説明

直動アクチュエータ及び機械試験機

【課題】制御信号に対する忠実度が高く、低ノイズで、高い繰り返しレートで高出力の直線往復駆動が可能な電動式の直動アクチュエータを実現する。
【解決手段】直動アクチュエータ1aは、サーボモータ35と、サーボモータの駆動軸35aに連結された送りねじと、送りねじと係合するナットと、ナットを送りねじの軸方向にスライド自在に支持するリニアガイドと、を備えている。直動アクチュエータ1aは、サーボモータは支持プレート33の一面に固定され、リニアガイドは支持プレートの他面に固定され、送りねじは、支持プレートに固定された軸受60により回転自在に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式の直動アクチュエータに関連し、特に疲労試験装置や、自動車等の大重量物を振動させる大型振動試験装置等において必要とされる、高出力で高い繰り返しレートの直線往復駆動が可能な電動式の直動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
直動アクチュエータには、回転式電動モータにラック・ピニオン機構等の変換器を組み合わせたものをはじめとして、リニアモータ、油圧式アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ等、様々な機構のものが知られている。
【0003】
疲労試験装置や、自動車等の大重量物を試験するための振動試験装置等においては、大荷重且つ高い繰り返しレート(例えば数10Hz以上)で直線往復駆動できるアクチュエータを使用する必要がある。また、このような試験装置において使用されるアクチュエータは、例えばサイン曲線等の所定の時間関数に従って時間変化する変位を正確に出力する必要があり、入力制御信号に対して極めて低ノイズで忠実度の高い応答特性をもつことが求められる。
【0004】
従来、このような条件を満たす直動アクチュエータは油圧式アクチュエータに限られていた。油圧式アクチュエータは油圧ポンプ等の油圧源が供給する油圧によって作動するアクチュエータであり、直動アクチュエータとしては油圧シリンダ機構が広く使用されている。
【0005】
油圧式アクチュエータは、油圧源が発生する油圧を伝達する媒体である作動油で内孔が充填された金属管等の油圧パイプで油圧源と接続される。油圧アクチュエータは、この油圧パイプによって伝達される油圧エネルギーによって作動する。油圧パイプの配管の中途には油圧制御弁が設けられており、油圧制御弁によって油圧ポンプに伝達される油圧を制御することでアクチュエータの駆動が制御される。
【0006】
このように、油圧式アクチュエータにおいては、油圧源を別途設置する必要があるため、電動式アクチュエータよりも広い設置スペースを必要とする。また、アクチュエータの稼動の有無に係わらず、油圧源は常に一定の油圧を供給する必要があり、油圧システムは一般にエネルギー利用効率が低い。また、油圧システムで使用される作動油は劣化するため、定期的に交換する必要がある。作動油の他にも、オイルフィルタや油圧制御弁等も定期的に交換する必要があり、メンテナンスに要する費用や労力が大きいといった短所がある。また、メンテナンスのためにシステム全体を定期的に停止させなければならないという問題もある。
【0007】
更に、油圧源や油圧配管の接続部、あるいはアクチュエータ自体からしばしば作動オイルが漏れることがあり、大規模な油圧システムが稼動する工場等では深刻な土壌汚染を引き起こす可能性もある。従って、油圧システムと比べてメンテナンスがほとんど必要なく、且つ環境汚染の心配のないアクチュエータを使用した試験装置が望まれていた。このようなアクチュエータとしては、例えば電動式の直動アクチュエータが考えられる。
【0008】
電動式の直動アクチュエータには、リニアモータの他、回転運動を直線運動に変換する変換器(例えば、ラック・ピニオン機構や送りねじ機構等)を回転式電動モータに連結したものがある。リニアモータは最も簡単な構成の電動式の直動アクチュエータであるが、可動部のイナーシャが大きいため、高い繰り返しレートでの往復駆動には適さない。また、ラック・ピニオン機構は駆動に必要な軸トルクが大きいため大型のモータが必要になり、やはり早い反転速度で駆動させることが難しい。従って、イナーシャの小さな回転式電動モータと駆動トルクの小さな送りねじ機構とを組み合わせたものが、大型振動試験装置等の高い繰り返しレートと大荷重が要求される用途に最も好適な電動式アクチュエータの構成といえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−27669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
回転式電動モータの駆動力を完全に送りねじ機構に伝達させようとする場合、モータの駆動軸と送りねじとを、どの運動成分に対しても軸と同等以上の剛性を有するリジッドカップリングを使用することが理想的である。しかしながら、リジッドカップリングは連結する軸間の僅かな軸ずれ(偏心、偏角)をも許容しないため、アライメントが非常に難しい。また、僅かなミスアライメントによっても駆動系に大きな内部ひずみが発生するため、アクチュエータの寿命が短くなるという問題がある。また、この内部ひずみが原因で発生する異常振動によって、アクチュエータを使用する試験装置に不要な振動ノイズを与え、試験精度を低下させてしまうといった問題もある。
【0011】
このようなリジッドカップリングにおけるアライメントの問題を解消するために、弾性体の部材の変形によってミスアライメントを吸収して内部ひずみを緩和させるフレキシブルカップリングが一般に使用されている。このフレキシブルカップリングは、駆動力を伝達させる捩り方向の力に対しても僅かながら弾性変形を示す。このねじり方向の僅かなたわみ性は、単に駆動力を伝達させる目的においては特に問題とはならない。しかし、振動試験装置のように駆動量と応答の大きさとの関係を定量的に評価するための装置においては、駆動量の制御精度を低下させるこのような捩り方向のたわみ性は試験精度を低下させるため、大きな問題となる。
【0012】
更に、リジッドカップリングを使用する場合には、軸出力だけでなく、モータが発生する駆動軸方向(すなわち、直動アクチュエータの作動方向)の振動までもが変換器に伝達されて、直動アクチュエータの出力にノイズ成分として加わることになる。このノイズは、特に高精度の振動試験において、試験精度に影響を与える一つの要因となる。従って、軸出力をリジッドに伝達する特性を維持しつつも、軸ずれによって生じる曲げ応力に対してたわみ性を有し、更に、モータが発生する軸方向の振動を遮断するようなカップリング方法の改善が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題を解決するため、本発明に係る直動アクチュエータは、支持プレートを備え、送りねじを駆動する電動モータが支持プレートの一面に固定され、送りねじと係合するナットの移動方向を送りねじの軸方向のみに制限するリニアガイドが支持プレートの他面に固定され、送りねじを電動モータの駆動軸とがセミリジッドカップリングによって連結されている。また、送りねじを挿通するために支持プレートに空けられた貫通穴には送りねじを回転可能に支持する軸受が設けられている。そして、セミリジッドカップリングは、曲げ方向にたわみ性を有し、且つ、電動モータの駆動軸の延長方向の振動の伝達を阻害するように構成されている。
【0014】
このように、本発明の構成においては、曲げ方向にたわみ性を有し、且つ、電動モータの駆動軸の延長方向の振動の伝達を阻害するセミリジッドカップリングでモータの駆動軸と送りねじとを連結することにより、高い応答性をもって送りねじを駆動させつつ、多少の軸ずれがあっても極端に大きな内部ひずみを発生することなくスムーズな駆動を可能にし、尚且つモータ駆動軸方向の振動を遮断することができる。また、単一の支持プレートにモータ、リニアガイド、及び軸受を取り付ける構成とすることによって、高出力かつ高い繰り返しレートでの直線往復駆動を低いトルクで行うために必要となる、高精度な軸の位置決め及びその維持を容易に行うことが可能となる。従って、本発明の構成によれば、自動車等の重量物の高精度な振動試験において加振装置として使用できる、高い繰り返しレートで高出力の直線往復駆動が可能な、忠実性が高く且つ低ノイズの直動アクチュエータが実現される。
【0015】
好ましくは、セミリジッドカップリングは樹脂等から作られる粘弾性要素を備えている。より好ましくは、セミリジッドカップリングは、所望の周波数(例えば、モータの駆動周波数)における振動の減衰率が最大になるように構成されている。このような構成とすることにより、モータから駆動軸を介して伝わる軸方向の振動を、セミリジッドカップリング内の粘弾性要素によって効果的に減衰させることで、出力側に伝達することを阻害することが可能になる。
【0016】
また、好ましくは、セミリジッドカップリングは、剛体要素である一対の外輪と、この一対の外輪の間に配置された、弾性要素または粘弾性要素を含む内輪とを有している。外輪の中心にはテーパ状の貫通穴が、内輪の中心には連結する軸を挿通するための円柱状の貫通穴が夫々設けられている。また、内輪の両端の外周には、一対の外輪のテーパ状の貫通穴の内壁とそれぞれ係合するテーパ部が形成されている。この一対の外輪をボルトで締結することによって内輪を介して軸が連結される。このような構成とすることにより、軸出力を略リジッドに伝達しつつ、軸方向の振動を吸収するセミリジッドカップリングを極めて簡単な構成で実現することができる。これにより、振動ノイズが少なく応答性の高い直動アクチュエータが実現される。
【0017】
また、軸受はアンギュラ玉軸受を含むことが望ましい。より好ましくは、アンギュラ玉軸受は組合せアンギュラ玉軸受、より具体的には正面組合せ形の組合せアンギュラ玉軸受を含む。このような構成とすることにより、軸受に加わる両方向のアキシアル荷重に対して十分な強度を確保することができる。
【0018】
また、送りねじとナットはボールねじ機構を構成することが望ましい。ボールねじ機構とすることにより、低損失かつ応答性がより高い直動アクチュエータが実現される。
【0019】
また、支持プレートは1枚の金属板から構成されることが望ましく、又は代替的に溶接によって一体化された複数の金属板から構成されていてもよい。このような構成とすることで、高い精度の組み立てが可能になり、アライメントが維持されやすくなる。
【0020】
また、リニアガイドの固定部と可動部の一方がレールを有し、且つ他方がレールと係合してレールに沿って移動可能なランナーブロックを有し、ランナーブロックが、レールを囲む凹部と、この凹部にランナーブロックの移動方向に沿って形成された溝と、ランナーブロックの内部に形成され溝と閉回路を形成するように溝の前記移動方向両端と繋がっている退避路と、閉回路を循環するとともに、溝に位置するときは前記レールと当接するようになっている複数のボールと、を有する構成とすることが好ましい。更に、ランナーブロックには上記の閉回路が4つ形成されており、この4つの閉回路のうち2つの閉回路の溝の夫々に配置されたボールはリニアガイドのラジアル方向に対して略±45度の接触角を有し、他の2つの閉回路の溝の夫々に配置されたボールはリニアガイドの逆ラジアル方向に対して略±45度の接触角を有する構成とすることが望ましい。
【0021】
このような構成のリニアガイドを使用すると、試験片に大荷重を加える場合であっても、送りねじ機構のナットはがたつくことなく、スムーズにリニアガイドに沿って動くことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、高出力かつ高い繰り返しレートの直線往復駆動が可能であり、尚且つ、振動試験等において必要となる制御信号に対する低ノイズかつ極めて忠実度の高い応答が可能な直動アクチュエータが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の直動アクチュエータが搭載された加振装置によって構成された自動車振動試験システムを示す図である。
【図2】加振装置に搭載された本発明の実施形態の直動アクチュエータの縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態の直動アクチュエータにおけるセミリジッドカップリングの縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態の直動アクチュエータにおける軸受部の縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態による万能試験装置において、ランナーブロック及びレールをレールの長軸方向に垂直な一面で切断した断面図である。
【図6】図5のI−I断面図である。
【図7】本発明の実施形態の直動アクチュエータにおける制御計測部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る直動アクチュエータ1aを使用した自動車振動試験システム1000によって被検車両Cの振動試験を行っている様子を示す図である。自動車振動試験システム1000は、本発明の実施形態に係る直動アクチュエータ1aが組み込まれた4台の加振装置1と、図示しないシステム制御装置とから構成されている。なお、本実施形態の自動車振動試験システム1000は、4輪車である被検車両Cに対して振動試験を行うものであり、4台の加振装置1の上に、被検車両の4つの車輪Wが夫々配置されるようになっている(図1中には、加振装置1及び車輪Wは2組のみ記載)。
【0025】
自動車振動試験システム1000を構成する4台の加振装置1は、鉛直方向の振動を発生(直線往復駆動)する同一構造の装置であり、それぞれシステム制御装置に接続されている。システム制御装置は、各加振装置1を同期制御して、加振装置1上に載置された被検車両Cの4つの車輪Wの夫々に別々の振動を与えることができるようになっている。これによって、自動車が実際の走行時に路面から受ける様々な振動をシミュレートして被検車両Cに与えることができる。また、システム制御装置は、被検車両Cに取り付けられた種々の計測器(例えば、加速度計、ひずみゲージ等)にも接続されており、各加振装置1が被検車両Cに加える振動データと各センサが取得するデータとを同期して記録することができるようになっている。更に、システム制御装置は、振動試験中又は試験後に記録したデータを解析して、例えば被検車両Cが路面から受ける振動に対する応答特性を図示しない出力装置(例えば、表示装置、印刷装置、又は記憶装置)に出力することができるようになっている。
【0026】
各加振装置1の上端に設けられているアタッチメント31bには被検車両Cの車輪Wを固定するための既知の車輪把持手段2が取り付けられており、車輪把持手段2を介して各加振装置1の上に車輪Wを1輪ずつ載せるようにして振動試験システム1000に被検車両Cが設置される。本実施形態においては、被検車両Cは図示しないクレーンによって加振装置1上に載置されるが、加振装置1をピット内に配置することによって被検車両Cが自走して加振装置1上に配置されるようにしてもよい。
【0027】
加振装置1は、フレーム10と、本発明の実施形態に係る直動アクチュエータ1aとから構成される。フレーム10は、ベースBに固定されている底部12と、底部12の上面四隅から鉛直方向上方に夫々伸びる4つの脚部14と、脚部14の上端を連結するように設けられている天板16とを有する。
【0028】
加振装置1の底部12には、加振装置1をベースBに対して解除可能に固定できる図示されない固定手段と、固定手段を解除したときに加振装置1をベースB上で水平方向に移動可能にする図示されない移動手段とが設けられている。試験時には固定手段を有効にして試験の振動によって加振装置1が移動しないようにし、セッティング時には固定手段を解除するとともに移動手段を作動させることによって車輪把持手段2の配置間隔が被検車両Cの車輪Wの間隔と一致するように各加振装置1を移動させることができるようになっている。
【0029】
次に、直動アクチュエータ1aの構造について説明する。図2は加振装置1に搭載されている直動アクチュエータ1a及びその周辺の縦断面図である。本発明の実施形態に係る直動アクチュエータ1aは、ACサーボモータ35が出力する回転運動を送りねじ機構にて直動運動に変換して、アタッチメント31bを上下動させるようになっている。
【0030】
フレーム10の天板16の上面16a上には、支持プレート33が天板16の中央に開けられた開口16bを塞ぐように配置され、支持プレートの側面33aの下端が天板の上面16aに全周溶接されるとともに、支持プレートの下面50bと天板の内側側面16bとが溶接される。これによって、支持プレート33は、フレーム10を介してベースB(図1)に剛体支持されることになる。
【0031】
支持プレート33は、厚さ方向の寸法を充分に大きくとった鋼板であり、試験時に直動アクチュエータ1aに加わる荷重に対して実質剛体と見なすことができる。この支持プレート33の下面には、モータ支持フレーム37を介してACサーボモータ35が固定されている。図示されているように、モータ支持フレーム37の側壁には複数のリブ37aが形成されている。そして、モータ支持フレーム37およびリブ37aの上端と支持プレート33の下面33bとを全周溶接することによって、支持プレート33とモータ支持フレーム37とは、高い剛性をもって一体化されている。
【0032】
ACサーボモータ35は、発明者らが独自に開発した高速反転駆動が可能な高出力ACサーボモータであり、従来のACサーボモータに対してイナーシャを大幅に低減することによって、最大500Hzの繰り返しレートで出力を発生する。
【0033】
支持プレートの上面33cには、リニアガイド40のガイドフレーム42がボルト等によって固定されている。ガイドフレーム42は、鉛直方向に伸びる一対の側壁42aと、この側壁42a同士を上端で連結する上部壁面42bとを有し、全体として逆U字状の形状となっている。
【0034】
ガイドフレーム42の内部には、可動部31が配置されている。また、側壁42aの内側の面には、鉛直方向に伸びる一対のレール44が固定されている。可動部31の図2中左右両端には、一対のレール44の夫々と係合する一対のランナーブロック46が設けられており、ランナーブロック46の移動をレール44が案内することによって、可動部31の移動方向は上下方向のみに限定される。
【0035】
可動部31には、ボール循環機能を備えたボールナット31aが埋めこまれている。ボールナット31aは、サーボモータ35の回転軸35aに連結されているボールねじ36の上部に形成されたねじ部36aと係合している。前述のように、可動部31の移動方向はリニアガイド40によって上下方向のみに限定されているので、ボールねじ36を回転させると、ボールナット36aはボールねじ36と共に回転することはなく、上下方向に移動する。そして、ボールナット31aが埋め込まれている可動ヘッド31もまた、上下方向に移動する。可動ヘッド31の上部には、前述のアタッチメント31bが形成されており、可動ヘッド31の上下動に伴ってアタッチメント31bが上下動する。以上のように、本実施形態によれば、サーボモータ35を駆動することによってアタッチメント31bを上下動させることができる。
【0036】
なお、ガイドフレーム42の上部壁部42bの中央部には開口部42cが設けられており、可動部31はこの開口部42cを貫通し、その上端のアタッチメント31bは上部壁部42bの上側に配置されている。本実施例においては、前述のように、アタッチメント31bcには被検車両Cの車輪Wを固定するための車輪把持手段2が取り付けられている(図1)が、実施する試験の対象や方法に適した種々の治具を取り付けることができるようになっている。
【0037】
ボールねじ36の下部は、ナット44aと係合するための溝が形成されていない軸部36bとなっている。この軸部36bは、セミリジッドカップリング300を介してACサーボモータ35の駆動軸35aと連結されている。詳細な構成は後述するが、本実施形態のセミリジッドカップリング300は、ねじり剛性が極めて高くなるように構成されており、ACサーボモータ35の駆動軸35aに加わるトルクを高い応答性をもってボールねじ36に伝達させることができる。また、セミリジッドカップリング300は、その内部の樹脂部材によって長さ方向の軸の変位を柔軟に吸収するように構成されており、ACサーボモータ20の駆動軸24から伝わるACサーボモータが発生する軸方向の振動を大幅に減衰させ、ボールねじ42に伝わり難くなっている。
【0038】
次に、セミリジッドカップリング300の構造につき説明する。図3は、セミリジッドカップリング300及び、このセミリジッドカップリング30を介して互いに連結されるACサーボモータ35の駆動軸35aとボールねじ36の軸部36bを示す拡大断面図である。
【0039】
図示されているように、セミリジッドカップリング300は、ナイロン(登録商標)製の内輪360と、一対のジュラルミン製の外輪320及び340、及びこれらを締結する複数(本実施形態では6つ)のボルト382から構成されている。内輪360の中央には、内部で相互に連絡する丸穴362a、362bが同軸上に設けられている。丸穴362aの内径はACサーボモータ35の駆動軸35aが隙間なく挿入できる大きさであり、丸穴362bの内径はボールねじ36の軸部36bが隙間なく挿入できる大きさとなっている。なお、本実施形態においては、ボールねじ36の軸部36bはACサーボモータ35の駆動軸35aよりも小径であるので、丸穴362bの外径は丸穴362aの外径よりも小径となっている。
【0040】
内輪360の軸方向中央にはフランジ部360aが形成されている。フランジ部360aの両面中央部からは、軸方向に伸びるテーパ部がそれぞれ形成されている。テーパ部の外側面364、366は、軸方向先端に近づくほど外径が小さくなる円錐面状のテーパ面となっている。また、内輪360を挟む一対の外輪320、340の中央には、それぞれテーパ形状の内側面322、342をもつ貫通穴が形成されている。外輪320と340は、それぞれ内側面322、342のテーパ面が開く方向を内輪側に向けて配置されている。外輪320、340のテーパ形状の内側面322、342は、それぞれ内輪360の外側面364、366と同じテーパ角をもっている。そして、外輪320の内側面322と内輪360の外側面364、外輪340の内側面342と内輪360の外側面366とが重なるように、内輪の両端に形成されたテーパ部が外輪320、340の貫通穴に差し込まれている。
【0041】
また、外輪340の貫通穴の周囲には、ボルト382の先端部に形成されたおねじと係合するめねじ344が、貫通穴の軸を中心とする円周上に等間隔に形成されている。また、外輪320と内輪360のフランジ部360aにもめねじ344に対応する位置にボルト穴324、368がそれぞれ形成されており、6本のボルト382が外輪320のボルト穴324及び内輪360のボルト穴368を通して外輪340のめねじ344と係合している。
【0042】
内輪360の丸穴362aに下方からACサーボモータ35の駆動軸35aの先端が、丸穴362bに上方からボールねじ36の軸部36bの先端が差し込まれた後、ボルト382を締結すると、内輪360は両側から外輪320と外輪340とで強く挟まれ、外輪320、340の貫通穴に内輪360の2つのテーパ部がそれぞれ深く嵌入される。このため、くさびの原理によって、内輪360の丸穴362a、362bからACサーボモータ35の駆動軸35a及びボールねじ36の軸部36bにそれぞれ強い側圧が加えられる。従って、丸穴362a、362bと駆動軸35a、ボールねじ軸部36bとの間にそれぞれ強力な摩擦力が発生し、駆動軸35aとボールねじ軸部36bとが内輪360を介して一体に連結される。この結果、セミリジッドカップリング300による連結部のねじり剛性は、送りねじ36やACサーボモータ35の駆動軸35aと同等以上となる。
【0043】
図3に示されているように、外輪320と340との間は、粘弾性体であるナイロン樹脂で形成された内輪のみで支持されている。また、セミリジッドカップリング300において、ACサーボモータ35の駆動軸35aの先端と、ボールねじ36の軸部36bの先端とは、わずかな(例えば、約1ミリメートル)の間隔を離して連結されている。従って、モータから軸を圧縮する方向の力が加わった場合には、内輪360が弾性変形して、この駆動軸35aとボールねじ36との間隔が狭まることにより、セミリジッドカップリング300内で軸方向の力を吸収して、ボールねじ36側に伝わる力を大幅に減衰させることができる。本実施形態においては、内輪360の振動減衰率は駆動軸35aの固有振動数において略最大となっている。これにより、駆動軸35aの軸方向、又は、軸の半径方向の振動を効果的に減衰させることができる。
【0044】
一方、上述のように、ACサーボモータ35の駆動軸35aの先端と、ボールねじ36の軸部42bの先端との間隔は1ミリメートル程度と短く、また、各軸の先端は全周が内輪と一体化されている。このため、捩り方向には十分にリジッドに連結されており、ACサーボモータ35の駆動軸35aの回転駆動を正確にボールねじ36に伝達することができる。
【0045】
図2に示されるように、支持プレート33の中央には貫通孔33dが設けられており、ボールねじ36はこの貫通孔33dを貫通している。本実施形態においては、試験時にスラスト方向の大荷重を受けるボールねじ36を回転可能に支持するため、貫通孔33dの位置に軸受部60を設けている。以下、この軸受の構造について説明する。
【0046】
図4は、支持プレート33の貫通孔33d付近の縦断面図である。図4に示されているように、貫通孔33dには、円環形状の第1軸受取付部材62が嵌入されている。第1軸受取付部材62の上端には半径方向外側に広がるフランジ部62aが形成されている。フランジ部62aは溶接によって支持プレート33と一体に固定されている。なお、フランジ部152aと支持プレート33との溶接は、ボールねじ36の位置決めが完了した後に行われる。
【0047】
また、ボールねじ36のねじ部36aと軸部36bとの間には、軸部36b側が小径となるような段差が設けられている。この段差の部分に、第1カラー64が配置されている。第1カラー64は軸部36bの外径とほぼ同程度の内径を有しており、第1カラー64をボールねじ42の軸部42b側(下方)から通すと、段差部分で引掛かって止まる。そして、第1カラー64の下には、組合せアンギュラ玉軸受61、第2カラー65が順次装着される。また、ボールねじ36の軸部36bの中途にはおねじ36cが形成されており、第1カラー64、組合せアンギュラ玉軸受61、第2カラー65をボールねじ36の軸部36bに装着した後、ナット66をボールねじ36のおねじ36cに取り付けることによって、第1カラー64と第2カラー65との間で組合せアンギュラ玉軸受61の内輪が支持される。
【0048】
円環形状の第1軸受取付部材62の開口には組合せアンギュラ玉軸受61が上方から嵌入されている。第1軸受取付部材62の開口の下方には、内径が組合せアンギュラ玉軸受61の外径よりも小さくなるような段差が設けられており、上方から嵌入された組合せアンギュラ玉軸受61の外輪がこの段差に引掛かることで、第1軸受取付部材62に下方から支持される。
【0049】
また、第1軸受取付部材62の上部には、第2軸受取付部材63が配置されている。第2軸受取付部材63は、ボルト68によって、第1軸受取付部材62に締結されている。第2軸受取付部材63の下面は組合せアンギュラ玉軸受61の外輪と当接しており、これによって組合せアンギュラ玉軸受61の外輪を第1軸受取付部材62と一体に固定している。
【0050】
組合せアンギュラ玉軸受61は、一対のアンギュラ玉軸受61a、61bの正面同士を対向させるように組み合わせたもの(正面組合せ)である。本実施形態においては、振動試験時にボールねじ36が上下方向の大荷重を受ける。このため、一対のアンギュラ玉軸受を正面組合せで組み合わせて、上下両方向のスラスト荷重を支持可能な構成としている。また、正面組合せの組合せアンギュラ玉軸受61は、軸(ボールねじ36の軸部36b)に撓みが発生した時であっても軸受内部の応力集中は起こりにくいので、軸受自身の破損が起きにくい。なお、組合せアンギュラ玉軸受の構成は、一対のアンギュラ玉軸受のは背面同士を対向させるように組み合わせた背面組合せの組合せアンギュラ玉軸受を使用してもよい。当然ながら、3つ以上のアンギュラ玉軸受を組み合わせた組合せアンギュラ玉軸受を使用してもよい。
【0051】
前述のように、本実施形態における直動アクチュエータ1aは、高出力で高い繰り返しレートの反転駆動が可能な低慣性ACサーボモータ35、捻り剛性が高く、なおかつ軸方向の振動を吸収するセミリジッドカップリング300、更に応答性が高く且つ低トルクで低損失に動作可能なボールねじ機構を使用することによって、自動車等の重量物用の振動試験装置等に適用可能な、高出力、高繰り返しレートで、制御信号に対して低ノイズかつ高い忠実度を有する作動を実現している。前述の通り、このような低損失で高い応答性を有するアクチュエータを実現するためには、連結するACサーボモータ35の駆動軸35aとボールねじ36、及びボールねじ36を回転可能に支持する軸受部60の相対配置を極めて高精度に位置決めする必要がある。そのために、本実施形態においては、剛性の高い支持プレート33上にこれらの要素を全て配置することによって、容易に高精度で組み立てることができ、かつ、組立後も高い精度が安定して維持されるようになっている。
【0052】
次に、本実施形態によるリニアガイド40のレール44及びランナーブロック46(図2)の構成について、図面を用いて詳細に説明する。図5は、レール44及びランナーブロック46を、レール44の長軸方向に垂直な一面(すなわち水平面)で切断した断面図であり、図6は図5のI−I断面図である。図5及び図6に示されるように、ランナーブロック46にはレール44を囲むように凹部が形成されており、この凹部にはレール44の軸方向に延びる4本の溝46a、46a’が形成されている。この溝46a、46a’には、多数のステンレス鋼製のボール46bが収納されている。レール44には、ランナーブロック46の溝46a、46a’と対向する位置にそれぞれ溝44a、44a’が設けられており、ボール46bが溝46aと溝44a、又は溝46a’と溝44a’との間に挟まれるようになっている。溝46a、46a’、44a、44a’の断面形状は円弧状であり、その曲率半径はボール46bの半径と略等しい。このため、ボール46bは、あそびのほとんど無い状態で溝46a、46a’、44a、44a’に密着する。
【0053】
ランナーブロック46の内部には、溝46aの夫々と略平行な4本のボール退避路46c、46c’が設けられている。図6に示されるように、溝46aと退避路46cとは、夫々の両端でU字路46dを介して接続されており、溝46a、溝44a、退避路46c、及びU字路46dによって、ボール46bを循環させるための循環路が形成される。溝46a’、溝44a’及び退避路46c’によっても、同様の循環路が形成されている。
【0054】
このため、ランナーブロック46がレール44に対して移動すると、多数のボール46bが溝46a、46a’、44a、44a’を転がりながら循環路を循環する。このため、レール軸方向以外の方向に大荷重が加わっていたとしても、多数のボールでランナーブロックを支持可能であると共にボール46bが転がることによりレール軸方向の抵抗が小さく保たれるので、ランナーブロック46をレール44に対してスムーズに移動させることができる。なお、退避路46c及びU字路46dの内径は、ボール46bの径よりやや大きくなっている。このため、退避路46c及びU字路46dとボール46bとの間に発生する摩擦力はごくわずかであり、それによってボール46bの循環が妨げられることはない。
【0055】
図示されているように、溝46aと44aに挟まれた二列のボール46bの列は、接触角が略±45°となる正面組合せ型のアンギュラ玉軸受を形成する。この場合の接触角とは、溝46a及び44aがボール46bと接触する接触点同士を結んだ線が、リニアガイドのラジアル方向(ランナーブロックからレールに向かう方向であり、図5における下方向)に対してなす角度である。このように形成されたアンギュラ玉軸受は、逆ラジアル方向(レールからランナーブロックに向かう方向であり、図5における上方向)及び横方向(ラジアル方向及びランナーブロックの進退方向の双方に直交する方向であり、図5における左右方向)の荷重を支持することができる。
【0056】
同様に、溝46a’と44a’に挟まれた二列のボール46bの列は、接触角(溝46a’及び44a’がボール46bと接触する接触点同士を結んだ線が、リニアガイドの逆ラジアル方向に対してなす角度)が略±45°となる正面組合せ型のアンギュラ玉軸受を形成する。このアンギュラ玉軸受は、ラジアル方向及び横方向の荷重を支持することができる。
【0057】
また、溝46aと44aの一方(図中左側)と、溝46a’と44a’の一方(図中左側)にそれぞれ挟まれた二列のボール46bの列もまた、正面組み合わせ型のアンギュラ玉軸受を形成する。同様に溝46aと44aの他方(図中右側)と、溝46a’と44a’の他方(図中右側)にそれぞれ挟まれた二列のボール46bの列もまた、正面組合せ型のアンギュラ玉軸受を形成する。
【0058】
このように、本実施形態においては、ラジアル方向、逆ラジアル方向、横方向のそれぞれに働く荷重に対して、多数のボール46bを有する正面組合せ型のアンギュラ玉軸受が支持することになり、レール軸方向以外の方向に加わる大荷重を十分支持できるようになっている。
【0059】
次に、本実施形態の直動アクチュエータ1aの制御計測部の構成について説明する。図7は、本実施形態の直動アクチュエータ1aの制御計測部200のブロック図である。本実施形態の直動アクチュエータ1aは、実際に路面を走行したときに車両が路面から受ける振動を忠実に再現するために、500Hzまでの周波数の直線往復運動を発生することができるようになっている。
【0060】
直動アクチュエータ1aの制御計測部200は、設定値指示ユニット210、駆動制御ユニット220を有する。
【0061】
設定値指示ユニット210は、どのようにして可動部31(図2)を移動させるかを指示するためのユニットである。より具体的には、可動部31の初期位置からの変位量(目標位置)を信号として出力して駆動制御ユニット220に送るユニットである。設定値指示ユニット210は、入力インターフェース212と、波形生成手段214とを有する。
【0062】
入力インターフェース212は、設定値指示ユニット210と自動車振動試験システム1000の図示されないシステム制御装置とを接続するためのインターフェースである。システム制御装置は、どのようにして可動部31を変位させるのかを指示する。例えば、一定方向に一定速度で可動部31を動かすのであれば、システム制御装置は可動部31に与える変位速度を入力インターフェース212に送信する。また、一定波形の振動を発生させる場合には、システム制御装置は可動部31の振幅、周波数、及び波形(正弦波と三角波のいずれの波形を使用するか、等)を入力インターフェース212に送信する。入力インターフェース212に入力された指示は、波形生成手段214に送られる。
【0063】
波形生成手段214は、入力インターフェース212より送信された指示を解釈し、可動部31の初期位置からの変位量を逐次演算し、これを駆動制御ユニット220に送信する。なお、振動試験を行う際は、単一の正弦波や三角波といった一定の波形・周波数で可動部31を駆動するだけに留まらず、様々な振幅や周波数をもつ関数から合成された任意の波形関数に基づいて可動部31を駆動することも可能である。例えば、周波数の異なる正弦波を掛け合わせた関数に基づき、可動部31の振幅が経時変化するように、可動部31を駆動させることも可能である。
【0064】
可動部31の変位量はディジタル信号として波形生成手段214から出力される。このため、波形生成手段214から駆動制御ユニット220に送信される信号は、まずD/Aコンバータ222に入力されてアナログ信号に変換される。アナログ信号に変換された可動ヘッド44の変位量情報は、次にアンプ224に送られる。そして、アンプ224は、D/Aコンバータ222から送られた可動部31の変位量情報を増幅して出力する。
【0065】
前述のように、本実施形態においては、ACサーボモータ35が可動部31を駆動することによって振動試験が行われる。ここで、ACサーボモータ35は、駆動軸24(図1)の回転数を検出するためのエンコーダを内蔵しており、エンコーダが検出した回転数は駆動制御ユニット220の現在位置演算回路226に送信される。
【0066】
現在位置演算回路226は、ACサーボモータ35のエンコーダの検出結果に基づいて、可動ヘッド44の現在位置を演算して出力する。そして、アンプ224の出力と現在位置演算回路226の出力との差分(すなわち、可動部31の目標位置と現在位置との差に相当する信号)が電流生成回路228に送信される。
【0067】
電流生成回路252は、受信した信号に基づいて、ACサーボモータ35に出力する三相電流を生成し、これをACサーボモータに出力する。この結果、可動ヘッド44が目標位置に到達するようにACサーボモータ20が駆動される。
【0068】
以上のような構成の直動アクチュエータ1aを使用することによって、極めて高精度な振動試験を行うことができる。前述のように、本発明の実施形態に係る直動アクチュエータ1aにおいては、従来のACサーボモータと比べて可動部のイナーシャが低く、高出力で最大500Hzの繰り返しレートの高速反復駆動が可能なACサーボモータ35が使用されている。また、本実施形態の直動アクチュエータ1aにおいては、セミリジッドカップリング300によってACサーボモータ35の軸出力をロス無くリニアにボールねじ機構に伝達するとともにモータが発生する直動アクチュエータ1aの駆動軸方向の振動を遮断し、更に、セミリジッドカップリング300及びボールねじによって軸回転を高効率に直線運動に変換する構成となっている。これらの構成によって、高出力かつ高い繰り返しレートの直線往復駆動が可能となるのみならず、振動試験等において必要となる制御信号に対する極めて低ノイズで忠実度の高い応答が可能になり、ACモータを使用した大重量物用の振動試験等をより高精度に行うことが可能になった。
【0069】
また、本実施形態の構成によれば、図2に示されるように、可動部31を移動させるための動力源であるACサーボモータ35と、ACサーボモータ35の駆動軸35aの回転運動を上下運動に変換するためのボールねじ機構、及び駆動軸35aを回転可能に支持する軸受部60とが、同一のプレートである支持プレート33に固定されている。この構成は、ACサーボモータ35の駆動軸35やボールねじ36、軸受部60、可動部31をガイドするためのリニアガイド40等の相対位置を高精度に位置決めして取り付けることを可能とし、従って、互いに連結するACサーボモータ35の駆動軸35aとボールねじ36の軸部36bとの芯出しを容易且つ極めて正確に行うことができる。これによって高い繰り返しレートでの高出力な反転駆動を実現するために必要な、ACサーボモータ35の駆動軸35a、ボールねじ36、軸受部60及びリニアガイド40の相互の精密な位置決めを容易にし、かつ精密な配置状態を安定に維持することが可能となる。このような高精度の位置決めの実現によって、内部ひずみが大幅に軽減されるために直動アクチュエータの駆動に必要なトルクが小さくなり、高出力かつ高い繰り返しレートでの直線往復駆動が可能となるとともに、直動アクチュエータを使用した各種試験の測定精度に影響を与える振動ノイズを低下させることにも寄与する。
【符号の説明】
【0070】
B ベース
C 自動車(被検車両)
W 車輪
1 加振装置
1a 直動アクチュエータ
2 車輪把持手段
10 フレーム
31 可動部
33 支持プレート
35 ACサーボモータ
35a 駆動軸
36 ボールねじ
37 モータ支持フレーム
42 ガイドフレーム
60 軸受部
61 組合せアンギュラ玉軸受
62 第1軸受取付部材
63 第2軸受取付部材
64 第1カラー
65 第2カラー
66 ナット
200 制御計測部
210 設定値指示ユニット
220 駆動制御ユニット
250 測定ユニット
300 セミリジッドカップリング
320 外輪
340 外輪
360 内輪
382 ボルト
1000 自動車振動試験システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持プレートと、
前記支持プレートの一面に固定された電動モータと、
送りねじと、
前記送りねじと前記電動モータの駆動軸とを連結するセミリジッドカップリングと、
前記支持プレートの貫通穴に設けられた前記送りねじを回転可能に支持する軸受けと、
前記送りねじと係合するナットと、
前記支持プレートの他面に固定されるとともに、前記支持プレートに対する前記ナットの移動方向を前記送りねじの軸方向のみに制限するリニアガイドと、
を有し、
前記セミカップリングが、曲げ方向にたわみ性を有し、且つ、前記電動モータの駆動軸の延長方向の振動の伝達を阻害するように構成されている
ことを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項2】
前記セミリジッドカップリングは粘弾性要素を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の直動アクチュエータ。
【請求項3】
前記弾性要素の少なくとも一部は樹脂にて形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の直動アクチュエータ。
【請求項4】
前記セミリジッドカップリングは、所望の周波数における前記振動の減衰率が最大になるように構成されている、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の直動アクチュエータ。
【請求項5】
前記所望の周波数は前記モータの駆動周波数である、ことを特徴とする請求項4に記載の直動アクチュエータ。
【請求項6】
前記セミリジッドカップリングは、
中心にテーパ状の貫通穴を有する剛体要素である一対の外輪と、
前記一対の外輪の間に配置され、中心に連結する軸を通すための円柱状の貫通穴が形成され、外周の両端に前記一対の外輪のテーパ状の貫通穴の内壁と夫々係合するテーパ部が形成されている、弾性要素または粘弾性要素である内輪と、
を有し、
前記一対の外輪をボルトで締結することにより内輪を介して軸を連結する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の直動アクチュエータ。
【請求項7】
前記軸受はアンギュラ玉軸受を含む、ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の直動アクチュエータ。
【請求項8】
前記アンギュラ玉軸受は、アキシアル荷重の耐荷重方向が互いに反対方向となるように配置された1対の単列アンギュラ玉軸受を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の直動アクチュエータ。
【請求項9】
前記組合せアンギュラ玉軸受は、正面組合せ形の組合せアンギュラ玉軸受を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の直動アクチュエータ。
【請求項10】
前記送りねじ及び前記ナットはボールねじ機構を構成する、ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の直動アクチュエータ。
【請求項11】
前記支持プレートは、1枚の金属板、若しくは溶接によって一体化された複数の金属板から構成されている、ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の直動アクチュエータ。
【請求項12】
前記リニアガイドは、前記固定部に固定される第1部と、前記ナットに固定される第2部とを有し、
前記リニアガイドの第1部と第2部の一方がレールを有し、且つ他方が前記レールと係合して該レールに沿って移動可能なランナーブロックを有し、
前記ランナーブロックが、
前記レールを囲む凹部と、
前記凹部において、前記ランナーブロックの移動方向に沿って形成された溝と、
前記ランナーブロックの内部に形成され、前記溝と閉回路を形成するように前記溝の前記移動方向両端と繋がっている退避路と、
前記閉回路を循環するとともに、前記溝に位置するときは前記レールと当接するようになっている複数のボールと、
を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の直動アクチュエータ。
【請求項13】
前記ランナーブロックには前記閉回路が4つ形成されており、
前記4つの閉回路のうち2つの閉回路の溝の夫々に配置されたボールは前記リニアガイドのラジアル方向に対して略±45度の接触角を有し、他の2つの閉回路の溝の夫々に配置されたボールは前記リニアガイドの逆ラジアル方向に対して略±45度の接触角を有することを特徴とする請求項12に記載の直動アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−132563(P2012−132563A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283248(P2011−283248)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2008−202890(P2008−202890)の分割
【原出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(391046414)国際計測器株式会社 (32)
【Fターム(参考)】