説明

画像形成装置

【課題】現像剤収容部内の現像剤のうちの実際に使用することが可能な現像剤の量を多くすることができるようにする。
【解決手段】画像形成部を上下に移動させるためのアップダウン機構と、現像剤収容部内の現像剤の残量を検出する現像剤残量検出部と、現像剤の残量に基づいて現像剤がローレベルであるかどうかを判断するローレベル判定部と、現像剤の消費量の累積値がローレベル理論値以下であるかどうかを判断する現像剤消費量累積値判定処理部と、前記ローレベル判定部及び前記現像剤消費量累積値判定処理部による判断に基づいて、前記アップダウン機構を作動させるアップダウン制御部74fとを有する。アップダウン機構が作動させられ、画像形成部に衝撃が伝わるので、現像剤収容部の内壁に付着した現像剤を落下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタは、画像形成ユニットを備え、該画像形成ユニットにおいて、感光体ドラムの表面が、帯電ローラによって帯電させられ、LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に現像ローラ上で薄層化された現像剤としてのトナーが静電的に付着させられてトナー像が形成されるようになっている。そして、該トナー像は、転写ローラによって用紙に転写され、定着器において定着させられ、画像が形成される。
【0003】
また、前記画像形成ユニットは、現像剤収容部としてのトナーカートリッジを備え、該トナーカートリッジ内のトナーが画像形成ユニットの本体、すなわち、画像形成ユニット本体に供給される。そして、トナーカートリッジにセンサが配設され、該センサのセンサ出力に基づいて、トナーカートリッジ内のトナーの残量が検出される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−72657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、トナーカートリッジの内壁にトナーが付着していると、トナーカートリッジの寸法によって決まる収容が可能なトナーの総量に対して、実際にトナーカートリッジに収容されるトナーの量が少なくなる。その結果、トナーカートリッジ内のトナーのうちの実際に使用することが可能なトナーの量が少なくなってしまう。
【0005】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、現像剤収容部内の現像剤のうちの実際に使用することが可能な現像剤の量を多くすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像形成装置においては、画像形成部を上下に移動させるためのアップダウン機構と、現像剤収容部内の現像剤の残量を検出する現像剤残量検出部と、該現像剤残量検出部のセンサ出力に基づいて現像剤がローレベルであるかどうかを判断するローレベル判定部と、現像剤の消費量の累積値がローレベル理論値以下であるかどうかを判断する現像剤消費量累積値判定処理部と、前記ローレベル判定部及び前記現像剤消費量累積値判定処理部による判断に基づいて、前記アップダウン機構を作動させるアップダウン制御部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置においては、画像形成部を上下に移動させるためのアップダウン機構と、現像剤収容部内の現像剤の残量を検出する現像剤残量検出部と、該現像剤残量検出部のセンサ出力に基づいて現像剤がローレベルであるかどうかを判断するローレベル判定部と、現像剤の消費量の累積値がローレベル理論値以下であるかどうかを判断する現像剤消費量累積値判定処理部と、前記ローレベル判定部及び前記現像剤消費量累積値判定処理部による判断に基づいて、前記アップダウン機構を作動させるアップダウン制御部とを有する。
【0008】
この場合、ローレベル判定部及び現像剤消費量累積値判定処理部による判断に基づいてアップダウン機構が作動させられ、画像形成部に衝撃が伝わるので、現像剤収容部の内壁に付着した現像剤を落下させることができる。その結果、現像剤収容部内の現像剤の量を多くすることができるので、現像剤収容部内の現像剤のうちの実際に使用することが可能な現像剤の量を多くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0010】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0011】
図に示されるように、プリンタ40は、下筐体としてのロワカバー41、及び該ロワカバー41に対して支軸42を中心に揺動自在に、かつ、開閉自在に配設された上筐体としてのアッパカバー43を有し、該アッパカバー43に画像の形成、すなわち、印刷が終了し、プリンタ40外に排出された媒体としての図示されない用紙を積載するためのスタッカ44が形成される。
【0012】
前記ロワカバー41内の下部には、用紙を収容する媒体収容部としての用紙カセット50が配設される。該用紙カセット50の前端には、給紙用の第1の媒体搬送部材としての、かつ、第1の媒体供給部材としての繰出ローラ51が配設され、該繰出ローラ51は用紙を媒体搬送路49に繰り出す。該媒体搬送路49には、給紙用の第2の媒体搬送部材としての、かつ、第2の媒体供給部材としての給紙ローラ45、46、及び転写用の媒体搬送装置としての、かつ、転写ユニットとしてのベルトユニット53が配設される。該ベルトユニット53は、第1のローラとしての駆動ローラR1、第2のローラとしての従動ローラR2、及び前記駆動ローラR1と従動ローラR2とによって張設された搬送部材としての、かつ、第1の転写部材としての搬送ベルト52を有する。
【0013】
そして、前記ベルトユニット53において、用紙は、搬送ベルト52が走行させられるのに伴って、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像形成を行う複数の画像形成部としての画像形成ユニット(現像装置)55Bk、55Y、55M、55Cと、該各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cと対向させて配設された第2の転写部材としての転写ローラ57との間を通過させられる。
【0014】
前記各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム12、該感光体ドラム12の周囲に配設された帯電装置としての帯電ローラ13、現像剤としての図示されないトナーを保持する現像剤担持体としての現像ローラ16等を備える。そして、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cと隣接させて、露光装置としてのLEDヘッド56が配設される。なお、前記像担持体としてドラム状の感光体ドラム12が使用されるようになっているが、感光体ドラム12に代えて感光体ベルトを使用することができる。
【0015】
また、前記各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cにおいて、感光体ドラム12は、画像形成用の駆動部としての図示されないドラムモータが駆動されるのに伴って、所定の方向に回転させられ、回転に伴って、感光体ドラム12の表面が、前記帯電ローラ13によって一様に帯電させられ、LEDヘッド56によって露光されて潜像としての静電潜像が形成され、該静電潜像に前記現像ローラ16上で薄層化されたトナーが静電的に付着させられて現像剤像としてのトナー像が形成される。
【0016】
そして、前記媒体搬送路49に繰り出され、各給紙ローラ45、46によって搬送された用紙が画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cと各転写ローラ57との間を通過すると、該各転写ローラ57は、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cにおいて形成された各色のトナー像を、順次、前記用紙に転写し、カラーのトナー像を形成する。
【0017】
続いて、前記用紙は、定着装置としての定着器54に送られ、該定着器54においてカラーのトナー像が用紙に定着させられ、カラーの画像が形成される。前記定着器54は、第1の定着用のローラとしての加熱ローラ54a、及び第2の定着用のローラとしての加圧ローラ54bを備える。そして、前記定着器54から排出された用紙は、排出用の媒体搬送部材としての、かつ、排出部材としての排出ローラ47、48によって前記プリンタ40外に排出され、スタッカ44に積載される。なお、転写後に感光体ドラム12上に残留したトナーは、図示されないクリーニング装置としてのクリーニングブレードによって掻き取られて除去される。
【0018】
次に、前記画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cについて説明する。この場合、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cの構造は同じであるので、画像形成ユニット55Bkについてだけ説明する。
【0019】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの断面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるトナーカートリッジの断面図である。
【0020】
図において、11は現像剤収容部としてのトナーカートリッジ、12は感光体ドラム、13は帯電ローラ、14は転写後に感光体ドラム12の表面に残ったトナーを掻き取るクリーニング装置としてのクリーニングブレード、16は現像ローラ、15は該現像ローラ16に圧接させて配設され、トナーを現像ローラ16に供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ、17は前記現像ローラ16に圧接させて配設され、前記トナーカートリッジ11から供給されたトナーを薄層化する現像ブレードである。
【0021】
前記トナーカートリッジ11は、画像形成ユニット55Bkの本体、すなわち、画像形成ユニット本体に対して着脱自在に配設され、内部に収容されたトナーを開口部18を介して画像形成ユニット本体に供給する。そして、前記トナーカートリッジ11内には攪拌部材としての攪拌シャフト60が配設され、該攪拌シャフト60を矢印方向に回転させることによってトナーカートリッジ11に収容されたトナーが攪拌される。
【0022】
また、前記トナーカートリッジ11内のトナーの残量を検出するために、現像剤残量検出ユニットが配設される。該現像剤残量検出ユニットは、前記攪拌シャフト60によるトナーの攪拌に連動してトナーの残量を検出する。そのために、前記現像剤残量検出ユニットは、前記アッパカバー43の近傍において、支軸32を中心にして揺動自在に配設されたセンサレバー33、該センサレバー33の一端に取り付けられた永久磁石31、前記センサレバー33の他端と対向させてアッパカバー43に取り付けられた現像剤残量検出部としてのセンサ34、トナーカートリッジ11内において上下方向に延在させられ、下端が攪拌シャフト60に係止させられたロッド61、該ロッド61の上端に配設された磁性体63、前記トナーカートリッジ11の上壁から垂下させられ、前記ロッド61の上端部を包囲し、案内するガイド62等を備える。
【0023】
前記攪拌シャフト60は、駆動部としての図示されないモータと連結され、モータの回転を受けて回転させられる回転部材、及び該回転部材によって押されて回転させられるクランク部を備え、該クランク部は、トナーカートリッジ11内のトナーの堆積面S1が上死点以上である場合、前記回転部材によって押されて一定の速度で回転させられるのに対して、トナーカートリッジ11内のトナーの堆積面S1が上死点より低い場合、上死点に到達したときに、自重で回転部材の回転に先行して回転させられ、トナーの堆積面S1で停止させられて、回転部材によって押されるのを待機する。
【0024】
そして、前述されたように、攪拌シャフト60にロッド61の下端が係止させられているので、攪拌シャフト60の回転に伴って、ロッド61が上下に移動すると、それに伴って前記磁性体63が上下に移動し、永久磁石31を選択的に吸着する。その結果、センサレバー33が揺動させられ、センサ34は、センサレバー33の他端を間欠的に検出してオン・オフさせられる。
【0025】
このとき、トナーカートリッジ11内のトナーの残量によって、クランク部が自重で回転させられる時間、及び前記回転部材によって押されて回転させられる時間が異なるので、攪拌シャフト60の回転が不規則になり、センサレバー33の揺動も不規則になるので、センサ34のオン時間及びオフ時間が変化する。したがって、前記センサ34のセンサ出力を読み込み、オン時間及びオフ時間に基づいてトナーの残量を検出することができる。そして、トナーの残量が少ないときにトナーカートリッジ11の交換を促すメッセージを図示されない表示部に表示することができる。
【0026】
ところで、本実施の形態においては、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを選択的に上下に移動させ、感光体ドラム12と搬送ベルト52とを選択的に接触させることによってカラー印刷及びモノクロ印刷を行うことができるようになっている。
【0027】
次に、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを上下に移動させるためのアップダウン機構について説明する。
【0028】
図5は本発明の第1の実施の形態におけるアップダウン機構の第1の状態を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるアップダウン機構の第2の状態を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるアップダウン機構の要部を示す正面図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるアップダウン機構の要部を示す平面図である。
【0029】
図に示されるように、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを上下に移動させることができるように、アップダウン機構27が配設される。
【0030】
該アップダウン機構27は、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを挟み、用紙の搬送方向において進退自在に配設されたプレート27L、27R、プリンタ40の一方の側、本実施の形態においては、用紙の搬送方向に向かって左側のサイドプレート20に取り付けられたリフトアップモータ21、該リフトアップモータ21を駆動することによって発生する回転を順次伝達する回転伝達系G1等を備える。該回転伝達系G1は、減速機構として機能し、ギヤg1、22〜26、連結部材としての連結ロッド25a等から成る。
【0031】
前記プレート27L、27Rは、帯状の形状を有し、本体部121及び該本体部121の前端から突出させて形成されたラックLk1、Lk2をそれぞれ備える。そして、前記本体部121には、用紙の搬送方向における上流側から下流側にかけて、第1の係止部としての凹部27a〜27dが等ピッチで形成され、該凹部27a〜27dより下流側において、各凹部27a〜27dに隣接させて、第2の係止部としての平坦な凸部27g〜27jが形成される。なお、該凸部27g〜27jは、前記凹部27a〜27dより上方に位置させられる。
【0032】
また、図5及び6に示されるように、前記左側のサイドプレート20に前記ギヤ22〜ギヤ26が配設され、ギヤ26とプレート27Lに形成されたラックLk1とが噛合させられる。なお、前記ギヤg1はリフトアップモータ21の出力軸に取り付けられた小径ギヤから成り、前記ギヤ22は大径ギヤg2及び小径ギヤg3を、ギヤ23は大径ギヤg4及び小径ギヤg5を備え、ギヤg1と大径ギヤg2とが、小径ギヤg3と大径ギヤg4とが、小径ギヤg5とギヤ24とが噛合させられ、リフトアップモータ21によって発生させられた回転は、ギヤ22及びギヤ23によって減速させられ、ギヤ24に伝達される。
【0033】
また、右側の図示されないサイドプレートにギヤ25、26が配設され、前記左側のサイドプレート20に配設されたギヤ25と右側のサイドプレートに配設されたギヤ25とが前記連結ロッド25aによって連結され、ギヤ26とプレート27Rに形成されたラックLk2とが噛合させられる。したがって、左側のサイドプレート20に配設されたギヤ25の回転を右側のサイドプレートに配設されたギヤ25に伝達し、前記プレート27R、27Lを同期させて進退させることができる。
【0034】
そして、リフトアップモータ21を駆動して所定の方向、本実施の形態においては、正方向(矢印A方向)に回転させると、ギヤ26は逆方向(矢印B方向)に回転させられ、ラックLk1、Lk2が矢印C方向に移動、本実施の形態においては、後退させられ、リフトアップモータ21を逆方向に駆動して反対の方向、本実施の形態においては、逆方向(矢印D方向)に回転させると、ギヤ26は正方向(矢印E方向)に回転させられ、ラックLk1、Lk2が矢印F方向に移動、本実施の形態においては、前進させられる。なお、ギヤ26及びラックLk1、Lk2によって運動方向変換部が構成され、ギヤ26の回転運動がラックLk1、Lk2の直進運動に変換される。この場合、ギヤ26によって第1の変換要素が、ラックLk1、Lk2によって第2の変換要素が構成される。
【0035】
また、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cにおいては、感光体ドラム12の支軸12aが、長手方向に貫通させられ、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cの左右の各壁体から突出させられ、前記各凹部27a〜27d又は凸部27g〜27jと摺動自在に当接させられる。
【0036】
次に、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを上方の位置に置く場合のアップダウン機構27の動作について説明する。
【0037】
まず、リフトアップモータ21を駆動し、図5に示されるように、矢印A方向に回転させると、ギヤ26が矢印B方向に回転させられ、プレート27L、27Rが後退(矢印C方向に移動)させられ、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cにそれぞれ固定された前記支軸12aが凹部27a〜27d内から凸部27g〜27j上に移動して持ち上げられ、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cが上方の位置に置かれる。
【0038】
次に、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを下方に移動させる場合について説明する。
【0039】
リフトアップモータ21を駆動し、図6に示されるように、矢印D方向に回転させると、ギヤ26が矢印E方向に回転させられ、プレート27L、27Rが前進(矢印F方向に移動)させられ、前記支軸12aが凸部27g〜27j上から凹部27a〜27d内に移動して収まり、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cが下方の位置に置かれる。
【0040】
なお、各凹部27a〜27dの長さをw1〜w4とし、各凸部27g〜27iの長さをm1〜m3としたとき、
w1>w2=w3=w4
m1<m2=m3
にされる。そして、本実施の形態において、凹部27b、27c、27dのピッチと、画像形成ユニット55Y、55M、55Cの各軸12aのピッチとはほぼ等しくされるので、画像形成ユニット55Y、55M、55Cは、プレート27R、27Lの進退に伴って同期してほぼ同じタイミングで上方又は下方の位置に置かれる。また、凹部27aの長さw 1は、凹部27b、27c、27dの長さw2〜w4より大きくされるので、プレート27R、27Lの移動量によって画像形成ユニット55Bkだけを下方の位置に置くことができる。
【0041】
次に、前記プリンタ40の制御部について説明する。
【0042】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0043】
図に示されるように、上位装置としてのホストコンピュータ71に接続されたプリンタ40は、コントローラ73及びエンジン74を備え、ホストコンピュータ71から送信された印刷データは、コントローラ73によって画像データに伸張・加工され、前記エンジン74に送られる。
【0044】
該エンジン74は、コントローラ73との通信インタフェースを行うコマンド通信部74a、画像データの受信及び同期制御を行うビデオ制御回路74b、前記エンジン74の動作シーケンスを制御する動作制御部74c、前記定着器54の制御を行う定着器制御部74d、用紙の搬送を制御する搬送制御部74e、前記アップダウン機構27の制御を行うアップダウン制御部74f、現像及び転写の制御を行い、画像を形成する画像形成制御部74g、前記用紙カセット50から用紙を給紙するための給紙制御部74h、及び消耗品の消費量を制御する消耗品制御部74iによって構成される。
【0045】
次に、前記構成のプリンタ40の動作について説明する。
【0046】
まず、給紙制御部74hが前記繰出ローラ51を回転させ、用紙カセット50から用紙を繰り出すと、搬送制御部74cは、用紙を搬送し、用紙が給紙検出部としての図示されない給紙センサを通過すると、搬送制御部74cは、用紙を給紙センサから給紙ローラ45までの距離+5〔mm〕分搬送し、用紙を給紙ローラ45に突き当てることによってスキューを取り除く。次に、搬送制御部74cは、給紙ローラ46を回転させて用紙を搬送し、用紙が書出位置検出部としての図示されない書出位置センサを通過するタイミングで、画像形成処理部74gが、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cによって静電潜像を形成し、各色のトナー像を形成する。続いて、前記画像形成処理部74gは、転写ローラ57によって前記各色のトナー像を用紙に転写してカラーのトナー像を形成し、定着器54によって前記カラーのトナー像を用紙に定着させる。そして、前記搬送制御部74cは、排出ローラ47、48によって用紙を排出する。
【0047】
なお、印刷動作を開始する前に、前記アップダウン制御部74fはアップダウン機構27を作動させる。カラー印刷を行う場合、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを下方の位置に置き、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cの感光体ドラム12と搬送ベルト52とを選択的に接触させ、モノクロ印刷を行う場合、画像形成ユニット55Bkだけを下方の位置に置き、画像形成ユニット55Bkの感光体ドラム12と搬送ベルト52とを接触させる。
【0048】
ところで、トナーカートリッジ11の内壁にトナー、特に劣化したトナーが付着していると、トナーカートリッジ11の寸法によって決まる収容が可能なトナーの総量に対して、実際にトナーカートリッジ11に収容されるトナーの量が少なくなる。その結果、トナーカートリッジ11内のトナーのうちの実際に使用することが可能なトナーの量がその分少なくなってしまう。そこで、本実施の形態においては、前記アップダウン機構27を振動発生機構として機能させることによって画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを振動させることにより、トナーカートリッジ11の内壁に付着したトナーを落下させるようにしている。
【0049】
そのために、前記アップダウン制御部74fは、アップダウン機構27を作動させ、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを、短時間で少なくとも1回上下に移動させる。
【0050】
次に、プリンタ40の振動処理を行うための動作について説明する。
【0051】
図9は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0052】
まず、プリンタ40の電源が投入され、オンになると、前記アップダウン制御部74fは、アップダウン機構27を作動させ、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを下方の位置に置く。続いて、動作制御部74cは、ホストコンピュータ71から印刷指令を受けるのを待機する。
【0053】
印刷指令を受けると、動作制御部74cは、印刷指令がモノクロ印刷であるかどうかを判断し、モノクロ印刷である場合、前記アップダウン制御部74fは、アップダウン機構27を作動させ、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像形成ユニット55Y、55M、55Cを上方の位置に置く。モノクロ印刷でない場合、画像形成制御部74gは印刷動作を行う。これに伴って、給紙、用紙の搬送、画像の形成、画像の定着、用紙の排出等の一連の動作が行われる。
【0054】
続いて、消耗品制御部74iの図示されない現像剤消費量取得処理部は、ビデオ制御回路74bを介して1ページ当たりのドット数を読み込むことによって、1ページ当たりの現像剤消費量としてのトナーの消費量(以下「トナー消費量」という。)を取得する。消耗品制御部74iの図示されない現像剤消費量累積値算出取得処理部は、取得したトナー消費量を加算してトナー消費量の累積値を算出する。なお、前記ドット数は、実際の印刷動作に伴って変化する指標となる。
【0055】
次に、消耗品制御部74iの図示されないローレベル判定部は、前記センサ34のセンサ出力を読み込み、前記オン時間が閾値より長いかどうかによって、トナーの残量が閾値より少なくなったかどうか、すなわち、トナーがローレベルであるかどうかを判断する。
【0056】
ところで、前述されたように、トナーカートリッジ11の内壁にトナー、特に劣化したトナーが付着していると、収容されるトナーの総量に対して、有効なトナーの残量が少なくなり、センサ34のオン時間が長くなり、トナーの残量がその分少なく検出されてしまう。すなわち、トナーの残量を正確に検出することができなくなってしまう。
【0057】
そこで、本実施の形態において、消耗品制御部74iの図示されない現像剤消費量累積値判定処理部は、トナーがローレベルである場合、トナー消費量の累積値を読み込み、トナー消費量の累積値が、トナーがローレベルになる場合の論理値、すなわち、ローレベル理論値以下であるかどうかを判断する。トナー消費量の累積値がローレベル理論値以下である場合、印刷動作におけるドット数の累積値が小さく、トナーがトナーカートリッジ11の内壁に付着していて、本来はトナーの残量がその分多いと判断することができる。
【0058】
そこで、アップダウン制御部74fは、振動処理を行い、前述されたように、アップダウン機構27を作動させ、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを、短時間で少なくとも1回上下に移動させて振動を発生させる。
【0059】
続いて、前記ローレベル判定部は、センサ34のセンサ出力を読み込み、オン時間が閾値より長いかどうかによって、トナーがローレベルであるかどうかを判断する。そして、トナーがローレベルである場合、前記ローレベル判定部は、現像剤がローレベルであること、すなわち、トナーローを確定する。
【0060】
このように、本実施の形態においては、トナーがローレベルであると判断されると、振動処理が行われ、各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cにおいて振動が発生させられ、トナーカートリッジ11の内壁に付着されたトナーを落下させることができるので、トナーカートリッジ11内のトナーのうちの実際に使用することが可能なトナーの量をその分多くすることができる。
【0061】
また、ビデオ制御回路74bを介して取得されたトナー消費量の累積値がローレベル論理値になる前に、センサ34のセンサ出力によってトナーがローレベルであると判断された場合にだけ、振動処理が行われ、無用に振動処理が行われないので、騒音が発生するのを抑制することができるだけでなく、画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cに損傷を与えるのを防止することができる。
【0062】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 電源がオンにされるのを待機し、電源がオンにされた場合はステップS2に進む。
ステップS2 各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを下方の位置に置く。
ステップS3 印刷指令を受けるのを待機し、印刷指令を受けた場合はステップS4に進む。
ステップS4 モノクロ印刷であるかどうかを判断する。モノクロ印刷である場合はステップS5に、カラー印刷である場合はステップS6に進む。
ステップS5 イエロー、マゼンタ及びシアンの画像形成ユニット55Y、55M、55Cを上方の位置に置く。
ステップS6 印刷動作を行う。
ステップS7 1ページ当たりのトナー消費量を取得する。
ステップS8 トナー消費量の累積値を算出する。
ステップS9 トナーがローレベルであるかどうかを判断する。トナーがローレベルである場合はステップS10に進み、トナーがローレベルでない場合は処理を終了する。
ステップS10 トナー消費量の累積値がローレベル理論値以下であるかどうかを判断する。トナー消費量の累積値がローレベル理論値以下である場合はステップS11に進み、トナー消費量の累積値がローレベル理論値より多い場合は処理を終了する。
ステップS11 振動処理を行う。
ステップS12 トナーがローレベルであるかどうかを判断する。トナーがローレベルである場合はステップS13に進み、トナーがローレベルでない場合は処理を終了する。
ステップS13 トナーローを確定し、処理を終了する。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0064】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0065】
この場合、エンジン74に、消耗品としてのトナーカートリッジ11の寿命をコマンド通信部74aを介してコントローラ73に通知する消耗品寿命通知制御部74jが配設される。
【0066】
次に、トナーの残量を検出する動作について説明する。
【0067】
図11は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0068】
この場合、振動処理が行われた後、前記ローレベル判定部は、現像剤残量検出部としてのセンサ34のセンサ出力を読み込み、オン時間が閾値より長いかどうかによって、現像剤としてのトナーがローレベルであるかどうかを判断する。そして、トナーがローレベルである場合、前記ローレベル判定部は、トナーローを確定する。また、消耗品寿命通知制御部74jは、操作者にトナーローの確定を通知する。
【0069】
一方、トナーがローレベルでない場合、前記ローレベル判定部は、トナーローを解除し、消耗品寿命通知制御部74jは、操作者にトナーローの解除を通知する。
【0070】
このように、本実施の形態においては、トナーがローレベルであると判断されると、トナーローが確定され、トナーローの確定が操作者に通知されるので、トナーがローレベルでない場合にトナーローが確定されることはない。したがって、無用にトナーローの確定が操作者に通知されるのを回避することができる。
【0071】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 電源がオンにされるのを待機し、電源がオンにされた場合はステップS22に進む。
ステップS22 各画像形成ユニット55Bk、55Y、55M、55Cを下方の位置に置く。
ステップS23 印刷指令を受けるのを待機し、印刷指令を受けた場合はステップS24に進む。
ステップS24 モノクロ印刷であるかどうかを判断する。モノクロ印刷である場合はステップS25に、カラー印刷である場合はステップS26に進む。
ステップS25 イエロー、マゼンタ及びシアンの画像形成ユニット55Y、55M、55Cを上方の位置に置く。
ステップS26 印刷動作を行う。
ステップS27 1ページ当たりのトナー消費量を取得する。
ステップS28 トナー消費量の累積値を算出する。
ステップS29 トナーがローレベルであるかどうかを判断する。トナーがローレベルである場合はステップS30に進み、トナーがローレベルでない場合は処理を終了する。
ステップS30 トナー消費量の累積値がローレベル理論値以下であるかどうかを判断する。トナー消費量の累積値がローレベル理論値以下である場合はステップS31に進み、トナー消費量がローレベル理論値より多い場合は処理を終了する。
ステップS31 振動処理を行う。
ステップS32 トナーがローレベルであるかどうかを判断する。トナーがローレベルである場合はステップS33に、トナーがローレベルでない場合はステップS35に進む。
ステップS33 トナーローを確定する。
ステップS34 トナーローの確定を通知し、処理を終了する。
ステップS35 トナーローを解除する。
ステップS36 トナーローの解除を通知し、処理を終了する。
【0072】
前記各実施の形態においては、プリンタについて説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
【0073】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるトナーカートリッジの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるアップダウン機構の第1の状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるアップダウン機構の第2の状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるアップダウン機構の要部を示す正面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるアップダウン機構の要部を示す平面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
11 トナーカートリッジ
27 アップダウン機構
34 センサ
40 プリンタ
55Bk、55Y、55M、55C 画像形成ユニット
74f アップダウン制御部
74i 消耗品制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)画像形成部を上下に移動させるためのアップダウン機構と、
(b)現像剤収容部内の現像剤の残量を検出する現像剤残量検出部と、
(c)該現像剤残量検出部のセンサ出力に基づいて現像剤がローレベルであるかどうかを判断するローレベル判定部と、
(d)現像剤の消費量の累積値がローレベル理論値以下であるかどうかを判断する現像剤消費量累積値判定処理部と、
(e)前記ローレベル判定部及び前記現像剤消費量累積値判定処理部による判断に基づいて、前記アップダウン機構を作動させるアップダウン制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
(a)前記現像剤収容部内に配設され、現像剤収容部内に収容された現像剤を攪拌する攪拌装置を有するとともに、
(b)前記現像剤残量検出部は、前記攪拌装置による現像剤の攪拌に連動して現像剤の残量を検出する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤消費量は、実際の印刷動作に伴って変化する指標で表される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
(a)前記ローレベル判定部は、前記アップダウン機構が作動させられた後に、現像剤がローレベルであるかどうかを判断し、
(b)現像剤がローレベルである場合に、現像剤がローレベルであることが操作者に通知される請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−2720(P2010−2720A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161786(P2008−161786)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】