画像形成装置
【課題】同色のトナーを収容する現像カートリッジを複数装着することが可能な電子写真画像形成装置において、全ての現像カートリッジのトナーが同時になくなってしまう不具合を解決することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像カートリッジの寿命情報を記憶する記憶手段を備え、制御手段は、現像カートリッジ識別手段によって同色の現像カートリッジが複数装着されていると識別された場合、装着された同色の複数の現像カートリッジの中のどの現像カートリッジを使用して画像形成するかを決定する複数の現像カートリッジ決定方法の中から、寿命情報に基づいて現像カートリッジ決定方法を選択する。
【解決手段】現像カートリッジの寿命情報を記憶する記憶手段を備え、制御手段は、現像カートリッジ識別手段によって同色の現像カートリッジが複数装着されていると識別された場合、装着された同色の複数の現像カートリッジの中のどの現像カートリッジを使用して画像形成するかを決定する複数の現像カートリッジ決定方法の中から、寿命情報に基づいて現像カートリッジ決定方法を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同色の現像剤(トナー)を収容する現像カートリッジを複数、装着することが可能な電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光体表面に静電潜像を形成する電子写真記録方式の画像形成装置が知られており、この画像形成装置では、その静電潜像をトナー現像して担持させた感光体表面のトナー像を記録用紙などの記録媒体に転写して画像形成する。この静電潜像は、感光体表面に対向する現像ローラを回転させてその表面のトナーを付着させることによりトナー現像する。
【0003】
この電子写真記録方式を採用する画像形成装置には、感光体に対向させる現像ローラや供給ローラと共にトナーを収容する容器を備える現像カートリッジを、ロータリーユニット内に複数収納可能に構成された装置がある。この画像形成装置では、そのロータリーユニットの回転軸を中心に回転させることにより、感光体に対向する現像位置の現像カートリッジを切り換えることができる。
【0004】
このことから、このような画像形成装置は、感光体表面にトナーを付着させる現像カートリッジとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーをそれぞれ収容する現像カートリッジを装着可能に構成している。これにより、現像カートリッジを順次に切り換えて各色を重ねたカラー画像を形成することができる。
【0005】
また、この画像形成装置には、同色(例えば、ブラック)のトナーを収容する現像カートリッジを複数個、装着可能に構成することにより、長期にわたって単色画像の形成を継続することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
同色(ブラック)の現像カートリッジを複数個装着できる画像形成装置には、トナー補給動作を行うためにトナーを所定量使用した場合には、ロータリーユニットを回転させなければならないものがある。トナー補給動作を実施するための現像カートリッジの切り替え動作を短くするには、隣接する現像カートリッジを長期にわたって使用可能状態にすればよい。そのため、現像カートリッジは、残りの寿命が最も長いものから優先的に使用し、現像カートリッジの寿命を平均化することで、いずれかの現像カートリッジにトナー切れが発生するまでの期間をできるだけ長くして、隣接する現像カートリッジへの切り替え動作を長期にわたって継続できるようにするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−351190号公報
【特許文献2】特開2005−257799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術のように、画像形成装置に装着された同色の現像カートリッジから画像形成に使用する現像カートリッジの選択方法を一つに固定してしまうと、さまざまな不具合が生じると共にユーザーの多用なニーズに答えられない問題があった。
【0009】
具体的には、特許文献1及び2に記載の画像形成装置では、現像カートリッジの使用履歴の違いにより、プリント画質の品位に差が生じてしまう問題があった。印字率が低い画像をプリントする頻度が高い現像カートリッジは寿命(トナー無し)までにプリントされる枚数が多くなり、逆に印字率が高い画像をプリントする頻度が多い現像カートリッジは寿命(トナー無し)までにプリントされる枚数が少なくなる。プリント動作を行うとトナー、現像ローラ、トナー規制部材、供給ローラ間の摺擦が生じ、その結果、トナー表面に付着している外添剤は、トナー表面に埋め込まれたり、遊離等により減少してしまう。そのため、プリント枚数が多い現像カートリッジほど、トナー表面の外添剤の減少による画質の低下が大きくなる。このため、極端に印字率の低い画像を多量にプリントした現像カートリッジは、寿命(トナー無し)付近で著しく画質が低下する問題があった。
【0010】
また、特許文献2のように使用する現像カートリッジを決定する際、残りの寿命が最も長い現像カートリッジを選択して使用すると、すべての現像カートリッジのトナーがほぼ同時になくなってしまう場合が生じた。この場合、ユーザーの現像カートリッジの交換作業が短い期間に集中してしまうことと、現像カートリッジの在庫をユーザーが4本用意しておかなければならない等の問題があった。
【0011】
本発明の目的は、同色の現像剤(トナー)を収容する現像カートリッジを複数装着することが可能な電子写真画像形成装置において、全ての現像カートリッジのトナーが同時になくなってしまう不具合を解決した画像形成装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、同色のトナーを収容する現像カートリッジを複数装着することが可能な電子写真画像形成装置において、使用履歴により著しく画質が低下する現像カートリッジが発生することをなくした画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
像担持体と、
前記像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を収容する現像剤収容部を有した複数の現像カートリッジと、
前記現像カートリッジに収容された前記現像剤の色を識別する現像カートリッジ識別手段と、
同色の現像剤が現像剤収容部に収容された複数の現像カートリッジを装着した状態での画像形成を可能とする制御手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記現像カートリッジの寿命情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記現像カートリッジ識別手段によって同色の現像カートリッジが複数装着されていると識別された場合、前記装着された同色の複数の現像カートリッジの中のどの現像カートリッジを使用して画像形成するかを決定する複数の現像カートリッジ決定方法の中から、前記寿命情報に基づいて前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同色の現像剤(トナー)を収容する現像カートリッジを複数装着することが可能な電子写真画像形成装置において、全ての現像カートリッジのトナーが同時になくなってしまう不具合をなくすことができる。また、本発明によれば、使用履歴により著しく画質が低下することを解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例である電子写真方式のレーザービームプリンタの概略構成図である。
【図2】画像形成装置に使用される現像カートリッジの一実施例を示す概略構成図である。
【図3】画像形成装置の制御ブロック図である。
【図4】実施例1における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施例1の変更実施例1における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】実施例1の変更実施例2における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】実施例1の変更実施例3における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】実施例2における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】実施例2の変更実施例1における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図10】実施例2の変更実施例2における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】実施例2の変更実施例3における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
図1を参照すると、本実施例にてレーザービームプリンタとされる画像形成装置100の装置本体100Aは、図3に示すように、本体制御部16にあるビデオコントローラ17を介して、パーソナルコンピュータ22と接続されている。そして、外部端末から送信された画像データをビデオコントローラ17で受け取り、ドットイメージからなるビデオ信号に変換されることによって画像形成が開始される。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置100の露光手段としてのレーザ光走査装置1は、入力された画像データに基づいてレーザ光を像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)2の表面に選択的に照射して露光走査する。これにより、画像形成装置100は、その画像データに基づく静電潜像を、感光体ドラム2の表面上に形成(作像)する。画像形成装置100は、現像装置(現像手段)として現像ロータリーユニット3を備えている。現像ロータリーユニット3は、収納空間15y、15m、15c、15kを有しており、各収納空間に、感光体ドラム2上の静電潜像をイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のトナーにより現像する各色毎の現像ユニット、即ち、現像カートリッジ4を収納している。そして、静電潜像を形成する画像データに応じた色の現像カートリッジ4を感光体ドラム2に対向させて、収容するトナーを付着させることによりその静電潜像をトナー現像する。
【0019】
尚、画像形成装置は、各現像カートリッジ4のトナー残量の決定方法として、使用初期からのレーザ光の発光時間の積算値(積算ピクセルカウント)から現像剤の消費量を算出する方法により、トナー残量を算出している。
【0020】
本実施例では、現像ロータリーユニット3には、各収納空間15y、15m、15c、15kにブラックの現像カートリッジ4をそれぞれ収納することが可能であり、その場合は、単色画像(モノクロ画像)を形成する専用機として利用することもできる。また、この場合には、ブラックの現像カートリッジ4が複数個装着されているため、ブラックの現像カートリッジ4が1個だけ装着された場合よりもブラックの単色画像形成を長期間行うことが可能となる。
【0021】
本実施例の画像形成装置100は、中間転写体を使用した中間転写方式とされ、中間転写体としての中間転写ベルト5を使用している。中間転写ベルト5は、カラー画像の場合、感光体ドラム2上に形成されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のトナーによるトナー像を順次に(順序はこれに限らない)重ねるように受け取って、そのベルト表面にトナー画像を形成して保持する。二次転写手段としての二次転写ローラ7は、この中間転写ベルト5との間に給送されてきた記録用紙6を挟むように圧接(ニップ)して挟持搬送することにより、そのトナー画像を記録用紙6に転写させる。すなわち、本実施例では、トナー像の記録用紙6への転写を中間転写ベルト5が仲介する中間転写方式を採用している。
【0022】
定着手段としての定着ローラ8は、搬送されてきた記録用紙6を加熱圧接することによりそのトナー画像を定着させると共に、その記録用紙6をさらに下流側へと挟持搬送する。これにより、記録用紙6は、受け取った画像データに基づくモノクロ画像またはカラー画像が片面側または両面側に記録形成(定着)される。このような動作を繰り返すことにより、複数枚に連続して画像を記録形成することができる。
【0023】
次に、図2を用いて本実施例の現像カートリッジ4について説明する。現像カートリッジ4は、現像剤(トナー)を収容したトナー収容部(現像剤収容部)9、現像ローラ(現像剤担持体)10、供給ローラ(現像剤供給部材)11、トナー規制部材12、トナー撹拌部材13を備えている。トナー撹拌部材13が矢印方向に回転することで、供給ローラ11近傍にトナーを供給する。供給ローラ11は、トナーを現像ローラ10に供給する。供給ローラ11によって現像ローラ10上に供給されたトナーは、トナー規制部材12により均一化されトナー層を形成し、感光体ドラム2の静電潜像を現像する。
【0024】
現像カートリッジ4は、記憶手段として、読み書き可能なメモリ14を有している。メモリ14は、図3に示すように、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4が、感光体ドラム2に対向したポジションに移動したときにのみ、画像形成装置の読み出し/書き込み手段23と対向配置される。それによって、メモリ14への読み書きが可能となる。
【0025】
各現像カートリッジ4のメモリ14内には、使用履歴情報が収納されている。使用履歴情報としては、現像剤(トナー)の色情報や現像剤残量、使用初期からの印字部の画素数(積算ピクセルカウント)、使用初期からの全画素数(印字部と非印字部)、平均印字率、プリント枚数、現像ローラ回転数(駆動時間)等がある。画像形成動作中や画像形成終了後に、メモリ14内と本体メモリ20内の使用履歴情報を更新する。使用履歴情報としての平均印字率は、現像カートリッジの使用初期からの形成画像の積算ピクセルカウントを使用初期からの全画素数で割る事で算出されるデータである。平均印字率は、現像カートリッジの使用初期からの形成画像の積算ピクセルカウントとプリント枚数から算出することもできる。
【0026】
そして、本体制御部(制御手段)16のCPU18は、電源投入後にはROM19内の制御プログラムに従って図3に示す各種制御動作を実行する。つまり、電源投入時や現像カートリッジ4の交換時には、現像ロータリーユニット3を回転駆動し、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の全てのメモリ14を画像形成装置本体100Aの読み出し/書き込み手段23と対向させ、通信する。すなわち、読み出し/書き込み手段23は、現像カートリッジ識別手段として機能する。そして、現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kにセットされた現像カートリッジ4の有無、トナーの色情報や現像剤残量、平均印字率等の情報を本体メモリ20内に保持(記憶)する。CPU18は、現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kにセットされた現像カートリッジ4の有無、色情報、現像剤残量等を確認した上で、各種画像形成制御を実行する。
【0027】
現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kに装着された各現像カートリッジ4の色情報は、電源投入時や現像カートリッジ4の交換時に本体メモリ20内の「Y」、「M」、「C」、「K」に書き込まれる。
【0028】
収納空間15yの色情報「Y」の書き込み動作について説明する。収納空間15yに現像カートリッジ4が収納されていない場合には識別情報として「Y=0」を本体メモリ20内に書き込む。ブラックの現像カートリッジ4が収納されている場合には「Y=1」、イエローの現像カートリッジ4が収納されている場合には「Y=2」、マゼンタ(M)の現像カートリッジ4が収納されている場合には「Y=3」、シアン(C)の現像カートリッジ4が収納されている場合には「Y=4」を本体メモリ20内に書き込む。
【0029】
ここで、本実施例では、現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kに収納可能な現像カートリッジ4の色を制限している。具体的には、収納空間15yにはイエローまたはブラック、収納空間15mにはマゼンタまたはブラック、収納空間15cにはシアンまたはブラック、収納空間15kにはブラックの現像カートリッジ4を装着可能にしている。
【0030】
例えば、収納空間15yにマゼンタ若しくはシアンの現像カートリッジが装着され、「Y=3」「Y=4」を認識した場合は、ユーザーに「現像カートリッジの異常装着」を画像形成装置の表示パネルに報知し、画像形成動作を禁止する。
【0031】
現像ロータリーユニット3の収納空間15m、15cについても同様に、装着された現像カートリッジ4の色情報を本体メモリ20内の「M」、「C」「K」に書き込む。
【0032】
CPU18は、本体メモリ20内に保持する現像カートリッジ4の色情報が、「K=1、Y=2、M=3、C=4」を同時に満たしているか否かを確認する。これが確認された場合には、現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kに、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色トナーを収容する現像カートリッジ4がそれぞれ装着されているものとする。そして、フルカラー画像を形成する際の画像形成制御を選択・実行する。
【0033】
本体メモリ20内に保持する現像カートリッジ4の色情報がフルカラー画像を形成するものでなかったときには、モノクロ単色画像を形成する場合のみ画像形成動作を開始することを許可する。
【0034】
本発明は、画像形成装置をモノクロ画像専用機として使用する際、使用する現像カートリッジ(ブラック)の選択を最適化することで不具合の発生を抑制するものである。以下にモノクロ画像専用機で使用する際に、画像形成に使用する現像カートリッジ4の決定方法を説明する。以下の説明では、収納空間15y、15m、15c、15kには、同色の、本実施例では全てブラックの現像カートリッジ4が装着された場合の現像カートリッジ決定方法について説明する。
【0035】
画像形成に使用する現像カートリッジ4を決定するモードとして、モードA、モードBの2種類ある。モードA、Bのどちらのモードによって、どの現像カートリッジ4を使用するかは、収納空間15y、15m、15c、15kに装着された現像カートリッジ4のトナー残量(現像剤残量)の状況で自動的に決定される。各モードによる使用現像カートリッジ4の決定方法とその目的について述べる。
【0036】
モードAは、トナー残量が25%以上の現像カートリッジ4が少なくとも一つ以上装着されている場合に適用される。モードAの目的は、装着された現像カートリッジ4のプリント動作による画質低下を均一にし、極端に画質が低下する現像カートリッジ4を発生させないことである。トナー残量が同じ二つの現像カートリッジ4を比較すると、平均印字率が低いものは、平均印字率が高い場合よりもプリント枚数が多い。そのため、トナー、トナー規制部材12、供給ローラ11間の摺擦による画質の低下が大きくなる。極端に平均印字率が低いと著しく現像カートリッジ4の画質が低下してしまう。極端に画質が低下する現像カートリッジ4を発生させないため、各現像カートリッジ4の使用初期からの通算の平均印字率が同じになるように現像カートリッジ4を選択して使用する。
【0037】
パーソナルコンピュータ22から画像形成ジョブが依頼されたら、入力された画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、その際、プリント画像の印字率を計算する。プリント画像の印字率は、当該プリント画像のピクセルカウントをプリント画像の全画素数で割る事で算出されるデータとすることができる。
【0038】
次いで、本体メモリ20内に書き込まれている各現像カートリッジ4の平均印字率をチェックし、その中から、プリント画像の印字率との差が最も大きい現像カートリッジを選択し画像形成動作を行う。
【0039】
例えば、画像形成装置100に装着された現像カートリッジ4が下記表1の状態において、プリント画像の印字率が10%だとする。この場合、平均印字率とプリント画像の印字率との差が最も大きいのは、平均印字率が3%である収容空間15kであり、収容空間15kに装着された現像カートリッジ4を使用する。
【0040】
一方、プリント画像の印字率が1%の場合、平均印字率とプリント画像の印字率との差が最も大きいのは、平均印字率が8%である収容空間15mであり、収容空間15mに装着された現像カートリッジ4を使用する。
【0041】
【表1】
【0042】
このようにモードAによって画像形成を行う現像カートリッジ4を選択することで、装着された現像カートリッジ4の平均印字率を平均化することができる。
【0043】
次にモードBについて説明する。モードBは、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4が全て25%未満の場合に自動的に適用される。モードBでは、画像形成を行う現像カートリッジ4としてトナー残量が最も少ないものを選択する。現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4が全て25%未満の状況で、モードAを選択すると、複数の現像カートリッジ4の全てがほぼ同時にトナー無しになる情況が生じる場合が出てくる。
【0044】
現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4が全て25%未満の場合に自動的にモードBに変更することでこのような情況を回避できる。
【0045】
また、モードAとモードBにより現像カートリッジ4が複数選択された場合は、その中から、画像形成をおこなうポジション(図4の場合、収納空間15yの位置)へ移動するのに必要な距離が短い現像カートリッジ4を選択する。
【0046】
次に、図4のフローチャートを用いてモノクロ画像専用機で使用する際の動作を説明する。
【0047】
パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S101)。画像データを受信したら、図3に示すビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S102)。
【0048】
本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出す(S103)。
【0049】
この際、現像カートリッジ4のトナー残量が全て25%未満の場合、トナー残量が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S104)。一方、トナー残量が25%以上のカートリッジが装着されている場合、本体メモリから、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を現像位置に移動し、画像形成動作を実施する(S105)。
【0050】
以上述べたように、画像形成装置をモノクロ画像の専用機として使用する際、トナー残量が25%以上の現像カートリッジ4が少なくとも一つ以上装着されている場合にモードAを採用することで、現像カートリッジ4の画質低下を均一にすることが可能となる。全ての現像カートリッジ4が25%未満になったタイミングでモードBに変更することで、全ての現像カートリッジ4がほぼ同時にトナー無しになる情況を回避することが可能となる。
【0051】
なお、本実施例では、ブラックの現像カートリッジが4つ装着された場合で説明を行ったが、ブラックの現像カートリッジが2つ乃至3つ装着された場合も同様の制御を行う。
【0052】
本実施例では、各現像カートリッジ4の画質低下を均一にするために、平均印字率を用いて現像カートリッジ4を決定したが、これに限定されるものでなく、トナー劣化の指標になる数値であれば構わない。
【0053】
(実施例1の変更実施例1)
例えば、画像形成中だけでなく、画像形成の前後の現像カートリッジ4の駆動時間、例えば、現像ローラ10の回転によるトナー劣化も考慮したい場合がある。その場合は、使用初期からのドット数の積算値と現像ローラ回転数(即ち、使用初期からの現像ローラ回転数の積算値)をパラメータにして算出した指標により画質低下を均一化しても構わない。
【0054】
パーソナルコンピュータ22から画像形成ジョブが依頼されたらビデオ信号に変換し、その際、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数(即ち、当該プリント画像を形成するのに必要とされる現像ローラ10の回転数)」を算出する。
【0055】
本体メモリ20内に書き込まれている「使用初期からのドット数の積算値÷現像ローラ回転数」をチェックし、その中から「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」との差が最も大きい現像カートリッジ4を選択し、画像形成を行う。例えば、画像形成装置に装着された現像カートリッジが下記表2の状態において、プリント画像の印字率が5%程度の画像をプリントした場合で説明する。この画像は、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」が所定値、例えば3100の値をとる。
【0056】
ここで、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」の3100と「使用初期からのドット数の積算値÷現像ローラ回転数」との差が最も大きい現像カートリッジ4は収容空間15kであり、収容空間15kに収容された現像カートリッジ4を使用する。本変更実施例では、画像形成前後の現像ローラ10の回転によるトナー劣化も考慮しているため、現像カートリッジ4のトナー劣化を正確に把握することが可能となる。
【0057】
【表2】
【0058】
次に、図5のフローチャートを用いて本変更実施例における動作を説明する。図4のフローチャートに示す実施例1の場合と同様であり、ただ、本変更実施例では、以下に説明するステップS112、S115において相違する。
【0059】
つまり、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S111)。画像データを受信したら、実施例1のステップS102と異なり、画像データの印字率を算出する代わりに、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」を算出する(S112)。
【0060】
次いで、実施例1と同様に、本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出す(S113)。
【0061】
この際、現像カートリッジ4のトナー残量が全て25%未満の場合、トナー残量が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S114)。一方、トナー残量が25%以上の現像カートリッジ4が装着されている場合、本体メモリから、「使用初期からのドット数の積算値÷現像ローラ回転数」を呼び出し、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置(現像位置)に移動し、画像形成動作を実施する(S115)。
【0062】
尚、変更実施例1では、現像カートリッジ4の駆動時間、即ち、現像ローラ10の回転によるトナー劣化の指標として「現像ローラ回転数」を採用したが、勿論、現像ローラ回転数の代わりに「現像ローラ駆動時間」を採用しても良い。
【0063】
(実施例1の変更実施例2)
実施例1において、画像形成に使用する現像カートリッジ4の決定モードは自動的に切り替えられる構成であったが、ユーザーが手動でモードAとモードBのどちらを使用するかを選択できる構成でも構わない。
【0064】
この場合、ユーザーが常時現像カートリッジ4の画質低下を均一にしたい場合は、モードAを手動で選択することが可能となり、よりユーザーのニーズに対応することが可能となる。
【0065】
図6に、手動でモードAを選択した場合のフローチャートを示す。
【0066】
本変更実施例2の場合には、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S121)。画像データを受信したら、画像データの印字率を算出する(S122)。
【0067】
手動でモードAを選択した場合には、トナー残量は使わないので、本体メモリから、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を現像位置に移動し、画像形成動作を実施する(S123)。
【0068】
モードBを選択した場合には、図6にて、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S131)。
【0069】
画像データの印字率を算出することなく、本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出し、現像カートリッジ4のトナー残量をチェックする(S132)。
【0070】
トナー残量の最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置(現像位置)に移動し、画像形成動作を実施する(S133)。
【0071】
(実施例1の変更実施例3)
実施例1では、使用するモードを、現像カートリッジ4の寿命情報としてのトナー残量によって変更していたが、これに限定されるものでなく、現像カートリッジ4の他の寿命情報によって使用するモードを変更しても構わない。現像カートリッジ4の寿命情報について説明する。
【0072】
現像カートリッジ4の寿命を報知するタイミングは、トナー残量と、使用初期からの現像カートリッジ4の駆動時間(例えば、現像ローラ回転数(駆動時間))との2つのどちらかが寿命に達した場合に行う。
【0073】
例えば、印字率の低い印刷を多数プリントした場合、現像ローラ10と感光体ドラム2の摺擦機会が多くなるため現像ローラ10の摩耗が激しくなり、トナーは十分あるものの使用初期からの現像ローラ回転数が所定の回転数、例えば1万回転で交換しなければならない。
【0074】
そのため、トナー残量が充分残っていても使用初期からの現像ローラ回転数が1万回転に達した時点で現像カートリッジ4の寿命を報知する。そのため、現像ローラ10の残寿命、即ち、現像カートリッジ4の残寿命は、使用初期からの現像ローラ回転数÷10000回転で表せる。現像カートリッジ残寿命は、トナー残量と現像ローラ10の残寿命の少ない方で定義する。
【0075】
例えば、トナー残量が40%で現像ローラ10の残寿命が25%の場合、現像カートリッジ残寿命は25%である。トナー残量が25%で現像ローラの残寿命が60%の場合、現像カートリッジ残寿命は25%である。
【0076】
次に、図7のフローチャートを用いて本変更実施例における動作を説明する。図4のフローチャートに示す実施例1の場合と同様であり、ただ、本変更実施例では、「トナー残量」を「現像カートリッジ残寿命」に変更した点で相違する。
【0077】
図7にて、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S141)。画像データを受信したら、図3に示すビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S142)。
【0078】
本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命を本体メモリ20から呼び出し、チェックする(S143)。
【0079】
この際、現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命が全て25%未満の場合、現像カートリッジ残寿命が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S144)。一方、現像カートリッジ残寿命が25%以上のカートリッジ4が装着されている場合、本体メモリ20から、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S145)。
【0080】
上記実施例1及び実施例1の変更実施例1〜3においては、トナー残量検知手段(現像剤残量検知手段)として、使用初期からのレーザ光の発光時間の積算値(積算ピクセルカウント)によりトナー残量を算出するピクセルカウント方式を採用した。つまり、本実施例では、感光体ドラム2上に形成する潜像の現像剤が転移される部分の画素数を計数することによって現像剤量を検知するピクセルカウント方式を用いた。しかし、これに限定されるものでなく、静電容量方式や光学式のトナー残量検知を採用しても構わない。
【0081】
上記実施例1及び実施例1の変更実施例1〜3においては、現像ロータリーユニット3を搭載した画像形成装置であったが、これに限定されるものでなく、タンデム方式の画像形成装置や、現像カートリッジを固定配置する4cycleの画像形成装置でも構わない。
【0082】
実施例2
次に、本発明に係る画像形成装置の第二の実施例について説明する。本実施例2の画像形成装置は、画像形成装置をモノクロ画像専用機で使用する際に、使用する現像カートリッジ4を決定するモードが3種類になっている点が実施例1と異なっている。従って、画像形成装置の全体構成及び作用についての説明は実施例1において行なった上記説明を援用する。実施例1と同様に、現像ロータリーユニット3にブラックの現像カートリッジ4が4つ装着されている場合で説明する。
【0083】
本実施例では、画像形成に使用する現像カートリッジ4を決定するモードとして、モードA、モードB、モードCの3通りある。そして、モードA、B、Cのどのモードによって使用する現像カートリッジ4を決定するかは、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量の状況と後述するプリンタドライバーの設定により自動的に決定される。各モードによる使用現像カートリッジ4の決定方法とその目的について述べる。
【0084】
モードAにより使用する現像カートリッジ4の決定方法は、実施例1と同じである。モードAを適用するタイミングのみ異なっている。決定方法は実施例1と同じなので省略する。
【0085】
モードBは、全ての現像カートリッジ4が同時にトナー無しにすることを防止するためであり、使用する現像カートリッジ4の決定方法及びモードBを適用するタイミングは実施例1と同じであるので説明は省略する。
【0086】
モードCは、画像形成時に、パーソナルコンピュータ22から指定された画質モードと現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量の状況によって使用する現像カートリッジ4を決定する。
【0087】
本実施例の画像形成装置は、パーソナルコンピュータ22では、所謂、プリンタドライバーにより画面上で画質モードが選択される。プリンタドライバーでは、高画質モードと低画質モードとを選択することが可能である。
【0088】
高画質モードでは、写真画像のプリント時に選択されることを想定しており、ディザによるハーフトーンテーブルは、低画質モードよりも線数の高いものを使用している。本実施例の画像形成装置では、画質モードを選択する画質選択手段24(図3参照)を有し、画像形成装置本体100Aに搭載されたパネル操作部200でも、画質モードを設定することが可能となっている。
【0089】
モードCの目的は、ユーザーが高画質モードを選択した際、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の中で、プリント動作による画質低下が少ない現像カートリッジ4を選択することで高品位のプリント画像を提供することである。モードCによる現像カートリッジ4の決定方法は、ユーザーが高画質モードを選択した際に、最もトナー残量の多い現像カートリッジ4を選択し画像形成を行う。
【0090】
次に、各モードの切り替えタイミングについて説明する。モードの選択方法は、装着された現像カートリッジ4のトナー残量の情況とユーザーが選択した画質モードによって決定する。
【0091】
(I)現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4がすべて25%未満
の場合
この場合、モードBが自動的に適用される。モードBでは、使用する現像カートリッジ4としてトナー残量が最も少ないものを選択することで、ほぼ同時に全ての現像カートリッジ4がトナー無しになる情況を回避できる。高画質モードが選択されている場合でも、現像カートリッジ4はすべて、同程度に画質が低下しているので、モードBを選択する。
【0092】
(II)現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4がすべて50%以上
の場合
この場合、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のプリント動作による画質低下は小さい。そのため、ユーザーが高画質モードを選択しても、どの現像カートリッジ4を使用しても品質上問題は無いため、モードAにより現像カートリッジ4を選択する。
【0093】
(III)上記(I)、(II)以外の場合
この場合、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のプリント動作による画質低下は現像カートリッジ4によって異なり、トナー残量の少ないものほど画質低下は大きい。
【0094】
そのため、ユーザーが高画質モードを選択した際は、トナー残量が最も多い現像カートリッジ4を選択する。逆に、低画質モードを選択した場合は、モードAにより現像カートリッジ4を選択し、平均印字率が均一になるように現像カートリッジ4を使用する。
【0095】
次に、図8のフローチャートを用いてモノクロ画像専用機で使用する際の動作を説明する。
【0096】
パーソナルコンピュータ22から画像データ受信する(S201)。画像データを受信したら、ビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S202)。
【0097】
本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出す(S203)。
【0098】
この際、現像カートリッジ4のトナー残量が全て25%未満の場合、トナー残量が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S204)。一方、トナー残量が25%以上の現像カートリッジ4が装着されている場合、本体メモリ20から、現像カートリッジ4がすべて50%以上かどうかをチェックする(S205)。装着されている現像カートリッジ4のトナー残量がすべて50%以上の場合、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S206)。
【0099】
一方、装着されている現像カートリッジ4の中に50%未満の現像カートリッジ4がある場合は、低画質モードの場合は、平均印字率と画像データの印字率の差が最も大きい現像カートリッジ4を選択して画像形成を行う(S207、S206)。そして、高画質モードの場合は、トナー残量がもっとも多い現像カートリッジ4を選択し画像形成動作を行う(S207、S208)。
【0100】
以上述べたように、画像形成装置をモノクロ画像専用機として使用する際、モードAにより、現像カートリッジ4の画質低下を均一にすることが可能となる。従って、モードBに変更することで、全ての現像カートリッジ4がほぼ同時にトナー無しになる情況を回避することができ、モードCのより高画質モードに対し、高品位のプリント画像を提供することが可能となる。
【0101】
実施例2では、現像カートリッジ4を決定するモードとしてモードA、B、Cの3つのモードを有しているが、これに限定されるものではなく、4つ以上所有していても構わない。
【0102】
(実施例2の変更実施例1)
実施例2において、画像形成に使用する現像カートリッジ4の決定モードは自動的に切り替えられる構成であったが、ユーザーが手動でモードA〜Cのどれを使用するかを選択できる構成でも構わない。
【0103】
この場合、ユーザーが常時、現像カートリッジ4の画質低下を均一にしたい場合は、モードAを手動で選択することが可能となり、高画質モードでプリントしたい場合はモードCを手動で選択することができ、よりユーザーのニーズに対応することが可能となる。
【0104】
図9に、手動でモードAを選択した場合、モードBを選択した場合、及び、モードCを選択した場合のフローチャートを示す。
【0105】
・モードAを選択した場合
パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S211)。画像データを受信したら、画像データの印字率を算出する(S212)。
【0106】
手動でモードAを選択した場合にはトナー残量は使わないので、本体メモリから、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S213)。
【0107】
・モードBを選択した場合
パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S221)。
【0108】
画像データの印字率を算出することなく、本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出し、現像カートリッジのトナー残量をチェックする(S222)。
【0109】
トナー残量の最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S223)。
【0110】
・モードCを選択した場合
モードBを選択した場合と異なり、一番きれいな画像を形成し得るトナー残量の一番多い現像カートリッジ4を選択する。
【0111】
つまり、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S231)。
【0112】
画像データの印字率を算出することなく、本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出し、現像カートリッジのトナー残量をチェックする(S232)。
【0113】
トナー残量の最も多い現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S233)。
【0114】
(実施例2の変更実施例2)
実施例2では、使用するモードをトナー残量によって変更していたが、これに限定されるものでなく、現像カートリッジ4の寿命情報等によって使用するモードを変更しても構わない。
【0115】
現像カートリッジ4の寿命情報については、実施例1の変更実施例3で説明したので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0116】
つまり、トナー残量が充分残っていても使用初期からの現像ローラ回転数が、例えば1万回転に達した時点で現像カートリッジ4の寿命を報知する。そのため、現像ローラ10の残寿命は、使用初期からの現像ローラ回転数÷10000回転で表せる。現像カートリッジ残寿命は、トナー残量と現像ローラ10の残寿命の少ない方で定義する。
【0117】
例えば、トナー残量が40%で現像ローラの残寿命が25%の場合、現像カートリッジ残寿命は25%である。トナー残量が25%で現像ローラ10の残寿命が60%の場合、現像カートリッジ残寿命は25%である。
【0118】
次に、図10のフローチャートを用いて本変更実施例における動作を説明する。図8のフローチャートに示す実施例2の場合と同様であり、ただ、本変更実施例では、トナー残量を現像カートリッジ残寿命に変更した点で相違する。
【0119】
図10にて、パーソナルコンピュータ22から画像データ受信する(S241)。画像データを受信したら、ビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S242)。
【0120】
本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命を本体メモリ20から呼び出し、チェックする(S243)。
【0121】
この際、現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命が全て25%未満の場合、現像カートリッジ残寿命が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S244)。
【0122】
一方、現像カートリッジ残寿命が25%以上のカートリッジが装着されている場合、本体メモリから、現像カートリッジ4が全て現像カートリッジ残寿命が50%以上かどうかをチェックする(S245)。装着されている現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命がすべて50%以上の場合、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S246)。
【0123】
一方、装着されている現像カートリッジ4の中に現像カートリッジ残寿命50%未満の現像カートリッジ4がある場合は、低画質モードの場合は、平均印字率と画像データの印字率の差が最も大きい現像カートリッジ4を選択して画像形成を行う(S247、S246)。そして、高画質モードの場合は、現像カートリッジ残寿命がもっとも多い現像カートリッジ4を選択し画像形成動作を行う(S247、S248)。
【0124】
(実施例2の変更実施例3)
また、画像形成装置100は、画像形成装置周辺の環境情報としての温度、湿度、絶対水分量等の少なくとも一つを検知する環境検知手段25(図3参照)を備えることができる。この場合は、環境によって画質が低下する場合、環境によって使用する現像カートリッジ4を変更するモードを設けてもよい。
【0125】
具体的には、高湿環境でかぶりが悪化する場合は、環境検知手段25が高湿環境(例えば相対湿度70%以上)を検知した場合に、現像カートリッジ残寿命が多い現像カートリッジを選択するモードを設けても良い。例えば、環境検知手段25の検知結果、相対湿度70%以上の場合、トナーの帯電性が低くなり、かぶりが悪化するので、相対湿度が70%以上の場合、かぶりが最も良い(少ない)現像カートリッジ残寿命が最も多い現像カートリッジ4を使用する。
【0126】
次に、図11のフローチャートを用いて本変更実施例における動作を説明する。
【0127】
図11にて、パーソナルコンピュータ22から画像データ受信する(S251)。本体制御部16は、高湿環境(例えば相対湿度70%以上)であるか否かを判断する(S252)。本体制御部16は,環境検知手段25が高湿環境(例えば相対湿度70%以上)を検知した場合には、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命を本体メモリ20から呼び出し、チェックする(S253)。そして、現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命が最も多い現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S260)。
【0128】
S252にて、環境検知手段25が高湿環境(例えば相対湿度70%以上)を検知しなかった場合は、ビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S254)。これ以降の動作(S254〜S260)は、図10を参照して説明した実施例2の場合のS242〜S248と同様であるので、説明は省略する。
【符号の説明】
【0129】
1 露光装置(露光手段)
2 感光体ドラム(像担持体)
3 現像ロータリーユニット(現像手段)
4 現像カートリッジ
5 中間転写ベルト(中間転写体)
14 不揮発性メモリ(記憶手段)
15y、15m、15c、15k 収容空間
16 本体制御部
17 ビデオコントローラ
18 CPU(制御手段)
19 ROM
20 本体メモリ(記憶手段)
21 ロータリー駆動手段
22 パーソナルコンピュータ
23 読み出し/書き込み手段(現像カートリッジ識別手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、同色の現像剤(トナー)を収容する現像カートリッジを複数、装着することが可能な電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光体表面に静電潜像を形成する電子写真記録方式の画像形成装置が知られており、この画像形成装置では、その静電潜像をトナー現像して担持させた感光体表面のトナー像を記録用紙などの記録媒体に転写して画像形成する。この静電潜像は、感光体表面に対向する現像ローラを回転させてその表面のトナーを付着させることによりトナー現像する。
【0003】
この電子写真記録方式を採用する画像形成装置には、感光体に対向させる現像ローラや供給ローラと共にトナーを収容する容器を備える現像カートリッジを、ロータリーユニット内に複数収納可能に構成された装置がある。この画像形成装置では、そのロータリーユニットの回転軸を中心に回転させることにより、感光体に対向する現像位置の現像カートリッジを切り換えることができる。
【0004】
このことから、このような画像形成装置は、感光体表面にトナーを付着させる現像カートリッジとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーをそれぞれ収容する現像カートリッジを装着可能に構成している。これにより、現像カートリッジを順次に切り換えて各色を重ねたカラー画像を形成することができる。
【0005】
また、この画像形成装置には、同色(例えば、ブラック)のトナーを収容する現像カートリッジを複数個、装着可能に構成することにより、長期にわたって単色画像の形成を継続することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
同色(ブラック)の現像カートリッジを複数個装着できる画像形成装置には、トナー補給動作を行うためにトナーを所定量使用した場合には、ロータリーユニットを回転させなければならないものがある。トナー補給動作を実施するための現像カートリッジの切り替え動作を短くするには、隣接する現像カートリッジを長期にわたって使用可能状態にすればよい。そのため、現像カートリッジは、残りの寿命が最も長いものから優先的に使用し、現像カートリッジの寿命を平均化することで、いずれかの現像カートリッジにトナー切れが発生するまでの期間をできるだけ長くして、隣接する現像カートリッジへの切り替え動作を長期にわたって継続できるようにするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−351190号公報
【特許文献2】特開2005−257799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術のように、画像形成装置に装着された同色の現像カートリッジから画像形成に使用する現像カートリッジの選択方法を一つに固定してしまうと、さまざまな不具合が生じると共にユーザーの多用なニーズに答えられない問題があった。
【0009】
具体的には、特許文献1及び2に記載の画像形成装置では、現像カートリッジの使用履歴の違いにより、プリント画質の品位に差が生じてしまう問題があった。印字率が低い画像をプリントする頻度が高い現像カートリッジは寿命(トナー無し)までにプリントされる枚数が多くなり、逆に印字率が高い画像をプリントする頻度が多い現像カートリッジは寿命(トナー無し)までにプリントされる枚数が少なくなる。プリント動作を行うとトナー、現像ローラ、トナー規制部材、供給ローラ間の摺擦が生じ、その結果、トナー表面に付着している外添剤は、トナー表面に埋め込まれたり、遊離等により減少してしまう。そのため、プリント枚数が多い現像カートリッジほど、トナー表面の外添剤の減少による画質の低下が大きくなる。このため、極端に印字率の低い画像を多量にプリントした現像カートリッジは、寿命(トナー無し)付近で著しく画質が低下する問題があった。
【0010】
また、特許文献2のように使用する現像カートリッジを決定する際、残りの寿命が最も長い現像カートリッジを選択して使用すると、すべての現像カートリッジのトナーがほぼ同時になくなってしまう場合が生じた。この場合、ユーザーの現像カートリッジの交換作業が短い期間に集中してしまうことと、現像カートリッジの在庫をユーザーが4本用意しておかなければならない等の問題があった。
【0011】
本発明の目的は、同色の現像剤(トナー)を収容する現像カートリッジを複数装着することが可能な電子写真画像形成装置において、全ての現像カートリッジのトナーが同時になくなってしまう不具合を解決した画像形成装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、同色のトナーを収容する現像カートリッジを複数装着することが可能な電子写真画像形成装置において、使用履歴により著しく画質が低下する現像カートリッジが発生することをなくした画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、
像担持体と、
前記像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を収容する現像剤収容部を有した複数の現像カートリッジと、
前記現像カートリッジに収容された前記現像剤の色を識別する現像カートリッジ識別手段と、
同色の現像剤が現像剤収容部に収容された複数の現像カートリッジを装着した状態での画像形成を可能とする制御手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記現像カートリッジの寿命情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記現像カートリッジ識別手段によって同色の現像カートリッジが複数装着されていると識別された場合、前記装着された同色の複数の現像カートリッジの中のどの現像カートリッジを使用して画像形成するかを決定する複数の現像カートリッジ決定方法の中から、前記寿命情報に基づいて前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同色の現像剤(トナー)を収容する現像カートリッジを複数装着することが可能な電子写真画像形成装置において、全ての現像カートリッジのトナーが同時になくなってしまう不具合をなくすことができる。また、本発明によれば、使用履歴により著しく画質が低下することを解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例である電子写真方式のレーザービームプリンタの概略構成図である。
【図2】画像形成装置に使用される現像カートリッジの一実施例を示す概略構成図である。
【図3】画像形成装置の制御ブロック図である。
【図4】実施例1における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施例1の変更実施例1における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】実施例1の変更実施例2における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】実施例1の変更実施例3における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】実施例2における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】実施例2の変更実施例1における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図10】実施例2の変更実施例2における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】実施例2の変更実施例3における画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
図1を参照すると、本実施例にてレーザービームプリンタとされる画像形成装置100の装置本体100Aは、図3に示すように、本体制御部16にあるビデオコントローラ17を介して、パーソナルコンピュータ22と接続されている。そして、外部端末から送信された画像データをビデオコントローラ17で受け取り、ドットイメージからなるビデオ信号に変換されることによって画像形成が開始される。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置100の露光手段としてのレーザ光走査装置1は、入力された画像データに基づいてレーザ光を像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)2の表面に選択的に照射して露光走査する。これにより、画像形成装置100は、その画像データに基づく静電潜像を、感光体ドラム2の表面上に形成(作像)する。画像形成装置100は、現像装置(現像手段)として現像ロータリーユニット3を備えている。現像ロータリーユニット3は、収納空間15y、15m、15c、15kを有しており、各収納空間に、感光体ドラム2上の静電潜像をイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のトナーにより現像する各色毎の現像ユニット、即ち、現像カートリッジ4を収納している。そして、静電潜像を形成する画像データに応じた色の現像カートリッジ4を感光体ドラム2に対向させて、収容するトナーを付着させることによりその静電潜像をトナー現像する。
【0019】
尚、画像形成装置は、各現像カートリッジ4のトナー残量の決定方法として、使用初期からのレーザ光の発光時間の積算値(積算ピクセルカウント)から現像剤の消費量を算出する方法により、トナー残量を算出している。
【0020】
本実施例では、現像ロータリーユニット3には、各収納空間15y、15m、15c、15kにブラックの現像カートリッジ4をそれぞれ収納することが可能であり、その場合は、単色画像(モノクロ画像)を形成する専用機として利用することもできる。また、この場合には、ブラックの現像カートリッジ4が複数個装着されているため、ブラックの現像カートリッジ4が1個だけ装着された場合よりもブラックの単色画像形成を長期間行うことが可能となる。
【0021】
本実施例の画像形成装置100は、中間転写体を使用した中間転写方式とされ、中間転写体としての中間転写ベルト5を使用している。中間転写ベルト5は、カラー画像の場合、感光体ドラム2上に形成されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のトナーによるトナー像を順次に(順序はこれに限らない)重ねるように受け取って、そのベルト表面にトナー画像を形成して保持する。二次転写手段としての二次転写ローラ7は、この中間転写ベルト5との間に給送されてきた記録用紙6を挟むように圧接(ニップ)して挟持搬送することにより、そのトナー画像を記録用紙6に転写させる。すなわち、本実施例では、トナー像の記録用紙6への転写を中間転写ベルト5が仲介する中間転写方式を採用している。
【0022】
定着手段としての定着ローラ8は、搬送されてきた記録用紙6を加熱圧接することによりそのトナー画像を定着させると共に、その記録用紙6をさらに下流側へと挟持搬送する。これにより、記録用紙6は、受け取った画像データに基づくモノクロ画像またはカラー画像が片面側または両面側に記録形成(定着)される。このような動作を繰り返すことにより、複数枚に連続して画像を記録形成することができる。
【0023】
次に、図2を用いて本実施例の現像カートリッジ4について説明する。現像カートリッジ4は、現像剤(トナー)を収容したトナー収容部(現像剤収容部)9、現像ローラ(現像剤担持体)10、供給ローラ(現像剤供給部材)11、トナー規制部材12、トナー撹拌部材13を備えている。トナー撹拌部材13が矢印方向に回転することで、供給ローラ11近傍にトナーを供給する。供給ローラ11は、トナーを現像ローラ10に供給する。供給ローラ11によって現像ローラ10上に供給されたトナーは、トナー規制部材12により均一化されトナー層を形成し、感光体ドラム2の静電潜像を現像する。
【0024】
現像カートリッジ4は、記憶手段として、読み書き可能なメモリ14を有している。メモリ14は、図3に示すように、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4が、感光体ドラム2に対向したポジションに移動したときにのみ、画像形成装置の読み出し/書き込み手段23と対向配置される。それによって、メモリ14への読み書きが可能となる。
【0025】
各現像カートリッジ4のメモリ14内には、使用履歴情報が収納されている。使用履歴情報としては、現像剤(トナー)の色情報や現像剤残量、使用初期からの印字部の画素数(積算ピクセルカウント)、使用初期からの全画素数(印字部と非印字部)、平均印字率、プリント枚数、現像ローラ回転数(駆動時間)等がある。画像形成動作中や画像形成終了後に、メモリ14内と本体メモリ20内の使用履歴情報を更新する。使用履歴情報としての平均印字率は、現像カートリッジの使用初期からの形成画像の積算ピクセルカウントを使用初期からの全画素数で割る事で算出されるデータである。平均印字率は、現像カートリッジの使用初期からの形成画像の積算ピクセルカウントとプリント枚数から算出することもできる。
【0026】
そして、本体制御部(制御手段)16のCPU18は、電源投入後にはROM19内の制御プログラムに従って図3に示す各種制御動作を実行する。つまり、電源投入時や現像カートリッジ4の交換時には、現像ロータリーユニット3を回転駆動し、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の全てのメモリ14を画像形成装置本体100Aの読み出し/書き込み手段23と対向させ、通信する。すなわち、読み出し/書き込み手段23は、現像カートリッジ識別手段として機能する。そして、現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kにセットされた現像カートリッジ4の有無、トナーの色情報や現像剤残量、平均印字率等の情報を本体メモリ20内に保持(記憶)する。CPU18は、現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kにセットされた現像カートリッジ4の有無、色情報、現像剤残量等を確認した上で、各種画像形成制御を実行する。
【0027】
現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kに装着された各現像カートリッジ4の色情報は、電源投入時や現像カートリッジ4の交換時に本体メモリ20内の「Y」、「M」、「C」、「K」に書き込まれる。
【0028】
収納空間15yの色情報「Y」の書き込み動作について説明する。収納空間15yに現像カートリッジ4が収納されていない場合には識別情報として「Y=0」を本体メモリ20内に書き込む。ブラックの現像カートリッジ4が収納されている場合には「Y=1」、イエローの現像カートリッジ4が収納されている場合には「Y=2」、マゼンタ(M)の現像カートリッジ4が収納されている場合には「Y=3」、シアン(C)の現像カートリッジ4が収納されている場合には「Y=4」を本体メモリ20内に書き込む。
【0029】
ここで、本実施例では、現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kに収納可能な現像カートリッジ4の色を制限している。具体的には、収納空間15yにはイエローまたはブラック、収納空間15mにはマゼンタまたはブラック、収納空間15cにはシアンまたはブラック、収納空間15kにはブラックの現像カートリッジ4を装着可能にしている。
【0030】
例えば、収納空間15yにマゼンタ若しくはシアンの現像カートリッジが装着され、「Y=3」「Y=4」を認識した場合は、ユーザーに「現像カートリッジの異常装着」を画像形成装置の表示パネルに報知し、画像形成動作を禁止する。
【0031】
現像ロータリーユニット3の収納空間15m、15cについても同様に、装着された現像カートリッジ4の色情報を本体メモリ20内の「M」、「C」「K」に書き込む。
【0032】
CPU18は、本体メモリ20内に保持する現像カートリッジ4の色情報が、「K=1、Y=2、M=3、C=4」を同時に満たしているか否かを確認する。これが確認された場合には、現像ロータリーユニット3の収納空間15y、15m、15c、15kに、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色トナーを収容する現像カートリッジ4がそれぞれ装着されているものとする。そして、フルカラー画像を形成する際の画像形成制御を選択・実行する。
【0033】
本体メモリ20内に保持する現像カートリッジ4の色情報がフルカラー画像を形成するものでなかったときには、モノクロ単色画像を形成する場合のみ画像形成動作を開始することを許可する。
【0034】
本発明は、画像形成装置をモノクロ画像専用機として使用する際、使用する現像カートリッジ(ブラック)の選択を最適化することで不具合の発生を抑制するものである。以下にモノクロ画像専用機で使用する際に、画像形成に使用する現像カートリッジ4の決定方法を説明する。以下の説明では、収納空間15y、15m、15c、15kには、同色の、本実施例では全てブラックの現像カートリッジ4が装着された場合の現像カートリッジ決定方法について説明する。
【0035】
画像形成に使用する現像カートリッジ4を決定するモードとして、モードA、モードBの2種類ある。モードA、Bのどちらのモードによって、どの現像カートリッジ4を使用するかは、収納空間15y、15m、15c、15kに装着された現像カートリッジ4のトナー残量(現像剤残量)の状況で自動的に決定される。各モードによる使用現像カートリッジ4の決定方法とその目的について述べる。
【0036】
モードAは、トナー残量が25%以上の現像カートリッジ4が少なくとも一つ以上装着されている場合に適用される。モードAの目的は、装着された現像カートリッジ4のプリント動作による画質低下を均一にし、極端に画質が低下する現像カートリッジ4を発生させないことである。トナー残量が同じ二つの現像カートリッジ4を比較すると、平均印字率が低いものは、平均印字率が高い場合よりもプリント枚数が多い。そのため、トナー、トナー規制部材12、供給ローラ11間の摺擦による画質の低下が大きくなる。極端に平均印字率が低いと著しく現像カートリッジ4の画質が低下してしまう。極端に画質が低下する現像カートリッジ4を発生させないため、各現像カートリッジ4の使用初期からの通算の平均印字率が同じになるように現像カートリッジ4を選択して使用する。
【0037】
パーソナルコンピュータ22から画像形成ジョブが依頼されたら、入力された画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、その際、プリント画像の印字率を計算する。プリント画像の印字率は、当該プリント画像のピクセルカウントをプリント画像の全画素数で割る事で算出されるデータとすることができる。
【0038】
次いで、本体メモリ20内に書き込まれている各現像カートリッジ4の平均印字率をチェックし、その中から、プリント画像の印字率との差が最も大きい現像カートリッジを選択し画像形成動作を行う。
【0039】
例えば、画像形成装置100に装着された現像カートリッジ4が下記表1の状態において、プリント画像の印字率が10%だとする。この場合、平均印字率とプリント画像の印字率との差が最も大きいのは、平均印字率が3%である収容空間15kであり、収容空間15kに装着された現像カートリッジ4を使用する。
【0040】
一方、プリント画像の印字率が1%の場合、平均印字率とプリント画像の印字率との差が最も大きいのは、平均印字率が8%である収容空間15mであり、収容空間15mに装着された現像カートリッジ4を使用する。
【0041】
【表1】
【0042】
このようにモードAによって画像形成を行う現像カートリッジ4を選択することで、装着された現像カートリッジ4の平均印字率を平均化することができる。
【0043】
次にモードBについて説明する。モードBは、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4が全て25%未満の場合に自動的に適用される。モードBでは、画像形成を行う現像カートリッジ4としてトナー残量が最も少ないものを選択する。現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4が全て25%未満の状況で、モードAを選択すると、複数の現像カートリッジ4の全てがほぼ同時にトナー無しになる情況が生じる場合が出てくる。
【0044】
現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4が全て25%未満の場合に自動的にモードBに変更することでこのような情況を回避できる。
【0045】
また、モードAとモードBにより現像カートリッジ4が複数選択された場合は、その中から、画像形成をおこなうポジション(図4の場合、収納空間15yの位置)へ移動するのに必要な距離が短い現像カートリッジ4を選択する。
【0046】
次に、図4のフローチャートを用いてモノクロ画像専用機で使用する際の動作を説明する。
【0047】
パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S101)。画像データを受信したら、図3に示すビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S102)。
【0048】
本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出す(S103)。
【0049】
この際、現像カートリッジ4のトナー残量が全て25%未満の場合、トナー残量が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S104)。一方、トナー残量が25%以上のカートリッジが装着されている場合、本体メモリから、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を現像位置に移動し、画像形成動作を実施する(S105)。
【0050】
以上述べたように、画像形成装置をモノクロ画像の専用機として使用する際、トナー残量が25%以上の現像カートリッジ4が少なくとも一つ以上装着されている場合にモードAを採用することで、現像カートリッジ4の画質低下を均一にすることが可能となる。全ての現像カートリッジ4が25%未満になったタイミングでモードBに変更することで、全ての現像カートリッジ4がほぼ同時にトナー無しになる情況を回避することが可能となる。
【0051】
なお、本実施例では、ブラックの現像カートリッジが4つ装着された場合で説明を行ったが、ブラックの現像カートリッジが2つ乃至3つ装着された場合も同様の制御を行う。
【0052】
本実施例では、各現像カートリッジ4の画質低下を均一にするために、平均印字率を用いて現像カートリッジ4を決定したが、これに限定されるものでなく、トナー劣化の指標になる数値であれば構わない。
【0053】
(実施例1の変更実施例1)
例えば、画像形成中だけでなく、画像形成の前後の現像カートリッジ4の駆動時間、例えば、現像ローラ10の回転によるトナー劣化も考慮したい場合がある。その場合は、使用初期からのドット数の積算値と現像ローラ回転数(即ち、使用初期からの現像ローラ回転数の積算値)をパラメータにして算出した指標により画質低下を均一化しても構わない。
【0054】
パーソナルコンピュータ22から画像形成ジョブが依頼されたらビデオ信号に変換し、その際、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数(即ち、当該プリント画像を形成するのに必要とされる現像ローラ10の回転数)」を算出する。
【0055】
本体メモリ20内に書き込まれている「使用初期からのドット数の積算値÷現像ローラ回転数」をチェックし、その中から「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」との差が最も大きい現像カートリッジ4を選択し、画像形成を行う。例えば、画像形成装置に装着された現像カートリッジが下記表2の状態において、プリント画像の印字率が5%程度の画像をプリントした場合で説明する。この画像は、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」が所定値、例えば3100の値をとる。
【0056】
ここで、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」の3100と「使用初期からのドット数の積算値÷現像ローラ回転数」との差が最も大きい現像カートリッジ4は収容空間15kであり、収容空間15kに収容された現像カートリッジ4を使用する。本変更実施例では、画像形成前後の現像ローラ10の回転によるトナー劣化も考慮しているため、現像カートリッジ4のトナー劣化を正確に把握することが可能となる。
【0057】
【表2】
【0058】
次に、図5のフローチャートを用いて本変更実施例における動作を説明する。図4のフローチャートに示す実施例1の場合と同様であり、ただ、本変更実施例では、以下に説明するステップS112、S115において相違する。
【0059】
つまり、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S111)。画像データを受信したら、実施例1のステップS102と異なり、画像データの印字率を算出する代わりに、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」を算出する(S112)。
【0060】
次いで、実施例1と同様に、本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出す(S113)。
【0061】
この際、現像カートリッジ4のトナー残量が全て25%未満の場合、トナー残量が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S114)。一方、トナー残量が25%以上の現像カートリッジ4が装着されている場合、本体メモリから、「使用初期からのドット数の積算値÷現像ローラ回転数」を呼び出し、「プリント画像のドット数÷現像ローラ回転数」との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置(現像位置)に移動し、画像形成動作を実施する(S115)。
【0062】
尚、変更実施例1では、現像カートリッジ4の駆動時間、即ち、現像ローラ10の回転によるトナー劣化の指標として「現像ローラ回転数」を採用したが、勿論、現像ローラ回転数の代わりに「現像ローラ駆動時間」を採用しても良い。
【0063】
(実施例1の変更実施例2)
実施例1において、画像形成に使用する現像カートリッジ4の決定モードは自動的に切り替えられる構成であったが、ユーザーが手動でモードAとモードBのどちらを使用するかを選択できる構成でも構わない。
【0064】
この場合、ユーザーが常時現像カートリッジ4の画質低下を均一にしたい場合は、モードAを手動で選択することが可能となり、よりユーザーのニーズに対応することが可能となる。
【0065】
図6に、手動でモードAを選択した場合のフローチャートを示す。
【0066】
本変更実施例2の場合には、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S121)。画像データを受信したら、画像データの印字率を算出する(S122)。
【0067】
手動でモードAを選択した場合には、トナー残量は使わないので、本体メモリから、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を現像位置に移動し、画像形成動作を実施する(S123)。
【0068】
モードBを選択した場合には、図6にて、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S131)。
【0069】
画像データの印字率を算出することなく、本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出し、現像カートリッジ4のトナー残量をチェックする(S132)。
【0070】
トナー残量の最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置(現像位置)に移動し、画像形成動作を実施する(S133)。
【0071】
(実施例1の変更実施例3)
実施例1では、使用するモードを、現像カートリッジ4の寿命情報としてのトナー残量によって変更していたが、これに限定されるものでなく、現像カートリッジ4の他の寿命情報によって使用するモードを変更しても構わない。現像カートリッジ4の寿命情報について説明する。
【0072】
現像カートリッジ4の寿命を報知するタイミングは、トナー残量と、使用初期からの現像カートリッジ4の駆動時間(例えば、現像ローラ回転数(駆動時間))との2つのどちらかが寿命に達した場合に行う。
【0073】
例えば、印字率の低い印刷を多数プリントした場合、現像ローラ10と感光体ドラム2の摺擦機会が多くなるため現像ローラ10の摩耗が激しくなり、トナーは十分あるものの使用初期からの現像ローラ回転数が所定の回転数、例えば1万回転で交換しなければならない。
【0074】
そのため、トナー残量が充分残っていても使用初期からの現像ローラ回転数が1万回転に達した時点で現像カートリッジ4の寿命を報知する。そのため、現像ローラ10の残寿命、即ち、現像カートリッジ4の残寿命は、使用初期からの現像ローラ回転数÷10000回転で表せる。現像カートリッジ残寿命は、トナー残量と現像ローラ10の残寿命の少ない方で定義する。
【0075】
例えば、トナー残量が40%で現像ローラ10の残寿命が25%の場合、現像カートリッジ残寿命は25%である。トナー残量が25%で現像ローラの残寿命が60%の場合、現像カートリッジ残寿命は25%である。
【0076】
次に、図7のフローチャートを用いて本変更実施例における動作を説明する。図4のフローチャートに示す実施例1の場合と同様であり、ただ、本変更実施例では、「トナー残量」を「現像カートリッジ残寿命」に変更した点で相違する。
【0077】
図7にて、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S141)。画像データを受信したら、図3に示すビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S142)。
【0078】
本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命を本体メモリ20から呼び出し、チェックする(S143)。
【0079】
この際、現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命が全て25%未満の場合、現像カートリッジ残寿命が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S144)。一方、現像カートリッジ残寿命が25%以上のカートリッジ4が装着されている場合、本体メモリ20から、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S145)。
【0080】
上記実施例1及び実施例1の変更実施例1〜3においては、トナー残量検知手段(現像剤残量検知手段)として、使用初期からのレーザ光の発光時間の積算値(積算ピクセルカウント)によりトナー残量を算出するピクセルカウント方式を採用した。つまり、本実施例では、感光体ドラム2上に形成する潜像の現像剤が転移される部分の画素数を計数することによって現像剤量を検知するピクセルカウント方式を用いた。しかし、これに限定されるものでなく、静電容量方式や光学式のトナー残量検知を採用しても構わない。
【0081】
上記実施例1及び実施例1の変更実施例1〜3においては、現像ロータリーユニット3を搭載した画像形成装置であったが、これに限定されるものでなく、タンデム方式の画像形成装置や、現像カートリッジを固定配置する4cycleの画像形成装置でも構わない。
【0082】
実施例2
次に、本発明に係る画像形成装置の第二の実施例について説明する。本実施例2の画像形成装置は、画像形成装置をモノクロ画像専用機で使用する際に、使用する現像カートリッジ4を決定するモードが3種類になっている点が実施例1と異なっている。従って、画像形成装置の全体構成及び作用についての説明は実施例1において行なった上記説明を援用する。実施例1と同様に、現像ロータリーユニット3にブラックの現像カートリッジ4が4つ装着されている場合で説明する。
【0083】
本実施例では、画像形成に使用する現像カートリッジ4を決定するモードとして、モードA、モードB、モードCの3通りある。そして、モードA、B、Cのどのモードによって使用する現像カートリッジ4を決定するかは、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量の状況と後述するプリンタドライバーの設定により自動的に決定される。各モードによる使用現像カートリッジ4の決定方法とその目的について述べる。
【0084】
モードAにより使用する現像カートリッジ4の決定方法は、実施例1と同じである。モードAを適用するタイミングのみ異なっている。決定方法は実施例1と同じなので省略する。
【0085】
モードBは、全ての現像カートリッジ4が同時にトナー無しにすることを防止するためであり、使用する現像カートリッジ4の決定方法及びモードBを適用するタイミングは実施例1と同じであるので説明は省略する。
【0086】
モードCは、画像形成時に、パーソナルコンピュータ22から指定された画質モードと現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量の状況によって使用する現像カートリッジ4を決定する。
【0087】
本実施例の画像形成装置は、パーソナルコンピュータ22では、所謂、プリンタドライバーにより画面上で画質モードが選択される。プリンタドライバーでは、高画質モードと低画質モードとを選択することが可能である。
【0088】
高画質モードでは、写真画像のプリント時に選択されることを想定しており、ディザによるハーフトーンテーブルは、低画質モードよりも線数の高いものを使用している。本実施例の画像形成装置では、画質モードを選択する画質選択手段24(図3参照)を有し、画像形成装置本体100Aに搭載されたパネル操作部200でも、画質モードを設定することが可能となっている。
【0089】
モードCの目的は、ユーザーが高画質モードを選択した際、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の中で、プリント動作による画質低下が少ない現像カートリッジ4を選択することで高品位のプリント画像を提供することである。モードCによる現像カートリッジ4の決定方法は、ユーザーが高画質モードを選択した際に、最もトナー残量の多い現像カートリッジ4を選択し画像形成を行う。
【0090】
次に、各モードの切り替えタイミングについて説明する。モードの選択方法は、装着された現像カートリッジ4のトナー残量の情況とユーザーが選択した画質モードによって決定する。
【0091】
(I)現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4がすべて25%未満
の場合
この場合、モードBが自動的に適用される。モードBでは、使用する現像カートリッジ4としてトナー残量が最も少ないものを選択することで、ほぼ同時に全ての現像カートリッジ4がトナー無しになる情況を回避できる。高画質モードが選択されている場合でも、現像カートリッジ4はすべて、同程度に画質が低下しているので、モードBを選択する。
【0092】
(II)現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4がすべて50%以上
の場合
この場合、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のプリント動作による画質低下は小さい。そのため、ユーザーが高画質モードを選択しても、どの現像カートリッジ4を使用しても品質上問題は無いため、モードAにより現像カートリッジ4を選択する。
【0093】
(III)上記(I)、(II)以外の場合
この場合、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のプリント動作による画質低下は現像カートリッジ4によって異なり、トナー残量の少ないものほど画質低下は大きい。
【0094】
そのため、ユーザーが高画質モードを選択した際は、トナー残量が最も多い現像カートリッジ4を選択する。逆に、低画質モードを選択した場合は、モードAにより現像カートリッジ4を選択し、平均印字率が均一になるように現像カートリッジ4を使用する。
【0095】
次に、図8のフローチャートを用いてモノクロ画像専用機で使用する際の動作を説明する。
【0096】
パーソナルコンピュータ22から画像データ受信する(S201)。画像データを受信したら、ビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S202)。
【0097】
本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出す(S203)。
【0098】
この際、現像カートリッジ4のトナー残量が全て25%未満の場合、トナー残量が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S204)。一方、トナー残量が25%以上の現像カートリッジ4が装着されている場合、本体メモリ20から、現像カートリッジ4がすべて50%以上かどうかをチェックする(S205)。装着されている現像カートリッジ4のトナー残量がすべて50%以上の場合、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S206)。
【0099】
一方、装着されている現像カートリッジ4の中に50%未満の現像カートリッジ4がある場合は、低画質モードの場合は、平均印字率と画像データの印字率の差が最も大きい現像カートリッジ4を選択して画像形成を行う(S207、S206)。そして、高画質モードの場合は、トナー残量がもっとも多い現像カートリッジ4を選択し画像形成動作を行う(S207、S208)。
【0100】
以上述べたように、画像形成装置をモノクロ画像専用機として使用する際、モードAにより、現像カートリッジ4の画質低下を均一にすることが可能となる。従って、モードBに変更することで、全ての現像カートリッジ4がほぼ同時にトナー無しになる情況を回避することができ、モードCのより高画質モードに対し、高品位のプリント画像を提供することが可能となる。
【0101】
実施例2では、現像カートリッジ4を決定するモードとしてモードA、B、Cの3つのモードを有しているが、これに限定されるものではなく、4つ以上所有していても構わない。
【0102】
(実施例2の変更実施例1)
実施例2において、画像形成に使用する現像カートリッジ4の決定モードは自動的に切り替えられる構成であったが、ユーザーが手動でモードA〜Cのどれを使用するかを選択できる構成でも構わない。
【0103】
この場合、ユーザーが常時、現像カートリッジ4の画質低下を均一にしたい場合は、モードAを手動で選択することが可能となり、高画質モードでプリントしたい場合はモードCを手動で選択することができ、よりユーザーのニーズに対応することが可能となる。
【0104】
図9に、手動でモードAを選択した場合、モードBを選択した場合、及び、モードCを選択した場合のフローチャートを示す。
【0105】
・モードAを選択した場合
パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S211)。画像データを受信したら、画像データの印字率を算出する(S212)。
【0106】
手動でモードAを選択した場合にはトナー残量は使わないので、本体メモリから、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S213)。
【0107】
・モードBを選択した場合
パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S221)。
【0108】
画像データの印字率を算出することなく、本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出し、現像カートリッジのトナー残量をチェックする(S222)。
【0109】
トナー残量の最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S223)。
【0110】
・モードCを選択した場合
モードBを選択した場合と異なり、一番きれいな画像を形成し得るトナー残量の一番多い現像カートリッジ4を選択する。
【0111】
つまり、パーソナルコンピュータ22から画像データを受信する(S231)。
【0112】
画像データの印字率を算出することなく、本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4のトナー残量を本体メモリ20から呼び出し、現像カートリッジのトナー残量をチェックする(S232)。
【0113】
トナー残量の最も多い現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S233)。
【0114】
(実施例2の変更実施例2)
実施例2では、使用するモードをトナー残量によって変更していたが、これに限定されるものでなく、現像カートリッジ4の寿命情報等によって使用するモードを変更しても構わない。
【0115】
現像カートリッジ4の寿命情報については、実施例1の変更実施例3で説明したので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0116】
つまり、トナー残量が充分残っていても使用初期からの現像ローラ回転数が、例えば1万回転に達した時点で現像カートリッジ4の寿命を報知する。そのため、現像ローラ10の残寿命は、使用初期からの現像ローラ回転数÷10000回転で表せる。現像カートリッジ残寿命は、トナー残量と現像ローラ10の残寿命の少ない方で定義する。
【0117】
例えば、トナー残量が40%で現像ローラの残寿命が25%の場合、現像カートリッジ残寿命は25%である。トナー残量が25%で現像ローラ10の残寿命が60%の場合、現像カートリッジ残寿命は25%である。
【0118】
次に、図10のフローチャートを用いて本変更実施例における動作を説明する。図8のフローチャートに示す実施例2の場合と同様であり、ただ、本変更実施例では、トナー残量を現像カートリッジ残寿命に変更した点で相違する。
【0119】
図10にて、パーソナルコンピュータ22から画像データ受信する(S241)。画像データを受信したら、ビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S242)。
【0120】
本体制御部16は、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命を本体メモリ20から呼び出し、チェックする(S243)。
【0121】
この際、現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命が全て25%未満の場合、現像カートリッジ残寿命が最も少ない現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S244)。
【0122】
一方、現像カートリッジ残寿命が25%以上のカートリッジが装着されている場合、本体メモリから、現像カートリッジ4が全て現像カートリッジ残寿命が50%以上かどうかをチェックする(S245)。装着されている現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命がすべて50%以上の場合、現像カートリッジ4の平均印字率を呼び出し、画像データの印字率との差を計算する。演算した差の絶対値が最も大きい現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し、画像形成動作を実施する(S246)。
【0123】
一方、装着されている現像カートリッジ4の中に現像カートリッジ残寿命50%未満の現像カートリッジ4がある場合は、低画質モードの場合は、平均印字率と画像データの印字率の差が最も大きい現像カートリッジ4を選択して画像形成を行う(S247、S246)。そして、高画質モードの場合は、現像カートリッジ残寿命がもっとも多い現像カートリッジ4を選択し画像形成動作を行う(S247、S248)。
【0124】
(実施例2の変更実施例3)
また、画像形成装置100は、画像形成装置周辺の環境情報としての温度、湿度、絶対水分量等の少なくとも一つを検知する環境検知手段25(図3参照)を備えることができる。この場合は、環境によって画質が低下する場合、環境によって使用する現像カートリッジ4を変更するモードを設けてもよい。
【0125】
具体的には、高湿環境でかぶりが悪化する場合は、環境検知手段25が高湿環境(例えば相対湿度70%以上)を検知した場合に、現像カートリッジ残寿命が多い現像カートリッジを選択するモードを設けても良い。例えば、環境検知手段25の検知結果、相対湿度70%以上の場合、トナーの帯電性が低くなり、かぶりが悪化するので、相対湿度が70%以上の場合、かぶりが最も良い(少ない)現像カートリッジ残寿命が最も多い現像カートリッジ4を使用する。
【0126】
次に、図11のフローチャートを用いて本変更実施例における動作を説明する。
【0127】
図11にて、パーソナルコンピュータ22から画像データ受信する(S251)。本体制御部16は、高湿環境(例えば相対湿度70%以上)であるか否かを判断する(S252)。本体制御部16は,環境検知手段25が高湿環境(例えば相対湿度70%以上)を検知した場合には、現像ロータリーユニット3に装着された現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命を本体メモリ20から呼び出し、チェックする(S253)。そして、現像カートリッジ4の現像カートリッジ残寿命が最も多い現像カートリッジ4を感光体ドラム2と対向する位置に移動し画像形成を実行する(S260)。
【0128】
S252にて、環境検知手段25が高湿環境(例えば相対湿度70%以上)を検知しなかった場合は、ビデオコントローラ17で画像データをドットイメージからなるビデオ信号に変換し、画像データの印字率を算出する(S254)。これ以降の動作(S254〜S260)は、図10を参照して説明した実施例2の場合のS242〜S248と同様であるので、説明は省略する。
【符号の説明】
【0129】
1 露光装置(露光手段)
2 感光体ドラム(像担持体)
3 現像ロータリーユニット(現像手段)
4 現像カートリッジ
5 中間転写ベルト(中間転写体)
14 不揮発性メモリ(記憶手段)
15y、15m、15c、15k 収容空間
16 本体制御部
17 ビデオコントローラ
18 CPU(制御手段)
19 ROM
20 本体メモリ(記憶手段)
21 ロータリー駆動手段
22 パーソナルコンピュータ
23 読み出し/書き込み手段(現像カートリッジ識別手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を収容する現像剤収容部を有した複数の現像カートリッジと、
前記現像カートリッジに収容された前記現像剤の色を識別する現像カートリッジ識別手段と、
同色の現像剤が現像剤収容部に収容された複数の現像カートリッジを装着した状態での画像形成を可能とする制御手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記現像カートリッジの寿命情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記現像カートリッジ識別手段によって同色の現像カートリッジが複数装着されていると識別された場合、前記装着された同色の複数の現像カートリッジの中のどの現像カートリッジを使用して画像形成するかを決定する複数の現像カートリッジ決定方法の中から、前記寿命情報に基づいて前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、画像形成時の画質モードを選択する画質選択手段、を備えており、
前記制御手段は、前記寿命情報と前記画質モードに基づいて、複数の前記現像カートリッジ決定方法の中から前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
更に、画像形成装置周辺の環境情報を検知する環境検知手段、を備えており、
前記制御手段は、前記寿命情報と前記環境情報に基づいて、複数の前記現像カートリッジ決定方法の中から前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、画像形成時の画質モードを選択する画質選択手段と、画像形成装置周辺の環境情報を検知する環境検知手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記寿命情報と前記画質モードと前記環境情報とに基づいて、複数の前記現像カートリッジ決定方法の中から前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記寿命情報は、前記現像カートリッジの現像剤残量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記寿命情報は、前記現像カートリッジの現像剤残量と、使用初期からの前記現像カートリッジの駆動時間の積算値とに基づき決定される前記現像カートリッジの寿命までの情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記寿命情報と、前記現像カートリッジの使用履歴情報と、画像形成時に入力された画像データから算出された印字率とに基づいて、複数の前記現像カートリッジ決定方法の中から前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を収容する現像剤収容部を有した複数の現像カートリッジと、
前記現像カートリッジに収容された前記現像剤の色を識別する現像カートリッジ識別手段と、
同色の現像剤が現像剤収容部に収容された複数の現像カートリッジを装着した状態での画像形成を可能とする制御手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記現像カートリッジの寿命情報を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記現像カートリッジ識別手段によって同色の現像カートリッジが複数装着されていると識別された場合、前記装着された同色の複数の現像カートリッジの中のどの現像カートリッジを使用して画像形成するかを決定する複数の現像カートリッジ決定方法の中から、前記寿命情報に基づいて前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、画像形成時の画質モードを選択する画質選択手段、を備えており、
前記制御手段は、前記寿命情報と前記画質モードに基づいて、複数の前記現像カートリッジ決定方法の中から前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
更に、画像形成装置周辺の環境情報を検知する環境検知手段、を備えており、
前記制御手段は、前記寿命情報と前記環境情報に基づいて、複数の前記現像カートリッジ決定方法の中から前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、画像形成時の画質モードを選択する画質選択手段と、画像形成装置周辺の環境情報を検知する環境検知手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記寿命情報と前記画質モードと前記環境情報とに基づいて、複数の前記現像カートリッジ決定方法の中から前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記寿命情報は、前記現像カートリッジの現像剤残量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記寿命情報は、前記現像カートリッジの現像剤残量と、使用初期からの前記現像カートリッジの駆動時間の積算値とに基づき決定される前記現像カートリッジの寿命までの情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記寿命情報と、前記現像カートリッジの使用履歴情報と、画像形成時に入力された画像データから算出された印字率とに基づいて、複数の前記現像カートリッジ決定方法の中から前記現像カートリッジ決定方法を選択することを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−164474(P2011−164474A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29126(P2010−29126)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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