説明

癌その他の疾患の治療に有用な置換ピリジン誘導体

本発明は、新規ジアリール尿素、そのような化合物を含有する薬剤組成物ならびに増殖亢進性および血管新生性の疾患を治療するための、単剤としてのもしくは細胞毒療法と組み合わせてのこれらの化合物または組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の、そのような化合物を含有する薬剤組成物、及び、増殖亢進性及び血管新生性の疾患の治療のための、そのような化合物又は組成物の、単独薬剤としての又は、例えば細胞毒性治療薬等の他の活性成分との組合せとしての、使用に関する。
【背景技術】
【0002】
rasシグナルトランスダクション経路の活性化は、細胞増殖、分化、及びトランスフォーメーションに深い影響を及ぼす一連の出来事を示す。rafキナーゼは、rasの下流側エフェクターであるが、細胞表面レセプターから細胞核へのこれらのシグナルの中心的な伝達物質と認識されている(Lowy, D.R.; Willumsen, B.M. Ann. Rev. Biochem. 1993, 62, 851; Bos, J.L. Cancer Res. 1989, 49, 4682)。rafキナーゼに対する非活性化抗体の投与により又は優勢ネガティブなrafキナーゼ若しくは、優勢ネガティブなMEK(rafキナーゼの基質である)の同時発現によりrafキナーゼシグナル経路を阻害することによる活性のrasの効果の阻害は、トランスフォーメーションした細胞の正常な増殖表現形への復帰をもたらす(Daum et al. Trends Biochem. Sci. 1994, 19, 474-80; Fridman et al. J. Biol. Chem. 1994, 269, 30105-8を参照。Kolch et al., (Nature 1991, 349, 426-28)は、アンチセンスRNAによるraf発現の阻害が、膜関連癌遺伝子における細胞増殖を阻止することを更に示した。同様に、(アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによる)rafキナーゼの阻害は、インビトロ及びインビボで、種々のヒト腫瘍タイプの増殖の阻害と関連付けられてきた(Monia et al., Nat. Med. 1996, 2, 668-75)。rafキナーゼ活性に対する小さな分子の阻害剤の幾つかの例が、癌の治療のための重要な作用物質である。(Naumann, U.; Eisenman-Tappe, I. Rapp, U.R. Recent Results Cancer Res. 1997, 143, 237; Monia, B.P.; Johnston,J.F.; Geiger, T.; Muller, M.; Fabbro, D. Nature Medicine 1996, 2, 668)。
【0003】
1〜2mm3のサイズを超えて進行性の腫瘍の増殖を支持するためには、腫瘍細胞は、機能的基質、すなわち繊維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、細胞外マトリクスタンパク質及び可溶性因子よりなる支持構造、を必要とすることが認識されている(Folkman, J., Semin Oncol, 2002, 29(6 Suppl 16), 15-8)。腫瘍は、PDGF及びトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)等のような可溶性増殖因子の分泌を介して基質組織の形成を誘導し、それが今度は宿主細胞による繊維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)及び血管内皮増殖因子(VEGF)等のような補助的因子の分泌を刺激する。これらの刺激因子は、新たな血管の形成、すなわち血管新生、を誘導し、腫瘍に酸素と栄養素を供給し、増殖を可能にすると共に転移のためのルートを提供する。基質の形成の阻害に向けられた治療のうちのあるものは、広範な種々の組織化学タイプからの上皮腫瘍の増殖を阻害するであろうと信じられている。(George, D. Semin Oncol, 2001, 28(5 Suppl 17), 27-33; Shaheen, R.M., et al., Cancer Res, 2001. 61(4), 1464-8; Shaheen, R.M., et al. Cancer Res, 1999. 59(21), 5412-6)。しかしながら、血管新生プロセスと腫瘍の進行に関与する複雑な性質及び多数の増殖因子のため、単一の経路を標的とする作用物質は、限定された有効性しか有しない可能性がある。宿主の基質内に血管新生を誘導するために腫瘍によって利用される多数の中心的シグナル経路に対する治療を提供することが望ましい。これらはPDGF(基質形成の潜在的刺激因子)(Oxtman, A. and C.H. Heldin, Adv Cancer Res, 2001, 80, 1-38)、FGF(化学誘引物質)及び繊維芽細胞及び内皮細胞の有糸分裂促進因子、及びVEGF(血管形成の強力な調節因子)を含む。
【0004】
PDGFは、多くの腫瘍によって傍分泌の様式で分泌される基質形成のもう1つの中心的調節因子であり、繊維芽細胞、平滑筋及び内皮細胞の増殖を促進させ、基質形成及び血管新生を促進すると信じられている。PDGFは、元々、サルの肉腫ウイルスのv-sis癌遺伝子産物として同定された(Heldin, C.H., et al., J Cell Sci Suppl, 1985, 3, 65-76)。この増殖因子は、A又はB鎖と呼ばれ一次アミノ酸配列において60%の相同性を共有する2本のペプチド鎖から形成されている。これらの鎖は、ジスルフィド架橋して、AA、BB又はABのホモ又はヘテロ2量体よりなる30kDaの成熟タンパク質を形成している。PDGFは、血小板中に高いレベルで見出され、内皮細胞及び血管平滑筋細胞によって発現される。加えて、PDGFの産生は、血管形成の乏しい腫瘍組織に見出されるような低酸素条件の下でアップ・レギュレーションされる(Kourembanas, S., et al., Kidney Int, 1997, 51(2), 438-43)。PDGFは、高い親和性を以ってPDGFレセプターすなわち1106個のアミノ酸よりなる124kDaの膜貫通型チロシンキナーゼレセプターに結合する(Heldin, C.H., A. Ostman, and L. Ronnstrand, Biochin Biophys Acta, 1998. 1378(1), 79-113)。PDGF受容体(PDGFR)は、アミノ酸配列において全体として30%の相同性を有し、それらのキナーゼドメインの間で64%の相同性を有するホモ又はヘテロ2量体の鎖として見出される(Heldin, C.H., et al., Embo J, 1988, 7(5), 1387-93)。PDGFRは、VEGFR2(KDR)、VEGFR3(Flt4)、c-Kit、及びFLT3を含む、分かれたキナーゼドメインを有するチロシンキナーゼレセプターのファミリーの1メンバーである。PDGFレセプターは、主として繊維芽細胞、平滑筋細胞、及び外膜細胞上に発現され、より少ない程度に、神経細胞、腎メサンギウム、ライディッヒ、及び中枢神経系のシュワン細胞上に、発現される。レセプターに結合すると、PDGFはレセプターの2量体化を誘導しチロシン残基のオートフォスフォリレーション及びトランスフォスフォリレーションを受け、これがレセプターのキナーゼ活性を増大させ、SH2タンパク質結合ドメインの活性化を介して下流側エフェクターの補充を促進する。PL-3‐キナーゼ、ホスホリパーゼC−γ、src及びGAP(p21-rasのGTPase活性化タンパク質)を含む多数のシグナル分子が活性化されたPDGFRと複合体を形成する(Soskic, V., et al. Biochemistry, 1999, 38(6),1757-64)。PI-3−キナーゼの活性化を介して、PDGFはRhoシグナル経路を活性化させ、細胞の運動性及び遊走を誘導し、そしてGAPの活性化を介して、p21-ras及びMAPKシグナル経路の活性化を介して有糸分裂を誘導する。
【0005】
成人においては、PDGFの主たる機能は、創傷治癒を容易にし速度を高め、且つ、血管のホメオスタシスを維持することであると信じられている(Baker, E.A. and D.J. Leaper, Wound Repair Regen, 2000. 8(5), 392-8; Yu, J., A. Moon, and H.R. Kim, Biochem Biophys Res Commun, 2001, 282(3), 697-700)。PDGFは、血小板に高濃度に見出され、繊維芽細胞、平滑筋細胞、好中球及びマクロファージにとっての強力な化学誘引物質である。創傷治癒におけるその役割に加えて、PDGFは、血管のホメオスタシスを維持することが知られている。新たな血管の形成に際して、PDGFは、血管の構造的一体性のために必要なペリサイト及び平滑筋細胞を補充する。PDGFは、腫瘍の新血管形成に際しても類似の役割を演じていると考えられている。血管新生におけるその役割の一部として、PDGFは、間質液の圧を調節し、結合組織細胞と細胞外マトリクスの間の相互作用の調節を介して血管の透過性を調節している。PDGFR活性の阻害は、間質圧を低下させて腫瘍内への細胞毒の流入を促進し、それらの作用物質の抗腫瘍活性を改善し得る(Pietras, K., et al. Cancer Res, 2002. 62(19), 5476-84; Pietras, K. et al. Cancer Res, 2001. 61(7), 2929-34)。
【0006】
PDGFは、基質細胞又はPDGFRレセプターの傍分泌若しくは自己分泌の刺激を介して又は腫瘍細胞に対し直接的に、又はレセプターの増幅若しくは組換えによるレセプターの活性化を介して、腫瘍の増殖を促進させる可能性がある。PDGFの過剰発現は、PDGFレセプターを発現しない2つのタイプであるヒト黒色腫細胞及びケラチン生成細胞を、おそらくは基質形成及び血管形成の誘導に対するPDGFの直接的効果により、トランスフォーメーションさせることができる(Forsberg, K. et al. Proc Natl Acad Sci USA., 1993. 90(2), 393-7; Skobe, M. and N.E. Fusenig, Proc Natl Acad Sci USA, 1998. 95(3), 1050-5)。腫瘍基質のこの傍分泌刺激はまた、腫瘍がPDGFを発現するがレセプターは発現しないものである結腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌においても観察される(Bhardwaj. B., et al. Clin Cancer Res, 1996, 2(4), 773-82; Nakanishi, K. et al. Mod Pathol, 1997, 10(4). 341-7; Sundberg, C. et al. Am J Pathol, 1997, 151(2), 479-92; Lindmark, G. et al. Lab Invest, 1993, 69(6), 682-9; Vignaud, J.M., et al, Cancer Res, 1994, 54(20), 5455-63)。解析された腫瘍の大きな部分がリガンドPDGFとレセプターの双方を発現するものである腫瘍細胞の増殖の自己分泌刺激は、グリア芽腫(Fleming, T.P., et al. Cancer Res, 1992, 52(16), 4550-3)、軟組織肉腫(Wang, J., M.D. coltrera, and A.M. Gown, Cancer Res, 1994, 54(2), 560-4)及び卵巣癌(Henriksen, R., et al. Cancer Res, 1993, 53(19), 4550-4)、前立腺癌(Fudge, K., C.Y. Wang, and M.E. Stearns, Mod Pathol, 1994, 7(5), 549-54)、膵臓癌(Funa, K., et al. Cancer Res, 1990, 50(3), 748-53)及び肺癌(Antoniades, H.N., et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1992, 89(9), 3942-6)において報告されている。リガンド非依存性のレセプター活性化が、より少ない程度に見出されるが、慢性の骨髄性白血病(CMML)において報告されており、そこでは染色体転座がEts様転写因子TELとPDGFレセプターとの間の融合タンパク質さえも形成する。加えて、c-Kitの活性化が関与していないPDGFRにおける活性化変異が、消化管基質腫瘍において見出されている(Heinrich, M.C., et al., Science, 2003, 9, 9)。ある種のPDGFR阻害物質は、腫瘍の基質の伸展を妨害し、腫瘍の増殖及び転移を阻害するであろうと信じられている。
【0007】
胚発生及び血管形成依存型疾患の双方における血管新生及び血管形成に対する他の主たる調節因子は、血管内皮増殖因子(VEGF;血管透過性因子VPFとも呼ばれる)である。VEGFは、選択的RNAスプライシングによるホモ2量体の形態で存在する有糸分裂促進因子のアイソフォームの1ファミリーを代表している。VEGFアイソフォームは、血管ないひ細胞に高度に特異的であることが報告されている(総説は、Farrara et al. Endocr. Rev. 1992, 13, 18; Neufield et al. FASEB J. 1999, 13, 9を参照)。
【0008】
VEGFの発現は、低酸素によって状態によって(Shweiki et al. Nature 1992, 359, 843)並びに、インターロイキンー1、インターロイキン−2、上皮増殖因子及びトランスフォーミング増殖因子等のような種々のサイトカイン及び増殖因子によって、誘導される。今日までに、VEGF及びVEGFファミリーのメンバーが、3種の膜貫通型レセプターのチロシンキナーゼのうちの1つ以上(Mustonen et al. J. Cell Biol., 1995, 129, 895)、VEGFレセプター−1(flt-1とも呼ばれる(fms-likeチロシンキナーゼ−1))に、VEGFR-2(レセプター(KDR)を含んだキナーゼインサートドメインとしても知られている;KDRのネズミの類縁体は胎児肝キナーゼ−1(flk-1)としても知られている)に、及びVEGFR-3(flt-4としても知られている)に、結合することが報告されている。KDR及びflt-1は、異なったシグナルトランスダクション経路を有することが示されている(Waltenberger et al. J. Biol. Chem. 1994, 269, 26988); Park et al. Oncogene 1995, 10, 135)。すなわち、KDRは、無傷の細胞において強いリガンド−依存性のチロシンリン酸化を受けるのに対し、flt-1は、弱い応答を示す。従って、KDRへの結合は、VEGF−媒介性の生物学的応答の全スペクトルの誘導にとって決定的な要件の1つであると信じられている。
【0009】
インビボで、VEGFは、血管形成において中心的役割を演じ、血管新生及び血管透過性亢進を誘導する。脱調節されたVEGF発現は、異常な血管新生及び/又は透過性亢進プロセスによって特徴付けられる多数の疾患の発生に寄与する。幾つかの作用物質によるVEGF−媒介性のシグナルトランスダクションカスケードの調節は、異常な血管新生及び/又は透過性亢進プロセスの調節のための有用な様式を提供しうる。
【0010】
血管新生は、約1〜2mmを超える腫瘍の成長のための重要な必須条件の一つとみなされている。これより小さな腫瘍においては、酸素と栄養素は拡散を通じて供給され得る。しかしながら、あらゆる腫瘍は、一定のサイズに達した後は、連続して増殖するには血管新生に依存していると信じられている。腫瘍内部の低酸素領域にある腫瘍形成細胞は、VEGF産生の刺激により応答し、これは静止状態の血管内皮細胞の活性化を始動させて新たな血管形成を刺激する(Shweiki et al. Proc. Nat’l. Acad. Sci., 1995, 92, 768)。加えて、血管新生のない腫瘍領域でのVEGFの産生は、rasシグナルトランスダクション経路を介して進行し得る(Grugel et al. J. Biol. Chem., 1995, 270, 25915; Rak et al. Cancer Res. 1995, 55, 4575)。in situ ハイブリダイゼーション研究は、VEGF mRNA が、肺癌(Mattern et al. Br. J. Cancer 1996, 73, 931)、甲状腺癌(Viglietto et al. Oncogene 1995, 11, 1569)及び乳がん(Brown et al. Human Pathol. 1995, 26, 86)、消化管(Brown et al. Cancer Res. 1993, 53, 4727; Suzuki et al. Cancer Res. 1996, 56, 3004)、腎臓及び膀胱癌(Brown et al. Am. J. Pathol. 1993, 143I, 1255)、卵巣癌(Olson et al. Cancer Res. 1994, 54, 1255))、子宮頸癌(Guidi et al. J. Nat’l Cancer Inst. 1995, 87, 12137)、並びに血管肉腫(Hashimoto et al. Lab. Invest. 1995, 73, 859)、及び数種の頭蓋内腫瘍(Plate et al. Nature 1992, 359, 845; Phillips et al. Int. J. Oncol. 1993, 2, 913; Berkman et al. J. Clin. Invest., 1993, 91, 153)を含む種々のヒト腫瘍において強くアップ・レギュレーションされることを示している。KDRに対する中和モノクローナル抗体が腫瘍の血管新生を遮断するのに効果的であることが示されている(Kim et al. Nature 1993, 362, 841; Rockwell et al. Mol. Cell. Differ. 1995, 3, 315)。
【0011】
例えば極度の低酸素条件下でのVEGFの過剰発現は、眼内血管新生をもたらし得、その結果血管の増殖を生じ、最終的には失明につながる。そのような事象の連鎖が、糖尿病性網膜症、虚血性網膜血管閉塞、及び未熟児網膜症(Aiello et al. New Engl. J. Med. 1994, 331, 1480; Peer et al. Lab. Invest. 1995, 72, 638)、及び加齢性黄斑変性を含む多数の網膜症について観察されてきた(AMD; see, Lopez et al. Invest. Opththalmol. Vis. Sci. 1996, 37, 855)。
【0012】
慢性関節リウマチ(RA)においては、血管パンヌス(vascular pannus)の内方伸長は血管新生因子の産生によって媒介されてる可能性がある。免疫反応性のVEGFのレベルは、RA患者の滑液において高く、一方VEGFレベルは、変形性関節疾患を有する他の形の関節炎の患者の滑液においては低かった(Koch et al. J. Immunol. 1994, 152, 4149)。血管新生阻害薬AGM-170は、ラットコラーゲン関節炎モデルにおいて間接の新血管形成を抑制することが示されている(Peacock et al. J. Exper. Med. 1992, 175, 1135)。
【0013】
VEGF発現の増加はまた、乾癬に罹った皮膚、並びに、水疱性類天疱瘡、多形性紅斑及び疱疹状皮膚炎等のような、表皮下の水泡形成に関連した水疱性の疾患においても示されている(Brown et al. J. Invest. Dermatol. 1995, 104, 744)。
【0014】
血管内皮増殖因子(VEGF、VEGF-C、VEGF-D)及びそれらのレセプター(VEGFR2、VEGFR3)は、腫瘍の血管新生のみならずリンパ管新生の中心的調節因子でもある。VEGF、VEGF-C及びVEGF-Dは、主として腫瘍増殖の期間において、そしてしばしば実質的に上昇したレベルで、殆どの腫瘍において発現されている。VEGFの発現は、低酸素状態、サイトカイン、ras等のような癌遺伝子によって又は腫瘍抑制遺伝子の不活性化によって刺激される(McMahon, G. Oncologist 2000, 5(Suppl. 1), 3-10; McDonald, N.Q.; Hendrickson, W.A. Cell 1993, 73, 421-424)。
【0015】
VEGF類の生物学的活性は、それらのレセプターへの結合を介して媒介される。VEGFR3(Flt-4とも呼ばれる)は、主として、正常組織においてリンパ管上皮上表上に発現される。VEGFR3の機能は、新たなリンパ管形成に必要であるが、既存のリンパ管の維持には必要でない。VEGFR3はまた、腫瘍の血管内皮上でアップ・レギュレーションされる。最近、VEGF-C及びVEGF-D(VEGFR3のリガンドである)が、哺乳類動物のリンパ管新生の調節因子として同定されている。腫瘍関連リンパ管新生によって誘導されるリンパ管新生は、腫瘍内への新たな管の成長を促進させ得、腫瘍細胞に全身循環へのアクセスを提供する。リンパ管に浸潤する細胞は、胸管を介して血流中に入る道を見出し得る。腫瘍発現の研究は、VEGF-C、VEGF-D及びVEGFR3の、原発腫瘍が広がる能力(例えば、リンパ節の関与、リンパ浸潤、二次的転移、及び無疾患の生存)に直接関係する臨床病理学的因子との、直接比較を可能にしている。多くの例において、これらの研究は、リンパ管新生因子の発現と原発固形腫瘍が転移する能力との間の、統計学的相関を示している(Skobe, M. et al. Nature Med. 2001, 7(2), 192-198; Stacker, S.A. et al.. Nature Med. 2001, 7(2), 186-191; Makinen, T. et al. Nature Med. 2001, 7(2), 199-205; Mandriota, S.J. et al. EMBO J. 2001, 20(4), 672-82; Karpanen, T. et al. Cancer Res. 2001, 61(5), 1786-90; Kubo, H. et al. Blood 2000, 96(2), 546-53)。
【0016】
低酸素状態は、悪性細胞におけるVEGF産生のための重要な刺激であるように見える。p38 MAPキナーゼの活性化は、低酸素状態に応答した腫瘍細胞によりVEGF誘導のために必要である(Blaschke, F. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2002, 296, 890-896; Shemirani, B. et al. Oral Oncology 2002, 38, 251-257)。VEGF分泌の調節を介して血管新生に関与していることに加えて、p38 MAPキナーゼは、コラゲナーゼ活性の調節及びウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベータの発現を通じて、悪性細胞の浸潤及び種々の腫瘍タイプの遊走を促進する(Laferriere, J. et al. J. Biol. Chem. 2001, 276, 33762-33772; Westermarck, J. et al. Cancer Res. 2000, 60, 7156-7162; Huang, S. et al. J. Biol. Chem. 2000, 275, 12266-12272; Simon, C. et al. Exp. Cell Res. 2001, 271, 344-355)。
【0017】
幾つかのジアリール尿素が、セリン−スレオニンキナーゼ及び/又はチロシンキナーゼの阻害剤としての活性を有することが記述されてきた。癌、血管新生障害、及び炎症性疾患の治療のための薬剤組成物における活性成分としてのこれらのジアリール尿素の用途が記述されてきた。次を参照:Redman et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 9-12; Smith et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 2775-2778; Dumas et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000, 10, 2047-2050; Dumas et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000, 10, 2051-2054; Ranges et al., Book of Abstracts, 220th ACS National Meeting, Washington, DC, USA, MEDI 149; Dumas et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2002, 12, 1559-1562; Lowinger et al., Clin. Cancer Res. 2000, 6(suppl.), 335; Lyons et al., Endocr.-Relat. Cancer 2001, 8, 219-225; Riedl et al., Book of Abstracts, 92nd AACR Meeting, New Orleans, LA, USA, abstract 4956; Khire et al., Book of Abstracts, 93rdAACR Meeting, San Francisco, CA, USA, abstract 4211; Lowinger et al., Curr. Pharm. Design 2002, 8, 99-110; Regan et al., J. Med. Chem. 2002, 45, 2994-3008; Pargellis et al., Nature Struct. Biol. 2002, 9(4), 268-272; Carter et al., Book of Abstracts, 92ndAACR Meeting, New Orleans, LA, USA, abstract 4954; Vincent et al., Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting, Orlando, FL, USA, abstract 1900; Hilger et al., Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting, Orlando, FL, USA, abstract 1916; Moore et al., Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting, Orlando, FL, USA, abstract 1816; Strumberg et al., Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting, Orlando, FL, USA, abstract 121; Madwed JB: Book of Abstracts, Protein Kinases: Novel Target Identification and Validation for Therapeutic Development, San Diego, CA, USA, March 2002; Roberts et al., Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting, Orlando, FL, USA, abstract 473; Tolcher et al., Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting, Orlando, FL, USA, abstract 334; and Karp et al., Book of Abstracts, 38th AACR Meeting, San Francisco, CA, USA, abstract 2753.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
技術の進歩にも拘らず、癌治療及び炎症性疾患の治療を改善する必要が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は:
(i) 新規化合物、その塩、代謝産物およびプロドラッグ(ジアステレオ異性体を含む)、
(ii) そのような化合物の任意のものを含有する薬剤組成物、ならびに
(iii) 疾患、たとえば増殖亢進性疾患および血管新生性疾患を治療するための、単剤としてのもしくはその他の有効成分、たとえば細胞毒療法と組み合わせてのそれらの化合物または組成物の使用に関する。
【0020】
式(I)の化合物、それらの塩、代謝産物およびプロドラッグ(ジアステレオ異性体(単離された立体異性体および立体異性体の混合物の双方)を含む)そのをまとめて、本明細書において「本発明の化合物」と称し、式Iは次のとおりである:
【0021】
【化1】

【0022】
Aはフェニル、ナフチル、単環式もしくは2環式ヘテロアリールまたは式
【0023】
【化2】

【0024】
の基であって、独立してR1、OR1、S(O)p1、C(O)R1、C(O)OR1、C(O)NR12、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノもしくはニトロである1〜4の置換基で所望により置換されてもよく、
Bはフェニル、ナフチルまたはピリジルであって、独立してC1〜C5の直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノもしくはニトロである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよい。
Bは好ましくはフェニルまたはピリジルであって、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖のハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノもしくはニトロである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよい。
【0025】
Lは架橋基であって:
(a)−(CH2m−O−(CH2l−、
(b)−(CH2m−(CH2l−、
(c)−(CH2m−C(O)−(CH2l−、
(d)−(CH2m−NR3−(CH2l−、
(e)−(CH2m−NR3C(O)−(CH2l−、
(f)−(CH2m−S−(CH2l−、
(g)−(CH2m−C(O)NR3−(CH2l−または
(h)単結合である。
【0026】
整数のmおよびlは0〜4から独立して選択され、一般的には0〜2から選択される。
【0027】
Lとしては−O−または−S−が最も好ましい。
【0028】
Mはピリジン環であり、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲンまたはニトロである1〜3個の置換基で所望により置換されてもよい。
【0029】
Qは:
(1)C(S)NR45
(2)C(O)NR7−NR45
(3)テトラゾリル、
(4)イミダゾリル、
(5)イミダゾリン−2−イル、
(6)1,3,4−オキサジアゾリン−2−イル、
(7)1,3−チアゾリン−2−イル、
(8)5−チオキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアゾリン−2−イル、
(9)5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリン−2−イルまたは
(10)式
【0030】
【化3】

【0031】
の基であり、好ましくは(1)、(2)または(10)である。
それぞれのR1、R2、R13、R4およびR5は独立して、
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)フェニル、
(d)C1〜C3のフェニルアルキル、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−(CH2q−Xである。
【0032】
置換基Xは、酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1つの原子を含み、飽和の、部分飽和のもしくは芳香族の5員もしくは6員のヘテロ環であるか、またはO、NおよびSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を有する8〜10員の2環式ヘテロアリールである。
【0033】
さらに、R4およびR5は一緒になって5員または6員の脂肪族環を形成してもよく、これはN、OまたはSから選択される原子が割り込んでいてもよい。これは、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、パーハロまでの置換されたC1〜C5の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノまたはニトロである1〜3個の置換基で所望により置換されてもよい。
【0034】
6は独立して:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)シアノ、
(d)ニトロ、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−C(O)R7であって、式中R7はC1〜C5直鎖、分枝鎖または環状アルキルである。
【0035】
好ましくは、R6は独立して:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)シアノ、または
(d)ニトロであり、最も好ましくは、R6は独立して:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、または
(c)シアノである。
【0036】
7は水素または直鎖、分枝鎖もしくは環状C1〜C5のアルキルである。
【0037】
変数qは0、1、2、3または4の整数である。変数pは0、1または2の整数である。
【0038】
当該化合物の群は、式(I)の化合物、それらの塩、代謝産物およびプロドラッグ(ジアステレオ異性体(単離された立体異性体および立体異性体の混合物の双方)を含む)であって、
Aが
【0039】
【化4】

【0040】
であって、式中Aは任意の炭素原子上において、R1、OR1、S(O)p1、C(O)R1、C(O)OR1、C(O)NR12、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノまたはニトロである0〜4個の置換基で独立して置換され、式IのB、L、MおよびQは上記定義に同じである。
【0041】
これらの化合物について、
Bはフェニルまたはピリジルが好ましく、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノまたはニトロである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよい。
【0042】
Lは好ましくは−O−であり、
Mは好ましくはQのみにより置換されたピリジン環であり、
Qは好ましくは
C(S)NR45
C(O)NR7−NR45、または

【0043】
【化5】

【0044】
の基であって、式中それぞれのR1、R2、R4およびR5は独立して:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)フェニル、
(d)C1〜C3フェニルアルキル、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−(CH2q−Xであって、式中置換基Xはピリジニルであって変数qは好ましくは0もしくは1の整数であり、
6は好ましくは、独立して:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖または環状アルキル、または
(c)シアノである。
【0045】
当該化合物の別の群は、式(I)の化合物、それらの塩、代謝産物およびプロドラッグ(ジアステレオ異性体(単離された立体異性体および立体異性体の混合物の両方)を含む)であって、
Aが
【0046】
【化6】

【0047】
であって、式IのB、L、MおよびQが上記定義に同じであり、式IのB、L、MおよびQの好ましい値は上記定義に同じである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
如何なる部分も、「置換され」ているとき、示された置換基の最大数まで有することができ、そして各置換基は、当該部分上の如何なる利用可能な位置にあることもでき、置換基上の如何なる利用可能な原子を介して結合することもできる。「如何なる利用可能な位置」とは、本技術分野において知られまたは本明細書で教示された手段を介して化学的に利用可能な、且つ過度に不安定な分子を作り出すことのない、当該部分上の如何なる位置をも意味する。如何なる部分上に2つ以上の置換基が存在する場合も、各置換基は、他の如何なる置換基とも独立して規定され、従って、同一であることもまた異なっていることもできる。
【0049】
「所望により置換され」という用語は、そのように修飾された部分が、置換されていなくても、または特定の置換基で置換されていてもよいことを意味する。
【0050】
Mがピリジンであることから、ピリジンの置換基としての「ヒドロキシ」という用語には、2−、3−および4−ヒドロキシピリジンが含まれるが、しかし本技術分野における1−オキソピリジン、1−ヒドロキシピリジンおよびピリジン−N−オキシドと呼ばれる構造も含まれることが理解される。
【0051】
本明細書において、化合物、塩その他の言葉の複数形が用いられる場合、これは単一の化合物、塩その他も意味するとみなされる。
【0052】
1〜C5のアルキルという用語は、1〜5の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基という意味であり、これは、直鎖でもまたは分枝が1つもしくは分枝が複数の分枝鎖でもよい。このような基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが含まれる。
【0053】
ハロC1〜C5のアルキルという用語は、5つまでの炭素原子を有する飽和炭化水素基であって、パーハロまでの、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されたものを意味する。この基は直鎖または分枝が1つもしくは分枝が複数の分枝鎖であってもよい。ハロ置換基には、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードが挙げられる。フルオロ、クロロおよびブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがより好ましい。ハロゲン置換基は、利用可能な任意の炭素上に位置することができる。2つ以上のハロゲン置換基がこの部分上に存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。このようなハロゲン化アルキル置換基の例としては、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルおよび1,1,2,2−テトラフルオロエチルその他が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
1〜C3のアルコキシという用語は、直鎖または単一もしくは複数の分枝を有するが分枝鎖であってよい1〜3の飽和炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシ基を意味し、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシその他のような基が挙げられる。それはまた、2,2−ジクロロエトキシ、トリフルオロメトキシその他のハロゲン化された基も含む。
【0055】
ハロまたはハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。フルオロ、クロロおよびブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがより好ましい。
【0056】
1〜C3のアルキルアミンは、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノまたはイソプロピルアミノを意味する。
【0057】
1〜C6のジアルキルアミンの例としては、ジエチルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、メチルイソブチルアミノおよびジヘキシルアミノが挙げられが、これらに限定されない。
【0058】
ヘテロアリールという用語は、単環式ヘテロアリール環および二環式ヘテロアリール環の両方をいう。単環式ヘテロアリールとは、5〜6個の環原子を有する芳香族単環であって、それらのうち少なくとも1個つはN、OおよびSから選択されるヘテロ原子であり、残りの原子は炭素であることを意味する。2つ以上のヘテロ原子がその部分に存在する場合、それらは、他のものから独立して選択され、従って、同一または異なるものであってよい。単環式ヘテロアリール環としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンおよびトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
二環式ヘテロアリールは、融合した二環の部分であって、環の1つが上記の単環式ヘテロアリール環から選択され、第2の環がベンゼンまたは他の上記の単環式ヘテロアリール環のいずれかである、という意味である。二環の部分における両方の環がヘテロアリール環である場合、本技術分野において知られた手段によって、それらが化学的に利用可能なものである限り、これらは同一でも異なっていてもよい。二環式ヘテロアリール環としては、合成的に利用可能な5−5、5−6または6−6の融合した二環式芳香族構造が挙げられ、たとえば、ベンゾオキサゾール(ベンゼンとオキサゾールとが融合)、インダゾール(ベンゼンとピラゾールとが融合)、キノリン(フェニルとピリジンとが融合)、キナゾリン(ピリミジンとベンゼンとが融合)、イミダゾピリミジン(イミダゾールとピリミジンとが融合)、ナフチリジン(二つのピリジンが融合)その他が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
「酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1つの原子を含み、飽和の、部分飽和のもしくは芳香族の5員または6員のヘテロ環」という用語は、けっして限定する訳ではないが、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピペリジノン、テトラヒドロピリミドン、ペンタメチレンスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジンその他を含む。
【0061】
4およびR5が一緒になって5員または6員の脂肪族環を形成してもよく、これはN、OまたはSから選択される原子が割り込んでいてもよく、所望により置換されてもよいものである置換基Qの非限定的な例としては、次のものが挙げられる:
【0062】
【化7】

【0063】
「C1〜C3のフェニルアルキル」という用語には、決して限定する訳ではないが、3−フェニルプロピル、2−フェニル−1−メチルエチルが含まれる。置換例としては、2−[2−クロロフェニル]エチル、3,4−ジメチルフェニルメチルなどが挙げられる。
【0064】
式Iの化合物は、望ましい種々の置換基の位置および性質に応じて、1つ又は2つ以上の不斉中心を含んでもよい。不斉炭素原子は(R)配置もしくは(S)配置または(R、S)配置で存在してもよい。特定の例においては、所定の結合、例えば特定の化合物の2つの置換された芳香環に隣接する中心の結合周りの回転の制限に起因する不斉が存在してもよい。環上の置換基はシス型またはトランス型のいずれで存在してもよい。すべてのそのような配置(エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)が本発明の範囲に含まれることが意図されている。好ましい化合物は、より望ましい生物活性を生じさせる式Iの化合物の絶対配置を有するものである。本発明の化合物の分離された、純粋なもしくは部分的に精製された異性体またはラセミ混合物も本発明の範囲に含まれる。当該異性体の精製および当該異性体混合物の分離は、本技術分野において知られている標準的な技術によって達成できる。
【0065】
光学異性体は、慣用の方法に従って、例えば光学活性な酸又は塩基を用いたジアステレオマー塩又は共有結合ジアステレオマーの形成によるラセミ混合物の分割によって得ることができる。適当な酸の例としては、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジトルオイル酒石酸及び樟脳スルホン酸が挙げられる。ジアステレオマーの混合物は、それらの物理学的及び/又は化学的差異に基づいて、当該分野で既知の方法により、例えばクロマトグラフィー又は分別結晶化により、それらの個々のジアステレオマーへと分割することができる。光学活性な塩基又は酸は、次いで、分離されたジアステレオマー塩から遊離される。光学異性体を分離するための別の方法は、慣用の誘導体化を伴って又は伴わないで、エナンチオマーの分離を最大限にするよう最適に選択されたキラルなクロマトグラフィー(例えば、キラルなHPLCカラム)の使用を伴うものである。適したキラルなHPLCカラムは、何れも日常的に選択可能である多くのもののうち、取り分け、例えばキラルOD及びキラルOJとしてDiacelによって製造されている。誘導体形成を伴った又は伴わない酵素的分離もまた有用である。式Iの光学活性な化合物は、同様に、光学活性な出発材料を利用して得ることができる。
【0066】
本発明はまた、ここに開示されるように、薬剤学的に許容し得る塩、代謝物及びプロドラッグ等のような、式(I)の化合物の全ての化合物の有用な形態にも関する。「薬害学的に許容し得る塩」の語は、本発明の化合物の、比較的無毒の無機又は有機の付加塩をいう。例えば、S. M. Berge, et al. “Pharmaceutical Salts,” J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19を参照のこと。薬剤学的に許容し得る塩はまた、塩基として機能する主たる化合物を、無機又は有機の酸と酸と反応させて、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、樟脳硫酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸及びクエン酸の塩を形成しているものを含む。薬剤学的に許容し得る塩はまた、主たる化合物た酸として機能して、適当な塩基と反応して、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びコリン塩を形成しているものを含む。当業者は、請求に係る化合物の酸付加塩が、多数の既知の方法の何れによっても、適当な無機又は有機の酸との反応により製造できることを更に認識するであろう。代わりとして、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が、様々な既知の方法により本発明の化合物を適当な塩基と反応させることによって製造できる。
【0067】
本発明の化合物の代表的な塩としては、慣用の非毒性の塩及び、例えば、無機の又は有機の酸又は塩基から当該分野において周知の手段によって形成される第4級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、桂皮酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミサルフェート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、イタコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモイン酸塩(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピルビン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、及びウンデカン酸塩が挙げられる。
【0068】
塩基塩としては、カリウム及びナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン及びN−メチル−D−グルカミン等のような有機塩基を有するアンモニウム塩が挙げられる。加えて、塩基性の窒素含有基は、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチル等のようなハロゲン化低級アルキル試薬ジメチル、ジエチル及びジブチル硫酸等のようなジアルキル硫酸;及びジアミル硫酸、塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリル等のような長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジル及びフェネチルその他のハロゲン化アラルキルで、4級化されてよい。
【0069】
本発明の化合物のうちのあるものは、インビボで投与後に切断されて、活性な原薬剤と薬理学的に不活性な誘導体形成基とを与える不安定な(官能)基によって、更に修飾することができる。一般にプロドラッグと呼ばれるこれらの誘導体を、活性薬剤の物理化学的性質を変更するために、活性薬剤を特定の組織へと導くために、活性薬剤の薬物動態学的及び薬力学的性質を変更するために、そして望ましからざる副作用を低下させるために、使用することができる。
【0070】
本発明のプロドラッグとしては、例えば、本発明の適当な化合物のエステルが、耐用性がよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル又はペンチルを含むアルキルエステル等のような薬剤学的に許容されるエステルが挙げられる。メチルエステルが好ましいが、更なるエステルとして、フェニル−C1〜C5アルキルを使用することができる。
【0071】
プロドラッグを合成する諸方法が、当該主題に関する次の総説に記述されており、それらの方法の記述に関して、参照によりそれらはここに導入される。
・Higuchi, T.; Stella, V. eds. Prodrugs As Novel Drug Delivery Systems. ACS Symposium Series. American Chemical Society: Washington, DC (1975).
・Roche, E. B. Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs. American Pharmaceutical Association: Washington, DC (1977).
・Sinkula, A. A.; Yalkowsky, S. H. J Pharm Sci. 1975, 64, 181-210.
・Stella, V. J.; Charman, W. N. Naringrekar, V. H. Drugs 1985, 29, 455-473.
・Bundgaard, H., ed. Design of Prodrugs. Elsevier: New York (1985).
・Stella, V. J.; Himmelstein, K. J. J. Med. Chem. 1980, 23, 1275-1282.
・Han, H-K; Amidon, G. L. AAPS Pharmsci 2000, 2, 1- 11.
・Denny, W. A. Eur. J. Med. Chem. 2001, 36, 577-595.
・Wermuth, C. G. in Wermuth, C. G. ed. The Practice of Medicinal Chemistry Academic Press: San Diego (1996), 697-715.
・Balant, L. P.; Doelker, E. in Wolff, M. E. ed. Burgers Medicinal Chemistry And Drug Discovery John Wiley & Sons: New York (1997), 949-982.
【0072】
本発明の化合物の代謝物としては、式Iの化合物の酸化誘導体が挙げられ、ここに、1個又は2個以上の窒素はヒドロキシ基で置換されており、ピリジン基の窒素原子がオキシド型である誘導体(当該分野において1−オキソ−ピリジンを呼ばれる)又はヒドロキシ置換基を有する誘導体(1−ヒドロキシピリジンと呼ばれる)を含む。
【0073】
一般的製造方法
本発明の具体例において使用される化合物の製造に利用される特定の方法は、意図する具体的化合物に依存する。具体的な置換基の選択などのような要因が、本発明の特定の化合物の製造において従うべき経路において実質的な役割を果たす。それらの要因は、当業者に直ちに認識されるものである。
【0074】
本発明の化合物は、既知の化学反応及び手順を用いることにより製造してよい。しかしながら、次の一般的製造方法が、本発明の化合物を合成する際に読者を補助するために、以下に実施例を記述する実験の部において提示されている一層詳細な実施例を以って、提示される。
【0075】
これらの方法の種々のグループの全ては、具体的に定義されたものではないとしても、概括的記述として、記述されている。与えられた記号により種々の基すなわち置換基がある構造中で1回より多く用いられる場合、それらの基すなわち置換基の各々は、その記号について定義の範囲内で、独立して変化してよいということを理解しなければならない。請求されている個々の選択し得る官能基を備えた本発明の化合物が、下に掲げた個々の方法で製造できるのではないことを認識しなければならない。各方法の範囲内において、反応条件に対して安定な適宜な置換基が使用され、又は、反応に関与する官能基は必要なら保護された形で存在し、そしてそのような保護基の除去は、適当な段階で、当業者に周知の方法によって達成される。
【0076】
本発明の化合物は、慣用の化学的方法で作ることができ、及び/又は下に記述したように商業的に入手できる又は日常的な、慣用の化学的方法に従って製造することができる出発物質から作ることができる。それらの化合物の製造のための一般的方法は、下に提示されており、代表的化合物の製造は、実施例において具体的に説明されている。
【0077】
一般的方法
【化8】

【0078】
上記の一般的方法に示された反応の手順に従って、化合物(I)を合成することができる。すなわち、アミノ化合物(III)をイソシアネート化合物(II)と反応させることによって、化合物(I)を合成することができる。
【0079】
化合物(II)は市販されているか、または当業者に周知の方法に従って合成することができる[たとえば、アミンと、ホスゲンまたはトリクロロメチルクロロフォルメート(ジホスゲン)、ビス(トリクロロメチル)カルボナート(トリホスゲン)、またはN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)などのホスゲンの等価物とを処理することによって、あるいは、アミドの、または、エステル、酸ハロゲン化物もしくは無水物などのカルボン酸誘導体のクルチウス転位によって]。化合物(III)は市販されているか、または当業者が周知の方法によって合成することができる。
【0080】
さらに、ジアリール尿素の特定の調製品がすでに特許文献に記載されており、本発明の化合物に適合させることができる。たとえば、Miller S.等、「Inhibition of p38 Kinase using Symmetrical and Unsymmetrical Diphenyl Ureas」、PCT国際出願、WO 99 32463、Miller, S等、「Inhibition of raf Kinase using Symmetrical and Unsymmetrical Substituted Diphenyl Ureas」、PCT国際出願、WO 99 32436、Dumas, J.等、「Inhibition of p38 Kinase Activity using Substituted Heterocyclic Ureas」、PCT国際出願、WO 99 32111、Dumas, J.ら、「Method for the Treatment of Neoplasm by Inhibition of raf Kinase using N-Heteroaryl-N’-(hetero)arylureas」、PCT国際出願、WO 99 32106、Dumas, J.ら、「Inhibition of p38 Kinase Activity using Aryl- and Heteroaryl- Substituted Heterocyclic Ureas」、PCT国際出願、WO 99 32110、Dumas, J.等、「Inhibition of raf Kinase using Aryl- and Heteroaryl- Substituted Heterocyclic Ureas」、PCT国際出願、WO 99 32455、Riedl, B.ら、「O-Carboxy Aryl Substituted Diphenyl Ureas as raf Kinase Inhibitors」、PCT国際出願、WO 00 42012、Riedl, B.ら、「O-Carboxy Aryl Substituted Diphenyl Ureas as p38 Kinase Inhibitors」、PCT国際出願、WO 00 41698、Dumas, J.ら、「Heteroaryl ureas containing nitrogen hetero-atoms as p38 kinase inhibitors」、米国特許出願US 20020065296、Dumas, J.ら、「Preparation of N-aryl-N’-[(acylphenoxy) phenyl]ureas as raf kinase inhibitors」、PCT国際出願、WO 02 62763、Dumas, J.ら、「Inhibition of raf kinase using quinolyl,isoquinolyl or pyridyl ureas」、PCT国際出願、WO 02 85857、Dumas,J.ら、「Preparation of quinolyl,isoquinolyl or pyridyl-ureas as inhibitors of raf kinase for the treatment of tumors and/or cancerous cell growth」、米国特許出願US 20020165394。これらすべての先行の特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
化合物(II)と(III)との反応は、溶媒中で行われることが好ましい。適切な溶媒としては、反応条件下では不活性である一般的な有機溶媒が挙げられる。非限定的な例としては、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、鉱物油画分などの炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トロクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール、酢酸エチルなどのエステル、アセトンなどのケトン、アセトニトリルなどのニトリル、ピリジンなどのヘテロ芳香族、ジメチルホルムアミドおよびヘキサメチルリン酸トリアミドなどの極性溶媒、ならびに上記溶媒の混合物が挙げられる。トルエン、ベンゼンおよびジクロロメタンが好ましい。
【0082】
1molの化合物(II)について、化合物(III)は通常、1〜3mol用いられる。等モル量またはわずかに過剰量の化合物(III)が好ましい。
【0083】
化合物(II)と(III)との反応は一般的に、比較的広い温度範囲で実施される。一般的に−20〜200℃の範囲で実施され、0〜100℃の範囲が好ましく、25〜50℃の範囲がより好ましい。本反応の工程は一般的に大気圧の下で実施される。しかしながら、加圧下または減圧下(たとえば0.5〜5barの範囲)で実施することもできる。反応時間は通常、比較的広い範囲で変わり得る。一般的には、2〜24時間、好ましくは6〜12時間後に反応が完了する。
【0084】
式Iの化合物の合成において、および式Iの化合物の合成に関わる中間体の合成において採用してもよい合成的変換は、当業者によって知られており、または当業者よって利用可能である。合成的変換の情報収集は、編集物で見出すことができ、たとえば:
・J. March. Advanced Organic Chemistry, 4th ed.; John Wiley: New York (1992)
R.C. Larock. Comprehensive Organic Transformations, 2nd ed.; Wiley-VCH: New York (1999)
・F.A. Carey; R.J. Sundberg. Advanced Organic Chemistry, 2nd ed.; Plenum Press: New York (1984)
・T.W. Greene; P.G.M. Wuts. Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd ed.; John Wiley: New York (1999)
・L.S. Hegedus. Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules, 2nd ed.; University Science Books: Mill Valley, CA (1994)
・L.A. Paquette, Ed. The Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis; John Wiley: New York (1994)
・A.R. Katritzky; O. Meth-Cohn; C.W. Rees, Eds. Comprehensive Organic Functional Group Transformations; Pergamon Press: Oxford, UK (1995)
・G. Wilkinson; F.G A. Stone; E.W. Abel, Eds. Comprehensive Organometallic Chemistry; Pergamon Press: Oxford, UK (1982)
・B.M. Trost; I. Fleming. Comprehensive Organic Synthesis; Pergamon Press: Oxford, UK (1991)
・A.R. Katritzky; C.W. Rees Eds. Comprehensive Heterocylic Chemistry; Pergamon Press: Oxford, UK (1984)
・A.R. Katritzky; C.W. Rees; E.F.V. Scriven, Eds. Comprehensive Heterocylic Chemistry II; Pergamon Press: Oxford, UK (1996)
・C. Hansch; P.G. Sammes; J.B. Taylor, Eds. Comprehensive Medicinal Chemistry: Pergamon Press: Oxford, UK (1990).
【0085】
加えて、合成方法及び関連した話題についての繰り返される総説としては、Organic Reactions; John Wiley: New York; Organic Syntheses; John Wiley: New York; Reagents for Organic Synthesis: John Wiley: New York; The Total Synthesis of Natural Products; John Wiley: New York; The Organic Chemistry of Drug Synthesis; John Wiley: New York; Annual Reports in Organic Synthesis; Academic Press: San Diego CA; 及び Methoden der Organischen Chemie (Houben-Weyl); Thieme: Stuttgart, Germanyが挙げられる。更には、合成的変換のデータベースとしては、CAS OnLine 又は SciFinderを用いて検索できるChemical Abstracts、SpotFire, and REACCSを用いて検索できるHandbuch der Organischen Chemie(Beilstein)が挙げられる。
【0086】
本発明の化合物の組成物
本発明はまた、本発明の化合物の1種又は2種以上を含んだ薬剤組成物にも関する。これらの組成物は、所望の薬理学的効果を達成するために、それを必要とする患者に投与することによって利用することができる。本発明の目的のためには、患者とは、特定の状態又は疾患の治療を必要とするヒトを含む哺乳類である。従って、本発明は、薬剤学的に許容し得る担体及び薬剤学的に有効な量の本発明の化合物又はその塩よりなる、薬剤組成物を含む。薬剤学的に許容し得る担体は、好ましくは、活性成分の有益な効果を担体に帰せられる副作用が損なうことがないよう、活性成分の効果的な活性と適合する濃度において比較的非毒性で患者に無害な担体をいう。薬剤学的に許容し得る量の化合物は、治療される特定の状態又は疾患に対して結果を生じ又は影響を与える量である。本発明の化合物は、当該分野で周知の薬剤学的に許容し得る担体と共に、即時に、ゆっくりと及び指定時間に合わせて放出する製剤を含む、経口的に、非経口的に、局所的に、経鼻的に、眼科的に、耳に、舌下に、径直腸的に、経膣的に等、任意の効果的な慣用の投与単位形態を用いて投与することができる。
【0087】
経口投与のためには、化合物は、カプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、融解剤、散剤、溶液、懸濁液、又はエマルジョン等のような、固形又は液状の製剤へと製剤化することができ、薬剤組成物の製造についての当業者に既知の方法に従って製造することができる。固形の単位投与形態は、例えば界面活性剤、滑沢剤、及び乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム及びコーンスターチ等の様な不活性な充填剤を含有する通常の硬質又は軟質のゼラチンカプセルよりなるものであることができる。
【0088】
別の一具体例においては、本発明の化合物は、乳糖、ショ糖及びコーンスターチ等のような慣用の錠剤基剤及びアラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン等のような結合剤、投与後に錠剤の崩壊と溶解を補助することを意図した、馬鈴薯デンプン、アルギン酸、コーンスターチ及びグアガム、トラガカントゴム、アラビアゴム等のような崩壊剤、錠剤顆粒の流動性の改善及び錠剤材料が金型と杵の表面に付着するのを防止することを意図した滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウム、カルシウム若しくは亜鉛、錠剤の美的品質を高め患者に一層受け入れられ易くすることを意図した染料、着色剤、ペパーミント、冬緑油、サクランボ香料等のような香味剤と共に、打錠してよい。経口の液体投与形態において使用するための適切な賦形剤としては、薬剤学的に許容し得る界面活性剤、懸濁化剤、又は乳化剤の添加を伴って又は伴わずに、リン酸二カルシウム及び水及びアルコール例えばエタノール、ベンジルアルコール、ポリエチレンアルコール等のような希釈剤が、挙げられる。種々の他の材料が、コーティング剤として又はそれ以外で投与単位の物理的形態を変更するために存在してよい。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤は、シェラック、糖又は双方でコーティングされてよい。
【0089】
水性懸濁剤の調製のためには、分散可能な散剤及び顆粒剤が適している。それらは、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1種又は2種以上の保存剤と混合した形で、活性成分を提供する。適した分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上で述べたものによって例示されている。更なる賦形剤として、例えば、上で述べた甘味剤、香味剤及び着色剤も、存在してよい。
【0090】
本発明の薬剤組成物はまた、水中油型エマルジョンの形であってもよい。油相は、流動パラフィン等のような植物油でも植物油の混合物でもよい。適した乳化剤は、(1) アラビアゴムやトラガカントゴム等のような天然に存在するガム、(2) 大豆レシチン等のような天然に存在するリン脂質、(3) 脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル例えばモノオレイン酸ソルビタン、(4) 該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート。エマルジョンは、甘味剤及び香味剤を含んでいてよい。
【0091】
油性懸濁剤は、活性成分を、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、ココナツ油等のような植物油に、又は流動パラフィン等のような鉱物油に懸濁させることによって、製剤化してよい。油性懸濁剤は、例えばミツロウ、硬質パラフィン、又はセチルアルコール等のような増粘剤を含んでよい。懸濁剤はまた、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピル等のような1種又は2種以上の保存剤、1種又は2種以上の着色剤、1種又は2種以上の香味剤、及びショ糖又はサッカリン等のような1種又は2種以上の甘味剤を、含んでよい。
【0092】
シロップ剤及びエリキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖等のような甘味剤を共に製剤化してよい。そのような製剤はまた、保護剤及びメチル及びプロピルパラベン等のような保存剤並びに香味材及び着色剤を含んでいてよい。
【0093】
本発明の化合物はまた、非経口的に、すなわち、皮下、静注、眼内、滑膜内、筋肉内、又は腹腔内に、化合物の注射可能な投与形態として、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液及び関連する糖溶液、エタノール、イソプロパノール、又はヘキサデシルアルコール、プッロピレングリコール等のようなグリコール類、又はポリエチレングリコール、グリセロール、2,2−ジメチル−1,1−ジオキソラン−4−メタノール等のようなケタール類、ポリ(エチレングリコール)400等のようなエーテル類、油、脂肪酸、脂肪酸エステル若しくは脂肪酸グリセリド、又はアセチル化した脂肪酸グリセリドなどの様な、無菌の液体又は液体混合物であってよい薬剤学的担体と共に、薬剤学的に許容し得る希釈剤に入れて、石鹸若しくは洗剤等のような薬剤学的に許容し得る界面活性剤、ペクチン、カルボマー類、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはカルボキシメチルセルロース等のような懸濁化剤、又は乳化剤及びその他の薬剤学的補助剤を伴って又は伴わずに、投与することができる。
【0094】
本発明の非経口製剤において使用することのできる油としては、石油、動物油、植物油又は合成油、例えば、落花生油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、流動パラフィン及び鉱物油である。適した脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びミリスチン酸が挙げられる。好ましい脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルが挙げられる。好ましい石鹸としては、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミン塩が挙げられ、好ましい洗剤としては、陽イオン洗剤、例えばハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム、ハロゲン化アルキルピリジニウム、及び酢酸アルキルアミン;陰イオン洗剤、例えばアルキル、アリール、及びオレフィンスルホン酸、アルキル、オレフィン、エーテル、及び硫酸モノグリセリド、及びスルホスクシネート;非イオン洗剤、例えば脂肪アミンオキシド類、脂肪酸アルカノールアミド類、及びポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)又はエチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドコポリマー類;及び両性洗剤、例えば、アルキル−ベータ−アミノプロピオネート、及び2−アルキルイミダゾリン4級アンモニウム塩、並びに混合物が挙げられる。
【0095】
本発明の非経口組成物は、典型的には溶液中に約0.5%〜約25%の活性成分を含有する。保存剤及び緩衝剤もまた、有利に使用できる。注射部位における刺激を最小限にし又は無くすためには、そのような組成物は、親水性−親油性バランス(HLB)が約12〜約17の非イオン界面活性剤を含有することができる。そのような製剤における界面活性剤の量は、重量で、約5%〜約15%である。界面活性剤は、上記HLBを有する単一成分でもよく、又は望ましいHLBを有する2種以上の成分の混合物であってもよい。
【0096】
非経口製剤において使用される界面活性剤の具体例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルの一群のもの、例えばモノオレイン酸ソルビタン及び疎水性の基剤との、プロピレンオキシドとプロピレングリコールの縮合により形成される、エチレンオキシドの高分子量付加物である。
【0097】
薬剤組成物は、無菌の注射可能な水性懸濁液の形であってよい。そのような懸濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴム等の適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤;レシチン等のような天然に存するリン脂質、また例えばステアリン酸ポリオキシエチレン等の脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合物、ペプタデカ−エチレンオキシセタノール等の長鎖脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合物、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート等のような、脂肪酸から誘導される部分エステルとヘキシトールとエチレンオキシドとの縮合物、又は、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のような、脂肪酸から誘導される部分エステルと無水ヘキシトールとエチレンオキシドとの縮合物などのようなものであってよい分散剤若しくは湿潤剤を用いて、既知の方法に従って製剤化することができる。
【0098】
この無菌の注射可能な製剤はまた、非毒性の非経口で許容し得る希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁液であってよい。用いることのできる希釈剤及び溶媒は、例えば、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液及び等張ブドウ糖溶液である。加えて、無菌の不揮発性油が、溶媒として又は懸濁媒質として慣用的に使用される。この目的で、合成のモノ−又はジグリセリドを含む如何なる刺激のない不揮発性油も使用できる。加えて、オレイン酸等のような脂肪酸を注射剤の製造において使用することができる。
【0099】
本発明の組成物はまた、坐剤すなわち薬物の直腸投与の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温では固形であるが直腸温度では液体であり従って直腸内では融解して薬物を放出するような適当な非刺激性の賦形剤と混合することによって製造することができる。そのような材料は、例えば、カカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0100】
本発明の方法において用いられる別の一製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を用いる。そのような経皮パッチは、本発明の化合物の制御された量での連続的な又は不連続の注入を提供するために用いることができる。薬剤を送達するための経皮パッチの構成及び使用は、当該分野において周知である(例えば、参照によりここに導入される1991年6月11日発行の米国特許第5,023,252号を参照のこと)。そのようなパッチは、連続的な、パルス状の又は要時の薬剤送達のために構成することができる。
【0101】
非経口投与のための制御放出型の製剤としては、当該分野において知られたリポソームによる、ポリマーマイクロスフェア及びポリマーゲル製剤が挙げられる。
【0102】
患者に、機械的な送達装置によって薬剤組成物を導入することが、望ましく又は必要である場合がある。薬剤の送達のための機械的な送達装置の構成及び使用は当該分野において周知である。例えば、薬物を直接に脳に投与するための直接的技術は、脳・血液関門を迂回するために、通常、薬物送達カテーテルを患者の脳室系に挿置することを伴う。そのような埋め込み可能なシステムの1つは、身体の特定の解剖学的領域に薬剤を輸送するために用いられるものであるが、1991年4月30日に発行された米国特許第5,011,472号に記載されている。
【0103】
本発明の組成物はまた、所望により又は必要に応じて、通常担体又は希釈剤と呼ばれる他の慣用の薬剤学的に許容し得る配合成分を含有することができる。適切な投与形態においてそのような組成物を製造する慣用の方法が利用できる。そのような成分及び手順としては、次の参考文献に記載されているものが含まれ、それらの各々が、参照によりここに導入される:すなわち、Powell, M.F. et al, "Compendium of Excipients for Parenteral Formulations" PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1998, 52(5), 238-311; Strickley, R.G "Parenteral Formulations of Small Molecule Therapeutics Marketed in the United States (1999)-Part-1" PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1999, 53(6), 324-349; 及びNema, S. et al, "Excipients and Their Use in Injectable Products" PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1997, 51(4), 166-171.
【0104】
意図する投与経路のために組成物を製剤するのに適したものとして通常使用することができる薬剤成分としては、次のものが含まれる:
酸性化剤(例として、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸が挙げられるが、これらに限定されない);
アルカリ化剤(例として、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロラミンが挙げられるが、これらに限定されない。);
吸収剤(例として、粉末化セルロース及び活性炭が挙げられるが、これらに限定されない。);
エアロゾル噴射剤(例として、二酸化炭素、CCl22、F2ClC−CClF2及びCClF3が挙げられるが、これらに限定されない。);
空気置換剤(例として、窒素及びアルゴンが挙げられるが、これらに限定されない。);
抗真菌性保存剤(例として、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。);
抗菌剤(例として、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀及びチメロサールが挙げられるが、これらに限定されない。);
抗酸化剤(例として、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、ゴール酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない);
結合剤(例として、ブロックポリマー、天然の及び合成のゴム、ポリアクリレート類、ポリウレタン類、シリコーン類、ポリシロキサン類及びスチレン・ブタジエンコポリマー類が挙げられるが、これらに限定されない);
緩衝剤(例として、メタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、及びクエン酸ナトリウム二水和物が挙げられるが、これらに限定されない。);
担体(例として、アカシアシロップ、芳香シロップ、芳香エリキシル、チェリーシロップ、カカオシロップ、オレンジシロップ、シロップ、コーン油、鉱物油、落花生油、ゴマ油、制菌性の塩化ナトリウム注射液、及び制菌性の注射用水が挙げられるが、これらに限定されない。);
キレート化剤(例として、エデト酸二ナトリウム及びエデト酸が挙げられるが、これらに限定されない。);
着色剤(例として、FD&C Red No. 3、FD&C Red No. 20、FD&C Yellow No. 6、FD&C Blue No. 2、D&C Green No. 5、D&C Orange No. 5、D&C Red No. 8、カラメルレッド及び酸化鉄レッドが挙げられるが、これらに限定されない。);
清澄化剤(例として、ベントナイトが挙げられるが、これに限定されない。);
乳化剤(例として、アラビアゴム、セトマクロゴール、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン50が挙げられるが、これらに限定されない。);
カプセル化剤(例として、ゼラチン及びセルロースアセテートフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。);
香味剤(例として、アニス油、桂皮油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミント油、及びバニリンが挙げられるが、これらに限定されない。);
軟釈剤(例として、グリセロール、プロピレングリコール及びソルビトールが挙げられるが、これらに限定されない。);
研和剤(例として、鉱物油及びグリセリンが挙げられるが、これらに限定されない。);
油(例として、落花生油、鉱物油、オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油及び植物油が挙げられるが、これらに限定されない。);
軟膏基剤(例として、ラノリン、親水軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、流動パラフィン、親水性流動パラフィン、白色軟膏、黄色軟膏、及びローズ水軟膏が挙げられるが、これらに限定されない。);
透過促進剤(例として、モノヒドロキシ又はポリヒドロキシアルコール、1価又は多価アルコール、飽和又は不飽和脂肪アルコール、飽和又は不飽和脂肪酸エステル、飽和又は不飽和ジカルボン酸、精油、ホスファチジル誘導体、セファリン、テルペン類、アミド類、エーテル類、ケトン類及び尿素類が挙げられるが、これらに限定されない。);
可塑剤(例として、フタル酸ジエチル及びグリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。);
溶媒(例として、エタノール、コーン油、綿実油、グリセロール、イソプロパノール、鉱物油、ピーナッツ油、精製水、注射用水、注射用滅菌水、及び灌流用滅菌水が挙げられるが、これらに限定されない。);
硬化剤(例として、セチルアルコール、セチルエステルワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白色ワックス及び黄色ワックスが挙げられるが、これらに限定されない。);
坐剤基剤(例として、カカオ脂及びポリエチレングリコール類(混合物)が挙げられるが、これらに限定されない。);
界面活性剤(例として、塩化ベンザルコニウム、ノノキシノール10、オクストキシノノール9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム及びモノパルミチン酸ソルビタンが挙げられるが、これらに限定されない。);
懸濁剤(例として、寒天、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガカントゴム及びビーゴムが挙げられるが、これらに限定されない。);
甘味剤(例として、アスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトール及びショ糖が挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤付着防止剤(例として、ステアリン酸マグネシウム及びタルクが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤結合剤(例として、アラビアゴム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮可能糖、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース液、メチルセルロース、無架橋ポリビニルピロリドン、及び予め膠化させたデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤及びカプセル剤賦形剤(例として、第二リン酸カルシウム、カオリン、乳糖、マンニトール、微結晶リンセルロース、粉末化セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトール及びデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤コーティング剤(例として、グルコース液、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、及びシェラックが挙げられるが、これらに限定されない。);
直打錠賦形剤(例として、第二リン酸カルシウムが挙げられるが、これに限定されない。);
錠剤崩壊剤(例として、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、ポラクリリン(polacrillin)カリウム、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、スターチグリコレートナトリウム及びデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤滑沢剤(例として、コロイド状シリカ、コーンスターチ及びタルクが挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤潤滑剤(例として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、ステアリン酸及びステアリン酸亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。);
錠剤/カプセル剤不透明化剤(例として、二酸化チタンが挙げられるが、これに限定されない。);
錠剤研磨剤(例として、カルナウバロウ及び白ロウが挙げられるが、これらに限定されない。);
増粘剤(例として、ミツロウ、セチルアルコール及びパラフィンが挙げられるが、これらに限定されない。)(例として、が挙げられるが、これらに限定されない。);
等張化剤(例として、ブドウ糖及び塩化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。);
粘度増加剤(例として、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー類、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム及びトラガカントゴムが挙げられるが、これらに限定されない。);並びに
湿潤剤(例として、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、モノオレイン酸ソルビトール、モノオレイン酸ポリオキシエチレン酸ソルビトール、及びステアリン酸ポリオキシエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。)
【0105】
本発明の薬剤組成物は、以下のように説明することができる:
【0106】
無菌静注溶液: 本発明の所望の化合物5mg/mLの溶液が、無菌の注射用水を用いて作られ、そして必要ならpHが調整される。この溶液は、1〜2mg/mLへと無菌の5%ブドウ糖を用いて投与用に希釈され、そして60分間かけて静脈内注入として投与される。
【0107】
静注内投与用の凍結乾燥粉末: 無菌の調製物は、(i)凍結乾燥粉末としての100〜1000mgの本発明の所望の化合物、(ii)32〜327mg/mLのクエン酸ナトリウム及び(iii)300〜3000mgのデキストラン40を用いて、凍結乾燥粉末として調製することができる。この製剤は、無菌の、注射可能な生理食塩水又はブドウ糖5%溶液によって、10〜20mg/mLの濃度に復元され、それは更に生理食塩水又はブドウ糖5%によって0.2〜0.4mg/mLへと希釈され、そして静脈内ボーラス又は静脈内注入により、15〜60分かけて投与される。
【0108】
筋肉内懸濁剤: 以下の溶液又は懸濁剤を、例えば筋肉内注射用に調製することができる。すなわち:
50mg/mLの本発明の所望の水不溶性化合物
5mg/mLのカルボキシメチルセルロースナトリウム
4mg/mLのTWEEN80
9mg/mLの塩化ナトリウム
9mg/mLのベンジルアルコール
【0109】
硬カプセル: 標準の2部分よりなる硬ゼラチンカプセルに100mgの粉末化した活性成分、150mgの乳糖、50mgのセルロース及び6mgのステアリン酸マグネシウムを充填することにより、多数の単位のカプセルが製造される。
【0110】
軟ゼラチンカプセル: 活性成分100mgを含有する軟ゼラチンカプセルを形成するために、大豆油、綿実油又はオリーブ油等のような消化性の油中に活性成分を入れた混合物が製造され、成形されたゼラチン内へ容量型ポンプにより注入される。それらのカプセル剤は、洗浄され乾燥される。水混和性の薬物混合物を製造するために、活性成分を、ポリエチレングリコール、グリセリン及びソルビトールの混合物中に溶解させることができる。
【0111】
錠剤: 投与量単位が100mgの活性成分、0.2mgのコロイド状ニ酸化ケイ素、5mgのステアリン酸マグネシウム、275gの微結晶セルロース、11mgのデンプン、及び98.8gの乳糖となるように、慣用の手順により多数の錠剤が製造される。口当たりを良くし、洗練度及び安定性を高め又は吸収を遅らせるために、好ましい水性及び非水性のコーティングを、適用できる。
【0112】
即時放出錠剤/カプセル剤: これらは慣用の及び新規のプロセスによって作られる固形の経口投与形態である。これらの単位は、即時の溶解と薬剤の放出のために、水なしで経口で服用される。活性成分は、糖、ゼラチン、ペクチン及び甘味剤等の成分を含んだ液体中に、混合される。これらの液体は、凍結乾燥及び固形状態抽出法によって固化させて固形の錠剤又はカプセル剤にされる。薬物化合物は、水を要しない即時放出を意図した多孔質のマトリクスを作るために、粘弾性及び熱可塑性を有する糖類及びポリマー又は発泡性成分と共に圧縮してもよい。
【0113】
本発明は、哺乳類の増殖亢進性の疾患を治療するために上記の化合物(式Iの化合物)(それらの塩及びエステル、それらの組成物を含む)を使用するための方法に関する。この方法は、それを必要とするヒトを含む哺乳類に、当該疾患を治療するのに有効な本発明の化合物又はその許容し得る塩若しくはエステルのある量を投与することを含んでなる。増殖亢進性の疾患としては、乳腺、気管、脳、生殖器、消化管、尿管、眼、肝臓、皮膚、頭部及び頸部、甲状腺、副甲状腺の癌及びそれらの離れた転移が挙げられるが、これらに限定されない。それらの疾患として、リンパ腫、肉腫及び白血病も挙げられる。
【0114】
乳癌の例としては、浸潤性乳腺癌、浸潤性小葉癌、上皮内乳腺癌、上皮内小葉癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
気管の癌の例としては、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌並びに気管支腺腫及び強膜肺芽種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
脳の癌の例としては、脳幹及び視床下部神経膠腫、小脳の及び大脳の星状細胞腫、髄芽細胞腫、上衣細胞腫、並びに神経外胚葉及び松果体部腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
男性生殖器の腫瘍としては、前立腺癌及び睾丸癌が挙げられるが、これらに限定されない。女性生殖器の腫瘍としては、子宮内膜癌、子宮頸部癌、卵巣癌、膣癌及び陰部癌並びに子宮の肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
消化管の腫瘍としては、肛門癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、膵臓癌、直腸癌、小腸癌、及び唾液腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
尿路の癌としては、膀胱癌、陰茎癌、腎癌、腎盂癌、尿管癌、及び尿道口癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
眼の癌としては、眼内黒色種及び網膜芽細胞種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
肝臓の癌としては、肝細胞癌(フィブロラメラ性の変型を伴う又は伴わない肝細胞癌)、胆管癌(肝臓内胆管癌)、及び混合型の肝細胞性胆管癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
皮膚癌としては、扁平上皮癌、カポシ肉腫、悪性黒色種、メルケル細胞癌、及び非黒色種皮膚癌
【0123】
頭頸部癌としては、喉頭/下咽頭/鼻咽頭/口腔咽頭癌、及び口唇癌及び口腔癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
リンパ腫としては、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病、及び中枢神経系のリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
肉腫としては、軟組織の肉腫、骨肉種、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫、及び横紋筋肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
白血病としては、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、及びヘアリー細胞白血病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
これらの疾患は、ヒトにおいてはよく特徴付けられているが、しかし他の動物においても類似の病因を伴って存在しており、本発明の薬剤組成物を投与することによって治療することができる。
【0128】
増殖亢進性の疾患の治療に有用な化合物を評価することの知られている標準の実験室的技法に基づいて、標準の毒性試験により、そして動物における上に特定した状態の治療を決定するための標準の薬理学的アッセイによって、そしてこれらの結果を、それらの状態を治療するのに使用されている既知の医薬と比較することによって、各々の意図する適応症の治療のための本発明の化合物の有効投与量を容易に決定することができる。これらの状態の1つの治療において投与すべき活性成分の量は、具体的化合物及び採用される投与単位、投与様式、治療期間、治療すべき患者の年齢及び性別、及び治療すべき状態の性質及び程度等の考慮に従って、広い範囲で変動しうる。
【0129】
投与すべき活性成分の合計量は、通常、約0.001mg/kgないし約200mg/kg体重/日であり、好ましくは、約0.01mg/kgないし約20mg/kg体重/日である。投与スケジュールの選択は、癌等のような増殖性疾患の治療のための薬物の有効性と安全性とを最大限にするために特に重要である。臨床上有用な投与スケジュールは、1日3回の投与から4週間毎に1回の投与までに及ぶであろう。加えて、ある期間にわたって患者が投薬を受けない「薬物休日」は、薬理学的効果と耐用性との間の全体的バランスにとって有益であり得る。1単位の投与は、約0.5ないし約1500mgの活性成分を含み、そして1日1回又は2回以上、或いは、1日1回よりも少なく投与することができる。静脈内、筋肉内、皮下及び非経口注入を含む注射による及び注入法を用いた平均の1日投与量は、好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。平均の1日の直腸投与法は、好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。平均の1日の経膣投与法は、好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。平均の1日の局所投与法は、好ましくは、1日1ないし4回の0.1ないし200mg/kgの投与であろう。経皮での濃度は、好ましくは、0.01ないし200mg/kgの1日投与量を維持するのに必要な濃度であろう。平均の1日の吸入投与法は、好ましくは0.01ないし100mg/kg全体重であろう。
【0130】
勿論、各患者について具体的な最初の及び維持される投与法は、これに当たっている診断医によって決定された状態の性質及び重篤度、用いる具体的化合物の活性、患者の年齢及び全身状態、投与の時間、投与経路、薬物の排泄速度、薬物の組み合わせその他に応じて、変動するであろう。本発明の化合物又はその薬剤学的に許容し得る塩若しくはエステル又は組成物の望ましい投与様式及び投与回数を、当業者は、慣用の治療試験を用いて確認することができる。
【0131】
本発明の化合物は、単独の薬剤学的物質として又は、組み合わせが許容し得ない副作用を引き起こすものでない場合には、1種又は2種以上の他の薬剤学的物質との組み合わせとして投与することができる。例えば、本発明の化合物は、既知の抗増殖亢進性その他の適応を有する薬剤その他や、それらの混合物及び組み合わせと組み合わせることができる。
【0132】
任意に本組成物に加えることができる抗増殖亢進剤としては、参照によりここに導入されるMerck Indexの第11版(1996)中の癌化学療法の薬物療法に掲げられた化合物、すなわち、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、イフォスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、マイトマイシンC、ミトザントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビンデシンのような化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
本発明の組成物と共に使用するのに適した他の抗増殖亢進剤としては、参照によりここに導入されるGoodman and GilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics (Ninth Edition), editor Molinoff et al., publ. by McGraw-Hill, pages 1225-1287, (1996)において新生物疾患の治療に用いると認められている、アミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アザシチジン クラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’−ジフルオロデオキシウリジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジンモノホスフェート、リン酸フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキスロゲステロン、酢酸メガストロール、メルファラン、ミトーテン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチル−L−アスパルテート(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジン、及びビノレルビン等のような化合物、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
本発明の組成物と共に使用するのに適した他の抗増殖亢進剤としては、エポチロン及びその誘導体、イリノテカン、ラロキシフェン及びトポテカン等のような他の抗がん剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
一般に、本発明の化合物又は組成物の組み合わせでの細胞毒性の及び/又は細胞増殖抑制性の薬剤の使用は、以下のことに役立つ:
(1)何れか一方の薬剤を単独で投与するのに比して、腫瘍の増殖を減らすことにおいて一層優れた有効性を与え、又は腫瘍を消滅させさえする、
(2)投与される化学療法剤の量の低減をもたらす、
(3)単一薬剤による化学療法や他の組み合わせ療法によるよりも、有害な薬理学的合併症が少なく許容性が優れた化学療法を提供する、
(4)哺乳類、特にヒトにおける広い範囲の種々の癌タイプの治療を提供する、
(5)治療を受ける患者において高い応答を提供する、
(6)標準の化学療法による治療に比して、治療を受ける患者に一層長い生存期間をもたらす、
(7)腫瘍進行に一層長期間を要するようにする、及び/又は
(8)他の抗癌剤の組み合わせが拮抗的な効果を与える既知の場合に比して、単独で用いられる薬剤と少なくとも同等によい有効性及び許容性を与える。
【0136】
本明細書において用いる略号
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
DCE 1,2−ジクロロエタン
DMSO ジメチルスルホキシド
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
ML−MS マススペクトル法結合液体クロマトグラフィー
RT 保持時間
MP 融点
NMR 核磁気共鳴スペクトル法
TLC 薄層クロマトグラフィー
ES エレクトロスプレー
DMA N,N−ジメチルアセタミド
HRMS 高分解能マススペクトル法
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
EDCI 塩酸1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド
TMSCI 塩化トリメチルシリル
m−CPBA 3−クロロ過安息香酸
HEPES N−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)
トリス/塩酸 塩酸トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
Triton X-100 tert−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、Rohm & Haas, 米国
以下の実施例の収率%は、最も少ないモル量で使用された出発成分に対するものをいう。
【0137】
LC−MSの条件:2つのGilson 306ポンプ、Gilson 215オートサンプラー、Gilsonダイオードアレイ検出装置、YMC Pro C-18カラム(2×23mm、120A)およびz−スプレーエレクトロスプレーイオン化によるMicromass LCZシングル四極子質量分析装置が備わったGilson HPLCシステムを用いて、HPLC−エレクトロスプレー質量スペクトル(HPLC ES−MS)を得た。2秒間、120−1000amuにてスペクトルをスキャンした。ELSD(蒸発光散乱ディテクター)のデータもアナログチャンネルとして確保した。0.02%TFAを含む2%アセトニトリル水溶液としての緩衝液Aと、0.02%TFAを含む2%水のアセトニトリル溶液としての緩衝液Bによる、1.5mL/minでの勾配溶出を利用した。サンプルの溶出は次のように行った:90%のAで0.5分間から、3.5分間をかけて95%のBに傾斜させ、95%のBを0.5分間維持し、次いで0.1分間をかけてカラムを初期条件に回復させる。合計の実行時間は4.8分間である。
【0138】
調製用HPLC:二つのGilson 322ポンプ、Gilson 215オートサンプラー、Gilsonダイオードアレイ検出装置、YMC Pro C-18カラム(20x150mm、120A)が備わったGilson HPLCシステムを用いて、調製用HPLCを行った。0.1%TFA水溶液としての緩衝液Aと、0.1%TFAのアセトニトリル溶液としての緩衝液Bによる勾配溶出を利用した。メタノールまたはメタノール/DMSOに、約50mg/mLの濃度でサンプルを溶解させた。注入量は、一回の注入あたり約2−3mLとした。サンプルの溶出は次のように行った:25mL/minの流速にて10−90%のBで15分間かけ、2分間維持し、10%のBに戻る。254nmまたは220nmのUVにて目的の画分を集め、GeneVacスピードバキュームで乾固させた。
【0139】
4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの調製
【0140】
【化9】

【0141】
工程1:4−クロロピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩の調製
【0142】
【化10】

【0143】
無水DMF(6.0mL)を40℃〜50℃の間でSOCl2(180mL)に徐々に添加した。この溶液をその温度範囲で10分間撹拌し、次いでピコリン酸(60.0g、487mmol)を30分間かけて、数回に分けて添加した。得られた溶液を72℃で16時間加熱し、黄色の固体の沈殿物を生じさせた。得られた混合物を室温まで冷却し、トルエン(500mL)で希釈し、そしてその量の半分の濃度とした。得られた残渣をろ過し、固形物をトルエンで洗浄して高減圧下で4時間かけて乾燥させ、4−クロロピリジン−2−カルボニルクロリドHCl塩を黄色固形物として得た(92.0g、89%)。
【0144】
工程2:4−クロロピリジン−2−カルボン酸メチルアミドの調製
【0145】
【化11】

【0146】
メチル4−クロロピリジン−2−カルボキシレートHCl塩(89.0g、428mmol)のメタノール(75mL)の0℃の懸濁液を、THF(1L)中の2.0Mメチルアミン溶液で処理した。得られた混合物を3℃で5時間保存し、次いで減圧下で濃縮した。得られた固形物を酢酸エチル(1L)で懸濁させ、ろ過した。ろ液を飽和塩化ナトリウム溶液(500mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して4−クロロ−N−メチル−2−ピリジンカルボキサミドを淡黄色の結晶(71.2g、97%)として得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ2.81(s,3H),7.74(dd,J=5.1,2.2Hz,1H),8.00(d,J=2.2Hz,1H),8.61(d,J=5.1Hz,1H),8.85(br d,1H);Cl−MS m/z 171(MH+);融点41−43℃。
【0147】
工程3:4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドの調製
【0148】
【化12】

【0149】
4−アミノフェノール(9.60g、88.0mmol)の無水DMF(150mL)溶液を、カリウム tert−ブトキシド(10.29g、91.7mmol)で処理し、赤みがかった褐色の混合物を室温で2時間撹拌した。内容物を4−クロロピリジン−2−カルボン酸メチルアミド(15.0g、87.9mmol)およびK2CO3(6.50g、47.0mmol)で処理し、次いで80℃で8時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(500mL)と飽和塩化ナトリウム溶液(500mL)との間で分配した。水相を酢酸エチル(300mL)で逆抽出した。混合した有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた固形物を減圧下、35℃で3時間かけて乾燥させ、標記化合物(17.9g、84%)を淡褐色の固形物として得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ2.77(d,J=4.8Hz,3H),5.17(br s,2H),6.64,6.86(AA’BB’ quartet,J=8.4Hz,4H),7.06(dd,J=5.5,2.5Hz,1H),7.33(d,J=2.5Hz,1H),8.44(d,J=5.5Hz,1H),8.73(br d,1H);HPLC ES−MS m/z 244(MH+)。
【0150】
工程4:標記化合物4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの調製
4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド(15.0g、61.7mmol)と水酸化カリウム(34.6g、617mmol)との混合物を、エタノール(400mL)と水(40mL)の中で90℃で48時間攪拌した。室温まで冷却した後、pH=5になるまで、2.0N塩酸を反応混合物に徐々に添加した。溶媒を完全に除去し、残渣をメタノール(400mL)で再び溶解させた。塩化トリメチルシリル(178mL、140mmol、2.27当量)を0℃で徐々に添加した後、反応混合物を撹拌して24時間還流し、そして室温まで冷却した。混合物をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮し、次いでDCMと水との間で分配した。次いで有機層を1Mの重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてろ過し、減圧下で乾固させた。得られた残渣をさらに水で洗浄し、酢酸エチル/ヘキサン(1:2 v/v)で再抽出して目的のエステル(6.27g、42%)を淡褐色の固形物として得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ8.51(d,J=5.7Hz,1H),7.35(d,Jf=2.4Hz,1H),7.10(dd,J=5.7,2.7Hz,1H),6.86(dt,J=9.0,2.4Hz,2H),6.63(dt,J=8.7,2.4Hz,2H),5.18(br s,2H),3.86(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=245,RT=1.04分;TLC(75%酢酸エチル/ヘキサン),Rf=0.20。
【0151】
4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸の調製
【0152】
【化13】

【0153】
工程1:4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドの調製
【0154】
【化14】

【0155】
4−アミノフェノールの代わりに3−アミノフェノールを用いて、4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ8.75(br q,J=4.8Hz,1H),8.48(d,J=6.3Hz,1H),7.39(d,J=2.1Hz,1H),7.15−7.07(m,2H),5.51−6.47(m,1H),6.31−6.24(m,2H),5.40(s,2H),2.77(d,J=5.1Hz,3H)。
【0156】
工程2:標記化合物4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸の調製
4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド(5.64g、23.81mmol)と水酸化カリウム(13.01g、232mmol)との混合物を、エタノール/水(55mL、10:1)中で90℃で48時間攪拌した。この混合物を減圧して濃縮し、粗残渣を水(100mL)に溶解させた。この溶液を、1NのHCl水溶液でpH=6−7に慎重に調整し、得られた沈殿物をろ過した。次いでこのろ液を減圧して濃縮し、粗生成物をメタノール(150mL)で希釈し、固形物を集めた。ろ過した固形物を合わせ、CH2Cl2で洗浄して、5.25g(98%)の4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸を得た。1H−NMR(CD3OD) δ8.45(d,1H),7.60(d,1H),7.17(t,1H),7.09(d,1H),6.64(dd,1H),6.47−6.45(m,1H),6.40(dd,1H);MS LC−MS[M+H]+=231。
【0157】
4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの調製
【0158】
【化15】

【0159】
TMSCl(4.72g、43.4mmol)を含む0℃のメタノール溶液(100mL)に、メタノール(5mL)中の4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸(0.5g、2.17mmol)を徐々に添加し、反応混合物を12時間加熱還流した。溶媒を減圧して除去し、残渣をCH2Cl2と水との間で分配した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過し、減圧下に濃縮した。粗残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配3/7〜2/3)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、目的製品を0.25g(48%)得た。1H−NMR(CD3OD) δ8.49(d,1H),7.20(d,1H),7.14(dd,1H),6.64(dd,1H),6.45(t,1H),6.40(dd,1H),3.92(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=245.1,RT=0.52分。
【0160】
4−(2−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミンの調製
【0161】
【化16】

【0162】
工程1:4−クロロピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの調製
【0163】
【化17】

【0164】
4−クロロピリジン−2−カルボニルクロリドHCl(1.75g、8.22mmol)とトリエチルアミン(3.8mL、24.14mmol、3.3当量)のTHF(16mL)・メタノール(4mL)中混合物を、すべてのSMが消費されるまで、0℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で濃縮し、得られた粗製品を、25〜50%の酢酸エチル−ヘキサンで溶出するMPLC(biotage)を用いて精製し、878mg(60.7%)のメチルエステルを淡黄褐色の結晶性固形物として得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ8.69(d,J=5.4Hz,1H),8.07(d,J=2.1Hz,1H),7.82(dd,J=5.4,2.1Hz,1H),3.89(s,3H);TLC(50%酢酸エチル/ヘキサン),Rf=0.40。
【0165】
工程2:4−クロロピリジン−2−カルボン酸ヒドラジドの調製
【0166】
【化18】

【0167】
無水メタノール(50mL)中の4−クロロピリジン−2−カルボン酸メチル(850mg、4.95mmol)に水和ヒドラジン(2.48g、49.5mmol)を滴下し、反応混合物をアルゴン下にて室温で18時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、有機層を水および塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてろ過し、減圧下で濃縮した。メタノールからの再結晶によって、500mg(59%)の4−クロロピリジン−2−カルボン酸ヒドラジドが得られた。1H−NMR(アセトン−d6) δ9.38(s,1H),8.60(d,1H),8.08(d,1H),7.64(dd,1H),4.46(s,2H);MS LC−MS[M+H]+=172,RT=0.86分;TLC(100%酢酸エチル),Rf=0.35。
【0168】
工程3:4−クロロ−2−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イルピリジンの調製
【0169】
【化19】

【0170】
トリエチルオルト蟻酸エステル(10mL)中の4−クロロピリジン−2−カルボン酸ヒドラジド(550mg、2.91mmol)の混合物を、アルゴン下で48時間還流した。混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、有機層を水および塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてろ過し、減圧下に濃縮した。粗残渣を50%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、360mg(68%)の4−クロロ−2−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−ピリジンを得た。1H−NMR(アセトン−d6) δ9.16(s,1H),8.76(d,1H),8.26(d,1H),7.74(dd,1H);MS LC−MS[M+H]+=182,RT=1.36分;TLC(100%酢酸エチル),Rf=0.70。
【0171】
工程4:標記化合物4−(2−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−ピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミンの調製
4−クロロピリジン−2−カルボン酸の代わりに4−クロロ−2−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル−ピリジンを用いて、上記の4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(アセトン−d6) δ9.04(s,1H),8.59(d,J=6.0Hz,1H),7.62(d,J=2.4Hz,1H),7.06(dd,J=2.4Hz,5.7Hz,1H),6.96(d,J=6.9Hz,2H),6.78(d,J=6.9Hz,2H),4.81(s,2H);MS LC−MS[M+H]+=255,RT=0.95分;TLC(100%酢酸エチル)=0.55。
【0172】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素の調製
【0173】
【化20】

【0174】
工程1:N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]尿素の調製
【0175】
【化21】

【0176】
4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン(2g、10.74mmol)のDCM(10mL)溶液に、4−クロロ−3−トリフルオロメチルイソシアナート(2.4g、10.74mmol)を添加した。この溶液を室温で終夜撹拌した。溶媒を蒸留によって除去し、得られた固形物を酢酸エチルで洗浄して3.6g(82%)の標記生成物を得た;MS LC−MS[M+H]+=408。
【0177】
工程2:N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(1−オキシドピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素の調製
【0178】
【化22】

【0179】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−[4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル]尿素(3.1g、7.6mmol)のDCM(40mL)・アセトン(10mL)溶液に、m−CPBA(1.5g)を添加した。この混合物を室温で12時間撹拌し、次いでm−CPBA(1.5g)の別の一部を添加してこの溶液を更なる12時間、室温で撹拌した。次いで溶液を10%の炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。溶媒を除去し、標記生成物を2.9g(90%)得た。MS LC−MS[M+H]+=424。
【0180】
工程3:標記化合物N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素の調製
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(1−オキシドピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素(2g、4.72mmol)の無水DMF(50mL)溶液にトリメチルシリルシアニド(0.7g、7.1mmol)を室温で添加し、次いでDMF(10mL)中のジメチルカルバミルクロリド(1.27g、11.8mmol)を30分間かけて滴下した。この混合物を室温で24時間撹拌した。10%の炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を滴下し、10分間撹拌し、次いで酢酸エチルで抽出(3回)した。抽出物を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、減圧下に乾固させた。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン:メタノール 45:45:10)によって残渣を精製し、1.8g(88%)の標記生成物を得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.20(s,1H),9.01(s,1H),8.57(d,J=5.7Hz,1H),8.10(d,J=2.4Hz,1H),7.66−7.56(m,5H),7.19−7.14(m,3H);MS LC−MS[M+H]+=433,RT=3.56分;TLC(75%酢酸エチル/ヘキサン),Rf=0.53。
【0181】
N−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素の調製
【0182】
【化23】

【0183】
工程1:4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルの調製
【0184】
【化24】

【0185】
4−アミノフェノール(1.0g、9.16mmol)の無水DMF(9.2mL)溶液をカリウム tert−ブトキシド(1.08g、9.62mmol、1.05当量)で処理し、オレンジがかった褐色の反応混合物を室温で1時間撹拌した。内容物を2−シアノ−4−クロロピリジン(1.27g、9.16mmol、1.0当量)およびK2CO3(497mg、5.04mmol、0.55当量)で処理し、次いで90℃で17時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(250mL)と飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)との間で分配した。水相を酢酸エチル(300mL)で逆抽出した。有機層を合わせて塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。30%の酢酸エチル−ヘキサンで溶出するMPLC(biotage)で精製して、1.83g(94.6%)の4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルを黄色固形物として得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ8.52(d,J=6.3Hz,1H),7.54(d,J=2.4Hz,1H),7.07(dd,J=5.4,2.4Hz,1H),6.86(d,J=8.7Hz,2H),6.62(d,J=8.7Hz,2H),5.21(s,2H);MS LC−MS[M+H]+=212,RT=0.98分;TLC(50%酢酸エチル/ヘキサン),Rf=0.28。
【0186】
工程2:標記化合物N−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素の調製
4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリル(300mg、1.42mmol)および2,2,4,4−テトラフルオロ−6−イソシアナート−1,3−ベンゾジオキセン(389.2mg、1.56mmol、1.1当量)の無水1,2−ジクロロエタン(7.1mL)溶液をアルゴン下、80℃で17時間撹拌し、反応の進と共に白色の固体が析出した。反応混合物を室温まで冷却し、沈殿物を回収してDCM(3.0mL)およびエーテル(3x5mL)で洗浄して355mg(54.3%)の標記化合物を得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.14(s,1H),9.03(s,1H),8.57(d,J=6.0Hz,1H),8.11(d,J=2.7Hz,1H),7.66−7.57(m,4H),7.43(d,J=9.0Hz,1H),7.19−7.14(m,3H);MS LC−MS[M+H]+=461,RT=3.59分;TLC(75%酢酸エチル/ヘキサン),Rf=0.29。
【0187】
N−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)尿素の調製
【0188】
【化25】

【0189】
1−メチル−5−アミノインダゾール(230mg、1.56mmol)の無水DCE(2.4mL)溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(281.5mg、1.70mmol、1.2当量)を添加し、この反応混合物をアルゴン下65℃で撹拌した。16時間後、5−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリル(300mg、1.42mmol、0.91当量)の無水THF(4.0mL)溶液を室温で添加し、反応混合物をアルゴン下、65℃で7時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配し、有機層を水および塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてろ過し、減圧下で濃縮した。粗残渣をDCM(10mL)中で粉砕し、382.4mg(70%)の標記化合物を白色固形物として得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ8.84(s,1H),8.70(s,1H),8.57(d,J=6.0Hz,1H),7.95(d,J=1.0Hz,1H),7.90(d,J=1.8Hz,1H),7.60−7.54(m,4H),7.36(dd,J=9.3,2.1Hz,1H),7.18−7.14(m,3H),4.01(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=385,RT=2.64分;TLC(100%酢酸エチル),Rf=0.22。
【0190】
N−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−キノリン−6−イル尿素の調製
【0191】
【化26】

【0192】
1−メチル−5−アミノインダゾールの代わりに6−アミノキノリンを用いて、N−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)尿素について記載したのとと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ8.76(dd,J=2.7,7.2Hz,1H),8.58(dd,J=0.6,5.7Hz,1H),8.51(s,1H),8.44(s,1H),8.28(d,J=2.7Hz,1H),8.21(dd,J=0.6,7.8Hz,1H),7.96(d,J=9.3Hz,1H),7.78−7.71(m,3H),7.49−7.42(m,2H),7.22−7.17(m,3H);MS LC−MS[M+H]+=382,RT=2.03分;TLC(100%酢酸エチル),Rf=0.38。
【0193】
メチル4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートの調製
【0194】
【化27】

【0195】
4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(0.79g、5.35mmol)のDCM(3mL)溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.87g、5.35mmol)を添加し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。1−メチル−5−アミノインダゾール(1.02g、6.96mmol)のDCM(4mL)溶液を添加し、混合物を室温でさらに8時間撹拌した。混合物を減圧して濃縮した。5%のメタノール−DCMで溶出するカラムクロマトグラフィーによる粗生成物の精製によって、850mg(38%)の標記化合物が得られた。1H−NMR(CD3OD) δ8.57(dd,1H),7.95(d,1H),7.87(d,1H),7.54(d,1H),7.53−7.51(m,2H),7.47−7.32(m,2H),7.32(d,1H),7.21(dd,1H),6.86(dd,1H).4.07(s,3H),3.96(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=418,RT=2.91分。
【0196】
メチル4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートの調製
【0197】
【化28】

【0198】
2,2,4,4−テトラフルオロ−6−イソシアナート−1,3−ベンゾジオキセン(0.816g、3.28mmol)の撹拌溶液に、DCM(13mL)中の4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル(0.800g、3.28mmol)を数回に分けて添加した。均質な内容物が、添加から1分以内に白色かつ不透明に変化し、室温で12時間撹拌を続けた。不均質な混合物をろ過し、固体生成物をDCMで繰り返し洗浄して残存の原料を除去した。目的生成物を白色の粉末として1.36g(83%)得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.08(d,2H),8.59(s,1H),8.07(s,1H),7.60(dd,1H),7.37(m,4H),7.25(d,1H),7.20(dd,1H),6.80(d,1H),3.82(s,3H);MS LC MS[M+H]+=494.1,RT=3.23分。
【0199】
メチル4−[4−({[(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートの調製
【0200】
【化29】

【0201】
2,2,4,4−テトラフルオロ−6−イソシアナート−1,3−ベンゾジオキセンの代わりに4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルイソシアナートを用いて、および4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの代わりに4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルを用いて、メチル4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.21(s,1H),9.00(s,1H),8.57(d,J=6.0Hz,1H),8.11(d,J=2.1Hz,1H),7.64−7.56(m,4H),7.41(d,J=3.0Hz,1H),7.19−7.15(m,3H),3.83(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=466。
【0202】
メチル4−[4−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートの調製
【0203】
【化30】

【0204】
4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの代わりに4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルを用いて、メチル4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(アセトン−d6) δ8.85(broad s,1H),8.73(broad s,1H),8.56(d,J=5.7Hz,1H),8.17(d,J=2.7Hz,1H),7.75(dd,J=9.0,2.4Hz,1H),7.67(dt,J=9.0,3.6Hz,2H),7.55(d,J=2.4Hz,1H),7.26(dd,J=9.0,1.2Hz,1H),7.15−7.08(m,3H),3.90(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=494。
【0205】
4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボン酸の調製
【0206】
【化31】

【0207】
メチル−4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレート(0.08g、0.19mmol)と水酸化カリウム(0.03g、0.56mmol)との混合物を、メタノール/水(4mL、3:1)中で40℃で3時間加熱した。減圧下で溶媒を除去し、粗残渣を水(5mL)で溶解させた。この水溶液を1NのHClで中和した。次いでこの固体沈殿物を水で、次にDCMで洗浄して0.55g(70%)の標記化合物を得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.97(s,1H),9.77(s,1H),8.46(d,1H),7.93(s,1H),7.90(s,1H),7.51(d,1H),7.43−7.34(m,5H),7.07(dd,1H),6.73(dd,1H),3.97(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=404。
【0208】
{4−[3−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−6−イル)フェノキシ]フェニル}酢酸の調製
【0209】
【化32】

【0210】
メチル4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートの代わりにメチル4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートを用いて、4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボン酸について記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.58(s,1H),9.39(s,1H),8.58(d,1H),8.08(d,1H),7.62(dd,1H),7.38−7.47(m,4H),7.32(dd,1H),7.18(dd,1H),6.83(dd,1H);MS LC−MS[M+H]+=480。
【0211】
4−[3−({[(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボン酸の調製
【0212】
【化33】

【0213】
4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの代わりに4−(3−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸を用いて、4−[4−({[(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(CD3OD) δ8.66(d,J=4.2Hz,1H),8.03(d,J=2.7Hz,1H),7.77(d,J=2.2 Hz,1H),7.67(dd,J=1.8,5.4Hz,1H),7.60(t,J=2.7Hz,1H),7.59−7.49(m,2H),7.41−7.37(m,2H),6.06(dd,J=2.4Hz,1Hz,1H);MS LC−MS[M+H]+=452,RT=2.54分。
【0214】
本発明は、以下のパラグラフで規定された具体例を提供するが、これらに限定されない。
【実施例】
【0215】
(実施例1)
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボキシミドアミドの調製
【0216】
【化34】

【0217】
0℃のトルエン中の塩化アンモニウム(1.73mmol)の混合物にトリメチルアルミニウム(1.73mmol、トルエン中に2Mで0.87mL)を添加し、反応物が透明になるまでこの混合物を室温で攪拌した。次いで、N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素(0.35mmol、150mg)を添加し、混合物を90℃で18時間加熱した。溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィー(35:9:5:1 v/v 酢酸エチル:メタノール:ヘキサン:NH4OH)によって残渣を精製し、18mg(17%)の標記生成物を白色固形物として得た。1H−NMR(CD3OD) δ8.61(s,1H),8.00(s,1H),7.79(s,1H),7.58(m,3H),7.52(m,3H),7.10(m,3H);MS LC−MS[M+H]+=450,RT=3.13分。
【0218】
(実施例2)
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキシミドアミドの調製
【0219】
【化35】

【0220】
0℃の無水トルエン中のメチルアミン塩酸塩(117mg、1.73mmol)の混合物にトリメチルアルミニウム(1.73mmol、トルエン中に2Mで0.87mL)を添加し、反応物が透明になるまでこの混合物を室温で攪拌した。次いで、N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素(0.35mmol、150mg)を添加し、混合物を90℃で17時間加熱した。次いで溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィー(35:10:4:1 v/v 酢酸エチル:メタノール:ヘキサン:NH4OH)によって残渣を精製し、79mg(49%)の標記生成物を黄色固形物として得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ10.14(s,1H),9.80(s,1H),10.05−9.20(broad s,2H),8.62(d,J=5.4Hz,1H),8.10(s,1H),7.89(d,J=2.4Hz,1H),7.62−7.52(m,4H),7.19−7.15(m,3H),3.02(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=464,RT=2.54分。
【0221】
(実施例3)
N−メチル−4−[4−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシミドアミドの調製
【0222】
【化36】

【0223】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素の代わりにN−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素を用いて、4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキシミドアミドについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.84(s,1H),9.59(s,1H),8.64(d,J=5.4Hz,1H),8.10(d,J=2.4Hz,1H),7.86(d,J=2.4Hz,1H),7.67−7.58(m,3H),7.43(d,J=9.0Hz,1H),7.20−7.16(m,3H),3.01(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=492,RT=2.57分。
【0224】
(実施例4)
N−メチル−4−(4−{[(キノリン−6−イルアミノ)カルボニル]アミノ}フェノキシ)ピリジン−2−カルボキシミドアミドの調製
【0225】
【化37】

【0226】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素の代わりにN−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−キノリン−6−イル尿素を用いて、4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキシミドアミドについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.68(s,1H),9.60(s,1H),8.72(dd,J=1.2,3.9Hz,1H),8.64(d,J=5.71Hz,1H),8.25(d,J=0.69Hz,1H),8.16(d,J=2.4Hz,1H),7.94(d,J=9.0Hz,1H),7.87(d,J=1.8Hz,1H),7.73(dd,J=2.4Hz,9.0Hz,1H),7.66−7.62(m,2H),7.46−7.42(m,1H),7.21−7.17(m,3H),3.02(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=413,RT=1.58分;TLC(酢酸エチル:メタノール:ヘキサン:NH4OH v/v 35:10:4:1),Rf=0.22。
【0227】
(実施例5)
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオアミドの調製
【0228】
【化38】

【0229】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素(230mg、0.53mmol)の無水DMF(30mL)溶液に、硫化水素ガスを室温でバブリングした。10分後、ジエチルアミン(58mg、0.80mmol)を添加し、反応混合物を60℃で1時間加熱した。混合物を酢酸エチル(200mL)に注ぎ、有機相を水(2x200mL)、塩水(1x200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧して濃縮した。50%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製し、180mg(73%)の標記生成物を黄色固形物として得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ10.2(broad s,1H),9.93(broad s,1H),9.23(s,1H),9.02(s,1H),8.47(d,J=5.7Hz,1H),8.11(d,J=2.1Hz,1H),7.95(d,J=2.4Hz,1H),7.67−7.57(m,4H),7.19−7.11(m,3H);MS LC−MS[M+H]+=467,RT=3.47分。
【0230】
(実施例6)
4−(4−{[(キノリン−6−イルアミノ)カルボニル]アミノ}フェノキシ)ピリジン−2−カルボチオアミドの調製
【0231】
【化39】

【0232】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素の代わりにN−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−キノリン−6−イル尿素を用いて、4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオアミドについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ10.19(s,1H),9.92(s,1H),9.08(s,1H),8.95(s,1H),8.73(dd,J=2.4,4.5Hz,1H),8.47(d,J=5.4 Hz,1H),8.24(dd,J=0.9,7.8Hz,1H),8.17(d,J=2.4 Hz,1H),7.97−7.92(m,2H),7.71(dd,J=2.7,9.0Hz,1H),7.64−7.59(m,2H),7.47−7.43(m,1H),7.20−7.11(m,3H);MS LC−MS[M+H]+=416,RT=2.08分;TLC(酢酸エチル:メタノール:ヘキサン:NH4OH v/v 35:10:4:1),Rf=0.75。
【0233】
(実施例7)
4−[4−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボチオアミドの調製
【0234】
【化40】

【0235】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素の代わりにN−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N’−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)尿素を用いて、4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオアミドについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ10.18(s,1H),9.92(s,1H),8.80(s,1H),8.68(s,1H),8.46(d,J=5.7Hz,1H),7.96−7.89(m,3H),7.60−7.54(m,3H),7.36(dd,J=1.8,9.0Hz,1H),7.18−7.10(m,3H),4.00(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=419,RT=2.62分。
【0236】
(実施例8)
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(ヒドラジノカルボニル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素の調製
【0237】
【化41】

【0238】
無水メタノール(50mL)中のメチル4−[4−({[(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレート(600mg、1.29mmol)と水和ヒドラジン(645mg、12.9mmol)との混合物を、アルゴン下で18時間、室温で攪拌した。反応混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、水と塩水とで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させてろ過し、減圧下で濃縮した。100%の酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、580mg(97%)の標記化合物を得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.88(s,1H),9.26(s,1H),9.08(s,1H),8.48(d,1H),8.10(d,1H),7.66−7.58(m,4H),7.36(d,1H),7.18−7.08(m,3H),4.50(s,2H);MS LC−MS[M+H]+=466,RT=2.83分;TLC(100% 酢酸エチル),Rf=0.15。
【0239】
(実施例9)
N−(4−{[2−(ヒドラジノカルボニル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素の調製
【0240】
【化42】

【0241】
メチル4−[4−({[(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートの代わりにメチル4−[4−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートを用いて、N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(ヒドラジノカルボニル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素について記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.89−9.86(m,1H),9.17(s,1H),9.03(s,1H),8.46(d,J=6.0Hz,1H),8.10(d,J=2.4Hz,1H),7.66(dd,J=2.1,9.0Hz,1H),7.60−7.56(m,2H),7.41(d,J=9.0Hz,1H),7.32(d,J=2.7Hz,1H),7.17−7.09(m,3H),4.52(d,J=4.5Hz,2H);MS LC−MS[M+H]+=494,RT=2.88分;TLC(100%酢酸エチル),Rf=0.15。
【0242】
(実施例10)
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−[3−({2−[(2,2−ジメチルヒドラジノ)カルボニル]ピリジン−4−イル}オキシ)フェニル]尿素の調製
【0243】
【化43】

【0244】
4−[3−({[(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボン酸(120mg、0.27mmol)の無水DMF(3mL)溶液に、1,1−ジメチルヒドラジン(20mg、0.27mmol)、HOBT(80mg、0.58mmol)、EDCl(80mg、0.40mmol)およびN−メチルモルフィン(60mg、0.58mmol)を添加した。この反応混合物を室温で終夜撹拌した。減圧下で溶媒を除去した。HPLCによって粗生成物を精製し、重炭酸ナトリウム水溶液(1N)で中和して100mg(75.5%)の標記化合物を得た。1H−NMR(CD3OD) δ8.48(d,J=5.4Hz,1H),7.97(d,J=2.4Hz,1H),7.63(dd,J=5.4,2.4Hz,1H),7.51(d,J=3.0Hz,1H),7.48−7.39(m,3H),7.32−7.31(m,1H),7.13(dd,J=5.7,3.0Hz,1H),6.84(dd,J=7.2,1.5Hz,1H),2.68(s,6H);MS LC−MS[M+H]+=494,RT=3.46分。
【0245】
(実施例11)
4−{3−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]ピリジン−2−カルボキサミドの調製
【0246】
【化44】

【0247】
1,1−ジメチルヒドラジンの代わりにN−アミノピペリジンを用いて、N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−[3−({2−[(2,2−ジメチルヒドラジノ)カルボニル]ピリジン−4−イル}オキシ)フェニル]尿素について記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.53(s,1H),9.22(s,1H),9.10(s,1H),8.51(d,J=5.7Hz,1H),8.05(d,J=1.8Hz,1H),7.60−7.58(m,2H),7.47−7.17(m,4H),6.82(dd,J=7.2,1.5Hz,1H),2.78−2.74(m,4H),1.57−1.54(m,4H),1.32−1.30(m,2H);MS LC−MS[M+H]+=534,RT=3.28分。
【0248】
(実施例12)
4−{3−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−モルホリン−4−イルピリジン−2−カルボキサミドの調製
【0249】
【化45】

【0250】
1,1−ジメチルヒドラジンの代わりにN−アミノピペリジンを用いて、N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−[3−({2−[(2,2−ジメチルヒドラジノ)カルボニル]ピリジン−4−イル}オキシ)フェニル]尿素について記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(CD3OD) δ8.48(d,J=4.8Hz,1H),7.97(d,J=2.4Hz,1H),7.65−7.57(m,2H),7.48−7.30(m,4H),7.11−7.09(m,1H),6.82(dd,J=2.1,1.0Hz,1H),3.81−3.78(m,4H),2.92−2.89(m,4H);MS LC−MS[M+H]+=536,RT=3.10分。
【0251】
(実施例13)
N−ピペリジン−1−イル−4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミドの調製
【0252】
【化46】

【0253】
DMF(3mL)中の{4−[3−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−6−イル)フェノキシ]フェニル}酢酸(100mg、0.21mmol)の混合物に、1−アミノピペリジン(20mg、0.21mmol)、HOBT(60mg、0.46mmol)、EDCl(60mg、0.31mmol)およびN−メチルモルホリン(50mg、0.46mmol)を室温で添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を除去し、残渣をDCM(10mL)で希釈し、次いで水(3mL)で洗浄した。HPLCによって粗生成物を精製し、NaHCO3で中和して56mg(45%)の標記生成物を得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.65(s,1H),9.19(s,1H),9.14(s,1H),8.51(d,1H),8.07(d,1H),7.62(dd,1H),7.38−7.49(m,4H),7.30(dd,1H),7.21(dd,1H),6.85(dd,1H),2.72−2.79(m,4H),1.55−1.59(m,4H),1.34(m,2H);MS LC−MS[M+H]+=562,RT=3.28分。
【0254】
(実施例14)
N−モルホリン−4−イル−4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミドの調製
【0255】
【化47】

【0256】
N−アミノピペリジンの代わりに4−アミノモルホリンを用いて、N−ピペリジン−1−イル−4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミドについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.81(s,1H),9.17(s,1H),9.12(s,1H),8.50(d,1H),8.06(d,1H),7.60(dd,1H),7.37−7.48(m,4H),7.29(dd,1H),7.21(dd,1H),6.83(dd,1H),3.61−3.64(m,4H),2.71−2.87(m,4H);MS LC−MS[M+H]+=564,RT=3.20分。
【0257】
(実施例15)
4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]−N−モルホリン−4−イルピリジン−2−カルボキサミドの調製
【0258】
【化48】

【0259】
DMF(3mL)中の4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボン酸(70mg、0.17mmol)の混合物に、4−アミノモルホリン(20mg、0.17mmol)、HOBT(50mg、0.38mmol)、EDCl(50mg、0.26mmol)およびN−メチルモルホリン(40mg、0.38mmol)を室温で添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を除去し、残渣をメチレンDCM(10mL)で希釈し、次いで水(3mL)で洗浄した。HPLCによって粗生成物を精製し、NaHCO3で中和して38mg(44%)の標記生成物を得た。1H−NMR(CD3OD) δ8.46(d,1H),7.89(s,1H),7.83(d,1H),7.57(d,1H),7.45−7.50(m,2H),7.35−740(m,2H),7.26(dd,1H),7.08(dd,1H),6.76(dd,1H),4.04(s,3H),3.76−3.79(m,4H),2.84−2.91(m,4H);MS LC−MS[M+H]+=488,RT=2.86分。
【0260】
(実施例16)
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素の調製
【0261】
【化49】

【0262】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素(300mg、0.23mmol)、アジ化ナトリウム(1.5mmol、67.6mg)およびトリエチルアミン塩酸塩(143mg、1.5mmol)の混合物を、トルエン(20mL)中で80℃で2日間加熱した。溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィー(40:30:28:2 v/v 酢酸エチル:ヘキサン:メタノール:NH4OH)によって残渣を精製し、210mg(63%)の所望生成物を得た1H−NMR(DMSO−d6) δ9.55(s,1H),9.21(s,1H),8.42(d,1H),8.19(s,2H),7.65(m,1H),7.60(m,3H),7.42(s,1H),7.20(m,2H),6.95(s,1H);MS LC−MS[M+H]+=476,RT=3.11分。
【0263】
(実施例17)
1N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素の調製
【0264】
【化50】

【0265】
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−{4−[(2−シアノピリジン−4−イル)オキシ]フェニル}尿素(100mg、0.23mmol)、エチレンジアミン(42mg、0.69mmol)および硫黄(22mg、0.69mmol)の混合物を、DMF(3mL)中で80℃で終夜加熱した。溶媒を除去し、調製用HPLCによって残渣を精製して81mg(73%)の所望生成物を得た。1H−NMR(DMSO−d6) δ9.22(s,1H),9.05(s,1H),8.50(d,1H),7.60(m,5H),7.39(s,1H),7.19(m,3H),3.65(s,4H);MS LC−MS[M+H]+=476,RT=2.74分。
【0266】
(実施例18)
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素の調製
【0267】
【化51】

【0268】
4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルエステルの代わりに4−(2−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イルピリジン−4−イルオキシ)フェニルアミンを用いて、4−[4−({[(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシレートについて記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(アセトン−d6) δ9.06(s,1H),8.70(s,1H),8.63(d,J=6.0Hz,1H),8.54(s,1H),8.17(d,J=2.7Hz,1H),7.79−7.58(m,4H),7.55(d,J=9.3Hz,1H),7.24−7.20(m,2H),7.14−7.10(m,1H);MS LC−MS[M+H]+=476,RT=3.37分;TLC(100%酢酸エチル),Rf=0.45。
【0269】
(実施例19)
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素の調製
【0270】
【化52】

【0271】
無水エタノール(20mL)中の4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオアミド(150mg、0.32mmol)にクロロアセチルクロリド(30.6mL、0.38mmol、1.2当量)を添加し、反応混合物をアルゴン下で18時間還流した。混合物をジエチルエーテル(100mL)に注ぎ、有機層を水および塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてろ過し、減圧下で濃縮した。50%の酢酸エチル−ヘキサンで溶出するMPLC(biotage)によって粗残渣を精製し、145mg(89%)の標記生成物を得た、1H−NMR(アセトン−d6) δ8.60(s,1H),8.45(d,J=2.4Hz,1H),8.43(s,1H),8.17(d,J=2.4Hz,1H),7.79−7.68(m,3H),7.58−7.55(m,2H),7.26−7.18(m,3H),7.01−6.99(m,1H),2.40(s,3H);MS LC−MS[M+H]+=505,RT=3.79分;TLC(50%酢酸エチル/ヘキサン),Rf=0.25。
【0272】
(実施例20)
N−キノリン−6−イル−N’−(4−{[2−(5−チオキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素の調製
【0273】
【化53】

【0274】
無水メタノール(20mL)中の4−(4−{[(キノリン−6−イルアミノ)カルボニル]アミノ}フェノキシ)ピリジン−2−カルボチオアミド(50mg、0.12mmol)にヒドラジン水和物(60mg、1.20mmol)を添加し、反応混合物をアルゴン下、室温で18時間撹拌した。混合物をジエチルエーテル(100mL)に注ぎ、有機層を水および塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてろ過し、減圧下で濃縮した。粗ヒドラジンアミドに無水メタノール(30mL)を、次いで二硫化炭素(55mg、0.73mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下、室温で18時間撹拌し、次いで酢酸エチル(100mL)に溶解させた。この反応混合物を水および塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させてろ過し、減圧下で濃縮した。調製用TLC(100%酢酸エチル)を用いて残渣を精製し、2mg(6%)の標記生成物を得た。1H−NMR(アセトン−d6) δ8.74(d,1H),8.44(d,1H),8.40(s,1H),7.96−7.84(m,4H),7.44−7.38(m,2H),7.18−7.14(m,2H),7.18(d,J=9.0Hz,2H),7.08−7.00(m,2H);MS LC−MS[M+H]+=473,RT=3.16分;TLC(100%酢酸エチル),Rf=0.15。
【0275】
(実施例21)
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素の調製
【0276】
【化54】

【0277】
4−(4−{[(キノリン−6−イルアミノ)カルボニル]アミノ}フェノキシ)ピリジン−2−カルボチオアミドの代わりに4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオアミドを用いて、および二硫化炭素の代わりにホスゲンを用いて、N−キノリン−6−イル−N’−(4−{[2−(5−チオキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素について記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ12.75(s,1H),9.21(s,1H),8.99(s,1H),8.55(d,J=5.7Hz,1H),8.10(d,J=2.4Hz,1H),7.66−7.55(m,4H),7.23(d,J=2.4Hz,1H),7.20−7.16(m,2H),7.11−7.08(m,1H);MS LC−MS[M+H]+=492,RT=3.16分;TLC(10%メタノール/DCM),Rf=0.84。
【0278】
(実施例22)
N−(4−{[2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素の調製
【0279】
【化55】

【0280】
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオアミドの代わりに4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミドを用いて、N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素について記載したのと同様の方法で、標記化合物を調製した。1H−NMR(DMSO−d6) δ12.75(s,1H),9.15(s,1H),9.01(s,1H),8.55(d,J=6.0Hz,1H),8.10(d,J=2.7Hz,1H),7.68−7.57(m,3H),7.42(d,J=8.7Hz,1H),7.23(d,J=2.7Hz,1H),7.19−7.16(m,2H),7.11−7.08(m,1H);MS LC−MS[M+H]+=520,RT=3.20分;TLC(10%メタノール/DCM),Rf=0.72。
【0281】
当業者であれば、上記の情報および本技術分野において利用可能な情報を用いて本発明を最大限に利用できるものと信じられる。
【0282】
当業者であれば、本明細書に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明についての変更および修正を行うことは自明のはずである。
【0283】
上記および下記の各項目見出しは、本出願において、見出すことができる特定の情報の手引きを意図したものであり、本出願において見出すことができるそのような項目に関する唯一の源であることを意図するものではない。
【0284】
上掲のすべての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


の化合物またはその薬剤学的に許容し得る塩、プロドラッグもしくは代謝産物であって、式中
Aはフェニル、ナフチル、単環式もしくは二環式ヘテロアリールまたは式
【化2】


の基であって、独立してR1、OR1、S(O)p1、C(O)R1、C(O)OR1、C(O)NR12、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノもしくはニトロである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよく、
Bはフェニル、ナフチルまたはピリジルであって、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノもしくはニトロである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよく、
Lは
(a)−(CH2m−O−(CH2l−、
(b)−(CH2m−(CH2l−、
(c)−(CH2m−C(O)−(CH2l−、
(d)−(CH2m−NR3−(CH2l−、
(e)−(CH2m−NR3C(O)−(CH2l−、
(f)−(CH2m−S−(CH2l−、
(g)−(CH2m−C(O)NR3−(CH2l−または
(h)単結合であって、
mおよびlは0〜4から独立して選択される整数であり、
Mはピリジン環であって、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲンまたはニトロである1〜3個の置換基で所望により置換されてもよく、
Qは:
(1)C(S)NR45
(2)C(O)NR7−NR45
(3)テトラゾリル、
(4)イミダゾリル、
(5)イミダゾリン−2−イル、
(6)1,3,4−オキサジアゾリン−2−イル、
(7)1,3−チアゾリン−2−イル、
(8)5−チオキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアゾリン−2−イル、
(9)5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリン−2−イルまたは
(10)式
【化3】


の基であって、式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は独立して、
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)フェニル、
(d)C1〜C3フェニルアルキル、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−(CH2q−Xであって、式中Xは、酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1つの原子を含み、飽和の、部分飽和の、もしくは芳香族の5員もしくは6員のヘテロ環であるか、またはO、NおよびSからなる群より選択される1〜4のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式ヘテロアリールであり、
4およびR5はさらに一緒になって5員または6員の脂肪族環を形成してもよく、これはN、OまたはSから選択される原子が割り込んでいてもよく、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノまたはニトロである1〜3個の置換基で所望により置換されてもよく、
6は独立して、
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)シアノ、
(d)ニトロ、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−C(O)R7であって、式中R7はC1〜C5直鎖、分枝鎖または環状のアルキルであり、
7は水素または直鎖、分枝鎖もしくは環状C1〜C5アルキルであり、
qは0、1、2、3または4の整数であり、そして
pは0、1または2の整数であるもの。
【請求項2】
Bがフェニルまたはピリジニルであって、1〜4個のハロゲンで所望により置換されてもよい、請求項1の化合物。
【請求項3】
Lが−O−であり、Bがフェニルまたはピリジニルであって、1〜4個のハロゲンで所望により置換されてもよい、請求項1の化合物。
【請求項4】
Aがフェニル、ナフチル、インダゾリル、キノリニル、ピリジル、ベンゾ[1,3]ジオキソラン−5−イル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルまたは4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−6−イルであって、独立してR1およびハロゲンである1−4個の置換基で所望により置換されてもよく、Lが−O−であり、Bがフェニルであって、1〜4個のハロゲンで所望により置換されてもよい、請求項1の化合物。
【請求項5】
AおよびBが、次の組み合わせ:
A=フェニルおよびB=フェニル、
A=インダゾリルおよびB=フェニル、
A=キノリニルおよびB=フェニル、
A=4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−6−イルおよびB=フェニル、
A=フェニルおよびB=ピリジル、
A=インダゾリルおよびB=ピリジル、
A=キノリニルおよびB=ピリジル、または
A=4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−6−イルおよびB=ピリジル、
に従う、請求項1の化合物。
【請求項6】
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(ヒドラジノカルボニル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−(4−{[2−(ヒドラジノカルボニル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−[3−({2−[(2,2−ジメチルヒドラジノ)カルボニル]ピリジン−4−イル}オキシ)フェニル]尿素
・4−{3−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−ピペリジン−1−イルピリジン−2−カルボキサミド
・N−ピペリジン−1−イル−4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミド
・4−{3−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−モルホリン−4−イルピリジン−2−カルボキサミド
・N−モルホリン−4−イル−4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミド
・4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]−N−モルホリン−4−イルピリジン−2−カルボキサミド
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−キノリン−6−イル−N’−(4−{[2−(5−チオキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−(4−{[2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素
・4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキシミドアミド
・4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボキシミドアミド
・N−メチル−4−[4−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシミドアミド
・N−メチル−4−(4−{[(キノリン−6−イルアミノ)カルボニル]アミノ}フェノキシ)ピリジン−2−カルボキシミドアミド
・4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオアミド
・4−(4−{[(キノリン−6−イルアミノ)カルボニル]アミノ}フェノキシ)ピリジン−2−カルボチオアミドまたは
・4−[4−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボチオアミドである化合物。
【請求項7】
有効量の請求項1の化合物の少なくとも1つと、生理学的に許容し得る担体とを含有する薬剤組成物。
【請求項8】
請求項1の化合物をそれを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に投与することを含む、ヒトまたはその他の哺乳類における増殖亢進性疾患を治療または予防するための方法。
【請求項9】
請求項1の化合物および更なる抗増殖剤をそれを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に投与することを含む、ヒトまたはその他の哺乳類における増殖亢進性疾患を治療または予防するための方法。
【請求項10】
請求項1の化合物および細胞毒性剤または増殖抑制性化学療法剤をそれを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に投与することを含む、ヒトまたはその他の哺乳類における癌を治療または予防するための方法。
【請求項11】
請求項1の化合物をそれを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に投与することを含む、ヒトまたはその他の哺乳類における、チロシンキナーゼによって制御され、チロシンキナーゼのシグナルトランスダクション経路の異常に関連して生じる疾患を治療または予防するための方法。
【請求項12】
請求項1の化合物をそれを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に投与することを含む、ヒトまたはその他の哺乳類における、VEGFに誘導されるシグナルトランスダクション経路によって媒介される疾患を治療または予防するための方法。
【請求項13】
請求項1の化合物をそれを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に投与することを含む、異常な血管新生プロセスまたは異常な透過性亢進プロセスを特徴とする、ヒトまたはその他の哺乳類における疾患を治療または予防するための方法。
【請求項14】
請求項1の化合物と他の血管新生阻害剤とをそれらを必要とするヒトまたは他の哺乳類に同一の製剤でまたは別の製剤で同時に投与することを含む、異常な血管新生プロセスまたは異常な透過性亢進プロセスを特徴とするヒトまたはその他の哺乳類における疾患を治療または予防するための方法。
【請求項15】
請求項1の化合物をそれを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に投与することを含む、ヒトおよび/またはその他の哺乳類における1つ以上の次の状態:腫瘍の増殖、網膜症、虚血性網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、加齢性黄斑変性症、慢性関節リウマチ、乾癬、水疱性類天疱瘡、多形性紅斑もしくは疱疹状皮膚炎を含む表皮下の水疱形成に関連した水泡性の疾患を治療または予防するための方法。
【請求項16】
結核、消化性潰瘍におけるHelicobacter pyloriの感染、Trypanosoma cruziの感染により生じるシャーガス病、大腸菌の感染により生じる志賀毒素の影響、Staphylococcusの感染により生じるエンテロトキシンAの影響、髄膜炎菌感染ならびにBorrelia burgdorferi、Treponema pallidum、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、タイラー脳脊髄炎ウイルスおよびヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染:からなる群より選択される感染症と組み合わされた、ヒトおよび/またはその他の哺乳類における1つ以上の次の状態:腫瘍の増殖、網膜症、糖尿病性網膜症、虚血性網膜静脈閉塞症、未熟児網膜症、加齢性黄斑変性症、慢性関節リウマチ、乾癬、表皮下の水疱形成、水疱性類天疱瘡、多形性紅斑および疱疹状皮膚炎に関連した水疱性の疾患を治療または予防するための方法であって、
請求項1の化合物をそれを必要とするヒトまたはその他の哺乳類に投与することを含む該方法。
【請求項17】
VEGFに誘導されるシグナルトランスダクション経路によって媒介される疾患を治療または予防するための方法であって:
・4−{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド−]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオ酸アミド、
・4−{3−[3−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−6−イル)ウレイド]フェノキシ}ピリジン−2−カルボン酸(1−ピペリジル)アミド、
・4−{3−[3−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−6−イル)ウレイド]フェノキシ}ピリジン−2−カルボン酸(4−モルホリノ)アミド、
・4−{3−[3−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)ウレイド]フェノキシ}ピリジン−2−カルボン酸(4−モルホリノ)アミド、
・4−{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]フェノキシ}ピリジン−2−カルボキサミジン、
・1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−3−{4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)ピリジニル−4−オキシ]フェニル}尿素、
・1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−3−{4−[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)ピリジニル−4−オキシ]フェニル}尿素、
・4−{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミジン
またはそれらの塩の形態、プロドラッグもしくは代謝産物からなる群より選択される化合物を投与することを含む方法。
【請求項18】
癌を治療または予防するための方法であって、
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(ヒドラジノカルボニル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−(4−{[2−(ヒドラジノカルボニル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−[3−({2−[(2,2−ジメチルヒドラジノ)カルボニル]ピリジン−4−イル}オキシ)フェニル]尿素
・4−{3−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−ピペリジン−1−イルピリジン−2−カルボキサミド
・N−ピペリジン−1−イル−4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミド
・4−{3−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−モルホリン−4−イルピリジン−2−カルボキサミド
・N−モルホリン−4−イル−4−[3−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキサミド
・4−[3−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]−N−モルホリン−4−イルピリジン−2−カルボキサミド
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−キノリン−6−イル−N’−(4−{[2−(5−チオキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N’−(4−{[2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)尿素
・N−(4−{[2−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ピリジン−4−イル]オキシ}フェニル)−N’−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)尿素
・4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキシミドアミド
・4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボキシミドアミド
・N−メチル−4−[4−({[(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボキシミドアミド
・N−メチル−4−(4−{[(キノリン−6−イルアミノ)カルボニル]アミノ}フェノキシ)ピリジン−2−カルボキシミドアミド
・4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}ピリジン−2−カルボチオアミド
・4−(4−{[(キノリン−6−イルアミノ)カルボニル]アミノ}フェノキシ)ピリジン−2−カルボチオアミド
・4−[4−({[(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェノキシ]ピリジン−2−カルボチオアミドまたはそれらの塩の形態、プロドラッグもしくは代謝産物からなる群より選択される化合物を投与することを含む方法。
【請求項19】
式(I)
【化4】


の化合物またはその薬剤学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは代謝産物であって、式中
Aは
【化5】


の基であって、式中Aは独立してR1、OR1、S(O)p1、C(O)R1、C(O)OR1、C(O)NR12、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノまたはニトロである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよく、
Bはフェニル、ナフチルまたはピリジルであって、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノもしくはニトロである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよく、
Lは
(a)−(CH2m−O−(CH2l−、
(b)−(CH2m−(CH2l−、
(c)−(CH2m−C(O)−(CH2l−、
(d)−(CH2m−NR3−(CH2l−、
(e)−(CH2m−NR3C(O)−(CH2l−、
(f)−(CH2m−S−(CH2l−、
(g)−(CH2m−C(O)NR3−(CH2l−または
(h)単結合であって、
mおよびlは0〜4から独立して選択される整数であり、
Mはピリジン環であって、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲンまたはニトロである1〜3個の置換基で所望により置換されてもよく、
Qは:
(1)C(S)NR45
(2)C(O)NR7−NR45
(3)テトラゾリル、
(4)イミダゾリル、
(5)イミダゾリン−2−イル、
(6)1,3,4−オキサジアゾリン−2−イル、
(7)1,3−チアゾリン−2−イル、
(8)5−チオキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアゾリン−2−イル、
(9)5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリン−2−イルまたは
(10)式
【化6】


の基であって、式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は独立して、
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル、
(c)フェニル、
(d)C1〜C3のフェニルアルキル、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−(CH2q−Xであって、式中Xは、酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1つの原子を含み、飽和の、部分飽和のもしくは芳香族の5員もしくは6員のヘテロ環であるか、またはO、NおよびSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を有する8〜10員の2環式ヘテロアリールであり、
4およびR5はさらに共に5員または6員の脂肪族環を形成してもよく、これはN、OまたはSから選択される原子が割り込んでいてもよく、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノまたはニトロである1〜3個の置換基で所望により置換されてもよく、
6は独立して、
(a)水素、
(b)C1〜C5の直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)シアノ、
(d)ニトロ、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−C(O)R7であって、式中R7はC1〜C5直鎖、分枝鎖または環状アルキルであり、
7は水素または直鎖、分枝鎖もしくは環状C1〜C5アルキルであり、
qは0、1、2、3または4の整数であり、そして
pは0、1または2の整数であるもの。
【請求項20】
Bがフェニルまたはピリジニルであって、1〜4個のハロゲンで所望により置換されてもよい、請求項19の化合物。
【請求項21】
Lが−O−であり、Bがフェニルまたはピリジニルであって、1〜4個のハロゲンで所望により置換されてもよい、請求項19の化合物。
【請求項22】
Bがフェニルまたはピリジルであり、Lが−O−であり、MがQのみによって置換されたピリジン環であり、Qが、
C(S)NR45
C(O)NR7−NR45
または

【化7】


の基であって、R4およびR5の各々は独立して:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)フェニル、
(d)C1〜C3フェニルアルキル、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−(CH2q−Xであって、式中置換基Xはピリジニルであり、変数qは0もしくは1の整数であることが好ましく、
6が:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、または
(c)シアノである、請求項19の化合物。
【請求項23】
式(I)
【化8】


の化合物またはその薬剤学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは代謝産物であって、式中
Aは
【化9】


であって、式中Aは独立してR1、OR1もしくはハロゲンである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよく、
Bはフェニルまたはピリジニルであって、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C5直鎖もしくは分枝鎖ハロアルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノもしくはニトロである1〜4個の置換基で所望により置換されてもよく、
Lは−O−であり、
Mはピリジン環であり、
Qは:
(1)C(S)NR45
(2)C(O)NR7−NR45
(3)テトラゾリル、
(4)イミダゾリル、
(5)イミダゾリン−2−イル、
(6)1,3,4−オキサジアゾリン−2−イル、
(7)1,3−チアゾリン−2−イル、
(8)5−チオキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−チアゾリン−2−イル、
(9)5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリン−2−イルまたは
(10)式
【化10】


の基であって、式中、R1、R4およびR5の各々は独立して、
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)フェニル、
(d)C1〜C3フェニルアルキル、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−(CH2q−Xであって、式中Xは、酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1つの原子を含み、飽和の、部分飽和のもしくは芳香族の5員もしくは6員のヘテロ環であるか、またはO、NおよびSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を有する8〜10員の2環式ヘテロアリールであり、
4およびR5はさらに一緒になって5員または6員の脂肪族環を形成してもよく、これはN、OまたはSから選択される原子が割り込んでいてもよく、独立してC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1〜C3アルコキシ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、C1〜C3アルキルアミノ、C1〜C6ジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノまたはニトロである1〜3個の置換基で所望により置換されてもよく、
6は独立して、
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル、
(c)シアノ、
(d)ニトロ、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−C(O)R7であって、式中R7はC1〜C5直鎖、分枝鎖または環状アルキルであり、
7は水素または直鎖、分枝鎖もしくは環状C1〜C5アルキルであり、
qは0、1、2、3または4の整数であり、そして
pは0、1または2の整数であるもの。
【請求項24】
Bがフェニルまたはピリジニルであって、1〜4個のハロゲンで置換されたものである、請求項23の化合物。
【請求項25】
MがQのみによって置換されたピリジン環であり、Qが、
C(S)NR45
C(O)NR7−NR45
または

【化11】


の基であって、R4およびR5の各々は独立して:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖もしくは環状アルキル、
(c)フェニル、
(d)C1〜C3フェニルアルキル、
(e)パーハロまでの置換されたC1〜C5直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または
(f)−(CH2q−Xであって、式中置換基Xはピリジニルであり、変数qは0もしくは1の整数であることが好ましく、
6が:
(a)水素、
(b)C1〜C5直鎖、分枝鎖または環状アルキル、または
(c)シアノである、
請求項23の化合物。

【公表番号】特表2006−519266(P2006−519266A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508981(P2006−508981)
【出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/006295
【国際公開番号】WO2004/078128
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(505318961)バイエル ファーマシューティカルス コーポレーション (4)
【氏名又は名称原語表記】BAYER PHARMACEUTICALS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】400 Morgan Lane, West Haven, CT 06516−4175 U.S.A.
【Fターム(参考)】