説明

磁性薄膜素子

【課題】
本発明は、従来不可能とされていた電気抵抗×面積が0.3Ω・μm、かつ磁気抵抗変化率が5%以上となる磁性薄膜素子を提供することを目的とする。
【解決手段】
発明1の磁性薄膜素子は、少なくとも強磁性金属層と基材との間に、前記強磁性金属層の下地層として、面心立方格子の構造を持ち、かつ前記強磁性金属層よりも低い電気抵抗である金属からなる層が設けてあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に強磁性金属層、常磁性金属層及び強磁性金属層の3層構造を持つ薄膜が設けてある磁性薄膜素子に関する。
【背景技術】
【0002】
強磁性金属/常磁性金属/強磁性金属の3層構造を持つ薄膜の面直方向磁気抵抗効果(CPP−GMR)を利用した磁性薄膜素子は、高性能読み出し磁気ヘッド用として期待されている。高性能化のためには低い抵抗値と高い磁気抵抗変化率を実現させる必要がある。
B2型あるいはL21型規則構造のホイスラー合金CFASを用い [001]方向が膜面に垂直になるような結晶方位でエピタキシャル成長させたCFAS/MgO/CFAS 3層構造膜は、CFASが高いスピン偏極度を持ち、膜面垂直方向に大きなトンネル磁気抵抗効果を示すことが非特許文献1により知られている。MgOの代わりに金属を用いることによって、電気抵抗値を下げることが期待される。同じく非特許文献1においてCrとCFASがエピタキシャル成長することは知られているが、この組み合わせによる大きな膜面垂直方向磁気抵抗効果は得られていない。
また、別のL21型規則構造を持ったホイスラー合金CoMnSi(CMS)を用い、CMSを、CMS/Cr/CMSを[001]方向が膜面に垂直になるような結晶方位でエピタキシャル成長させた3層構造による膜面垂直磁気抵抗効果が非特許文献2に報告されているが、電気抵抗×面積の値が0.79Ω・μmと高く磁気抵抗変化率も2.4%と低い値にとどまっている。
ホイスラー合金を用いたCPP−GMR素子は特許文献1に記述されているが、組成や結晶方位に関する詳細な記述はない。
別のホイスラー合金CoMnGe(CMG)を用い、CMG/Cu/CMGの3層構造によるCPP−GMRが特許文献2に記載されている。ただしこの文献ではCMGは[110]方向が膜面に垂直になるような優先配向をしているが全く規則構造を取っていない。
別の組成のホイスラー合金を用いたCPP−GMRが特許文献3に記載されている。この場合もホイスラー合金の詳細な結晶構造に関する記載はなく、不規則相の多結晶体であると推測される。
電気抵抗×面積が0.3Ω・μm以下、かつ磁気抵抗変化率が5%以上となることが求められる。
【0003】
<非特許文献1> Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 46, No. 19, 2007/5/11. N. Tezuka, N. Ikeda, S. Sugimoto, K. Inomata.
<非特許文献2> Applied Physics Letters, Vol. 88, 222504.2006/5/30 K. Yakushiji, K. Saito, S. Mitani, K. Takanashi, Y. K. Takahashi, K. Hono
<非特許文献3> Journal of Applied Physics Vol.102,Issue 4, Article Number 043903,S.V.Karthik, A.Rajanikanth, T.M.Nakatani, Z.Gercsi, Y.K.Takahashi, T.Furubayashi, K.Inomata, K.Hono.
<非特許文献4> Physical Review B Vol.66,p.174429, I.Galanakis, P.H.Dedrichs, N.Papanikopaou.
<特許文献1> 特開2003−218428
<特許文献2> 特開2005−116701
<特許文献3> 特開2007−81126
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような実情に鑑み、従来不可能とされていた電気抵抗×面積が0.3Ω・μm、かつ磁気抵抗変化率が5%以上となる磁性薄膜素子を提供することを目的とする。
また、B2型あるいはL21型規則構造のホイスラー合金を[001]方向が膜面に垂直になるような結晶方位でエピタキシャル成長させた薄膜を用いて、低い抵抗値と高い磁気抵抗変化率をもったCPP−GMR素子を作ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明1の磁性薄膜素子は、少なくとも強磁性金属層と基材との間に、前記強磁性金属層の下地層として、面心立方格子の構造を持ち、かつ前記強磁性金属層よりも低い電気抵抗である金属からなる層が設けてあることを特徴とする。
【0006】
発明2は、発明1の磁性薄膜素子において、前記薄膜の常磁性金属層が面心立方格子の構造を持ち、かつ前記強磁性金属層よりも低い電気抵抗である金属からなる層であることを特徴とする。
【0007】
発明3は、発明1又は2の磁性薄膜素子において、前記基材は、MgOからなることを特徴とする。
【0008】
発明4は、発明1から3のいずれかの磁性薄膜素子において、前記強磁性金属層が組成式 CoFeAlSi1-x(CFAS)で表される層であることを特徴とする。
【0009】
発明5は、 発明4の磁性薄膜素子において、x=0.5であることを特徴とする。
発明6は、 発明4又は5の磁性薄膜素子において、前記CFAS層は、エピタキシャル成長され、結晶方位が [001] 方向に揃ったものであることを特徴とする。
【0010】
発明7は、発明1から3のいずれかの磁性薄膜素子において、前記強磁性金属層が組成式 CoMnSi(CMS)で表される層であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、低い抵抗値をもったCPP−GMR素子を構成するために低い電気抵抗率を持った材料が好ましい。また、ホイスラー合金との積層膜を作成した場合に良好なエピタキシャル成長を実現させるために、面心立方格子の構造を取ることが好ましいことを見出し、上記発明に至った。
その結果、電気抵抗×面積が0.3Ω・μm以下、かつ磁気抵抗変化率が5%以上となる磁性薄膜素子を実現するに至ったものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
下記実施例による知見として、MgO基材上にAgをバッファ層とすることにより、ホイスラー合金CoFeAlSi1-x(CFAS)(x=0.5)がエピタキシャル成長することを見いだした。
次に、両側の強磁性金属としてCFASを、常磁性金属スペーサ層としてAgを用いた面直方向磁気抵抗効果素子を作成し、高い磁気抗効果が得られることを見いだした。また、薄膜を成長させるための下地層にもAgを用いることにより低い抵抗値を実現している。
CFASは高いスピン偏極率を持つことが知られているが、エピタキシャル成長させることにより高い結晶規則度を持たせることが望ましい。そのための下地層としてはCrが知られているが、抵抗が高いという欠点がある。本発明では、Agが低抵抗とエピタキシャル成長を兼ね備える金属であることを見いだした。
また、強磁性金属層として別のホイスラー合金、CoMnSi(CMS)を、常磁性金属層としてAgあるいはCuを用いた素子においても、下地層にAgを用いることにより低い抵抗値と高い磁気抵抗変化率が得られた。
これらの知見に基づき、下地層および常磁性金属層を構成する材料としては、低い抵抗値をもったCPP−GMR素子を構成するために低い電気抵抗率を持った材料が好ましい。また、ホイスラー合金との積層膜を作成した場合に良好なエピタキシャル成長を実現させるために、面心立方格子の構造を持つことが好ましく、より好ましくはその格子定数aが3.5nmから4.2nmの範囲にあることを知るに至った。そして、このような材料としては、Ag(電気抵抗率 ρ=1.6μΩcm, a=4.09nm),Cu(ρ=1.6μΩcm, a=3.61nm),Au(ρ=2.2μΩcm, a=4.08nm),及びAl(ρ=2.7μΩcm, a=4.05nm)があげられる。これらの材料を下地層または常磁性金属層に用いることにより良好な効果を発揮すると予測される。また、これらの金属からなる合金も面心立方格子の構造を保つ限り同様の効果を発揮すると推測される。
下地層の厚さは1nm以上であればよい。それ以下の膜厚では基材が一様に下地層に覆われなくなる恐れがあり、その結果としてエピタキシャル成長がなされない可能性がある。
【0013】
CFASについてx=0.5の場合を実施例に示したが、xの範囲は0≦x≦1のものでも同様な効果を発揮し得るものである。下記実施例に示すように、ホイスラー合金、CFAS以外のホイスラー合金CoMnSi(CMS)、を強磁性金属層とする場合にでも、同様な効果を発揮しえるものである。非特許文献3にはホイスラー合金、CoCrFe1−xSiが高いスピン分極率を示すことが記述されており、この合金を強磁性金属層に用いることにより同様の効果が期待される。また、これらにかぎらず強磁性金属相としては種々のホイスラー合金が利用可能である。非特許文献4に示されている理論的にスピン偏極度が高いと予測されるホイスラー合金、すなわちXYZの組成(XはMn,Fe,Co,Ru,Rhのうちから選択した1種または2種以上の元素、YはV,Cr,Mn,Feのうちから選択した1種または2種以上の元素、ZはAl,Si,Ga,Ge,Sn,Sbうちから選択した1種または2種以上の元素)の合金が利用可能であり、本発明の手法を適用することにより、同様の効果を得られる物と推測される。
【0014】
実施例では、MgOの基材を用いたものを例示したが、その他のSi、SiO2、GaAs等の基材上にMgO薄膜をスパッタあるいは蒸着によって[001]方位が面に垂直に配向するように付着させた物を用いても、同様にAgを介してホイスラー合金を[001]方位に配向させた薄膜を作成することが出来ると予測されるので、同様な結果を得ることが期待できる。
【0015】
実施例では薄膜の作成法としてヘリコン波スパッタ方を用いているが、作成法はこれに限る物ではない。マグネトロンスパッタ方等他の方式のスパッタ方、あるいは電子ビーム加熱や抵抗加熱等による蒸着法によっても同様の薄膜の作成は可能であり、同様の効果を得られる物と推測される。
なお以下の℃は、50℃単位での表示である。
【実施例1】
【0016】
・本実施例は、実施例2から4に示す磁気抵抗効果を得る前に、規則度の高いB2相のCFAS層がAgを下地層として[001]方向にエピタキシャル成長することを確認した物である。
・ヘリコン波スパッタ装置よって成膜
・表1にスパッタ条件を示す。
・図1に示すように、 MgO単結晶基材上に下からCr(30)/Ag(30)/CFAS(30)/Ru(3)
数字はそれぞれの膜厚(単位:nm)
CFASはCoFeAl0.5Si0.5の組成のホイスラー合金を示す
・図2に示すように、Cr、Ag、CFASが、すべて結晶方位が [001] 方向に揃ったエピタキシャル成長を示し、結晶構造が規則度の高いB2構造であることであることがX線回折によって示された。
表1は実施例1の薄膜の作成条件を指し示す
【0017】
【表1】

【実施例2】
【0018】
・ヘリコン波スパッタ装置よって成膜
・表2にスパッタ条件を示す。
・図2に示すように、MgO単結晶基材上に下から Cr(10)/Ag(60)/CFAS(20)/ Ag(5)/CFAS(5)/CoFe(2)/IrMn(10)/Ru(8)
の構造
数字はそれぞれの膜厚(単位:nm)
CFASはCoFeAl0.5Si0.5の組成のホイスラー合金を示す
CoFeはCo0.75Fe0.25 の組成の合金、IrMnはIr0.22Mn0.78の組成の合金を表す。
・結晶構造の規則性の向上のため、下部CFAS層成膜直後に400℃で熱処理を加えた。
・図4の電子顕微鏡写真からわかるように、Cr、Ag、CFASが、すべて結晶方位が [001] 方向に揃ったエピタキシャル成長をすることが示された。
・下部CFAS層は規則度の高いB2構造、上部CFAS層は規則度の低いA2構造となることがわかった。
・成膜後に電子線リソグラフィー、Arイオンエッチング、により0.7μm×0.3μmの大きさに微細加工。絶縁体SiO2とCu上部電極をスパッタによって作成し、図5に示すような面直方向磁気抵抗効果素子を作成した。
・上部CFAS層に交換磁気異方性を付与するため、膜面内のMgO(100)の方向に5kOeの磁場を加えながら250℃、1時間の磁場中熱処理を加えた。
・磁気抵抗の測定は、前述の磁場中熱処理の場合と同じ方向に加える磁場を変化させながら、直流4端子法によって電気抵抗を測定することによって行った。
・磁気抵抗を測定した結果を図6に示す。面積あたり電気抵抗、RA=0.139Ω・μm 室温で3.9%の磁気抵抗変化率を得た。
表2は実施例2に示す薄膜の作成条件を指し示す
【0019】
【表2】

【実施例3】
【0020】
・ヘリコン波スパッタ装置よって成膜
・表3にスパッタ条件を示す。
・MgO単結晶基材上に下から Cr(10)/Ag(60)/CFAS(20)/ Ag(10)/CFAS(5)/CoFe(2)/IrMn(10)/Ru(8) の構造 (図3)
数字はそれぞれの膜厚(単位:nm)
CFASはCoFeAl0.5Si0.5の組成のホイスラー合金を示す
CoFeはCo0.75Fe0.25 の組成の合金、IrMnはIr0.22Mn0.78 の組成の合金を表す。
・結晶構造の規則性の向上のため、下部CFAS層成膜直後、及び上部CFAS層成膜直後に400℃で熱処理を加えた。
・実施例2と同様に、成膜後に電子線リソグラフィー、Arイオンエッチング、により0.7μm×0.3μmの大きさに微細加工。絶縁体SiO2とCu上部電極をスパッタによって作成し、面直方向磁気抵抗効果素子を作成した。
・実施例2と同じ条件で磁場中熱処理を行い、同様の方法で磁気抵抗を測定した。
・磁気抵抗を測定した結果を図7に示す。面積あたり電気抵抗、RA=0.138Ω・μm 室温で5.4%の磁気抵抗変化率を得た。
表3は実施例3に示す薄膜の作成条件を指し示す
【0021】
【表3】

【実施例4】
【0022】
・ヘリコン波スパッタ装置よって成膜
・表4にスパッタ条件を示す。
・MgO単結晶基材上に下から Cr(10)/Ag(200)/CFAS(20)/Ag(5)/CFAS(5)/CoFe(2)/IrMn(10)/Ru(8) の構造 (図3)
数字はそれぞれの膜厚(単位:nm)
CFASはCoFeAl0.5Si0.5の組成のホイスラー合金を示す
CoFeはCo0.75Fe0.25 の組成の合金、IrMnはIr0.22Mn0.78 の組成の合金を表す。
・結晶構造の規則性の向上のため、下部CFAS層成膜直後に400℃で熱処理を加えた。
・成膜後に電子線リソグラフィー、Arイオンエッチング、により0.6μm×0.3μmの大きさに微細加工。絶縁体SiO2とCu上部電極をスパッタによって作成し、面直方向磁気抵抗効果素子を作成した。
・実施例2と同じ条件で磁場中熱処理を行い、同様の方法で磁気抵抗を測定した。
・磁気抵抗を測定した結果を図8に示す。面積あたり電気抵抗、RA=0.108Ω・μm 室温で6.8%の磁気抵抗変化率を得た。
表4は実施例4に示す薄膜の作成条件を指し示す
【0023】
【表4】

【実施例5】
【0024】
・ヘリコン波スパッタ装置によって成膜
・表5にスパッタ条件を示す。
・MgO単結晶基材上に下から Cr(10)/Ag(200)/CMS(20)/Ag(5)/CMS(5)/CoFe(2)/IrMn(10)/Ru(5) の構造
数字はそれぞれの膜厚(単位:nm)
CMSはCoMnSiの組成のホイスラー合金を示す
CoFeはCo0.75Fe0.25 の組成の合金、IrMnはIr0.22Mn0.78 の組成の合金を表す。
・結晶構造の規則性の向上のため、下部CMS層成膜直後に400℃で熱処理を加えた。
・成膜後に電子線リソグラフィー、Arイオンエッチング、により0.9μm×0.5μmの大きさに微細加工。絶縁体SiO2とCu上部電極をスパッタによって作成し、面直方向磁気抵抗効果素子を作成した。
・実施例2と同じ条件で磁場中熱処理を行い、同様の方法で磁気抵抗を測定した。
・磁気抵抗を測定した結果を図9に示す。面積あたり電気抵抗、RA=0.216Ω・μm 室温で6.5%の磁気抵抗変化率を得た。
表5は実施例5に示す薄膜の作成条件を指し示す
【0025】
【表5】

【実施例6】
【0026】
・ヘリコン波スパッタ装置よって成膜
・表4にスパッタ条件を示す。
・MgO単結晶基材上に下から Cr(10)/Ag(200)/ Cr(10)/CMS(20)/Cu(4)/CMS(5)/CoFe(2)/IrMn(10)/Ru(5) の構造
数字はそれぞれの膜厚(単位:nm)
CMSはCoMnSiの組成のホイスラー合金を示す
CoFeはCo0.75Fe0.25 の組成の合金、IrMnはIr0.22Mn0.78 の組成の合金を表す。
・結晶構造の規則性の向上のため、下部CMS層成膜直後に400℃で熱処理を加えた。
・実施例2と同様に、成膜後に電子線リソグラフィー、Arイオンエッチング、により0.9μm×0.5μmの大きさに微細加工。絶縁体SiO2とCu上部電極をスパッタによって作成し、面直方向磁気抵抗効果素子を作成した。
・実施例2と同じ条件で磁場中熱処理を行い、同様の方法で磁気抵抗を測定した。
・磁気抵抗を測定した結果を図10に示す。面積あたり電気抵抗、RA=0.166Ω・μm 室温で8.6%の磁気抵抗変化率を得た。
表6は実施例6に示す薄膜の作成条件を指し示す
【0027】
【表6】

【0028】
以上の実施例と従来のものとを比較すると表7に示すように明らかな性能上の差異が認められた。
表7はCPP-GMR素子の特性の比較を指し示す
【0029】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1に示す薄膜の構造を示す模式図。
【図2】実施例1に示す薄膜のX線回折パターンを示すグラフ。
【図3】実施例2、3に示す薄膜の構造を示す模式図。
【図4】実施例2に示す薄膜の断面透過電子顕微鏡写真。
【図5】実施例2、3に示す薄膜を用いたCPPGMR素子の構造を示す模式図。
【図6】実施例2に示すCPPGMR素子の特性を示すグラフ。
【図7】実施例3に示すCPPGMR素子の特性を示すグラフ。
【図8】実施例4に示すCPPGMR素子の特性を示すグラフ。
【図9】実施例5に示すCPPGMR素子の特性を示すグラフ。
【図10】実施例6に示すCPPGMR素子の特性を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に強磁性金属層、常磁性金属層及び強磁性金属層の3層構造を持つ薄膜が設けてある磁性薄膜素子であって、少なくとも強磁性金属層と基材との間に、前記強磁性金属層の下地層として、面心立方格子の構造を持ち、かつ前記強磁性金属層よりも低い電気抵抗である金属からなる層が設けてあることを特徴とする磁性薄膜素子。
【請求項2】
請求項1に記載の磁性薄膜素子において、前記薄膜の常磁性金属層が面心立方格子の構造を持ち、かつ前記強磁性金属層よりも低い電気抵抗である金属からなる層であることを特徴とする磁性薄膜素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁性薄膜素子において、前記基材は、MgOからなることを特徴とする磁性薄膜素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の磁性薄膜素子において、前記強磁性金属層が組成式 CoFeAlSi1-x(CFAS)で表される層であることを特徴とする磁性薄膜素子。
【請求項5】
請求項4に記載の磁性薄膜素子において、x=0.5であることを特徴とする磁性薄膜素子。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の磁性薄膜素子において、前記CFAS層は、エピタキシャル成長され、結晶方位が [001] 方向に揃ったものであることを特徴とする磁性薄膜素子。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の磁性薄膜素子において、前記強磁性金属層が組成式 CoMnSi(CMS)で表される層であることを特徴とする磁性薄膜素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−56288(P2010−56288A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219619(P2008−219619)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月15日 東北大学金属材料研究所発行の「文部科学省科学研究費補助金 特定領域研究 スピン流の創出と制御 平成20年度研究会」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月22日 「文部科学省科学研究費補助金 特定領域研究 スピン流の創出と制御 平成20年度研究会」において発表
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】