眼球の症状の予防及び治療のための眼科用製剤

老視、老人環、加齢関連黄斑変性症、及び加齢に伴う他の症状を含む有害な眼球の症状の予防及び治療のための眼科用製剤が提供される。製剤は、更に眼の酸化及び/又は遊離基による損傷に伴うもののような他の有害な眼球の症状の予防及び治療においても有用であり;このような症状は、眼の角膜、網膜、水晶体、強膜、前区又は後区の症状、疾病又は疾患を含むことができる。一つの態様において、製剤は、少なくとも0.6重量%の生体適合性キレート化剤、浸透を向上するために有効な量のメチルスルホニルメタン(MSM)のような眼球用浸透向上剤、抗AGE剤、即ち、眼の最終糖化産物(AGE)の存在を減少するために働く化合物、及び特別の製剤の種類(例えば、点眼剤又は軟膏)に適した医薬的に受容可能な眼科用担体を含有する。製剤の好ましい成分は、多機能性であり、そして天然に存在する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
技術の分野
[0001]本発明は、一般的に眼球の疾患、眼球の疾病、及び他の有害な眼球の症状の治療に関する。更に特定的には、本発明は、加齢に伴うものを含む各種の有害な眼球の症状の予防及び治療のための眼科用製剤に関する。本発明は、更に視覚及び眼の美容的外観を改善することにおける製剤の使用にも関する。従って、本発明は、眼科学、老人医学、及び薬用化粧品を含む各種の分野に用途を見出す。
【0002】
背景の技術
正常な、並びに病理学的変化を含む眼の漸進的な加齢関連の変化は、常に歓迎されないが、しかしヒト及び他の哺乳類の延長された寿命の不可避な部分である。これらの変化の多くは、眼の機能及び美容的外観の両方にひどく影響する。これらの変化は:白内障の発症;水晶体の硬化、混濁、柔軟性の減少、及び黄変;角膜の黄変及び混濁;老視;眼圧の蓄積及び緑内障に導く櫛状靭帯の閉塞;硝子体液中の浮遊物の増加;虹彩の硬直及び拡大範囲の減少;加齢関連の黄斑変性症(AMD);網膜動脈のアテローマ性動脈硬化症性の沈着物の形成;眼球乾燥症候群;並びに網膜の桿体及び円錐体の感受性及び光量適応能力の減少を含む。加齢関連の視覚の劣化は、視力、視覚的対比、色彩及び深度の認知、水晶体の遠近調節、光感受性、及び暗所適応性の喪失を含む。加齢関連の変化は、更に虹彩の色彩的外観の変化、及び老人環の形成も含む。本発明は、大部分多数の加齢関連の眼球の疾患及び疾病を予防及び治療するための製剤及び方法を指向する。
【0003】
角膜、強膜、櫛状靭帯、虹彩、水晶体、硝子体液、及び網膜を含む眼球の全ての部分は、以下に説明するように加齢過程によって影響される。
角膜:
角膜は、眼の最も外側の層である。これは、眼の前面を覆う透明のドーム型の表面である。角膜は、五つの層から構成される。上皮は、表面を形成する細胞の層である。これは、わずか約5−6個の細胞の厚さであり、そして角膜が損傷した場合、迅速に再生される。損傷が角膜内に更に深く侵入した場合、瘢痕が発生し、そして混濁した部分を残し、角膜のその透明性及び光沢を失わせる。上皮のすぐ下は、非常に丈夫で侵入することが困難な保護層であるボーマン膜である。角膜の最も厚い層である支質は、ボーマン膜の直下に位置し、そして角膜にその透明性を与える配置である平行に配列された小さいコラーゲンの原繊維から構成される。デスメー膜は、支質の下にあり、そして角膜の層の最も内側の内皮の直ぐ上にある。内皮は、ただ1個の細胞層の厚さであり、そして角膜から水性に水を給送するために働き、これを清浄に保つ。損傷又は疾病にかかった場合、これらの細胞は、再生されないものである。
【0004】
眼が加齢すると、角膜は更に混濁することがある。混濁は、多くの形態を取ることができる。混濁の最も普通の形態は、角膜の周辺部に影響し、そして“老人環”又は“弓”と呼ばれる。この種類の混濁は、最初デスメー膜中の脂質の沈積を含む。その後、脂質はボーマン膜及び恐らくは支質中にも沈積する。老人環は、通常視覚的には顕著ではないが、しかし美容的に注意される加齢の兆候である。他の加齢関連の角膜の混濁があるが、然しながら、これらはいくつかの視覚的結果を有することができる。これらは、支質の中間層に影響するフランソワの中心部白濁ジストロフィー、及び後部支質の中心部混濁である後部クロコダイルシャグリーン革化を含む。混濁は、光の散乱によって視覚的対比及び視力の漸進的減少となる。
【0005】
角膜の混濁は、例として:角膜の構造の退行;コラーゲン及び他のタンパク質のメタロプロテイナーゼによる架橋;紫外(UV)光による損傷;酸化による損傷;並びにカルシウム塩、タンパク質老廃物、及び過剰の脂質のような物質の蓄積を含む多くの要素の結果として発症する。
【0006】
外科的介入以外の角膜の変化を遅延又は逆転するための確立された治療はない。例えば、混濁した構造を、最初に上皮を除去した後、鈍い器具で破棄し、続いて角膜表面をレーザービームで平滑にし、そして彫刻することができる。重度の角膜の瘢痕及び混濁の場合、角膜移植が唯一の有効な方法である。
【0007】
角膜、並びに眼球内の他の構造に有害に影響するもう一つの眼球の疾患は、普通に“眼球乾燥症候群”又は“ドライアイ”と呼ばれる乾性角結膜炎である。ドライアイは、原因を宿主に起因することができ、そしてしばしば老齢のヒトにとって問題である。疾患は、ざらざらした感覚、粘液の過剰な分泌、灼熱感、光に対する感受性の増加、及び疼痛を伴う。ドライアイは、現時点では、低分子量ポリエチレングリコールのような潤滑剤を含有する商業的に入手可能な製品である“人工涙液”で治療される。外科的治療も更に普通でないことはなく、そして通常涙液の分泌が眼の中で維持されるように、涙点プラグの挿入が含まれる。然しながら、両方の種類の治療には問題があり:外科的治療は、侵襲的で、そして潜在的にリスクを含み、一方人工涙液製品は、非常に一時的な、そしてしばしば不十分な軽減を与えるのみである。
【0008】
強膜:
強膜は眼の白色部である。若い個体において、強膜は青い色調を有するが、しかしヒトが年をとると強膜は結膜の加齢関連の変化の結果として黄変する。時間をかけたUV及び埃への暴露は、結膜組織の変化となり、結膜脂肪斑及び翼状片に導く。これらの眼球の成長物は、更に強膜及び角膜組織の破壊を起こす。現時点では、結膜の移植を含む手術が、結膜脂肪斑及び翼状片に対する唯一の受容可能な治療である。
【0009】
櫛状靭帯:
小柱網とも呼ばれる櫛状靭帯は、眼の前房の虹彩−強膜接合部に位置する網目状の構造である。櫛状靭帯は、水性の流体を濾過し、そして前房からシュレム管へのその流れを制御するために働く。眼が加齢すると、細片及びタンパク質−脂質の老廃物が蓄積し、そして櫛状靭帯を閉塞することがあり、眼圧を増加することになる問題となる、これは、次に緑内障、並びに網膜、視神経、及び他の眼の構造の損傷に導くことがある。緑内障の薬物は、この圧力を減少することを補助することができ、そして手術は、櫛状靭帯をバイパスし、そして硝子体及び水性体液からの液体の流れを回復する人工的開口部を作ることができる。然しながら、櫛状靭帯内の細片及びタンパク質−脂質の蓄積を予防するための既知の方法は存在しない。
【0010】
虹彩及び瞳孔:
[0011]加齢に伴い、照明の変化に反応する光彩の拡大及び縮小は遅くなり、そしてその動作の範囲は減少する。更に、瞳孔は加齢に伴い漸進的に小さくなり、眼に入る光の量は、特に低光量の条件下ではひどく制限される。縮小した瞳孔並びに時間をかけた虹彩の硬直、遅い適合、及び収縮は、老人の夜間にものを見ること及び照明の変化に適合することの困難さに対して大きい原因となる。虹彩の形状、剛性、及び適合性の変化は、一般的に線維形成及び構造性タンパク質の架橋によると考えられる。虹彩上のタンパク質及び脂質の老廃物の時間をかけた沈積も、更にその着色を明白にする。虹彩の薄く着色された沈積物及び縮小した瞳孔は、個体にとって、社会的影響を有することがある加齢の非常に顕著な美容的標識である。いずれものこのような変化、又は加齢に伴う虹彩の着色の変化のための標準的治療はない。
【0011】
水晶体:
加齢に伴い、水晶体は黄変し、より固く、より硬直し、そしてより柔軟でなくなり、そして広く又は特定の位置のいずれかで混濁する。従って、水晶体はより少ない光しか通過させず、これは視覚的対比及び視力を減少する。黄変は、更に色の認識にも影響する。水晶体の硬直、並びに水晶体を遠近調節する筋肉の不能性は、一般的に老視として知られる症状となる。中年以降にほとんど必ず起こる老視は、正確に焦点を合わせるための眼の不能性である。この加齢関連の眼球の病状は、それ自体遠近調節能力、即ち、水晶体の形状をより球形に(又は凸型に)なるように変化させることによって、近くの又は遠くの対象物に焦点を合わせる水晶体による眼の能力の喪失を表す。近視及び遠視の両方の個体は老視になる。加齢関連の遠近調節幅の喪失は漸進的であり、そして老視は、最終的に正常なヒトの生涯中に、全ての個体に実質的に影響する、恐らくは全ての眼球の悩みの最も一般的ものである。
【0012】
水晶体のこれらの変化は、コラーゲン線維間の糖化された架橋、タンパク質複合体の蓄積、構造の紫外線による分解、酸化による損傷、並びに老廃物タンパク質、脂質、及びカルシウム塩の沈積を含む、水晶体の構造の退行性の変化によるものと考えられる。水晶体の弾性及び粘性の特性は、線維膜及び細胞骨格の結晶の特性に依存する。水晶体の線維膜は、極めて高いコレステロールとリン脂質の比によって特徴付けられる。これらの成分のいずれもの変化は、水晶体膜の変形性に影響する。水晶体の変形性の喪失も、更に水晶体タンパク質の細胞膜への結合の増加に帰する。
【0013】
現時点の老視を緩和するための補償の選択肢は、二焦点読書用眼鏡及び/又はコンタクトレンズ、単眼視眼球内レンズ(IOL)及び/又はコンタクトレンズ、多焦点IOL、放射状角膜切開(RK)、光屈折率角膜曲率形成術(PRK)、及びレーザー補助原位置角膜曲率形成術(LASIK)を使用する、単眼視及び不同視性角膜屈折手術法を含む。老視に対する広範囲に受け入れられた治療又は療法は、現時点では利用できるものはない。
【0014】
水晶体の混濁は、一般的に白内障として知られる異常な症状となる。白内障は漸進的な眼球の疾病であり、これはその後低視力に導く。この眼球の疾病の殆んどは、加齢関連の老人性白内障である。白内障形成の発生率は、60歳代のヒトの60−70%、そして80歳代又はそれより上のヒトの殆んど100%であると考えられる。然しながら、現時点では、白内障の発症を阻害することが明白に証明された薬剤は存在しない。従って、有効な治療剤の開発が望まれる。現時点では、白内障の治療は、眼鏡、コンタクトレンズ、又は嚢外白内障の摘出後の、水晶体包への眼内レンズの挿入のような外科手術を使用する視力の補正に依存する。
【0015】
白内障の手術において、手術後の二次白内障の発生が問題である。二次白内障は、包外白内障の摘出後に後部包に残存する表面に存在する混濁に匹敵する。二次白内障の機構は主として次のとおりである。水晶体の上皮細胞(前部包)の切除後、二次白内障は、水晶体皮質の摘出時に完全に除去されなかった残った水晶体上皮細胞の後部包への侵入及び増殖から得られ、後部包の混濁に導く。白内障手術において、水晶体上皮細胞を完全に除去することは不可能であり、そして従って二次白内障を予防することは常に困難である。上記の後部包の混濁の発生が、包内後房レンズの挿入を受けていない眼の40−50%であり、そして包内レンズの挿入を受けた眼の7−20%であると言われている。更に、眼内炎として分類される眼の感染も、更に白内障の手術後に観察されている。
【0016】
硝子体液:
浮遊物は、細片粒子であり、これは網膜に影を投射することによって明確な視覚を妨害する。現時点で浮遊物を減少又は除去するための標準的な治療は存在しない。
【0017】
網膜:
多くの変化が加齢に伴い網膜に起こることがある。網膜の動脈のアテローマ性動脈硬化症性の蓄積及び漏洩は、黄斑変性症並びに周辺視覚の減少に導くことがある。桿体及び円錐体は、これがその色素を更にゆっくりと補充するために、時間をかけてより敏感でなくなる。漸進的に、全てのこれらの影響は視覚を減少し、最終的に部分的な又は完全な盲目に導くことがある。加齢関連の黄斑変性症のような網膜の疾病は、治癒することが難しい。現時点の網膜の治療は、眼の血管の漏洩を停止するレーザー手術を含む。
【0018】
上記に言及したように、現時点の療法は、加齢関連の眼球の問題を含む多くの眼球の疾患及び疾病に、しばしば外科的介入を含んで対処することを試みている。外科的方法は、もちろん侵襲的であり、そして更にしばしば所望する治療的目的を達成しない。更に、手術は、非常に高価であることがあり、そして有意に所望しない後遺症となることがある。例えば、二次白内障が白内障の手術後に発症することができ、そして感染が起こることもある。眼内症も更に白内障の手術後に観察されている。更に、先進の外科技術は、これが非常によく開発された医学的基礎設備を必要とするため、広範囲に利用可能ではない。従って、手術の必要を取除く直接的な、そして有効な薬理学的療法を提供することは有意に利益のあるものである。
【0019】
特定の個別の加齢関連の眼球の症状に対処するために提案された製品が存在する。例えば、Simalasan点眼剤のような人工涙液及びハーブ製剤は、眼球乾燥症候群を治療するために示唆されており、そして他の点眼剤は、眼圧を減少し、不快感を緩和し、傷害後の治癒を促進し、炎症を減少し、そして感染を予防するために入手可能である。然しながら、多数の製品を一日数回自己投与することは不便であり、潜在的に不良な患者の服薬率(次に全体的効力の減少)となり、そして有害な製剤の成分の相互作用を含むことができる。例えば、普通の保存剤塩化ベンザルコニウムは、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような他の好ましい成分と反応することができる。従って、当技術において、多重性の加齢関連の視覚の問題及びこれに伴う眼球の疾患を、予防、抑制、及び/又は逆行することができる、包括的医薬製剤の必要性が存在する。
【0020】
[0021]今日まで、このような製剤は、大部分、複雑な多成分医薬製品が、しばしば処方者及び製造者にとって問題を含むために、提供されていない。問題は、例えば異なった溶解度特性及び/又は膜運搬速度を有する薬剤を組合せることから起こる。後者の考慮に関しては、“浸透向上剤”とも呼ばれる運搬促進剤を製剤中に組込む必要があり、そして医薬的に受容可能あり、製剤の安定性に影響を有せず、そして製剤の他の成分及び製剤が接触するものである生理学的構造に対して不活性であり、そしてこれらと適合性でなければならない。
【0021】
発明の開示
本発明は、当技術における前述の必要性に向けられ、そして一つの態様において:
少なくとも0.6重量%の濃度の生体適合性キレート化剤;
浸透を向上するために有効な濃度の浸透向上剤;
最終糖化反応物(AGE)の存在を減少するために適した薬剤、即ち、AGE分解剤、AGE形成阻害剤、及び糖化阻害剤から選択される抗AGE剤;並びに
医薬的に受容可能な眼科用担体;
を含有する滅菌眼科用製剤を提供する。
【0022】
もう一つの態様において、本発明は:
少なくとも0.6重量%の濃度の生体適合性キレート化剤;
浸透を向上するために有効な量のメチルスルホニルメタン;及び
医薬的に受容可能な眼科用担体;
を含有する滅菌眼可溶性剤を提供する。
【0023】
更なる態様において、本発明は:
少なくとも0.6重量%の濃度の生体適合性キレート化剤;
AGEを減少するために有効な濃度のL−カルノシン;及び
医薬的に受容可能な眼科用担体;
を含有する滅菌眼科用製剤を提供する。
【0024】
眼科用製剤は、眼球薬物投与のために適したいずれもの形態、例えば溶液、懸濁液、軟膏、ゲル、リポソーム分散物、コロイド状微小粒子懸濁液、等として、又は眼球用インサート、例えば所望により生分解可能な制御放出高分子基質中で投与することができる。有意には、製剤の少なくとも一つの成分、そして好ましくは二つ又はそれより多い製剤の成分は、これらが、多数の症状及び疾患を予防又は治療することにおいて、或いは一つより多い作用の機構を有することにおいて、或いはその両方において有用であることにおいて“多機能”である。従って、本発明の製剤は、当技術における有意な問題、即ち多数の眼球の疾患を持つ患者を治療するために多数の製剤が使用される場合の、異なった製剤の種類及び/又は活性剤間の交差反応を排除する。更に、好ましい態様において、製剤は、完全に天然に存在する及び/又は米国食品医薬品局によるGRAS(“一般的に安全”)としての成分から構成される。
【0025】
本発明は、更に眼の酸化及び/又は遊離基による損傷に必ずしも関係しないが、一般的に、有害な眼球の症状の予防及び治療における本発明の製剤を使用する方法にも関し、そして例として、眼の角膜、網膜、水晶体、強膜、及び前区及び後区の症状、疾病、又は疾患を含む。有害な眼球の症状は、この用語が本明細書中で使用される場合、加齢した個体においてしばしば見られる“正常な”症状(例えば、視力及び対比感度の減少)、或いは加齢過程に伴う又は伴わないことができる病理学的症状であることができる。後者の有害な眼球の症状は、広範囲の眼球の疾患及び疾病を含む。本発明の製剤を使用して予防及び/又は治療することができる加齢関連の眼球の問題は、制約されるものではないが、混濁(角膜及び水晶体混濁の両方)、白内障の形成(二次白内障を含む)並びに脂質の沈積、視力障害、対比感度の減少、羞明、眩輝、ドライアイ、夜間視力喪失、瞳孔の縮小、老視、加齢関連黄斑変性症、眼圧上昇、緑内障、及び老人環に伴う他の問題を含む。“加齢関連”によって、一般的に老齢の患者においてはるかにより頻繁に起こると認められるが、しかし若年のヒトにおいても時には起こることができる症状を意味する。製剤は、典型的には埃、風、又は紫外線によって起こるが、しかし更に加齢した眼に伴う退行性疾病の兆候であることもできる、結膜脂肪斑及び翼状片のような眼球表面の成長物の治療においても使用することができる。一般的に加齢関連として見られないが、しかし本発明の製剤を使用して治療することができるもう一つの有害な症状は、円錐角膜を含む。本発明の製剤が、一般的にいずれもの哺乳類の個体の視力を改善するために、好都合に使用することができることは強調されるべきである。即ち、製剤の眼球への投与は、患者の年齢又はいずれもの有害な眼球の症状の存在に関係なく、視力及び対比感度、並びに色彩及び深度の認知を改善することができる。
【0026】
本発明は、更に先に記載したような生体適合性キレート化剤、例えばEDTA、及び/又はL−カルノシンのような抗AGE剤の制御放出のための、眼球用インサートにも関する。インサートは、水性液体製剤中に膨潤性のヒドロゲルを形成するポリマーを組込むことによって製造することができるような、徐々にではあるがしかし完全に可溶性のインプラントであることができる。また、インサートは、薬剤が内部リザーバーから外膜を介して拡散又は浸透により放出される場合、不溶性でありうる。
【0027】
好ましい態様の詳細な説明
I.定義及び命名法
他に示さない限り、本発明は、特定の製剤の種類、製剤の成分、投与量管理等に制約されない(このようなものは変化することができるためである)。本明細書中で使用される用語は、特定の態様を説明する目的のためであり、そして制約されることを意図するものではないことも更に理解されることである。
【0028】
本明細書及び請求項中で使用される場合、単数形の“一つ”(a)又は“一つの”(an)及び“前記の”(the)は、文脈が明確に他を示さない限り、複数の対象を含む。従って、例えば、“一つの抗AGE剤”への言及は、単一のこのような薬剤、並びに二つ又はそれより多い異なった抗AGE剤の組合せ或いは混合物を含み、“一つの浸透向上剤”への言及は、単一の浸透向上剤だけでなく、二つ又はそれより多い異なった浸透向上剤の組合せ或いは混合物を含み、“一つの医薬的に受容可能な眼科用担体”への言及は、二つ又はそれより多いこのような担体、並びに単一の担体を含む、等である。
【0029】
本明細書及び請求項において、多くの用語に対する言及が行われ、これらは、以下の意味を有するものと定義されなければならない:
製剤の成分に言及する場合、使用される用語、例えば“薬剤”は、規定された分子本体だけではなく、制約されるものではないが、更に塩、エステル、アミド、プロドラッグ、抱合体、活性な代謝産物、及び他のこのような誘導体、類似体、並びに関連する化合物を含むその医薬的に受容可能な類似体を包含することを意図している。
【0030】
用語“治療すること”及び“治療”は、本明細書中で使用される場合、有害な症状、疾患、又は疾病に悩む臨床的に兆候を示す個体への、兆候の重度及び/又は頻度の減少を行い、兆候及び/又はその根底にある原因を除去し、及び/又は損傷の改善又は矯正を促進するための薬剤又は製剤の投与を指す。用語“予防すること”及び“予防”は、特定の有害な症状、疾患又は疾病に敏感な臨床的に兆候を示す個体への薬剤又は組成物の投与を指し、そして従って兆候の発生及び/又はその根底にある原因の予防に関係する。明確に又は含みを持ってのいずれかで本明細書中に示されない限り、用語“治療”(又は“治療すること”)が、可能性のある予防について言及せずに使用された場合、“老視の治療のための方法”が、“老視の予防のための方法”を包含するものとして解釈されるものであるように、予防も包含されていることが意図されている。
【0031】
用語、製剤又は製剤の成分の“有効な量”又は“治療的に有効な量”によって、所望する効果を得るための製剤又は成分の、非毒性のしかし十分な量を意味する。
用語“制御放出”は、薬剤の放出が即時ではない薬剤を含有する製剤又はその部分を指し、即ち、“制御放出”製剤において、投与は、吸収プールへの薬剤の即時放出とはならない。この用語は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed.(Easton,PA:Mack Publishing Company,1995)中で定義されている“非即時放出”と互換的に使用される。一般的に、用語“制御放出”は、本明細書中で使用される場合、“遅延放出”製剤ではなく、“継続放出”を指す。用語“継続放出”(延長放出と同義)は、長期間にわたる薬剤の緩やかな放出を得る製剤を指すその慣用的な意味で使用される。
【0032】
“医薬的に受容可能な”によって、生物学的に又は他の意味で好ましくないものではない成分、即ち、成分が本発明の眼科用製剤に組込まれ、そして患者の眼に、いずれもの好ましくない生物学的影響、或いはそれが含有されている製剤組成物の他の成分のいずれかとの、有害な様式での相互作用を伴わずに局所的に投与することができることを意味する。用語“医薬的に受容可能な”が、薬理学的に活性な薬剤以外の成分を指す場合、これは、成分が毒物学的及び製造試験の必要な基準に合致するか、又はこれが、米国食品医薬品局によって定められた不活性成分指針に含まれていることを意味する。
【0033】
一つの態様において、眼科用製剤が提供され、これは、滅菌された形態で:少なくとも0.6重量%の生体適合性キレート化剤;浸透を向上するために有効な濃度の浸透向上剤;AGE分解剤、AGE形成阻害剤、及び糖化阻害剤から選択される抗AGE剤;並びに医薬的に受容可能な眼科用担体;の混合物を含んでなる。製剤は、眼球の薬物投与のために適したいずれもの形態で、例えば、点眼剤又は洗眼剤として投与するための溶液又は懸濁液、軟膏、或いは眼の結膜、強膜、扁平部、前区又は後区に挿入することができる眼科用インサートとして眼に適用することができる。インプラントは、製剤の眼球表面への制御放出、典型的には長期間にわたる継続放出を提供する。
【0034】
生体適合性キレート化剤は、二価又は多価の金属カチオンの補足剤であり、そして一般的に製剤の約0.6重量%ないし10重量%、好ましくは約1.0重量%ないし5重量%である。本発明は、特定の生体適合性キレート化剤に関して制約されず、そしていずれもの生体適合性キレート化剤を、これが約6.5ないし約8.0の範囲のpHに緩衝されることが可能なこと、及び製剤のいずれもの他の成分と相互作用しないことを条件に使用することができる。本発明に関連して有用な適した生体適合性キレート化剤は、制約されないが、EDTA、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジメルカプトプロパンスルホン酸(DMPS)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、アミノトリメチレンホスホン酸(ATPA)、クエン酸、眼科学的に受容可能なこれらの塩、及び前記のいずれもの組合せのような単量体の多酸を含む。他の例示的なキレート化剤は:リン酸塩、例えば、ピロリン酸塩、三ポリリン酸塩、及び六メタリン酸塩;クロロキン及びテトラサイクリンのようなキレート化抗生物質;イミノ基又は芳香族環中に二つ又はそれより多いキレート化窒素原子を含有する窒素を含有するキレート化剤(例えば、ジイミン、2,2’−ビピリジン、等);並びにシクラム(1,4,7,11−テトラアザシクロテトラデカン)、N−(C−C30アルキル)で置換されたシクラム(例えば、ヘキサデシクラム、テトラメチルヘキサデシルシクラム)、ジエチレントリアミン(EDTA)、スペルミン、ジエチルノルスペルミン(DENSPM)、ジエチルホモ−スペルミン(DEHOP)、及びデフェロキサミン(N’−[5−[[4−[[5−(アセチルヒドロキシアミノ)ペンチル]アミノ]−1,4−ジオキソブチル]ヒドロキシ−アミノ]ペンチル]−N’−(5−アミノペンチル)−N−ヒドロキシブタンジアミド;デスフェリオキサミンB及びDFOとしても知られる)のようなポリアミンを含む。
【0035】
EDTA及び眼科学的に受容可能なEDTA塩は特に好ましく、ここにおいて代表的な眼科学的に受容可能なEDTA塩は、EDTA二アンモニウム、EDTA二ナトリウム、EDTA二カリウム、EDTA三アンモニウム、EDTA三ナトリウム、EDTA三カリウム、及びEDTAカルシウム二ナトリウムから典型的には選択される。
【0036】
[0051]EDTAは、生物学的組織及び血液中で金属をキレート化するための薬剤として広く使用され、そして眼科用製剤の補足のために示唆されている。例えば、Hofmann等への米国特許第5,817,630号は、グルタチオン点眼剤中への0.05重量%ないし0.5重量%のEDTAの組込みを記載し、Chiouへの米国特許第5,283,236号は、眼を経由するポリペプチドの全身的放出のための浸透向上剤としてのEDTAの使用を記載し、Isaji等への米国特許第6,376,534号は、EDTAが二次白内障を阻害することにおいて有効であることができることを示唆し、そしてDenick Jr.等への米国特許第6,348,506号は、金属イオンを結合する補足剤としてのEDTAを記載している。キレート化剤としてのその使用に加えて、EDTAは、更に例えばCastillo等への米国特許第6,211,238号中に記載されているように保存剤として塩化ベンザルコニウムの代わりに広く使用されている。Bowman等への米国特許第6,265,444号は、保存剤及び安定化剤としてのEDTAを開示している。然しながら、EDTAは、角膜の上皮を通す不良な浸透のために、一般的に眼科用製剤中にいかなる有意な濃度でも局所的に適用されない。
【0037】
理論によって束縛されることを望むものではないが、本発明の製剤中の生体適合性キレート化剤によって演じられる有意な役割が、酵素の金属中心の補足による、眼の中のメタロプロテイナーゼの活性部位の除去にあるように見受けられる。この方法によりメタロプロテイナーゼを不活性化することによって、キレート化剤は、眼の中のタンパク質複合体の退化を遅延又は停止し、これによって眼球の組織がそれ自体で再構築する機会を与えることができる。更に、眼の中の遊離基の形成及び増殖に対して重要な、銅、鉄、及びカルシウムのような金属イオンをキレート化することによって、キレート化剤は、血流中に流入し、そして腎臓から排出される複合体を形成する。この方法により、酸素を含まないラジカル及び反応性分子の断片の産出が減少され、次いで細胞膜、DNA、酵素、及びリポタンパク質の病理学的脂質の過酸化が減少され、進行中の疾病過程を停止及び逆転する身体の自然の治癒機構を可能にする。
【0038】
従って、キレート化剤は、薬剤が、保存剤及び安定化剤として作用することに加えて、所望しないプロテイナーゼ(例えば、コラゲナーゼ)活性を減少するために働き、脂質の沈積の形成を予防し、及び/又は既に形成された脂質の沈積を減少し、そしてカルシウム沈積を減少する限りにおいて、本発明の状況において多機能性である。製剤は、更に有効な量の、製剤の成分の細胞膜、組織、及び角膜を含む細胞外基質を通しての浸透を促進する浸透向上剤を含む。“有効な量”の浸透向上剤は、直前に記載したような膜、組織、及び細胞外基質を通しての、一つ又はそれより多い製剤の成分の浸透の計測可能な増加を与えるために十分である濃度を表す。適した浸透向上剤は、例として、メチルスルホニルメタン(MSM;メチルスルホンとも呼ばれる)、MSMのジメチルスルホキシド(DMSO)との組合せ、又はやや好ましくない態様におけるMSM及びDMSOとの組合せを含み、MSMが特に好ましい。
【0039】
MSMは、無臭で、高度に水溶性(約26℃(79°F)で34重量/容量%)の白色の結晶質の化合物であり、108−110℃の融点及び94.1g/molの分子量を持つ。MSMは、この薬剤が、細胞膜浸透性を増加するだけでなく、一つ又はそれより多い製剤の成分の眼の前区及び後区の両方への運搬を補助する“運搬促進剤”(TFA)として作用する限りにおいて、本明細書中の多機能性剤として働く。更に、MSMは、それ自体医薬効果があり、そして抗炎症剤、並びに鎮痛剤として働くことができる。MSMは、更に生物学的組織の酸化性代謝を改良するために作用し、そして瘢痕の減少を補助する有機硫黄の供給源でもある。MSMは、更にこれが、先に記述したように水に可溶性であるが、しかし極性のS=O基及び非極性のメチル基の存在のために、親水性及び疎水性の特性の両方を示す独特の、そして利益のある溶解性特性を保有する。MSMの分子構造は、更に他の分子との水素結合、即ち、それぞれのS=O基の酸素原子及び他の分子の水素原子間、及びファンデルワールス会合、即ち、メチル基及び他の分子の非極性の部分(例えば、ヒドロカルビル)間の形成も可能にする。理想的には、本発明の製剤中のMSMの濃度は、約1.0重量%ないし33重量%、好ましくは約1.5重量%ないし8.0重量%の範囲である。
【0040】
この態様において、製剤は、更にグルコース及び他の還元性糖の、タンパク質、リポタンパク質、及びDNAとの非酵素的“糖化”反応による反応によって形成されるAGEの存在を減少する薬剤を含む。Rahbar等への米国特許第6,337,350号に記載されているように、反応は、糖分子のカルボニル基の、第2の分子のアミノ基(例えば、ペプチド又はタンパク質のアミノ末端、或いはアミノ酸側鎖の遊離アミノ基)へのカップリングによるシッフ塩基の可逆的形成により開始され、続いて安定したアマドリ産物を形成するために転位される。前述した特許中で説明されているように、シッフ塩基及びアマドリ産物は、時間をかけて更に一連の反応を受けて、その中で架橋が起こり、最終的にAGEが形成される。架橋されたマクロ分子であるAGEは、一般的に架橋されたタンパク質及びリポタンパク質であり、結合組織を硬化し、そして細胞の損傷に導く。今日まで同定されたAGEは、カルボキシメチルリシン、カルボキシエチルリシン、カルボキシメチルアルギニン、ペントシジン、ピラリン(pyralline)、ピロロピリジニウム(pyrrolopyrridinium)、アルギニン−リシン二量体、アルギニンピリジニウム、シペントジン(cypentodine)、ピペリジンジオンエノール、及びベスペルリシン(vesperlysine)を含む。Baynes et al.(1999)Diabetes 48:1−9を参照されたい。
【0041】
抗AGE剤は、AGE分解剤であることができ、これは糖化結合を開裂するために作用し、そして従って既に形成されたAGEの解離を促進する。適したAGE分解剤は、制約されないが、L−カルノシン、塩化3−フェナシル−4,5−ジメチルチアゾリウム(PTC)、臭化N−フェナシルチアゾリウム(PTB)、及び臭化3−フェナシル−4,5−ジメチルチアゾリウム(ALT−711、Alteon)を含む。抗AGE剤は、更に糖化阻害剤及びAGE形成阻害剤から選択することもできる。代表的なこのような薬剤は、アミノグアニジン、4−(2,4,6−トリクロロフェニルウレイド)フェノキシイソ酪酸、4−[(3,4−ジクロロフェニルメチル)2−クロロ−フェニルウレイド]フェノキシイソ酪酸、N,N’−ビス(2−クロロ−4−カルボキシフェニル)ホルムアミジン、及びこれらの組合せを含む。
【0042】
本明細書中の特に好ましい抗AGE剤は、L−カルノシン、天然のヒスチジンを含有するジペプチドである。L−カルノシンは、更に天然に存在する抗酸化剤であり、そして従って本明細書中の多機能性を与える。L−カルノシンは、それ自体によっては眼の組織を浸透せず、そして従ってこの制約が、眼科用組成物におけるその利用を更に制約している。然しながら、本発明の製剤において、L−カルノシンは、利益ある効果を発揮するために十分に浸透する。好ましい態様において、L−カルノシンは、概略製剤の0.2重量%ないし5.0重量%である。
【0043】
所望により、製剤は、更に微小循環性向上剤、即ち、毛細血管内の血流を向上するために働く薬剤をも含む。微小循環性向上剤は、好ましくはホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤であり、そして最も好ましくは(I)型PDE阻害剤の阻害剤である。このような化合物は、当業者によって認識されるものであるように、サイクリックAMP(cAMP)の細胞内濃度を上昇するために作用する。好ましい微小循環性向上剤は、アポビンカミン−22−酸エチルとも呼ばれるビンポセチンである。ビンカアルカロイドのビンカミンの合成誘導体であるビンポセチンは、その抗酸化特性及び細胞中の過剰なカルシウムの蓄積に対する保護のために、本明細書中で特に好ましい。ビンカミンは、更にビンポセチン以外のビンカアルカロイドとして、本明細書中の微小循環性向上剤として有用である。好ましくは、微小循環性向上剤、例えばビンポセチンは、製剤の約0.01重量%ないし約0.2重量%、好ましくは約0.02重量%ないし約0.1重量%の範囲の量で存在する。
【0044】
本発明の製剤中の他の所望による添加剤は、二次向上剤、即ち、一つ又はそれより多い付加的な浸透向上剤を含む。例えば、本発明の製剤は、付加されたDMSOを含有することができる。MSMは、DMSOの代謝物である(即ち、DMSOは、酵素的にMSMに転換される)ため、DMSOを本発明のMSMを含有する製剤に組込むことは、製剤中のMSMの部分を徐々に増加する傾向があるものである。DMSOは、更に遊離器捕捉剤としても働き、これによって酸化性の損傷の潜在性を減少する。DMSOが二次向上剤として付加された場合、量は、好ましくは製剤の約1.0重量%ないし2.0重量%の範囲であり、そしてMSMとDMSOの重量比は、典型的には約1:1ないし約50:1の範囲である。
【0045】
少なくとも部分的に水性である製剤中に組込むための他の可能性のある添加剤は、制約されないが、増粘剤、等張剤、緩衝剤、及び保存剤を、いずれものこのような賦形剤が、製剤の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用をしないことを条件として含む。更に保存剤が、選択されたキレート化剤及び好ましいAGE分解剤がこれら自体保存剤として働くと言う事実に照らして、一般的に必要としないことも注意すべきである。適した増粘剤は、眼科用製剤の当業者にとって既知であるものであり、そして例として、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)のようなセルロース質ポリマー、並びにポリビニルアルコール(PVA)、ヒアルロン酸又はその塩(例えばヒアルロン酸ナトリウム)、及び“カルボマー”と普通に呼ばれる架橋されたアクリル酸ポリマー(そしてB.F.GoodrichからCarbopol(登録商標)ポリマーとして入手可能)のような他の膨潤性親水性ポリマーを含む。いずれもの増粘剤の好ましい量は、約15cpsないし25cpsの範囲の粘度が得られるようなものであり、溶液として、前述の範囲の粘度を有することが、快適さ及び製剤の眼の中での保持の両方のために、一般的に最適と考えられる。眼科用製剤に通常使用されるいずれもの適した等張剤及び緩衝剤を、溶液の浸透圧が涙流体のそれから2−3%より多く逸脱せず、そして製剤のpHが約6.5ないし約8.0の範囲に、好ましくは約6.8ないし約7.8の範囲、そして最適には約7.4のpHに維持されることを条件として使用することができる。好ましい緩衝剤は、重炭酸ナトリウム及びカリウムのような炭酸塩を含む。
【0046】
[0061]本発明の製剤は、製剤の特別な種類にもよるが、更に医薬的に受容可能な眼科用担体を含む。例えば、本発明の製剤は、眼科用溶液又は懸濁液として提供することができ、この場合担体は少なくとも部分的に水性である。製剤は、更に軟膏であることもでき、この場合医薬的に受容可能な担体は、軟膏基剤から構成される。本明細書中の好ましい軟膏基剤は、体温に近い融点又は軟化点を有し、そして眼科用製剤に普通に使用されるいずれもの軟膏基剤を使用することができる。普通の軟膏基剤には、ワセリン並びにワセリン及び鉱油の混合物が含まれる。
【0047】
本発明の製剤は、更にヒドロゲル、分散物、又はコロイド状懸濁液として調製することもできる。ヒドロゲルは、当技術において“ヒドロゲル”と呼ばれる製剤が、典型的には“濃厚化”溶液又は懸濁液と呼ばれる製剤より高い粘度を有することを除いて、適した増粘剤として先に記載したもの(即ち、MC、HEC、HPC、HPMC、NaCMC、PVA、或いはヒアルロン酸又はその塩、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)のような膨潤性の、ゲルを形成するポリマーの組込みによって形成される。このような前もって形成されたヒドロゲルとは対照的に、製剤は、眼への適用後に原位置でヒドロゲルを形成するように調製することもできる。このようなゲルは、室温では液体であるが、しかし体液と接触するようにされるようなより高い温度ではゲルである(そして従って“熱可逆性”ヒドロゲルと呼ばれる)。この特性を与える性体適合性ポリマーは、アクリル酸ポリマー及びコポリマー、N−イソプロピルアクリルアミド誘導体、並びにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのABAブロックコポリマー(慣例的に“ポロキサマー”と呼ばれ、そしてBASF−WyandotteからPluronic(登録商標)の商標名で入手可能)を含む。製剤は、更に分散物又はコロイド状懸濁液の形態で調製することもできる。好ましい分散物は、リポソーム剤であり、この場合製剤は、交互の水性区画及び脂質の二層から構成される顕微鏡的小胞である“リポソーム”内に包含される。コロイド状懸濁液は、一般的にマイクロ粒子、即ち、マイクロスフェア、ナノスフェア、マイクロカプセル、又はナノカプセルから形成され、ここにおいてマイクロスフェア及びナノスフェアは、一般的にポリマー基質の一体化された粒子であり、この中に製剤が捕獲、吸着、又は他の方法で含有され、一方マイクロカプセル及びナノカプセルでは、製剤は、実際にカプセル化される。これらのマイクロ粒子の大きさの上限は、約5μないし約10μである。
【0048】
製剤は、更に、眼の結膜、強膜、又は平坦部或いは前区又は後区へのインサートの移植後、一般的に約12時間ないし60日、そして恐らくは12ヶ月又はそれより長い範囲の長期間にわたる製剤の制御放出を与える、滅菌眼科用インサート中に組込むこともできる。眼球用インサートの一つの種類は、拡散及び/又は基質の分解により製剤を眼に徐々に放出する一体化されたポリマー基質の形態のインプラントである。このようなインサートにおいて、ポリマーが、完全に可溶性及び又は生分解性(即ち、物理的又は酵素的に眼の中で侵食される)であり、インサートの除去が不必要であることが好ましい。これらの種類のインサートは、当技術において公知であり、そして典型的にはコラーゲン、ポリビニルアルコール、又はセルロース質ポリマーのような水膨潤性の、ゲルを形成するポリマーから構成される。本発明の製剤を放出するために使用することができるもう一つの種類のインサートは、インプラントからの製剤のゆっくりした拡散を可能にする、浸透性ポリマー膜内に包含された中央リザーバー中に製剤が含有された拡散性インプラントである。浸透性インサート、即ち眼への適用及びその後の涙液の吸収後のインプラント内の浸透圧の増加の結果として製剤が放出されるインプラントも更に使用することができる。
【0049】
本発明のもう一つの態様において:少なくとも0.6重量%の濃度の生体適合性キレート化剤;浸透向上するために有効な量、好ましくは、必須ではないが、製剤の約1.0重量%ないし約33重量%、更に好ましくは製剤の約1.5重量%ないし約8.0重量%のメチルスルホニルメタン;及び医薬的に受容可能な眼科用担体を含有する滅菌眼科用製剤が提供される。適した生体適合性キレート化剤、担体、所望による添加剤、及び放出系は、先に記載したとおりである。この態様において、担体が蒸留水又は脱イオン水であることが好ましい。例示的な生体適合性キレート化剤は、EDTA又は眼科学的に受容可能なその塩であり、そして製剤の10重量%より高くない濃度で存在する。製剤は、更に約0.5重量%ないし約30重量%のL−カルノシン、約0.1重量%ないし約0.5重量%の塩化3−フェナシル−4,5−ジメチルチアゾリウム、約1.0重量%ないし約2.0重量%のジメチルスルホキシド、約0.01重量%ないし約0.2重量%、好ましくは約0.02重量%ないし約0.1重量%のビンポセチン、及び約6.5ないし約8.0の範囲、好ましくは約6.8ないし約7.8、そして理想的には約7.4のpHを製剤に与えるために有効な緩衝剤又は系を含有することもできる。
【0050】
本発明の更なる態様において:少なくとも0.6重量%の濃度の生体適合性キレート化剤;AGEを減少するために有効な量、一般的に必須ではないが、製剤の約0.5重量%ないし30重量%のL−カルノシン;及び医薬的に受容可能な眼科用担体を含有する滅菌眼科用製剤が提供される。適した生体適合性キレート化剤、担体、所望による添加剤、及び放出系は、本明細書中で先に記載したとおりであり、そして担体が蒸留水又は脱イオン水であることが好ましい。好ましくは生体適合性キレート化剤は、EDTA又は眼科学的に受容可能なその塩であり、製剤の10重量%より高くない濃度で存在する。製剤は、更に約0.01重量%ないし約0.2重量%、好ましくは約0.02重量%ないし約0.1重量%のビンポセチン、及び上記のように、約6.5ないし約8.0の範囲、好ましくは約6.8ないし約7.8、そして理想的には約7.4のpHを製剤に与えるために有効な緩衝剤又は系を含有することもできる。
【0051】
本発明の製剤は、眼の角膜、網膜、水晶体、強膜、並びに前区及び後区の症状、疾病及び疾患を含む広い範囲の有害な眼球の症状を治療することにおいて有用である。製剤は、加齢の過程及び/又は酸化及び遊離基による眼の損傷に伴う有害な眼球の症状の治療において特に有用である。例として、そして制約ではないが、製剤は、一般的に加齢に伴う次の有害な眼球の症状:水晶体の硬化、混濁、柔軟性の減少、及び黄変;角膜の黄変及び混濁;老視;眼圧の蓄積及び緑内障に導く櫛状靭帯の閉塞;硝子体液中の浮遊物の増加;虹彩の硬直及び拡大範囲の減少;加齢関連の黄斑変性症;網膜動脈中のアテローマ性動脈硬化性及び他の脂質沈着物の形成;眼球乾燥症候群;二次白内障を含む白内障の発症;眩輝並びに網膜の桿体及び円錐体の感受性及び光量適応能力の減少に伴う問題である羞明;老人環;瞳孔の縮小;対比感度、色彩認知、深度認知の減少を含む視力の喪失;夜間視力の喪失;水晶体の遠近調節の減少;黄斑浮腫;黄斑瘢痕;及び帯状角膜症の治療において有用である。加齢した個体は、一般的に一つより多いこれらの症状に悩まされ、通常二つより多い異なった医薬製品の自己投与が必要である。本発明の製剤が、これらの症状の全てを治療するために有用であるために、付加的な製品は必要なく、そして従って、多数の医薬製品を使用する不都合な、そして内在する危険度が回避される。本発明の製剤を使用して治療することができる更なる有害な眼球の症状は、円錐角膜並びに結膜脂肪斑及び翼状片のような眼球表面の成長物を含む。製剤が、いずれもの哺乳類の個体の対比感度、色彩認知、及び深度認知を含む視力を改善するために、個体が有害な視覚の症状に悩んでいるか否かにかかわらず使用することができることは強調されるべきである。
【0052】
本発明は、更に先に記載した生体適合性キレート化剤及び/又は抗AGE剤の、向上剤を含まない制御放出のための眼球用インサートにも関する。これらの眼球用インサートは、強膜並びに前区及び後区を含む眼のいずれの領域にも移植することができる。一つのこのようなインサートは、本質的に生体適合性キレート化剤、好ましくはEDTA又は眼科学的に受容可能なその塩、及び医薬的に受容可能な担体からなる製剤を含有する制御放出インプラントから構成される。もう一つのこのようなインサートは、本質的に抗AGE剤、好ましくはL−カルノシン、及び医薬的に受容可能な担体からなる製剤を含有する制御放出インプラントから構成される。インサートは、本明細書中の他の場所に記載したような水性液体製剤中に膨潤性の、ヒドロゲルを形成するポリマーを組込むことによって製造することができるような、徐々に、しかし完全に可溶性のインプラントであることができる。インサートは、更に不溶性であることもでき、この場合薬剤は、更に本明細書中の他の場所に記載したように、内部リザーバーから、外部膜を通して拡散又は浸透現象により放出される。
【0053】
本発明は、その好ましい具体的な態様に関して説明されてきたが、上記の説明、並びに以下の実施例は、例示であり、そして本発明の範囲を制約することを意図していないことは理解されるべきである。他の側面、利益、及び本発明の範囲内の改変は、本発明に関する当業者にとって明白であるものである。
【0054】
実施例1
本発明の点眼製剤、製剤1を、以下のように調製した:
高純度の脱イオン(DI)水(500ml)を、0.2マイクロメートルのフィルターで濾過した。MSM(27g)、EDTA(13g)、及びL−カルノシン(5g)を、濾過したDI水に加え、そして溶解を示す視覚的透明性が達成されるまで混合した。混合物をそれぞれ点眼キャップを有する10mLの瓶中に注いだ。重量%基準で、点眼剤は以下の組成を有していた:
精製脱イオン水 91.74重量%
MSM 4.95重量%
EDTA二ナトリウム 2.39重量%
L−カルノシン 0.92重量%。
【0055】
実施例2
製剤1を、全て男性の52ないし84歳間の異なった民族の四人の被験者の治療における効力に対して評価した。被験者1は、50歳代であり、そして視覚的問題又は検出可能な眼の異常を有していなかった。被験者2及び3は、50歳代であり、そして両眼の角膜周辺部の周りに顕著な老人環を有していたが、しかし他の有害な眼球の症状はなかった(老人環は、典型的には美容上の欠点と考えられる)。被験者4は、80歳代であり、そして白内障及びザルツマンの小結節を病み、そして極度の羞明及び眩輝に伴う問題が報告されていた。この被験者は、眩輝及び視覚の明瞭さの喪失のために、新聞、本、及びコンピュータースクリーン上の情報を読むことに非常な困難を有していた。
【0056】
製剤を、それぞれの眼に1滴(概略0.04mL)、一日当り2ないし4回、12ヶ月にわたる期間被験者に投与した。全ての被験者は、12ヶ月の間及びその後に眼科医によって検査された。眼に製剤を投与する時のわずかな一時的刺激以外の副作用は、被験者又は眼科医によって報告或いは観察されなかった。全ての四人の被験者は研究を完了した。
【0057】
全ての被験者は、研究に入って4週目に主観的な変化に気づいた。この段階で、被験者によって報告された変化は、明るさの増加、視覚の明瞭さの改善、及び眩輝の減少(特に被験者4)を含んでいた。
【0058】
8週間後、次の変化に気づいた:全ての四人の被験者は、明瞭さ及び対比に関する視覚の大きい改善を報告し、そして日中の色彩が鮮明さを増しているように見受けられることを示した。被験者1の視力は、20/25(補正後)から20/20より良好(同様な補正を伴う)に改善され、そして彼の眼は、深い青の色調に変わった。被験者2及び3は、老人環の有意な減少を示した。
【0059】
被験者4について、その視力は本来最良の補正でも左眼20/400及び右眼20/200であり、そして急性の羞明及び眩輝を有していた。眩輝及び羞明は減少し、そして被験者は本、新聞及びコンピュータースクリーン上の情報を再び読み始めた。彼の右眼の視力は20/200(補正を伴う)から20/60(ピンホール)(同様な補正を伴う)に有意に改善された。彼の左眼の視力は20/400から20/200(同様な補正を伴う)に改善された。彼の左眼において、彼は、黄斑瘢痕のために中心部の暗点を有し続けた。
【0060】
16週間後、次の変化に気づいた:全ての被験者は、夜間視覚を含む視覚の継続する改善、並びに対比感度の改善、及び色彩認識の継続する改善を報告した。被験者1の視力は20/20(補正後)から20/15(同様な補正を伴う)に改善を継続した。被験者2及び3は、老人環の減少を示し続けた。
【0061】
被験者4は、眩輝及び羞明の更なる減少、並びに本、新聞、及びコンピュータースクリーン上の情報を読むことの容易さの更なる改善を報告した。被験者4は、更に夜間の眩輝が排除されたことを報告した。被験者は、黒眼鏡の必要もなく、そして眩輝による重度の問題に悩まされることもなく、いまや昼光中で快適である。彼の右眼の視力は20/60(ピンホール)から20/50(ピンホール)に改善された。彼の左眼における彼の視力も、更に20/200から20/160(同様な補正を伴う)に改善された。彼の左眼において、彼は黄斑瘢痕による中心部の暗点を有し続けた。
【0062】
8ヶ月後、被験者4の彼の右眼の視力は、20/50(ピンホール)から20/40(ピンホール)に改善された。彼の左眼における彼の視力は、20/160から20/100(同様な補正を伴う)に改善された。左眼の暗点は消え始め、そして彼は、以前の暗点を通してかすんだ状態で読むことができた。この時点で、彼の対比感度も更に測定した。彼の白内障は、+4(4が最高である0−4の尺度)と測定された。中心部の黄斑の瘢痕は、光路のかすみのために眼科医にとってかろうじて見えた。
【0063】
10ヶ月後、被験者1の視力は、20/15から20/10(同様な補正を伴う)に更に改善された。
更に2ヶ月後;即ち、合計12ヶ月後、被験者4の視覚は改善し続けた。被験者は、いまやいずれもの問題もなく、本、新聞、及びコンピュータースクリーンを読むことができた。被験者は、更に白内障の改善(0−4尺度で4+から3−4+になる)も示した。光路の明瞭さは、十分に改善され、黄斑の瘢痕は眼科医にとって明確に見えた。対比感度において、40%ないし100%の改善があった。スネレン視力において、彼は、彼の右眼で20/40から20/30(ピンホール)に、そして彼の左眼で20/100から20/80になった。
【0064】
実施例3
本発明の第2の点眼製剤、製剤2を、以下のように調製した:
[0081]高純度の脱イオン(DI)水(500ml)を、0.2マイクロメートルのフィルターで濾過した。MSM(13.5g)、EDTA(6.5g)、及びL−カルノシン(5.0g)を、濾過したDI水に加え、そして溶解を示す視覚的透明性が達成されるまで混合した。混合物をそれぞれ点眼キャップを有する10mLの瓶中に注いだ。重量%基準で、点眼組成物は以下の成分を有していた:
精製脱イオン水 95.24重量%
MSM 2.57重量%
EDTA二ナトリウム 1.24重量%
L−カルノシン 0.95重量%。
【0065】
実施例4
実施例2に記載した実験に続いて、詳細な、そして制御された後続研究を、わずかに弱い点眼製剤、製剤2(実施例3に記載したように調製)を使用して行った。更にプラセボ点眼剤も調製し、そして投与した。プラセボ点眼剤は、商業的に得られる緩衝された等張水溶液の形態の滅菌生理食塩水溶液(ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムを含有、0.1重量%のソルビン酸、及び0.025重量5のEDTA二ナトリウムを保存剤として伴う)から構成されていた。
【0066】
研究は、一つの正の対照を除いて二重遮蔽であり、患者も眼科医も、彼らが、製剤の点眼剤を与えられたか、又は生理食塩水溶液を与えられたかどうかは知らなかった。患者は、ランダム化されて、研究製剤又は生理食塩水溶液のいずれかを投与された。
【0067】
研究は、5人の被験者を含み、その3人の被験者は製剤2の点眼剤を与えられ、そして一人の被験者はプラセボの点眼剤を与えられた。更に、一人の被験者は、より高い強さの製剤1の点眼剤を与えられた。1滴(概略0.04mL)を、それぞれの眼に一日2ないし4回、8週間の期間投与した。点眼剤を、それぞれの被験者の両眼に投与した。研究の参加者は、多民族であり、そして20%が女性であり、80%が男性であった。
【0068】
眼科医による基線及び後続試験は:自動屈折;角膜のトポグラフィー;外部写真;波頭写真;眼鏡補正した遠距離及び約36cm(14インチ)での視力;Vision Sciences Research Corporation(San Ramon,California)のFractional Acuity Contrast Test(FACT)チャートを使用する対比感度試験;瞳孔検査及び瞳孔の大きさ測定;スリットランプ試験;眼圧測定;並びに拡張型眼底試験を含んでいた。
【0069】
8週間後、被験者を再び試験した。それぞれの被験者の対比感度の結果を表1に示し、そして全ての結果を表2に要約する。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
製剤1及び製剤2で治療された全ての被験者は、角膜の平滑さ及び規則性の改善、遠近調節/焦点を合わせる能力の改善、更に均質な、そして安定な涙液のフィルム、及び角膜及び水晶体の黄変の減少を含む、非常に有意な改善を示した。プラセボを与えられた被験者は、いずれもの有意な変化を示さなかった。全ての被験者は、遠距離で交通信号を見る能力の改善、より明るい、そしてより鮮明な色彩、及び夜間視覚の改善を報告した。
【0073】
実施例5
製剤1を、46歳の男性被験者における効力に対して評価した。治療前、被験者は、重度の視覚の問題又は眼の異常を有していなかったが、両眼の屈折障害を補正するために二焦点眼鏡を必要とした。
【0074】
被験者は、治療の前及び8週間の治療後に再び独立の眼科医によって検査された。行われた試験は:遠距離(約6m(20フィート))及び近距離(約36cm(14インチ))視力に対するスネレン視力検査、自動屈折、瞳孔拡大(瞳孔測定器最大暗順応の瞳孔の大きさ)、スリットランプ測定、自動化角膜トポグラフィーマッピング、対比感度(機能的視力対比試験)、自動化波頭収差マッピング、及び前区の写真を含んでいた。
【0075】
治療は、一滴(概略0.04mL)の製剤1のそれぞれの眼への、一日当り2ないし4回の、8週間の局所滴下からなっていた。この治療の結果は、以下のとおりであった:
点眼剤の投与時の一過性のわずかな眼の刺激以外は、刺激、発赤、疼痛、又は他の有害な影響は眼科医によって観察されず、或いは被験者によって報告されなかった。
【0076】
スネレン視力:同様な屈折補正を使用して、遠距離視力は、右眼で20/25+1から20/20に、そして左眼では20/20−2から20/20に改善された。近距離視力は両眼とも20/50で不変であった。
【0077】
自動屈折:右眼は不変であった:球面、−3.75;乱視、24度の軸で+2.5。左眼はわずかな改善を示した:球面、−4.00から−3.75に減少;乱視、175度で+3.50から179度で+3.25に減少。
【0078】
瞳孔拡大:両眼とも5.0から6.0mmに改善。
スリットランプ検査:網膜は不変のように見受けられ、そして白内障は、いずれの検査中にも観察されなかった。
【0079】
角膜トポグラフィー:角膜の平滑さ及び規則性の改善が両眼で観察された。眼科医は、この改良が、更に均一で、そして安定した涙液フィルムのためであることができることを所見として述べた。
【0080】
対比感度:測定値を表3に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
データは、対比感度の一致した有意な改善を示す。
自動化波頭マッピング:右眼において、球面収差は、本質的に不変であった(+0.15660から+0.15995)。網膜の画像形成は、弧の60×70から45×70分に改善され、これは25%緻密(tighter)な画像形成を表す。左眼において:球面収差は+0.14512から+0.09509に減少し、34.4%の改善であった。網膜の画像形成は、推定20%緻密な画像に改善された。
【0083】
前区の写真、図1A(右眼、治療前)、図1B(右眼、治療後)、図2A(左眼、治療前)、及び図2B(左眼、治療後):虹彩の色は、より濃い青色に変わった;変化の程度は、“素晴しい”と報告された。変化は、角膜の黄変の減少による可能性がある。
【0084】
更に、被験者は、治療後、より低い倍率の処方の眼鏡に取替え、そして二焦点眼鏡がもはや必要ないことを報告した。彼は、次の感想を述べた:「私は、点眼剤を約8週間使用し、そして私の視力は、有意に改善されました。私は、色彩をより鮮明に見ることができます。私は、私の二焦点眼鏡を、私の古いより低い倍率の非二焦点眼鏡に変えました。私は、遠距離をはるかに良く見ることができ、そして読書用眼鏡を必要としません。私の眼は、私の本来の眼の色のような濃い青色となり、そして私の夜間視覚は改善されました」。
【0085】
実施例6
製剤1を、60歳の男性被験者における有効性に関して評価した。治療前、被験者は、両眼の屈折障害以外には重度の視覚の問題又は眼球の異常を有していなかった。
【0086】
被験者は、治療の前及び7週間の治療後に再び独立の眼科医によって検査された。行われた試験は:遠距離(約6m(20フィート))及び近距離(約36cm(14インチ))視力に対するスネレン視力検査、自動屈折、瞳孔拡大(瞳孔測定器最大暗順応の瞳孔の大きさ)、スリットランプ検査、自動化角膜トポグラフィーマッピング、対比感度(機能的視力対比試験)、自動化波頭収差マッピング、及び前区の写真を含む。
【0087】
治療は、一滴(概略0.04mL)の製剤1のそれぞれの眼への、一日当り2ないし4回の、7週間の局所滴下からなっていた。この治療の結果は、以下のとおりである:
点眼剤の投与時の一過性のわずかな眼の刺激以外は、刺激、発赤、疼痛、又は他の有害な影響は眼科医によって観察されず、或いは被験者によって報告されなかった。
【0088】
スネレン視力:同様な屈折補正(左眼は意図的に下方補正された)を使用して、遠距離視力は、右眼で20/15で不変のままであり、そして左眼では20/40−2から20/40に改善された。近距離視力は、右眼で20/70から20/100に低下し(距離の過剰補正による可能性がある)、そして左眼は20/40−2から20/25に改善された。
【0089】
自動屈折:右眼は、不変の球面測定値(−6.00)、及び乱視のわずかな改善(115度で+0.75から113度で+0.50)を有していた。左眼は、わずかな改善を示した:球面は−8.25から−8.00なり;乱視は、84度で+1.00から82度で+1.00と不変であった。
【0090】
瞳孔拡大:右眼は、4.0から4.5mmに改善され、そして左眼は4.0mmで不変であった。
スリットランプ検査:網膜は不変のように見受けられ、そして最小の白内障が、両方の検査中に観察された。
【0091】
角膜トポグラフィー:角膜の平滑さ及び規則性の改善が両眼で観察された。眼科医は、この改良が、更に均一で、そして安定した涙液フィルムのためであり得ることを所見として述べた。
【0092】
対比感度:測定値を表4に示す。
【0093】
【表4】

【0094】
これらのデータは、対比感度の一致した有意な改善を示す。
自動化波頭マッピング:右眼において、球面収差は、69%の改善である+0.01367から+0.00425に減少した。網膜の画像形成は、弧の80×80から70×65分に改善され、これは28.9%緻密な画像形成を表す。左眼において:球面収差は、>100%の改善である、+0.04687から+0.00494に減少した。網膜の画像形成は、弧の150×150から100×100分に改善され、これは、33%緻密な画像の形成を表す。眼科医は、2回目の検査において:“全体的な球面収差は、60歳の眼ではなく、若い健康な眼のそれに近い”と言う所見を述べた。
【0095】
前区の写真、図3A(右眼、治療前)、図3B(右眼、治療後)、図4A(左眼、治療前)、及び図4B(左眼、治療後):観察されたものは、水晶体の混濁の明白な減少、水晶体の黄変の減少、及び角膜の透明度の改善であった。
【0096】
更に、被験者は、“私は、これらの点眼剤を約7週間使用しました。私は、ゴルフボールを、以前はかろうじて約200メートル(220ヤード)先まで見ることができましたが、約270メートル(300ヤード)先まで見ることができます。私の視覚は、特に遠距離の交通信号を見るのが非常に改善されました”と述べた。
【0097】
実施例7
製剤1の成分として投与された場合のEDTAの眼球の薬物動力学的挙動を、ウサギで5日間の期間にわたって評価した。それぞれ概略2.5ないし3Kgの体重の二匹の健康なオスのウサギを研究に使用した。
【0098】
研究の1日目、一滴の製剤1を、両方のウサギのそれぞれの眼(合計四つの眼)に局所的に滴下した。研究の進行中、更なる点眼剤は投与されなかった。眼房水の試料を、投与後15分、30分、1時間、4時間、3日目、及び5日目に抽出した(以下の表に示すように)。硝子体液を投与後5日目に全ての四つの眼から抽出した。眼房水及び硝子体液の全ての試料中のEDTAの濃度を、HPLC分析によって測定した。
【0099】
研究の結果を表5に要約する。
【0100】
【表5】

【0101】
これらの結果は、製剤1が、EDTAを眼の前房(眼房水)に非常に迅速に放出することを示す:10.7μg/mLの濃度が、投与後わずか30分で達成されている。前房水が概略90分毎に前房から完全に流出するために、慣用的な点眼製剤からの化合物は、典型的には投与後4時間は眼房水中で検出されない。然しながら、本出願人等は、有意な濃度のEDTAを、投与後5日目においてさえ眼房水中で観察した。本出願人等のデータは、更にEDTAが、硝子体液に達し、これが眼房水と殆んど同様の濃度で存在することも示している。従って、硝子体液(及び恐らくは隣接する組織)が、吸収されたEDTAにためのリザーバー(reservoir)として作用し、このEDTAのある部分が時間をかけて眼房水に拡散して戻っている可能性がある。
【0102】
製剤1から硝子体液を含む眼の後区へのEDTAの証明された浸透は、点眼剤として投与された場合、眼の後部に治療剤を放出する本発明の製剤の潜在性を示す。このような眼の後部への薬剤放出は、加齢関連の黄斑変性症、黄斑浮腫、緑内障、細胞移植の拒絶、感染、及びブドウ膜炎を含む眼の症状、疾病、及び疾患の治療を可能にする。
【0103】
これらの実施例は、多機能薬剤MSM及びEDTAから構成される局所的滴剤が、L−カルノシン、AGE分解剤の添加を伴って、昼間及び夜間視覚(視力)の両方の質を有意に改善し、対比感度を大幅に改善し、瞳孔拡大を改善し、更に均一な、そして安定した涙液フィルムを生産し、老人環を減少し、そして眩輝、及び羞明に伴う不快感を大幅に減少することを示す。有害な病理学的変化又は視力の減少は観察されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1A、1Bは、46歳の男性患者の眼の、治療前(右眼−図1A;左眼−図2A)及び本発明の点眼製剤による8週間の治療を受けた後(左眼−図1B;及び左眼−図2B)の写真である。
【図2】図2A及び2Bは、46歳の男性患者の眼の、治療前(右眼−図1A;左眼−図2A)及び本発明の点眼製剤による8週間の治療を受けた後(左眼−図1B;及び左眼−図2B)の写真である。
【図3】図3A、3Bは、60歳の男性患者の眼の、治療前(右眼−図3A;左眼−図4A)及び本発明の点眼製剤による8週間の治療を受けた後(左眼−図3B;及び左眼−図3B)の写真である。
【図4】図4A及び4Bは、60歳の男性患者の眼の、治療前(右眼−図3A;左眼−図4A)及び本発明の点眼製剤による8週間の治療を受けた後(左眼−図3B;及び左眼−図3B)の写真である。





【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも0.6重量%の濃度の生体適合性キレート化剤;
浸透を向上するために有効な濃度の浸透向上剤;
AGE分解剤、AGE形成阻害剤、及び糖化阻害剤から選択される抗AGE剤;並びに
医薬的に受容可能な眼科用担体;
を含んでなる滅菌眼科用製剤。
【請求項2】
前記担体が、少なくとも部分的に水性である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
溶液を含んでなる、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
懸濁液を含んでなる、請求項2に記載の製剤。
【請求項5】
前記担体が更に水膨潤性ポリマーを含み、そして前記製剤がヒドロゲルを含んでなる、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
前記担体が、前記製剤が眼球への投与に続いて原位置でヒドロゲルを形成するように、熱可逆性ヒドロゲル形成ポリマーを含んでなる、請求項2に記載の製剤。
【請求項7】
前記担体が軟膏基剤であり、そして前記製剤が軟膏を含んでなる、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
請求項1に記載の前記製剤のリポソーム分散物を含んでなる滅菌眼科用放出系。
【請求項9】
請求項1に記載の前記製剤を含有するマイクロスフェア、ナノスフェア、マイクロカプセル、又はナノカプセルのコロイド状懸濁液を含んでなる、請求項1に記載の放出系。
【請求項10】
前記生体適合性キレート化剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジメルカプトプロパンスルホン酸(DMPS)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、アミノトリメチレンホスホン酸(ATPA)、クエン酸、眼科学的に受容可能なこれらの塩、及び前記のいずれもの組合せから選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
前記生体適合性キレート化剤が、EDTA及び眼科学的に受容可能なその塩から選択される、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記生体適合性キレート化剤が、EDTAである、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記生体適合性キレート化剤が、眼科学的に受容可能なEDTAの塩である、請求項11に記載の製剤。
【請求項14】
前記眼科学的に受容可能なEDTAの塩が、EDTA二アンモニウム、EDTA二ナトリウム、EDTA二カリウム、EDTA三アンモニウム、EDTA三ナトリウム、EDTA三カリウム、EDTAカルシウム二ナトリウム、及びこれらの組合せから選択される、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記キレート化剤が、キレート化抗生物質、二つ又はそれより多いキレート化窒素原子を含有するキレート化剤、リン酸塩、及びデフェロキサミンから選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項16】
前記キレート化剤が、クロロキン及びテトラサイクリンから選択されるキレート化抗生物質である、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
前記キレート化剤が、ピロリン酸塩、三ポリリン酸塩、六メタリン酸塩、及びこれらの組合せから選択される、請求項15に記載の製剤。
【請求項18】
前記浸透向上剤が、メチルスルホニルメタン、ジメチルスルホキシド、及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項19】
前記浸透向上剤が、メチルスルホニルメタンである、請求項20に記載の製剤。
【請求項20】
メチルスルホニルメタン及びジメチルスルホキシドを、概略1:1ないし約50:1の重量比で含んでなる、請求項18に記載の製剤。
【請求項21】
前記抗AGE剤が、AGE分解剤である、請求項1に記載の製剤。
【請求項22】
前記AGE分解剤が、L−カルノシン、塩化3−フェナシル−4,5−ジメチルチアゾリウム、臭化N−フェナシルチアゾリウム、臭化4,5−ジメチルチアゾリウム、及びこれらの組合せから選択される、請求項17に記載の製剤。
【請求項23】
前記AGE分解剤が、L−カルノシンである、請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
前記抗AGE剤が、糖化阻害剤及びAGE形成阻害剤から選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項25】
前記抗AGE剤が、アミノグアニジン、4−(2,4,6−トリクロロフェニルウレイド)フェノキシイソ酪酸、4−[(3,4−ジクロロフェニルメチル)2−クロロフェニルウレイド]フェノキシイソ酪酸、N,N’−ビス(2−クロロ−4−カルボキシフェニル)ホルムアミジン、及びこれらの組合せから選択される、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
更に微小循環性向上剤を含んでなる、請求項1に記載の製剤。
【請求項27】
前記微小循環性向上剤が、ホスホジエステラーゼ阻害剤である、請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤が、(I)型ホスホジエステラーゼ阻害剤である、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤が、ビンポセチンである、請求項28に記載の製剤。
【請求項30】
更に増粘剤、等張剤、及び緩衝剤から選択される少なくとも一つの添加剤を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項31】
約6.5ないし約8.0の範囲のpHを有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項32】
約6.8ないし約7.8の範囲のpHを有する、請求項32に記載の製剤。
【請求項33】
少なくとも0.6重量%の濃度の生体適合性キレート化剤;
浸透を向上するために有効な量のメチルスルホニルメタン;及び
医薬的に受容可能な眼科用担体;
を含んでなる滅菌眼科用製剤。
【請求項34】
前記担体が、蒸留水又は脱イオン水である、請求項33に記載の製剤。
【請求項35】
前記生体適合性キレート化剤が、EDTA及び眼科学的に受容可能なその塩から選択される、請求項34に記載の製剤。
【請求項36】
前記生体適合性キレート化剤が、前記製剤の10重量%までである、請求項35に記載の製剤。
【請求項37】
メチルスルホニルメタンが、前記製剤の概略1.0重量%ないし33重量%である、請求項33に記載の製剤。
【請求項38】
更に概略0.5重量%ないし30重量%のL−カルノシンを含んでなる、請求項37に記載の製剤。
【請求項39】
更に概略0.1重量%ないし0.5重量%の塩化3−フェナシル−4,5−ジメチルチアゾリウムを含んでなる、請求項37に記載の製剤。
【請求項40】
更に概略1.0重量%ないし2.0重量%のジメチルスルホキシドを含んでなる、請求項37に記載の製剤。
【請求項41】
更に概略0.01重量%ないし0.2重量%のビンポセチンを含んでなる、請求項37に記載の製剤。
【請求項42】
更に増粘剤、等張剤、及び緩衝剤から選択される少なくとも一つの添加剤を含む、請求項33に記載の製剤。
【請求項43】
少なくとも0.6重量%の濃度の生体適合性キレート化剤;
AGEを減少するために有効な濃度のL−カルノシン;及び
医薬的に受容可能な眼科用担体;
を含んでなる滅菌眼科用製剤。
【請求項44】
前記担体が、蒸留水又は脱イオン水である、請求項43に記載の製剤。
【請求項45】
前記生体適合性キレート化剤が、EDTA及び眼科学的に受容可能なその塩である、請求項44に記載の製剤。
【請求項46】
前記生体適合性キレート化剤が、前記製剤の10重量%までである、請求項45に記載の製剤。
【請求項47】
前記AGEを減少するために有効な濃度のL−カルノシンが、概略0.5重量%ないし30重量%の範囲である、請求項46に記載の製剤。
【請求項48】
更に概略0.01重量%ないし0.2重量%のビンポセチンを含んでなる、請求項43に記載の製剤。
【請求項49】
更に増粘剤、等張剤、及び緩衝剤から選択される少なくとも一つの添加剤を含む、請求項43に記載の製剤。
【請求項50】
請求項1、33、及び43のいずれか1項に記載の製剤を収容する制御放出インプラントを含んでなり、そして眼の結膜、強膜、扁平部、前区又は後区に移植するために適した、眼科用製剤を眼に放出するための滅菌眼科用インサート。
【請求項51】
前記インプラントが、高分子基質から構成され、拡散及び/又は基質の分解によって製剤を眼に徐々に放出する、請求項50に記載の眼科用インサート。
【請求項52】
前記高分子が、完全に生分解性である、請求項51に記載の眼科用インサート。
【請求項53】
前記インプラントが、前記製剤を収容する内部コアーが、浸透性ポリマーの複数の外部層間に含有され、これを通して製剤が徐々に拡散される積層構造から構成される、請求項50に記載の眼科用インサート。
【請求項54】
請求項1、33、及び43のいずれか1項に記載の前記製剤を収容する制御放出インプラントを含んでなり、そして眼の結膜、強膜、扁平部、前区又は後区に移植するために適した、眼科用製剤を眼に放出するための滅菌眼科用インサート。
【請求項55】
前記インプラントが、高分子基質から構成され、基質の溶解及び/又は拡散によって製剤を眼に徐々に放出する、請求項54に記載の眼科用インサート。
【請求項56】
前記高分子基質が、眼の中で完全に可溶性及び/又は生分解性である、請求項55に記載の眼科用インサート。
【請求項57】
前記インプラントが、前記製剤を収容するリザーバーから構成され、そして高分子膜中に封入され、これを通して前記製剤が徐々に拡散される、請求項56に記載の眼科用インサート。
【請求項58】
前記インプラントが、浸透現象系から構成され、眼の中の移植に続く前記系内の浸透圧の増加の結果として、製剤がこれから徐々に放出される、請求項55に記載の眼科用インサート。
【請求項59】
有害な眼球の症状に敏感な又はそれに苦しむ哺乳動物の個体を予防或いは治療するための、前記個体の眼に、請求項1、33、及び43のいずれか1項に記載の前記製剤を局所的に投与することを含んでなる方法。
【請求項60】
前記有害な眼球の症状が、酸化性及び/又は遊離基による眼の損傷に関連する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記有害な眼球の症状が、眼の角膜、網膜、水晶体、強膜、前区又は後区の症状、疾病、或いは疾患である、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記有害な眼球の症状が、加齢に関連する、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記有害な眼球の症状が、混濁である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記有害な眼球の症状が、水晶体の遠近調節の減少である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記有害な眼球の症状が、脂質の沈積の形成に関係する、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記有害な眼球の症状が、視力障害である、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記有害な眼球の症状が、対比感度の減少である、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記有害な眼球の症状が、羞明である、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記有害な眼球の症状が、網膜に達する光の量の減少に関係する、請求項62に記載の方法。
【請求項70】
前記有害な眼球の症状が、瞳孔散大の減少に関係する、請求項62に記載の方法。
【請求項71】
前記有害な眼球の症状が、老視である、請求項62に記載の方法。
【請求項72】
前記有害な眼球の症状が、白内障の形成である、請求項62に記載の方法。
【請求項73】
前記有害な眼球の症状が、二次性白内障の形成である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記有害な眼球の症状が、加齢関連の黄斑変性症である、請求項62に記載の方法。
【請求項75】
前記有害な眼球の症状が、眼圧の上昇である、請求項62に記載の方法。
【請求項76】
前記有害な眼球の症状が、黄斑浮腫又は黄斑瘢痕である、請求項62に記載の方法。
【請求項77】
前記有害な眼球の症状が、帯状角膜混濁である、請求項62に記載の方法。
【請求項78】
前記有害な眼球の症状が、硝子体液中の浮遊物の存在を含んでなる、請求項62に記載の方法。
【請求項79】
前記有害な眼球の症状が、老人環である、請求項62に記載の方法。
【請求項80】
前記有害な眼球の症状が、眼球乾燥症候群である、請求項62に記載の方法。
【請求項81】
前記有害な眼球の症状が、眼球表面の成長物を含んでなる、請求項59に記載の方法。
【請求項82】
前記眼球表面の成長物が、結膜脂肪斑及び翼状片から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記有害な眼球の症状が、円錐角膜である、請求項59に記載の方法。
【請求項84】
哺乳類の個体の視力を改善するための、請求項1、33、及び43のいずれか1項に記載の前記製剤を、前記個体の眼に投与することを含んでなる方法。
【請求項85】
生体適合性キレート化剤を眼に投与するための、本質的に前記生体適合性のキレート化剤及び医薬的に受容可能な担体からなる製剤を収容する制御放出インプラントを含んでなる滅菌眼科用インサート。
【請求項86】
前記生体適合性のキレート化剤が、EDTA及び眼科学的に受容可能なその塩から選択される、請求項85に記載のインサート。
【請求項87】
抗AGE剤を眼に投与するための、本質的に前記抗AGE剤及び医薬的に受容可能な担体からなる製剤を収容する制御放出インプラントを含んでなる滅菌眼科用インサート。
【請求項88】
前記抗AGE剤が、L−カルノシンである、請求項87に記載のインサート。
【請求項89】
前記インプラントが、高分子基剤から構成され、前記基質の溶解及び/又は拡散によって前記製剤を眼に徐々に放出する、請求項84、85、86、又は87のいずれか1項に記載の眼科用インサート。
【請求項90】
前記高分子基質が、眼の中で完全に可溶性及び/又は生分解性である、請求項89に記載の眼科用インサート。
【請求項91】
前記インプラントが、前記製剤を収容するリザーバーから構成され、そして高分子膜中に封入され、これを通して前記製剤が徐々に拡散される、請求項84、85、86、又は87のいずれか1項に記載の眼科用インサート。
【請求項92】
前記インプラントが、浸透現象系から構成され、眼の中の移植に続く前記系内の浸透圧の増加の結果として、これから製剤が徐々に放出される、請求項91に記載の眼科用インサート。

【公表番号】特表2006−514696(P2006−514696A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510058(P2005−510058)
【出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/041141
【国際公開番号】WO2004/058289
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505233332)チャクシュ・リサーチ・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】