説明

目的地検索装置、プログラム、及び目的地検索方法

【課題】目的地の名称や位置がわからい場合でも、目的地の検索を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】目的地のジャンルを選択するための選択手段(ステップ31)と、目的地に対して所定の位置的関係を有する1又は2以上の関係地の名称又はジャンルを入力するための入力手段(ステップ32)と、前記位置的関係を設定するための設定手段(ステップ34)と、目的地又は関係地とされ得る場所の名称、位置、及びジャンルを規定するデータベース、前記選択手段により選択されるジャンル、前記入力手段により入力される各関係地の名称又はジャンル、及び前記設定手段により設定される位置的関係に基づいて目的地を検索する検索手段(ステップ35〜38)とにより目的地検索装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のデータベースに基づいて目的地を検索する目的地検索装置及び目的地検索方法、並びに該装置における各手段としてコンピュータを機能させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ナビゲーション装置においては、表示される地図から目的地を探し出して設定し、あるいは施設の名称やジャンル等を指定することによって目的地を検索させ、設定することにより、ルート案内を開始させることができる。このとき、目的地の詳細が不明である場合に目的地を絞り込み、設定する方法として、従来、次のような方法が知られている。
【0003】
第1の方法は、ナビゲーション装置によりインターネットにアクセスして目的地の情報を入手し、目的地を設定するというものである(たとえば特許文献1参照)。第2の方法は、ナビゲーション装置が、車両の走行中に現在日時、現在位置、現在位置周辺の複数の施設、現在の天候等の情報を繰り返し記憶し、走行周辺施設データとして蓄積しておき、目的地の設定に際しては、ユーザが指定する走行日時、大まかな地域、施設種別、施設等の絞込み条件に適合する施設を、走行周辺施設データ中から検索し、目的地として設定するというものである(たとえば特許文献2参照)。第3の方法は、ユーザが目的地の電話番号の一部を忘れた場合に有効なものであり、該一部にワイルドカードを使用した電話番号の入力を受け入れ、ワイルドカード以外の部分が同一の電話番号に対応する施設名をリスト表示し、リストからの選択を受け入れることによって目的地を絞り込み、設定するというものである(たとえば特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−356019号公報
【特許文献2】特開2006−308365号公報
【特許文献3】特開2004−205443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、目的地そのものの名称等は覚えていないが、その周辺の施設を覚えているといったような場合、上述第1〜第3の方法によって目的地を設定する際には、次のような問題が生じる。すなわち、第1の方法によれば、インターネットに接続する必要があるとともに、ユーザが覚えている目的地付近の施設、たとえば目的とするラーメン屋の近くにある銀行や学校などの情報をインターネットで入手するのは困難な場合ある。
【0006】
また、第2の方法によれば、走行周辺施設データ中から目的地を検索するようにしているので、ナビゲーション装置を搭載している車両がその目的地の周辺を過去に走行している必要がある。他の車両でその目的地の周辺を走行した場合であっても、その目的地を検索することすることができない。また、第3の方法によれば、目的地の電話番号を一部だけでも知っている必要がある。
【0007】
また、通常のナビゲーション装置の操作において、目的地を設定するには、設定方法に応じ、次のような操作が必要である。すなわち、ラーメン屋に行きたい場合、ジャンル検索によれば、「食事」を選択し、「ラーメン屋」を選択し、地域を選択し、そして表示された候補のリスト中から目的のラーメン屋を選択する必要がある。周辺検索によれば、「食事」を選択し、「ラーメン屋」を選択し、そして目的のラーメン屋を選択する必要がある。「名称検索」によれば、目的のラーメン屋の名称を指定する必要がある。地図検索によれば、目的のラーメン屋の位置を指定する必要がある。住所検索によれば、目的のラーメン屋の住所を入力する必要がある。電話番号検索によれば、目的のラーメン屋の電話番号を入力する必要がある。しかしこのような設定方法は、目的のラーメン屋の名称等を明確に知っている場合にのみ可能である。目的のラーメン屋そのものは思い出すことができないが、その近くに存在していた施設は覚えているような場合には、一度いずれかの方法でその施設を検索し、その後、その周辺の施設を地図等により逐一確認して目的のラーメン屋を探し出すしか方法がない。
【0008】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、ナビゲーション装置において、目的地の名称や位置がわからい場合でも、目的地の検索を容易に行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、第1の発明に係る目的地検索装置は、目的地のジャンルを選択するための選択手段と、目的地に対して所定の位置的関係を有する1又は2以上の関係地の名称又はジャンルを入力するための入力手段と、前記位置的関係を設定するための設定手段と、目的地又は関係地とされ得る場所の名称、位置、及びジャンルを規定するデータベース、前記選択手段により選択されるジャンル、前記入力手段により入力される各関係地の名称又はジャンル、及び前記設定手段により設定される位置的関係に基づいて目的地を検索する検索手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る目的地検索装置は、第1発明において、目的地の検索範囲を指定するための指定手段を備え、前記検索手段は前記指定手段により指定された検索範囲内において前記目的地の検索を行うものであることを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る目的地検索装置は、第1又は第2発明において、前記設定手段は、前記位置的関係の設定として、関係地が目的地から所定の範囲内に存在しないという設定を許容するものであることを特徴とする。
【0012】
第4の発明に係る目的地検索装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記検索手段は前記目的地の検索を行うに際し、前記選択手段により選択された目的地のジャンルに該当する場所を目的地の候補として前記データベースから抽出し、前記入力手段により入力された各関係地の名称又はジャンルに該当する場所を各関係地の候補として前記データベースから抽出し、抽出した目的地の各候補及び各関係地の各候補のうち、前記設定手段により設定された位置的関係に適合する目的地の候補及び各関係地の候補の組合せを抽出するものであることを特徴とする。
【0013】
第5の発明に係る目的地検索装置は、第4発明において、前記検索手段は、前記位置的関係に適合する目的地の候補及び各関係地の候補の組合せを抽出するに際し、候補の数が少ない関係地から順に各関係地について、該関係地の各候補及び各目的地の候補が該位置関係に適合するか否かを調べるものであることを特徴とする。
【0014】
第6の発明に係る目的地検索装置は、第4又は第5発明において、前記検索手段により抽出した目的地の候補及び各関係地の候補の各組合せについて、目的地の候補の名称、及び各関係地の候補の名称を、目的地の候補までの距離が現在地から近い順で表示する検索結果表示手段を有することを特徴とする。
【0015】
第7の発明に係る目的地検索装置は、第1〜第6のいずれかの発明において、前記検索手段により検索した目的地、及び対応する関係地を含む地図を、該目的地及び関係地を特定する表示とともに表示する地図表示手段を有することを特徴とする。
【0016】
第8の発明に係るプログラムは、第1〜第7のいずれかの発明に係る目的地検索装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0017】
第9の発明に係る目的地検索方法は、目的地のジャンルの選択を受け入れる選択受入れ工程と、目的地に対して所定の位置的関係を有する1又は2以上の関係地の名称又はジャンルの入力を受け入れる入力受入れ工程と、前記位置的関係の設定を受け入れる設定受入れ工程と、目的地又は関係地とされ得る場所の名称、位置、及びジャンルを規定するデータベース、前記選択受入れ工程により選択を受け入れたジャンル、前記入力受入れ工程により入力を受け入れた名称又はジャンル、及び前記設定受入れ工程により設定を受け入れた位置的関係に基づいて目的地を検索する検索工程とを具備することを特徴とする。
することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、目的地の名称や位置がわからない場合でも、目的地の検索を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。同図に示すようにこの装置は、装置の各部を制御する制御部11、刻々変化する現在位置を検出し、制御部11に供給する位置検出部12、制御部11が参照する地図データ等を記憶する記憶部13、制御部11がユーザに対する必要な情報の表示を行うための表示部14、ユーザが制御部11に対して必要な指示を与えるための操作部15、及び制御部11がナビゲーション音声等を出力するための音声出力部16を備える。
【0020】
位置検出部12は、現在位置を調べるためのGPS、自律航法を行うためのジャイロセンサや速度センサ等により構成される。記憶部13は道路や背景を含む地図表示を行うための地図データや、各種施設や自然物、地名等の場所を検索するための検索データ等を含む地図データベースを記憶する。検索データは、各場所をその名称や位置、ジャンル等に基づいて検索することができるように構成される。
【0021】
表示部14は、液晶ディスプレイ等により構成される。操作部15は、リモコンやタッチパネル、操作キー等により構成される。表示部14、操作部15、及び音声出力部16により、ユーザ及び装置間における情報の授受を行うためのヒューマンマシンインタフェースを構成している。制御部11は、ナビゲーション装置が搭載された車両の移動に関連する所定の案内情報を提供する。すなわち操作部15を介してユーザにより与えられる指示や入力に基づき、位置検出部12により検出される現在位置の近傍の地図を、記憶部13の地図データベースに基づいて表示したり、設定された目的地までのルート探索を行ったり、探索されたルートを地図上に表示し、そのルート上を車両が移動する際に、ルート案内を行ったりする。ルート案内に際しては、現在位置に応じた案内情報を、表示部14や音声出力部16を介してユーザに提供する。
【0022】
図2はユーザが行きたいと思っている目的地周辺の様子を示す図である。ユーザは、以前に行ったことがあるラーメン屋21に行きたいと思っているが、ラーメン屋21の名称は覚えていない。ただし、ラーメン屋21のすぐ近くに◇◇銀行22、及び学校23が存在していたのを記憶している。学校23の名称や、学校23が小学校であるか又は中学校であるかは不明である。ラーメン屋21が○○市又は△△町のどちらに存在するかも不明である。
【0023】
この図2の例の場合、図1のナビゲーション装置によれば、ユーザは(1)目的地のジャンル「ラーメン屋」を選択し、(2)目的地の近傍の近隣施設に関する情報「◇◇銀行」及び「学校」を入力し、(3)目的地及び近隣施設の検索範囲「○○市」及び「△△町」を指定し、そして(4)目的地及び近隣施設間の位置関係「目的地の200m四方」を設定することにより、容易に意図するラーメン屋を検索することができる。なお、(3)のように検索範囲を示す地域の入力を行う代わりに、ナビゲーション装置が自動で現在地から近い位置を検索範囲とし、検索を行うようにしてもよい。
【0024】
図3はこのような検索を可能とする目的地検索処理を示すフローチャートである。この処理は、所定のプログラムに基づき、制御部11によって行われる。処理を開始すると、制御部11は、まず、目的地とする施設が属するジャンルの選択を受け入れる(ステップ31)。選択の受入れは、所定の分類カテゴリにより階層的に分類されたジャンルのメニューを表示し、メニュー項目の選択を受け入れることにより行う。たとえば、上位のメニュー画面において「食事」、「買物」等の大分類カテゴリによる各ジャンルをメニュー表示し、選択されたメニュー項目に応じて、下位の小分類カテゴリによる「ラーメン屋」、「すし屋」等の各ジャンルをメニュー表示し、選択を受け入れる。図2の例の場合、ユーザはジャンルの上位メニューから「食事」を選択し、そして下位メニューから「ラーメン屋」を選択すればよい。
【0025】
次に、目的地近傍の近隣施設に関する情報の入力を受け入れる(ステップ32)。入力される近隣施設の情報は、目的地を検索するための手がかりとなる。近隣施設の名称をキー入力として受け入れるようにしてもよいし、目的地のジャンル選択の場合と同様に、近隣施設が属するジャンルを選択させるようにしてもよい。施設の名称は、「○○病院」のような固有名称であってもよいし、「病院」のような総括的名称であってもよい。図2の例の場合、ユーザは「◇◇銀行」及び「学校」を入力すればよい。
【0026】
次に、目的地及び近隣施設の検索範囲の指定を受け入れる(ステップ33)。検索範囲としては、都道府県や市町村、最寄り駅、現在地からの距離等の地理的範囲のほか、ナビゲーション装置に残されている過去に行ったことがある施設の履歴の範囲や、該履歴のうちのある期間や日付けに対応するものの範囲等であってもよい。都道府県や市町村としては、隣り合っているものであれば複数のものを指定することができる。図2の例の場合、ユーザは「○○市」及び「△△町」を指定すればよい。「○○市」及び「△△町」は、図4のように隣接している。
【0027】
次に、目的地及び近隣施設間の位置的関係の設定を受け入れる(ステップ34)。位置的関係としては、たとえば、目的地及び近隣施設間の距離又は道程や、目的地及び近隣施設間の移動に要する時間が該当する。図2の例では、目的地のすぐ近くに近隣施設が存在するので、ユーザは「目的地の200m四方」と設定すればよい。
【0028】
次に、ステップ33で指定された検索範囲内において、地図データベースから、ステップ31で選択された目的地のジャンルに属する施設を目的地の候補として抽出するとともに、ステップ32で入力された各近隣施設の名称等に該当する施設を各近隣施設の候補として抽出する(ステップ35)。図2の例の場合、検索範囲「○○市」及び「△△町」に存在する「ラーメン屋」並びに「◇◇銀行」及び「学校」を、それぞれ目的地の候補、及び各近隣施設の候補として抽出する。候補の抽出数が所定値以上の場合には、上記ステップ31〜34に対応するユーザ操作においてより細かい条件を付加したり、検索範囲を縮小したりするようにユーザを促して、再度ステップ31〜34の受入れ処理を行うようにしてもよい。
【0029】
次に、各近隣施設のうちの候補の抽出数が最も少ないものにおける各候補と、各目的地の候補との位置関係が、ステップ34で設定された位置関係に適合するかどうかを調べ、適合する目的地候補及び近隣施設候補の組合せを抽出する(ステップ36)。図2の例の場合、近隣施設「◇◇銀行」及び「学校」のうち、検索範囲「○○市」及び「△△町」において存在する数が少ない方の近隣施設の各候補について、「ラーメン屋」の各候補から200m以内に存在するか否かを逐一周辺検索により調べ、200m以内に存在する「ラーメン屋」の候補及び当該近隣施設の候補の組合せを抽出する。
【0030】
さらに、次に候補の抽出数が少ない近隣施設の各候補と、ステップ36で抽出した各組合せ中の各目的地の候補との位置関係が、ステップ34において設定された位置関係に適合するかどうかを調べ、適合する目的地の候補及び近隣施設の候補の組合せを抽出する(ステップ37)。抽出する組合せには、今回の調査で適合することが判明した目的地の候補及び近隣施設の候補の対、並びに前回までの調査により該適合が判明した目的地候補と適合することが既に判明している近隣施設の候補が含まれる。図2の例の場合、調査を行っていない方の近隣施設の各候補と、ステップ36で抽出した各組合せ中の「ラーメン屋」の各候補との位置が200m以内であるか否かを逐一周辺検索により調べ、200m以内である「ラーメン屋」の候補並びに対応する「◇◇銀行」の候補及び「学校」の候補の組合せを抽出する。
【0031】
このステップ37の処理は、すべての近隣施設についての調査が完了するまで行う(ステップ38)。図2の例の場合、2つの近隣施設「◇◇銀行」及び「学校」の各候補について調査が完了すればよい。調査が完了すると、ステップ34において設定された位置関係に適合する目的地候補及び各近隣施設の候補についてのすべての組合せが抽出されたことになる。
【0032】
次に、抽出した目的地の候補及び各近隣施設の候補の組合せを、検索結果として表示する(ステップ39)。各組合せの表示は、現在地から組合せ中の目的地候補までの距離が少ない順で行う。図2の例の場合、抽出した目的地「ラーメン屋」の候補並びに近隣施設「◇◇銀行」及び「学校」の各候補の組合せについて、各候補の名称を、現在地から「ラーメン屋」の候補までの距離が近い順に、該距離とともに表示する。このとき同時に、目的地候補までの距離が最も少ない組合せについて、「ラーメン屋」の候補並びに近隣施設「◇◇銀行」及び「学校」の各候補を、その近傍の地図のプレビュー画面上に表示する。これにより目的地検索処理が終了する。
【0033】
目的地検索処理の終了後、ユーザが、表示された目的地候補及び各近隣施設の候補の組合せのうち、所望の目的地に係るものを選択し、決定すると、制御部11は該目的地へのナビゲーションを開始する。
【0034】
なお、図2の例において、たとえば、ステップ35で抽出された目的地「ラーメン屋」の候補が60件、近隣施設「◇◇銀行」の候補が40件、近隣施設「学校」の候補が30件であるとすれば、ステップ36において、近隣施設「学校」が調査対象とされる。そして、目的地「ラーメン屋」の60件の各候補について、その200m四方に近隣施設「学校」の30件の各候補が存在するか否かが逐一周辺検索により調査され、該当する「ラーメン屋」の候補及び「学校」の候補の組合せが抽出される。さらに、ステップ37において、抽出された各組合せ中の目的地「ラーメン屋」の候補から200m四方の範囲内に近隣施設「◇◇銀行」の各候補が存在するか否かが逐一周辺検索により調査され、該当する「ラーメン屋」の組合せに対して該当する近隣施設「◇◇銀行」の候補が加えられる。これにより、200m四方に存在するという位置関係に適合する目的地「ラーメン屋」の候補並びに近隣施設「◇◇銀行」及び「学校」の各候補の組合せが抽出される。この抽出された各組合せについて、上述のステップ39の表示処理が行われる。
【0035】
一方、ステップ35で抽出された目的地「ラーメン屋」の候補が10件、近隣施設「◇◇銀行」の候補が20件、近隣施設「学校」の候補が30件存在であるとすれば、ステップ36において、近隣施設「◇◇銀行」が調査対象とされる。そして、目的地「ラーメン屋」の10件の各候補について、その200m四方に近隣施設「◇◇銀行」の20件の各候補が存在するか否かが逐一周辺検索により調査され、該当する「ラーメン屋」の候補及び「◇◇銀行」の候補の組合せが抽出される。さらに、ステップ37において、抽出された各組合せ中の目的地「ラーメン屋」の候補から200m四方の範囲内に近隣施設「学校」の各候補が存在するか否かが逐一周辺検索により調査され、該当する「ラーメン屋」の組合せに対して該当する「学校」の候補が加えられる。これにより、200m四方に存在するという位置関係に適合する目的地「ラーメン屋」の候補並びに近隣施設「◇◇銀行」及び「学校」の各候補の組合せが抽出される。この抽出された各組合せについて、上述のステップ39の表示処理が行われる。
【0036】
図5はこの図2の例についての検索結果の画面の一例を示す。図5中の41は、上記ステップ31において選択された目的地のジャンルを表示する欄、42は上記ステップ32において入力された近隣施設の名称やジャンルを表示する欄、43は検索結果を表示する欄、44は検索された目的地周辺の地図のプレビューを表示する欄である。表示欄41では選択された目的地のジャンル「ラーメン屋」が表示され、表示欄42では入力された2つの各近隣施設の名称「◇◇銀行」及びジャンル「学校」が表示されている。
【0037】
検索結果表示欄43においては、検索された目的地「ラーメン屋」の候補並びに近隣施設「◇◇銀行」の候補及び近隣施設「学校」の候補の各組合せが、各候補の名称により、現在地から目的地「ラーメン屋」までの距離が近い順で、その距離とともに表示されている。同図においては、目的地までの距離が最も近いものから3つ目までの組合せについて順位を示す番号とともに表示されている。初期状態においては、同図のように1番目の組合せの表示上に網掛けで示されたカーソル43aが位置しており、1番目の組合せが選択されていることを示している。図示していない操作子を操作することによりカーソル43aを移動させることができるようになっている。プレビュー表示欄44においては、選択されている組合せについて、目的地候補の名称、並びに各近隣施設の候補の名称とともにこれら候補の近傍の地図が表示される。同図の場合、選択されている1番目の組合せについての各候補の名称「○×ラーメン屋」、「◇◇銀行」及び「△◇高校」とともに、これらの近傍の地図が表示されている。
【0038】
図中の45は検索結果表示欄43に表示されている3つの組合せ以降にも検索された組合せが存在することを示すマークである。このマークが表示されている場合、カーソル43aを下端まで移動させ、さらに下方へ移動させるように操作することによって4番目以降の組合せを順次検索結果表示欄43上において上方向に送りながら表示させることができるようになっている。
【0039】
図6は図5の画面において順位が3番目の組合せが選択されたときの様子を示す。つまりユーザは、図5のプレビュー表示欄44によれば、記憶しているラーメン屋の周りの様子と異なることがわかったため、3番目の組合せを選択してみたわけである。図6のプレビュー表示欄44においては、選択された3番目の組合せについて、目的地「ラーメン屋」の候補の名称「□○(ラーメン屋)」、近隣施設「◇◇銀行」の候補の名称「◇◇銀行」及び近隣施設「学校」の候補の名称「△×小学校」の表示とともに、これら候補の近傍の地図が表示されている。ユーザはこの表示を見て、3番目の組合せに係る「□○(ラーメン屋)」が目的とする図2のラーメン屋21であることを理解することができる。ユーザは、図示していない所定の操作子を操作することにより、選択されている3番目の組合せに係る「□○(ラーメン屋)」を目的地として決定し、該目的地へ向けた案内動作を開始させることができる。
【0040】
図7は目的地のジャンルを「宿泊施設」、近隣施設の名称を「○○空港」として目的地検索を行った場合の検索結果の表示例を示す。この場合、同図のように、「宿泊施設」の候補が「○○空港」に近い順で表示されることになる。したがって、「○○空港」に近い宿泊施設を目的地として決定することができる。このような検索は、たとえば、早朝の便に乗るために、前日に「○○空港」の近くに宿泊したい場合に有効である。
【0041】
本実施形態によれば、目的地としたい施設の固有名称や具体的な位置が分からない場合であっても、その近隣施設の名称やジャンルを記憶しているときには、それを入力することにより、該目的地を検索することができる。その際、設定された目的地及び近隣施設間の位置関係に基づく近隣施設についての検索を併用した複合的な検索を行うようにしたため、近隣施設を手掛かりにして目的地を人に尋ねるような自然な感覚で目的地の検索を行うことができる。したがって、目的地をインターネットで探し出してナビゲーション装置に設定するといった煩雑な操作を不要とすることができる。
【0042】
また、従来は、目的地をジャンル等で検索した場合には多数の候補が検索されるが、本実施形態によれば、併せて1又は複数の近隣施設のジャンルや固有名称等を入力するようにしたため、検索結果として得られる候補数を少なくすることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、複数の目的を同時に達成することができる施設の検索を行うことができる。たとえば居酒屋で飲んでカラオケで歌った後にビジネスホテルに泊まるような場合、「居酒屋」、「カラオケ」、「ビジネスホテル」のいずれかを目的地として選択し、他を近隣施設として入力することにより、これらの候補の組合せを、目的地候補の近い順に表示させることができる。
【0044】
また、上述図7の例の場合のように、近隣施設として、施設の名称(「○○空港」)を1つだけ入力することにより、検索結果として、該名称の施設から近い順に目的地(「宿泊施設」)を表示させることができる。
【0045】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、目的地及び近隣施設間の位置関係の設定を、「200m四方の範囲」というように限定的に行い、この設定を検索条件として加味するようにしているが、これに加え又はこれに代えて、目的地の近隣には存在してほしくない、すなわち離隔していてほしい離隔施設の入力を可能とするとともに、目的地及び離隔施設間の位置関係の設定として、距離が所定内ではないというような除外的な設定を行うことができるようにしてもよい。これによれば、たとえば、近くに本屋及び銀行(近隣施設)が存在し、駅(離隔施設)から離れているラーメン屋を目的地として検索を行うことができる。
【0046】
また、上述においては、車載用のナビゲーション装置を例として説明したが、これに限らず、他のルート案内機能有する装置においても本発明を適用することができる。たとえば、ナビゲーション機能を有する携帯電話や、携帯用のナビゲーション装置、歩行者用のナビゲーション装置においても本発明を適用することができる。
【0047】
また、上述においては、目的地に対し所定の位置的関係を有する関係地の固有名称又はジャンルとして、近隣施設の名称やジャンルを入力するようにしているが、これに加えて「OO滝」、「××川」、「△△通り」等のような自然物の名称、地名や、「滝」、「登山」等のような自然物が関係地となるようなジャンルを関係地の固有名称又はジャンルとして入力することができるようにしてもよい。目的地のジャンルの選択についても、同様に、「滝」、「登山」等のような自然物が目的地となるようなジャンルを選択することができるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ユーザが行きたいと思っている目的地周辺の様子を示す図である。
【図3】図1の装置による目的地検索処理を示すフローチャートである。
【図4】「○○市」及び「△△町」が隣接している様子を示す図である。
【図5】図1の装置における検索結果の画面の一例を示す図である。
【図6】図5の画面において順位が3番目の組合せが選択されたときの様子を示す図である。
【図7】図1の装置における検索結果の画面の別の例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
11:制御部、12:位置検出部、13:記憶部、14:表示部、15:操作部、16
:音声出力部、21:ラーメン屋、22:◇◇銀行、23:学校、41,42:表示欄、43:検索結果表示欄、43a:カーソル、44:プレビュー表示欄、45:マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地のジャンルを選択するための選択手段と、
目的地に対して所定の位置的関係を有する1又は2以上の関係地の名称又はジャンルを入力するための入力手段と、
前記位置的関係を設定するための設定手段と、
目的地又は関係地とされ得る場所の名称、位置、及びジャンルを規定するデータベース、前記選択手段により選択されるジャンル、前記入力手段により入力される各関係地の名称又はジャンル、及び前記設定手段により設定される位置的関係に基づいて目的地を検索する検索手段とを具備することを特徴とする目的地検索装置。
【請求項2】
目的地の検索範囲を指定するための指定手段を備え、
前記検索手段は前記指定手段により指定された検索範囲内において前記目的地の検索を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の目的地検索装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記位置的関係の設定として、関係地が目的地から所定の範囲内に存在しないという設定を許容するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の目的地検索装置。
【請求項4】
前記検索手段は前記目的地の検索を行うに際し、
前記選択手段により選択された目的地のジャンルに該当する場所を目的地の候補として前記データベースから抽出し、
前記入力手段により入力された各関係地の名称又はジャンルに該当する場所を各関係地の候補として前記データベースから抽出し、
抽出した目的地の各候補及び各関係地の各候補のうち、前記設定手段により設定された位置的関係に適合する目的地の候補及び各関係地の候補の組合せを抽出するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の目的地検索装置。
【請求項5】
前記検索手段は、前記位置的関係に適合する目的地の候補及び各関係地の候補の組合せを抽出するに際し、候補の数が少ない関係地から順に各関係地について、該関係地の各候補及び各目的地の候補が該位置関係に適合するか否かを調べるものであることを特徴とする請求項4に記載の目的地検索装置。
【請求項6】
前記検索手段により抽出した目的地の候補及び各関係地の候補の各組合せについて、目的地の候補の名称、及び各関係地の候補の名称を、目的地の候補までの距離が現在地から近い順で表示する検索結果表示手段を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の目的地検索装置。
【請求項7】
前記検索手段により検索した目的地、及び対応する関係地を含む地図を、該目的地及び関係地を特定する表示とともに表示する地図表示手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の目的地検索装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの目的地検索装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
目的地のジャンルの選択を受け入れる選択受入れ工程と、
目的地に対して所定の位置的関係を有する1又は2以上の関係地の名称又はジャンルの入力を受け入れる入力受入れ工程と、
前記位置的関係の設定を受け入れる設定受入れ工程と、
目的地又は関係地とされ得る場所の名称、位置、及びジャンルを規定するデータベース、前記選択受入れ工程により選択を受け入れたジャンル、前記入力受入れ工程により入力を受け入れた名称又はジャンル、及び前記設定受入れ工程により設定を受け入れた位置的関係に基づいて目的地を検索する検索工程とを具備することを特徴とする目的地検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−133904(P2010−133904A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312653(P2008−312653)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】