画像表示装置及びその駆動方法
【課題】簡素な構成であるにも拘わらず、色ムラの発生を効果的に防止し得る画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置は、画像形成装置11、コリメート光学系13、光学装置20及び駆動回路30を備え、光学装置20は、導光板22、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を備えており、駆動回路60は補正回路70を備えており、第2回折格子部材40の中心を原点Oとし、原点Oを通る第2回折格子部材40の法線をX軸、原点Oを通る導光22板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と等価の方向に沿った画像形成装置11における画素に応じて異なる値を有する。
【解決手段】画像表示装置は、画像形成装置11、コリメート光学系13、光学装置20及び駆動回路30を備え、光学装置20は、導光板22、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を備えており、駆動回路60は補正回路70を備えており、第2回折格子部材40の中心を原点Oとし、原点Oを通る第2回折格子部材40の法線をX軸、原点Oを通る導光22板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と等価の方向に沿った画像形成装置11における画素に応じて異なる値を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等によって形成された2次元画像を観察者に観察させるために使用される画像表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置によって形成された2次元画像を虚像光学系により拡大虚像として観察者に観察させるために、ホログラム回折格子を用いた虚像表示装置(画像表示装置)が、例えば、特開2007−94175から周知である。
【0003】
この画像表示装置10は、基本的には、図17の(A)に示すように、画像を表示する画像形成装置11と、コリメート光学系13と、画像形成装置11に表示された光が入射され、観察者の瞳50へと導く虚像光学系(光学装置20)とを備えている。ここで、光学装置20は、導光板22と、導光板22に設けられた反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40とを備えている。そして、コリメート光学系13には画像形成装置11の各画素から出射された光が入射され、コリメート光学系13によって導光板22への入射角の異なる複数の平行光が生成され、導光板22に入射される。導光板22の一方の光学面(第1面)23から、平行光が入射され、出射される。一方、導光板22の第1面23と平行である導光板22の他方の光学面(第2面)24に、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40が取り付けられている。
【0004】
導光板22の第1面23から入射した導光板22への入射角の異なる複数の平行光は、第1回折格子部材30に入射され、それぞれの平行光は、平行光のまま、回折反射される。そして、回折反射された平行光は、導光板22の第1面23と第2面24との間で全反射を繰り返しながら進行し、第2回折格子部材40に入射する。第2回折格子部材40に入射した平行光は、回折反射されることで全反射条件から外れ、導光板22から出射され、観察者の瞳50に導かれる。
【0005】
第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板22の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。従って、第2回折格子部材40で回折反射される平行光は、第1回折格子部材30への入射角と等しい角度で回折反射されるので、表示画像がぼけることなく、高い解像度で瞳50において表示される。
【0006】
【特許文献1】特開2007−94175
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この画像表示装置10における第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞は多重化されており、あるいは、回折格子が多層化されている。そして、例えば第1回折格子部材30の拡大した模式的な一部断面図を図17の(B)に示すように、干渉縞の傾斜角φ(第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の表面と干渉縞の成す角度)を一定としたとき、以下の問題が発生する。
【0008】
即ち、画像形成装置11からの出射位置に依存して、複数の平行光の第1回折格子部材30への入射角が異なるため、第1回折格子部材30の種々の領域でブラッグ条件を満たす回折波長(ブラッグ波長)が異なる。また、第2回折格子部材40への入射角も異なるため、第2回折格子部材40の種々の領域でブラッグ条件を満たす回折波長も異なる。そして、以上の結果として、第2回折格子部材40にて回折反射され、導光板22から出射される光によって形成される画像に色ムラが発生してしまう。
【0009】
ここで、ブラッグ条件とは、以下の式(A)を満足する条件を指す。式(A)中、mは正の整数、λは波長、dは格子面のピッチ(干渉縞を含む仮想平面の法線方向の間隔)、Θは干渉縞への入射角の補角を意味する。尚、干渉縞の傾斜角φとは、回折格子部材の表面と干渉縞の成す角度を意味する。干渉縞は、回折格子部材の内部から表面に亙り、形成されている。以下においても同様である。また、入射角ψにて回折格子部材に光が侵入した場合の、Θ、傾斜角φ、入射角ψの関係は、式(B)のとおりであり、図17の(B)に図示する。
【0010】
m・λ=2・d・sin(Θ) (A)
Θ=90°−(φ+ψ) (B)
【0011】
尚、以下の説明において、第2回折格子部材40の中心を原点Oとし、原点Oを通る第2回折格子部材40の法線をX軸、原点Oを通る導光板22の軸線をY軸とする。また、XY平面において、導光板22から出射される光とX軸上の瞳50との成す角度を画角θと呼び、原点Oより第1回折格子部材側の導光板22から出射された光の画角θの値を正の値とする。尚、図17の(A)は、XY平面にて導光板22を切断したときの模式的な断面図である。
【0012】
図13に、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示す。図13からも明らかなように、画角に対応して回折スペクトルが決まっている。例えば、画角θ=+6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は495nm付近に存在しているが(図14の(A)参照)、画角θ=0度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は522nm付近に存在し(図14の(B)参照)、画角θ=−6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は545nm付近に存在する(図15参照)。このような結果を、画角θの違いによる回折効率と回折スペクトルの中心波長との関係として描いたグラフを、図16に模式的に示す。
【0013】
また、光源を例えば発光ダイオード(LED)から構成する場合の発光スペクトル分布を、図16に模式的に示す。各画角における出射光は、光源の発光スペクトル分布と回折効率の積によって決まる。従って、各画角における出射光の色や輝度が異なることになる。それ故、得られた画像に色ムラが発生してしまう。
【0014】
特開2007−94175においては、このような現象の発生を抑制するために、回折格子部材に形成された干渉縞の傾斜角を、回折格子部材の位置に応じて変化させている。このような対処方法は、色ムラの発生防止に極めて有効であるが、回折格子部材に形成された干渉縞の傾斜角を、回折格子部材の位置に応じて変化させるが故に、回折格子部材の製造が困難であるといった問題がある。
【0015】
従って、本発明の目的は、簡素な構成であるにも拘わらず、色ムラの発生を効果的に防止し得る画像表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示装置は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(D)画像形成装置を駆動するための駆動回路、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えており、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0017】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示装置の駆動方法は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(D)画像形成装置を駆動するための駆動回路、
を備えている画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする。
【0018】
尚、以下の説明において、本発明の第1の態様に係る画像表示装置、あるいは、本発明の第1の態様に係る画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を、総称して、単に、本発明の第1の態様に係る画像表示装置と呼ぶ場合がある。
【0019】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示装置は、
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(E)駆動回路、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、
仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路、及び、
仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路、
を備えており、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0020】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示装置の駆動方法は、
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(E)駆動回路、
を備えている画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、
仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路、及び、
仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路、
を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする。
【0021】
尚、以下の説明において、本発明の第2の態様に係る画像表示装置、あるいは、本発明の第2の態様に係る画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を、総称して、単に、本発明の第2の態様に係る画像表示装置と呼ぶ場合がある。
【0022】
本発明の第2の態様に係る画像表示装置においても、光源には、光源を構成する発光素子から出射された光を平行光とするコリメート光学系が備えられていることが好ましい。また、光源は、フィールドシーケンシャル方式に基づき作動させられる形態とすることができる。
【0023】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る画像表示装置は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段、
(B)画像形成手段を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、及び、
(C)画像形成手段から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系、
を備えた画像表示装置であって、
駆動回路は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えており、
補正係数は、少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0024】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る画像表示装置の駆動方法は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段、
(B)画像形成手段を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、及び、
(C)画像形成手段から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系、
を備え、
駆動回路は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする。
【0025】
尚、以下の説明において、本発明の第3の態様に係る画像表示装置、あるいは、本発明の第3の態様に係る画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を、総称して、単に、本発明の第3の態様に係る画像表示装置と呼ぶ場合がある。
【0026】
本発明の第3の態様に係る画像表示装置にあっては、画像形成手段を、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、及び、画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系から構成することができる。あるいは又、画像形成手段を、光源、及び、光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系から構成し、フィールドシーケンシャル方式に基づき光源が作動させられる形態とすることができる。光源には、光源を構成する発光素子から出射された光を平行光とするコリメート光学系が備えられていることが好ましい。
【0027】
また、本発明の第3の態様に係る画像表示装置にあっては、回折光学素子に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状である構成とすることができる。あるいは又、投射光学系は、等しいピッチの干渉縞を有する少なくとも2つの回折光学素子を含む構成とすることができる。
【0028】
上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第3の態様に係る画像表示装置(本発明の第1の態様〜第3の態様に係る画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を含む。以下においても同じ)においては、補正係数を、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数とすることができる。あるいは又、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて(本発明の第1の態様に係る画像表示装置)、また、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて(本発明の第2の態様に係る画像表示装置)、また、回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて(本発明の第3の態様に係る画像表示装置)、単調に増加又は減少する値を有する構成とすることもできる。あるいは又、補正係数を、補正前の駆動信号に基づき得られる画素(仮想の画素)における表示階調よりも小さい表示階調となるように、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数とすることができる。
【0029】
また、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第3の態様に係る画像表示装置において、補正係数を、画素(仮想の画素)における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に基づいて決定される値とすることができる。
【0030】
更には、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様及び第3の態様に係る画像表示装置において、画素に対応した評価値を、画像形成装置あるいは画像形成手段が赤色を表示したときの赤色の色度座標、緑色を表示したときの緑色の色度座標、及び、青色を表示したときの青色の色度座標とすることができ、この場合、補正係数を、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、画像形成装置あるいは画像形成手段が赤色を表示したときの赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、画像形成装置あるいは画像形成手段が緑色を表示したときの緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、画像形成装置あるいは画像形成手段が青色を表示したときの青色の色度座標との一致が得られるような値とすることができる。あるいは又、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第2の態様に係る画像表示装置において、仮想の画素に対応した評価値を、光源が赤色を出射したときに得られる赤色の色度座標、光源が緑色を出射したときに得られる緑色の色度座標、及び、光源が青色を出射したときに得られる青色の色度座標とすることができ、この場合、補正係数を、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、光源が赤色を出射したときに得られる赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、光源が緑色を出射したときに得られる緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、光源が青色を出射したときに得られる青色の色度座標との一致が得られるような値とすることができる。
【0031】
あるいは又、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様及び第3の態様に係る画像表示装置において、画素に応じた補正係数を、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、画像形成装置あるいは画像形成手段が赤色、緑色、及び、青色を表示したときの基準白色の色度座標との一致が得られるような値とすることができる。また、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第2の態様に係る画像表示装置において、仮想の画素に応じた補正係数を、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、光源が赤色、緑色、及び、青色を出射したときに得られる基準白色の色度座標との一致が得られるような値とすることができる。
【0032】
以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第3の態様に係る画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、本発明の画像表示装置と呼ぶ場合がある)において、2次元マトリクス状に配列された画素(仮想の画素を含む)の数をJ×K個とする。J個の画素が配列された方向を、便宜上、Y’軸方向と呼び、K個の画素が配列された方向を、便宜上、Z’軸方向と呼ぶ。Y’軸方向に配列された画素によって、導光板から出射された光に基づきY軸方向に並んだ画像が生成され、Z’軸方向に配列された画素によって、導光板から出射された光に基づきZ軸方向に並んだ画像が生成される。即ち、Y’軸方向は、XY平面に含まれ、あるいは又、XY平面と平行である場合があるし、Z’軸方向は、XZ平面と平行である場合がある。
【0033】
そして、この場合、補正係数の数を、J×K個とすることもできるし、J個とすることもできる。即ち、後者の場合にあっては、Z’軸方向に配列された画素において同じ補正係数を用いる。あるいは又、Jを正の整数(J0)で除した値J/J0(但し、J/J0の値は正の整数)とすることもでき、この場合、J/J0個の画素グループが存在することになるが、各画素グループ内の画素は同じ補正係数を用いればよい。補正係数を、各画素において求めることもできるし、複数の画素毎に求め、補間によって各画素における補正係数を求めてもよい。
【0034】
また、J×K個の画素(仮想の画素を含む)において、画素(仮想の画素)における表示階調を同一階調(例えば最大階調であり、階調を、例えば、8ビット制御する場合、「255」で表される階調)としたときに得られる画像の評価値である赤色の色度座標、緑色の色度座標、及び、青色の色度座標に基づき得られる色再現範囲を、J×K個のそれぞれの画素において、あるいは又、J個のそれぞれの画素において(例えば、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置におけるJ個のそれぞれの画素において)、あるいは又、J/J0個の画素グループの中心に位置する画素において、あるいは、適切な数の画素毎において、実測あるいは理論的に求め、これらの色再現範囲を重ね合わせ、共通の領域(一種の「AND」領域)を所望の色再現範囲とすればよい。あるいは又、共通の領域を、適宜拡げて、この所望の色再現範囲とすればよい。
【0035】
本発明の画像表示装置において、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、異なるP種類(例えば、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。尚、各回折格子層には1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されている。あるいは又、異なるP種類の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応するために、1層の回折格子層から成る第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材にP種類の干渉縞が形成されている構成とすることもできる。あるいは又、画角を例えば三等分して、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、各画角に対応する回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。そして、これらの構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0036】
尚、以下の説明における画角θとは、より厳密には、光学系の物体範囲を光学系の像空間から見たときの視角であると定義される。また、全反射という用語は、内部全反射、あるいは、導光板内部における全反射を意味する。更には、干渉縞の傾斜角とは、回折格子部材(あるいは回折格子層)の表面と干渉縞の成す角度を意味する。
【0037】
本発明の画像表示装置においては、コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光を導光板に入射することが望ましいが、このような、平行光であることの要請は、これらの光が導光板へ入射したときの光波面情報が、第1回折格子部材と第2回折格子部材を介して導光板から出射された後も保存される必要があることに基づく。尚、具体的には、進行方位の異なる複数の平行光を生成するためには、コリメート光学系における焦点距離の所(位置)に、画像形成装置を位置させればよい。ここで、コリメート光学系は、画像形成装置から出射された平行光の画像形成装置における画素の位置情報を、光学装置の光学系における角度情報に変換する機能を有する。また、コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされる場合には、導光板においては、進行方位の異なる複数の平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される。第1回折格子部材においては、導光板に入射された平行光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された平行光が回折反射される。更には、第2回折格子部材においては、導光板の内部を全反射により伝播した平行光が回折反射され、導光板から平行光の状態で出射される。
【0038】
本発明の画像表示装置において、導光板は、導光板の軸線(Y軸方向)と平行に延びる2つの平行面(第1面及び第2面)を有している。ここで、光が入射する導光板の面を導光板入射面、光が出射する導光板の面を導光板出射面としたとき、第1面によって導光板入射面及び導光板出射面が構成されていてもよいし、第1面によって導光板入射面が構成され、第2面によって導光板出射面が構成されていてもよい。前者の場合、第2面に第1回折格子部材及び第2回折格子部材が配置されている。一方、後者の場合、第2面に第1回折格子部材が配置され、第1面に第2回折格子部材が配置されている。
【0039】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を構成する材料として、フォトポリマー材料を挙げることができる。反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材及び第2回折格子部材の構成材料や基本的な構造は、従来の反射型体積ホログラム回折格子の構成材料や構造と同じとすればよい。ここで、反射型体積ホログラム回折格子とは、+1次の回折光のみを回折反射するホログラム回折格子を意味する。
【0040】
回折格子部材には、その内部から表面に亙り干渉縞が形成されているが、係る干渉縞それ自体の形成方法は、従来の形成方法と同じとすればよい。具体的には、例えば、回折格子部材を構成する部材(例えば、フォトポリマー材料)に対して一方の側の第1の所定の方向から物体光を照射し、同時に、回折格子部材を構成する部材に対して他方の側の第2の所定の方向から参照光を照射し、物体光と参照光とによって形成される干渉縞を回折格子部材を構成する部材の内部に記録すればよい。第1の所定の方向、第2の所定の方向、物体光及び参照光の波長を適切に選択することで、回折格子部材の表面における干渉縞の所望のピッチ、干渉縞の所望の傾斜角を得ることができる。
【0041】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層の積層構造から構成する場合、このような回折格子層の積層は、P層の回折格子層をそれぞれ別個に作製した後、P層の回折格子層を、例えば、紫外線硬化型接着剤を使用して積層(接着)すればよい。また、粘着性を有するフォトポリマー材料を用いて1層の回折格子層を作製した後、その上に順次粘着性を有するフォトポリマー材料を貼り付けて回折格子層を作製することで、P層の回折格子層を作製してもよい。
【0042】
導光板を構成する材料として、石英ガラスやBK7等の光学ガラスを含むガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができる。導光板の形状は、平板に限定するものではなく、湾曲した形状を有していてもよい。
【0043】
本発明の第1の態様あるいは第3の態様に係る画像表示装置を構成する画像形成装置として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)、無機EL、発光ダイオード(LED)といった発光素子から構成された画像形成装置;発光素子とライト・バルブ[例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の透過型あるいは反射型の液晶表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)]との組合せから成る画像形成装置を挙げることができる。また、本発明の第2の態様に係る画像表示装置における走査光学系として、光源から出射された光を水平走査及び垂直走査する走査光学系[例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ガルバノ・ミラー]を挙げることができ、光源を構成する発光素子として、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を挙げることができる。ここで、発光素子として、例えば、半導体レーザ素子やLEDを例示することができる。画素(仮想の画素)の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、画素(仮想の画素)の数の具体的な値として、320×240、432×240、640×480、1024×768、1920×1080を例示することができる。
【0044】
例えば、発光素子とライト・バルブとから構成された画像形成装置あるいは光源として、全体として白色光を発光するバックライトと、赤色発光画素、緑色発光画素、及び、青色発光画素を有する液晶表示装置との組合せ以外にも、以下の構成を例示することができる。
【0045】
[画像形成装置−A]
画像形成装置−Aは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズムであり、以下の説明においても同様である)、
を備えており、
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御する。
【0046】
[画像形成装置−B]
画像形成装置−Bは、
(α)青色を発光する第1発光素子、及び、青色を発光する第1発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御するための第1光通過制御装置[一種のライト・バルブであり、例えば、液晶表示装置やデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、LCOSから構成され、以下の説明においても同様である]から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子、及び、緑色を発光する第2発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御するための第2光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子、及び、赤色を発光する第3発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御するための第3光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1光通過制御装置、第2光通過制御装置及び第3光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子から射出された射出光を光通過制御装置へと案内するための手段(光案内部材)として、導光部材、マイクロレンズアレイ、ミラーや反射板、集光レンズを例示することができる。
【0047】
[画像形成装置−C]
画像形成装置−Cは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネル、及び、第1発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための青色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネル、及び、第2発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための緑色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネル、及び、第3発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための赤色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)青色光通過制御装置、緑色光通過制御装置及び赤色光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段を備えており、
光通過制御装置(ライト・バルブ)によってこれらの第1発光パネル、第2発光パネル及び第3発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0048】
[画像形成装置−D]
画像形成装置−Dは、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子を備えた第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子を備えた第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子を備えた第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から射出された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0049】
[画像形成装置−E]
画像形成装置−Eも、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置のそれぞれから射出された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0050】
[画像形成装置−F]
画像形成装置−Fは、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのカラー表示の画像形成装置である。
【0051】
[画像形成装置−G]
画像形成装置−Gは、2次元マトリクス状に配列された発光素子ユニットからの射出光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)を備えており、発光素子ユニットにおける第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を時分割制御し、更に、光通過制御装置によって第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置である。
【0052】
本発明の画像表示装置を構成するコリメート光学系として、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、ホログラムレンズを、単独、若しくは、組み合わせた、全体として正の光学的パワーを持つ光学系を例示することができる。
【0053】
本発明の画像表示装置によって、例えば、HMDを構成することができ、装置の軽量化、小型化を図ることができ、装置装着時の不快感を大幅に軽減させることが可能となるし、更には、製造コストダウンを図ることも可能となる。
【0054】
駆動回路それ自体は周知の回路から構成すればよく、係る駆動回路に補正回路が付属されている。補正回路は、例えば、制御回路、補正データ格納部、演算回路、補正係数生成部、乗算器、加算器等から構成されているが、これらの構成要素それ自体も周知の回路等から構成することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の第1の態様に係る画像表示装置あるいはその駆動方法において、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有し、本発明の第2の態様に係る画像表示装置あるいはその駆動方法において、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有し、本発明の第3の態様に係る画像表示装置あるいはその駆動方法において、補正係数は、少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有する。従って、各画角において画像表示装置から出射される光の色や輝度が異なるといった現象の発生を抑制することができ、得られた画像に色ムラが発生することが無く、高い表示品質を有する画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。尚、以下の説明において、第2回折格子部材の中心を原点Oとし、原点Oを通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点Oを通る導光板の軸線をY軸とし、原点Oを通り、X軸及びY軸に垂直な軸をZ軸とする。即ち、導光板の軸線(Y軸)とは、第2回折格子部材(回折光学素子)に形成された干渉縞に光学的に直交する方向を指し、あるいは又、導光板の内部を全反射により伝播する平行光を巨視的に眺めたときの進行方向を指す。
【実施例1】
【0057】
実施例1は、本発明の第1の態様及び第3の態様に係る画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1の画像表示装置、あるいは又、実施例1の画像表示装置の駆動方法における画像表示装置の概念図を図1に示す。本発明の第1の態様に沿って実施例1の画像表示装置10を説明すると、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置11、
(B)画像形成装置11の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系13、
(C)コリメート光学系13にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置20、及び、
(D)画像形成装置11を駆動するための駆動回路60、
を備えている。そして、光学装置20は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板22、
(b)導光板22に入射された光が導光板22の内部で全反射されるように、導光板22に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板22に配設された第1回折格子部材30、及び、
(c)導光板22の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板22から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板22に配設された第2回折格子部材40、
を備えている。尚、参照番号50は、画像観察者の瞳である。
【0058】
あるいは又、本発明の第3の態様に沿って実施例1の画像表示装置10を説明すると、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段12、
(B)画像形成手段12を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路60、及び、
(C)画像形成手段12から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系21、
を備えている。尚、画像形成手段12は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置11、及び、画像形成装置11の各画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系13から構成されている。また、第2回折格子部材40が回折光学素子に該当する。あるいは又、投射光学系21は、等しいピッチの干渉縞を有する少なくとも2つの回折光学素子を含むが、第2回折格子部材40が一方の回折光学素子に該当し、第1回折格子部材30が他方の回折光学素子に該当する。
【0059】
ここで、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例3にあっては、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を、異なるP種類(具体的には、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成としている。尚、フォトポリマー材料から成る各回折格子層には、1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されており、従来の方法で作製されている。より具体的には、赤色の光を回折反射する回折格子層と、緑色の光を回折反射する回折格子層と、青色の光を回折反射する回折格子層とが積層された構造を、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40は有する。回折格子層(回折光学素子)に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状であり、Z軸方向に平行である。尚、図1においては、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を1層で示した。このような構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0060】
実施例1において、画像形成装置11は、例えば、2次元マトリクス状に配列された複数(例えば、J×K=320×240個)の画素(液晶セル)を備えた液晶表示装置(LCD)から構成され、コリメート光学系13は、例えば、凸レンズから構成され、進行方位の異なる複数の平行光を生成するために、コリメート光学系13における焦点距離の所(位置)に画像形成装置11が配置されている。
【0061】
ここで、導光板22は、導光板22の軸線(Y軸方向)と平行に延びる2つの平行面(第1面23及び第2面24)を有している。第1面23と第2面24とは対向している。そして、第1面23から平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、第1面23から出射される。第1回折格子部材30は、導光板22の第2面24に配設されており、第1面23から導光板22に入射されたこの平行光が導光板22の内部で全反射されるように、導光板22に入射されたこの平行光を回折反射する。更には、第2回折格子部材40は、導光板22の第2面24に配設されており、導光板22の内部を全反射により伝播したこの平行光を、複数回、回折反射し、導光板22から平行光のまま第1面23から出射する。但し、これに限定するものではなく、第2面24によって導光板入射面が構成され、第1面23によって導光板出射面が構成されていてもよい。
【0062】
実施例1において、導光板22にあっては、赤色、緑色及び青色の3色の平行光が内部を全反射により伝播した後、出射される。このとき、導光板22が薄く導光板22の内部を進行する光路が長いため、各画角によって第2回折格子部材40に至るまでの全反射回数は異なっている。より詳細に述べれば、導光板22に入射する平行光のうち、第2回折格子部材40に近づく方向の角度をもって入射する平行光の反射回数は、第2回折格子部材40から離れる方向の角度をもって導光板22に入射する平行光の反射回数よりも少ない。これは、第1回折格子部材30において回折反射される出射角が、第2回折格子部材40に近づく方向の角度をもって入射する平行光の方が、これと逆方向の角度をもって入射する平行光の出射角よりも大きくなるからである。また、第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板22の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。従って、第2回折格子部材40において回折反射される各平行光の出射角は、第1回折格子部材30への入射角と等しい。後述する実施例2〜実施例3においても同様である。
【0063】
駆動回路60は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路70を備えている。そして、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11における画素に応じて異なる値を有する。あるいは又、別の表現をすれば、駆動回路60は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路70を備えている。そして、補正係数は、少なくとも回折光学素子(第2回折格子部材40が該当する)に形成された干渉縞に光学的に直交する方向(Y軸方向)と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11(画像形成手段12)における画素に応じて異なる値を有する。
【0064】
駆動回路60の構成例を、図2の回路図に示す。駆動回路60それ自体は周知の回路から構成されており、図2に示すように、映像信号処理回路61を含んでいる。補正回路70は、タイミング生成回路71、補正係数生成部72、制御回路(コントローラ)73、補正データ格納部74、補正係数演算回路75(9つの乗算器76及び3つの加算器77を含む)から構成されているが、これらの構成要素それ自体も周知の回路等から構成されている。
【0065】
従来の画像表示装置にあっては、前述したとおり、第1回折格子部材30、第2回折格子部材40のY軸方向に沿って画角θが変化したとき、色の変化が発生する。
【0066】
色が変化する様子を、図3のxy色度図を用いて、以下、説明する。図3の「A」で示す色再現範囲は、マイナスの画角(−θ)にて観察者の瞳50に入射する画面における赤色、緑色、青色の色度点を結んだ色再現範囲であり、WAは、その時の基準白色の色度点である。また、図3の「B」で示す色再現範囲は、±0度の画角(θ=±0)にて観察者の瞳50に入射する画面における赤色、緑色、青色の色度点を結んだ色再現範囲であり、WBは、その時の基準白色の色度点である。更には、図3の「C」で示す色再現範囲は、プラスの画角(+θ)にて観察者の瞳50に入射する画面における赤色、緑色、青色の色度点を結んだ色再現範囲であり、WCは、その時の基準白色の色度点である。図3からも判るように、実施例1の画像表示装置にあっては、画角θが変化すると、赤色、緑色、及び、青色の色度点が変化し、色再現範囲も変化してしまう。また、赤色、緑色、及び、青色の色度点が変化するので、これらの色の混色である基準白色の色度点も変化し、画像表示装置のホワイトバランスが崩れ、均一な白色を表示することができなくなる。
【0067】
そこで、実施例1の画像表示装置にあっては、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって駆動信号を補正することで、あるいは又、少なくとも回折光学素子(第2回折格子部材40が該当する)に形成された干渉縞に光学的に直交する方向(Y軸方向)と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11(画像形成手段12)における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって駆動信号を補正することで、画像の色ムラを低減させる。
【0068】
以下、実施例1における補正係数の算出方法について説明する。
【0069】
実施例1の画像表示装置にあっては、前述したとおり、Y軸方向に沿った画角θの変化に伴い、色再現範囲が変化する。種々の画角における色再現範囲を求めた結果を、図4に多数の三角形で示す。ここで、多数の色再現範囲における共通の領域(一種の「AND」領域)を太い三角形で示すが、この色再現範囲における共通の領域が、全ての画角において再現可能な色再現範囲となる。尚、この色再現範囲における共通の領域を、便宜上、『共通色再現範囲』と呼ぶ。そして、共通色再現範囲を規定する赤色、緑色、及び、青色の色度点を決定しておき、各画角における赤色、緑色、及び、青色の階調を制御して、赤色、緑色、及び、青色を加法混色することで、全ての画角において色再現範囲が共通色再現範囲内に収まるように、各画素の駆動信号の補正を行う。尚、このように色再現範囲が共通色再現範囲内に収まるように各画素を駆動するための駆動信号の補正を行うということによって、補正前の駆動信号に基づき得られる画素における表示階調よりも小さい表示階調となる。
【0070】
ここで、赤色の画素を駆動する駆動信号(赤色駆動信号と呼ぶ)、緑色の画素を駆動する駆動信号(緑色駆動信号と呼ぶ)、青色の画素を駆動する駆動信号(青色駆動信号と呼ぶ)の規格化された値(階調を制御する輝度信号の値)を(Ri,Gi,Bi)とする。この規格化された輝度信号の値(Ri,Gi,Bi)は、補正前の駆動信号を構成する輝度信号の値であり、例えば、駆動信号を構成する輝度信号が8ビットの場合、0〜255の値をとる。一方、色再現範囲が共通色再現範囲内に収まるように、各画素の駆動の補正を行った後の駆動信号、より具体的には、赤色駆動信号、緑色駆動信号、青色駆動信号の規格化された輝度信号の値を(Ro,Go,Bo)とする。また、Y’軸方向に配列された画素の位置をj[但し、j=1,2、・・・(J−1),J]とする。更には、係数aR-j,aG-j,aB-j,bR-j,bG-j,bB-j,cR-j,cG-j,cB-jを、以下のとおり、定義する。
【0071】
尚、以下の説明にあっては、Y’軸方向に沿ったJ個の画素に対するJ個の補正係数を求め、Z’軸方向に配列された画素にあっては同じ補正係数を用いることとするが、これに限定するものではなく、補正係数の数をJ×K個とすることもでき、この場合、補正係数を、各画素において求めることもできるし、複数の画素毎に求め、補間によって各画素における補正係数を求めてもよい。あるいは又、Jを正の整数(J0)で除した値J/J0(但し、J/J0の値は正の整数)とすることもでき。この場合、J/J0個の画素グループが存在することになるが、各画素グループ内の画素は同じ補正係数を用いればよい。後述する実施例2〜実施例3においても同様である。
【0072】
aR-j:補正後の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ro-jを求めるために補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jに乗算する補正係数
aG-j:補正後の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ro-jを求めるために補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jに乗算する補正係数
aB-j:補正後の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ro-jを求めるために補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jに乗算する補正係数
bR-j:補正後の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Go-jを求めるために補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jに乗算する補正係数
bG-j:補正後の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Go-jを求めるために補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jに乗算する補正係数
bB-j:補正後の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Go-jを求めるために補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jに乗算する補正係数
cR-j:補正後の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bo-jを求めるために補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jに乗算する補正係数
cG-j:補正後の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bo-jを求めるために補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jに乗算する補正係数
cB-j:補正後の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bo-jを求めるために補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jに乗算する補正係数
【0073】
すると、(Ri-j,Gi-j,Bi-j)と(Ro-j,Go-j,Bo-j)の関係は、以下の式(1)のとおりとなる。尚、式(1)中の補正係数である行列「Aj」は、式(2)で表され、画素の位置毎に異なる値、即ち、「j」の値に依存して異なる値をとる。
【0074】
【0075】
【0076】
以下、補正係数である行列「Aj」の算出方法について説明する。
【0077】
一般に、赤色、緑色、及び、青色の色度座標、並びに、基準白色の色度座標が与えられれば、駆動信号における規格化された輝度信号の値を国際照明委員会(CIE)のXYZ表色系へ変換するための3行×3列の行列を決定できることが知られている。この変換式を一般式(3)に示す。但し、一般式(3)中、「B」は、赤色、緑色、及び、青色、並びに、基準白色の色度座標より決定される3行×3列の行列である。
【0078】
【0079】
Y’軸方向に沿った第j番目の画素を考えると、一般式(3)は、以下の式(4)のように変形される。
【0080】
【0081】
ここで、Y’軸方向に沿った画素毎に、同一階調(例えば、「255」)が得られる赤色駆動信号に基づく画像によって得られる赤色色度座標(xR-j,yR-j)、緑色駆動信号に基づく画像によって得られる緑色色度座標(xG-j,yG-j)、及び、青色駆動信号に基づく画像によって得られる青色色度座標(xB-j,yB-j)、並びに、画素毎の基準白色の色度座標(xW-j,yW-j)を求める。そして、これらの色度座標から、式(4)の3行×3列の行列「Bj」が予め求められていれば、規格化された輝度信号の値(Ri-j,Gi-j,Bi-j)をXYZ表色系における3刺激値(Xi-j,Yi-j,Zi-j)に変換することができる。尚、これらの色度座標が、画素における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に相当し、これらの評価値に基づいて補正係数の値が、以下のように決定される。
【0082】
赤色、緑色、及び、青色、並びに、基準白色のXYZ座標系における色度座標PR-j(x,y,z),PG-j(x,y,z),PB-j(x,y,z),PW-j(x,y,z)を、以下の式(5−1)、式(5−2)、式(5−3)、及び、式(5−4)のように表す。
【0083】
PR-j(x,y,z)=(rj・(xR-j/yR-j),rj,rj・(zR-j/yR-j))
(5−1)
PG-j(x,y,z)=(gj・(xR-j/yR-j),gj,gj・(zR-j/yR-j))
(5−2)
PB-j(x,y,z)=(bj・(xR-j/yR-j),bj,bj・(zR-j/yR-j))
(5−3)
PW-j(x,y,z)=( xW-j/yW-j, 1, zW-j/yW-j )
(5−4)
【0084】
PR-j,PG-j,PB-j,PW-jのそれぞれの(x,y,z)の値の間には、以下の式(6−1)、式(6−2)及び式(6−3)の関係がある。
【0085】
PW-j(x)=PR-j(x) + PG-j(x) + PB-j(x) (6−1)
PW-j(y)=PR-j(y) + PG-j(y) + PB-j(y) (6−2)
PW-j(z)=PR-j(z) + PG-j(z) + PB-j(z) (6−3)
【0086】
従って、以下の式(7)の連立方程式を解くことで、rj,gj,bjが得られる。そして、得られたrj,gj,bjの値から、式(8)で示す行列「Bj」を得ることができる。
【0087】
【0088】
【0089】
次に、補正後の色再現範囲(図4に示した共通色再現範囲)における赤色、緑色、及び、青色の色度座標と、任意の基準白色の色度座標(例えば、色温度6504K,xW=0.3127,yW=0.3290)から、共通色再現範囲における補正後の規格化された駆動信号(入力画像信号)の輝度信号値をXYZ表色系へ変換するための3行×3列の行列を「C」としたとき、一般式(3)から、以下の式(9)が成り立つ。
【0090】
【0091】
ここで、実際には、式(4)の左辺と式(9)の左辺とが等しくなるような補正を行うので、式(1)、式(4)及び式(9)から、以下の式(10)が導かれる。ここで、行列「Bj」は式(8)から得ることができ、行列「C」は、行列「Bj」を求める手順と同様の手順に従って得ることができる。
【0092】
Aj=Bj*C-1 (10)
【0093】
こうして、実施例1における補正係数である式(10)で示す3行×3列の行列「Aj」を得ることができる。
【0094】
以上に説明した処理において、画素に対応した評価値は、画像形成装置11(画像形成手段12)が赤色を表示したときの赤色の色度座標、緑色を表示したときの緑色の色度座標、及び、青色を表示したときの青色の色度座標である。そして、以上に説明した処理は、補正係数を、所望の色再現範囲(図4に示した共通色再現範囲)における赤色の色度座標と、画像形成装置11(画像形成手段12)が赤色を表示したときの赤色の色度座標との一致、共通色再現範囲における緑色の色度座標と、画像形成装置11(画像形成手段12)が緑色を表示したときの緑色の色度座標との一致、及び、共通色再現範囲における青色の色度座標と、画像形成装置11(画像形成手段12)が青色を表示したときの青色の色度座標との一致が得られるような値とするといった処理と、等価である。
【0095】
係る補正係数である3行×3列の行列「Aj」を、補正データ格納部74に記憶しておく。そして、補正係数は、電源投入時に補正データ格納部74から制御回路(コントローラ)73によって読み出され、補正データ発生部72に転送される。また、外部から赤色、緑色、及び、青色を発光する画素を制御する映像信号(Red,Green,Blue)、垂直同期信号(VSync)、水平同期信号(HSync)、クロック(Clock)が入力された映像信号処理回路61にあっては、各画素の動作を制御するための各種信号を生成し、各画素に送出すると同時に、各画素を駆動するための(具体的には、各画素を構成する液晶セルの開口率を制御するための)駆動信号を生成し、補正係数演算回路75の乗算器76に送出する。また、外部からの垂直同期信号(VSync)、水平同期信号(HSync)、クロック(Clock)は、タイミング生成回路71にも送られる。タイミング生成回路71は、入力信号のタイミングに応じた読み出しクロック信号(Read Clock)及びアドレス信号(Address)を生成して、補正データ発生部72へ送出する。補正データ発生部72は、タイミング生成回路71のタイミング信号に同期して、補正係数である3行×3行の行列「Aj」を補正係数演算回路75の乗算器76に送出する。補正係数演算回路75の乗算器76においては、式(1)に基づき、補正前の駆動信号と行列「Aj」の乗算が行われ、更に、加算器77において加算が行われ、得られた駆動信号(補正後の輝度信号)が各画素に送出され、各画素を構成する液晶セルの開口率が制御される。即ち、補正係数によって駆動信号を構成する輝度信号が補正される。
【0096】
以上のとおり、実施例1の画像表示装置及びその駆動方法にあっては、例えば、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を構成する輝度信号が補正されるので、画角θの変化に起因して画像表示装置に表示される色や輝度が異なってしまうといった現象の発生を抑制することができ、得られた画像に色ムラが発生することが無く、高い表示品質を達成することができる。
【実施例2】
【0097】
実施例2は、実施例1の画像表示装置及びその駆動方法の変形である。実施例2にあっては、画素に応じた補正係数を、所望の色再現範囲(共通色再現範囲)における基準白色の色度座標と、画像形成装置11(画像形成手段12)が赤色、緑色、及び、青色を表示したときの基準白色の色度座標との一致が得られるような値とする。尚、実施例2において、共通色再現範囲における基準白色の色度座標を、色温度6504K,xW=0.3127,yW=0.3290とする。
【0098】
ここで、目標とする基準白色を構成するための赤色駆動信号の規格化された輝度信号値をWR-j、緑色駆動信号の規格化された輝度信号値をWG-j、青色駆動信号の規格化された輝度信号値をWB-jとする。また、補正係数ηR-j、ηG-j、ηB-jを、以下のとおり、定義する。
【0099】
ηR-j:補正後の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値WR-jを求めるために補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jに乗算する補正係数
ηG-j:補正後の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値WG-jを求めるために補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jに乗算する補正係数
ηB-j:補正後の青色駆動信号の規格化された輝度信号値WB-jを求めるために補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jに乗算する補正係数
【0100】
すると、(Ri-j,Gi-j,Bi-j)と(WR-j,WG-j,WB-j)の関係は、以下の式(10)のとおりとなる。尚、式(10)中の補正係数であるηR-j、ηG-j、ηB-jは、画素の位置毎に異なる値、即ち、「j」の値に依存して異なる値をとる。
【0101】
【0102】
補正係数(ηR-j、ηG-j、ηB-j)は、以下の方法で求めることができる。即ち、実施例1における式(1)の左辺を、(WR-j,WG-j,WB-j)で置き換えると、以下の式(11)のとおりとなる。尚、式(11)中の行列「Aj」は、式(2)に示したとおりであり、実施例1にて説明した方法に基づき得ることができる。
【0103】
【0104】
そして、得られた行列「Aj」に基づき、補正係数(ηR-j、ηG-j、ηB-j)は、以下の式(12)から得ることができる。
【0105】
【0106】
このような実施例2における補正方法(駆動方法)では、赤色、緑色、及び、青色の原色近傍の色に対しては、色ムラ低減の効果は余り大きくはない。しかしながら、自然画を表示した際に使用される頻度の高い白色及びその近傍の色における色ムラを効果的に低減することができる。実施例2における駆動信号を構成する輝度信号の補正の効果を図6の(A)及び(B)に示す。補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jを「255」、補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jを「255」、補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jを「255」とした場合、補正前の表示画面内の色ムラは、図6の(A)における「補正前」のとおりである。この輝度信号に対して式(12)を用いた補正を行うと、表示画面内の色ムラは、図6の(A)における「補正後」のとおりとなった。尚、図6の(A)及び(B)の横軸は「j」の値であり、縦軸は色度Δ(u’,v’)の変化を表す。また、補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jを「255」、補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jを「200」、補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jを「150」とした場合、補正前の表示画面内の色ムラは、図6の(B)における「補正前」のとおりである。この輝度信号に対して式(12)を用いた補正を行うと、表示画面内の色ムラは、図6の(B)における「補正後」のとおりとなった。以上のとおり、実施例2における輝度信号の補正によっても、表示画面内の色ムラは大幅に減少していることが判る。
【0107】
駆動回路60の構成例を、図5の回路図に示す。駆動回路60それ自体は周知の回路から構成されており、図5に示すように、映像信号処理回路61を含んでいる。補正回路70は、実施例1と同様に、タイミング生成回路71、補正係数生成部72、制御回路(コントローラ)73、補正データ格納部74、補正係数演算回路75から構成されているが、補正係数演算回路75には3つの乗算器76が含まれているだけである。
【0108】
実施例2にあっては、補正係数である3行×1列の行列「Dj」(即ち、ηR-j、ηG-j、ηB-jの組)を、補正データ格納部74に記憶しておく。そして、補正係数は、電源投入時に補正データ格納部74から制御回路(コントローラ)73によって読み出され、補正データ発生部72に転送される。また、外部から赤色、緑色、及び、青色を発光する画素を制御する映像信号(Red,Green,Blue)、垂直同期信号(VSync)、水平同期信号(HSync)、クロック(Clock)が入力された映像信号処理回路61にあっては、各画素の動作を制御するための各種信号を生成し、各画素に送出すると同時に、各画素を駆動するための(具体的には、各画素を構成する液晶セルの開口率を制御するための)駆動信号を生成し、補正係数演算回路75の乗算器76に送出する。また、外部からの垂直同期信号(VSync)、水平同期信号(HSync)、クロック(Clock)は、タイミング生成回路71にも送られる。タイミング生成回路71は、入力信号のタイミングに応じた読み出しクロック信号(Read Clock)及びアドレス信号(Address)を生成して、補正データ発生部72へ送出する。補正データ発生部72は、タイミング生成回路71のタイミング信号に同期して、補正係数である3行×1行の行列「Dj」を補正係数演算回路75の乗算器76に送出する。補正係数演算回路75の乗算器76においては、式(12)に基づき、補正前の駆動信号と行列「Dj」の乗算が行われ、得られた駆動信号(補正後の輝度信号)が各画素に送出され、各画素を構成する液晶セルの開口率が制御される。即ち、補正係数によって駆動信号を構成する輝度信号が補正される。
【0109】
実施例2における駆動信号(輝度信号)の補正は、実施例1における駆動信号(輝度信号)の補正よりも、簡素化されている。即ち、1回の乗算を行うだけである。従って、実際に回路を構成した場合の回路規模の縮小を図ることができるし、消費電力の低減を図ることができる。
【実施例3】
【0110】
実施例3は、本発明の第2の態様及び第3の態様に係る画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例3の画像表示装置、あるいは又、実施例3の画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を構成する光源及び走査光学系の部分を図8に示す。光源及び走査光学系の部分を除いた画像表示装置の他の構成要素は、実質的に、実施例1あるいは実施例2において説明した画像表示装置と同様とすることができる。即ち、本発明の第2の態様に沿って実施例3の画像表示装置10を説明すると、
(A)光源100、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系105、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置20、及び、
(E)駆動回路60、
を備えた画像表示装置である。そして、光学装置20は、実施例1と同様に、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板22、
(b)導光板22に入射された光が導光板22の内部で全反射されるように、導光板22に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板22に配設された第1回折格子部材30、及び、
(c)導光板22の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板22から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板22に配設された第2回折格子部材40、
を備えている。
【0111】
あるいは又、本発明の第3の態様に沿って実施例3の画像表示装置10を説明すると、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段120、
(B)画像形成手段120を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路60、及び、
(C)画像形成手段120から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系21、
を備えている。尚、画像形成手段120は、光源100、及び、光源100から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系105から構成されており、フィールドシーケンシャル方式に基づき、光源100が作動させられる。尚、実施例1と同様に、第2回折格子部材40が回折光学素子に該当する。あるいは又、投射光学系21は、等しいピッチの干渉縞を有する少なくとも2つの回折光学素子を含むが、第2回折格子部材40が一方の回折光学素子に該当し、第1回折格子部材30が他方の回折光学素子に該当する。
【0112】
実施例3において、駆動回路60は、仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路(具体的には、映像信号処理回路61)、及び、仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路70を備えている。そして、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有する。
【0113】
駆動回路60の構成例は、実施例1の図2あるいは実施例2の図5に示した回路と同様とすることができるし、補正係数の行列「Aj」、「Dj」も実施例1あるいは実施例2と同様とすることができるし、駆動信号の補正方法(駆動方法)も実施例1あるいは実施例2と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0114】
実施例3の光源100は、図7に模式図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色素子101R(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子。以下においても同じ)101R、
(β)緑色を発光する緑色発光素子101G(GaN系半導体から成る。以下においても同じ)、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子101B(GaN系半導体から成る。以下においても同じ)、並びに、
(δ)赤色発光素子101R、緑色発光素子101G及び青色発光素子101Bのそれぞれから射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム103)、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段(ダイクロイック・プリズム103)から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(液晶表示装置)104、
を備えている。発光素子101R,101G,101Bから射出された光は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂といった透光性物質による導光部材やミラー等の反射体から成る光案内部材102によって案内され、光通過制御装置104に入射する。
【0115】
そして、光通過制御装置104によってこれらの発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置から構成されている。光通過制御装置104からは、1画素分の光が出射される。そして、この光は、図示しないコリメート光学系を通過し、例えば、Z軸と平行な回転軸107(図面の紙面垂直方向に延びる)の周りを回転する水平走査用ガルバノ・ミラー106、及び、例えば、XY平面に含まれる回転軸109(図面の紙面と平行な方向に延びる)の周りを回転する垂直走査用ガルバノ・ミラー108から成る走査光学系105によって走査され、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素が形成される。そして、走査光学系105から出射された光は、導光板22の第1面23に入射する。
【0116】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。例えば、実施例1〜実施例3において、第1回折格子部材30には、各平行光束を構成する異なる波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光束の回折反射の角度を略同一とするために、P種類の干渉縞が形成されている構成とすることができる。また、画素の位置に応じて、実施例1にて説明した駆動方法(補正方法)と、実施例2において説明した駆動方法(補正方法)とを切り替えてもよい。導光板22において、第1回折格子部材30と第2回折格子部材40の上方に空気層を挟んで透明基板(例えば、ガラス基板)を配設してもよく、これによって、導光板22の第2面24、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を保護することができる。
【0117】
実施例1や実施例2での使用に適した画像形成装置として、例えば、図8に概念図を示すような、半導体発光素子から成る発光素子110が2次元マトリクス状に配列された発光パネルから成り、発光素子110のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、発光素子110の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、アクティブマトリックスタイプの画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光は、コリメート光学系13を介して導光板22に入射される。
【0118】
あるいは又、図9に概念図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色発光素子110Rが2次元マトリクス状に配列された赤色発光パネル111R、
(β)緑色を発光する緑色発光素子110Gが2次元マトリクス状に配列された緑色発光パネル111G、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子110Bが2次元マトリクス状に配列された青色発光パネル111B、並びに、
(δ)赤色発光パネル111R、緑色発光パネル111G及び青色発光パネル111Bから射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム103)、
を備えており、
赤色発光素子110R、緑色発光素子110G及び青色発光素子110Bのそれぞれの発光/非発光状態を制御するカラー表示の画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光も、コリメート光学系13を介して導光板22に入射される。尚、参照番号112は、発光素子から出射された光を集光するためのマイクロレンズである。
【0119】
あるいは又、発光素子110R,110G,110Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル111R,111G,111B等から成る画像形成装置の概念図を図10に示すが、発光パネル111R,111G,111Bから射出された光は、光通過制御装置104R,104G,104Bによって通過/非通過が制御され、ダイクロイック・プリズム103に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、コリメート光学系13を介して導光板22に入射される。
【0120】
あるいは又、発光素子110R,110G,110Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル111R,111G,111B等から成る画像形成装置の概念図を図11に示すが、発光パネル111R,111G,111Bから射出された光は、ダイクロイック・プリズム103に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、ダイクロイック・プリズム103から射出したこれらの光は光通過制御装置104によって通過/非通過が制御され、コリメート光学系13を介して導光板22に入射される。
【0121】
実施例3での使用に適した光源として、図12に示すように、赤色を発光する発光素子101R、及び、赤色を発光する発光素子101Rから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置104R)、緑色を発光する発光素子101G、及び、緑色を発光する発光素子101Gから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置104G)、青色を発光する発光素子101B、及び、青色を発光する発光素子101Bから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置104B)、並びに、これらのGaN系半導体から成る発光素子101R,101G,101Bから射出された光を案内する光案内部材102R,102G,102B、及び、1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム103)を備えた画像形成装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、実施例1の画像表示装置の概念図である。
【図2】図2は、実施例1の画像表示装置における駆動装置の回路図である。
【図3】図3は、画角が変化したときの色再現範囲を模式的に示すxy色度図である。
【図4】図4は、種々の画角における色再現範囲を求めた結果、及び、所望とする共通色再現範囲を示すxy色度図である。
【図5】図5は、実施例2の画像表示装置における駆動装置の回路図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、実施例2において、駆動信号を構成する輝度信号を補正する前及び後における色度Δ(u’,v’)の変化を表すグラフである。
【図7】図7は、実施例3における光源及び走査光学系の概念図である。
【図8】図8は、画像形成装置の変形例を示す概念図である。
【図9】図9は、画像形成装置の別の変形例を示す概念図である。
【図10】図10は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図11】図11は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図12】図12は、光源の変形例を示す概念図である。
【図13】図13は、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示すグラフである。
【図14】図14の(A)は、画角θ=+6度の場合、回折スペクトルを示すグラフであり、図14の(B)は、画角θ=0度の場合、回折スペクトルを示すグラフである。
【図15】図15は、画角θ=−6度の場合、回折スペクトルを示すグラフである。
【図16】図16は、画角θの違いによる回折効率と回折スペクトルの中心波長との関係として描いたグラフ、及び、光源から出射される光のスペクトルを模式的に示すグラフである。
【図17】図17の(A)は、従来の画像表示装置の概念図であり、図17の(B)は、第1回折格子部材の拡大した模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
【0123】
10・・・画像表示装置、11・・・画像形成装置、12,120・・・画像形成手段、13・・・コリメート光学系、20・・・光学装置、21・・・投影光学系、22・・・導光板、23・・・導光板の第1面、24・・・導光板の第2面、30・・・第1回折格子部材、40・・・第2回折格子部材、50・・・瞳、60・・・駆動回路、61・・・映像信号処理回路、70・・・補正回路、71・・・タイミング生成回路、72・・・補正係数生成部、73・・・制御回路(コントローラ)、74・・・補正データ格納部、75・・・補正係数演算回路、76・・・乗算器、77・・・加算器、100・・・光源、101R,101G,101B,110R,110G,110B・・・発光素子、102・・・光案内部材、103・・・ダイクロイック・プリズム、104,104R,104G,104B・・・光通過制御装置、105・・・走査光学系、106・・・水平走査用ガルバノ・ミラー、108・・・垂直走査用ガルバノ・ミラー、107,109・・・回転軸、111R,111G,111B・・・発光パネル,112・・・マイクロレンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等によって形成された2次元画像を観察者に観察させるために使用される画像表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置によって形成された2次元画像を虚像光学系により拡大虚像として観察者に観察させるために、ホログラム回折格子を用いた虚像表示装置(画像表示装置)が、例えば、特開2007−94175から周知である。
【0003】
この画像表示装置10は、基本的には、図17の(A)に示すように、画像を表示する画像形成装置11と、コリメート光学系13と、画像形成装置11に表示された光が入射され、観察者の瞳50へと導く虚像光学系(光学装置20)とを備えている。ここで、光学装置20は、導光板22と、導光板22に設けられた反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40とを備えている。そして、コリメート光学系13には画像形成装置11の各画素から出射された光が入射され、コリメート光学系13によって導光板22への入射角の異なる複数の平行光が生成され、導光板22に入射される。導光板22の一方の光学面(第1面)23から、平行光が入射され、出射される。一方、導光板22の第1面23と平行である導光板22の他方の光学面(第2面)24に、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40が取り付けられている。
【0004】
導光板22の第1面23から入射した導光板22への入射角の異なる複数の平行光は、第1回折格子部材30に入射され、それぞれの平行光は、平行光のまま、回折反射される。そして、回折反射された平行光は、導光板22の第1面23と第2面24との間で全反射を繰り返しながら進行し、第2回折格子部材40に入射する。第2回折格子部材40に入射した平行光は、回折反射されることで全反射条件から外れ、導光板22から出射され、観察者の瞳50に導かれる。
【0005】
第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板22の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。従って、第2回折格子部材40で回折反射される平行光は、第1回折格子部材30への入射角と等しい角度で回折反射されるので、表示画像がぼけることなく、高い解像度で瞳50において表示される。
【0006】
【特許文献1】特開2007−94175
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この画像表示装置10における第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞は多重化されており、あるいは、回折格子が多層化されている。そして、例えば第1回折格子部材30の拡大した模式的な一部断面図を図17の(B)に示すように、干渉縞の傾斜角φ(第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の表面と干渉縞の成す角度)を一定としたとき、以下の問題が発生する。
【0008】
即ち、画像形成装置11からの出射位置に依存して、複数の平行光の第1回折格子部材30への入射角が異なるため、第1回折格子部材30の種々の領域でブラッグ条件を満たす回折波長(ブラッグ波長)が異なる。また、第2回折格子部材40への入射角も異なるため、第2回折格子部材40の種々の領域でブラッグ条件を満たす回折波長も異なる。そして、以上の結果として、第2回折格子部材40にて回折反射され、導光板22から出射される光によって形成される画像に色ムラが発生してしまう。
【0009】
ここで、ブラッグ条件とは、以下の式(A)を満足する条件を指す。式(A)中、mは正の整数、λは波長、dは格子面のピッチ(干渉縞を含む仮想平面の法線方向の間隔)、Θは干渉縞への入射角の補角を意味する。尚、干渉縞の傾斜角φとは、回折格子部材の表面と干渉縞の成す角度を意味する。干渉縞は、回折格子部材の内部から表面に亙り、形成されている。以下においても同様である。また、入射角ψにて回折格子部材に光が侵入した場合の、Θ、傾斜角φ、入射角ψの関係は、式(B)のとおりであり、図17の(B)に図示する。
【0010】
m・λ=2・d・sin(Θ) (A)
Θ=90°−(φ+ψ) (B)
【0011】
尚、以下の説明において、第2回折格子部材40の中心を原点Oとし、原点Oを通る第2回折格子部材40の法線をX軸、原点Oを通る導光板22の軸線をY軸とする。また、XY平面において、導光板22から出射される光とX軸上の瞳50との成す角度を画角θと呼び、原点Oより第1回折格子部材側の導光板22から出射された光の画角θの値を正の値とする。尚、図17の(A)は、XY平面にて導光板22を切断したときの模式的な断面図である。
【0012】
図13に、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示す。図13からも明らかなように、画角に対応して回折スペクトルが決まっている。例えば、画角θ=+6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は495nm付近に存在しているが(図14の(A)参照)、画角θ=0度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は522nm付近に存在し(図14の(B)参照)、画角θ=−6度の場合、回折スペクトルの中心波長(ブラッグ波長)は545nm付近に存在する(図15参照)。このような結果を、画角θの違いによる回折効率と回折スペクトルの中心波長との関係として描いたグラフを、図16に模式的に示す。
【0013】
また、光源を例えば発光ダイオード(LED)から構成する場合の発光スペクトル分布を、図16に模式的に示す。各画角における出射光は、光源の発光スペクトル分布と回折効率の積によって決まる。従って、各画角における出射光の色や輝度が異なることになる。それ故、得られた画像に色ムラが発生してしまう。
【0014】
特開2007−94175においては、このような現象の発生を抑制するために、回折格子部材に形成された干渉縞の傾斜角を、回折格子部材の位置に応じて変化させている。このような対処方法は、色ムラの発生防止に極めて有効であるが、回折格子部材に形成された干渉縞の傾斜角を、回折格子部材の位置に応じて変化させるが故に、回折格子部材の製造が困難であるといった問題がある。
【0015】
従って、本発明の目的は、簡素な構成であるにも拘わらず、色ムラの発生を効果的に防止し得る画像表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示装置は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(D)画像形成装置を駆動するための駆動回路、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えており、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0017】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示装置の駆動方法は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(D)画像形成装置を駆動するための駆動回路、
を備えている画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする。
【0018】
尚、以下の説明において、本発明の第1の態様に係る画像表示装置、あるいは、本発明の第1の態様に係る画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を、総称して、単に、本発明の第1の態様に係る画像表示装置と呼ぶ場合がある。
【0019】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示装置は、
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(E)駆動回路、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、
仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路、及び、
仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路、
を備えており、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0020】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示装置の駆動方法は、
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(E)駆動回路、
を備えている画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、
仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路、及び、
仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路、
を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする。
【0021】
尚、以下の説明において、本発明の第2の態様に係る画像表示装置、あるいは、本発明の第2の態様に係る画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を、総称して、単に、本発明の第2の態様に係る画像表示装置と呼ぶ場合がある。
【0022】
本発明の第2の態様に係る画像表示装置においても、光源には、光源を構成する発光素子から出射された光を平行光とするコリメート光学系が備えられていることが好ましい。また、光源は、フィールドシーケンシャル方式に基づき作動させられる形態とすることができる。
【0023】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る画像表示装置は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段、
(B)画像形成手段を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、及び、
(C)画像形成手段から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系、
を備えた画像表示装置であって、
駆動回路は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えており、
補正係数は、少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有することを特徴とする。
【0024】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る画像表示装置の駆動方法は、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段、
(B)画像形成手段を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、及び、
(C)画像形成手段から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系、
を備え、
駆動回路は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする。
【0025】
尚、以下の説明において、本発明の第3の態様に係る画像表示装置、あるいは、本発明の第3の態様に係る画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を、総称して、単に、本発明の第3の態様に係る画像表示装置と呼ぶ場合がある。
【0026】
本発明の第3の態様に係る画像表示装置にあっては、画像形成手段を、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、及び、画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系から構成することができる。あるいは又、画像形成手段を、光源、及び、光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系から構成し、フィールドシーケンシャル方式に基づき光源が作動させられる形態とすることができる。光源には、光源を構成する発光素子から出射された光を平行光とするコリメート光学系が備えられていることが好ましい。
【0027】
また、本発明の第3の態様に係る画像表示装置にあっては、回折光学素子に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状である構成とすることができる。あるいは又、投射光学系は、等しいピッチの干渉縞を有する少なくとも2つの回折光学素子を含む構成とすることができる。
【0028】
上記の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第3の態様に係る画像表示装置(本発明の第1の態様〜第3の態様に係る画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を含む。以下においても同じ)においては、補正係数を、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数とすることができる。あるいは又、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて(本発明の第1の態様に係る画像表示装置)、また、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて(本発明の第2の態様に係る画像表示装置)、また、回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて(本発明の第3の態様に係る画像表示装置)、単調に増加又は減少する値を有する構成とすることもできる。あるいは又、補正係数を、補正前の駆動信号に基づき得られる画素(仮想の画素)における表示階調よりも小さい表示階調となるように、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数とすることができる。
【0029】
また、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第3の態様に係る画像表示装置において、補正係数を、画素(仮想の画素)における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に基づいて決定される値とすることができる。
【0030】
更には、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様及び第3の態様に係る画像表示装置において、画素に対応した評価値を、画像形成装置あるいは画像形成手段が赤色を表示したときの赤色の色度座標、緑色を表示したときの緑色の色度座標、及び、青色を表示したときの青色の色度座標とすることができ、この場合、補正係数を、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、画像形成装置あるいは画像形成手段が赤色を表示したときの赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、画像形成装置あるいは画像形成手段が緑色を表示したときの緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、画像形成装置あるいは画像形成手段が青色を表示したときの青色の色度座標との一致が得られるような値とすることができる。あるいは又、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第2の態様に係る画像表示装置において、仮想の画素に対応した評価値を、光源が赤色を出射したときに得られる赤色の色度座標、光源が緑色を出射したときに得られる緑色の色度座標、及び、光源が青色を出射したときに得られる青色の色度座標とすることができ、この場合、補正係数を、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、光源が赤色を出射したときに得られる赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、光源が緑色を出射したときに得られる緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、光源が青色を出射したときに得られる青色の色度座標との一致が得られるような値とすることができる。
【0031】
あるいは又、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様及び第3の態様に係る画像表示装置において、画素に応じた補正係数を、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、画像形成装置あるいは画像形成手段が赤色、緑色、及び、青色を表示したときの基準白色の色度座標との一致が得られるような値とすることができる。また、以上の好ましい構成、形態を含む本発明の第2の態様に係る画像表示装置において、仮想の画素に応じた補正係数を、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、光源が赤色、緑色、及び、青色を出射したときに得られる基準白色の色度座標との一致が得られるような値とすることができる。
【0032】
以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第3の態様に係る画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、本発明の画像表示装置と呼ぶ場合がある)において、2次元マトリクス状に配列された画素(仮想の画素を含む)の数をJ×K個とする。J個の画素が配列された方向を、便宜上、Y’軸方向と呼び、K個の画素が配列された方向を、便宜上、Z’軸方向と呼ぶ。Y’軸方向に配列された画素によって、導光板から出射された光に基づきY軸方向に並んだ画像が生成され、Z’軸方向に配列された画素によって、導光板から出射された光に基づきZ軸方向に並んだ画像が生成される。即ち、Y’軸方向は、XY平面に含まれ、あるいは又、XY平面と平行である場合があるし、Z’軸方向は、XZ平面と平行である場合がある。
【0033】
そして、この場合、補正係数の数を、J×K個とすることもできるし、J個とすることもできる。即ち、後者の場合にあっては、Z’軸方向に配列された画素において同じ補正係数を用いる。あるいは又、Jを正の整数(J0)で除した値J/J0(但し、J/J0の値は正の整数)とすることもでき、この場合、J/J0個の画素グループが存在することになるが、各画素グループ内の画素は同じ補正係数を用いればよい。補正係数を、各画素において求めることもできるし、複数の画素毎に求め、補間によって各画素における補正係数を求めてもよい。
【0034】
また、J×K個の画素(仮想の画素を含む)において、画素(仮想の画素)における表示階調を同一階調(例えば最大階調であり、階調を、例えば、8ビット制御する場合、「255」で表される階調)としたときに得られる画像の評価値である赤色の色度座標、緑色の色度座標、及び、青色の色度座標に基づき得られる色再現範囲を、J×K個のそれぞれの画素において、あるいは又、J個のそれぞれの画素において(例えば、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置におけるJ個のそれぞれの画素において)、あるいは又、J/J0個の画素グループの中心に位置する画素において、あるいは、適切な数の画素毎において、実測あるいは理論的に求め、これらの色再現範囲を重ね合わせ、共通の領域(一種の「AND」領域)を所望の色再現範囲とすればよい。あるいは又、共通の領域を、適宜拡げて、この所望の色再現範囲とすればよい。
【0035】
本発明の画像表示装置において、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、異なるP種類(例えば、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。尚、各回折格子層には1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されている。あるいは又、異なるP種類の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応するために、1層の回折格子層から成る第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材にP種類の干渉縞が形成されている構成とすることもできる。あるいは又、画角を例えば三等分して、第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材を、各画角に対応する回折格子層が積層されて成る構成とすることができる。そして、これらの構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材あるいは第2回折格子部材において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0036】
尚、以下の説明における画角θとは、より厳密には、光学系の物体範囲を光学系の像空間から見たときの視角であると定義される。また、全反射という用語は、内部全反射、あるいは、導光板内部における全反射を意味する。更には、干渉縞の傾斜角とは、回折格子部材(あるいは回折格子層)の表面と干渉縞の成す角度を意味する。
【0037】
本発明の画像表示装置においては、コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光を導光板に入射することが望ましいが、このような、平行光であることの要請は、これらの光が導光板へ入射したときの光波面情報が、第1回折格子部材と第2回折格子部材を介して導光板から出射された後も保存される必要があることに基づく。尚、具体的には、進行方位の異なる複数の平行光を生成するためには、コリメート光学系における焦点距離の所(位置)に、画像形成装置を位置させればよい。ここで、コリメート光学系は、画像形成装置から出射された平行光の画像形成装置における画素の位置情報を、光学装置の光学系における角度情報に変換する機能を有する。また、コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされる場合には、導光板においては、進行方位の異なる複数の平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される。第1回折格子部材においては、導光板に入射された平行光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された平行光が回折反射される。更には、第2回折格子部材においては、導光板の内部を全反射により伝播した平行光が回折反射され、導光板から平行光の状態で出射される。
【0038】
本発明の画像表示装置において、導光板は、導光板の軸線(Y軸方向)と平行に延びる2つの平行面(第1面及び第2面)を有している。ここで、光が入射する導光板の面を導光板入射面、光が出射する導光板の面を導光板出射面としたとき、第1面によって導光板入射面及び導光板出射面が構成されていてもよいし、第1面によって導光板入射面が構成され、第2面によって導光板出射面が構成されていてもよい。前者の場合、第2面に第1回折格子部材及び第2回折格子部材が配置されている。一方、後者の場合、第2面に第1回折格子部材が配置され、第1面に第2回折格子部材が配置されている。
【0039】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を構成する材料として、フォトポリマー材料を挙げることができる。反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材及び第2回折格子部材の構成材料や基本的な構造は、従来の反射型体積ホログラム回折格子の構成材料や構造と同じとすればよい。ここで、反射型体積ホログラム回折格子とは、+1次の回折光のみを回折反射するホログラム回折格子を意味する。
【0040】
回折格子部材には、その内部から表面に亙り干渉縞が形成されているが、係る干渉縞それ自体の形成方法は、従来の形成方法と同じとすればよい。具体的には、例えば、回折格子部材を構成する部材(例えば、フォトポリマー材料)に対して一方の側の第1の所定の方向から物体光を照射し、同時に、回折格子部材を構成する部材に対して他方の側の第2の所定の方向から参照光を照射し、物体光と参照光とによって形成される干渉縞を回折格子部材を構成する部材の内部に記録すればよい。第1の所定の方向、第2の所定の方向、物体光及び参照光の波長を適切に選択することで、回折格子部材の表面における干渉縞の所望のピッチ、干渉縞の所望の傾斜角を得ることができる。
【0041】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層の積層構造から構成する場合、このような回折格子層の積層は、P層の回折格子層をそれぞれ別個に作製した後、P層の回折格子層を、例えば、紫外線硬化型接着剤を使用して積層(接着)すればよい。また、粘着性を有するフォトポリマー材料を用いて1層の回折格子層を作製した後、その上に順次粘着性を有するフォトポリマー材料を貼り付けて回折格子層を作製することで、P層の回折格子層を作製してもよい。
【0042】
導光板を構成する材料として、石英ガラスやBK7等の光学ガラスを含むガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができる。導光板の形状は、平板に限定するものではなく、湾曲した形状を有していてもよい。
【0043】
本発明の第1の態様あるいは第3の態様に係る画像表示装置を構成する画像形成装置として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)、無機EL、発光ダイオード(LED)といった発光素子から構成された画像形成装置;発光素子とライト・バルブ[例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の透過型あるいは反射型の液晶表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)]との組合せから成る画像形成装置を挙げることができる。また、本発明の第2の態様に係る画像表示装置における走査光学系として、光源から出射された光を水平走査及び垂直走査する走査光学系[例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ガルバノ・ミラー]を挙げることができ、光源を構成する発光素子として、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を挙げることができる。ここで、発光素子として、例えば、半導体レーザ素子やLEDを例示することができる。画素(仮想の画素)の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、画素(仮想の画素)の数の具体的な値として、320×240、432×240、640×480、1024×768、1920×1080を例示することができる。
【0044】
例えば、発光素子とライト・バルブとから構成された画像形成装置あるいは光源として、全体として白色光を発光するバックライトと、赤色発光画素、緑色発光画素、及び、青色発光画素を有する液晶表示装置との組合せ以外にも、以下の構成を例示することができる。
【0045】
[画像形成装置−A]
画像形成装置−Aは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズムであり、以下の説明においても同様である)、
を備えており、
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御する。
【0046】
[画像形成装置−B]
画像形成装置−Bは、
(α)青色を発光する第1発光素子、及び、青色を発光する第1発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御するための第1光通過制御装置[一種のライト・バルブであり、例えば、液晶表示装置やデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、LCOSから構成され、以下の説明においても同様である]から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子、及び、緑色を発光する第2発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御するための第2光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子、及び、赤色を発光する第3発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御するための第3光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1光通過制御装置、第2光通過制御装置及び第3光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子から射出された射出光を光通過制御装置へと案内するための手段(光案内部材)として、導光部材、マイクロレンズアレイ、ミラーや反射板、集光レンズを例示することができる。
【0047】
[画像形成装置−C]
画像形成装置−Cは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネル、及び、第1発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための青色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネル、及び、第2発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための緑色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネル、及び、第3発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御するための赤色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)青色光通過制御装置、緑色光通過制御装置及び赤色光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段を備えており、
光通過制御装置(ライト・バルブ)によってこれらの第1発光パネル、第2発光パネル及び第3発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0048】
[画像形成装置−D]
画像形成装置−Dは、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子を備えた第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子を備えた第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子を備えた第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から射出された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0049】
[画像形成装置−E]
画像形成装置−Eも、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置のそれぞれから射出された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光パネルから射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0050】
[画像形成装置−F]
画像形成装置−Fは、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのカラー表示の画像形成装置である。
【0051】
[画像形成装置−G]
画像形成装置−Gは、2次元マトリクス状に配列された発光素子ユニットからの射出光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)を備えており、発光素子ユニットにおける第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を時分割制御し、更に、光通過制御装置によって第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置である。
【0052】
本発明の画像表示装置を構成するコリメート光学系として、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、ホログラムレンズを、単独、若しくは、組み合わせた、全体として正の光学的パワーを持つ光学系を例示することができる。
【0053】
本発明の画像表示装置によって、例えば、HMDを構成することができ、装置の軽量化、小型化を図ることができ、装置装着時の不快感を大幅に軽減させることが可能となるし、更には、製造コストダウンを図ることも可能となる。
【0054】
駆動回路それ自体は周知の回路から構成すればよく、係る駆動回路に補正回路が付属されている。補正回路は、例えば、制御回路、補正データ格納部、演算回路、補正係数生成部、乗算器、加算器等から構成されているが、これらの構成要素それ自体も周知の回路等から構成することができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明の第1の態様に係る画像表示装置あるいはその駆動方法において、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有し、本発明の第2の態様に係る画像表示装置あるいはその駆動方法において、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有し、本発明の第3の態様に係る画像表示装置あるいはその駆動方法において、補正係数は、少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有する。従って、各画角において画像表示装置から出射される光の色や輝度が異なるといった現象の発生を抑制することができ、得られた画像に色ムラが発生することが無く、高い表示品質を有する画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。尚、以下の説明において、第2回折格子部材の中心を原点Oとし、原点Oを通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点Oを通る導光板の軸線をY軸とし、原点Oを通り、X軸及びY軸に垂直な軸をZ軸とする。即ち、導光板の軸線(Y軸)とは、第2回折格子部材(回折光学素子)に形成された干渉縞に光学的に直交する方向を指し、あるいは又、導光板の内部を全反射により伝播する平行光を巨視的に眺めたときの進行方向を指す。
【実施例1】
【0057】
実施例1は、本発明の第1の態様及び第3の態様に係る画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1の画像表示装置、あるいは又、実施例1の画像表示装置の駆動方法における画像表示装置の概念図を図1に示す。本発明の第1の態様に沿って実施例1の画像表示装置10を説明すると、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置11、
(B)画像形成装置11の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系13、
(C)コリメート光学系13にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置20、及び、
(D)画像形成装置11を駆動するための駆動回路60、
を備えている。そして、光学装置20は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板22、
(b)導光板22に入射された光が導光板22の内部で全反射されるように、導光板22に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板22に配設された第1回折格子部材30、及び、
(c)導光板22の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板22から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板22に配設された第2回折格子部材40、
を備えている。尚、参照番号50は、画像観察者の瞳である。
【0058】
あるいは又、本発明の第3の態様に沿って実施例1の画像表示装置10を説明すると、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段12、
(B)画像形成手段12を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路60、及び、
(C)画像形成手段12から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系21、
を備えている。尚、画像形成手段12は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置11、及び、画像形成装置11の各画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系13から構成されている。また、第2回折格子部材40が回折光学素子に該当する。あるいは又、投射光学系21は、等しいピッチの干渉縞を有する少なくとも2つの回折光学素子を含むが、第2回折格子部材40が一方の回折光学素子に該当し、第1回折格子部材30が他方の回折光学素子に該当する。
【0059】
ここで、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例3にあっては、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を、異なるP種類(具体的には、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層が積層されて成る構成としている。尚、フォトポリマー材料から成る各回折格子層には、1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されており、従来の方法で作製されている。より具体的には、赤色の光を回折反射する回折格子層と、緑色の光を回折反射する回折格子層と、青色の光を回折反射する回折格子層とが積層された構造を、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40は有する。回折格子層(回折光学素子)に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状であり、Z軸方向に平行である。尚、図1においては、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を1層で示した。このような構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
【0060】
実施例1において、画像形成装置11は、例えば、2次元マトリクス状に配列された複数(例えば、J×K=320×240個)の画素(液晶セル)を備えた液晶表示装置(LCD)から構成され、コリメート光学系13は、例えば、凸レンズから構成され、進行方位の異なる複数の平行光を生成するために、コリメート光学系13における焦点距離の所(位置)に画像形成装置11が配置されている。
【0061】
ここで、導光板22は、導光板22の軸線(Y軸方向)と平行に延びる2つの平行面(第1面23及び第2面24)を有している。第1面23と第2面24とは対向している。そして、第1面23から平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、第1面23から出射される。第1回折格子部材30は、導光板22の第2面24に配設されており、第1面23から導光板22に入射されたこの平行光が導光板22の内部で全反射されるように、導光板22に入射されたこの平行光を回折反射する。更には、第2回折格子部材40は、導光板22の第2面24に配設されており、導光板22の内部を全反射により伝播したこの平行光を、複数回、回折反射し、導光板22から平行光のまま第1面23から出射する。但し、これに限定するものではなく、第2面24によって導光板入射面が構成され、第1面23によって導光板出射面が構成されていてもよい。
【0062】
実施例1において、導光板22にあっては、赤色、緑色及び青色の3色の平行光が内部を全反射により伝播した後、出射される。このとき、導光板22が薄く導光板22の内部を進行する光路が長いため、各画角によって第2回折格子部材40に至るまでの全反射回数は異なっている。より詳細に述べれば、導光板22に入射する平行光のうち、第2回折格子部材40に近づく方向の角度をもって入射する平行光の反射回数は、第2回折格子部材40から離れる方向の角度をもって導光板22に入射する平行光の反射回数よりも少ない。これは、第1回折格子部材30において回折反射される出射角が、第2回折格子部材40に近づく方向の角度をもって入射する平行光の方が、これと逆方向の角度をもって入射する平行光の出射角よりも大きくなるからである。また、第2回折格子部材40の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材30の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板22の軸線に垂直な仮想面に対して対称な関係にある。従って、第2回折格子部材40において回折反射される各平行光の出射角は、第1回折格子部材30への入射角と等しい。後述する実施例2〜実施例3においても同様である。
【0063】
駆動回路60は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路70を備えている。そして、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11における画素に応じて異なる値を有する。あるいは又、別の表現をすれば、駆動回路60は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路70を備えている。そして、補正係数は、少なくとも回折光学素子(第2回折格子部材40が該当する)に形成された干渉縞に光学的に直交する方向(Y軸方向)と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11(画像形成手段12)における画素に応じて異なる値を有する。
【0064】
駆動回路60の構成例を、図2の回路図に示す。駆動回路60それ自体は周知の回路から構成されており、図2に示すように、映像信号処理回路61を含んでいる。補正回路70は、タイミング生成回路71、補正係数生成部72、制御回路(コントローラ)73、補正データ格納部74、補正係数演算回路75(9つの乗算器76及び3つの加算器77を含む)から構成されているが、これらの構成要素それ自体も周知の回路等から構成されている。
【0065】
従来の画像表示装置にあっては、前述したとおり、第1回折格子部材30、第2回折格子部材40のY軸方向に沿って画角θが変化したとき、色の変化が発生する。
【0066】
色が変化する様子を、図3のxy色度図を用いて、以下、説明する。図3の「A」で示す色再現範囲は、マイナスの画角(−θ)にて観察者の瞳50に入射する画面における赤色、緑色、青色の色度点を結んだ色再現範囲であり、WAは、その時の基準白色の色度点である。また、図3の「B」で示す色再現範囲は、±0度の画角(θ=±0)にて観察者の瞳50に入射する画面における赤色、緑色、青色の色度点を結んだ色再現範囲であり、WBは、その時の基準白色の色度点である。更には、図3の「C」で示す色再現範囲は、プラスの画角(+θ)にて観察者の瞳50に入射する画面における赤色、緑色、青色の色度点を結んだ色再現範囲であり、WCは、その時の基準白色の色度点である。図3からも判るように、実施例1の画像表示装置にあっては、画角θが変化すると、赤色、緑色、及び、青色の色度点が変化し、色再現範囲も変化してしまう。また、赤色、緑色、及び、青色の色度点が変化するので、これらの色の混色である基準白色の色度点も変化し、画像表示装置のホワイトバランスが崩れ、均一な白色を表示することができなくなる。
【0067】
そこで、実施例1の画像表示装置にあっては、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって駆動信号を補正することで、あるいは又、少なくとも回折光学素子(第2回折格子部材40が該当する)に形成された干渉縞に光学的に直交する方向(Y軸方向)と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11(画像形成手段12)における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって駆動信号を補正することで、画像の色ムラを低減させる。
【0068】
以下、実施例1における補正係数の算出方法について説明する。
【0069】
実施例1の画像表示装置にあっては、前述したとおり、Y軸方向に沿った画角θの変化に伴い、色再現範囲が変化する。種々の画角における色再現範囲を求めた結果を、図4に多数の三角形で示す。ここで、多数の色再現範囲における共通の領域(一種の「AND」領域)を太い三角形で示すが、この色再現範囲における共通の領域が、全ての画角において再現可能な色再現範囲となる。尚、この色再現範囲における共通の領域を、便宜上、『共通色再現範囲』と呼ぶ。そして、共通色再現範囲を規定する赤色、緑色、及び、青色の色度点を決定しておき、各画角における赤色、緑色、及び、青色の階調を制御して、赤色、緑色、及び、青色を加法混色することで、全ての画角において色再現範囲が共通色再現範囲内に収まるように、各画素の駆動信号の補正を行う。尚、このように色再現範囲が共通色再現範囲内に収まるように各画素を駆動するための駆動信号の補正を行うということによって、補正前の駆動信号に基づき得られる画素における表示階調よりも小さい表示階調となる。
【0070】
ここで、赤色の画素を駆動する駆動信号(赤色駆動信号と呼ぶ)、緑色の画素を駆動する駆動信号(緑色駆動信号と呼ぶ)、青色の画素を駆動する駆動信号(青色駆動信号と呼ぶ)の規格化された値(階調を制御する輝度信号の値)を(Ri,Gi,Bi)とする。この規格化された輝度信号の値(Ri,Gi,Bi)は、補正前の駆動信号を構成する輝度信号の値であり、例えば、駆動信号を構成する輝度信号が8ビットの場合、0〜255の値をとる。一方、色再現範囲が共通色再現範囲内に収まるように、各画素の駆動の補正を行った後の駆動信号、より具体的には、赤色駆動信号、緑色駆動信号、青色駆動信号の規格化された輝度信号の値を(Ro,Go,Bo)とする。また、Y’軸方向に配列された画素の位置をj[但し、j=1,2、・・・(J−1),J]とする。更には、係数aR-j,aG-j,aB-j,bR-j,bG-j,bB-j,cR-j,cG-j,cB-jを、以下のとおり、定義する。
【0071】
尚、以下の説明にあっては、Y’軸方向に沿ったJ個の画素に対するJ個の補正係数を求め、Z’軸方向に配列された画素にあっては同じ補正係数を用いることとするが、これに限定するものではなく、補正係数の数をJ×K個とすることもでき、この場合、補正係数を、各画素において求めることもできるし、複数の画素毎に求め、補間によって各画素における補正係数を求めてもよい。あるいは又、Jを正の整数(J0)で除した値J/J0(但し、J/J0の値は正の整数)とすることもでき。この場合、J/J0個の画素グループが存在することになるが、各画素グループ内の画素は同じ補正係数を用いればよい。後述する実施例2〜実施例3においても同様である。
【0072】
aR-j:補正後の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ro-jを求めるために補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jに乗算する補正係数
aG-j:補正後の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ro-jを求めるために補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jに乗算する補正係数
aB-j:補正後の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ro-jを求めるために補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jに乗算する補正係数
bR-j:補正後の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Go-jを求めるために補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jに乗算する補正係数
bG-j:補正後の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Go-jを求めるために補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jに乗算する補正係数
bB-j:補正後の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Go-jを求めるために補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jに乗算する補正係数
cR-j:補正後の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bo-jを求めるために補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jに乗算する補正係数
cG-j:補正後の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bo-jを求めるために補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jに乗算する補正係数
cB-j:補正後の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bo-jを求めるために補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jに乗算する補正係数
【0073】
すると、(Ri-j,Gi-j,Bi-j)と(Ro-j,Go-j,Bo-j)の関係は、以下の式(1)のとおりとなる。尚、式(1)中の補正係数である行列「Aj」は、式(2)で表され、画素の位置毎に異なる値、即ち、「j」の値に依存して異なる値をとる。
【0074】
【0075】
【0076】
以下、補正係数である行列「Aj」の算出方法について説明する。
【0077】
一般に、赤色、緑色、及び、青色の色度座標、並びに、基準白色の色度座標が与えられれば、駆動信号における規格化された輝度信号の値を国際照明委員会(CIE)のXYZ表色系へ変換するための3行×3列の行列を決定できることが知られている。この変換式を一般式(3)に示す。但し、一般式(3)中、「B」は、赤色、緑色、及び、青色、並びに、基準白色の色度座標より決定される3行×3列の行列である。
【0078】
【0079】
Y’軸方向に沿った第j番目の画素を考えると、一般式(3)は、以下の式(4)のように変形される。
【0080】
【0081】
ここで、Y’軸方向に沿った画素毎に、同一階調(例えば、「255」)が得られる赤色駆動信号に基づく画像によって得られる赤色色度座標(xR-j,yR-j)、緑色駆動信号に基づく画像によって得られる緑色色度座標(xG-j,yG-j)、及び、青色駆動信号に基づく画像によって得られる青色色度座標(xB-j,yB-j)、並びに、画素毎の基準白色の色度座標(xW-j,yW-j)を求める。そして、これらの色度座標から、式(4)の3行×3列の行列「Bj」が予め求められていれば、規格化された輝度信号の値(Ri-j,Gi-j,Bi-j)をXYZ表色系における3刺激値(Xi-j,Yi-j,Zi-j)に変換することができる。尚、これらの色度座標が、画素における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に相当し、これらの評価値に基づいて補正係数の値が、以下のように決定される。
【0082】
赤色、緑色、及び、青色、並びに、基準白色のXYZ座標系における色度座標PR-j(x,y,z),PG-j(x,y,z),PB-j(x,y,z),PW-j(x,y,z)を、以下の式(5−1)、式(5−2)、式(5−3)、及び、式(5−4)のように表す。
【0083】
PR-j(x,y,z)=(rj・(xR-j/yR-j),rj,rj・(zR-j/yR-j))
(5−1)
PG-j(x,y,z)=(gj・(xR-j/yR-j),gj,gj・(zR-j/yR-j))
(5−2)
PB-j(x,y,z)=(bj・(xR-j/yR-j),bj,bj・(zR-j/yR-j))
(5−3)
PW-j(x,y,z)=( xW-j/yW-j, 1, zW-j/yW-j )
(5−4)
【0084】
PR-j,PG-j,PB-j,PW-jのそれぞれの(x,y,z)の値の間には、以下の式(6−1)、式(6−2)及び式(6−3)の関係がある。
【0085】
PW-j(x)=PR-j(x) + PG-j(x) + PB-j(x) (6−1)
PW-j(y)=PR-j(y) + PG-j(y) + PB-j(y) (6−2)
PW-j(z)=PR-j(z) + PG-j(z) + PB-j(z) (6−3)
【0086】
従って、以下の式(7)の連立方程式を解くことで、rj,gj,bjが得られる。そして、得られたrj,gj,bjの値から、式(8)で示す行列「Bj」を得ることができる。
【0087】
【0088】
【0089】
次に、補正後の色再現範囲(図4に示した共通色再現範囲)における赤色、緑色、及び、青色の色度座標と、任意の基準白色の色度座標(例えば、色温度6504K,xW=0.3127,yW=0.3290)から、共通色再現範囲における補正後の規格化された駆動信号(入力画像信号)の輝度信号値をXYZ表色系へ変換するための3行×3列の行列を「C」としたとき、一般式(3)から、以下の式(9)が成り立つ。
【0090】
【0091】
ここで、実際には、式(4)の左辺と式(9)の左辺とが等しくなるような補正を行うので、式(1)、式(4)及び式(9)から、以下の式(10)が導かれる。ここで、行列「Bj」は式(8)から得ることができ、行列「C」は、行列「Bj」を求める手順と同様の手順に従って得ることができる。
【0092】
Aj=Bj*C-1 (10)
【0093】
こうして、実施例1における補正係数である式(10)で示す3行×3列の行列「Aj」を得ることができる。
【0094】
以上に説明した処理において、画素に対応した評価値は、画像形成装置11(画像形成手段12)が赤色を表示したときの赤色の色度座標、緑色を表示したときの緑色の色度座標、及び、青色を表示したときの青色の色度座標である。そして、以上に説明した処理は、補正係数を、所望の色再現範囲(図4に示した共通色再現範囲)における赤色の色度座標と、画像形成装置11(画像形成手段12)が赤色を表示したときの赤色の色度座標との一致、共通色再現範囲における緑色の色度座標と、画像形成装置11(画像形成手段12)が緑色を表示したときの緑色の色度座標との一致、及び、共通色再現範囲における青色の色度座標と、画像形成装置11(画像形成手段12)が青色を表示したときの青色の色度座標との一致が得られるような値とするといった処理と、等価である。
【0095】
係る補正係数である3行×3列の行列「Aj」を、補正データ格納部74に記憶しておく。そして、補正係数は、電源投入時に補正データ格納部74から制御回路(コントローラ)73によって読み出され、補正データ発生部72に転送される。また、外部から赤色、緑色、及び、青色を発光する画素を制御する映像信号(Red,Green,Blue)、垂直同期信号(VSync)、水平同期信号(HSync)、クロック(Clock)が入力された映像信号処理回路61にあっては、各画素の動作を制御するための各種信号を生成し、各画素に送出すると同時に、各画素を駆動するための(具体的には、各画素を構成する液晶セルの開口率を制御するための)駆動信号を生成し、補正係数演算回路75の乗算器76に送出する。また、外部からの垂直同期信号(VSync)、水平同期信号(HSync)、クロック(Clock)は、タイミング生成回路71にも送られる。タイミング生成回路71は、入力信号のタイミングに応じた読み出しクロック信号(Read Clock)及びアドレス信号(Address)を生成して、補正データ発生部72へ送出する。補正データ発生部72は、タイミング生成回路71のタイミング信号に同期して、補正係数である3行×3行の行列「Aj」を補正係数演算回路75の乗算器76に送出する。補正係数演算回路75の乗算器76においては、式(1)に基づき、補正前の駆動信号と行列「Aj」の乗算が行われ、更に、加算器77において加算が行われ、得られた駆動信号(補正後の輝度信号)が各画素に送出され、各画素を構成する液晶セルの開口率が制御される。即ち、補正係数によって駆動信号を構成する輝度信号が補正される。
【0096】
以上のとおり、実施例1の画像表示装置及びその駆動方法にあっては、例えば、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置11における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を構成する輝度信号が補正されるので、画角θの変化に起因して画像表示装置に表示される色や輝度が異なってしまうといった現象の発生を抑制することができ、得られた画像に色ムラが発生することが無く、高い表示品質を達成することができる。
【実施例2】
【0097】
実施例2は、実施例1の画像表示装置及びその駆動方法の変形である。実施例2にあっては、画素に応じた補正係数を、所望の色再現範囲(共通色再現範囲)における基準白色の色度座標と、画像形成装置11(画像形成手段12)が赤色、緑色、及び、青色を表示したときの基準白色の色度座標との一致が得られるような値とする。尚、実施例2において、共通色再現範囲における基準白色の色度座標を、色温度6504K,xW=0.3127,yW=0.3290とする。
【0098】
ここで、目標とする基準白色を構成するための赤色駆動信号の規格化された輝度信号値をWR-j、緑色駆動信号の規格化された輝度信号値をWG-j、青色駆動信号の規格化された輝度信号値をWB-jとする。また、補正係数ηR-j、ηG-j、ηB-jを、以下のとおり、定義する。
【0099】
ηR-j:補正後の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値WR-jを求めるために補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jに乗算する補正係数
ηG-j:補正後の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値WG-jを求めるために補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jに乗算する補正係数
ηB-j:補正後の青色駆動信号の規格化された輝度信号値WB-jを求めるために補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jに乗算する補正係数
【0100】
すると、(Ri-j,Gi-j,Bi-j)と(WR-j,WG-j,WB-j)の関係は、以下の式(10)のとおりとなる。尚、式(10)中の補正係数であるηR-j、ηG-j、ηB-jは、画素の位置毎に異なる値、即ち、「j」の値に依存して異なる値をとる。
【0101】
【0102】
補正係数(ηR-j、ηG-j、ηB-j)は、以下の方法で求めることができる。即ち、実施例1における式(1)の左辺を、(WR-j,WG-j,WB-j)で置き換えると、以下の式(11)のとおりとなる。尚、式(11)中の行列「Aj」は、式(2)に示したとおりであり、実施例1にて説明した方法に基づき得ることができる。
【0103】
【0104】
そして、得られた行列「Aj」に基づき、補正係数(ηR-j、ηG-j、ηB-j)は、以下の式(12)から得ることができる。
【0105】
【0106】
このような実施例2における補正方法(駆動方法)では、赤色、緑色、及び、青色の原色近傍の色に対しては、色ムラ低減の効果は余り大きくはない。しかしながら、自然画を表示した際に使用される頻度の高い白色及びその近傍の色における色ムラを効果的に低減することができる。実施例2における駆動信号を構成する輝度信号の補正の効果を図6の(A)及び(B)に示す。補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jを「255」、補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jを「255」、補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jを「255」とした場合、補正前の表示画面内の色ムラは、図6の(A)における「補正前」のとおりである。この輝度信号に対して式(12)を用いた補正を行うと、表示画面内の色ムラは、図6の(A)における「補正後」のとおりとなった。尚、図6の(A)及び(B)の横軸は「j」の値であり、縦軸は色度Δ(u’,v’)の変化を表す。また、補正前の赤色駆動信号の規格化された輝度信号値Ri-jを「255」、補正前の緑色駆動信号の規格化された輝度信号値Gi-jを「200」、補正前の青色駆動信号の規格化された輝度信号値Bi-jを「150」とした場合、補正前の表示画面内の色ムラは、図6の(B)における「補正前」のとおりである。この輝度信号に対して式(12)を用いた補正を行うと、表示画面内の色ムラは、図6の(B)における「補正後」のとおりとなった。以上のとおり、実施例2における輝度信号の補正によっても、表示画面内の色ムラは大幅に減少していることが判る。
【0107】
駆動回路60の構成例を、図5の回路図に示す。駆動回路60それ自体は周知の回路から構成されており、図5に示すように、映像信号処理回路61を含んでいる。補正回路70は、実施例1と同様に、タイミング生成回路71、補正係数生成部72、制御回路(コントローラ)73、補正データ格納部74、補正係数演算回路75から構成されているが、補正係数演算回路75には3つの乗算器76が含まれているだけである。
【0108】
実施例2にあっては、補正係数である3行×1列の行列「Dj」(即ち、ηR-j、ηG-j、ηB-jの組)を、補正データ格納部74に記憶しておく。そして、補正係数は、電源投入時に補正データ格納部74から制御回路(コントローラ)73によって読み出され、補正データ発生部72に転送される。また、外部から赤色、緑色、及び、青色を発光する画素を制御する映像信号(Red,Green,Blue)、垂直同期信号(VSync)、水平同期信号(HSync)、クロック(Clock)が入力された映像信号処理回路61にあっては、各画素の動作を制御するための各種信号を生成し、各画素に送出すると同時に、各画素を駆動するための(具体的には、各画素を構成する液晶セルの開口率を制御するための)駆動信号を生成し、補正係数演算回路75の乗算器76に送出する。また、外部からの垂直同期信号(VSync)、水平同期信号(HSync)、クロック(Clock)は、タイミング生成回路71にも送られる。タイミング生成回路71は、入力信号のタイミングに応じた読み出しクロック信号(Read Clock)及びアドレス信号(Address)を生成して、補正データ発生部72へ送出する。補正データ発生部72は、タイミング生成回路71のタイミング信号に同期して、補正係数である3行×1行の行列「Dj」を補正係数演算回路75の乗算器76に送出する。補正係数演算回路75の乗算器76においては、式(12)に基づき、補正前の駆動信号と行列「Dj」の乗算が行われ、得られた駆動信号(補正後の輝度信号)が各画素に送出され、各画素を構成する液晶セルの開口率が制御される。即ち、補正係数によって駆動信号を構成する輝度信号が補正される。
【0109】
実施例2における駆動信号(輝度信号)の補正は、実施例1における駆動信号(輝度信号)の補正よりも、簡素化されている。即ち、1回の乗算を行うだけである。従って、実際に回路を構成した場合の回路規模の縮小を図ることができるし、消費電力の低減を図ることができる。
【実施例3】
【0110】
実施例3は、本発明の第2の態様及び第3の態様に係る画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例3の画像表示装置、あるいは又、実施例3の画像表示装置の駆動方法における画像表示装置を構成する光源及び走査光学系の部分を図8に示す。光源及び走査光学系の部分を除いた画像表示装置の他の構成要素は、実質的に、実施例1あるいは実施例2において説明した画像表示装置と同様とすることができる。即ち、本発明の第2の態様に沿って実施例3の画像表示装置10を説明すると、
(A)光源100、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系105、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置20、及び、
(E)駆動回路60、
を備えた画像表示装置である。そして、光学装置20は、実施例1と同様に、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板22、
(b)導光板22に入射された光が導光板22の内部で全反射されるように、導光板22に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板22に配設された第1回折格子部材30、及び、
(c)導光板22の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板22から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板22に配設された第2回折格子部材40、
を備えている。
【0111】
あるいは又、本発明の第3の態様に沿って実施例3の画像表示装置10を説明すると、
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段120、
(B)画像形成手段120を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路60、及び、
(C)画像形成手段120から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系21、
を備えている。尚、画像形成手段120は、光源100、及び、光源100から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系105から構成されており、フィールドシーケンシャル方式に基づき、光源100が作動させられる。尚、実施例1と同様に、第2回折格子部材40が回折光学素子に該当する。あるいは又、投射光学系21は、等しいピッチの干渉縞を有する少なくとも2つの回折光学素子を含むが、第2回折格子部材40が一方の回折光学素子に該当し、第1回折格子部材30が他方の回折光学素子に該当する。
【0112】
実施例3において、駆動回路60は、仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路(具体的には、映像信号処理回路61)、及び、仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路70を備えている。そして、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有する。
【0113】
駆動回路60の構成例は、実施例1の図2あるいは実施例2の図5に示した回路と同様とすることができるし、補正係数の行列「Aj」、「Dj」も実施例1あるいは実施例2と同様とすることができるし、駆動信号の補正方法(駆動方法)も実施例1あるいは実施例2と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0114】
実施例3の光源100は、図7に模式図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色素子101R(例えば、AlGaInP系半導体発光素子やGaN系半導体発光素子。以下においても同じ)101R、
(β)緑色を発光する緑色発光素子101G(GaN系半導体から成る。以下においても同じ)、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子101B(GaN系半導体から成る。以下においても同じ)、並びに、
(δ)赤色発光素子101R、緑色発光素子101G及び青色発光素子101Bのそれぞれから射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム103)、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段(ダイクロイック・プリズム103)から射出された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(液晶表示装置)104、
を備えている。発光素子101R,101G,101Bから射出された光は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂といった透光性物質による導光部材やミラー等の反射体から成る光案内部材102によって案内され、光通過制御装置104に入射する。
【0115】
そして、光通過制御装置104によってこれらの発光素子から射出された射出光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置から構成されている。光通過制御装置104からは、1画素分の光が出射される。そして、この光は、図示しないコリメート光学系を通過し、例えば、Z軸と平行な回転軸107(図面の紙面垂直方向に延びる)の周りを回転する水平走査用ガルバノ・ミラー106、及び、例えば、XY平面に含まれる回転軸109(図面の紙面と平行な方向に延びる)の周りを回転する垂直走査用ガルバノ・ミラー108から成る走査光学系105によって走査され、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素が形成される。そして、走査光学系105から出射された光は、導光板22の第1面23に入射する。
【0116】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。例えば、実施例1〜実施例3において、第1回折格子部材30には、各平行光束を構成する異なる波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光束の回折反射の角度を略同一とするために、P種類の干渉縞が形成されている構成とすることができる。また、画素の位置に応じて、実施例1にて説明した駆動方法(補正方法)と、実施例2において説明した駆動方法(補正方法)とを切り替えてもよい。導光板22において、第1回折格子部材30と第2回折格子部材40の上方に空気層を挟んで透明基板(例えば、ガラス基板)を配設してもよく、これによって、導光板22の第2面24、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40を保護することができる。
【0117】
実施例1や実施例2での使用に適した画像形成装置として、例えば、図8に概念図を示すような、半導体発光素子から成る発光素子110が2次元マトリクス状に配列された発光パネルから成り、発光素子110のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、発光素子110の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、アクティブマトリックスタイプの画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光は、コリメート光学系13を介して導光板22に入射される。
【0118】
あるいは又、図9に概念図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色発光素子110Rが2次元マトリクス状に配列された赤色発光パネル111R、
(β)緑色を発光する緑色発光素子110Gが2次元マトリクス状に配列された緑色発光パネル111G、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子110Bが2次元マトリクス状に配列された青色発光パネル111B、並びに、
(δ)赤色発光パネル111R、緑色発光パネル111G及び青色発光パネル111Bから射出された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム103)、
を備えており、
赤色発光素子110R、緑色発光素子110G及び青色発光素子110Bのそれぞれの発光/非発光状態を制御するカラー表示の画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光も、コリメート光学系13を介して導光板22に入射される。尚、参照番号112は、発光素子から出射された光を集光するためのマイクロレンズである。
【0119】
あるいは又、発光素子110R,110G,110Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル111R,111G,111B等から成る画像形成装置の概念図を図10に示すが、発光パネル111R,111G,111Bから射出された光は、光通過制御装置104R,104G,104Bによって通過/非通過が制御され、ダイクロイック・プリズム103に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、コリメート光学系13を介して導光板22に入射される。
【0120】
あるいは又、発光素子110R,110G,110Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル111R,111G,111B等から成る画像形成装置の概念図を図11に示すが、発光パネル111R,111G,111Bから射出された光は、ダイクロイック・プリズム103に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、ダイクロイック・プリズム103から射出したこれらの光は光通過制御装置104によって通過/非通過が制御され、コリメート光学系13を介して導光板22に入射される。
【0121】
実施例3での使用に適した光源として、図12に示すように、赤色を発光する発光素子101R、及び、赤色を発光する発光素子101Rから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置104R)、緑色を発光する発光素子101G、及び、緑色を発光する発光素子101Gから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置104G)、青色を発光する発光素子101B、及び、青色を発光する発光素子101Bから射出された射出光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置104B)、並びに、これらのGaN系半導体から成る発光素子101R,101G,101Bから射出された光を案内する光案内部材102R,102G,102B、及び、1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム103)を備えた画像形成装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、実施例1の画像表示装置の概念図である。
【図2】図2は、実施例1の画像表示装置における駆動装置の回路図である。
【図3】図3は、画角が変化したときの色再現範囲を模式的に示すxy色度図である。
【図4】図4は、種々の画角における色再現範囲を求めた結果、及び、所望とする共通色再現範囲を示すxy色度図である。
【図5】図5は、実施例2の画像表示装置における駆動装置の回路図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、実施例2において、駆動信号を構成する輝度信号を補正する前及び後における色度Δ(u’,v’)の変化を表すグラフである。
【図7】図7は、実施例3における光源及び走査光学系の概念図である。
【図8】図8は、画像形成装置の変形例を示す概念図である。
【図9】図9は、画像形成装置の別の変形例を示す概念図である。
【図10】図10は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図11】図11は、画像形成装置の更に別の変形例を示す概念図である。
【図12】図12は、光源の変形例を示す概念図である。
【図13】図13は、画角θを−6度から+6度としたときの波長480nm乃至560nmの光の回折効率分布を示すグラフである。
【図14】図14の(A)は、画角θ=+6度の場合、回折スペクトルを示すグラフであり、図14の(B)は、画角θ=0度の場合、回折スペクトルを示すグラフである。
【図15】図15は、画角θ=−6度の場合、回折スペクトルを示すグラフである。
【図16】図16は、画角θの違いによる回折効率と回折スペクトルの中心波長との関係として描いたグラフ、及び、光源から出射される光のスペクトルを模式的に示すグラフである。
【図17】図17の(A)は、従来の画像表示装置の概念図であり、図17の(B)は、第1回折格子部材の拡大した模式的な一部断面図である。
【符号の説明】
【0123】
10・・・画像表示装置、11・・・画像形成装置、12,120・・・画像形成手段、13・・・コリメート光学系、20・・・光学装置、21・・・投影光学系、22・・・導光板、23・・・導光板の第1面、24・・・導光板の第2面、30・・・第1回折格子部材、40・・・第2回折格子部材、50・・・瞳、60・・・駆動回路、61・・・映像信号処理回路、70・・・補正回路、71・・・タイミング生成回路、72・・・補正係数生成部、73・・・制御回路(コントローラ)、74・・・補正データ格納部、75・・・補正係数演算回路、76・・・乗算器、77・・・加算器、100・・・光源、101R,101G,101B,110R,110G,110B・・・発光素子、102・・・光案内部材、103・・・ダイクロイック・プリズム、104,104R,104G,104B・・・光通過制御装置、105・・・走査光学系、106・・・水平走査用ガルバノ・ミラー、108・・・垂直走査用ガルバノ・ミラー、107,109・・・回転軸、111R,111G,111B・・・発光パネル,112・・・マイクロレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(D)画像形成装置を駆動するための駆動回路、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えており、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
補正係数は、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
補正係数は、画素における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に基づいて決定される値であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
画素に対応した評価値は、画像形成装置が赤色を表示したときの赤色の色度座標、緑色を表示したときの緑色の色度座標、及び、青色を表示したときの青色の色度座標であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
補正係数は、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、画像形成装置が赤色を表示したときの赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、画像形成装置が緑色を表示したときの緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、画像形成装置が青色を表示したときの青色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
画素に応じた補正係数は、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、画像形成装置が赤色、緑色、及び、青色を表示したときの基準白色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項7】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(E)駆動回路、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、
仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路、及び、
仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路、
を備えており、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
補正係数は、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
補正係数は、仮想の画素における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に基づいて決定される値であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項10】
仮想の画素に対応した評価値は、光源が赤色を出射したときに得られる赤色の色度座標、光源が緑色を出射したときに得られる緑色の色度座標、及び、光源が青色を出射したときに得られる青色の色度座標であることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
補正係数は、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、光源が赤色を出射したときに得られる赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、光源が緑色を出射したときに得られる緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、光源が青色を出射したときに得られる青色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
仮想の画素に応じた補正係数は、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、光源が赤色、緑色、及び、青色を出射したときに得られる基準白色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項13】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段、
(B)画像形成手段を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、及び、
(C)画像形成手段から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系、
を備えた画像表示装置であって、
駆動回路は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えており、
補正係数は、少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項14】
画像形成手段は、
2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、及び、
画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
から成ることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
画像形成手段は、
光源、及び、
光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
から成り、
フィールドシーケンシャル方式に基づき、光源は作動させられることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項16】
補正係数は、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項17】
補正係数は、画素における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に基づいて決定される値であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項18】
画素に対応した評価値は、画像形成手段が赤色を表示したときの赤色の色度座標、緑色を表示したときの緑色の色度座標、及び、青色を表示したときの青色の色度座標であることを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項19】
補正係数は、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、画像形成手段が赤色を表示したときの赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、画像形成手段が緑色を表示したときの緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、画像形成手段が青色を表示したときの青色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項18に記載の画像表示装置。
【請求項20】
画素に応じた補正係数は、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、画像形成手段が赤色、緑色、及び、青色を表示したときの基準白色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項21】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(D)画像形成装置を駆動するための駆動回路、
を備えている画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項22】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(E)駆動回路、
を備えている画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、
仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路、及び、
仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路、
を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項23】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段、
(B)画像形成手段を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、及び、
(C)画像形成手段から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系、
を備え、
駆動回路は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項1】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(D)画像形成装置を駆動するための駆動回路、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えており、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
補正係数は、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
補正係数は、画素における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に基づいて決定される値であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
画素に対応した評価値は、画像形成装置が赤色を表示したときの赤色の色度座標、緑色を表示したときの緑色の色度座標、及び、青色を表示したときの青色の色度座標であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
補正係数は、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、画像形成装置が赤色を表示したときの赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、画像形成装置が緑色を表示したときの緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、画像形成装置が青色を表示したときの青色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
画素に応じた補正係数は、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、画像形成装置が赤色、緑色、及び、青色を表示したときの基準白色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項7】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(E)駆動回路、
を備えた画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、
仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路、及び、
仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路、
を備えており、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、補正係数は、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
補正係数は、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
補正係数は、仮想の画素における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に基づいて決定される値であることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項10】
仮想の画素に対応した評価値は、光源が赤色を出射したときに得られる赤色の色度座標、光源が緑色を出射したときに得られる緑色の色度座標、及び、光源が青色を出射したときに得られる青色の色度座標であることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
補正係数は、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、光源が赤色を出射したときに得られる赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、光源が緑色を出射したときに得られる緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、光源が青色を出射したときに得られる青色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
仮想の画素に応じた補正係数は、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、光源が赤色、緑色、及び、青色を出射したときに得られる基準白色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項13】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段、
(B)画像形成手段を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、及び、
(C)画像形成手段から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系、
を備えた画像表示装置であって、
駆動回路は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えており、
補正係数は、少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項14】
画像形成手段は、
2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、及び、
画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
から成ることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
画像形成手段は、
光源、及び、
光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
から成り、
フィールドシーケンシャル方式に基づき、光源は作動させられることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項16】
補正係数は、駆動信号を構成する輝度信号を補正する係数であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項17】
補正係数は、画素における表示階調を同一階調としたときに得られる画像の評価値に基づいて決定される値であることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項18】
画素に対応した評価値は、画像形成手段が赤色を表示したときの赤色の色度座標、緑色を表示したときの緑色の色度座標、及び、青色を表示したときの青色の色度座標であることを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項19】
補正係数は、所望の色再現範囲における赤色の色度座標と、画像形成手段が赤色を表示したときの赤色の色度座標との一致、該所望の色再現範囲における緑色の色度座標と、画像形成手段が緑色を表示したときの緑色の色度座標との一致、及び、該所望の色再現範囲における青色の色度座標と、画像形成手段が青色を表示したときの青色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項18に記載の画像表示装置。
【請求項20】
画素に応じた補正係数は、所望の色再現範囲における基準白色の色度座標と、画像形成手段が赤色、緑色、及び、青色を表示したときの基準白色の色度座標との一致が得られるような値であることを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置。
【請求項21】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた画像形成装置、
(B)画像形成装置の画素から出射された光を平行光とするコリメート光学系、
(C)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(D)画像形成装置を駆動するための駆動回路、
を備えている画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、画素を駆動するための駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成装置における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項22】
(A)光源、
(B)光源から出射された光を走査して、2次元マトリクス状に配列された仮想の画素を形成する走査光学系、
(C)走査光学系からの光が入射され、導光され、出射される光学装置、及び、
(E)駆動回路、
を備えている画像表示装置であって、
光学装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第1回折格子部材、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回、回折反射し、導光板から出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成り、導光板に配設された第2回折格子部材、
を備えており、
駆動回路は、
仮想の画素にて表示すべき表示階調に対応して光源を駆動するための駆動信号を出力する光源制御回路、及び、
仮想の画素に対応する該駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路、
を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸としたとき、Y軸方向と光学的に等価の方向に沿った仮想の画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項23】
(A)2次元マトリクス状に配列された複数の画素に相当する光を出射する画像形成手段、
(B)画像形成手段を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路、及び、
(C)画像形成手段から出射された光を投射する回折光学素子を含む投射光学系、
を備え、
駆動回路は、画素に対応する駆動信号を補正係数に基づき補正する補正回路を備えている画像表示装置の駆動方法であって、
少なくとも回折光学素子に形成された干渉縞に光学的に直交する方向と光学的に等価の方向に沿った画像形成手段における画素に応じて異なる値を有する補正係数によって、駆動信号を補正することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図17】
【図3】
【図4】
【図6】
【図13】
【図16】
【図2】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図17】
【図3】
【図4】
【図6】
【図13】
【図16】
【公開番号】特開2009−36955(P2009−36955A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200564(P2007−200564)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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