説明

画像形成装置

【課題】 安全に現像収容容器の交換ができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置は、感光体ドラム120や定着装置81等を収容する本体フレーム111と、トナードラム100との間に配置され、本体フレーム111との間に空気層140を構成する立体構造を有する保護カバー83とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に画像形成動作実施中に、補給用トナーを収容したトナーボトルの交換のため開閉可能なカバーを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、本体フレームの内側に、画像を形成するための各装置として、例えば、現像装置、定着装置、帯電装置等を収容している。そして、この本体フレームの一部には、現像剤を収容しているトナーボトルを交換するために開閉可能なトナーボトル交換用のカバーが設けられている。ユーザは、このカバーを開けて、現像装置に対して所定の位置に配置されているトナーボトルを交換する。
【0003】
このような画像形成装置には、画像形成動作中に上記カバーを開けて、トナーボトルを交換することのできるものがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成動作中では、現像装置、定着装置等には電力が供給されている。このような状態でトナーボトルを交換するには、トナーボトルを交換するユーザに対して安全を確保する必要がある。
【0005】
本発明は、上記のような事情を鑑みてなされたものであって、安全に現像収容容器の交換ができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様体によると、本発明に係る画像形成装置は、静電的な潜像を保持する像担持体と、現像剤を収容する現像剤収容容器と、前記現像剤収容容器から供給される前記現像剤を前記像担持体に供給する現像装置と、前記像担持体に形成された前記現像剤像が転写された転写媒体に熱と圧力を提供して、前記転写媒体に前記現像剤像を溶融圧着する定着装置と、少なくとも前記像担持体、前記現像装置および前記定着装置を収容する本体ケースと、前記本体ケースと前記現像収容容器との間に配置され、前記本体ケースとの間に空気層を構成する立体構造を有する保護カバーとを有することを特徴としている。
【0007】
また、本発明の一様体によると、本発明に係る画像形成装置は、静電的な潜像を保持する像担持体と、現像剤を収容する現像剤収容容器と、前記現像剤収容容器から供給される前記現像剤を前記像担持体に供給する現像装置と、前記像担持体に形成された前記現像剤像が転写された転写媒体に熱と圧力を提供して、前記転写媒体に前記現像剤像を溶融圧着する定着装置と、少なくとも前記像担持体、前記現像装置および前記定着装置を収容する本体ケースと、前記本体ケースと前記現像収容容器との間に配置され、前記本体ケースとの間に空気層を構成する立体構造を有する保護カバーと、前記本体ケースに回転可能に設けられる第1のカバーと、前記第1のカバーと同じ回転軸で回転されて開閉する第2のカバーと、前記第1のカバーが開かれた場合、前記現像剤収容容器から前記現像装置に前記現像剤を供給するための第1の動作部への電力供給を遮断する第1の遮断手段と、前記第2のカバーが開かれた場合、少なくとも、前記現像装置を動作させる第2の動作部への電力供給を遮断する第2の遮断手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
ユーザは、安全に、画像形成装置に搭載される現像収容容器を交換できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置1の外観構成を示す図である。
【0011】
この図1は、画像形成装置1を正面側から見た斜視図であり、ちょうつがい式に固定され、回転して開閉する第1のカバー91および第2のカバー92が開かれた状態を示している。詳細に説明すると、第1のカバー91は、画像形成装置1の全体を覆う本体フレーム111に、第1の方向(矢印A1方向)の回転軸上に配置された固定軸を介して、第2の方向(矢印A2方向:水平方向)に開閉可能に固定されている。本実施の形態において、第1の方向は、画像形成装置に対しての垂直方向であって、第2の方向は、画像形成装置1に対しての水平方向である。
【0012】
第1のカバー91は、画像を形成するための現像剤を収容するトナーボトル100を取り出すためのカバーである。第1のカバー91の内側には、トナーボトル100及びその収納部101が配置されており、この第1のカバー91を開けることで、トナーボトル100を取り出すことができる。
【0013】
第2のカバー92は、第1のカバー91の下方に配置され、第1のカバー91と同じ回転軸を中心に回転されて開閉する構成を有する。よって、第2のカバー92は、第1のカバー91と同じ矢印A2方向に開閉可能に、矢印A1方向に長い固定軸により固定されている。第2のカバー92の内側には、図示しない定着装置や、画像形成される用紙の搬送路等が位置されている。
【0014】
トナーボトル100は、内周部に螺旋形状を有する容器であり、外部から回転駆動されて開口部より内部のトナーを供給することができるように構成されている。
【0015】
このトナーボトル100より画像形成装置の内側には、図示しない現像装置が配置されている。また、トナーボトル100の付近には、図示しない、定着装置や帯電装置等が配置されている。
【0016】
なお、画像形成装置の上部正面には、各種の操作入力を行うコントロールパネル93が設けられている。コントロールバネル93は、装置内部の処理状態を表示したり、ユーザに操作の指示を表示するための表示部と、外部からの指示を制御部に伝達するための操作ボタン等を備える。ユーザは、この表示部や、操作ボタン等を利用して指示することで、画像形成装置1を操作できる。
【0017】
次に、図2を参照して、この画像形成装置1における画像形成部周辺の概略構成を説明する。図2は、図1に示した画像形成装置1に含まれる各構成要件の構成を説明するためのブロック図である。
【0018】
画像形成装置1は、制御部10、現像部11、現像部トナー量センサ12、第1の供給部13、第1の駆動部14、第1の供給部トナー量センサ15、第2の供給部16、第2の駆動部17、動力部18、IH制御回路19、電源20、開閉検知手段である開閉検知スイッチ21、第1の遮断手段である第1の遮断スイッチ22、第2の遮断手段である第2の遮断スイッチ23、メインスイッチ24、第1のカバー91、第2のカバー92、トナーボトル100および収納部101とを備える。
【0019】
制御部10は、後で詳しく説明するが、例えば印字枚数をカウントするためのカウンタ10aと接続されている。また、制御部10は、メインスイッチを介して電源20と接続されている。
【0020】
制御部10は、現像部トナー量センサ12、第1の供給部トナー量センサ15、開閉検知スイッチ21、第1の遮断スイッチ22と接続されている。制御部10は、少なくとも第1の駆動部14および第2の駆動部17を制御する。
【0021】
遮断スイッチ22は、第1のカバー91が開状態で、制御部10と第2の駆動部17との接続を遮断する。一方、第1のカバー91が閉状態では、制御部10と第2の駆動部17とを接続し、制御部10からの電力を第2の駆動部17に供給できる。すなわち、第1のカバー91が開状態で遮断スイッチ22がオフして第2の駆動部17に供給される電源20からの電力を遮断し不通電状態とし、第1のカバー91が閉状態で遮断スイッチ22がオンして電源20から電力を通電状態とする。
【0022】
第2の供給部16は、トナーボトル100に収容されているトナーを第1の供給部13に供給する。
【0023】
第1の供給部13は、第2の供給部16から受け取ったトナーを現像部11に供給する。
【0024】
現像部11は、第1の供給部13から供給されたトナーを収容し、感光体ドラム(図示しない)上にトナーを供給し、トナー像を形成する。なお、図示しないが、現像部11内のトナーを攪拌する攪拌機構は、例えば感光体ドラムを回転させる感光体ドラムモータ31と所定のカム機構を介して連結されており、従動により動作される。
【0025】
第1の駆動部14は、モータMを介して第1の供給部13を動作させる。なお、このモータMは、動力部18と接続されており、第1の駆動部14は、動力部18からのモータMへの電力供給なしでは、第1の供給部13を動作させることができない。
【0026】
第2の駆動部17は、モータMを介して第2の供給部16を動作させる。なお、このモータMは、動力部18と接続されており、第2の駆動部17は、動力部18からのモータMへの電力供給なしでは、第2の供給部16を動作させることができない。また、第2の駆動部17は、制御部10からの制御信号なしでは、モータMを駆動することができない。
【0027】
このため、第1の遮断スイッチ22により、制御部10と第2の駆動部17とを接続する回路がオープンになっているときは、第2の駆動部17は、モータMを駆動することができない。よって、第1のカバー91が開状態のときは、トナーボトル100から第1の供給部13へ、トナーは供給されない。
【0028】
現像部トナー量センサ12は、現像部11内のトナー量を検知し、接続されている制御部10に現像部11内のトナー量の状態を報告する。制御部10は、現像部トナー量センサ12により現像部11のトナーが所定量を下回っていることが検知された場合、第1の供給部13のトナーを現像部11に供給するよう、第1の駆動部14に指示する。
【0029】
第1の供給部トナー量センサ15は、第1の供給部13内のトナー量を検知し、接続されている制御部10に第1の供給部13を通過するトナー量の状態を報告する。制御部10は、第1の供給部トナー量センサ15により第1の供給部13のトナー量が所定値を下回っていることが検知された場合、トナーボトル100から第1の供給部13にトナーを供給するよう、第2の駆動部17に指示する。
【0030】
開閉検知スイッチ21は、第1のカバー91の開閉を検知し、接続されている制御部10に第1のカバー91の開閉状態を報告する。制御部10は、開閉検知スイッチ21により第1のカバー91が開いていることが検知されると、カウンタ10aに印字された印字枚数をカウントさせる。このカウント値が所定値に達した場合、制御部10は、現像部11に動力を提供している感光体ドラムモータ31および第1の駆動部14の動作を停止させる。
【0031】
これは、第1のカバー91が開かれることにより第2駆動部17が停止され、トナーボトル100から第1の供給部13へのトナー供給が停止されたことに伴い、現像部11のトナー量が不足している状態での画像形成動作が続行されることを防止するためである。これにより、トナー量不足の状態における画像形成が回避されるため、濃度低下やかすれ等の画像不良の発生を防止できる。
【0032】
また、制御部10は、トナーボトル100が交換されたか否かに関係なく、第1のカバー91が閉じられたことが開閉検知スイッチ21により検知されると、カウンタ10aは印字枚数のカウントをリセットする。
【0033】
第2の遮断スイッチ23は、第2のカバー92の開閉によりスイッチがオン/オフされ、第2のカバー92の開閉状態に応じた動力部18およびIH制御部19への電力の供給を制御している。具体的には、第2の遮断スイッチ23は、第2のカバー92が開状態で、電源20と動力部18との接続、および電源20とIH制御部19との接続を遮断する。一方、第2のカバー92が閉状態では、電源20と動力部18、および電源20とIH制御部19とをそれぞれ接続する。このため、電源20からの電力が動力部18およびIH制御部19に供給される。すなわち、第2のカバー92が開状態では、動力部18およびIH制御部19に供給される電源20からの電力が遮断され不通電状態となり、第1のカバー93が閉状態では、遮断スイッチ22がオンされるため電源20から電力が通電状態となる。なお、制御部10と電源20と接続はメインスイッチを切らない限り遮断されないため、第2のカバー92が開けられた場合であっても、コントロールパネル93の機能等は利用できる。
【0034】
動力部18は、画像形成装置1内に搭載されている動力手段に対して電力を伝達する部分であって、例えば感光体ドラム(図示せず)を回転させる感光体ドラムモータ31と接続されている。
【0035】
IH制御部19は、定着装置(図示せず)に搭載されている誘導加熱装置(図示せず)の制御系である。本実施の形態において、誘導加熱装置は、励磁コイルに所定の周波数の高周波電流を供給し、加熱ローラの外周面の導電層が、励磁コイルから発生する磁界を受けて発熱する。現像部11から用紙に提供されたトナーは、加熱ローラからの熱を受けて溶融し、加圧ローラからの圧力を受けて用紙に定着される。
【0036】
メインスイッチ24は、ユーザにより操作可能な位置に配置されており、オンされて電源20からの電力を画像形成装置全体、すなわち、制御部10、動力部18およびIH制御部19に供給し、オフされて電源20からの電力を遮断する。
【0037】
従って、本発明によると、第1のカバー91が開かれると、第1の遮断スイッチ22により、第2の駆動部17への電力供給が遮断される。このため、トナーボトル100が回転駆動されることはなく、オペレータはトナーボトル100を安全に取り出すことができる。一方、第1のカバー91が開けられた状態であっても、第1の駆動部14は制御部10により動作されているため、第1の供給部13は現像部11にトナーを供給することができる。また、第1のカバー91が開けられた状態であっても、感光体ドラムモータ31は動力部18により回転されている。このため、現像部11内の攪拌部材も動作され、現像部11は、感光体ドラム上にトナーを供給し、トナー像を形成することができる。
【0038】
このように、本実施の形態に係る第1のカバー91は、トナーボトル100の交換をするために開閉可能な構成を有し、第1のカバー91が開かれた場合であっても、現像部11による現像動作は停止されず、続行されることが可能である。
【0039】
また、第1のカバー91が開かれると、開閉検知スイッチ21により第1のカバー91の開状態が検知されるため、カウンタ10aにより、トナーボトル100からのトナーの供給が停止してからの印字枚数がカウントされる。このため、第1のカバー91の開放によりトナーボトル100からのトナー補給が停止されている状態での、長時間の現像動作が防止される。よって、トナー量の不足による画像形成が回避され、濃度低下やかすれ等の画像不良の発生を防止できる。
【0040】
さらに、第2のカバー92が開かれると、第2の遮断スイッチ23により、動力部18およびIH制御部19への電力供給が遮断される。つまり、IH制御部19による誘導加熱動作が停止され、動力部18と接続されているモータ等が停止される。このため、第2のカバー92が開かれて、内側に収容されているモータやIH制御部19が露呈されても、ユーザとこれら内部装置が接触する虞はなく、ユーザは安全にこの画像形成装置を使用することができる。
【0041】
なお、本実施の形態において、動力部18は、感光体ドラムモータ31の他の部材とも接続されており、例えば、図示しない現像器ファンモータ、反転モータ、排紙モータ、高電圧現像バイアス、IHファンモータ、定着器モータ、転写ベルトモータ等と接続されている。このため、第2のカバー92が開かれて、帯電装置(図示せず)が露呈された場合であっても、動力部18と電源20との接続が遮断されているため、帯電装置の帯電動作を実行する高電圧現像デバイス等への電力供給も遮断される。よって、ユーザは安全にこの画像形成装置を使用することができる。
【0042】
また、図1に示す画像形成装置1は、光学的に読み取った画像情報を画像形成部に提供するスキャナを備えている。このスキャナの動作部も動力部18と接続されており、例えば、スキャンモータ等が動力部18と接続されていてもよい。さらに、動作部18は、画像形成装置1に搭載されている装置の動作部に接続されていると説明したが、本発明はこれに限らず、一部の制御系、例えば、スキャンモータの制御回路等が接続されていてもよい。
【0043】
本実施の形態において、カウンタ10aを用いて制御部10によりカウントされる印字枚数の所定値は100枚である。なお、100枚から2000枚までの100枚間隔で、設定部としてのコントロールパネル93から入力することにより所定値を変更する構成としてもよい。また、前記設定部は、例えば、パーソナルコンピュータなどの外部コントローラ(図示しない)を接続して、この外部コントローラから入力することにより所定値を変更する構成としてもよい。
【0044】
(第1の実施の形態)
次に、図3〜5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る一例を説明する。図3は、第1のカバー91および第2のカバー92が本体フレーム111に開閉可能に固定されている固定部分を示す概略斜視図である。図4は、第1のカバー91および第2のカバー92を本体フレーム111に固定する前の概略斜視図である。図5は、第1のカバー91および第2のカバー92を本体フレーム111に固定した後の概略斜視図である。すなわち、図5は、図3に示した固定部分の拡大図である。
【0045】
図3に示す通り、第1のカバー91および第2のカバー92は、固定軸201,202,203を介して、画像形成装置1の本体フレーム111の一部に開閉可能に固定されている。固定軸201は、第1のカバー91と本体フレーム111とを固定し、固定軸203は、第2のカバー92と本体フレーム111とを固定する。固定軸202は、第1のカバー91と第2カバー92との合わせ目において、第1のカバー91および第2カバー92を本体フレーム111に固定する共通固定軸として機能している。
【0046】
図4に示す通り、第1のカバー91は、接続部材91Aを備え、第2のカバー92は、接続部材92Aを備える。接続部材91Aは、図3に矢印A1で示した第1の方向の一方の端に、カバー側固定軸受け部91Bを、他方の端に、カバー側固定軸受け部91Cを備える。接続部材92Aは、第2の方向の一方の端に、カバー側固定軸受け部92Bを、他方の端に、カバー側固定軸受け部92Cを備える。
【0047】
本体フレーム111は、第1のカバー91の接続部材91Aと接続される接続部材112Aと、第2のカバー92の接続部材92Aと接続される接続部材113Aを備えている。接続部材112Aは、第1の方向の一方の端に、フレーム側固定軸受け部112Bを、他方の端に、フレーム側固定軸受け部112Cを備える。また、接続部材113Aは、第1の方向の一方の端に、フレーム側固定軸受け部113Bを、他方の端に、フレーム側固定軸受け部113Cを備える。
【0048】
これら固定軸受け部91B、91C、92B、92C、112B、112C、113B、113Cには、固定軸201,202,203に代表される第1の方向に長い固定軸が差し込まれるような孔が形成されている。
【0049】
固定軸201は、図5に示すとおり、第1の方向A1において隣り合って配置されている、カバー側固定軸受け部91Bとフレーム側固定軸受け部112Bとに渡って配置され、第1のカバー91を開閉可能に、本体フレーム111に固定している。固定軸201は、着脱可能な固定軸であって、図4に示すように、隣り合って配置されたカバー側固定軸受け部91Bとフレーム側固定軸受け部112Bとを貫通する長さを有する長部と、この一端に設けられ、長部と異なる方向に曲げられている短部とを有する。固定軸201は、カバー側固定軸受け部91B側から差し込まれ、フレーム側固定軸受け部材112Bまで挿入されたところで、短部がカバー側固定軸受け部91Bに引っ掛かることにより、重力によりぶら下がっている状態で、第1のカバー91を本体フレーム111に固定している。
【0050】
固定軸202は、第1のカバー91および第2のカバー92を本体フレーム111に開閉可能に固定している。具体的には、図5に示すとおり、第2の方向A2に隣り合って配置されている、カバー側固定軸受け部91Cとフレーム側固定軸受け部112Cに渡って配置され、さらに、第1の方向A1に隣り合って配置されている、カバー側固定軸受け部91Bとフレーム側固定軸受け部112Bとに渡って配置されている。
【0051】
固定軸202も、固定軸201と同様に着脱可能な固定軸であって、カバー側固定軸受け部91Cからフレーム側固定軸受け部113Bまでを貫通する長さを有する長部と、この一端に設けられ、長部と異なる方向に曲げられている短部を有する。固定軸202は、一番上に位置しているカバー側固定軸受け部91C側から差し込まれ、フレーム側固定軸受け部材113Bまで挿入されたところで、短部がカバー側固定軸受け部91Cに引っ掛かることにより、重力によりぶら下がっている状態で、第1のカバー91および第2のカバー92を本体フレーム111に固定している。
【0052】
固定軸203は、図5に示すとおり、第2の方向A2に隣り合って配置されている、カバー側固定軸受け部92Cとフレーム側固定軸受け部113Cとに渡って配置され、第2のカバー92を開閉可能に、本体フレーム111に固定している。固定軸203は、図4に示すとおり、所定の長さだけ上側に飛び出すように、フレーム側固定軸受け部113Cに固定されている。この固定軸203の飛び出しているピン部分に、カバー側固定軸受け部92Cが嵌め込まれて、第2のカバー92が本体フレーム111に固定される。
【0053】
従って、第1のカバー91および第2のカバー92を本体フレーム111に固定する場合、まず、第2のカバー92のカバー側固定軸受け部92Cを、固定軸203に差し込み、第2のカバーの下方の接続部分を本体フレーム111に固定する。継いで、第1のカバー91の接続部材91Aを、本体フレーム111の接続部材112Aと対応する位置に合わせて配置し、固定軸201あるいは固定軸202を用いて、第1のカバー91および第2のカバー92を固定する。
【0054】
具体的には、カバー側固定軸受け部91Bとフレーム側固定軸受け部112Bとを隣り合わせに配置し、カバー側固定軸受け部91B側から固定軸201を差し込み、第1のカバー91の上方の接続部分を本体フレーム111に固定する。これにより、第1のカバー91および第2のカバー92は、本体フレーム111に仮止めされる。
【0055】
この状態で、第1のカバー91の下方の接続部分と、第2のカバー92の上方の接続部分は、それぞれ本体フレーム111と対応する所定の位置に位置合わせされているため、固定軸202をカバー側固定軸受け部91C側から差し込むことで、第1のカバー91の下方の接続部分および第2のカバー92の上方の接続部分を本体フレーム111に固定することができる。これによって、第1のカバー91および第2のカバー92は、しっかりと本体フレーム111に固定される。
【0056】
このように、第1のカバー91および第2のカバー92は、同一の固定軸202により固定されている。言い換えると、第1のカバー91および第2のカバー92は、同位相の固定軸を持っている。
【0057】
従って、第1のカバー91および第2のカバー92の合わせ目部分にズレはなく、固定軸202によって同一位相に配列されている。このため、繰り返しなされるカバーの開閉により、各カバーの固着強度が低下する問題を改善できる。よって、安定したカバー開閉動作が可能となる。
【0058】
また、上述のとおり、固定軸203は、本体フレーム111のフレーム側固定軸受け部113Aに予め固定されている。このため、カバー側固定軸受け部92Cを固定軸203に嵌め込むだけで、簡単に第2のカバー92を仮止めできる。なお、本実施の形態において、固定軸203は、フレーム側固定軸受け部113Cに加締めて固定されている。
【0059】
しかしながら、上述のような固定軸203は、取り付ける際に、第2のカバー92を矢印A1方向にスライドさせるスペースを必要とする。このため、固定軸201のような着脱可能な固定軸と、固定軸203のような固定されている固定軸とを組み合わせて利用することにより、装置の構造に応じたさまざまなカバーの取り付けが可能となる。
【0060】
また、上述のとおり、固定軸202は、第1のカバー91および第2のカバー92に共通に利用される着脱可能な固定軸である。このため、複数のカバーを同時に共通固定軸で固定する場合であっても簡単に取り付けることができる。
【0061】
なお、上述のとおり、本実施の形態においては、画像形成装置1の垂直方向(図1の矢印A1参照)で本体フレーム111に固定されている第1のカバー91および第2のカバー92の例を説明したが、本発明はこれに限られず、各カバーが同方向に開閉するように画像形成装置1に固定している共通の固定軸を有する構成であればよく、各カバーが配置される方向および開閉方向は問わない。よって、各カバー91,92が、例えば、画像形成装置1の水平方向で固定されている構成であってよい。
【0062】
また、本実施の形態では、上述のとおり、3つの固定軸201,202,203を用いた例を説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、固定軸201,202,203の機能を備え、カバー側固定軸受け部91Bからフレーム側固定軸受け部113Cまでの長さを有する1つの固定軸(図示せず)で複数のフレーム91,92が固定される構成であってもよい。また、固定軸201,202に代えて、カバー側固定軸受け部91Bからフレーム側固定軸受け部113Bまでの長さを有する1つの固定軸(図示せず)が利用されてもよい。
【0063】
(第2の実施の形態)
次に、図6,7を参照して、本発明に係る第2の実施の形態の一例を説明する。図6は、図1に示した画像形成装置1の第1のカバー91および第2のカバー92が閉められている状態を示す概略斜視図である。図7は、第1のカバー91および第2のカバー92を開いた状態で、各カバー91,92の結合部材の構造を内側から見た図を示す。
【0064】
図6に示される通り、第1のカバー91は、画像形成装置1のフロント面FMに位置される取っ手部91Tを有し、第2のカバー92は、画像形成装置1のサイド面SMに位置される取っ手92部Tを有する。つまり、第1のカバー91の取っ手部91Tは、画像形成装置1の正面に配置されており、ユーザにより認知され易い場所に配置されている。一方、第2のカバー92の取っ手部92Tは、画像形成装置1の側面側に配置されており、ユーザにより認知され難い場所に配置されている。
【0065】
この取っ手部91Tは、取っ手部92Tと、鉛直(垂直)方向に同じ高さ位置に配置されている。言い換えると、取っ手部91Tおよび取っ手部92Tは、画像形成装置1の水平方向の同一線上に重なる領域(オーバーラップ領域)を有している。
【0066】
詳細に説明すると、第2のカバー92は、取っ手部92Tが形成されているサイド面SM側の一部が、第1のカバー91のサイド面SM側の一部に食い込むような凸形状に形成されている。これに応じて、第1のカバー91のサイド面SM側の一部は、この第2のカバー91の凸形状に対応する凹形状に形成されている。このように、第1のカバー91と第2のカバー92は、画像形成装置1の水平方向において互いに重なり合うオーバーラップ領域を有する。
【0067】
取っ手部91Tおよび取っ手部92Tは、少なくとも一部が、このオーバーラップ領域に配置されており、画像形成装置1の水平方向において重なる部分がある。言い換えると、取っ手部91Tおよび取っ手部92Tは、画像形成装置1の水平方向において同位相となるような位置に配置されている。
【0068】
このように、第1のカバー91の取っ手部91Tと、第2のカバー92の取っ手部92Tは、画像形成装置1の異なる面に、それぞれ形成されている。このため、第1のカバー91あるいは第2のカバー92を開ける際の操作性に変化を与えることができる。また、第2のカバー92の取っ手部92Tの方が、第1のカバー91の取っ手部91Tよりもユーザにより認知され難い場所に配置されている。このため、第1のカバー91および第2のカバー92を開閉する操作性がわかりやすくなり、第1のカバー91と間違えて第2のカバー92を開けてしまう可能性が低く、ユーザによるカバー開放の誤動作が防止できる。
【0069】
次に図7を用いて、第1のカバー91および第2のカバー92の結合部分について説明する。
【0070】
図7に示される通り、第1のカバー91は、結合部材91Kを備え、第2のカバー92は、結合部材92Kを備える。
【0071】
結合部材91Kは、第1のカバー91の取っ手部91Tと、鉛直方向に同じ高さ位置に配置されている。言い換えると、結合部材91Kは、第1のカバー91の取っ手部91Tと、画像形成装置1の水平方向において同位相となるような位置に配置され、取っ手部91Tと結合部材91Kは、水平方向の同一線上で重なるオーバーラップ領域を有している。本実施の形態において、結合部材91Kは、第1のカバー91の取っ手部91Tの裏側に配置されている。この結合部材91Kは、例えば、磁石からなり、第1のカバー91と第2のカバー92とを結合することができる。
【0072】
また、結合部材92Kは、第2のカバー92の取っ手部92Tと、鉛直方向に同じ高さ位置に配置されている。言い換えると、結合部材92Kは、第2のカバー92の取っ手部92Tと、画像形成装置1の水平方向において同位相となるような位置に配置され、取っ手部92Tと結合部材92Kは、水平方向の同一線上で重なるオーバーラップ領域を有している。本実施の形態において、結合部材92Kは、第2のカバー92の取っ手部92Tの裏側に配置されている。この結合部材92Kも、例えば磁石からなり、第2のカバー92と本体フレーム111を結合することができる。
【0073】
このように、第1のカバー91に設けられている取っ手部91Tと結合部材91Kは、鉛直方向に同じ高さ位置に配置されている。すなわち、取っ手部91Tと結合部材91Kは、第1のカバー91が固定軸を介して本体フレーム111に固定されている方向(鉛直方向)に対して直角に交わる方向(水平方向)の同一線上に位置されている。従って、第1のカバー91を開くため、取っ手部91Tが開閉方向に引っ張られた場合、取っ手部91Tから結合部材91Kには水平方向の応力がかかり、第1のカバー91の開閉方向である水平方向と一致する。このため、安定したカバーの開閉動作が可能となる。
【0074】
ちなみに、取っ手部と結合部材の鉛直方向の高さ位置にズレがある場合、取っ手部から結合部材には、水平方向と異なる方向の引っ張り力が係り、結合部材にねじれた応力(以下、回転力と記す)が加わり、カバーがたわむ虞がある。さらに、カバーが薄い樹脂素材等により構成されている場合、強く引っ張ることで、カバーが破損する危険性もある。また、上述の回転力により、他の結合部材が外れる虞もある。例えば、本実施の形態のように第1のカバーが第2のカバーに結合されている場合、第1のカバーを開けるつもりで第1のカバーを引っ張った際に、上記の回転力が発生すると、第2のカバーまで開いてしまう虞がある。
【0075】
従って、上述の通り、取っ手部91Tと結合部材91Kを水平方向に同一線状の位置に、すなわち、開閉移動方向と同一平面上となる位置に取っ手部91Tと結合部材91Kを配置することにより、第1のカバー91の開閉時の反り返りや変形等を防止することができる。このため、開閉動作、つまり結合部材91Kの結合解除により第1のカバー91に与えられるダメージを軽減することができる。なお、これは、装置の軽量化の目的のため、カバーが薄い樹脂素材等により構成された場合においては特に有効である。
【0076】
また、上述の通り、第1のカバー91は、第2のカバー92に、結合部材91Kを介して結合され、第2のカバー92を開けると、第1のカバーも同時に開く構造となっている。そして、第1のカバー91の結合部材91Kは、第2のカバー92の結合部材92Kの結合力に比べて弱い構成となっている。つまり、第1のカバー91を開くために必要な応力は第2のカバー92を開くために必要な応力よりも少なくて済む上、第1のカバー91を開くため、取っ手部91Tがユーザにより引っ張られた場合であっても、第2のカバー92の結合部材92Kは、より強い結合力により本体フレーム111に結合していられる。このため、第1のカバー91を開けるときに加えられる応力により、第2のカバー92の結合部材92Kが本体フレーム111から離れて第2のカバー92まで開いてしまう事故を防止できる。
【0077】
なお、本実施の形態のように、磁石からなる結合部材91K,92Kは、磁力の異なる磁石が利用されて、結合部材91Kには、結合部材92Kの磁石の磁力よりも弱い磁力の磁石が用いられている。
【0078】
さらに、本実施の形態のように、第1のカバー91,92の結合部材91K,92Kと取っ手部91T,92Tとをそれぞれ鉛直方向に同じ高さ位置に配置すると共に、第1のカバー91の取っ手部91Tと第2のカバー92の取っ手部92Tを、鉛直方向に同じ高さ位置に配置することにより、結合部材91K,92Kおよび取っ手部91T,92Tのそれぞれを、鉛直方向に同じ高さ位置に配置することができる。すなわち、結合部材91K,92Kおよび取っ手部91T,92Tは、互いに近い位置に配置され、垂直方向に離れていない。ちなみに、本実施の形態のように、第2のカバーに結合されている第1のカバーの取っ手部と第2のカバー結合部材が、垂直方向は離れて配置されている場合、第1のカバーを開けるために加えられた応力が、上述したような回転力となって第2のカバーの取っ手部に作用し、第2のカバーの結合部材が離れ、第2のカバーが開いてしまう虞がある。
【0079】
このように、本実施の形態のように、結合部材91K,92Kおよび取っ手部91T,92Tのそれぞれを、鉛直方向に同じ高さ位置に配置することにより、上記回転力が抑制され、安定した第1のカバー91および第2のカバー92の開閉動作が可能となる。
【0080】
また、上述のとおり、第1のカバー91は、トナーボトル100を交換するために開閉可能に設けられたカバーであって、図2を用いて説明したとおり、第1のカバー91が開かれたことにより、トナーボトル100からのトナーの供給は停止され、第2のカバー92が開かれることにより、現像器11による現像動作も停止されてしまう。このため、上述のとおり、結合部材91Kの結合力を結合部材92Kの結合力よりも弱めることにより、第1のカバー91を開く際に、誤って第2のカバー92を開いてしまい、画像形成装置1の動作を誤って停止させてしまう事故を防止できる。
【0081】
本発明は、これに加え、上述のとおり、取っ手部91Tと結合部材91Kとを垂直方向に同じ高さ位置に配置し、さらに取っ手部91Tと取っ手部92Tとを垂直方向に同じ高さ位置に配置している。これにより、取っ手部91Tを引っ張って台のカバー91を開く際に、第2のカバー92に回転力を含む応力が作用されることが回避され、誤って第2のカバー92が開いてしまう事故を防止できる。
【0082】
さらに、図2において説明した開閉検知スイッチ95としては、例えば、光学的なセンサ等が利用され、第1のカバー91の変形やたわみなどによる移動に対しても反応してしまう場合がある。本実施の形態において、開閉検知スイッチ95は、取っ手部91T,92Tおよび結合部材91K,92Kと同じ鉛直方向の高さ位置に配置されている。そして、上述のとおり、本実施の形態の第1のカバー91および第2のカバー92は、取っ手部91T,92Tおよび結合部材91K,92Kが開閉方向と同一平面上の直線方向(水平方向)に重なって配置されているため、応力によりカバーがたわむことが防止されている。このため、たわみなどによる第1のカバー91の開閉の誤検知を防止することができる。
【0083】
また、図6に示した通り、取っ手部91および取っ手部92は、第1のカバー91および第2のカバー92をあわせて一体のカバーとして見たときに、略中央に配置されていることが好ましい。このため、取っ手部91は、第1のカバー91の下方に配置され、取っ手部92は、第2のカバー92の上方に配置されている。
【0084】
(第3の実施の形態)
次に、図8〜11を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る一例を説明する。図8は、画像形成装置1の第1のカバー91および第2のカバー92が取り外された状態におけるフロント面FM側からの概略斜視図を示す。図9は、図8に示されている保護カバーと、トナーボトル100が配置されるトナーボトルケースを示す概略斜視図である。図10は、図9に示したトナーボトルケースを示す概略斜視図である。図11は、画像形成装置1を水平方向に切断して、上方から見た概略斜視図である。
【0085】
図8,9に示される通り、画像形成装置1は、第1のカバー91および第2のカバー92が取り外された状態において露呈する範囲に、定着装置81と、画像形成対象である用紙を搬送する搬送手段82と、その他の画像形成装置1の内側に配置されている内部装置を覆う保護カバー83を備える。
【0086】
定着装置81および搬送手段82は、第2のカバー92により覆われる下方領域に配置されている。また、定着装置81および搬送手段82は、レバー84を介して、矢印A2方向に引き出せるように一体的に構成されていることが好ましい。
【0087】
保護カバー83は、少なくとも、図8の太線で囲まれる領域83Fを含む一枚の板状の部材により構成され、以下詳細に説明する絶縁機能、断熱機能および遮光機能を備えている。本実施の形態においては、図9に示すようなサイズを有する保護カバー83が採用されている。すなわち、トナーボトル100と対応する領域83Fだけでなく、定着装置81および搬送手段82と対応する領域を除く、画像形成装置1のフロント面FM側の面であって、定着装置81および搬送手段82と対応しない部分においてのその外郭は、画像形成装置1の全体を覆う本体フレーム111(図1参照)の外郭と一致している。なお、図8は、この保護カバー83の上(装置の外側)に、他の構成部材が配置されている状態を示している。このように、保護カバー83は、少なくとも、第1のカバー91および第2のカバー92が取り外された状態において露呈する範囲を覆っている。
【0088】
また、保護カバー83は、例えば樹脂等の絶縁性を有する板材により構成され、図9に示すような凹凸形状が形成された立体構造を有する。詳細に説明すると、保護カバー83は、少なくともトナーボトル100と近接する領域、例えば図8に太枠で示した領域83Fにおいて、外側に突出する凸状領域83Tと、それ以外の領域に形成される凹状領域83Uを有する。保護カバー83は、主に凹状領域83U上に形成されている複数の接続部83Sを介して、線あるいは点で、所定の固定部材(例えば、ねじ)により、本体フレーム111に固定されている。言い換えると、保護カバー83は、本体フレーム111に固定された状態において、本体フレーム111あるいはその他画像形成装置1の内側に配置されている内部装置等と面接触する領域を含まない。
【0089】
これにより、図11に示す通り、保護カバー83の凸状領域83Tと本体フレーム111との間に空気層140が形成される。
【0090】
この保護カバー83は、トナーボトル100に沿って本体フレーム111のフロント面FM側に固定されており、この保護カバー83の上、すなわち保護カバー83の外側に、トナーボトル100が配置されるトナーボトルケース85が備えられている。
【0091】
トナーボトルケース85は、図10に示されるように、筒状のトナーボトル100が動かないように配置されるため、トナーボトル100の形状に合わせた曲面を有する形状に形成され、トナーボトル100と保護カバー83との間に配置されている。
【0092】
また、保護カバー83の内側には、図11に示すように、感光体ドラム120、帯電装置130および定着装置81等が配置されている。
【0093】
このように、保護カバー83は、トナーボトル100よりも画像形成装置1の内側を覆い隠す構成を有する。このため、上述のとおり、現像動作が実行中にトナーボトル100を交換するため第1のカバー91が開けられた場合であっても、高電圧を使用している帯電装置130あるいは転写装置(図示せず)、もしくはモータ等により回転される駆動機構(図示せず)等の内部装置が覆い隠されている。従って、ユーザがこれら内部装置に接触して怪我をする等の事故が回避され、ユーザは安全にこの画像形成装置を使用することができる。また、保護カバー83は、絶縁材料により構成されているため、たとえユーザが誤って保護カバー83に接触した場合であっても、電気ショックを受ける等の危険にさらされることはない。このように、保護カバー83は絶縁機能を有する。
【0094】
次に、これらの構成要件の位置関係について、図11を参照して説明する。
【0095】
図11に示される通り、保護カバー83は、トナーボトルケース85と、画像形成装置1の内側に配置されている感光体ドラム120、帯電装置130および定着装置81等を収容する本体フレーム111の間に配置されている。これら感光体ドラム120、帯電装置130および定着装置81は、それぞれの長手方向(矢印A2)が、用紙の搬送方向である矢印A3方向と直交するように並べて配置されている。そして、トナーボトル100は、長手方向が、用紙搬送方向A3と平行となるように配置されている。すなわち、トナーボトル100の長手方向(矢印A3)は、感光体ドラム120の軸方向(矢印A2)と直交する。よって、トナーボトル100は、感光体ドラム120、帯電装置130および定着装置81等の内部装置の一端と近接して配置されている。
【0096】
また、トナーボトル100およびトナーボトルケース85は、図8に示される点線XXよりも紙面の上側、すなわち第1のカバー91により覆われる部分に配置される。よって、定着装置81とトナーボトル100は、それぞれの一部が矢印A2方向において重なるように配置されるため、定着装置81とトナーボトル100は互いに近接して配置されている。
【0097】
保護カバー83は、この定着装置81と近接する位置に、水平方向(矢印A2方向)に張り出し、定着装置81とトナーボトル100(トナーボトルケース85)との間に配置される遮熱ガイド部83Gを有する(図8参照)。遮熱ガイド部83Gは、定着装置81からの熱がトナーボトル100の方へ積極的に流れることを防止する機能を有し、同時に、定着装置81からの放熱を防止する機能も有する。これにより、定着装置81により定着動作が実行されている場合に、定着装置81から発生する熱によりトナーボトル100に収容されているトナーが溶融する問題を回避できる。また、定着装置81により定着動作が実行されている場合に、トナーボトル100の交換のため、第1のカバー91が開閉され、定着装置81内の熱が外部に放出し、定着装置81内の温度が低下することを防止できる。これにより、定着装置81内の温度を一定に維持することができるため、安定した定着性能を実現でき、良好な画像形成が達成できる。これが、保護カバー83の断熱機能である。
【0098】
また、上述の通り、保護カバー83は、凸状領域83Tと本体フレーム111との間に形成される空気層140を備えている。また、トナーボトル100は、保護カバー83に固定されているトナーボトルケース85に保持されている。従って、トナーボトル100と本体フレーム111との間には、空気層140、保護カバー83およびトナーボトルケース85が配置されている。このため、本体フレーム111の内側に配置されている帯電装置130や定着装置81等の内部装置から発生する放射熱が、トナーボトル100内に収容されているトナーを溶融してしまう虞はない。これが、保護カバー83の断熱機能である。
【0099】
さらに、上述の通り、保護カバー83は、感光体ドラム120を覆い隠している。つまり、保護カバー83は、遮光機能を有し、第1のカバー91あるいは第2のカバー92が開けられて、感光体ドラム120に光が当てられて、誤った光信号を受信してしまうことを防止することができる。これが、保護カバー83の遮光機能である。
【0100】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形、組み合わせ、あるいは改良することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0101】
このため、第1の実施の形態において説明したとおり、本発明は、複数のカバーの合わせ目に渡って配置される固定軸を利用して、複数のカバーの合わせ目がずれることを防止するものであって、装置に応じて固定されている固定軸と、着脱可能な固定軸とを組み合わせて使うことによって、カバーの着脱性を容易にすることができる。
【0102】
また、第2の実施の形態において、本発明の結合部材91K,92Kは、磁石により構成されていると説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、ゴム、ばね、あるいは変形させられた弾性体等が元の状態に戻ろうとする力を利用して、相手側に形成されている組み合わせ部材を狭持するような構成であってもよい。
【0103】
なお、本実施の形態においては、第1のカバー91と第2のカバー92とが隣り合う場所での、第1のカバー91と本体フレーム111の接続部、および第2のカバー92と本体フレーム111との接続部は、共通の固定軸である固定軸202により接続されている例を説明したが、本発明はこれに限られず、少なくとも2以上のカバーを、同一の固定軸を用いて固定しているものであればよい。例えば、水平方向において開閉可能に固定されている第1,2,3のカバーを、第1のカバーと第2のカバーを共通の固定軸α(図示せず)で固定し、第2のカバーと第3のカバーを共通の固定軸β(図示せず)で固定する構成であってもよい。
【0104】
さらに、本実施の形態において、図1に示すとおり、トナーボトル100が横方向に配置される構成の画像形成装置1について説明したため、第1のカバー91は、画像形成装置のフロント面FMと同じ幅を有する構成であったが、本発明はこれに限られず、如何なるサイズのカバーが利用されてもよい。例えば、トナーボトルが奥行き方向に配置される画像形成装置においては、画像形成装置のフロント面の一部分をトナーボトルが取り出せるサイズの第1のカバーであってもよい。
【0105】
また、第3の実施の形態において、保護カバー83は、定着装置81および搬送手段82を除く、第1のカバー91および第2のカバー92が開かれて露呈される部分を覆うサイズを有すると説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、類似している構造の画像形成装置に同じ形状の保護カバー83が利用される場合であって、保護カバー83により覆い隠せない部分がある場合は、図8に示されるように、その他の部材を、保護カバー83のさらに外側に配置することで、隙間を埋めるようにしてもよい。
【0106】
なお、本実施例の応用例(図2における第1の遮断スイッチ22を省略し、第2の駆動部17と制御部10とを常時接続した状態の図となる。図示しない)として、第1のカバー91の開閉により動作する遮断手段としての第1の遮断スイッチ22を省略する構成としてもよい。すなわち、第2の駆動部17を停止制御する第1の遮断スイッチ22を省略したこの応用例の場合、制御部10は、開閉検知スイッチ21により第1のカバー91が開放されていることを検知した際、第1の駆動部14及び現像部11を動作可能状態に制御し、第2の駆動部17を停止制御する構成となる。これによって、トナーボトル100を取り出すために第1のカバー91が開かれた際、第2の駆動部17が停止制御されるので第2の供給部16からのトナー供給が停止される。従って、この時トナーボトル100から下流にトナーが供給されることはなく、オペレータはトナーボトル100を画像形成装置から取り出すことができる。
【0107】
このような構成であれば、画像形成材収容手段を覆い、開閉可能に設けられたカバーの開閉検知手段により前記カバーが開状態であることを認識している間に、制御部は、その間の印字枚数値をカウントし、前記印字枚数値が所定値よりも小さい場合、画像形成材収容手段に収容された前記画像形成材を下流に供給する供給部は停止状態、現像部は動作可能状態として画像形成装置を印字可能状態とし、前記印字枚数値が前記所定値と等しくなった場合は前記画像形成装置を印字停止状態とすることができる。
【0108】
また、本実施例では画像形成材収容手段としてのトナーボトルは、内周部にトナー搬送を目的とする螺旋形状壁を有するものであって、その内部に第2の供給部を具備しないタイプである。それに対して、その内部に第2の供給部としての搬送部材を有するトナーボトルであってもよい。
【0109】
また、その内部に第2の供給部としての搬送部材を具備するタイプのトナーカートリッジ(またはトナーホッパ)であってもよいし、具備しないタイプのトナーカートリッジ(またはトナーホッパ)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の外観構成を示す図。
【図2】図1に示した画像形成装置における画像形成部周辺の概略構成を説明するブロック図。
【図3】図1に示した画像形成装置に設けられる各カバーの固定部分を示す概略斜視図。
【図4】図3に示した各カバーを固定する以前の概略斜視図。
【図5】図3に示した固定部分の拡大図。
【図6】図1に示した画像形成装置の各カバーが閉められている状態を示す概略斜視図。
【図7】図1に示した画像形成装置の各カバーを開いた状態で、各カバーの結合部材の構造を内側から見た概略図。
【図8】図1に示した画像形成装置の各カバーが取り外された状態におけるフロント側からの概略斜視図。
【図9】図8に示されている保護カバーとトナーボトルケースを示す概略斜視図。
【図10】図9に示したトナーボトルケースを示す概略斜視図。
【図11】図1に示した画像形成装置を水平方向に切断して、上方から見た概略斜視図。
【符号の説明】
【0111】
91・・・第1のカバー、92・・・第2のカバー、93・・・コントロールパネル、10・・・制御部、11・・・現像部、12・・・現像部トナー量センサ、13・・・第1の供給部、14・・・第1の駆動部、15・・・第1の供給部トナー量センサ、16・・・第2の供給部、17・・・第2の駆動部、18・・・動力部、19・・・IH制御回路、20・・・電源、21・・・開閉検知スイッチ、22・・・第1の遮断スイッチ、23・・・第2の遮断スイッチ、24・・・メインスイッチ、100・・・トナーボトル、111・・・本体フレーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電的な潜像を保持する像担持体と、
現像剤を収容する現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器から供給される前記現像剤を前記像担持体に供給する現像装置と、
前記像担持体に形成された前記現像剤像が転写された転写媒体に熱と圧力を提供して、前記転写媒体に前記現像剤像を溶融圧着する定着装置と、
少なくとも前記像担持体、前記現像装置および前記定着装置を収容する本体ケースと、
前記本体ケースと前記現像収容容器との間に配置され、前記本体ケースとの間に空気層を構成する立体構造を有する保護カバーとを有する画像形成装置。
【請求項2】
前記保護ケースは、絶縁材料により構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤収容容器の長手方向は、前記転写媒体の搬送方向と平行である請求項1あるいは2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記保護カバーは、前記転写媒体の搬送方向と平行に配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記保護カバーと前記現像剤収容容器との間に、前記現像剤収容容器を保持する保持部材をさらに有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記保護カバーは、前記定着装置と前記現像剤収容容器との間に配置され、前記定着装置からの放熱を防止する遮熱手段を備える請求項1ないし5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
静電的な潜像を保持する像担持体と、
現像剤を収容する現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器から供給される前記現像剤を前記像担持体に供給する現像装置と、
前記像担持体に形成された前記現像剤像が転写された転写媒体に熱と圧力を提供して、前記転写媒体に前記現像剤像を溶融圧着する定着装置と、
少なくとも前記像担持体、前記現像装置および前記定着装置を収容する本体ケースと、
前記本体ケースと前記現像収容容器との間に配置され、前記本体ケースとの間に空気層を構成する立体構造を有する保護カバーと、
前記本体ケースに回転可能に設けられる第1のカバーと、
前記第1のカバーと同じ回転軸で回転されて開閉する第2のカバーと、
前記第1のカバーが開かれた場合、前記現像剤収容容器から前記現像装置に前記現像剤を供給するための第1の動作部への電力供給を遮断する第1の遮断手段と、
前記第2のカバーが開かれた場合、少なくとも、前記現像装置を動作させる第2の動作部への電力供給を遮断する第2の遮断手段とを備える画像形成装置。
【請求項8】
前記保護ケースは、絶縁材料により構成されている請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像剤収容容器の長手方向は、前記転写媒体の搬送方向と平行である請求項7あるいは8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記保護カバーは、前記転写媒体の搬送方向と平行に配置されている請求項7ないし9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記保護カバーと前記現像剤収容容器との間に、前記現像剤収容容器を保持する保持部材をさらに有する請求項7ないし10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記保護カバーは、前記定着装置と前記現像剤収容容器との間に配置され、前記定着装置からの放熱を防止する遮熱手段を備える請求項7ないし11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−251346(P2006−251346A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67483(P2005−67483)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】