説明

皮膚外用剤

【課題】 鎮痒作用、保湿性が増強された皮膚外用剤を提供する。また、皮膚外用剤の鎮痒作用、保湿性を増強させる方法を提供する。
【解決手段】 皮膚の乾燥および掻痒感が著明に抑制されたヒアルロン酸および鎮痒剤を配合した皮膚外用剤に対し、さらにトコフェロール誘導体を併用することで、鎮痒剤の鎮痒作用、およびヒアルロン酸の保湿性がさらに増強した皮膚外用剤が得られる。また、トコフェロールまたはその誘導体、ヒアルロン酸またはその塩、および鎮痒剤を併用することにより、鎮痒作用、保湿性を増強させる方法を得る。
また、皮膚であればいずれにも適用でき、皮膚の角質が薄く刺激に弱いデリケートな部位や高湿度になりやすい局所においても好適に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒアルロン酸および鎮痒剤を配合した皮膚外用剤に対し、さらにトコフェロール誘導体を併用することで、鎮痒剤の鎮痒作用をさらに増強させた皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は外界から絶え間なく受ける様々な刺激から全身を保護する役割を担っているが、冷気、血行不良、物理的摩擦、抗原、紫外線、活性酸素などの原因によって乾燥、かぶれ、湿疹、ただれ、汗疹など様々なトラブルが引き起こされる。これらのトラブルは皮膚の水分保持機能やバリア機能を低下させることが多く、痒みを伴うこともある。さらに、掻破や衣服のこすれなどの物理的刺激によって患部を傷つけ、症状を悪化させることもしばしばである。これらのトラブルを改善するには、トラブルの原因を取り除き、痒みを効果的に抑えた上で、皮膚を保護し、水分保持機能または皮膚バリア機能を正常化するため保湿することが望ましい。
【0003】
これらの問題を解決するため、抗ヒスタミン剤およびヒアルロン酸を併用することで、老人性乾皮症に対して皮膚の乾燥、掻痒感が顕著に抑制されることが知られている(特許文献1:特公平5−46323号公報)。これは抗ヒスタミン剤の効果をヒアルロン酸が増強しており、皮膚角化症、軽症のアトピー性皮膚炎に対しても有用であることが報告されているが、効果は十分とは言い難い。
【0004】
ヒアルロン酸はグルクロン酸とN‐アセチルグルコサミンからなるムコ多糖類であって、生体内では細胞間・線維間を埋める接合物質として真皮に多量に存在し、表皮にも存在が確認されている物質で、高い保水性と粘弾性を有している(非特許文献1:fragrance journal No.2,30(1990))。また、低湿度下でも製剤中から脱水しにくく、高湿度下ではべたつかず伸展性が高く強くなる傾向が見られるため、高湿度になりやすい局所などでの使用に適している。さらにカルボキシメチルセルロース、ポリビニルビロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性コラーゲンと比較して保水性があり、柔軟でかつ強い保護膜を形成する可能性があるとの報告もある(非特許文献2:皮膚 27(2),296(1985))。このような性質から、医療分野では角膜上皮障害治療用点眼薬や変形性膝関節症治療用注射薬などとして、また化粧品分野では保湿剤として用いられている。
【0005】
一方、トコフェロールまたはその誘導体は、血行促進作用、代謝改善作用、抗酸化作用・老化防止作用があり、近年では保湿能(非特許文献3:Cosmet Toiletries 114(5),73(1999))についても検討されている物質で、医薬品、医薬部外品、化粧品に広く用いられている。
【0006】
また、トコフェロール誘導体、ヒアルロン酸および鎮痒剤を含有する皮膚外用剤はいくつか知られている(特許文献2:特開平8−259442号公報など)が、ヒアルロン酸およびトコフェロール誘導体を併用すると保湿性が増強されること、また鎮痒剤、およびヒアルロン酸に対してトコフェロール誘導体を併用すると鎮痒作用が増強されることについては検討されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鎮痒作用を増強させ、保湿性の高い皮膚外用剤を提供する。また、皮膚外用剤の鎮痒作用を増強させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、鎮痒剤、ヒアルロン酸またはその塩とともに、トコフェロールまたはその誘導体を含有あるいは併用させることで、鎮痒作用が増強することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は下記に掲げる皮膚外用剤である。
(1)(A)0.025重量%以上のトコフェロールまたはその誘導体、(B)0.006〜0.04重量%のヒアルロン酸またはその塩、および(C)鎮痒剤を含有する皮膚外用剤。
(2)鎮痒剤が、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、シプロヘプタジン、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、プロメタジン、ホモクロルシクリジン、アンモニア、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アリメマジン、クレマスチン、メキタジン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、酪酸クロベタゾン、トリアムシノロンアセトニド、クロタミトン、チモール、オイゲノール、メントール、カンフル、ヒノキチオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、コンフリーエキス、シソエキス、セージエキス、ボタンピエキス、ボダイジュエキスおよびこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種である(1)に記載の皮膚外用剤。
また、本発明は鎮痒増強方法および保湿性増強方法をも包含する。
(3)トコフェロールまたはその誘導体、ヒアルロン酸またはその塩、および鎮痒剤を併用することを特徴とする、鎮痒作用増強方法。
(4)トコフェロールまたはその誘導体、ヒアルロン酸またはその塩、および鎮痒剤を併用することを特徴とする、保湿性増強方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、トコフェロールまたはその誘導体、ヒアルロン酸またはその塩、および鎮痒剤を併用することで、鎮痒作用、保湿性を増強させることができるため、痒みによる不快感、皮膚バリア機能を効果的に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の皮膚外用剤において、トコフェロールまたはその誘導体は、天然品、合成品のいずれも利用することができ、具体的には、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロールなどのトコフェロール酢酸エステル、ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンEコハク酸エステル、ビタミンEリノレン酸エステル、α−トコレチナート、β−トコレチナート、δ−トコレチナート、コハク酸トコフェロールカルシウム等が挙げられ、これらのビタミンE類は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なかでも、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、α−トコレチナート、δ−トコレチナートが好ましい。
【0012】
本発明の皮膚外用剤において、トコフェロールまたはその誘導体の配合割合は、トコフェロールまたはその誘導体の総量として、皮膚外用剤全重量に対して0.025重量%以上であればよく、好ましくは0.025〜10重量%、さらに好ましくは0.03〜5重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%の範囲で用いることができる。0.025重量%以下では十分な保湿、鎮痒効果が出にくくなり、10重量%以上ではべたつくなどの使用感が悪くなる傾向にある。
【0013】
本発明の皮膚外用剤において、ヒアルロン酸は由来(鶏冠、微生物など)は特に制限されず、皮膚外用剤に通常使用されているヒアルロン酸またはその薬学的生理学的に許容される塩を広く用いることができる。このような塩としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等を挙げることができ、好ましくはナトリウム塩などのアルカリ金属塩である。
【0014】
本発明の皮膚外用剤において、ヒアルロン酸またはその塩の平均分子量は特に制限されないが、通常50万〜500万であればよく、好ましくは60〜400万、特に好ましくは60〜250万である。
【0015】
本発明の皮膚外用剤において、ヒアルロン酸またはその塩の配合割合は、ヒアルロン酸またはその塩の総量として、皮膚外用剤全重量に対して0.006〜0.04重量%であればよく、好ましくは0.006〜0.03重量%、特に好ましくは0.01〜0.025重量%である。0.006重量%以下では保湿効果が出にくくなり、0.04重量%を超えてもその増加分に見合った効果の向上は望めない。
また、本発明の皮膚外用剤にヒアルロン酸が含有されていることで、ヒアルロン酸が元来有している皮膚保護作用による皮膚機能の改善を期待することができるため、掻破や衣服のこすれなどによって傷ついた患部を保護することができる。また、高湿度下ではべたつかず伸展性が高く強くなる傾向から、高湿度になりやすい局所(陰部周辺部、肛門部、趾間部など)での使用に適している。
【0016】
また、本発明の皮膚外用剤中におけるヒアルロン酸またはその塩とトコフェロールまたはその誘導体の配合比(重量比:ヒアルロン酸またはその塩/トコフェロールまたはその誘導体)は、0.01〜1000が好ましく、0.05〜100がより好ましく、0.1〜30が特に好ましい。
該配合比は、使用感、安定性の影響の観点から0.01以上が好ましく、効果の影響の観点から1000以下が好ましい。
【0017】
本発明の皮膚外用剤において、鎮痒剤は鎮痒作用を有する化合物であれば特に制限されず、例えば、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、シプロヘプタジン、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、プロメタジン、ホモクロルシクリジン、アンモニア、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アリメマジン、クレマスチン、メキタジン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、酪酸クロベタゾン、トリアムシノロンアセトニド、クロタミトン、チモール、オイゲノール、メントール、カンフル、ヒノキチオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、コンフリーエキス、シソエキス、セージエキス、ボタンピエキス、ボダイジュエキスなどが挙げられる。
メントールおよびカンフルはd体、l体又はdl体のいずれでもよく、メントールまたはカンフルを含有する精油として使用することもできる。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ハッカ油、チョウジ油、ケイヒ油、ペパーミント油、ミント油、ティーツリー油、カモミール油、ローズマリー油、レモン油、オレンジ油、タイム油、セージ油、クローブ油等が挙げられ、好ましくはユーカリ油、ハッカ油である。
【0018】
本発明の皮膚外用剤において、鎮痒剤は医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される塩が使用できる。このような塩としては、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩など)、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩など)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩など)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩など)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩など)など]、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリンなどの有機アミンとの塩など)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウムなど)、アルミニウムなどの金属との塩など]などが例示でき、特に塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩が好ましい。具体例としては、塩酸クロルフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカイン、塩酸シプロヘプタジン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、フマル酸クレマスチンなどが挙げられる。
これらの鎮痒剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0019】
本発明の皮膚外用剤において、鎮痒剤の配合割合は、鎮痒剤の総量として、皮膚外用剤全重量に対して0.0001〜15重量%であればよく、好ましくは0.0001〜10重量%、特に好ましくは0.0005〜7.5重量%である。0.0001重量%以下では鎮痒効果が十分得られず、15重量%以上では刺激などの問題を起こしやすくなる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、配合する鎮痒剤に応じて各種の用途を有する医薬品、医薬部外品または化粧品のいずれの範疇に属するものであってもよく、痒みを伴う様々な症状の治療・予防剤として用いることができる。本発明の皮膚外用剤の用途としては、例えば、乾皮症(老人性、成人、小児を含む)、皮膚角化症、軽症のアトピー性皮膚炎、丘疹、紅斑や、湿疹、かぶれ、乾燥性そう痒症、じんましん、虫刺され、しもやけ、あせも等痒みや炎症を治療するための皮膚炎治療剤又は鎮痒剤、切傷、擦傷、靴擦れ、かき傷、さし傷、火傷、化膿性創傷、痔、ひび、あかぎれ等の治療や悪化を防止するための殺菌消毒剤や損傷治癒剤、水虫、ニキビ等を治療するための感染性皮膚疾患治療剤又は抗菌剤、口唇炎、口角炎、口唇のひびわれ、ただれなどを治療するための口唇用治療剤、手指のあれ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶし等の角化症、さめ肌を治療するための角質軟化剤などの医薬品、手荒れ、肌荒れ、唇の荒れ、しもやけ・ひび・あかぎれ・ニキビ・かぶれの予防などに用いる医薬部外品、保湿などに用いる化粧品等が例示でき、特に好適な用途としては、乾皮症(老人性、成人、小児を含む)、皮膚角化症、軽症のアトピー性皮膚炎、丘疹、紅斑や、湿疹、かぶれ、乾燥性そう痒症、じんましん、虫刺され、しもやけ、あせも等痒みや炎症を治療するための皮膚炎治療剤又は鎮痒剤、痔等の治療や悪化を防止するための殺菌消毒剤や損傷治癒剤、水虫等を治療するための感染性皮膚疾患治療剤又は抗菌剤が挙げられる。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、顔、手、足、体など皮膚であればいずれにも適用でき、上下眼瞼皮膚およびその周辺(まぶた、目尻など)、唇、陰部周辺部、肛門部、太腿の付根など、皮膚の角質が薄く、デリケートな部位の鎮痒、保湿においても問題なく使用することができる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤は、必要に応じて種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を1種または2種以上組み合わせて配合することができる。このような成分としては、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において一般的に外用剤に用いられる成分であれば特に制限されず、例えば、抗炎症剤、ビタミン剤、抗菌剤(にきび治療薬、腋臭防止薬などを含む)、抗ウイルス剤、抗真菌剤、創傷治癒剤、角質軟化剤、保湿剤、美白剤、収斂剤、抗酸化剤、発毛抑制剤、抗シワ剤などが挙げられる。本発明において好適な成分としては例えば、次のような成分が例示できる。
【0023】
抗炎症剤:カンゾウ抽出物、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のグリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、アラントイン又はその誘導体、インドメタシン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、ケトプロフェン、フェルビナク、サリチル酸メチル又はサリチル酸グリコール等のサリチル酸誘導体など。好ましくは、カンゾウ抽出物、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、アラントイン又はその誘導体など。
【0024】
ビタミン剤:レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のレチノール誘導体(ビタミンA類)、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、ビタミンA油、ビタミンA脂肪酸エステル等のビタミンA類、β−カロチン、α−カロチン、γ−カロチン、δ−カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、エキネノン等のプロビタミンA類、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム等のビタミンE類、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、ニコチン酸1−(4−メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類、アスコルビゲン−A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L−アスコルビルなどのビタミンC類、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類、フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ−オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類、葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテサイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオチシン等のビオチン類、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類、そのほか、カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子など。
【0025】
抗菌剤:イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、クレゾールなど。
抗ウイルス剤:アシクロビル、ペンシクロビルなど。
抗真菌剤:イトラコナゾール、塩酸アモロルフィン、塩酸クロコナゾール、塩酸テルビナフィン、塩酸ネチコナゾール、塩酸ブテナフィン、クロトリマゾール、ケトコナゾール、シクロピロクスオラミン、硝酸イソコナゾール、硝酸エコナゾール、硝酸オキシコナゾール、硝酸スルコナゾール、ビホナゾール、ピマリシン、フルコナゾール、フルシトシン、ミコナゾール、ラノコナゾールなど。
創傷治癒剤:アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート、酸化亜鉛など。
【0026】
角質軟化剤:エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、ヘキシルドデカノール、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエタノールアミン、ジイソプロピルアジペート、エチルラウリレート、ラノリン、脂肪酸ジアルキロールアミド、サリチル酸、サリチル酸誘導体、尿素、イオウ、レゾルシン、グリコール酸、フィチン酸、乳酸、乳酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど。
【0027】
鎮痛剤:メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、フェルビナク、アルクロフェナク、ブフェキサマク、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、プラノプロフェン、フェノプロフェン、フェングロフェン、フルルビプロフェン、ザルトプロフェン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、フェンブフェン、リシプフェン、ピロキシカム、アンピロキシカム、テノキシカム、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、クロフェゾン、スリンダック、クリンダック、ベンザダック、L−メントール、カンファー、スルピリン、塩酸チアラミド、オルセノン、フェンチアザック、ベンタゾシン、メピリゾールなど。
【0028】
保湿剤:グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングルコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリントレハロースなどの多価アルコール、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサンなどの高分子化合物、グリシン、アスパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の天然保湿因子、セラミド、コレステロール、リン脂質などの脂質、カミツレエキス、アロエエキス、ハマメリスエキス、ローズマリーエキス、タイムエキス、チャエキス、シソエキスなどの植物抽出エキスなど。
【0029】
美白剤:ビタミンA又はその誘導体、ビタミンC又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体等のビタミン類、プラセンタ;アルブチン;コウジ酸;システイン;フィチン酸;イリス(アイリス)、アーモンド、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、カンゾウ、クチナシ、クジン、コムギ、コメ、コメハイガ、オリザノール、コメヌカ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、ダイズ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、トウキ、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、チョウジ等の植物に由来する成分、エキス及び精油など。
【0030】
収斂剤:クエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アルミニウムクロロヒドロオキシド、タンニン、カフェイン、チャエキス、ハマメリスエキス、海藻エキスなど。
抗酸化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、エリソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(以下、エデト酸ナトリウムとも言う)、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、L−システイン塩酸塩など。
【0031】
発毛抑制剤:イソフラボン、ダイズエキス、ヒオウギエキス、ドクダミエキス、イリス根エキス、パパイン酵素など。
抗シワ剤:ビタミンA及びその誘導体、グリコール酸、アシル化グルコサミン、カイネチン、ビタミンC、ビタミンE、アロエ、コラーゲン、ヒアルロン酸、トリペプチド、海藻エキス、マロニエエキス、ローズマリーエキス、ヤグルマソウエキスなど。
【0032】
本発明の皮膚外用剤は、保存安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品または化粧品分野において一般的に用いられる各種の成分、例えば基剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、または2種以上を任意に組み合わせて配合することができる。
【0033】
基剤:流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、タルク、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、エタノール、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピルなどの油分、高重合メチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、アルキル変性ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルシクロポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン、セチルジメチコン、セチルジメチコンコポリオール、ラウリルメチコンコポリオール、ステアリルジメチコンコポリオール、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーンなどのシリコーンなど。
【0034】
界面活性剤:ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸類、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などの硬化ヒマシ油誘導体、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンアルキルエーテルなど。
【0035】
増粘剤:グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステルなど。
【0036】
保存剤:安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなど。
【0037】
pH調整剤:無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなど)など。
【0038】
これらの成分は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。またそれらの配合量は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、望ましくは薬事法上許容される上限配合量を限度に適宜選択使用することができる。具体的には、皮膚外用剤100重量部あたり通常0.001〜20重量部、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部の範囲から目的に応じて調製することができる。
【0039】
本発明の皮膚外用剤は、通常pH2〜9の液性を備えていればよいが、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感のよさという観点から、好ましくはpH3〜8、より好ましくはpH4〜8、特に好ましくはpH5〜8であることが望ましい。また、粘度はBH型粘度計、No.7ローターで20rpmで測定した場合に、10000〜200000mPa・sの粘度を備えていればよいが、指取り性や塗布しやすさなどの観点から、好ましくは30000〜150000mPa・s、さらに好ましくは、30000〜100000mPa・sが好ましい。
【0040】
本発明の皮膚外用剤は、種々の形態に調製することができる。例えば、固形剤(スティック状を含む)、軟膏剤、液剤(ローション状、乳液状、エアゾール状を含む)、ゲル剤、クリーム剤、貼付剤(パック状を含む)などの剤型が挙げられ、特に軟膏剤、液剤(ローション状、乳液状、エアゾール状を含む)、ゲル剤、クリーム剤に適用すると有用である。
【0041】
本発明の皮膚外用剤の調製方法は、特に制限されず、通常の皮膚外用剤を調製するのに必要な各種成分などを適宜選択、配合して、常法により調製することができる。また、本発明の皮膚外用剤の外皮への適用量や用法は特に制限されず、通常、一日数回、適量を皮膚等の外皮に塗布するなどして用いることができる。
【0042】
本発明は鎮痒剤、トコフェロールまたはその誘導体、およびヒアルロン酸またはその塩を併用することによる鎮痒作用増強方法、および/または保湿性増強方法をも包含する。本発明の方法において、鎮痒剤、トコフェロールまたはその誘導体、およびヒアルロン酸またはその塩は前記皮膚外用剤で用いたものと同様である。
本発明の方法における鎮痒剤の配合割合は、鎮痒作用を増強および/または保湿性を増強する組成物全体に対して、0.0001〜15重量%、好ましくは0.0001〜10重量%、特に好ましくは0.0001〜7.5重量%程度である。また、ヒアルロン酸またはその塩の配合割合は、通常0.00001〜5重量%、好ましくは0.0001〜3重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%、特に好ましくは0.006〜0.04重量%程度である。また、トコフェロールまたはその誘導体の配合割合は、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜10重量%、さらに好ましくは0.01〜7重量%、特に好ましくは0.025〜5重量%程度である。
また、鎮痒剤、トコフェロールまたはその誘導体、およびヒアルロン酸またはその塩を併用する方法については、同一製剤中に含有させても良いが、別製剤中に含有しているものを使用直前に混合、または相前後して使用することでも達成することができる。該組成物の製剤形態に応じて、1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている方法にて用法・用量にて使用することができる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明の範囲を限定するものではない。なお、配合量等は精製水または特に単位の記載のないものについては、すべて重量%を表す。
【0044】
試験例1 鎮痒作用、保湿力試験
表1、2に記載の処方に従って製剤を調製し、各製剤について鎮痒作用および保湿力について評価を行った。
《鎮痒作用》
モニター5名を対象に、かゆみを伴う乾燥性皮膚部分に製剤を塗布してもらい、塗布前の痒みの状態を10、全く痒みのない状態を0として、塗布5分後の痒みの程度を10〜0の値で評価してもらい、塗布前後の点数の差を算出し、5名の差の平均値を求めた。
《保湿力》
温度25±1℃、湿度28〜35%に設定した環境下にて、口径26mmの50mlガラス瓶に25gの水を計量し、瓶の口にPTFEフィルター(φ0.5μm)を張り、フィルターに各試験製剤0.1gを均一になるように塗布した。対照として、無塗布のものについても実施した。
塗布直後及び塗布5時間後に各瓶の総重量を測定し、瓶中の水分残存量をそれぞれ求め、5時間後の保湿力(水分蒸散抑制率:%)を、無塗布の場合を0として、以下の式で算出した。
保湿力=100−(5時間後の水分減少量(各製剤)/5時間後の水分減少量(無塗布)×100)
試験は各製剤につきn=3にて実施し、その平均値を求めた。
結果を表1、2に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
比較例2〜4から、ヒアルロン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール単独のものより、併用することで保湿性の増強が見られたが、鎮痒作用は変わらないことが確認された。また比較例2、対照例2から酢酸トコフェロールの鎮痒作用が保湿によってもたらされることも確認された。
実施例1は鎮痒作用、保湿性がともに増強されていることが比較例1、2から明らかになった。
【0047】
【表2】

【0048】
比較例5〜7、実施例2〜5から、いずれの実施例も鎮痒効果、保湿力が増強されていることが示された。
【0049】
以下に製剤実施例を挙げる。以下の実施例中の配合量は、特に単位の記載のないものについてはすべて重量%を表す。
【0050】
実施例6(クリーム)
リドカイン 2.0
ジフェンヒドラミン 1.0
DL−カンフル 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
酢酸トコフェロール 0.5
グリチルリチン酸二カリウム 1.0
イソプロピルメチルフェノール 0.1
パラフィン 5.0
スクワラン 5.0
セタノール 5.0
ステアリルアルコール 5.0
グリセリン 5.0
パルミチン酸 3.3
ポリソルベート60 2.5
モノステアリン酸グリセリン 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.5
ジメチルポリシロキサン 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.15
パラオキシ安息香酸ブチル 0.05
精製水 適量
100%
【0051】
実施例7(ゲル)
リドカイン 2.0
ジフェンヒドラミン 1.0
DL−カンフル 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
酢酸トコフェロール 0.5
グリチルリチン酸二カリウム 1.0
イソプロピルメチルフェノール 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.8
1,3−ブチレングリコール 5.0
パラオキシ安息香酸メチル 0.15
パラオキシ安息香酸ブチル 0.05
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40 4.0
精製水 適量
100%
【0052】
実施例8(クリーム)
硝酸スルコナゾール 1.0
塩酸ジフェンヒドラミン 1.0
塩酸ジブカイン 0.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.008
酢酸トコフェロール 0.05
プロピレングリコール 25.0
ステアリルアルコール 8.0
ミリスチン酸イソプロピル 6.0
セタノール 3.0
ポリソルベート60 2.0
モノステアリン酸ソルビタン 1.0
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 0.3
エデト酸ナトリウム 0.1
ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
pH調整剤 適量
精製水 適量
100%
【0053】
実施例9(ローション)
吉草酸酢酸プレドニゾロン 0.15
クロタミトン 5.0
l−メントール 3.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.04
酢酸トコフェロール 1.0
アラントイン 0.2
無水エタノール 40.0
1、3−ブチレングリコール 2.5
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ジブチルヒドロキシトルエン 0.05
香料 微量
精製水 適量
100%
【0054】
実施例10(クリーム)
吉草酸酢酸プレドニゾロン 0.15
クロタミトン 5.0
l−メントール 3.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.006
酢酸トコフェロール 2.5
アラントイン 0.2
イソプロピルメチルフェノール 0.1
無水エタノール 35.0
プロピレングリコール 10.0
1、3−ブチレングリコール 5.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.3
イソステアリルアルコール 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.05
パラオキシ安息香酸ブチル 0.05
エデト酸ナトリウム 0.05
ジブチルヒドロキシトルエン 0.03
香料 微量
pH調整剤 適量
精製水 適量
100%
【0055】
実施例11(リップクリーム)
l−メントール 0.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.003
酢酸トコフェロール 0.1
アロエエキス 0.1
2−エチルヘキサン酸セチル 25.0
流動パラフィン 15.0
スクワラン 1.0
モノイソステアリン酸ポリグリセリル 2.5
モノステアリン酸グリセリル 2.0
パルミチン酸デキストリン 1.0
キサンタンガム 0.2
1,3−ブチレングリコール 適量
香料 微量
pH調整剤 適量
グリセリン 適量
精製水 適量
100%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)0.025〜10重量%のトコフェロールまたはその誘導体、(B)0.006〜0.04重量%のヒアルロン酸またはその塩、および(C)鎮痒剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
鎮痒剤が、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、シプロヘプタジン、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、プロメタジン、ホモクロルシクリジン、アンモニア、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アリメマジン、クレマスチン、メキタジン、ベタメタゾン、吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、酪酸クロベタゾン、トリアムシノロンアセトニド、クロタミトン、チモール、オイゲノール、メントール、カンフル、ヒノキチオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、コンフリーエキス、シソエキス、セージエキス、ボタンピエキス、ボダイジュエキスおよびこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
トコフェロールまたはその誘導体、ヒアルロン酸またはその塩、および鎮痒剤を併用することを特徴とする、鎮痒作用増強方法。

【公開番号】特開2008−81505(P2008−81505A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286462(P2007−286462)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【分割の表示】特願2003−206949(P2003−206949)の分割
【原出願日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】