説明

真空熱処理装置

【課題】脱ガス時間が短く、真空保持性が低下しにくい真空熱処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】真空熱処理装置1は、真空中に配置されると共にガスを吸収した被処理物Pが収容される収容室42を持つ回転容器4を備え、被処理物Pを加熱することにより被処理物Pの脱ガス処理を行うことを特徴とする。真空熱処理装置1では、被処理物Pが収容される収容室42を持つ回転容器4そのものが、真空中に配置される。回転容器4の内部と外部とは、共に真空である。つまり、真空境界は、回転する回転容器4の壁部ではなく、回転容器4よりも外部に存在している。したがって、収容室42の真空保持性が低下しにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば脱水素化処理など、真空中での脱ガス処理に用いられる真空熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
純チタン粉末製造方法の一つに、HDH(Hydride−De−Hydride)法(水素化脱水素法)がある。HDH法は、原料チタンを水素化処理して脆性の高いチタン水素化物を作製する水素化工程と、当該チタン水素化物を粉砕する粉砕工程と、粉砕したチタン水素化物の粉末を脱水素化処理して純チタン粉末を作製する脱水素化工程と、を有する。このうち、脱水素化工程においては、チタン水素化物の粉末をトレイに入れ、当該トレイを多段積みして、真空中で加熱処理することにより、脱水素化処理が行われる。
【0003】
しかしながら、この方法の場合、脱水素化処理中、多段積みのトレイ、つまりチタン水素化物粉末は、静置されている。このため、チタン水素化物粉末に、温度むらや脱水素むらが発生しやすい。よって、全ての粉末の脱水素化を完了させるには、比較的長い時間がかかる。
【0004】
そこで、特許文献1には、脱水素化工程をロータリーキルンを用いて行う方法が紹介されている。同文献記載の方法によると、温度むらや脱水素むらが発生しにくい。このため、脱水素化工程に要する時間を短縮することができる。
【特許文献1】特開平7−70613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同文献記載の方法の場合、以下のような問題点がある。図10に、ロータリーキルンの軸方向断面図を示す。図10に示すように、脱水素化工程をロータリーキルン100を用いて行う場合、回転するレトルト101の内部を、真空に保つ必要がある。このため、ロータリージョイント102a、102bの構造が複雑になる。同様に、粉末供給ホッパー103とレトルト101との継ぎ目104、粉末排出ボックス105とレトルト101との継ぎ目106の構造が複雑になる。
【0006】
また、レトルト101の回転力は、ローラー107a、107bから伝達される。すなわち、レトルト101の軸方向両端の外周面には、一対のタイヤ108a、108bが固定されている。タイヤ108aはローラー107aにより、タイヤ108bはローラー107bにより、それぞれ回転可能に支持されている。
【0007】
ここで、ローラー107aとタイヤ108aとの間、およびローラー107bとタイヤ108bとの間には、各々摩擦力が発生している。このため、経時的なローラー107a、107bあるいはタイヤ108a、108bの摩耗により、1)図中、点線A2で示すように、レトルト101の軸線A1が、初期位置に対して、傾動してしまう場合がある。2)また、点線A3で示すように、軸線A1が、初期位置に対して、平行移動してしまう場合がある。3)さらにまた、軸線A1が、初期位置に対して、傾動および平行移動してしまう場合がある(以下、上記1)〜3)をまとめて「軸ずれ」と称す。)。
【0008】
これに対して、ロータリージョイント102a、102bは、ロータリーキルン100組み付けの際、レトルト101の軸線A1上に設置される。このため、レトルト101の軸ずれにより、ロータリージョイント102a、102bの封止部に隙間が発生するおそれがある。並びに、粉末供給ホッパー103とレトルト101との継ぎ目104や、粉末排出ボックス105とレトルト101との継ぎ目106にも、隙間が発生するおそれがある。すなわち、レトルト101のシール性が低下するおそれがある。
【0009】
また、レトルト101には、チタン水素化物粉末P1のレトルト101内周面への付着を抑制するために、ハンマー109a、109bが配置されている。すなわち、回転するレトルト101の外周面をハンマー109a、109bで打撃して、レトルト101に振動を与えることにより、付着したチタン水素化物粉末P1をレトルト101内周面から脱落させている。このハンマリングによっても、レトルト101に軸ずれが発生するおそれがある。すなわち、レトルト101のシール性が低下するおそれがある。また、レトルト101内部に収容されたチタン水素化物粉末P1の回転によっても、レトルト101に軸ずれが発生し、シール性が低下するおそれがある。
【0010】
本発明の真空熱処理装置は、上記課題に鑑みて完成されたものである。すなわち、本発明は、脱ガス時間が短く、真空保持性が低下しにくい真空熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の真空熱処理装置は、真空中に配置されると共にガスを吸収した被処理物が収容される収容室を持つ回転容器を備え、該被処理物を加熱することにより該被処理物の脱ガス処理を行うことを特徴とする(請求項1に対応)。
【0012】
上述したように、従来のロータリーキルンによると、レトルトの内部に被処理物を収容し、レトルトの内部を真空にして、脱ガス処理を行っていた。すなわち、レトルトの外部が大気圧であり、回転するレトルトの内部が真空であった。つまり、真空雰囲気と非真空雰囲気との境界(以下、「真空境界」と称す。)が、回転するレトルトの壁部に存在していた。
【0013】
これに対して、本発明の真空熱処理装置では、被処理物が収容される収容室を持つ回転容器そのものが、真空中に配置される。回転容器の内部と外部とは、共に真空である。つまり、真空境界は、回転する回転容器の壁部ではなく、回転容器よりも外部に存在している。したがって、収容室の真空雰囲気を保持しやすい。つまり、収容室の真空保持性が低下しにくい。
【0014】
本発明の真空熱処理装置によると、被処理物は、回転容器の回転により攪拌されながら、真空かつ高温下で脱ガス処理される。このため、温度むらや脱ガスむらが発生しにくい。よって、効率よく脱ガス処理を行うことができる。
【0015】
(2)好ましくは、さらに、通気性を有し、内部に前記回転容器の少なくとも前記収容室が収容される熱処理室を区画するインナーシェルと、内部に該インナーシェルが収容される真空室を区画するアウターシェルと、を備える構成とするとよい(請求項2に対応)。本構成の真空熱処理装置は、インナーシェルとアウターシェルとを備えている。真空室は、アウターシェルの内部に区画されている。すなわち、真空境界は、アウターシェルの壁部に存在している。本構成によると、比較的簡単に、回転容器を真空中に配置することができる。
【0016】
また、インナーシェルは通気性を有している。このため、真空室を真空にする際、通気性を有するインナーシェルを介して、熱処理室および収容室を真空にすることができる。したがって、熱処理室および収容室を含む真空室全体を、容易に真空にすることができる。
【0017】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記インナーシェルは、断熱材からなるシェル本体と、該シェル本体の内面に配置され前記熱処理室に表出する加熱部と、を備える構成とするとよい(請求項3に対応)。
【0018】
本構成によると、加熱部は断熱材からなるシェル本体の内面に配置されている。このため、加熱部の熱は、シェル本体に遮蔽され、真空室内部におけるシェル本体(インナーシェル)の外側に逃げにくい。また、加熱部は熱処理室に表出している。このため、熱処理室、つまり被処理物を効率よく加熱することができる。
【0019】
(4)好ましくは、上記(2)の構成において、前記インナーシェルおよび前記アウターシェルは、前記熱処理室が表出するように、上下方向に分割可能であり、前記回転容器は、該インナーシェルおよび該アウターシェルが分割されている際に、前記熱処理室に出し入れされる構成とするとよい(請求項4に対応)。
【0020】
熱処理室の内部には、回転容器の少なくとも収容室が収容されている。インナーシェルとアウターシェルとが、熱処理室が表出するように分割されているため、熱処理室への回転容器の出し入れを容易に行うことができる。また、インナーシェルとアウターシェルとは、上下方向に分割されている。すなわち、インナーシェルの上方の分割体は下方の分割体の上に載置されている。上方の分割体の自重により、熱処理室は堅固に封止されている。このため、熱処理室から熱が逃げにくい。同様に、アウターシェルの上方の分割体は下方の分割体の上に載置されている。上方の分割体の自重により、真空室は堅固に封止されている。このため、真空室のシール性が高い。
【0021】
(5)好ましくは、上記(2)の構成において、さらに、前記回転容器を回転させる回転軸と、該回転軸を回転可能に支持すると共に前記真空室内であって前記熱処理室でない区間に配置される軸受と、を備える構成とするとよい(請求項5に対応)。
【0022】
本構成によると、軸受は、真空室内であって熱処理室でない区間(以下適宜「非加熱区間」と称す。)に配置されている。このため、軸受が熱負荷を受けにくい。また、回転軸は、真空室内の軸受により支持されている。よって、仮に加熱により回転軸が熱膨張しても、収容室の真空保持性には、悪影響を及ぼさない。
【0023】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記回転軸は、二本、略平行に並置されており、前記回転容器は、二本の該回転軸上に載置されており、さらに、前記アウターシェルの外部に配置され、二本の該回転軸のうちいずれか一方に駆動力を伝達する駆動部を備える構成とするとよい(請求項6に対応)。
【0024】
駆動部は、アウターシェル外部に配置されている。このため、回転軸等の駆動力伝達機構は、真空室の内外に亘って配置されることとなる。しかし、本構成によると、二本の回転軸のうち一本だけに駆動力が伝達される。このため、駆動力が伝達される一本の回転軸に対してだけ、シール性を考慮すればよい。よって、所望の真空状態を確保しやすい。
【0025】
(7)好ましくは、上記(5)の構成において、さらに、前記回転軸を振動させると共に前記真空室内であって前記熱処理室でない区間に配置される振動発生部を備える構成とするとよい(請求項7に対応)。
【0026】
脱ガス処理の際、被処理物が処理室の内周面に付着することがある。本構成によると、振動発生部により、回転軸が振動する。これより、回転容器(処理室)が振動する。よって、被処理物の内周面への付着を抑制することができる。また、振動発生部は、真空室内であって熱処理室でない区間(非加熱区間)に配置される。よって、振動発生部が熱負荷を受けにくい。
【0027】
(8)好ましくは、上記(5)の構成において、前記回転容器は、外周面に複数のタイヤ部を備え、複数の該タイヤ部は、各々、複数の前記回転軸上に載置されている構成とするとよい(請求項8に対応)。
【0028】
仮に回転軸の軸長が長い場合、熱処理室からの伝熱により、また回転容器の自重により、回転軸が撓みやすい。この点、本構成の場合、回転容器全体ではなく、タイヤ部のみが回転軸により支持される。このため、回転軸の軸長が短くて済む。したがって、回転軸の撓みを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の真空熱処理装置の実施形態について説明する。
【0030】
<第一実施形態>
まず、本実施形態の真空熱処理装置の構成について説明する。図1に、本実施形態の真空熱処理装置の斜視合体図を示す。図2に、同真空熱処理装置の斜視分解図を示す。図3に、図1のIII−III方向断面図を示す。なお、以下に示す図においては、前から後ろを見る場合を基準に、左右を定義している。
【0031】
図1〜図3に示すように、真空熱処理装置1は、主として、アウターシェル2と、インナーシェル3と、回転容器4と、駆動側回転軸5と、従動側回転軸6と、駆動装置7と、を備えている。
【0032】
アウターシェル2は、アウター上分割体20uとアウター下分割体20dとから構成されている。アウター上分割体20uは、鋼製であって、下方に開口するカップ状を呈している。アウター上分割体20uの頂部には、短軸円筒状の温度測定ポート200uが三つ直列に配置されている。温度測定ポート200uには、各々、ケーブル201uが挿入されている。ケーブル201uは、後述するインナーシェル3のシェル本体上分割体300uを貫通し、電気ヒーター上分割体301u近傍まで達している。ケーブル201uの先端には、熱電対(図略)が配置されている。熱電対により、電気ヒーター上分割体301u近傍の温度が測定される。
【0033】
アウター上分割体20uの左側には、短軸円筒状の真空計ポート202uが配置されている。真空計ポート202uには、真空計203uが挿入されている。アウター上分割体20uの右側(真空計ポート202uの略180°対向位置)には、共に短軸円筒状の一対の電気ヒーター導入ポート204u、205uが配置されている。電気ヒーター導入ポート204uにはケーブル206uが、電気ヒーター導入ポート205uにはケーブル207uが、各々挿入されている。ケーブル206u、207uは、後述する電気ヒーター上分割体301uに配索される電熱線304uと接続されている。
【0034】
アウター下分割体20dは、鋼製であって、上方に開口するカップ状を呈している。アウター下分割体20dは、アウター上分割体20uの下方に、各々の開口部を合わせるように配置されている。具体的には、アウター上分割体20uとアウター下分割体20dとは、各々のフランジ部をボルト締結することにより固定されている。これにより、アウターシェル2の内部には真空室21が形成されている。
【0035】
アウター下分割体20dの底部には、短軸円筒状の温度測定ポート200dが三つ直列に配置されている。温度測定ポート200dは、前記温度測定ポート200uと、上下方向に対向して配置されている。温度測定ポート200dには、各々、ケーブル201dが挿入されている。ケーブル201dは、後述するインナーシェル3のシェル本体下分割体300dを貫通し、電気ヒーター下分割体301d近傍まで達している。ケーブル201dの先端には、熱電対(図略)が配置されている。熱電対により、電気ヒーター下分割体301d近傍の温度が測定される。
【0036】
アウター下分割体20dの底部右側には、短軸円筒状の真空引きポート202dが配置されている。真空引きポート202dは、真空ポンプに接続されている。アウター下分割体20dの右側には、共に短軸円筒状の一対の電気ヒーター導入ポート204d、205dが配置されている。電気ヒーター導入ポート204dは、前記電気ヒーター導入ポート204uの下方に配置されている。また、電気ヒーター導入ポート205dは、前記電気ヒーター導入ポート205uの下方に配置されている。電気ヒーター導入ポート204dにはケーブル206dが、電気ヒーター導入ポート205dにはケーブル207dが、各々挿入されている。ケーブル206d、207dは、後述する電気ヒーター下分割体301dに配索される電熱線(図略)と接続されている。アウター下分割体20dの前側(電気ヒーター導入ポート204d、205dの略90°回動位置)には、真空回転導入ポート208が配置されている。短軸円筒状の真空回転導入ポート208には、後述する駆動側回転軸5が貫通している。
【0037】
インナーシェル3は、インナー上分割体30uとインナー下分割体30dとから構成されている。インナー上分割体30uは、アウター上分割体20uの内側に固定されている。インナー上分割体30uは、シェル本体上分割体300uと電気ヒーター上分割体301uとからなる。シェル本体上分割体300uは、耐火物製であって、両端面が丸みを帯びた半円柱状を呈している。シェル本体上分割体300uの底面には、半円柱状の凹部302uが配置されている。シェル本体上分割体300uの底面以外の部分は、パンチングメタル303uで覆われている(説明の便宜上、図2においては一部のみ示す。)。
【0038】
電気ヒーター上分割体301uは、半円筒状を呈している。電気ヒーター上分割体301uは、前記シェル本体上分割体300uの凹部302uに固定されている。図2に一部破断して示すように、電気ヒーター上分割体301uの内部には、電熱線304uがジグザグ状に配索されている。
【0039】
インナー下分割体30dは、アウター下分割体20dの内側に固定されている。インナー下分割体30dは、シェル本体下分割体300dと電気ヒーター下分割体301dとから構成されている。シェル本体下分割体300dは、インナー上分割体30uと同様に、耐火物製であって、端面が丸みを帯びた半円柱状を呈している。シェル本体下分割体300dの頂面には、半円柱状の凹部302dが配置されている。シェル本体下分割体300dの頂面以外の部分は、パンチングメタル303dで覆われている。シェル本体下分割体300dの内部には、凹部302dを前後方向に貫通するように、後述する駆動側回転軸5と従動側回転軸6とが略平行に延設されている。
【0040】
電気ヒーター下分割体301dは、半円筒状を呈している。電気ヒーター下分割体301dは、前記シェル本体下分割体300dの凹部302dに固定されている。電気ヒーター下分割体301dの内部には、電熱線(図略)が配索されている。ここで、シェル本体上分割体300uとシェル本体下分割体300dとは、本発明のシェル本体に含まれる。電気ヒーター上分割体301uと電気ヒーター下分割体301dとは、本発明の加熱部に含まれる。
【0041】
インナー上分割体30uとインナー下分割体30dとは、各々の凹部302u、302dを合わせるように配置されている。共に半円柱状の凹部302u、302dが合体することにより、インナーシェル3の内部には円柱状の熱処理室31が形成されている。また、図3に点線で示すように、アウター上分割体20uおよびインナー上分割体30uは、アウター下分割体20dおよびインナー下分割体30dに対して、上方に開閉可能である。
【0042】
回転容器4は、鋼製であって、中空円柱状を呈している。回転容器4は、インナーシェル3の内部に区画された熱処理室31に配置されている。詳しくは、回転容器4は、熱処理室31を貫通する駆動側回転軸5および従動側回転軸6の上に載置されている。
【0043】
回転容器4の内部には、収容室42が区画されている。収容室42には、チタン水素化物粉末である被処理物Pが収容されている。回転容器4の軸方向両端面には、各々、被処理物Pを収容室42に供給するための供給口40と、被処理物Pを収容室42から排出するための排出口41と、が開設されている。
【0044】
駆動側回転軸5および従動側回転軸6は、熱処理室31のインナー下分割体30d側を貫通するように配置されている。駆動側回転軸5と従動側回転軸6とは、本発明の回転軸に含まれる。図4に、本実施形態の真空熱処理装置の駆動側回転軸および従動側回転軸付近の水平方向断面図を示す。図5に、同真空熱処理装置の駆動装置付近の部分斜視図を示す。なお、説明の便宜上、図4中、回転容器、電気ヒーター導入ポート、Ar導入ポートを省略して示す。
【0045】
図4、図5に示すように、駆動側回転軸5は、熱処理室31のインナー下分割体30d側を貫通するように配置されている。シェル本体下分割体300dの内部には、ピローブロック50が駆動側回転軸5の軸方向に離間して二つ埋設されている。駆動側回転軸5は、二つのピローブロック50により、回転可能に支持されている。また、駆動側回転軸5の一端は、シェル本体下分割体300dを貫通し、アウター下分割体20dの真空回転導入ポート208から外部へ突出している。
【0046】
従動側回転軸6は、駆動側回転軸5と略平行に、熱処理室31のインナー下分割体30d側を貫通するように配置されている。シェル本体下分割体300dの内部には、ピローブロック60が従動側回転軸6の軸方向に離間して二つ埋設されている。従動側回転軸6は、二つのピローブロック60により、回転可能に支持されている。なお、ピローブロック50、60は、本発明の軸受に含まれる。
【0047】
駆動装置7は、フレーム70と、外部ピローブロック71と、スプロケット72と、を備えている。駆動装置7は、本発明の駆動部に含まれる。フレーム70は、鋼製であって矩形枠状を呈している。前記アウター下分割体20dは、フレーム70の枠内に固定されている。外部ピローブロック71は、フレーム70に固定されている。外部ピローブロック71は、前記駆動側回転軸5の一端を、回転可能に支持している。スプロケット72は、駆動側回転軸5の一端端部に固定されている。スプロケット72は、モーター(図略)にチェーン(図略)を介して接続されている。
【0048】
次に、本実施形態の真空熱処理装置を用いた脱ガス処理の一例として、HDH法におけるチタン水素化物粉末の脱水素化処理を行う手順を説明する。予め、原料チタンを水素化処理してチタン水素化物とし、それを粉砕してチタン水素化物粉末を作製しておく。そして、作製されたチタン水素化物粉末、つまり被処理物Pを、供給口40から収容室42に投入する。次に、回転容器4を、インナー下分割体30dの凹部302d内(つまり熱処理室31内)に搬入する。具体的には、回転容器4を、駆動側回転軸5および従動側回転軸6の上に載置する。続いて、回転容器4の上方から一体となったインナー上分割体30uおよびアウター上分割体20uをかぶせて、アウター上分割体20uとアウター下分割体20dとをボルト締結する。
【0049】
次に、真空ポンプを作動させ、真空室21の真空引きを開始し、100Paに達したらバルブ210dを開け、Ar導入ポート209dを介してAr(アルゴン)ガスを打ち込み、置換を行う。その後真空引きを再開し、それと共に、電気ヒーター上分割体301uおよび電気ヒーター下分割体301dを作動させ、熱処理室31内の回転容器4の加熱を開始する。この時、モーター(図略)を駆動させて、駆動側回転軸5を回転させる。ここで、前出図5に示すように、駆動側回転軸5は右回り(時計回り)に回転する。これより、回転容器4は左回り(反時計回り)に回転する。回転容器4の回転に伴って、従動側回転軸6は右回りに回転する。回転容器4の回転により、収容室42では、被処理物Pが攪拌され、被処理物Pから水素が放出される。放出された水素は、供給口40および排出口41から、シェル本体上分割体300uおよびシェル本体下分割体300dの通気性を有する壁部を介して、インナーシェル3の外部に流出する。そして、水素は、真空引きポート202dを介して、真空ポンプに排出される。約10時間、脱水素化処理を行い、水素の放出が終了したら、加熱および真空引きを停止する。その後、Arガスを打ち込み、真空室21内を大気圧に戻すと共に、Arガスを打ち込みながら熱処理室31内を100℃まで冷却する。
【0050】
次に、本実施形態の真空熱処理装置の作用効果について説明する。本実施形態の真空熱処理装置1によると、回転容器4が真空室21中に配置されている。つまり、真空境界は、回転する回転容器4の壁部ではなく、回転しないアウターシェル2の壁部に存在している。したがって、収容室42の真空保持性の低下を抑制することができる。また、真空室21を区画するアウターシェル2は回転しない。このため、温度測定ポート200u、200d、真空計ポート202u、真空引きポート202d、電気ヒーター導入ポート204u、205u、204d、205d、真空回転導入ポート208等各種ポートのシール構造を単純化することができる。
【0051】
また、前出図10に示したロータリーキルン100の場合、ロータリージョイント102a、102bの設置場所は、レトルト101の軸線A1上に限られている。このため、レトルト101の軸方向両端の円中心にしか、ロータリージョイント102a、102bを設置できない。すなわち、回転しているレトルト101内に連通可能なポート数は、二つのみである。これに対して、本実施形態の真空熱処理装置1によると、アウターシェル2は回転しない。このため、アウターシェル2に連通可能なポート数は二つに限定されない。つまり、必要に応じて、各種ポートをアウターシェル2に設置することができる。
【0052】
また、被処理物Pは、回転容器4の回転により攪拌されながら、真空かつ高温下で脱ガス処理される。このため、被処理物Pには、温度むらや脱ガスむらが発生しにくい。よって、効率よく脱ガス処理を行うことができる。
【0053】
また、ピローブロック50、60は、真空室21内であって熱処理室31でない区間(非加熱区間)に、配置されている。また、温度測定ポート200u、200d、真空計ポート202u、真空引きポート202d、電気ヒーター導入ポート204u、205u、204d、205d、真空回転導入ポート208等各種ポートも、熱処理室31から隔離して配置されている。したがって、これらの部材は熱負荷を受けにくい。
【0054】
また、電気ヒーター上分割体301u、電気ヒーター下分割体301dからの熱は、耐火物製のシェル本体上分割体300u、シェル本体下分割体300dにより遮蔽される。このため、熱がインナーシェル3の外側に逃げにくい。さらに、電気ヒーター上分割体301u、電気ヒーター下分割体301dは、各々、シェル本体上分割体300u、シェル本体下分割体300dの内面に表出している。このため、回転容器4、つまり被処理物Pを、効率よく加熱することができる。
【0055】
また、シェル本体上分割体300u、シェル本体下分割体300dは、それぞれ通気性を有している。並びに、シェル本体上分割体300uの底面以外の部分は多孔性のパンチングメタル303uにより、シェル本体下分割体300dの頂面以外の部分は多孔性のパンチングメタル303dにより、それぞれ覆われている。このため、真空室21を真空引きすると、シェル本体上分割体300u、シェル本体下分割体300d各々の軸方向両端面を介して、熱処理室31が真空引きされる。このように、熱処理室31、ひいては収容室42を容易に真空にすることができる。
【0056】
また、アウター上分割体20uおよびインナー上分割体30uは、アウター下分割体20dおよびインナー下分割体30dに対して、上方に開閉可能である。よって、回転容器4の熱処理室31への出し入れを容易に行うことができる。また、インナー上分割体30uの自重により、熱処理室31は堅固に封止されている。このため、熱処理室31から熱が逃げにくい。同様に、アウター上分割体20uの自重により、真空室21は堅固に封止されている。このため、真空室21のシール性が高い。
【0057】
また、本実施形態の真空熱処理装置1では、駆動側回転軸5、従動側回転軸6は、真空室21内に配置されたピローブロック50、60により支持されている。よって、仮に加熱により駆動側回転軸5、従動側回転軸6が熱膨張しても、収容室42の真空保持性には悪影響を及ぼさない。また、駆動装置7からの駆動力は、駆動側回転軸5だけに伝達される。よって、駆動側回転軸5に対してだけシール性を考慮すればよく、所望の真空状態を確保しやすい。
【0058】
また、本実施形態の真空熱処理装置1では、熱電対が電気ヒーター上分割体301u、電気ヒーター下分割体301d近傍に配置されている。このため、より正確に収容室42の温度を測定することができる。したがって、より精密に収容室42の温度制御を行うことができる。
【0059】
<第二実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、振動発生部(第一ギア、第二ギア)を配置した点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図6に、本実施形態の真空熱処理装置の駆動側回転軸および従動側回転軸付近の水平方向断面図を示す。なお、説明の便宜上、図6中、回転容器、電気ヒーター導入ポート、Ar導入ポートを省略して示す。図6中、前出図4と対応する部位については同じ符号で示す。また、図7に、同真空熱処理装置の駆動装置付近の部分斜視図を示す。図7中、前出図5と対応する部位については同じ符号で示す。
【0060】
図6、図7に示すように、振動発生部73は、アウター下分割体20d内の真空回転導入ポート208近傍に配置されている。つまり、振動発生部73は、真空室21内であって熱処理室31でない区間(非加熱区間)に配置されている。振動発生部73は、大径の第一ギア730と、小径の第二ギア731と、を備えている。第一ギア730と第二ギア731とは咬合している。
【0061】
駆動装置7は、フレーム70と、外部ピローブロック71と、スプロケット72と、スプロケット回転軸720と、を備えている。スプロケット回転軸720の一端は、スプロケット72に固定されている。スプロケット回転軸720の他端は、第一ギア730に固定されている。また、駆動側回転軸5の一端は、真空室21内のシェル本体下分割体300dの外側で、第二ギア731に固定されている。このように、駆動側回転軸5の一端は、第二ギア731、第一ギア730を介して、外部の駆動装置7に接続されている。
【0062】
モーター(図略)を駆動させ、チェーン(図略)を介してスプロケット72を左回り(反時計回り)に回転させると、スプロケット回転軸720の回転により、第一ギア730は左回りに回転する(図7参照)。第一ギア730と第二ギア731との咬合により、第二ギア731は右回り(時計回り)に回転する。これにより、駆動側回転軸5は右回りに回転し、回転容器4は左回りに回転する。回転容器4の回転に伴って、従動側回転軸6は右回りに回転する。この際、第一ギア730と第二ギア731との咬合により、駆動側回転軸5には振動が加わる。このため、回転容器4は振動する。
【0063】
本実施形態の真空熱処理装置は、第一実施形態の真空熱処理装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の真空熱処理装置によると、駆動側回転軸5が、第二ギア731、第一ギア730を介して、外部の駆動装置7に接続されている。このため、駆動装置7の駆動により、第一ギア730と第二ギア731とが咬合し、駆動側回転軸5に振動が加わる。駆動側回転軸5が振動することにより、回転容器4が振動する。よって、被処理物Pの回転容器4内周面への付着を抑制することができる。また、第一ギア730および第二ギア731は、非加熱区間に配置されている。よって、第一ギア730および第二ギア731は熱負荷を受けにくい。
【0064】
<第三実施形態>
本実施形態と第一実施形態との主な相違点は、回転容器にタイヤ部を配置した点である。したがって、ここでは相違点を中心に説明する。図8に、本実施形態の真空熱処理装置の斜視分解図を示す。図8中、前出図2と対応する部位については同じ符号で示す。なお、説明の便宜上、図8ではアウター上分割体を省略して示す。また、図9に、同真空熱処理装置の駆動装置付近の部分斜視図を示す。
【0065】
図8、図9に示すように、回転容器4は、外周面に二つの鋼製のタイヤ部43a、43bを備えている。二つのタイヤ部43a、43bは、互いに軸方向に対向して配置されている。
【0066】
インナー上分割体30uは、タイヤ部43a、43bの上半分が突出可能なように分割されている。すなわち、インナー上分割体30uは、分割体前端部30u1、分割体中間部30u2、分割体後端部30u3の三つに分割されている。分割体前端部30u1と分割体中間部30u2との間、分割体中間部30u2と分割体後端部30u3との間には、それぞれタイヤ用溝30ua、30ubが形成されている。
【0067】
インナー下分割体30dは、タイヤ部43a、43bの下半分が突出可能なように分割されている。すなわち、インナー下分割体30dは、分割体前端部30d1、分割体中間部30d2、分割体後端部30d3の三つに分割されている。分割体前端部30d1と分割体中間部30d2との間、分割体中間部30d2と分割体後端部30d3との間には、それぞれタイヤ用溝30da、30dbが形成されている。
【0068】
タイヤ部43aは、タイヤ用溝30uaおよびタイヤ用溝30daを介して、インナーシェル3の外側へ突出している。タイヤ部43bは、タイヤ用溝30ubおよびタイヤ用溝30dbを介して、インナーシェル3の外側へ突出している。
【0069】
アウター下分割体20d内には、駆動側タイヤ支持部51a、51bが、回転容器4の軸方向に沿って直列に配置されている。駆動側タイヤ支持部51aは、一対のピローブロック50aと駆動側回転軸5aとを備えている。一対のピローブロック50aは、駆動側回転軸5aの軸方向に離間して固定されている(図8中、固定部分をハッチングで示す。)。駆動側回転軸5aは、一対のピローブロック50aにより、回転可能に支持されている。アウター下分割体20dの前側には、短軸円筒状の真空回転導入ポート208aが配置されている。駆動側回転軸5aは、真空回転導入ポート208aを貫通している(図8においては、説明の便宜上、駆動側回転軸5aの一部を一点鎖線で示す。)。
【0070】
駆動側タイヤ支持部51bは、一対のピローブロック50bと駆動側回転軸5bとを備えている。一対のピローブロック50bは、駆動側回転軸5bの軸方向に離間して固定されている(図8中、固定部分をハッチングで示す。)。駆動側回転軸5bは、一対のピローブロック50bにより、回転可能に支持されている。アウター下分割体20dの後側には、短軸円筒状の真空回転導入ポート208bが配置されている。駆動側回転軸5bは、真空回転導入ポート208bを貫通している(図8においては、説明の便宜上、駆動側回転軸5bの一部を一点鎖線で示す。)。
【0071】
従動側タイヤ支持部61a、61bは、各々、駆動側タイヤ支持部51a、51bと略平行に配置されている。従動側タイヤ支持部61a、61bは、回転容器4の軸方向に沿って直列に配置されている。従動側タイヤ支持部61aは、一対のピローブロック60aと従動側回転軸6aとを備えている。一対のピローブロック60aは、従動側回転軸6aの軸方向に離間して固定されている(図8中、固定部分をハッチングで示す。)。従動側回転軸6aは、一対のピローブロック60aにより、回転可能に支持されている。
【0072】
従動側タイヤ支持部61bは、一対のピローブロック60bと従動側回転軸6bとを備えている。一対のピローブロック60bは、従動側回転軸6bの軸方向に離間して固定されている(図8中、固定部分をハッチングで示す。)。従動側回転軸6bは、一対のピローブロック60bにより、回転可能に支持されている。
【0073】
タイヤ部43aは、駆動側タイヤ支持部51a、従動側タイヤ支持部61aにより支持されている。タイヤ部43bは、駆動側タイヤ支持部51b、従動側タイヤ支持部61bにより支持されている。また、分割体前端部30d1、分割体中間部30d2、分割体後端部30d3は、各々、アウター下分割体20dの底面から立設された前端部固定部80、中間部固定部81、後端部固定部82に固定されている。
【0074】
同様に、前出分割体前端部30u1、分割体中間部30u2、分割体後端部30u3は、各々、アウター上分割体(図略)の上底面から下方に向かって立設された前端部固定部、中間部固定部、後端部固定部に固定されている。
【0075】
真空回転導入ポート208aを貫通した駆動側回転軸5aの一端は、駆動装置7aのスプロケット72aに固定されている。真空回転導入ポート208bを貫通した駆動側回転軸5bの一端は、駆動装置7bのスプロケット72bに固定されている。
【0076】
駆動側回転軸5a、5bおよび従動側回転軸6a、6bは、本発明の回転軸に含まれる。また、ピローブロック50a、50bおよびピローブロック60a、60bは、本発明の軸受に含まれる。
【0077】
モーター(図略)を駆動させ、チェーン(図略)を介してスプロケット72aを回転させると、駆動側回転軸5aが回転する。これにより、タイヤ部43aが回転する。タイヤ部43aの回転により、従動側回転軸6aが回転する。同様に、スプロケット72bを回転させると、駆動側回転軸5bが回転する。これにより、タイヤ部43bが回転する。タイヤ部43bの回転により、従動側回転軸6bが回転する。このようにして、回転容器4が回転する。
【0078】
本実施形態の真空熱処理装置1は、第一実施形態の真空熱処理装置と同様の作用効果を有する。また、本実施形態の真空熱処理装置1によると、タイヤ部43a、43bのみが回転軸(駆動側回転軸5a、5b、従動側回転軸6a、6b)により支持されている。このため、各々の回転軸の軸長が短くて済む。したがって、回転軸は撓みにくい。また、タイヤ部43a、43bは、インナーシェル3から突出している。このため、回転軸と軸受(ピローブロック50a、50b、60a、60b)とを非加熱区間に配置することができる。したがって、回転軸および軸受は熱負荷を受けにくく、熱変形しにくい。
【0079】
<その他>
以上、本発明の真空熱処理装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0080】
例えば、上記実施形態では、真空熱処理装置1をアウターシェル2とインナーシェル3とを備えて構成した。しかしながら、真空熱処理装置1の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。また、回転容器4を回転させるための駆動部7、7a、7bの動力伝達機構も、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ギア伝達機構、ベルト伝達機構などであってもよい。また、軸受50、50a、50b、60、60a、60bの種類、材質も特に限定しない。例えば、ローラー軸受、玉軸受、滑り軸受などであってもよい。
【0081】
また、回転容器4は、真空中、すなわち大気圧未満の雰囲気に配置されていれば、その真空度は特に限定されるものではない。例えば、回転容器4を1000Pa以下、より好適には10Pa以下の真空中に配置するとよい。また、圧力以外の脱ガス処理の条件(加熱温度、処理時間等)も、上記実施形態に限定されるものではない。脱ガス処理の条件は、被処理物Pの種類、量、粒径等に応じて、適宜決定すればよい。また、収容室42の軸直方向断面形状も特に限定しない。円形は勿論、三角形、四角形、六角形などの多角形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第一実施形態の真空熱処理装置の斜視合体図である。
【図2】同真空熱処理装置の斜視分解図である。
【図3】図1のIII−III方向断面図である。
【図4】第一実施形態の真空熱処理装置の駆動側回転軸および従動側回転軸付近の水平方向断面図である。
【図5】同真空熱処理装置の駆動装置付近の部分斜視図である。
【図6】第二実施形態の真空熱処理装置の駆動側回転軸および従動側回転軸付近の水平方向断面図である。
【図7】同真空熱処理装置の駆動装置付近の部分斜視図である。
【図8】第三実施形態の真空熱処理装置の斜視分解図である。
【図9】同真空熱処理装置の駆動装置付近の部分斜視図である。
【図10】従来のロータリーキルンの軸方向断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1:真空熱処理装置
2:アウターシェル
20u:アウター上分割体 200u:温度測定ポート 201u:ケーブル
202u:真空計ポート 203u:真空計
204u、205u:電気ヒーター導入ポート 206u、207u:ケーブル
20d:アウター下分割体 200d:温度測定ポート 201d:ケーブル
202d:真空引きポート 204d、205d:電気ヒーター導入ポート
206d、207d:ケーブル 208、208a、208b:真空回転導入ポート
209d:Ar導入ポート
21:真空室 210d:バルブ
3:インナーシェル
30u:インナー上分割体 30ua、30ub:タイヤ用溝
30u1:分割体前端部 30u2:分割体中間部 30u3:分割体後端部
300u:シェル本体上分割体(シェル本体)
301u:電気ヒーター上分割体(加熱部) 302u:凹部
303u:パンチングメタル 304u:電熱線
30d:インナー下分割体 30da、30db:タイヤ用溝
30d1:分割体前端部 30d2:分割体中間部 30d3:分割体後端部
300d:シェル本体下分割体(シェル本体)
301d:電気ヒーター下分割体(加熱部) 302d:凹部
303d:パンチングメタル
31:熱処理室
4:回転容器 40:供給口 41:排出口 42:収容室 43a、43b:タイヤ部
5、5a、5b:駆動側回転軸(回転軸)
50、50a、50b:ピローブロック(軸受) 51a、51b:駆動側タイヤ支持部
6、6a、6b:従動側回転軸(回転軸) 61a、61b:従動側タイヤ支持部
60、60a、60b:ピローブロック(軸受)
7、7a、7b:駆動装置(駆動部)
70:フレーム 71:外部ピローブロック 72、72a、72b:スプロケット
720:スプロケット回転軸
73:振動発生部 730:第一ギア 731:第二ギア
80:前端部固定部 81:中間部固定部 82:後端部固定部
P 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中に配置されると共にガスを吸収した被処理物が収容される収容室を持つ回転容器を備え、該被処理物を加熱することにより該被処理物の脱ガス処理を行う真空熱処理装置。
【請求項2】
さらに、通気性を有し、内部に前記回転容器の少なくとも前記収容室が収容される熱処理室を区画するインナーシェルと、
内部に該インナーシェルが収容される真空室を区画するアウターシェルと、
を備える請求項1に記載の真空熱処理装置。
【請求項3】
前記インナーシェルは、断熱材からなるシェル本体と、該シェル本体の内面に配置され前記熱処理室に表出する加熱部と、を備える請求項2に記載の真空熱処理装置。
【請求項4】
前記インナーシェルおよび前記アウターシェルは、前記熱処理室が表出するように、上下方向に分割可能であり、
前記回転容器は、該インナーシェルおよび該アウターシェルが分割されている際に、前記熱処理室に出し入れされる請求項2に記載の真空熱処理装置。
【請求項5】
さらに、前記回転容器を回転させる回転軸と、
該回転軸を回転可能に支持すると共に前記真空室内であって前記熱処理室でない区間に配置される軸受と、
を備える請求項2に記載の真空熱処理装置。
【請求項6】
前記回転軸は、二本、略平行に並置されており、
前記回転容器は、二本の該回転軸上に載置されており、
さらに、前記アウターシェルの外部に配置され、二本の該回転軸のうちいずれか一方に駆動力を伝達する駆動部を備える請求項5に記載の真空熱処理装置。
【請求項7】
さらに、前記回転軸を振動させると共に前記真空室内であって前記熱処理室でない区間に配置される振動発生部を備える請求項5に記載の真空熱処理装置。
【請求項8】
前記回転容器は、外周面に複数のタイヤ部を備え、
複数の該タイヤ部は、各々、複数の前記回転軸上に載置されている請求項5に記載の真空熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−24991(P2008−24991A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199434(P2006−199434)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(390008431)高砂工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】