説明

皮膚外用組成物

【課題】少ない使用量で高い保湿力、すなわち水分保持効果及び水分蒸散抑制効果を示す皮膚外用組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、組成物中に0.00022〜0.15重量%のセラミド及び0.0015〜0.75重量%のアミノ酸を含有し、かつセラミド1重量部に対して4重量部より多く且つ16重量部未満のアミノ酸を配合する皮膚外用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物に関する。より詳細には、本発明は、高い水分保持効果及び水分蒸散抑制効果を示す皮膚外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
外部刺激、乾燥等の影響を受けやすい乾燥性敏感肌を有する人にとって、化粧品等を用いて肌を十分に保湿することは、肌荒れ改善等に有効である。
【0003】
保湿のためには、肌からの水分の蒸散を抑制すること(角質水分蒸散量TEWLの減少)、及び肌自身に水分を保持させることが効果的である。
【0004】
従来、保湿剤として、多価アルコール(例えば、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等)、アミノ酸またはその塩、糖鎖(例えば、キシリトール等)、ムコ多糖(例えば、ヒアルロン酸またはその塩等)、ガム類及びカルボキシビニルポリマー(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)共重合体等の水溶性高分子、有機酸又はその塩、セラミド、動植物抽出物等のエキス類等が用いられている。
【0005】
例えば、特許文献1には、アミノ酸を含有する皮膚化粧料が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、セラミドを含有する皮膚外用剤が記載されている。
【0007】
しかし、従来の皮膚化粧料及び皮膚外用剤は、その水分保持効果及び水分蒸散抑制効果が不十分であり、高い水分保持効果及び水分蒸散抑制効果が得られる皮膚外用組成物の開発が切望されている。
【特許文献1】特開平11−292751
【特許文献2】特開2003−160462
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記状況に鑑み、高い保湿力、すなわち水分保持効果及び水分蒸散抑制効果を示す皮膚外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、セラミドとアミノ酸とを特定の割合で含有する皮膚外用組成物が高い水分保持効果及び水分蒸散抑制効果を示し、従って、当該組成物を用いることによって高い保湿効果を得ることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づくものである。
【0010】
従って、本発明は、以下の項に示す皮膚外用組成物に関する:
項1.組成物中に0.00022〜0.15重量%のセラミド及び0.0015〜0.75重量%のアミノ酸を含有し、かつセラミド1重量部に対して4重量部より多く且つ16重量部未満のアミノ酸を配合する皮膚外用組成物。
【0011】
項2.セラミド1重量部に対して、5〜15重量部のアミノ酸を配合する、項1に記載の皮膚外用組成物。
【0012】
項3.化粧料である、項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
【0013】
項4.前記セラミドが、セラミドI、セラミドII、セラミドIII及びセラミドVIからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚外用組成物。
【0014】
項5.前記アミノ酸が、セリン、グリシン、グルタミン酸、アラニン、リシン、アルギニン、トレオニン及びプロリンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚外用組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明の皮膚外用組成物を用いることによって、高い保湿効果、すなわち水分保持効果及び水分蒸散抑制効果を得ることができる。また、本発明の皮膚外用組成物は、かかる保湿効果に加え、べたつきやきしみ感がなく、しっとりとした使用感を示すという利点も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明組成物
本発明は、組成物中に0.00022〜0.15重量%のセラミド及び0.0015〜0.75重量%のアミノ酸を含有し、かつセラミド1重量部に対して4重量部より多く且つ16重量部未満のアミノ酸を配合する皮膚外用組成物を提供する。
【0017】
セラミド
本発明の皮膚外用組成物の有効成分であるセラミドは、スフィンゴシン又はフィトスフィンゴシン等のスフィンゴシンの類似塩基を中心の骨格とし、アミド結合により、OHをもたない脂肪酸、α−ヒドロキシ脂肪酸又はω−ヒドロキシ脂肪酸と結合している化合物である。
【0018】
セラミドとしては、例えば、天然又は天然型セラミドである(2S、3R)−セラミド1(以下、セラミドIと示す)、天然又は天然型セラミドである(2S、3R)−セラミド2(以下、セラミドIIと示す)、天然又は天然型セラミドである(2S、3R)−セラミド3(以下、セラミドIIIと示す)、天然又は天然型セラミドである(2S、3R)−セラミド4(以下、セラミドIVと示す)、天然又は天然型セラミドである(2S、3R)−セラミド5(以下、セラミドVと示す)、天然又は天然型セラミドである(2S、3R)−セラミド6(以下、セラミドVIと示す)等を挙げることができる。
【0019】
本発明においては、これらのセラミドのうち、好ましくはセラミドI、セラミドII、セラミドIII及びセラミドVIからなる群より選択される少なくとも1種であり、これら4種類のセラミドを全て配合するのがより好ましい。また、これら4種類のセラミドを組み合わせて用いる場合、総セラミド中、セラミドIは0.1〜30重量%が好ましく、0.2〜2.5重量%がより好ましく、0.2〜20重量%がさらに好ましく、セラミドIIは10〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、20〜60重量%がさらに好ましく、セラミドIIIは5〜50重量%が好ましく、10〜45重量%がより好ましく、15〜45重量%がさらに好ましく、セラミドVIは5〜50重量%が好ましく、10〜45重量%がより好ましく、15〜45重量%がさらに好ましい。
【0020】
本発明の皮膚外用組成物は、これら各種セラミドを総量として好ましくは0.00022〜0.15重量%、より好ましくは0.0015〜0.12重量%含有する。
【0021】
本発明の組成物におけるセラミドの配合割合をこのような範囲とし、アミノ酸と併用することで角質水分保持率、角質水分蒸散抑制率などを効果的に向上させることができるため好ましい。
【0022】
また、本発明において、これらのセラミドには、その光学異性体も包含される。
【0023】
アミノ酸
本発明の皮膚外用組成物の有効成分である、アミノ酸は、分子内にカルボキシル基とアミノ基を有する化合物である。
【0024】
本発明においてアミノ酸とは、タンパク質を構成する主要アミノ酸を示し、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンに例示されるモノアミノモノカルボン酸;セリン、トレオニンに例示されるオキシアミノ酸;システイン、シスチン、メチオニンに例示される含硫アミノ酸;アスパラギン酸、グルタミン酸に例示されるモノアミノジカルボン酸(酸性アミノ酸);リシン、アルギニンに例示されるジアミノモノカルボン酸(塩基性アミノ酸)などの脂肪族アミノ酸(1);フェニルアラニン、チロシンに例示される芳香族アミノ酸(2);ヒスチジン(塩基性アミノ酸)、トリプトファン、プロリン、オキシプロリンに例示される複素環式アミノ酸(3)を挙げることができる。
【0025】
これらのアミノ酸は、ナトリウム塩、塩酸塩等の塩でもよい。これらのアミノ酸又はその塩は、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、セリン、グリシン、グルタミン酸、アラニン、リシン、アルギニン、トレオニン及びプロリンからなる群より選択される少なくとも一種のアミノ酸が好ましく、これら8種類のアミノ酸を組み合わせて用いるのがより好ましい。また、これら8種類のアミノ酸を組み合わせて用いる場合、総アミノ酸中、セリンは5〜60重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、20〜50重量%がさらに好ましく、グリシンは5〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、10〜35重量%がさらに好ましく、グルタミン酸は5〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、10〜30重量%がさらに好ましく、アラニンは1〜20重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、リシンは1〜20重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましく、アルギニンは0.5〜10重量%が好ましく、1〜8重量%がより好ましく、2〜8重量%がさらに好ましく、トレオニンは0.5〜10重量%が好ましく、1〜8重量%がより好ましく、2〜8重量%がさらに好ましく、プロリンは0.02〜8重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜5重量%がさらに好ましい。
【0026】
本発明の皮膚外用組成物は、これら各種アミノ酸を、総量として好ましくは0.0015〜0.75重量%、好ましくは0.0015〜0.7重量%含有する。
【0027】
本発明の組成物におけるアミノ酸の配合割合をこのような範囲とし、セラミドと併用することで角質水分保持率、角質水分蒸散抑制率などを効果的に向上させることができるため好ましい。
【0028】
また、本発明の皮膚外用組成物は、セラミド1重量部に対して、アミノ酸を4重量部より多く且つ16重量部未満、好ましくは、5〜15重量部、より好ましくは5〜8重量部、より好ましくは5〜7重量部、最も好ましくは6重量部含有することを特徴とする。
【0029】
本発明の皮膚外用組成物におけるセラミド及びアミノ酸の含有量は、上記の通りであるが、好ましい実施形態において、セラミドとアミノ酸との重量比、ならびにセラミド及びアミノ酸の含有量は、下記表1に示す実施形態1が好ましく、実施形態2がより好ましい。
【0030】
【表1】

【0031】
また、より好ましい実施形態において、セラミドとアミノ酸との重量比、ならびにセラミド及びアミノ酸の含有量は、下記表2に示す実施形態3がさらに好ましく、実施形態4が最も好ましい。
【0032】
【表2】

【0033】
また、本発明の皮膚外用組成物におけるセラミドとアミノ酸の配合量は、前述のとおりであるが、セラミドとアミノ酸は、組成物中に総量で0.0017〜0.9重量%であることが好ましく、0.002〜0.8重量%であることがより好ましく、0.002〜0.6重量%であることがさらに好ましく、0.002〜0.4重量%であることがとくに好ましい。この範囲内であれば、角質水分保持率および単位量あたりの水分保持効果ならびに角質水分蒸散抑制率および単位量あたりの角質水分蒸散抑制効果をバランスよく向上させることができる。
【0034】
本発明の皮膚外用組成物を用いれば、高い保湿効果、すなわち、以下の実施例において実証されるように、角質水分保持率および単位量あたりの水分保持効果ならびに角質水分蒸散抑制率および単位量あたりの角質水分蒸散抑制効果を満たすことができる。
【0035】
具体的には、角質水分については、角質水分保持率が120%以上であり、好ましくは140%以上、より好ましくは300%以上であり、さらに好ましくは400%以上であり、とくに好ましくは500%以上である。上限はとくに限定されないが、通常1100%である。また、単位量あたりの水分保持効果が1000以上であり、好ましくは2000以上であり、より好ましくは3000以上である。上限はとくに限定されないが、通常110000以下である。
【0036】
また、角質水分蒸散抑制については、角質水分蒸散抑制率が10%以上であり、好ましくは15%であり、より好ましくは20%であり、さらに好ましくは25%である。上限はとくに限定されないが、通常55%である。また、単位量あたりの水分蒸散抑制効果が50以上であり、好ましくは200以上であり、より好ましくは500以上であり、さらに好ましくは1000以上、とくに好ましくは2000以上である。上限はとくに限定されないが、通常6500以下である。
【0037】
その他成分
本発明の皮膚外用組成物の基剤としては、例えば、水、ポリオール、アルコール、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、植物油、高級アルコール、高級脂肪酸等を挙げることができる。
本発明の皮膚外用組成物は、上記セラミド、アミノ酸及び基剤に加えて、各用途に応じて、有効成分、及び添加剤を適宜含有してもよい。
【0038】
有効成分としては、例えば、紫外線防御剤、美白剤、抗炎症剤、抗老化剤、血行促進剤、香料、殺菌・消毒剤、制汗剤、消臭・防臭剤、育毛・養毛剤、除毛剤、染毛剤、パーマネントウェーブ剤、忌避剤、消炎鎮痛剤等を挙げることができる。
【0039】
添加剤としては、例えば、ステロール、フッ素系油剤、界面活性剤、ヒドロキシ酸、グアニジン誘導体又はその塩、被膜形成性ポリマー、糖類、植物抽出物、抗酸化剤または一重項酸素消去剤、皮脂分泌抑制剤、ビタミン、ゲル化剤、粉体、無機塩、pH調整剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、冷感剤、色素、固形・半固形油、水溶性ポリマー、油溶性ポリマー、生体適合性ポリマー、リポソーム製剤、カプセル製剤、パール光沢付与剤、マイクロ・ナノエマルション製剤等を挙げることができる。
【0040】
本発明組成物の製造方法
本発明は、当該分野において通常用いられる方法により製造することができる。例えば、前述のセラミド及びアミノ酸、ならびに必要に応じてその他の成分を、セラミド及びアミノ酸の配合量が上記範囲となるように基剤に添加し、混合することにより製造することができる。
【0041】
角質水分保持力および水分蒸散抑制力増強方法
セラミド及びアミノ酸を含有する組成物において、セラミド及びアミノ酸を上記範囲となるように含有させることによって、組成物における角質水分保持力および水分蒸散抑制力を一層増強させることができる。よって、本発明は、角質水分保持力および水分蒸散抑制力増強方法をも提供するものである。
【0042】
本発明組成物の用途
本発明の皮膚外用組成物は、高い保湿効果、すなわち水分保持効果及び水分蒸散抑制効果を示すという利点を有する。
【0043】
従って、本発明の皮膚外用組成物は、皮膚に適用する化粧料、例えば、化粧石鹸、洗顔料、メイク落とし料、アイクリーム、アイシャドウ、クリーム、乳液、化粧水、香水、ファンデーション、おしろい、化粧油、練香水、パウダー、パック、日焼けオイル、日焼け止めオイル、日焼けローション、日焼け止めローション、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、ひげそり用クリーム、ひげそり用ローション、ほお紅、マスカラ、浴用化粧品、口紅、リップクリーム、アイライナー、デオドラント剤、入浴剤として用いることができる。
【0044】
また、本発明の皮膚外用組成物は、皮膚に適用する化粧料だけでなく、毛髪用又は爪用の化粧料として用いることもできる。
【0045】
毛髪用化粧料としては、例えば、シャンプー、リンス、染毛料、養毛剤、育毛剤、眉墨等を挙げることができる。
【0046】
爪用化粧料としては、例えば、爪クリーム、美爪エナメル、美爪エナメル除去液等を挙げることができる。
【0047】
本発明の皮膚外用組成物は、化粧料用途以外にも、経皮医薬組成物等として用いることができる。
【0048】
経皮医薬組成物としては、例えば、殺菌消毒薬、しもやけ用薬、あかぎれ用薬、化膿性疾患用薬、外用鎮痛薬、外用鎮痒薬、外用収斂薬、外用消炎薬、みずむし・たむし用薬、皮膚軟化薬、毛髪用薬等を挙げることができる。
【0049】
本発明の皮膚外用組成物は、クリーム、軟膏、ローション、ジェル、液体等の形態をとり得る。
【0050】
以下に実施例を用いて本願発明の特定の形態について例示する。
【実施例】
【0051】
皮膚外用組成物の調製
成分A(セラミド)、成分B(アミノ酸)、成分C(乳化剤等)及び成分D(安定化剤等)を下記表3に従い、水に添加、混合し、実施例1〜84及び比較例1〜96の組成物を調製した。
【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
【表9】

【0059】
【表10】

【0060】
【表11】

【0061】
【表12】

【0062】
【表13】

【0063】
【表14】

【0064】
【表15】

【0065】
【表16】

【0066】
このようにして調製した各実施例及び比較例毎に、以下の手順で角質水分量及び角質水分蒸散量を測定した。
【0067】
角質水分量及び角質水分蒸散量の測定
試験室の外部環境を、室温20±1℃、湿度40±5%の一定条件に保った。
【0068】
まず、乾燥肌の被験者(n=10)を対象とし、5%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液を染み込ませたコットンを前腕内側部に貼付して1時間閉塞放置し、疑似的な荒れ肌を作り出した。
【0069】
コットンをはがし、コットン貼付部位を水洗した後、被験者を前記試験室へ入室させ、30分馴化後、5%SDS水溶液で処理した部位の角質水分量及び角質水分蒸散量を測定した(SDS処理後測定値)。
【0070】
5%SDS水溶液で処理した部位に比較例もしくは実施例の皮膚外用組成物または水(陰性比較対照)を30μl塗布し、塗布の1時間後に角質水分量及び角質水分蒸散量を測定した(試料塗布後測定値)。
【0071】
なお、角質水分量は、SKICON−200(アイ・ビイ・エス株式会社製)を用い、角質水分蒸散量は、Tewameter(株式会社インテグラル製)を用いて、各機器のマニュアルに従い測定した(以下同様)。
【0072】
角質水分量保持率の算出
上記のように測定した、SDS処理後及び試料塗布後の角質水分量の測定値から、下記式に従い、角質水分量保持率を算出した。
【0073】
角質水分量保持率=100×(試料塗布1時間後の水分保持量/SDS処理後の水分保持量)
単位量あたりの水分保持効果の算出
本発明組成物の水分保持効果を示すため、セラミドとアミノ酸との相乗効果を示す指標として、成分Aと成分Bの総量1重量%に換算した水分保持率(以下、単位量あたりの水分保持効果と示す)を算出した。具体的には、上記のように算出した角質水分量保持率及びA成分及びB成分の総濃度から、下記式に従い、単位量あたりの水分保持効果を算出した。
【0074】
単位量あたりの水分保持効果=角質水分量保持率/[成分A及び成分Bの総濃度(重量%)]
角質水分蒸散抑制率の算出
前述のように測定した、SDS処理後及び試料塗布後の角質水分蒸散量の測定値から、下記式に従い、角質水分蒸散抑制率を算出した。
【0075】
角質水分蒸散抑制率=100×(試料塗布1時間後の角質水分蒸散量−SDS処理後の試料塗布1時間後の角質水分蒸散量−角質水分蒸散量)/SDS処理後の角質水分蒸散量
単位量あたりの角質水分蒸散抑制効果の算出
本発明組成物の角質水分蒸散抑制効果を示すため、セラミドとアミノ酸との相乗効果を示す指標として、成分Aと成分Bの総量1重量%に換算した角質水分蒸散抑制効果(以下、単位量あたりの水分蒸散抑制効果と示す)を算出した。具体的には、上記のように算出した角質水分蒸散抑制率及び成分A及び成分Bの総濃度から、下記式に従い、単位量あたりの水分蒸散抑制効果を算出した。
【0076】
単位量あたりの水分蒸散抑制効果=角質水分蒸散抑制率/[成分A及び成分Bの総濃度(重量%)]
各実施例及び比較例の角質水分量保持率、単位量あたりの水分保持効果、角質水分蒸散抑制率及び単位量あたりの角質水分蒸散抑制効果を表4〜16に示す。
【0077】
また、各実施例及び比較例の成分A(セラミド)含有量(横軸)および成分B(アミノ酸)の含有量(縦軸)を対数表示で図1に示す。さらに、成分A(セラミド)と成分B(アミノ酸)の総濃度(重量%)比について、関係式を直線式で例示した。
【0078】
図1において、●は、実施例2、6、16、27、38、49、60、71および82をプロットしたものである。
【0079】
図1において■は、実施例1、3、4、5、7、8、15、17、18、26、28、29、37、39、40、48、50、51、59、61、62、70、72、73、81、83および84をプロットしたものである。
【0080】
図1において◆は、実施例8〜14、19〜25、30〜36、41〜47、52〜58、63〜69および74〜80をプロットしたものである。
【0081】
図1において▲は、比較例をプロットしたものである。
【0082】
また、表4〜16には記載していないが、A成分とB成分の配合比率が1:2以下のものを△で、またA成分とB成分の配合比率が1:30以上のものを×でプロットした。これらについては、角質水分量保持率、単位量あたりの水分保持効果、角質水分蒸散抑制率及び単位量あたりの角質水分蒸散抑制効果の点で比較例と同様の傾向であった。
【0083】
官能検査
各実施例及び比較例の各組成物について、それぞれ10名の前腕内側部に塗布し、使用感を下記5段階にて評価してもらった。得られた評価の平均を四捨五入し、5段階で「使用感評価」を算出した。官能検査の結果を表4〜16に示す。
【0084】
(評価)
5 しっとりしており、ベタつきやきしみ感がない
4 しっとりしており、ベタつきやきしみ感がほとんどない
3 しっとりしているが、ややベタつきやきしみ感がある
2 しっとりしているが、ベタつきやきしみ感がある。
1 しっとり感がない
【0085】
表4〜16及び図1に示されるように、組成物中に0.00022〜0.15重量%のセラミド及び0.0015〜0.75重量%のアミノ酸を有し、かつセラミド1重量部に対して4重量部より多く且つ16重量部未満のアミノ酸を配合する皮膚外用組成物は、角質水分量保持率、単位量あたりの水分保持効果、角質水分蒸散抑制率及び単位量あたりの角質水分蒸散抑制効果がいずれも高く、保湿効果に優れていた。
【0086】
具体的には、組成物中のセラミドおよびアミノ酸の上記濃度範囲内において、例えば、比較例30(セラミド:アミノ酸=1:4)と実施例71(セラミド:アミノ酸=1:5)との比較、および比較例31(セラミド:アミノ酸=1:16)と実施例80(セラミド:アミノ酸=1:15)とを比較すると、セラミドとアミノ酸のそれぞれの配合量の違いは非常にわずかであるが、それらの配合割合を規定することで、非常に少量のセラミドおよびアミノ酸であっても、角質水分量保持率、単位量あたりの水分保持効果、角質水分蒸散抑制率および単位量あたりの水分蒸散抑制効果のすべてを向上でき、かつ使用感に優れていたことが分かる。
【0087】
また、図2および3に示したとおり、組成物中にセラミドを単独(アミノ酸を含まない)で0.5重量%配合したとき角質水分保持率が738%、1.0重量%配合したとき1010%であり、また、アミノ酸を単独(セラミドを含まない)で1.9重量%配合したとき738%、3.05重量%配合したとき1002%であったが、例えば、実施例60(0.0286重量%のセラミド、0.171重量%のアミノ酸)および実施例82(0.114重量%のセラミド、0.686重量%のアミノ酸)の結果から分かるように、セラミドおよびアミノ酸の配合割合を規定することで、組成物中の濃度が低濃度であっても、優れた角質水分保持効果が奏されたことが分かる。
【0088】
処方例
表17〜24に記載の処方にしたがって、定法どおり組成物を調製した。
【0089】
【表17】

【0090】
【表18】

【0091】
【表19】

【0092】
【表20】

【0093】
【表21】

【0094】
【表22】

【0095】
【表23】

【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施例および比較例の各組成物の成分A(セラミド)および成分B(アミノ酸)の含有量をプロットしたグラフである。
【図2】セラミドのみを配合した組成物の角質水分保持率を示すグラフである。
【図3】アミノ酸のみを配合した組成物の角質水分保持率を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物中に0.00022〜0.15重量%のセラミド及び0.0015〜0.75重量%のアミノ酸を含有し、かつセラミド1重量部に対して4重量部より多く且つ16重量部未満のアミノ酸を配合する皮膚外用組成物。
【請求項2】
セラミド1重量部に対して、5〜15重量部のアミノ酸を配合する、請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
化粧料である、請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−308462(P2008−308462A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159474(P2007−159474)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】