説明

画像形成装置

【課題】現像スリーブが1周以上空回転した直後に形成される画像先端側箇所の画像濃度を目標濃度に近付けることで画像濃度ムラを抑制することを課題とする。
【解決手段】1つの記録紙上に形成される画像(単一画像)を形成する際の現像時における現像ポテンシャルを、画像先端の現像時刻t〜現像スリーブ50が1周した後の時刻t1までは通常の現像ポテンシャルVP0よりも小さいVP1に設定し、時刻t1から更に現像スリーブ50が1周した後の時刻t2まではVP1によりも大きくVP0よりも小さいVP2に設定し、時刻t2以降は、通常の現像ポテンシャルVP0にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に係り、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を現像剤担持体に担持させて潜像担持体上の潜像を現像する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置は、その現像処理の方法により、一成分現像方式と二成分現像方式とに大別することができる。二成分現像方式は、トナーとキャリアとを含んだ二成分現像剤を現像領域へ供給して二成分現像剤中のトナーを潜像担持体の潜像に付着させて現像処理を行うものである。これに対し、一成分現像方式は、トナーのみを現像領域へ供給してそのトナーを潜像担持体の潜像に付着させることで現像処理を行うものである。一般に、高速性及び画像再現性が要求される画像形成装置では、トナーの帯電安定性、立ち上がり性、画像品質の長期安定性等で有利な二成分現像方式が多く採用される。一方、省スペース性、低コスト化が要求される画像形成装置では、一成分現像方式が多く採用される。近年、トナーとキャリアとを含んだ二成分現像剤を用いてトナーのみを現像剤担持体に担持させ、その現像剤担持体によりトナーのみを現像領域へ供給するハイブリッド方式も存在する。このハイブリッド方式も、トナーのみを現像領域へ供給してそのトナーを潜像担持体の潜像に付着させる点では、一成分現像方式と同様である。
【0003】
従来、ハイブリッド方式を含む一成分現像方式においては、現像領域を通過した現像剤担持体の表面に、潜像担持体の潜像分布に応じて現像によりトナーを消費した部分と現像によりトナーを消費しなかった部分とが混在する現像履歴が残る。このような現像履歴が残ると、今回の現像時において、その現像履歴に応じて前回も現像領域を通過したトナーと今回初めて現像領域を通過するトナーとが現像領域中に存在する。前回も現像領域を通過したトナーは、今回初めて現像領域を通過するトナーと比較して、帯電量が高くなっている。そのため、現像履歴によってトナー帯電量分布にムラが生じ、これにより現像ムラが発生して画像濃度ムラを生じさせる。
【0004】
特許文献1〜3では、このような現像履歴に起因した画像濃度ムラを抑制するための画像形成装置が開示されている。
特許文献1に記載の画像形成装置では、一成分現像方式において、現像領域に対して現像スリーブ(現像剤担持体)の表面移動方向下流側に、現像スリーブ表面と対向するように電極板を設け、その電極板と現像スリーブ表面との間に振動電界を形成する。この画像形成装置によれば、現像領域を通過した後の現像スリーブ上のトナーに振動電界が作用して、現像スリーブ上のトナーを再配列させることができ、これにより現像履歴を消去することができるとしている。
特許文献2に記載の画像形成装置では、一成分現像方式(ハイブリッド方式)において、供給ローラ上の二成分現像剤で現像ローラ(現像剤担持体)を摺擦することで現像ローラに対してトナーの供給及び回収を行う領域内に、現像ローラ上のトナーを剥離させる剥離部材を設けている。これにより、現像ローラ上の現像残トナーを剥離部材で剥離して供給ローラ上の二成分現像剤に効率よく回収できるので、現像履歴を消去することができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、以前の現像領域通過時における影響が今回の現像領域通過時に出る履歴現象は、従来、一成分現像方式に特有の現象であって、二成分現像方式にはそのような履歴現象は発生しない又は影響の程度が低いと考えられていた。しかしながら、本発明者は、鋭意研究の結果、二成分現像方式においても、以下に説明するように、以前の現像領域通過時における影響が今回の現像領域通過時に出て画像濃度ムラを生じさせるという問題が生じることを見出した。
【0006】
二成分現像方式においては、現像剤担持体の表面に二成分現像剤を担持させた状態で現像剤担持体を表面移動させ、現像装置内の二成分現像剤を現像領域へ供給し、現像領域を通過した二成分現像剤を現像剤担持体の表面移動により再び現像装置内へ戻す。現像領域では、潜像担持体上の潜像部分と対向する位置に担持されている二成分現像剤中のトナーが潜像担持体側へ移動して消費され、潜像担持体上の非潜像部分とする位置に担持されている二成分現像剤中のトナーは消費されないまま現像剤担持体上に残る。二成分現像方式において、現像装置内に戻された二成分現像剤は、磁力の作用を利用して、現像剤担持体から剥離される。そのため、二成分現像方式では、以前の現像領域通過時における影響が今回の現像領域通過時に出るという履歴現象は生じないと考えられていた。
【0007】
しかしながら、本発明者による鋭意研究の結果、実際には、このような剥離を行っても履歴現象が発生して、画像濃度ムラが生じることが判明した。
すなわち、現像剤担持体は、通常、潜像担持体上の潜像の先端が現像領域に到達する前に回転駆動を開始するため、その潜像の先端が現像領域に到達した際には既に1周以上は空回転した状態である。このような空回転が行われた後に現像を行った場合、図3に示すように、現像剤担持体一周分の長さに相当するピッチ(現像剤担持体ピッチ)Lで画像濃度ムラが発生する。なお、図3では、説明のため、ハッチングの密度が高いほど画像濃度が高いことを示している。このような画像濃度ムラが生じる原因は次のように考えられる。すなわち、空回転中に現像領域を通過する際、現像剤担持体表面上に担持されたすべての二成分現像剤中のトナーは、現像剤担持体の表面に引きつけられ、多くのトナーが現像剤担持体表面上に付着する。現像剤担持体表面上に付着したトナーは、現像装置内に戻った二成分現像剤を磁力により現像剤担持体から剥離しても、そのまま現像剤担持体表面上に付着したまま残留する。そのため、例えば、マイナス極性の現像バイアスを現像剤担持体に印加して形成される電界によりマイナス極性に帯電させたトナーを潜像へ付着させる場合には、現像剤担持体表面上に付着しているトナーの電荷によって、現像剤担持体表面上の見かけ上の電位が上昇する。その結果、潜像の先端が現像領域に到達して現像が開始されてから現像剤担持体が一周するまでは、現像剤担持体表面の見かけ上の電位上昇により現像ポテンシャルが目標値よりも高くなって、目標量以上のトナーが潜像に付着することになる。その結果、潜像の先端が現像剤担持体一周分の画像部分は、その画像濃度が目標濃度よりも濃くなってしまう。空回転時に現像剤担持体表面に付着したトナーの多くは、最初の一周の現像によって消費されるため、次の一周の現像時は、最初の一周よりも現像ポテンシャルは低下する。しかしながら、図3に示した例においては、最初の一周の現像だけでは現像剤担持体表面に付着したトナーを十分に消費し切れなかったため、次の周でも現像ポテンシャルが目標値よりもまだ高い状態である。よって、現像剤担持体の2週目に対応する画像部分の画像濃度は、1週目ほど濃くはないが、目標濃度よりもまだ濃いものとなっている。なお、図3に示した例では、現像剤担持体の3周目以降については、画像濃度が目標値まで下がっている。
【0008】
なお、この問題は、例えば複数の記録材に形成される複数の画像を連続して形成する場合における2つの画像間において現像剤担持体が1周以上空回転する場合にも、同様に生じ得る。すなわち、この場合も、その空回転直後に形成される画像の先端側箇所の画像濃度が目標濃度から外れてしまい、その画像中の後方部分(目標濃度の画像部分)との間で画像濃度ムラが生じるという同様の問題が生じる。
また、1つの記録材に形成される単一画像中に、潜像担持体表面移動方向に現像剤担持体一周分以上の非画像部を含んでいる場合にも、その非画像部が現像領域を通過する際に現像剤担持体が1周以上空回転するため、同様の問題が生じ得る。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像剤担持体が1周以上空回転した直後に形成される画像先端側箇所の画像濃度を目標濃度に近付けることで、画像濃度ムラを抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を表面に担持する現像剤担持体を表面移動させることで、該現像剤担持体と潜像担持体とが互いに対向する現像領域へ二成分現像剤を供給し、該現像領域にて二成分現像剤中のトナーを潜像担持体上の潜像へ付着させることにより現像処理して得たトナー像を、最終的に記録材上に転写して記録材上に画像を形成する画像形成装置において、1つの記録材上に形成される単一画像に対する画像濃度条件を上記現像剤担持体の表面移動周期で所定回数変更する画像濃度条件変更処理を行う画像濃度条件変更手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記画像濃度条件変更手段は、上記単一画像の先端から上記現像剤担持体の表面移動周期に対応するピッチで画像濃度が変わるように、上記画像濃度条件変更処理を行うことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、温度検知手段を有し、上記画像濃度条件変更手段は、該温度検知手段の検知結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、湿度検知手段を有し、上記画像濃度条件変更手段は、該湿度検知手段の検知結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、露光手段により潜像担持体に対して画像情報に応じた露光処理を行うことで該潜像担持体上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、該露光部のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで上記現像処理を行うものであって、上記画像濃度条件は、上記露光手段の露光強度を含むことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、露光手段により潜像担持体に対して画像情報に応じた画素単位で露光処理を行うことで該潜像担持体上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、該露光部のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで上記現像処理を行うものであって、上記画像濃度条件は、上記露光手段による一画素あたりの露光時間であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記現像処理は、上記現像剤担持体に現像バイアスを印加することにより現像電界を現像領域に形成することで、該現像剤担持体に担持された二成分現像剤中のトナーを潜像担持体上の潜像へ静電的に移動させるものであり、上記画像濃度条件は、上記現像バイアスの大きさであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、露光手段により潜像担持体に対して画像情報に応じた露光処理を行うことで該潜像担持体上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、該露光部のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで上記現像処理を行うものであって、上記画像濃度条件変更手段は、所定の非画像形成タイミングで、上記現像剤担持体の表面移動一周期に対応する距離以上の間隔をあけた複数箇所の画像濃度を把握するための基準濃度パターンを形成するための露光処理を行い、これにより得られる潜像に対して上記現像処理を行ってトナーを付着させて該基準濃度パターンを形成し、該基準濃度パターンにおける該複数箇所の画像濃度を画像濃度検知手段により検知した結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、潜像担持体上のトナー像を被転写体へ転写した後に該潜像担持体上に残存する転写残トナーを上記現像剤担持体に再度担持させて再び現像処理に寄与させるトナーリサイクル手段を有することを特徴とするものである。
【0011】
二成分現像方式においては、現像剤担持体が1周以上空回転した直後に形成される画像先端から少なくとも現像剤担持体の表面移動一周期に対応する長さを有する画像先端側箇所においては、目標値から外れた画像濃度の画像が形成されることがある。本発明においては、1つの記録材上に形成される画像(単一画像)を形成する際の画像濃度を決定するための画像濃度条件を、現像剤担持体の表面移動周期で所定回数変更することができる。よって、目標値から外れた画像濃度の画像が形成される画像先端側箇所の画像濃度を、残りの画像箇所(画像濃度が目標値に一致又は近い画像箇所)の画像濃度に影響を与えることなく、目標値に近付けることができる。その結果、単一画像中における画像先端側箇所の画像濃度と残りの画像箇所との画像濃度差を小さくでき、当該単一画像の画像濃度ムラを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、現像剤担持体が1周以上空回転した直後に形成される画像先端側箇所の画像濃度を残りの画像箇所の画像濃度に影響を与えることなく目標濃度に近付けることができるので、画像濃度ムラを抑制することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
【図2】同プリンタにおけるプロセスユニットの概略構成を示す説明図である。
【図3】画像領域全体に所定濃度の均一なベタ画像を形成するための入力画像と、その入力画像の情報に基づいて形成された出力画像とを示す説明図である。
【図4】画像先端からの長さと画像濃度との関係を示すグラフである。
【図5】実施例1における現像ポテンシャル変更処理における現像ポテンシャルの変更方法を説明するためのグラフである。
【図6】露光パワーと現像ポテンシャルとの関係を示すグラフである。
【図7】同現像ポテンシャル変更処理後における画像先端からの長さと画像濃度との関係を示すグラフである。
【図8】単位露光時間と現像ポテンシャルとの関係を示すグラフである。
【図9】現像バイアスと現像ポテンシャルとの関係を示すグラフである。
【図10】低温環境あるいは低湿環境における、ベタ画像情報に基づいて形成された出力画像を示す説明図である。
【図11】高温環境あるいは高湿環境における、ベタ画像情報に基づいて形成された出力画像を示す説明図である。
【図12】現像ポテンシャルを固定した状態で、湿度一定の下、温度を変化させたときの、第1濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差ΔIDの変化、及び、第2濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差ΔID2の変化、を示すグラフである。
【図13】現像ポテンシャルを固定した状態で、温度一定の下、湿度を変化させたときの、第1濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差ΔIDの変化、及び、第2濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差ΔID2の変化、を示すグラフである。
【図14】低温低湿環境(10℃、15%)下において、現像剤を交換してから画像形成回数が相当進んだ状況での現像剤(劣化剤)を用いて画像形成を行ったときの、画像先端からの長さと画像濃度との関係を示すグラフである。
【図15】基準濃度パターンの一例を示す説明図である。
【図16】基準濃度パターンの他の例を示す説明図である。
【図17】濃度センサにより検出される画像濃度に基づく濃度差ΔIDと、その濃度差を生じさせるために必要な現像ポテンシャルの差分値ΔVとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した二成分現像方式の画像形成装置として、電子写真方式のプリンタの一実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、二成分現像剤を単に「現像剤」という。
【0015】
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
同図のプリンタ100は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、それぞれ、Y、C、M、Kと記す。)用の4つのプロセスユニットを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、それぞれY、C、M、Kの互いに異なる色のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。各プロセスユニットは、潜像担持体としての感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを有している。各プロセスユニットは、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと、その周囲に配置される部材とが一体的にプリンタ本体に対して着脱可能となっている。
【0016】
図2は、プロセスユニットの概略構成を示す説明図である。
感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面に付着した転写残トナー等を除去し回収するクリーニング手段としてのドラムクリーニング装置4と、感光体ドラム1の表面摩擦係数を所定の値にするための粉体状の潤滑剤を感光体ドラム1の表面に塗布する潤滑剤塗布手段としての潤滑剤塗布装置2と、感光体ドラム1の表面を均一に帯電するための帯電装置3と、感光体ドラム1の表面に形成される静電潜像をトナーで現像する現像装置5とを有している。
【0017】
ドラムクリーニング装置4は、クリーニング部材として、クリーニングブレード41で感光体ドラム1の表面を摺擦してクリーニングを行うブレードクリーニング方式を採用したものであるが、これに限らず、クリーニングブラシ等の他のクリーニング部材を用いて感光体ドラム1の表面を摺擦してクリーニングするクリーニング方式を採用してもよい。本実施形態のドラムクリーニング装置4は、クリーニングブレード41で感光体ドラム1の表面を摺擦して感光体ドラム1の表面から転写残トナー等をドラムクリーニング装置4の内部に回収する。回収された転写残トナー等は、廃トナー搬送部材42によってドラムクリーニング装置4の外部に配置された廃トナーボトルへ搬送される。
【0018】
潤滑剤塗布装置2は、ステアリン酸亜鉛からなる固形潤滑剤21と、固形潤滑剤21及び感光体ドラム1に当接した状態で回転駆動する潤滑剤塗布ブラシ22と、固形潤滑剤21を潤滑剤塗布ブラシ22の当接方向へ付勢するバネ23と、潤滑剤塗布ブラシ22により感光体ドラム1に塗布された潤滑剤を均一に均す潤滑剤均しブレード24とから構成されている。この潤滑剤塗布装置2は、回転駆動する潤滑剤塗布ブラシ22によって固形潤滑剤21から粉体状の潤滑剤を削り取るとともに、その粉体状の潤滑剤を感光体ドラム1の表面に塗布する。
【0019】
帯電装置3は、帯電ローラ31を感光体表面に接触又は近接して配設したものであるが、放電ワイヤを用いた、いわゆるコロトロンやスコロトロンと言われるコロナ放電器などの他の帯電装置であってもよい。帯電ローラ31は、図示しない帯電バイアス印加手段からAC電圧にDC電圧を重畳したマイナス極性の帯電バイアスが印加されている。したがって、感光体ドラム1の表面は帯電装置3によって所望のマイナス極性電位に一様に帯電する。また、帯電装置3は、帯電ローラ31に付着したトナーを除去するためのクリーニングローラ32が設けられており、このクリーニングローラ32によって帯電ローラ31上のトナーが静電的に除去される。
【0020】
現像装置5は、第一搬送スクリュー53が配設された第一現像剤収容部と、第二搬送スクリュー52が配設された第二現像剤収容部を有しており、第一現像剤収容部の下面には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ51が設置されている。トナー濃度センサ51の検知結果から得られる透磁率から、磁性体であるキャリア粒子とマイナス極性帯電トナーとの混合比を算出することができるので、現像剤のトナー濃度を把握することができる。現像剤中のトナー濃度が所望のトナー濃度となるように、図示しないトナー補給装置から必要に応じてトナーが補給される。第一搬送スクリュー53は、図示しない駆動手段によって回転駆動され、第一現像剤収容部内の現像剤を図面に直交する方向における奥側から手前側に搬送され、第一現像剤収容部と第二現像剤収容部との間の仕切り壁に設けられた図示しない連通口を経て、第二現像剤収容部内に進入する。第二現像剤収容部内の第二搬送スクリュー52は、図示しない駆動手段によって回転駆動されることで、現像剤を図中手前側から奥側に搬送される。第二搬送スクリュー52の上方には、現像剤担持体としての現像スリーブ50が第二搬送スクリュー52と平行な姿勢で配設されている。現像スリーブ50は、図中反時計回り方向に回転駆動されている。現像スリーブ50は、アルミニウム等の非磁性材料からなり、表面をサンドブラストで粗面化処理されている。現像スリーブ50の内部には、図示しないマグネットが固定配置されており、第二搬送スクリュー52によって搬送される現像剤の一部は、このマグネットの発する磁力によって現像スリーブ50の表面に汲み上げられる。そして、現像スリーブ50と所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード54によってその層厚が規制された後、感光体ドラム1と対向する現像領域まで搬送され、図示しない現像バイアス印加手段から現像スリーブ50に印加される現像バイアスによって、感光体ドラム1上に形成された静電潜像にトナーを付着させ、トナー像を形成する。現像によってトナーを消費した現像剤は、現像スリーブ50の回転に伴って第二搬送スクリュー52上に戻される。そして、図中奥端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第一現像剤収容部内に戻る。
【0021】
トナー濃度センサ51による現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。現像剤の透磁率は、現像剤のトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ51はトナー濃度に応じた値の電圧を出力する。上記制御部はRAM等の情報記憶手段を備えており、この中にトナー濃度センサからの出力電圧の目標値であるVrefを格納しており、トナー濃度センサからの出力電圧値とVrefを比較し、図示しないトナー補給装置から比較結果に応じた量のトナーを現像装置5の第一現像剤収容部の図中奥側から補給し、現像剤中のトナー濃度を所望の値に維持する。トナー濃度センサ51とトナー補給装置によるトナー補強制御は、各色個別に実施される。
【0022】
4つのプロセスユニットの図中下方には、潜像形成手段としての露光ユニット30が配設されている。露光ユニット30は、画像情報に基づいてレーザダイオード(LD)から発したレーザ光Lを、各プロセスユニットの感光体ドラム1の表面に照射する。レーザ光Lが照射される感光体ドラム1の表面は、帯電装置3によりマイナス極性の所望電位に帯電されているが、レーザ光Lが照射された露光部分は、電位が落とされてゼロ電位に近い値となる。これにより、露光部分と非露光部分との間で電位差が生じ、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。なお、露光ユニット30は、光源たるレーザーダイオードから発したレーザ光をモータによって回転駆動されるポリゴンミラーによって走査され、複数の光学レンズやミラーを介して感光体ドラム表面に照射するものである。かかる構成に代えて、LEDアレイを採用した構成を採用することもできる。
【0023】
露光ユニット30の下方には、給紙カセット200が配設されている。給紙カセット200内には、記録材である記録紙が収容されており、一番上の記録紙には給紙ローラ71が当接している。図示しない駆動手段によって、所定のタイミングで給紙ローラ71が反時計回りに回転駆動されると、記録紙がカセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路に向けて排出される。給紙路に送られた記録紙は、上方に向けて搬送され、レジストローラ対72に到達して一旦停止される。そして、中間転写ベルト60上に形成されたトナー画像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ72を所定のタイミングで駆動し、記録紙を二次転写ニップに向けて送り出す。
【0024】
各プロセスユニットの上方には、像担持体である中間転写体としての中間転写ベルト60を張架しながら図中反時計回りに無端移動させる転写手段としての転写ユニットが配設されている。この転写ユニットは、中間転写ベルト60のほか、ベルトクリーニングユニット61、各色の感光体ドラムの対向する位置に配設された一次転写ローラ6Y,6C,6M,6K、外部からの駆動を受け中間転写ベルトを駆動せしめる駆動ローラ62、ベルトテンションローラ63等で構成されている。なお、駆動ローラ62は、二次転写ローラ64の対向ローラを兼ねている。中間転写ベルト60は、これらのローラ6Y,6C,6M,6K,62,63に張架されながら、駆動ローラ62の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動される。
【0025】
一次転写ローラ6Y,6C,6M,6Kは、中間転写ベルト60を挟んで感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kに当接し、一次転写ニップを形成している。一次転写ローラ6Y,6C,6M,6Kには、トナーの正規帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加されており、感光体ドラム上のトナー像はこの転写バイアスによって中間転写ベルト60上に転写される。各感光体ドラム上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト60上で互いに重なり合うように順次一次転写され、中間転写ベルト上にトナー画像が形成される。
【0026】
中間転写ベルト60の外側には、駆動ローラ62に対して中間転写ベルト60を挟んで対向する位置に二次転写ローラ64が配設されており、二次転写ローラ64と中間転写ベルト60とによって二次転写ニップが形成されている。中間転写ベルト60上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト60の回転駆動によって二次転写ニップに移動され、同時に、レジストローラ72からトナー画像の二次転写ニップ進入と同期して記録紙が二次転写ニップに進入される。トナー画像は、二次転写ローラ64と駆動ローラ62との間に形成される二次転写電界とニップ圧によって、記録紙に二次転写される。二次転写電界は、駆動ローラ62にトナーと同極性の転写バイアスを印加し、二次転写ローラ64を接地することで形成している。
【0027】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト60上には、記録紙に転写されなかった転写残トナーが僅かに残って付着している。これは、ベルトクリーニングユニット61によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット61は、クリーニングブレードを中間転写ベルト60の表面に当接させて、中間転写ベルト60上の転写残トナーを掻きとって除去する。中間転写ベルト60上から除去された転写残トナーは、廃トナーボトルに収容され、廃棄される。
【0028】
二次転写ニップの上方には、定着ユニット80が配設されている。この定着ユニット80は、電磁誘導発熱層を内包する加熱部材と、加熱部材に対して所定圧力で当接して定着ニップを形成する加圧部材とから構成される。二次転写ニップを通過した記録紙は、中間転写ベルト60から分離した後、定着ユニット80内に送られる。そして、定着ユニット80の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、加熱部材によって加熱され、同時に定着ニップで加圧されてトナー画像が記録紙上に定着せしめられる。このようにして定着処理が施された記録紙は、排紙ローラ対を経由して機外に排出され、プリンタ本体の上面にスタックされる。
【0029】
また、転写ユニットの上方には、Y、C、M、Kトナーを収容する各色のトナーボトルが配設されている。トナーボトルに収容された各色のトナーは、各色のプロセスユニットの現像装置に適宜供給される。これらトナーボトルは、プリンタ本体から脱着可能となっており、ボトル内のトナー残量がなくなると、トナーボトルを交換できるかたちになっている。
【0030】
次に、本発明の特徴部分である画像濃度条件変更処理としての現像ポテンシャル変更処理について説明する。
図3は、画像領域全体に所定濃度の均一なベタ画像を形成するための入力画像と、その入力画像の情報に基づいて形成された出力画像(単一画像)とを示す説明図である。
図4は、画像先端からの長さと画像濃度との関係を示すグラフである。
現像スリーブ50は、入力画像情報に対応した感光体ドラム1上の静電潜像の先端が現像領域に到達する前に回転駆動が開始され、その静電潜像の先端が現像領域に到達した際には既に1周以上は空回転した状態となる。このような空回転が行われた後に現像を行うと、上述したとおり、図3に示すような画像濃度ムラが発生する。この画像濃度ムラは、現像スリーブ50の一周分の長さに相当するピッチ(以下「スリーブピッチ」という。)Lで生じる。なお、ここでは、画像濃度変化が3段階である場合について例示しているが、2段階の場合もあれば、4段階以上である場合もある。この画像濃度ムラは、前回に画像形成した画像パターンによらずに起こることが確認されている。
【0031】
この画像濃度ムラが生じる原因は、既に述べたとおりである。すなわち、現像ポテンシャルは、画像全面を作像中は常に一定になるように設定されているにもかかわらず、空回転中における現像領域内の電界の影響によって現像スリーブ50の表面にトナーが多数付着することによって、実効的な現像ポテンシャルが高くなることに起因する。
【0032】
この点について補足説明すると、本実施形態では、現像スリーブ50に対し、ほぼゼロ電位である露光部電位(静電潜像電位)と、帯電装置3によるマイナス極性の帯電電位である非露光部電位(非静電潜像電位)との間の電位である現像バイアスが印加される。そのため、現像スリーブ50と静電潜像との間には、マイナス極性に帯電したトナーを静電潜像側へ移動させる現像電界が形成される一方、現像スリーブ50と非静電潜像との間には、マイナス極性に帯電したトナーを現像スリーブ側へ移動させる電界(反現像電界)が形成される。現像スリーブ50が空回転している間、現像領域の感光体ドラム1の表面はすべて非静電潜像であるため、現像領域を通過する際に現像スリーブ50上の現像剤中のトナーは反現像電界の作用により現像スリーブ50の表面へ移動し、現像スリーブ50の表面に付着する。マイナス極性に帯電したトナーが現像スリーブ50の表面に付着すると、マイナス極性の現像バイアスが印加された現像スリーブ50の表面の見かけ上の電位が上昇する(マイナス側へシフトする)。その結果、現像スリーブ50と静電潜像との間の電位差(現像ポテンシャル)が増大するため、図4に示すように、画像先端側箇所(画像先端からの距離が0〜2Lの画像箇所)の画像濃度ID1,ID2が目標の画像濃度ID0よりも高くなる。
【0033】
なお、空回転時に現像スリーブ50の表面に付着したトナーの少なくとも一部は、最初の一周の現像によって消費されるため、次の一周の現像時は、最初の一周よりも実効的な現像ポテンシャルは低下する。そのため、図4に示すように、画像先端からの距離が0〜Lである画像箇所(以下「第1濃度上昇画像箇所」という。)の画像濃度ID1よりも、画像先端からの距離がL〜2Lである画像箇所(以下「第2濃度上昇画像箇所」という。)の画像濃度ID2の方が低い値をとる。本実施形態では、現像開始後の1周目だけでは現像スリーブ50の表面に付着したトナーを消費しきれないため、2週目の画像濃度ID2は目標値ID0よりもまだ高い値となっているが、現像開始後に現像スリーブ50が2周すれば現像スリーブ50の表面に付着したトナーの大部分を消費することができるので、3週目以降の画像濃度ID0は目標値ID0とほぼ同じ値となる。
【0034】
ここで、画像濃度の上昇が発生する画像先端側箇所における現像スリーブ50の一周期に対応する長さをL[mm]、感光体ドラム1の回転周速をVp[mm/s]、現像スリーブ50の回転周速をVs[mm/s]、現像スリーブ50の直径をDs[mm]とすると、下記の式(1)より求められる。
L = π×Ds/(Vs/Vp) ・・・(1)
【0035】
〔実施例1〕
以下、本実施形態における現像ポテンシャル変更処理の実施例(以下、本実施例を「実施例1」という。)について説明する。
本実施例1では、リコーImagioMPC4500をベースとした実験機を用いて、現像ポテンシャル変更処理を実行し、その効果について確認した。
【0036】
本実施例1における主な作像条件は、以下のとおりである。
・感光体帯電電位Vd = −700[V]
・感光体回転周速Vp = 205[mm/s]
・現像スリーブ回転周速Vs = 369[mm/s]
・現像スリーブ直径Ds = 18[mm]
【0037】
図5は、本実施例1における現像ポテンシャル変更処理における現像ポテンシャルの変更方法を説明するためのグラフである。
このグラフにおいて、時刻tは、画像先端が現像領域に到達する時刻であり、時刻t1は、時刻tから現像スリーブ50が1周した後の時刻であり、時刻t2は、時刻tから現像スリーブ50が2周した後の時刻である。
本実施例1において、画像濃度の上昇が発生する画像先端側箇所における現像スリーブ50の一周期に対応する長さL[mm]は、上記式(1)より、L=π×18[mm]÷(369[mm/s]÷205[mm/s])≒31mmである。
また、本実施例1において、現像スリーブ50の一周期は、π×18mm÷369mm/s≒150msとなる。
【0038】
本実施例1においては、第1濃度上昇画像箇所(画像先端からの距離が0〜L)と、第2濃度上昇画像箇所(画像先端からの距離がL〜2L)について、その現像処理中における現像ポテンシャルを次のように変更する。まず、第1濃度上昇画像箇所の現像処理中(t〜t1の期間)においては現像ポテンシャルがVP1となるように設定し、第2濃度上昇画像箇所の現像処理中(t1〜t2の期間)においては現像ポテンシャルがVP2となるように設定する。
【0039】
第1現像ポテンシャルVP1は、画像濃度が目標濃度とほぼ一致する濃度定常画像箇所(現像スリーブ50の3週目以降の画像箇所)の現像処理における定常時現像ポテンシャルVP0に対し、ΔVだけ小さい値に設定されている。この下げ幅ΔVは、空回転中における現像スリーブ表面へのトナー付着により上昇する現像ポテンシャルの上昇量に相当する値であり、実験等により決定することができる。
また、第2現像ポテンシャルVP2は、定常時現像ポテンシャルVP0に対してΔVだけ小さい値に設定されている。この下げ幅ΔVは、空回転中における現像スリーブ表面へのトナー付着により上昇する現像ポテンシャルの上昇量から、現像スリーブを1回転させた後にも現像スリーブ表面に残存するトナーによって上昇する現像ポテンシャルの上昇量に相当する値であり、実験等により決定することができる。
【0040】
現像ポテンシャルの変更方法としては、現像ポテンシャルをごく短時間で迅速に変更できる方法であれば、どのような方法であってもよい。例えば、本実施形態のように、露光手段である露光ユニット30により感光体ドラム1に対して画像情報に応じた露光処理を行うことで感光体ドラム上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、その露光部(静電潜像部分)のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで現像処理を行う場合には、露光ユニット30の光源であるレーザダイオード(LD)から照射するレーザ光Lのパワー(露光強度)を変更する方法を採用できる。LDの露光パワーと現像ポテンシャルとの関係は、図6に示すように、所定範囲内であれば比例関係となる。よって、この比例関係を利用して、図6に示すように、現像スリーブ50の空回転直後の現像スリーブ1周目における露光パワーをPとし、現像スリーブ2周目における露光パワーをPとする。これらの露光パワーP,Pは、P<Pであって、いずれも、定常時現像ポテンシャルVP0のときの露光パワーよりも小さい値である。このように露光ユニット30の露光パワーを制御することで、図5に示したような現像ポテンシャルVP1,VP2が得られる。その結果、第1濃度上昇画像箇所と第2濃度上昇画像箇所の画像濃度は、図7に示すように、それぞれ、このような制御を行わない場合の画像濃度ID1,ID2よりも目標の画像濃度ID0よりに近い画像濃度ID1’,ID2’となる。
【0041】
また、現像ポテンシャルを変更する他の方法としては、例えば、本実施形態のように、露光手段である露光ユニット30により感光体ドラム1に対して画像情報に応じた画素単位でドット潜像を形成する露光処理を行うことで感光体ドラム上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、その露光部(静電潜像部分)のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで現像処理を行う場合には、露光ユニット30による一画素あたりの露光時間を変更する方法を採用できる。一画素(1ドット)当たりのLDの露光時間(以下「単位露光時間」という。)と現像ポテンシャルとの関係は、図8に示すように、所定範囲内であれば比例関係となる。よって、この比例関係を利用して、図8に示すように、現像スリーブ50の空回転直後の現像スリーブ1周目における単位露光時間をTとし、現像スリーブ2周目における単位露光時間をTとする。これらの単位露光時間T,Tは、T<Tであって、いずれも、定常時現像ポテンシャルVP0のときの単位露光時間よりも短い時間である。このように露光ユニット30の単位露光時間を制御することで、図5に示したような現像ポテンシャルVP1,VP2が得られる。その結果、第1濃度上昇画像箇所と第2濃度上昇画像箇所の画像濃度は、図7に示すように、それぞれ、このような制御を行わない場合の画像濃度ID1,ID2よりも目標の画像濃度ID0よりに近い画像濃度ID1’,ID2’となる。
【0042】
また、現像ポテンシャルを変更する更に他の方法としては、例えば、本実施形態のように、現像処理が、現像スリーブ50に現像バイアスを印加することにより現像電界を現像領域に形成することで、現像スリーブ50に担持された現像剤中のトナーを感光体ドラム1上の静電潜像へ静電的に移動させるものである場合には、その現像バイアスの大きさを変更する方法を採用できる。現像バイアスと現像ポテンシャルとの関係は、図9に示すように、所定範囲内であれば比例関係となる。よって、この比例関係を利用して、図9に示すように、現像スリーブ50の空回転直後の現像スリーブ1周目における現像バイアスをVB1、現像スリーブ2周目における現像バイアスをVB2とする。これらの現像バイアスVB1,VB2は、VB1<VB2であって、いずれも、定常時現像ポテンシャルVP0のときの現像バイアスよりも低い値である。このように現像装置5の現像スリーブ50に印加する現像バイアスを制御することで、図5に示したような現像ポテンシャルVP1,VP2が得られる。その結果、第1濃度上昇画像箇所と第2濃度上昇画像箇所の画像濃度は、図7に示すように、それぞれ、このような制御を行わない場合の画像濃度ID1,ID2よりも目標の画像濃度ID0よりに近い画像濃度ID1’,ID2’となる。
【0043】
〔実施例2〕
以下、本実施形態における現像ポテンシャル変更処理の他の実施例(以下、本実施例を「実施例2」という。)について説明する。
上記実施例1において、定常時現像ポテンシャルVP0に対する第1現像ポテンシャルVP1及び第1現像ポテンシャルVP2の下げ幅ΔV1,ΔV2をそれぞれ、温度にかかわらず一定に設定した場合、次のような問題が発生する。すなわち、下げ幅ΔV1,ΔV2を決定した際の想定温度よりも低い温度環境(低温環境)下では、図10のように、濃度定常画像箇所よりも、その画像先端箇所(特に第1濃度上昇画像箇所)の画像濃度が高くなってしまう。逆に、下げ幅ΔV1,ΔV2を決定した際の想定温度よりも高い温度環境(高温環境)下では、図11のように、濃度定常画像箇所よりも、その画像先端箇所(特に第1濃度上昇画像箇所)の画像濃度が低くなってしまう。
【0044】
本実施例2では、このような温度変化によって生じ得る画像濃度ムラの発生を抑制するために、次のような現像ポテンシャル変更処理を行う。
図12は、第1現像ポテンシャルVP1と第2現像ポテンシャルVP2を固定した状態で、湿度一定の下、温度を変化させたときの、第1濃度上昇画像箇所(図10及び図11に示すA〜Bの画像箇所)と濃度定常画像箇所(図10及び図11に示すC〜Dの画像箇所)との画像濃度差ΔIDの変化、及び、第2濃度上昇画像箇所(図10及び図11に示すB〜Cの画像箇所)と濃度定常画像箇所との画像濃度差ΔID2の変化、を示すグラフである。
このグラフにより、温度と各画像濃度差ΔID1,ΔID2との関係は反比例の関係にあることが確認された。この結果を受けて、本実施例2では、第1現像ポテンシャルVP1の下げ幅ΔV及び第2現像ポテンシャルVP2の下げ幅ΔV2を、それぞれ、下記の表1に示すとおりに設定した。
【表1】

【0045】
具体的には、温度検知手段としての温度センサを本プリンタ内に設置し、そのセンサ出力をプリンタ本体の制御部に出力させる。また、上記表1に対応したデータテーブルを記憶部に保持しておく。制御部は、上述した現像ポテンシャル変更処理を行うにあたり、まず、温度センサのセンサ出力から現在の温度を把握し、その把握した温度に対応する第1現像ポテンシャル及び第2現像ポテンシャルの下げ幅ΔV1,ΔV2を、記憶部のデータテーブルを参照して決定する。その後、制御部は、第1現像ポテンシャルVP1が、決定した下げ幅ΔV1を定常時現像ポテンシャルVP0から差し引いた値となるように、かつ、第2現像ポテンシャルVP2が、決定した下げ幅ΔVを定常時現像ポテンシャルVP0から差し引いた値となるように、現像ポテンシャル変更処理を実行する。その結果、温度によらず、図7に示すように、画像濃度のほぼ均一な画像を出力することができる。
【0046】
〔実施例3〕
以下、本実施形態における現像ポテンシャル変更処理の更に他の実施例(以下、本実施例を「実施例3」という。)について説明する。
上記実施例1において、定常時現像ポテンシャルVP0に対する第1現像ポテンシャルVP1及び第1現像ポテンシャルVP2の下げ幅ΔV1,ΔV2をそれぞれ、湿度にかかわらず一定に設定した場合、上記実施例2で説明した温度変化が生じる場合と同様の問題が発生する。すなわち、下げ幅ΔV1,ΔV2を決定した際の想定よりも低い湿度環境(低湿環境)下でも、図10のように、濃度定常画像箇所よりも、その画像先端箇所(特に第1濃度上昇画像箇所)の画像濃度が高くなってしまう。逆に、下げ幅ΔV1,ΔV2を決定した際の想定湿度よりも高い湿度環境(高湿環境)下では、図11のように、濃度定常画像箇所よりも、その画像先端箇所(特に第1濃度上昇画像箇所)の画像濃度が低くなってしまう。
【0047】
本実施例3では、このような湿度変化によって生じ得る画像濃度ムラの発生を抑制するために、次のような現像ポテンシャル変更処理を行う。
図13は、第1現像ポテンシャルVP1と第2現像ポテンシャルVP2を固定した状態で、温度一定の下、湿度を変化させたときの、第1濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差ΔIDの変化、及び、第2濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差ΔID2の変化、を示すグラフである。
このグラフにより、湿度と各画像濃度差ΔID1,ΔID2との関係は反比例の関係にあることが確認された。この結果を受けて、本実施例3では、第1現像ポテンシャルVP1の下げ幅ΔV及び第2現像ポテンシャルVP2の下げ幅ΔV2を、それぞれ、下記の表2に示すとおりに設定した。
【表2】

【0048】
具体的には、湿度検知手段としての湿度センサを本プリンタ内に設置し、そのセンサ出力をプリンタ本体の制御部に出力させる。また、上記表2に対応したデータテーブルを記憶部に保持しておく。制御部は、上述した現像ポテンシャル変更処理を行うにあたり、まず、湿度センサのセンサ出力から現在の湿度を把握し、その把握した湿度に対応する第1現像ポテンシャル及び第2現像ポテンシャルの下げ幅ΔV1,ΔV2を、記憶部のデータテーブルを参照して決定する。その後、制御部は、第1現像ポテンシャルVP1が、決定した下げ幅ΔV1を定常時現像ポテンシャルVP0から差し引いた値となるように、かつ、第2現像ポテンシャルVP2が、決定した下げ幅ΔVを定常時現像ポテンシャルVP0から差し引いた値となるように、現像ポテンシャル変更処理を実行する。その結果、湿度によらず、図7に示すように、画像濃度のほぼ均一な画像を出力することができる。
【0049】
なお、上述した実施例2及び3を組み合わせて、温度と湿度の両方を考慮した現像ポテンシャル変更処理を行うようにしてもよい。
【0050】
〔実施例4〕
以下、本実施形態における現像ポテンシャル変更処理の更に他の実施例(以下、本実施例を「実施例4」という。)について説明する。
上述した実施例2及び3では、第1濃度上昇画像箇所や第2濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差が、温度や湿度などの環境変化によって変化する問題に対し、その問題を発生させる原因(温度変化、湿度変化)の現状を把握して当該画像濃度差を小さくするという対応方法である。しかしながら、当該画像濃度差に変化を生じさせる原因は、温度変化や湿度変化に限らず、現像剤の状態変化(トナー帯電量の変化、キャリアやトナーの劣化状態等)などの他の要因にも起因する。
【0051】
図14は、低温低湿環境(10℃、15%)下において、現像剤を交換してから画像形成回数が相当進んだ状況での現像剤(劣化剤)を用いて画像形成を行ったときの、画像先端からの長さと画像濃度との関係を示すグラフである。
このグラフと、一般的なオフィス環境(23℃、50%)下において、現像剤を交換した直後の現像剤(初期剤)を用いて画像形成を行ったときの図4に示したグラフとを比較する。なお、両者の濃度定常画像箇所の画像濃度ID0,ID20は、互いに一致するように画像濃度条件が調整されている。これらのグラフを比較してわかるように、図14に示すグラフの第1濃度上昇画像箇所及び第2濃度上昇画像箇所の画像濃度ID21,ID22は、いずれも、図4に示したグラフの画像濃度ID1,ID2よりも高いものとなっている。
【0052】
このような現像剤の状態変化は、温度や湿度のように直接的に検知することが困難である。しかも、第1濃度上昇画像箇所や第2濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差に変化を生じさせる原因は、温度変化、湿度変化、現像剤の状態変化などの様々な要因が複合的に寄与したものであるため、当該画像濃度差の変化を生じさせる原因ごとに、その現状を把握して当該画像濃度差を小さくするという対応方法では、画像濃度差を十分に小さくできない場合が起こり得る。
【0053】
そこで、本実施例4においては、次のような現像ポテンシャル変更処理を行う。
所定の非画像形成タイミングで、通常の画像形成動作と同じ動作によって、感光体ドラム表面移動方向に延びる縦帯状の静電潜像を形成し、これを現像装置5によって現像して、図15に示すような基準濃度パターンを形成する。この基準濃度パターンは、後述する濃度センサの読み取り面積Sよりも大きいパターンであることが望ましい。なお、必要な基準濃度パターンの部分は、現像スリーブ50の一回転周期に対応する距離以上の間隔をあけて部分だけなので、図16に示すように、この間隔をあけて形成した複数の濃度パターンで基準濃度パターンを構成してもよい。
【0054】
本実施例4では、当該基準濃度パターンが通過する箇所に、その基準濃度パターンの画像濃度を検知するための画像濃度検知手段としての濃度センサ(反射型光学センサ)を設けている。この濃度センサは、基準濃度パターンが通過する箇所であれば、感光体ドラム1の表面に対向する箇所でも、中間転写ベルト60の表面に対向する箇所でもよい。そして、本実施例4において、制御部は、このようにして形成された基準濃度パターンに対し、基準濃度パターンの先端から現像スリーブ50の一回転周期に対応する距離Lまでの箇所(第1検知箇所)内の画像濃度、その第1検知箇所の後端から現像スリーブ50の一回転周期に対応する距離Lまでの箇所(第2検知箇所)内の画像濃度、その第2検知箇所の後端以降の箇所(第3検知箇所)の画像濃度を、濃度センサで検知する。そして、制御部は、このようにして把握した各検知箇所の画像濃度から、第1検知箇所の画像濃度と第3検知箇所の画像濃度との第1差分値ΔID31と、第2検知箇所の画像濃度と第3検知箇所の画像濃度との第2差分値ΔID32とを算出する。
【0055】
図17は、濃度センサにより検出される画像濃度に基づく濃度差ΔIDと、その濃度差を生じさせるために必要な現像ポテンシャルの差分値ΔVとの関係を示すグラフである。
本実施例4において、制御部は、この比例関係を利用して、図17に示すように、第1差分値ΔID31に対応する現像ポテンシャルの差分値(下げ幅)ΔV1を特定する。そして、定常時現像ポテンシャルVP0に対し、特定した下げ幅ΔVだけ小さい値を、第1現像ポテンシャルVP1として決定する。同様に、制御部は、この比例関係を利用して、図17に示すように、第2差分値ΔID32に対応する現像ポテンシャルの差分値(下げ幅)ΔV2を特定する。そして、定常時現像ポテンシャルVP0に対し、特定した下げ幅ΔV2だけ小さい値を、第2現像ポテンシャルVP2として決定する。その後、制御部は、画像形成動作を行う際の現像ポテンシャル変更処理において、第1濃度上昇画像箇所の現像ポテンシャルがこのように決定した第1現像ポテンシャルVP1となるように、かつ、第2濃度上昇画像箇所の現像ポテンシャルがこのように決定した第2現像ポテンシャルVP2となるように、露光パワー、単位露光時間、現像バイアスなどを変更する処理を行う。その結果、直接的に検知することが困難な現像剤の状態変化に起因した画像濃度差の発生や、複合的な要因に生じる画像濃度差の発生を抑制することができる。
【0056】
なお、本実施例4の現像ポテンシャル変更処理は、前回の基準濃度パターン形成時からその次の基準濃度パターン形成時までの期間中における、第1濃度上昇画像箇所や第2濃度上昇画像箇所と濃度定常画像箇所との画像濃度差に変化を生じさせる要因の変動には対応できない。したがって、この期間中の要因変動にも対応する場合には、上述した実施例2や実施例3のように、当該画像濃度差の変化を生じさせる原因ごとに、その現状を把握して当該画像濃度差を小さくするという対応方法を組み合わせてもよい。
また、本実施例4において、基準濃度パターンを形成して第1現像ポテンシャル及び第2現像ポテンシャルの下げ幅ΔV1,ΔV2を特定する処理を実行する所定の非画像形成タイミングは、ジョブエンド時であってもよいし、ジョブ前であってもよいし、紙間であってもよいし、プロセスコントロール実行時等であってもよい。
【0057】
以上、本実施形態に係るプリンタは、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像スリーブ50を表面移動(回転)させることで、現像スリーブ50と潜像担持体としての感光体ドラム1とが互いに対向する現像領域へ現像剤を供給し、現像領域にて現像剤中のトナーを感光体ドラム上の静電潜像へ付着させることにより現像処理して得たトナー像を、最終的に記録材としての記録紙上に転写して記録紙上に画像を形成する画像形成装置である。そして、このプリンタは、1つの記録紙上に形成される画像(単一画像)に対する画像濃度条件としての現像ポテンシャルを現像スリーブ50の表面移動周期(回転周期)で所定回数(本実施形態では2回)変更する画像濃度条件変更処理を行う画像濃度条件変更手段としての制御部を有する。これにより、二成分現像方式において、現像スリーブ50が1周以上空回転した直後に形成される画像先端から少なくとも現像スリーブ一回転周期に対応する長さLを有する画像先端側箇所A〜Cの画像濃度を目標値に近付けることができる。その結果、単一画像中における画像先端側箇所A〜Cの画像濃度と残りの画像箇所C〜Dとの画像濃度差を小さくでき、当該単一画像の画像濃度ムラを抑制することができる。
特に、本実施形態においては、画像先端から現像スリーブ50の回転周期に対応するピッチLで画像濃度が変わるように、現像ポテンシャルを複数回変更する。これにより、空回転後の現像時に現像スリーブ50を1周させるだけでは現像ポテンシャルが定常時現像ポテンシャルまで回復しない場合でも、単一画像の画像濃度ムラを抑制することができる。
また、上記実施例2では、温度検知手段としての温度センサを設け、変更する現像ポテンシャルの設定内容を温度センサの検知結果に基づいて修正するので、温度によらず、画像濃度のほぼ均一な画像を出力することができる。
また、上記実施例3では、湿度検知手段としての湿度センサを設け、変更する現像ポテンシャルの設定内容を湿度センサの検知結果に基づいて修正するので、湿度によらず、画像濃度のほぼ均一な画像を出力することができる。
また、上記実施例1で説明したように、露光手段である露光ユニット30により感光体ドラム1に対して画像情報に応じた露光処理を行うことで感光体ドラム上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、その露光部(静電潜像部分)のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで現像処理を行う場合には、露光ユニット30の光源であるレーザダイオード(LD)から照射するレーザ光Lのパワー(露光強度)を変更することで、現像ポテンシャルを変更することができる。
また、上記実施例1で説明したように、露光手段である露光ユニット30により感光体ドラム1に対して画像情報に応じた画素単位でドット潜像を形成する露光処理を行うことで感光体ドラム上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、その露光部(静電潜像部分)のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで現像処理を行う場合には、露光ユニット30による一画素あたりの露光時間を変更することで、現像ポテンシャルを変更することができる。
また、上記実施例1で説明したように、現像処理が、現像スリーブ50に現像バイアスを印加することにより現像電界を現像領域に形成することで、現像スリーブ50に担持された現像剤中のトナーを感光体ドラム1上の静電潜像へ静電的に移動させるものである場合には、その現像バイアスの大きさを変更することで、現像ポテンシャルを変更することができる。
また、上記実施例4においては、露光手段である露光ユニット30により感光体ドラム1に対して画像情報に応じた露光処理を行うことで感光体ドラム1上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、その露光部のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで現像処理を行う場合において、所定の非画像形成タイミングで、現像スリーブ50の一回転周期に対応する距離L以上の間隔をあけた複数箇所の画像濃度を把握するための基準濃度パターンを形成するための露光処理を行い、これにより得られる静電潜像に対して現像処理を行ってトナーを付着させて当該基準濃度パターンを形成し、その基準濃度パターンにおけると当該複数箇所(第1検知箇所、第2検知箇所、第3検知箇所)の画像濃度を画像濃度検知手段としての濃度センサにより検知した結果に基づいて、変更する現像ポテンシャルの設定内容を修正する。これにより、直接的に検知することが困難な現像剤の状態変化等に起因した画像濃度差の発生や、複合的な要因に生じる画像濃度差の発生を抑制することができる。
なお、感光体ドラム1上のトナー像を被転写体である中間転写ベルト60へ転写した後に感光体ドラム1上に残存する転写残トナーを現像スリーブ50に再度担持させて再び現像処理に寄与させるトナーリサイクル手段を設けてもよい。一般に、トナーには粒径分布が存在し、現像されやすいのは付着力の小さな大粒径トナーであるため、トナーリサイクルを行うほど現像ユニット内の小粒径トナーの割合が増加する。付着力の大きな小粒径トナーは、現像スリーブ50の表面に付き易いため、空回転後の現像時において画像先端箇所における現像ポテンシャルの上昇を招きやすい。上記実施例4のプリンタは、上述したとおり、このような現像ポテンシャルの上昇を招く場合でも、画像濃度差の発生を抑制できるので、トナーリサイクル手段を設けたプリンタにおいて有効な構成である。
【符号の説明】
【0058】
1 感光体ドラム
5 現像装置
50 現像スリーブ
60 中間転写ベルト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開平9−106175号公報
【特許文献2】特開2007−86448号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を表面に担持する現像剤担持体を表面移動させることで、該現像剤担持体と潜像担持体とが互いに対向する現像領域へ二成分現像剤を供給し、該現像領域にて二成分現像剤中のトナーを潜像担持体上の潜像へ付着させることにより現像処理して得たトナー像を、最終的に記録材上に転写して記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
1つの記録材上に形成される単一画像に対する画像濃度条件を上記現像剤担持体の表面移動周期で所定回数変更する画像濃度条件変更処理を行う画像濃度条件変更手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記画像濃度条件変更手段は、上記単一画像の先端から上記現像剤担持体の表面移動周期に対応するピッチで画像濃度が変わるように、上記画像濃度条件変更処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
温度検知手段を有し、
上記画像濃度条件変更手段は、該温度検知手段の検知結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
湿度検知手段を有し、
上記画像濃度条件変更手段は、該湿度検知手段の検知結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
露光手段により潜像担持体に対して画像情報に応じた露光処理を行うことで該潜像担持体上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、該露光部のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで上記現像処理を行うものであって、
上記画像濃度条件は、上記露光手段の露光強度を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
露光手段により潜像担持体に対して画像情報に応じた画素単位で露光処理を行うことで該潜像担持体上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、該露光部のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで上記現像処理を行うものであって、
上記画像濃度条件は、上記露光手段による一画素あたりの露光時間であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記現像処理は、上記現像剤担持体に現像バイアスを印加することにより現像電界を現像領域に形成することで、該現像剤担持体に担持された二成分現像剤中のトナーを潜像担持体上の潜像へ静電的に移動させるものであり、
上記画像濃度条件は、上記現像バイアスの大きさであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
露光手段により潜像担持体に対して画像情報に応じた露光処理を行うことで該潜像担持体上の露光部と非露光部との間に電位差を形成し、該露光部のみにトナーを静電的に移動させる現像電界を現像領域に形成することで上記現像処理を行うものであって、
上記画像濃度条件変更手段は、所定の非画像形成タイミングで、上記現像剤担持体の表面移動一周期に対応する距離以上の間隔をあけた複数箇所の画像濃度を把握するための基準濃度パターンを形成するための露光処理を行い、これにより得られる潜像に対して上記現像処理を行ってトナーを付着させて該基準濃度パターンを形成し、該基準濃度パターンにおける該複数箇所の画像濃度を画像濃度検知手段により検知した結果に基づいて、変更する画像濃度条件の内容を修正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
潜像担持体上のトナー像を被転写体へ転写した後に該潜像担持体上に残存する転写残トナーを上記現像剤担持体に再度担持させて再び現像処理に寄与させるトナーリサイクル手段を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−191716(P2011−191716A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60217(P2010−60217)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】