説明

移動システムおよび通信機能付き地図保存装置

【課題】地図表示のための地図データをセンターから通信で取得する技術において、誤り検出の冗長化を防止する。
【解決手段】センターからダウンロード対象の地図エリアのデータおよび誤り訂正符号が送信されたとき、地図保存装置6のHCI12は、当該地図エリアのデータおよび誤り訂正符号がRXバッファ13dおよびスイッチ回路13fを介して地図記憶媒体8に書き込まれるよう制御する。またHCI12は、ダウンロードした当該地図エリアのデータを地図記憶媒体8から読み出す命令をナビゲーション装置から受け取ったとき、地図記憶媒体8中の当該地図エリアのデータおよび誤り訂正符号がスイッチ回路13f、RXバッファ13dを介してECC回路13eに入力されるよう制御し、ECC回路13eは、入力された誤り訂正符号を用いて入力された地図エリアのデータの誤り訂正を行い、その結果の地図エリアのデータをナビゲーション装置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動システムおよび通信機能付き地図保存装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地図表示のための地図データを遠隔地のセンターから通信で取得する技術が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
上記のような技術において、センターが地図データを送信するときには、地図データに誤り検出符号(例えば、ECC、CRC、チェックサム)を付加して送信し、受信側では、受信した誤り検出符号で受信した地図データの誤り検出を行うことが一般的である。このようにすることで、通信時の誤りを検出することができる。
【0004】
更に、地図データを記憶媒体に記録する際には、今度は記録時のデータの劣化を低減するため、再度誤り検出符号を付加して記録し、更に記録した地図データを読み出す際には、地図データと共に誤り検出符号を読み出し、この誤り検出符号を用いて地図データの誤りを検出することが一般的である。
【0005】
そして、図15に示すように、受信時の誤り検出を行うための誤り制御回路と、記録時の誤り訂正符号の付加および読み出し時の誤り検出を行うための誤り制御回路は、別個に設けられていることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−264875号公報
【特許文献2】特開2004−77254号公報
【特許文献3】特開2007−85768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のように通信時と記録・読み出し時に別個に誤り検出を行うのはシステムとして冗長であり、処理負荷が大きくなってしまうと共に、誤り制御回路の数も多くなってしまう。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、地図表示のための地図データを遠隔地のセンターから通信で取得する技術において、誤り検出の冗長化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、ダウンロード対象の地図エリアのデータに前記ダウンロード対象の地図エリアのデータの誤り検出符号を付加して送信するセンター(2)と通信する車載システムであって、地図を表示する地図表示装置(3)と通信機能付き地図保存装置(6)とを備え、前記通信機能付き地図保存装置(6)は、地図記憶媒体(8)と、制御インターフェース(11、12)と、無線部(13a、13b、7)と、誤り制御回路(13e)と、前記無線部(13a、13b、7)を前記地図記憶媒体(8)に接続可能であり、かつ、前記地図記憶媒体(8)を前記誤り制御回路(13e)に接続可能である接続回路(13c、13d、13f)と、を有し、前記無線部(13a、13b、7)は、前記センター(2)が送信した前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号を含む無線信号を受信し、受信した無線信号に対して周波数変換および復調を行い、前記制御インターフェース(11、12)は、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記地図記憶媒体(8)に書き込まれるよう制御し、また前記制御インターフェース(11、12)は、前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記地図記憶媒体(8)から読み出すよう読み出し命令を前記地図表示装置(3)から受け取ったことに基づいて、前記地図記憶媒体(8)が記憶している前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記誤り制御回路(13e)に入力されるよう制御し、前記誤り制御回路(13e)は、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記地図記憶媒体(8)から前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が入力されると、当該誤り検出符号を用いて当該ダウンロード対象の地図エリアのデータの誤り検出を行い、誤り検出を経た誤りのない前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記制御インターフェース(11、12)に入力し、前記制御インターフェース(11、12)は、入力された誤り検出後の前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記地図表示装置(3)に出力することを特徴とする移動システムである。
【0010】
このように、センター(2)から受信した地図エリアのデータおよび誤り検出符号を、誤り検出処理を経ずに地図記憶媒体(8)に記録し、地図表示装置(3)でその地図エリアのデータを用いる際に、地図エリアのデータおよび誤り検出符号を誤り制御回路(13e)に入力することで、誤り検出を行うことで、データ受信時とデータ読み出し時の両方において別個に行われていた誤り検出を1つにまとめることができるので、誤り検出の冗長化を防止することができる。また、このようにしても、受信時のデータ誤りも記録、読み出し時のデータ誤りも検出することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移動システムにおいて、前記制御インターフェース(11、12)は、前記地図表示装置(3)から、取得したい地図エリアのデータを指定しないストア開始要求を受け取ったことに基づいて、あらかじめ定められた経路中のいずれかの区間を含む地図エリアのデータ、または、当該通信機能付き地図保存装置(6)の位置を含む地図エリアに隣接する地図エリアのデータを、前記ダウンロード対象の地図エリアとすることを特徴とする。
【0012】
このように、通信機能付き地図保存装置(6)の制御インターフェース(11、12)は、地図表示装置(3)から地図エリアのデータの指定を受けずとも、自発的にダウンロード対象の地図エリアを特定することができる。このようにすることで、地図表示装置(3)において、ダウンロード対象の地図エリアを特定するための負荷が軽減されると共に、地図表示において後に必要となる可能性が高い地図エリアのデータを先読み取得することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の移動システムにおいて、前記無線部(13a、13b、7)は、無線基地局が無線送信した前記無線基地局の位置を受信し、前記制御インターフェース(11、12)は、前記地図表示装置(3)から、取得したい地図エリアのデータを指定しないストア開始要求を受け取ったことに基づいて、前記無線部(13a、13b、7)が受信した前記無線基地局の位置を含む地図エリアに隣接する地図エリアのデータを、前記ダウンロード対象の地図エリアとすることを特徴とする。
【0014】
このように、通信機能付き地図保存装置(6)側の通信によって、地図表示において後に必要となる可能性が高い地図エリアのデータを特定することができるので、地図表示装置(3)側の現在位置特定機能を使う必要がなく、その分、地図表示装置(3)側の負荷が軽減される。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の移動システムにおいて、前記制御インターフェース(11、12)は、特定の地図エリアのデータを通信で取得して前記地図記憶媒体(8)に記録しながら前記地図表示装置(3)に出力するよう命令する記録・転送命令を受け取ると、前記無線部(13a、13b、7)を介して、前記特定の地図エリアのIDを含むデータ要求信号を前記センター(2)に送信し、前記センター(2)が、前記データ要求信号を受信し、前記データ要求信号に含まれる前記IDが示す前記特定の地図エリアのデータに当該地図エリアのデータ誤り検出符号を付加して送信すると、前記無線部(13a、13b、7)は、前記センター(2)が送信した前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号を含む無線信号を受信し、受信した無線信号に対して周波数変換および復調を行い、前記制御インターフェース(11、12)は、前記センター(2)との通信速度が前記地図記憶媒体(8)への所定の書き込み速度と比較し、また前記制御インターフェース(11、12)は、比較の結果前記通信速度が前記書き込み速度よりも小さい場合、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記地図記憶媒体(8)に書き込まれるよう制御すると共に、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記誤り制御回路(13e)に入力されるよう制御し、また前記制御インターフェース(11、12)は、比較の結果前記通信速度が前記書き込み速度よりも大きい場合、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が、前記地図記憶媒体(8)に記録されることなく、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記誤り制御回路(13e)に入力されるよう制御し、前記誤り制御回路(13e)は、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が入力されると、当該誤り検出符号を用いて当該特定の地図エリアのデータの誤り検出を行い、誤り検出を経た誤りのない前記特定の地図エリアのデータを前記制御インターフェース(11、12)に入力し、
前記制御インターフェース(11、12)は、入力された誤り検出後の前記特定の地図エリアのデータを前記地図表示装置(3)に出力し、また前記制御インターフェース(11、12)は、比較の結果前記通信速度が前記書き込み速度よりも大きい場合、前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が前記誤り制御回路(13e)に入力された後に、前記センター(2)が、前記特定の地図エリアのデータを前記ダウンロード対象の地図エリアのデータとして、前記特定の地図エリアのデータの誤り検出符号と共に送信するよう、前記無線部(13a、13b、7)を介して、前記特定の地図エリアのIDを含むデータ要求信号を前記センター(2)に送信することを特徴とする。
【0016】
このように、制御インターフェース(11、12)は、地図表示装置(3)から特定の地図エリアのデータを通信を行って取得して地図表示装置(3)に出力するよう命令されたとき、センター(2)との通信速度が地図記憶媒体(8)への書き込み速度よりも小さい場合、すなわち、書き込みに余裕がある場合は、受信した特定の地図エリアのデータおよび誤り検出符号を地図記憶媒体(8)に記録すると共に地図表示装置(3)に出力する一方、通信速度が書き込み速度よりも大きい場合、すなわち、書き込みが追いつかない場合、地図記憶媒体(8)への書き込みをあきらめ、後に改めて当該特定の地図エリアのデータおよび誤り検出符号のデータをセンター(2)から受信して地図記憶媒体(8)に記録することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の移動システムにおいて、前記地図表示装置(3)は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の移動システムにおいて、ワークメモリ(31)および演算回路(33)を備え、現在地から目的地までの誘導経路を算出するナビゲーション装置であり、前記演算回路(33)は、前記制御インターフェース(11、12)よりも演算速度が高く、前記ワークメモリ(31)は前記制御インターフェース(11、12)に備えられたメモリよりも容量が大きく、前記演算回路(33)は、前記現在地と前記目的地が同じ1つの地図エリア内にあるか否かを判定し、同じ1つの地図エリア内にあると判定した場合、前記制御インターフェース(11、12)に前記誘導経路の計算を行わせ、同じ1つの地図エリア内にないと判定した場合、前記演算回路(33)自ら前記ワークメモリ(31)を用いて前記誘導経路の計算を行うことを特徴とする。
【0018】
このように、制御インターフェース(11、12)に誘導経路計算を行わせることで、演算回路(33)の処理負荷が軽減される。ただし、制御インターフェース(11、12)の演算速度およびメモリ容量は、演算回路(33)の演算速度およびワークメモリ(31)のメモリ容量よりも劣っているので、複数個の地図エリアに渡る経路計算を行うと膨大な時間がかかってしまう。そこで、上記のように、目的地と現在地が同じ1つの地図エリア内にない場合、演算回路(33)が誘導経路を算出することで、経路演算に時間がかかりすぎないようにすることができる。
【0019】
また、請求項6に記載のように、本願請求項1に記載の車載機の発明の特徴は、通信機能付き地図保存装置の発明の特徴としても捉えることができる。
【0020】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成図である。
【図2】通信機能付き地図保存装置6の構成図である。
【図3】パケットの構成を示す図である。
【図4】管理テーブルの構成を示す図である。
【図5】地図エリアのデータ受信および記録時にメインCPUが実行する処理のフローチャートである。
【図6】地図エリアのデータ受信および記録時にAPIが実行する処理のフローチャートである。
【図7】地図エリアのデータ受信および記録時にHCIが実行する処理のフローチャートである。
【図8】誘導経路の計算時にメインCPUが実行する処理のフローチャートである。
【図9】誘導経路のデータの記録時にHCI12が実行する処理のフローチャートである。
【図10】通信機能付き地図保存装置6からデータを取得するためにAPIが実行する処理のフローチャートである。
【図11】通信必要性判定処理のフローチャートである。
【図12】通信してデータを取得しながらナビゲーション装置3にデータを送るためにHCIが実行する処理のフローチャートである。
【図13】通信せずに地図記憶媒体8からデータを取得しながらナビゲーション装置3にデータを送るためにHCIが実行する処理のフローチャートである。
【図14】地図記憶媒体8中のデータを消去するためにAPIが実行する処理のフローチャートである。
【図15】従来の移動システムの例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システムの構成を示す。この通信システムは、車両に搭載された車載システム1と、車両外の遠隔地の建造物内等に設置されると共に車載システム1と通信可能なセンター2とを備えている。車載システム1とセンター2との通信は、センター2が接続される広域ネットワーク(例えばインターネット)、および、当該広域ネットワークに接続される無線基地局を介して実現される。無線基地局は複数箇所に配置され、それぞれの通信可能範囲は当該無線基地局を中心とする半径5キロメートル程度である。車載システム1は、これら無線基地局のうちいずれか1つの通信可能範囲内にいるときに、当該1つの無線基地局と無線接続し、この無線基地局および広域ネットワークを介してセンター2と通信する。
【0023】
センター2は、車載システム1との通信において、地図エリアのデータを車載システム1に送信する。地図エリアは、地理範囲が複数の区画に分けられたときの各区画であり、地図エリアのデータとは、当該地図エリア内の道路(リンク、ノード)、施設等の地図データである。本実施形態においては、地図エリアは、縦10km×横10kmの矩形の地理区画であるとする。
【0024】
センター2は、例えば、CPU、RAM、ROM、大容量記憶媒体(例えば磁気記憶媒体、フラッシュメモリ等)、広域ネットワークに接続するための通信インターフェースを備えた装置から成り、大容量記憶媒体には、各地図エリアのデータが記録されており、CPUは、通信インターフェースを介して地図データのデータ要求信号を受けたことに基づいて、大容量記憶媒体に記録されている地図エリアのデータを読み出し、通信インターフェースを用いて車載システム1宛に当該地図エリアのデータ等を送信する。
【0025】
車載システム1は、ナビゲーション装置3(地図表示装置の一例に相当する)、表示装置4、ラジオチューナ5、通信機能付き地図保存装置6、RF回路7を備えている。表示装置4は、ナビゲーション装置3の制御に従って画像をユーザに表示する装置である。ラジオチューナ5は、ナビゲーション装置3の制御に従ってラジオ放送を受信して図示しないスピーカに当該ラジオ放送の音声を出力させる装置である。
【0026】
ナビゲーション装置3は、現在地から目的地までの誘導経路を算出し、算出した誘導経路に沿った移動を案内する装置であり、ROM30、ワークメモリ(例えばRAM)31、位置検出部32、メインCPU(演算回路)33を備えている。位置検出部32は、GPS受信機、ジャイロセンサ、車速センサ等、車載システム1の現在位置を特定するための各種センサを有している。メインCPU33は、ROM30に記録されている各種プログラムを実行することで、ワークメモリ31を用いて、後述する各種処理を実現する。
【0027】
通信機能付き地図保存装置6は、ナビゲーション装置3が用いるための地図エリアのデータ等をセンター2から受信して記録するための装置である。図2に、通信機能付き地図保存装置6の構成を示す。通信機能付き地図保存装置6は、RF回路7、地図記憶媒体8、およびコントロール部9を有している。また、コントロール部9は、API11、HCI12、ベースバンド部13を有しており、ベースバンド部13は、変調部13a、復調部13b、TXバッファ13c、RXバッファ13d、ECC回路13e、スイッチ回路13fを有している。
【0028】
API(APplication Interface)11は、ナビゲーション装置3のメインCPU33と信号の授受を行うインターフェース装置であり、例えば、CPU、ワークメモリ(RAM)、ROM、I/Oを備えたマイクロコントローラによって実現してもよい。以下、API11が実行する各種処理は、このAPI11のCPUがROMから所定のプログラムを読み出してワークメモリを用いて実行することで実現する。
【0029】
HCI(Host Control Interface)12は、API11から受け取った信号の内容に従って、ベースバンド部13および地図記憶媒体8を制御することで、センター2との通信および地図記憶媒体8へのデータの書き込みおよび地図記憶媒体8からのデータの読み出しを制御するインターフェース装置であり、例えば、CPU、ワークメモリ(RAM)、ROM、I/Oを備えたマイクロコントローラによって実現してもよい。以下、HCI12が実行する各種処理は、このHCI12のCPUがROMから所定のプログラムを読み出してワークメモリを用いて実行することで実現する。
【0030】
地図記憶媒体8は、地図エリアのデータ等を記録するための大容量記憶媒体(例えばフラッシュメモリ)であり、アドレス指定、チップセレクト(CS)、読み出し(RD)、書き込み(WE)といった制御信号を受付けるための制御端子は、HCI12に接続されており、データの入出力を行うデータ端子(DATA)は、スイッチ回路13fに接続されている。
【0031】
RF回路7は、変調部13aから出力された信号に対して周波数変換、増幅等を行い、その結果の信号を無線信号としてアンテナを用いて送信する。また、RF回路7は、アンテナから受信した無線信号に対して周波数変換、増幅等を行い、その結果の信号を復調部13bに入力する。
【0032】
変調部13aは、TXバッファ13cから入力されたデータに対して変調を行い、その結果得た信号をRF回路7に入力する。復調部13bは、RF回路7から入力された信号に対して復調を行い、その結果得たデータを、RXバッファ13dを介して、ECC回路13eに入力する。
【0033】
TXバッファ13cは、ECC回路13eから入力されたデータを一時的に保持した後、順次変調部13aに入力する。RXバッファ13dは、復調部13bから入力されたデータを一時的に保持し、その後、保持しているデータを、HCI12からの制御に従ってECC回路13eに入力する。
【0034】
ECC回路13eは、HCI12から受けた送信用パケットに誤り訂正符号を付加し、その結果得た送信用パケットのデータをTXバッファ13cに入力する。またECC回路13eは、RXバッファ13dから入力されたデータを受け取り、受け取ったデータが構成するパケットに含まれる誤り訂正符号を用いて、当該パケットの誤り訂正を行う。誤り訂正は、パケット中のデータの誤りを検出し、検出した誤りを訂正する処理である。誤り検出を行っても誤りが見つからなかったパケット(すなわち、誤り検出を経た誤りのないパケット)、および、誤り検出を行って誤りが見つかり、誤り訂正によって誤りが訂正されたパケット(すなわち、誤り検出を経た誤りのないパケット)は、HCI12に出力するが、誤り検出を行って誤りが見つかったものの、誤り訂正によって誤りが訂正されなかったパケット(すなわち、誤り検出を経た誤りのあるパケット)は、HCI12に出力してもよいし、しなくてもよい。
【0035】
このようになっていることで、通信機能付き地図保存装置6において、HCI12が送信用パケットをECC回路13eに入力すると、ECC回路13eは、送信用パケットに誤り訂正符号を付加してTXバッファ13cに入力し、TXバッファ13cは、ECC回路13eから入力された送信用パケットのデータを一時的に保持した後変調部13aに入力し、変調部13aは、TXバッファ13cから入力されたデータを変調してRF回路7に入力し、RF回路7は、変調部13aから入力された信号に対して周波数変換を行い無線信号として送信する。
【0036】
また、RF回路7は、受信した無線信号に対して周波数変換を行い、その結果の信号を復調部13bに入力し、復調部13bはRF回路7から入力された信号を復調し、その結果のデータをRXバッファ13dに入力し、RXバッファ13dは、復調部13bから入力されたデータを一時的に保持した後ECC回路13eに入力し、ECC回路13eは、RXバッファ13dから入力されたデータが構成するパケットに含まれる誤り訂正符号を用いて当該パケットの誤り訂正を行い、誤り検出を経た誤りのあるパケットをHCI12に出力する。このようになっていることで、通信機能付き地図保存装置6は、外部の装置(例えばセンター2)と通信を行うことができる。
【0037】
スイッチ回路13fは、TXバッファ13cと地図記憶媒体8のデータ端子を接続させる状態と、RXバッファ13dと地図記憶媒体8のデータ端子を接続させる状態と、を切り替えることのできる回路であり、HCI12の制御によって切り替えが実現する。
【0038】
なお、ナビゲーション装置3のメインCPU33は、API11、HCI12よりも演算速度が高く、ワークメモリ31はAPI11、HCI12に備えられたワークメモリ(RAM)よりも容量が大きくなっている。
【0039】
ここで、このような通信システムの作動について説明する前に、通信機能付き地図保存装置6とセンター2の間で送受信されるパケットについて説明する。パケットは、データの送信単位であり、図3に例示するように、地図エリアのデータ等を複数に分割し、分割されたデータ毎に、1つのパケットが生成される。1つのパケットは、そのパケットに固有のパケットID、分割前のデータに固有のデータID(分割前のデータが地図エリアのデータである場合はエリアIDに相当する)、分割されたデータの1つ、当該分割されたデータの誤りを訂正するための誤り訂正符号(ECC)、および当該パケットのCRC(誤り検出符号の一種)を付加することで、複数のパケットが生成される。なお、本実施形態の各地図エリアのデータは、同一のパケット数で構成される。
【0040】
また、地図記憶媒体8に記録されるデータの内容を管理するための管理テーブルについて説明する。管理テーブルは、図4に示すように、地図記憶媒体8に記録されるデータ(主に地図エリアのデータ、それ以外では誘導経路のデータ)毎に1つのレコード(図4の一行のデータに相当する)が設けられている。
【0041】
そして、ある地図エリアのデータに対応するレコードは、その地図エリアのエリアID、地図記憶媒体8における当該地図エリアのデータの格納アドレス、当該地図エリアのデータの優先度、当該地図エリアのデータの地図記憶媒体8における更新日時(最後にセンター2から受信して記録した日時)のデータを含んでいる。
【0042】
また、ある誘導経路のデータに対応するレコードは、そのデータが誘導経路のデータであることを示す誘導経路ID、地図記憶媒体8における当該誘導経路のデータの格納アドレス、当該誘導経路のデータの優先度、当該誘導経路のデータの更新日時(最後に地図記憶媒体8に書き込まれた日時)を含んでいる。この管理テーブルは、地図記憶媒体8に記録されている。
【0043】
誘導経路のデータは、現在地から目的地までの道路と交差点の一覧のデータである。この交差点の情報に読み出す地図エリアのエリアIDが割り当てられている。このように記録されているエリアIDに基づいて必要な地図エリアを特定することもできる。
【0044】
なお、地図エリアのエリアIDと、その地図エリアがカバーする地理範囲との対応関係は、あらかじめ定められており、メインCPU33、API11、HCI12のROMには、その対応表が記録されているので、メインCPU33、API11、HCI12は、この対応関係を参照することができる。
【0045】
以下、このような通信システムの作動について説明する。
【0046】
[地図エリアのデータ等の受信および蓄積]
まず、地図エリアのデータ等をセンター2から受信して地図記憶媒体8に蓄積する処理について説明する。ナビゲーション装置3の作動中、メインCPU33は、所定のプログラムを実行することで、図5に示すような処理を、繰り返し実行している。
【0047】
この処理においてメインCPU33は、ステップ105で、新たなトリガ条件が成立したか否かを、成立するまで繰り返し判定する。すなわち、新たなトリガ条件が成立するまで待つ。
【0048】
トリガ条件としては、どのようなものを用いてもよいが、例えば、以下のようなものを用いる。
(1)前回のトリガ条件が成立してから所定時間(例えば10分)が経過したこと。
(2)地図エリアのデータの読み出しの必要が発生したこと。
(3)誘導経路のデータを読み出したこと。
上記の条件(2)は、例えば、現在位置を中心とする地図を表示装置4に表示させているときに、車両が移動した結果、表示装置4に表示させる地図をスクロールさせて、現在表示している地図エリアとは異なるエリアを表示させる必要が発生したときに成立する。
【0049】
ステップ105でトリガ条件が満たされたと判定すると、続いてステップ110でセンター2と通信可能である(いずれかの無線基地局と無線接続できている)か否かを、通信可能となるまで繰り返し判定し、通信可能となると、続いてステップ115で、APIにストア開始要求を出力する。このストア開始要求には、特定の地図エリアを指定するデータは含めない。つまり、このストア開始要求は、記録したい地図エリアのデータを指定しないストア開始要求である。ストア開始要求の出力後は、ステップ105に戻り、次のトリガ条件が満たされるか否かを、満たされるまで繰り返し判定する。
【0050】
メインCPU33が出力したストア開始要求を受け取ったAPI11は、図6に示す処理の実行を開始し、ステップ120で、目的地までの誘導経路のデータが設定されているか否かを判定する。 誘導経路のデータが設定されているか否かは、地図記憶媒体8に誘導経路のデータが記録されているか否かに基づいて、すなわち、管理テーブルに誘導経路IDを有するレコードが含まれているか否かに基づいて、判定する。
【0051】
なお、後述する地図エリアのデータと同様、HCI12は、RXバッファ13d、ECC回路13eを介して管理テーブル等の地図記憶媒体8に記録されたデータを読み出し可能であり、API11は、HCI12に管理テーブルを要求することで、HCI12から管理テーブル等の地図記憶媒体8に記録されたデータを取得することが可能である。
【0052】
誘導経路のデータが設定されていると判定すれば、ステップ125で、管理テーブル中の当該誘導経路のデータの格納アドレスに基づいて、地図記憶媒体8に記録された誘導経路のデータを読み出し、誘導経路のデータに設定された誘導経路中のいずれかの区間を含む地図エリアのエリアIDを特定し、特定した地図エリアのエリアIDのリストを作成し、そのリストをエリアリストとしてRAMに記録する。
【0053】
ステップ120で記録されていないと判定すれば、ステップ130で、最後に読み出した地図エリアである最新読み出しエリアのエリアIDがAPI11のRAMに記録されているか否かを判定し、記録されていると判定すれば、当該最新読み出しエリアに隣接する地図エリアのリストを作成してエリアリストとする。
【0054】
なお、API11は、地図記憶媒体8から地図エリアを読み出すと、読み出した地図エリアのエリアIDを、最後に読み出した地図エリアとしてRAMに記録するようになっている。したがって、多くの場合、最新読み出しエリアのエリアIDがAPI11のRAMに記録されていることになる。しかし、電源投入直後等でAPIに最新読み出しエリアが不定である等の原因により、ステップ130で記録されていないと判定する場合もある。
【0055】
ステップ130で記録されていないと判定すると、続いてステップ140で、RF回路7およびベースバンド部13を用いた無線通信により、現在無線接続している無線基地局に対して、無線基地局位置を問い合わせ、その応答として無線基地局が送信した無線基地局の位置をRF回路7およびベースバンド部13を介して受信できたか否かを判定する。受信できたと判定した場合、ステップ145で、当該基地局の位置を含む地図エリアに隣接する地図エリアのエリアIDのリストを作成してエリアリストとする。
【0056】
このようにするのは、基地局と車載システム1との通信は、両者が5km以内の距離(通信可能距離)にあるときに実現し、また、1つの地図エリアの縦横の長さは10km程度であり、上記通信可能距離よりも長くなっているからである。つまり、基地局と車載システム1とは同じ地図エリア内にいる可能性が高いので、基地局位置を含む地図エリアに隣接する地図エリアのデータを取得することは、通信機能付き地図保存装置6の位置を含む地図エリアに隣接する地図エリアのデータを取得することと概ね同じである。
【0057】
このように、通信機能付き地図保存装置6側の通信によって、地図表示において後に必要となる可能性が高い地図エリアのデータを特定することができるので、ナビゲーション装置3側の位置検出部32の現在位置特定機能を使う必要がなく、その分、ナビゲーション装置3側の負荷が軽減される。
【0058】
ステップ140で受信できなかったと判定した場合、続いてステップ170に進む。ステップ125、135、145でエリアリストを作成した後は、続いてステップ150で、当該エリアリストと管理テーブルとを比較し、エリアリストに含まれている地図エリアのうち、管理テーブルに含まれていない地図エリア(すなわち、地図記憶媒体8に保存されていない地図エリア)である不足地図エリアがあるか否かを判定し、不足地図エリアがないと判定すると、続いてステップ170に進む。
【0059】
ステップ150不足地図エリアがあると判定すると、続いてステップ155で、記憶媒体の空き容量が不足地図エリアのデータを記録するために必要な必要容量以上あるか否かを判定する。ある地図エリアのデータを記録するために必要な容量は、あらかじめ決められた所定値である。必要容量以上あると判定すれば、そのままステップ160で、不足地図エリアを受信エリアに設定し、必要容量以上ないと判定すれば、ステップ165で、書き込みモードを上書きモードとする次回ストア条件をHCI12に設定した上で、ステップ160不足地図エリアを受信エリアに設定する。ステップ170では、読み込む地図エリアがないことを示す「ヌル(空のデータでもよい)」を受信エリアに設定する。
【0060】
ステップ160、170に続いては、ステップ175で、ストア開始を示す処理コードと、受信エリアのエリアIDと、上書きか空いている記憶領域への追記かを示す保存方法と、をHCI12に出力する。なお、出力する保存方法のデフォルト値は追記であり、ステップ165で保存方法を上書きに設定した場合のみ、保存方法が上書きとなる。ステップ175の後、図6の処理は終了する。
【0061】
また、HCI12は、作動中、図7に示す処理を常時実行しており、ステップ205で、API11からストア開始処理コード、受信エリアのエリアID、および保存方法を受け取るまで待っている。なお、受信エリアのエリアIDの数は、1つの場合もあれば、複数の場合もあれば、空(ヌル)の場合もある。空の場合は、受け取ったストア開始処理コードを破棄し、再度ステップ205でストア開始処理コードの受け取りを待つ。
【0062】
ストア開始処理コードと共に受け取った受信エリアのエリアIDの数が1以上の場合は、続いてステップ210に進み、スイッチ回路13fを制御して、RXバッファ13dを地図記憶媒体8のデータ端子に接続させる。この際、変調部13aおよび復調部13bは作動させたままとする。
【0063】
ステップ210に続いては、受信した受信エリアのエリアIDが示す1つ以上の地図エリアのデータの各々をダウンロード対象として、ステップ215〜275の処理を1回実行する。以下では、1つの地図エリア(以下、対象エリアという)についてのステップ215〜275の処理について説明する。
【0064】
まずステップ215では、ステップ205で取得した保存方法に従って、記録方法が上書きか追記かを判定する。
【0065】
上書きであると判定した場合は、続いてステップ225に進み、通信を開始し、対象地図エリアのエリアIDを含む送信用パケットをECC回路13eに入力する。これによりECC回路13e、TXバッファ13c、変調部13a、RF回路7を介して、センター2に対し、対象地図エリアのエリアIDを含む送信用パケットの信号(データ要求信号に相当する)が送信される。
【0066】
すると、センター2のCPUは、ROM中の所定のプログラムを実行することで、通信インターフェースを介してデータ要求信号を受信し、データ要求信号に含まれるパケット中のエリアIDを読み出し、このエリアIDに対応する対象地図エリアのデータを大容量記憶媒体から読み出し、読み出した対象地図エリアのデータを複数のパケットに分割し、分割したパケット毎に、パケットID、対象地図エリアのエリアID、対象地図エリアのデータのECC(誤り訂正符号)、およびCRCを更に含め(図3参照)、それら複数のパケットの無線信号を順次車載システム1に送信し、当該無線信号が通信機能付き地図保存装置6に順次届く。
【0067】
通信機能付き地図保存装置6に届いたパケットは、RF回路7で周波数変換等が施され、復調部13bで復調が施された結果、RXバッファ13dにRXバッファ13dの容量(例えば32ビット)分ずつ順次蓄積される。
【0068】
一方、データ要求信号を送信したHCI12は、続くステップ230で、地図記憶媒体8における対象地図エリアのデータの書き込み先のアドレスを決定する。決定するアドレスは、地図記憶媒体8にデータが記録されていない領域があれば、その領域のうち1つ(例えばその領域の先頭アドレス)とし、地図記憶媒体8にデータが記録されていない領域が既に無ければ、管理テーブルにおいて、更新日時が最も古い地図エリアのデータが記録されている領域のうち1つ(例えばその領域の先頭アドレス)としてもよいし、優先度が最も低い地図エリアのデータが記録されている領域のうち1つとしてもよい。
【0069】
そして続くステップ235で、センター2から受信した対象地図エリアのデータのパケットにより、RXバッファ13dがフル格納状態になったか否かを、フル格納状態になった判定するまで繰り返す。RXバッファ13dがフル格納状態になるとは、RXバッファ13d内の所定の記憶領域のすべてに復調部13b(または地図記憶媒体8)から入力されたデータが格納された状態になることをいう。
【0070】
RXバッファ13dがフル格納状態になったか否かは、RXバッファ13dからの通知信号に基づいて判定する。RXバッファ13dは、受け取ったデータを先頭のビット記憶領域から順次追加記憶していき、最後のビット記憶領域の値が変動したら通知信号を出力するようになっている。フル格納状態になったと判定すると、続いてステップ240で、書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定を地図記憶媒体8に出力する。書き込みアドレス指定の値は、直前のステップ230で決定した書き込みアドレスとする。
【0071】
この時点では、RXバッファ13dと地図記憶媒体8が接続されているので、この書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定の出力により、RXバッファ13dにおいて復調部13bから入力されて保持している全データが、当該書き込みアドレスから順番に地図記憶媒体8に記録され、また、RXバッファ13dの内容が空にクリアされる。
【0072】
続いてステップ245では、対象地図エリアの全データを地図記憶媒体8に記録したか否かを、対象地図エリアのデータの最後のパケットを地図記憶媒体8に記録したか否かで判定し、記録していないと判定すれば、ステップ230に戻る。このように、対象地図エリアの全データを記録するまで、書き込みアドレスを決定し(ステップ230)、RXバッファ13dがフル格納状態になるまで待ち(ステップ235)、フル格納状態になった時点でRXバッファ13dの内容を地図記憶媒体8に記録する(ステップ240)という処理を繰り返す。
【0073】
なお、この繰り返しにおけるステップ230の書き込みアドレスは、実行する度にRXバッファ13dのサイズ分だけアドレスをずらしていく。このようにすることで、地図エリアのデータを順次RXバッファ13dに書き込むことができる。
【0074】
ステップ245で、対象地図エリアの全データを地図記憶媒体8に記録したと判定すれば、続いてステップ250で、スイッチ回路13fを制御して、TXバッファ13cを地図記憶媒体8に接続させると共に、無線送信を禁止して電力消費を節約するため、変調部13aの作動を停止させる。
【0075】
続いてステップ255では、データの送信時と同様に、ECC回路13eを介してTXバッファ13cに、管理テーブルに追加するレコードを入力する。このレコードには、対象地図エリアのエリアID、対象地図エリアのデータの書き込みアドレス(先頭アドレス)、ゼロの値を有する優先度、および更新日時(すなわち、現在日時)を含める。
【0076】
続いてステップ260では、当該レコードの地図記憶媒体8における書き込みアドレスを決定する。地図記憶媒体8における管理テーブルの記憶領域は、あらかじめ決められており、ここで決定する書き込みアドレスは、当該管理テーブルの記憶領域のうち現在使用されていない領域のアドレスとする。
【0077】
続くステップ265では、TXバッファ13cがフル格納状態になったか否かを、フル格納状態になったと判定するまで繰り返す。TXバッファ13cがフル格納状態になるとは、TXバッファ13c内の所定の記憶領域のすべてにECC回路13eから入力されたデータが格納された状態になることをいう。フル格納状態になったか否かは、TXバッファ13cからの通知信号(RXバッファ13dと同じ手順で出力される)に基づいて判定する。フル格納状態になったと判定すると、続いてステップ270で、書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定を地図記憶媒体8に出力する、書き込みアドレス指定の値は、直前のステップ260で決定した書き込みアドレスとする。
【0078】
TXバッファ13cと地図記憶媒体8が接続されているので、この書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定の出力により、TXバッファ13cが保持する全データが当該書き込みアドレスから順番に地図記憶媒体8に記録され、また、TXバッファ13cの内容が空にクリアされる。
【0079】
続いてステップ275では、管理テーブルを地図記憶媒体8に記録したか否かを判定し、記録していないと判定すれば、ステップ260に戻る。このように、管理テーブルを記録するまで、書き込みアドレスを決定し(ステップ260)、TXバッファ13cがフル格納状態になるまで待ち(ステップ265)、フル格納状態になった時点でTXバッファ13cの内容を地図記憶媒体8に記録する(ステップ270)という処理を繰り返す。なお、この繰り返しにおけるステップ260の書き込みアドレスは、実行する度にTXバッファ13cのサイズ分だけアドレスをずらしていく。
【0080】
ステップ275で管理テーブルのあらたなレコードを地図記憶媒体8に記録したと判定すると、現在の対象地図エリアについての処理を終了し、まだ記録していない地図エリアがあれば、それを対象地図エリアとしてステップ215に戻る。
【0081】
また、ステップ215で追記であると判定した場合は、続いてステップ220で、地図記憶媒体8の空き容量が対象地図エリアの容量(パケットID、データID、ECC、CRCが付加されて冗長化された容量)よりも小さいか否かを判定し、小さくないと判定すれば、対象地図エリアのデータを問題なく追加記録できるので、ステップ225に進む。なお、追記であると判定した場合のステップ230では、必ず書き込みアドレスを空き領域のアドレスに決定する。
【0082】
ステップ220で地図記憶媒体8の空き容量が対象地図エリアの容量よりも小さいと判定した場合は、ステップ280に進み、地図記憶媒体8の空き容量が足りずに書き込みが失敗した旨をAPI11に通知し、その後、HCLストア処理をステップ205に戻す。API11は、この通知を受けると、それをそのままメインCPU33に出力し、メインCPU33は、この通知を受けると、書き込み失敗の旨を表示装置4に表示させる。
【0083】
なお、ステップ205で受信したすべてのエリアIDの地図エリアのデータを地図記憶媒体8に記録した後は、書き込み完了を示す完了コードをAPI11に出力し、その後、HCLストア処理をステップ205に戻す。また、完了コードを受けたAPI11は、それをそのままメインCPU33に出力する。
【0084】
このように、通信機能付き地図保存装置6のAPI11は、ナビゲーション装置3からストア開始要求を受ければ、地図エリアのデータの指定を受けずとも、自発的にダウンロード対象の地図エリアを特定することができる。このようにすることで、地図表示装置3において、ダウンロード対象の地図エリアを特定するための負荷が軽減されると共に、地図表示において後に必要となる可能性が高い地図エリアのデータを先読み取得することができる。
【0085】
また、隣接エリアのデータを自動で取得するようにすることで、隣接エリアで通信に異常が発生した場合にもデータが先読みできており、通信ナビが動作できない場合にも動作を継続することができる。
【0086】
なお、上記では、API11は、ストア開始要求をメインCPU33から受けると、直ちに図6の処理を実行するようになっているが、メインCPU33は、ストア開始要求に、保存実行開始条件(例えば、1時間後、次の地図データの読み込み時)の情報を含め、API11は、この保存実行開始条件が成立した時点で、図6の処理を開始するようになっていてもよい。つまり、地図エリアのデータの受信および記録の開始は、事前にメインCPU33からAPI11に通知することで、直前のストア開始要求を必要としないようにすることも可能である。
【0087】
[誘導経路のデータ等の算出]
次に、メインCPU33が実行する誘導経路のデータの算出処理について説明する。メインCPU33は、ナビゲーション装置3の図示しない操作装置(ボタン、タッチパネル等)に対してユーザが目的地を入力すると、位置検出部32が検出した現在地から目的地までの誘導経路を計算するために、図8に示す処理の実行を開始する。
【0088】
そしてまずステップ305で、現在地および目的地の位置に基づいて、誘導経路の計算に必要な地図エリアを特定し、特定したすべての地図エリアのデータが地図記憶媒体8に保存されているか否かを、管理テーブルを参照することで判定する。なお、誘導経路の計算に必要な地図エリアは、例えば、出発地と目的地を両端とする直線を算出し、その直線からの最短距離が、当該直線の長さの1/5となるような領域を算出し、そのような領域を少しでも含んでいるすべての地図エリアを、誘導経路の計算に必要な地図エリアとする。
【0089】
誘導経路の計算に必要な地図エリアのデータの一部でも地図記憶媒体8に保存されていないと判定した場合は、ステップ310に進み、通信機能付き地図保存装置6を用いて、センター2に対して目的地と現在地の位置を含んだ経路計算要求を送信する。この経路計算要求を受信したセンター2は、センター2に記録されている経路計算要求に含まれる現在地から目的地までの誘導経路を計算し、計算した誘導経路のデータを車載システム1に送信する。すると、メインCPU33は、ステップ315で、通信機能付き地図保存装置6を介してこの誘導経路のデータを受信する。
【0090】
また、ステップ305で、誘導経路の計算に必要な地図エリアのデータがすべて地図記憶媒体8に記録されていると判定した場合、続いてステップ320で、目的地と現在地が同じ1つの地図エリア内にあるか否かを、上述の対応表に基づいて判定する。
【0091】
同じ1つの地図エリア内にあると判定した場合、続いてステップ325で、API11に誘導経路の計算を行わせるため、現在地および目的地の位置を含んだ経路計算命令をAPI11に出力する。この経路計算命令を受け取ったAPI11は、受け取った現在地および目的地に基づいて、地図記憶媒体8中の現在地および目的地を含む地図エリアのデータをスイッチ回路13f、RXバッファ13d、HCI12を介して読み出し、現在地から目的地までの誘導経路を算出し、算出結果の誘導経路をメインCPU33に出力し、メインCPU33はそれを取得する。なお、地図記憶媒体8から地図エリアのデータを読み出す方法の詳細については後述する。
【0092】
このように、API11に誘導経路計算を行わせることで、メインCPU33の処理負荷が軽減される。ただし、API11の演算速度およびワークメモリの容量は、メインCPU33よりも劣っているので、複数個の地図エリアに渡る経路計算を行うと膨大な時間がかかってしまう。
【0093】
そこで、ステップ320で、目的地と現在地が同じ1つの地図エリア内にない場合、続いてステップ330で、メインCPU33が、必要な地図エリアのデータを地図記憶媒体8から読み出し、読み出したデータに基づいて誘導経路を算出する。これにより、経路演算に時間がかかりすぎないようにすることができる。地図記憶媒体8から地図エリアのデータを読み出す方法の詳細については後述する。
【0094】
ステップ315、325、330で誘導経路を取得した後は、ステップ335で、この誘導経路のデータを地図記憶媒体8に記録するため、誘導経路ストア要求をAPI11に出力する。この誘導経路ストア要求には、上書きか空いている記憶領域への追記かを示す保存方法を含める。また、ステップ315または330を実行した場合は、誘導経路のデータも誘導経路ストア要求に含める。なお、保存方法としては、上書きを指定してもよいし、追記を指定してもよい。上書きを指定すれば、経路データ全体を記録できなくなる可能性があるという問題を回避することができる。
【0095】
API11は、この誘導経路ストア要求を受け取ると、自ら誘導経路を算出していればその誘導経路を誘導経路ストア要求に含めてHCI12に入力し、自ら誘導経路を算出していなければ誘導経路ストア要求をそのままHCI12に入力する。
【0096】
HCI12は、入力された誘導経路ストア要求を受け取ると、図9に示す経路ストア処理の実行を開始し、まずステップ410で、スイッチ回路13fを制御して、TXバッファ13cを地図記憶媒体8に接続させると共に、無線送信を禁止して電力消費を節約するため、変調部13aの作動を停止させる。復調部13bは作動させたままとする。
【0097】
続いてステップ415で、受け取った誘導経路ストア要求中の保存方法に従って、記録方法が上書きか追記かを判定する。上書きであると判定した場合は、続くステップ425で、受け取った誘導経路ストア要求中の誘導経路のデータを、無線送信と同様の方法で、ECC回路13eを介してTXバッファ13cに入力する。具体的には、当該誘導経路のデータを複数のパケットに分割し、分割したパケット毎に、パケットID、誘導経路であることを示すID、CRCを更に含め、順次ECC回路13eに出力する。するとECC回路13eは、HCI12から受け取ったパケット中のデータ(誘導経路のデータの分割データ)のECC(誤り訂正符号)を作成し、作成したECCを更に当該パケットに含め、TXバッファ13cに順次入力していく。
【0098】
続くステップ430で、地図記憶媒体8の書き込み先のアドレスを決定する。決定するアドレスは、地図記憶媒体8にデータが記録されていない領域があれば、その領域のうち1つ(例えばその領域の先頭アドレス)とし、地図記憶媒体8にデータが記録されていない領域が既になければ、一番古いデータが記録されている領域(書き込み日が一番古い領域)のうち1つ(例えばその領域の先頭アドレス)としてもよい。
【0099】
そして続くステップ435で、ECC回路13eから出力された誘導経路のデータのパケットにより、TXバッファ13cがフル格納状態になったか否かを、フル格納状態になったと判定するまで繰り返す。フル格納状態になったか否かは、TXバッファ13cからの通知信号に基づいて判定する。TXバッファ13cは、受け取ったデータを先頭のビット記憶領域から順次追加記憶していき、最後のビット記憶領域の値が変動したら通知信号を出力するようになっている。
【0100】
フル格納状態になったと判定すると、続いてステップ440で、書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定を地図記憶媒体8に出力する。書き込みアドレス指定の値は、直前のステップ430で決定した書き込みアドレスとする。
【0101】
この時点で、TXバッファ13cと地図記憶媒体8が接続されているので、この書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定の出力により、TXバッファ13cが保持する全データが当該書き込みアドレスから順番に地図記憶媒体8に記録され、また、TXバッファ13cの内容が空にクリアされる。
【0102】
続いてステップ445では、誘導経路の全データを地図記憶媒体8に記録したか否かを判定し、記録していないと判定すれば、ステップ430に戻る。このように、誘導経路の全データを記録するまで、書き込みアドレスを決定し(ステップ430)、TXバッファ13cがフル格納状態になるまで待ち(ステップ435)、フル格納状態になった時点でTXバッファ13cの内容を地図記憶媒体8に記録する(ステップ440)という処理を繰り返す。なお、この繰り返しにおけるステップ430の書き込みアドレスは、実行する度にTXバッファ13cのサイズ分だけアドレスをずらしていく。
【0103】
ステップ445で、誘導経路の全データを地図記憶媒体8に記録したと判定すれば、続いてステップ455で、データ送信時と同様に、ECC回路13eを介してTXバッファ13cに、管理テーブルに追加するための当該誘導経路のレコードを入力する。このフィールには、そのデータが誘導経路のデータであることを示す誘導経路ID、地図記憶媒体8における当該誘導経路のデータの格納アドレス(先頭アドレス)、当該誘導経路のデータの優先度(最大値に設定する)、当該誘導経路のデータの更新日時(現在の日時)を含める。
【0104】
続いてステップ460では、当該レコードの地図記憶媒体8における書き込みアドレスを、ステップ260と同様に決定する。続くステップ465で、TXバッファ13cがフル格納状態になったか否かを、フル格納状態になったと判定するまで繰り返す。フル格納状態になったか否かは、TXバッファ13cからの通知信号に基づいて判定する。
【0105】
フル格納状態になったと判定すると、続いてステップ470で、書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定を地図記憶媒体8に入力する、書き込みアドレス指定の値は、直前のステップ460で決定した書き込みアドレスとする。
【0106】
この時点でTXバッファ13cと地図記憶媒体8が接続されているので、この書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定の出力により、TXバッファ13cが保持する全データが当該書き込みアドレスから順番に地図記憶媒体8に記録され、また、TXバッファ13cの内容が空にクリアされる。
【0107】
続いてステップ475では、管理テーブルに追加する当該レコードの全データを地図記憶媒体8に記録したか否かを判定し、記録していないと判定すれば、ステップ460に戻る。このように、管理テーブルを記録するまで、書き込みアドレスを決定し(ステップ460)、TXバッファ13cがフル格納状態になるまで待ち(ステップ465)、フル格納状態になった時点でTXバッファ13cの内容を地図記憶媒体8に記録する(ステップ470)という処理を繰り返すことで、誘導経路のデータ(およびそれに付随する)が地図記憶媒体8に記録される。なお、この繰り返しにおけるステップ460の書き込みアドレスは、実行する度にTXバッファ13cのサイズ分だけアドレスをずらしていく。
【0108】
また、ステップ415で追記であると判定した場合は、続いてステップ420で、地図記憶媒体8の空き容量が誘導経路のデータの容量(冗長化され、ECCが付与された後のパケット単位の容量)よりも小さいか否かを判定し、小さくないと判定すれば、誘導経路のデータを問題なく追加記録できるので、ステップ425に進む。なお、追記であると判定した場合のステップ430では、必ず書き込みアドレスを空き領域のアドレスに決定する。ステップ420で小さいと判定した場合は、ステップ480に進み、地図記憶媒体8の空き容量が足りずに書き込みが失敗した旨をAPI11に通知し、その後、図9の処理を終了する。API11は、この通知を受けると、それをそのままメインCPU33に出力し、メインCPU33は、この通知を受けると、書き込み失敗の旨を表示装置4に表示させる。ステップ475で管理テーブルを地図記憶媒体8に記録したと判定すると、書き込み完了を示す完了コードをAPI11に出力し、その後、図9の処理を終了する。また、完了コードを受けたAPI11は、それをそのままメインCPU33に出力する。
【0109】
このようにすることで、必要に応じてメインCPU33またはAPI11で算出された誘導経路のデータは、地図記憶媒体8に記録されることになる。
【0110】
[通信機能付き地図保存装置6から地図データを取得する処理]
次に、メインCPU33が通信機能付き地図保存装置6から地図データを取得するための各種処理について説明する。メインCPU33は、誘導経路の計算、特定の地図エリアの地図画像を表示装置4に表示させる等の目的で当該特定の地図エリアのデータを取得する必要が発生し、かつ、ナビゲーション装置3がセンター2と通信可能な位置にいる場合(例えばセンター2との通信を試みることによって判定する)、API11にデータ要求を入力する。このデータ要求には、上述の特定の地図エリアのエリアID、および、現在センター2と通信可能である旨の情報を含める。
【0111】
このようなデータ要求を受け取ったAPI11は、図10に示すような取得処理を実行する。まずステップ510で、当該特定の地図データを通信で取得する必要性があるか否かの判定である通信必要性判定を行う。
【0112】
図11に、この通信必要性判定の詳細を示す。以下では、取得する必要が発生した当該特定の地図エリアのデータ(以下、必要データともいう)を必要データという。まずステップ511で、必要データが地図記憶媒体8に保存されているか否かを管理テーブルに基づいて判定する。保存されていないと判定した場合はステップ512で通信が必要であると判定する。
【0113】
保存されていると判定した場合はステップ513に進み、地図記憶媒体8における必要データの更新日時を管理テーブルに基づいて特定し、現在日時から当該更新日時までの期間が所定の閾値THより小さいか否かを判定し、小さくないと判定した場合、地図記憶媒体8中の必要データが古いので、ステップ512に進み、通信が必要であると判定する。小さい(地図記憶媒体8中の必要データが比較的新しい)と判定した場合、ステップ515に進み、管理テーブル中の必要データの優先度を1だけ増加させ、続いてステップ517で、通信不要であると判定する。優先度を1だけ増加させるのは、地図エリアのデータを地図記憶媒体8から読み出した回数が増えるほど、そのデータの優先度を高めるためである。ステップ512または517の後、通信必要性判定は終了する。
【0114】
図10のステップ510の後、続いてステップ520に進み、通信必要性判定の結果に従って、通信を行うか否かを判定し、行うと判定した場合は続いてステップ525に進み、通信で必要データを取得しつつ、その取得する必要データを地図記憶媒体8に記録するための処理を実行する。また、行わないと判定した場合は続いてステップ530に進み、通信を行わずに地図記憶媒体8から必要データを読み出すための処理を実行する。
【0115】
具体的には、ステップ525では、HCI12に対して、必要データである特定の地図エリアのデータを通信を行って取得して地図記憶媒体8に記録しながらナビゲーション装置3に出力するよう命令する記録・転送命令を出力する。この記録・転送命令には、必要データである地図エリアのエリアIDと、上書きを示す保存方法とを含める。
【0116】
HCI12は、取得・記録命令を受け取ると、図12に示す処理を開始する。まずステップ610で、スイッチ回路13fを制御して、RXバッファ13dを地図記憶媒体8に接続させる。この際、変調部13a、復調部13bは作動させたままとする。
【0117】
続いてステップ620で、通信を開始し、ECC回路13e、TXバッファ13c、変調部13a、RF回路7を介して、センター2に対し、必要データである地図エリアのエリアIDを含むデータ要求信号を送信する。
【0118】
すると、センター2のCPUは、ROM中の所定のプログラムを実行することで、このデータ要求信号を受信し、データ要求信号に含まれるエリアIDが示す地図エリアのデータを大容量記憶媒体から読み出し、読み出した対象地図エリアのデータを複数のパケットに分割し、分割したパケット毎に、図3に示すように、パケットID、エリアID、ECC(誤り訂正符号)、CRCを更に含め、順次車載システム1に送信し、当該パケット群が通信機能付き地図保存装置6に順次届く。
【0119】
一方、データ要求信号を送信したHCI12は、続くステップ625で、センター2との通信速度(つまり、センター2から受信するデータのビットレート)が、RXバッファ13dから地図記憶媒体8への書き込み速度(あらかじめ定数として定められている)よりも小さいか否かを判定する。通信速度が書き込み速度よりも小さい(書き込みの余裕がある)と判定した場合、続いてステップ630に進む。
【0120】
ステップ630では、図9のステップ230と同様、地図記憶媒体8の書き込み先のアドレスを決定する。更にステップ635では、センター2から受信した地図エリアのデータのパケットにより、RXバッファ13dがフル格納状態になったか否かを、フル格納状態になったと判定するまで繰り返す。フル格納状態になったと判定すると、続いてステップ640で、書き込みコマンドおよび書き込みアドレス指定を地図記憶媒体8に出力すると共に、RXバッファ13d中のデータをECC回路13eを介してHCI12のワークメモリに取得する。書き込みアドレス指定の値は、直前のステップ630で決定した書き込みアドレスとする。なお、HCI12は、HCI12のワークメモリに取得された地図エリアのデータを、API11を介してメインCPU33に出力する。これにより、メインCPU33は当該地図エリアのデータを取得できる。
【0121】
このようにすることで、RXバッファ13dが保持する全データが当該書き込みアドレスから順番に地図記憶媒体8に記録されると共に、RXバッファ13dが保持する全データがECC回路13eに出力され、ECC回路13eにおいて当該データ中のECC(誤り訂正符号)に基づいて必要に応じて誤り訂正が行われ、その結果の地図エリアのデータがHCI12に入力される。その後、RXバッファ13dの内容が空にクリアされる。HCI12は、このようにして入力された地図エリアのデータを、API11に入力し、API11は、入力された地図エリアのデータを、メインCPU33に入力し、メインCPU33は、入力された地図エリアのデータを用いて、必要な処理、(例えば、当該特定の地図エリアのデータを用いた地図表示処理)を実行する。
【0122】
続いてステップ645では、地図エリアの全データを地図記憶媒体8に記録したか否かを、当該地図エリアのデータの最後のパケットが地図記憶媒体8に記録されたか否かで判定し、記録していないと判定すれば、ステップ625に戻る。このように、必要データである特定の地図エリアの全データを記録するまで、書き込み速度が通信速度よりも速ければ(ステップ625)、書き込みアドレスを決定し(ステップ630)、RXバッファ13dがフル格納状態になるまで待ち(ステップ635)、フル格納状態になった時点でRXバッファ13dの内容を地図記憶媒体8に記録すると共にHCI12で取得する(ステップ640)という処理を繰り返す。なお、この繰り返しにおけるステップ630の書き込みアドレスは、実行する度にRXバッファ13dのサイズ分だけアドレスをずらしていく。
【0123】
ステップ650、655、660、665、670、675の処理内容は、それぞれ図2のステップ250、255、260、265、270、275と同じである。ただし、ここで追加するレコードに対応する地図エリアは、必要地図エリアのデータに対応するレコードである。
【0124】
また、通信速度が書き込み速度以上である(書き込みが追いつかない)とステップ625で判定した場合は、地図記憶媒体8への書き込みは諦めてHCI12による取得だけを行うため、ステップ680に進み、センター2から受信した地図エリアのデータのパケットにより、RXバッファ13dがフル格納状態になったか否かを、フル格納状態になったと判定するまで繰り返す。フル格納状態になったと判定すると、続いてステップ685で、ステップ640と同様の方法で、RXバッファ13d中のデータをECC回路13eを介してHCI12のワークメモリに取得し、更にメインCPU33に出力する。
【0125】
続いてステップ690では、地図エリアの全データをHCI12が取得したか否かを判定し、取得していないと判定すれば、ステップ680に戻る。このように、必要データである地図エリアの全データを取得するまで、RXバッファ13dがフル格納状態になる度に(ステップ685)、RXバッファ13dの内容をHCI12で取得する(ステップ685)という処理を繰り返す。
【0126】
ステップ690で地図エリアの全データをHCI12が取得したと判定すると、続いてステップ695で、ストア実行を行う。具体的には、今回地図記憶媒体8に記録することを諦めた特定の地図エリア(必要データ)をダウンロード対象の対象地図エリアとして、図7のステップ215〜275の処理を実行することで、当該地図エリアのデータを地図記憶媒体8に記録し、その後、図12の処理を終了する。
【0127】
このようにすることで、HCI12での取得と共に地図記憶媒体8に記録することを諦めたデータを、後で改めてセンター2から受信して地図記憶媒体8に記録することができる。なお、ステップ695のストア実行処理は、通信速度が書き込み速度よりも小さくなったときに実行するようになっていてもよい。
【0128】
このように、API11は、ナビゲーション装置3から特定の地図エリアのデータを通信を行って取得してナビゲーション装置3に出力するよう命令されたとき、センター2との通信速度が地図記憶媒体8への書き込み速度よりも小さい場合、すなわち、書き込みに余裕がある場合は、受信した特定の地図エリアのデータおよび誤り検出符号を地図記憶媒体8に記録すると共にナビゲーション装置3に出力する一方、通信速度が書き込み速度よりも大きい場合、すなわち、書き込みが追いつかない場合、地図記憶媒体8への書き込みをあきらめ、後に改めて当該特定の地図エリアのデータおよび誤り検出符号のデータをセンター2から受信して地図記憶媒体8に記録することができる。
【0129】
また、API11は、図10のステップ530で、HCI12に対して、必要データである地図エリアを地図記憶媒体8から読み出すよう読み出し命令を入力する。この読み出し命令には、必要データである地図エリアのエリアIDを含める。
【0130】
HCI12は、この読み出し命令を受け取ったことに基づいて、図13に示す処理を開始する。まずステップ710で、スイッチ回路13fを制御して、RXバッファ13dを地図記憶媒体8に接続させると共に、不必要な受信を行ってRXバッファ13dに不要なデータが入ってしまわないように、復調部13bの作動を停止させる。変調部13aについては、作動させたままとしてもよいし、作動を停止してもよい。続いてステップ715では、管理テーブル内で読み出し命令中のエリアIDを含むレコードを参照することで、必要データの読み出しアドレスを決定する。
【0131】
続いてステップ720では、当該読み出しアドレスから必要データをHCI12のワークメモリに読み出す。具体的には、読み出しコマンドおよび読み込みアドレス指定を地図記憶媒体8に出力する。読み込みアドレス指定の値は、直前のステップ715で決定した読み込みアドレスとする。
【0132】
この時点で、RXバッファ13dと地図記憶媒体8が接続されているので、この読み出しみコマンドおよび読み込みアドレス指定の出力により、地図記憶媒体8の当該読み出しアドレスに記録されているデータがRXバッファ13dに読み出される。
【0133】
続いてステップ725では、RXバッファ13dが地図記憶媒体8から読み出されたデータでフル格納状態になるまで待ち、フル格納状態になると、続いてステップ730で、RXバッファ13dの内容をECC回路13eを介してHCI12のワークメモリに読み出す。この際に、ECC回路13eにおいて誤り訂正が行われる。なお、ECC回路13eでは、1パケット分のデータをRXバッファ13dから取得するまで待ち、1パケット分取得した時点で、当該パケット内の地図エリアのデータの誤り訂正を行い、訂正後のデータをHCI12に出力する。また、HCI12は、このようにして得たデータを、API11を介してメインCPU33に出力する。
【0134】
続いてステップ735では、必要データである地図エリアの全データをHCI12が取得したか否かを判定し、取得していないと判定すれば、ステップ710に戻る。このように、必要データである地図エリアの全データを取得するまで、必要データを読み出せるよう読み出しアドレスを決定し(ステップ715)、RXバッファ13dがフル格納状態になるタイミングで(ステップ725)、RXバッファ13dの内容をECC回路13eを介してHCI12で取得する(ステップ730)という処理を繰り返す。なお、この繰り返しにおけるステップ715の読み出しアドレスは、実行する度にRXバッファ13dのサイズ分だけアドレスをずらしていく。
【0135】
なお、この繰り返しにおけるステップ715の読み出しアドレスは、実行する度にRXバッファ13dのサイズ分だけアドレスをずらしていく。このようにすることで、必要データを順次RXバッファ13dに読み込むことができる。
【0136】
ステップ735で地図エリアの全データをHCI12が取得したと判定すると、図13の処理を終了する。このような図13の処理により、地図記憶媒体8中のデータのメインCPU33が取得することができ、しかも、読み出し時にECC回路13eで誤り訂正が可能となる。
【0137】
なお、図13の処理のステップ730において、ECC回路13eが訂正できないエラーを見つけた場合、ECC回路13eはその旨をHCI12に出力し、HCI12は、図12の処理を行うことで、その訂正できないエラーを含む地図エリアのデータを、センター2から受信して取得するようになっていてもよい。
【0138】
なお、地図記憶媒体8からデータを読み出す際は、上記のような地図エリアのデータに限らず、誘導経路のデータも、管理テーブルのデータも、周辺施設や目的地の一覧のデータも、履歴データも、図13に示したような処理に従って、地図記憶媒体8から読み出され、RXバッファ13d、ECC回路13e、HCI12、API11を経てメインCPU33に入力される。つまり、地図記憶媒体8は、通常のメモリのようにAPI11へアドレスを指定しての読み出し、書き込みが可能である。
【0139】
[消去処理]
次に、地図記憶媒体8中のデータの消去について説明する。まず、メインCPU33は、地図記憶媒体8中の消去したいデータのエリアID(または経路のID、以下データの消去の説明においては同じ)を特定し、また、強制消去であるか否かを決定し、消去命令をAPI11に出力する。この消去命令には、消去したいデータのエリアIDと強制消去か否かのフラグを含める。
【0140】
なお、メインCPU33が消去したいデータのエリアIDを特定する方法としては、ランダムに消去したいエリアIDを決定するようになっていてもよいし、あるいは、後述するステップ825または835の処理により、HCI12から優先度が最低値となっているエリアIDの通知を受けた場合は、その通知を受けたエリアIDを消去したいエリアIDとして採用するようになっていてもよい。
【0141】
また、強制消去とするか否かは、あらかじめ決められた設定に従って固定的に決定する(例えば、強制消去ではないと常に決定する)ようになっていてもよいし、ユーザの設定操作に従ってどちらかに決定するようになっていてもよい。
【0142】
この消去命令を受け取ったAPI11は、図14に示すような処理を実行する。まずステップ810で、消去命令に含まれるエリアIDを読み出すことで、消去対象を特定する。続いてステップ815で、消去命令に含まれる上記フラグを読み出すことで、強制消去か否かを判定する。
【0143】
強制消去であると判定した場合は、続いてステップ845で、当該エリアIDを含む消去命令をHCI12に出力し、図14の処理を終了する。この消去命令を受け取ったHCI12は、受け取った消去命令に含まれるエリアIDに対応するアドレスを管理テーブルから特定し、当該アドレスのアドレス指定および消去コマンドを地図記憶媒体8に入力することで、当該エリアIDのデータを地図記憶媒体8から削除する。これにより、地図記憶媒体8に新たな空き領域ができる。
【0144】
ステップ815で強制消去でないと判定した場合は、続いてステップ820に進み、管理テーブル中で、当該エリアIDに対応する優先度と、他のエリアIDに対応する優先度とを比較し、当該エリアIDに対応する優先度が最低値であるか否かを判定する。最低値であると判定すれば続いてステップ830に進む。
【0145】
ステップ820で最低値でないと判定すれば続いてステップ825に進み、管理テーブルにおいて優先度が最低値となっている他のエリアIDをメインCPU33に通知し、続いてステップ840で消去を中止し、図14の処理を終了する。このようにしてCPU33に通知されたエリアIDは、後に消去命令に含まれてAPI11に入力されることになり、その際に消去が実現する。
【0146】
ステップ830では、管理テーブル中で、当該エリアIDに対応する更新日時と、他のエリアIDに対応する更新日時とを比較し、当該エリアIDに対応する更新日時が最も古いか否かを判定する。最も古いと判定すれば続いてステップ845に進み、当該エリアIDを含む消去命令をHCI12に出力し、図14の処理を終了することで、当該エリアIDのデータを地図記憶媒体8から削除する。
【0147】
ステップ830で最も古いわけではないと判定すれば続いてステップ835に進み、管理テーブルにおいて更新日時が最も古い他のエリアIDをメインCPU33に通知し、続いてステップ840で消去を中止し、図14の処理を終了する。このようにしてCPU33に通知されたエリアIDは、後に消去命令に含まれてAPI11に入力されることになり、その際に消去が実現する。
【0148】
なお、ステップ845で消去を実施した場合は、消去した旨をメインCPU33に通知する。このようにすることで、最も優先度の低いデータ、あるいは、最も更新日時の古いデータを、優先的に消去することができる。
[具体的な作動例]
以下、上記のような通信システムにおける、上記の各種処理(および他の処理)を利用した具体的な作動を例示する。
【0149】
また、ナビゲーション装置3に電源が投入され、ナビゲーション装置3が起動すると、メインCPU33は通信機能付き地図保存装置6の初期化を行い、メインCPU33と通信機能付き地図保存装置6との接続を確立する。その後、メインCPU33は、位置検出部32からの信号に基づいて現在地を推定し、API11に当該現在地を含む地図エリアのエリアIDをデータ要求に含め、このデータ要求をAPI11に入力する。
【0150】
すると、API11が図10に示す処理を実行し、当該地図エリアのデータが保存されているかどうか等によって通信の必要性を判定し(ステップ510)、その判定結果に応じて、HCI12を制御し、HCI12は、この制御に応じて図12または図13の処理を行うことで、メインCPU33が当該特定の地図データを取得して表示することができる。このように、通信を行うか否かの判定は、API11が行うため、メインCPU33で特に通信開始を指定する必要がなくなる。
【0151】
その後メインCPU33は、別の処理を開始する前に、ストア開始要求に、保存実行開始条件(例えば、1時間後、次の地図データの読み込み時)を含め、このストア開始要求をAPI11に入力する。するとAPI11は、このストア開始要求中の保存実行開始条件が成立した時点で、図6の処理を開始して、ダウンロード対象の地図エリアのデータを地図記憶媒体8に記録する。
【0152】
メインCPU33では、通信機能付き地図保存装置6以外の機器(表示装置4、ラジオチューナ5等)の初期化を行う必要があるが、この初期化の間に通信機能付き地図保存装置6が自動的に現在地を含む地図エリアに隣接する地図エリアのデータの受信および保存を完了する。このため、地図記憶媒体8にあらかじめすべての地図を保存していなくとも、必要な分を簡単な処置で取り込むことが可能となる。
【0153】
次に、ユーザが目的地を設定をするため、メインCPU33が目的地周辺の地図を取得して表示装置4に表示させる場合を考える。この場合、(1)地図をスクロールさせて目的地を表示させる方法と、(2)名称検索、電話番号検索、住所検索、ジャンル検索等により、目的地を含む地図を表示する場合がある。起動時に地図記憶媒体8への記録が完了している地図エリアのデータであってもなくても、上記の通り、メインCPUは表示すべき地図エリアのエリアIDを含むデータ要求をAPI11に入力するだけで、地図記憶媒体8にすべての地図が保存されている場合と同じように、地図データの取得が可能である。
【0154】
通信を行うか否かをAPI11側で判断させる理由は、必要な全データを記録できる容量の地図記憶媒体8を用いた製品の場合、通信せずに動作ができるようになるが、そのような製品を用いる場合でも、必要な全データを記録できる容量を持たない地図記憶媒体8を用いた製品を用いる場合でも、メインCPU33の処理内容を変える必要がないからである。このようになっていることで、通信機能付き地図保存装置6の性能に応じてナビゲーション装置3の設計を変える必要性が低下する。
【0155】
なお、地図記憶媒体8の空きの容量が少なく、センター2との通信帯域も少ない場合には、メインCPU33はデータ要求を入力しても地図エリアのデータをスクロール操作に合わせてリアルタイムに読み出せず、その結果、地図をスクロール表示することができなくなる可能性がある。このような場合は、(2)の目的地の地図を読み出す方法を用いるようになっていてもよい。つまり、地図表示の対象となる地図エリアがスクロール可能エリア(取得している地図エリアの範囲)を超えた場合は、検索により目的地を探す画面を表示するようにする。
【0156】
そして、その場合は、メインCPU33は、図8のステップ305で、経路計算に必要な地図がすべて保存されていないと判定し、ステップ310で、通信を用いて目的地をセンター2に送付し、ステップ315で、誘導経路のデータをセンター2から受信し、受信した誘導経路を結果を表示装置4に表示させ、目的地を含む地図エリアのデータを地図記憶媒体8から読み出す。
【0157】
また、長距離のドライブのように、誘導経路が非常に長く、誘導経路の経路データがすべて地図記憶媒体8に記録できない場合、メインCPU33は、まず一部の経路のみを計算して地図記憶媒体8に記録し、その一部の経路と残りの経路の切り替わるポイントを含む地図エリアを特定しておき、その地図エリアを読み出す時点で、残りの経路を算出して地図記憶媒体8に記録するようになっていてもよい。
【0158】
また、車両が誘導経路の経路案内に従って移動すれば、メインCPU33は誘導経路のデータに記録されたエリアIDに従って地図データを読み出し、通信機能付き地図保存装置6はメインCPU33の要求に従って該当する地図データを出力する。ストア開始のトリガ条件が地図エリアのデータの読み出し時に成立するようになっていれば、経路データに沿って次の地図エリアを図5〜図7の処理で順次地図記憶媒体8に蓄積していく。
【0159】
誘導経路の経路案内を行わない場合でも、トリガ条件が地図エリアのデータの読み出し時に成立するようになっていれば、ようになっていれば、ある地図エリアのデータが読みだされたときに、隣接する地図エリアのデータがセンター2からダウンロードされて地図記憶媒体8に蓄積されることとなる。この結果、自宅周辺など同じ地図エリアを連続して走行する地域は、その地域の地図エリアのデータの優先度が図11の処理によって高くなっていくので、常に地図記憶媒体8に必要なデータが蓄積され、地図エリアのデータの取得のための通信が徐々に必要なくなっていく。
【0160】
以上説明したように、センター2からダウンロード対象の地図エリアのデータ、誤り訂正符号等が車載システム1に送信されたとき、HCI12は、ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび誤り訂正符号が、RXバッファ13d、スイッチ回路13fを介して地図記憶媒体8に書き込まれるよう制御する(図7のステップ210〜245参照)。
【0161】
またHCI12は、ダウンロードした地図エリアのデータを地図記憶媒体8から読み出すよう読み出し命令をナビゲーション装置3から受け取ったことに基づいて、地図記憶媒体8が記憶している当該地図エリアのデータおよび前記誤り訂正符号がRXバッファ13d、スイッチ回路13fを介してECC回路13eに入力されるよう制御し(図13のステップ710〜735参照)、ECC回路13eは、地図記憶媒体8から当該地図エリアのデータおよび誤り訂正符号が入力されると、当該誤り訂正符号を用いて当該ダウンロード対象の地図エリアのデータの誤り訂正を行い、誤り訂正を経た誤りのない地図エリアのデータをHCI12に入力し、HCI12は、入力された地図エリアのデータを、API11を経てナビゲーション装置3に出力する。
【0162】
このように、センター2から受信した地図エリアのデータおよび誤り訂正符号を、誤り訂正処理を経ずに地図記憶媒体8に記録し、ナビゲーション装置3でその地図エリアのデータを用いる際に、地図エリアのデータおよび誤り訂正符号をECC回路13eに入力することで、誤り訂正を行うことで、データ受信時とデータ読み出し時の両方において別個に行われていた誤り訂正を1つにまとめることができるので、誤り訂正の冗長化を防止することができる。また、このようにしても、受信時のデータ誤りも記録、読み出し時のデータ誤りも訂正することができる。
【0163】
なお、上記実施形態では、ナビゲーション装置3が地図表示装置の一例として機能し
API11およびHCI12が制御インターフェースの一例として機能し、ECC回路13eが訂正符号回路の一例として機能し、スイッチ回路13fが接続回路の一例として機能し、変調部13a、復調部13b、およびRF回路7が無線部の一例として機能する。
【0164】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
【0165】
(1)また、上記実施形態では、地図エリアのデータのうちどれを消去するかについては、API11が自動的に判断するようになっている。しかし、長距離の移動を行う前に地図記憶媒体8の記憶領域を確保するため、または、長距離の移動を終えて自宅へ戻った場合等は、消去する対象の地図エリアのデータをユーザに問い合わせ、ユーザの指定があったデータを消去するようになっていてもよい。あるいは、長距離の誘導経路に沿った移動を終えて自宅に戻った時に、その長距離移動の誘導経路のデータおよび当該誘導経路の一部を含む地図エリアのデータを消去するかどうかユーザに問い合わせ、その問い合わせ結果に応じて消去の有無を制御するようになっていてもよい。
【0166】
(2)また、同じデータを長時間保存していると地図データが古くなったり、通信機能付き地図保存装置6のリテンションやリードディスターブによってデータが破損することが考えられる。この問題への対策として、ECC回路13eによってデータの誤り訂正を行っているが、API11またはメインCPU33が定期的に地図記憶媒体8内の全地図エリアのデータをセンター2から再受信して地図記憶媒体8に再書き込みを行うようになっていてもよい。このようにすることで、より長時間のデータ保持が可能となる。このため、API11またはメインCPU33は、ナビゲーション装置3が動作を開始してから一定時間毎(または一定の走行距離毎)に、地図記憶媒体8に保存している全データの再書き込みを実施するようになっていてもよい。ただし、更新日時が所定基準以上に新しいものについては、受信および再書き込みをスキップするようになっていてもよい。
【0167】
(3)また、上記実施形態では、誤り検出を行う誤り制御回路の一例として、誤り訂正(誤りの検出および訂正)を行うECC回路13eを採用しているが、誤り検出のみを行って誤り訂正を行わない誤り制御回路を採用してもよい。この場合、この場合、誤り制御回路で用いるデータは、誤り訂正符号ではなく、誤り訂正機能を有さない誤り検出符号となる。なお、誤り訂正符号も誤り検出符号の一種である。
【0168】
(4)また、上記実施形態では、API11は、図6のステップ125、135、145において、誘導経路の近傍の地図エリアのデータ、最後に読み出した地図エリアに隣接する地図エリアのデータ、無線接続相手の無線基地局の位置を含む地図エリアに隣接する地図エリアのデータを、センター2から受信して地図記憶媒体8に記録する対象のデータとして選んでいるが、センター2から受信して地図記憶媒体8に記録する対象のデータとして選ぶ地図エリアのデータは、このような者に限らず、例えば、誘導経路の一部を含む地図エリアのうち、当該誘導経路上で通信できない領域を含む地図エリアのデータを、センター2から受信して地図記憶媒体8に記録する対象のデータとして選ぶようになっていてもよい。
【0169】
(5)また、上記実施形態では、API11とHCI12が別々の装置となっているが、1つのマイクロコントローラがAPI11とHCI12の両方の機能を実現するようになっていてもよい。
【0170】
(6)上記実施形態では、地図表示装置の一例としてナビゲーション装置3が用いられているが、地図表示装置は必ずしもナビゲーション装置である必要はなく、通信機能付き地図保存装置6の地図記憶媒体8に記録された地図データを利用して地図表示を行うものであれば、例えばナビゲーション機能を有さない装置であってもよい。
【0171】
(7)上記実施形態では、ナビゲーション装置3および通信機能付き地図保存装置6は車両に搭載された車載システムを構成しているが、ナビゲーション装置3および通信機能付き地図保存装置6は、歩行者に携帯されるシステムであってもよい。つまり、ナビゲーション装置3および通信機能付き地図保存装置6は、移動可能な移動システムを構成すればよい。
【0172】
(8)また、上記実施形態では、地図記憶媒体8をTXバッファ13cおよびRXバッファ13dに接続するための接続回路の一例としてスイッチ回路13fが用いられているが、地図記憶媒体8がデータ書き込み用の端子を2つ有し、それとは別にデータ読み出し用の端子を有していれば、1番目のデータ書き込み用の端子にTXバッファ13cを接続すると共に2番目のデータ書き込み用の端子およびデータ読み出し用の端子にRXバッファ13dを接続するような回路を接続回路として用いてもよい。
【0173】
(9)また、上記実施形態では、スイッチ回路13fはTXバッファ13cに接続可能に切り替えられるようになっているが、TXバッファ13cから地図記憶媒体8に書き込む必要がなければ、TXバッファ13cはスイッチ回路13fを介して地図記憶媒体8に接続される必要はない。その場合、上述の、管理テーブルは、HCI12が有する不揮発性記憶媒体(例えばフラッシュメモリ)に記憶しておいてもよい。
【0174】
(10)また、図5のステップ105でメインCPU33が成立の判定を行うトリガ条件は、ユーザが設定可能なようになっていてもよい。例えば、ナビゲーション装置3の動作設定(画面の色や案内方法等)の1つとして、トリガ条件の設定ができるようになっていればよい。
【0175】
(11)また、上記実施形態では地図エリアの範囲を10km四方の範囲としているが、10kmに限る必要はない。10kmの範囲とせず、地図エリアのデータを読み出す回数が最適となるような範囲としてもよい。例えば移動範囲が広い山中の道路では比較的広い地図エリアを採用してもよいし、道路が込み合っている都心部では比較的狭い地図エリアを採用してもよい。また、移動時間を一定となるように地図エリアの範囲を設定することも考えられる。
【0176】
(12)また、上記実施形態では、1つの地図エリアのデータのパケット数は同一であった。地図データの管理上、同一のサイズとしたほうが都合がよいと考えられる。上記のように地図エリアによって情報量が極端に異なる場合は地図エリア毎に通信パケット数を変化させてもよい場合も考えられる。このような場合は管理テーブルに各地図データのサイズを記録し、地図エリアを読み出す場合に地図のパケット数を計算するようにすればよい。
【0177】
(13)また、上記実施形態では、管理テーブルは、地図記憶媒体8に記録されているが、地図記憶媒体8ではなく、API11に備えられる不揮発性記憶媒体(例えばフラッシュメモリ)に記憶されるようになっていてもよいし、HCI12に備えられる不揮発性記憶媒体、ナビゲーション装置3のワークメモリ31に記憶されるようになっていてもよい。
【0178】
(14)また、上記の実施形態において、メインCPU33、API11、HCI12がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0179】
1 車載システム
2 センター
3 ナビゲーション装置
4 表示装置
6 通信機能付き地図保存装置
7 RF回路
8 地図記憶媒体
9 コントロール部
11 API
12 HCI
13 ベースバンド部
13a 変調部
13b 復調部
13c TXバッファ
13d RXバッファ
13e ECC回路
13f スイッチ回路
30 ROM
31 ワークメモリ
32 位置検出部
33 メインCPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンロード対象の地図エリアのデータに前記ダウンロード対象の地図エリアのデータの誤り検出符号を付加して送信するセンター(2)と通信する車載システムであって、
地図を表示する地図表示装置(3)と通信機能付き地図保存装置(6)とを備え、
前記通信機能付き地図保存装置(6)は、地図記憶媒体(8)と、制御インターフェース(11、12)と、無線部(13a、13b、7)と、誤り制御回路(13e)と、前記無線部(13a、13b、7)を前記地図記憶媒体(8)に接続可能であり、かつ、前記地図記憶媒体(8)を前記誤り制御回路(13e)に接続可能である接続回路(13c、13d、13f)と、を有し、
前記無線部(13a、13b、7)は、前記センター(2)が送信した前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号を含む無線信号を受信し、受信した無線信号に対して周波数変換および復調を行い、
前記制御インターフェース(11、12)は、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記地図記憶媒体(8)に書き込まれるよう制御し、
また前記制御インターフェース(11、12)は、前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記地図記憶媒体(8)から読み出すよう読み出し命令を前記地図表示装置(3)から受け取ったことに基づいて、前記地図記憶媒体(8)が記憶している前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記誤り制御回路(13e)に入力されるよう制御し、
前記誤り制御回路(13e)は、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記地図記憶媒体(8)から前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が入力されると、当該誤り検出符号を用いて当該ダウンロード対象の地図エリアのデータの誤り検出を行い、誤り検出を経た誤りのない前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記制御インターフェース(11、12)に入力し、
前記制御インターフェース(11、12)は、入力された誤り検出後の前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記地図表示装置(3)に出力することを特徴とする移動システム。
【請求項2】
前記制御インターフェース(11、12)は、前記地図表示装置(3)から、取得したい地図エリアのデータを指定しないストア開始要求を受け取ったことに基づいて、あらかじめ定められた経路中のいずれかの区間を含む地図エリアのデータ、または、当該通信機能付き地図保存装置(6)の位置を含む地図エリアに隣接する地図エリアのデータを、前記ダウンロード対象の地図エリアとすることを特徴とする請求項1に記載の移動システム。
【請求項3】
前記無線部(13a、13b、7)は、無線基地局が無線送信した前記無線基地局の位置を受信し、
前記制御インターフェース(11、12)は、前記地図表示装置(3)から、取得したい地図エリアのデータを指定しないストア開始要求を受け取ったことに基づいて、前記無線部(13a、13b、7)が受信した前記無線基地局の位置を含む地図エリアに隣接する地図エリアのデータを、前記ダウンロード対象の地図エリアとすることを特徴とする請求項1に記載の移動システム。
【請求項4】
前記制御インターフェース(11、12)は、特定の地図エリアのデータを通信で取得して前記地図記憶媒体(8)に記録しながら前記地図表示装置(3)に出力するよう命令する記録・転送命令を受け取ると、前記無線部(13a、13b、7)を介して、前記特定の地図エリアのIDを含むデータ要求信号を前記センター(2)に送信し、
前記センター(2)が、前記データ要求信号を受信し、前記データ要求信号に含まれる前記IDが示す前記特定の地図エリアのデータに当該地図エリアのデータ誤り検出符号を付加して送信すると、前記無線部(13a、13b、7)は、前記センター(2)が送信した前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号を含む無線信号を受信し、受信した無線信号に対して周波数変換および復調を行い、
前記制御インターフェース(11、12)は、前記センター(2)との通信速度が前記地図記憶媒体(8)への所定の書き込み速度と比較し、
また前記制御インターフェース(11、12)は、比較の結果前記通信速度が前記書き込み速度よりも小さい場合、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記地図記憶媒体(8)に書き込まれるよう制御すると共に、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記誤り制御回路(13e)に入力されるよう制御し、
また前記制御インターフェース(11、12)は、比較の結果前記通信速度が前記書き込み速度よりも大きい場合、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が、前記地図記憶媒体(8)に記録されることなく、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記誤り制御回路(13e)に入力されるよう制御し、
前記誤り制御回路(13e)は、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が入力されると、当該誤り検出符号を用いて当該特定の地図エリアのデータの誤り検出を行い、誤り検出を経た誤りのない前記特定の地図エリアのデータを前記制御インターフェース(11、12)に入力し、
前記制御インターフェース(11、12)は、入力された誤り検出後の前記特定の地図エリアのデータを前記地図表示装置(3)に出力し、
また前記制御インターフェース(11、12)は、比較の結果前記通信速度が前記書き込み速度よりも大きい場合、前記特定の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が前記誤り制御回路(13e)に入力された後に、前記センター(2)が、前記特定の地図エリアのデータを前記ダウンロード対象の地図エリアのデータとして、前記特定の地図エリアのデータの誤り検出符号と共に送信するよう、前記無線部(13a、13b、7)を介して、前記特定の地図エリアのIDを含むデータ要求信号を前記センター(2)に送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の移動システム。
【請求項5】
前記地図表示装置(3)は、ワークメモリ(31)および演算回路(33)を備え、現在地から目的地までの誘導経路を算出するナビゲーション装置であり、
前記演算回路(33)は、前記制御インターフェース(11、12)よりも演算速度が高く、前記ワークメモリ(31)は前記制御インターフェース(11、12)に備えられたメモリよりも容量が大きく、
前記演算回路(33)は、前記現在地と前記目的地が同じ1つの地図エリア内にあるか否かを判定し、同じ1つの地図エリア内にあると判定した場合、前記制御インターフェース(11、12)に前記誘導経路の計算を行わせ、同じ1つの地図エリア内にないと判定した場合、前記演算回路(33)自ら前記ワークメモリ(31)を用いて前記誘導経路の計算を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の移動システム。
【請求項6】
ダウンロード対象の地図エリアのデータに前記ダウンロード対象の地図エリアのデータの誤り検出符号を付加して送信するセンター(2)と通信する通信機能付き地図保存装置であって、
制御インターフェース(11、12)と、無線部(13a、13b、7)と、地図記憶媒体(8)と、誤り制御回路(13e)と、前記無線部(13a、13b、7)を前記地図記憶媒体(8)に接続可能であり、かつ、前記地図記憶媒体(8)を前記誤り制御回路(13e)に接続可能である接続回路(13c、13d、13f)と、を有し、
前記無線部(13a、13b、7)は、前記センター(2)が送信した前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号を含む無線信号を受信し、受信した無線信号に対して周波数変換および復調を行い、
前記制御インターフェース(11、12)は、前記無線部(13a、13b、7)が周波数変換および復調を行った結果得た前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記地図記憶媒体(8)に書き込まれるよう制御し、
また前記制御インターフェース(11、12)は、地図を表示する地図表示装置(3)から、前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記地図記憶媒体(8)から読み出すよう読み出し命令を受け取ったことに基づいて、前記地図記憶媒体(8)が記憶している前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記誤り制御回路(13e)に入力されるよう制御し、
前記誤り制御回路(13e)は、前記接続回路(13c、13d、13f)を介して前記地図記憶媒体(8)から前記ダウンロード対象の地図エリアのデータおよび前記誤り検出符号が入力されると、当該誤り検出符号を用いて当該ダウンロード対象の地図エリアのデータの誤り検出を行い、誤り検出後の前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記制御インターフェース(11、12)に入力し、
前記制御インターフェース(11、12)は、入力された誤り検出後の前記ダウンロード対象の地図エリアのデータを前記地図表示装置(3)に出力することを特徴とする通信機能付き地図保存装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−88066(P2012−88066A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232515(P2010−232515)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】