説明

画像形成装置

【課題】中間転写方式タンデム構造のカラー画像形成装置において、パッチトナーが再転写現象で劣化するのを防ぎ、高精度の濃度測定を実現して最適の画像濃度や階調濃度に反映させる。
【解決手段】Y,M,C,K色成分トナー像を形成する感光体ドラム1A,1Bが配列され、各感光体ドラムに接触する中間転写体ベルト16が循環回動する中間転写方式タンデム構造である。今、Y,M,C色用感光体ドラム1Aで形成されたトナー像を転写中、パッチトナー像69Aが移動して感光体ドラム1Bよりも回動方向下流側に配置した濃度センサ68に達すると、そのパッチトナー像69Aの濃度を検出した信号に基づく制御で、画像出力に関与していないK色用の感光体ドラム1Bから中間転写体ベルト16をカム9によって離間させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ装置、プリンタおよび複合機(多機能複写機)など電子写真方式画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」という)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では原稿から読み取った画像信号に基づいて像担持体であるドラム形状またはベルト形状の電子写真感光体の表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤(以下、「トナー」という)を用いて現像して可視像化する。現像されたトナー像は転写手段によって記録紙やプラスチック材などのシート上に転写され、転写後は定着装置に送って加熱および加圧してシート上にトナー像を永久定着させる。
【0003】
たとえば、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の基本4色を用いたカラー画像形成装置では、それらY,M,C,K各色ごとに複数の現像装置を直線または曲線上に配列したタンデム構造がある。
【0004】
タンデム構造としては、シート上に最終画像が得られるまでの工程で分類すると、直接転写方式と中間転写方式とがある。前者の直接転写方式タンデム構造は、第1の像担持体であるたとえば感光体ドラムに隣接して現像装置が配置され、トナーを用いて感光体ドラム上の潜像からトナー像を現像してシートに転写する。後者の中間転写方式タンデム構造は、第1の像担持体である感光体ドラム上の潜像からトナー像を現像して、一旦、第2の像担持体であるたとえば無端状の中間転写体ベルト上に各色すべてのトナー像を転写して保持させる(一次転写)。その後、中間転写体ベルト上の各色成分トナー像をシート上に移し替えて転写する(二次転写)。
【0005】
ところで、形成される画像の安定性という観点からいえば、中間転写方式タンデム構造の方が直接転写方式タンデム構造よりも有利である。カラー画像形成装置ではY,M,C,K各色成分のトナー像を重ね合わせる工程を要する。直接転写方式の場合、像担持体からシートにトナー像が直接転写されるので、シートの物性、厚さ、腰の強さなどに影響されて重ね合わせに際して画像が不安定になる。それに対し、中間転写方式では重ね合わせ工程での転写対象が常に同じ物体なので、安定したカラー画像が得られる。
【0006】
このように、画像安定性では直接転写方式タンデム構造よりも有利な中間転写方式タンデム構造ではあるが、以下の点において問題がある。
【0007】
直接転写方式と中間転写方式のいずれのタンデム構造カラー画像形成装置にあっても、一般的には画像濃度や階調濃度の調整が行われ、また現像装置に補給されるトナー量の調整が行われる。
【0008】
中間転写方式タンデム構造の場合、画像濃度や階調濃度を調整するために中間転写体ベルト上に濃度測定用検体トナー像(以下、「パッチトナー像」という)を形成することは周知である。そのパッチトナー像の濃度を検出して測定した結果からシート上に転写されるトナー像の最適な濃度を求める。本出願人は先に、そうした最適濃度に調整する技術について提案している(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
同じく中間転写方式タンデム構造について、感光体ドラムが中間転写体ベルトに常時接触している構造の場合、摺動摩擦によって中間転写体ベルト上の画像が擦れて画像不良をおこすことがある。それを防ぐために、単色モノクロモードによる画像出力時は、K色トナー以外に他のY,M,C色用の各感光体ドラムは使用しないので、無用な中間転写体ベルトとの摺動摩擦を避けて離間させる技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。また、中間転写体ベルトから離間させた感光体ドラムは離間中その回転を停止させると同時に、帯電装置においても作動を停止させるようにした構造も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2005−062244号公報
【特許文献2】特開2005−156776号公報
【特許文献3】特開2004−117813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の場合、パッチトナー像の濃度を濃度センサによって検出し、検出に基づいて求めた測定濃度からシート上に転写されるトナー像を最適濃度に調整して良質の画像濃度や諧調濃度を得る技術が開示されている。その際、中間転写体ベルト上に形成されているパッチトナー像が移動して濃度センサによる検出地点に到達する途中で、関係しない他の色の感光体ドラムとの一次転写領域に順に接触して通過することになる。そうした無用な接触のために一般に「再転写」と呼ばれる現象でパッチトナー像が劣化し、パッチトナー像の濃度測定精度を低下させるといった不都合がある。
【0012】
また、特許文献2については、単一モノクロモードによる画像出力時、K色以外に使用しない他のY,M,C色用感光体ドラムのすべてを中間転写体ベルトから離間させ、中間転写体ベルトとの無用な接触摩擦を回避することで耐久性寿命を高めるものである。K色対応の感光体ドラムの使用頻度は他のY,M,C色用の感光体ドラムと比べて格段に多い。したがって、使用頻度が多いだけK色対応の帯電ユニットや表面電位の制御などを頻繁に調整する必要がある。そのようにK色に関連する電位制御や作像動作の調整を行っている間、離間させている他のY,M,C色用の感光体ドラムをもつ画像形成ユニットは調整されることなく放置されたままの状態となる。そのため、K色以外のY,M,C色画像形成ユニットを作動させて中間転写体ベルト上にトナー像を形成する調整モードは実行できない。
【0013】
また、特に特許文献3にみられるように、K色用感光体ドラムを有する画像形成ユニットにて電位を調整中とか、また帯電動作を停止させた状態にして、K色よりも上流側に位置するY,M,C色に対応する画像形成ユニットにてトナー像を形成している。その後にK色用画像形成ユニットの一次転写部(転写ニップ部)を通過させるようにしているため、複雑な制御が必要となり、生産性は低下し、ダウンタイム時間も長くなる不具合がある。
【0014】
本発明の主たる目的は、中間転写方式タンデム構造のカラー画像形成装置において、パッチトナー像が移動して濃度検出地点に達するまでの途中で再転写現象で劣化するのを防ぎ、高精度の濃度測定を実現して最適の画像濃度や階調濃度に反映させることにある。
【0015】
また、本発明の目的は、中間転写体ベルトから離間し、画像出力に関与せず中間転写体から離間した画像形成ユニットの帯電手段を清掃し、また表面電位を制御する調整のタイミングを利用して画像出力中の他の画像形成ユニットで中間転写体上にトナー像を形成する。それによってダウンタイムを短縮できる画像形成装置を提供することにある。
【0016】
さらに、本発明の目的は、作像装置として二成分現像手段を用いてトナ−とキャリアの混合割比を制御するために、中間転写体上にパッチ濃度を形成してその濃度測定し、前記混合比率を制御するためのトナ−補給量の調整を必要とする作像手段と、一成分現像を用いてトナ−の補給量の調整にパッチ濃度測定を必要としない作像手段とを備えた、異なる作像手段を備えた画像形成装置において、「再転写」の影響を少なくしてダウンタイムの短縮が可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を中間転写体へ転写する転写手段と、を備えた画像形成ユニットの複数を具備し、前記画像形成ユニットで形成された制御用トナー像を前記中間転写体上の、前記複数の画像形成ユニットの下流位置で検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて前記画像形成ユニットの画像形成条件を調整する手段と、を有する画像形成装置において、前記複数の画像形成ユニットの中で、前記中間転写体の移動方向上流側の画像形成ユニットで形成された前記制御用トナー像が、下流側の画像形成ユニットを通過する際に前記下流側の画像形成ユニットの像担持体と前記中間転写体が離間していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置によれば、複数色のトナー像を形成する画像形成ユニットにそれぞれ像担持体が備わっており、それらの像担持体によって順次トナー像が中間転写体に転写される。像担持体のうちの1つがトナー像を形成してそれを中間転写体に転写している間、しかもその中間転写体上の制御用トナー像(パッチトナー像)の濃度が検出された段階で、トナー像の形成や転写の用事のない他の像担持体は中間転写体から遠ざけて離間させる。それによって、パッチトナー像に対して再転写現象による影響が抑えられ、制御要トナー像の濃度を高精度に測定でき、シート上に転写される画像の最適な濃度や階調濃度に反映させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による画像形成装置の好適な実施形態について図を参照して詳述する。 図1は、たとえばY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)による4色成分トナー像を電子写真方式で形成する4つの画像形成ユニットが配列されたタンデム構造のカラー画像形成装置を示す。Y,M,Cの3色に対応する各画像形成ユニットには感光体ドラム1A(像担持体)が備わり、またK色の1色のみに対応する画像形成ユニットには感光体ドラム1B(像担持体)が備わっている。感光体ドラム1Aのドラム径よりも感光体ドラム1Bの方が大きい。感光体ドラム1AにはOPCが使用され、またモノクロ画像に使用されるK色用感光体ドラム1Bは使用頻度が多く、耐磨耗性に優れたアモルファスシリコンドラムを使用している。
【0020】
また、感光体ドラム1A,1BからY,M,C,K各色成分トナー像が順次転写される無端状の中間転写体ベルト16(中間転写体)が回転ローラ間に捲回して設けられている。感光体ドラム1A,1B上に形成されたトナー像は一旦その中間転写体ベルト16に転写される(一次転写)。一次転写されたトナー像は二次転写用の内外側ローラ14,15で構成する二次転写部に送られ、記録紙などのシート上に一括して転写される(二次転写)。したがって、感光体ドラム1A,1B上のトナー像がシート上に転写される間に中間転写体ベルト16が介在しているので中間転写方式タンデム構造によるカラー画像形成装置が示されている。
【0021】
中間転写体ベルト16については、複数のベルトローラ6,7,11,14間に捲回され、そのうちのベルトローラ6は駆動ローラとして回転駆動源から回転動力を受けて中間転写体ベルト16を回動走行させる。中間転写体ベルト16に連れ回されて回転するベルトローラ7,11が従動ローラとなる。また、ベルトローラ14は二次転写部を構成する上記二次転写内側ローラ14として機能するバックアップローラである。この二次転写内側ローラ14に当接してトナーの帯電極性と同極性の二次転写バイアスを印加する給電手段(図示略)が備わっている。二次転写内側ローラ14の材質には金属芯材の外周に内側に発泡弾性体層、外側に導電層を被覆してなる二層構成のEPDMゴムを用いることができる。外側の導電層はカーボンブラックをたとえば15〜35重量%分散した半導電性のEPDM発泡ゴムで形成し、導電層の厚みをたとえば0.5〜1.5mmに設定し、表面抵抗率をたとえば7〜10Ω/□の抵抗領域で制御するようにしている。また、二次転写外ローラ15としては、金属芯材とこの金属芯材の周囲に固着されたカーボンブラック分散発泡EPDM材料からなるコア層にスキン層を介してたとえば5〜20μmの厚みのフッ素樹脂系材料からなるコーティング層を形成して構成することができる。金属芯材とコーティング層との間の体積抵抗率は4〜5logΩcmである。
【0022】
また、上記駆動ローラ6の中間転写体ベルト16を挟んで対向する位置には、二次転写後に中間転写体ベルト16上に残った残留物を除去するベルトクリーナ(図示略)が配置されている。中間転写体ベルト16のベルト本体の材質にはポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなど樹脂を用いることができる。あるいは、各種ゴムにカーボンブラックなどの導電剤を適当量含有させ、その体積抵抗率をたとえば5〜15logΩcmに形成し、厚みを0.1mmに設定して中間転写体ベルト16を構成することができる。
【0023】
また、二次転写後のシートは定着装置(図示略)へと搬送され、シート上に転写された画像に熱を加えかつ加圧して永久定着し、機外へと排紙するようになっている。
【0024】
Y,M,Cの作像手段とBK作像手段の構成差について解説する。最初に、感光体、及び、帯電手段の構成差について説明する。Y,M,C,K各色に対応する画像形成ユニットでは、潜像を担持する感光体ドラム1A,1Bの周囲にドラム表面を帯電する手段として、近接配置、あるいは接触させた帯電ロ−ラを用いて帯電動作を実施している。帯電ロ−ラは、DCバイアス電圧と、AC高圧を印加して所定電位に帯電する帯電装置2A,2Bが配備されている。ここで、DC高圧は、500V〜900Vの範囲で、目標のVD電位に調整制御され、AC成分の高圧は、周波数を、1000〜2000Hz、Vppとして、1000〜2000Vの範囲の高圧が印化される。このとき、YMCのVD電位は、前記DCバイアスに収束する為、VD電位制御を必要としない。また、帯電装置2AはY,M,C色のそれぞれに対応する帯電ローラを有している。
【0025】
K色に対応する帯電装置2Bは、スコロトロン方式のコロナ帯電器を用いている。図2に示すように、帯電装置2Bは感光体ドラム1Bに対向する部位に断面略コ字型のシールドケース50a,50bが正面を開口して感光体ドラム1Bの軸方向に設けられている。
【0026】
このシールドケース50a,50bの内側に放電ワイヤ20がその両端で支持部材(図示略)に支持されて設けられている。シールドケース50の正面開口側に感光体ドラム1Bに対向してグリッド52が配設されている。グリッド52は多数のSUS線材でなっている。シールドケース50a,50bの背面側には長手方向に沿って背面開口が開設されている。
【0027】
シールドケース50a,50bは高さ寸法がたとえば30mm、幅(内面)がたとえば44mmである。また、放電ワイヤ20には直流高圧電圧を印加する高圧電源(図示略)が接続され、シールドケース50a,50bおよびグリッド52にはこれらを一定電位に保持する目的で、バリスタなどの定電圧素子が接続されている。
【0028】
また、本発明で用いるBK色用の感光体は、長寿命可能な、アモルファスシルコンドラムであり、コロナ帯電装置を用いている。そのため帯電位置から、現像位置までの暗減衰も大きい為、K色対応の感光体ドラム1Bの対向上に表面電位センサ17が搭載されている。電位センサ−17を露光後に配置し、前記コロナ帯電で印加したグリッド高圧に応じた、VD電位を測定し、目標の帯電電位へ調整している。
【0029】
つぎに、本発明のBK画像形成ユニットにおける、電位制御時の制御の様子を、図8に示す。図8では、電位制御実施時における電位センサ−17で測定例を用いて、電位制御フロ−の様子を示す図である。
【0030】
最初に、コロナ帯電装置のグリッド高圧(図8中 Vg1,2,3)を変更し、その時得られたVD電位を測定し、目電位である VD=500Vが得られる、グリッド高圧に調整を行う。続いて、像露光装置を用いて、光量を2段階変調性、露光部電位を2段階変更して得られた電位測定結果に基づき、目標電位である、例えば、VL=200Vへ調整される。ここで、前記Vd、VLの目標値は、常に固定ではなく、条件に応じて変更しても、本発明には何ら問題はない。
【0031】
再び、図1において、帯電された感光体ドラム1A,1Bにそれぞれ静電潜像を書き込むY,M,C色に対応するレーザ露光装置8AとK色対応のレーザ露光装置8Bが配置されている。また、Y,M,C,K各色成分トナーが収容されて感光体ドラム1A,1B上の静電潜像を現像する現像装置としての現像ローラ3A,3Bが配置されている。さらに、感光体ドラム1A,1Bに担持されたトナー像を中間転写体ベルト16に転写するための転写手段である一次転写ローラ5A,5Bが配置され、一次転写後の感光体ドラム1A,1B上の残留物を除去するクリーナとしてのドラムクリーナ12など、電子写真用デバイスが順に配置されている。
【0032】
つぎに、Y,M,CとBKの作像手段の構成差について説明する。なお、本実施形態ではY,M,C色に対応する画像形成ユニットがクリーナレスシステムとなっており、K色に対応する画像形成ユニットと構造を異にしている。
【0033】
また、Y,M,Cの各画像形成ユニットには未転写による残トナーの履歴消去を行うブラシ部材4が備わり、本実施形態では帯電装置2Aを通過して、現像ローラ3Aでその未転写残トナーを回収する構成となっている。現像ローラ3Aによる現像方式は二成分の磁気ブラシ方式であり、現像ローラ3Bによる現像方式は磁性トナーを用いた一成分ジャンピング現像方式である。Y,M,Cの作像手段では、一次転写後のトナ−残像に対し、前記履歴消去ブラシを用いて、感光体、及びトナ−の除電を行い、帯電ロ−ラで所定のVD電位、及び、トナ−の帯電極性を、現像手段内のトナ−の帯電極性へと調整し、現像部において、回収する構成となっている。また、BK作像装置は、クリーナレス方式ではない為、感光体上にクリーニング手段が備えられており、一次転写残トナはクリーニング手段で回収される。
【0034】
また、中間転写体ベルト16上には、図3に示すように、シート上に転写されるY,M,C色,のトナー像の画像濃度を適正に調整するための検体となるパッチトナー像(制御用トナー像)パターン69Aが形成されている。このパッチトナー像パターン69Aの濃度を測定するためにトナー像検出用正反射型の濃度センサ68が感光体ドラム1Bの下流側に配置され、さらにレジ調整用トナー濃度を測定するためのレジセンサ61が装着されている。このトナ−像濃度の測定は、Y,M,Cの作像手段である二成分現像剤のトナ−と、キャリアの混合比を所定比率に維持するために実施しているものである。また、BKの現像手段は、一成分現像装置であるため、トナ−の補給量を調整するためにパッチトナー像の形成、濃度測定を必要としない構成となっている。
【0035】
この中間転写方式タンデム構造のカラー画像形成装置では、以下の作像プロセスが実行される。
【0036】
たとえば、デジタルカラー複写機のような画像形成装置の場合、原稿台上の原稿をカラー画像読取装置で読み取り、読取信号を処理回路でデジタル画像信号に変換してメモリに一時的に格納して蓄積する。その蓄積されているY,M,C,Kの4色のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像が形成される。すなわち、各色のデジタル画像信号に応じて画像形成ユニットを駆動させ、帯電装置2A,2Bによって帯電バイアス電圧を印加して感光体ドラム1A,1Bの表面を一様に帯電する。帯電された感光体ドラム1A,1Bにデジタル画像信号に応じた静電潜像をレーザ露光装置8A,8Bで書き込ませる。感光体ドラム1A,1Bに形成された静電潜像を現像ローラ3A,3Bで現像して各色のトナー像を形成させる。画像形成装置がプリンタの場合は外部から入力されるデジタル画像信号に基づいて各色成分トナー像が形成されるように構成される。
【0037】
感光体ドラム1A上に形成されたトナー像は、感光体ドラム1Aと中間転写体ベルト16とが接する一次転写部にて一次転写ローラ5によって感光体ドラム1Aから中間転写体ベルト16の表面に順次転写される。感光体ドラム1B上に残った未転写の残トナーは、ドラムクリーナ12によってクリーニングされる。中間転写体ベルト16に一次転写されたトナー像は重ね合わされ、中間転写体ベルト16が回動走行して二次転写内外側ローラ14,15からなる二次転写部へと送られる。これに同期させてシートがその二次転写部へと搬送され、バックアップローラである二次転写内側ローラ14と協働して二次転写外側ローラ15がシートをニップする。二次転写部では二次転写内外側ローラ14,15間に形成される転写電界の作用によって中間転写体ベルト16上に担持されたトナー像をシートに転写する(二次転写)。トナー像が転写されたシートは定着装置へと搬送され、定着装置においてシート上のトナー像を加熱および加圧して永久定着後、機外に設けられた排出トレイ(図示略)に排出する。転写後に中間転写体ベルト16に未転写で残った残トナーはベルトクリーナ30によってクリーニングして除去される。
【0038】
一方、Y,M,C色対応の感光体ドラム1Aにて順次トナー像を形成しかつ中間転写体ベルト16に転写中、その間にトナー像形成や転写という用事のないK色対応の感光体ドラム1Bでは、中間転写体ベルト16に回転接触するのを避けて離間させる。図4は、その際、K色対応感光体ドラム1Bからこれに対向する部分の中間転写体ベルト16を離間させた状態を示す。
【0039】
中間転写体ベルト16の一部をK色対応感光体ドラム1Bとの回転接触から避けて離す離間機構が備わり、カム9がその駆動の主要部を構成している。カム9は、そのカム軸に回転動力を受けて図4中矢印で示す時計廻り方向に回動すると、一次転写部の一次転写ローラ5Bが中間転写体ベルト16を押圧していた位置から後退し、それまで接触状態にあった感光体ドラム1Bから中間転写体ベルト16を離間させる。カム9が反時計廻り方向に回動すれば、一次転写ローラ5Bが中間転写体ベルト16を内側から押圧して感光体ドラム1Bに圧接し、図1の状態に戻る。このようにK色転写用の一次転写ローラ5Bを離間させた状態とすることで二成分現像システムとなる。Y,M,C色対応の感光体ドラム1Aで形成されたトナー像が中間転写体ベルト16に転写中、K色の一次転写ローラ5Bによる押圧はなく、感光体ドラム1Bから中間転写体ベルト16が離間しているのでそこでは再転写現象が生じない。つまり、用事をしない一次転写ローラ5Bに押圧されてシート上のパッチトナー像パターン69Aが感光体ドラム1Bと中間転写体ドラム16との間の一次転写ニップで擦られて劣化するのを避けられる。それにより、中間転写体ベルト16上に形成されている図3中のY,M,C色のパッチトナー像パターン69Aの濃度を濃度センサ68で高精度で検出することができる。
【0040】
濃度センサ68は正反射型光センサとして、パッチトナー像パターン69Aを読み取って検出して濃度検出信号を出力する。すなわち、中間転写体ベルト16に所定の露光量を照射し、受光した露光量に対して正反射分を受光してY,M,C各色のパッチトナー像パターン69Aの有無、Y,M,C各色間の濃度差によって得られた受光部の出力差に基づいてトナー濃度信号に変換する。それに基づいてパッチトナー像パターン69Aの濃度測定値が求められ、それを基礎にシート上の画像濃度と階調濃度が最適になるよう反映される。
【0041】
また、K色対応の感光体ドラム1Bをも使用するフルカラー画像形成時、感光体ドラム1Bに対向した一次転写ローラ5Bによる一次転写部での転写領域をシートが通過するから、K色一次転写部での再転写量を考慮してK色の転写高圧値を調整する。それによって、K色の一次転写部で接触する「着」状態でトナー像を形成する必要のあるレジパターン65,66を形成する場合でもトナー像が乱れることはなく、適正な画像を測定することが可能となる。
【0042】
この場合、中間転写体ベルト16上でのトナー載り量によって再転写現象による影響度合いが異なる。そのため、図6に示すような階調濃度パターンをK色の一次転写部にて離間状態と非離間状態の場合の2つのモードで測定する。それによって、濃度センサ68の受光部の信号差から各画像濃度で発生する再転写への影響を考慮し、濃度検出信号に基づいた測定データで制御部のCPUでは補正量の演算が行われ、その補正値に対応する電圧がK色の一次転写部に印加される。また、中間転写体ドラム16が離間した状態でK色対応感光体ドラム1Bの回転駆動、現像高圧や帯電高圧は画像形成中と同じ状態を保つことも可能であり、逆に回転駆動や高圧印加をオフにする動作制御も可能となる。そのように構成することで、中間転写体ベルト16上でトナー像形成や転写の用事のない画像形成ユニットでは、その一次転写ローラによる押圧で一次転写の影響なくした状態でパッチトナー像パターン69Aの濃度測定値とシート上に転写された画像濃度との差を補正制御することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で示されたK色対応の感光体ドラム1Bに対向する位置で中間転写体ベルト16を離間させている間、Y,M,Cの各色とは異なる形態の調整モードが実行される。この場合もK色対応の感光体ドラム1Bのドラム表面を帯電するのに図2で示したコロナ帯電器2Bを使用している。このコロナ帯電器2Bでは、図7に示すように、帯電線20を往復動してクリーニングする清掃部材21が取り付けられていて、感光体ドラム1Bの母線方向に駆動手段によって往復動させて帯電線20を清掃できる。
【0044】
また、Y,M,Cの各色成分トナー像を形成している間、K色の感光体ドラム1Bから中間転写体ベルト16を離間させ、その間に感光体ドラム1Bの回転駆動をオフにし、また現像や帯電および光除電もオフにした状態で清掃する調整モードを実行することができる。また、感光体ドラム1A,1Bに帯電バイアス電圧を印加して帯電する帯電装置2A,2Bが、一方は帯電ローラで他方はコロナ帯電器といった異なるものを装備した画像形成装置でも、生産性が落ちず、ダウンタイムを短縮できる。
【0045】
(第3の実施形態)
第2の実施形態と同じく、K色用の感光体ドラム1Bのドラム表面を帯電するのに図2のコロナ帯電器2Bを用いる。離間中、K色対応の感光体ドラム1Bに対して表面電位センサ17を用いた電位制御が行われる。その場合にフルカラーによる画像形成中、K単色による画像形成において印刷速度を変更して画像出力できる複数の画像形成モードを実行することができる。
【0046】
通常、タンデム構造でK色対応の画像形成ユニットだけを使用するモノカラー画像形成時に電位制御を行うものとは異なる。その場合にY,M,C色対応の感光体ドラム1Aや帯電手段の回転速度が高まることに起因したドラム寿命など、劣化の要因を低減する構成で電位制御が実施できる。また、電位制御を実施するタイミングを、第1の実施形態で示したトナー像形成のような画像形成ユニットの調整と同時に実施可能である。さらには、中間転写体ベルト16の回動速度とは無関係に感光体ドラム1Bの回転速度を変更する条件の表面電位制御が実施が可能である。Y,M,C各色のトナー像形成を伴う画像安定化調整を行う実施タイミングで複数の回転速度の表面電位調整を実施することも可能である。また、このような複合制御を適時行うことでK色モードとフルカラー画像形成モードとが連続した動作として切り替わった場合でも、瞬時に帯電高圧、光除電、像露光を行うレーザのパワーを調整する必要がなく切替可能となる。それによって生産性を向上させ、画像安定性の向上を図ることができる。
【0047】
(第4の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で示されたK色位置で転写および離間を行っている間、K色現像器からクリーニングユニット(図1参照)に装備されたトナー層保持ローラ13へのトナー供給が行われる。この場合、K色の感光体ドラム1Bのクリーニングユニットにマグネットローラを搭載し、現像剤に用いる磁性トナーを用いてトナー層を形成し、感光体ドラムとトナー層を摺察させている。この、トナー層コートの役割は、クリーニングブレード18への安定性したトナーの供給を行い、クリーニング性能を保持する機能を持っている。しかしながら、回転している感光体に、トナー層を接触回転させているため、画像比率の少ない画像を長期間出力すると、トナー層コート量が低減し、クリーニングが不安定になるという問題がある。この対策として、磁性トナーを現像器より供給する方法が従来から採用されていた。中間転写体ベルトを用いた画像形成装置では、ドラム上で形成したトナー像をマグネットローラにトナーを供給するためには必ず一次転写領域を通過する必要がある。そのため通常は画像形成時には用いない一次転写の逆バイアス機能を備え、現像剤の供給時には、逆バイアス電圧を印加して供給を行う。しかしながら、逆バイアスの印加による転写防止電界を形成しても、物理的に100%、転写体へ移動させない状態を作ることが不可能であり、このため、転写体上がK色トナーで汚れ、さらには、二次転写ローラ15の汚れによる裏汚れが発生する。これを回避するために、一般には中間転写体ベルト16のクリーニング、二次転写外側ローラ15のクリーニングモードなど生産性を低下させる無駄な制御を行う。それに対して。本実施形態では、トナー像をY,M,C色の画像形成ユニットが形成している間、中間転写体ベルト16を汚すことなく、マグネットローラにトナーを供給する調整モードを備えている。したがって、低Dutyが連続して実施され、トナーの供給が必要な場合でも生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の画像形成装置の実施形態を示す図。
【図2】第1の実施形態におけるコロナ帯電器を示す図。
【図3】パッチトナー像の濃度測定パターンとその読取構造を示す図。
【図4】K色対応の感光体ドラムから中間転写体ベルトを離間させた状態を示す図。
【図5】レジ調整パターンとその読取構造を示す図。
【図6】階調濃度パターンを模式的に示す図。
【図7】第2の実施形態としてK色対応の感光体ドラム周囲に設けたコロナ帯電器を清掃する機構を示す図。
【図8】K画像形成ユニットにおける電位制御フローの様子を様子を示す図。
【符号の説明】
【0049】
1A Y,M,C色用の感光体ドラム(像担持体)
1B K色用の感光体ドラム(像担持体)
2A Y,M,C,K色用の帯電器
2B K色用のコロナ帯電器
4 ブラシ
5A Y,M,C色用の一次転写ロ-ラ
5B K色用の一次転写ロ-ラ
6 従動ローラ
7 駆動ローラ
8 濃度センサ
9 離間機構のカム
10 カム支持台
11 一次転写ローラ
12 クリーニングブレード
13 トナー層コントローラ
14 二次転写内側ローラ
15 二次転写外側ローラ
16 中間転写体ベルト(中間転写体)
17 電位センサ
18 光除電
20 帯電線
21 清掃部材
52 グリッド電極
61 センサ部(レジセンサ)
62 発光部
63 受光部
65,66 レジパターン
69 濃度パターン
80 レジセンサユニット(検知ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を中間転写体へ転写する転写手段と、を備えた画像形成ユニットの複数を具備し、
前記画像形成ユニットで形成された制御用トナー像を前記中間転写体上の、前記複数の画像形成ユニットの下流位置で検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて前記画像形成ユニットの画像形成条件を調整する手段と、
を有する画像形成装置において、
前記複数の画像形成ユニットの中で、前記中間転写体の移動方向上流側の画像形成ユニットで形成された前記制御用トナー像が、下流側の画像形成ユニットを通過する際に前記下流側の画像形成ユニットの像担持体と前記中間転写体が離間していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
離間中の前記下流側の像担持体に対して表面電位測定の調整が行われることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
離間中の前記下流側の像担持体を帯電する帯電手段に対してクリーニングが行われることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
離間中の前記下流側の像担持体に対して回転速度の調整が行われることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記下流側の像担持体がブラック色成分トナー像を形成する感光体ドラムである場合に、前記中間転写体として備わる中間転写体ベルトを前記感光体ドラムとの一次転写部から離間させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−122433(P2008−122433A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302695(P2006−302695)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】