発光チップ、発光装置、プリントヘッドおよび画像形成装置
【課題】発光素子に印加される点灯のための電位の変動を抑制した発光チップを提供する。
【解決手段】発光チップCa1(C)は、基板80上に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタT1、T2、T3、…、書込サイリスタM1、M2、M3、…を備える。転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにしてそれぞれの間に結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…を備える。さらに、発光サイリスタLが非点灯であるときに、点灯時に発光サイリスタLに流れる電流と等しい電流が流れる擬似電流部104を備えている。擬似電流部104は、擬似発光サイリスタLd、擬似書込サイリスタMdを備えている。
【解決手段】発光チップCa1(C)は、基板80上に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタT1、T2、T3、…、書込サイリスタM1、M2、M3、…を備える。転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにしてそれぞれの間に結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…を備える。さらに、発光サイリスタLが非点灯であるときに、点灯時に発光サイリスタLに流れる電流と等しい電流が流れる擬似電流部104を備えている。擬似電流部104は、擬似発光サイリスタLd、擬似書込サイリスタMdを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光チップ、発光装置、プリントヘッドおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、一様に帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に複数、配列してなる、LEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
【0003】
特許文献1には、所定数の発光素子から成る発光ブロックが複数、直線状に配置されてなり、画像形成のための印画データが与えられる発光部と、複数の発光ブロックの中から駆動すべき発光ブロックを時分割的に選択する選択回路と、全発光素子分の光量補正データを記憶する補正データ記憶回路と、発光ブロックの時分割駆動に同期して駆動させる発光ブロック内の発光素子の光量補正データを前記補正データ記憶回路から読出すとともに、該読出した光量補正データと印画データとに基づいて、発光ブロック内の各発光素子を個別的に発光駆動させる駆動回路とを含む画像形成装置が記載されている。
特許文献2には、複数の発光素子を所定方向に配列した半導体チップを、複数、配列した発光アレーと、画像データに応じた信号から所定の駆動信号を生成して前記複数の発光素子を駆動する駆動手段とを備えた発光装置であって、前記半導体チップの前記複数の発光素子を所定時間だけ駆動して得た発光量を前記半導体チップ毎に配列方向に一次直線で近似し、当該一次近似直線の傾きに応じ前記半導体チップの光量分布を複数種類に分類したときに、前記発光アレー内で、前記半導体チップは互いに隣り合う半導体チップの種類を所定条件で制限されて配置されていることが記載されている。
特許文献3には、連続的に送られてくるデータを複数の発光素子に対応して設けられたラッチ回路でラッチし、その後、該ラッチ回路内のデータ信号と点灯信号とにより複数の半導体スイッチをON/OFFして、上記複数の発光素子を上記ラッチ回路の各データに対応させて発光させることにより、一様に帯電された潜像担持体の表面に静電潜像を形成する光書き込みヘッドを備えた画像形成装置において、上記光書き込みヘッドは、上記ラッチ回路内のデータ信号が上記発光素子をOFFする状態で、上記点灯信号が該発光素子を点灯させる状態である時に、該発光素子への供給電流を迂回させてグランドに流すバイパス回路を有していることが記載されている。
特許文献4には、基板と、基板上に配置され、複数の発光素子が列状に配列された発光素子部材と、基板上に配置され、発光素子部材に配列された発光素子の各々を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、基板上に配置され、発光素子部材に所定の電圧を供給する電圧供給手段とを備えた露光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−6554号公報
【特許文献2】特開平11−334146号公報
【特許文献3】特開2002−29087号公報
【特許文献4】特開2008−87291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LEDプリントヘッドでは、発光素子の光量は、発光素子に流れる電流により異なる。よって、LEDプリントヘッドにおいて並行して点灯(発光)させる発光素子の数に依存して、それぞれの発光素子に印加される点灯のための電位が変動すると、発光素子に流れる電流が変動し、発光素子の光量にばらつきが生じてしまう。発光素子の光量にばらつきが生じると、形成された画像にむらを生じ、画像の品質が劣化する。よって、発光素子の光量のばらつきを抑制するためには、それぞれの発光素子に印加される点灯のための電位の変動を抑制することが好ましい。
【0006】
本発明は、発光素子に印加される点灯のための電位の変動を抑制した発光チップ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板と、前記基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光素子列と、前記基板上に設けられ、それぞれが前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送素子列と、前記基板上に設けられ、前記発光素子が非点灯に設定されたときに電流が流れる擬似電流部とを備えた発光チップである。
請求項2に記載の発明は、前記発光チップは、前記基板上に設けられ、それぞれが前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、前記点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子を備える書込素子列をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発光チップである。
請求項3に記載の発明は、前記発光チップの擬似電流部は、前記発光素子と等価な構造を有する擬似発光素子および前記書込素子と等価な構造を有する擬似書込素子とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の発光チップである。
請求項4に記載の発明は、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、前記複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、前記複数の発光チップに対して、前記オン状態の転送素子により前記点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備えた発光装置である。
請求項5に記載の発明は、前記発光装置は、それぞれが、前記複数の発光チップが分けられて構成された複数のブロックのそれぞれのブロックに対応して設けられ、当該ブロックに含まれる発光チップに点灯のための電流が供給されるように接続され、点灯のための電流がオンまたはオフのいずれか一方に設定される、複数の切替手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の発光装置である。
請求項6に記載の発明は、前記発光装置は、基準電位を供給する基準電位供給手段をさらに備え、前記複数の発光チップに基準電位を供給する電源ラインは、当該基準電位供給手段から、前記ブロック毎に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置である。
請求項7に記載の発明は、前記発光装置は、点灯のための電位を供給する点灯電位供給手段をさらに備え、前記複数の切替手段に点灯のための電位を供給する電源ラインは、当該点灯電位供給手段から、前記ブロック毎に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の発光装置である。
請求項8に記載の発明は、前記発光装置の前記転送信号供給手段は、前記複数の発光チップが、N群(Nは2以上の整数)に分けられたそれぞれの群毎に転送信号を送信するとともに、当該発光装置の前記書込信号供給手段は、当該N群のそれぞれに属する発光チップを、当該群をまたいでJ組(Jは2以上の整数)に分けられたそれぞれの組毎に、前記点灯または非点灯の制御において点灯に設定された発光素子を備える発光チップには発光素子を点灯に設定する書込信号を、当該点灯または非点灯の制御において非点灯に設定された発光素子を備える発光チップには擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込信号を送信することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項9に記載の発明は、前記切替手段は、第1の端子と第2の端子と制御端子とを備え、制御端子により第1の端子と第2の端子との間の電流がオンまたはオフのいずれか一方に設定されるとともに、第1の端子と第2の端子との間に流れる電流により、第1の端子と第2の端子の間の電位が変化する3端子能動素子であることを特徴とする請求項5に記載の発光装置である。
請求項10に記載の発明は、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該オン状態の転送素子により当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備えた発光手段と、前記発光手段から照射される光を結像させる光学手段とを備えたことを特徴とするプリントヘッドである。
請求項11に記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電手段と、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該オン状態の転送素子により当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備え、光学手段を介して前記像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、擬似電流部を用いない場合に比べ、発光素子に印加される点灯のための電位の変動が抑制できる。
請求項2の発明によれば、本構成を備えていない場合に比べ、発光チップにおいて発光素子と擬似電流部との電流経路の切り替えがより容易にできる。
請求項3の発明によれば、本構成を備えていない場合に比べ、点灯させる発光素子と、擬似電流部に流れる電流との差をより小さくできる。
請求項4の発明によれば、擬似電流部を用いない場合に比べ、点灯させる発光素子の数による光量のばらつきが抑制できる。
請求項5の発明によれば、グループに分けない場合に比べ、発光チップ間における点灯のための電位の変動をより小さくできる。
請求項6、7の発明によれば、本構成を備えていない場合に比べ、点灯させる発光素子の数による光量のばらつきがより抑制できる。
請求項8の発明によれば、発光チップを群、組に分けないで駆動する場合に比べ、発光装置における配線(ライン)の数を抑制できる。
請求項9の発明によれば、本構成を備えていない場合に比べ、回路基板がより簡易に構成できる。
請求項10の発明によれば、擬似電流部を用いない場合に比べ、光量のばらつきが少ない露光ができる。
請求項11の発明によれば、擬似電流部を用いない場合に比べ、むらの少ない画像形成ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図2】プリントヘッドの構成を示した断面図である。
【図3】発光装置の上面図である。
【図4】発光チップにおける発光素子の並びおよびボンディングパッドの構成を示した図である。
【図5】発光装置の回路基板上に設けられた信号発生回路の構成および回路基板上の配線構成を示した図である。
【図6】図5において、発光チップ群#a、発光チップ群#b、基準電位を供給する電源ライン、点灯電位を供給する電源ラインを取り出して示した図である。
【図7】発光装置の発光チップをマトリクスの各要素として配置して示した図である。
【図8】自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
【図9】発光装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】スイッチトランジスタの特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[画像形成装置1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0011】
画像形成プロセス部10は、予め定められた間隔を置いて並列に配置される複数のエンジンを含む画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙25に多重転写させるために、この記録用紙25を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙25に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙25にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
【0012】
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0013】
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙25に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙25上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙25は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙25上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙25上に定着され、画像形成装置1から排出される。
【0014】
[プリントヘッド14]
図2は、プリントヘッド14の構成を示した断面図である。露光手段の一例としてのプリントヘッド14は、ハウジング61、感光体ドラム12を露光する複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタ)を備える光源部63を備えた発光手段の一例としての発光装置65、光源部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
発光装置65は、前述した光源部63、光源部63を駆動する信号発生回路110(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62を備えている。
【0015】
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、光源部63の発光素子における発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向であって、後述する図3、図5のX方向)に沿って配置されている。
【0016】
[発光装置65]
図3は、発光装置65の上面図である。
図3に示すように、発光装置65の光源部63は、回路基板62上に、32個の発光チップCa1〜Ca32(発光チップ群#a)と、同じく32個の発光チップCb1〜Cb32(発光チップ群#b)とを、主走査方向であるX方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。すなわち、本実施の形態では、2つの発光チップ群(発光チップ群#aと発光チップ群#b)を備えている。ここでは、発光チップ群を群と略すことがある。
本明細書では、「〜」は、番号によってそれぞれが区別された複数の構成要素を示すもので、「〜」の前後に記載されたものおよびその間の番号のものを含むことを意味する。例えば、発光チップCa1〜Ca32は、発光チップCa1から番号順に発光チップCa32までを含む。
【0017】
なお、発光チップCa1〜Ca32(発光チップ群#a)および発光チップCb1〜Cb32(発光チップ群#b)の構成は同一である。よって、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32をそれぞれ区別しないときは発光チップCaと、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32をそれぞれ区別しないときは発光チップCbと表記し、さらに発光チップCaと発光チップCbとを区別しないときは、発光チップCと表記する。
また、発光チップCa1を例として説明する場合がある。他の発光チップCa2〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32においても同様であるので、発光チップCa1を発光チップCa1(C)と表記することがある。
【0018】
発光チップCは、形状が矩形の基板80(後述する図4参照)の上に、長辺の一方に沿って列状に設けられた複数の発光素子から構成される発光部102を備えている。
発光チップCa1〜Ca32(発光チップ群#a)は、それぞれの長辺の方向に一列に配列されている。発光チップCb1〜Cb32(発光チップ群#b)も、同様にそれぞれの長辺の方向に一列に配列されている。そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32と発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32とは、互いに向きを180°回転させて向かい合い、千鳥状に配列されている。さらに、主走査方向であるX方向における発光素子の間隔が、互いに隣接する発光チップ群#aの発光チップCaと発光チップ群#bの発光チップCbとで、発光チップCaとCbとの間においても予め定められた間隔となるように配列されている。
なお、図3においては、発光チップ群#aの発光チップCaと発光チップ群#bの発光チップCbとは、長辺側が接触するように表記しているが、距離を設けて配置されてもよい。
【0019】
そして、発光装置65は、前述したように、光源部63を駆動するために、例えば集積回路(IC)で構成された信号発生回路110を備えている。
なお、本実施の形態では、発光チップ群#aの発光チップCaおよび発光チップ群#bの発光チップCbの数として、それぞれ32個を用いたが、これに限定されない。
【0020】
図4は、発光チップCにおける発光素子の並びおよびボンディングパッドの構成を示した図である。
発光チップCは、形状が矩形の基板80の表面上に、一方の長辺に沿って列状に設けられた複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…)から構成される発光部102を備えている。さらに、発光チップCは、基板80の長辺方向の両端部に、電力の供給を受けるためおよび各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φ1端子、φ2端子、φE端子、φW端子、φD端子、φI端子、Vga端子)を備えている。なお、これらの端子は、基板80の一端部からφE端子、φ1端子、Vga端子、φD端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φW端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、φD端子とφ2端子との間に設けられている。
さらに、発光チップCは、基板80の裏面に電位の基準が設定されるためのVsub端子(図示せず)を備えている。
【0021】
次に発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を説明する。
図5は、発光装置65の回路基板62上に設けられた信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を示した図である。なお、図5では、発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5の部分を示している。
前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110および発光チップ群#aの発光チップCa(発光チップCa1〜Ca32)および発光チップ群#bの発光チップCb(発光チップCb1〜Cb32)が搭載され、信号発生回路110と発光チップCaおよび発光チップCbとを相互に接続する配線が設けられている。
以下では、発光チップ群#aの発光チップCa(発光チップCa1〜Ca32)を発光チップ群#a、発光チップ群#bの発光チップCb(発光チップCb1〜Cb32)を発光チップ群#bと表記する。
そして、発光装置65は、図3において図示していないが、回路基板62上に、8個の発光チップC毎に設けられた切替手段の一例としてのスイッチトランジスタQa1〜Qa4、Qb1〜Qb4を備えている。図5では、スイッチトランジスタQa1とQb1とを表記している。
【0022】
なお、図5では、後述する電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4を発光チップ群#aと発光チップ群#bとの間に示したため、互いに向かい合って千鳥状に配列された発光チップ群#aと発光チップ群#bとの間に距離が設けられている。しかし、発光チップ群#aと発光チップ群#bとは、それらの間に距離を設けないで配列してもよい。
そして、スイッチトランジスタQa1〜Qa4、Qb1〜Qb4には、Si半導体による3端子能動素子の一例としてのnpn型のバイポーラトランジスタを用いたが、Si半導体によるpnp型のバイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタ(FET)などの能動素子および他の半導体による能動素子を用いてもよい。
【0023】
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110には、図示しないが、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。信号発生回路110は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや光量の補正等を行う。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに対して、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを送信する転送信号発生部120aと、発光チップ群#bに対して、第1転送信号φ1bと第2転送信号φ2bとを送信する転送信号発生部120bとを備えている。
【0024】
さらに、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに対して、許可信号φEaを送信する許可信号発生部130aと、発光チップ群#bに対して、許可信号φEbを送信する許可信号発生部130bとを備えている。
さらにまた、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに対して、点灯信号φIaを送信する点灯信号発生部140aと、発光チップ群#bに対して、点灯信号φIbを送信する点灯信号発生部140bとを備えている。
【0025】
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCaと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCbとを一つの組(発光チップ組)にして、発光チップ組毎に書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32を送信する書込信号供給手段の一例としての書込信号発生部150を備えている。
例えば、書込信号発生部150は、発光チップ群#aに属する発光チップCa1と発光チップ群#bに属する発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に対して、書込信号φW1および擬似書込信号φD1を送信する。発光チップ群#aに属する発光チップCa2と発光チップ群#bに属する発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に対して、書込信号φW2および擬似書込信号φD2を送信する。以下同様にして、発光チップ群#aに属する発光チップCa32と発光チップ群#bに属する発光チップCb32とが構成する発光チップ組#32に対して、書込信号φW32および擬似書込信号φD32を送信する。
ここでは、発光チップ組を組と表記することがある。
【0026】
さらに、信号発生回路110は、発光チップ群#aおよび#bに、基準となる基準電位Vsubを供給する基準電位供給手段の一例としての基準電位供給部160、発光チップCを駆動するための電力を供給する電源電位Vgaを供給する電源電位供給手段の一例としての電源電位供給部170を備えている。さらに加えて、信号発生回路110は、発光チップ群#aの発光チップCaの発光素子を点灯させるための点灯電位VIaを供給する点灯電位供給部180aと、発光チップ群#bの発光チップCbの発光素子を点灯させるための点灯電位VIbを供給する点灯電位供給部180bとを備えている。
なお、基準電位供給部160、電源電位供給部170、点灯電位供給部180a、点灯電位供給部180bは、信号発生回路110の外に設けられてもよい。
【0027】
なお、図5では、転送信号発生部120aと転送信号発生部120bとを分けて示したが、これらをまとめて転送信号供給手段の一例としての転送信号発生部120と呼ぶ。
同様に、許可信号発生部130aと許可信号発生部130bとを分けて示したが、これらをまとめて許可信号供給手段の一例としての許可信号発生部130と呼ぶ。
さらに同様に、点灯信号発生部140aと点灯信号発生部140bとを分けて示したが、これらをまとめて点灯信号供給手段の一例としての点灯信号発生部140と呼ぶ。
そして、点灯電位供給部180aと点灯電位供給部180bとを分けて示したが、これらをまとめて一つの点灯電位供給手段の一例としての点灯電位供給部180としてもよい。このとき、点灯電位供給部180は、点灯電位VI(VI=VIa=VIb)を供給する。
【0028】
同様に、第1転送信号φ1aと第1転送信号φ1bとを区別しない場合には第1転送信号φ1と呼び、第2転送信号φ2aと第2転送信号φ2bとを区別しない場合には第2転送信号φ2と呼ぶ。同様に、許可信号φEaと許可信号φEbとを区別しない場合には許可信号φEと、点灯信号φIaと点灯信号φIbとを区別しない場合には点灯信号φIと、書込信号φW1〜φW32をまとめて書込信号φWと、擬似書込信号φD1〜φD32をまとめて擬似書込信号φDと呼ぶ。
また、点灯電位VIaとVIbとを分けて示したが、点灯電位VIaとVIbとをそれぞれ区別しないときは点灯電位VIと呼ぶ。
【0029】
次に、信号発生回路110と発光チップ群#aおよび発光チップ群#bとを相互に接続する配線について説明する。
本実施の形態においては、後に詳述するように、複数の発光チップCを1つのブロック(発光チップブロック)とし、発光チップブロック毎に基準電位Vsubおよび点灯電位VIaまたはVIbが供給されるようになっている。ここでは例として、発光チップ群#aに属する発光チップCa1〜Ca32を8個の発光チップCa毎の4つの発光チップブロックに分け、発光チップCa1〜Ca8を発光チップブロックBa1、発光チップCa9〜Ca16を発光チップブロックBa2、発光チップCa17〜Ca24を発光チップブロックBa3、発光チップCa25〜Ca32を発光チップブロックBa4とする。同様に、発光チップ群#bに属する発光チップCb1〜Cb32を8個の発光チップCb毎の4つの発光チップブロックに分け、発光チップCb1〜Cb8を発光チップブロックBb1、発光チップCb9〜Cb16を発光チップブロックBb2、発光チップCb17〜Cb24を発光チップブロックBb3、発光チップCb25〜Cb32を発光チップブロックBb4とする。すなわち、本実施の形態の発光装置65は、8個の発光チップブロックBを有している。図5では発光チップブロックBa1およびBb1の部分を示している。
そして、各発光チップブロックBa1〜Ba4に対して、スイッチトランジスタQa1〜Qa4が、それぞれ番号が対応するように設けられ、各発光チップブロックBb1〜Bb4に対して、スイッチトランジスタQb1〜Qb4が、それぞれ番号が対応するように設けられている。
【0030】
なお、発光チップブロックBa1〜Ba4をそれぞれ区別しないときは発光チップブロックBaと、発光チップブロックBb1〜Bb4をそれぞれ区別しないときは発光チップブロックBbと表記し、さらに発光チップブロックBaとBbとを区別しないときは、発光チップブロックBと表記する。
同様に、スイッチトランジスタQa1〜Qa4をそれぞれ区別しないときはスイッチトランジスタQaと、スイッチトランジスタQb1〜Qb4をそれぞれ区別しないときはスイッチトランジスタQbと表記し、さらにスイッチトランジスタQaとQbとを区別しないときは、スイッチトランジスタQと表記する。
【0031】
そして、回路基板62には、各発光チップブロックBの発光チップCの基板80の裏面に設けられたVsub端子に、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給されるための電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4が設けられている。つまり、図5に示す発光チップブロックBa1の発光チップCa1〜Ca5(発光チップCa6〜Ca8は示していない。)には、電源ライン200a1が接続されている。同様に、発光チップブロックBb1の発光チップCb1〜Cb5(発光チップCb6〜Cb8は示していない。)には、電源ライン200b1が接続されている。図示しないが、発光チップブロックBa2には電源ライン200a2、発光チップブロックBa3には電源ライン200a3、発光チップブロックBa4には電源ライン200a4がそれぞれ接続されている。同様に、発光チップブロックBb2には電源ライン200b2、発光チップブロックBb3には電源ライン200b3、発光チップブロックBb4には電源ライン200b4がそれぞれ接続されている。
なお、電源ライン200a1〜200a4をそれぞれ区別しないときは電源ライン200aと表記し、電源ライン200b1〜200b4をそれぞれ区別しないときは電源ライン200bと表記し、電源ライン200aと200bとを区別しないときは電源ライン200と表記する。
【0032】
回路基板62には、電源電位供給部170から各発光チップCのVga端子に接続され、電源電位Vgaを与える電源ライン206が設けられている。
【0033】
また、回路基板62には、点灯電位供給部180aから発光チップブロックBa1〜Ba4のそれぞれに対応して設けられたnpn型のスイッチトランジスタQa1〜Qa4の第1の端子の一例としてのエミッタ端子に接続され、点灯電位VIaが供給される電源ライン207a1〜207a4が設けられている。なお、電源ライン207a1が発光チップブロックBa1のスイッチトランジスタQa1のエミッタ端子に接続されるように、符号の最後の2文字が同じものが対応するように接続されている。
同様に、回路基板62には、点灯電位供給部180bから各発光チップブロックBb1〜Bb4に対応して設けられたnpn型のスイッチトランジスタQb1〜Qb4のエミッタ端子に接続され、点灯電位VIbが供給される電源ライン207b1〜207b4が設けられている。なお、電源ライン207b1が発光チップブロックBb1のスイッチトランジスタQb1のエミッタ端子に接続されるように、符号の最後の2文字が同じものが対応するように接続されている。
電源ライン207a〜207a4をそれぞれ区別しないときは、電源ライン207aと表記する。同様に、電源ライン207b1〜207b4をそれぞれ区別しないときは、電源ライン207bと表記する。そして、電源ライン207aと207bとを区別しないときは、電源ライン207と表記する。
【0034】
回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120aから、発光チップ群#aの発光チップCaのφ1端子に、第1転送信号φ1aを送信するための第1転送信号ライン201a、および発光チップ群#aの発光チップCaのφ2端子に、第2転送信号φ2aを送信するための第2転送信号ライン202aが設けられている。第1転送信号φ1aおよび第2転送信号φ2aは、発光チップ群#aに共通(並列)に送信される。
同様に、回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120bから、発光チップ群#bの発光チップCbのφ1端子に、第1転送信号φ1bを送信するための第1転送信号ライン201b、および発光チップ群#bの発光チップCbのφ2端子に、第2転送信号φ2bを送信するための第2転送信号ライン202bが設けられている。第1転送信号φ1bおよび第2転送信号φ2bは、発光チップ群#bに共通(並列)に送信される。
第1転送信号ライン201aおよび201bを区別しないときは、第1転送信号ライン201と表記する。同様に、第2転送信号ライン202aおよび202bを区別しないときは、第2転送信号ライン202と表記する。
【0035】
そして、回路基板62には、信号発生回路110の許可信号発生部130aから、発光チップ群#aの発光チップCaのφE端子に、許可信号φEaを送信するための許可信号ライン203aが設けられている。許可信号φEaは、発光チップ群#aに共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の許可信号発生部130bから、発光チップ群#bの発光チップCbのφE端子に、許可信号φEbを送信するための許可信号ライン203bが設けられている。許可信号φEbは、発光チップ群#bに共通(並列)に送信される。
許可信号ライン203aおよび203bを区別しないときは、許可信号ライン203と表記する。
【0036】
さらに、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140aから、各発光チップブロックBa1、Ba2、Ba3、Ba4のそれぞれに設けられたスイッチトランジスタQa1、Qa2、Qa3、Qa4の制御端子の一例としてのベース端子に、それぞれ抵抗Rbを介して点灯信号φIaを送信するための点灯信号ライン204aが設けられている。点灯信号φIaは、スイッチトランジスタQa1、Qa2、Qa3、Qa4の各ベース端子に共通(並列)に送信される。
同様に、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140bから、各発光チップブロックBb1、Bb2、Bb3、Bb4のそれぞれに設けられたスイッチトランジスタQb1、Qb2、Qb3、Qb4のベース端子に、それぞれ抵抗Rbを介して点灯信号φIbを送信するための点灯信号ライン204bが設けられている。点灯信号φIbは、スイッチトランジスタQb1、Qb2、Qb3、Qb4の各ベース端子に共通(並列)に送信される。
点灯信号ライン204aと204bとを区別しないときは点灯信号ライン204と表記する。
【0037】
発光チップCのφI端子は、それぞれが電流制限抵抗Riを介して、発光チップブロックB毎に設けられたブロック電源ライン240a1〜240a4、240b1〜240b4に接続されている。例えば、発光チップブロックBa1に属する発光チップCのφI端子はそれぞれ電流制限抵抗Riを介してブロック電源ライン240a1に接続されている。
ブロック電源ライン240a1〜240a4をそれぞれ区別しないときは、ブロック電源ライン240a、ブロック電源ライン240b1〜240b4をそれぞれ区別しないときは、ブロック電源ライン240bと表記し、ブロック電源ライン240aと240bとを区別しないときはブロック電源ライン240と表記する。
すなわち、発光チップブロックBとブロック電源ライン240とは、符号の最後の2文字が同じものが対応するように接続されている。図5では、ブロック電源ライン240a1および240b1を示している。
【0038】
そして、各発光チップブロックBのスイッチトランジスタQの第2の端子の一例としてのコレクタ端子は、それぞれブロック電源ライン240a1〜240a4、240b1〜240b4に接続されている。例えば、発光チップブロックBa1のスイッチトランジスタQa1のコレクタ端子はブロック電源ライン240a1に接続されている。スイッチトランジスタQとブロック電源ライン240とは、符号の最後の2文字が同じものが対応するように接続されている。
【0039】
図5の発光チップブロックBa1に対応するスイッチトランジスタQa1に着目すると、スイッチトランジスタQa1のエミッタ端子は電源ライン207a1に接続され、コレクタ端子はブロック電源ライン240a1に接続されている。そして、ブロック電源ライン240a1は、発光チップブロックBa1の発光チップCa1〜Ca4(発光チップCa5はφI端子を示していない。また、発光チップCa6〜Ca8は示していない。)の各φI端子にそれぞれ電流制限抵抗Riを介して接続されている。
【0040】
さらにまた、回路基板62には、信号発生回路110の書込信号発生部150から、発光チップ群#aの一つの発光チップCaと発光チップ群#bの一つの発光チップCbとで構成される発光チップ組毎に書込信号φW1〜φW32を送信する書込信号ライン205−1〜205−32が設けられている。
例えば、書込信号ライン205−1は、発光チップ群#aの発光チップCa1のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb1のφW端子とに接続され、発光チップCa1と発光チップCb1とで構成する発光チップ組#1に対して書込信号φW1を送信する。書込信号ライン205−2は、発光チップ群#aの発光チップCa2のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb2のφW端子とに接続され、発光チップCa2と発光チップCb2とで構成する発光チップ組#2に対して書込信号φW2を送信する。以下同様にして、書込信号ライン205−32は、発光チップ群#aの発光チップCa32のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb32のφW端子とに接続され、発光チップCa32と発光チップCb32とで構成する発光チップ組#32に対して書込信号φW32を送信する。
なお、書込信号ライン205−1〜205−32を区別しないときは、書込信号ライン205と表記する。
【0041】
同様に、回路基板62には、信号発生回路110の書込信号発生部150から、発光チップ群#aの一つの発光チップCaと発光チップ群#bの一つの発光チップCbとで構成される発光チップ組毎に擬似書込信号φD1〜φD32を送信する擬似書込信号ライン208−1〜208−32が設けられている。
例えば、擬似書込信号ライン208−1は、発光チップ群#aの発光チップCa1のφD端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb1のφD端子とに接続され、発光チップCa1と発光チップCb1とで構成する発光チップ組#1に対して擬似書込信号φD1を送信する。擬似書込信号ライン208−2は、発光チップ群#aの発光チップCa2のφD端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb2のφD端子とに接続され、発光チップCa2と発光チップCb2とで構成する発光チップ組#2に対して擬似書込信号φD2を送信する。以下同様にして、擬似書込信号ライン208−32は、発光チップ群#aの発光チップCa32のφD端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb32のφD端子とに接続され、発光チップCa32と発光チップCb32とで構成する発光チップ組#32に対して擬似書込信号φD32を送信する。
なお、擬似書込信号ライン208−1〜208−32を区別しないときは、擬似書込信号ライン208と表記する。
【0042】
以上説明したように、回路基板62上のすべての発光チップCa1〜Ca32(発光チップ群#a)およびCb1〜Cb32(発光チップ群#b)に、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
そして、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEa、点灯信号φIaは、発光チップ群#aに対して共通(並列)に送信される。そして、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、許可信号φEb、点灯信号φIbは、発光チップ群#bに対して共通(並列)に送信される。
一方、書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとの構成する発光チップ組(発光チップ組#1〜#32)毎に共通(並列)に送信される。
【0043】
図6は、図5において、発光チップ群#a、発光チップ群#bに、基準電位Vsubを供給する電源ライン200(200a1〜200a4、200b1〜200b4)、点灯電位VIaまたはVIbを供給する電源ライン207(207a1〜207a4、207b1〜207b4)、点灯信号φIaおよびφIbを送信する点灯信号ライン204a、204bを取り出して示した図である。
【0044】
本実施の形態では、前述したように、64個の発光チップCが2つの発光チップ群(発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca32)および発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb32))に分けられている。そして、発光チップCは、それぞれの発光チップ群において、8個の発光チップC毎に4つの発光チップブロックBに分けられている。例えば、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca32)は、発光チップブロックBa1(発光チップCa1〜Ca8)、発光チップブロックBa2(発光チップCa9〜Ca16)、発光チップブロックBa3(発光チップCa17〜Ca24)、発光チップブロックBa4(発光チップCa25〜Ca32)に分けられている。そして、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb32)は、発光チップブロックBb1(発光チップCb1〜Cb8)、発光チップブロックBb2(発光チップCb9〜Cb16)、発光チップブロックBb3(発光チップCb17〜Cb24)、発光チップブロックBb4(発光チップCb25〜Cb32)に分けられている。
そして、発光チップブロックB毎にスイッチトランジスタQ(Qa1〜Qa4、Qb1〜Qb4)を備えている。
図6では、発光チップブロックBa1、Ba4、Bb1、Bb4を示している。
【0045】
発光チップブロックBを構成する8個の発光チップCのVsub端子は、その発光チップブロックBの電源ライン200に接続されている。
一方、発光チップブロックBを構成する8個の発光チップCのφI端子はそれぞれ電流制限抵抗Riを介して、ブロック電源ライン240(240a1〜240a4、240b1〜240b4)に接続されている。例えば、発光チップブロックBa1に属する発光チップCa1〜Ca8のφI端子は、それぞれ電流制限抵抗Riを介してブロック電源ライン240a1に接続されている。
そして、各ブロック電源ライン240は、それぞれの発光チップブロックのスイッチトランジスタQのコレクタ端子に接続されている。
【0046】
さらに、発光装置65は、図5では示さなかったが、発光チップブロックB毎に、ブロック電源ライン240と、基準電位Vsubを供給する電源ライン200との間に、電源線抵抗Rcを備えている。
【0047】
抵抗Raは、基準電位供給部160が基準電位Vsubを発光チップブロックB毎に供給する電源ライン200の寄生抵抗である。本実施の形態では、電源ライン200(200a1〜200a4、200b1〜200b4)は、それぞれの寄生抵抗である抵抗Raの抵抗値が等しくなるように設定されている。
なお、電源ライン200(200a1〜200a4、200b1〜200b4)において、抵抗Raの抵抗値は、例えば長い電源ライン200については幅を広くし、短い電源ライン200については幅を狭くするなどで等しくできる。
すなわち、本実施の形態では、基準電位Vsubを供給する電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4は、基準電位供給部160から発光チップブロックB毎に分けて設けられ、各電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4の抵抗値(寄生抵抗である抵抗Ra)が等しくなるように設けられている。
【0048】
抵抗Rkkは、点灯電位供給部180a(点灯電位VIa)または点灯電位供給部180b(点灯電位VIb)が点灯電位VIを供給する電源ライン207の寄生抵抗である。本実施の形態では、電源ライン207(207a1〜207a4、207b1〜207b4)は、それぞれの寄生抵抗である抵抗Rkkの抵抗値が同じになるように設定されている。
なお、抵抗Rkkの抵抗値は、例えば電源ライン207(207a1〜207a4、207b1〜207b4)において、例えば長い電源ライン207については幅を広くし、短い電源ライン207については幅を狭くするなどで等しくできる。
すなわち、本実施の形態では、点灯電位VIaを供給する電源ライン207a1〜207a4は、点灯電位供給部180aから発光チップブロックB毎に分けて設けられ、各電源ライン207a1〜207a4の抵抗値(寄生抵抗である抵抗Rkk)が等しくなるように設けられている。同様に、点灯電位VIbを供給する電源ライン207b1〜207b4は、点灯電位供給部180bから発光チップブロックB毎に分けて設けられ、各電源ライン207b1〜207b4の抵抗値(寄生抵抗である抵抗Rkk)が等しくなるように設けられている。
【0049】
本実施の形態では、電源ライン200、207の抵抗値(抵抗Ra、抵抗Rkk)が等しく設定されているので、電源ライン200、207の抵抗値の違いに起因にして発生する電位降下の差によって、発光素子に印加される電位が異なることがない。
【0050】
図7は、発光装置65の発光チップCをマトリクスの各要素として配置して示した図である。
図7では、発光チップ群#aの発光チップC(発光チップCa1〜Ca32)および発光チップ群#bの発光チップC(発光チップCb1〜Cb32)を2×32のマトリクスの各要素として配置し、上記した信号発生回路110と発光チップCとを相互に接続する信号(第1転送信号φ1a、φ1b、第2転送信号φ2a、φ2b、点灯信号φIa、φIb、許可信号φEa、φEb、書込信号φW1〜φW32、擬似書込信号φD1〜φD32)の配線ラインを示している。
なお、点灯信号φIa、φIbは、図5および図6に示したように、スイッチトランジスタQのベース端子に抵抗Rbを介して接続されているが、図7では、発光チップCに直接送信されるように表記した。点灯信号φIaが発光チップ群#aに、点灯信号φIbが発光チップ群#bに共通に送信されることを明らかにするためである。
【0051】
図7に示すように、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIa、許可信号φEaは、発光チップ群#aに対して共通に送信される。そして、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、点灯信号φIb、許可信号φEbは、発光チップ群#bに対して共通に送信されることが容易に理解できる。
一方、書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCaと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCbとの構成する発光チップ組#1〜#32のそれぞれに対して共通に送信されることが容易に理解できる。
なお、群をN個(Nは2以上の整数)とし、組をJ組(Jは2以上の整数)としてもよい。
【0052】
[発光チップC]
図8は、自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。
ここでは、信号発生回路110との関係を説明するため、発光チップCa1を例に、発光チップCを説明する。そこで、図8において、発光チップCを発光チップCa1(C)と表記する。他の発光チップCa2〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32の構成は、発光チップCa1と同じである。
なお、端子(φ1端子、φ2端子、φE端子、φW端子、φD端子、φI端子、Vga端子)の位置は、説明の便宜上、図中左端に示した。
【0053】
発光チップCa1(C)は、前述したように基板80上に列状に配列された発光素子の一例としての発光サイリスタL1、L2、L3、…を備える発光素子列の一例としての発光サイリスタ列を備えている。
さらに、発光チップCa1(C)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された転送素子の一例としての転送サイリスタT1、T2、T3、…を備える転送素子列の一例としての転送サイリスタ列および同様に列状に配列された書込素子の一例としての書込サイリスタM1、M2、M3、…を備える書込素子列の一例としての書込サイリスタ列を備えている。
ここでは、発光サイリスタL1、L2、L3、…をそれぞれ区別しないときは、発光サイリスタLと表記する。転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ区別しないときは、転送サイリスタTと、書込サイリスタM1、M2、M3、…をそれぞれ区別しないときは書込サイリスタMと表記する。
【0054】
なお、上記のサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT、書込サイリスタM)は、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
【0055】
また、発光チップCa1(C)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにしてそれぞれの間に結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…を備えている。そして、転送サイリスタT1、T2、T3、…と書込サイリスタM1、M2、M3、…との間に接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…を備えている。さらに、書込サイリスタM1、M2、M3、…と発光サイリスタL1、L2、L3、…との間に接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…を備えている。
さらに、発光チップCa1(C)は、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…、電源線抵抗Rgz1、Rgz2、Rgz3、…を備えている。
ここで、発光サイリスタLなどと同様に、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…、接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…、電源線抵抗Rgz1、Rgz2、Rgz3、…のそれぞれを区別しないときは、結合ダイオードDx、接続ダイオードDy、接続ダイオードDz、電源線抵抗Rgx、電源線抵抗Rgy、電源線抵抗Rgzと表記する。
【0056】
ここで、発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数は、予め定められた個数とすればよい。本実施の形態で、発光サイリスタLの数を例えば128個とすると、転送サイリスタT、書込サイリスタMのそれぞれの数も128個である。同様に、接続ダイオードDy、接続ダイオードDz、電源線抵抗Rgx、電源線抵抗Rgy、電源線抵抗Rgzの数も128個である。しかし、結合ダイオードDxの数は、転送サイリスタTの数より1個少ない127個である。
なお、転送サイリスタTおよび書込サイリスタMのそれぞれの数は、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
【0057】
そして、発光チップCa1(C)は、1個のスタートダイオードDx0を備えている。さらに、後述する第1転送信号φ1を送信する第1転送信号線72と第2転送信号φ2を送信する第2転送信号線73とに過剰な電流が流れるのを防止する、電流制限抵抗R1および電流制限抵抗R2を備えている。さらにまた、書込抵抗RWおよび許可抵抗REを備えている。
【0058】
そしてまた、発光チップCa1(C)は、発光サイリスタLが非点灯であるときに、点灯時に発光サイリスタLに流れる電流と等しい電流が流れる擬似電流部104を備えている。
なお、本実施の形態では、一例として、擬似電流部104は、擬似発光素子の一例としての擬似発光サイリスタLd、擬似書込素子の一例としての擬似書込サイリスタMd、擬似接続ダイオードDyd、擬似接続ダイオードDzd、電源線抵抗Rgyd、電源線抵抗Rgzdを備えている。さらにまた、擬似書込抵抗RWdおよび擬似許可抵抗REdを備えている。擬似発光サイリスタLdは、発光素子(発光サイリスタL)と等価な構造を有している。これにより、オン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流と、オン状態の発光サイリスタLに流れる電流との差を小さく(等しくなるように)している。また、擬似書込サイリスタMdは、書込素子(書込サイリスタM)と等価な構造を有している。
【0059】
なお、発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタ列の転送サイリスタT1、T2、T3、…、書込サイリスタ列の書込サイリスタM1、M2、M3、…は、図8中において、左側から番号順に配列されている。さらに、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…、接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…、電源線抵抗Rgz1、Rgz2、Rgz3、…も、同様に、図中左側から番号順に配列されている。
そして、発光サイリスタ列、転送サイリスタ列、書込サイリスタ列は、図8中上から、転送サイリスタ列、書込サイリスタ列、発光サイリスタ列の順に並べられている。
【0060】
では次に、発光チップCa1(C)における各素子の電気的な接続について説明する。
なお、後述する発光装置65の動作において、発光チップCa1に関連して発光チップCb1を説明するので、発光チップCb1についても触れる。
【0061】
転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLdのそれぞれのアノード端子は、発光チップCa1(C)の基板80に接続されている(アノードコモン)。そして、これらのアノード端子は、基板80裏面に設けられたVsub端子に接続されている。
発光チップCa1が属する発光チップブロックBa1では、Vsub端子は、電源ライン200a1(図5、図6参照)に接続され、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
一方、発光チップブロックBb1の発光チップCb1では、Vsub端子は、電源ライン200b1(図5、図6参照)に接続され、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
【0062】
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番目の転送サイリスタT1、T3、T5、…のカソード端子は、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して、φ1端子に接続されている。一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番目の転送サイリスタT2、T4、T6、…のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。
発光チップ群#aの発光チップCaのφ1端子は、第1転送信号ライン201a(図5参照)に接続され、第1転送信号φ1aが送信される。φ2端子は、第2転送信号ライン202a(図5参照)に接続され、第2転送信号φ2aが送信される。
発光チップ群#bの発光チップCbのφ1端子は、第1転送信号ライン201b(図5参照)に接続され、第1転送信号φ1bが送信される。φ2端子は、第2転送信号ライン202b(図5参照)に接続され、第2転送信号φ2bが送信される。
【0063】
書込サイリスタMのカソード端子は、書込信号線74に接続されている。そして、書込信号線74は、書込抵抗RWを介して、φW端子に接続されている。また、書込信号線74は、書込抵抗RWとの接続点から、許可抵抗REを介して、φE端子に接続されている。
発光チップ組#1に属する発光チップCa1およびCb1では、φW端子は、書込信号ライン205−1(図5参照)に接続され、書込信号φW1が送信される。発光チップCa1のφE端子は、許可信号ライン203a(図5参照)に接続され、許可信号φEaが送信される。一方、発光チップCb1のφE端子は、許可信号ライン203bに接続され、許可信号φEbが送信される(図5参照)。
【0064】
発光サイリスタLのカソード端子は、点灯信号線75に接続されている。そして、点灯信号線75は、φI端子に接続されている。φI端子は、電流制限抵抗Riを介して、発光チップブロックB毎に設けられたスイッチトランジスタQのコレクタ端子に接続されている。
発光チップCa1が属する発光チップブロックBa1では、各発光チップCa1〜Ca8のそれぞれのφI端子は、電流制限抵抗Riを介して、ブロック電源ライン240a1に接続されている。ブロック電源ライン240a1はスイッチトランジスタQa1のコレクタ端子に接続されている。一方、スイッチトランジスタQa1のエミッタ端子は、電源ライン207a1(図5、図6参照)に接続され、点灯電位供給部180aから点灯電位VIaが供給される。
発光チップCb1が属する発光チップブロックBb1では、各発光チップCb1〜Cb8のそれぞれのφI端子は、電流制限抵抗Riを介して、ブロック電源ライン240b1に接続されている。ブロック電源ライン240b1はスイッチトランジスタQb1のコレクタ端子に接続されている。一方、スイッチトランジスタQb1のエミッタ端子は、電源ライン207b1(図5、図6参照)に接続され、点灯電位供給部180bから点灯電位VIbが供給される。
なお、後述するように、点灯電位VIaおよびVIbは、それぞれ点灯信号φIaおよびφIbにしたがって供給される。よって、図8においては、発光チップCa1(C)のφI端子には、点灯信号φIaが送信されるとして表記している。
【0065】
図8において、発光チップCa1(C)の構成をさらに説明する。転送サイリスタTのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…は、同じ番号の書込サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に、1対1で、それぞれ接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…を介して接続されている。すなわち、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…のアノード端子は、転送サイリスタT1、T2、T3、…のゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…に接続され、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…のカソード端子は、書込サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に接続されている。
【0066】
一方、書込サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で、それぞれ接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…を介して接続されている。すなわち、接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…のアノード端子は、書込サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に接続され、接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…のカソード端子は、発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に接続されている。
【0067】
ここでも、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…、ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…、ゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…のそれぞれを区別しないときは、ゲート端子Gt、ゲート端子Gm、ゲート端子Glと表記する。
接続ダイオードDyは、転送サイリスタTのゲート端子Gtから、書込サイリスタMのゲート端子Gmに電流が流れる方向に接続されている。同様に、接続ダイオードDzは、書込サイリスタMのゲート端子Gmから、発光サイリスタLのゲート端子Glに電流が流れる方向に接続されている。
【0068】
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…を番号順に2個ずつペアとしたゲート端子Gt間に、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…はそれぞれがゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…で順に挟まれるように直列接続されている。そして、結合ダイオードDx1の向きは、ゲート端子Gt1からゲート端子Gt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードDx2、Dx3、Dx4、…についても同様である。
転送サイリスタTのゲート端子Gtは、転送サイリスタTのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgxを介して電源線71に接続されている。そして、電源線71はVga端子に接続されている。Vga端子は電源ライン206(図5参照)に接続されて、電源電位供給部170から電源電位Vgaが供給される。
書込サイリスタMのゲート端子Gmは、書込サイリスタMのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgyを介して電源線71に接続されている。
発光サイリスタLのゲート端子Glは、発光サイリスタLのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgzを介して電源線71に接続されている。
【0069】
そして、転送サイリスタ列の一端側の転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。一方、スタートダイオードDx0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。
【0070】
ここで、転送サイリスタT、結合ダイオードDxおよびスタートダイオードDx0は、転送部101を構成する。
発光サイリスタLおよび接続ダイオードDzは、発光部102を構成する。
書込サイリスタM、接続ダイオードDy、書込抵抗RW、許可抵抗REは設定部103を構成する。
【0071】
次に、擬似電流部104における各素子の電気的な接続について説明する。
擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmdは、擬似接続ダイオードDzdを介して擬似発光サイリスタLdのゲート端子Gldに接続されている。擬似接続ダイオードDzdはゲート端子Gmdからゲート端子Gldに電流が流れる方向に接続されている。
また、擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmdは、擬似接続ダイオードDydを介して基板80(Vsub端子)に接続されている。擬似接続ダイオードDydは基板80(Vsub端子)からゲート端子Gmdに電流が流れる方向に接続されている。
【0072】
擬似発光サイリスタLdのカソード端子は点灯信号線75に接続されている。
擬似書込サイリスタMdのカソード端子は擬似書込抵抗RWdを介してφD端子に接続されている。さらに、擬似書込サイリスタMdのカソード端子は擬似許可抵抗REdを介して、φE端子に接続されている。発光チップCa1では、φD端子は、擬似書込信号ライン208−1に接続され、書込信号発生部150から擬似書込信号φD1が送信される(図5参照)。
【0073】
擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmdは、電源線抵抗Rgydを介して電源線71に接続されている。同様に、擬似発光サイリスタLdのゲート端子Gldは、電源線抵抗Rgzdを介して電源線71に接続されている。
【0074】
本実施の形態では、オン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流が、オン状態の発光サイリスタLに流れる電流と等しくなるように、擬似発光サイリスタLdが設定されている(大きさなど)。ただし、擬似発光サイリスタLdがオン状態になっても、感光体ドラム12を露光しないように、擬似発光サイリスタLdは遮光されている。
【0075】
発光チップCは、公知の方法により、GaAsやGaAlAsなどの基板80上に化合物半導体のp型層およびn型層を積層することで構成される。
【0076】
[タイミングチャート]
次に、発光装置65の動作について説明する。
発光装置65は発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32と発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32とを備えている(図3、5、6、7参照)。
図5に示したように、回路基板62上のすべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)には、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32には、前述したように、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIa、許可信号φEaが共通(並列)に送信される。よって、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32は並行して駆動される。
同様に、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32には、前述したように、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、点灯信号φIb、許可信号φEbが共通(並列)に送信される。よって、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32は並行して駆動される。
【0077】
一方、書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32は、発光チップ群#aの一つの発光チップCaと発光チップ群#bの一つの発光チップCbとが構成する発光チップ組#1〜#32のそれぞれに対して共通に送信される。例えば、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とを発光チップ組#1として、書込信号φW1および擬似書込信号φD1が共通に送信される。また、32個の書込信号φW1〜φW32および32個の擬似書込信号φD1〜φD32は、並行して送信される。よって、発光チップ組#1〜#32は並行して駆動される。
なお、書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32のタイミングを発光チップ組の間でずらして送信してもよい。
【0078】
以上説明したように、発光装置65の動作は、発光チップ組#1に属する発光チップCa1およびCb1の動作を説明すれ足りる。
【0079】
図9は、発光装置65の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図9では、発光チップ組#1(発光チップCa1およびCb1)に加えて、発光チップ組#2(発光チップCa2およびCb2)の動作を説明するタイミングチャートも示している。
【0080】
図9のタイミングチャートは、それぞれの発光チップCにおいて、発光サイリスタL1〜L4の4個の発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御(点灯制御)する部分を示している。そして、発光チップ組#1の発光チップCa1では、発光サイリスタL1、L3、L4を点灯させ、発光サイリスタL2を非点灯としている。また、発光チップ組#1の発光チップCb1では、発光サイリスタL1、L4を点灯させ、発光サイリスタL2、L3を非点灯としている。発光チップ組#2の発光チップCa2では、発光サイリスタL2、L3を点灯させ、発光サイリスタL1、L4を非点灯としている。そして、発光チップ組#2の発光チップCb2では、発光サイリスタL1、L3、L4を点灯させ、発光サイリスタL2を非点灯としている。
以下では、発光チップCa1およびCb1の動作を中心に説明する。
【0081】
図9において、時刻aから時刻yへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光チップ群#aの発光チップCa1の発光サイリスタL1は、時刻cから時刻pの期間Ta(1)において点灯制御される。発光サイリスタL2は、時刻pから時刻uの期間Ta(2)において点灯制御される。発光サイリスタL3は、時刻uから時刻wの期間Ta(3)において点灯制御される。発光サイリスタL4は、時刻wから時刻yの期間Ta(4)において点灯制御される。以下、同様にして番号が5以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
一方、発光チップ群#bの発光チップCb1の発光サイリスタL1は、時刻iから時刻rの期間Tb(1)において点灯制御される。発光サイリスタL2は、時刻rから時刻vの期間Tb(2)において点灯制御される。発光サイリスタL3は、時刻vから時刻xの期間Tb(3)において点灯制御される。以下、同様にして番号が4以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
【0082】
本実施の形態では、期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…および期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと表記する。
そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…と、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32を制御する期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…とは、期間Tの半分の長さ、時間軸上でずれているとする。すなわち、期間Tb(1)は、期間Ta(1)が開始したのち、期間Tの半分の期間が経過したときに開始する。
したがって、以下では、発光チップ群#aの発光チップCa1を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…について説明する。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間Tの長さを可変としてもよい。
【0083】
期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…における信号波形は、画像データによって変化する書込信号φW(φW1〜φW32)および擬似書込信号φD(φD1〜φD32)を除いて、同じ波形の繰り返しである。
したがって、以下では、時刻cから時刻pまでの期間Ta(1)を説明する。なお、時刻aから時刻cまでの期間は、発光装置65が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
【0084】
第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEa、点灯信号φIaの、期間Ta(1)における信号波形について説明する。
第1転送信号φ1aは、時刻cでローレベルの電位(以下、「L」と記す。)であって、時刻nで「L」からハイレベルの電位(以下、「H」と記す。)に移行し、時刻pで「H」を維持している。
第2転送信号φ2aは、時刻cで「H」であって、時刻mで「H」から「L」に移行し、時刻pで「L」を維持している。
ここで、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを比較すると、期間Ta(1)における第1転送信号φ1aの波形が、期間Ta(2)における第2転送信号φ2aの波形になっている。そして、期間Ta(1)における第2転送信号φ2aの波形が、期間Ta(2)における第1転送信号φ1aの波形になっている。
すなわち、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとは期間Tの2倍の期間(2T)を単位として繰り返す信号波形である。そして、時刻mから時刻nまでの期間のように、共に「L」となる期間を挟んで、交互に「H」と「L」とを繰り返している。そして、時刻aから時刻bまでの期間を除いて、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とは、同時に「H」となる期間を有さない。
第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとの一組の転送信号により、図8に示した転送サイリスタTが、後述するように、順番にオン状態になって、点灯または非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLを指定する。
【0085】
許可信号φEaは、時刻cで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行し、時刻hで「L」から「H」に移行する。そして、時刻pで「H」を維持している。
許可信号φEaは、後述するように、点灯または非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLを点灯可能な状態に設定する。
【0086】
点灯信号φIaは、時刻cで、「L」から「H」に移行し、時刻oにおいて、「H」から「L」に移行する。そして、時刻pにおいて「L」から「H」に移行する。
点灯信号φIaは、後述するように発光サイリスタLに点灯(発光)のための電流の供給を制御する信号である。
【0087】
次に、発光チップ組#1に送信される書込信号φW1および擬似書込信号φD1と、発光チップ組#2に送信される書込信号φW2および擬似書込信号φD2との期間Ta(1)における信号波形について説明する。
発光チップ組#1に送信される書込信号φW1および擬似書込信号φD1について説明する。送信される書込信号φW1は、時刻cで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。さらに、時刻kで「H」から「L」に移行し、時刻lで「L」から「H」に移行する。すなわち、書込信号φW1は、期間Ta(1)において、「L」である期間が2つある(前の「L」の期間と後の「L」の期間)。
発光チップ組#1に送信される擬似書込信号φD1は、時刻cで「H」であって、時刻pにおいても「H」を維持する。
【0088】
発光チップ組#1に送信される書込信号φW1および擬似書込信号φD1と許可信号φEaとの関係を見ると、書込信号φW1の前の「L」の期間(時刻eから時刻f)は、許可信号φEaが「L」である時刻dから時刻hまでの期間に含まれる。書込信号φW1の後の「L」の期間(時刻kから時刻l)は、許可信号φEaが「H」である時刻hから時刻pの期間に含まれる。
一方、書込信号φW1と、許可信号φEaに対して期間Tの1/2の期間ずれて送信される許可信号φEbとの関係を見ると、書込信号φW1の前の「L」の期間(時刻eから時刻f)は、許可信号φEbが「H」である時刻cから時刻jまでの期間に含まれ、書込信号φW1の後の「L」の期間(時刻kから時刻l)は、許可信号φEbが「L」である時刻jから時刻oまでの期間に含まれる。すなわち、書込信号φW1の後の「L」の期間(時刻kから時刻l)は、期間Tb(1)における許可信号φEbが「L」である時刻jから時刻oまでの期間に含まれる。
【0089】
後述するように、期間Ta(1)において、書込信号φW1が最初に「L」となる期間(時刻eから時刻f)は、発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるための信号であって、書込信号φW1が後に「L」となる期間(時刻kから時刻l)は、発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるための信号である。
すなわち、書込信号φW1の前の「L」の期間(時刻eから時刻f)は、発光チップ群#aを点灯制御するものであって、発光チップ群#aを制御する期間Ta(1)において意味がある。一方、書込信号φW1の後の「L」の期間(時刻kから時刻l)は、発光チップ群#aを点灯制御するものであって、発光チップ群#bを制御する期間Tb(1)において意味がある。
【0090】
書込信号φW1および擬似書込信号φD1は、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とに共通に送信されるため、許可信号φEaと許可信号φEbが「L」となる期間のみ、働くようにしている。すなわち、許可信号φEaが「L」となる期間(時刻dから時刻h)は、書込信号φW1が発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「L」となる期間(時刻eから時刻f)に重なり、書込信号φW1が発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「L」となる期間(時刻kから時刻l)と重ならないように設定されている。同様に、許可信号φEbが「L」である期間(時刻jから時刻o)は、書込信号φW1が発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「L」となる期間(時刻eから時刻f)と重ならないように設定され、書込信号φW1が発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「L」となる期間(時刻kから時刻l)と重なるように設定されている。
なお、図9では許可信号φEが書込信号φWより先に「H」から「L」に移行するが、書込信号φWが許可信号φEより先に「H」から「L」に移行してもよい。
【0091】
次に、発光チップ組#2に送信される書込信号φW2および擬似書込信号φD2について説明する。
発光チップ組#2に送信される書込信号φW2は、時刻cで「H」であって、時刻kで「H」から「L」に移行し、時刻lで「L」から「H」に移行する。そして、時刻pで「H」を維持する。すなわち、書込信号φW1は、期間Ta(1)において、「L」である期間が1つある。
発光チップ組#2に送信される擬似書込信号φD2は、時刻cで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。時刻pで「H」を維持する。すなわち、擬似書込信号φD2は、期間Ta(1)において、「L」である期間が1つある。
【0092】
書込信号φW1、φW2および擬似書込信号φD1、φD2を比較すると、書込信号φW1が「L」になる期間(時刻eから時刻f)において、書込信号φW2は「L」とならず、擬似書込信号φD2が「L」になっている。
前述したように、発光チップ組#1では、発光チップCa1およびCb1では発光サイリスタL1を点灯としている。しかし、発光チップ組#2では、発光チップCa2の発光サイリスタL1を非点灯とし、発光チップCb2の発光サイリスタL1を点灯としている。
すなわち、本実施の形態では、発光サイリスタLを点灯とするときは、書込信号φWを「L」にするとともに、擬似書込信号φDを「H」にしている。そして、発光サイリスタLを非点灯とするときは、書込信号φWを「H」にするとともに、擬似書込信号φDを「L」にしている。
それぞれの発光チップ組に送信される書込信号φWと擬似書込信号φDとは、発光サイリスタLの点灯または非点灯に対応して、一方のみが「L」となる相補的な関係になっている。
なお、発光チップ組#2においても、書込信号φWまたは擬似書込信号φDが「L」になる期間と、許可信号φEaおよびφEbの「L」になる期間との関係は、発光チップ組#1について説明したと同様である。
【0093】
<サイリスタの動作>
発光チップCa1およびCb1の動作を説明する前に、サイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLd)の基本的な動作を説明する。サイリスタは、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
以下では、例として、図8に示したようにサイリスタのアノード端子であるVsub端子に供給される基準電位Vsubを0V(「H」)、Vga端子に供給される電源電位Vgaを−3.3V(「L」)とする。そして、サイリスタは、GaAs、GaAlAs等の化合物半導体によるp型半導体層、n型半導体層が相互に複数積層されて構成されているとし、pn接合の順方向電位(拡散電位)Vdを1.5Vとする。
【0094】
アノード端子とカソード端子との間に電流が流れていない状態(オフ状態)のサイリスタは、しきい電圧(負の電位)より低い電位(絶対値が大きい負の電位)がカソード端子に印加されるとオン状態に移行(ターンオン)する。サイリスタは、ターンオンすると、アノード端子とカソード端子との間に電流が流れた状態(オン状態)になる。ここで、サイリスタのしきい電圧は、ゲート端子の電位からpn接合の順方向電位Vdを引いた値である。よって、サイリスタのゲート端子の電位が−1.5Vであると、しきい電圧は−3.0Vとなる。すなわち、−3.0Vより低い電位がカソード端子に印加されると、サイリスタはターンオンする。
オン状態のサイリスタでは、ゲート端子の電位がサイリスタのアノード端子の電位に近い電位になる。ここでは、アノード端子を0V(「H」)に設定しているので、ゲート端子の電位は0V(「H」)になるとして説明する。また、オン状態のサイリスタのカソード端子は、アノード端子の電位からpn接合の順方向電位Vdを引いた電位に近い電位になる。ここでは、カソード端子の電位は−1.5Vになるとして説明する。
【0095】
サイリスタは、一度ターンオンすると、カソード端子の電位が、オン状態を維持するために必要な電位より高い電位(絶対値が小さい負の電位または0Vおよび正の電位)になるまで、オン状態を維持する。オン状態のサイリスタのカソード端子の電位は−1.5Vであるので、サイリスタは、カソード端子に−1.5Vより高い電位(>−1.5V)が印加されると、オフ状態に移行(ターンオフ)する。しかし、サイリスタは、カソード端子に−1.5Vより低い電位(≦−1.5V)が継続的に印加され、サイリスタのオン状態を維持しうる電流が供給されると、オン状態を維持する。
以上のことから、サイリスタは、オン状態になると電流が流れた状態を維持し、ゲート端子の電位の変化によってはオフ状態に移行しない。すなわち、サイリスタはオン状態を維持(記憶、保持)する機能を有している。
上述したように、サイリスタのオン状態を維持するためにカソード端子に印加し続ける電位(≦−1.5V)は、ゲート端子の電位が−1.5Vのサイリスタをターンオンさせるためにカソード端子に印加する電位(≦−3V)に比べて低くてよい。
なお、発光サイリスタLは、ターンオンすると点灯(発光)し、ターンオフすると消灯(非点灯)する。オン状態の発光サイリスタLの発光量は、カソード端子とアノード端子との間に流す電流によって決められる。
【0096】
<3入力AND回路AND1およびAND2の動作>
書込抵抗RWと許可抵抗REといずれか1個の書込サイリスタMと書込サイリスタMのゲート端子Gmに接続された接続ダイオードDyとで構成される3入力AND回路AND1および擬似書込サイリスタMd、擬似接続ダイオードDyd、擬似書込抵抗RWd、擬似許可抵抗REdで構成される3入力AND回路AND2について説明する。
まず、3入力AND回路AND1について、図8において一点鎖線で囲んで示す書込サイリスタM1、接続ダイオードDy1、書込抵抗RW、許可抵抗REで説明する。
【0097】
3入力AND回路AND1は、接続ダイオードDy1のアノード端子であるゲート端子Gt1(P)、許可抵抗REの一方の端子が接続されたφE端子(Z)、書込抵抗RWの一方の端子であるφW端子(S)を入力とし、書込サイリスタM1のゲート端子Gm1(O)を出力とする3入力AND回路AND1を構成する。
すなわち、ゲート端子Gt1(P)が「H」(0V)となると、ゲート端子Gt1(P)に順方向に電位が印加された(順バイアス)の接続ダイオードDy1により、ゲート端子Gm1(O)が−1.5Vになる。すると、書込サイリスタM1のしきい電圧は−3Vになる。
【0098】
このとき、φE端子(Z)およびφW端子(S)がともに「L」(−3.3V)であると、許可抵抗REを介してφE端子に接続され、書込抵抗RWを介してφW端子に接続された書込信号線74も「L」(−3.3V)になる。よって、書込サイリスタM1がターンオンする。すると、ゲート端子Gm1が「H」(0V)になる。
このとき、発光サイリスタL1のゲート端子Gl1は、順バイアスの接続ダイオードDz1を介してゲート端子Gm1に接続されているので、ゲート端子Gl1の電位は−1.5Vになる。これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vとなる。そして、点灯信号φIが「L」(−3.3V)であって、点灯信号線75が「L」(−3.3V)であると、発光サイリスタL1がターンオンして点灯(発光)する。
すなわち、3入力AND回路AND1の3つの入力である、Gt1(P)が「H」(0V)、φE端子(Z)とφW端子(S)とが「L」(−3.3V)になったとき、書込サイリスタM1がターンオンし、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vになる。そして、点灯信号線75が「L」(−3.3V)になると、発光サイリスタL1がターンオンする。
【0099】
Gt1(P)の電位は、「H」(0V)以外に、後述するように−1.5V、−3V、−3.3Vとなりうるが、いずれの場合も書込サイリスタM1のしきい電圧は−4.5Vより低く(絶対値が大きい負の値)なる。そのため、例え、書込信号線74が「L」(−3.3V)になっても、書込サイリスタM1はターンオンできない。
また、許可抵抗REの抵抗値REと書込抵抗RWの抵抗値RWとがRE=RWであるとする(以下、RE=RWとして説明する。)と、φE端子(Z)およびφW端子(S)の一方が「H」(0V)で他方が「L」(−3.3V)である場合には、書込信号線74の電位は、書込抵抗RWと許可抵抗REとで分圧された−1.65Vになる。よって、例え、Gt1(P)が「H」(0V)であって、書込サイリスタM1のしきい電圧が−3Vであっても、書込サイリスタM1はターンオンできない。
なお、φE端子(Z)およびφW端子(S)がともに「H」(0V)である場合には、書込信号線74の電位は「H」(0V)であるので、書込サイリスタM1のしきい電圧が−3Vであっても、書込サイリスタM1はターンオンできない。
書込サイリスタM1がオフ状態であると、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3Vにならないので、点灯信号線75が「L」(−3.3V)であっても、発光サイリスタL1はターンオンしない。
【0100】
書込サイリスタM1および接続ダイオードDy1以外の、書込サイリスタMおよび接続ダイオードDyの組み合わせにおいても同様である。
以上説明したように、書込抵抗RWと許可抵抗REといずれか1個の書込サイリスタMと書込サイリスタMのゲート端子Gmに接続された接続ダイオードDyとで構成される3入力AND回路AND1は、ANDの機能を有している。
【0101】
次に、擬似書込サイリスタMd、擬似接続ダイオードDyd、擬似書込抵抗RWd、擬似許可抵抗REdで構成される3入力AND回路AND2について説明する。3入力AND回路AND2についても、図8における擬似電流部104の中に、一点鎖線で囲んで示している。そして、3入力AND回路AND1のP、Z、S、Oと、3入力AND回路AND2のP´、Z´、S´、O´とが対応している。
なお、3入力AND回路AND2は、擬似接続ダイオードDydのアノード端子である基板80に接続されたVsub端子(P´)、擬似許可抵抗REdの一方の端子が接続されたφE端子(Z´)、擬似書込抵抗RWdの一方の端子であるφD端子(S´)を入力とし、擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmd(O´)を出力とする3入力AND回路AND2を構成する。なお、擬似許可抵抗REdの抵抗値REdと擬似書込抵抗RWdの抵抗値RWdとがREd=RWdであるとする(以下、REd=RWdとして説明する)。
入力の1つであるVsub端子(P´)は常に「H」(0V)となっている。このため、擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmd(O´)の電位は−1.5Vであって、擬似書込サイリスタMdのしきい電圧は−3Vになっている。
よって、φE端子(Z´)とφD端子(S´)とがともに「L」(−3.3V)であると、擬似書込サイリスタMdがターンオンして、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧を−3Vに設定する。そして、点灯信号線75が「L」(−3.3V)になると、擬似発光サイリスタLdがターンオンする。
なお、φE端子(Z´)とφD端子(S´)とがともに「H」(0V)である場合およびφE端子(Z´)とφD端子(S´)とのいずれか一方が「H」(0V)で他方が「L」(−3.3V)である場合には、前述した書込サイリスタM1と同様に、擬似書込サイリスタMdはターンオンしない。よって、これらの場合には、点灯信号線75が「L」(−3.3V)になっても、擬似発光サイリスタLdはターンオンしない。
以上説明したように、擬似書込サイリスタMd、擬似接続ダイオードDyd、擬似書込抵抗RWd、擬似許可抵抗REdで構成される3入力AND回路AND2は、ANDの機能を有している。
【0102】
では、図5、図6および図8を参照しつつ、図9に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65の動作を説明する。
なお、点灯電位VIa、VIbは、「L」(−3.3V)であるとする。
(1)時刻a(初期状態)
発光装置65に基準電位Vsubおよび電源電位Vgaの供給を開始した時刻aでの状態(初期状態)について説明する。
<発光装置65>
時刻aにおいて、基準電位供給部160は電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4を「H」(0V)の基準電位Vsubに設定する(図5、図6参照)。これにより、すべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のVsub端子は「H」に設定される(図8参照)。
電源電位供給部170は電源ライン206を「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに設定する(図5参照)。これにより、すべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のVga端子は「L」に設定される(図8参照)。
また、点灯電位供給部180aは電源ライン207a1〜207a4を「L」(−3.3V)の点灯電位VIaに設定する。すると、発光チップブロックBa1〜Ba4のスイッチトランジスタQa1〜Qa4のエミッタ端子が「L」(−3.3V)に設定される(図5、図6参照)。同様に、点灯電位供給部180bは電源ライン207b1〜207b4を「L」(−3.3V)の点灯電位VIbに設定する。発光チップブロックBb1〜Bb4のスイッチトランジスタQb1〜Qb4のエミッタ端子が「L」(−3.3V)に設定される(図5、図6参照)。
【0103】
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120aは第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2aをそれぞれ「H」に、転送信号発生部120bは第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2bをそれぞれ「H」に設定する。すると、第1転送信号ライン201a、201bおよび第2転送信号ライン202a、202bが「H」になる(図5参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72の電位も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ1端子に接続されている第2転送信号線73も「H」になる(図8参照)。
【0104】
さらに、信号発生回路110の許可信号発生部130aは許可信号φEaを「H」に、許可信号発生部130bは許可信号φEbを「H」に設定する。すると、許可信号ライン203a、203bが「H」になる(図5参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφE端子が「H」になる(図8参照)。
さらにまた、信号発生回路110の点灯信号発生部140aは点灯信号φIaを「L」(−3.3V)に、点灯信号発生部140bは点灯信号φIbを「L」に設定する。すると、点灯信号ライン204a、204bが「L」になる(図5、図6参照)。これにより、各発光チップブロックBa1〜Ba4のスイッチトランジスタQa1〜Qa4および各発光チップブロックBb1〜Bb4のスイッチトランジスタQb1〜Qb4のゲート端子の電位が「L」になる(図5、図6参照)。
スイッチトランジスタQa1〜Qa4、Qb1〜Qb4は、エミッタ端子が「L」(−3.3V)で、ベース端子も「L」(−3.3V)となるので、すべてオフ状態である。
【0105】
一方、各スイッチトランジスタQのコレクタ端子は、発光チップブロックB毎に設けられた電源線抵抗Rcを介して、「H」(0V)のVsub電位が供給された電源ライン200に接続されている。よって、発光チップブロックB毎に設けられたスイッチトランジスタQのコレクタ端子は「H」(0V)になっている。スイッチトランジスタQのコレクタ端子は、電流制限抵抗Riを介して発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφI端子に接続されている。よって、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφI端子は「H」(0V)になっている(図5、6参照)。
【0106】
信号発生回路110の書込信号発生部150は書込信号φW1〜φW32を「H」に設定する。すると、書込信号ライン205−1〜205−32が「H」になる(図5参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφW端子が「H」になる(図8参照)。
発光チップCのφW端子は、書込抵抗RWを介して書込信号線74に接続されている。発光チップCのφE端子は、許可抵抗REを介して書込信号線74に接続されている。発光チップCのφW端子およびφE端子はともに「H」に設定されているので、書込信号線74も「H」になる(図8参照)。
【0107】
信号発生回路110の書込信号発生部150は擬似書込信号φD1〜φD32を「H」に設定する。すると、擬似書込信号ライン208−1〜208−32が「H」になる(図5参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφD端子が「H」になる(図8参照)。
【0108】
次に、図8を参照しつつ、図9に示したタイミングチャートにしたがって、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)の動作を、発光チップ組#1に属する発光チップCa1と発光チップCb1と、発光チップ組#2に属する発光チップCa2と発光チップCb2とで説明する。発光チップCa1と発光チップCa2とは並行して動作する。また、発光チップCb1と発光チップCb2とは並行して動作する。
なお、図9および以下における説明では、各端子の電位がステップ状に変化するとしているが、各端子の電位は徐々に変化している。よって、電位変化の間であっても、下記に示す条件が満たされれば、サイリスタは、ターンオンおよびターンオフなどの状態の変化を生じる。
【0109】
<発光チップCa1、Cb1、Ca2、Cb2>
以下の説明は、断らない限り、<>内に表記した発光チップCに共通である。他の時刻における説明でも同様である。
転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLdのアノード端子はVsub端子に接続されているので、「H」(0V)に設定される。
一方、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、転送サイリスタTはオフ状態にある。
【0110】
同様に、書込サイリスタMのカソード端子は、書込信号線74に接続され、前述したように、「H」に設定されている。よって、書込サイリスタMのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、書込サイリスタMはオフ状態にある。
さらに、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdのカソード端子は、点灯信号線75に接続され、「H」に設定されている。よって、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdはオフ状態にある。
【0111】
擬似書込サイリスタMdのカソード端子は、擬似書込抵抗RWdを介してφD端子に接続されるとともに、擬似許可抵抗REdを介してφE端子に接続されている。前述したように、φE端子およびD端子は「H」である。よって、擬似書込サイリスタMdのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、擬似書込サイリスタMdはオフ状態にある。
【0112】
転送サイリスタTのゲート端子Gtは、電源線抵抗Rgxを介して電源線71に接続されている。電源線71は「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに設定されている。よって、後述するゲート端子Gt1およびGt2を除いて、ゲート端子Gtの電位は「L」になっている。
そして、書込サイリスタMのゲート端子Gmは、電源線抵抗Rgyを介して電源線71に接続されている。よって、後述するゲート端子Gm1を除いて、ゲート端子Gmの電位は「L」になっている。
さらに、発光サイリスタLのゲート端子Glは、電源線抵抗Rgzを介して電源線71に接続されている。よって、ゲート端子Glの電位は「L」になっている。
以上のことから、後述する転送サイリスタT1、T2、書込サイリスタM1を除いて、転送サイリスタT、書込サイリスタMおよび発光サイリスタLのしきい電圧はそれぞれのゲート端子Gt、Gm、Glの電位(「L」(−3.3V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−4.8V)となっている。
【0113】
図8中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、前述したように、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。そして、スタートダイオードDx0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。第2転送信号線73は「H」に設定されている。一方、ゲート端子Gt1は電源線抵抗Rgx1を介して電源電位Vga(「L」(−3.3V))に接続されている。すると、スタートダイオードDx0は、そのカソード端子が「L」でそのアノード端子が「H」となって、順方向に電圧が印加(順バイアス)された状態になる。これにより、スタートダイオードDx0には電流が流れ、カソード端子(ゲート端子Gt1)は、スタートダイオードDx0のアノード端子の「H」(0V)からスタートダイオードDx0のpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になる。よって、転送サイリスタT1のしきい電圧は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vとなる。
【0114】
そして、転送サイリスタT1に隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1に、スタートダイオードDx0と同様に、順バイアスになる結合ダイオードDx1を介して接続されている。転送サイリスタT2のゲート端子Gt2の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から結合ダイオードDx1のpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。よって、転送サイリスタT2のしきい電圧は−4.5Vになる。
なお、番号が3以上の転送サイリスタTには、ゲート端子Gt1の電位が−1.5Vになった影響は及ばず、前述したように、番号が3以上の転送サイリスタTのしきい電圧は−4.8Vである。
【0115】
一方、書込サイリスタM1のゲート端子Gm1はゲート端子Gt1に接続ダイオードDy1を介して接続されているため、書込サイリスタM1のゲート端子Gm1の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から接続ダイオードDy1のpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。よって、書込サイリスタM1のしきい電圧は−4.5Vになる。
なお、番号が2以上の書込サイリスタMおよびすべての発光サイリスタLには、ゲート端子Gt1の電位が−1.5Vになった影響は及ばず、前述したように、番号が2以上の書込サイリスタMおよびすべての発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vである。
【0116】
擬似電流部104の擬似書込サイリスタMdは、前述したように、ゲート端子Gmdが−1.5Vであるので、しきい電圧が−3Vとなっている。また、擬似発光サイリスタLdのゲート端子Gldは−3Vであるので、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧は−4.5Vとなっている。
【0117】
(2)時刻b
図9に示す時刻bにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65は動作状態に入る。
<発光チップCa1、Ca2>
第1転送信号φ1aが「H」から「L」に移行すると、φ1端子および電流制限抵抗R1を介して第1転送信号線72が「H」から「L」になる。すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。そして、ゲート端子Gt1の電位は、アノード端子の「H」(0V)になる。さらに、転送サイリスタT1のカソード端子(図8の第1転送信号線72)の電位は、転送サイリスタT1のアノード端子の「H」(0V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。しかし、転送サイリスタT3以降の番号の大きい奇数番目の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。一方、しきい電圧が−4.5Vである転送サイリスタT2は、第2転送信号φ2aが「H」(0V)であるので、ターンオンできない。
【0118】
ゲート端子Gt1の電位が「H」(0V)になると、順バイアスの結合ダイオードDx1のカソード端子(ゲート端子Gt2)の電位は、ゲート端子Gt1の「H」(0V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。これにより、転送サイリスタT2のしきい電圧は−3Vになる。
ゲート端子Gt2に順バイアスの結合ダイオードDx2を介して接続されたゲート端子Gt3の電位は−3Vになる。これにより、転送サイリスタT3のしきい電圧は−4.5Vになる。番号が4以上の転送サイリスタTは、ゲート端子Gtの電位が「L」の電源電位Vgaで、しきい電圧は−4.8Vが維持される。
【0119】
一方、転送サイリスタT1がターンオンして、接続ダイオードDy1のアノード端子(ゲート端子Gt1)の電位が「H」(0V)となる。すると、順バイアスの接続ダイオードDy1のカソード端子(ゲート端子Gm1)の電位は、アノード端子(ゲート端子Gt1)の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。これにより、書込サイリスタM1のしきい電圧は−3Vになる。
なお、書込サイリスタM2のゲート端子Gm2の電位は−3Vになるので、書込サイリスタM2のしきい電圧は−4.5Vになる。番号が3以上の書込サイリスタMは、しきい電圧−4.8Vが維持される。
しかし、書込信号線74は「H」であるので、いずれの書込サイリスタMもオン状態に移行しない。
【0120】
接続ダイオードDy1のカソード端子(ゲート端子Gm1)は接続ダイオードDz1のアノード端子(ゲート端子Gm1)である。よって、接続ダイオードDz1のアノード端子(ゲート端子Gm1)の電位が−1.5Vになる。順バイアスの接続ダイオードDz1のカソード端子(ゲート端子Gl1)の電位は、そのアノード端子(ゲート端子Gm1)の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.5Vになる。
一方、ゲート端子Gm2の電位が−3Vになっても、発光サイリスタL2はしきい電圧−4.8Vが維持される。番号が3以上の発光サイリスタLも、しきい電圧−4.8Vが維持される。
そして、点灯信号線75が「H」であるので、すべての発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdはターンオンしない。
また、φE端子およびφD端子の電位は「H」であるので、擬似書込サイリスタMdもオフ状態を維持する。
【0121】
すなわち、時刻bにおいて、ターンオンするのは転送サイリスタT1である。そして、時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後、定常状態になったときをいう。他の時刻においても同様とする。)において、転送サイリスタT1がオン状態にある。他の転送サイリスタT、すべての書込サイリスタM、すべての発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLdはオフ状態にある。
なお、以下では、オン状態にあるサイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLd)を説明し、オフ状態にあるサイリスタの説明を省略する。
【0122】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップCb1、Cb2が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1、Cb2は初期状態が維持されている。
【0123】
以上説明したように、サイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL)のゲート端子(ゲート端子Gt、Gm、Gl)はダイオード(結合ダイオードDx、接続ダイオードDy、Dz)によって相互に接続されている。よって、ゲート端子の電位が変化すると、電位が変化したゲート端子に、順バイアスのダイオードを介して接続されたゲート端子の電位が変化する。そして、そのゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧が変化する。
【0124】
つまり、電位が「H」(0V)になったゲート端子と順バイアスのダイオード1個で接続されたゲート端子の電位は−1.5Vになり、そのゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−3Vになる。このしきい電圧は「L」(−3.3V)より高い(絶対値が小さい負の値)ので、カソード端子の電位が「L」(−3.3V)になると、サイリスタがターンオンする。
一方、電位が「H」(0V)になったゲート端子と、順バイアスのダイオード2個で接続されたゲート端子の電位は−3Vになり、そのゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−4.5Vになる。このしきい電圧は「L」(−3.3V)より低いため、カソード端子の電位が「L」(−3.3V)になっても、サイリスタはターンオンできず、オフ状態を維持する。
【0125】
(3)時刻c
時刻cにおいて、発光チップ群#aに属する発光チップブロックBa1〜Ba4のスイッチトランジスタQa1〜Qa4のベース端子に送信される点灯信号φIaが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光装置65>
発光チップ群#aの発光チップブロックBa1〜Ba4のnpn型のスイッチトランジスタQa1〜Qa4のエミッタ端子は、「L」(−3.3V)の電源ライン207a1〜207a4に接続されている(図5参照)。そこで、ベース端子の電位が「L」から「H」に移行すると、エミッタ端子とベース端子との間が順バイアスになって、スイッチトランジスタQa1〜Qa4がオンになる。そして、スイッチトランジスタQa1〜Qa4のコレクタ端子の電位が、「H」からエミッタ端子の電位である「L」に移行する(図5、図6参照)。なお、後述するように、スイッチトランジスタQa1〜Qa4は電位降下を生じるが、ここでは電位降下の影響を無視する。これにより、ブロック電源ライン240a1〜240a4の電位が、「L」になる。そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32のφI端子が電流制限抵抗Riを介して「L」になって、点灯信号線75の電位が「L」になる。
【0126】
<発光チップCa1、Ca2>
点灯信号線75が「L」(−3.3V)になっても、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.5V、番号が2以上の発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vであるので、いずれの発光サイリスタLもターンオンしない。また、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧は−4.5Vであるので、擬似発光サイリスタLdもターンオンしない。
時刻cの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、初期状態が維持されている。
【0127】
(4)時刻d
時刻dにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1、Ca2>
許可信号φEaが「H」から「L」に移行すると、φE端子の電位が「H」から「L」になる。書込信号φW1は「H」である。よって、書込信号線74は、φE端子とφW端子と間の電位差が、許可抵抗REと書込抵抗RWとで分圧された電位となる。許可抵抗REの抵抗値REと書込抵抗RWの抵抗値RWとはRE=RWであるとしているので、書込信号線74の電位は−1.65Vとなる。
このとき、書込サイリスタM1はしきい電圧が−3V、書込サイリスタM2はしきい電圧が−4.5V、番号が3以上の書込サイリスタMはしきい電圧が−4.8Vであるので、いずれの書込サイリスタMもターンオンできない。
また、擬似電流部104において、φE端子は「H」から「L」(−3.3V)になるが、φD端子は「H」である。擬似許可抵抗REdの抵抗値REdと擬似書込抵抗RWdの抵抗値RWdとはREd=RWdであるとしているので、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位は−1.65Vである。よって、しきい電圧が−3Vの擬似書込サイリスタMdはターンオンできない。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
【0128】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、初期状態が維持されている。
【0129】
(5)時刻e
時刻eにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、擬似書込信号φD1は、「H」を維持している。
一方、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2は、「H」を維持している。しかし、擬似書込信号φD2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、φW端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻dにおいて「H」から「L」になっている。よって、φW端子およびφE端子の電位がともに「L」になるので、書込信号線74の電位は−1.65Vから「L」(−3.3V)になる。
すると、しきい電圧が−3Vである書込サイリスタM1がターンオンする。そして、ゲート端子Gm1の電位が「H」(0V)になって、カソード端子(図8の書込信号線74)は、−3.3Vから−1.5Vになる。書込サイリスタM2は、しきい電圧が−4.5V、番号が3以上の書込サイリスタMは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。
【0130】
書込サイリスタM1のゲート端子Gm1が「H」(0V)になると、順バイアスの接続ダイオードDz1のカソード端子(ゲート端子Gl1)が−1.5Vになり、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vになる。
なお、番号が2以上の発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vが維持されている。
【0131】
点灯信号線75の電位は、時刻cにおいて「H」(0V)から「L」(−3.3V)になっている。よって、書込信号φW1が「H」から「L」へ移行するタイミングにおいて、発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。そして、点灯信号線75の電位が−1.5Vになる。なお、番号が2以上の発光サイリスタLはしきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」、φE端子の電位は「L」(−3.3V)であるので、擬似書込サイリスタMdはターンオンできない。
よって、時刻eの直後においては、転送サイリスタT1、書込サイリスタM1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0132】
<発光チップCa2>
擬似書込信号φD1が「H」から「L」に移行すると、φD端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻dにおいて「H」から「L」になっている。よって、φD端子およびφE端子の電位がともに「L」になるので、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位が「L」(−3.3V)になる。よって、しきい電圧が−3Vである擬似書込サイリスタMdがターンオンする。すると、擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmdの電位が「H」(0V)になる。そして、順バイアスの擬似接続ダイオードDzdのカソード端子(ゲート端子Gld)が−1.5Vになり、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧が−3Vになる。
点灯信号線75の電位は、時刻cにおいて「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行している。よって、擬似書込信号φD1が「H」から「L」へ移行するタイミングにおいて、擬似発光サイリスタLdがターンオンして、オン状態になる。そして、点灯信号線75の電位が−1.5Vになる。
なお、φE端子の電位は「L」であるが、書込信号φW1は「H」を維持しているのでφW端子の電位は「H」であるため、書込信号線74の電位は−1.65Vとなっている。よって、いずれの書込サイリスタMもターンオンできない。
時刻eの直後においては、転送サイリスタT1、擬似書込サイリスタMdおよび擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0133】
すなわち、時刻eにおいて、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態に、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態になっている。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、並行して動作する発光チップCa1および発光チップCa2のφI端子には等しい電流が流れている。
【0134】
<発光チップCb1、Cb2>
書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行し、φW端子の電位が「H」から「L」になるが、許可信号φEbは「H」を維持しているので、φE端子の電位は「H」である。RE=RWであるので、書込信号線74の電位は−1.65Vになる。
このとき、書込サイリスタM1はしきい電圧が−4.5V、番号が2以上の書込サイリスタMはしきい電圧が−4.8Vである。よって、いずれの書込サイリスタMもターンオンできない。
擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子およびφE端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはターンオンできない。
【0135】
(6)時刻f
時刻fにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。なお、擬似書込信号φD1は、「H」を維持している。
一方、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2は、「H」を維持している。しかし、擬似書込信号φD2が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「L」から「H」に移行すると、φW端子の電位が「L」から「H」になる。φWが「H」で、φE端子の電位は「L」である。
書込サイリスタM1はオン状態になっている。書込サイリスタM1のオン状態を維持するためには、書込信号線74の電位が−1.5Vより低ければよい。書込信号線74の電位は−1.5Vより低い−1.65Vにまでなりうるので、書込サイリスタM1は引き続きオン状態を維持する。そして、書込信号線74の電位は、オン状態の書込サイリスタM1により−1.5Vを維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にある。よって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)であるので、発光サイリスタL1はオン状態を維持して、点灯(発光)を継続している。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。φD端子の電位が「H」であって、φE端子の電位が「L」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
時刻fの直後においては、転送サイリスタT1、書込サイリスタM1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0136】
<発光チップCa2>
擬似書込信号φD1が「L」から「H」に移行すると、φD端子の電位が「L」から「H」になる。φE端子の電位は「L」である。
オン状態の擬似書込サイリスタMdのオン状態を維持するためには、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位が−1.5Vより低ければよい。擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位は−1.5Vより低い−1.65Vにまでなりうるので、擬似書込サイリスタMdは引き続きオン状態を維持する。そして、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位は−1.5Vを維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)であるので、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持する。
なお、書込信号φW1は「H」であるので、φW端子の電位は「H」である。φE端子の電位は「L」であるので、書込信号線74の電位は−1.65Vである。よって、いずれの書込サイリスタMもターンオンできない。
時刻fの直後においては、転送サイリスタT1、擬似書込サイリスタMdおよび擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0137】
すなわち、時刻fにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態に、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態になっている。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0138】
<発光チップCb1、Cb2>
書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行し、φW端子の電位が「L」から「H」になる。よって、φE端子およびφW端子の電位がともに「H」になるので、書込信号線74の電位が−1.65Vから「H」(0V)に戻る。
また、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
【0139】
(7)時刻g
時刻gにおいて、発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1、Ca2>
発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻fの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップCb1、Cb2の動作は、時刻bにおける発光チップCa1、Ca2の動作と同様である。すなわち、転送サイリスタT1がターンオンする。これにより、第1転送信号線72の電位が−1.5Vになる。さらに、転送サイリスタT2のしきい電圧が−3V、書込サイリスタM1のしきい電圧が−3Vになる。
つまり、発光チップCb1、Cb2は、発光チップCa1、Ca2の動作を期間Tの1/2にあたる期間、時間軸上で遅れたタイミングで動作している。
【0140】
(8)時刻h
時刻hにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
許可信号φEaが「L」から「H」に移行すると、φE端子の電位が「L」から「H」になる。φW端子の電位は、時刻fにおいて、「L」から「H」になっている。よって、φE端子およびφW端子の電位がともに「H」になるので、書込信号線74の電位が「H」になる。すると、オン状態にあった書込サイリスタM1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。これにより、ゲート端子Gm1の電位が−1.5Vに戻り、書込サイリスタM1のしきい電圧が−3Vになる。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)である。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持して、点灯(発光)を継続している。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持している。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」になって、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
時刻hの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0141】
<発光チップCa2>
許可信号φEaが「L」から「H」に移行すると、φE端子の電位が「L」から「H」になる。φD端子の電位は、時刻fにおいて、「L」から「H」になっている。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」になって、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位が「H」になる。すると、オン状態にあった擬似書込サイリスタMdは、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。これにより、ゲート端子Gmdの電位が−1.5Vに戻り、擬似書込サイリスタMdのしきい電圧が−3Vになる。
一方、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)である。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
なお、書込信号φW1は「H」を維持しているので、φE端子およびφW端子の電位がともに「H」になって、書込信号線74の電位は「H」になる。よって、すべての書込サイリスタMはオフ状態を維持する。
時刻hの直後においては、転送サイリスタT1および擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0142】
すなわち、時刻hにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態に、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態になっている。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0143】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻gの直後の状態が維持される。
【0144】
(9)時刻i
時刻iにおいて、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光装置65>
時刻cにおけると同様であるので、説明を省略する。
<発光チップCa1、Ca2>
発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻hの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップCb1、Cb2の動作は、時刻cにおける発光チップCa1、Ca2の動作と同様であるので、説明を省略する。
時刻iの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にある。
【0145】
(10)時刻j
時刻jにおいて、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1、Ca2>
発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻hの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップCb1、Cb2の動作は、時刻dにおける発光チップCa1、Ca2の動作と同様であるので、詳細な説明を省略する。
RE=RWとしているので、時刻jにおいて、書込信号線74の電位が−1.65Vとなる。
時刻jの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にある。
【0146】
(11)時刻k
時刻kにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、擬似書込信号φD1は、「H」を維持している。
一方、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、擬似書込信号φD2は、「H」を維持している。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、φW端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻hにおいて「H」になっている。よって、書込信号線74の電位は−1.65Vになる。
しかし、書込サイリスタM1はしきい電圧が−3V、番号が2以上の書込サイリスタMはしきい電圧が−4.8Vであるので、いずれの書込サイリスタMもターンオンしない。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)である。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持して、点灯(発光)を継続している。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0147】
<発光チップCa2>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、φW端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻hにおいて「H」になっている。よって、φE端子の電位が「H」、φW端子の電位が「L」であるので、書込信号線74の電位は「H」から−1.65Vになる。
しかし、書込サイリスタM1はしきい電圧が−3V、番号が2以上の書込サイリスタMはしきい電圧が−4.8Vであるので、いずれの書込サイリスタMもターンオンしない。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT1および擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0148】
すなわち、時刻kにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態に、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態になっている。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0149】
<発光チップCb1、Cb2>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、φW端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻jにおいて「L」になっている。よって、φE端子およびφW端子の電位がともに「L」になって、書込信号線74の電位は−1.65Vから「L」(−3.3V)になる。すると、しきい電圧が−3Vの書込サイリスタM1がターンオンする。そして、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vになる。
点灯信号φIbが時刻iで「H」になっているので、スイッチトランジスタQbがオン状態にあって、ブロック電源ライン240bが「L」(−3.3V)になっている。よって、発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。
一方、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子の電位が「L」、φD端子の電位が「H」になって、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位は「H」から−1.65Vになる。しかし、しきい電圧が−3Vの擬似書込サイリスタMdはターンオンできない。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT1、書込サイリスタM1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で、点灯(発光)している。
【0150】
すなわち、発光チップCb1およびCb2のそれぞれの発光サイリスタL1が点灯(発光)している。オン状態の発光サイリスタLに流れる電流は等しいので、発光チップCb1および発光チップCb2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0151】
(12)時刻l
時刻lにおいて発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。なお、擬似書込信号φD1は、「H」を維持している。
一方、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2が、「L」から「H」に移行する。なお、擬似書込信号φD2は、「H」を維持している。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「L」から「H」に移行すると、φW端子の電位が「L」から「H」になる。φE端子の電位は「H」であるので、書込信号線74の電位は−1.65Vから「H」(0V)になる。よって、いずれの書込サイリスタMもオフ状態を維持する。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻lの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態にあって点灯(発光)している
【0152】
<発光チップCa2>
書込信号φW1が「L」から「H」に移行すると、φW端子の電位が「L」から「H」になる。φE端子の電位は「H」であるので、書込信号線74の電位は−1.65Vから「H」(0V)になる。よって、いずれの書込サイリスタMもオフ状態を維持する。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
時刻lの直後においては、転送サイリスタT1および擬似発光サイリスタLdがオン状態にある
【0153】
すなわち、時刻lにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態にあり、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0154】
<発光チップCb1、Cb2>
時刻fにおける発光チップCa1の動作と同様に、書込信号線74の電位は、オン状態の書込サイリスタM1のカソード端子の電位(−1.5V)より低い−1.65Vにまでなりうるので、書込サイリスタM1は引き続きオン状態を維持する。そして、書込信号線74の電位は、オン状態の書込サイリスタM1により−1.5Vを維持する。
また、点灯信号φIbが「H」であるので、スイッチトランジスタQbがオン状態にあって、ブロック電源ライン240bが「L」(−3.3V)を維持している。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻lの直後においては、転送サイリスタT1、書込サイリスタM1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0155】
すなわち、この状態では、発光チップCb1およびCb2の発光サイリスタL1が点灯(発光)している。オン状態の発光サイリスタLに流れる電流は等しいので、発光チップCb1および発光チップCb2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0156】
(13)時刻m
時刻mにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
第2転送信号φ2aが「H」から「L」に移行すると、φ2端子および電流制限抵抗R2を介して第2転送信号線73の電位が「H」から「L」になる。すると、しきい電圧が−3Vとなっていた転送サイリスタT2がターンオンする。そして、ゲート端子Gt2は「H」(0V)になる。また、カソード端子(図8の第2転送信号線73)の電位が−1.5Vになる。転送サイリスタT4以降の番号の大きい偶数番目の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。
【0157】
これにより、時刻bで説明したと同様に、転送サイリスタT3のしきい電圧が−3Vになり、書込サイリスタM2のしきい電圧が−3Vになる。しかし、書込信号線74の電位は「H」であるので、書込サイリスタM2はターンオンできない。さらに、ゲート端子Gl2の電位が−3Vになって、発光サイリスタL2のしきい電圧が−4.5Vになる。このとき、点灯信号線75の電位は、オン状態の発光サイリスタL1により−1.5Vとなっている。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻mの直後において、転送サイリスタT1、転送サイリスタT2がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0158】
<発光チップCa2>
発光チップCa1と同様に、第2転送信号φ2aが「H」から「L」に移行すると、転送サイリスタT2がターンオンする。
なお、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「L」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
時刻mの直後において、転送サイリスタT1、転送サイリスタT2、擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0159】
すなわち、時刻mにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態にあり、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0160】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻lの直後の状態が維持される。
【0161】
(14)時刻n
時刻nにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
第1転送信号φ1aが「H」から「L」に移行すると、φ1端子および電流制限抵抗R1を介して第1転送信号線72の電位が「H」から「L」になる。すると、オン状態にあった転送サイリスタT1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。これにより、ゲート端子Gt1の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行し、転送サイリスタT1のしきい電圧が−4.8Vになる。また、結合ダイオードDx1は、アノード端子(ゲート端子Gt1)が「L」(−3.3V)、カソード端子(ゲート端子Gt2)が「H」(0V)となって、電流が流れない方向に電位が印加された状態(逆バイアス)になる。
同様に、接続ダイオードDy1は、アノード端子(ゲート端子Gt1)が「L」(−3.3V)となると、カソード端子(ゲート端子Gm1)が−1.5Vであったので、逆バイアスになる。これにより、接続ダイオードDy1のカソード端子(ゲート端子Gm1)は、電源線抵抗Rgy1を介して「L」(−3.3V)に向かって変化する。一方、発光サイリスタL1はオン状態にあるので、ゲート端子Gl1は「H」(0V)になっている。よって、接続ダイオードDz1は、カソード端子(ゲート端子Gm1)が「L」、カソード端子(ゲート端子Gl1)が「H」となって逆バイアスになる。よって、書込サイリスタM1は、ゲート端子Gm1が「L」になって、しきい電圧が−4.8Vになる。
【0162】
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻nの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0163】
<発光チップCa2>
発光チップCa1と同様に、第1転送信号φ1aが「L」から「H」に移行すると、転送サイリスタT1がターンオフする。
なお、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
一方、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
時刻nの直後において、転送サイリスタT2、擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0164】
すなわち、時刻nにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態にあり、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0165】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻lの直後の状態が維持される。
【0166】
(15)時刻o
時刻oにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。また、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光装置65>
点灯信号φIaが「H」から「L」に移行すると、オン状態にあったスイッチトランジスタQa1〜Qa4のベース端子の電位が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、各スイッチトランジスタQa1〜Qa4のエミッタ端子とベース端子との間がともに「L」(−3.3V)となるので、スイッチトランジスタQa1〜Qa4がオフ状態になる。これにより、基準電位Vsubに接続された電源線抵抗Rcを介して、ブロック電源ライン240a1〜240a4(スイッチトランジスタQa1〜Qa4のコレクタ端子)が、基準電位Vsubの「H」(0V)になる。そして、電流制限抵抗Riを介して、発光チップ群#aのφI端子が「H」(0V)になる。
【0167】
<発光チップCa1>
発光チップ群#aの発光チップCa1のφI端子が「H」(0V)になって、点灯信号線75の電位が「H」になると、オン状態であった発光サイリスタL1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となってターンオフし、消灯する(非点灯になる)。これにより、ゲート端子Gl1が「L」になって、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.8Vになる。
すなわち、発光チップCa1の発光サイリスタL1は、時刻eの書込信号φW1が「H」から「L」に移行するタイミングで点灯(発光)(ターンオン)し、時刻oの点灯信号φIaが「H」から「L」に移行するタイミングで消灯(ターンオフ)する。時刻eから時刻oまでの期間が、発光チップCa1の発光サイリスタL1の点灯(発光)期間に対応する。
時刻oの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態にある。
【0168】
<発光チップCa2>
発光チップCa1と同様に、発光チップCa2のφI端子が「H」(0V)になって、点灯信号線75の電位が「H」になる。
すると、オン状態であった擬似発光サイリスタLdは、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となってターンオフする。これにより、ゲート端子Gldが「L」になって、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧は−4.8Vになる。
【0169】
すなわち、時刻oにおいて、発光チップCa1の発光サイリスタL1がターンオフして消灯すると並行して、発光チップCa2の擬似発光サイリスタLdもターンオンする。よって、発光チップCa1およびCa2には、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdに電流が流れなくなる。
【0170】
<発光チップCb1、Cb2>
許可信号φEbが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行すると、発光チップCa1の時刻hと同様に、書込信号線74の電位が「H」に移行する。これにより、オン状態の書込サイリスタM1がターンオフする。
なお、発光サイリスタL1はオン状態を維持する。
時刻oの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0171】
すなわち、時刻oにおいて、発光チップCb1およびCb2の発光サイリスタL1が点灯(発光)している。オン状態の発光サイリスタLに流れる電流は等しいので、発光チップCb1および発光チップCb2それぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0172】
なお、本実施の形態では、時刻oにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaを「H」から「L」に移行し、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbを「L」から「H」に移行したが、これらの移行を同時にする必要はなく、いずれが先でもかまわない。
【0173】
(16)時刻p
時刻pにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。時刻pからは、発光チップ群#aにおいて、発光サイリスタL1の点灯制御の期間Ta(1)が終了し、発光サイリスタL2の点灯制御の期間Ta(2)が開始する。
<発光チップCa1、Ca2>
第1転送信号φ1aおよび第2転送信号φ2aは、期間Tの2倍の期間(2T)(期間Ta(1)およびTa(2))を周期として変化するため、これらの信号の波形は期間Ta(1)とTa(2)とで異なる。しかし、期間Ta(2)以降の発光チップ群#aの動作は、転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタLの番号が異なるが、期間Ta(1)で説明したことで理解できる。よって、説明を省略する。
【0174】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻oの直後の状態が維持される。
【0175】
(17)時刻q
時刻qにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。また、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光装置65>
点灯信号φIbが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、時刻oの点灯信号φIaの「H」から「L」への以降と同様に、オン状態にあったスイッチトランジスタQb1〜Qb4のベース端子の電位が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、各スイッチトランジスタQb1〜Qb4のエミッタ端子とベース端子との間がともに「L」(−3.3V)となるので、スイッチトランジスタQb1〜Qb4がオフ状態になる。これにより、基準電位Vsubに接続された電源線抵抗Rcを介して、ブロック電源ライン240b1〜240b4(スイッチトランジスタQb1〜Qb4のコレクタ端子)が、基準電位Vsubの「H」(0V)になる。そして、電流制限抵抗Riを介して発光チップ群#bの発光チップCbのφI端子が「L」(−3.3V)から「H」(0V)になる。
【0176】
<発光チップCa1、Ca2>
発光チップ群#aについては、説明を省略する。
<発光チップCb1、Cb2>
時刻oにおける発光チップCa1の動作と同様に、φI端子が「L」(−3.3V)から「H」(0V)になると、点灯信号線75(図8参照)の電位が「H」になる。すると、オン状態であった発光サイリスタL1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となってターンオフし、消灯する(非点灯になる)。これにより、ゲート端子Gl1が「L」に向かって移行する。そして、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.8Vになる。
すなわち、発光チップCb1、Cb2の発光サイリスタL1は、時刻kの書込信号φW1が「H」から「L」に移行するタイミングで点灯(発光)(ターンオン)し、時刻qの点灯信号φIbが「H」から「L」に移行するタイミングで消灯(ターンオフ)する。時刻kから時刻qまでの期間が、発光チップCb1、Cb2の発光サイリスタL1の点灯(発光)期間に対応する。
φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
時刻qの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態にある。
【0177】
すなわち、時刻qにおいて、発光チップCb1およびCb2の発光サイリスタL1が並行してターンオフして消灯する。よって、発光チップCa1およびCa2には、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdに電流が流れなくなる。
【0178】
(18)時刻r
時刻rにおいて、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。時刻rからは、発光チップ群#bにおいて、発光サイリスタL1の点灯制御の期間Tb(1)が終了し、発光サイリスタL2の点灯制御の期間Tb(2)が開始する。
期間Tb(2)以降の発光チップ群#bの動作は、転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタLの番号が異なるが、期間Tb(1)で説明したことで理解できる。よって、説明を省略する。
【0179】
以上説明した発光チップCの動作を、図8を参照しつつ、まとめて説明する。
はじめに転送サイリスタTの動作を説明する。
本実施の形態における発光チップCでは、2相の転送信号(第1転送信号φ1および第2転送信号φ2)により、転送サイリスタTのオン状態を順に移している。
すなわち、2相の転送信号の内の一方の転送信号が「L」(−3.3V)になることにより、一方の転送信号がカソード端子に送信された転送サイリスタTがオン状態になり、そのゲート端子Gtが「H」(0V)になる。「H」(0V)になったゲート端子Gtと順バイアスの結合ダイオードDxで接続された隣接する転送サイリスタTのゲート端子Gtの電位が−1.5Vになる。これにより、順バイアスの結合ダイオードDxで接続された隣接する転送サイリスタTは、しきい電圧が上昇(本実施の形態では、−4.5Vから−3V)し、他方の転送信号が「L」(−3.3V)となるタイミングでオン状態になる。
つまり、2相の転送信号(第1転送信号φ1および第2転送信号φ2)を、「L」(−3.3V)の期間が重なる(図9における時刻mから時刻nまでの期間)ように、時間軸上でずらして送信することにより、転送サイリスタTをオン状態が伝播するように順にオン状態に設定する。
【0180】
そして、転送サイリスタTがオン状態になって、ゲート端子Gtが「H」(0V)になると、ゲート端子Gtに接続ダイオードDyを介して接続された書込サイリスタMのゲート端子Gmの電位が−1.5Vになり、書込サイリスタMのしきい電圧が−3Vとなる。
【0181】
そして、許可信号φE(φEaまたはφEb)と書込信号φW(φW1〜φW32)とが共に「L」であるとき、書込信号線74の電位が「L」(−3.3V)になって、書込サイリスタMがターンオンする。
書込サイリスタMがオン状態になって、書込サイリスタMのゲート端子Gmが「H」(0V)になると、ゲート端子Gmに接続ダイオードDzを介して接続されたゲート端子Glの電位が−1.5Vになり、発光サイリスタLのしきい電圧が−3Vになる。
【0182】
許可信号φE(φEaまたはφEb)と書込信号φW(φW1〜φW32)とが共に「L」になる時刻の前に、点灯信号φI(φIaまたはφIb)を「L」(−3.3V)から「H」(0V)に設定する。
スイッチトランジスタQのエミッタ端子は、「L」(−3.3V)の点灯電位VIに接続されている。よって、点灯信号φIが「H」(0V)になると、npn型のスイッチトランジスタQのエミッタ端子とベース端子との間が順バイアスになって、スイッチトランジスタQがオン状態になる。すると、電源線抵抗Rcを介して基準電位Vsub(「H」(0V))になっていたブロック電源ライン240(スイッチトランジスタQのコレクタ端子)は、エミッタ端子の電位(「L」(−3.3V))になる。そして、電流制限抵抗Riを介してブロック電源ライン240に接続された、発光チップCのφI端子は、「L」(−3.3V)になる。
よって、許可信号φEと書込信号φWとが共に「L」になるタイミング(時刻)において、発光サイリスタLがターンオンしてオン状態となって、点灯(発光)する。
【0183】
一方、発光サイリスタLを非点灯とするときは、書込信号φW(φW1〜φW32)を「H」に維持して、書込サイリスタMをターンオンさせない。これにより、発光サイリスタLのしきい電圧が−4.5Vに維持され、発光チップCのφI端子は、「L」(−3.3V)になっても、発光サイリスタLはターンオンできない。
【0184】
さらに、本実施の形態では、発光サイリスタLを非点灯とするときに書込信号φW(φW1〜φW32)を「H」に維持するが、そのとき擬似書込信号φD(φD1〜φD32)を「L」に設定している。そして、許可信号φE(φEaまたはφEb)と擬似書込信号φD(φD1〜φD32)とが共に「L」であるとき、擬似書込サイリスタMdをターンオンさせている。そして、擬似書込サイリスタMdがターンオンすると、擬似発光サイリスタLdがターンオンしてオン状態になる。
なお、発光サイリスタLを点灯するときは擬似書込信号φD(φD1〜φD32)を「H」に維持することで、擬似書込サイリスタMdをオフ状態に維持している。
【0185】
このようにして、発光チップCにおいて、発光サイリスタLまたは擬似発光サイリスタLdのいずれか一方がオン状態になり、発光チップCのそれぞれのφI端子に流れる電流が等しくなるように設定している。
なお、書込信号φWと擬似書込信号φDとは、相補的な関係になっていて、書込信号φWが「L」である期間は、擬似書込信号φDは「H」を維持し、擬似書込信号φDが「L」である期間は、書込信号φWは「H」を維持する。
【0186】
なお、許可信号φEまたは書込信号φWのいずれか一方が「L」である状態は、いわゆる半選択の状態であって、書込サイリスタMはターンオンしない。同様に、許可信号φEと擬似書込信号φDのいずれか一方が「L」になる状態は、いわゆる半選択の状態であって、擬似書込サイリスタMdはターンオンしない。
よって、許可信号φEにより、発光チップ群を切り替えて制御している。
すなわち、発光チップ群#aの発光チップCaに送信する許可信号φEaの「L」の期間と、発光チップ群#bの発光チップCbに送信する許可信号φEbの「L」の期間とを設けている。そして、発光チップ群#aと発光チップ群#bとに属する発光チップCから構成される発光チップ組毎に、共通に書込信号φW(φW1〜φW32)および擬似書込信号φD(φD1〜φD32)を送信している。
そして、許可信号φEaの「L」の期間と許可信号φEbの「L」の期間とに対応させて、書込信号φW(φW1〜φW32)または擬似書込信号φD(φD1〜φD32)のいずれか一方に「L」の期間を設けている。
このようにして、発光チップCを複数の群に分けて制御することで、発光装置65の配線(ライン)の数を抑制している。
【0187】
ここで、擬似発光サイリスタLdを有する擬似電流部104を設けることについて説明する。
図10は、スイッチトランジスタQの特性を示す図である。図10は、スイッチトランジスタQのコレクタ端子とエミッタ端子との間のコレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)に対するコレクタ端子を流れるコレクタ電流Ic(Q)との関係を示している。
npn型のスイッチトランジスタQのコレクタ電流Ic(Q)は、ベース電流Ib(Q)が一定の場合、コレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)が大きくなると流れ始め、のち飽和する。そして、コレクタ電流Ic(Q)は、ベース電流Ib(Q)の増加とともに、飽和したときの電流が大きくなる。
【0188】
本実施の形態では、8個の発光チップCに対して1個のスイッチトランジスタQから点灯のための電流が供給されている。それぞれの発光チップCは多くとも1個の発光サイリスタLを点灯させている。
すると、図10に示すように、8個の発光チップCのうち、1個の発光チップCが点灯するとき(発光サイリスタLが1個)にスイッチトランジスタQに流れる電流(Ic(Q)=1 chip)は、8個の発光チップCがすべて点灯するとき(発光サイリスタLが8個)にスイッチトランジスタQに流れる電流(Ic(Q)=8 chips)に比べて少ない。このため、点灯する発光チップCの数によって、スイッチトランジスタQのコレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)が変動することになる。すなわち、1個の発光チップCが点灯するときと、8個の発光チップCが点灯するときとでは、コレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)にコレクタ−エミッタ間電圧差ΔVce(Q)が生じてしまう。
【0189】
基準電位Vsubと点灯電位VIbとは変化しないので、擬似電流部104を設けない場合には、点灯させる発光チップCの数によって、コレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)が変動し、電源ライン200とブロック電源ライン240との間(図6参照)の電位が変動してしまう。すなわち点灯する発光チップCの発光サイリスタLのアノード端子とカソード端子との間の電位が変動し、発光サイリスタLの光量が変動してしまう。
【0190】
本実施の形態では、発光チップCを点灯させるときは、発光サイリスタLをオン状態にし、発光チップCを点灯させないときは、擬似発光サイリスタLdをオン状態にしている。そして、オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流が等しくなるように設定しているので、点灯させる発光チップCの数によらず、スイッチトランジスタQには8個の発光チップCを点灯させたときの電流(Ic(Q)=8 chips)が流れることになる。
このことから、点灯させる発光チップCの数による、コレクタ−エミッタ間電圧差ΔVce(Q)が生じない。よって、電源ライン200とブロック電源ライン240との間(図6参照)の電位の変動が抑制されるので、発光サイリスタLの光量の変動が抑制される。
【0191】
本実施の形態では、擬似電流部104を、擬似発光サイリスタLdと擬似書込サイリスタMdとを含んで構成したが、他の素子による構成でもよい。スイッチトランジスタQを介して擬似電流部104に流れる電流が、同様にスイッチトランジスタQを介して発光サイリスタLに流れる電流と等しくなるように設定されればよい。
【0192】
さらに、本実施の形態では、基準電位供給部160から各発光チップブロックBまで、個別に基準電位Vsubが供給される電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4を設け、基準電位供給部160から各発光チップブロックBまでの電源ライン200(電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4)の抵抗値が等しくなるように設定している。これにより、電源ライン200(電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4)で生じる電位降下の差を抑制している。
同様に、点灯電位供給部180(点灯電位供給部180aおよび180b)から各発光チップブロックBまで、個別に電源ライン207(電源ライン207a1〜207a4、207b1〜207b4)を設け、点灯電位供給部180(点灯電位供給部180aおよび180b)から各発光チップブロックBまでの電源ライン207(電源ライン207a1〜207a4、207b1〜207b4)の抵抗値が等しくなるように設定している。これにより、電源ライン207(電源ライン207a1〜207a4、207b1〜207b4)で生じる電位降下の差を抑制している。
【0193】
このようにすることで、発光チップブロックB間における発光サイリスタLの光量の変動が抑制される。
【0194】
なお、本実施の形態では、発光サイリスタL間における光量に差がないとしたが、光量に差がある場合には、点灯期間を調整することなどにより、光量を補正してもよい。
【0195】
本実施の形態における発光装置65において、発光チップブロックBの発光チップCの数を8個としたが、8個に限られず、8個より少なくてもよく、多くてもよい。
発光装置65の発光チップCにおいて、転送サイリスタTは、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2の2相で駆動したが、転送サイリスタTを3個毎に3相の転送信号を送信して駆動してもよい。同様にして、4相以上の転送信号を送信しても駆動してもよい。
また、本実施の形態が適用される発光チップCにおいて、結合ダイオードDxを用いたが、一方の端子の電位の変化により他方の端子の電位の変化が生じるものであればよく、結合ダイオードDxの代わりに抵抗などを用いてもよい。
さらに、接続ダイオードDy、Dzを用いたが、電位降下を生じさせて電位をシフトさせるものであればよく、接続ダイオードDy、Dzの代わりに抵抗などであってもよい。
【0196】
なお、本実施の形態における発光装置65において、発光チップCには、自己走査型発光素子アレイ(SLED)が1個搭載されているとしたが、2個以上であってもよい。2個以上搭載されている場合には、それぞれの自己走査型発光素子アレイ(SLED)を発光チップCと置き換えればよい。
【0197】
そして、本実施の形態が適用される発光装置65において、発光チップ群を2個(#a、#b)としたが、3以上の群としてもよい。
そして、本実施の形態が適用される発光装置65において、発光チップ群を構成する発光チップCの数および発光チップ組を構成する発光チップCの数を同じとしたが、異なっていてもよい。また、発光チップ組を構成する発光チップCは、それぞれが異なる発光チップ群に属しているとしたが、同じ発光チップ群に属する発光チップCを含んでいてもよい。
【0198】
さらに、本実施の形態が適用される発光装置65の発光チップCは、サイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLd)のアノード端子を基板80にとって共通にしたアノードコモンとして説明した。カソード端子を基板80としたカソードコモンも、回路の極性を変更することによって用いうる。
【符号の説明】
【0199】
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、14…プリントヘッド、30…画像出力制御部、40…画像処理部、62…回路基板、63…光源部、64…ロッドレンズアレイ、65…発光装置、101…転送部、102…発光部、103…設定部、104…擬似電流部、110…信号発生回路、120(120a、120b)…転送信号発生部、130(130a、130b)…許可信号発生部、140(140a、140b)…点灯信号発生部、150…書込信号発生部、160…基準電位供給部、170…電源電位供給部、180(180a、180b)…点灯電位供給部、φ1(φ1a、φ1b)…第1転送信号、φ2(φ2a、φ2b)…第2転送信号、φE(φEa、φEb)…許可信号、φW(φW1〜φW32)…書込信号、φD(φD1〜φD32)…擬似書込信号、φI(φIa、φIb)…点灯信号、B(Ba1〜Ba4、Bb1〜Bb4)…発光チップブロック、C(Ca1〜Ca32、Cb1〜Cb32)…発光チップ、L…発光サイリスタ、T…転送サイリスタ、M…書込サイリスタ、Dx…結合ダイオード、Dy、Dz…接続ダイオード、Q(Qa1〜Qa4、Qb1〜Qb4)…スイッチトランジスタ、Vga…電源電位、Vsub…基準電位、VI(VIa、VIb)…点灯電位
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光チップ、発光装置、プリントヘッドおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、一様に帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に複数、配列してなる、LEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
【0003】
特許文献1には、所定数の発光素子から成る発光ブロックが複数、直線状に配置されてなり、画像形成のための印画データが与えられる発光部と、複数の発光ブロックの中から駆動すべき発光ブロックを時分割的に選択する選択回路と、全発光素子分の光量補正データを記憶する補正データ記憶回路と、発光ブロックの時分割駆動に同期して駆動させる発光ブロック内の発光素子の光量補正データを前記補正データ記憶回路から読出すとともに、該読出した光量補正データと印画データとに基づいて、発光ブロック内の各発光素子を個別的に発光駆動させる駆動回路とを含む画像形成装置が記載されている。
特許文献2には、複数の発光素子を所定方向に配列した半導体チップを、複数、配列した発光アレーと、画像データに応じた信号から所定の駆動信号を生成して前記複数の発光素子を駆動する駆動手段とを備えた発光装置であって、前記半導体チップの前記複数の発光素子を所定時間だけ駆動して得た発光量を前記半導体チップ毎に配列方向に一次直線で近似し、当該一次近似直線の傾きに応じ前記半導体チップの光量分布を複数種類に分類したときに、前記発光アレー内で、前記半導体チップは互いに隣り合う半導体チップの種類を所定条件で制限されて配置されていることが記載されている。
特許文献3には、連続的に送られてくるデータを複数の発光素子に対応して設けられたラッチ回路でラッチし、その後、該ラッチ回路内のデータ信号と点灯信号とにより複数の半導体スイッチをON/OFFして、上記複数の発光素子を上記ラッチ回路の各データに対応させて発光させることにより、一様に帯電された潜像担持体の表面に静電潜像を形成する光書き込みヘッドを備えた画像形成装置において、上記光書き込みヘッドは、上記ラッチ回路内のデータ信号が上記発光素子をOFFする状態で、上記点灯信号が該発光素子を点灯させる状態である時に、該発光素子への供給電流を迂回させてグランドに流すバイパス回路を有していることが記載されている。
特許文献4には、基板と、基板上に配置され、複数の発光素子が列状に配列された発光素子部材と、基板上に配置され、発光素子部材に配列された発光素子の各々を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、基板上に配置され、発光素子部材に所定の電圧を供給する電圧供給手段とを備えた露光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−6554号公報
【特許文献2】特開平11−334146号公報
【特許文献3】特開2002−29087号公報
【特許文献4】特開2008−87291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、LEDプリントヘッドでは、発光素子の光量は、発光素子に流れる電流により異なる。よって、LEDプリントヘッドにおいて並行して点灯(発光)させる発光素子の数に依存して、それぞれの発光素子に印加される点灯のための電位が変動すると、発光素子に流れる電流が変動し、発光素子の光量にばらつきが生じてしまう。発光素子の光量にばらつきが生じると、形成された画像にむらを生じ、画像の品質が劣化する。よって、発光素子の光量のばらつきを抑制するためには、それぞれの発光素子に印加される点灯のための電位の変動を抑制することが好ましい。
【0006】
本発明は、発光素子に印加される点灯のための電位の変動を抑制した発光チップ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板と、前記基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光素子列と、前記基板上に設けられ、それぞれが前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送素子列と、前記基板上に設けられ、前記発光素子が非点灯に設定されたときに電流が流れる擬似電流部とを備えた発光チップである。
請求項2に記載の発明は、前記発光チップは、前記基板上に設けられ、それぞれが前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、前記点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子を備える書込素子列をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発光チップである。
請求項3に記載の発明は、前記発光チップの擬似電流部は、前記発光素子と等価な構造を有する擬似発光素子および前記書込素子と等価な構造を有する擬似書込素子とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の発光チップである。
請求項4に記載の発明は、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、前記複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、前記複数の発光チップに対して、前記オン状態の転送素子により前記点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備えた発光装置である。
請求項5に記載の発明は、前記発光装置は、それぞれが、前記複数の発光チップが分けられて構成された複数のブロックのそれぞれのブロックに対応して設けられ、当該ブロックに含まれる発光チップに点灯のための電流が供給されるように接続され、点灯のための電流がオンまたはオフのいずれか一方に設定される、複数の切替手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の発光装置である。
請求項6に記載の発明は、前記発光装置は、基準電位を供給する基準電位供給手段をさらに備え、前記複数の発光チップに基準電位を供給する電源ラインは、当該基準電位供給手段から、前記ブロック毎に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置である。
請求項7に記載の発明は、前記発光装置は、点灯のための電位を供給する点灯電位供給手段をさらに備え、前記複数の切替手段に点灯のための電位を供給する電源ラインは、当該点灯電位供給手段から、前記ブロック毎に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の発光装置である。
請求項8に記載の発明は、前記発光装置の前記転送信号供給手段は、前記複数の発光チップが、N群(Nは2以上の整数)に分けられたそれぞれの群毎に転送信号を送信するとともに、当該発光装置の前記書込信号供給手段は、当該N群のそれぞれに属する発光チップを、当該群をまたいでJ組(Jは2以上の整数)に分けられたそれぞれの組毎に、前記点灯または非点灯の制御において点灯に設定された発光素子を備える発光チップには発光素子を点灯に設定する書込信号を、当該点灯または非点灯の制御において非点灯に設定された発光素子を備える発光チップには擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込信号を送信することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項9に記載の発明は、前記切替手段は、第1の端子と第2の端子と制御端子とを備え、制御端子により第1の端子と第2の端子との間の電流がオンまたはオフのいずれか一方に設定されるとともに、第1の端子と第2の端子との間に流れる電流により、第1の端子と第2の端子の間の電位が変化する3端子能動素子であることを特徴とする請求項5に記載の発光装置である。
請求項10に記載の発明は、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該オン状態の転送素子により当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備えた発光手段と、前記発光手段から照射される光を結像させる光学手段とを備えたことを特徴とするプリントヘッドである。
請求項11に記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電手段と、基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該オン状態の転送素子により当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備え、光学手段を介して前記像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、擬似電流部を用いない場合に比べ、発光素子に印加される点灯のための電位の変動が抑制できる。
請求項2の発明によれば、本構成を備えていない場合に比べ、発光チップにおいて発光素子と擬似電流部との電流経路の切り替えがより容易にできる。
請求項3の発明によれば、本構成を備えていない場合に比べ、点灯させる発光素子と、擬似電流部に流れる電流との差をより小さくできる。
請求項4の発明によれば、擬似電流部を用いない場合に比べ、点灯させる発光素子の数による光量のばらつきが抑制できる。
請求項5の発明によれば、グループに分けない場合に比べ、発光チップ間における点灯のための電位の変動をより小さくできる。
請求項6、7の発明によれば、本構成を備えていない場合に比べ、点灯させる発光素子の数による光量のばらつきがより抑制できる。
請求項8の発明によれば、発光チップを群、組に分けないで駆動する場合に比べ、発光装置における配線(ライン)の数を抑制できる。
請求項9の発明によれば、本構成を備えていない場合に比べ、回路基板がより簡易に構成できる。
請求項10の発明によれば、擬似電流部を用いない場合に比べ、光量のばらつきが少ない露光ができる。
請求項11の発明によれば、擬似電流部を用いない場合に比べ、むらの少ない画像形成ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図2】プリントヘッドの構成を示した断面図である。
【図3】発光装置の上面図である。
【図4】発光チップにおける発光素子の並びおよびボンディングパッドの構成を示した図である。
【図5】発光装置の回路基板上に設けられた信号発生回路の構成および回路基板上の配線構成を示した図である。
【図6】図5において、発光チップ群#a、発光チップ群#b、基準電位を供給する電源ライン、点灯電位を供給する電源ラインを取り出して示した図である。
【図7】発光装置の発光チップをマトリクスの各要素として配置して示した図である。
【図8】自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
【図9】発光装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】スイッチトランジスタの特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[画像形成装置1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0011】
画像形成プロセス部10は、予め定められた間隔を置いて並列に配置される複数のエンジンを含む画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙25に多重転写させるために、この記録用紙25を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙25に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙25にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
【0012】
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0013】
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙25に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙25上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙25は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙25上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙25上に定着され、画像形成装置1から排出される。
【0014】
[プリントヘッド14]
図2は、プリントヘッド14の構成を示した断面図である。露光手段の一例としてのプリントヘッド14は、ハウジング61、感光体ドラム12を露光する複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタ)を備える光源部63を備えた発光手段の一例としての発光装置65、光源部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
発光装置65は、前述した光源部63、光源部63を駆動する信号発生回路110(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62を備えている。
【0015】
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、光源部63の発光素子における発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向であって、後述する図3、図5のX方向)に沿って配置されている。
【0016】
[発光装置65]
図3は、発光装置65の上面図である。
図3に示すように、発光装置65の光源部63は、回路基板62上に、32個の発光チップCa1〜Ca32(発光チップ群#a)と、同じく32個の発光チップCb1〜Cb32(発光チップ群#b)とを、主走査方向であるX方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。すなわち、本実施の形態では、2つの発光チップ群(発光チップ群#aと発光チップ群#b)を備えている。ここでは、発光チップ群を群と略すことがある。
本明細書では、「〜」は、番号によってそれぞれが区別された複数の構成要素を示すもので、「〜」の前後に記載されたものおよびその間の番号のものを含むことを意味する。例えば、発光チップCa1〜Ca32は、発光チップCa1から番号順に発光チップCa32までを含む。
【0017】
なお、発光チップCa1〜Ca32(発光チップ群#a)および発光チップCb1〜Cb32(発光チップ群#b)の構成は同一である。よって、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32をそれぞれ区別しないときは発光チップCaと、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32をそれぞれ区別しないときは発光チップCbと表記し、さらに発光チップCaと発光チップCbとを区別しないときは、発光チップCと表記する。
また、発光チップCa1を例として説明する場合がある。他の発光チップCa2〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32においても同様であるので、発光チップCa1を発光チップCa1(C)と表記することがある。
【0018】
発光チップCは、形状が矩形の基板80(後述する図4参照)の上に、長辺の一方に沿って列状に設けられた複数の発光素子から構成される発光部102を備えている。
発光チップCa1〜Ca32(発光チップ群#a)は、それぞれの長辺の方向に一列に配列されている。発光チップCb1〜Cb32(発光チップ群#b)も、同様にそれぞれの長辺の方向に一列に配列されている。そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32と発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32とは、互いに向きを180°回転させて向かい合い、千鳥状に配列されている。さらに、主走査方向であるX方向における発光素子の間隔が、互いに隣接する発光チップ群#aの発光チップCaと発光チップ群#bの発光チップCbとで、発光チップCaとCbとの間においても予め定められた間隔となるように配列されている。
なお、図3においては、発光チップ群#aの発光チップCaと発光チップ群#bの発光チップCbとは、長辺側が接触するように表記しているが、距離を設けて配置されてもよい。
【0019】
そして、発光装置65は、前述したように、光源部63を駆動するために、例えば集積回路(IC)で構成された信号発生回路110を備えている。
なお、本実施の形態では、発光チップ群#aの発光チップCaおよび発光チップ群#bの発光チップCbの数として、それぞれ32個を用いたが、これに限定されない。
【0020】
図4は、発光チップCにおける発光素子の並びおよびボンディングパッドの構成を示した図である。
発光チップCは、形状が矩形の基板80の表面上に、一方の長辺に沿って列状に設けられた複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…)から構成される発光部102を備えている。さらに、発光チップCは、基板80の長辺方向の両端部に、電力の供給を受けるためおよび各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φ1端子、φ2端子、φE端子、φW端子、φD端子、φI端子、Vga端子)を備えている。なお、これらの端子は、基板80の一端部からφE端子、φ1端子、Vga端子、φD端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φW端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、φD端子とφ2端子との間に設けられている。
さらに、発光チップCは、基板80の裏面に電位の基準が設定されるためのVsub端子(図示せず)を備えている。
【0021】
次に発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を説明する。
図5は、発光装置65の回路基板62上に設けられた信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線構成を示した図である。なお、図5では、発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5の部分を示している。
前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110および発光チップ群#aの発光チップCa(発光チップCa1〜Ca32)および発光チップ群#bの発光チップCb(発光チップCb1〜Cb32)が搭載され、信号発生回路110と発光チップCaおよび発光チップCbとを相互に接続する配線が設けられている。
以下では、発光チップ群#aの発光チップCa(発光チップCa1〜Ca32)を発光チップ群#a、発光チップ群#bの発光チップCb(発光チップCb1〜Cb32)を発光チップ群#bと表記する。
そして、発光装置65は、図3において図示していないが、回路基板62上に、8個の発光チップC毎に設けられた切替手段の一例としてのスイッチトランジスタQa1〜Qa4、Qb1〜Qb4を備えている。図5では、スイッチトランジスタQa1とQb1とを表記している。
【0022】
なお、図5では、後述する電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4を発光チップ群#aと発光チップ群#bとの間に示したため、互いに向かい合って千鳥状に配列された発光チップ群#aと発光チップ群#bとの間に距離が設けられている。しかし、発光チップ群#aと発光チップ群#bとは、それらの間に距離を設けないで配列してもよい。
そして、スイッチトランジスタQa1〜Qa4、Qb1〜Qb4には、Si半導体による3端子能動素子の一例としてのnpn型のバイポーラトランジスタを用いたが、Si半導体によるpnp型のバイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタ(FET)などの能動素子および他の半導体による能動素子を用いてもよい。
【0023】
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110には、図示しないが、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。信号発生回路110は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや光量の補正等を行う。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに対して、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを送信する転送信号発生部120aと、発光チップ群#bに対して、第1転送信号φ1bと第2転送信号φ2bとを送信する転送信号発生部120bとを備えている。
【0024】
さらに、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに対して、許可信号φEaを送信する許可信号発生部130aと、発光チップ群#bに対して、許可信号φEbを送信する許可信号発生部130bとを備えている。
さらにまた、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに対して、点灯信号φIaを送信する点灯信号発生部140aと、発光チップ群#bに対して、点灯信号φIbを送信する点灯信号発生部140bとを備えている。
【0025】
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCaと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCbとを一つの組(発光チップ組)にして、発光チップ組毎に書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32を送信する書込信号供給手段の一例としての書込信号発生部150を備えている。
例えば、書込信号発生部150は、発光チップ群#aに属する発光チップCa1と発光チップ群#bに属する発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に対して、書込信号φW1および擬似書込信号φD1を送信する。発光チップ群#aに属する発光チップCa2と発光チップ群#bに属する発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に対して、書込信号φW2および擬似書込信号φD2を送信する。以下同様にして、発光チップ群#aに属する発光チップCa32と発光チップ群#bに属する発光チップCb32とが構成する発光チップ組#32に対して、書込信号φW32および擬似書込信号φD32を送信する。
ここでは、発光チップ組を組と表記することがある。
【0026】
さらに、信号発生回路110は、発光チップ群#aおよび#bに、基準となる基準電位Vsubを供給する基準電位供給手段の一例としての基準電位供給部160、発光チップCを駆動するための電力を供給する電源電位Vgaを供給する電源電位供給手段の一例としての電源電位供給部170を備えている。さらに加えて、信号発生回路110は、発光チップ群#aの発光チップCaの発光素子を点灯させるための点灯電位VIaを供給する点灯電位供給部180aと、発光チップ群#bの発光チップCbの発光素子を点灯させるための点灯電位VIbを供給する点灯電位供給部180bとを備えている。
なお、基準電位供給部160、電源電位供給部170、点灯電位供給部180a、点灯電位供給部180bは、信号発生回路110の外に設けられてもよい。
【0027】
なお、図5では、転送信号発生部120aと転送信号発生部120bとを分けて示したが、これらをまとめて転送信号供給手段の一例としての転送信号発生部120と呼ぶ。
同様に、許可信号発生部130aと許可信号発生部130bとを分けて示したが、これらをまとめて許可信号供給手段の一例としての許可信号発生部130と呼ぶ。
さらに同様に、点灯信号発生部140aと点灯信号発生部140bとを分けて示したが、これらをまとめて点灯信号供給手段の一例としての点灯信号発生部140と呼ぶ。
そして、点灯電位供給部180aと点灯電位供給部180bとを分けて示したが、これらをまとめて一つの点灯電位供給手段の一例としての点灯電位供給部180としてもよい。このとき、点灯電位供給部180は、点灯電位VI(VI=VIa=VIb)を供給する。
【0028】
同様に、第1転送信号φ1aと第1転送信号φ1bとを区別しない場合には第1転送信号φ1と呼び、第2転送信号φ2aと第2転送信号φ2bとを区別しない場合には第2転送信号φ2と呼ぶ。同様に、許可信号φEaと許可信号φEbとを区別しない場合には許可信号φEと、点灯信号φIaと点灯信号φIbとを区別しない場合には点灯信号φIと、書込信号φW1〜φW32をまとめて書込信号φWと、擬似書込信号φD1〜φD32をまとめて擬似書込信号φDと呼ぶ。
また、点灯電位VIaとVIbとを分けて示したが、点灯電位VIaとVIbとをそれぞれ区別しないときは点灯電位VIと呼ぶ。
【0029】
次に、信号発生回路110と発光チップ群#aおよび発光チップ群#bとを相互に接続する配線について説明する。
本実施の形態においては、後に詳述するように、複数の発光チップCを1つのブロック(発光チップブロック)とし、発光チップブロック毎に基準電位Vsubおよび点灯電位VIaまたはVIbが供給されるようになっている。ここでは例として、発光チップ群#aに属する発光チップCa1〜Ca32を8個の発光チップCa毎の4つの発光チップブロックに分け、発光チップCa1〜Ca8を発光チップブロックBa1、発光チップCa9〜Ca16を発光チップブロックBa2、発光チップCa17〜Ca24を発光チップブロックBa3、発光チップCa25〜Ca32を発光チップブロックBa4とする。同様に、発光チップ群#bに属する発光チップCb1〜Cb32を8個の発光チップCb毎の4つの発光チップブロックに分け、発光チップCb1〜Cb8を発光チップブロックBb1、発光チップCb9〜Cb16を発光チップブロックBb2、発光チップCb17〜Cb24を発光チップブロックBb3、発光チップCb25〜Cb32を発光チップブロックBb4とする。すなわち、本実施の形態の発光装置65は、8個の発光チップブロックBを有している。図5では発光チップブロックBa1およびBb1の部分を示している。
そして、各発光チップブロックBa1〜Ba4に対して、スイッチトランジスタQa1〜Qa4が、それぞれ番号が対応するように設けられ、各発光チップブロックBb1〜Bb4に対して、スイッチトランジスタQb1〜Qb4が、それぞれ番号が対応するように設けられている。
【0030】
なお、発光チップブロックBa1〜Ba4をそれぞれ区別しないときは発光チップブロックBaと、発光チップブロックBb1〜Bb4をそれぞれ区別しないときは発光チップブロックBbと表記し、さらに発光チップブロックBaとBbとを区別しないときは、発光チップブロックBと表記する。
同様に、スイッチトランジスタQa1〜Qa4をそれぞれ区別しないときはスイッチトランジスタQaと、スイッチトランジスタQb1〜Qb4をそれぞれ区別しないときはスイッチトランジスタQbと表記し、さらにスイッチトランジスタQaとQbとを区別しないときは、スイッチトランジスタQと表記する。
【0031】
そして、回路基板62には、各発光チップブロックBの発光チップCの基板80の裏面に設けられたVsub端子に、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給されるための電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4が設けられている。つまり、図5に示す発光チップブロックBa1の発光チップCa1〜Ca5(発光チップCa6〜Ca8は示していない。)には、電源ライン200a1が接続されている。同様に、発光チップブロックBb1の発光チップCb1〜Cb5(発光チップCb6〜Cb8は示していない。)には、電源ライン200b1が接続されている。図示しないが、発光チップブロックBa2には電源ライン200a2、発光チップブロックBa3には電源ライン200a3、発光チップブロックBa4には電源ライン200a4がそれぞれ接続されている。同様に、発光チップブロックBb2には電源ライン200b2、発光チップブロックBb3には電源ライン200b3、発光チップブロックBb4には電源ライン200b4がそれぞれ接続されている。
なお、電源ライン200a1〜200a4をそれぞれ区別しないときは電源ライン200aと表記し、電源ライン200b1〜200b4をそれぞれ区別しないときは電源ライン200bと表記し、電源ライン200aと200bとを区別しないときは電源ライン200と表記する。
【0032】
回路基板62には、電源電位供給部170から各発光チップCのVga端子に接続され、電源電位Vgaを与える電源ライン206が設けられている。
【0033】
また、回路基板62には、点灯電位供給部180aから発光チップブロックBa1〜Ba4のそれぞれに対応して設けられたnpn型のスイッチトランジスタQa1〜Qa4の第1の端子の一例としてのエミッタ端子に接続され、点灯電位VIaが供給される電源ライン207a1〜207a4が設けられている。なお、電源ライン207a1が発光チップブロックBa1のスイッチトランジスタQa1のエミッタ端子に接続されるように、符号の最後の2文字が同じものが対応するように接続されている。
同様に、回路基板62には、点灯電位供給部180bから各発光チップブロックBb1〜Bb4に対応して設けられたnpn型のスイッチトランジスタQb1〜Qb4のエミッタ端子に接続され、点灯電位VIbが供給される電源ライン207b1〜207b4が設けられている。なお、電源ライン207b1が発光チップブロックBb1のスイッチトランジスタQb1のエミッタ端子に接続されるように、符号の最後の2文字が同じものが対応するように接続されている。
電源ライン207a〜207a4をそれぞれ区別しないときは、電源ライン207aと表記する。同様に、電源ライン207b1〜207b4をそれぞれ区別しないときは、電源ライン207bと表記する。そして、電源ライン207aと207bとを区別しないときは、電源ライン207と表記する。
【0034】
回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120aから、発光チップ群#aの発光チップCaのφ1端子に、第1転送信号φ1aを送信するための第1転送信号ライン201a、および発光チップ群#aの発光チップCaのφ2端子に、第2転送信号φ2aを送信するための第2転送信号ライン202aが設けられている。第1転送信号φ1aおよび第2転送信号φ2aは、発光チップ群#aに共通(並列)に送信される。
同様に、回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120bから、発光チップ群#bの発光チップCbのφ1端子に、第1転送信号φ1bを送信するための第1転送信号ライン201b、および発光チップ群#bの発光チップCbのφ2端子に、第2転送信号φ2bを送信するための第2転送信号ライン202bが設けられている。第1転送信号φ1bおよび第2転送信号φ2bは、発光チップ群#bに共通(並列)に送信される。
第1転送信号ライン201aおよび201bを区別しないときは、第1転送信号ライン201と表記する。同様に、第2転送信号ライン202aおよび202bを区別しないときは、第2転送信号ライン202と表記する。
【0035】
そして、回路基板62には、信号発生回路110の許可信号発生部130aから、発光チップ群#aの発光チップCaのφE端子に、許可信号φEaを送信するための許可信号ライン203aが設けられている。許可信号φEaは、発光チップ群#aに共通(並列)に送信される。
同様に、信号発生回路110の許可信号発生部130bから、発光チップ群#bの発光チップCbのφE端子に、許可信号φEbを送信するための許可信号ライン203bが設けられている。許可信号φEbは、発光チップ群#bに共通(並列)に送信される。
許可信号ライン203aおよび203bを区別しないときは、許可信号ライン203と表記する。
【0036】
さらに、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140aから、各発光チップブロックBa1、Ba2、Ba3、Ba4のそれぞれに設けられたスイッチトランジスタQa1、Qa2、Qa3、Qa4の制御端子の一例としてのベース端子に、それぞれ抵抗Rbを介して点灯信号φIaを送信するための点灯信号ライン204aが設けられている。点灯信号φIaは、スイッチトランジスタQa1、Qa2、Qa3、Qa4の各ベース端子に共通(並列)に送信される。
同様に、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140bから、各発光チップブロックBb1、Bb2、Bb3、Bb4のそれぞれに設けられたスイッチトランジスタQb1、Qb2、Qb3、Qb4のベース端子に、それぞれ抵抗Rbを介して点灯信号φIbを送信するための点灯信号ライン204bが設けられている。点灯信号φIbは、スイッチトランジスタQb1、Qb2、Qb3、Qb4の各ベース端子に共通(並列)に送信される。
点灯信号ライン204aと204bとを区別しないときは点灯信号ライン204と表記する。
【0037】
発光チップCのφI端子は、それぞれが電流制限抵抗Riを介して、発光チップブロックB毎に設けられたブロック電源ライン240a1〜240a4、240b1〜240b4に接続されている。例えば、発光チップブロックBa1に属する発光チップCのφI端子はそれぞれ電流制限抵抗Riを介してブロック電源ライン240a1に接続されている。
ブロック電源ライン240a1〜240a4をそれぞれ区別しないときは、ブロック電源ライン240a、ブロック電源ライン240b1〜240b4をそれぞれ区別しないときは、ブロック電源ライン240bと表記し、ブロック電源ライン240aと240bとを区別しないときはブロック電源ライン240と表記する。
すなわち、発光チップブロックBとブロック電源ライン240とは、符号の最後の2文字が同じものが対応するように接続されている。図5では、ブロック電源ライン240a1および240b1を示している。
【0038】
そして、各発光チップブロックBのスイッチトランジスタQの第2の端子の一例としてのコレクタ端子は、それぞれブロック電源ライン240a1〜240a4、240b1〜240b4に接続されている。例えば、発光チップブロックBa1のスイッチトランジスタQa1のコレクタ端子はブロック電源ライン240a1に接続されている。スイッチトランジスタQとブロック電源ライン240とは、符号の最後の2文字が同じものが対応するように接続されている。
【0039】
図5の発光チップブロックBa1に対応するスイッチトランジスタQa1に着目すると、スイッチトランジスタQa1のエミッタ端子は電源ライン207a1に接続され、コレクタ端子はブロック電源ライン240a1に接続されている。そして、ブロック電源ライン240a1は、発光チップブロックBa1の発光チップCa1〜Ca4(発光チップCa5はφI端子を示していない。また、発光チップCa6〜Ca8は示していない。)の各φI端子にそれぞれ電流制限抵抗Riを介して接続されている。
【0040】
さらにまた、回路基板62には、信号発生回路110の書込信号発生部150から、発光チップ群#aの一つの発光チップCaと発光チップ群#bの一つの発光チップCbとで構成される発光チップ組毎に書込信号φW1〜φW32を送信する書込信号ライン205−1〜205−32が設けられている。
例えば、書込信号ライン205−1は、発光チップ群#aの発光チップCa1のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb1のφW端子とに接続され、発光チップCa1と発光チップCb1とで構成する発光チップ組#1に対して書込信号φW1を送信する。書込信号ライン205−2は、発光チップ群#aの発光チップCa2のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb2のφW端子とに接続され、発光チップCa2と発光チップCb2とで構成する発光チップ組#2に対して書込信号φW2を送信する。以下同様にして、書込信号ライン205−32は、発光チップ群#aの発光チップCa32のφW端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb32のφW端子とに接続され、発光チップCa32と発光チップCb32とで構成する発光チップ組#32に対して書込信号φW32を送信する。
なお、書込信号ライン205−1〜205−32を区別しないときは、書込信号ライン205と表記する。
【0041】
同様に、回路基板62には、信号発生回路110の書込信号発生部150から、発光チップ群#aの一つの発光チップCaと発光チップ群#bの一つの発光チップCbとで構成される発光チップ組毎に擬似書込信号φD1〜φD32を送信する擬似書込信号ライン208−1〜208−32が設けられている。
例えば、擬似書込信号ライン208−1は、発光チップ群#aの発光チップCa1のφD端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb1のφD端子とに接続され、発光チップCa1と発光チップCb1とで構成する発光チップ組#1に対して擬似書込信号φD1を送信する。擬似書込信号ライン208−2は、発光チップ群#aの発光チップCa2のφD端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb2のφD端子とに接続され、発光チップCa2と発光チップCb2とで構成する発光チップ組#2に対して擬似書込信号φD2を送信する。以下同様にして、擬似書込信号ライン208−32は、発光チップ群#aの発光チップCa32のφD端子と発光チップ群#bに属する発光チップCb32のφD端子とに接続され、発光チップCa32と発光チップCb32とで構成する発光チップ組#32に対して擬似書込信号φD32を送信する。
なお、擬似書込信号ライン208−1〜208−32を区別しないときは、擬似書込信号ライン208と表記する。
【0042】
以上説明したように、回路基板62上のすべての発光チップCa1〜Ca32(発光チップ群#a)およびCb1〜Cb32(発光チップ群#b)に、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
そして、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEa、点灯信号φIaは、発光チップ群#aに対して共通(並列)に送信される。そして、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、許可信号φEb、点灯信号φIbは、発光チップ群#bに対して共通(並列)に送信される。
一方、書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCとの構成する発光チップ組(発光チップ組#1〜#32)毎に共通(並列)に送信される。
【0043】
図6は、図5において、発光チップ群#a、発光チップ群#bに、基準電位Vsubを供給する電源ライン200(200a1〜200a4、200b1〜200b4)、点灯電位VIaまたはVIbを供給する電源ライン207(207a1〜207a4、207b1〜207b4)、点灯信号φIaおよびφIbを送信する点灯信号ライン204a、204bを取り出して示した図である。
【0044】
本実施の形態では、前述したように、64個の発光チップCが2つの発光チップ群(発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca32)および発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb32))に分けられている。そして、発光チップCは、それぞれの発光チップ群において、8個の発光チップC毎に4つの発光チップブロックBに分けられている。例えば、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca32)は、発光チップブロックBa1(発光チップCa1〜Ca8)、発光チップブロックBa2(発光チップCa9〜Ca16)、発光チップブロックBa3(発光チップCa17〜Ca24)、発光チップブロックBa4(発光チップCa25〜Ca32)に分けられている。そして、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb32)は、発光チップブロックBb1(発光チップCb1〜Cb8)、発光チップブロックBb2(発光チップCb9〜Cb16)、発光チップブロックBb3(発光チップCb17〜Cb24)、発光チップブロックBb4(発光チップCb25〜Cb32)に分けられている。
そして、発光チップブロックB毎にスイッチトランジスタQ(Qa1〜Qa4、Qb1〜Qb4)を備えている。
図6では、発光チップブロックBa1、Ba4、Bb1、Bb4を示している。
【0045】
発光チップブロックBを構成する8個の発光チップCのVsub端子は、その発光チップブロックBの電源ライン200に接続されている。
一方、発光チップブロックBを構成する8個の発光チップCのφI端子はそれぞれ電流制限抵抗Riを介して、ブロック電源ライン240(240a1〜240a4、240b1〜240b4)に接続されている。例えば、発光チップブロックBa1に属する発光チップCa1〜Ca8のφI端子は、それぞれ電流制限抵抗Riを介してブロック電源ライン240a1に接続されている。
そして、各ブロック電源ライン240は、それぞれの発光チップブロックのスイッチトランジスタQのコレクタ端子に接続されている。
【0046】
さらに、発光装置65は、図5では示さなかったが、発光チップブロックB毎に、ブロック電源ライン240と、基準電位Vsubを供給する電源ライン200との間に、電源線抵抗Rcを備えている。
【0047】
抵抗Raは、基準電位供給部160が基準電位Vsubを発光チップブロックB毎に供給する電源ライン200の寄生抵抗である。本実施の形態では、電源ライン200(200a1〜200a4、200b1〜200b4)は、それぞれの寄生抵抗である抵抗Raの抵抗値が等しくなるように設定されている。
なお、電源ライン200(200a1〜200a4、200b1〜200b4)において、抵抗Raの抵抗値は、例えば長い電源ライン200については幅を広くし、短い電源ライン200については幅を狭くするなどで等しくできる。
すなわち、本実施の形態では、基準電位Vsubを供給する電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4は、基準電位供給部160から発光チップブロックB毎に分けて設けられ、各電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4の抵抗値(寄生抵抗である抵抗Ra)が等しくなるように設けられている。
【0048】
抵抗Rkkは、点灯電位供給部180a(点灯電位VIa)または点灯電位供給部180b(点灯電位VIb)が点灯電位VIを供給する電源ライン207の寄生抵抗である。本実施の形態では、電源ライン207(207a1〜207a4、207b1〜207b4)は、それぞれの寄生抵抗である抵抗Rkkの抵抗値が同じになるように設定されている。
なお、抵抗Rkkの抵抗値は、例えば電源ライン207(207a1〜207a4、207b1〜207b4)において、例えば長い電源ライン207については幅を広くし、短い電源ライン207については幅を狭くするなどで等しくできる。
すなわち、本実施の形態では、点灯電位VIaを供給する電源ライン207a1〜207a4は、点灯電位供給部180aから発光チップブロックB毎に分けて設けられ、各電源ライン207a1〜207a4の抵抗値(寄生抵抗である抵抗Rkk)が等しくなるように設けられている。同様に、点灯電位VIbを供給する電源ライン207b1〜207b4は、点灯電位供給部180bから発光チップブロックB毎に分けて設けられ、各電源ライン207b1〜207b4の抵抗値(寄生抵抗である抵抗Rkk)が等しくなるように設けられている。
【0049】
本実施の形態では、電源ライン200、207の抵抗値(抵抗Ra、抵抗Rkk)が等しく設定されているので、電源ライン200、207の抵抗値の違いに起因にして発生する電位降下の差によって、発光素子に印加される電位が異なることがない。
【0050】
図7は、発光装置65の発光チップCをマトリクスの各要素として配置して示した図である。
図7では、発光チップ群#aの発光チップC(発光チップCa1〜Ca32)および発光チップ群#bの発光チップC(発光チップCb1〜Cb32)を2×32のマトリクスの各要素として配置し、上記した信号発生回路110と発光チップCとを相互に接続する信号(第1転送信号φ1a、φ1b、第2転送信号φ2a、φ2b、点灯信号φIa、φIb、許可信号φEa、φEb、書込信号φW1〜φW32、擬似書込信号φD1〜φD32)の配線ラインを示している。
なお、点灯信号φIa、φIbは、図5および図6に示したように、スイッチトランジスタQのベース端子に抵抗Rbを介して接続されているが、図7では、発光チップCに直接送信されるように表記した。点灯信号φIaが発光チップ群#aに、点灯信号φIbが発光チップ群#bに共通に送信されることを明らかにするためである。
【0051】
図7に示すように、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIa、許可信号φEaは、発光チップ群#aに対して共通に送信される。そして、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、点灯信号φIb、許可信号φEbは、発光チップ群#bに対して共通に送信されることが容易に理解できる。
一方、書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32は、発光チップ群#aに属する一つの発光チップCaと発光チップ群#bに属する一つの発光チップCbとの構成する発光チップ組#1〜#32のそれぞれに対して共通に送信されることが容易に理解できる。
なお、群をN個(Nは2以上の整数)とし、組をJ組(Jは2以上の整数)としてもよい。
【0052】
[発光チップC]
図8は、自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。
ここでは、信号発生回路110との関係を説明するため、発光チップCa1を例に、発光チップCを説明する。そこで、図8において、発光チップCを発光チップCa1(C)と表記する。他の発光チップCa2〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32の構成は、発光チップCa1と同じである。
なお、端子(φ1端子、φ2端子、φE端子、φW端子、φD端子、φI端子、Vga端子)の位置は、説明の便宜上、図中左端に示した。
【0053】
発光チップCa1(C)は、前述したように基板80上に列状に配列された発光素子の一例としての発光サイリスタL1、L2、L3、…を備える発光素子列の一例としての発光サイリスタ列を備えている。
さらに、発光チップCa1(C)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された転送素子の一例としての転送サイリスタT1、T2、T3、…を備える転送素子列の一例としての転送サイリスタ列および同様に列状に配列された書込素子の一例としての書込サイリスタM1、M2、M3、…を備える書込素子列の一例としての書込サイリスタ列を備えている。
ここでは、発光サイリスタL1、L2、L3、…をそれぞれ区別しないときは、発光サイリスタLと表記する。転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ区別しないときは、転送サイリスタTと、書込サイリスタM1、M2、M3、…をそれぞれ区別しないときは書込サイリスタMと表記する。
【0054】
なお、上記のサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT、書込サイリスタM)は、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
【0055】
また、発光チップCa1(C)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにしてそれぞれの間に結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…を備えている。そして、転送サイリスタT1、T2、T3、…と書込サイリスタM1、M2、M3、…との間に接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…を備えている。さらに、書込サイリスタM1、M2、M3、…と発光サイリスタL1、L2、L3、…との間に接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…を備えている。
さらに、発光チップCa1(C)は、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…、電源線抵抗Rgz1、Rgz2、Rgz3、…を備えている。
ここで、発光サイリスタLなどと同様に、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…、接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…、電源線抵抗Rgz1、Rgz2、Rgz3、…のそれぞれを区別しないときは、結合ダイオードDx、接続ダイオードDy、接続ダイオードDz、電源線抵抗Rgx、電源線抵抗Rgy、電源線抵抗Rgzと表記する。
【0056】
ここで、発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数は、予め定められた個数とすればよい。本実施の形態で、発光サイリスタLの数を例えば128個とすると、転送サイリスタT、書込サイリスタMのそれぞれの数も128個である。同様に、接続ダイオードDy、接続ダイオードDz、電源線抵抗Rgx、電源線抵抗Rgy、電源線抵抗Rgzの数も128個である。しかし、結合ダイオードDxの数は、転送サイリスタTの数より1個少ない127個である。
なお、転送サイリスタTおよび書込サイリスタMのそれぞれの数は、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
【0057】
そして、発光チップCa1(C)は、1個のスタートダイオードDx0を備えている。さらに、後述する第1転送信号φ1を送信する第1転送信号線72と第2転送信号φ2を送信する第2転送信号線73とに過剰な電流が流れるのを防止する、電流制限抵抗R1および電流制限抵抗R2を備えている。さらにまた、書込抵抗RWおよび許可抵抗REを備えている。
【0058】
そしてまた、発光チップCa1(C)は、発光サイリスタLが非点灯であるときに、点灯時に発光サイリスタLに流れる電流と等しい電流が流れる擬似電流部104を備えている。
なお、本実施の形態では、一例として、擬似電流部104は、擬似発光素子の一例としての擬似発光サイリスタLd、擬似書込素子の一例としての擬似書込サイリスタMd、擬似接続ダイオードDyd、擬似接続ダイオードDzd、電源線抵抗Rgyd、電源線抵抗Rgzdを備えている。さらにまた、擬似書込抵抗RWdおよび擬似許可抵抗REdを備えている。擬似発光サイリスタLdは、発光素子(発光サイリスタL)と等価な構造を有している。これにより、オン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流と、オン状態の発光サイリスタLに流れる電流との差を小さく(等しくなるように)している。また、擬似書込サイリスタMdは、書込素子(書込サイリスタM)と等価な構造を有している。
【0059】
なお、発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタ列の転送サイリスタT1、T2、T3、…、書込サイリスタ列の書込サイリスタM1、M2、M3、…は、図8中において、左側から番号順に配列されている。さらに、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…、接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…、電源線抵抗Rgz1、Rgz2、Rgz3、…も、同様に、図中左側から番号順に配列されている。
そして、発光サイリスタ列、転送サイリスタ列、書込サイリスタ列は、図8中上から、転送サイリスタ列、書込サイリスタ列、発光サイリスタ列の順に並べられている。
【0060】
では次に、発光チップCa1(C)における各素子の電気的な接続について説明する。
なお、後述する発光装置65の動作において、発光チップCa1に関連して発光チップCb1を説明するので、発光チップCb1についても触れる。
【0061】
転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLdのそれぞれのアノード端子は、発光チップCa1(C)の基板80に接続されている(アノードコモン)。そして、これらのアノード端子は、基板80裏面に設けられたVsub端子に接続されている。
発光チップCa1が属する発光チップブロックBa1では、Vsub端子は、電源ライン200a1(図5、図6参照)に接続され、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
一方、発光チップブロックBb1の発光チップCb1では、Vsub端子は、電源ライン200b1(図5、図6参照)に接続され、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
【0062】
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番目の転送サイリスタT1、T3、T5、…のカソード端子は、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して、φ1端子に接続されている。一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番目の転送サイリスタT2、T4、T6、…のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。
発光チップ群#aの発光チップCaのφ1端子は、第1転送信号ライン201a(図5参照)に接続され、第1転送信号φ1aが送信される。φ2端子は、第2転送信号ライン202a(図5参照)に接続され、第2転送信号φ2aが送信される。
発光チップ群#bの発光チップCbのφ1端子は、第1転送信号ライン201b(図5参照)に接続され、第1転送信号φ1bが送信される。φ2端子は、第2転送信号ライン202b(図5参照)に接続され、第2転送信号φ2bが送信される。
【0063】
書込サイリスタMのカソード端子は、書込信号線74に接続されている。そして、書込信号線74は、書込抵抗RWを介して、φW端子に接続されている。また、書込信号線74は、書込抵抗RWとの接続点から、許可抵抗REを介して、φE端子に接続されている。
発光チップ組#1に属する発光チップCa1およびCb1では、φW端子は、書込信号ライン205−1(図5参照)に接続され、書込信号φW1が送信される。発光チップCa1のφE端子は、許可信号ライン203a(図5参照)に接続され、許可信号φEaが送信される。一方、発光チップCb1のφE端子は、許可信号ライン203bに接続され、許可信号φEbが送信される(図5参照)。
【0064】
発光サイリスタLのカソード端子は、点灯信号線75に接続されている。そして、点灯信号線75は、φI端子に接続されている。φI端子は、電流制限抵抗Riを介して、発光チップブロックB毎に設けられたスイッチトランジスタQのコレクタ端子に接続されている。
発光チップCa1が属する発光チップブロックBa1では、各発光チップCa1〜Ca8のそれぞれのφI端子は、電流制限抵抗Riを介して、ブロック電源ライン240a1に接続されている。ブロック電源ライン240a1はスイッチトランジスタQa1のコレクタ端子に接続されている。一方、スイッチトランジスタQa1のエミッタ端子は、電源ライン207a1(図5、図6参照)に接続され、点灯電位供給部180aから点灯電位VIaが供給される。
発光チップCb1が属する発光チップブロックBb1では、各発光チップCb1〜Cb8のそれぞれのφI端子は、電流制限抵抗Riを介して、ブロック電源ライン240b1に接続されている。ブロック電源ライン240b1はスイッチトランジスタQb1のコレクタ端子に接続されている。一方、スイッチトランジスタQb1のエミッタ端子は、電源ライン207b1(図5、図6参照)に接続され、点灯電位供給部180bから点灯電位VIbが供給される。
なお、後述するように、点灯電位VIaおよびVIbは、それぞれ点灯信号φIaおよびφIbにしたがって供給される。よって、図8においては、発光チップCa1(C)のφI端子には、点灯信号φIaが送信されるとして表記している。
【0065】
図8において、発光チップCa1(C)の構成をさらに説明する。転送サイリスタTのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…は、同じ番号の書込サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に、1対1で、それぞれ接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…を介して接続されている。すなわち、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…のアノード端子は、転送サイリスタT1、T2、T3、…のゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…に接続され、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…のカソード端子は、書込サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に接続されている。
【0066】
一方、書込サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で、それぞれ接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…を介して接続されている。すなわち、接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…のアノード端子は、書込サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に接続され、接続ダイオードDz1、Dz2、Dz3、…のカソード端子は、発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に接続されている。
【0067】
ここでも、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…、ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…、ゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…のそれぞれを区別しないときは、ゲート端子Gt、ゲート端子Gm、ゲート端子Glと表記する。
接続ダイオードDyは、転送サイリスタTのゲート端子Gtから、書込サイリスタMのゲート端子Gmに電流が流れる方向に接続されている。同様に、接続ダイオードDzは、書込サイリスタMのゲート端子Gmから、発光サイリスタLのゲート端子Glに電流が流れる方向に接続されている。
【0068】
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…を番号順に2個ずつペアとしたゲート端子Gt間に、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…はそれぞれがゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…で順に挟まれるように直列接続されている。そして、結合ダイオードDx1の向きは、ゲート端子Gt1からゲート端子Gt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードDx2、Dx3、Dx4、…についても同様である。
転送サイリスタTのゲート端子Gtは、転送サイリスタTのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgxを介して電源線71に接続されている。そして、電源線71はVga端子に接続されている。Vga端子は電源ライン206(図5参照)に接続されて、電源電位供給部170から電源電位Vgaが供給される。
書込サイリスタMのゲート端子Gmは、書込サイリスタMのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgyを介して電源線71に接続されている。
発光サイリスタLのゲート端子Glは、発光サイリスタLのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgzを介して電源線71に接続されている。
【0069】
そして、転送サイリスタ列の一端側の転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。一方、スタートダイオードDx0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。
【0070】
ここで、転送サイリスタT、結合ダイオードDxおよびスタートダイオードDx0は、転送部101を構成する。
発光サイリスタLおよび接続ダイオードDzは、発光部102を構成する。
書込サイリスタM、接続ダイオードDy、書込抵抗RW、許可抵抗REは設定部103を構成する。
【0071】
次に、擬似電流部104における各素子の電気的な接続について説明する。
擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmdは、擬似接続ダイオードDzdを介して擬似発光サイリスタLdのゲート端子Gldに接続されている。擬似接続ダイオードDzdはゲート端子Gmdからゲート端子Gldに電流が流れる方向に接続されている。
また、擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmdは、擬似接続ダイオードDydを介して基板80(Vsub端子)に接続されている。擬似接続ダイオードDydは基板80(Vsub端子)からゲート端子Gmdに電流が流れる方向に接続されている。
【0072】
擬似発光サイリスタLdのカソード端子は点灯信号線75に接続されている。
擬似書込サイリスタMdのカソード端子は擬似書込抵抗RWdを介してφD端子に接続されている。さらに、擬似書込サイリスタMdのカソード端子は擬似許可抵抗REdを介して、φE端子に接続されている。発光チップCa1では、φD端子は、擬似書込信号ライン208−1に接続され、書込信号発生部150から擬似書込信号φD1が送信される(図5参照)。
【0073】
擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmdは、電源線抵抗Rgydを介して電源線71に接続されている。同様に、擬似発光サイリスタLdのゲート端子Gldは、電源線抵抗Rgzdを介して電源線71に接続されている。
【0074】
本実施の形態では、オン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流が、オン状態の発光サイリスタLに流れる電流と等しくなるように、擬似発光サイリスタLdが設定されている(大きさなど)。ただし、擬似発光サイリスタLdがオン状態になっても、感光体ドラム12を露光しないように、擬似発光サイリスタLdは遮光されている。
【0075】
発光チップCは、公知の方法により、GaAsやGaAlAsなどの基板80上に化合物半導体のp型層およびn型層を積層することで構成される。
【0076】
[タイミングチャート]
次に、発光装置65の動作について説明する。
発光装置65は発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32と発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32とを備えている(図3、5、6、7参照)。
図5に示したように、回路基板62上のすべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)には、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32には、前述したように、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、点灯信号φIa、許可信号φEaが共通(並列)に送信される。よって、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32は並行して駆動される。
同様に、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32には、前述したように、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、点灯信号φIb、許可信号φEbが共通(並列)に送信される。よって、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32は並行して駆動される。
【0077】
一方、書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32は、発光チップ群#aの一つの発光チップCaと発光チップ群#bの一つの発光チップCbとが構成する発光チップ組#1〜#32のそれぞれに対して共通に送信される。例えば、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とを発光チップ組#1として、書込信号φW1および擬似書込信号φD1が共通に送信される。また、32個の書込信号φW1〜φW32および32個の擬似書込信号φD1〜φD32は、並行して送信される。よって、発光チップ組#1〜#32は並行して駆動される。
なお、書込信号φW1〜φW32および擬似書込信号φD1〜φD32のタイミングを発光チップ組の間でずらして送信してもよい。
【0078】
以上説明したように、発光装置65の動作は、発光チップ組#1に属する発光チップCa1およびCb1の動作を説明すれ足りる。
【0079】
図9は、発光装置65の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図9では、発光チップ組#1(発光チップCa1およびCb1)に加えて、発光チップ組#2(発光チップCa2およびCb2)の動作を説明するタイミングチャートも示している。
【0080】
図9のタイミングチャートは、それぞれの発光チップCにおいて、発光サイリスタL1〜L4の4個の発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御(点灯制御)する部分を示している。そして、発光チップ組#1の発光チップCa1では、発光サイリスタL1、L3、L4を点灯させ、発光サイリスタL2を非点灯としている。また、発光チップ組#1の発光チップCb1では、発光サイリスタL1、L4を点灯させ、発光サイリスタL2、L3を非点灯としている。発光チップ組#2の発光チップCa2では、発光サイリスタL2、L3を点灯させ、発光サイリスタL1、L4を非点灯としている。そして、発光チップ組#2の発光チップCb2では、発光サイリスタL1、L3、L4を点灯させ、発光サイリスタL2を非点灯としている。
以下では、発光チップCa1およびCb1の動作を中心に説明する。
【0081】
図9において、時刻aから時刻yへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光チップ群#aの発光チップCa1の発光サイリスタL1は、時刻cから時刻pの期間Ta(1)において点灯制御される。発光サイリスタL2は、時刻pから時刻uの期間Ta(2)において点灯制御される。発光サイリスタL3は、時刻uから時刻wの期間Ta(3)において点灯制御される。発光サイリスタL4は、時刻wから時刻yの期間Ta(4)において点灯制御される。以下、同様にして番号が5以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
一方、発光チップ群#bの発光チップCb1の発光サイリスタL1は、時刻iから時刻rの期間Tb(1)において点灯制御される。発光サイリスタL2は、時刻rから時刻vの期間Tb(2)において点灯制御される。発光サイリスタL3は、時刻vから時刻xの期間Tb(3)において点灯制御される。以下、同様にして番号が4以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
【0082】
本実施の形態では、期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…および期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと表記する。
そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…と、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb32を制御する期間Tb(1)、Tb(2)、Tb(3)、…とは、期間Tの半分の長さ、時間軸上でずれているとする。すなわち、期間Tb(1)は、期間Ta(1)が開始したのち、期間Tの半分の期間が経過したときに開始する。
したがって、以下では、発光チップ群#aの発光チップCa1を制御する期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…について説明する。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間Tの長さを可変としてもよい。
【0083】
期間Ta(1)、Ta(2)、Ta(3)、…における信号波形は、画像データによって変化する書込信号φW(φW1〜φW32)および擬似書込信号φD(φD1〜φD32)を除いて、同じ波形の繰り返しである。
したがって、以下では、時刻cから時刻pまでの期間Ta(1)を説明する。なお、時刻aから時刻cまでの期間は、発光装置65が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
【0084】
第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEa、点灯信号φIaの、期間Ta(1)における信号波形について説明する。
第1転送信号φ1aは、時刻cでローレベルの電位(以下、「L」と記す。)であって、時刻nで「L」からハイレベルの電位(以下、「H」と記す。)に移行し、時刻pで「H」を維持している。
第2転送信号φ2aは、時刻cで「H」であって、時刻mで「H」から「L」に移行し、時刻pで「L」を維持している。
ここで、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを比較すると、期間Ta(1)における第1転送信号φ1aの波形が、期間Ta(2)における第2転送信号φ2aの波形になっている。そして、期間Ta(1)における第2転送信号φ2aの波形が、期間Ta(2)における第1転送信号φ1aの波形になっている。
すなわち、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとは期間Tの2倍の期間(2T)を単位として繰り返す信号波形である。そして、時刻mから時刻nまでの期間のように、共に「L」となる期間を挟んで、交互に「H」と「L」とを繰り返している。そして、時刻aから時刻bまでの期間を除いて、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とは、同時に「H」となる期間を有さない。
第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとの一組の転送信号により、図8に示した転送サイリスタTが、後述するように、順番にオン状態になって、点灯または非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLを指定する。
【0085】
許可信号φEaは、時刻cで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行し、時刻hで「L」から「H」に移行する。そして、時刻pで「H」を維持している。
許可信号φEaは、後述するように、点灯または非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLを点灯可能な状態に設定する。
【0086】
点灯信号φIaは、時刻cで、「L」から「H」に移行し、時刻oにおいて、「H」から「L」に移行する。そして、時刻pにおいて「L」から「H」に移行する。
点灯信号φIaは、後述するように発光サイリスタLに点灯(発光)のための電流の供給を制御する信号である。
【0087】
次に、発光チップ組#1に送信される書込信号φW1および擬似書込信号φD1と、発光チップ組#2に送信される書込信号φW2および擬似書込信号φD2との期間Ta(1)における信号波形について説明する。
発光チップ組#1に送信される書込信号φW1および擬似書込信号φD1について説明する。送信される書込信号φW1は、時刻cで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。さらに、時刻kで「H」から「L」に移行し、時刻lで「L」から「H」に移行する。すなわち、書込信号φW1は、期間Ta(1)において、「L」である期間が2つある(前の「L」の期間と後の「L」の期間)。
発光チップ組#1に送信される擬似書込信号φD1は、時刻cで「H」であって、時刻pにおいても「H」を維持する。
【0088】
発光チップ組#1に送信される書込信号φW1および擬似書込信号φD1と許可信号φEaとの関係を見ると、書込信号φW1の前の「L」の期間(時刻eから時刻f)は、許可信号φEaが「L」である時刻dから時刻hまでの期間に含まれる。書込信号φW1の後の「L」の期間(時刻kから時刻l)は、許可信号φEaが「H」である時刻hから時刻pの期間に含まれる。
一方、書込信号φW1と、許可信号φEaに対して期間Tの1/2の期間ずれて送信される許可信号φEbとの関係を見ると、書込信号φW1の前の「L」の期間(時刻eから時刻f)は、許可信号φEbが「H」である時刻cから時刻jまでの期間に含まれ、書込信号φW1の後の「L」の期間(時刻kから時刻l)は、許可信号φEbが「L」である時刻jから時刻oまでの期間に含まれる。すなわち、書込信号φW1の後の「L」の期間(時刻kから時刻l)は、期間Tb(1)における許可信号φEbが「L」である時刻jから時刻oまでの期間に含まれる。
【0089】
後述するように、期間Ta(1)において、書込信号φW1が最初に「L」となる期間(時刻eから時刻f)は、発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるための信号であって、書込信号φW1が後に「L」となる期間(時刻kから時刻l)は、発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるための信号である。
すなわち、書込信号φW1の前の「L」の期間(時刻eから時刻f)は、発光チップ群#aを点灯制御するものであって、発光チップ群#aを制御する期間Ta(1)において意味がある。一方、書込信号φW1の後の「L」の期間(時刻kから時刻l)は、発光チップ群#aを点灯制御するものであって、発光チップ群#bを制御する期間Tb(1)において意味がある。
【0090】
書込信号φW1および擬似書込信号φD1は、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とに共通に送信されるため、許可信号φEaと許可信号φEbが「L」となる期間のみ、働くようにしている。すなわち、許可信号φEaが「L」となる期間(時刻dから時刻h)は、書込信号φW1が発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「L」となる期間(時刻eから時刻f)に重なり、書込信号φW1が発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「L」となる期間(時刻kから時刻l)と重ならないように設定されている。同様に、許可信号φEbが「L」である期間(時刻jから時刻o)は、書込信号φW1が発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「L」となる期間(時刻eから時刻f)と重ならないように設定され、書込信号φW1が発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯状態に移行させるために「L」となる期間(時刻kから時刻l)と重なるように設定されている。
なお、図9では許可信号φEが書込信号φWより先に「H」から「L」に移行するが、書込信号φWが許可信号φEより先に「H」から「L」に移行してもよい。
【0091】
次に、発光チップ組#2に送信される書込信号φW2および擬似書込信号φD2について説明する。
発光チップ組#2に送信される書込信号φW2は、時刻cで「H」であって、時刻kで「H」から「L」に移行し、時刻lで「L」から「H」に移行する。そして、時刻pで「H」を維持する。すなわち、書込信号φW1は、期間Ta(1)において、「L」である期間が1つある。
発光チップ組#2に送信される擬似書込信号φD2は、時刻cで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。時刻pで「H」を維持する。すなわち、擬似書込信号φD2は、期間Ta(1)において、「L」である期間が1つある。
【0092】
書込信号φW1、φW2および擬似書込信号φD1、φD2を比較すると、書込信号φW1が「L」になる期間(時刻eから時刻f)において、書込信号φW2は「L」とならず、擬似書込信号φD2が「L」になっている。
前述したように、発光チップ組#1では、発光チップCa1およびCb1では発光サイリスタL1を点灯としている。しかし、発光チップ組#2では、発光チップCa2の発光サイリスタL1を非点灯とし、発光チップCb2の発光サイリスタL1を点灯としている。
すなわち、本実施の形態では、発光サイリスタLを点灯とするときは、書込信号φWを「L」にするとともに、擬似書込信号φDを「H」にしている。そして、発光サイリスタLを非点灯とするときは、書込信号φWを「H」にするとともに、擬似書込信号φDを「L」にしている。
それぞれの発光チップ組に送信される書込信号φWと擬似書込信号φDとは、発光サイリスタLの点灯または非点灯に対応して、一方のみが「L」となる相補的な関係になっている。
なお、発光チップ組#2においても、書込信号φWまたは擬似書込信号φDが「L」になる期間と、許可信号φEaおよびφEbの「L」になる期間との関係は、発光チップ組#1について説明したと同様である。
【0093】
<サイリスタの動作>
発光チップCa1およびCb1の動作を説明する前に、サイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLd)の基本的な動作を説明する。サイリスタは、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
以下では、例として、図8に示したようにサイリスタのアノード端子であるVsub端子に供給される基準電位Vsubを0V(「H」)、Vga端子に供給される電源電位Vgaを−3.3V(「L」)とする。そして、サイリスタは、GaAs、GaAlAs等の化合物半導体によるp型半導体層、n型半導体層が相互に複数積層されて構成されているとし、pn接合の順方向電位(拡散電位)Vdを1.5Vとする。
【0094】
アノード端子とカソード端子との間に電流が流れていない状態(オフ状態)のサイリスタは、しきい電圧(負の電位)より低い電位(絶対値が大きい負の電位)がカソード端子に印加されるとオン状態に移行(ターンオン)する。サイリスタは、ターンオンすると、アノード端子とカソード端子との間に電流が流れた状態(オン状態)になる。ここで、サイリスタのしきい電圧は、ゲート端子の電位からpn接合の順方向電位Vdを引いた値である。よって、サイリスタのゲート端子の電位が−1.5Vであると、しきい電圧は−3.0Vとなる。すなわち、−3.0Vより低い電位がカソード端子に印加されると、サイリスタはターンオンする。
オン状態のサイリスタでは、ゲート端子の電位がサイリスタのアノード端子の電位に近い電位になる。ここでは、アノード端子を0V(「H」)に設定しているので、ゲート端子の電位は0V(「H」)になるとして説明する。また、オン状態のサイリスタのカソード端子は、アノード端子の電位からpn接合の順方向電位Vdを引いた電位に近い電位になる。ここでは、カソード端子の電位は−1.5Vになるとして説明する。
【0095】
サイリスタは、一度ターンオンすると、カソード端子の電位が、オン状態を維持するために必要な電位より高い電位(絶対値が小さい負の電位または0Vおよび正の電位)になるまで、オン状態を維持する。オン状態のサイリスタのカソード端子の電位は−1.5Vであるので、サイリスタは、カソード端子に−1.5Vより高い電位(>−1.5V)が印加されると、オフ状態に移行(ターンオフ)する。しかし、サイリスタは、カソード端子に−1.5Vより低い電位(≦−1.5V)が継続的に印加され、サイリスタのオン状態を維持しうる電流が供給されると、オン状態を維持する。
以上のことから、サイリスタは、オン状態になると電流が流れた状態を維持し、ゲート端子の電位の変化によってはオフ状態に移行しない。すなわち、サイリスタはオン状態を維持(記憶、保持)する機能を有している。
上述したように、サイリスタのオン状態を維持するためにカソード端子に印加し続ける電位(≦−1.5V)は、ゲート端子の電位が−1.5Vのサイリスタをターンオンさせるためにカソード端子に印加する電位(≦−3V)に比べて低くてよい。
なお、発光サイリスタLは、ターンオンすると点灯(発光)し、ターンオフすると消灯(非点灯)する。オン状態の発光サイリスタLの発光量は、カソード端子とアノード端子との間に流す電流によって決められる。
【0096】
<3入力AND回路AND1およびAND2の動作>
書込抵抗RWと許可抵抗REといずれか1個の書込サイリスタMと書込サイリスタMのゲート端子Gmに接続された接続ダイオードDyとで構成される3入力AND回路AND1および擬似書込サイリスタMd、擬似接続ダイオードDyd、擬似書込抵抗RWd、擬似許可抵抗REdで構成される3入力AND回路AND2について説明する。
まず、3入力AND回路AND1について、図8において一点鎖線で囲んで示す書込サイリスタM1、接続ダイオードDy1、書込抵抗RW、許可抵抗REで説明する。
【0097】
3入力AND回路AND1は、接続ダイオードDy1のアノード端子であるゲート端子Gt1(P)、許可抵抗REの一方の端子が接続されたφE端子(Z)、書込抵抗RWの一方の端子であるφW端子(S)を入力とし、書込サイリスタM1のゲート端子Gm1(O)を出力とする3入力AND回路AND1を構成する。
すなわち、ゲート端子Gt1(P)が「H」(0V)となると、ゲート端子Gt1(P)に順方向に電位が印加された(順バイアス)の接続ダイオードDy1により、ゲート端子Gm1(O)が−1.5Vになる。すると、書込サイリスタM1のしきい電圧は−3Vになる。
【0098】
このとき、φE端子(Z)およびφW端子(S)がともに「L」(−3.3V)であると、許可抵抗REを介してφE端子に接続され、書込抵抗RWを介してφW端子に接続された書込信号線74も「L」(−3.3V)になる。よって、書込サイリスタM1がターンオンする。すると、ゲート端子Gm1が「H」(0V)になる。
このとき、発光サイリスタL1のゲート端子Gl1は、順バイアスの接続ダイオードDz1を介してゲート端子Gm1に接続されているので、ゲート端子Gl1の電位は−1.5Vになる。これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vとなる。そして、点灯信号φIが「L」(−3.3V)であって、点灯信号線75が「L」(−3.3V)であると、発光サイリスタL1がターンオンして点灯(発光)する。
すなわち、3入力AND回路AND1の3つの入力である、Gt1(P)が「H」(0V)、φE端子(Z)とφW端子(S)とが「L」(−3.3V)になったとき、書込サイリスタM1がターンオンし、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vになる。そして、点灯信号線75が「L」(−3.3V)になると、発光サイリスタL1がターンオンする。
【0099】
Gt1(P)の電位は、「H」(0V)以外に、後述するように−1.5V、−3V、−3.3Vとなりうるが、いずれの場合も書込サイリスタM1のしきい電圧は−4.5Vより低く(絶対値が大きい負の値)なる。そのため、例え、書込信号線74が「L」(−3.3V)になっても、書込サイリスタM1はターンオンできない。
また、許可抵抗REの抵抗値REと書込抵抗RWの抵抗値RWとがRE=RWであるとする(以下、RE=RWとして説明する。)と、φE端子(Z)およびφW端子(S)の一方が「H」(0V)で他方が「L」(−3.3V)である場合には、書込信号線74の電位は、書込抵抗RWと許可抵抗REとで分圧された−1.65Vになる。よって、例え、Gt1(P)が「H」(0V)であって、書込サイリスタM1のしきい電圧が−3Vであっても、書込サイリスタM1はターンオンできない。
なお、φE端子(Z)およびφW端子(S)がともに「H」(0V)である場合には、書込信号線74の電位は「H」(0V)であるので、書込サイリスタM1のしきい電圧が−3Vであっても、書込サイリスタM1はターンオンできない。
書込サイリスタM1がオフ状態であると、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3Vにならないので、点灯信号線75が「L」(−3.3V)であっても、発光サイリスタL1はターンオンしない。
【0100】
書込サイリスタM1および接続ダイオードDy1以外の、書込サイリスタMおよび接続ダイオードDyの組み合わせにおいても同様である。
以上説明したように、書込抵抗RWと許可抵抗REといずれか1個の書込サイリスタMと書込サイリスタMのゲート端子Gmに接続された接続ダイオードDyとで構成される3入力AND回路AND1は、ANDの機能を有している。
【0101】
次に、擬似書込サイリスタMd、擬似接続ダイオードDyd、擬似書込抵抗RWd、擬似許可抵抗REdで構成される3入力AND回路AND2について説明する。3入力AND回路AND2についても、図8における擬似電流部104の中に、一点鎖線で囲んで示している。そして、3入力AND回路AND1のP、Z、S、Oと、3入力AND回路AND2のP´、Z´、S´、O´とが対応している。
なお、3入力AND回路AND2は、擬似接続ダイオードDydのアノード端子である基板80に接続されたVsub端子(P´)、擬似許可抵抗REdの一方の端子が接続されたφE端子(Z´)、擬似書込抵抗RWdの一方の端子であるφD端子(S´)を入力とし、擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmd(O´)を出力とする3入力AND回路AND2を構成する。なお、擬似許可抵抗REdの抵抗値REdと擬似書込抵抗RWdの抵抗値RWdとがREd=RWdであるとする(以下、REd=RWdとして説明する)。
入力の1つであるVsub端子(P´)は常に「H」(0V)となっている。このため、擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmd(O´)の電位は−1.5Vであって、擬似書込サイリスタMdのしきい電圧は−3Vになっている。
よって、φE端子(Z´)とφD端子(S´)とがともに「L」(−3.3V)であると、擬似書込サイリスタMdがターンオンして、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧を−3Vに設定する。そして、点灯信号線75が「L」(−3.3V)になると、擬似発光サイリスタLdがターンオンする。
なお、φE端子(Z´)とφD端子(S´)とがともに「H」(0V)である場合およびφE端子(Z´)とφD端子(S´)とのいずれか一方が「H」(0V)で他方が「L」(−3.3V)である場合には、前述した書込サイリスタM1と同様に、擬似書込サイリスタMdはターンオンしない。よって、これらの場合には、点灯信号線75が「L」(−3.3V)になっても、擬似発光サイリスタLdはターンオンしない。
以上説明したように、擬似書込サイリスタMd、擬似接続ダイオードDyd、擬似書込抵抗RWd、擬似許可抵抗REdで構成される3入力AND回路AND2は、ANDの機能を有している。
【0102】
では、図5、図6および図8を参照しつつ、図9に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65の動作を説明する。
なお、点灯電位VIa、VIbは、「L」(−3.3V)であるとする。
(1)時刻a(初期状態)
発光装置65に基準電位Vsubおよび電源電位Vgaの供給を開始した時刻aでの状態(初期状態)について説明する。
<発光装置65>
時刻aにおいて、基準電位供給部160は電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4を「H」(0V)の基準電位Vsubに設定する(図5、図6参照)。これにより、すべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のVsub端子は「H」に設定される(図8参照)。
電源電位供給部170は電源ライン206を「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに設定する(図5参照)。これにより、すべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のVga端子は「L」に設定される(図8参照)。
また、点灯電位供給部180aは電源ライン207a1〜207a4を「L」(−3.3V)の点灯電位VIaに設定する。すると、発光チップブロックBa1〜Ba4のスイッチトランジスタQa1〜Qa4のエミッタ端子が「L」(−3.3V)に設定される(図5、図6参照)。同様に、点灯電位供給部180bは電源ライン207b1〜207b4を「L」(−3.3V)の点灯電位VIbに設定する。発光チップブロックBb1〜Bb4のスイッチトランジスタQb1〜Qb4のエミッタ端子が「L」(−3.3V)に設定される(図5、図6参照)。
【0103】
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120aは第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2aをそれぞれ「H」に、転送信号発生部120bは第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2bをそれぞれ「H」に設定する。すると、第1転送信号ライン201a、201bおよび第2転送信号ライン202a、202bが「H」になる(図5参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72の電位も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ1端子に接続されている第2転送信号線73も「H」になる(図8参照)。
【0104】
さらに、信号発生回路110の許可信号発生部130aは許可信号φEaを「H」に、許可信号発生部130bは許可信号φEbを「H」に設定する。すると、許可信号ライン203a、203bが「H」になる(図5参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφE端子が「H」になる(図8参照)。
さらにまた、信号発生回路110の点灯信号発生部140aは点灯信号φIaを「L」(−3.3V)に、点灯信号発生部140bは点灯信号φIbを「L」に設定する。すると、点灯信号ライン204a、204bが「L」になる(図5、図6参照)。これにより、各発光チップブロックBa1〜Ba4のスイッチトランジスタQa1〜Qa4および各発光チップブロックBb1〜Bb4のスイッチトランジスタQb1〜Qb4のゲート端子の電位が「L」になる(図5、図6参照)。
スイッチトランジスタQa1〜Qa4、Qb1〜Qb4は、エミッタ端子が「L」(−3.3V)で、ベース端子も「L」(−3.3V)となるので、すべてオフ状態である。
【0105】
一方、各スイッチトランジスタQのコレクタ端子は、発光チップブロックB毎に設けられた電源線抵抗Rcを介して、「H」(0V)のVsub電位が供給された電源ライン200に接続されている。よって、発光チップブロックB毎に設けられたスイッチトランジスタQのコレクタ端子は「H」(0V)になっている。スイッチトランジスタQのコレクタ端子は、電流制限抵抗Riを介して発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφI端子に接続されている。よって、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφI端子は「H」(0V)になっている(図5、6参照)。
【0106】
信号発生回路110の書込信号発生部150は書込信号φW1〜φW32を「H」に設定する。すると、書込信号ライン205−1〜205−32が「H」になる(図5参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφW端子が「H」になる(図8参照)。
発光チップCのφW端子は、書込抵抗RWを介して書込信号線74に接続されている。発光チップCのφE端子は、許可抵抗REを介して書込信号線74に接続されている。発光チップCのφW端子およびφE端子はともに「H」に設定されているので、書込信号線74も「H」になる(図8参照)。
【0107】
信号発生回路110の書込信号発生部150は擬似書込信号φD1〜φD32を「H」に設定する。すると、擬似書込信号ライン208−1〜208−32が「H」になる(図5参照)。これにより、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)のφD端子が「H」になる(図8参照)。
【0108】
次に、図8を参照しつつ、図9に示したタイミングチャートにしたがって、発光チップC(発光チップCa1〜Ca32および発光チップCb1〜Cb32)の動作を、発光チップ組#1に属する発光チップCa1と発光チップCb1と、発光チップ組#2に属する発光チップCa2と発光チップCb2とで説明する。発光チップCa1と発光チップCa2とは並行して動作する。また、発光チップCb1と発光チップCb2とは並行して動作する。
なお、図9および以下における説明では、各端子の電位がステップ状に変化するとしているが、各端子の電位は徐々に変化している。よって、電位変化の間であっても、下記に示す条件が満たされれば、サイリスタは、ターンオンおよびターンオフなどの状態の変化を生じる。
【0109】
<発光チップCa1、Cb1、Ca2、Cb2>
以下の説明は、断らない限り、<>内に表記した発光チップCに共通である。他の時刻における説明でも同様である。
転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLdのアノード端子はVsub端子に接続されているので、「H」(0V)に設定される。
一方、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、転送サイリスタTはオフ状態にある。
【0110】
同様に、書込サイリスタMのカソード端子は、書込信号線74に接続され、前述したように、「H」に設定されている。よって、書込サイリスタMのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、書込サイリスタMはオフ状態にある。
さらに、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdのカソード端子は、点灯信号線75に接続され、「H」に設定されている。よって、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdはオフ状態にある。
【0111】
擬似書込サイリスタMdのカソード端子は、擬似書込抵抗RWdを介してφD端子に接続されるとともに、擬似許可抵抗REdを介してφE端子に接続されている。前述したように、φE端子およびD端子は「H」である。よって、擬似書込サイリスタMdのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、擬似書込サイリスタMdはオフ状態にある。
【0112】
転送サイリスタTのゲート端子Gtは、電源線抵抗Rgxを介して電源線71に接続されている。電源線71は「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに設定されている。よって、後述するゲート端子Gt1およびGt2を除いて、ゲート端子Gtの電位は「L」になっている。
そして、書込サイリスタMのゲート端子Gmは、電源線抵抗Rgyを介して電源線71に接続されている。よって、後述するゲート端子Gm1を除いて、ゲート端子Gmの電位は「L」になっている。
さらに、発光サイリスタLのゲート端子Glは、電源線抵抗Rgzを介して電源線71に接続されている。よって、ゲート端子Glの電位は「L」になっている。
以上のことから、後述する転送サイリスタT1、T2、書込サイリスタM1を除いて、転送サイリスタT、書込サイリスタMおよび発光サイリスタLのしきい電圧はそれぞれのゲート端子Gt、Gm、Glの電位(「L」(−3.3V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−4.8V)となっている。
【0113】
図8中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、前述したように、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。そして、スタートダイオードDx0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。第2転送信号線73は「H」に設定されている。一方、ゲート端子Gt1は電源線抵抗Rgx1を介して電源電位Vga(「L」(−3.3V))に接続されている。すると、スタートダイオードDx0は、そのカソード端子が「L」でそのアノード端子が「H」となって、順方向に電圧が印加(順バイアス)された状態になる。これにより、スタートダイオードDx0には電流が流れ、カソード端子(ゲート端子Gt1)は、スタートダイオードDx0のアノード端子の「H」(0V)からスタートダイオードDx0のpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になる。よって、転送サイリスタT1のしきい電圧は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vとなる。
【0114】
そして、転送サイリスタT1に隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1に、スタートダイオードDx0と同様に、順バイアスになる結合ダイオードDx1を介して接続されている。転送サイリスタT2のゲート端子Gt2の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から結合ダイオードDx1のpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。よって、転送サイリスタT2のしきい電圧は−4.5Vになる。
なお、番号が3以上の転送サイリスタTには、ゲート端子Gt1の電位が−1.5Vになった影響は及ばず、前述したように、番号が3以上の転送サイリスタTのしきい電圧は−4.8Vである。
【0115】
一方、書込サイリスタM1のゲート端子Gm1はゲート端子Gt1に接続ダイオードDy1を介して接続されているため、書込サイリスタM1のゲート端子Gm1の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から接続ダイオードDy1のpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。よって、書込サイリスタM1のしきい電圧は−4.5Vになる。
なお、番号が2以上の書込サイリスタMおよびすべての発光サイリスタLには、ゲート端子Gt1の電位が−1.5Vになった影響は及ばず、前述したように、番号が2以上の書込サイリスタMおよびすべての発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vである。
【0116】
擬似電流部104の擬似書込サイリスタMdは、前述したように、ゲート端子Gmdが−1.5Vであるので、しきい電圧が−3Vとなっている。また、擬似発光サイリスタLdのゲート端子Gldは−3Vであるので、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧は−4.5Vとなっている。
【0117】
(2)時刻b
図9に示す時刻bにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65は動作状態に入る。
<発光チップCa1、Ca2>
第1転送信号φ1aが「H」から「L」に移行すると、φ1端子および電流制限抵抗R1を介して第1転送信号線72が「H」から「L」になる。すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。そして、ゲート端子Gt1の電位は、アノード端子の「H」(0V)になる。さらに、転送サイリスタT1のカソード端子(図8の第1転送信号線72)の電位は、転送サイリスタT1のアノード端子の「H」(0V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。しかし、転送サイリスタT3以降の番号の大きい奇数番目の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。一方、しきい電圧が−4.5Vである転送サイリスタT2は、第2転送信号φ2aが「H」(0V)であるので、ターンオンできない。
【0118】
ゲート端子Gt1の電位が「H」(0V)になると、順バイアスの結合ダイオードDx1のカソード端子(ゲート端子Gt2)の電位は、ゲート端子Gt1の「H」(0V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。これにより、転送サイリスタT2のしきい電圧は−3Vになる。
ゲート端子Gt2に順バイアスの結合ダイオードDx2を介して接続されたゲート端子Gt3の電位は−3Vになる。これにより、転送サイリスタT3のしきい電圧は−4.5Vになる。番号が4以上の転送サイリスタTは、ゲート端子Gtの電位が「L」の電源電位Vgaで、しきい電圧は−4.8Vが維持される。
【0119】
一方、転送サイリスタT1がターンオンして、接続ダイオードDy1のアノード端子(ゲート端子Gt1)の電位が「H」(0V)となる。すると、順バイアスの接続ダイオードDy1のカソード端子(ゲート端子Gm1)の電位は、アノード端子(ゲート端子Gt1)の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。これにより、書込サイリスタM1のしきい電圧は−3Vになる。
なお、書込サイリスタM2のゲート端子Gm2の電位は−3Vになるので、書込サイリスタM2のしきい電圧は−4.5Vになる。番号が3以上の書込サイリスタMは、しきい電圧−4.8Vが維持される。
しかし、書込信号線74は「H」であるので、いずれの書込サイリスタMもオン状態に移行しない。
【0120】
接続ダイオードDy1のカソード端子(ゲート端子Gm1)は接続ダイオードDz1のアノード端子(ゲート端子Gm1)である。よって、接続ダイオードDz1のアノード端子(ゲート端子Gm1)の電位が−1.5Vになる。順バイアスの接続ダイオードDz1のカソード端子(ゲート端子Gl1)の電位は、そのアノード端子(ゲート端子Gm1)の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.5Vになる。
一方、ゲート端子Gm2の電位が−3Vになっても、発光サイリスタL2はしきい電圧−4.8Vが維持される。番号が3以上の発光サイリスタLも、しきい電圧−4.8Vが維持される。
そして、点灯信号線75が「H」であるので、すべての発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdはターンオンしない。
また、φE端子およびφD端子の電位は「H」であるので、擬似書込サイリスタMdもオフ状態を維持する。
【0121】
すなわち、時刻bにおいて、ターンオンするのは転送サイリスタT1である。そして、時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後、定常状態になったときをいう。他の時刻においても同様とする。)において、転送サイリスタT1がオン状態にある。他の転送サイリスタT、すべての書込サイリスタM、すべての発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLdはオフ状態にある。
なお、以下では、オン状態にあるサイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLd)を説明し、オフ状態にあるサイリスタの説明を省略する。
【0122】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップCb1、Cb2が属する発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1、Cb2は初期状態が維持されている。
【0123】
以上説明したように、サイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL)のゲート端子(ゲート端子Gt、Gm、Gl)はダイオード(結合ダイオードDx、接続ダイオードDy、Dz)によって相互に接続されている。よって、ゲート端子の電位が変化すると、電位が変化したゲート端子に、順バイアスのダイオードを介して接続されたゲート端子の電位が変化する。そして、そのゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧が変化する。
【0124】
つまり、電位が「H」(0V)になったゲート端子と順バイアスのダイオード1個で接続されたゲート端子の電位は−1.5Vになり、そのゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−3Vになる。このしきい電圧は「L」(−3.3V)より高い(絶対値が小さい負の値)ので、カソード端子の電位が「L」(−3.3V)になると、サイリスタがターンオンする。
一方、電位が「H」(0V)になったゲート端子と、順バイアスのダイオード2個で接続されたゲート端子の電位は−3Vになり、そのゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−4.5Vになる。このしきい電圧は「L」(−3.3V)より低いため、カソード端子の電位が「L」(−3.3V)になっても、サイリスタはターンオンできず、オフ状態を維持する。
【0125】
(3)時刻c
時刻cにおいて、発光チップ群#aに属する発光チップブロックBa1〜Ba4のスイッチトランジスタQa1〜Qa4のベース端子に送信される点灯信号φIaが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光装置65>
発光チップ群#aの発光チップブロックBa1〜Ba4のnpn型のスイッチトランジスタQa1〜Qa4のエミッタ端子は、「L」(−3.3V)の電源ライン207a1〜207a4に接続されている(図5参照)。そこで、ベース端子の電位が「L」から「H」に移行すると、エミッタ端子とベース端子との間が順バイアスになって、スイッチトランジスタQa1〜Qa4がオンになる。そして、スイッチトランジスタQa1〜Qa4のコレクタ端子の電位が、「H」からエミッタ端子の電位である「L」に移行する(図5、図6参照)。なお、後述するように、スイッチトランジスタQa1〜Qa4は電位降下を生じるが、ここでは電位降下の影響を無視する。これにより、ブロック電源ライン240a1〜240a4の電位が、「L」になる。そして、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca32のφI端子が電流制限抵抗Riを介して「L」になって、点灯信号線75の電位が「L」になる。
【0126】
<発光チップCa1、Ca2>
点灯信号線75が「L」(−3.3V)になっても、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.5V、番号が2以上の発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vであるので、いずれの発光サイリスタLもターンオンしない。また、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧は−4.5Vであるので、擬似発光サイリスタLdもターンオンしない。
時刻cの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、初期状態が維持されている。
【0127】
(4)時刻d
時刻dにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1、Ca2>
許可信号φEaが「H」から「L」に移行すると、φE端子の電位が「H」から「L」になる。書込信号φW1は「H」である。よって、書込信号線74は、φE端子とφW端子と間の電位差が、許可抵抗REと書込抵抗RWとで分圧された電位となる。許可抵抗REの抵抗値REと書込抵抗RWの抵抗値RWとはRE=RWであるとしているので、書込信号線74の電位は−1.65Vとなる。
このとき、書込サイリスタM1はしきい電圧が−3V、書込サイリスタM2はしきい電圧が−4.5V、番号が3以上の書込サイリスタMはしきい電圧が−4.8Vであるので、いずれの書込サイリスタMもターンオンできない。
また、擬似電流部104において、φE端子は「H」から「L」(−3.3V)になるが、φD端子は「H」である。擬似許可抵抗REdの抵抗値REdと擬似書込抵抗RWdの抵抗値RWdとはREd=RWdであるとしているので、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位は−1.65Vである。よって、しきい電圧が−3Vの擬似書込サイリスタMdはターンオンできない。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
【0128】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号は変化しないので、初期状態が維持されている。
【0129】
(5)時刻e
時刻eにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、擬似書込信号φD1は、「H」を維持している。
一方、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2は、「H」を維持している。しかし、擬似書込信号φD2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、φW端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻dにおいて「H」から「L」になっている。よって、φW端子およびφE端子の電位がともに「L」になるので、書込信号線74の電位は−1.65Vから「L」(−3.3V)になる。
すると、しきい電圧が−3Vである書込サイリスタM1がターンオンする。そして、ゲート端子Gm1の電位が「H」(0V)になって、カソード端子(図8の書込信号線74)は、−3.3Vから−1.5Vになる。書込サイリスタM2は、しきい電圧が−4.5V、番号が3以上の書込サイリスタMは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。
【0130】
書込サイリスタM1のゲート端子Gm1が「H」(0V)になると、順バイアスの接続ダイオードDz1のカソード端子(ゲート端子Gl1)が−1.5Vになり、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vになる。
なお、番号が2以上の発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vが維持されている。
【0131】
点灯信号線75の電位は、時刻cにおいて「H」(0V)から「L」(−3.3V)になっている。よって、書込信号φW1が「H」から「L」へ移行するタイミングにおいて、発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。そして、点灯信号線75の電位が−1.5Vになる。なお、番号が2以上の発光サイリスタLはしきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」、φE端子の電位は「L」(−3.3V)であるので、擬似書込サイリスタMdはターンオンできない。
よって、時刻eの直後においては、転送サイリスタT1、書込サイリスタM1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0132】
<発光チップCa2>
擬似書込信号φD1が「H」から「L」に移行すると、φD端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻dにおいて「H」から「L」になっている。よって、φD端子およびφE端子の電位がともに「L」になるので、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位が「L」(−3.3V)になる。よって、しきい電圧が−3Vである擬似書込サイリスタMdがターンオンする。すると、擬似書込サイリスタMdのゲート端子Gmdの電位が「H」(0V)になる。そして、順バイアスの擬似接続ダイオードDzdのカソード端子(ゲート端子Gld)が−1.5Vになり、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧が−3Vになる。
点灯信号線75の電位は、時刻cにおいて「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行している。よって、擬似書込信号φD1が「H」から「L」へ移行するタイミングにおいて、擬似発光サイリスタLdがターンオンして、オン状態になる。そして、点灯信号線75の電位が−1.5Vになる。
なお、φE端子の電位は「L」であるが、書込信号φW1は「H」を維持しているのでφW端子の電位は「H」であるため、書込信号線74の電位は−1.65Vとなっている。よって、いずれの書込サイリスタMもターンオンできない。
時刻eの直後においては、転送サイリスタT1、擬似書込サイリスタMdおよび擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0133】
すなわち、時刻eにおいて、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態に、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態になっている。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、並行して動作する発光チップCa1および発光チップCa2のφI端子には等しい電流が流れている。
【0134】
<発光チップCb1、Cb2>
書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行し、φW端子の電位が「H」から「L」になるが、許可信号φEbは「H」を維持しているので、φE端子の電位は「H」である。RE=RWであるので、書込信号線74の電位は−1.65Vになる。
このとき、書込サイリスタM1はしきい電圧が−4.5V、番号が2以上の書込サイリスタMはしきい電圧が−4.8Vである。よって、いずれの書込サイリスタMもターンオンできない。
擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子およびφE端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはターンオンできない。
【0135】
(6)時刻f
時刻fにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。なお、擬似書込信号φD1は、「H」を維持している。
一方、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2は、「H」を維持している。しかし、擬似書込信号φD2が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「L」から「H」に移行すると、φW端子の電位が「L」から「H」になる。φWが「H」で、φE端子の電位は「L」である。
書込サイリスタM1はオン状態になっている。書込サイリスタM1のオン状態を維持するためには、書込信号線74の電位が−1.5Vより低ければよい。書込信号線74の電位は−1.5Vより低い−1.65Vにまでなりうるので、書込サイリスタM1は引き続きオン状態を維持する。そして、書込信号線74の電位は、オン状態の書込サイリスタM1により−1.5Vを維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にある。よって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)であるので、発光サイリスタL1はオン状態を維持して、点灯(発光)を継続している。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。φD端子の電位が「H」であって、φE端子の電位が「L」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
時刻fの直後においては、転送サイリスタT1、書込サイリスタM1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0136】
<発光チップCa2>
擬似書込信号φD1が「L」から「H」に移行すると、φD端子の電位が「L」から「H」になる。φE端子の電位は「L」である。
オン状態の擬似書込サイリスタMdのオン状態を維持するためには、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位が−1.5Vより低ければよい。擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位は−1.5Vより低い−1.65Vにまでなりうるので、擬似書込サイリスタMdは引き続きオン状態を維持する。そして、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位は−1.5Vを維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)であるので、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持する。
なお、書込信号φW1は「H」であるので、φW端子の電位は「H」である。φE端子の電位は「L」であるので、書込信号線74の電位は−1.65Vである。よって、いずれの書込サイリスタMもターンオンできない。
時刻fの直後においては、転送サイリスタT1、擬似書込サイリスタMdおよび擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0137】
すなわち、時刻fにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態に、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態になっている。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0138】
<発光チップCb1、Cb2>
書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行し、φW端子の電位が「L」から「H」になる。よって、φE端子およびφW端子の電位がともに「H」になるので、書込信号線74の電位が−1.65Vから「H」(0V)に戻る。
また、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
【0139】
(7)時刻g
時刻gにおいて、発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1、Ca2>
発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻fの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップCb1、Cb2の動作は、時刻bにおける発光チップCa1、Ca2の動作と同様である。すなわち、転送サイリスタT1がターンオンする。これにより、第1転送信号線72の電位が−1.5Vになる。さらに、転送サイリスタT2のしきい電圧が−3V、書込サイリスタM1のしきい電圧が−3Vになる。
つまり、発光チップCb1、Cb2は、発光チップCa1、Ca2の動作を期間Tの1/2にあたる期間、時間軸上で遅れたタイミングで動作している。
【0140】
(8)時刻h
時刻hにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
許可信号φEaが「L」から「H」に移行すると、φE端子の電位が「L」から「H」になる。φW端子の電位は、時刻fにおいて、「L」から「H」になっている。よって、φE端子およびφW端子の電位がともに「H」になるので、書込信号線74の電位が「H」になる。すると、オン状態にあった書込サイリスタM1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。これにより、ゲート端子Gm1の電位が−1.5Vに戻り、書込サイリスタM1のしきい電圧が−3Vになる。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)である。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持して、点灯(発光)を継続している。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持している。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」になって、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
時刻hの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0141】
<発光チップCa2>
許可信号φEaが「L」から「H」に移行すると、φE端子の電位が「L」から「H」になる。φD端子の電位は、時刻fにおいて、「L」から「H」になっている。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」になって、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位が「H」になる。すると、オン状態にあった擬似書込サイリスタMdは、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。これにより、ゲート端子Gmdの電位が−1.5Vに戻り、擬似書込サイリスタMdのしきい電圧が−3Vになる。
一方、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)である。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
なお、書込信号φW1は「H」を維持しているので、φE端子およびφW端子の電位がともに「H」になって、書込信号線74の電位は「H」になる。よって、すべての書込サイリスタMはオフ状態を維持する。
時刻hの直後においては、転送サイリスタT1および擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0142】
すなわち、時刻hにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態に、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態になっている。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0143】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻gの直後の状態が維持される。
【0144】
(9)時刻i
時刻iにおいて、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光装置65>
時刻cにおけると同様であるので、説明を省略する。
<発光チップCa1、Ca2>
発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻hの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップCb1、Cb2の動作は、時刻cにおける発光チップCa1、Ca2の動作と同様であるので、説明を省略する。
時刻iの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にある。
【0145】
(10)時刻j
時刻jにおいて、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1、Ca2>
発光チップ群#aに送信される信号に変化がないので、時刻hの直後の状態が維持される。
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップCb1、Cb2の動作は、時刻dにおける発光チップCa1、Ca2の動作と同様であるので、詳細な説明を省略する。
RE=RWとしているので、時刻jにおいて、書込信号線74の電位が−1.65Vとなる。
時刻jの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にある。
【0146】
(11)時刻k
時刻kにおいて、発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、擬似書込信号φD1は、「H」を維持している。
一方、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。なお、擬似書込信号φD2は、「H」を維持している。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、φW端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻hにおいて「H」になっている。よって、書込信号線74の電位は−1.65Vになる。
しかし、書込サイリスタM1はしきい電圧が−3V、番号が2以上の書込サイリスタMはしきい電圧が−4.8Vであるので、いずれの書込サイリスタMもターンオンしない。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)である。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持して、点灯(発光)を継続している。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0147】
<発光チップCa2>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、φW端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻hにおいて「H」になっている。よって、φE端子の電位が「H」、φW端子の電位が「L」であるので、書込信号線74の電位は「H」から−1.65Vになる。
しかし、書込サイリスタM1はしきい電圧が−3V、番号が2以上の書込サイリスタMはしきい電圧が−4.8Vであるので、いずれの書込サイリスタMもターンオンしない。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT1および擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0148】
すなわち、時刻kにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態に、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態になっている。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0149】
<発光チップCb1、Cb2>
書込信号φW1が「H」から「L」に移行すると、φW端子の電位も「H」から「L」になる。φE端子の電位は、時刻jにおいて「L」になっている。よって、φE端子およびφW端子の電位がともに「L」になって、書込信号線74の電位は−1.65Vから「L」(−3.3V)になる。すると、しきい電圧が−3Vの書込サイリスタM1がターンオンする。そして、発光サイリスタL1のしきい電圧が−3Vになる。
点灯信号φIbが時刻iで「H」になっているので、スイッチトランジスタQbがオン状態にあって、ブロック電源ライン240bが「L」(−3.3V)になっている。よって、発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。
一方、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子の電位が「L」、φD端子の電位が「H」になって、擬似書込サイリスタMdのカソード端子の電位は「H」から−1.65Vになる。しかし、しきい電圧が−3Vの擬似書込サイリスタMdはターンオンできない。
時刻kの直後においては、転送サイリスタT1、書込サイリスタM1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で、点灯(発光)している。
【0150】
すなわち、発光チップCb1およびCb2のそれぞれの発光サイリスタL1が点灯(発光)している。オン状態の発光サイリスタLに流れる電流は等しいので、発光チップCb1および発光チップCb2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0151】
(12)時刻l
時刻lにおいて発光チップ群#aの発光チップCa1と発光チップ群#bの発光チップCb1とが構成する発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。なお、擬似書込信号φD1は、「H」を維持している。
一方、発光チップ群#aの発光チップCa2と発光チップ群#bの発光チップCb2とが構成する発光チップ組#2に送信される書込信号φW2が、「L」から「H」に移行する。なお、擬似書込信号φD2は、「H」を維持している。
<発光チップCa1>
書込信号φW1が「L」から「H」に移行すると、φW端子の電位が「L」から「H」になる。φE端子の電位は「H」であるので、書込信号線74の電位は−1.65Vから「H」(0V)になる。よって、いずれの書込サイリスタMもオフ状態を維持する。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻lの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態にあって点灯(発光)している
【0152】
<発光チップCa2>
書込信号φW1が「L」から「H」に移行すると、φW端子の電位が「L」から「H」になる。φE端子の電位は「H」であるので、書込信号線74の電位は−1.65Vから「H」(0V)になる。よって、いずれの書込サイリスタMもオフ状態を維持する。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
時刻lの直後においては、転送サイリスタT1および擬似発光サイリスタLdがオン状態にある
【0153】
すなわち、時刻lにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態にあり、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0154】
<発光チップCb1、Cb2>
時刻fにおける発光チップCa1の動作と同様に、書込信号線74の電位は、オン状態の書込サイリスタM1のカソード端子の電位(−1.5V)より低い−1.65Vにまでなりうるので、書込サイリスタM1は引き続きオン状態を維持する。そして、書込信号線74の電位は、オン状態の書込サイリスタM1により−1.5Vを維持する。
また、点灯信号φIbが「H」であるので、スイッチトランジスタQbがオン状態にあって、ブロック電源ライン240bが「L」(−3.3V)を維持している。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻lの直後においては、転送サイリスタT1、書込サイリスタM1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0155】
すなわち、この状態では、発光チップCb1およびCb2の発光サイリスタL1が点灯(発光)している。オン状態の発光サイリスタLに流れる電流は等しいので、発光チップCb1および発光チップCb2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0156】
(13)時刻m
時刻mにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
第2転送信号φ2aが「H」から「L」に移行すると、φ2端子および電流制限抵抗R2を介して第2転送信号線73の電位が「H」から「L」になる。すると、しきい電圧が−3Vとなっていた転送サイリスタT2がターンオンする。そして、ゲート端子Gt2は「H」(0V)になる。また、カソード端子(図8の第2転送信号線73)の電位が−1.5Vになる。転送サイリスタT4以降の番号の大きい偶数番目の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。
【0157】
これにより、時刻bで説明したと同様に、転送サイリスタT3のしきい電圧が−3Vになり、書込サイリスタM2のしきい電圧が−3Vになる。しかし、書込信号線74の電位は「H」であるので、書込サイリスタM2はターンオンできない。さらに、ゲート端子Gl2の電位が−3Vになって、発光サイリスタL2のしきい電圧が−4.5Vになる。このとき、点灯信号線75の電位は、オン状態の発光サイリスタL1により−1.5Vとなっている。
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻mの直後において、転送サイリスタT1、転送サイリスタT2がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0158】
<発光チップCa2>
発光チップCa1と同様に、第2転送信号φ2aが「H」から「L」に移行すると、転送サイリスタT2がターンオンする。
なお、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「L」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
時刻mの直後において、転送サイリスタT1、転送サイリスタT2、擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0159】
すなわち、時刻mにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態にあり、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0160】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻lの直後の状態が維持される。
【0161】
(14)時刻n
時刻nにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
第1転送信号φ1aが「H」から「L」に移行すると、φ1端子および電流制限抵抗R1を介して第1転送信号線72の電位が「H」から「L」になる。すると、オン状態にあった転送サイリスタT1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。これにより、ゲート端子Gt1の電位が「H」から「L」(−3.3V)に移行し、転送サイリスタT1のしきい電圧が−4.8Vになる。また、結合ダイオードDx1は、アノード端子(ゲート端子Gt1)が「L」(−3.3V)、カソード端子(ゲート端子Gt2)が「H」(0V)となって、電流が流れない方向に電位が印加された状態(逆バイアス)になる。
同様に、接続ダイオードDy1は、アノード端子(ゲート端子Gt1)が「L」(−3.3V)となると、カソード端子(ゲート端子Gm1)が−1.5Vであったので、逆バイアスになる。これにより、接続ダイオードDy1のカソード端子(ゲート端子Gm1)は、電源線抵抗Rgy1を介して「L」(−3.3V)に向かって変化する。一方、発光サイリスタL1はオン状態にあるので、ゲート端子Gl1は「H」(0V)になっている。よって、接続ダイオードDz1は、カソード端子(ゲート端子Gm1)が「L」、カソード端子(ゲート端子Gl1)が「H」となって逆バイアスになる。よって、書込サイリスタM1は、ゲート端子Gm1が「L」になって、しきい電圧が−4.8Vになる。
【0162】
なお、擬似書込信号φD1は「H」を維持しているので、φD端子の電位は「H」である。よって、φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
また、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、発光サイリスタL1はオン状態を維持している。
時刻nの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0163】
<発光チップCa2>
発光チップCa1と同様に、第1転送信号φ1aが「L」から「H」に移行すると、転送サイリスタT1がターンオフする。
なお、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
一方、点灯信号φIaが「H」であるので、スイッチトランジスタQaがオン状態にあって、ブロック電源ライン240aが「L」(−3.3V)を維持している。よって、擬似発光サイリスタLdはオン状態を維持している。
時刻nの直後において、転送サイリスタT2、擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。
【0164】
すなわち、時刻nにおいても、発光チップCa1では発光サイリスタL1がオン状態にあり、発光チップCa2では擬似発光サイリスタLdがオン状態にある。オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流を等しくしているので、発光チップCa1および発光チップCa2のそれぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0165】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻lの直後の状態が維持される。
【0166】
(15)時刻o
時刻oにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。また、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光装置65>
点灯信号φIaが「H」から「L」に移行すると、オン状態にあったスイッチトランジスタQa1〜Qa4のベース端子の電位が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、各スイッチトランジスタQa1〜Qa4のエミッタ端子とベース端子との間がともに「L」(−3.3V)となるので、スイッチトランジスタQa1〜Qa4がオフ状態になる。これにより、基準電位Vsubに接続された電源線抵抗Rcを介して、ブロック電源ライン240a1〜240a4(スイッチトランジスタQa1〜Qa4のコレクタ端子)が、基準電位Vsubの「H」(0V)になる。そして、電流制限抵抗Riを介して、発光チップ群#aのφI端子が「H」(0V)になる。
【0167】
<発光チップCa1>
発光チップ群#aの発光チップCa1のφI端子が「H」(0V)になって、点灯信号線75の電位が「H」になると、オン状態であった発光サイリスタL1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となってターンオフし、消灯する(非点灯になる)。これにより、ゲート端子Gl1が「L」になって、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.8Vになる。
すなわち、発光チップCa1の発光サイリスタL1は、時刻eの書込信号φW1が「H」から「L」に移行するタイミングで点灯(発光)(ターンオン)し、時刻oの点灯信号φIaが「H」から「L」に移行するタイミングで消灯(ターンオフ)する。時刻eから時刻oまでの期間が、発光チップCa1の発光サイリスタL1の点灯(発光)期間に対応する。
時刻oの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態にある。
【0168】
<発光チップCa2>
発光チップCa1と同様に、発光チップCa2のφI端子が「H」(0V)になって、点灯信号線75の電位が「H」になる。
すると、オン状態であった擬似発光サイリスタLdは、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となってターンオフする。これにより、ゲート端子Gldが「L」になって、擬似発光サイリスタLdのしきい電圧は−4.8Vになる。
【0169】
すなわち、時刻oにおいて、発光チップCa1の発光サイリスタL1がターンオフして消灯すると並行して、発光チップCa2の擬似発光サイリスタLdもターンオンする。よって、発光チップCa1およびCa2には、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdに電流が流れなくなる。
【0170】
<発光チップCb1、Cb2>
許可信号φEbが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行すると、発光チップCa1の時刻hと同様に、書込信号線74の電位が「H」に移行する。これにより、オン状態の書込サイリスタM1がターンオフする。
なお、発光サイリスタL1はオン状態を維持する。
時刻oの直後においては、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0171】
すなわち、時刻oにおいて、発光チップCb1およびCb2の発光サイリスタL1が点灯(発光)している。オン状態の発光サイリスタLに流れる電流は等しいので、発光チップCb1および発光チップCb2それぞれのφI端子には等しい電流が流れている。
【0172】
なお、本実施の形態では、時刻oにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaを「H」から「L」に移行し、発光チップ群#bに送信される許可信号φEbを「L」から「H」に移行したが、これらの移行を同時にする必要はなく、いずれが先でもかまわない。
【0173】
(16)時刻p
時刻pにおいて、発光チップ群#aに送信される点灯信号φIaが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。時刻pからは、発光チップ群#aにおいて、発光サイリスタL1の点灯制御の期間Ta(1)が終了し、発光サイリスタL2の点灯制御の期間Ta(2)が開始する。
<発光チップCa1、Ca2>
第1転送信号φ1aおよび第2転送信号φ2aは、期間Tの2倍の期間(2T)(期間Ta(1)およびTa(2))を周期として変化するため、これらの信号の波形は期間Ta(1)とTa(2)とで異なる。しかし、期間Ta(2)以降の発光チップ群#aの動作は、転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタLの番号が異なるが、期間Ta(1)で説明したことで理解できる。よって、説明を省略する。
【0174】
<発光チップCb1、Cb2>
発光チップ群#bに送信される信号に変化がないので、時刻oの直後の状態が維持される。
【0175】
(17)時刻q
時刻qにおいて、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。また、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光装置65>
点灯信号φIbが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、時刻oの点灯信号φIaの「H」から「L」への以降と同様に、オン状態にあったスイッチトランジスタQb1〜Qb4のベース端子の電位が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、各スイッチトランジスタQb1〜Qb4のエミッタ端子とベース端子との間がともに「L」(−3.3V)となるので、スイッチトランジスタQb1〜Qb4がオフ状態になる。これにより、基準電位Vsubに接続された電源線抵抗Rcを介して、ブロック電源ライン240b1〜240b4(スイッチトランジスタQb1〜Qb4のコレクタ端子)が、基準電位Vsubの「H」(0V)になる。そして、電流制限抵抗Riを介して発光チップ群#bの発光チップCbのφI端子が「L」(−3.3V)から「H」(0V)になる。
【0176】
<発光チップCa1、Ca2>
発光チップ群#aについては、説明を省略する。
<発光チップCb1、Cb2>
時刻oにおける発光チップCa1の動作と同様に、φI端子が「L」(−3.3V)から「H」(0V)になると、点灯信号線75(図8参照)の電位が「H」になる。すると、オン状態であった発光サイリスタL1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となってターンオフし、消灯する(非点灯になる)。これにより、ゲート端子Gl1が「L」に向かって移行する。そして、発光サイリスタL1のしきい電圧は−4.8Vになる。
すなわち、発光チップCb1、Cb2の発光サイリスタL1は、時刻kの書込信号φW1が「H」から「L」に移行するタイミングで点灯(発光)(ターンオン)し、時刻qの点灯信号φIbが「H」から「L」に移行するタイミングで消灯(ターンオフ)する。時刻kから時刻qまでの期間が、発光チップCb1、Cb2の発光サイリスタL1の点灯(発光)期間に対応する。
φE端子およびφD端子の電位がともに「H」であるので、擬似書込サイリスタMdはオフ状態を維持する。
時刻qの直後においては、転送サイリスタT2がオン状態にある。
【0177】
すなわち、時刻qにおいて、発光チップCb1およびCb2の発光サイリスタL1が並行してターンオフして消灯する。よって、発光チップCa1およびCa2には、発光サイリスタLおよび擬似発光サイリスタLdに電流が流れなくなる。
【0178】
(18)時刻r
時刻rにおいて、発光チップ群#bに送信される点灯信号φIbが「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。時刻rからは、発光チップ群#bにおいて、発光サイリスタL1の点灯制御の期間Tb(1)が終了し、発光サイリスタL2の点灯制御の期間Tb(2)が開始する。
期間Tb(2)以降の発光チップ群#bの動作は、転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタLの番号が異なるが、期間Tb(1)で説明したことで理解できる。よって、説明を省略する。
【0179】
以上説明した発光チップCの動作を、図8を参照しつつ、まとめて説明する。
はじめに転送サイリスタTの動作を説明する。
本実施の形態における発光チップCでは、2相の転送信号(第1転送信号φ1および第2転送信号φ2)により、転送サイリスタTのオン状態を順に移している。
すなわち、2相の転送信号の内の一方の転送信号が「L」(−3.3V)になることにより、一方の転送信号がカソード端子に送信された転送サイリスタTがオン状態になり、そのゲート端子Gtが「H」(0V)になる。「H」(0V)になったゲート端子Gtと順バイアスの結合ダイオードDxで接続された隣接する転送サイリスタTのゲート端子Gtの電位が−1.5Vになる。これにより、順バイアスの結合ダイオードDxで接続された隣接する転送サイリスタTは、しきい電圧が上昇(本実施の形態では、−4.5Vから−3V)し、他方の転送信号が「L」(−3.3V)となるタイミングでオン状態になる。
つまり、2相の転送信号(第1転送信号φ1および第2転送信号φ2)を、「L」(−3.3V)の期間が重なる(図9における時刻mから時刻nまでの期間)ように、時間軸上でずらして送信することにより、転送サイリスタTをオン状態が伝播するように順にオン状態に設定する。
【0180】
そして、転送サイリスタTがオン状態になって、ゲート端子Gtが「H」(0V)になると、ゲート端子Gtに接続ダイオードDyを介して接続された書込サイリスタMのゲート端子Gmの電位が−1.5Vになり、書込サイリスタMのしきい電圧が−3Vとなる。
【0181】
そして、許可信号φE(φEaまたはφEb)と書込信号φW(φW1〜φW32)とが共に「L」であるとき、書込信号線74の電位が「L」(−3.3V)になって、書込サイリスタMがターンオンする。
書込サイリスタMがオン状態になって、書込サイリスタMのゲート端子Gmが「H」(0V)になると、ゲート端子Gmに接続ダイオードDzを介して接続されたゲート端子Glの電位が−1.5Vになり、発光サイリスタLのしきい電圧が−3Vになる。
【0182】
許可信号φE(φEaまたはφEb)と書込信号φW(φW1〜φW32)とが共に「L」になる時刻の前に、点灯信号φI(φIaまたはφIb)を「L」(−3.3V)から「H」(0V)に設定する。
スイッチトランジスタQのエミッタ端子は、「L」(−3.3V)の点灯電位VIに接続されている。よって、点灯信号φIが「H」(0V)になると、npn型のスイッチトランジスタQのエミッタ端子とベース端子との間が順バイアスになって、スイッチトランジスタQがオン状態になる。すると、電源線抵抗Rcを介して基準電位Vsub(「H」(0V))になっていたブロック電源ライン240(スイッチトランジスタQのコレクタ端子)は、エミッタ端子の電位(「L」(−3.3V))になる。そして、電流制限抵抗Riを介してブロック電源ライン240に接続された、発光チップCのφI端子は、「L」(−3.3V)になる。
よって、許可信号φEと書込信号φWとが共に「L」になるタイミング(時刻)において、発光サイリスタLがターンオンしてオン状態となって、点灯(発光)する。
【0183】
一方、発光サイリスタLを非点灯とするときは、書込信号φW(φW1〜φW32)を「H」に維持して、書込サイリスタMをターンオンさせない。これにより、発光サイリスタLのしきい電圧が−4.5Vに維持され、発光チップCのφI端子は、「L」(−3.3V)になっても、発光サイリスタLはターンオンできない。
【0184】
さらに、本実施の形態では、発光サイリスタLを非点灯とするときに書込信号φW(φW1〜φW32)を「H」に維持するが、そのとき擬似書込信号φD(φD1〜φD32)を「L」に設定している。そして、許可信号φE(φEaまたはφEb)と擬似書込信号φD(φD1〜φD32)とが共に「L」であるとき、擬似書込サイリスタMdをターンオンさせている。そして、擬似書込サイリスタMdがターンオンすると、擬似発光サイリスタLdがターンオンしてオン状態になる。
なお、発光サイリスタLを点灯するときは擬似書込信号φD(φD1〜φD32)を「H」に維持することで、擬似書込サイリスタMdをオフ状態に維持している。
【0185】
このようにして、発光チップCにおいて、発光サイリスタLまたは擬似発光サイリスタLdのいずれか一方がオン状態になり、発光チップCのそれぞれのφI端子に流れる電流が等しくなるように設定している。
なお、書込信号φWと擬似書込信号φDとは、相補的な関係になっていて、書込信号φWが「L」である期間は、擬似書込信号φDは「H」を維持し、擬似書込信号φDが「L」である期間は、書込信号φWは「H」を維持する。
【0186】
なお、許可信号φEまたは書込信号φWのいずれか一方が「L」である状態は、いわゆる半選択の状態であって、書込サイリスタMはターンオンしない。同様に、許可信号φEと擬似書込信号φDのいずれか一方が「L」になる状態は、いわゆる半選択の状態であって、擬似書込サイリスタMdはターンオンしない。
よって、許可信号φEにより、発光チップ群を切り替えて制御している。
すなわち、発光チップ群#aの発光チップCaに送信する許可信号φEaの「L」の期間と、発光チップ群#bの発光チップCbに送信する許可信号φEbの「L」の期間とを設けている。そして、発光チップ群#aと発光チップ群#bとに属する発光チップCから構成される発光チップ組毎に、共通に書込信号φW(φW1〜φW32)および擬似書込信号φD(φD1〜φD32)を送信している。
そして、許可信号φEaの「L」の期間と許可信号φEbの「L」の期間とに対応させて、書込信号φW(φW1〜φW32)または擬似書込信号φD(φD1〜φD32)のいずれか一方に「L」の期間を設けている。
このようにして、発光チップCを複数の群に分けて制御することで、発光装置65の配線(ライン)の数を抑制している。
【0187】
ここで、擬似発光サイリスタLdを有する擬似電流部104を設けることについて説明する。
図10は、スイッチトランジスタQの特性を示す図である。図10は、スイッチトランジスタQのコレクタ端子とエミッタ端子との間のコレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)に対するコレクタ端子を流れるコレクタ電流Ic(Q)との関係を示している。
npn型のスイッチトランジスタQのコレクタ電流Ic(Q)は、ベース電流Ib(Q)が一定の場合、コレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)が大きくなると流れ始め、のち飽和する。そして、コレクタ電流Ic(Q)は、ベース電流Ib(Q)の増加とともに、飽和したときの電流が大きくなる。
【0188】
本実施の形態では、8個の発光チップCに対して1個のスイッチトランジスタQから点灯のための電流が供給されている。それぞれの発光チップCは多くとも1個の発光サイリスタLを点灯させている。
すると、図10に示すように、8個の発光チップCのうち、1個の発光チップCが点灯するとき(発光サイリスタLが1個)にスイッチトランジスタQに流れる電流(Ic(Q)=1 chip)は、8個の発光チップCがすべて点灯するとき(発光サイリスタLが8個)にスイッチトランジスタQに流れる電流(Ic(Q)=8 chips)に比べて少ない。このため、点灯する発光チップCの数によって、スイッチトランジスタQのコレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)が変動することになる。すなわち、1個の発光チップCが点灯するときと、8個の発光チップCが点灯するときとでは、コレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)にコレクタ−エミッタ間電圧差ΔVce(Q)が生じてしまう。
【0189】
基準電位Vsubと点灯電位VIbとは変化しないので、擬似電流部104を設けない場合には、点灯させる発光チップCの数によって、コレクタ−エミッタ間電位Vce(Q)が変動し、電源ライン200とブロック電源ライン240との間(図6参照)の電位が変動してしまう。すなわち点灯する発光チップCの発光サイリスタLのアノード端子とカソード端子との間の電位が変動し、発光サイリスタLの光量が変動してしまう。
【0190】
本実施の形態では、発光チップCを点灯させるときは、発光サイリスタLをオン状態にし、発光チップCを点灯させないときは、擬似発光サイリスタLdをオン状態にしている。そして、オン状態の発光サイリスタLとオン状態の擬似発光サイリスタLdに流れる電流が等しくなるように設定しているので、点灯させる発光チップCの数によらず、スイッチトランジスタQには8個の発光チップCを点灯させたときの電流(Ic(Q)=8 chips)が流れることになる。
このことから、点灯させる発光チップCの数による、コレクタ−エミッタ間電圧差ΔVce(Q)が生じない。よって、電源ライン200とブロック電源ライン240との間(図6参照)の電位の変動が抑制されるので、発光サイリスタLの光量の変動が抑制される。
【0191】
本実施の形態では、擬似電流部104を、擬似発光サイリスタLdと擬似書込サイリスタMdとを含んで構成したが、他の素子による構成でもよい。スイッチトランジスタQを介して擬似電流部104に流れる電流が、同様にスイッチトランジスタQを介して発光サイリスタLに流れる電流と等しくなるように設定されればよい。
【0192】
さらに、本実施の形態では、基準電位供給部160から各発光チップブロックBまで、個別に基準電位Vsubが供給される電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4を設け、基準電位供給部160から各発光チップブロックBまでの電源ライン200(電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4)の抵抗値が等しくなるように設定している。これにより、電源ライン200(電源ライン200a1〜200a4、200b1〜200b4)で生じる電位降下の差を抑制している。
同様に、点灯電位供給部180(点灯電位供給部180aおよび180b)から各発光チップブロックBまで、個別に電源ライン207(電源ライン207a1〜207a4、207b1〜207b4)を設け、点灯電位供給部180(点灯電位供給部180aおよび180b)から各発光チップブロックBまでの電源ライン207(電源ライン207a1〜207a4、207b1〜207b4)の抵抗値が等しくなるように設定している。これにより、電源ライン207(電源ライン207a1〜207a4、207b1〜207b4)で生じる電位降下の差を抑制している。
【0193】
このようにすることで、発光チップブロックB間における発光サイリスタLの光量の変動が抑制される。
【0194】
なお、本実施の形態では、発光サイリスタL間における光量に差がないとしたが、光量に差がある場合には、点灯期間を調整することなどにより、光量を補正してもよい。
【0195】
本実施の形態における発光装置65において、発光チップブロックBの発光チップCの数を8個としたが、8個に限られず、8個より少なくてもよく、多くてもよい。
発光装置65の発光チップCにおいて、転送サイリスタTは、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2の2相で駆動したが、転送サイリスタTを3個毎に3相の転送信号を送信して駆動してもよい。同様にして、4相以上の転送信号を送信しても駆動してもよい。
また、本実施の形態が適用される発光チップCにおいて、結合ダイオードDxを用いたが、一方の端子の電位の変化により他方の端子の電位の変化が生じるものであればよく、結合ダイオードDxの代わりに抵抗などを用いてもよい。
さらに、接続ダイオードDy、Dzを用いたが、電位降下を生じさせて電位をシフトさせるものであればよく、接続ダイオードDy、Dzの代わりに抵抗などであってもよい。
【0196】
なお、本実施の形態における発光装置65において、発光チップCには、自己走査型発光素子アレイ(SLED)が1個搭載されているとしたが、2個以上であってもよい。2個以上搭載されている場合には、それぞれの自己走査型発光素子アレイ(SLED)を発光チップCと置き換えればよい。
【0197】
そして、本実施の形態が適用される発光装置65において、発光チップ群を2個(#a、#b)としたが、3以上の群としてもよい。
そして、本実施の形態が適用される発光装置65において、発光チップ群を構成する発光チップCの数および発光チップ組を構成する発光チップCの数を同じとしたが、異なっていてもよい。また、発光チップ組を構成する発光チップCは、それぞれが異なる発光チップ群に属しているとしたが、同じ発光チップ群に属する発光チップCを含んでいてもよい。
【0198】
さらに、本実施の形態が適用される発光装置65の発光チップCは、サイリスタ(転送サイリスタT、書込サイリスタM、発光サイリスタL、擬似書込サイリスタMd、擬似発光サイリスタLd)のアノード端子を基板80にとって共通にしたアノードコモンとして説明した。カソード端子を基板80としたカソードコモンも、回路の極性を変更することによって用いうる。
【符号の説明】
【0199】
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、14…プリントヘッド、30…画像出力制御部、40…画像処理部、62…回路基板、63…光源部、64…ロッドレンズアレイ、65…発光装置、101…転送部、102…発光部、103…設定部、104…擬似電流部、110…信号発生回路、120(120a、120b)…転送信号発生部、130(130a、130b)…許可信号発生部、140(140a、140b)…点灯信号発生部、150…書込信号発生部、160…基準電位供給部、170…電源電位供給部、180(180a、180b)…点灯電位供給部、φ1(φ1a、φ1b)…第1転送信号、φ2(φ2a、φ2b)…第2転送信号、φE(φEa、φEb)…許可信号、φW(φW1〜φW32)…書込信号、φD(φD1〜φD32)…擬似書込信号、φI(φIa、φIb)…点灯信号、B(Ba1〜Ba4、Bb1〜Bb4)…発光チップブロック、C(Ca1〜Ca32、Cb1〜Cb32)…発光チップ、L…発光サイリスタ、T…転送サイリスタ、M…書込サイリスタ、Dx…結合ダイオード、Dy、Dz…接続ダイオード、Q(Qa1〜Qa4、Qb1〜Qb4)…スイッチトランジスタ、Vga…電源電位、Vsub…基準電位、VI(VIa、VIb)…点灯電位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光素子列と、
前記基板上に設けられ、それぞれが前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送素子列と、
前記基板上に設けられ、前記発光素子が非点灯に設定されたときに電流が流れる擬似電流部と
を備えた発光チップ。
【請求項2】
前記発光チップは、前記基板上に設けられ、それぞれが前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、前記点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子を備える書込素子列をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発光チップ。
【請求項3】
前記発光チップの擬似電流部は、前記発光素子と等価な構造を有する擬似発光素子および前記書込素子と等価な構造を有する擬似書込素子とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の発光チップ。
【請求項4】
基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、
前記複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、
前記複数の発光チップに対して、前記オン状態の転送素子により前記点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段と
を備えた発光装置。
【請求項5】
前記発光装置は、それぞれが、前記複数の発光チップが分けられて構成された複数のブロックのそれぞれのブロックに対応して設けられ、当該ブロックに含まれる発光チップに点灯のための電流が供給されるように接続され、点灯のための電流がオンまたはオフのいずれか一方に設定される、複数の切替手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光装置は、基準電位を供給する基準電位供給手段をさらに備え、前記複数の発光チップに基準電位を供給する電源ラインは、当該基準電位供給手段から、前記ブロック毎に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光装置は、点灯のための電位を供給する点灯電位供給手段をさらに備え、前記複数の切替手段に点灯のための電位を供給する電源ラインは、当該点灯電位供給手段から、前記ブロック毎に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光装置の前記転送信号供給手段は、前記複数の発光チップが、N群(Nは2以上の整数)に分けられたそれぞれの群毎に転送信号を送信するとともに、当該発光装置の前記書込信号供給手段は、当該N群のそれぞれに属する発光チップを、当該群をまたいでJ組(Jは2以上の整数)に分けられたそれぞれの組毎に、前記点灯または非点灯の制御において点灯に設定された発光素子を備える発光チップには発光素子を点灯に設定する書込信号を、当該点灯または非点灯の制御において非点灯に設定された発光素子を備える発光チップには擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込信号を送信することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記切替手段は、第1の端子と第2の端子と制御端子とを備え、制御端子により第1の端子と第2の端子との間の電流がオンまたはオフのいずれか一方に設定されるとともに、第1の端子と第2の端子との間に流れる電流により、第1の端子と第2の端子の間の電位が変化する3端子能動素子であることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項10】
基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該オン状態の転送素子により当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備えた発光手段と、
前記発光手段から照射される光を結像させる光学手段と
を備えたことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項11】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該オン状態の転送素子により当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備え、光学手段を介して前記像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に列状に設けられた複数の発光素子を備える発光素子列と、
前記基板上に設けられ、それぞれが前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子を備える転送素子列と、
前記基板上に設けられ、前記発光素子が非点灯に設定されたときに電流が流れる擬似電流部と
を備えた発光チップ。
【請求項2】
前記発光チップは、前記基板上に設けられ、それぞれが前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、前記点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子を備える書込素子列をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発光チップ。
【請求項3】
前記発光チップの擬似電流部は、前記発光素子と等価な構造を有する擬似発光素子および前記書込素子と等価な構造を有する擬似書込素子とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の発光チップ。
【請求項4】
基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、
前記複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの前記複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、
前記複数の発光チップに対して、前記オン状態の転送素子により前記点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段と
を備えた発光装置。
【請求項5】
前記発光装置は、それぞれが、前記複数の発光チップが分けられて構成された複数のブロックのそれぞれのブロックに対応して設けられ、当該ブロックに含まれる発光チップに点灯のための電流が供給されるように接続され、点灯のための電流がオンまたはオフのいずれか一方に設定される、複数の切替手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光装置は、基準電位を供給する基準電位供給手段をさらに備え、前記複数の発光チップに基準電位を供給する電源ラインは、当該基準電位供給手段から、前記ブロック毎に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光装置は、点灯のための電位を供給する点灯電位供給手段をさらに備え、前記複数の切替手段に点灯のための電位を供給する電源ラインは、当該点灯電位供給手段から、前記ブロック毎に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光装置の前記転送信号供給手段は、前記複数の発光チップが、N群(Nは2以上の整数)に分けられたそれぞれの群毎に転送信号を送信するとともに、当該発光装置の前記書込信号供給手段は、当該N群のそれぞれに属する発光チップを、当該群をまたいでJ組(Jは2以上の整数)に分けられたそれぞれの組毎に、前記点灯または非点灯の制御において点灯に設定された発光素子を備える発光チップには発光素子を点灯に設定する書込信号を、当該点灯または非点灯の制御において非点灯に設定された発光素子を備える発光チップには擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込信号を送信することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記切替手段は、第1の端子と第2の端子と制御端子とを備え、制御端子により第1の端子と第2の端子との間の電流がオンまたはオフのいずれか一方に設定されるとともに、第1の端子と第2の端子との間に流れる電流により、第1の端子と第2の端子の間の電位が変化する3端子能動素子であることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項10】
基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該オン状態の転送素子により当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備えた発光手段と、
前記発光手段から照射される光を結像させる光学手段と
を備えたことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項11】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
基板と、当該基板上に列状に設けられた複数の発光素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、順にオン状態になることにより、対応する発光素子を点灯または非点灯の制御の対象として指定する複数の転送素子と、当該基板上に設けられ、それぞれが当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を点灯に設定する複数の書込素子と、当該基板上に設けられ、当該発光素子が非点灯に設定されたときに、オン状態になる擬似発光素子と、当該基板上に設けられ、当該擬似発光素子に対応して設けられ、オン状態になることにより、当該擬似発光素子をオン状態に設定する擬似書込素子とをそれぞれ備えた複数の発光チップと、当該複数の発光チップに対して、当該複数の発光チップのそれぞれの発光チップの当該複数の転送素子を順にオン状態が伝播するように転送信号を送信する転送信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該オン状態の転送素子により当該点灯または非点灯の制御の対象として指定された発光素子を、点灯に指定するときは、当該発光素子に対応する書込素子に書込信号を送信し、非点灯に指定するときは、当該擬似書込素子に擬似書込信号を送信する書込信号供給手段とを備え、光学手段を介して前記像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−101497(P2012−101497A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253484(P2010−253484)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]