説明

発光素子の製造方法

【課題】高い発光強度を有する発光素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】発光素子は、第1導電型のIII−V族窒化物系半導体からなるクラッド層兼コンタクト層4と、コンタクト層4上に形成されInを含有するIII−V族窒化物系半導体からなる活性層5と、活性層5上に形成されIII−V族窒化物系半導体からなるアンドープのキャップ層6と、キャップ層6上に形成され第2導電型のIII−V族窒化物系半導体からなるクラッド層7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子、発光素子およびその製造方法ならびに発光素子を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
GaN、AlGaN、InGaNまたはInAlGaN等のIII −V族窒化物系半導体からなる発光ダイオードや半導体レーザ素子等の発光素子は、直接遷移によって発光強度の大きい黄色から紫外領域の発光、特に青色発光が可能なことから注目されている。
【0003】
図8は従来のIII −V族窒化物系半導体からなる発光ダイオードを示す模式的断面図である。
【0004】
図8において、サファイヤ基板101上に、GaNバッファ層102、n型クラッド層でもあるn型GaNコンタクト層103、InGaN活性層104、p型AlGaNクラッド層105およびp型GaNコンタクト層106が順に形成されている。p型GaNコンタクト層106上にp側電極107が形成され、n型GaNコンタクト層103上にn側電極108が形成されている。
【0005】
この発光ダイオードの各層は、例えば、下記表1に示す成長温度で有機金属化学気相成長法(MOCVD法)により成長される。
【0006】
【表1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の発光ダイオードの製造時には、p型AlGaNクラッド層105は、InGaN活性層104上に結晶性良く成長するように、InGaN活性層104の成長温度よりも高い成長温度で形成される。このような高温でのp型AlGaNクラッド
層105の成長時にInGaN活性層104からIn等の構成元素が脱離する。これにより、p型AlGaNクラッド層105の結晶成長時にInGaN活性層104の結晶性が劣化する。この結果、発光ダイオードの発光強度を大きくすることが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、高い発光強度を有する発光素子およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
第1の発明に係る半導体素子は、結晶成長可能な第1の成長温度で形成された第1の半導体層と、第1の半導体層上に第1の成長温度とほぼ同じかまたは低い第2の成長温度で形成された第2の半導体層と、第2の半導体層上に第1の成長温度よりも高い第3の成長温度で形成された第3の半導体層とを備えたものである。
【0010】
本発明に係る半導体素子においては、第1の半導体層上に第1の半導体層の成長温度とほぼ同じかまたは低い成長温度で第2の半導体層が設けられているので、第2の半導体層上に第3の半導体層を第1の半導体層の結晶成長可能な温度よりも高い成長温度で形成した場合でも、第1の半導体層から構成元素が脱離することが抑制される。したがって、第1の半導体層の結晶性の劣化が防止され、半導体素子の性能が向上する。
【0011】
第1の半導体層がインジウムを含んでもよい。この場合、第1の半導体層からインジウム等の構成元素が脱離することが抑制される。
【0012】
第2の発明に係る発光素子は、第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、インジウムを含む化合物半導体からなる活性層と、化合物半導体からなるキャップ層と、第2導電型の化合物半導体からなる第2のクラッド層とをこの順に備えたものである。
【0013】
本発明に係る発光素子においては、活性層上にキャップ層が設けられているので、活性層からインジウム等の構成元素が脱離することが抑制される。その結果、発光強度を大きくすることができる。
【0014】
第1のクラッド層は第1導電型の窒化物系半導体からなり、活性層は窒化物系半導体からなり、キャップ層は窒化物系半導体からなり、第2のクラッド層は第2導電型の窒化物系半導体からなる。
【0015】
第1のクラッド層は第1導電型のIII −V族窒化物系半導体からなり、活性層はIII −V系窒化物系半導体からなり、キャップ層はIII −V族窒化物系半導体からなり、第2のクラッド層は第2導電型のIII −V族窒化物系半導体からなってもよい。キャップ層が活性層上の全面に密接して形成されることが好ましい。
【0016】
活性層がInGaN層からなってもよい。この場合、インジウムは脱離しやすいので、顕著な効果が得られる。キャップ層はAlGaN層からなってもよく、GaN層からなることが好ましい。
【0017】
キャップ層はAlu Ga1-u Nからなり、第2のクラッド層は第2導電型のAlz Ga1-z Nからなってもよく、キャップ層のAl組成比uは第2のクラッド層のAl組成比zよりも小さいことが好ましい。第1のクラッド層は、製造歩留りの観点からGaNからなることが好ましい。
【0018】
特に、キャップ層のAl組成比uがほぼ0.1以下であることが好ましい。キャップ層がGaNからなることがより好ましい。この場合、キャップ層がGaN層からなるので、
活性層からインジウム等の構成元素が脱離することが抑制される。その結果、発光強度を顕著に大きくすることができる。
【0019】
キャップ層は、活性層よりも大きなバンドギャップを有することが好ましい。これにより、キャップ層が発光領域となることが防止される。
【0020】
また、キャップ層は、活性層と第2のクラッド層の中間のバンドギャップを有することが好ましい。これにより、動作電圧を低くすることが可能となる。
【0021】
キャップ層の不純物濃度は、第2のクラッド層の不純物濃度よりも低いことが好ましい。これにより、キャップ層側から活性層へ不所望な不純物が拡散するおそれが小さくなる。その結果、不所望な不純物拡散による発光強度の劣化を抑制することができる。
【0022】
特に、キャップ層がアンドープ層であることがより好ましい。この場合、キャップ層側から活性層へ不所望な不純物が拡散するおそれがほとんどなくなる。その結果、不所望な不純物拡散による発光強度の劣化を十分に抑制することができる。
【0023】
キャップ層の厚さはほぼ200Å以上ほぼ400Å以下であることが好ましい。これにより、発光強度を顕著に大きくすることが可能となる。
【0024】
第1のクラッド層は、半導体または絶縁体からなる基板上にAlx Ga1-x Nからなるバッファ層を介して形成されてもよく、バッファ層のAl組成比xは0より大きく1以下であることが好ましい。これにより、製造歩留りが向上する。
【0025】
特に、バッファ層のAl組成比xが0.4以上で1より小さいことがより好ましい。これにより、製造歩留りがより向上する。バッファ層のAl組成比xが0.4以上0.6以下がさらに好ましい。これにより、製造歩留りがさらに向上する。
【0026】
発光素子が、バッファ層と第1のクラッド層との間にAly Ga1-y Nからなる下地層をさらに備えてもよく、下地層のAl組成比yは0以上で1より小さいことが好ましい。これにより、製造歩留りが向上する。
【0027】
第3の発明に係る半導体素子の製造方法は、第1の半導体層を結晶成長可能な第1の成長温度で気相成長法により形成する工程と、第1の半導体層上に第2の半導体層を第1の成長温度とほぼ同じかまたは低い第2の成長温度で気相成長法により形成する第2の工程と、第2の半導体層上に第3の半導体層を第1の成長温度よりも高い第3の成長温度で気相成長法により形成する第3の工程とを含む。
【0028】
本発明の製造方法によれば、第1の半導体層上に第2の半導体層が第1の半導体層の成長温度とほぼ同じかまたは低い成長温度で形成されるので、第2の半導体層上に第1の半導体層の結晶成長可能な温度よりも高い成長温度で第3の半導体層を形成した場合でも、第1の半導体層から構成元素が脱離することが抑制される。したがって、第1の半導体層の結晶性の劣化が防止され、高性能の半導体素子が得られる。
【0029】
第4の発明に係る発光素子の製造方法は、インジウムを含有する化合物半導体からなる活性層を気相成長法により形成する工程と、活性層上に活性層の成長温度とほぼ同じかまたは低い成長温度で化合物半導体からなるキャップ層を気相成長法により形成する工程とを含む。
【0030】
本発明に係る製造方法によれば、活性層上に活性層の成長温度とほぼ同じかまたは低い
成長温度でキャップ層が形成されるので、活性層からインジウム等の構成元素が脱離することが抑制される。その結果、発光強度を大きくすることができる。
【0031】
本発明の製造方法は、キャップ層上に活性層が結晶成長可能な成長温度よりも高い成長温度で化合物半導体からなるクラッド層を気相成長法により形成する工程をさらに含んでもよい。
【0032】
活性層は窒化物系半導体からなり、キャップ層は窒化物系半導体からなってもよい。クラッド層は一導電型の窒化物系半導体からなってもよい。
【0033】
活性層はIII −V族窒化物系半導体からなり、キャップ層はIII −V族窒化物系半導体からなってもよい。クラッド層は一導電型のIII −V族窒化物半導体からなってもよい。特に、活性層がInGaN層からなってもよい。この場合、インジウムは脱離しやすいので、顕著な効果が得られる。
【0034】
キャップ層はAlu Ga1-u Nからなり、クラッド層は一導電型のAlz Ga1-z Nからなり、キャップ層のAl組成比uはクラッド層のAl組成比zよりも小さいことが好ましい。
【0035】
特に、キャップ層のAl組成比uがほぼ0.1以下であることが好ましい。キャップ層がGaNからなることがさらに好ましい。この場合、キャップ層がGaN層からなるので、活性層からインジウム等の構成元素が脱離することが抑制される。この結果、発光強度を顕著に大きくすることができる。
【0036】
特に、キャップ層がアンドープ層であることが好ましい。この場合、キャップ層側から活性層側へ不所望な不純物が拡散するおそれがほとんどなくなる。その結果、不所望な不純物拡散による発光強度の劣化を十分に抑制することができる。
【0037】
キャップ層の厚さはほぼ200Å以上ほぼ400Å以下であることが好ましい。これにより、発光強度を顕著に大きくすることが可能となる。
【0038】
キャップ層を活性層の成長温度とほぼ同じ成長温度で形成することが好ましい。この場合、活性層の形成後に時間間隔をあけずにキャップ層を連続的に形成することができるので、活性層からの構成元素の脱離を顕著に防止することができる。
【0039】
キャップ層の成長温度は、活性層が単結晶成長する温度であることが好ましい。活性層の成長温度は700℃以上950℃以下であることが好ましい。キャップ層の成長温度は700℃以上950℃以下であることが好ましい。この場合、活性層上に低い成長温度でキャップ層が形成されるので、活性層からインジウム等の構成元素が脱離することが抑制される。
【0040】
活性層は、InGaN量子井戸層とGaN量子障壁層とからなる量子井戸構造を有し、GaN量子障壁層を700℃以上950℃以下の成長温度で気相成長法により形成することが好ましい。この場合、InGaN量子井戸層からインジウム等の構成元素の脱離を抑制することができるので、発光強度を大きくすることができる。量子障壁層として量子井戸層よりもIn組成の少ないInGaNを用いてもよい。
【0041】
特に、発光素子の製造方法が、第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層を気相成長法により形成する工程と、第1のクラッド層上にインジウムを含有する化合物半導体からなる活性層を気相成長法により形成する工程と、活性層上に活性層が気相成長可
能な温度とほぼ同じかまたは低い成長温度で化合物半導体からなるキャップ層を気相成長法により形成する工程と、キャップ層上に活性層が気相成長可能な温度よりも高い温度で第2導電型の化合物半導体からなる第2のクラッド層を気相成長法により形成する工程とを含んでもよい。
【0042】
第1のクラッド層は第1導電型の窒化物系半導体からなり、活性層は窒化物系半導体からなり、キャップ層は窒化物系半導体からなり、第2のクラッド層は第2導電型の窒化物系半導体からなってもよい。
【0043】
第1のクラッド層は第1導電型のIII −V族窒化物系半導体からなり、活性層はIII −V族窒化物系半導体からなり、キャップ層はIII −V族窒化物系半導体からなり、第2のクラッド層は第2導電型のIII −V族窒化物系半導体からなってもよい。
【0044】
基板上に、非単結晶のIII −V族窒化物系半導体からなるバッファ層およびアンドープのIII −V族窒化物系半導体からなる単結晶下地層をこの順で形成した後、第1のクラッド層、活性層、キャップ層および第2のクラッド層を結晶成長させることが好ましい。バッファ層はAlGaNからなることが好ましい。また、バッファ層がAlNからなってもよい。下地層はGaNからなることが好ましく、下地層がAlGaNからなってもよい。
【0045】
第5の発明に係る電子機器は、第2の発明に係る発光素子を備えたものである。第2の発明に係る発光素子は、高い発光強度を有するので、電子機器の光学的性能が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の第1の実施例におけるIII −V族窒化物系半導体からなる発光ダイオードを図1を用いて詳細に説明する。
【0047】
図1において、サファイヤ絶縁基板1上に、層厚110ÅのアンドープのAlx Ga1-x N(x=0.5)バッファ層2、層厚0.2μmのアンドープのGaN下地層3、層厚4μmのn型クラッド層を兼用するSiドープのn型GaNコンタクト層4、およびZnおよびSiがドープされた層厚0.2μmのInq Ga1-q N(q=0.05)活性層5が順に形成されている。InGaN活性層5上には、その活性層5の結晶劣化を防止する層厚200ÅのアンドープのGaNキャップ層6、Mgがドープされた層厚0.15μmのp型Alz Ga1-z N(z=0.2)クラッド層7、およびMgがドープされた層厚0.3μmのp型GaNコンタクト層8が順に形成されている。
【0048】
p型GaNコンタクト層8からn型GaNコンタクト層4中の所定位置までの一部領域が除去され、n型GaNコンタクト層4が露出している。p型GaNコンタクト層8の上面にAuからなるp側電極9が形成され、n型GaNコンタクト層4が露出したn側電極形成領域上にAlからなるn側電極10が形成されている。
【0049】
上記の発光ダイオードの製造方法を説明する。本実施例では、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)により各層が形成される。
【0050】
まず、有機金属化学気相成長装置内に基板1を設置した後、その基板1を非単結晶成長温度、例えば600℃の成長温度(基板温度)に保持した状態にして、キャリアガスとしてH2 およびN2 、原料ガスとしてアンモニア、トリメチルガリウム(TMG)およびトリメチルアルミニウム(TMA)を用いて、基板1上に非単結晶のアンドープのAlGaNバッファ層2を成長させる。
【0051】
その後、基板1を単結晶成長温度、好ましくは1000〜1200℃、例えば1150
℃の成長温度に保持した状態にして、キャリアガスとしてH2 およびN2 、原料ガスとしてアンモニアおよびトリメチルガリウム(TMG)を用いて、バッファ層2上に単結晶のアンドープのGaN下地層3を成長させる。
【0052】
続いて、基板1を単結晶成長温度、好ましくは1000〜1200℃、例えば1150℃の成長温度に保持した状態で、キャリアガスとしてH2 およびN2 、原料ガスとしてアンモニアおよびトリメチルガリウム(TMG)、ドーパントガスとしてSiH4 を用いて、下地層3上に単結晶のSiドープのn型GaNコンタクト層4を成長させる。
【0053】
次に、基板1を単結晶成長温度、好ましくは700〜950℃、例えば860℃の成長温度に保持した状態にして、キャリアガスとしてH2 およびN2 、原料ガスとしてアンモニア、トリエチルガリウム(TEG)、トリメチルインジウム(TMI)、ドーパントガスとしてSiH4 およびジエチル亜鉛(DEZ)を用いて、n型コンタクト層4上に単結晶のSiおよびZnドープのInGaN活性層5を成長させる。
【0054】
引き続いて、基板1を活性層5の成長温度と同じかもしくはこれよりも低い温度、本実施例では860℃に保持した状態で、キャリアガスとしてH2 およびN2 、原料ガスとしてアンモニアおよびトリメチルガリウム(TMG)を用いて、InGaN活性層5上にその活性層5の成長に連続して単結晶のアンドープのGaNキャップ層6を成長させる。トリメチルガリウム(TMG)の代わりにトリエチルガリウム(TEG)を用いてもよい。
【0055】
その後、基板1を単結晶成長温度、好ましくは1000〜1200℃、例えば1150℃の成長温度に保持した状態にして、キャリアガスとしてH2 およびN2 、原料ガスとしてアンモニア、トリメチルガリウム(TMG)およびトリメチルアルミニウム(TMA)、ドーパントガスとしてCp2 Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用いて、GaNキャップ層6上に単結晶のMgドープのp型AlGaNクラッド層7を成長させる。
【0056】
次に、基板1を単結晶成長温度、好ましくは1000〜1200℃、例えば1150℃の成長温度に保持した状態にして、キャリアガスとしてH2 およびN2 、原料ガスとしてアンモニアおよびトリメチルガリウム(TMG)、ドーパントガスとしてCp2 Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用いて、p型クラッド層7上に単結晶のMgドープのp型GaNコンタクト層8を成長させる。
【0057】
上記結晶成長後、基板1を上記装置から取り出し、p型コンタクト層8からn型コンタクト層4の層途中までを反応性イオンビームエッチング法(RIE法)によりエッチング除去して、n型コンタクト層4が露出したn側電極形成領域を作製する。
【0058】
そして、p型コンタクト層8およびp型クラッド層7のドーパントを活性化して高キャリア濃度にするとともに、n型コンタクト層4のエッチングによる結晶劣化を回復するために、窒素雰囲気中、750℃〜800℃で30〜60分熱処理を行う。
【0059】
その後、p型コンタクト層8上にAuからなるp側電極9を蒸着法等により形成するとともに、n型コンタクト層4の上記n側電極形成領域上にAlからなるn側電極10を蒸着法等により形成した後、500℃で熱処理してp側電極9およびn側電極10をそれぞれp型コンタクト層8およびn型コンタクト層4にオーミック接触させ、図1に示す発光ダイオードを形成する。
【0060】
この発光ダイオードは、InGaN活性層5にアンドープのGaNキャップ層6が密接して形成された構成を有するので、InGaN活性層5の形成中または形成後にその活性層5からIn等の構成元素が脱離することが抑制される。この結果、活性層5の結晶欠陥
の数が低減し、結晶性の劣化が抑制される。
【0061】
また、上記活性層5は結晶欠陥が少ないので、この活性層5へ不所望な不純物が拡散することが抑制されると考えられる。
【0062】
さらに、本実施例のGaNキャップ層6は、故意にドーパントを使用することなく形成される所謂アンドープ層であるので、InGaN活性層5への不所望な不純物の拡散が十分に抑制される。
【0063】
このように、本実施例の場合、活性層5からの構成元素の脱離が抑制されて活性層5の結晶欠陥数が低減したことによる活性層5への不純物の拡散抑制効果と、キャップ層6がアンドープ層であることによる活性層5への不純物の拡散抑制効果の両効果により、活性層5への不所望な不純物拡散が顕著に抑制される。
【0064】
したがって、キャップ層6がない以外は本実施例と同じ発光ダイオードでは、発光波長のばらつきが大きく、また不発光あるいは低発光になる発光ダイオードの数が多いのに比べて、本実施例の発光ダイオードでは、発光波長のばらつきが小さく、発光強度が顕著に大きくなる。
【0065】
特に、本実施例の発光ダイオードの製造時には、InGaN活性層5の全面直上にアンドープのGaNキャップ層6をInGaN活性層5の成長温度以下の温度、本実施例では860℃で成長させるので、このキャップ層6を形成する際に、InGaN活性層5の構成元素の脱離を抑制できるとともに、キャップ層6を形成した後にInGaN活性層5からの構成元素の脱離を防止できる。したがって、本実施例の製造方法は好ましい製造方法である。
【0066】
特に、本実施例では、InGaN活性層5およびGaNキャップ層6の成長温度をほぼ同じとしてこれらを連続的に成長させるので、InGaN活性層5からの構成元素の脱離を十分に抑制できるとともに、量産性も向上する。
【0067】
なお、上述では、GaNキャップ層6の層厚を200Åとしたときの発光強度が340(任意単位)であるのに対して、GaNキャップ層6の層厚を100Åとしたときは、キャップ層6がない場合よりは大きいが、発光強度が36(任意単位)とほぼ10分の1となった。また、GaNキャップ層6の層厚を300Åとしたときは、200Åのときに比べて、発光強度が1.4倍となり、GaNキャップ層6の層厚を400Åとしたときは、200Åとしたときの0.8倍となった。
【0068】
このことから、GaNキャップ層6の層厚が200〜400Åのときに好ましい効果が得られる。すなわち、GaNキャップ層6の層厚は量子効果がほぼ生じない層厚以上が好ましいと推察される。
【0069】
さらに、本実施例では、基板1上に非単結晶のAlGaNバッファ層2を形成した後、単結晶成長条件でアンドープのGaN単結晶下地層3を形成するので、容易に下地層3の表面性を顕著に良好にできる。この結果、素子のリーク電流を抑制でき、素子の製造歩留りを向上できる。
【0070】
なお、非単結晶のバッファ層2としてGaN層を用いた場合、そのGaN層の表面にピットが発生して貫通欠陥となりやすいため、バッファ層2としてGaN層を用いることは製造歩留りの観点から好ましくない。アンドープの単結晶下地層3と組み合わせて用いられる非単結晶のバッファ層2としては、製造歩留りの観点からAlN層を用いることが好
ましく、AlGaN層を用いることが最も好ましい。
【0071】
AlGaN層のAl組成比を変えて表面状態およびX線回折スペクトルのFWHM(半値全幅)を測定した。その測定結果を表2に示す。
【0072】
【表2】

【0073】
表2の結果から、AlGaN層のAl組成比は0.4以上で1より小さいことが好ましく、0.4以上0.6以下がさらに好ましい。
【0074】
また、アンドープの単結晶下地層3としては、GaN層のほか、AlGaN層を用いてもよいが、AlN層を用いると表面にクラックが生じやすいので好ましくない。
【0075】
次に、本発明の第2の実施例におけるIII −V族窒化物系半導体からなる発光ダイオードを説明する。
【0076】
本実施例が第1の実施例と異なるのは、キャップ層6としてアンドープのGaN層に代えて層厚200ÅのアンドープのAlu Ga1-u N層を用いた点である。ここで、uはほぼ0.1および0.2である。このAlu Ga1-u N層もMOCVD法により形成され、成長温度は、活性層5の成長温度と同じかもしくはこれよりも低い温度、本実施例では860℃である。キャリアガスとしてはH2 およびN2 、原料ガスとしてはアンモニア、トリメチルガリウム(TMG)およびトリメチルアルミニウム(TMA)を用いる。トリメチルガリウム(TMG)の代わりにトリエチルガリウム(TEG)を用いてもよい。
【0077】
本実施例の発光ダイオードにおいても、キャップ層6を有さない発光ダイオードに比べて発光強度が顕著に大きくなることがわかった。
【0078】
しかしながら、第1の実施例で層厚200ÅのアンドープのGaNキャップ層6の発光強度が450(任意単位)であるとした場合に比べて、第2の実施例でAl組成比uが約0.1であるアンドープのAlu Ga1-u Nキャップ層6を用いた場合の発光強度は、半分以下の190(任意単位)であった。
【0079】
さらに、Al組成比uが約0.2であるアンドープのAlu Ga1-u Nキャップ層6を用いた場合の発光強度は、Al組成比uが0.1の場合の3分の1であった。
【0080】
上述からキャップ層6としてGaN層を用いることが最も好ましく、Alu Ga1-u N層を使用する場合にもAl組成比uがほぼ0.1と小さい方が好ましいことがわかる。AlGaNでは、Al組成比が大きい程バンドギャップが大きくなる。p型クラッド層7のAl組成比は、第1の実施例で述べたように0.2である。キャップ層6のAl組成比が0.1であると、キャップ層6のバンドギャップはp型クラッド層7のバンドギャップよりも小さいことになる。このことから、キャップ層6のバンドギャップは、活性層5のバンドギャップとp型クラッド層7のバンドギャップの間の大きさが好ましいことが理解できる。
【0081】
次に、本発明の第3の実施例におけるIII −V族窒化物系半導体からなる発光ダイオードを図2を用いて説明する。
【0082】
本実施例が第1の実施例と異なるのは、GaN下地層3を用いない点であり、製造方法もこのGaN下地層3の形成工程がない点を除いて第1の実施例と同様である。
【0083】
本実施例の発光ダイオードでは、第1の実施例の発光ダイオードと比べて製造歩留りが低下するが、キャップ層6を有さない発光ダイオードに比べて発光強度が大きくなる。
【0084】
なお、上記各実施例の発光ダイオードはn型コンタクト層4上に活性層5を備えた構造を有するが、n型コンタクト層4と活性層5との間にn型AlGaNクラッド層を設けてもよい。また、n型コンタクト層4と活性層5との間にn型AlGaNクラッド層およびn型InGaN層を設けてもよい。
【0085】
上記各実施例では、活性層5として量子井戸構造でない非量子井戸構造の活性層を用いたが、もちろん、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造の活性層を用いてもよい。例えば、活性層5をIns Ga1-s N(1>s>0)量子井戸層からなる単一量子井戸構造としてもよく、あるいはIns Ga1-s N(1>s>0)量子井戸層とInr Ga1-r N(1>s>r≧0)量子障壁層とからなる多重量子井戸構造としてもよい。
【0086】
Ins Ga1-s N(1>s>0)量子井戸層とGaN量子障壁層とからなる多重量子井戸構造を用いる場合、GaN量子障壁層は700℃以上950℃以下の成長温度で形成することが好ましく、量子井戸層および量子障壁層の成長温度をほぼ等しくすることが好ましい。
【0087】
また、上記各実施例の発光ダイオードでは、SiおよびZnがドープされた活性層5を用いているが、アンドープの活性層を用いてもよい。
【0088】
次に、本発明の第4の実施例における屈折率導波型半導体レーザ素子を図3を用いて説明する。この半導体レーザ素子はセルフアライン型半導体レーザ素子である。
【0089】
図3において、サファイア絶縁基板11上に、層厚約100〜200ÅのアンドープのAlGaNバッファ層12、層厚0.4μmのアンドープのGaN下地層13、層厚4μmのn型GaNコンタクト層14、および層厚0.1〜0.5μmのn型AlGaNクラッド層15が順に形成されている。n型AlGaNクラッド層15上には、InGaN活性層16、層厚200〜400ÅのアンドープのGaNキャップ層17、および層厚0.1〜0.5μmのp型AlGaNクラッド層18が順に形成されている。
【0090】
p型AlGaNクラッド層18上には、中央部にストライプ状の開口部を有する層厚0.2〜0.3μmのn型GaNまたはn型AlGaNからなる電流ブロック層19が形成
されている。n型電流ブロック層19の上面およびストライプ状の開口部内には、層厚0.1〜0.5μmのp型GaNコンタクト層20が形成されている。
【0091】
p型GaNコンタクト層20上にp側電極21が形成され、n型GaNコンタクト層14上にn側電極22が形成されている。
【0092】
活性層16としては、非量子井戸構造層を用いてもよく、あるいは単一量子井戸構造層または多重量子井戸層を用いてもよい。非量子井戸構造層の場合には、層厚を0.1〜0.3μm程度とする。単一量子井戸構造層の場合には、量子井戸層の層厚を10〜50Åとし、多重量子井戸構造層に場合には、量子井戸層の層厚を10〜50Åとし、量子障壁層の層厚を10〜100Å程度とする。
【0093】
この半導体レーザ素子は、MOVCD法等の化学気相成長法を用いて1回の結晶成長により作製される。製造の際には、アンドープのAlGaNバッファ層12の成長温度を600℃とし、アンドープのGaN下地層13、n型GaNコンタクト層14およびn型AlGaNクラッド層15の成長温度を1150℃とし、InGaN活性層16およびGaNキャップ層17の成長温度を700〜950℃とし、p型AlGaNクラッド層18、n型電流ブロック層19およびp型GaNコンタクト層20の成長温度を1150℃とする。
【0094】
本実施例の半導体レーザ素子においても、キャップ層17を有さない半導体レーザ素子に比べて発光強度が大きくなる。
【0095】
次に、本発明の第5の実施例における屈折率導波型半導体レーザ素子を図4を用いて説明する。この半導体レーザ素子はリッジ埋め込み型導体レーザ素子である。
【0096】
図4において、サファイア絶縁基板31上に、層厚100〜200ÅのアンドープのAlGaNバッファ層32、層厚0.4μmのアンドープのGaN下地層33、層厚4μmのn型GaNコンタクト層34、および層厚0.1〜0.5μmのn型AlGaN層クラッド層35が順に形成されている。n型AlGaNクラッド層35上には、InGaN活性層36、層厚200〜400ÅのアンドープのGaNキャップ層37、および層厚0.1〜0.5μmのp型AlGaNクラッド層38が順に形成されている。なお、InGaN活性層36の構造および層厚は第4の実施例のInGaN活性層16と同様である。
【0097】
p型AlGaNクラッド層38は、平坦部とその平坦部の中央部上に形成されたリッジ部とを有する。p型AlGaNクラッド層38のリッジ部上には、層厚0.1μmのp型GaNからなるp型キャップ層39が形成されている。p型AlGaNクラッド層38の平坦部上面およびリッジ部側面ならびにp型キャップ層39の側面には、層厚0.2〜0.3μmのn型GaNまたはn型AlGaNからなる電流ブロック層40が形成されている。p型キャップ層39上およびn型電流ブロック層40上には、層厚0.1〜0.5μmのp型GaNコンタクト層41が形成されている。
【0098】
p型GaNコンタクト層41上にはp側電極42が形成され、n型GaNコンタクト層34上にはn側電極43が形成されている。
【0099】
この半導体レーザ素子は、MOCVD法等の化学気相成長法を用いて3回の結晶成長で作製される。製造の際には、アンドープのAlGaNバッファ層32の成長温度を600℃とし、アンドープのGaN下地層33、n型GaNコンタクト層34およびn型AlGaNクラッド層35の成長温度を1150℃とし、InGaN活性層36およびアンドープのGaNキャップ層37の成長温度を700〜950℃とし、n型AlGaNクラッド
層38、p型キャップ層39、n型電流ブロック層40およびp型GaNコンタクト層41の成長温度を1150℃とする。
【0100】
本実施例の半導体レーザ素子においても、キャップ層37を有さない半導体レーザ素子に比べて発光強度が大きくなる。
【0101】
次に、本実施例の第6の実施例における利得導波型半導体レーザ素子を図5を用いて説明する。
【0102】
図5において、サファイア絶縁基板51上に、層厚100〜200ÅのアンドープのAlGaNバッファ層52、層厚0.4μmのアンドープのGaN下地層53、層厚4μmのn型GaNコンタクト層54、および層厚0.1〜0.5μmのn型AlGaNクラッド層55が順に形成されている。
【0103】
n型AlGaNクラッド層55上には、InGaN活性層56、層厚200〜400ÅのアンドープのGaNキャップ層57、層厚0.1〜0.5μmのp型AlGaNクラッド層58、および層厚0.1〜0.5μmのp型GaNコンタクト層59が順に形成されている。なお、InGaN活性層56の構造および層厚は、第4の実施例のInGaN活性層16と同様である。
【0104】
p型GaNコンタクト層59上には、中央部にストライプ状の開口部を有するSiO2 、SiNまたはn型GaNからなる電流ブロック層60が形成されている。p型GaNコンタクト層59上にはp側電極61が形成され、n型GaNコンタクト層54上にはn側電極62が形成されている。
【0105】
本実施例の半導体レーザ素子は、MOCVD法等の化学気相成長法を用いて1回の結晶成長で作製される。製造の際には、アンドープのAlGaNバッファ層52の成長温度を600℃とし、アンドープのGaN下地層53、n型GaNコンタクト層54およびn型AlGaNクラッド層55の成長温度を1150℃とし、InGaN活性層56およびアンドープのGaNキャップ層57の成長温度を700〜950℃とし、p型AlGaNクラッド層58およびp型GaNコンタクト層59の成長温度を1150℃とする。
【0106】
本実施例の半導体レーザ素子においても、キャップ層57を有さない半導体レーザ素子に比べて発光強度が大きくなる。
【0107】
上記第1〜第6の実施例では、絶縁基板上に半導体層を備えた発光素子について説明したが、本発明は、SiC基板等の導電性基板上に半導体層を備え、この半導体層の最上層の上面と基板の下面に電極を有する発光素子にも同様に適用することができる。
【0108】
また、上述では、n型クラッド層上に活性層、キャップ層およびp型クラッド層をこの順序で形成しているが、p型クラッド層上に活性層、キャップ層およびn型クラッド層をこの順序で形成してもよく、すなわち、第1〜第6の実施例において各層の導電型を逆にしてもよい。
【0109】
また、上記第1〜第6の実施例では、本発明を発光ダイオード、半導体レーザ素子等の発光素子に適用する場合について説明したが、本発明は、電界効果トランジスタ等の、Inを含有する化合物半導体層を備えた半導体素子にも適用可能である。
【0110】
例えば、図6に示す構造では、n型GaN層71上にn型AlGaN層72およびInGaN層73が順に形成され、InGaN層73上にアンドープのGaNキャップ層74
を介してp型SiC層75が形成されている。この場合、InGaN層73およびGaNキャップ層74を700〜950℃の成長温度で形成し、p型SiC層75を1300〜1500℃の成長温度で形成する。この例においても、InGaN層73上にアンドープのGaNキャップ層74が形成されているので、InGaN層73からIn等の構成元素が脱離することが抑制される。
【0111】
また、図7の構造では、n型SiC層81上にInGaN層82が形成され、InGaN層82上にアンドープのGaNキャップ層83を介してp型SiC層84が形成されている。この場合にも、InGaN層82およびアンドープのGaNキャップ層83を700〜950℃の成長温度で形成し、p型SiC層84を1300〜1500の成長温度で形成する。この例においても、InGaN層82上にアンドープのGaNキャップ層83が形成されているので、InGaN層82からIn等の構成元素が脱離することが抑制される。
【0112】
上記第1〜第3の実施例の発光ダイオードは、光ファイバ通信システム用光源、フォトカプラ用光源、単色または多色パイロットランプ、数字表示器、レベルメータ、ディスプレイ等の表示装置用の光源、ファクシミリ装置用光源、プリンタヘッド、信号機、ハイビームランプ等の自動車用ランプ、液晶テレビジョン装置、液晶表示装置用バック光源、アミューズメントシステム等に用いることができる。
【0113】
また、上記第4〜第6の実施例の半導体レーザ素子は、レーザメス、光通信システム用光源、DVD(デジタルビデオディスク)等のディスクシステムの光ピックアップ装置用光源、カラーレーザビームプリンタ用光源、レーザ加工装置用光源、レーザホログラフィ用光源、レーザディスプレイ用光源、アミューズメントシステム用光源等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施例における発光ダイオードの模式的断面図である。
【図2】本発明の第3の実施例における発光ダイオードの模式的断面図である。
【図3】本発明の第4の実施例における半導体レーザ素子の模式的断面図である。
【図4】本発明の第5の実施例における半導体レーザ素子の模式的断面図である。
【図5】本発明の第6の実施例における半導体レーザ素子の模式的断面図である。
【図6】本発明を適用可能な構造の一例を示す模式的断面図である。
【図7】本発明を適用可能な構造の他の例を示す模式的断面図である。
【図8】従来の発光ダイオードの模式的断面図である。
【符号の説明】
【0115】
1,11,31,51 サファイヤ絶縁基板
2,12,32,52 AlGaNバッファ層
3 GaN下地層
4 GaNコンタクト層
5,16,36,56 InGaN活性層
6,17,37,57 GaNキャップ層
7,18,38,58 AlGaNクラッド層
15,35,54 AlGaNクラッド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非単結晶の窒化物系の化合物半導体からなるバッファ層を気相成長法により形成する工程と、
前記バッファ層上に単結晶の窒化物系の化合物半導体からなる下地層を気相成長法により形成する工程と、
前記下地層上に第1導電型のコンタクト層を気相成長法により形成する工程と、
前記第1導電型のコンタクト層上に第1導電型の窒化物系の化合物半導体からなる第1のクラッド層を気相成長法により形成する工程と、
前記第1のクラッド層上にインジウムを含有する窒化物系の化合物半導体からなる活性層を気相成長法により形成する工程と、
前記活性層上にAlを含むAlGaNからなるキャップ層を前記活性層の成長温度とほぼ同じかまたは低い成長温度で気相成長法により形成する工程と、
前記キャップ層上に前記活性層の成長温度より高い成長温度で第2導電型の第2のクラッド層を気相成長法により形成する工程とを含み、
前記キャップ層は、前記活性層よりも大きなバンドギャップを有することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項2】
非単結晶の窒化物系の化合物半導体からなるバッファ層を気相成長法により形成する工程と、
単結晶の窒化物系の化合物半導体からなるアンドープの下地層を気相成長法により形成する工程と、
第1導電型の窒化物系の化合物半導体からなる第1のクラッド層を気相成長法により形成する工程と、
インジウムを含む窒化物系の化合物半導体からなる活性層を気相成長法により形成する工程と、
Alを含むAlGaNからなるキャップ層を前記活性層の成長温度とほぼ同じかまたは低い成長温度で気相成長法により形成する工程と、
前記活性層の成長温度よりも高い成長温度で第2導電型の窒化物系の化合物半導体からなる第2のクラッド層を気相成長法により形成する工程と、
第2導電型のコンタクト層を気相成長法により形成する工程とをこの順に備え、
前記活性層は、量子井戸層および量子障壁層を含む量子井戸構造を有し、
前記キャップ層は、前記活性層よりも大きなバンドギャップを有することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項3】
非単結晶の窒化物系の化合物半導体からなるバッファ層を気相成長法により形成する工程と、
単結晶の窒化物系の化合物半導体からなる下地層を気相成長法により形成する工程と、
第1導電型のコンタクト層を気相成長法により形成する工程と、
第1導電型の窒化物系の化合物半導体からなる第1のクラッド層を気相成長法により形成する工程と、
インジウムを含む窒化物系の化合物半導体からなる活性層を気相成長法により形成する工程と、
Alを含むAlGaNからなるキャップ層を前記活性層の成長温度とほぼ同じかまたは低い成長温度で気相成長法により形成する工程と、
前記活性層の成長温度よりも高い成長温度で第2導電型の窒化物系の化合物半導体からなる第2のクラッド層を気相成長法により形成する工程とをこの順に備え、
前記活性層は、量子井戸層および量子障壁層を含む量子井戸構造を有し、
前記キャップ層は、前記活性層よりも大きなバンドギャップを有することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項4】
非単結晶の窒化物系の化合物半導体からなるバッファ層を気相成長法により形成する工程と、
単結晶の窒化物系の化合物半導体からなる下地層を気相成長法により形成する工程と、
第1導電型のGaNからなるコンタクト層を気相成長法により形成する工程と、
第1導電型の窒化物系の化合物半導体からなる第1のクラッド層を気相成長法により形成する工程と、
インジウムを含む窒化物系の化合物半導体からなる活性層を気相成長法により形成する工程と、
Alを含むAlGaNからなるキャップ層を前記活性層の成長温度とほぼ同じかまたは低い成長温度で気相成長法により形成する工程と、
前記活性層の成長温度よりも高い成長温度で前記第2導電型の窒化物系の化合物半導体からなる第2のクラッド層を気相成長法により形成する工程とをこの順に備え、
前記キャップ層は、前記活性層よりも大きなバンドギャップを有することを特徴とする発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−165011(P2012−165011A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100648(P2012−100648)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【分割の表示】特願2008−267301(P2008−267301)の分割
【原出願日】平成9年3月10日(1997.3.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】