説明

画像形成装置

【課題】タンデム式の画像形成装置において、中間転写ユニットと感光体との離間機構の衝撃を低減した画像形成装置を提供する。
【解決手段】循環的に移動する中間転写媒体を含む転写ユニットと、中間転写媒体の循環方向上流側から下流側に沿って並列的に配置され、それぞれ異なる色成分の画像を形成する複数の感光体ドラムを含む画像形成部と、転写ユニット全体を、カムの回転運動を利用して中間転写媒体の移動方向とほぼ直交する方向に移動させ、感光体ドラム側に当接する方向及び前記感光体ドラムから離間する方向に移動可能にした移動機構と、移動機構内に配置されカムの回転によって転写ユニットを移動させるとき、その移動方向と逆行する方向からカムに対して常時荷重をかける荷重手段と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複合機であるMFP(Multi-Function Peripherals)やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、複数の感光体ドラムを並列に配置し、それぞれの感光体ドラム上に形成されるトナー像を1枚のシート紙上に多重転写してカラー画像を得る、タンデム方式の画像形成装置が知られている。また、このようなタンデム方式において、中間転写ベルトユニットを持つ画像形成装置もある。
【0003】
中間転写ベルトユニットを持つ画像形成装置の一例として特許文献1に記載の例がある。この特許文献1の例では、中間転写ベルトユニットを備え、さらに第1、第2のローラ間に掛け回された搬送ベルトを有する搬送機構と、ユニットケースに対して搬送機構を上下動させる昇降機構とを備え、搬送ベルトの交換時などに搬送ベルトを感光体ドラムから離間させるようにしている。
【0004】
上記した昇降機構は、カムとレバーを有し、レバーの回転に伴ってカムを回転させ、搬送機構を上下方向に移動させるものである。
【0005】
ところで、中間転写ベルトユニットと感光体は、メンテナンス時は離間させ、機体に装着した後は接触させる必要がある。このため、カム機構によって当接と離間を行う場合、ユニットや周辺の部材に衝撃を与えることがある。例えば、複数のギア同士を噛み合わせる場合に、ギアの歯先同士が衝突し、ギアの歯面にキズや打痕がつく場合がある。その場合、ギア1周期ごとに駆動のブレが発生し画像に色ズレ、ジッタ等の悪影響を与えてしまう。
【0006】
特許文献2では、このような衝撃の緩和策を施した画像形成装置が記載されている。この特許文献2では、転写ローラが中間転写ベルトに対して離間状態から当接状態へ移行するタイミングを、転写ローラの長手方向の一端が他端側に先行して中間転写ベルトへ当接するようにしている。
【特許文献1】特開平10−293514号公報
【特許文献2】特開2005−91725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の画像形成装置では、中間転写ベルトユニットを感光体に対して、離間/当接するため移動機構を備えているが、離間時あるいは当接時にユニットや周辺の部材に衝撃を与えることがある。また、特許文献2のような衝撃の緩和策では、離間状態から当接状態へ移行するタイミングを微妙に調整する必要があり、構造的に複雑になるという不具合がある。
【0008】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、タンデム式の画像形成装置において、中間転写ユニットと感光体との離間機構の衝撃を低減した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明の画像形成装置は、循環的に移動する中間転写媒体を含む転写ユニットと、前記中間転写媒体の循環方向上流側から下流側に沿って並列的に配置され、それぞれ異なる色成分の画像を形成する複数の感光体ドラムを含む画像形成部と、前記転写ユニット全体を、カムの回転運動を利用して前記中間転写媒体の移動方向とほぼ直交する方向に移動させ、前記感光体ドラム側に当接する方向及び前記感光体ドラムから離間する方向に移動可能にした移動機構と、前記移動機構内に配置され、前記カムの回転によって前記転写ユニットを移動させるとき、その移動方向と逆行する方向から前記カムに対して常時荷重をかける荷重手段と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項7記載の本発明の画像形成装置は、循環的に移動する中間転写媒体を含む転写ユニットと、前記中間転写媒体の循環方向上流側から下流側に沿って並列的に配置され、それぞれ異なる色成分の画像を形成する複数の感光体ドラムを含む画像形成部とを有し、この転写ユニットを前記感光体ドラム側に当接する方向及び前記感光体ドラムから離間する方向に移動可能にした画像形成装置であって、ハンドルの回転に伴って前記中間転写媒体の移動方向に沿う第1の方向に移動可能なリンク部材と、このリンク部材の移動にともなって回動し、その回動支点が画像形成装置本体側に設けられたカムと、画像形成装置本体に移動可能に取り付けられ、前記転写ユニットを前記中間転写媒体の移動方向に沿ってその両側から支持するとともに、前記カムを収容する収容部を有し、前記カムの回動によって前記リンク部材の移動方向とほぼ直交する第2の方向に移動可能なレール部材と、前記カムによって前記固定レールを前記第2の方向に沿って移動させるとき、その移動方向と逆行する方向から前記カムに対して常時荷重をかける荷重手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、転写ユニットの移動時の衝撃を緩和できるため、故障や画像不良の発生を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の画像形成装置の一実施形態を示す内部構成図、図2は図1の一部を拡大して示す構成図である。尚、以下の説明では、複合機であるMFP(Multi-Function Peripherals)を例に説明するが、プリンタ等、他の画像形成装置にも適用可能である。
【0014】
図1は、画像形成装置1の概略構成図であり、装置本体の中央部に画像形成部2を有し、上部に画像読取り部3、原稿自動送り装置(ADF)4、及び胴内排紙部5を有している。また、上部には操作部、表示部(図示せず)を有している。さらに、画像形成装置1の下部には、給紙部6を有している。原稿自動送り装置4は、原稿を画像読取り部3に送り、画像読取り部3は、原稿を読み取って画像データを保存する。
【0015】
画像形成部2は、例えばタンデム方式によるカラーレーザプリンタで成り、レーザ露光装置20からのレーザビームによって感光体を走査して画像を生成するもので、レーザ露光装置20からのレーザビームを、光学系を介して感光体に照射しその表面を走査して露光し、静電潜像を作成して現像し、トナー像を形成して用紙に転写するものである。
【0016】
画像形成部2は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成部2Y,2M,2C,2Kで構成され、中間転写媒体である中間転写ベルト11の下側に上流から下流側に沿って並列に配置されている。なお、以下の説明では画像形成部2Y,2M,2C,2Kを構成する各部品の番号にY,M,C,Kの符号を記して説明するが、Y,M,C,Kの符号を省略してトータル的に説明する場合もある。
【0017】
画像形成部2Yを代表にして説明すると、感光体ドラム12Yの周囲には帯電チャージャ13Y、現像装置14Y、転写ローラ15Y、クリーナ16Y、ブレード17Y等が配置されている(細部構造は図2に示す)。
【0018】
中間転写ベルト11は、循環的に移動し、耐熱性及び耐磨耗性の点から例えば半導電性ポリイミドが用いられる。中間転写ベルト11は、駆動ローラ22及び従動ローラ23、24に張架され、中間転写ベルト11は感光体ドラム12Y〜Kに対向して接触可能である。中間転写ベルト11の感光体ドラム12Yに対向する位置には、1次転写ローラ15Yにより+1000V程度の1次転写電圧が印加され、感光体ドラム12Y上のトナー像は中間転写ベルト11に1次転写される。
【0019】
また、中間転写ベルト11を張架する駆動ローラ22には、2次転写ローラ25が対向配置されている。駆動ローラ22と2次転写ローラ25間をシート紙Pが通過する際に、2次転写ローラ25により+1000V程度の2次転写電圧が印加され、中間転写ベルト11上のトナー像はシート紙Pに2次転写される。中間転写ベルト11の従動ローラ24付近には、ベルトクリーナ26が設けられる。
【0020】
図2は、画像形成部2Y〜2Kの1つを拡大して示すもので、画像形成部2Yの場合、感光体ドラム12Yの周囲に、その回転方向tに沿って帯電チャージャ13Y、現像装置14Y、1次転写ローラ15Y、クリーナ16Y、ブレード17Y等が配置されている。また感光体ドラム12Yの露光位置には、レーザ露光装置20からイエローのレーザビームが照射され、感光体ドラム12Y上に潜像を形成する。他の画像形成部2M〜Kも同様の構成である。
【0021】
各画像形成部2の帯電チャージャ13は、感光体ドラム12の表面を例えば−700V程度に一様に全面帯電する。現像装置14は、現像部材であり−500V程度の現像バイアスが印加される現像ローラ14aにより各色のトナー及びキャリアからなる二成分現像剤を感光体ドラム12に供給する。クリーナ16は、ブレード17を用いて感光体ドラム12表面の残留トナーを除去する。
【0022】
一方、レーザ露光装置20は、半導体レーザ素子から出射されたレーザビームを感光体ドラム12の軸線方向に走査するもので、ポリゴンミラー20a、結像レンズ系20b、ミラー20c等を含んでいる。
【0023】
また給紙部6には、各種のサイズ用紙を収容する複数の給紙カセット6a,6bが備えられており、さらに画像形成装置1には手差しによりシート紙Pを給紙する手差しトレイ30を備えている。
【0024】
給紙カセット6a,6bから2次転写ローラ25に至る間には、給紙カセット6a,6b内のシート紙Pを取り出すピックアップローラ31a、32aと、分離ローラ31b,32b、及び搬送ローラ33,34、レジストローラ35が設けられる。手差しトレイ30からレジストローラ35に達する間には、シート紙Pを取り出すピックアップローラ36a、手差し給紙ローラ37が設けられている。
【0025】
さらに、給紙カセット6a,6bあるいは手差しトレイ30から給紙されるシート紙Pを垂直方向に搬送する縦パス38に沿って、2次転写ローラ25の下流には定着装置39が設けられる。
【0026】
定着装置39から排紙部5までは排紙搬送路40が設けられ、さらに反転搬送路41が設けられている。反転搬送路41にはゲート42が設けられ、シート紙Pを排紙部5側あるいは反転搬送路41に振り分ける。反転搬送路41は、用紙Pを反転させて2次転写ローラ25方向に導くもので、両面印刷等を行う際に使用する。
【0027】
次に図1,図2の画像形成装置の作用について述べる。画像形成開始により、スキャナやパソコン端末等から画像情報が入力されると各感光体ドラム12が回転され各画像形成部2Y〜2Kにて、順次画像形成が実施される。
【0028】
画像形成部2Yを例に説明すると、感光体ドラム12Yは、イエロー(Y)の画像情報に対応するレーザビームが照射され静電潜像が形成される。更に感光体ドラム12Yは、現像装置14Yによりイエロー(Y)のトナー像が形成される。次いで感光体ドラム12Yは、回転される中間転写ベルト11と接触して1次転写ローラ15Yによりイエロー(Y)のトナー像を中間転写ベルト11上に1次転写する。
【0029】
このイエロー(Y)のトナー像形成プロセスと同様にして、画像形成部2M〜2Kにより、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像が形成され、中間転写ベルト11上のイエロー(Y)のトナー像が形成された同一位置に順次転写され、中間転写ベルト11上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を多重転写してなるフルカラートナー像を得る。
【0030】
さらに中間転写ベルト11は、フルカラートナー像を2次転写ローラ25の転写バイアスによりシート紙P上に一括2次転写する。シート紙Pは、中間転写ベルト11上のフルカラートナー像が2次転写ローラ25に達するのと同期して給紙カセット6a,6bあるいは手差しトレイ30から2次転写ローラ25の位置に給紙される。トナー像が2次転写されたシート紙Pは定着ローラ39に達しトナー像が定着される。トナー像が定着されたシート紙Pは、片面画像であればゲート42により排紙部5側に振り分けられ、両面印刷あるいは多重プリントを行う場合は、ゲート42により反転搬送路41側に振り分けられ、2次転写ローラ25に再搬送される。
【0031】
一方、中間転写ベルト11は、2次転写終了後、ベルトクリーナ26により残留トナーがクリーニングされる。又感光体ドラム12は、トナー像を中間転写ベルト11に1次転写した後、クリーナ16、ブレード17により残留トナーが除去され、次の画像形成が可能となる。
【0032】
ここで、ブレード17は感光体ドラム12に接触しており、ドラム12の回転に伴い、ドラム12上の被膜を微小に削り、一方ブレード17のエッジも削られる。上記プロセスが繰り返され、感光体ドラム12やブレード17の削れ量がある量を超えると所望の性能を満たすことができなくなる。つまり感光体ドラム12やブレード17の寿命は動作した時間に依存することになる。
【0033】
そのため、感光体ドラム12と1次転写ローラ15を、必要な箇所以外(たとえばモノクロ印字時のカラー画像形成部など)は離間させるようにして長寿命化を図っている。
【0034】
図3は、転写ベルト11を含む転写ユニット21の構成を概略的に説明する図である。転写ベルト11は駆動ローラ22により駆動を与えられ、矢印Sの方向に走行する。感光体ドラム12Y〜Kと対向する位置に配置された1次転写ローラ15Y〜Kにバイアスがかけられ、感光体ドラム12Y〜K上に現像されたトナー像が転写ベルト11上に転写される。このとき1次転写ローラ15は自重とバネ43による加圧で、一定のニップを形成するように感光体ドラム12に押し当てられている。
【0035】
各色の画像形成部2Y〜Kでは、トナー像を形成するために同様のプロセスが行われ、各色のトナー像を重ね合わせることによりカラー画像が形成される。画像形成後、転写ベルト11上の残トナーはベルトクリーナ26により清掃される。
【0036】
ここで白黒の文字情報など、カラー画像を形成しない場合には、ブラック(K)だけを現像させることでトナー消費量を抑えることができる。この場合、先に述べたように、画像形成部2の寿命は動作時間に依存するため、画像形成部2K以外のカラー画像形成部2Y,2M,2Cは動作させないことが望ましい。
【0037】
1次転写の加圧により、転写ベルト11を感光体ドラム12に当接した状態で回転させると、感光体ドラム12や転写ベルト11が摩耗したり傷ついたりするため、転写ベルト11を感光体ドラム12から離間させる機構が必要となる。カム44、及びリフタ45Y、45M、45C、45Kは、1次転写ローラ15Y〜Kをそれぞれ必要に応じて持ち上げて、転写ベルト11から離間させるものである。
【0038】
一方、点検、修理、部品交換等のメンテナンス時には、転写ユニット21全体を感光体ドラム12から離間させる必要があるため、本発明では転写ユニット21全体を感光体ドラム12から離間させたり、当接するための離間機構を有している。
【0039】
図4は本発明の画像形成装置における転写ユニットの離間機構を示す斜視図である。また図5は離間機構の構成と動作を説明する説明図である。
【0040】
図4において、転写ユニット21は、左右対称的に配置したユニット保持機構51により保持されており、ユニット保持機構51は、ハンドル52を回転させることにより上下し、感光体12と当接・離間を行う。
【0041】
転写ユニット21は図4の円Aに概略的に示すように、フレーム211に取り付けられ、フレーム211から外方向に突出した支持ピン212を有し、この支持ピン212をユニット保持機構51の固定レール53に嵌め込み、この固定レール53をハンドル52の操作によって昇降することで、転写ユニット21全体を昇降するものである。
【0042】
図4では固定レール53は、フレーム54に隠れているため、図6に拡大して図示している。以下、図6も参照して説明する。
【0043】
ユニット保持機構51は、画像形成装置本体に取り付けられたフレーム54と、ハンドル52の回転によって回転するハンドル軸52aの両端に取り付けられた昇降リンク55と、この昇降リンク55の回動によって図の左右方向に移動するリンク棒56と、リンク棒56の移動によって回転するカム57を有している。
【0044】
固定レール53は、図6で示すように、前述した支持ピン212を嵌合するため、断面形状が凹状を成しており、その凹部の天井部にカム57を収容する収容部58を形成している。つまり、図6の円B内に拡大して示すように、固定レール53は、その一部がS字状に湾曲している。カム57は、その回転軸が本体側に固定され、収容部58の天井部を持ち上げたり、底面部を押し下げたりすることで、固定レール53全体を昇降する。また、収容部58の天井部にはバネ59が取り付けられている。バネ59は、固定レール53を上方向に付勢するものであり、固定レール53を下降しようとするとき、カム57はバネ59の付勢力に逆らって固定レール53を押し下げることになる。
【0045】
次にユニット保持機構51による転写ユニットの昇降動作について説明する。尚、転写ユニット21が下降したときは感光体ドラム12と当接状態にあり、上昇したときは感光体ドラム12と離間状態にある。
【0046】
図5(a)は、離間状態を示し、ハンドル52の回転によって昇降リンク55がリンク棒56を図4の奥方向に引いた状態を示している。この状態ではリンク棒56によってカム57が右方向に回転し、固定レール53を持ち上げる。図7(a)は、カム57が収容部58の天井部を持ち上げた状態を示している。したがって、転写ユニット21は感光体ドラム12から離間する。なお、カム57は、図6で示すように回動支点が画像形成装置本体側に設けられ、その一端571がリンク棒56に連結して回動し、他端572が固定レール53の収容部58に接する偏心カムである。
【0047】
図5(b)は、当接状態を示し、ハンドル52の回転によって昇降リンク55がリンク棒56を図4の手前側方向に押した状態を示している。この状態ではリンク棒56によってカム57が左方向に回転し、固定レール53を押し下げる。図7(b)は、カム57が収容部58の底面部を押し下げた状態を示している。したがって、転写ユニット21は感光体ドラム12に当接する。
【0048】
ここで、固定レール53を上昇しようとするとき、固定レール53の自重(重力)に逆らってカム57は固定レール53を持ち上げる。また、固定レール53を下降しようとするときは、バネ59の付勢力に逆らってカム57は固定レール53を押し下げる。このため、固定レール53は、常にカム57と接した状態で昇降するため、昇降時に緩衝作用が働き、急激に離間/当接することがない。つまり、バネ59や固定レール53の重力は、カム57の回転によって固定レール53を昇降するとき、その昇降方向と逆行する方向から前記カムに対して常時荷重をかける荷重手段を構成する。
【0049】
図8は、転写ユニット21の転写ベルト11を駆動するギア構造を示す斜視図である。転写ベルト11を回転するため、本体側には駆動ギア61が設けられ、この駆動ギア61に噛み合うように転写ユニット21側にはギア62が設けられている。
【0050】
転写ユニット21を離間して、再度当接する際、ギア61と62が噛合するが、当接時に衝撃があると、各ギアの歯先同士が当たり、歯面に打痕が残ることがある。打痕が残ると、回転ムラが発生し、ジッタなど画像不具合が発生することになるが、本発明では、離間・当接時の衝撃をカム57、バネ59によって緩和することができる。
【0051】
また、固定レール53が完全に下降したとき、カム57は固定レール53を下側に位置決めしているため、転写ユニット21は振動などの影響を受けることなく画像形成が可能である。
【0052】
このように、本発明の画像形成装置では、転写ユニットの移動時の衝撃を緩和できるため、故障や画像不良の発生を防ぐことが可能となる。
【0053】
尚、以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内でさらに種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す全体構成図。
【図2】同実施形態における画像形成部の一部を拡大して示す説明図。
【図3】同実施形態における離間機構を含む転写ユニットの構成を示す説明図。
【図4】同実施形態における転写ユニットの離間機構を示す斜視図。
【図5】同実施形態における離間機構の動作を説明する動作説明図。
【図6】同実施形態における離間機構の要部の構成を示す説明図。
【図7】図6の離間機構の要部の構成と動作を拡大して示す説明図。
【図8】同実施形態における転写ユニットの回転駆動機構の一部を拡大して示す説明図。
【符号の説明】
【0055】
1…画像形成装置
2、2Y、2M、2C、2K…画像形成部
3…画像読取り部
4…原稿自動送り装置
5…胴内排紙部
6…給紙部
11…転写ベルト
12Y、12M、12C、12K…感光体ドラム
13…帯電チャージャ
14…現像装置
15…1次転写ローラ
16…クリーナ
17…ブレード
20…レーザ露光装置
21…転写ユニット
22,23,24…ローラ
25…2次転写ローラ
51…ユニット保持機構
52…ハンドル
53…固定レール
54…フレーム
55…昇降リンク
56…リンク棒
57…カム
58…カム収容部
59…バネ部材
61,62…ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環的に移動する中間転写媒体を含む転写ユニットと、
前記中間転写媒体の循環方向上流側から下流側に沿って並列的に配置され、それぞれ異なる色成分の画像を形成する複数の感光体ドラムを含む画像形成部と、
前記転写ユニット全体を、カムの回転運動を利用して前記中間転写媒体の移動方向とほぼ直交する方向に移動させ、前記感光体ドラム側に当接する方向及び前記感光体ドラムから離間する方向に移動可能にした移動機構と、
前記移動機構内に配置され、前記カムの回転によって前記転写ユニットを移動させるとき、その移動方向と逆行する方向から前記カムに対して常時荷重をかける荷重手段と、を具備したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記荷重手段は、前記カムによって前記転写ユニットを移動させるとき、前記カムに荷重をかける付勢手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、バネ部材で成ることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移動機構は、ハンドルの回転に伴って前記中間転写媒体の移動方向に沿う第1の方向に移動可能なリンク部材と、
このリンク部材の移動にともなって回動し、その回動支点が画像形成装置本体側に設けられたカムと、
画像形成装置本体に移動可能に取り付けられ、前記転写ユニットを前記中間転写媒体の移動方向に沿ってその両側から支持するとともに、前記カムを収容する収容部を有し、前記カムの回動によって前記リンク部材の移動方向とほぼ直交する第2の方向に移動可能なレール部材と、を具備したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カムは、前記回動支点を中心にして、一端が前記リンク部材に結合し、他端が前記レール部材に接する偏心カムで成ることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記レール部材に設けたカムの収容部は、前記カムが接する天井部と底面部とを有し、前記カムの回転によって前記天井部を押し上げ、かつ前記底面部を押し下げて前記レール部材を移動させることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項7】
循環的に移動する中間転写媒体を含む転写ユニットと、前記中間転写媒体の循環方向上流側から下流側に沿って並列的に配置され、それぞれ異なる色成分の画像を形成する複数の感光体ドラムを含む画像形成部とを有し、この転写ユニットを前記感光体ドラム側に当接する方向及び前記感光体ドラムから離間する方向に移動可能にした画像形成装置であって、
ハンドルの回転に伴って前記中間転写媒体の移動方向に沿う第1の方向に移動可能なリンク部材と、
このリンク部材の移動にともなって回動し、その回動支点が画像形成装置本体側に設けられたカムと、
画像形成装置本体に移動可能に取り付けられ、前記転写ユニットを前記中間転写媒体の移動方向に沿ってその両側から支持するとともに、前記カムを収容する収容部を有し、前記カムの回動によって前記リンク部材の移動方向とほぼ直交する第2の方向に移動可能なレール部材と、
前記カムによって前記固定レールを前記第2の方向に沿って移動させるとき、その移動方向と逆行する方向から前記カムに対して常時荷重をかける荷重手段と、を具備したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記荷重手段は、前記カムによって前記転写ユニットを移動させるとき、前記カムに荷重をかけるバネ部材を含むことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−219421(P2007−219421A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42770(P2006−42770)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】