説明

画像形成装置

【課題】ワンパス方式により転写材の両面に高画質な画像を形成する、低コストで小型の画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面にトナー像を形成する感光体と、感光体から転写されたトナー像を一時保持する機能と転写材を搬送する機能を備える中間転写ベルトと、転写材を中間転写ベルトまで搬送する搬送手段と、感光体上に形成されたトナー像を中間転写ベルトにより搬送される転写材の第1の面、及び中間転写ベルトに転写する第1の転写手段と、第1の転写手段により中間転写ベルトに転写されたトナー像を搬送手段により搬送される転写材の第2の面に転写する第2の転写手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面印刷機能を有しており、電子写真方式を用いて画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転写材の両面に画像を形成する方式として、いわゆるスイッチバック方式と、ワンパス方式とが知られている。スイッチバック方式は、まず、転写材を転写手段と定着手段とを一度通過させ、転写材の一方の面に画像を形成し、転写材を反転させた後、転写手段と定着手段とにスイッチバックさせ、転写材のもう一方の面に画像を形成することにより両面印刷を行う方式である。これに対し、ワンパス方式は、両面転写手段により両面に画像が転写された転写材を定着手段に通すことで、転写材をスイッチバックさせることなく、転写材の両面に画像を形成する。
【0003】
ワンパス方式を採用することにより、スイッチバック用の複雑な機構を設けることによるコストアップや、スイッチバックによる画像形成時間の長期化、定着手段による加熱でカールされた転写材をスイッチバックさせることによるジャムなどを回避できる。
【0004】
ワンパス方式を用いる画像形成装置として、例えば、特許文献1では、第1の中間転写ベルトと第2の中間転写ベルトの2つの中間転写ベルトを有し、第2の中間転写ベルトにより転写材を搬送させ、第1の中間転写ベルト上のトナー像と第2の中間転写ベルト上のトナー像を転写材のそれぞれの面に転写する画像形成装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、互いに帯電極性の異なる2つのトナー像をそれぞれ個別に形成するための感光体対を用いて、転写材の両面にトナー像を転写する画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献3では、各色それぞれに対して、裏面画像を保持しておく中間転写ベルトと感光体とが備えられており、この中間転写ベルトと感光体とによる接離機構を用いて、転写紙の両面にトナー像を形成する画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている画像形成装置では、裏面のトナー像を第2の中間転写ベルト上に転写後に、そのトナー像上に転写材を重ねて搬送するため、裏面のトナー像が転写材とこすれることでの画像不良を起こすことがある。また、裏面が転写されるまでに2つの中間転写ベルト長だけトナー像の搬送が必要になるため、印刷時間が長くなってしまう。
【0008】
また、特許文献2に開示されている画像形成装置では、極性の異なるトナー像を形成するために1対の感光体や現像ユニットなどが必要となり、部品数の増加してしまうため、高コスト化や装置の大型化という問題がある。
【0009】
また、特許文献3に開示されている画像形成装置では、KMCYそれぞれに対して中間転写ベルトが備えられているため、計4つの中間転写ベルトが必要となり、部品数の増加による高コスト化や装置の大型化の問題がある。また、4つの転写ベルトがあるため、色あわせ調整ができないという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ワンパス方式により転写材の両面に高画質な画像を形成する、低コストで小型の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明における画像形成装置は、表面にトナー像を形成する感光体と、前記感光体から転写された前記トナー像を一時保持する機能と転写材を搬送する機能を備える中間転写ベルトと、前記転写材を前記中間転写ベルトまで搬送する搬送手段と、前記感光体上に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトにより搬送される前記転写材の第1の面、及び前記中間転写ベルトに転写する第1の転写手段と、前記第1の転写手段により前記中間転写ベルトに転写された前記トナー像を前記搬送手段により搬送される前記転写材の第2の面に転写する第2の転写手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、ワンパス方式により転写材の両面に高画質な画像を形成する、低コストで小型の画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の定着装置の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示した図である。図1に示した画像形成装置は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン(以下、Bk、Y、M、Cと示す)のトナー像を形成するための4つのプロセスカートリッジを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のBk、Y、M、Cトナーを用いるが、トナー以外は同様の構成となっており、寿命が到達すると交換される。
【0016】
Bkトナー像を形成するためのプロセスカートリッジは、像担持体たるドラム状の感光体11、帯電装置21、現像装置31、ドラムクリーニング装置41などを備えている。
【0017】
感光体11は、直径25〜100[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであっても良い。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであっても良い。
【0018】
帯電装置21は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転する感光体11の表面を一様帯電させる。
【0019】
一様帯電した感光体11の表面は、露光装置10から照射されたレーザ光によって露光走査されて、Bk用の静電潜像を担持する。このBkの静電潜像は、Bkトナーを用いる現像装置31によってBkトナー像に現像される。ここで、転写材裏面にトナー像を転写、もしくは中間転写体5上に1次転写される。この位置を第1転写部とする。
【0020】
転写材は、図1において点線で示す搬送経路9を搬送される。まず、転写材は、搬送手段により、中間転写ベルトまで搬送される。その後、第1転写部では、中間転写ベルトにより搬送され、第1転写部により感光体11上のトナー像が転写される。
【0021】
ドラムクリーニング装置41は、転写工程を経た後の感光体11の表面上に残留したトナーを除去する。また、図示しない除電装値は、クリーニング後の感光体11の残留電化を除電する。この除電により、感光体11の表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0022】
他の色、Y、M、Cのプロセスカートリッジにおいても、同様にして感光体12、13、14上にそれぞれY、M、Cトナー像が形成され、転写材裏面、もしくは中間転写体5上に転写される。
【0023】
図示しない画像データ処理装置では、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報信号に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置10に送る。潜像形成手段たる露光装置10は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザ光を、プロセスカートリッジにおけるそれぞれの感光体11、12、13、14に照射する。この照射を受けて露光された感光体11、12、13、14上には、Bk、Y、M、C用の静電潜像が形成される。なお、露光装置10は、光源から発せられたレーザ光を、モータにより回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体11、12、13、14に照射するものである。このような構成の露光装置10に代えて、LEDアレイからLED光を照射する露光手段を採用しても良い。
【0024】
図1において、プロセスカートリッジの下方には、無端移動体である中間転写ベルト51を張架しながら無端移動せしめる中間転写体5が配設されている。これは、感光体11、12、13、14と連動して回転するように接触して配置されており、この中間転写体5は中間転写ベルトの他に、4つの転写ローラ61、62、63、64を備えており、図1における反時計回りに無端移動する。
【0025】
4つの第1の転写ローラ61、62、63、64は、このように無端移動する中間転写ベルト51を感光体11、12、13、14との間に挟みこんでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは中間転写ベルト11の裏面(ループの内周面)にトナーとは逆極性の1次転写バイアスを印加する方式のものである。印加の方式は、電極から放電させるチャージャ方式のものであっても良い。
【0026】
転写材裏面への転写は、4つの感光体11、12、13、14上でそれぞれ個別に形成される4つのBk、Y、M、Cトナー像が1次転写バイアスの作用により転写材裏面上で重ね合わせて転写される。これにより、転写材裏面上に4色重ね合わせられたトナー像(以下、4色トナー像とする)が形成される。
【0027】
一方、転写材表面への転写の際は、まず、4つの感光体11、12、13、14上でそれぞれ個別に形成される4つのBk、Y、M、Cトナー像が1次転写バイアスの作用により中間転写体5の中間転写ベルト51上に1次転写される。中間転写ベルト51は、1次転写バイアスによる静電転写を実現するのに適した電気抵抗条件になっている。具体的には、樹脂フィルムやゴムなどからなる50〜1000[μm]の厚みのあるベルト基体に、必要に応じて低表面エネルギーの材料からなる表面層がコートされ、全体の体積抵抗値が10の6乗〜10の14乗[Ωcm]になっている。中間転写ベルト51は、その無端移動に伴ってBk、Y、M、C用の1次転写ニップを順次通過する。4つの感光体11、12、13、14上にそれぞれ個別に形成される4つのBk、Y、M、Cトナー像は中間転写体5の中間転写ベルト51上に4色トナー像として形成される。
【0028】
このように、本発明の実施形態では、搬送経路9を搬送される転写材は、第2転写部において転写された後に、第1転写部において転写される。そこで、ここでは、両面印刷の際は、第1転写部において転写される面を裏面、第2転写部において転写される面を表面と呼ぶ。
【0029】
ここで、4つの第1の転写ローラ61、62、63、64は、金属製ローラか、あるいは芯金に導電性のゴム層やスポンジ層などが被覆されたローラで、図示しない電源によってトナーと反対極性の1次転写バイアスが印加される。
【0030】
図1において、中間転写体5下方には、第2の転写ローラ7が配設されている。これは、中間転写体5と連動して回転するように接触して配置されており、図1における時計回りに無端移動する。第2の転写ローラ7は、中間転写ベルト51を挟みこんで2次転写ニップを形成しており、第2の転写ローラ7側にトナーとは逆極性の2次転写バイアスを印加する。この位置を第2転写部とする。ここで、中間転写体5の中間転写ベルト51上に形成された4色トナー像が転写材表面に2次転写される。
【0031】
第1転写部と第2転写部にて両面にトナー像が転写された転写材は、定着装置81に搬送される。この定着装置81は、2つの定着ローラで構成され、いずれのローラもハロゲンランプ等の発熱手段を有しており、定着ニップに挟み込まれた転写材を両面から過熱する。この加熱により、転写材の両面にそれぞれ形成されたフルカラー画像が、これを構成するトナーの軟化によって転写材に定着される。定着後の転写材は、図示しない排紙ローラ等を経て、機外に排出される。
【0032】
定着装置81の2つの定着ローラは、温度検知手段により表面温度が検知される。この温度検知手段により検知した表面温度の検知結果に基づいて、各定着ローラの発熱手段に対する電源供給のON/OFFを制御して、定着ローラの表面温度を一定範囲(目標範囲)に維持する。転写材の片面だけに画像を形成する片面印刷の場合は、両面印刷に比べて少ない熱量で画像を定着させることができる。よって、片面印刷時は両面印刷時よりも表面温度の目標範囲を低くすれば、省エネルギー化が可能となる。また、単色画像はフルカラー画像よりもトナー量が少なくなるので、単色印刷時とフルカラー印刷時でも表面温度の目標範囲を切り替えることで省エネルギー化が可能となる。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の定着装置の構成の一例を示す図である。上下一対の定着ローラ200はその芯金部上に高離型性を有し、かつ、表面粗さが小さい材料の層(例えば、RTVシリコーンゴム層)が形成され、芯金部の内部にはヒータ206を有している。このように、表面部に高離型性を有すようにし、かつ、表面粗さが小さく平滑性に優れた材料で構成することにより、色再現性を良くするために軟化温度の低いカラートナーによりトナー像が転写材上に形成する場合においても、定着ローラ200へのトナーオフセットを起こすことなく、転写材の両面において良好なカラートナー像の定着を行うことができる。なお、定着ローラ200の表面粗さは、JIS10点平均のRzで4[μm]以下が好ましく、更に、2[μm]程度が好適である。
【0034】
また、定着ローラ200の周辺には、クリーニング部材21、オイル供給部材202、温度検知部材203、剥離爪204、温度過昇防止部材205などが設けられている。上下定着ローラ200を同一部品で構成されるとともに、各ローラ周辺に設けた各種部材を共通化することにより、低コスト化を図れる。
【0035】
図1において、中間転写体5の第1転写部の下流には、光学式センサ52が配設されており、中間転写体5の中間転写ベルト51上の4色トナー像の相対位置関係と濃度を検知する。この光学式センサ52により検知された4色トナー像の相対位置関係を使用し、各色の色ずれを調整する色合わせ調整を行い、この光学式センサ52により検知された4色トナー像の濃度を使用し、各色のトナー付着量を調整する濃度調整を行う。
【0036】
以上のように、転写材裏面への転写は像担持体から直接転写を行い、表面への転写は中間転写体を経由して中間転写することにより、転写材の両面に高画質な画像形成を保つことができる。また、以上のような構成にすることにより、部品数を少なくできるため、低コストで小型の画像形成装置の提供が可能になる。
【0037】
中間転写体5の中間転写ベルト51上に形成された可視像たる4色トナー像は、2次転写ニップにおいて転写材表面に2次転写される。2次転写ニップを通過した後の中間転写体5の中間転写ベルト51上には、転写材表面に2次転写されなかった残留トナーが付着している。この残留トナーは第1転写部にて、転写材と接触するため、裏汚れとなる可能性がある。そこで、図3に示したように、第2転写部より下流に配設された中間転写体クリーニング装置53によりクリーニングする。これにより、第1転写部での裏汚れを防止する。ここで、中間転写体クリーニング装置53としてはクリーニングブレードなどのトナー回収手段を用いる。また、中間転写体クリーニング装置53は機械的あるいは静電的のどちらの回収方法であっても良い。
【0038】
第1転写部において、両面印刷時に第1転写ローラ61にトナー像とは逆極性の1次転写バイアスを印加すると、転写材表面上に形成されていた4色トナー像が中間転写体5の中間転写ベルト51に逆転写されてしまい、転写材表面トナー像が乱れてしまう。また、転写材表面にトナー像が転写される第2転写部より下流の搬送経路9は、トナー像が未定着であり搬送ローラなどにより転写材を搬送すると画像劣化に繋がる。そこで、図3に示すように、転写材の搬送経路9において、第2転写部とBkの第1転写部との間に、転写材表面にトナー像を定着させるプレ定着ローラ82を設ける。このプレ定着ローラ82では、1次転写バイアスを印加しても第1転写ローラ6に逆転写しない程度の定着できれば良いことから、定着ローラの表面温度の目標範囲も低くすることが可能である。このような構成のプレ定着ローラ82の代わりに、転写材表面上のトナー像に圧力を加えてプレ定着するプレ定着手段を用いても良い。このようにすることにより、第1転写部での転写材裏面への転写の際に、転写材表面トナー像の中間転写ベルトへの逆転写を防止できる。
【0039】
転写材表面にトナー像が転写される第2転写部より下流の搬送経路9は、4色トナー像が未定着であり搬送ローラなどにより転写材を搬送すると画像劣化に繋がる。そこで、第2の転写ローラ7からプレ定着ローラ82までは、転写材裏面が接する位置に搬送ガイド板を設けることにし、転写材表面のトナー像には非接触で搬送することで、画像劣化を防止する。
【0040】
両面印刷時には、まず、転写材表面の4色トナー像を中間転写体5の中間転写ベルト上に形成し、このトナー像の先端が第2転写部に到達するタイミングに併せて転写材を搬送する。また、この転写材がBkの第1転写部に搬送されるタイミングに併せて転写材裏面のトナー像を形成しなければならない。このため、形成する画像が副走査方向に長い場合、表面のトナー像の後端を形成中に裏面のトナー像の先端を形成しなければならないようなことが起きる。ここで、トナー像の移動経路において第1の転写ローラ61から第2の転写ローラ7までの距離をL1とし、転写材の搬送経路において第2の転写ローラ7から第1の転写ローラ61までの距離をL2とする。このとき、両面印刷時に転写材表面に形成できる画像の副走査方向の最大用紙長Lは以下の式で表される。
【0041】
L = L1 + L2
【0042】
この両面印刷時の副走査方向の最大用紙長Lをあらかじめ内部メモリに記憶しておき、ユーザーからの両面印刷指示があった場合にはLと印刷指示された用紙の用紙長を比較し、Lより印刷指示された用紙の用紙長の方が長ければ印刷エラーになるようにすると良い。こうすることにより、表面と裏面のトナー像が重なることによる異常画像を防止することができる。
【0043】
装置の構成のため、第2転写部において画像形成できる最大用紙長Lは決まってしまう。片面印刷の際に第2転写部において画像形成を行うようにすると、用紙長の制約を受けてしまう。しかし、第1転写部での転写においては、用紙長に制約はない。そこで、ユーザーから片面印刷指示があった場合にはLと印刷指示された用紙長を比較し、Lより印刷指示の方が大きければ第1転写部で転写材表面の画像形成するようにする。このようにすることで、用紙長の制約をなくすことができる。
【0044】
片面印刷の際に第1転写部で中間転写体5上にかぶりトナーが転写されることがある。本発明の構成では、中間転写ベルト51上のトナーは、トナーの移動経路において第2転写部より下流で除去することになっている。このため、この中間転写ベルト51上のかぶりトナーが第2転写部において転写材裏面(ここでは、第1転写部において印刷される面が表面)に転写されてしまうことが起きてしまう可能性がある。そこで、片面印刷の際に第1転写部にて転写材表面に転写する場合は、第2の転写ローラ7にトナー像と同極性のバイアスを印加することで、転写材裏面への不良トナーの転写を防止する。こうすることで、中間転写体の残留トナーによる転写材裏面への裏汚れを防止できる。
【0045】
片面印刷時に第1転写部で中間転写体5上に転写されるかぶりトナーは、不良トナーであることから必ずしも同一極性に帯電しているとは限らない。もし、かぶりトナーが2極性混在していると、転写材裏面に転写されてしまう。そこで、中間転写体5は図示しないリンク機構を有するようにし、中間転写ベルト51と第2の転写ローラ7とを離すことが可能であるようにする。このようにすることにより、片面印刷の際に第1転写部において転写材表面に転写する場合に、中間転写ベルト51と第2の転写ローラ7を離すことができ、第2転写部では転写が行われないようにできる。こうすることで、中間転写体の残留トナーによる転写材裏面への裏汚れを防止できる。
【0046】
片面印刷の際に第2転写部において転写材表面の画像形成するような構成のときは、第1転写部を転写材が通過するために、最大用紙長Lの制約を受ける。そこで、図4に示すように、転写材の搬送経路9において、第2の転写ローラ7と第1の転写ローラ61の間に排紙経路9を切り替える図示しない経路切り替え装置を設ける。この経路切り替え装置を第1の転写部を通っていた排紙経路(鎖線)を第1の転写部を通らない排紙経路(点線)に切り替える。更に、第2の転写ローラ7と経路切り替え装置の間に、図4に示したように、第2の定着装置83を設ける。これにより、片面印刷時は第1転写部を転写材が通過することなく、かつ、転写材表面を第1転写部で転写するより短い搬送経路で片面印刷を実現する。こうすることによっても、用紙長による制約をなくすことができる。
【0047】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【0048】
また、本発明に実施形態に係る画像形成装置は、前記搬送手段による搬送中に、前記転写材の第2の面に前記第2の転写手段により転写された前記トナー像を前記転写材の第2の面に定着させる定着手段を有するようにしても良い。
【0049】
また、本発明に実施形態に係る画像形成装置は、前記中間転写ベルトは、ループ状であり、オペレータから印刷を行う転写材のサイズ情報と、両面印刷と片面印刷のどちらを行うかの指示を受ける指示手段を有し、前記指示手段により指示を受けた前記転写材のサイズ情報から判明する前記転写材の長さが前記中間転写ベルトの外周の長さより長く、前記指示手段により前記オペレータから両面印刷の指示を受けた場合、印刷が行えないことを前記オペレータに伝えるようにしても良い。
【0050】
また、本発明に実施形態に係る画像形成装置は、前記指示手段により指示を受けた前記転写材のサイズから判明する前記転写材の長さが前記中間転写ベルトの外周の長さより長く、前記指示手段により前記オペレータから片面印刷の指示を受けた場合、前記転写材が前記第1の転写手段でのみ転写されるようにしても良い。
【0051】
また、本発明に実施形態に係る画像形成装置は、前記搬送手段により前記転写材が搬送される搬送経路を切り替える搬送経路切替手段を有し、前記搬送手段は、前記指示手段により指示を受けた前記転写材のサイズから判明する前記転写材の長さが前記中間転写ベルトの外周の長さより長く、前記指示手段により前記オペレータから片面印刷の指示を受けた場合、前記搬送経路切替手段により前記搬送経路を切り替え、前記転写材を前記中間転写ベルトまで搬送しないようにしても良い。
【符号の説明】
【0052】
10 露光装置
11 Bkの感光体
21 Bkの帯電装置
31 Bkの現像装置
41 ドラムクリーニング装置
5 中間転写体
51 中間転写ベルト
61 Bkの第1の転写ローラ
7 第2の転写ローラ
81 定着装置
82 プレ定着ローラ
83 第2の定着装置
9 搬送経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2002−189358号公報
【特許文献2】特開平2−259670号公報
【特許文献3】特開平9−211900号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像を形成する感光体と、
前記感光体から転写された前記トナー像を一時保持する機能と転写材を搬送する機能を備える中間転写ベルトと、
前記転写材を前記中間転写ベルトまで搬送する搬送手段と、
前記感光体上に形成された前記トナー像を前記中間転写ベルトにより搬送される前記転写材の第1の面、及び前記中間転写ベルトに転写する第1の転写手段と、
前記第1の転写手段により前記中間転写ベルトに転写された前記トナー像を前記搬送手段により搬送される前記転写材の第2の面に転写する第2の転写手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送手段による搬送中に、前記転写材の第2の面に前記第2の転写手段により転写された前記トナー像を前記転写材の第2の面に定着させる定着手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写ベルトは、ループ状であり、
オペレータから印刷を行う転写材のサイズ情報と、両面印刷と片面印刷のどちらを行うかの指示を受ける指示手段を有し、
前記指示手段により指示を受けた前記転写材のサイズ情報から判明する前記転写材の長さが前記中間転写ベルトの外周の長さより長く、前記指示手段により前記オペレータから両面印刷の指示を受けた場合、印刷が行えないことを前記オペレータに伝えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記指示手段により指示を受けた前記転写材のサイズから判明する前記転写材の長さが前記中間転写ベルトの外周の長さより長く、前記指示手段により前記オペレータから片面印刷の指示を受けた場合、前記転写材が前記第1の転写手段でのみ転写されることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送手段により前記転写材が搬送される搬送経路を切り替える搬送経路切替手段を有し、
前記搬送手段は、前記指示手段により指示を受けた前記転写材のサイズから判明する前記転写材の長さが前記中間転写ベルトの外周の長さより長く、前記指示手段により前記オペレータから片面印刷の指示を受けた場合、前記搬送経路切替手段により前記搬送経路を切り替え、前記転写材を前記中間転写ベルトまで搬送しないことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−217201(P2010−217201A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60302(P2009−60302)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】