説明

画像形成装置及びトナー容器

【課題】新規部品の追加を必要とすること無く、トナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、トナーを収容するトナー容器18と、トナー容器18を支持するガイドレール43が設けられた収納部25と、を備え、トナー容器18には、ガイドレール43によって支持される部分の一部にトナー容器側凸部33が設けられ、ガイドレール43には、トナー容器18を支持する部分の一部にガイドレール側凸部46が設けられ、トナー容器18を収納部25から取り外す際にガイドレール43に沿ってトナー容器18をスライドさせると、その途中でトナー容器側凸部33がガイドレール側凸部46と係合し、この係合に伴う衝撃でトナー容器18に付着したトナーが収納部25内に落下することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置及びこの画像形成装置に対して着脱可能に設けられるトナー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置においては、感光体ドラム等の表面に形成された静電潜像に現像器からトナーを供給することで、現像処理を行っている。このような現像処理に用いられるトナーは、画像形成装置に対して着脱可能に設けられるトナー容器から現像器に供給されるのが通常である。
【0003】
上記のような現像処理が繰り返し行われると、これに伴ってトナー容器内のトナーが減少していき、トナー容器内のトナーが無くなると、トナー容器の交換が必要となる。このトナー容器の交換作業はユーザーによって行われる場合が多く、トナー容器の排出口付近に付着したトナーがユーザーの衣類を汚してしまう可能性が有る。
【0004】
このような問題を解決するため、トナー容器に2重シャッターを設ける構成や、トナー容器の着脱時に、トナー容器の排出口の周囲を清掃する構成が知られている(後者について、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−311531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トナー容器に2重シャッターを設ける場合には、通常は1個で済むシャッターをもう1個追加しなければならないし、トナー容器の着脱時にトナー容器の排出口の周囲を清掃する場合には、この清掃のための部材を追加しなければならない。このように、上記した従来技術はいずれも新規部品の追加を必要としており、製造工程の煩雑化及び製造コストの高騰を招く虞があった。
【0007】
また、清掃部材を用いてトナー容器の排出口の周囲を清掃する構成の場合、この清掃によってトナー容器から除去されたトナーが画像形成装置内に落下することになるが、従来の画像形成装置においては、この落下したトナーの逃がし場所が考慮されていない。そのため、画像形成装置内に落下したトナーが、トナー容器に再付着してトナー容器と共に画像形成装置の外部に持ち出され、ユーザーの衣類を汚す虞があった。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、新規部品の追加を必要とすること無く、トナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、トナーを収容するトナー容器と、該トナー容器を支持するガイドレールが設けられた収納部と、を備え、前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせることで該トナー容器が前記収納部に対して着脱されるように構成された画像形成装置であって、前記トナー容器には、前記ガイドレールによって支持される部分の一部にトナー容器側凸部が設けられ、前記ガイドレールには、前記トナー容器を支持する部分の一部にガイドレール側凸部が設けられ、前記トナー容器を前記収納部から取り外す際に前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせると、その途中で前記トナー容器側凸部が前記ガイドレール側凸部と係合し、この係合に伴う衝撃で前記トナー容器に付着したトナーが前記収納部内に落下することを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用することで、トナー容器が収納部から取り外される前に、トナー容器に対するトナーの付着量を低減させることが可能となり、トナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止することが可能となる。また、既存の部品であるトナー容器とガイドレールにそれぞれ凸部を設けるだけで、新規部品を追加することなくトナー容器に対するトナーの付着量を低減させることが可能となるため、製造工程の煩雑化や製造コストの高騰を抑制することが可能となる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器には、トナーの排出口が設けられ、前記収納部には、前記トナー容器側凸部が前記ガイドレール側凸部と係合するときに前記排出口の下方に位置するように、絞り部が設けられていても良い。
【0012】
このような構成を採用することで、トナー容器側凸部とガイドレール側凸部の係合に伴う衝撃で収納部内に落下したトナーを絞り部に収容することが可能となる。そのため、収納部内に落下したトナーがトナー容器に再付着してユーザーの衣類を汚すのを防止することが可能となる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記収納部には、前記トナー容器の前記収納部への装着方向において前記絞り部の奥側に清掃部材が設けられ、前記トナー容器を前記収納部から取り外す際に前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせると、前記トナー容器の前記排出口の周囲に前記清掃部材が接触して、前記排出口の周囲に対するトナーの付着量を低減させても良い。
【0014】
このように清掃部材を用いて排出口の周囲に対するトナーの付着量を低減させることで、トナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを一層効果的に抑制することが可能となる。また、トナー容器の収納部への装着方向において絞り部の奥側に清掃部材を設けることで、清掃部材によりトナー容器から除去されて収納部内に落下したトナーが絞り部に収容され易くなる。これに伴って、収納部内に落下したトナーがトナー容器に再付着してユーザーの衣類を汚すのを一層効果的に防止することが可能となる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器には、該トナー容器が前記収納部に装着された状態で前記ガイドレール側凸部と嵌合可能なトナー容器側凹部が設けられ、前記ガイドレールには、前記トナー容器が前記収納部に装着された状態で前記トナー容器側凸部と嵌合可能なガイドレール側凹部が設けられていても良い。
【0016】
このような構成を採用することで、トナー容器が収納部に装着された状態において、トナー容器とガイドレールの間にガタツキ等が発生するのを防止することが可能となる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、前記トナー容器側凸部及び前記ガイドレール側凸部には、前記トナー容器の前記収納部への装着方向に対して所定角度傾斜する傾斜面が前記装着方向の手前側と奥側にそれぞれ形成され、前記トナー容器側凸部の手前側の前記傾斜面は奥側の前記傾斜面よりも前記装着方向に対する傾斜角度が大きくなるように形成され、前記ガイドレール側凸部の奥側の前記傾斜面は手前側の前記傾斜面よりも前記装着方向に対する傾斜角度が大きくなるように形成されていても良い。
【0018】
このような構成を採用することで、トナー容器を収納部に装着する際には、トナー容器側凸部の奥側の傾斜面とガイドレール側凸部の手前側の傾斜面が緩やかに係合するため、トナー容器の収納部への装着を容易に行うことが可能となる。また、トナー容器を収納部から取り外す際には、トナー容器側凸部の手前側の傾斜面とガイドレール側凸部の奥側の傾斜面とが大きな衝撃と共に係合するため、トナー容器に付着したトナーを効率的に振り落とすことができる。
【0019】
本発明のトナー容器は、トナーを収容し、画像形成装置の収納部に設けられたガイドレールに支持されるトナー容器であって、該トナー容器には、前記ガイドレールによって支持される部分の一部にトナー容器側凸部が設けられ、前記ガイドレールには、前記トナー容器を支持する部分の一部にガイドレール側凸部が設けられ、前記トナー容器を前記収納部から取り外す際に前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせると、その途中で前記トナー容器側凸部が前記ガイドレール側凸部と係合し、この係合に伴う衝撃で前記トナー容器に付着したトナーが前記収納部内に落下することを特徴とする。
【0020】
このような構成を採用することで、トナー容器が収納部から取り外される前に、トナー容器に対するトナーの付着量を低減させることが可能となり、トナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止することが可能となる。また、既存の部品であるトナー容器とガイドレールにそれぞれ凸部を設けるだけで、新規部品を追加することなくトナー容器に対するトナーの付着量を低減させることが可能となるため、製造工程の煩雑化や製造コストの高騰を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、新規部品の追加を必要とすること無く、トナー容器に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止可能な画像形成装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部及びトナーコンテナを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、トナーコンテナを示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、トナーコンテナが収納部に装着された状態におけるガイドレールの後部周辺を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部の右側壁を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナが収納部に装着された状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部を通過する前の状態を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部と係合した状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部を通過した後の状態を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部と係合した状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部に乗り上げた状態を示す断面図であり、(c)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部から降下した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、図1を用いて画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【0024】
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には転写紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。
【0025】
プリンター本体2の上部には、像担持体としての中間転写ベルト5が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト5の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器10が配置され、中間転写ベルト5の下部に沿って4個の画像形成部6がトナーの色ごとに設けられている。
【0026】
各画像形成部6には、感光体ドラム7が回転可能に設けられており、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。
【0027】
現像器11の下部には一対の攪拌ローラー15が設けられ、攪拌ローラー15の斜め上方には磁気ローラー16が設けられ、磁気ローラー16の斜め上方には現像ローラー17が設けられている。現像器11の上方には、各画像形成部6と対応する4個のトナー容器としてのトナーコンテナ18が、トナーの色ごとに設けられている。トナーコンテナ18の詳細については後述する。
【0028】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、転写紙の搬送経路20が設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には中間転写ベルト5の一端(図面上右端)に二次転写部22が設けられ、搬送経路20の下流部には定着部23が設けられ、搬送経路20の下流端には排紙口24が設けられている。
【0029】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメータ−が初期化され、定着部23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0030】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器10からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器11がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト5の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部6が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0031】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された転写紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト5上のフルカラーのトナー像が転写紙に二次転写される。トナー像を二次転写された転写紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着部23に進入し、この定着部23において転写紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された転写紙は、排紙口24から排紙トレイ4の上に排出される。
【0032】
次に、図2〜図6を用いて、トナーコンテナ18及びその周辺部について説明する。以下、便宜上、図2における右手前側を各部材の正面側として説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部及びトナーコンテナを示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、トナーコンテナを示す斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、トナーコンテナが収納部に装着された状態におけるガイドレールの後部周辺を示す断面図である。図5は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部の右側壁を示す斜視図である。図6は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、収納部を示す平面図である。なお、図3では左側が正面側であるのに対して、図4、図5では、右側が正面側になっており、図3と図4、図5とでは、各部の左右関係が逆になっている。
【0033】
図2に示されるように、プリンター本体2の上部には、4個のトナーコンテナ18(図2では、左から2番目のトナーコンテナ18のみを表示)を着脱可能に収納する4個の収納部25が設けられている。
【0034】
各トナーコンテナ18には、それぞれ異なる色のトナーが収容されている。このトナーは、例えば磁性トナー及びキャリアにより構成される2成分現像剤である。図2、図3に示されるように、各トナーコンテナ18は、上面が開口された容器本体26と、容器本体26の開口を閉止する蓋部材27と、を備えている。
【0035】
容器本体26は、前後方向に沿って細長の形状を成しており、容器本体26の前端には取手28が設けられている。容器本体26の後下部には排出口30(図3参照)が設けられ、排出口30は、トナーコンテナ18を収納部25に装着していない状態において、スライド式のシャッター(図示せず)により閉止されている。そして、トナーコンテナ18が収納部25に装着されるのに連動してシャッターがスライドして排出口30が開放され、トナーコンテナ18の内部空間と現像器11の内部空間が連通するように構成されている。なお、本実施形態ではこのようにスライド式のシャッターを用いているが、他の異なる実施形態では、トナーコンテナ18が収納部25に装着されることでレバーのロックが解除された後、ユーザーのレバー操作に連動してシャッターが回転して排出口30が開放される回転式のシャッターを用いても良い。
【0036】
容器本体26には、排出口30の上方に搬送スクリュー(図示せず)が回転可能に設けられ、搬送スクリューの左方には、攪拌パドル(図示せず)が回転可能に設けられている。そして、トナーコンテナ18が収納部25に装着されるのに連動して、収納部25の後方に設けられた駆動ユニット(図示せず)に搬送スクリュー及び攪拌パドルが接続され、搬送スクリュー及び攪拌パドルが回転可能となる。
【0037】
容器本体26の上端にはフランジ部31が設けられている。フランジ部31は、前後方向に長い方形枠状を成している。図3等に示されるように、フランジ部31の両側部の後端側には、下面32にトナー容器側凸部33が設けられている。図4に最も良く示されるように、トナー容器側凸部33は断面台形状をなしている。トナー容器側凸部33には、トナーコンテナ18の収納部25への装着方向(本実施形態では前側から後側に向かう方向。図4の二点鎖線矢印a参照)に対して所定角度傾斜する傾斜面34、35が前側(装着方向手前側)と後側(装着方向奥側)にそれぞれ形成されている。トナー容器側凸部33の前側の傾斜面34の装着方向に対する傾斜角度α1は、後側の傾斜面35の装着方向に対する傾斜角度β1よりも大きくなっている。フランジ部31の両側部の下面32には、トナー容器側凸部33よりも前側に、トナー容器側凹部36が設けられている。
【0038】
図2、図3に示されるように、蓋部材27の外周にはフランジ部37が設けられている。そして、このフランジ部37が容器本体26のフランジ部31に超音波溶着されることで、容器本体26の上面の開口が閉止されている。
【0039】
図2に示されるように、4個の収納部25は、プリンター本体2の上部に左右方向に並ぶようにして設けられている。各収納部25は、各画像形成部6に対応してトナーの色ごとに設けられている。各収納部25の上面は、排紙トレイ4(図1参照)によって被覆されている。
【0040】
各収納部25の前端には、トナーコンテナ18を収納部25に対して着脱するための取出口38が形成されている。各収納部25には左右両側壁40、41が設けられ、左右両側壁40、41の前端面には、取出口38の両側にガイド片42が設けられている。
【0041】
左右両側壁40、41の対向面の上部には横向きコ字状を成すガイドレール43が前後方向に沿って設けられている。図5に最も良く示されるように、ガイドレール43は、前方に行くに上下幅が大きくなるように形成されており、ガイドレール43の前端部には案内部44が設けられている。
【0042】
ガイドレール43の底面45の後部には、トナー容器側凸部33と対応するガイドレール側凸部46が設けられている。図4に最も良く示されるように、ガイドレール側凸部46は断面台形状を成している。ガイドレール側凸部46には、前後方向に対して所定角度傾斜する傾斜面47、48が前側と後側にそれぞれ形成されている。ガイドレール側凸部46の後側の傾斜面48の装着方向に対する傾斜角度α2は、トナー容器側凸部33の前側の傾斜面34の傾斜角度α1と同一であり、ガイドレール側凸部46の前側の傾斜面47の装着方向に対する傾斜角度β2は、トナー容器側凸部33の後側の傾斜面35の傾斜角度β1と同一である。従って、傾斜角度α2は傾斜角度β2よりも大きくなっている。ガイドレール側凸部46は、トナー容器側凹部36と対応する形状及び大きさで形成されており、トナー容器側凹部36と嵌合可能となっている。
【0043】
ガイドレール43の底面45には、ガイドレール側凸部46よりも後側に、ガイドレール側凹部50が設けられている。ガイドレール側凹部50は、トナー容器側凸部33と対応する形状を成しており、トナー容器側凸部33と嵌合可能となっている。
【0044】
図2に示されるように、各収納部25の底壁51は、板金部材である本体フレーム52によって構成されている。図6に示されるように、各収納部25の底壁51の後部には、各トナーコンテナ18の排出口30と対応する位置に連通口53が設けられており、この連通口53を介して、トナーコンテナ18の排出口30から排出されたトナーが現像器11に供給されるようになっている。
【0045】
各収納部25の底壁51には、連通口53よりも前方に絞り部54が凹設されている。絞り部54は、僅かに前後方向に長い長方形状を成している。各収納部25の底壁51には、連通口53の前側且つ絞り部54の後側に清掃部材55が設けられている。清掃部材55は、左右方向に長い長方形状を成している。清掃部材55は、例えば、板状の部材にブラシ毛を多数植設することによって形成される。
【0046】
上記の如く構成されたものにおいて、トナーコンテナ18を収納部25から取り外す方法について、主に図7〜図9を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナが収納部に装着された状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部を通過する前の状態を示す断面図である。図8は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部と係合した状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部を通過した後の状態を示す断面図である。図9は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、(a)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部と係合した状態を示す断面図であり、(b)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部に乗り上げた状態を示す断面図であり、(c)は、トナーコンテナの取り外し過程において、トナー容器側凸部がガイドレール側凸部から降下した状態を示す断面図である。なお、図7、図8では、トナーコンテナ18が二点鎖線で表示されている。
【0047】
まず、トナーコンテナ18が収納部25に装着された状態では、図7(a)に示されるように、トナーコンテナ18の排出口30が収納部25の連通口53の上方に位置している。また、トナー容器側凸部33とガイドレール側凹部50、ガイドレール側凸部46とトナー容器側凹部36がそれぞれ嵌合することで、トナーコンテナ18のフランジ部31の下面32と収納部25のガイドレール43の底面45とが面接触している。これにより、トナーコンテナ18と収納部25の間のガタツキが防止されており、トナーコンテナ18が収納部25に安定的に支持されている。
【0048】
この状態から、プリンター本体2の前面に設けられた前カバー(図示せず)を開放し、トナーコンテナ18の取手28を手前側に牽引すると、トナーコンテナ18がガイドレール43に沿って前方にスライドし、図7(b)に示されるように、トナーコンテナ18の排出口30の周囲に清掃部材55が接触する。これにより、トナーコンテナ18の排出口30の周囲に付着したトナーが清掃部材55によって掻き落とされ、排出口30の周囲に対するトナーの付着量が低減される。
【0049】
そして、トナーコンテナ18が更に前方にスライドすると、図8(a)及び図9(a)に示されるように、排出口30の下方に絞り部54が位置する状態で、トナー容器側凸部33の前側の傾斜面34がガイドレール側凸部46の後側の傾斜面48に係合(衝突)する。この係合に伴う衝撃で、トナーコンテナ18に付着したトナーがトナーコンテナ18から振り落とされて、収納部25内に落下する。特に、排出口30の周囲に付着したトナーは、排出口30の下方に位置する絞り部54に落下し、絞り部54に収容される。
【0050】
トナーコンテナ18が更に前方にスライドすると、図9(b)に示されるように、トナー容器側凸部33がガイドレール側凸部46に乗り上げた後、図9(c)に示されるように、トナー容器側凸部33がガイドレール側凸部46から降下する。更に、トナーコンテナ18の取手28の牽引を継続すると、図8(b)に示されるように、トナーコンテナ18が前方へとスライドしていき、収納部25の取出口38からトナーコンテナ18が取り出される。
【0051】
なお、トナーコンテナ18を収納部25に装着するには、上記したトナーコンテナ18の取り外し時とは逆の手順を行えば良い。この場合には、図9(c)に示されるように、トナー容器側凸部33の後側の傾斜面35がガイドレール側凸部46の前側の傾斜面47に係合した後、図9(b)に示されるように、トナー容器側凸部33がガイドレール側凸部46に乗り上げ、図9(a)に示されるように、トナー容器側凸部33がガイドレール側凸部46から降下する。
【0052】
本実施形態では上記のように、トナーコンテナ18には、ガイドレール43によって支持される部分(本実施形態ではフランジ部31の下面32)にトナー容器側凸部33が設けられ、ガイドレール43には、トナーコンテナ18を支持する部分(本実施形態ではガイドレール43の底面45)にガイドレール側凸部46が設けられている。そして、トナーコンテナ18をガイドレール43に沿ってスライドさせる際に、その途中でトナー容器側凸部33をガイドレール側凸部46に係合(衝突)させることでトナーコンテナ18に意図的に衝撃を与え、トナーコンテナ18に付着したトナーを収納部25内に落下させている。そのため、トナーコンテナ18が収納部25から取り外される前に、トナーコンテナ18に対するトナーの付着量を低減させることが可能となり、トナーコンテナ18に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを防止することが可能となる。また、既存の部品であるトナーコンテナ18とガイドレール43にそれぞれトナー容器側凸部33とガイドレール側凸部46を設けるだけで、新規部品を追加することなくトナーコンテナ18に対するトナーの付着量を低減させることが可能となる。そのため、製造工程の煩雑化や製造コストの高騰を抑制することが可能となる。
【0053】
また、トナー容器側凸部33がガイドレール側凸部46と係合するときに排出口30の下方に位置するように絞り部54が設けられているため、トナー容器側凸部33とガイドレール側凸部46の係合に伴う衝撃で収納部25内に落下したトナーの大部分を、絞り部54に収容することが可能となる。そのため、収納部25内に落下したトナーがトナーコンテナ18に再付着してユーザーの衣類を汚すのを防止することが可能となる。
【0054】
また、絞り部54を設けることで、本体フレーム52の強度アップを図ることが可能となる。換言すれば、本体フレーム52の強度アップのために形成された絞り部54をトナーの逃がし場所に兼用することが可能となる。
【0055】
また、清掃部材55を用いて排出口30の周囲に付着したトナーを除去することで、トナーコンテナ18に対するトナーの付着量を一層低減させて、トナーコンテナ18に付着したトナーによってユーザーの衣類が汚されるのを一層効果的に抑制することが可能となる。また、トナーコンテナ18の装着方向において絞り部54の奥側に清掃部材55を設けることで、清掃部材55によりトナーコンテナ18から除去されたトナーが絞り部54に収容されやすくなる。そのため、収納部25内に落下したトナーがトナーコンテナ18に再付着してユーザーの衣類を汚すのを一層効果的に防止することが可能となる。
【0056】
また、トナーコンテナ18を収納部25から取り外す際には、比較的傾斜の大きい傾斜面34と傾斜面48とが大きな衝撃と共に係合するため、トナーコンテナ18に付着したトナーを効率的に振り落とすことができる(図9(a)参照)。一方で、トナーコンテナ18を収納部25に装着する際には、比較的傾斜の小さい傾斜面35と傾斜面47が緩やかに係合するため、トナーコンテナ18の収納部25への装着を容易に行うことが可能となる(図9(b)参照)。
【0057】
本実施形態では、ガイドレール側凸部46の後側の傾斜面48の傾斜角度α2を、トナー容器側凸部33の前側の傾斜面34の傾斜角度α1と同一とし、ガイドレール側凸部46の前側の傾斜面47の傾斜角度β2を、トナー容器側凸部33の後側の傾斜面35の傾斜角度β1と同一とした。一方で、他の異なる実施形態では、傾斜角度β2をβ1と異なる大きさとしたり、傾斜角度α2を傾斜角度α1と異なる大きさとしたりしても良い。
【0058】
本実施形態では、トナー容器側凸部33のガイドレール側凸部46に対する衝突に伴う衝撃で、トナーコンテナ18からトナーを振り落とす場合について説明したが、他の異なる実施形態では、トナー容器側凸部33のガイドレール側凸部46からの降下に伴う衝撃で、トナーコンテナ18からトナーを振り落としても良い。即ち、「係合に伴う衝撃」には、衝突による衝撃と、降下による衝撃の双方が含まれる。
【0059】
本実施形態では、トナー容器側凸部33とガイドレール側凸部46(以下、各凸部33、46と称する。)を共に断面台形状としたが、各凸部33、46の断面形状はこれには限定されず、他の異なる実施形態では、例えば、断面三角形状、断面半円状等、任意の断面形状で各凸部33、46を形成することが可能である。本実施形態では、各凸部33、46を1個ずつ設ける場合について説明したが、他の異なる実施形態では、必要に応じて各凸部33、46のうちのいずれか又は両方を複数個設けても良い。
【0060】
本実施形態では、トナー容器側凸部33をトナーコンテナ18の後端側に設け、ガイドレール側凸部46をガイドレール43の後部に設ける場合について説明したが、各凸部33、46の形成位置は、排出口30や連通口53の位置設定等に応じて適宜変更することが可能であり、トナーコンテナ18やガイドレール43の前側や前後方向中央に各凸部33、46を設けても良い。
【0061】
本実施形態では、トナーコンテナ18を直接現像器11に接続する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、トナーコンテナ18を中間ホッパー等の他のトナー容器を介して現像器11に接続しても良い。この場合には、中間ホッパー等の他のトナー容器に本発明の構成を適用しても良い。
【0062】
本実施形態では、タンデム式のカラープリンター1に本発明を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ロータリー式のカラープリンター、モノクロプリンター、複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 カラープリンター(画像形成装置)
18 トナーコンテナ(トナー容器)
25 収納部
30 排出口
33 トナー容器側凸部
34、35 傾斜面(トナー容器側凸部)
36 トナー容器側凹部
43 ガイドレール
46 ガイドレール側凸部
47、48 傾斜面(ガイドレール側凸部)
50 ガイドレール側凹部
54 絞り部
55 清掃部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容するトナー容器と、該トナー容器を支持するガイドレールが設けられた収納部と、を備え、前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせることで該トナー容器が前記収納部に対して着脱されるように構成された画像形成装置であって、
前記トナー容器には、前記ガイドレールによって支持される部分の一部にトナー容器側凸部が設けられ、
前記ガイドレールには、前記トナー容器を支持する部分の一部にガイドレール側凸部が設けられ、
前記トナー容器を前記収納部から取り外す際に前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせると、その途中で前記トナー容器側凸部が前記ガイドレール側凸部と係合し、この係合に伴う衝撃で前記トナー容器に付着したトナーが前記収納部内に落下することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー容器には、トナーの排出口が設けられ、
前記収納部には、前記トナー容器側凸部が前記ガイドレール側凸部と係合するときに前記排出口の下方に位置するように、絞り部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記収納部には、前記トナー容器の前記収納部への装着方向において前記絞り部の奥側に清掃部材が設けられ、
前記トナー容器を前記収納部から取り外す際に前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせると、前記トナー容器の前記排出口の周囲に前記清掃部材が接触して、前記排出口の周囲に対するトナーの付着量を低減させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー容器には、該トナー容器が前記収納部に装着された状態で前記ガイドレール側凸部と嵌合可能なトナー容器側凹部が設けられ、
前記ガイドレールには、前記トナー容器が前記収納部に装着された状態で前記トナー容器側凸部と嵌合可能なガイドレール側凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー容器側凸部及び前記ガイドレール側凸部には、前記トナー容器の前記収納部への装着方向に対して所定角度傾斜する傾斜面が前記装着方向の手前側と奥側にそれぞれ形成され、
前記トナー容器側凸部の手前側の前記傾斜面は奥側の前記傾斜面よりも前記装着方向に対する傾斜角度が大きくなるように形成され、
前記ガイドレール側凸部の奥側の前記傾斜面は手前側の前記傾斜面よりも前記装着方向に対する傾斜角度が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナーを収容し、画像形成装置の収納部に設けられたガイドレールに支持されるトナー容器であって、
該トナー容器には、前記ガイドレールによって支持される部分の一部にトナー容器側凸部が設けられ、
前記ガイドレールには、前記トナー容器を支持する部分の一部にガイドレール側凸部が設けられ、
前記トナー容器を前記収納部から取り外す際に前記ガイドレールに沿って前記トナー容器をスライドさせると、その途中で前記トナー容器側凸部が前記ガイドレール側凸部と係合し、この係合に伴う衝撃で前記トナー容器に付着したトナーが前記収納部内に落下することを特徴とするトナー容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−255975(P2012−255975A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130036(P2011−130036)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】