説明

画像形成装置

【課題】比較的簡単な構成で、キャリアを選択的に排出できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、トナーおよびキャリアを含む現像剤を収容し、トナーを像担持体2に供給して画像を形成でき、且つ、収容した現像剤の一部を外部に排出可能な第1現像手段5と、第1現像手段5に新しい現像剤を供給可能な現像剤供給手段17と、像担持体2に形成された画像を媒体Pに転写する転写手段6と、第1現像手段5から排出された現像剤を受け入れ、転写手段6の下流側において像担持体2に第1現像手段5から排出された現像剤中のトナーを供給する第2現像手段8と、第2現像手段8のさらに下流側において像担持体2上のトナーを回収する清掃手段9とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、特に二成分方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーとキャリアとを含む現像剤によって現像する二成分現像方式の画像形成装置では、現像動作によって、現像器に収容された現像剤の中のトナーだけが消費される。現像器において、トナーは、消費された分だけ新しいトナーが供給されるが、キャリアは、繰り返し使用され、徐々に劣化してゆく。
【0003】
このため、現像器から現像剤(キャリアおよびトナー)を少しずつ排出し、トナーと共に新しいキャリアを補給することで、キャリアの品質を維持するトリクル方式の現像器が利用される。
【0004】
特許文献1には、現像器から排出された現像剤を、内部に磁石が配設されたスリーブと、前記スリーブとの間にバイアス電圧が印加され、静電気力によって前記スリーブからトナーを吸着して回収するローラとを有するトナー回収部によって、キャリアとトナーを分離し、分離されたトナーを現像器に環流させる画像形成装置が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置は、トナー回収部の構成が複雑であり、高価になるという問題がある。
【0006】
特許文献2には、現像器から排出された現像剤に新しいトナーや感光体のクリーニング手段で回収されたトナーを長時間撹拌混合することでキャリアおよびトナーの特性を回復させ、現像器に再供給する画像形成装置が記載されている。
【0007】
特許文献2の画像形成装置は、キャリアの劣化を遅らせるだけで、最終的に劣化したキャリアを新しいものと入れ替えることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−257154号公報
【特許文献2】特開2005−309040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、比較的簡単な構成で、キャリアを選択的に排出できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明による画像形成装置は、トナーおよびキャリアを含む現像剤を収容し、前記トナーを像担持体に供給して画像を形成でき、且つ、収容した前記現像剤の一部を外部に排出可能な第1現像手段と、前記第1現像手段に新しい現像剤を供給可能な現像剤供給手段と、前記像担持体に形成された前記画像を媒体に転写する転写手段と、前記第1現像手段から排出された前記現像剤を受け入れ、前記転写手段の下流側において、前記像担持体に前記第1現像手段から排出された前記現像剤中のトナーを供給する第2現像手段と、前記第2現像手段のさらに下流側において前記像担持体上の前記トナーを回収する清掃手段とを有するものとする。
【0011】
この構成によれば、第2現像手段によって、第1現像手段から排出された現像剤の中のトナーだけを像担持体に現像し、清掃手段によってトナーを回収できる。これにより、第2現像手段からトナーを分離した後のキャリアを回収できる。第2現像手段は、像担持体にトナーを移動させるので、トナーを受け取る別の部材や、そこからトナーを回収するさらなる部材が不要であり、画像形成装置の構成が複雑化しない。
【0012】
また、本発明の画像形成装置において、前記清掃手段に回収された前記トナーを前記第1現像手段に供給するトナー環流手段を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、第1現像手段から排出された現像剤の中のトナーは、第2現像手段、像担持体、清掃手段およびトナー環流手段を介して第1現像手段に環流される。つまり、第1現像手段から排出された現像剤の中のトナーは、無駄なく再利用される。
【0014】
また、本発明の画像形成装置において、前記第2現像手段と前記像担持体との電位差は、前記第1現像手段と前記像担持体との電位差よりも小さい方が好ましい。
【0015】
第2現像手段における現像剤は、第1現像手段よりもキャリア濃度が高いので、像担持体に吸引されるトナーに付随して、キャリアが像担持体に転移し易い。よって、トナーを吸引する力が強くなりすぎないように、第2現像手段と前記像担持体との間のバイアス電圧を低くすることが好ましい。
【0016】
また、本発明の画像形成装置において、前記第2現像手段は、収容した前記現像剤のトナーの比率を検出するトナー濃度検出手段を備え、前記トナーの比率が所定の値より低下したときに、前記現像剤を外部に排出してもよい。
【0017】
この構成によれば、第2現像手段から排出されるキャリアに混入するトナーが少なくなるので、トナーの無駄がなくなる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置において、前記第1現像手段が消費するトナーの量を算出し、前記第1現像手段に対する前記現像剤供給手段からのトナーの供給量と前記トナー環流手段からのトナーの供給量との合計が、前記第1現像手段が消費するトナーの量と略等しくなるように制御する制御手段を有してもよい。
【0019】
この構成によれば、第1現像手段内のトナーの量を一定に維持できる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、第1現像手段から排出された現像剤の中のトナーだけを像担持体に現像し、清掃手段によってトナーだけを回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の1つの実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置のバイアス電圧を示す回路図である。
【図3】図1の画像形成装置の現像剤の補給に係る制御の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の1つの実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す。画像形成装置1は、トナーとキャリアが混合された二成分現像剤を用いて、転写紙Pにトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。
【0023】
画像形成装置1は、感光体(像担持体)2と、感光体2を帯電させる帯電器3と、帯電した感光体2を選択露光して静電潜像を形成する露光器4と、静電潜像にトナーを供給してトナー画像を現像する第1現像器(第1現像手段)5と、トナー画像を不図示の給紙部より供給される転写紙Pに静電気力によって転写する転写チャージャ(転写手段)6と、トナー画像が転写された転写紙Pを加圧加熱してトナー画像を転写紙(媒体)Pに定着させる定着器7と、転写チャージャ6の下流側において感光体2にトナーを付着させられる第2現像器(第2現像手段)8と、第2現像器8のさらに下流において感光体2上のトナーを掻き落として回収するクリーナ(清掃手段)9と、各構成要素の動作を制御する制御装置10とを有する。
【0024】
第1現像器5は、収容した現像剤を撹拌しながら内部で循環させる循環スクリュ11,12と、磁力によってその表面にキャリアが連結したキャリアチェインを形成して回転し、キャリアチェインの間にトナーを保持して搬出する現像ローラ13と、現像ローラ13に現像剤を供給する供給パドル14と、内部の現像剤中のトナーの比率を検出するトナー比率センサ15とを有する。現像ローラ13上に保持されたトナーは、感光体2の静電潜像に静電気力によって吸着され、キャリアチェインから離脱して感光体2上に移動する。
【0025】
このため、第1現像器5に収容した現像剤の中のトナーの量は、現像動作によって減少する。このトナーの減少を補うために、第1現像器5には、現像剤供給ボトル(現像剤供給手段)16から、トナーの比率が高い新しい現像剤が逐次補給される。現像剤補給ボトル16は、補給スクリュ17の回転数によって、現像剤の補給量を調節できるようになっている。
【0026】
第1現像器5は、一定量を超える現像剤をオーバーフローさせて外部に排出するようになっている。第1現像器5から排出された現像剤は、移送スクリュ18によって第2現像器8に供給される。
【0027】
第2現像器8もまた、磁気によってキャリアチェインを形成する現像ローラ19と現像ローラ19に現像剤を供給する供給パドル20と、内部の現像剤のトナーの比率を検出するトナー比率センサ21とを有し、現像ローラ19に形成したキャリアチェインに保持されたトナーを静電気力によって感光体2の静電潜像に供給し、トナー画像を現像する。
【0028】
感光体2は、第2現像器8に対向する前に転写紙Pと接触して静電潜像以外の部分の電荷が失われている可能性があり、静電潜像以外の部分にもトナーが付着するカブリが発生することもある。しかしながら、ここでは、形成するトナー画像を利用する訳ではないので、第2現像器8の現像におけるカブリの発生は問題にならない。
【0029】
また、第2現像器8は、内部の現像剤のトナーの比率が所定の値以下に低下したなら、つまり、キャリアの比率が十分に高くなったなら、現像剤の一部を外部(不図示の回収ボトル)に排出するようになっている。
【0030】
第2現像器8のさらに下流に配設されたクリーナ9は、感光体2の表面に付着したトナーを掻き落とすクリーニングブレード22と、掻き落とされたトナーを排出する排出スクリュ23とを有する。クリーナ9は、第1現像器5によって感光体2に形成された後、転写チャージャ6によって転写紙Pに上手く転写されずに感光体2上に残留しているトナーと、第2現像器8によって感光体2上に現像されたトナーとを回収する。
【0031】
クリーナ9によって回収されたトナーは、環流スクリュ(環流手段)24によって、第1現像器5に再供給される。環流スクリュ24は、クリーナ9内のトナーレベルを一定以上に保ち、空送りしないように制御される。
【0032】
このように、画像形成装置1は、第1現像器5から排出された現像剤の中のトナーを、第2現像器8によって、感光体2およびクリーナ9を利用して回収する。このため、画像形成装置1は、劣化したキャリアのみを排出し、トナーを無駄に廃棄しない。
【0033】
図2に、感光体2と、第1現像器5および第2現像器8との間に印加されるバイアス電圧(電位差)について示す。図示するように、第2現像器8と感光体2との間のバイアス電圧は、第1現像器5と感光体2との間のバイアス電圧よりも低く設定されている。これは、第2現像器8では、現像剤のキャリアの比率が第1現像器5よりも高いことにより、感光体2に吸引されるトナーに随伴して、キャリアが感光体2に移動することを防止するためである。尚、これらのバイアス電圧は、直流成分だけでなく、トナーの移動を促進するための交流成分が重畳されていてもよい。
【0034】
図3に示すように、制御装置10は、現像剤補給ボトル16の補給スクリュ17の駆動量と、環流スクリュ24の駆動量とを制御する。基本的に、制御装置10は、画像形成によって消費されるであろうトナーの量を画像データのドットをカウントして算出し、これに応じて補給スクリュ17を駆動する。
【0035】
しかしながら、制御装置10は、クリーナ9に一定量以上のトナーが回収されていれば、補給スクリュ17の駆動量を減じて、その分だけ環流スクリュ24を駆動する。つまり、制御装置10は、現像剤補給ボトル16から供給されるトナーの量とクリーナ9から環流されるトナーの量との合計量を、第1現像器5に対するトナーの供給量として扱う。
【0036】
また、制御装置10は、第1現像器5のトナー比率センサ15が検出したトナーの比率に応じて、トナーの比率を所定の範囲に維持するように、トナーの供給量、つまり、補給スクリュ17および環流スクリュ24の駆動量を補正する。
【0037】
本発明は、以上のモノクロの画像形成装置1を例示して説明したが、カラーの画像形成装置にも適用できる。また、本発明は、感光体から転写ベルトのような中間転写媒体にトナー画像を1次転写してから転写紙等に2次転写する画像形成装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1…画像形成装置
2…感光体(像担持体)
5…第1現像器(第1現像手段)
6…転写チャージャ(転写手段)
8…第2現像器(第2現像手段)
10…制御装置(制御手段)
16…現像剤補給ボトル(現像剤供給手段)
17…補給スクリュ
9…クリーナ(清掃手段)
18…移送スクリュ
21…トナー比率センサ
24…環流スクリュ(環流手段)
P…転写紙(媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよびキャリアを含む現像剤を収容し、前記トナーを像担持体に供給して画像を形成でき、且つ、収容した前記現像剤の一部を外部に排出可能な第1現像手段と、
前記第1現像手段に新しい現像剤を供給可能な現像剤供給手段と、
前記像担持体に形成された前記画像を媒体に転写する転写手段と、
前記第1現像手段から排出された前記現像剤を受け入れ、前記転写手段の下流側において前記像担持体に前記第1現像手段から排出された前記現像剤中のトナーを供給する第2現像手段と、
前記第2現像手段のさらに下流側において前記像担持体上の前記トナーを回収する清掃手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃手段に回収された前記トナーを前記第1現像手段に供給するトナー環流手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2現像手段と前記像担持体との電位差は、前記第1現像手段と前記像担持体との電位差よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2現像手段は、収容した前記現像剤のトナーの比率を検出するトナー濃度検出手段を備え、前記トナーの比率が所定の値より低下したときに、前記現像剤を外部に排出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1現像手段が消費するトナーの量を算出し、前記第1現像手段に対する前記現像剤供給手段からのトナーの供給量と前記トナー環流手段からのトナーの供給量との合計が、前記第1現像手段が消費するトナーの量と略等しくなるように制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−217265(P2010−217265A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60973(P2009−60973)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】