、前記生成された印刷データを送信する印刷データ送信ステップとを前記端末装置のコンピュータに実行させる。本発明によれば、作業者が意図しない向きで画像が記録媒体に印刷されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像形成装置によれば、作業者が意図しない向きで画像が記録媒体に印刷されることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム1を示す図である。
図1に示すように、画像形成システム1は、ネットワーク3を介して接続された画像形成装置10及び端末装置2を含む。
【0019】
端末装置2は、例えばホストコンピュータであり、印刷ジョブを生成して画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、例えば、プリンタ、ファクシミリ、複合機等であり、端末装置2から送信される印刷ジョブを受け付け、この印刷ジョブに基づいて画像の印刷を行う。また、画像形成装置10は、例えばスキャナ等の読取装置により読み取られた読取画像の印刷を行う。なお、以降、印刷ジョブを印刷データとも呼ぶ。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係る端末装置2のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、端末装置2は、CPU100、メモリ102、ハードディスクドライブ等の記憶装置104、ネットワーク3を介して画像形成装置10とデータの送信及び受信を行う通信装置106、及び液晶ディスプレイ等の表示装置とキーボード・マウス等の入力装置とを含むユーザインタフェース(UI)装置108を有する。これらの構成要素は、バス110を介して互いに接続されている。なお、画像形成装置10は、これらの構成要素と同等の制御装置を有する。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。
図3に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体12、画像読取装置14及び後処理装置16を有する。
【0022】
画像形成装置本体12は、例えば3段の用紙供給部20a〜20cを有し、これら用紙供給部20a〜20cのそれぞれには供給ヘッド22が設けられている。用紙供給部20a〜20cの一つが選択されると、供給ヘッド22が作動して選択された用紙供給部20から用紙搬送路24を介して像形成部26に用紙が供給される。このように、用紙供給部20a〜20cは、記録媒体を供給する記録媒体供給手段を構成する。なお、記録媒体は、用紙に限定されず、例えばOHP用シート等であってもよい。また、用紙供給部20a〜20cなど、複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示すときには、単に用紙供給部20などと略記することがある。
【0023】
像形成部26は、例えばゼログラフィからなり、用紙搬送路24を搬送される用紙に画像を形成する。より具体的には、像形成部26は、像保持体28と、この像保持体28の表面を一様に帯電させる複数の帯電ロール30と、像保持体28に潜像を書き込むレーザ書込み装置32と、書き込まれた潜像を現像する現像装置34と、現像されたトナー像を用紙に転写する転写ロール36と、残留トナーをとるクリーナ38と、用紙のトナー像を定着させる定着装置40とを有する。
【0024】
像形成部26は、後述するUI部56を介して画像の向きが設定される場合、CPU100の制御により、設定された向きで画像を印刷する。このため、像形成部26は、UI部56により設定された向きで画像を用紙に印刷する印刷手段を構成する。
【0025】
反転装置46は、両面印刷が設定された場合、定着装置40により一面が定着された用紙を用紙排出路42から用紙反転路48に送る。この場合、用紙は、再び用紙搬送路24に戻され像形成部26に送られて、他面の印刷がなされる。
【0026】
後処理装置16は、例えばステープラ、ソータ等の後処理部60を有し、後述するUI部56の選択に応じて使い分けられる。後処理部60が選択されなかった場合、用紙は、そのまま用紙排出トレイ44a,44bいずれかに排出される。
【0027】
画像読取装置14は、ADF(Auto Document Feeder)等の自動原稿送り装置50と、この自動原稿送り装置50により送られた画像を読取走査するスキャナ52とを有する。用紙は、自動原稿送り装置50によりプラテン54に送られ、用紙の画像が、プラテン54上でスキャナ52により読み取られる。複写が画像形成装置10により設定された場合、画像読取装置14により読み取られた画像が画像形成装置本体12により用紙に印刷される。
【0028】
ユーザインタフェース(UI)部56は、表示装置及び入力装置を有し、画像形成装置本体12の例えば上部に設けられている。UI部56は、CPU100による制御に基づいて、画像形成装置本体12、画像読取装置14及び後処理装置16に関する処理内容を表示し、作業者からの入力を受け入れてCPU100に対して出力する。なお、UI部56については、後で詳述する。
【0029】
なお、画像形成装置10は、タンデム式でもよいし、ロータリー式でもよい。また、画像形成装置10の像形成部26は、インクジェット方式でもよい。
【0030】
図4は、UI部56の詳細な構成を示す図である。
図4に示すように、UI部56には、表示部120、第1の入力部122a〜122及び第2の入力部124a〜124dが設けられている。表示部120は、例えば液晶画面である。第1の入力部122及び第2の入力部124は、処理内容を設定するための例えばボタンである。第1の入力部122は、項目を選択するためのカーソルを上下左右に移動させるためのボタンとしても機能する。例えば、入力部122cは、画像形成装置10がメニューモードに移行するためのボタンである。また例えば、入力部124aは、設定を変更するためのボタンである。
【0031】
したがって、作業者は、第1の入力部122及び第2の入力部124を用いて、画像形成装置本体12、画像読取装置14等の処理内容の設定を行う。なお、表示部120、第1の入力部122及び第2の入力部124は、タッチパネルからなってもよい。
【0032】
図5は、UI部56に表示される設定画面を例示する図である。
図5に例示するように、設定画面は、階層的に遷移する。本例では、用紙供給部20a(トレイ1)、用紙供給部20b(トレイ2)及び用紙供給部20c(トレイ3)により供給される用紙に印刷する画像の向きを設定するための画面が示されている。例えば、90°、180°及び270°のいずれかの角度が設定される場合、画像は、設定される角度だけ回転される。「OFF」(回転角度0°)が設定される場合、画像の向きは変更されない。
【0033】
本例では、UI部56の入力部122cが押下されると、画像形成装置10はメニューモードに移行する。メニューモードでは、例えば、動作モードの切り替え、テスト印刷の実行等が行われる。メニューモードに移行された場合、表示部120には、各種機能の設定のための画面が表示される。この画面は、レベル1の設定画面である。
【0034】
レベル1の設定画面において、例えば入力部122b(上ボタン)及び入力部122d(下ボタン)が数回押下され、カーソルが「印刷設定メニュー」に移動され、さらに入力部122c(右ボタン)が押下されると、「印刷設定メニュー」が選択され、表示部120にはレベル2の設定画面が表示される。
【0035】
レベル2の設定画面において、入力部122d等が数回押下され、カーソルが「画像回転 設定」に移動され、さらに入力部122cが押下されると、「画像回転 設定」が選択され、表示部120にはレベル3の設定画面が表示される。
【0036】
レベル3の設定画面において、入力部122d等が数回押下されると、用紙供給部20a〜20cのいずれかが選択される。用紙供給部20a〜20cのいずれかが選択された状態で入力部124aが押下されると、入力部124aが押下される毎に、回転角度は、例えば0°(回転なし)、90°、180°及び270°の順で変更される。なお、レベル3の設定画面において、「*」(アスタリスク)は、現在選択されている角度を示す。
【0037】
回転角度が選択されると、画像の向きは、選択される回転角度に基づいて変更される。このため、UI部56は、用紙供給部20a〜20cにより供給される用紙に印刷する画像の向きを用紙供給部20a〜20c毎に設定する設定手段を構成する。
【0038】
また例えば、レベル2の設定画面において、「コピー枚数 設定」が選択されると、レベル3の設定画面において、コピー枚数が設定される。
【0039】
図6は、画像の回転角度が0°及び180°に設定されている場合の印刷結果を例示する図である。
用紙供給部20a,20bにはそれぞれ、例えばA4サイズの用紙130が装填されている。用紙130には、綴じ穴132a,132bが設けられている。ここで、例えば、用紙供給部20aには、用紙130は、綴じ穴132a,132bが用紙の始端にある状態で用紙の長辺が用紙搬送路24の搬送方向に沿って搬送されるように装填されている。
【0040】
一方、用紙供給部20bには、用紙130は、綴じ穴132a,132bが用紙の終端にある状態で用紙の長辺が用紙搬送路24の搬送方向に沿って搬送されるように装填されている。このため、用紙供給部20a〜20cの少なくともいずれかは、用紙130に設けられた綴じ穴132a,132bが用紙の終端に位置するように用紙を供給する。
【0041】
図6(A)は、画像の回転角度が0°である場合の印刷結果を例示する。図6(A)に例示するように、回転角度が0°に設定されている場合、画像は、画像の上部が用紙搬送方向に来るようにして印刷される。したがって、用紙供給部20aにより供給される用紙に印刷される画像の向きが0°に設定されている場合、画像は、画像の上部と綴じ穴132a,132bの位置とが一致するように印刷される。
【0042】
図6(B)は、画像の回転角度が180°である場合の印刷結果を例示する。図6(B)に例示するように、回転角度が180°に設定されている場合、画像は、画像の上部が用紙搬送方向の逆方向に来るようにして印刷される。したがって、用紙供給部20bにより供給される用紙に印刷される画像の向きが180°に設定されている場合、画像は、画像の上部と綴じ穴132a,132bの位置とが一致するように印刷される。
【0043】
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の動作を説明する。
画像形成装置10の用紙供給部20a,20bにはそれぞれ、例えばAサイズの用紙が、図6(A)及び図6(B)の状態で搬送されるように装填されている。作業者は、UI部56を介して、例えば用紙供給部20bにより供給される用紙に印刷する画像の向きが180°であることを設定する。
【0044】
作業者は、画像読取装置14を介して、複写の対象である原稿を読み取らせる。画像読取装置14は、読み取った画像データを画像形成装置本体12のCPU100に対して出力する。CPU100は、当該画像データを受け付け、この画像を180°回転させた画像を生成する。なお、画像データは、端末装置2など外部のコンピュータから送信されてもよい。
【0045】
像保持体28の表面が帯電ロール30により帯電されると、この画像に基づいてレーザ書込み装置32により潜像が像保持体28に書き込まれ、現像装置34により現像される。用紙は、用紙供給部20bから供給ヘッド22により送り出され、用紙搬送路24に導かれる。用紙は、用紙搬送路24を搬送される間、用紙の綴じ穴132a,132bが用紙の終端にある状態で搬送される。用紙は、転写ロール36によりトナー像を転写され、定着装置40により定着され、用紙排出路42から後処理装置16の用紙排出トレイ44a,44bのいずれかに排出される。
【0046】
次に、本発明の実施形態に係る端末装置2に表示される設定画面を説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る端末装置2に表示される印刷設定画面140を例示する図である。
図7に例示するように、印刷設定画面140には、用紙サイズ設定部142、印刷結果表示部144、出力サイズ設定部146、給紙方法設定部148、用紙種類設定部150、排出先設定部152、画像回転ボタン154、OKボタン156及びキャンセルボタン158が含まれる。なお、印刷設定画面140は、端末装置2のUI装置108の表示装置に表示される。
【0047】
印刷設定画面140において、用紙サイズ設定部142は、生成される画像データの大きさを設定するための設定手段である。例えば、A4、A3等の大きさが用紙サイズ設定部142に設定される場合、文書作成ソフトウェア、表計算ソフトウェア、プレゼンテーションソフトウェエア等のアプリケーションソフトウェアにより生成により、当該設定される大きさの画像が生成される。用紙サイズ設定部142は、例えばプルダウンメニューにより実現される。なお、以降の設定手段もまた、同様にして実現される。
【0048】
印刷結果表示部144は、画像形成装置10に設けられた用紙供給部20に装填されている用紙の状態と、印刷設定画面140及び後述する画像回転設定画面160により設定される用紙サイズ、用紙の向き、画像の向き等とに基づいて印刷結果を模式的に表示する。端末装置2は、画像形成装置10との間で通信を行い、画像形成装置10に装填されている用紙の状態に関する情報を画像形成装置10から受信する。
【0049】
出力サイズ設定部146は、画像形成装置10において画像が印刷される用紙の大きさを設定するための設定手段である。この大きさは、用紙サイズ設定部142により設定される大きさと同一であってもよいし、例えば、A4、A3等の大きさが個別に設定されてもよい。
【0050】
給紙方法設定部148は、画像形成装置10の用紙供給部20a〜20cのいずれかを選択するための設定手段である。給紙方法が用紙供給部20a〜20cのいずれかに設定されている場合、画像形成装置10において、設定される用紙供給部20から用紙が供給される。
【0051】
用紙種類設定部150は、用紙種類を設定するための設定手段である。用紙種類が設定されている場合、画像形成装置10において、設定される用紙種類の用紙が装填されている用紙供給部20から用紙が供給される。用紙種類は、例えば、普通紙、再生紙、OHPシート等から選択される。
【0052】
排出先設定部152は、画像形成装置10の排出先を設定するための設定手段である。例えば、排出先は、用紙排出トレイ44a,44bのいずれかから選択される。画像回転ボタン154は、後述する画像回転設定画面に移行するためのボタンである。
【0053】
図8は、本発明の実施形態に係る端末装置2に表示される画像回転設定画面160を例示する図である。
図8に例示するように、画像回転設定画面160には、回転設定部160a〜160c、OKボタン156及びキャンセルボタン158が含まれる。画像回転設定画面160は、印刷設定画面140において画像回転ボタン154が押下された場合、UI装置108の表示装置に表示される。
【0054】
画像回転設定画面160において、回転設定部160a〜160cは、画像形成装置10の用紙供給部20a〜20cにより供給される用紙に印刷する画像の向きを設定するための設定手段である。例えば、用紙供給部20aに対して「回転する」が設定される場合、用紙が用紙供給部20aから供給される際には、画像は180°回転されて用紙に印刷される。また例えば、用紙供給部20cに対して「プリンタの設定値」が設定される場合、用紙が用紙供給部20cから供給される際には、画像は、画像形成装置10において用紙供給部20cに対して設定されている回転角度だけ回転されて用紙に印刷される。
【0055】
このようにして、画像回転設定画面160は、用紙を供給する複数の用紙供給部20a〜20cのそれぞれについて当該用紙供給部20a〜20cにより供給される用紙に印刷される画像の向きを設定する設定手段を構成する。なお、本例では、画像を180°回転するか否かが設定されるが、90°、270°等の他の角度が設定されてもよい。また、回転角度が例えばプルダウンメニューにより選択されてもよい。
【0056】
図9は、本発明の実施形態に係る端末装置2上で動作する画像回転制御プログラム200の機能構成を示す図である。
図9に示すように、画像回転制御プログラム200は、UI部202、通信部204、用紙状態取得部206、回転制御部208、印刷データ生成部210及び印刷データ送信部212を有する。画像回転制御プログラム200は、端末装置2のメモリ102にロードされ、CPU100により実行される。画像回転制御プログラム200は、例えば、プリンタドライバとして実現される。なお、画像回転制御プログラム200の全部又は一部の機能は、端末装置2に設けられたハードウェアにより実現されてもよい。
【0057】
画像回転制御プログラム200において、UI部202は、画像回転制御プログラム200の他の構成要素において生成されるデータを端末装置2のUI装置108に表示し、UI装置108を介して入力されるデータを他の構成要素に対して出力する。通信部204は、ネットワーク3を介して、画像形成装置10及び図示しない他のコンピュータとの間で所定の通信手順でデータの通信を行う。
【0058】
用紙状態取得部206は、画像形成装置10に設けられた用紙供給部20a〜20cに装填されている用紙の大きさ、向き、種類等の状態に関する情報を取得する。用紙状態取得部206は、取得した用紙状態を回転制御部208に対して出力する。
【0059】
回転制御部208は、印刷設定画面140及び画像回転設定画面160を生成してUI装置108に表示し、UI装置108を介して入力される設定内容を受け付けて、画像の回転角度を制御する。より具体的には、画像回転設定画面160を介して入力される画像の向きを受け付け、当該画像の向きに関するデータを印刷データ生成部210に対して出力する。
【0060】
また、回転制御部208は、用紙状態取得部206により取得される情報と画像回転設定画面160により設定される設定される画像の向きとに基づいて印刷結果画像を生成し、印刷設定画面140の印刷結果表示部144に表示する。なお、回転制御部208は、印刷設定画面140により設定される内容にさらに基づいて印刷結果画像を生成してもよい。
【0061】
印刷データ生成部210は、画像回転設定画面160により設定された向きで画像を印刷する印刷データを生成する。より具体的には、印刷データ生成部210は、画像回転設定画面160により設定される画像の向きに画像を回転させるための制御データ(回転制御データ)と、画像データとを含む印刷データを生成する。画像データは、例えば、所定のページ記述言語で記述されている。回転制御データは、例えば、画像の回転を画像形成装置10に実行させるための印刷ジョブ制御コマンドである。
【0062】
また、印刷データには、印刷設定画面140により設定される内容を実現するための制御データが含まれている。当該制御データは、例えば、出力サイズ、給紙方法、排出先等を制御するための印刷ジョブ制御コマンドである。
【0063】
さらに、印刷データ生成部210は、用紙が排出される排出先に対応する排出先制御データを含む印刷データを生成する。好適には、排出先制御データは、画像の向きが変更されて印刷される用紙を、当該用紙とは異なる用紙が排出される排出先とは異なる排出先に排出するための制御データである。例えば、画像回転設定画面160において画像を回転することが設定され、印刷設定画面140において排出先が用紙排出トレイ44aに設定されている場合、印刷データ生成部210は、画像が回転されずに印刷される用紙を用紙排出トレイ44aに排出し、画像が回転されて印刷される用紙を用紙排出トレイ44bに排出するための印刷ジョブ制御コマンドを印刷データに含める。
【0064】
印刷データ送信部212は、印刷データ生成部210により生成された印刷データを通信部204を介して画像形成装置10に対して送信する。
【0065】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム1の全体動作(S10)を示すシーケンス図である。
図10に示すように、ステップ100(S100)において、作業者は、端末装置2を用いて画像の向き等を設定する。より具体的には、印刷設定画面140及び画像回転設定画面160が画像回転制御プログラム200の回転制御部208により表示され、作業者は、これらの画面を介して画像の向きを含む印刷に係る設定項目を入力する。回転制御部208は、入力される画像の向き等の設定項目を受け付ける。
【0066】
ステップ102(S102)において、印刷データが、回転制御部208により受け付けられる設定項目に基づいて、印刷データ生成部210により生成される。
ステップ104(S104)において、印刷データが、印刷データ送信部212により画像形成装置10に対して送信される。
【0067】
ステップ106(S106)において、画像形成装置10のCPU100は、通信装置106を介して画像データと制御データとを含む印刷データを受信する。CPU100は、当該制御データに基づいて当該画像を回転させ、回転された画像を生成する。
【0068】
ステップ108(S108)において、画像形成装置10を印刷処理を行う。具体的には、用紙が、制御データにおいて指定されている用紙供給部20から供給され、回転された画像が、像形成部26により当該用紙に形成される。
【0069】
したがって、例えば、用紙供給部20bに、用紙が、綴じ穴が用紙の終端にある状態で用紙搬送路24の搬送方向に沿って搬送されるように装填されており、端末装置2において、用紙は用紙供給部20bから搬送され、画像が180°回転されて印刷されるように設定されている場合、画像形成装置10は、図6(B)に示されるように用紙を搬送して画像を印刷する。
【0070】
さらに、画像形成装置10は、画像の向きが変更されて印刷される用紙を、画像の向きが変更されることなく印刷される用紙とは異なる用紙排出トレイ44に排出する。例えば、印刷設定画面140の排出先設定部152において用紙排出トレイ44aが設定されている場合、画像の向きが変更されることなく印刷される用紙は、用紙排出トレイ44aに排出され、画像の向きが変更されて印刷される用紙は、用紙排出トレイ44aとは異なる用紙排出トレイ44bに排出される。
【0071】
なお、画像回転制御プログラム200の印刷データ生成部210は、排出先を変更するための制御データを印刷データに含めなくてもよい。この場合、画像形成装置10は、設定されている排出先に画像の向きが変更されて印刷される用紙を排出する。
【0072】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成システム1を説明する。
本実施形態は、画像の回転が端末装置2において実行される点で、第1の実施形態とは異なる。
本実施形態において、画像回転制御プログラム200の印刷データ生成部210は、画像回転設定画面160により設定される画像の向きに基づいて画像を回転し、回転された後の画像データを含む印刷データを生成する。ここで、印刷データには、画像を回転させるための制御データは含まれない。
【0073】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る画像形成システム1の全体動作(S20)を示すシーケンス図である。なお、図11に示される各処理のうち、図10に示される処理と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
図11に示すように、S100の処理で、端末装置2において、画像の向き等の印刷に係る設定項目が入力され、画像回転制御プログラム200の回転制御部208により受け付けられる。
【0074】
ステップ200(S200)において、画像の回転が、印刷データ生成部210により実行される。
ステップ202(S202)において、印刷データが、印刷データ生成部210により生成される。ここで、印刷データには、回転された画像のデータが含まれている。
さらに、S104の処理で、印刷データが画像形成装置10に対して送信され、S108の処理で、印刷処理が画像形成装置10により実行される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システム1を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る端末装置2のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。
【図4】UI部56の詳細な構成を示す図である。
【図5】UI部56に表示される設定画面を例示する図である。
【図6】画像の回転角度が0°及び180°に設定されている場合の印刷結果を例示する図である。
【図7】本発明の実施形態に係る端末装置2に表示される印刷設定画面140を例示する図である。
【図8】本発明の実施形態に係る端末装置2に表示される画像回転設定画面160を例示する図である。
【図9】本発明の実施形態に係る端末装置2上で動作する画像回転制御プログラム200の機能構成を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システム1の全体動作(S10)を示すシーケンス図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る画像形成システム1の全体動作(S20)を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成システム
2 端末装置
3 ネットワーク
10 画像形成装置
20 用紙供給部
26 像形成部
44a,44b 用紙排出トレイ
56 UI部
140 印刷設定画面
160 画像回転設定画面
200 画像回転制御プログラム
202 UI部
204 通信部
206 用紙状態取得部
208 回転制御部
210 印刷データ生成部
212 印刷データ送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を供給する複数の記録媒体供給手段と、
前記記録媒体供給手段により供給される記録媒体に印刷する画像の向きを前記記録媒体供給手段毎に設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された向きで画像を記録媒体に印刷する印刷手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体供給手段の少なくとも一つは、記録媒体に設けられた綴じ穴が記録媒体の終端に位置するように記録媒体を供給する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体を供給する複数の記録媒体供給装置のそれぞれについて当該記録媒体供給装置により供給される記録媒体に印刷される画像の向きを設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された向きで画像を印刷する印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
前記印刷データ生成手段により生成された印刷データを送信する印刷データ送信手段と
を有する端末装置。
【請求項4】
前記印刷データ生成手段により生成される印刷データには、前記設定手段により設定された画像の向きに画像を回転させるための回転制御データと画像データとが含まれる
請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記印刷データ生成手段により生成される印刷データには、前記設定手段により設定された画像の向きに基づいて回転された画像データが含まれる
請求項3に記載の端末装置。
【請求項6】
前記印刷データ生成手段により生成される印刷データには、記録媒体が排出される排出先制御データが含まれる
請求項3乃至5のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
画像形成装置に設けられた記録媒体供給装置に装填されている記録媒体の状態に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得される情報と前記設定手段により設定された画像の向きとに基づいて印刷結果を表示する印刷結果表示手段と
をさらに有する請求項3乃至6のいずれかに記載の端末装置。
【請求項8】
記録媒体を供給する複数の記録媒体供給手段と、
前記記録媒体供給手段により供給される記録媒体に印刷される画像の向きを前記記録媒体供給手段毎に設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された向きで画像を印刷する印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
前記印刷データ生成手段により生成された印刷データに基づいて画像を記録媒体に印刷する印刷手段と
を有する画像形成システム。
【請求項9】
コンピュータを含む端末装置において、
記録媒体を供給する複数の記録媒体供給装置のそれぞれについて当該記録媒体供給装置により供給される記録媒体に印刷される画像の向きを設定する設定ステップと、
前記設定された向きで画像を印刷する印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
前記生成された印刷データを送信する印刷データ送信ステップと
を前記端末装置のコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−179112(P2008−179112A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16037(P2007−16037)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】